説明

画像出力装置及びプログラム

【課題】印刷障害が再現されるように秘密情報が秘匿された障害データを生成して出力する画像出力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像出力装置10は、印刷データ受付部113により受付けた印刷データを画像出力部114により印刷し、印刷障害が生じた場合に、その印刷データに含まれるデータのデータ種別に対応する、記憶部116に記憶されている加工条件情報に基づいて、印刷データを加工して代替印刷データを生成し、画像出力部114によりその代替印刷データで印刷障害が再現するか検証し、印刷障害が再現された場合に、その代替印刷データを障害データとして障害データ出力部117から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷物をプリンタで印刷した際の印刷画質に不具合があった場合に、プリンタの利用者が、そのプリンタのメンテナンスサービスを行うメンテナンス業者へ印刷結果等のデータを送ると、メンテナンス業者により、そのデータに基づいて、印刷障害の原因を解析して印刷障害を除去するサービスが提供されている。
しかしながら、印刷障害の原因となった印刷物に秘密情報が含まれている場合には、印刷結果等のデータをメンテナンス業者へ送ることを利用者が希望しないことがある。下記特許文献1には、このような場合に、その印刷結果等のデータの代わりに、予め記憶されているテストパターンを送信する技術が開示されている。
また、下記特許文献2には、印刷処理速度の調査に際して、所定速度未満の印刷データに機密情報が含まれている場合に、その秘密情報を変換して非機密化された印刷データを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−166058号公報
【特許文献2】特開2009−039953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メンテナンス業者へ渡される印刷データは、秘密情報が秘匿された上で、印刷障害が再現できるものでなければ、印刷障害の原因解析を行うのは困難である。
本発明は、印刷障害が再現されるように秘密情報が秘匿された障害データを生成して出力する画像出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像出力装置は、入力された印刷データを印刷する画像出力手段と、前記画像出力手段による印刷が正常に行われなかった印刷データを取得する取得手段と、予め定めたデータ種別毎の加工条件を記憶する加工条件記憶手段と、前記取得手段により取得された前記印刷データ内の前記データ種別に対応する部分を特定し、特定した部分について前記加工条件記憶手段に記憶されている前記加工条件に従って、当該部分の印刷データを加工した代替印刷データを生成して前記画像出力手段に入力する代替印刷データ生成手段と、前記画像出力手段により印刷が正常に行われなかった前記代替印刷データを障害データとして出力する障害データ出力制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像出力装置は、請求項1の構成において、前記加工条件は、前記データ種別が文字である場合には、前記印刷データ中の前記文字を示す文字コードとは異なる文字コードに変換する条件と、前記データ種別が図形である場合は、前記印刷データ中の図形を示す座標位置を異なる座標位置に変換する条件と、前記データ種別が画像である場合には、前記印刷データ内の画像を印刷する際のデータ量を減じないように当該画像を変換する条件とを含み、前記代替印刷データ生成手段は、前記印刷データの前記各データ種別に対応する部分について、当該データ種別に応じた前記加工条件に従って加工し、加工した各部分の印刷データを合成することにより前記代替印刷データを生成することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像出力装置は、請求項2の構成において、前記加工条件記憶手段は、前記各データ種別の前記加工条件を前記印刷データに適用する優先順位を記憶し、前記代替印刷データ生成手段は、前記優先順位に従い、前記印刷データに前記加工条件を適用して前記代替印刷データを生成し、生成した前記代替印刷データが前記画像出力手段により正常に行われなかった場合には、適用された当該加工条件と、当該加工条件の次に順位づけられている前記加工条件を前記印刷データに適用し、新たな前記代替印刷データを生成することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像出力装置は、請求項2の構成において、前記加工条件記憶手段は、前記印刷データの加工の程度を示す加工レベル