説明

画像取得装置と、これを有する顕微鏡装置

【課題】画像取得装置を有する顕微鏡装置が大型化する問題点を解決する。
【解決手段】標本13を載せる標本載置部材20と、標本13に照明光を照射する光源装置22と、前記光源装置の前記照明光射出側近傍に配置され、前記標本の像を撮像する撮像装置30と、前記標本載置部材に載置される前記標本に対し前記撮像装置を押し付ける押付装置34と、前記撮像装置からの信号を処理して前記標本画像を形成する画像処理装置42と、前記光源装置と、前記撮像装置と、前記画像処理装置とを制御する制御装置40と、を有する画像取得装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本画像の取得装置と、これを有する顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微小な物体を拡大して観察するために、標本の画像を取得する撮像装置を有する顕微鏡装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−301521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像取得装置を有する顕微鏡装置は、その構成要素である照明光学系と結像光学系にレンズ系を要するため、顕微鏡装置が大型化する問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明にかかる画像取得装置は、標本を載せる標本載置部材と、前記標本に照明光を照射する光源装置と、前記光源装置の前記照明光射出側に対向する位置に配置され、前記標本の像を撮像する撮像装置と、前記標本載置部材に載置される前記標本に対し前記撮像装置を押し付ける押圧装置と、前記撮像装置からの信号を処理して前記標本画像を形成する画像処理装置と、前記光源装置と、前記撮像装置と、前記画像処理装置とを制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明にかかる顕微鏡装置は、前記画像取得装置と、前記標本画像を出力する画像表示装置とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明光学系と結像光学系にレンズ系を用いずに標本画像を取得する画像取得装置と、これを有する顕微鏡装置の小型化を実現し、汎用性を持たせた顕微鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態にかかる、画像取得装置と、顕微鏡装置の概略構成図を示す。
【図2】第1実施形態にかかる画像取得装置の概略構成図を示す。
【図3】第1実施形態にかかる顕微鏡装置の押圧装置の一例を示し、(a)は、押圧を解除した状態を、(b)は押圧した状態をそれぞれ示す。
【図4】第1実施形態にかかる顕微鏡装置の動作フローを示す。
【図5】第1実施形態にかかる顕微鏡装置の変形例を示す。
【図6】第1実施形態にかかる顕微鏡装置の変形例における標本挿入状態を示し、(a)は標本の挿入前を、(b)は標本の挿入後をそれぞれ示す。
【図7】第2実施形態にかかる顕微鏡装置の概略構成図を示し、(a)は蓋を閉じて標本を観察している状態を、(b)は蓋を開けた状態をそれぞれ示す。
【図8】第2実施形態にかかる顕微鏡装置において、蓋を開けて標本を載置した状態を示す。
【図9】図8のA−A線に沿った断面図を示す。
【図10】第2実施形態にかかる顕微鏡装置の機能ブロック図を示す。
【図11】第2実施形態にかかる顕微鏡装置の動作フローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態にかかる、画像取得装置と、顕微鏡装置について図面に基づき詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等を施すことを排除することは意図していない。
【0010】
図1、図2において、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1は、筐体11に収納された画像取得装置10からなり、この顕微鏡装置1には画像表示装置(例えば、モニターなど)50が外付けされている。筐体11の側面には、画像取得部10に標本13を挿脱するための開口部12が形成されている。
【0011】
画像取得装置10は、標本13を照明する照明装置20と標本の像を撮像する撮像装置30とこれらを制御する制御装置40とから構成されている。
【0012】
