説明

画像出力装置、画像出力装置の制御方法ならびにそのプログラムおよび記憶媒体

【課題】従来技術のようなセキュリティ付加情報(メタ情報)の復元が不可能となり、その読み取りを正しく行えないため、所望のセキュリティ対策が実施できなくなるという問題を解決する。
【解決手段】原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断する判断手段と、前記判断手段で超えると判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止し、前記判断手段で超えないと判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の画像出力装置において、埋込まれた情報が後に正しく復元されるように画像出力を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスのIT(Information Technology)化の促進に伴い、セキュリティに対する関心が近年高まってきている。例えば、企業が保持している顧客情報の漏洩事件が度々発生するなど、組織の機密や、個人のプライバシが脅かされており、大きな社会問題になっている。
【0003】
これらの問題に対処するために、電子化された機密情報のアクセス権限や、ファイアウォールに監視装置を設けるなどのITメカニズムを導入することにより、企業外への漏洩を防ぐ対処が行われている。あるいはノートPCやUSBメモリなどの可搬媒体のオフィスへの持ち込み、持ち出しを禁止するなどの措置が取られている。
【0004】
電子化された機密情報の場合、上記のようなITメカニズムを用いた対策を実施することによって、機密情報をある程度ガードすることが可能である。これは電子情報の場合、ITメカニズムを使ってのみ参照可能であり、そこにこのメカニズムを導入しやすいという性質があるため可能である。
【0005】
一方、機密情報を画像形成装置などで用紙媒体に印刷された場合、セキュリティのため組織の機密や個人のプライベート情報が印刷された用紙の持ち出しを確認したり禁止したりすることが行われる。しかし、この場合、上記のような従来のITメカニズムを迂回できることになり、そのため、電子化された機密情報の持ち出しを制限することよりもよりも、セキュリティの維持を難しくしている。
【0006】
この問題に対処するために、従来さまざまな情報漏洩対策手段が考案されている。
【0007】
情報漏洩対策手段の一種として、既知の電子透かし(ウォーターマーク)技術や2次元バーコード技術を用いる技術がある。つまり、印刷を実施する際に用紙媒体そのものにコピーを禁止する複写制限情報をシステムが埋め込むというものである。このシステムでは、上記技術に対応した画像形成装置において、複写実施時に、当該複写制限情報を復元することによってコピーの可否を検知し、それによってコピーの継続、中止をページ毎に制御することが可能であった。また単純な複写の是非だけの複写制限だけではなく、複写許可の判断に用いるパスワード情報やユーザ情報を条件情報として埋め込み、特定のユーザにのみ複写を許可する方式も提案されている。例えば、この種のシステムとしては特許文献1が提案されているものがある。なお、上記複写制限情報や利用者を追跡するために付加される追跡情報を総称して今後「セキュリティ付加情報」または後述のように「メタ情報」と呼ぶこととする。
【0008】
このセキュリティ付加情報を用いた情報漏洩対策が効力を発揮するためには、画像形成装置における複写実施時にセキュリティ付加情報を正確に復元可能であることが必要である。これに対して、印刷出力物を画像形成装置で読み取り、読み取った画像からセキュリティ付加情報の復元を実行した結果に基づいて、原稿に付加するセキュリティ付加情報を補正する方式が提案されており、例えば、特許文献2に提案されている技術がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−280469号公報
【特許文献2】特開2006−165889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記技術のように、セキュリティ付加情報(メタ情報)を補正することにより付加情報の復元精度を向上させる場合、原稿によっては補正の効果がでないことがある。この場合、補正を行なってもセキュリティ付加情報の復元が不可能となり、セキュリティ付加情報の読み取りを正しく行えないため、所望のセキュリティ対策が実施できなくなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断する判断手段と、前記判断手段で超えると判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止し、前記判断手段で超えないと判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力する制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像出力装置において、前記制御手段が、前記二次元バーコードを構成するドットの夫々が含まれるブロック毎に原稿画像の濃度を算出して、その濃度が所定の閾値を超えるか否かにより、前記二次元バーコードが検出可能か否かを判断し、当該否と判断された場合には、前記判断手段で超えないと判断された場合であっても前記二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止することを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の画像出力装置において、前記制御手段が、前記二次元バーコードを構成するドットの中で検出不可能なドットの割合の算出し、その割合が一定割合を超える場合には、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判断することを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像出力装置において、前記制御手段が、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判定される場合に、前記原稿画像の濃度を、前記二次元バーコードの情報が復元可能となる濃度に変換することを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像出力装置において、原稿画像の前記平均濃度は、二次元バーコードを構成する各ドットの周辺の画像の濃度であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、画像出力装置の制御方法であって、原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断する判断ステップと