説明

画像形成システム

【課題】 近年、画像処理コントローラの高機能化により、画像処理チップへの設定値計算と設定に時間がかかるようになり、従来メカ動作時間のみが影響していたFCOTに、画像処理チップへの設定時間が影響するようになってしまっている。
【解決手段】 FCOTモードを判定し、メカ準備動作に先行して画像処理チップへの設定モジュールを起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り手段から読み込まれた画像を、記録手段により記録紙に記録する画像形成システムにおいて、ユーザが一枚目の記録結果を手にするまでに画像形成装置が要する時間(以下FCOTと称する)を短縮するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成システムでは、読み取り手段が読み取った画像データを高速だが記憶単価の高いRAM上に記憶し、その後記憶単価の安いハードディスクに記憶し、印刷時にはハードディスクから前記画像データを読み出して前記RAM上に記憶する。そしてその後プリンタに転送して印刷させている。
【0003】
画像形成システムにおいて、ユーザが一枚目の印刷結果を手にするまでに画像形成装置が要する時間の短縮は、使用するユーザにかかる待ち時間を減らすことになるため、重要な課題となってきた。
【0004】
FCOTを短縮するための技術として、特定の条件に合致した時にはハードディスクドライブに画像データを転送せず、前記RAMからプリンタに直接画像データを転送することによりFCOTを向上させる技術が開示されている(特許文献1)。
【0005】
また、プリンタ内の感光ドラムに、レーザー光あるいはLED等の光源によって形成した静電潜像を印刷用紙に転写する転写手段の、印刷用紙搬送方向の上流側に配置する。そして、印刷用紙搬送速度を制御可能なレジストローラにより、前記転写手段に至る以前の用紙搬送速度を、前記転写手段を通過する用紙搬送速度、すなわち画像形成速度よりも速める。一方前記転写手段を通過する際には印刷用紙の搬送速度が画像形成速度となるように制御することにより画像形成時間を短縮するように制御する技術も開示されている(特許文献2)。
【0006】
また、FCOTモードが指定されている場合、FCOTモードである旨を読み取り手段と記録手段へ制御線を使用して信号を送ることで、準備時間を省略するという技術も開示されている(特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−320561号公報
【特許文献2】特開2002−104695号公報
【特許文献3】特開2006−135702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、ネットワーク複合機などの画像処理コントローラは高機能化し、例えばスキャナからの入力画像データを処理する画像処理ASIC、およびプリンタへ画像を出力する画像データを処理する画像処理ASICの回路規模は肥大化し続けている。
【0009】
従来のFCOT短縮に関する技術においては、該画像処理ASICの設定値算出およびASICレジスタへの設定にかかる時間は、スキャナ部の光源やプリンタ部の前準備にかかる時間に対して短かったため、律速の要因としては考慮されていなかった。
【0010】
しかし、近年の高機能画像処理コントローラにおいては、設定値算出にかかるCPU負荷と、設定項目の増大によって、レジスタ設定にかかる時間がFCOTに影響するようになってしまっている。
【0011】
そこで、本発明は、画像処理コントローラにおける画像処理ASICの準備にかかる時間を短縮することで、FCOTを向上させることが可能な画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成システムは、
画像データの入力をおこなう画像入力手段(201)と、
前記入力手段により入力される画像に対する各種の画像形成条件を設定可能にする操作手段(204)と、
前記入力された画像に対して画像処理を行う画像処理手段(202)と、
前記画像処理手段に対して前記画像形成条件に従って設定を行う画像処理パラメータ設定手段(212)と、
前記画像処理手段により画像処理された画像について画像形成する画像形成手段(203)と、
前記操作手段によって設定される画像形成条件を保持する、画像形成条件保持手段(209)と、
前記画像形成条件がFCOT(Fast Copy Time)動作条件となっているかを判定するFCOT判定手段(210)と、
