説明

画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】 耐久による帯電部材表面へのトナー融着や固着を防止し、帯電ムラによる画像ムラを防止し、安定的に、良好なグロス、定着性の良好な画像を得られる画像形成方法を提供すること。
【解決手段】 感光体に帯電部材を接触させて帯電させる工程と、帯電された感光体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、トナー像を形成する現像工程と、転写材への転写工程と、を有する画像形成方法において、
該トナーが、結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を有し、該トナーの損失正接が70〜110℃に極小値1及び極大値1、140〜200℃に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”が1.0×10〜2.0×10dN/mであり、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子にカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が下式を満足する複合粒子を含有する画像形成方法。
5≦Dc≦(G”/1000)+40

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方法、静電記録法等を利用した記録方法に用いられる画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものであり、詳しくは、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像した後、転写材上に転写させて画像形成を行う複写機、プリンター、ファックスに用いられる画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置や静電記録装置等、感光体ドラム等の静電潜像担持体上に所定の潜像を形成し、トナーを用いて画像化する画像形成装置においては、用いる転写材の種類によって得られる定着画像の光沢度(グロス)が変化することがある。これは、転写材表層の凹凸が、定着トナー像の表面平滑性に影響を与えるためである。
【0003】
任意の値にグロスをコントロールする手段としては、最大吸熱ピークや分子量分布を規定し、更に特定の粘弾性特性を有するトナー粒子を用いることで、幅広い温度域で適度なグロスの画像を得る方法がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
そのようなトナー粒子は、「柔らかい」のが、特徴であり、粒子を柔らかくすることで、転写材表層への凹凸への追従性が優れたトナーになり、画像グロスが好適な状態を維持した画像が得られ、転写材とトナーとの密着性(定着性)も向上する(具体的には、定着画像表面を擦った際に転写材からのトナー画像の剥離が低減する)。
【0005】
また、感光体を帯電させる方法として、帯電部材を感光体に接触させて帯電させる接触帯電方法が知られている。例えば、導電性ローラに電圧を印加しながら、ローラを感光体の如き被帯電体に接触させ、被帯電体表面を所定に電位に帯電させるものである。このような接触帯電手段を用いればコロナ放電器と比較して低電圧化が図れ、オゾン発生量も減少することが可能である。
【0006】
帯電部材としての例としては、ゴム弾性を有する半導電性のローラ、ブレード、プレート形状の部材を感光体に押し当てることで、感光体に均一な接触状態を達成させ、帯電を行う帯電部材が挙げられ、トナー等による帯電部材への汚れを抑制させる目的なので、表面層を設けた帯電部材が開示されている。
【0007】
また、帯電部材の表面層の抵抗を調整させる例として、バインダー樹脂中に導電剤を適宜、含有させ、分散させたゴムや塗料等を調製し、塗布することで帯電部材を作製することが知られており、その導電剤として、低コストなカーボンブラックを使用した帯電部材が提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0008】
更に、導電材として、導電性材料で被覆された粒子を用いることで、樹脂中での導電粒子の分散を均一にさせることができ、良好な画像が得られる帯電部材が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
しかしながら、感光体の帯電工程が接触帯電部材によって行われる画像形成方法の場合、クリーニング部等からすり抜けた転写残トナー等が、帯電部材に付着し、汚染し易く、上述したような良好なグロスの画像、定着性の良好な画像が得られる柔らかいトナーを用い、特に感光体の回転速度が速い高速機での使用、高湿高温の環境下で使用した場合、帯電部材と感光体との摺擦、あるいは、機械内部の熱等により、帯電部材に固着・融着してしまい、帯電部材の清掃部材を設けた場合でも除去できず、その部分が高抵抗化してしまい帯電不良が発生するという課題があった。
【特許文献1】特開2001−75305号公報
【特許文献2】特開2004−151638号公報
【特許文献3】特開2004−157720号公報
【特許文献4】特開2004−4785号公報
【特許文献5】特開2004−361565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の如き課題を解決することであり、耐久による帯電部材表面へのトナー融着や固着を防止し、帯電ムラによる画像ムラを防止し、安定的に、良好なグロス、定着性の良好な画像を得ることができる画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に従って、像担持体である支持体上に少なくとも感光層を有する感光体に、導電性支持体と、該支持体上に設けられた弾性層と、最も外側に形成された表面層とを少なくとも有した帯電部材を接触させて帯電させる工程と、
帯電された感光体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に現像してトナー像を形成する現像工程と、
感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写させる転写工程と、
を有する画像形成方法において、
該トナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1及び極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×10〜2.0×10dN/mであり、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とする画像形成方法及びプロセスカートリッジが提供される:
5≦Dc≦(G”/1000)+40
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、耐久による帯電部材表面へのトナー融着や固着を防止し、帯電ムラによる画像ムラを防止し、安定的に、良好なグロス、定着性の良好な画像を得ることができる画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本発明の画像形成方法を実施するために用いることができる具体的な装置の一例を示す。