毎に前記加工条件を記憶し、前記加工レベルの指定を受付ける受付手段を備え、前記代替印刷データ生成手段は、前記受付手段により受付けられた前記加工レベルに対応する前記加工条件記憶手段に記憶された前記加工条件に基づいて、前記代替印刷データを生成することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係るプログラムは、入力された印刷データを印刷する画像出力手段と、予め定めたデータ種別毎の加工条件を記憶する加工条件記憶手段とを備えるコンピュータに、前記画像出力手段による印刷が正常に行われなかった印刷データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記印刷データ内の前記データ種別に対応する部分を特定し、特定した部分について前記加工条件記憶手段に記憶されている前記加工条件に従って当該部分の印刷データを加工した代替印刷データを生成し、前記画像出力手段に入力する代替印刷データ生成ステップと、前記画像出力手段により印刷が正常に行われなかった前記代替印刷データを障害データとして出力する障害データ出力制御ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、印刷データが正常に印刷されない場合、その印刷障害が再現されるように加工された障害データにより印刷障害の原因が解析されうる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、データ種別に応じて加工された代替印刷データが生成される。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、印刷障害の再現性が加工条件の優先順位に応じて段階的に検証される。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、利用者によって指定された加工レベルに応じて代替印刷データが生成される。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、印刷データが正常に印刷されない場合、その印刷障害が再現されるように加工された障害データにより印刷障害の原因が解析されうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態のシステム構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係る画像出力装置10のブロック図である。
【図3】実施形態における加工条件情報の例を示す図である。
【図4】(a)は、実施形態における文字データの加工処理例について説明する図である。(b)は、実施形態における図形データの加工処理例について説明する図である。(c)は、実施形態におけるビットマップ画像データの加工処理例について説明する図である。
【図5】実施形態における画像出力装置10の動作フロー図である。
【図6】実施形態における障害データ出力確認画面の例を示す図である。
【図7】変形例における加工レベル選択画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る画像出力装置について説明する。
<実施形態>
<構成>
図1は、本実施形態に係るシステム構成例を示している。本実施形態に係る画像出力装置10とホスト装置20とは、LAN(Local Area Network)等の通信手段を介して接続されている。ホスト装置20は、パーソナルコンピュータ等で構成されており、利用者は、ホスト装置20に搭載されている各種アプリケーションソフトウェアを実行させて、文字、図形、写真等の画像(以下、ビットマップ画像)を含む文書を作成する。そして、ホスト装置20は、作成された文書を印刷する指示を利用者から受付けた場合に、印刷が指示された文書のデータをページ記述言語(以下、PDL(Page Description Language)と言う)で記述された印刷データに変換し、その印刷データを通信手段を介して画像出力装置10へ送信する。
【0017】
画像出力装置10は、ホスト装置20から送信された印刷データを受信し、PDLで記述された印刷データを解釈して展開し、展開した印刷データを紙等の記録媒体にページ単位で印刷する通常モードと、印刷障害が生じた場合に、その印刷データに基づいて、印刷障害の再現が検証された障害データを生成する障害データ生成モードとを有する。この障害データ生成モードは、印刷障害が再現されるように、印刷障害の原因となる印刷データを予め定められた加工条件に従って変換し、その変換した印刷データを障害データとして出力するモードである。