前記FCOT判定手段によりFCOT動作条件と判断された場合に、前記画像形成手段または前記画像入力手段への準備起動に先行して、前記画像処理パラメータ設定手段を起動する起動手段(211)、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、画像処理コントローラにおける画像処理ASICの準備にかかる時間を短縮することで、FCOTを向上させることが可能な画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を説明するタイミングチャート。
【図2】画像形成装置の概略ブロック図。
【図3】画像形成装置断面図。
【図4】コントローラハード構成図。
【図5】操作パネルハード構成図。
【図6】操作パネル表示(基本画面)。
【図7】プリンタI/Fの画像処理を担う部分の詳細な構成を示すブロック図。
【図8】スキャナI/Fの画像処理を担う部分の詳細な構成を示すブロック図。
【図9】本発明におけるCopyスタート前にFCOT判定をするフローチャート。
【図10】本発明におけるCopyスタート後にFCOT判定をするフローチャート。
【図11】本発明におけるアイドル時間の先行設定を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<画像形成装置>
本発明を実施する画像形成装置についてより詳細に、図2以降の図面に基づいて説明する。まず図2に一般的なCOPY/PRINT/FAXなどの機能を有するデジタル複合機のブロック図を示す。
【0016】
201の画像入力手段は、原稿読み取り処理を行なうスキャナ等を示す。
【0017】
202の画像処理手段は、スキャナから読み取られた画像に画像処理を施しメモリ205に格納するコントローラ等を示す。
【0018】
203の画像形成手段は、メモリ205から読み出された画像データを操作部により設定された印刷設定条件に従って記録用紙に可視化された画像形成を行なうプリンタ等を示す。
【0019】
204の操作手段は、スキャナ部により読み取られる画像に対する各種の印刷条件を設定する操作部等を示す。
【0020】
205のメモリは、画像、ソフトウェアプログラム、各種設定値、機体固有値などの情報を保持する。
【0021】
206は画像形成システムが接続されるネットワークである。
【0022】
207は画像形成システムがネットワーク206を解して接続されるサーバであり、画像データやユーザー情報、その他情報を管理する。
【0023】
208は画像形成システムがネットワーク206を解して接続されるパーソナルコンピュータであり、画像処理システムに対してプリントジョブなどを投入する。
【0024】
209の画像形成条件保持手段は、前記操作手段によって設定される画像形成条件をっメモリ205などに保持する
210のFCOT判定手段は、前記画像形成条件がFCOT(Fast Copy Time)動作条件となっているかを判定し、FCOT条件の場合にFCOT用動作を行う。
【0025】
211の起動手段は、前記FCOT判定手段によりFCOT動作条件と判断された場合に、前記画像形成手段または前記画像入力手段への準備起動に先行して、前記画像処理パラメータ設定手段を起動する。
【0026】
212の画像処理パラメータ設定手段は、前記画像処理手段に対して前記画像形成条件に従って設定を行う。
【0027】
次に図2で説明した複合機のより詳細について、図3を用いて説明する。この複合機は、コピー・プリンタ・FAXのそれぞれの機能を有している。図3において、本複合機はスキャナ301とドキュメントフィーダ(DF)302と、カラー4色ドラムを備えるプリント記録用のプリントエンジン313と、給紙デッキ314とフィニッシャ315からなる。
【0028】
はじめにスキャナ301を中心に行われる読取り動作について説明する。原稿台に原稿をセットして読み込みを行なう場合には、原稿台307に原稿をセットしてDF302を閉じる。すると、開閉センサ330が原稿台が閉じられたことを検知した後、スキャナ301の筐体内にある反射式の原稿サイズ検知センサ331〜335が、セットされた原稿サイズを検知する。このサイズ検知を起点にして光源310で原稿を照射し、反射板311、レンズ312を介してCCD343が画像を読み取り、しかる後デジタル信号に変換され、所望の画像処理を行なってレーザ記録信号に変換される。変換された記録信号は、後述する図4で説明するコントローラ内のメモリに格納される。
【0029】
DF302に原稿をセットして読み込みを行なう場合には、DF302の原稿セット部303のトレイに原稿をフェースアップで載置する。すると、原稿有無センサ304が、原稿がセットされたことを検知し、これをうけて原稿給紙ローラ305と搬送ベルト306が回転して原稿を搬送し、原稿台307上の所定の位置に原稿がセットされる。これ以降は原稿台での読み込みと同様に画像が読み込まれ、コントローラ内のメモリに格納される。