【0014】
図1において、1は感光ドラムで、その周囲に一次帯電ローラ6、現像器7、転写ローラ8が設けられている。そして感光体1は、感光体に接触する一次帯電ローラ6によって帯電される。そして、レーザー発生装置により露光光Lを感光体1に照射することによって露光される。感光体1上の静電潜像は、現像器7によってトナーで現像され、転写材を介して感光体に当接された転写ローラ8により転写材1上へ転写される。トナー画像をのせた転写材は、搬送ガイドを経て定着器3へ運ばれ転写材上に定着される。また、一部感光体上に残されたトナーは、クリーニング装置2の感光体に接触するクリーニング弾性ブレード4により感光体表面上から除去され、更に、帯電ローラに付着した転写残トナー等の汚染物質は、清掃部材9により帯電部材表面から除去される画像形成方法である。
【0015】
また、図2には図1で示した帯電ローラ6の具体的な一例を示す。図2においては6−1は導電性の支持体、6−2は支持体上に設けられた弾性層、6−3は最も外側に形成された表面層、を有した帯電ローラである。
【0016】
本発明の特徴は、図1で示す現像器7に充填されているトナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1及び極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×10〜2.0×10dN/mであり、帯電ローラの表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が5≦Dc≦(G”/1000)+40の範囲を満足する複合粒子を含有する帯電ローラを用いたことにある。
【0017】
上記、画像形成方法で使用するトナーとしては、少なくとも結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子を含有し、該トナーの損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1及び極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×10〜2.0×10dN/mでなければならない。
【0018】
トナーのG”(140℃)が1.0×10dN/m未満である場合には、転写材表層への凹凸への追従性は優れたトナーとなるものの、トナーが柔らか過ぎて、帯電ローラ表面への融着や固着が防止できない。一方、損失弾性率G”(140℃)が2.0×10dN/mを超える場合には、帯電部材表面への融着や固着は低減するものの、転写材表層への凹凸への追従性に劣るトナーとなり、転写材との定着性が低下してしまうために、保存性の良好な画像を提供することができない。
【0019】
また、本発明に係るトナーでは、損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’との比である損失正接tanδ(=G”/G’)が70℃以上110℃未満に極大値及び極小値を持つことが必要である(以降、この温度範疇における極大値及び極小値をそれぞれ極大値1、極小値1と記す)。
【0020】
この温度範疇におけるtanδの極大値1は、バインダー樹脂がガラス状態から熱変形可能な状態へと転移する温度に相当するものであり、その温度でバインダー樹脂を構成する高分子鎖のミクロブラウン運動が活発化していることを示唆している。また、この温度範疇におけるtanδの極小値1は、その温度でバインダー樹脂が外部から力を加えなくても流動し変形し易い状態にあることを示しており、トナー中の離型剤成分が染み出し易くなっていることを示唆している。従って、tanδが極大値1を取るときの温度は、tanδが極小値1を取るときの温度よりも低くなる。
【0021】
tanδが極大値1を取るときの温度が70℃未満である場合には、トナー粒子が帯電部材との摺擦熱によって容易に変形・破損してしまうため、耐久による帯電部材表面への融着や固着が防止できず、tanδが極小値1を取るときの温度が110℃を超える場合には、離型剤であるワックスの染み出しが効果的に行われず、トナー像の転写材への定着性が低下してしまう。
【0022】
更に本発明に係るトナーでは、tanδが140℃以上200℃未満に極大値を持つことが必要である(以降、この温度範疇における極大値を極大値2と記す)。この温度範疇でtanδが極大値2を持つということは、測定温度上昇に伴い減少してきた貯蔵弾性率G’が、極大値2を示す温度近傍で、その減少割合が緩やかになったことを示している。これはトナーが溶融状態となる温度近傍においてG’の温度依存性を従来のものより小とすることを意味する。
【0023】
従って、転写残トナーが、帯電部材と感光体との接触部分に入り込んでも、その部分での摺擦熱等による急激な温度変化により、帯電部材表面への融着や固着を防止することができる。
【0024】
極大値2が上記温度領域で出現しない場合には、温度上昇に伴いG’が単調に減少しつづけることとなり、帯電部材表面への融着や固着が防止できない。
【0025】
なお、本発明における損失弾性率G”(140℃)及びtanδは、以下の方法により求めたものである。
【0026】
測定装置としては、ARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用いた。下記の条件で、40〜200℃の温度範囲における貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”及びtanδの測定を行った。
・測定冶具:直径8mmの円形パラレルプレートを使用する。アクチュエーター(actuator)側には円形パラレルプレートに対応するシャローカップを使用する。シャローカップの底面と円形プレートの間隙は約2mmである。
・測定試料:トナーを直径約8mm、高さ約2mmの円盤状試料となるよう、加圧成型した後、使用する。
・測定周波数:6.28ラジアン/秒
・測定歪の設定:初期値を0.1%に設定した後、自動測定モードにて測定を行う。
・試料の伸長補正:自動測定モードにて調整する。
・測定温度:40〜200℃まで毎分2℃の割合で昇温する。
【0027】
上記の方法により、40〜200℃の温度範囲において損失弾性率G”を測定した際の140℃における損失弾性率G”の値を、G”(140℃)とした。
【0028】
本発明のトナーの貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の一例について、図3に示し、更に本発明のトナーの損失正接(tanδ)の一例について、図4に示す。
【0029】
また、本発明においては、トナー粒子に含有される結着樹脂の主たる成分がビニル系共重合体であることが好ましい。
【0030】
具体的には、スチレン又はスチレン系単量体から選択される化合物による共重合体、あるいはスチレン又はスチレン系単量体から選択される化合物とアクリル酸エステル類から選択される化合物との共重合体を、該結着樹脂成分のうち50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上含有することである。
【0031】