なお、印刷障害とは、紙詰まり等の物理的原因によるものではなく、例えば、印刷データが印刷されない場合や、印刷データの通りに印刷結果が出力されないなど、印刷データが正常に印刷されない状態である。本実施形態においては、正常に印刷されない状態を示す印刷障害は、前者の印刷データが印刷されない場合を示すものとして説明する。
【0018】
以下、本実施形態に係る画像出力装置10の詳細について図2を用いて説明する。図2は、画像出力装置10のブロック図である。図示するように、画像出力装置10は、CPU(Central Processing Unit)110、ROM(Read Only Memory)111、RAM(Random Access Memory)112、印刷データ受付部113、画像出力部114、画像メモリ115、記憶部116、障害データ出力部117、受付部118、及び表示部119を含んで構成されている。
【0019】
CPU110は、ROM111に記憶されている制御プログラムを、RAM112をワークエリアとして実行することにより、代替印刷データ生成手段110aと障害データ出力制御手段110bの各機能を実現し、CPU110に接続されている各部を制御する。なお、ROM111には、制御プログラムのほか、PDLを解釈して画像出力装置10に対応する機械語に翻訳するための翻訳プログラムや、各文字コードに対応する文字が文字コードの順に配列された文字変換情報が記憶されている。
即ち、CPU110は、ROM111に記憶されている翻訳プログラムを実行してPDLで記述された印刷データを翻訳し、その印刷データを展開してラスタ画像に変換する。また、CPU110は、障害データ生成モードにおいて、印刷データに含まれる文字、図形、ビットマップ画像の各データ種別に応じた加工条件に従って印刷データを変換して代替印刷データを生成し、その代替印刷データを画像出力部114に送出して印刷障害の再現を検証する代替印刷データ生成手段110aとしての機能を実行する。また、CPU110は、印刷障害の再現が検証された代替印刷データを障害データとして、画像出力装置10に接続された記憶媒体や、画像出力装置10と通信接続された画像出力装置10のメンテナンス業者のサーバ等に出力する障害データ出力制御手段110bとしての機能を実行する。
【0020】
印刷データ受付部113は、ホスト装置20と通信を行うための通信インタフェースであり、ホスト装置20から印刷データを受信する。画像出力部114は、後述の画像メモリ115に記憶されるページ単位の印刷データの画像に対して階調補正などの画像処理を行い、Y(yellow)、M(magenta)、C(cyan)、K(黒)の画像データを生成し、電子写真方式により、画像データに従ってYMCKの各色のトナー像を形成して記録媒体に転写して出力する印刷処理を行う。また、画像出力部114は、印刷処理が正常に終了したか否かを示す情報を印刷処理後にCPU110へ出力する。
【0021】
画像メモリ115は、印刷データが展開されたラスタ画像データをページ毎に記憶する。記憶部116は、ハードディスク等の記憶媒体であり、代替印刷データを生成する際の加工条件の情報等が記憶されている。障害データ出力部117は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリーカード等の外部記憶媒体を接続するインタフェースや、メンテナンス業者のサーバ装置等の外部装置と接続する通信インタフェースを有し、CPU110の制御の下、送出された障害データを外部記憶媒体や外部装置に対して出力する。
【0022】
受付部118は、テンキーや矢印キー等の画像出力装置10を操作するための各種キーを含む操作パネルを備えており、ユーザから各種操作を受付け、受付けた各種操作を示す情報をCPU110へ送出する。表示部119は、液晶ディスプレイなどの表示デバイスを有しており、CPU110の制御の下、画像出力装置10を操作するためのメニュー画面や各種メッセージ画面等を表示する。
【0023】
<データ>
次に、画像出力装置10の記憶部116に記憶されているデータについて説明する。図3は、代替印刷データを生成する際に参照される加工条件情報の例を示している。図3に示すように、加工条件情報200は、データ種別毎に加工条件が対応付けられている。この加工条件は、各データ種別のデータの加工処理について既定されたアルゴリズムが記述されたプログラムを示す情報である。
【0024】