照明装置20は、標本13が載置されて標本13に照明光を射出する光源部22と、光源部22の照明光射出側に配置された光指向部材23とから構成されている。従って、図1の構成では、照明装置20は標本の載置装置を兼ねている。光源部22から射出された照明光は、光指向部材23の光射出側に載置された標本13全面に略垂直に入射するように光指向部材23で照明光に指向性が付与される。なお、光指向部材23には、ファイバープレートやキャピラリープレート等が使用可能である。また、光源部22は、照明光を有効に使用できる面発光素子を使用することが望ましい。面発光素子としては、有機EL照明などが使用できる。また、通常の光源(例えば、ランプ等)を使用する場合には、光源部22と光指向部材23との間に光拡散板を配置して照明光の均一性を向上させることが望ましい。
【0013】
標本13は、例えば、スライドガラス13aとカバーガラス13bとの間に標本13cを挟んで形成されたプレパラート等の透過性の標本が観察対象となる。
【0014】
撮像装置30は、基板31に接続されて撮像素子32の撮像面を照明装置20の照明光射出側に向けて配置されている。また、撮像素子32の撮像面の前方には撮像面を保護するための保護部材(例えば、ガラス部材)33が配置されている。
【0015】
基板31と筐体11との間には、基板31および撮像素子32を標本13側に押圧して撮像面を標本13の近傍に位置付けするための押圧装置34が配置されている。なお、押圧装置34は、標本13の撮像時の安定性を向上させるために保護部材33をカバーガラス13bに接触させるように押圧しても良い。また、押圧装置34は、基板31および撮像素子32を図中紙面上下方向に移動するバネ機構、ネジ機構や後述する梃子を用いた各種の機構が使用可能である。また、押圧装置34は、基板31および撮像素子32を図中紙面上下方向に移動する電動機構(例えば、圧電素子など)を用い、制御装置40で上下移動量を制御するようにしても良い。
【0016】
図3は、撮像素子32を標本13側に押圧して撮像面を標本13の近傍に位置付けするための押圧装置34の一例である梃子を用いた例を示している。図3(a)、(b)は梃子部の断面を示している。押圧装置34である梃子34は、筐体11から図面上下方向に移動可能に支持された軸部34aと、軸部34aから筐体11方向に延在する第1腕部34bと、第1腕部34bと一体に形成され第1腕部34bとは反対方向に延在する第2腕部34cとから構成されている。第1腕部34bと第2腕部34cは軸部34aで断面が略「く」字状に屈曲して形成されている。第1腕部34bの先端は筐体11に接触している。
【0017】
図3(a)は、標本13を顕微鏡装置1から取り外す場合であり、押圧解除時には、第2腕部34cの先端が基板31から離間する方向に上げられる。この際、軸部34aが上方に移動して押圧が解除される。
【0018】
図3(b)は、標本13を顕微鏡装置1に挿入する場合であり、押圧時には、第2腕部34cの先端部が基板31へ接近する方向に下げられ、不図示のストッパーで停止する。この際、第1腕部34bが筐体11を押圧して軸部34aを紙面下方に所定量L移動することで、撮像素子32の撮像面を標本13の近傍あるいは標本13のカバーガラス13bに保護部材33を接触させる。なお、不図示のストッパーは、撮像素子32を任意の位置で止める機構を有していることが好ましい。または、軸部34aを常時下方に押圧するためのバネ等の部材を配置し、標本13を挿入する時に第2腕部34cを上方に上げて照明装置20上面に標本13を挿入する空間を形成するように構成しても良い。
【0019】
なお、梃子34の上下動力は、第1腕部34bと軸部34aとの長さと、第2腕部34cと軸部34aとの長さの比を調整することで可変することができる。また、押圧装置34は、筐体11と照明装置20との間に配置しても良いし、筐体11と撮像装置30との間、筐体11と照明装置20との間の両方に配置しても良い。押圧装置34の配置場所は、適宜設計により選択することができる。
【0020】
制御装置40は、光源部22、撮像素子32、押圧装置34、およびその他画像取得装置の動作を制御する制御部(CPU)41と、撮像素子32からの信号を処理して標本画像を生成する画像処理装置42と、標本画像を保存するメモリ43と、標本画像や外部との信号の入出力を行うための出力装置44を有している。制御装置40は、出力装置44を介して画像表示装置50に接続され、取得した標本画像を画像表示装置50に表示してユーザに標本画像を観察可能にしている。出力装置44は、画像表示装置50の接続のほかに、USB、IEEE1394等の接続インターフェースを有している。
【0021】
画像表示装置50は、液晶表示装置、EL表示装置、PDP表示装置、パーソナルコンピュータのモニター等の平面表示装置を使用することができる。
【0022】
なお、画像取得装置10には、各種条件設定のためのボタンやツマミが筐体11の外面に配置されているが説明を省略している。例えば、電源ボタン、光源部22のON/OFFボタン、照明光の光量調整ツマミ、押圧装置駆動ツマミ、デジタルズームボタン、画像取得ボタンなどの記載、説明は省略している。
【0023】