該化合物を用いることで、画像の細線再現性、濃度安定性等の画像品質を好適な状態に維持することができる。その詳細な理由については不明であるが、ビニル系共重合体が有する帯電特性、環境安定性、脆性等の物性が総合的に作用して、現像性、転写性を同等のレベルに維持するためであるものと推察される。
【0032】
本発明においては、該トナーの平均円形度が0.960〜0.995であることが好ましい。
【0033】
平均円形度は、1.000に近いほうが未定着画像においてトナー粒子間の空隙が少なく、トナー粒子全体に均一に熱が伝わり易いのに対して、トナー粒子が歪である場合には未定着画像におけるトナー粒子間の空隙にばらつきが生じ、トナー粒子への熱の伝わり方が不均一となるため定着性が低下し易い。
【0034】
本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」を用いて測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円径度(a)を下式(1)によりそれぞれ求め、更に下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を、全粒子数(m)で除した値を平均円形度(a)と定義する。
【0035】
【数1】

【0036】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子から得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式より求められる平均円形度の誤差は、非常に少なく、実質的に無視出来る程度のものである。そのため、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出式を用いてもよい。
【0037】
測定手段としては以下の通りである。界面活性剤を約0.1mg溶解している水10mlにトナー5mgを分散させて分散液を調製し、超音波(20kHz、50W)を分散液に5分間照射し、分散液濃度を5000〜2万個/μlとして前記装置により測定を行い、3μm以上の円相当径の粒子群の平均円形度を求める。
【0038】
本発明における平均円形度とは、現像剤の凹凸の度合いの指標であり、現像剤が完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。なお、本測定において3μm以上の円相当径の粒子群についてのみ円形度を測定する理由は、3μm未満の円相当径の粒子群には、トナー粒子とは独立して存在する外部添加剤の粒子群も多数含まれるため、測定対象を3μm未満に広げた場合には、その影響によりトナー粒子群についての円形度が正確に見積もれないからである。
【0039】
本発明に記載のG”(140℃)及びtanδの値が好適なものであるトナーを得るためには、結着樹脂の分子量分布を調整する方法がある。特にゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)測定における重量平均分子量(Mw)を調整する方法が効果的である。具体的には、結着樹脂合成時の反応温度を調整する、開始剤種及び開始剤添加量を好適なものとする等の方法が挙げられる。
【0040】
また、結着樹脂中に粗い架橋構造を持たせ、定着温度近傍におけるG’の温度勾配を緩やかにすることによっても、本発明における物性を好適なものとすることが出来る。具体的には、分子量200〜300前後で両末端に二重結合を有する化合物を架橋成分として導入する、あるいは重合法によるトナー製造において金属化合物を重合反応初期に加え、単量体液滴中でごく弱い金属架橋反応を進行させる等の方法が挙げられる。
【0041】
本発明に係わるトナーは、粉砕法によって製造することも可能であるが、この粉砕法で得られるトナー粒子は一般に不定形のものであり、本発明に係わるトナーの好ましい要件である平均円形度が0.960〜0.995という物性を得るためには機械的・熱的あるいは何らかの処理を行うことが必要となる。
【0042】
そこで、本発明においては、トナー粒子を水中にて製造することが好ましく、更には重合法により製造することがより好ましい。重合によるトナーの製造法としては、直接重合法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化会合重合法及びシード重合法等が挙げられるが、これらの中では、粒径と粒子形状のバランスのとり易さという点で、特に懸濁重合法により製造することが好ましい。この懸濁重合法においては、重合性単量体に着色剤(更に必要に応じて重合開始剤、架橋剤、荷電制御剤、その他の添加剤)を均一に溶解又は分散せしめて単量体組成物とした後、この単量体組成物を分散安定剤を含有する連続層(例えば水相)中に適当な撹拌器を用いて分散し、そして重合反応を行わせ、所望の粒径を有するトナーを得るものである。この懸濁重合法でトナーを製造する場合には、個々のトナー粒子形状がほぼ球形に揃っているため、平均円形度が0.960〜0.995という要件を満たすトナーが得られ易く、更にこういったトナーは帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有している。
【0043】
更に、懸濁重合して得られた微粒子に再度、重合性単量体と重合開始剤を添加して表面層を設けるコア・シェル構造を有するトナーも必要に応じて設計することが可能である。
【0044】
また、本発明においては、必要に応じて、トナー粒子表面に外添剤として一般に知られている各種微粉末を添加することが出来る。
【0045】
本発明に使用される外添剤は、公知の無機微粉体あるいは樹脂粒子が用いられるが、帯電安定性、現像性、流動性、保存性向上のため、シリカ、アルミナ、チタニアあるいはその複酸化物の無機微粉体中から選ばれることが好ましい。
【0046】
また、本発明に用いられる外添剤は、必要に応じ、疎水化や帯電性制御等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物等の処理剤で、あるいは、種々の処理剤で併用して処理されていることも可能である。また外添方法としては、ヘンシェルミキサー等の従来公知の方法が利用できる。
【0047】
上記に記載したトナーを用いる場合、帯電部材の表面層に含有される導電材としては、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が5≦Dc≦(G”/1000)+40を満足する複合粒子を含有することを特徴とする帯電部材でなければならない(図5の■で囲んだ斜線の部分)。
【0048】
カーボンブラックを、コア粒子の表面に被覆させることで、複合粒子の表面に層状の状態でカーボンブラックが存在することができる。そのために、帯電部材の表面層にカーボンブラック自体で分散させた表面層よりも、カーボンのへきかい性により、滑り性、離型性が増し、トナーによる表面層への融着や固着が低減できる。
【0049】
更に、複合粒子にすることで、カーボンブラックのみを表面樹脂中に分散させるよりも、より均一に樹脂中に分散させることが可能になり、帯電部材表面に不均一ではなく、均一に存在させることができるようになり、複合粒子の存在している部分と、存在していない部分の偏りによる融着や固着を防止できる。
【0050】