この例において、データ種別が文字データである場合には、加工処理Aのプログラムを実行して印刷データ内の文字データを変換する。加工処理Aの例として、例えば、図4(a)に示すように、印刷データ中に“明日の・・・”の文字列が含まれており、PDLで記述された印刷データにこれらの各文字を示す文字コード、書体、色等のパラメータが含まれている場合、CPU110は、ROM111に記憶されている文字変換情報に基づいて、“明”の文字を示す文字コード“4C40”を、この文字コードの次に配列されている文字コード“4C41”に対応する”盟“の文字に変換する等、変換前の文字コードとは異なる文字コードに変換する。なお、加工処理Aには、まず、印刷データ中の文字列の一部、例えば、一文字おきに文字コードを変換する加工条件や、その加工条件で加工された代替印刷データで印刷障害が再現できなければ、全文字データの文字コードを変換する加工条件など、文字コードを変換するための複数の加工条件が設定されていてもよい。
このように、上記例示した文字データの加工処理においては、文字列の長さ、書体、色等の属性については変換せずに文字コードだけが変換され、変換後の文字データが流出しても元の印刷データの内容が認識されにくい。
【0025】
次に、データ種別が図形データである場合には、加工処理Bのプログラムを実行して、印刷データ内の図形データの座標を予め定めた座標変換条件に従って変換する。例えば、PDLで記述された印刷データにベジエ曲線を示すパラメータとして点座標や関数、線種、線幅、色等の属性情報が含まれている場合、CPU110は、図4(b)に示すように、元の印刷データ中の点座標と関数に基づいて演算された実線のベジエ曲線50を求める。そして、ベジエ曲線50上の点(P0〜P3)のうち、例えば、ランダムに選択したP2(X2,Y2)のX座標を、予め定めた値だけ増減させる等の座標変換条件に従ってP2a(X2a,Y2)に変換し、変換したP2aを通る破線の曲線51に元のベジエ曲線50を変換する。
【0026】
なお、上記の例ではベジエ曲線を用いて説明したが、これ以外の各種図形に対して上記と同様の加工処理を行うようにしてもよいし、図形の種類に応じて加工処理を施すようにしてもよい。また、図形上の一部又は全部の座標を座標変換条件に応じて変換するなど、複数の加工条件が加工処理Bに設定されていてもよい。
このように、印刷データに含まれる図形データを示す座標だけを変換することにより、元の図形データの線種、線幅、色等の属性が維持された状態で、元の図形とは異なる図形が描画される。
【0027】
次に、データ種別がビットマップ画像データである場合の加工処理Cについて説明する。加工処理Cは、バッファオーバーフローによる印刷障害を再現するため、印刷データ中のビットマップ画像データを展開した際のデータ量が減じないように、元のビットマップ画像データに予め定めた画像データを付加したり、予め定められた画像データに変換する等の加工条件が設定されている。
例えば、本実施形態では、図4(c)に示すように、加工処理Cにより、変換前のビットマップ画像60に、予め定めたモザイク画像61aが重ねられて合成されたビットマップ画像61が生成される。なお、ビットマップ画像データを変換する際には、展開時のデータ量を維持した状態で、変換前のビットマップ画像データの色空間等の属性情報を変換しないように別の画像データに変換するなどの加工条件が設定されていてもよい。このように、元のビットマップ画像データを展開した際のメモリ量を減じずに変換することで、バッファオーバーフローによる印刷障害の再現の検証が行いやすくなり、元のビットマップ画像データに含まれている人物等の秘密情報が秘匿される。
【0028】
<動作>
次に、本実施形態に係る画像出力装置10の動作について説明する。図5は、画像出力装置10の動作フロー図である。ステップS10において、画像出力装置10のCPU110は、ホスト装置20から印刷データ受付部113を介してPDLで記述された印刷データをページ単位に取得してRAM112に記憶する。そして、CPU110は、ROM111に記憶されている翻訳プログラムを実行し、RAM112に記憶されている印刷データを翻訳して展開し、展開したラスタ画像データを画像メモリ115へ順次送出する。そして、画像メモリ115に送出されたラスタ画像データは、画像出力部114により順次読み出されて印刷処理される(ステップS11)。なお、本実施形態では、CPU110は、PDLで記述された印刷データを翻訳した中間言語の印刷データをページ単位にRAM112に記憶し、その印刷データが正常に印刷された際にRAM112から消去する。
【0029】
CPU110は、画像出力部114により印刷処理が正常に行われたことを示す情報を受付けた場合(ステップS12:NO)、即ち、印刷データが印刷されて印刷障害が生じなかった場合には処理を終了する。また、CPU110は、画像出力部114により、印刷データが印刷されず、印刷処理が正常に終了しなかったことを示す情報と、印刷障害を生じさせた印刷データの情報を受付けた場合には(ステップS12:YES)、通常モードから障害データ生成モードへ移行し、印刷障害の原因となった印刷データに対応する翻訳された印刷データをRAM112から読み出し(ステップS13)、印刷データに含まれるデータのデータ種別に応じて加工処理を行う(ステップS14)。