次に、図1に示した画像取得装置10を例にして、標本画像取得手順について図4を参照し、ステップに沿って説明する。標本画像取得処理を開始する前に、画像取得装置10は、電源が投入され、各種条件が設定されて画像取得の準備が完了しているものとする。
【0024】
(ステップS1)
ユーザは、画像を取得する標本13を筐体11の開口部12から画像取得装置10に挿入して照明装置20の上に載置する。
【0025】
(ステップS2)
ユーザは、開口部12からはみ出している標本13の端部を持って標本13を照明装置20の上で移動し画像表示装置50に表示される標本画像を見ながら観察したい標本13の位置を探す。
【0026】
第1実施形態にかかる顕微鏡装置1では、画像取得部10における標本13と撮像素子32の撮像面との間隔は標本画像が画像表示装置50で画像として見える程度に狭く配置され、標本画像を見ながら位置を調整することができるように構成されている。あるいは、上述の押圧装置34で基板31および撮像素子32を標本方向に、画像表示装置50で標本画像が見える程度移動させて不図示のストッパーで固定して観察位置を探すようにしても良い。
【0027】
(ステップS3)
ユーザは、標本13の観察位置を決定した後、基板31および撮像素子32を押圧装置34で標本方向に移動して、標本13の近傍に配置または標本13に接触させる。標本13に接触させた方が、観察中に標本13が移動するのを防ぐことができるのでより好ましい。
【0028】
(ステップS4)
ユーザは、画像表示装置50で標本画像を観察する。観察中に不図示の画像取得ボタンを押すことで、標本画像をメモリ43に保存することができる。保存した標本画像は、後で画像表示装置50で観察したり、外部メモリに転送してパーソナルコンピュータ(以後、PCと略記する)のモニターで観察することができる。
【0029】
(ステップS5)
ユーザは、標本画像の観察後、基板31および撮像素子32への押圧装置34の押圧を解除する。
【0030】
(ステップS6)
ユーザは、標本13の全ての観察が終わったか否かを決める。ユーザは観察が終わっていない時にはステップS2からS6を繰り返す。
【0031】
(ステップ7)
ユーザは、標本13の全ての観察が終了したと判断したら標本13を照明装置20の上から取出す。
【0032】
以上のステップで、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1を用いた標本13の観察が終了する。観察終了後、不図示の電源ボタンにより画像取得装置10および画像表示装置50の電源をOFFにする。
【0033】
次に、顕微鏡装置1の分解能について説明する。撮像素子32として例えば1/2.33型(6.2mm×4.6mm)で1000万画素の場合、セルサイズは約1.66μmである。この撮像素子32で標本の像を撮像した場合、約1.66μmの分解能を得ることが可能である。ところで、分解能εは、代表的に下記の式で示される。
ε=0.61×(λ/NA)
ここで、λは光の波長、NAは開口数である。
この式より、NA=0.61×(λ/ε)となる。今、ε=1.66μm、λ=550nm(0.55μm)とすると、NA=0.20が得られる。これは、顕微鏡においてNA=0.20程度を有する対物レンズ、例えばニコン製の対物レンズでは約10倍程度の倍率となる、と同等の分解能を有することを示している。このように、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1の画像取得装置10は、NA=0.20程度の開口数を有する対物レンズを用いた顕微鏡と同等の性能を有している。なお、撮像素子32のセルサイズが小さくなれば、顕微鏡装置1の分解能を更に向上させることができる。また、更に分解能を向上させるために撮像素子32を僅か(例えば、1/3画素程度)にずらしながら撮像して画像を生成する画素ずらし方法を用いることも可能である。
【0034】
また、顕微鏡装置1は撮像素子32で撮像された標本画像を、画像表示装置50の画面に標本画像を画面サイズに拡大して表示することができる。また、デジタルズームにより標本画像をさらに拡大して表示することも可能である。
【0035】
以上述べたように、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1では、画像取得装置10を用いることで、照明装置20や撮像装置30に従来の顕微鏡のようなレンズ系を使用することなく標本画像を取得してユーザに観察可能にすることができる。
【0036】
