説明

画像化システム

画像化装置は、画像化されるべき目標の一連の要素画像を取得するために動作可能な取得装置と、複数の出力画像を発生するよう動作可能な画像発生器と、を備え、画像発生器は、2つまたは3つ以上の要素画像の対応のサブセットからそれぞれの出力画像を発生するよう動作可能であり、取得装置は、1つのサブセットの要素画像が、一連の要素画像における他のサブセットの要素画像でインターリービングされるように、要素画像を取得するよう動作可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像化装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目標(例えば生物学的サンプル)の一組の画像を取得するために画像取得装置を用いること、並びに、次に、該取得された画像を比較する及び/または結合して、目標に関する情報を推論し、及び/または推論された情報の正確さ/信頼性を改善することが良く知られている。画像を取得するための条件は、例えば、(i)取得装置の露出時間を変えることによって、または、(ii)目標を照射することと画像を取得することとの間の遅延時間を変えることによって、または、(iii)例えば、波長レシオメトリック(ratiometric)画像を提供するために、または偏波異方性を画像化するために、異なった光学フィルタを通して画像を取得することによって、画像ごとに変えられ得る。
【0003】
このような画像化の例は、蛍光性寿命画像化(FLIM)において生じ、これにおいて、目標には、ある特性の寿命を有する目標の領域を識別するために用いられ得る蛍光性分子が与えられる。光学画像化技術は、次に、蛍光体の寿命のマップを生成するために用いられ得る。例示的なFLIM装置は、目標が、高周波の反復的にパルス化されたレーザのような変調された光源で照射されることと関連する。結果の蛍光性信号は、例えば、反復照射の期間よりも短い露出時間で反復的にトリガされるカメラによって取得される。異なった画像が、照射のパルスに続く、異なった遅延時間において取得される。目標の照射に対する蛍光性信号の時間依存性が次に分析される。蛍光性信号の時間依存性の分析は、目標の結果の画像に強調されたコントラストを提供し得る。この技術は、例えば、生物的画像化において特に有用である。
【0004】
このような時間依存性分析は、時間または周波数領域において行われ得る。しかしながら、一般に、双方のスキームは、変調された光源および変調された検出器を用い、2つまたはそれ以上の画像が、変調された光源による照射と変調された検出器による取得との間のタイミングを変化させつつ取得される。変調された光源による照射のタイミングと変調された検出器による取得との間の関係は、光源及び検出器の「位相」と称されるであろう。
【0005】
多くの応用において、異なった位相及び露出時間を有する一組の画像、例えば、4つの画像を取得することが望ましい。動作のぼやけまたはぶれ(例えばターゲットが静止していないならば)の可能性及び影響を減じるためにできるだけ早くこれを行うことが好ましい。このことは、互いに対する順次画像の相対変位が、目標上の同じ領域に対応しない引き続くフレームのピクセルに帰結して、引き続く分析での問題を引き起こしえるので、重要である。他の適用においては、画像獲得時間に匹敵し得る時間目盛り上で、サンプルの漂白または照射信号の電力における変化も、引き続く分析におけるエラーに導き得る。
【0006】
従って、照射に関して異なった遅延で露出される一組の画像を取得することが望ましく、それにおいて、1つの画像から次の画像にできる限り対象状態の変動を少なくして、画像が取得される。各々が異なった位相で変調される(取得装置の例としての)幾つかのイメージ増強管(image intensifiers)が、一組の画像を同時に取得するために用いられるということが提案されてきた。このことは、正確な差動測定を行うために異なった光電陰極を平衡させるという困難さをもたらす。それは、また、多数のゲーティングされたイメージ増強管を用いることに起因して、一層高価でもある。さらに、それは、増強管の各々の間で蛍光を分担するために光スプリッタを必要とする。他では、単一の検出器上に異なった画像チャンネルを分割して遅延させることが提案されている。しかしながら、これは、複雑な光学器を必要とし、多数のゲーティングされたイメージ増強管のかなりの価格を回避するにもかかわらず、視野を減じる。現在採用されている方法は、種々の遅延において各々が1つずつ取得される一連の画像を取得するために、単一の変調されたイメージ増強管及び電子カメラを用いることである。非常に明るい信号の存在においてさえ、及び非常に迅速な位相切り替えの能力でもってさえ、このようなシステムが異なった位相で一組のN個の画像を取得することができる最短の時間は、電子カメラの読み出し時間にNを乗算することによって与えられる。代表的には、この読み出し時間は、ミリ秒の数十倍程度のものであり、この時間は、1秒のかなりの分数である獲得時間に導く。画像化されている目標が、この時間中に移動するならば、次に、得られた画像の組は整列しないであろうし、任意の引き続く画像分析を一層困難なものとし、及び/または一層有用でないものとする。