【0030】
読み込みが完了すると、再び搬送ベルト306が回転して図の右側に原稿を送り、排紙側の搬送ローラ308を経由して原稿排紙トレイ309へ排紙する。原稿が複数存在する場合は、原稿台から原稿が図の右側に排紙搬送されるのと同時に、給紙ローラ305を経由して左側から次原稿が給送され、次原稿の読み込みが連続的に行なわれる。以上がスキャナの動作である。
【0031】
続いてプリンタ313を中心に行われる印刷動作について説明する。図4で説明するコントローラ内のメモリ一旦記憶された記録信号(印刷画像データ)は、プリンタ313へと転送され、レーザ記録部でYellow、Magenta、Cyan、Blackの4色の記録レーザ光に変換される。そして、各色の感光体316に照射され、感光体に静電潜像を形成する。そして、トナーカートリッジ317から供給されるトナーによりトナー現像を行い、可視化された画像は中間転写ベルト321に一次転写される。その後中間転写ベルト321は時計回転方向に回転し、用紙カセット318、あるいは給紙デッキ314から給紙搬送路319を通って給送された記録紙が二次転写位置320に来たところで、中間転写ベルト321から記録紙へと画像が転写される。画像が転写された記録紙は、定着器322で、加圧と熱によりトナーが定着される。そして排紙搬送路を搬送された後、フェイスダウンのセンタートレイ323か、スイッチバックしてフィニッシャへの排紙口324か、あるいはフェイスアップのサイドトレイ325へと排紙される。(但しサイドトレイ325はフィニッシャ315が未装着の場合にのみ排紙可能な排紙口である)。フラッパ326および327は、これらの排紙口を切り替えるために搬送路を切り替えるためのものである。両面プリントの場合には、定着器322を通過後に、フラッパ327が搬送路を切り替え、その後用紙がスイッチバックして下方に記録紙が送られ、両面印刷用紙搬送路330を経て再び二次転写位置320に給送され、両面動作を実現する。
【0032】
続いてフィニッシャ315で行われる動作について説明する。フィニッシャ315では、ユーザに指定された機能に応じ、印刷済み用紙に対して後処理を加える。具体的には、ステープル(1個所・2箇所綴じ)やパンチ(2穴・3穴)、製本中綴じ等の機能を有する。図3の複合機には排紙トレイ328は2つ有り、フィニッシャ315への排紙口324を通過してきた記録紙は、ユーザの設定によって、例えばコピー・プリンタ・FAXの機能毎に排紙トレイを振り分けられる。プリントエンジン313は、カラー4ドラムのプリンタではあるが、カラー1ドラムのエンジンでも良いし、白黒記録のプリンタエンジンでも良いことは言うまでもない。プリンタとして利用される場合、ドライバにより白黒プリント/カラープリント、用紙サイズ、2UP・4UP印刷・N-UP印刷、両面、ステープル、パンチ、製本中綴じ、合紙、表紙、裏表紙などの各種設定が可能である。
【0033】
次に画像印字装置のスキャナ部やプリンタ部、ネットワークインタフェース部の制御を行うコントローラのハード構成の詳細について図4を用いて説明する。
【0034】
メインコントローラ 401は、主にCPU402と、バスコントローラ403、及び各種I/Fコントローラ回路から構成される。
【0035】
CPU402とバスコントローラは、機器全体の動作を制御するものであり、CPU402はROM404からROM I/F405を経由して読込んだプログラムに基いて動作する。また、PCから受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータに展開する動作も、このプログラムに記述されており、ソフトウェアによって処理される。バスコントローラ403は各I/Fから入出力されるデータ転送を制御するものであり、バス競合時の調停やDMAデータ転送の制御を行う。
【0036】
DRAM406はDRAM I/F407によってメインコントローラ401と接続されており、CPU402が動作するためのワークエリアや、画像データを蓄積するためのエリアとして使用される。
【0037】
コーデック408は、DRAM406に蓄積されたラスターイメージデータをMH/MR/MMR/JBIG/JPEG等の方式で圧縮し、また逆に圧縮され蓄積されたコードデータをラスターイメージデータに伸長する。SRAM409はコーデック408の一時的なワーク領域として使用される。コーデック408はI/F410を介してメインコントローラ401と接続され、DRAM406との間のデータの転送は、バスコントローラ403によって制御されDMA転送される。