しかしながら、上述したような特性のトナーを用いた場合、トナーが柔らかいために、高速機や高湿高温の環境下での使用の場合、帯電部材の表面への融着や固着が発生し易いために、単に複合粒子を表面層に含有させた帯電部材では防止できなかった。
【0051】
そのために、鋭意、検討した結果、複合粒子の個数平均粒径DcをトナーのG”と比較して、5≦Dc≦(G”/1000)+40の範囲でなければならないことを見出した。複合粒子の個数平均粒径Dcが5nm未満であると、均一に分散することができず、固着や融着ムラが発生してしまい、逆に、複合粒子の個数平均粒径が、(G”/1000)+40を超えると、融着や固着が発生してしまう。
【0052】
上記の範囲である明確な理由は不明であるが、類推すると、複合粒子の個数平均粒径が、小さいと、表面層に均一に分散された場合、表面近傍の複合粒子による表面層の微小な凹凸により、トナーとの接触面積が低下、またトナー1個当たりと接触する複合粒子の個数が多くなるために、トナーに対する滑り、離型性が増すために、固着や融着を防止できる、更に複合粒子によって、表層の複合粒子の分散の不均一差、偏りが少ないために、固着や融着ムラを防止できるのではないかと推察される。
【0053】
更に、より好ましい範囲は、複合粒子のDcが10≦Dc<(G”/2000)+20である(図5の斜線の部分内の◆で囲んだ部分)。
【0054】
また、表面層に含有される複合粒子が、表面層に使用される結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下であることが好ましい。120質量部を超えると、表面層の膜強度が低下し、耐久により膜の剥がれ、損傷が発生し易く、10質量部未満では、複合粒子によるトナー融着や固着の効果が発揮され難い。
【0055】
本発明におけるコア粒子Aは、樹脂粒子、金属粒子及び金属酸化物粒子等の種々の粒子が使用できるが、より好ましくは、カーボンブラックの被覆性、粒子の分散性の観点から金属酸化物粒子aであり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウム等が挙げられ、その中でも好ましいのではシリカ微粒子である。
【0056】
更に、コア粒子Aが表面処理されていることが好ましい。表面処理を施すことにより、コア粒子とカーボンブラックをより強固に付着させることができ、複合粒子を樹脂中に分散させる際に、カーボンブラックの離脱を防止することができ、表層に分散させた際により複合粒子としての効果が発揮されるので、好ましい。
【0057】
表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤、オリゴマー又は高分子化合物の一種又は二種以上を用いることができる。より好ましくは有機ケイ素化合物である。
【0058】
本発明における有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物、ポリシロキサン、変成ポリシロキサン、末端変成ポリシロキサン並びにフルオロアルキルシラン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0059】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0060】
表面処理剤の被覆量は、コア粒子Aに対して0.01〜15.0質量%が好ましい。0.01質量%未満の場合には、コア粒子Aに対してのカーボンブラックを付着させることが困難であることがある。15.0質量%を超えると、処理剤によりコア粒子同士が凝集してしまい、カーボンブラックの被覆を阻害し易くなる。
【0061】
本発明におけるコア粒子Aへの表面処理方法は、コア粒子Aと表面処理剤又は表面処理剤の溶液とを機械的に混合攪拌(ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル及びパールミル等の従来公知の溶液分散手段等)したり、コア粒子Aに表面処理剤又は表面処理剤の溶液を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。そして、必要に応じて表面処理後の粒子に更に粉砕処理を施してもよい。
【0062】
コア粒子Aに被覆するカーボンブラックは、ファーネスブラック、ケッチェンブラック又はチャンネルブラック等が好ましく用いられる。より具体的には、電気化学(株)製粒状アセチレンブラック、旭カーボン(株)製「HS−500」、「アサヒサーマルFT」、「アサヒサーマルMT」、ライオンアグゾ(株)製「ケッチェンブラック」、キャボット(株)製バルカンXC−72、キャボット社の「REGAL 400R」、「MONARCH 1300」、Degussa社の「Color Black FW200」、「SPECIAL BLACK 4」、「PRINTEX150T」、「PRINTEX140T」、「PRINTEX U」及び三菱化学(株)製「MA100」等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0063】
コア粒子にカーボンブラックを被覆させる方法としては、コア粒子Aとカーボンブラック、表面処理されているコア粒子Aとカーボンブラックとの混合攪拌をするために、機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機又はロール型混練機を用いることができ、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。そして、必要に応じて、混合攪拌後、更に乾燥、熱処理を行ってもよい。
【0064】
また、この被覆層は必ずしもコア粒子を完全に被覆する必要は無く、本発明の効果が得られる範囲でコア粒子が露出していてもよい。つまり被覆層が不連続に形成されていてもよい。
【0065】
更に、表面層には、比誘電率が50以上300以下の金属酸化物粒子bが含有されていることが好ましい。比誘電率が50未満では、帯電ゴーストへの効果が現われ難く、300を超えると帯電過多による異常放電が発生し易くなる。
【0066】
誘電率の高い粒子を含有させることにより、帯電部材の誘電率が高くなり、感光体の一周前の電位の影響を受けた帯電ゴーストと呼ばれる帯電不良を低減することができる。
【0067】
粒子の比誘電率抵抗測定は、錠剤法により測定した。即ち、底面積2.26cmの円筒内に粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に1Vpp、1MHzの電圧を印加し交流電流を測定し、その後正規化して比誘電率を算出した。
【0068】
比誘電率が50以上300以下の粒子としては、一般式MO・TiO(式中、MはBa、Sr、Ca、Mg、Co、Pb、Zn、Be及びCdからなる群より選ばれる一種又は二種以上)で表わされるチタン酸金属塩化合物(例えばチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム及びチタン酸バリウムカルシウム等)が挙げられ、中でも安定で高い誘電率を示し入手が容易なため好ましく用いられるのがルチル型の酸化チタン粒子である。
【0069】
本発明における複合粒子、金属酸化物微粒子a,bの平均粒径については、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個の粒径を測定して、その平均を求められる。