【0007】
他の適用に対しては、画像の組は、照射源及び取得装置の位相以外の取得条件を変えることによって形成され得るということが理解されるであろう。例えば、取得されるべきである偏光及び/または取得されるべきである周波数(波長)の範囲を変えることによって画像の組を取得することが可能である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
画像化されるべき目標の一連の要素画像を取得するために動作可能な取得装置と、
複数の出力画像を発生するよう動作可能な画像発生器と、
を備え、画像発生器は、2つまたは3つ以上の要素画像の対応のサブセットからそれぞれの出力画像を発生するよう動作可能であり、取得装置は、1つのサブセットの要素画像が、一連の要素画像における他のサブセットの要素画像でインターリービングされるように、要素画像を取得するよう動作可能である、画像化装置が提供される。
【0009】
本発明の実施形態は、一連の要素画像を取得し、これらの要素画像の組合せ(もしくは一体化または記録)として一組の出力画像を形成する。1つの出力画像を発生するために用いられる要素画像は、他の出力画像を発生するために用いられる要素画像でインターリービングされる。従って、各出力画像は、各出力画像を1つずつ取得するのではなく、実質的に同じ取得期間に渡って取得される。従って、画像化されるべき目標が静止していないならば、移動の影響は、すべての出力画像に対して実質的に同じである、すなわち、要素画像は実質的に整列されたままである。このことは、出力画像に基づいて行われる任意の引き続く分析の品質を改善する利点を有する。サンプルが照射強度における揺動または光退色を呈する状況においては、インターリービングされた要素画像はこのような変動を一層等しく経験し、このことは、引き続く分析へのこのような変動の有害な衝撃を減少する。
【0010】
本発明の実施形態は、任意のインターリービングされたパターンに従ってインターリービングされた要素画像のそれぞれのサブセットから出力画像を発生し得る。しかしながら、本発明の好適な実施形態においては、Nの出力画像がある場合には、次に、各出力画像ごとに、要素画像の対応のサブセットが一連の要素画像においてNの離間した要素画像を含む。このようなインターリービングされたパターンは、画像化されている目標の任意の移動が出力画像を横切って一層等しく配分されるようになるのを確実にするのを助ける。規則的でないインターリービング・パターンが用いられる場合には、次に、一層明白な移動アーチファクトが出力画像内に存在しそうであり、このことは、引き続く分析の値/正確さを潜在的に減少し得る。
【0011】
本発明の実施形態は、目標の画像が取得され得る種々の状態を提供し得るが、本発明の好適な実施形態は、1つまたは複数の光のパルスで画像化されるべき目標を照射するよう動作可能な光パルス発生器と、光のパルスに続く所定の遅延時間において取得装置が光を取得するように取得装置上に入射する光を変調するよう動作可能な光変調器と、を備え、要素画像の異なったサブセットは、異なった所定の遅延時間を有する。光パルス発生器と光変調器との組み合わされた使用は、画像化装置が、光源照射及び光検出器の異なった位相を有する出力画像を発生するのを可能とする。このことは、例えば、FLIMのような時間分解される画像化において特に有用である。
【0012】
本発明の実施形態は、光パルス発生器の単一のパルスからの光から出力画像を発生し得るが、本発明の好適な実施形態は、光パルスの所定の数をスパンする時間期間に渡って要素画像を取得し、光パルスの所定の数は、取得されている要素画像が属しているサブセットに依存している。多くの適用において、単一の光パルスから画像化装置によって受信された光の強度は、充分な解像度の要素画像を発生するためには不充分である。複数の光パルスの期間に渡って要素画像を取得することにより、一層高い品質の要素画像が達成され得る。
【0013】
画像化装置に入射する光の強度は、光パルス発生器からのパルスに続く時間に渡って変化し得るので、異なった位相において取得された要素画像(従って、出力画像)は、異なった信号レベルを有し得る。従って、本発明の好適な実施形態においては、要素画像のサブセットに対応する光パルスの所定の数は、対応の所定の遅延時間に依存する。さらに、画像化装置に入射する光の強度は、光のパルスに続く時間において減少することが予想されるので、本発明の好適な実施形態においては、一層大きい対応の所定の遅延時間を有する要素画像のサブセットは、光パルスの一層大きい対応の所定の数を有する。所定の遅延時間への光パルスの所定数のこのような従属性は、異なった位相に対する要素画像が、異なった取得期間に渡って取得されるのを可能とし、これにより、異なった位相に対する要素画像を横切る信号レベルが実質的にバランスされるのを可能とする。