、前記判断ステップで超えると判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止し、前記判断ステップで超えないと判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力する制御ステップとを有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像出力装置の制御方法において、前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードを構成するドットの夫々が含まれるブロック毎に原稿画像の濃度を算出して、その濃度が所定の閾値を超えるか否かにより、前記二次元バーコードが検出可能か否かを判断し、当該否と判断された場合には、前記判断手段で超えないと判断された場合であっても前記二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の画像出力装置の制御方法において、前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードを構成するドットの中で検出不可能なドットの割合の算出し、その割合が一定割合を超える場合には、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判断することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の画像出力装置の制御方法において、前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判定される場合に、前記原稿画像の濃度を、前記二次元バーコードの情報が復元可能となる濃度に変換することを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の画像出力装置の制御方法において、原稿画像の前記平均濃度は、二次元バーコードを構成する各ドットの周辺の画像の濃度であることを特徴とする。
【0021】
また、上記画像出力装置の制御方法における諸ステップは、システムまたは装置に備わるコンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することができる。そして、このプログラムを前記コンピュータに読み込ませることにより当該制御方法をコンピュータに実行させることができる。また、このプログラムは、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記コンピュータに読み込ませることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像出力装置が、メタ情報を正確に復元できないと判断された原稿に対して、出力の実行を禁止する、もしくは、原稿画像を補正することにより、メタ情報を復元可能とした原稿を生成・出力する。これにより、メタ情報の読み取りが不可能な出力が行われることを抑制し、セキュリティを強化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
[実施形態1]
以下、図面を用いて本発明による実施形態を説明する。
【0024】
<システムの全体配置について>
はじめに、システムの全体配置について図1を用いて説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態におけるシステムの全体配置を説明する図である。
【0026】
図1において、0111および0112はクライアントPC、0121はプリントサーバ、0131および0132はコピー機またはプリンタ機能を持つ画像形成装置である。これらの装置はLAN0101によって相互に接続されており、LAN0101を介して通信する機能を持つものとする。
【0027】
ユーザがクライアントPC0111あるいは0112を操作することにより、クライアントPC0111あるいは0112は印刷データを生成し、この印刷データをプリントサーバ0121に送付する。
【0028】
プリントサーバ0121は、受信した印刷データを画像形成装置0131あるいは0132に再送する。
【0029】
画像形成装置0131あるいは0132では、受信した印刷データを解釈して画像データに変換し、それを紙に印字することで印刷物を生成する。
【0030】
なお、上記はシステム構成の一例であり、プリントサーバ0121が無い構成も当然考え得る。その場合、クライアントPC0111あるいは0112が、直接画像形成装置0131あるいは0132に印刷データを送付する。この場合、LAN0101ではなくIEEE1284、USB(Universal Serial Bus)などの既知のインターフェイスを用いて接続されていてもよい。
【0031】
続いて、複写制限あるいは印刷出力を追跡するための情報(追跡情報)の埋め込み指示と複写制限動作について簡単に説明する。なお、情報の埋め込みとは、人にその情報を知覚されないように付加することを意味する。本実施形態においては、メタ情報の原稿への埋め込みを、後述するLVBCによるドット(以下、LVBCドットと称す)からなるメタ情報画像を背景画像として原稿画像に合成し、合成した画像を印字することによって実現する。
【0032】
図1に示した構成において、ユーザがクライアントPC0111あるいは0112を操作する際に、印刷出力にコピー禁止あるいは印刷出力を追跡するための情報を埋め込む旨を指示したとする。すると、画像形成装置0131あるいは0132は、原稿画像に、コピー禁止あるいは印刷出力を追跡するための情報を背景画像として合成した画像の印刷出力を生成する。その背景画像を含んだ印刷出力の例を図2に示す。図2に関する詳細な説明は後ほど行う。
【0033】
以上、システム全体の動作について簡単に説明した。以下の説明において、これら一連の動作がどのようになされるのか、より具体的に説明する。
【0034】
なお、印刷出力の背景画像として合成可能な情報は、コピー禁止や印刷出力の追跡情報に限られるものではない。このため、このような情報を、以下ではメタ情報と記述し、このメタ情報(セキュリティ付加情報)を表す背景画像をメタ情報画像と記述し説明する。
【0035】
<画像形成装置のコピー動作におけるメタ情報画像の生成および合成>
次に、図3を用いて、画像形成装置におけるメタ情報画像の生成および合成について説明する。
【0036】
図3に、紙の原稿をコピーする際に、印刷出力の背景がコピー禁止情報を含むように画像形成装置を構成したデータフローダイアグラムを示す。
【0037】
ユーザが原稿をスキャナ部(図示せず)に載せて、操作部(図示せず)を操作してコピー開始を指示すると、画像読み取り部0301が起動され、コピー動作が開始される。画像読み取り部0301は、原稿を読み取って、その画像データを画像合成部0302に送る。
【0038】