【0030】
ステップS14において、データ種別が文字データであるデータに対し、CPU110は、記憶部116から加工条件情報200を読み出し、文字データに対応する加工処理Aのプログラムを実行する。即ち、CPU110は、ROM111に記憶されている文字変換情報を参照し、予め定められている文字コードを変換するための加工条件に従って、印刷データ中の文字コードを他の文字コードに変換する(ステップS15)。
【0031】
ステップS14において、データ種別が図形データであるデータに対しては、CPU110は、加工条件情報200に基づいて、図形データに対応する加工処理Bのプログラムを実行する。即ち、CPU110は、各図形を示すパラメータや関数に基づいて求めた図形上の座標を、予め定められた座標を変換するための加工条件に従って変換する(ステップS16)。
【0032】
また、ステップS14において、データ種別がビットマップ画像データであるデータに対し、CPU110は、加工条件情報200に基づいて、ビットマップ画像データに対応する加工処理Cのプログラムを実行する。即ち、CPU110は、画像データを変換する予め定められた加工条件に従い、印刷データ中の各ビットマップ画像データと、予め定められている画像データとを合成して元のビットマップ画像データを変換する(ステップS17)。
【0033】
CPU110は、1ページの印刷データについてステップS15〜S17の各加工処理を行った場合(ステップS18:YES)、各加工処理によって変換されたデータを合成して1ページの代替印刷データを生成し、画像メモリ115へ送出して画像出力部114により印刷を行う(ステップS19)。なお、1ページの印刷データについてステップS15〜17の各変換処理が行われるまではステップS15〜17の各加工処理を繰り返し行う(ステップS18:NO)。
【0034】
CPU110は、画像出力部114により画像メモリ115に記憶された代替印刷データが正常に印刷されたことを示す情報を受付けた場合には(ステップS20:NO)、ステップS14に戻り、各データ種別に応じた加工処理を行う。また、代替印刷データが正常に印刷されなかったことを示す情報を受付けた場合には(ステップS20:YES)、CPU110は、図6に示すように、その代替印刷データのラスタ画像119a、障害データとして出力するか否かのメッセージ119b、及び障害データとして出力するか否かを選択するための選択ボタン119cを含む障害データ出力確認画面を表示部119に表示し、出力するか否かを選択する操作を利用者から受付ける(ステップS21)。
【0035】
利用者が受付部118を介して障害データとして出力する旨の選択操作を行った場合には(ステップS21:YES)、CPU110は、その代替印刷データを障害データ出力部117へ送出し、その代替印刷データを障害データとして、障害データ出力部117に接続された記憶媒体又は外部装置へ出力する(ステップS22)。また、利用者が受付部118を介して障害データとして出力しない旨の選択操作を行った場合には(ステップS21:NO)、CPU110は、画像メモリ115から代替印刷データを消去して処理を終了する。
【0036】
本実施形態では、データ種別に応じて印刷データを加工して代替印刷データを生成し、印刷障害の再現を検証する例について説明した。これにより、印刷データが印刷されない場合の印刷障害が発生して障害データをメンテナンス業者に送った場合でも、元の印刷データの内容は秘匿されており、障害データにより印刷障害の原因がメンテナンス業者に解析される。
【0037】
<変形例>
以下、本発明の変形例について説明する。
(1)上述した実施形態では、予め定められた加工条件に従って印刷データ内のデータ種別について、データ種別毎の加工処理を行い、代替印刷データを生成して印刷障害の再現を検証する例であったが、ユーザが印刷データの加工レベルを選択し、選択した加工レベルに対応する加工条件に従って代替印刷データを生成するようにしてもよい。
例えば、この場合、通常モードでの印刷処理が正常に終了しなかった場合に、図7に示す加工レベル選択画面を表示部119に表示する。図7の例では、加工レベルが「高」に近づくほど元の印刷データの画像とは異なる画像に変換する。例えば、加工レベルが「高」の場合には、全データ種別の全データについて予め定められた加工処理を行う加工条件を設定し、加工レベルが「低」の場合には、データ種別が文字データである一部のデータについて加工処理を行う加工条件を設定するなど、加工レベルに応じて、加工対象となるデータ種別、加工するデータの範囲、加工内容を定めた加工条件を設定しておく。