【0014】
さらに、本発明の好適な実施形態は、所定の遅延時間及び光パルスの所定の数に従って、取得装置と光パルス発生器とを同期させるよう動作可能なタイミング制御器を備える。このようなタイミング制御器は、光パルス及び画像取得がタイミング制御器によって同期化されかつ制御されるので、画像化装置によって発生される出力画像の位相が一層正確であるのを確実にする。
【0015】
本発明の実施形態は、任意の所定の遅延時間を使用し得るけれども、本発明の好適な実施形態は、ユーザからの入力を受信するよう動作可能であり、かつユーザからの入力に従って要素画像の1つまたは複数のサブセットに対する所定の遅延時間を設定するよう動作可能である遅延時間入力装置を含む。このような分けで、画像化装置は、一層特定の位相が取得されるのを許容することにより、一層柔軟かつ有用となる。
【0016】
さらに、本発明の好適な実施形態は、ユーザからの入力を受信するよう動作可能であり、かつユーザからの入力に従って要素画像の1つまたは複数のサブセットに対する光パルスの所定の数を設定するよう動作可能であるパルス数入力装置を含む。このような分けで、画像化装置は、一層特定のパルス数(すなわち、取得期間)が特定されるのを許容することにより、一層柔軟かつ有用となる。
【0017】
本発明の実施形態は、多くの異なった方法で出力画像を発生し得るけれども、本発明の好適な実施形態においては、取得装置は複数の画像記憶を含み、画像発生器は対応の画像記憶における各出力画像を発生し、取得装置は、取得されている要素画像が属しているサブセットに依存して画像記憶間でスイッチングするよう動作可能である。このような好適な実施形態は、要素画像が他のどこかの記憶のために画像化装置から読み出される必要が無いので(要素画像が寄与する各出力画像ごとに1つの複数の記憶を画像化装置が有しているので)、一層高速の画像取得を提供する。
【0018】
本発明の実施形態は、種々の方法で画像記憶を実現し得る。しかしながら、本発明の好適な実施形態においては、画像記憶は異なったカメラに対応し、このことは、比較的単純な画像化装置の構成設計を為す。代替的な好適な実施形態においては、取得装置は電荷結合素子(CCD)アレイを含み、画像記憶は、画像化装置から読み出されるべき画像の異なったピクセル領域に対応し、好ましくは、画像化装置から読み出されるべき画像のピクセルのインターリービングされた行または列に対応する。このことは、単一のCCD取得装置を用いることの利点を有し、(カメラから読み出される1つの画像の形態で)複数の画像記憶を同時に読み出すための標準技術の使用を許容する。ピクセルのインターリービングされた行または列として画像を記憶させることは、一層単純な設計を許容する。
【0019】
本発明の実施形態は、単一のセットの出力画像を発生するように配列され得るけれども、本発明の好適な実施形態は、出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを発生するよう動作可能であり、かつ1つまたは2つ以上のビデオ・シーケンスとして出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを出力するよう動作可能である。このような好適な実施形態は、例えば実時間FLIMビデオを提供し得、このことは、画像化されている目標の分析を改善し得る。
【0020】
さらに、本発明の好適な実施形態は、少なくとも2つの出力画像を比較するよう動作可能であり、かつ該比較から、画像化された目標の特性を決定するよう動作可能である画像分析器を備え、それにより、時間分解される分析、スペクトル分解される分析、並びに偏波分解される分析のような分析が行われるのを許容する。
【0021】
本発明のもう1つの態様によれば、画像化する方法であって、
画像化されるべき目標の要素画像のシーケンスを取得するステップと、
2つまたは3つ以上の要素画像の対応のサブセットから複数の出力画像を発生するステップと、
を備え、要素画像は、1つのサブセットの要素画像が、要素画像のシーケンスにおける他のサブセットの要素画像でもってインターリービングされるように取得される、画像化する方法が提供される。
【0022】
以下に、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施形態をFLIMを参照して説明する。しかしながら、本発明の実施形態は、その例を以後説明する他の分野の画像分析にも適用され得ることが理解されるであろう。