【0070】
また、表面層には表面形状を制御する方法として、本発明の効果を失わない程度であれば、個数平均粒径で0.5μm〜25μm程度の樹脂粒子等の粗し材を添加、含有させても構わない。
【0071】
粗し材としての樹脂粒子としては、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エポキシ樹脂及びこれらの共重合体や変性物、誘導体等の樹脂粒子や、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム等のゴム微粒子や、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー微粒子が挙げられる。
【0072】
また、その他に、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、タルク、カオリンクレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラスビーズ、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、中空ガラス球、黒鉛、もみ殻、有機金属化合物及び有機金属塩等の粒子を挙げることができる。
【0073】
表面層に使用される材料としては、従来から知られている、例えば、樹脂、ゴム、熱可塑性エラストマー等のエラストマーを結着材料として用いた層等が挙げられる。
【0074】
樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。
【0075】
ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理をしてもよい)や合成ゴムが挙げられ、合成ゴムとしては、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム及びエピクロルヒドリンゴム等が挙げられる。
【0076】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0077】
これらは、単独で用いてもよいし、混合又は共重合体として2種以上用いてもよい。
【0078】
帯電部材の支持体としては、導電性を有していればよく(導電性支持体)、例えば、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム又はニッケル等の金属性(合金製)の支持体を用いることができる。また、これらの表面に耐傷性付与を目的として、導電性を損なわない範囲で、メッキ処理等を施してもよい。
【0079】
本発明においては、帯電部材の表面に接触する清掃部材を設けたほうが好ましい。帯電部材の表面に接触する清掃部材を設けることで、複合粒子を含有した表面層と、その表面に付着したトナーの清掃・除去効果がより増大し、トナーの固着や融着が低減させることができる。
【0080】
清掃部材としての形態は、特に限られないが、繊維を用いたブラシ、スポンジロール、パッド及び樹脂シート等が挙げられる。更に好ましい清掃部材は、帯電ローラ長手方向に往復移動可能な清掃部材である。
【0081】
また、本発明においては、画像形成方法を形成する、感光体、帯電手段(帯電部材)、現像手段(トナー)及びクリーニング手段等の構成要素のうち、帯電手段を含む複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを上述の画像形成方法を用いる、複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
【0082】
例えば、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段の少なくとも1つを感光体と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体に設けられたレール等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとし、装置本体に設置された転写ローラ、定着器を経て、画像形成を行うことができるプロセスカートリッジの形態としてもよい。
【実施例】
【0083】
以下に本発明の実施例を具体的に示すが、これらに限られるものではない。
【0084】
まず本発明の画像形成方法に使用されるトナー、帯電ローラについての例を示す。
【0085】
(トナー製造例1)
70℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0086】
一方、
・スチレン 80質量部
・n−ブチルアクリレート 15質量部
・1,3−ブタンジオールジメタクリレート 0.3質量部
・飽和ポリエステル樹脂 4.5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を70℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)9質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)3質量部を溶解した。
【0087】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、70℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、スチレン5質量部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)1質量部の混合物を加え、更に10,000rpmで1分間撹拌した。
【0088】
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で6時間反応させた。その後、液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0089】
上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.6μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体0.7質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー1を得た。トナー1の物性を表1に示す。
【0090】
(トナー製造例2)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0091】
一方、
・スチレン 80質量部
・n−ブチルアクリレート 15質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
・ベヘン酸ベヘニルを主体とするエステルワックス 14質量部
(DSC測定における最大吸熱ピーク72℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
【0092】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、スチレン5質量部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)1.7質量部の混合物を加え、更に10,000rpmで1分間撹拌した。