なお、上記第1実施形態にかかる顕微鏡装置1では、画像表示装置50は画像取得装置10と別体に設け、出力装置44を介して接続しているが、画像取得装置10を画像表示装置50に内蔵して一体化し、画像表示装置50の前面に画像取得装置10の各種ボタン、スイッチ類を配置するように構成しても良い。また、画像取得装置10と画像表示装置50とを一体化したときは、バッテリーを内蔵することでAC電源の無いところでも顕微鏡観察ができるように構成することも可能である。また、上述の説明では、照明装置20を下方に、撮像装置30を上方に配置した場合について説明したが、照明装置20を上方に、撮像装置30を下方に配置して標本13を撮像装置30上に配置するように構成しても良い。このように構成することで、ステップS2における標本位置サーチが容易となる。
【0037】
(第1実施形態の変形例)
図5、図6は、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1の変形例を示す。第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。この変形例では、画像取得装置10を、PCの5インチベイ(幅146mm、高さ42mm、奥行き190mm)あるいは3.5インチベイ(幅、101mm、高さ25mm、奥行き150mm)あるいは、PCカードTypeIII(幅54mm、高さ10.5mm、奥行き85.6mm)に内蔵可能に構成している。5インチベイサイズ、3.5インチベイサイズは、ディスクトップPCに内蔵でき、PCカードTypeIIIサイズはノートPCに内蔵することが可能になる。以下、ディスクトップPCに内蔵した場合について説明するが、ノートPCでも同様であることは言うまでもない。なお、PCに内蔵可能な画像取得装置10では、各種条件等設定はPCを介して実行するので、前述のスイッチ類を筐体11に配置する必要がない。
【0038】
図5、図6において、画像取得装置10は、ディスクトップPC61の5インチベイに内蔵され、出力装置44を介してPCのマザーボード62に接続される。PCには、OS63やアプリケーションソフト(以後、APと略記する)64が搭載され、画像取得装置10で取得された標本画像は、マザーボード62を介してPC61に接続された画像表示装置(モニター)50に表示される。
【0039】
AP64は、取得した標本画像の編集、拡大等を行うことができる。また、PC61は、不図示のメモリを有し、取得した標本画像やAP64で編集や拡大等の画像処理した標本画像を保存することができる。
【0040】
また、PC61には、入力装置65が配置され、この入力装置65から、画像取得装置10の各種パラメータ類の設定、変更ができるように構成されている。このようにして、顕微鏡装置60が構成されている。
【0041】
図6(a)は、PC61の画像取得装置10の開口部12に標本13を挿入する状態を示している。このとき、押圧装置34は前述の操作により押圧が解除され標本13を開口部12に挿入しやすくしている。
【0042】
図6(b)は、PC61の画像取得装置10の開口部12に標本13を挿入し終わった状態を示している。このとき、押圧装置34は標本13を前述の操作により押圧し標本画像の取得が可能な状態となっている。なお、押圧装置34の動作については、前述の第1実施形態と同様であり詳細な説明を省略する。
【0043】
以上、本変形例によれば、画像取得装置10をディスクトップPC61やノートPCに内蔵可能にでき、PC61のモニタを画像表示装置50にすることで、PCを顕微鏡装置60として使用することができる。
【0044】
なお、画像取得装置10を内蔵型装置として構成する時、画像取得装置10が持っている制御装置40をPC61内に内蔵することも可能である。このように制御装置40をPC61に内蔵する、またはPC61の有する機能(例えば、AP、ハードウェア等)を活用することで、画像取得装置10をより小型にすることができる。特に、PCカードTypeIIIのように小型化が必要な場合には、ノートPCの機能を有効に活用するように構成することが望ましい。
【0045】
また、上記変形例では、画像取得装置10をPCに内蔵型にした場合について説明したが、画像取得装置10をPCの外付け型に構成することも可能である(例えば、PC接続のCD/DVD、HDDなどと同様)。画像取得装置10は筐体11で一つの装置として構成し、出力装置44をUSBやIEEE1394等のインタフェースとすることでPCのUSBポートやIEEE1394ポートを介してPCに接続することができる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施の形態にかかる顕微鏡装置について図7〜図11を参照しつつ説明する。
第2実施形態の顕微鏡装置は、携帯性を向上させた顕微鏡装置である。第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付し説明を省略する。
【0047】
図7〜図9において、顕微鏡装置101は、本体部110と蓋部材120を有し、本体部110と蓋部材120とは長辺側に配置されたヒンジ機構130、130で結合され、蓋部材120が開閉可能に構成されている。なお、蓋部材120はヒンジ機構130を配置せず、本体部110の上部に蓋として被さるように構成しても良い。顕微鏡装置101は、蓋部材120が閉じられた時ほぼ箱状の形態となる。