【0038】
グラフィックプロセッサ424は、DRAM406に蓄積されたラスターイメージデータに対して、画像回転、画像変倍、色空間変換、二値化の処理をそれぞれ行う。SRAM425はグラフィックプロセッサ424の一時的なワーク領域として使用される。グラフィックプロセッサ424はI/Fを介してメインコントローラ401と接続され、DRAM406との間のデータの転送は、バスコントローラ403によって制御されDMA転送される。
【0039】
ネットワークコントローラ411はI/F413によってメインコントローラ401と接続され、コネクタ412によって外部ネットワークと接続される。ネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられる。
【0040】
汎用高速バス415には、拡張ボードを接続するための拡張コネクタ414とI/O制御部416とが接続される。汎用高速バスとしては、一般的にPCIバスがあげられる。I/O制御部416には、スキャナ部201、プリンタ部203の各CPUと制御コマンドを送受信するための調歩同期シリアル通信コントローラ417が2チャンネル装備されている。そして、I/Oバス418によってスキャナI/F回路426,プリンタI/F回路430に接続されている。
【0041】
パネルI/F421は、LCDコントローラ420に接続され、操作部上の液晶画面に表示を行うためのI/Fと、ハードキーやタッチパネルキーの入力を行うためのキー入力I/Fとから構成される。
【0042】
図5に示す操作部501は液晶表示部と液晶表示部上に張り付けられたタッチパネル入力装置と、複数個のハードキーを有する。タッチパネルまたはハードキーにより入力された信号は前述したパネルI/F421を介してCPU402に伝えられ、液晶表示部はパネルI/F421から送られてきた画像データを表示するものである。液晶表示部には、本画像形成装置の操作における機能表示や画像データ等を表示する。
【0043】
リアルタイムクロックモジュール422は、機器内で管理する日付と時刻を更新/保存するためのもので、バックアップ電池423によってバックアップされている。
【0044】
E-IDEインタフェース439は、外部記憶装置を接続するためのものである。本実施例においては、このI/Fを介してハードディスクドライブ438を接続し、ハードディスク440へ画像データを記憶させたり、ハードディスク440から画像データを読み込む動作を行う。コネクタ427と432は、それぞれスキャナ部とプリンタ部とに接続され、同調歩同期シリアルI/F(428,433)とビデオI/F(429,434)とから構成される。
【0045】
スキャナI/F426は、コネクタ427を介してスキャナ部と接続され、また、スキャナバス441によってメインコントローラ401と接続されており、スキャナ部から受け取った画像に対して所定の処理を施す機能を有する。さらに、スキャナ部から送られたビデオ制御信号をもとに生成した制御信号を、スキャナバス429に出力する機能も有する。スキャナバス429からDRAM406へのデータ転送は、バスコントローラ403によって制御される。
【0046】
プリンタI/F430は、コネクタ432を介してプリンタ部と接続され、また、プリンタバス431によってメインコントローラ401と接続されている。そして、メインコントローラ401から出力された画像データに所定の処理を施して、プリンタ部へ出力する機能を有し、さらに、プリンタ部から送られたビデオ制御信号をもとに生成した制御信号を、プリンタバス431に出力する機能も有する。
【0047】
DRAM406上に展開されたラスターイメージデータのプリンタ部への転送は、バスコントローラ403によって制御され、プリンタバス431、ビデオI/F434を経由して、プリンタ部203へDMA転送される。
【0048】
SRAM436は、バックアップ用電池から供給される電源により、装置全体が電源遮断されても記憶内容を保持できる構成となっているメモリであり、バス435を介してI/O制御部と接続されている。EEPROM437も同様にバス435を介してI/O制御部と接続されているメモリである。コントローラのハード構成の詳細は以上である。
【0049】
次に各種印刷設定を行なう操作部について説明する。図5の501に示すような操作部が図4の421のパネルI/Fの先に接続されている。502はユーザが設定した設定値などを取り消すためのリセットキーである。503動作中のジョブを中止させる時に使用するストップキーである。504は置数などの数値入力を行うためのテンキーである。505はタッチパネル式の操作画面であり、具体的には図6で示すような画面を表示する。各種設定をするためのタッチパネルのボタンが多数存在する。506は原稿の読み込みなどジョブをスタートさせるためのスタートキーである。507は設定などをクリアするためのクリアキーである。以上が操作部の各部の説明である。