【0093】
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0094】
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.3質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー2を得た。トナー2の物性を表1に示す。
【0095】
(トナー製造例3)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0096】
一方、
・スチレン 86質量部
・n−ブチルアクリレート 14質量部
・ジビニルベンゼン 0.5質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
・ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス 1.5質量部
(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
【0097】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、トルエン5質量部、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)2質量部の混合物を加え、更に10,000rpmで1分間撹拌した。
【0098】
その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0099】
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。このトナー粒子100質量部と、BET値が150m/gであり、一次粒径が30nmの酸化チタン微粉体0.7質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー3を得た。トナー3の物性を表1に示す。
【0100】
(トナー製造例4)
60℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0101】
一方、
・スチレン 83質量部
・n−ブチルアクリレート 17質量部
・飽和ポリエステル樹脂 5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
・フィッシャートロプシュワックス FT−100 22質量部
(日本精鑞株式会社製 DSC測定における最大吸熱ピーク88℃)
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を60℃に加温し、これに重合開始剤ラウロイルパーオキサイド(10時間半減期62℃)4質量部を溶解した。
【0102】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0103】
上記粒子を45℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.7μmの着色粒子を得た。この着色粒子137質量部に対して、サリチル酸アルミニウム化合物(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)2質量部をブレンダーにて混合し、110℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミル衝突式ジェットミル(日本ニューマチック工業社製)で微粉砕した。得られた微粉砕物を分級して重量平均粒径7.7μmのトナー粒子を得た。
【0104】
このトナー粒子100質量部と、BET値が150m/gであり、一次粒径が30nmの酸化チタン微粉体0.7質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー4を得た。トナー4の物性を表1に示す。
【0105】
(トナー製造例5)
70℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0106】
一方、
・スチレン 91質量部
・n−ブチルアクリレート 4質量部
・ジビニルベンゼン 0.3質量部
・飽和ポリエステル樹脂 4.5質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を70℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス(DSC測定における最大吸熱ピーク67℃)9質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(10時間半減期温度67℃)3質量部を溶解した。
【0107】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、70℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサーにて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。所定時間経過後、スチレン5質量部を加え、更に10,000rpmで1分間撹拌した。
【0108】
その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、70℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0109】
上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.6μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体1.3質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー5を得た。トナー5の物性を表1に示す。
【0110】
(トナー製造例6)
(6−1.トナーバインダー6の合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸276質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃、8時間反応させた後、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させた。これを160℃まで冷却して、32質量部の無水フタル酸を加え2時間反応させた。更に、これを80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート188質量部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次に、このプレポリマー(1)267質量部とイソホロンジアミン14質量部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。
【0111】
上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、テレフタル酸276質量部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応して、ピーク分子量5000の変性されていないポリエステル(a)を得た。