図7の例において、利用者が、受付部118を介して図7の119dに示す加工レベルを選択する操作子を動かした場合、CPU110は、操作子119dの位置が示す加工レベルに対応する加工条件に従って印刷データを変換し、変換した代替印刷データのラスタ画像119aを実施形態と同様に表示する。そして、利用者により、表示されたラスタ画像119aで印刷障害の再現を検証することを指示する「次へ」119eのボタンが選択された場合には、実施形態と同様、その代替印刷データを画像メモリ115に送出し、印刷障害が再現するか否か試行する。なお、印刷障害が再現しなかった場合には、CPU110は、再度、図7の加工レベル選択画面を表示し、上記と同様、利用者により加工レベルを選択し、印刷障害が再現するまで代替印刷データの生成と印刷障害の再現の検証を繰り返し行うようにする。
【0038】
(2)上述した実施形態では、全データ種別に対して各々の加工条件を適用する例であったが、加工処理を行うデータ種別の優先順位を予め設定し、優先順に加工したデータを他のデータと合成して代替印刷データを生成し、印刷障害の再現を行うようにしてもよい。例えば、文字データ→ビットマップ画像データ→図形データの順に加工処理の優先順位を設定する場合、まず、CPU110は、印刷データ中の文字データを、文字データに対応する加工条件に従って変換し、変換した文字データと他のデータ種別、即ち、印刷データに含まれている未加工のビットマップ画像データ及び図形データとを合成して第1次代替印刷データを生成する。そして、CPU110は、第1次代替印刷データを用いて画像出力部114により印刷処理を行い、印刷障害が再現するか試行する。CPU110は、印刷障害が再現された場合には、その第1次代替印刷データを障害データとして出力し、印刷障害が再現されなかった場合には、文字データとビットマップ画像データの各加工条件に従って各々のデータを加工処理し、加工処理された文字データとビットマップ画像データ、印刷データ中の未加工の図形データを合成して第2次代替印刷データを生成する。そして、CPU110は、第2次代替印刷データを用いて印刷障害の再現を試行し、第2次代替印刷データで印刷障害が再現された場合には、第2次代替印刷データを障害データとして出力し、印刷障害が再現されなかった場合には、文字データとビットマップ画像データに加えて、図形データについても各々加工処理を行って第3次代替印刷データを生成し、第3次代替印刷データについて印刷障害の再現を検証する。
【0039】
(3)上述した実施形態では、障害データは、画像出力装置10に接続された記憶媒体や、画像出力装置10と通信接続された外部装置又は外部記憶媒体に逐次出力される例であったが、CPU110は、画像出力装置10の記憶部116に障害データを記憶し、予め定めた期間単位や、予め定めた障害データの数の単位で記憶部116に記憶された障害データを外部装置に対して出力するようにしてもよい。
【0040】
(4)上述した実施形態では、印刷データが出力されない場合の印刷障害が生じたときに、画像出力装置10において障害データ生成モードに移行し、代替印刷データの生成及び印刷障害の検証を行う例について説明したが、この印刷障害が生じたときに、障害データを生成する指示を受付けて障害データ生成モードに移行してもよい。この場合には、画像出力装置10の受付部118に、印刷障害の発生原因となった印刷データを示す情報と、その印刷データについて障害データの生成を指示するスイッチ等を予め設定しておく。そして、利用者によりそのスイッチ操作がなされた場合に、CPU110は、指示された印刷データをRAM112から読み出し、実施形態と同様に、代替印刷データの生成及び印刷障害の検証を行うようにする。
【0041】
(5)上述した実施形態では、印刷が正常に行われなかった状態の例として、印刷データが出力されない場合の印刷障害について説明したが、印刷データの通りに印刷結果が出力されなかった場合の印刷障害の場合には、利用者が印刷結果を確認した際に、上記変形例(4)と同様、障害データの生成を指示する操作を行うことにより、障害データ生成モードに移行されるようにしてもよい。
【0042】
(6)上述した実施形態では、印刷データ内の全データ種別に対して各々の加工条件を適用する例であったが、利用者が印刷データを加工するデータ種別を指定できるように構成してもよい。この場合には、CPU110は、障害データ生成モード時に印刷データを加工するデータ種別を選択する選択画面を表示部119に表示し、利用者によって選択されたデータ種別に対応する加工条件を記憶部116から読み出し、その加工条件を印刷データに適用して代替印刷データを生成するようにする。
【0043】
(7)上述した実施形態では、印刷が正常に終了されるまで、PDLで記述された印刷データが翻訳された印刷データをRAM112に記憶し、障害データ生成モードにおいて、その翻訳された印刷データを用いる例を説明したが、CPU110は、翻訳前のPDLで記述された印刷データをRAM112に記憶し、障害データ生成モードにおいて、再度、そのRAM112に記憶されている印刷データを読み出し、翻訳プログラムを用いて翻訳するようにしてもよい。