【0024】
図1は、画像システムを概略的に示す。パルス化された光源1は、画像化されるべきである目標対象2を照射する。目標対象2は、FLIMにとって適切である対象である(例えば、示されていない蛍光体が目標対象2に導入されてきた)。入力光学素子3は、レンズ3a及びフィルタ3bを備える。レンズ3aは、目標対象2の画像を形成し、フィルタ3bは、パルス化された光源から散乱されたもとの照射を拒絶するが、蛍光は通す(それは、異なった波長においてである)。この実施形態においては変調されたイメージ増強管である変調された光検出器4は、入力光学素子3を通して透過する蛍光によって形成される画像を検出する。変調された光検出器4の変調は、後で一層詳細に説明されるであろう。電子カメラ5は、パルス化された光源1からの照射の幾つかのパルスをスパンされた(span)ものであって良い、限定された期間の間変調された光検出器4によって検出される画像を一体化(記録)する。電子カメラ5は、受信された光信号を幾つかの画像記憶(メモリもしくは記憶装置)の1つに一体化(integrate: 記録)するための手段を含む。このようなものとして、異なった目的先画像記憶(メモリ)が、変調された光検出器4の現在の変調パターンに従って用いられ得る。このことは、後で一層詳細に説明されるであろう。変調された光検出器4は、プログラム可能なトリガ・シーケンサ7によってトリガされる駆動電子機器6によって駆動される。同期信号8は、パルス化された光源1とトリガ・シーケンサ7とを同期化させる。一実施形態において、パルス化された光源1は、同期信号8を発生し、トリガ・シーケンサ7は、同期信号8に応答する。代替的実施形態においては、トリガ・シーケンサ7が同期信号8を発生し、パルス化された光源1が同期信号8に応答する。さらにもう一つの実施形態においては、同期信号8は、外部手段(図示せず)によって発生され、パルス化された光源1及びトリガ・シーケンサ7の双方が同期信号8に応答する。この方法で、パルス化された光源1及び変調された光検出器4の異なった位相が達成され得る。トリガ・シーケンサ7は、ホスト・コンピュータ9によってプログラムされる。
【0025】
図2は、多数の記憶(メモリ)がある循環集積(循環記録)電子カメラの例を概略的に示しており、多数のメモリ間で、変調された光検出器4によって検出された画像が循環され得る。4つの従来の電子カメラ(もしくは画像メモリ)10a、10b、10c、及び10dは、回転するシャッタ輪12によってシャッタを切られる複数の画像面を有する。4つの結合レンズ14a、14b、14c、及び14dは、それぞれの電子カメラ10a、10b、10c、及び10dに、変調された光検出器(イメージ増強管)4の後部上の蛍光体16の類似視野を提供する。この方法で、電子カメラ10a、10b、10c、または10dの1つは、現在活動している画像記憶(メモリ)として作用し、以下で一層詳細するように、与えられた期間の間それが受信する光を一体化(記録)することができる。
【0026】
4つの電子カメラ10a、10b、10c、及び10dが電子カメラ5の画像メモリを構成するものとして示されたけれども、それよりも多いまたは少ないカメラが、獲得されるために必要な画像の数に依存して異なった実施形態において用いられ得ることが理解されるであろう。
【0027】
獲得期間の開始において、変調パターンが変調された検出器4のために創設されて、パルス化された光源1に対して、特定の位相Paにおいて目標2からの光をサンプリングする。第1の画像記憶10aは、シャッタ輪12の適切な回転によって活性化される。変調された光検出器4からの光信号は、時間期間Taの間、この画像記憶に一体化(記録)され、該時間期間Taは、パルス化された光源1からの光の幾つかのパルスが、Ta中に発生するように照射パルス間隔よりも長くあり得、そして、画像記憶10aにおける画像の一体化(記録)に寄与する。時間期間Taの後、変調された光源4の変調パターンは、それが新しい位相Pbをサンプリングするように変化され、そして、次の画像記憶10bが、シャッタ輪12の適切な回転によって活性化される。変調された光検出器4からの光信号は、時間期間Tbの間、この画像記憶に一体化(記録)される。この方法でプロセスは、対応の位相Pc及びPd及び時間の一体化(記録)期間Tc及びTdで残りの画像記憶(メモリ)10c及び10dを通して続けられる。この方法で、画像記憶10a、10b、10c及び10dの各々だけが、その対応の位相に従って光を受信する。循環(サイクル)時間、Tcycle=Tc+Tc+Tc+Tc、は、獲得期間よりも短く、それ故、獲得期間の間中、画像記憶(メモリ)の周りの循環が幾つかの回数を反復され、これにより、前記記憶(メモリ)の各々における一体化(記録)された画像が、幾つかのインターリービングされた副画像の合計を成す。