【0050】
505のタッチパネルに表示される内容について図6を用いて説明する。画面上部に表示されているタグ602は各機能を選択する。左から順に、コピー機能、FAX送信やEメール送信、ファイルサーバへの送信などの送信機能、スキャナ部で読み込んだ画像データを機器内のハードディスクに格納したり、格納されたデータの操作やプリントを行なうことが出来るボックス機能がある。更に右にはネットワーク経由でPCから操作してスキャン画像をPCに取り込むことが出来るリモートスキャナ機能である。各機能のタグを選択することによりそれぞれの詳細設定が出来る画面に遷移する。図示したものはコピー機能の画面である。色モードを選択するボタン603や、倍率指定ボタン604、用紙選択ボタン605、シフトソートやステイプルソートなどフィニッシング指定を行なうソータボタン606、両面指定を行なう両面ボタン607、濃度を指定するバー608がある。さらに、原稿タイプを選択するボタン609、その他各種の応用モードを設定する応用モードボタン610などが配置されている。これらの設定ボタンによる設定が完了していなくても、本発明では原稿台307に原稿がセットされたことを検知するか、DFの原稿有無センサ304で原稿ありと検知された場合には、原稿を所定の位置に搬送して画像読み込み動作を開始する。更に、ユーザの印刷条件の設定と並行して読み込み処理を進めるよう制御する。
【0051】
<プリンタI/Fの画像処理部の説明>
プリンタI/F430の画像処理を担う部分についての詳細な説明を行う。図7はプリンタI/F430の画像処理を担う部分の詳細な構成を示すブロック図である。
【0052】
メインコントローラ401から、プリンタバスを介して送られる画像信号は、まず下地飛ばし部706に入力される。下地飛ばし部706(非線形下地除去部)では、ヒストグラムカウント部804により取得されたヒストグラムから計算された下地レベルか、またはUIにより設定された下地レベルを取得する。そして取得した下地レベルから、適切な下地を飛ばすための演算を実行して入力RGB 値(各8 ビット)を出力R ’G ’B ’(各8 ビット)に変換する。R 、G 、B をスルー出力するか否かをページ全体、または像域フラグにより画素単位で選択できるようにする。
【0053】
画像信号は次にLOG変換部701に入力される。LOG変換部701では、LOG変換でRGB信号からCMY信号に変換する。次にモアレ除去部702でモアレが除去される。703はUCR&マスキング部で、モアレ除去処理されたCMY信号はUCR処理でCMYK信号が生成され、マスキング処理部でプリンタの出力にあった信号に補正される。UCR&マスキング部703で処理された信号はγ補正部704で濃度調整された後フィルタ部705でスムージング又はエッジ処理される。これらの処理を経て、コネクタ432を介してプリンタ部313へと画像が送られる。
【0054】
<スキャナI/Fの画像処理部の説明>
スキャナI/F426の画像処理を担う部分についての詳細な説明を行う。図5はスキャナI/F426の画像処理を担う部分の詳細な構成を示すブロック図である。
【0055】
リーダー部301から、コネクタ427を介して送られる画像信号に対して、つなぎ&MTF補正部801で、CCDが3ラインCCDの場合、つなぎ処理はライン間の読取位置が異なるため、読取速度に応じてライン毎の遅延量を調整し、3ラインの読取位置が同じになるように信号タイミングを補正し、MTF補正は読取速度によって読取のMTFが変るため、その変化を補正する。読取位置タイミングが補正されたデジタル信号は入力マスキング部802によって、CCDの分光特性及びランプ及びミラーの分光特性を補正する。
【0056】
入力マスキング部802の出力はACSカウント部803及びヒストグラムカウント部804およびメインコントローラ401へと送られる。
【0057】
<複写動作タイミング>
本発明を実施する画像形成装置について、FCOTモード時の複写動作タイミングチャートを図1を使用して説明する。
【0058】
本実施例ではFCOT条件の例として、ADFではなく圧板に原稿が置かれている場合、複雑な画像処理設定がされていないこと、複数部数のコピー設定がされていないこと、その他さまざまな条件が考えられる。
【0059】
すでに説明したように、前記[特許文献1][特許文献2]を始めとする従来のFCOT短縮に対する取り組みは、いずれも前記画像形成装置における所定の処理、すなわち
画像形成方法の設定