一方、複写制限情報保持部0304は、各種設定ダイアログを操作した結果として保持している複写制限情報を、メタ情報画像生成部0305へと送る。
【0039】
メタ情報画像生成部0305は、受け取った複写制限情報を解釈し、メタ情報を表すメタ情報画像を生成する。例えば、後述するLVBCなどの技術を用いることによって、その複写制限情報に応じたメタ情報画像を背景画像として生成する。メタ情報画像生成部0305は生成した背景画像を画像合成部0302に送る。
【0040】
画像合成部0302は、画像読み取り部0301から受け取った原稿の画像データと、メタ情報画像生成部0305から受け取った背景画像を合成し、印字部0303へ画像データ(ビットマップ画像)を送る。
【0041】
印字部0303の動作は、画像合成部0302から受け取ったビットマップ画像を用紙媒体に印字する。
【0042】
<LVBCについて>
次に本実施形態におけるメタ情報埋め込み技術の好適な例として、本出願人による、二次元バーコードの一種であるLVBC(Low Visibility Barcodes:低可視バーコード)について説明する。
【0043】
ここでいう情報埋め込み手段というのは画像形成装置において、用紙やOHPシートなど画像形成する媒体(以下シートとする)に本来印刷する画像の他に、所望の情報を表す画像を合成して印字する手段のことをいう。
【0044】
一般的な情報埋め込み手段の要件として、下記が挙げられる。
・シートに対して、情報の埋め込みに必要とされる十分な情報量の情報の埋め込みを実現できること。
・シートに色材(トナーやインクなど)を使って印刷することにより埋め込まれた情報が後にデジタル情報として確実に復元可能であること。
・原稿画像をシートに複写する際に、原稿の回転、拡大、縮小、部分的削除、複写による信号の鈍り、汚れなどの情報復元を妨げる要因に対して、ある程度の耐性があること。
・複写制限原稿の複写を防止するために、複写時に復元可能なリアルタイム性、あるいはそれに準ずる高速性があること
本実施形態におけるLVBCは上記の要件を満たすものである。
【0045】
図2は、上記要件を満たすLVBCによるメタ情報画像が背景画像として印刷された原稿の一例を示すイメージ図である。
【0046】
0201はシート全体を示し、0202は0201の拡大図を示す。0202によれば、原稿に本来描画されるイメージの他に、一見ランダムに印刷された多数のドット(例えば0203)が見える。このドットで付加すべき情報を表現する。
【0047】
<LVBCによるメタ情報の埋め込み>
次に、LVBCによる、メタ情報の埋め込み方法について図2を用いて説明する。
【0048】
LVBCではシートに対して印刷される本来の原稿画像のほかに、メタ情報を埋め込むためにグリッド(格子)と呼ばれるドットパターンを印刷する。図2においてドット0203はグリッドを構成する各ドットを示している。グリッドそのものは縦横等間隔に離れたドットの集合体である。グリッドに置かれた各ドット間の最短距離を仮想的な線(ガイドライン)で結ぶと、一定の間隔で縦横に引かれた仮想的な格子模様が出現する。
【0049】
メタ情報は、一定サイズ以内のバイナリ(2値)データとして入力される。このメタ情報に基づき、グリッドを構成するドットに対してドットを上下左右8方向に変位すること(すなわち、中心からずれること)によってメタ情報を表現する。本実施形態では、この変位させたドット群を背景画像として原稿画像に合成し、印字することによりメタ情報の埋め込みを実現している。
【0050】
ここで図4、メタ情報として010111110011bというバイナリデータを埋め込む例を示す。
【0051】
図4において、縦横の線0401はグリッドの位置を示す仮想的なガイドラインを示す。このようにグリッドの最短距離を線で結ぶと格子模様が出現する。0402は中心を示し、ここにはドットを置かない。実際には、例えば0403のように中心0402から離れた位置にドットを変位させて配置する。
【0052】
010111110011bは3ビットずつ分解され、010,111,110,011に分けられる。さらに各3ビットに対してデシマル変換を行い、2,7,6,3に変換される。図4の下図で示されるように、グリッドを構成する各ドットは数値に対して上下左右の8方向にいずれかに変位させることによって情報を表すことが可能である。この場合、2,7,6,3はそれぞれ右上、右下、下、左に変位することによって情報を表現することが可能である。このような処理の繰り返しによって、LVBCでは高々2000バイト程度のメタ情報を1枚のシートに埋め込むことが可能である。さらに図5に示すように、メタ情報を表現するドットをシートに対して何度も印刷する。図5の4201がメタ情報を表すドットのブロックであり、これを繰り返し印刷することにより冗長性を増加させ、画像イメージとの誤認識やシートに対する汚れ、しわ、部分的破壊に対して信頼性を向上させることを行っている。
【0053】
メタ情報のLVBCによる埋め込みは、デジタルデータとしてのメタ情報をアナログデータとしてシートに記録するDA変換であるため、比較的単純な仕組みで実現可能である。
【0054】
図6に示す、本発明の構成図において、メタ情報保持部0616は、LVBCドットとしてシートに印刷されることにより埋め込まれるメタ情報を保持する。メタ情報画像生成部0615は、メタ情報保持部0616に格納されているメタ情報からLVBCのドットパターン画像(メタ情報画像)を作成する。画像合成部0603は、メタ情報画像生成部0615により作成されたLVBCドットパターン画像と原稿画像を合成し、1枚の出力画像を作成する。メタ情報復元部0608は、画像読み取り部0601より入力された画像から、この画像に合成されているLVBCドットパターンを検知し、このドットパターンが表すメタ情報を復元する。
【0055】
<原稿の画像濃度による印刷出力生成の制御について>
次に本実施形態の特徴である、原稿の画像濃度によりメタ情報が合成された印刷出力の生成を制御する動作について説明する。
【0056】
前述のようにメタ情報は、ドットパターンとして原稿に埋め込まれる。したがって、メタ情報を復元する際は原稿からドットを検知し、解析することで埋め込まれた情報の復元を行う。このため、メタ情報が埋め込まれる原稿の濃度によっては、メタ情報を表すドットを検知できず、メタ情報を復元できない場合がある。これに対応するため、LVBCでは、冗長性の確保されたドットパターンを使用しており、さらに印刷面全体にわたってパターンを繰り返し印字することでも冗長性を確保している。しかし、全面写真画像のような印刷面全面に渡って高濃度である原稿画像などでは、埋め込まれたメタ情報を正常に復元できない可能性がある。
【0057】