【0028】
この循環一体化(循環記録)の利点は、完全な獲得期間に渡って拡散される幾つかのタイムスライスで各画像が構成されるので、画像の各々に対する一体化(記録)期間が実質的に同じであるということである。このことは、(画像化されている目標2の動作のように)獲得中に生ずる変化に感応しない異なった位相で獲得される画像間の差に基づいて、測定を行わせる。これらの変化が一体化サイクル(記録循環)時間、Tcycle、に匹敵し得るタイムスケール上で生じない限り、獲得された画像上に異なった相当の影響はないであろう。サイクル(循環)時間は、通常のシステムにおける各獲得された画像を読み出さなければならないことの固有の遅延に起因して、一層通常のシリアル態様(すなわち、各位相における画像を獲得した後に単一の電子カメラから読み出す)における幾つかの一連の画像を獲得するためにかかる時間よりも少なくあり得る。従って、循環の一体化(循環記録)は、電子カメラの読み出し時間よりも大いに短いタイムスケール上で変化が生じる状況において、一組の意味ある画像が獲得されるのを許容する。
【0029】
蛍光の強度は、パルス化された光源1からの光のパルスの後にほぼ指数関数的に減衰する。従って、画像記憶10a、10b、10c及び10dの各々によって受信される光の強度は、用いられている対応の位相に依存して変わるであろう。このような分けで、好適な実施形態においては、一体化(記録)期間Ta、Tb、Tc及びTdは、画像記憶10a、10b、10c及び10dの各々における実質的に類似の信号レベルを達成するために、変わり得る。好ましくは、一体化(記録)期間は、パルス化された光源1及び変調された光検出器4間の位相が増加するにつれて増加される。
【0030】
位相Pa、Pb、Pc及びPd並びに一体化(記録)期間Ta、Tb、Tc及びTdのための値の選択は、ホスト・コンピュータ9を用いてオペレータによって入力される。オペレータは、値のための所定の一組の可能性を提起され得、代替的には、オペレータは、所望の値を直接入れ得る。トリガ・シーケンサ7は、変調された光検出器4の変調パターンを制御し、そして、ホスト・コンピュータ9及び同期信号8からそれが受信する位相及び一体化期間(記録期間)に依存して、どの画像記憶10a、10b、10c及び10dが(駆動電子機器6を介して)現在活性化しているかを決定する。
【0031】
図3は、循環多数記憶電子カメラ5の幾つかのサイクルを含む獲得期間24を概略的に示す。各サイクルは、画像記憶10a、10b、10c及び10dを順次的に用いることに関連する。獲得期間24は、それぞれ画像記憶10a、10b、10c及び10dに対応する一体化(記録)セクションa、b、c及びdに副分割される。一体化(記録)セクションa、b、c及びdの各々は、対応の一体化(記録)期間Ta、Tb、Tc及びTdの間続く。獲得期間24の部分26は、電子カメラ5の画像記憶10a、10b、10c及び10d間の幾つかのサイクルを示す。画像10cを用いることから画像記憶10dを用いることまでの遷移は、部分28で示されており、変調された光検出器4によって用いられる変調パターン31及びパルス化された光源1の光パルス周波数30を示している。この実施形態において、変調パターン31は、照射の対応パルスの後固定された遅延における方形ゲートの単純な列であるけれども、当業者は、他の変調パターン31も可能であることを認識するであろう。位相Pc及びPdは、光を検出するように変調されている変調された光検出器4及び照射のパルスを生成するパルス化された光源1間の時間差として示されている。それから分かるように、画像記憶10a、10b、10c及び10dの各々は、特定の位相設定において検出された光を収集し、そして、それらの各々に対する一体化(記録)期間は、実質的に重複している。
【0032】
図2に示される循環集積(循環記録)カメラ5の機能が実現され得る多くの他の手段があるということが認識されるであろう。例えば、単一の電子カメラが、4つのカメラ10a、10b、10c及び10dの代わりに用いられ得、その活性化領域は、幾つかの一層小さい領域に分割され得、その各々は、循環されるべき画像記憶の1つを形成する。ダイナミック・ディフレクタ、LCDシャッタまたは多数開口輪のような活性化記憶領域を選択するための他の多くの手段が用いられても良い。
【0033】