画像情報の読取り

画像情報の記憶

画像情報の読み出し

画像情報の印刷
の中の、各々の処理時間を短縮するという範疇を超えていなかった。例えば上記特許文献1において開示されている技術は、前記所定の処理過程における 画像情報の記憶時間 画像情報の読み出し時間 を短縮する技術に他ならない。また、特許文献2において開示されている技術は、印刷装置内の画像形成プロセス前の用紙搬送速度を高速化するというものであり、前記所定の処理過程における 画像情報の印刷時間 を短縮する技術と考えることができる。
【0060】
一方、画像形成方法の設定が完了後に画像情報の読取りを行い、さらに読取った画像情報を印刷するという一連の処理は、読取り画像を光学的手段で感光ドラムに導いて静電潜像を形成するアナログ複写機において必然性のあった処理手順に倣っているに過ぎない。
【0061】
ユーザが複写機能を使用する場合、操作パネルにより、片面原稿か両面原稿かなどの原稿の読込パターンの設定や、出力物に対してステイプルや製本などのフィニッシング処理をおこなうかどうか、拡大/縮小などの倍率の設定を行う。さらに、2ページ、4ページといった複数ページの画像情報を1枚の用紙上に縮小レイアウトして印刷するレイアウト指定(以下2UP、4UP印刷と称する)など、実際の画像読込を開始する前にある程度の時間を要することがわかる。しかし従来の画像形成装置における原稿の読み取り処理は、全ての設定が完了してユーザがスタートキーを押下するまでは開始していない。
【0062】
本実施例では、このようなユーザから操作パネルが操作されている間に、画像処理パラメータの設定手段212を先行して起動することで211、FCOTを短縮することが出来る画像形成システムについて説明する。
【0063】
まず最初に、従来の画像形成処理シーケンス、すなわちイメージスキャナにより読取られる原稿の為の印刷条件の設定が、ユーザの操作パネルへの入力により完了した後から、画像処理パラメータの設定手段を起動する例を説明する。
【0064】
本発明に特長的なシーケンスの比較を図1のタイミングチャートを用いて説明する。
【0065】
図1は上下2段にわたって記述されており、上段は従来のシーケンスを、下段は本発明に特長的なシーケンスについて記述されている。
【0066】
図1の縦軸には画像処理手段202、操作手段204の動作を示すコントローラ、原画像入力手段201であるイメージスキャナの動作を示すスキャナ、画像形成手段203であるプリンタの動作を示すプリンタが並んでいる。
【0067】
はじめに図1上段のタイミングチャートを参照しつつ、従来のシーケンスについて説明する。原稿が原稿台、あるいはドキュメントフィーダにセットされる(101)。その後、ユーザによりパネルが操作され、コピー部数の指定やカラーモードの設定やフィニッシング指定などを行なう(102の期間)。全ての設定が完了すると、ユーザによりコピースタートを指示するスタートキーを押下される(103)。
【0068】
スキャナ及びプリンタはスタートキー押下(103)をうけて、光源ランプの点灯や、各種動作前補正、ポリゴンなどのモータ回転の開始、用紙搬送、画像形成ドラムの前回転などの準備を開始する(104,105)。
【0069】
スキャナ準備が完了した時点で、コントローラはスキャナI/F(426)の画像処理設定を行う(106)。画像処理設定(106)が終了した時点で、コントローラは画像読み込みをスキャナに指示し、スキャナは原稿読み込みを実施する(107の期間)
原稿の読み込みおよび入力用画像処理が終了することで、メモリへの格納が終了する(109)
画像処理設定(106)が終了し、プリンタの作像準備(105)が終了した時点で、プリンタI/F(430)の画像処理設定を行う(108)。次にコントローラは画像形成開始をプリンタに指示し、メモリから画像データが読み出しながら、記録紙への画像形成のための出力用画像処理が施される。これと並行してプリンタでは記録紙の搬送タイミングと転送されてくる画像情報の同期を図りながら、画像データに基づいた可視画像を用紙上に形成し(110)、機外へ排出する(111)。
【0070】
次に、本発明に特長的なシーケンスについて、図1の下段に記載したタイミングチャートを参照しながら説明する。本発明に特長的なシーケンスでは、原稿が原稿台、あるいはドキュメントフィーダにセットされる(112)。その後、ユーザによりパネルが操作され、コピー部数の指定やカラーモードの設定やフィニッシング指定などを行なう(113の期間)。全ての設定が完了すると、ユーザによりコピースタートを指示するスタートキーを押下される(116)。
【0071】