これに対し、本実施形態では、原稿画像にメタ情報を合成した印刷出力を行う際に、原稿画像の濃度とそれによるメタ情報復元への影響を評価する。そして、メタ情報の復元が困難となる原稿画像であると判断される場合には、当該原稿画像の印刷を禁止する、もしくは、原稿画像の濃度を落とし、メタ情報を復元可能な原稿となるよう補正してから印刷を行う。これにより、合成されたセキュリティ付加情報を復元できない印刷出力の存在が、セキュリティホールとなることを未然に防ぐ。
【0058】
以下、上記の印刷出力制御動作について詳細を説明する。
【0059】
<コピー時の印刷出力制限動作>
ここでは、前述の印刷出力制限動作を伴うコピー時の動作フローを図7に示し、この図を用いてコピー時の印刷出力制限動作を説明する。
【0060】
はじめに、ステップS0701で、当該画像形成装置は、操作部(図示せず)を介したユーザによる選択指示を受ける。1つは、2値化処理方法の選択であり、指示された2値化処理方法を、後述のステップS1104(図11)で実施する2値化処理の方法として画像形成情報に含める。なお、ユーザによる2値化処理方法の選択がなされない場合、デフォルトの2値化処理方法が選択される。もう1つは、後述のステップS0719での出力制限動作の種別であり、印刷出力禁止動作と原稿濃度調整動作のいずれかが選択される。この情報は、出力制御設定保持部0611の設定情報に含められる。
【0061】
次に、画像読み取り部0601は、ステップS0702で、原稿読み取り待機を行い、操作部(図示せず)を介したユーザによる原稿読み取りが指示されると、スキャナによる原稿の読み取り動作を行う。
【0062】
原稿の読み取りが行われると、メタ情報保持部0616は、ステップS0703で出力に対してメタ情報の埋め込みを行う設定がされているか否かを確認する。
【0063】
メタ情報の埋め込みが実行されない場合、通常のコピー動作と同様にステップS0718の印刷処理に進み、印字部0605は原稿の印刷を実行する。
【0064】
一方、メタ情報の埋め込み実施の設定がされている場合、ステップS0704に進む。このステップでは、メタ情報画像生成部0615は、メタ情報保持部0616が保持している設定から複写制限情報や追跡情報などのメタ情報を生成し、LVBCなどによりこのメタ情報を表すメタ情報画像を生成する。
【0065】
次いで、ステップS0705で、読み取った原稿の画像データからその平均濃度を算出する。
【0066】
そしてステップS0706にて、原稿の平均濃度が所定の範囲内にあるか、すなわちAおよびBを予め定められた閾値として、A以上B以下かを判断する。
【0067】
閾値Aは、後述するステップS1114で決められる濃度(メタ情報を復元可能な最大濃度)の1/2の値(例えば、S1114で決められる濃度が50なら25)とする。また、閾値Bは、ステップS1114で決められる濃度の2倍の値(例えば、S1114で決められる濃度が50なら100)とする。これらの値は、ほぼ確実にメタ情報を復元できると考えられる経験的数値として定められている。
【0068】
上記ステップS0706で原稿の平均濃度が所定の範囲内にないと判定された場合は、ステップS0707へ移行し、さらに原稿の平均濃度がA未満であるか否か判定する。ここで原稿の平均濃度が下限であるAより小さい場合は、ステップS0718に移行し通常の印刷データを印刷する。このように、原稿の平均濃度が下限であるAより小さい場合は、すなわち原稿の平均濃度があまりにも低い場合には、後述のステップS0709やS0714に関連する詳細な検査をせずとも通常の印刷を許可することとしている。
【0069】
一方、ステップS0707の判断でNoと判定された場合、すなわち、原稿の平均濃度が上限のB以上である場合、ステップS0720へ移行し複写ジョブ(コピージョブ)を中止する。このように、原稿の平均濃度が上限のB以上である場合は、すなわち、原稿の平均濃度があまりにも高い場合には、後述のステップS0709やS0714に関連する詳細な検査をせずとも印刷を強制的に禁止することとしている。なお、ステップS0720の段階で、ユーザに対しユーザインタフェース(図示せず)を介して警告を行い、ユーザの同意がある場合のみ、印刷を禁止したり、あるいは原稿画像のみを印刷するようにしてもよい。
【0070】
上記の簡易的な検査(ステップS0706、S0707)により、詳細な調査をしなくても良い場合には、処理時間の短縮が図ることができる。
【0071】
ところで、上記ステップS0706で、原稿の平均濃度が所定の範囲内にある場合は、ステップS0708へ移行し、以下の処理が実施される。
【0072】
以下では、画像解析部0606が、生成したメタ情報画像を原稿画像と合成し、印刷した出力結果を再度画像形成装置で読み込んだ際に、埋め込まれたメタ情報を正しく復元できるか否かの検査を行う。
【0073】
まず、画像解析部0606は、ステップS0708において、メタ情報画像の各ドットが印字される位置とその周辺画素の画像濃度が、当該判定の閾値となるある一定の濃度を超えるか否かについて、検査を行う。ここで周辺画素とは図8の0802に示す領域(二次元バーコードを構成するドットが一つだけ存在するブロック領域、つまり、4本のグリッドにより囲まれる領域)のうち、ドットが存在する位置以外の領域であり、ここでの画像濃度はこの領域の平均濃度である。図8の0801はLVBCドットを作成する際の仮想グリッドを示す。領域0802は、LVBCドットが変位により移動し、かつ隣接するLVBCドットの領域と交わらない領域となっており、隣接ドットを含む領域との境界は、仮想グリッド間の中間線となる。
【0074】
ステップS0709で周辺画素の画像濃度が所定の閾値を超える場合、当該LVBCドットはLVBCのドットとして検出することができないドットであると決定する(ステップS0710)。一方、周辺画素の画像濃度が所定の閾値を超えない場合、当該LVBCドットはLVBCのドットとして検出することができるドットであると決定する(ステップS0711)。なお、上記画像濃度の閾値の決定方法については後述する。
【0075】
原稿画像に合成されるLVBCによる全てのドットについて、ステップS0708〜S0712の処理を繰り返し、同様にドットが検出可能であるか否かの判断を行う。
【0076】
画像解析部0606は、ステップS0712で、全てのLVBCドットについて、ドット検出可否の判断が終了すると、次にステップS0713で、検出不可能なLVBCドットの割合の算出を行う。これは、前のステップで検査したLVBCの全ドットのうち、検出不可能と判断されたドットの数を求めることで行う。
【0077】
そして、ステップS0714で、上記ステップS0713求めた検出不可能ドットの割合が一定割合を超える場合、印刷物からのメタ情報の復元が不可能であると決定する(ステップS0715)。これは、検出不可能なLVBCドットの全LVBCドットに対する割合が一定数を超えると、エラー訂正などの処理を行ったとしても、このLVBCドットからメタ情報の復元ができなくなるためである。
【0078】