【0044】
(8)実施形態におけるCPU110によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて画像出力装置10にダウンロードさせることも可能である。
【符号の説明】
【0045】
10・・・画像出力装置、20・・・ホスト装置、110・・・CPU、111・・・ROM、112・・・RAM、113・・・印刷データ受付部、114・・・画像出力部、115・・・画像メモリ、116・・・記憶部、117・・・障害データ出力部、118・・・受付部、119・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された印刷データを印刷する画像出力手段と、
前記画像出力手段による印刷が正常に行われなかった印刷データを取得する取得手段と、
予め定めたデータ種別毎の加工条件を記憶する加工条件記憶手段と、
前記取得手段により取得された前記印刷データ内の前記データ種別に対応する部分を特定し、特定した部分について前記加工条件記憶手段に記憶されている前記加工条件に従って、当該部分の印刷データを加工した代替印刷データを生成して前記画像出力手段に入力する代替印刷データ生成手段と、
前記画像出力手段により印刷が正常に行われなかった前記代替印刷データを障害データとして出力する障害データ出力制御手段と
を備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記加工条件は、前記データ種別が文字である場合には、前記印刷データ中の前記文字を示す文字コードとは異なる文字コードに変換する条件と、前記データ種別が図形である場合は、前記印刷データ中の図形を示す座標位置を異なる座標位置に変換する条件と、前記データ種別が画像である場合には、前記印刷データ内の画像を印刷する際のデータ量を減じないように当該画像を変換する条件とを含み、
前記代替印刷データ生成手段は、前記印刷データの前記各データ種別に対応する部分について、当該データ種別に応じた前記加工条件に従って加工し、加工した各部分の印刷データを合成することにより前記代替印刷データを生成することを特徴とする請求項1記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記加工条件記憶手段は、前記各データ種別の前記加工条件を前記印刷データに適用する優先順位を記憶し、
前記代替印刷データ生成手段は、前記優先順位に従い、前記印刷データに前記加工条件を適用して前記代替印刷データを生成し、生成した前記代替印刷データが前記画像出力手段により正常に行われなかった場合には、適用された当該加工条件と、当該加工条件の次に順位づけられている前記加工条件を前記印刷データに適用し、新たな前記代替印刷データを生成することを特徴とする請求項2記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記加工条件記憶手段は、前記印刷データの加工の程度を示す加工レベル毎に前記加工条件を記憶し、
前記加工レベルの指定を受付ける受付手段を備え、
前記代替印刷データ生成手段は、前記受付手段により受付けられた前記加工レベルに対応する前記加工条件記憶手段に記憶された前記加工条件に基づいて、前記代替印刷データを生成することを特徴とする請求項2記載の画像出力装置。
【請求項5】
入力された印刷データを印刷する画像出力手段と、予め定めたデータ種別毎の加工条件を記憶する加工条件記憶手段とを備えるコンピュータに、
前記画像出力手段による印刷が正常に行われなかった印刷データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された前記印刷データ内の前記データ種別に対応する部分を特定し、特定した部分について前記加工条件記憶手段に記憶されている前記加工条件に従って当該部分の印刷データを加工した代替印刷データを生成し、前記画像出力手段に入力する代替印刷データ生成ステップと、
前記画像出力手段により印刷が正常に行われなかった前記代替印刷データを障害データとして出力する障害データ出力制御ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−269498(P2010−269498A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122458(P2009−122458)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】