この間に、設定されている各種設定は画像形成条件保持手段(209)に保持され、FCOT判定手段(210)が設定さている各種設定がFCOT条件に該当するか判定する(114)。続いてFCOT条件に該当した場合、コントローラは先行してスキャナI/F(426)及びプリンタI/F(430)の画像処理設定を行う(115)。
【0072】
スキャナ及びプリンタはスタートキー押下(116)をうけて、光源ランプの点灯や、各種動作前補正、ポリゴンなどのモータ回転の開始、用紙搬送、画像形成ドラムの前回転などの準備を開始する(117,118)。
【0073】
スキャナ準備(117)が完了し、コントローラはスキャナI/F(426)の画像処理設定(115)が終了した時点で、コントローラは画像読み込みをスキャナに指示し、スキャナは原稿読み込みを実施する(119の期間)
原稿の読み込みおよび入力用画像処理が終了することで、メモリへの格納が終了する(121)
プリンタI/F(430)の画像処理設定(115)が終了し、プリンタの作蔵準備(118)が終了した時点で、コントローラは画像形成開始をプリンタに指示し、メモリから画像データが読み出しながら、記録紙への画像形成のための出力用画像処理が施される。これと並行してプリンタでは記録紙の搬送タイミングと転送されてくる画像情報の同期を図りながら、画像データに基づいた可視画像を用紙上に形成し(120)、機外へ排出する(122)。
【0074】
以上説明したように、従来のシーケンスに対して本発明に特長的なシーケンスでは、図1において符号123で示した時間だけFCOT時間が短縮される。
【0075】
本実施例では、ユーザーにスタートキーが押下される前にFCOT判定を実施しているが、押下後に開始するとしても、画像入出、画像形成手段の準備を開始や準備が終了する前に画像処理設定の開始をおこなう実施の例も考えられる。
【0076】
<FCOT判定手段動作フロー>
続いて本発明の画像形成システムのFCOT判定手段動作フローを、フローチャート図9を参照しつつ説明する。
【0077】
図9のフローチャートは、本発明におけるCopyスタート前にFCOT判定をするフローチャートである。
【0078】
ステップS901にて、操作手段204がユーザ操作を検知し、画像形成条件保持手段209に設定内容を保持する。
【0079】
ステップS902にて、FCOT判定手段210がFCOTモード設定となっているかを判断する。
【0080】
FOCTモードと判定された場合、ステップS903にて、コントローラは起動手段211がFOCT設定で起動する。
【0081】
続いてステップS904にて、起動手段211は画像処理パラメータ設定手段を起動する。
【0082】
ステップS905にてFCOTモード設定ではなく、コピースタートキーが押下された場合にはステップS906に進み、そうで無い場合はステップS901に戻る。
【0083】
コピースタートキーが押下された場合、ステップS906にて、コントローラが画像入力手段201および画像形成手段203に動作準備を指示する。
【0084】
ステップS907にて、FCOTモード設定のままコピーキースタートが押されていた場合ステップS910へ、その他の場合ステップS908へ進む。
【0085】
ステップS908では、コントローラが起動手段211を現在の設定で起動する。
【0086】
続いてステップS909にて、起動手段211は画像処理パラメータ設定手段212を起動する。
【0087】
ステップS910では、コントローラが画像入力手段201および画像形成手段203に動作開始を指示する。
【0088】
続いて本発明の画像形成システムのFCOT判定手段動作フローを、フローチャート図10を参照しつつ説明する。
【0089】
図10のフローチャートは、本発明におけるCopyスタート後にFCOT判定をするフローチャートである。
ステップS1001にて、操作手段204がユーザ操作を検知し、画像形成条件保持手段209に設定内容を保持する。
【0090】
ステップS1002にて、コピースタートキーが押下された場合にはステップS1003に進み、そうで無い場合はステップS1001に戻る。
【0091】
ステップS1003にて、FCOT判定手段210がFCOTモード設定となっているかを判断する。
【0092】
FOCTモードと判定された場合、ステップS1004にて、コントローラは起動手段211をFOCT設定で起動する。
【0093】
続いてステップS1005にて、起動手段211は画像処理パラメータ設定手段を起動する。
【0094】
続いてステップS1006にて、コントローラが画像入力手段201および画像形成手段203に動作準備を指示する。
【0095】
動作準備が終了したら、ステップS1007にて、コントローラが画像入力手段201および画像形成手段203に動作開始を指示する。