【0112】
ウレア変性ポリエステル(1)200質量部と変性されていないポリエステル(a)800質量部を酢酸エチル/エチルメチルケトン(MEK)(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解、混合し、トナーバインダーの酢酸エチル/MEK溶液を得た。一部減圧乾燥し、トナーバインダーを単離した。Tgは62℃であった。
【0113】
(6−2.トナー粒子の作製)
ビーカー内に前記トナーバインダーの酢酸エチル/MEK溶液300質量部、ステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス9質量部、サリチル酸アルミニウム化合物1質量部(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)とシアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を6質量部入れ、TK式ホモミキサーで60℃、12000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(商品名:スーパタイト10、日本化学工業(株)製)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーで12000rpmに撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。次いで、この混合液を撹拌棒及び温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、体積平均粒径が6.4μmの着色粉体(トナー粒子)を得た。
【0114】
このトナー粒子100質量部と、シリコーンオイルで処理したBET値が200m/gであり、一次粒径が12nmの疎水性シリカ微粉体2.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー6を得た。トナー6の物性を表1に示す。
【0115】
(トナー製造例7)
73℃に加温したイオン交換水900質量部にリン酸三カルシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を得た。
【0116】
一方、
・スチレン 80質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・ジビニルベンゼン 0.5質量部
・エチレングリコールジアクリレート 2.1質量部
・飽和ポリエステル樹脂 1.0質量部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=62℃、Mn=17000、Mw/Mn=2.4)
・サリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
(商品名:ボントロンE−88、オリエント化学社製)
・C.I.ピグメントブルー15:3 10質量部
上記処方をアトライター(三井三池化工機(株))を用いて均一に分散混合した。この単量体組成物を73℃に加温し、そこにステアリン酸ステアリルを主体とするエステルワックス0.7質量部を添加混合溶解し、これに重合開始剤2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル2質量部を溶解した。
【0117】
前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、73℃、N雰囲気下においてTK式ホモミキサー(特殊機化工業(株))にて10,000rpmで7分間撹拌し、造粒した。その後パドル撹拌翼で撹拌しつつ、73℃で6時間反応させた。その後液温を80℃とし更に4時間撹拌を続けた。反応終了後、室温(25℃)まで冷却された懸濁液に塩酸を加えて燐酸カルシウム塩を溶解し、濾過・水洗を行い、湿潤着色粒子を得た。
【0118】
次に、上記粒子を40℃にて12時間乾燥して重量平均粒径7.0μmの着色粒子(トナー粒子)を得た。このトナー粒子100質量部と、BET値が150m/gであり、一次粒径が30nmの酸化チタン微粉体0.7質量部とをヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株))で混合して、トナー7を得た。トナー7の物性を表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
(複合粒子の作製例1)
シリカ微粒子(平均粒子径20nm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン140gを、エッジランナーを稼動させながらシリカ微粒子に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で45分間混合攪拌を行った。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。
【0121】
次に、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら15分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で90分間混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆シリカ微粒子表面にカーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−1は、平均粒径が18nmであった。
【0122】
(複合粒子作製例B−2〜B−7)
シリカ微粒子の粒径を変更し、複合粒子の平均粒径を下記の表2に示すように変えた以外は、複合粒子B−1と同様にして複合粒子B−2〜B−7を得た。
【0123】
(複合粒子作製例B−8)
シリカ微粒子(平均粒子径20nm)7.0kgに、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で90分間混合攪拌を行い、カーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−8は、平均粒径が18nmであった。
【0124】
(複合粒子製造例B−9)
アナターゼ型酸化チタン微粒子(平均粒径18nm)14.0kgに、カーボンブラック粒子(粒子径15nm)7.0kgを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で60分間混合攪拌を行い、カーボンブラックを付着させた後、乾燥機を用いて80℃で45分間乾燥を行い、複合粒子を得た。なお、この時の攪拌速度は22rpmで行った。得られた複合粒子B−9は、平均粒径が22nmであった。
【0125】
【表2】

【0126】
(帯電部材の弾性層の製造例)
全長253mmのステンレス製芯金を支持体(導電性支持体)を用意し、これに、熱硬化性の導電性接着剤を塗布し、乾燥させた。
【0127】