原稿画像には、様々な種類のもの(例えば、全体に渡って同じくらいの濃度のもの、局所的に濃い濃度があるが他の部分は濃度の薄いものなど)が存在する。そのため、パッチを用いて決定された濃度閾値と、原稿画像の平均濃度と比較するだけでは、メタ情報が正確に復元されるかどうかわからない。したがって、本実施形態では、上記ステップS0706、S0709、S0714で細かく検査処理を行い、メタ情報を正確に復元されるようにしている。なお、メタ情報の可否を判断する上記閾値の決定方法については後述する。
【0079】
上記判定により、検出不可能なLVBCドットの割合が所定の閾値以下である場合は、メタ情報を復元可能な原稿画像であると決定する(ステップS0716)。このとき、画像合成部0603は、ステップS0717で原稿画像とメタ情報画像を合成し、メタ情報付加画像の印刷処理を行えるようにする。印刷部0605は、ステップS0718で印刷処理を実行し、出力を行う。
【0080】
一方、検出不可能なLVBCドットの割合が所定の閾値以上である場合、画像解析部0606は、当該原稿画像はこれにメタ情報画像を合成し出力を行った場合、埋め込まれたメタ情報の復元ができなくなる原稿画像であると決定する(ステップS0715)。このため、出力制御判断部0610は、ステップS0719でユーザ設定による出力制限動作を実行する。出力制御判断部0610は、出力制御設定保持部0611の設定情報を参照し、印刷出力禁止動作と原稿濃度調整動作のうちユーザが設定した動作を実行する。
【0081】
ところで、メタ情報の復元が不可能と判断された原稿画像については、その印刷出力を行うとセキュリティホールとなる可能性が高い。このため、印刷出力禁止動作では、出力制御判断部0610は、ステップS0720で当該原稿の複写ジョブを強制的にキャンセルし、原稿画像の印刷を禁止する。
【0082】
一方、原稿濃度調整動作では、画像処理部0602が、メタ情報の復元が不可能と判断された原稿画像に対し、ステップS0721でメタ情報の復元が可能となるよう原稿画像の濃度を薄くする画像処理を行う。この画像処理によりメタ情報の復元が可能となった原稿画像に対し、画像合成部0603がステップS0717でメタ情報画像の合成処理を行い、印字部0605はステップS0718で印刷処理を実行し、出力を行う。ここでの、原稿画像の濃度を薄くする処理については、出力制御判断部0610により原稿画像に適した処理が選択される。具体的には、原稿画像全体の濃度を薄くする処理、原稿画像の濃度が閾値を越えている部分についてのみ濃度を薄くする処理、原稿画像の文字と認識される部分以外の濃度を薄くする処理、などいくつかの異なる画像処理のなかから選択がなされる。
【0083】
なお、上記ステップS0706の検査において、判定の閾値として平均濃度を用いているが、平均濃度以外の物理量を判定の閾値として用いることができる。例えば、前述のドットが存在する位置の外周部分よりも高濃度の可能性の高い中央部分の平均濃度だけを採用しても良い。これは、中央部分の濃度が低ければ外周部分の濃度も低いと考えられ、メタ情報画像を原稿画像に合成しても問題ないと考えられるからである。この場合、処理も速くなる効果も得られる。あるいは、中央部分の濃度に高い重み係数を掛けて、外周部分の濃度に低い重み係数を掛けて得られる重み付け平均の濃度でも良い。あるいは、原稿全体の濃度のヒストグラムを見て、そのヒストグラムの偏り具合(高濃度側への偏り具合)が所定の閾値を超えているか否かを判断してもよい。なお、このように濃度のヒストグラムの偏り具合が閾値を越えるか判断することも含めて、本明細書では、原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断するという。
【0084】
<原稿画像濃度閾値(ステップS0709で用いられる閾値)>
上記のように、原稿の画像濃度により印刷出力の制御を行う処理においては、LVBCドットが原稿画像に合成された際に、検出可能であるかの判断を画像濃度により行っている。このため、当該判断における基準として、LVBCドットの検出可否を判定する原稿画像濃度の閾値を保持しておく必要がある。この閾値は、予め本実施形態の画像形成装置において様々な濃度のパッチデータを出力し、これをスキャナで読み込んだ結果から閾値を決定し、保持しておく。
【0085】
図9にこのパッチ画像を示す。パッチ画像は図9の0904のように、濃度0から最大濃度までを複数の段階(図9の例では18段階)に分け、パッチとしたものである。各パッチ部分には、メタ情報画像が背景画像として合成され印字されている。また、このパッチ画像は、図9の0901〜0903に示すように、誤差拡散によるもの、スクリーン134線によるもの、スクリーン141線によるものなど、2値化処理別に形成される。図9に示すように2値化処理別にパッチ画像を形成するのは、メタ情報を画像化して得られる二次元バーコードと原稿とが合成された上で、当該合成画像に対する2値化処理の違いにより、メタ情報復元の成否が異なる可能性があるためである。
【0086】
各パッチには、図10のようにLVBCドットが印字されている。出力されたパッチ画像をスキャナで読み込み、メタ情報の復元を行った結果、ある濃度以上のパッチの打たれている領域からは、メタ情報の復元が行えない。これは、1001のように、LVBCドットが印字されるパッチ画像の濃度が高く、LVBCドットの検出が正常に行えなくなるためである。以上から、原稿画像濃度の閾値としては、このメタ情報の復元に成功したパッチのうち、もっとも濃度の低いパッチ画像の濃度とする。
【0087】
<原稿画像濃度閾値の設定処理>
前述した原稿画像の濃度閾値設定処理について、その動作フローを示す図11を用いて説明する。
【0088】
図11に示す原稿画像濃度閾値の設定処理において、原稿画像濃度閾値を決定する際には、パッチデータ生成部0613が、ステップS1101でパッチ画像を生成する。
【0089】
次に、メタ情報画像生成部0615は、ステップS1102で、パッチ画像に背景画像として合成するメタ情報画像を生成する。
【0090】
続いて、ステップS1103で、画像合成部0603が、ステップS1102で生成したメタ情報画像と、ステップS1101で生成したパッチ画像とを合成する。
【0091】
ハーフトーン処理部0604は、メタ情報を表すLVBCドット(すなわち、メタ情報画像)が合成されたパッチ画像の印刷出力を行うため、ステップS1104で2値化処理を行う。なお、ハーフトーン情報保持部0612は、メタ情報付加印刷において使用される画像形成情報を保持しており、2値化処理方法はこの中から選択される。
【0092】
同様に、パッチデータ生成部5013は、他のメタ情報付加印刷において使用される画像形成情報に対しても、それぞれパッチ作成処理を行う(ステップS1101〜S1105)。そして、ステップS1106で各パッチ画像を1つまたは複数の原稿画像として合成する。
【0093】
作成された各画像形成情報によるパッチ画像は、印字部0605により、ステップS1107で印刷される。
【0094】
出力されたパッチ画像原稿に対し、画像読み取り部0601は、ステップS1108でスキャナにより読み込み処理を行う。