【0048】
図7(b)に示すように、本体部110には、蓋部材120側に撮像装置30が配置され、蓋部材120の内側(撮像装置30側)には、照明装置20が配置されている。なお、撮像装置30が蓋部材120側に、照明装置20が本体部側に配置するように構成しても良い。照明装置20と撮像装置30とは、蓋部材120を閉じた時に対向する位置に配置されている。また、照明装置20、および撮像装置30の構成は第1実施形態と同様であり説明を省略する。また、撮像装置30と本体部110との間および照明装置20と蓋部材120との間の少なくとも一方には押圧装置34が配置されている点も第1実施の形態と同様であり、その作用も同様である。
【0049】
図7(a)に示すように、蓋部材120の外側面には、中央部に液晶表示部121、周辺部に電源ON/OFFスイッチ122、照明装置20の光源部22の光量を調節する照明光量Upスイッチ123と照明光量Downスイッチ124とが配置されている。
【0050】
標本13は、図8に示すように、本体部110の撮像装置30の上に配置され、蓋部材120が閉じられた時に、照明装置20で照明される。
【0051】
図9は、顕微鏡装置101の横断面(図8のA−A線に沿った断面)である。本体部110に凹部111が形成され、この凹部111内に撮像装置30が押圧装置34を介して本体部110に配置されている。押圧装置34は、例えばバネ部材で構成され蓋部材120が閉じられた時に標本13のカバーガラス13bと撮像素子32の保護部材33とが接触すると共に、撮像装置30が凹部111内に沈み過度の負荷が標本13と撮像素子32とにかからないように構成されている。
【0052】
また、図9に示すように、照明装置20は、蓋部材120の内側に形成された凹部126内に配置され、指向性部材23の照明光射出面が蓋部材120の内側面とほぼ同じ位置に設けられている。
【0053】
図10に示すように、顕微鏡装置101では、制御回路140には、CCDドライブ回路141を介して撮像素子(CCD)32が接続され、光源ドライブ回路142を介して光源部22が接続され、液晶ドライブ回路143を介して液晶表示部121が接続されている。また、撮影スイッチ125、照明光量Upスイッチ123、照明光量Downスイッチ124が制御回路140に接続され、各スイッチの操作状態が検出されて、それぞれ対応する装置が制御される。なお、制御回路140には、画像処理装置42、メモリ43、出力装置44等が含まれている。また、顕微鏡装置101は通常AC電源を使用するが、不図示の内蔵バッテリーを有し、AC電源が無い場所でも顕微鏡観察を可能にしている。
【0054】
なお、第2実施形態にかかる顕微鏡装置101の撮像装置30の分解能は、第1実施形態にかかる顕微鏡装置1と同様であり説明を省略する。
【0055】
次に、顕微鏡装置101の使用手順を図11に示すフローに従って説明する。
【0056】
(ステップS101)
ユーザは、顕微鏡装置101の蓋部材120を開く。
【0057】
(ステップS102)
ユーザは、本体部(撮像台)110に標本13のカバーガラス側を本体部110側に向けて載せ、観察したい位置を撮像素子32上に目視で合わせる。
【0058】
(ステップS103)
ユーザは、蓋部材120を閉じる。
【0059】
(ステップS104)
ユーザは、蓋部材120の外側周辺部に配置された電源スイッチ122を押下して電源をONにする。このとき制御回路140は、光源部22に対して光源ドライブ回路142を介して発光開始を指示し、撮像素子32に対してCCDドライブ回路141を介して撮像開始を指示し、液晶表示部121に対して液晶ドライブ回路143を介して撮像した画像を取得し画像処理装置42で処理した画像の表示を指示する。
【0060】
(ステップS105)
ユーザは、液晶表示部121で標本画像を観察する。標本画像を保存したい場合には、撮影スイッチ125を押下することで標本画像をメモリ43に保存する。
【0061】
(ステップS106)
ユーザは、所定の場所の観察終了後、蓋部材120を開く。
【0062】
(ステップS107)
ユーザは標本13の観察が終了したか否かを判断し、観察を継続する場合にはステップS108を実行する。
【0063】
(ステップS108)
ユーザは、蓋部材120を開いた状態で標本13を撮像素子32上で移動して次に観察する標本13の位置合わせを行う。
【0064】
(ステップS109)
ユーザは、標本13の位置合わせが終わった後、蓋部材120を閉じる。この後、ユーザはステップS105からS107を継続する。
【0065】
(ステップS110)
ユーザは、標本13の全ての観察が終了したので蓋部材120を開いて標本13を取出す。