循環一体化(循環記録)カメラ5を実現するための好適な方法は、電荷結合素子(CCD)が画像を獲得する電子カメラを用いることである。図4は、多数画像記憶を有する例示的CCDカメラ40を概略的に示す。CCDカメラ40は、光が各4番目の行のピクセルを除く全てのピクセルからマスキングされるように変更されているCCDアレイ41を有する伝統的なCCDカメラである。ピクセルの行42は、マスキングされておらず、従って、入射光に対し感応するが、残りの行のピクセル44は、マスキングされている。好ましくは、ピクセルの行42は、CCDカメラ40の光収集効率が高められ得るように、ピクセルの行44よりも大きい。4つの画像記憶a、b、c及びdがあり、その各々は、異なった行のオフセットにおいて始まる画像アレイ46における各4番目のラインから成る。CCDクロッキングは、どの1つが現在活性化しているかに従って、各ピクセルの行42に対する電荷が、適切な画像記憶a、b、cまたはdに向けられるように配列されている。完全な獲得期間の後、CCDカメラ40から読み出された画像は、読み出された画像におけるインターレースされたラインとして現出する4つの獲得された画像の組でもって、通常の方法で行われ得るであろう。
【0034】
多数の画像記憶を有する取得装置が既に提案されてきた。本発明の好適な実施形態は、一連の画像が画像シーンの「映画」を提供する目的で取得される、かかる画像取得装置のいわゆる「フレーミング動作」とは区別されると言うことが留意されるべきである。フレーミング動作においては、単一の露出だけが各画像記憶に一体化(記録)され、それに反して、本発明の好適な実施形態においては、特定の画像記憶に一体化(記録)された光は、複数の露光から構成される。
【0035】
電子的にスイッチングされるマルチフレーム・カメラ(例えば、CCDカメラ40)の使用は、画像記憶間のサイクルタイムが、機械的にスイッチングされるシステムを有するものよりも相当短いということを許容する。このことは、種々の位相に対する一体(記録)期間の一層正確な重複が獲得されるのを許容し、従って、フレームごとの一層良好なバランスを許容する。さらに、画像スプリット(分割)は必要とされない。
【0036】
獲得の最大割合は、電子カメラ5を読み出すための時間によって設定される。しかしながら、一組の画像が取得され得る最短時間は、所望の画像を取得するために利用可能な充分な光があると仮定して、1つの画像記憶から次の画像記憶までに循環するためにかかる最大時間に、画像記憶の数を乗算することによって与えられる。記憶(メモリ)から記憶(メモリ)へのスイッチングの最大時間は、イメージ増強管4の蛍光体の持続時間、及びこれが機械的または電子的であっても、循環一体化(循環記録)カメラ5の記憶間でスイッチングするためにかかる時間の内の大きい方である。
【0037】
従って、本発明の好適な実施形態は、イメージ増強管4における高速減衰蛍光体を使用しており、その理由は、これが、最大記憶スイッチング時間を減少することを助けるからである。P46タイプのような代表的な高速減衰蛍光体は、循環一体化(記録)カメラ5が電子的にスイッチングされ、かつこれよりも低速でなくスイッチングされるということを仮定して、約5マイクロ秒での記録から記憶への切換えを許容する。4つの画像記憶の場合、一組の4つの画像は、20マイクロ秒で取得され得る。しかしながら、比較的低い信号レベルに起因して、獲得期間は、画像記憶スイッチング・サイクルの数十倍後に数ミリ秒であるであろう。
【0038】
本発明の好適な実施形態は、一組の画像が例えば20ミリ秒の期間内で取得されるのを許容する。これらの画像は、次に、ビデオ・シーケンスにおける単一のフレームを形成するために用いられ得る。このような分けで、本発明の実施形態は、取得された画像から実時間のビデオ・シーケンスを生成するために配列され得る。代替的には、複数の実時間ビデオ・シーケンスが、異なった方法で種々の出力画像を結合することにより生成され得る。
【0039】
本発明をFLIMを参照して説明したけれども、本発明の実施形態は、また、濁った媒体を通しての時間分解画像化(例えば、一連の画像が異なった位相で取得されなければならない生物学的組織の光学的X線断層撮影または透視法のための)のような他の時間依存性の研究にも適用され得ることが理解されるであろう。本発明の実施形態は、パルス化された照射の遷移時間が1シーンにおける対象の範囲を決定するために用いられ得るLIDAR(または光レーダ)に適用され得る。本発明の実施形態は、複数の画像が効果的に、同時的に及び同じ光軸上で、しかし、異なった範囲のゲート設定でもって取得されるのを許容する。このことは、動作のぼやけ(ぶれ)を減少し、(異なった視角によって引き起こされる)視差に起因する歪みを除去し、3D画像がビデオ・レートにおいて単一の検出器でもって取得されるのを許容する。
【0040】
ソフトウェア制御されるデータ処理装置を用いて、少なくとも部分的に上述した本発明の実施形態が履行される限りにおいて、このようなソフトウェア制御を提供するコンピュータ・プログラム、並びにかかるコンピュータ・プログラムが提供される、送信、記憶または他の媒体が、本発明の態様として認識されるということが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】画像化システムを概略的に示す図である。