【0095】
画像解析部0606は、ステップS1109で読み込まれたパッチ画像を解析することで閾値を決定する。ここでは始めに、濃度パッチ毎にメタ情報の解析・復元処理を行う。
【0096】
メタ情報復元部0608は、各濃度パッチから復元したメタ情報について、ステップS1110で正しいデータであるか否かを検査する。このとき、各濃度パッチから復元したメタ情報が正しいデータであれば、当該濃度パッチでの画像濃度はメタ情報を復元可能な濃度であると判断する(ステップS1111)。
【0097】
一方、誤ったデータが復元された場合、画像解析部0606は、当該濃度パッチでの画像濃度では、メタ情報が復元不可能になる濃度であると判断する(ステップS1112)。
【0098】
全ての濃度パッチについて上記検査を行った結果(ステップS1109〜S1113)、画像解析部0606は、ステップS1114でメタ情報を正しく復元したパッチのうち最大濃度のパッチにおける濃度値を求める。そして、この濃度値を、選択された2値化処理に対応する、当該画像形成におけるメタ情報を復元可能な濃度閾値として、設定情報生成部0609は、これをステップS1115で設定・保持する。なお、ここで設定・保持される濃度閾値は、前述のステップS0705用いられる。
【0099】
上記の、パッチ画像の解析から濃度閾値の設定・保持までの一連の動作は、画像形成ごとに行われ(ステップS1109〜S1116)、決定された濃度閾値も各画像形成に対して設定・保持される。
【0100】
<LVBC検出ドット閾値(ステップS0715で用いられる閾値)>
一般に原稿に埋め込まれたメタ情報の復元に際して、全てのLVBCドットの検出は必要としない。これは、メタ情報画像をLVBCのドットとして原稿画像に合成する際に、冗長性を確保するようドットへの変換や、メタ情報を表すブロック単位でのドットパターンの繰り返しが行われるためである。
【0101】
しかしながら、原稿の画像濃度により印刷出力の制御を行う場合、原稿画像全体に印字されたLVBCドットのうち、どの程度のドットが正常に検出可能であれば、原稿に埋め込まれたメタ情報を正常に復元可能であるとみなせるかについて基準が必要となる。ここでは、全てのLVBCドットに対する、データの復元に必要である正常に検出可能なLVBCドットの割合として、閾値を設定する。この閾値の設定は、当該画像形成装置において、図12に示すような様々なパターンのパッチデータを出力し、これをスキャナで読み込み、メタ情報の復元を行った結果から決定を行う。
【0102】
図13は、上記パッチデータの例である。この図において、1301は一部のLVBCドットを検出不可能とするための妨害パターンである。これは画像中にランダムに挿入され、妨害パターンの割合により検出可能なLVBCドットの割合を変化させる。
【0103】
図13での各格子1302はメタ情報をあらわすブロックであり、メタ情報をドットに変換したものが繰り返している。1303に示すブロックに含まれるLVBCドットは、その妨害パターンによりドットの情報が正常に検出できず、メタ情報を復元(復号化)することができない。各ブロックにメタ情報が埋め込まれていることから、理論上は全てのブロックで情報が復元可能であることが望ましい。しかし、実際に原稿画像と合成される二次元バーコード(メタ情報を画像化して得られた画像)は誤り訂正符号を付加されているため、一定数以上のブロックで正常にデータの復元が行われればよい。なお、データ復元可能なブロック数は、画像形成装置の特性などから設計時に決定される。また、データ復元可能なブロック数を満たすパッチデータのうち、妨害パターンの割合が最も多く、検出可能なLVBCドットの割合がもっとも小さいパッチデータにおける検出可能なLVBCドットの割合が、正常なデータ復元に要求される閾値として設定される。
【0104】
<LVBC検出ドット閾値(正常なデータ復元に要求される閾値)の設定処理>
続いて、前述したLVBC検出ドット閾値の、設定処理について、その動作フローを図14を用いて説明する。
【0105】
はじめに、ステップS1401で、メタ情報の復元に必要な検出ドット割合の閾値を決定するために、パッチデータ生成部0613が、LVBCドットに対する妨害パターンを含んだ様々なパターンのパッチ画像を生成する。
【0106】
ここで、検出ドット閾値設定に用いるパッチ画像の一例を図15に示す。図15において、1501は、LVBCによるメタ情報画像を背景画像として合成する際の合成単位を示している。この単位のブロックが用紙全体にわたり繰り返し印字されることで、埋め込まれたメタ情報の復元のための冗長性が確保されている。また、図15における実線で示すグリッドは、LVBCドットの仮想グリッドを示す。このパッチ画像では、1502〜1504に示す妨害パターンを加えて、意図的にメタ情報の復元を妨げることで、メタ情報の復元において必要となる、メタ情報を表すLVBCドットの領域数を求める。妨害パターンは、LVBCの単位グリッドサイズのパターン(1502)からメタ情報の埋め込み単位(1504)まで、その大きさを1グリッドずつ拡大したものを用いる。そして、各妨害パターンを、メタ情報の埋め込み単位の中心に配置したものを、用紙全体にわたって繰り返し配置する。また、これらのパターンをランダムに組み合わせたものも用いる。
【0107】
次に、ステップS1402で、メタ情報画像生成部0615は、パッチ画像に合成するメタ情報画像を生成する。これは、各パッチにおいて、埋め込まれたメタ情報が復元可能であるか否かを判定するためのものである。
【0108】
次いで、ステップS1403で、画像合成部0603は、ステップS1402で生成したメタ情報画像とステップS1401で生成したパッチ画像とを合成する。
【0109】
この合成がなされた各パッチの出力画像は、印字部0605により、ステップS1404でそれぞれ1枚の出力用紙に印刷する。
【0110】
次に、ステップS1405で、画像読み取り部0601は、出力されたパッチ画像原稿の読み込み処理を行う。
【0111】
画像解析部0606は、読み込まれたパッチ画像を解析することで前述のLVBC検出ドット閾値を決定するが、その処理は以下のようになる。
【0112】
続くステップS1406で、画像解析部0606により、各パッチごとにメタ情報の解析・復元処理が行われる。
【0113】
さらに、ステップS1407で、メタ情報復元部0608が、各パッチに対するメタ情報復元処理において正しく復元できたメタ情報の領域数を求める。
【0114】
ステップS1408では、メタ情報復元部0608が、正常に復元できたメタ情報の領域数から、当該パッチがメタ情報を復元可能なパッチであるか判断する。
【0115】