【0096】
ステップS1003にてFCOTモードと判定されなかった場合、ステップS1008へと進む。
【0097】
ステップS1008にて、コントローラが画像入力手段201および画像形成手段203に動作準備を指示する。
【0098】
続いてステップS1009にて、コントローラは起動手段211を起動する。
【0099】
続いてステップS1010にて、起動手段211は画像処理パラメータ設定手段を起動して、ステップS1007へ進む。
【0100】
続いて本発明の画像形成システムのFCOT判定手段動作フローを、フローチャート図11を参照しつつ説明する。
【0101】
図11のフローチャートは、本発明におけるアイドル時間の先行設定を説明するフローチャートである。
【0102】
ステップS1101にて、ページ処理が終了し、ジョブが終了した場合ステップS1102へ進み、ジョブがまだ終了していない場合は再度判断する。
【0103】
ステップS1102にて、ジョブ終了時に残存ジョブが全てなくなった場合ステップS1103へ、それ以外の場合はステップS1101へ戻る。
【0104】
ステップS1103では、全てのジョブが終了しアイドルタイムへ入ったため、コントローラは起動手段211をFOCT設定で起動する。
【0105】
続いてステップS1104にて、起動手段211は画像処理パラメータ設定手段を起動する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力をおこなう画像入力手段(201)と、
前記入力手段により入力される画像に対する各種の画像形成条件を設定可能にする操作手段(204)と、
前記入力された画像に対して画像処理を行う画像処理手段(202)と、
前記画像処理手段に対して前記画像形成条件に従って設定を行う画像処理パラメータ設定手段(212)と、
前記画像処理手段により画像処理された画像について画像形成する画像形成手段(203)と、
前記操作手段によって設定される画像形成条件を保持する、画像形成条件保持手段(209)と、
前記画像形成条件がFCOT(Fast Copy Time)動作条件となっているかを判定するFCOT判定手段(210)と、
前記FCOT判定手段によりFCOT動作条件と判断された場合に、前記画像形成手段または前記画像入力手段への準備起動に先行して、前記画像処理パラメータ設定手段を起動する起動手段(211)、
とを具備することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像入力手段は原稿を読み取るスキャナ(301)であり、
前記画像形成手段は用紙上に印刷するプリンタ(313)であり、
画像処理手段とは、スキャナから画像を入力し、プリンタへ画像を出力する画像処理コントローラ(401)であることを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記準備起動とは、スキャナ光源(310)の起動することを意味することを特徴とする、
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記準備起動とは、スキャナ(301)のシェーディング補正を意味することを特徴とする、
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記準備起動とは、モータ起動を意味することを特徴とする、
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記準備起動とは、昇温動作を意味することを特徴とする、
請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記FCOT判定手段(210)は、前記操作手段(204)によってユーザーからの動作開始指示があったときのみでなく、画像形成条件の設定があるたびに判断することを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
画像形成システムにて画像形成がされていない時間に、
FCOT画像形成条件で、前記画像処理パラメータ設定手段(212)を起動することを特徴とする、
請求項1に記載の画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−103635(P2011−103635A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258756(P2009−258756)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】