【図2】循環一体化(記録)電子カメラの例を概略的に示す図である。
【図3】獲得期間を概略的に示す図である。
【図4】複数の画像記憶を有する例示的なCCDカメラを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 光源
2 目標対象
3 入力光学素子
3a レンズ
3b フィルタ
4 光検出器
5 電子カメラ
6 駆動電子機器
7 トリガ・シーケンサ
8 同期信号
9 ホスト・コンピュータ
10a、10b、10c、10d 電子カメラ
12 シャッタ輪
14a、14b、14c、14d 結合レンズ
16 蛍光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像化装置であって、
画像化されるべき目標の一連の要素画像を取得するために動作可能な取得装置と、
複数の出力画像を発生するよう動作可能な画像発生器と、
を備え、画像発生器は、2つまたは3つ以上の要素画像の対応のサブセットからそれぞれの出力画像を発生するよう動作可能であり、取得装置は、1つのサブセットの要素画像が、一連の要素画像における他のサブセットの要素画像でインターリービングされるように、要素画像を取得するよう動作可能である、画像化装置。
【請求項2】
Nの出力画像があり、各出力画像ごとに、要素画像の対応のサブセットが一連の要素画像においてNの離間した要素画像を含む請求項1に記載の画像化装置。
【請求項3】
1つまたは複数の光のパルスで画像化されるべき目標を照射するよう動作可能な光パルス発生器と、
光のパルスに続く所定の遅延時間において取得装置が光を取得するように取得装置上に入射する光を変調するよう動作可能な光変調器と、をさらに備え、要素画像の異なったサブセットは、異なった所定の遅延時間を有する請求項1乃至2のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項4】
取得装置は、光パルスの所定の数をスパンする時間期間に渡って要素画像を取得するよう動作可能であり、光パルスの所定の数は、取得されている要素画像が属しているサブセットに依存している請求項3に記載の画像化装置。
【請求項5】
要素画像のサブセットに対応する光パルスの所定の数は、対応の所定の遅延時間に依存する請求項4に記載の画像化装置。
【請求項6】
一層大きい対応の所定の遅延時間を有する要素画像のサブセットは、光パルスの一層大きい対応の所定の数を有する請求項5に記載の画像化装置。
【請求項7】
所定の遅延時間及び光パルスの所定の数に従って、取得装置と光パルス発生器とを同期させるよう動作可能なタイミング制御器をさらに備える請求項4乃至6のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項8】
ユーザからの入力を受信するよう動作可能であり、かつユーザからの入力に従って要素画像の1つまたは複数のサブセットに対する所定の遅延時間を設定するよう動作可能である遅延時間入力装置をさらに含む請求項3乃至7のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項9】
ユーザからの入力を受信するよう動作可能であり、かつユーザからの入力に従って要素画像の1つまたは複数のサブセットに対する光パルスの所定の数を設定するよう動作可能であるパルス数入力装置をさらに含む請求項4乃至8のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項10】
取得装置は複数の画像記憶を含み、画像発生器は対応の画像記憶における出力画像を発生するよう動作可能であり、取得装置は、取得されている要素画像が属しているサブセットに依存して画像記憶間でスイッチングするよう動作可能である請求項1乃至9のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項11】
画像記憶は異なったカメラに対応する請求項10に記載の画像化装置。
【請求項12】
取得装置はCCDアレイを含み、画像記憶は、画像化装置から読み出されるべき画像の異なったピクセル領域に対応する請求項10に記載の画像化装置。
【請求項13】
異なったピクセル領域は、画像化装置から読み出されるべき画像のピクセルのインターリービングされた行または列を含む請求項12に記載の画像化装置。
【請求項14】
画像発生器は、出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを発生するよう動作可能であり、かつ1つまたは2つ以上のビデオ・シーケンスとして出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを出力するよう動作可能である請求項1乃至13のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項15】