【0066】
(ステップS111)
ユーザは、電源ON/OFFスイッチ122を押下して顕微鏡101の電源を切る。電源ON/OFFスイッチ122をOFFにすることで、光源部22は消灯し、撮像素子32は撮像を停止し、液晶表示部121は画像表示を停止し、制御回路140は全ての制御を停止する。
【0067】
以上で、ユーザは、顕微鏡装置101を用いた標本観察を終了する。
【0068】
以上述べたように、第2実施形態にかかる顕微鏡装置101は、照明装置20と撮像装置30の光学系にレンズ系を使用することなく標本画像の観察を行うことができる。また、レンズ系を使っていないため、顕微鏡装置101は小型化、軽量化を達成できる。また、顕微鏡装置101は、顕微鏡装置101内にバッテリーを内蔵することで屋外に携帯して標本画像を観察することができる。
【0069】
なお、上述の説明では、撮像装置30を本体部110に照明装置20を蓋部材110に配置した場合を示したが、撮像装置30を蓋部材110に照明装置20を本体部120に配置して標本13を照明装置20上に配置するように構成しても良い。また、液晶表示装部121および各種スイッチ類122〜125は、本体部110に配置しても良い。
【符号の説明】
【0070】
1、60、101 顕微鏡装置
10 画像取得装置
11 筐体
12 開口部
13 標本
20 照明装置
22 光源部
23 指向性部材
30 撮像装置
31 基板
32 撮像素子(CCD)
33 保護部材
34 押圧装置
40 制御装置
41 制御部(CPU)
42 画像処理装置
43 メモリ
44 出力装置
50 画像表示装置
61 ディスクトップPC
110 本体部
111 凹部
120 蓋部材
121 液晶表示部(LCDモニター)
122 電源ON/OFFスイッチ
123 照明光量Upスイッチ
124 照明光量Downスイッチ
125 撮影スイッチ
140 制御回路
141 CCDドライブ回路
142 光源ドライブ回路
143 液晶(LCD)ドライブ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本を載せる標本載置部材と、
前記標本に照明光を照射する光源装置と、
前記光源装置の前記照明光射出側に対向する位置に配置され、前記標本の像を撮像する撮像装置と、
前記標本載置部材に載置される前記標本に対し前記撮像装置を押し付ける押圧装置と、
前記撮像装置からの信号を処理して前記標本画像を形成する画像処理装置と、
前記光源装置と、前記撮像装置と、前記画像処理装置とを制御する制御装置と、
を有することを特徴とする画像取得装置。
【請求項2】
前記照明光射出側には光指向部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像取得装置。
【請求項3】
前記光源装置は面発光照明装置であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像取得装置。
【請求項4】
前記光源装置と前記撮像装置のいずれか一方が設けられる本体部と、
前記光源装置と前記撮像装置のいずれか他方が設けられる蓋部材とを有し、
前記標本は前記本体部と前記蓋部材とで挟持されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像取得装置。
【請求項5】
前記押圧装置は前記光源装置と前記撮像装置の少なくとも一方に設けられ、当該押圧装置は前記光源装置の前記射出側と前記撮像装置の前記撮像面とを近づける方向に押圧して前記撮像面を前記標本の近傍に配置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像取得装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像取得装置と、前記標本画像を出力する画像表示装置とを備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項7】
前記光源装置と、前記撮像装置と、前記押圧装置と、前記画像処理装置と、前記制御装置は同一筐体内に配設される一方、前記画像表示装置は、該筐体の外面に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡装置。
【請求項8】
前記画像表示装置は、前記本体部と前記蓋部材のいずれか一方の外面に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−276866(P2010−276866A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129447(P2009−129447)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】