設定情報生成部0609は、算出した復元可能領域数が、別途LVBCの仕様より定まる正常にメタ情報を復元するために必要な領域数を超える場合、当該パッチは、メタ情報を復元可能なパッチであるとして登録する(ステップS1409)。一方、正しく復元できたLVBCの領域数が、メタ情報を正常に復元するために必要な領域数以下の場合、当該パッチは、メタ情報を正しく(正常に)復元することができないパッチであるとして登録する(ステップS1410)。なお、正しく復元することができないことを復元不可能と表現することもある。
【0116】
設定情報生成部0609は、全てのパッチについて上記検査を行う(ステップS1406〜S1411)。その結果、メタ情報を正しく復元可能なパッチとして登録されたパッチのうち、妨害パターンの割合が最も多く、検出可能なLVBCドットの割合が最小のパッチにおける、検出可能なLVBCドットの割合を求める(ステップS1412)。
【0117】
そして、ステップS1413で、画像解析設定保持部0607は、この割合を、メタ情報の復元に必要なLVBC検出ドット閾値として、設定・保持する。
【0118】
[実施形態2]
次に、本発明の第2の実施形態について、図16を用いて説明する。
【0119】
図16は、本実施形態における画像合成部0302の動作を説明するフローチャートである。
【0120】
前述の実施形態1における画像合成部0302の動作は、単純にメタ情報と原稿の画像データとを合成するだけであったが、本実施形態では以下の点で改良されており、その詳細を説明する。
【0121】
はじめに、ステップS1601において、メタ情報画像がまだ背景画像として合成されていない画像データとメタ情報画像の合成を行う。
【0122】
続いて、ステップS1602において、ステップS1601で合成された合成画像に対して、縦横それぞれを規定のサイズをもつブロックにブロック領域分割を行う。例えばブロック領域としては縦32ドット、横32ドットといったサイズで分割する。ここで分割されたブロック領域の個数をnとする。
【0123】
次に、ステップS1603において、メタ情報が残存するブロック(メタ情報を読み取れるブロック)の個数を示す変数remainをnに設定する。以下からブロック毎の処理となる。
【0124】
ステップS1604において未解析のブロック領域をひとつ選択する。この選択方法としては、例えば、画像データに対して、左上の位置から右に1個ずつ選択していき、画像データの右端のブロック領域が選択済みであれば、一行下に移って、再度左から1行を順次選択する方法が挙げられる。
【0125】
次いで、ステップS1605において、当該ブロック領域の中のドット数をカウントする。ここでは、画像を縦横斜めの3方向からスキャンし、いずれの方向からもギャップが見つかったものをドットとしてカウントする。
【0126】
そして、ステップS1606の判断で、ステップS1605でカウントされたドットの個数がある閾値(例えば32ドット)を超えているか否か判断する。ここで超えていると判定された場合、当該ブロック領域にはメタ情報を表すLVBCドットの他に、ハーフトーンを構成するドットが数多くあると認識する。このようなブロック領域はメタ情報の復元が不能であるため、ステップS1607において変数remainを1だけ減ずる。
【0127】
次いで、ステップS1608において、未解析のブロック領域があるか調査し、あればステップS1604に戻り、そうでなければステップS1609に分岐する。
【0128】
ステップS1609では、remainが規定の最小復元ブロック数(メタ情報を復元するのに必要な最小のブロック数)を上回っているか比較する。このとき、remainが規定の最小復元ブロック数を上回っている場合には、ステップS1601で合成された画像データをそのまま採用する。そうでない場合にはステップS1610において、合成する前の画像データに対して縮小処理を行う。
【0129】
この縮小処理は、紙面に対して、メタ情報が残存する残存ブロック領域で最小復元ブロック数を上回る個数分が、画像データと重ならないように縮小する。画像縮小の処理については、最小近傍法、線形補間法など様々な既知のアルゴリズムが知られているが、本実施形態においては重要な位置を占めないので、説明を割愛する。
【0130】
最後に、ステップS1611において、縮小した画像データにメタ情報画像を合成して、この画像データを採用する。
【0131】
このように、縮小によって空いた空白領域に対してメタ情報画像が合成されるため、画像データに関係なく高い復元率を保障することが可能となる。
【0132】
[その他の実施形態]
なお、本発明の目的は、上述した実施形態で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がそのプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、コンピュータに、上述した実施形態の機能を実現させることになる。そのため、このプログラムコード及びプログラムコードを記憶/記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の一つを構成することになる。
【0133】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0134】
また、前述した実施形態の機能は、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって実現される。また、このプログラムの実行とは、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行う場合も含まれる。
【0135】
さらに、前述した実施形態の機能は、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによっても実現することもできる。この場合、まず、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行う。こうした機能拡張ボードや機能拡張ユニットによる処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の一実施形態である実施形態1におけるシステム全体の装置構成を示す図である。
【図2】メタ情報画像が背景画像として合成され印刷されたた原稿の一例を示すイメージ図である。
【図3】実施形態1の画像形成装置におけるメタ情報を含む画像の生成を示すデータフロー図である。
【図4】LVBCによるメタ情報として010111110011bというバイナリデータを埋め込む例を示す図である。
【図5】メタ情報を表すドットのブロックの繰り返し構造を示す図である。
【図6】実施形態1の画像形成装置における複写ジョブの際の原稿画像濃度に応じた印刷出力制御を説明するための図である。
【図7】実施形態1の画像形成装置における複写ジョブの際の原稿画像濃度に応じた印刷出力制御の動作フローを示すフローチャートである。
【図8】実施形態1におけるメタ情報の各ドットが印字される位置とその周辺画素の画像濃度に対して行われる検査について説明するための図である。