少なくとも2つの出力画像を比較するよう動作可能であり、かつ該比較から、画像化された目標の特性を決定するよう動作可能である画像分析器をさらに備える請求項1乃至14のいずれかに記載の画像化装置。
【請求項16】
画像化する方法であって、
画像化されるべき目標の要素画像のシーケンスを取得するステップと、
2つまたは3つ以上の要素画像の対応のサブセットから複数の出力画像を発生するステップと、
を備え、要素画像は、1つのサブセットの要素画像が、要素画像のシーケンスにおける他のサブセットの要素画像でもってインターリービングされるように取得される、画像化する方法。
【請求項17】
Nの出力画像があり、各出力画像ごとに、要素画像の対応のサブセットが、要素画像のシーケンスにおいてNを離間された要素画像を含む請求項16に記載の画像化する方法。
【請求項18】
光の1つまたは2つ以上のパルスで画像化されるべき目標を照射するステップをさらに備え、
要素画像のシーケンスを取得するステップは、光のパルスに続く所定の遅延時間において光を取得するステップを備え、要素画像の異なったサブセットは、異なった所定の遅延時間を有する請求項16または17に記載の画像化する方法。
【請求項19】
要素画像は、光パルスの所定数をスパンする時間期間に渡って取得され、光パルスの所定数は、取得されている要素画像が属しているサブセットに依存している請求項18に記載の画像化する方法。
【請求項20】
要素画像のサブセットに対応する光パルスの所定数は、対応する所定の遅延時間に依存する請求項19に記載の画像化する方法。
【請求項21】
一層大きい対応する所定の遅延時間を有する要素画像のサブセットは、光パルスの一層大きい対応する所定数を有する請求項20に記載の画像化する方法。
【請求項22】
所定の遅延時間及び光パルスの所定数に従って要素画像のシーケンスの取得及び画像化されるべき目標の照射を同期化させるステップをさらに備える請求項19乃至21のいずれかに記載の画像化する方法。
【請求項23】
ユーザから入力を受信するステップと、
ユーザからの入力に従って要素画像のサブセットの1つまたは複数に対する所定の遅延時間を設定するステップと、
をさらに備える請求項18乃至22のいずれかに記載の画像化する方法。
【請求項24】
ユーザから入力を受信するステップと、
ユーザからの入力に従って要素画像のサブセットの1つまたは複数に対する光パルスの所定数を設定するステップと、
をさらに備える請求項19乃至23のいずれかに記載の画像化する方法。
【請求項25】
複数の画像記憶に出力画像を記憶させるステップと、
取得されている要素画像が属するサブセットに依存して画像記憶間でスイッチングさせるステップと、
をさらに備える請求項16乃至24のいずれかに記載の画像化する方法。
【請求項26】
画像記憶は、異なったカメラに対応する請求項25に記載の画像化する方法。
【請求項27】
要素画像のシーケンスを取得するステップは、CCDアレイを含む画像化装置によって行われ、画像記憶は、画像化装置から読み出されるべき画像の異なったピクセル領域に対応する請求項25に記載の画像化する方法。
【請求項28】
異なったピクセル領域は、画像化装置から読み出されるべき画像のピクセルのインターリービングされた行または列を含む請求項27に記載の画像化する方法。
【請求項29】
出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを発生するステップと、
1つまたは2つ以上のビデオ・シーケンスとして出力画像の1つまたは2つ以上のシーケンスを出力するステップと、
をさらに含む請求項16乃至28のいずれかに記載の画像化する方法。
【請求項30】
出力画像の少なくとも2つを比較するステップと、
該比較から、画像化された目標の特性を決定するステップと、
をさらに備える請求項16乃至29のいずれかに記載の画像化する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−509383(P2008−509383A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524384(P2007−524384)
【出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002692
【国際公開番号】WO2006/013314
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(500165809)インペリアル・イノベイションズ・リミテッド (32)
【出願人】(507036876)ケンテック・インストルメンツ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】