【図9】原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における画像濃度閾値設定のためのパッチデータの例を示す図である。
【図10】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における画像濃度閾値設定のパッチデータの例を示す図である。
【図11】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における画像濃度閾値の設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における検出ドット閾値設定の際用いられるパッチデータの例を示す図である。
【図13】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における検出ドット閾値設定の際用いられるパッチデータの例を示す図である。
【図14】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における検出ドット閾値の設定動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】実施形態1での原稿画像濃度に応じた印刷出力制御における検出ドット閾値設定に用いるパッチデータの一例を示す図である。
【図16】本発明の一実施形態である実施形態2における画像合成部の動作フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0137】
0111、0112 クライアントPC
0121 プリントサーバ
0131、0132 コピー機(画像形成装置)
0301 画像読み取り部
0302 画像合成部
0303 印字部
0304 ジョブ制限情報保持部
0305 メタ情報画像生成部
0601 画像読み取り部
0602 画像処理部
0603 画像合成部
0604 ハーフトーン処理部
0605 印字部
0606 画像解析部
0607 画像解析設定保持部
0608 メタ情報復元部
0609 設定情報生成部
0610 出力制御判断手段
0611 出力制御設定保持部
0612 ハーフトーン情報保持部
0613 パッチデータ生成部
0614 パッチデータ情報保持部
0615 メタ情報画像生成部
0616 メタ情報保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断する判断手段と、
前記判断手段で超えると判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止し、
前記判断手段で超えないと判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力する制御手段とを有することを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記二次元バーコードを構成するドットの夫々が含まれるブロック毎に原稿画像の濃度を算出して、その濃度が所定の閾値を超えるか否かにより、前記二次元バーコードが検出可能か否かを判断し、当該否と判断された場合には、前記判断手段で超えないと判断された場合であっても前記二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止することを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記二次元バーコードを構成するドットの中で検出不可能なドットの割合の算出し、その割合が一定割合を超える場合には、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判定される場合に、前記原稿画像の濃度を、前記二次元バーコードの情報が復元可能となる濃度に変換することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項5】
原稿画像の前記平均濃度は、二次元バーコードを構成する各ドットの周辺の画像の濃度であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項6】
原稿画像の濃度が閾値を超えるか判断する判断ステップと、
前記判断ステップで超えると判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止し、
前記判断ステップで超えないと判断された場合に、二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力する制御ステップとを有することを特徴とする画像出力装置の制御方法。
【請求項7】
前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードを構成するドットの夫々が含まれるブロック毎に原稿画像の濃度を算出して、その濃度が所定の閾値を超えるか否かにより、前記二次元バーコードが検出可能か否かを判断し、当該否と判断された場合には、前記判断手段で超えないと判断された場合であっても前記二次元バーコードと前記原稿画像とを合成して出力することを禁止することを特徴とする請求項6に記載の画像出力装置の制御方法。
【請求項8】
前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードを構成するドットの中で検出不可能なドットの割合の算出し、その割合が一定割合を超える場合には、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判断することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の画像出力装置の制御方法。
【請求項9】
前記制御ステップにおいて、前記二次元バーコードの情報が復元不可能であると判定される場合に、前記原稿画像の濃度を、前記二次元バーコードの情報が復元可能となる濃度に変換することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の画像出力装置の制御方法。
【請求項10】
原稿画像の前記平均濃度は、二次元バーコードを構成する各ドットの周辺の画像の濃度であることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれかに記載の画像出力装置の制御方法。
【請求項11】
請求項6から請求項10のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−246425(P2009−246425A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87253(P2008−87253)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】