次に、エピクロルヒドリンゴム三元共重合体100質量部、炭酸カルシウム45質量部、脂肪族ポリエステル系可塑剤8質量部、ステアリン酸亜鉛1質量部、老化防止剤0.5質量部、酸化亜鉛5質量部、四級アンモニウム塩2質量部、及び、カーボンブラック(平均粒径:25nm、体積抵抗率:0.5Ω・cm)4質量部を、50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調製した。この原料コンパウンドに、上記エピクロルヒドリンゴム三元共重合体に対して1質量%の硫黄(加硫剤)、2質量%の加硫促進剤を添加し、20℃に冷却した二本ロール機にて10分間混練して、弾性層用コンパウンドを得た。
【0128】
接着剤を塗布した支持体上に、両端8.0mm部分以外に、全長237mmの長さに、この弾性層用コンパウンドを押し出し成型機にて押し出し、外径が約14mmのローラ形状になるように成型し、次いで、電気オーブン中で160℃で1時間、加硫及び接着剤の硬化を行った後、ゴムの全長が232mmになるようにゴムの両端部を突っ切り、外径が12mmのローラ形状になるように表面の研磨加工を行って、支持体上に弾性層を形成した。このときクラウン量(中央部と中央部から100mmは離れた位置の外径の差)は100μmとした。
【0129】
(帯電部材製造例1)
カプロラクトン変性アクリルポリオール溶液(商品名:プラクセルDC2016、ダイセル化学工業(株)製)にメチルイソブチルケトンを加え、固形分が13質量%となるように調整した。
【0130】
この溶液500質量部(ポリオールは65質量部)に対して更に、複合粒子B−1:30質量部、変性ジメチルシリコーンオイル(商品名;SH28PA、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)0.08質量部と、HDI(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)とIPDI(商品名:ベスタナートB1370、デグサ・ヒュルス製)の各ブタノンオキシムブロック体の1:1の混合物:35質量部を入れ混合溶液を調整した。このとき、HDIとIPDIの混合物は、「NCO/OH=1.0」となるように添加した。
【0131】
450mlのガラス瓶に上記混合溶液250質量部と、メディアとしての平均粒径0.8mmのガラスビーズ200質量部を混合し、ペイントシェーカー分散機を用いて10時間分散し、分散溶液を得た。
【0132】
この表面被覆層用塗布液を、弾性層上に1回ディッピング塗布し、常温で30分間以上風乾し、次いで80℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥し、更に160℃に設定した熱風循環乾燥機にて1時間乾燥して、弾性被覆層上に表面被覆層を形成した。なお、ディッピング塗布引き上げ速度は、初期速度が20mm/s、最終速度は2mm/sになるように速度調節し、20mm/sから2mm/sの間は、時間に対して直線的に速度を変化させた。
【0133】
このようにして、支持体上に弾性層及び表面層をこの順に有する帯電部材P1を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0134】
(帯電部材製造例2〜13)
帯電部材製造例1の複合粒子の種類、含有量を表3に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電部材2〜13を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0135】
(帯電部材製造例14)
(金属酸化物微粒子の作製)
ルチル型酸化チタン微粒子(平均粒径15nm)を1000質量部、表面処理剤としてイソブチルトリメトキシシランを110質量部、溶媒としてトルエンを3000質量部、それぞれ配合してスラリーを調製した。
このスラリーを、攪拌機で30分間混合した後、有効内容積の80%が平均粒子径0.8mmのガラスビーズで充填されたビスコミルに供給し、温度35±5℃で湿式解砕処理を行った。
【0136】
湿式解砕処理して得たスラリーは、ニーダーを用いて減圧蒸留(バス温度:110℃、製品温度:30〜60℃、減圧度:約100Torr)によりトルエンを分離し、120℃で2時間表面処理剤の焼付け処理を行った。焼付け処理後の微粒子は、室温まで冷却した後、ピンミルを用いて粉砕した比誘電率114の酸化チタン微粒子を調製した。
【0137】
上記酸化チタン微粒子を更に添加し、含有量を表3に示したように変更した以外は、製造例1と同様にして帯電部材14を作製した。表3に帯電部材の処方を示す。
【0138】
【表3】

【0139】
<実施例1〜20及び比較例1〜8>
本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置として、レーザービームを用いた有機感光体デジタルプリンター(キヤノン社製:LBP5500、スピードは、A4サイズで毎分17枚出力)を用意した。該装置の概略は、4つのトナーカートリッジを備えたタンデム型のカラープリンターであり、それぞれのトナーカートリッジに、感光体の帯電手段として帯電ローラを備え、帯電ローラの清掃として、カプトンシートを常時当接させる清掃部材を備え、現像手段として現像担持体上の現像剤と感光体が接触する、一成分接触現像方法を採用した現像器を備え、転写手段として転写ベルトを備え、ブレードクリーニング手段、帯電前露光手段を備える。
【0140】
上記画像形成装置を、A4サイズで毎分22枚出力できるようにスピードを増した機械に改造し、帯電ローラの清掃部材を取り外しを可能にし、評価に用いるカートリッジはシアンカートリッジを用いた。市販のシアンカートリッジから製品トナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、本発明によるトナーを充填して評価を行った。
【0141】
なお、マゼンタ、イエロー、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたマゼンタ、イエロー、及びブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
【0142】
上記画像形成装置を用いて、以下に示す評価方法に従い評価を行った。
【0143】
<評価1>
35℃/85%RH環境下で、画像比率5%のA4の画像を連続で7000枚耐久を行い、耐久後に、感光体のみを未使用状態な新規な感光体に交換し、環境を15℃/10%RH環境下に移して、24時間放置後、現像バイアスの直流電圧成分を、現像位置での感光体上電位と、ほぼ同じにして、画像露光を行わないで、ハーフトーン濃度の画像(アナログハーフトーン)の画出しと通常のハーフトーン、ベタ白画像の画出しを行い、帯電ローラの表面へのトナー融着や固着による汚れを、以下の評価項目に従い評価を行った。
◎:アナログハーフトーンで、ポチ、斑点状の帯電不良の発生はなく、均一な画像が得られた。
〇:アナログハーフトーンで僅かにポチ状の帯電不良が発生も、通常のハーフトーン画像では問題のない画像が得られた。
〇△:アナログハーフトーンでポチ、斑点状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像でもポチ状の帯電不良が発生したが、ベタ白画像は問題なかった。
△:アナログハーフトーンでポチ、斑点状の帯電不良が発生し、ベタ白画像でもポチ状の帯電不良が発生した。また、帯電ローラ表層に傷が発生し、スジ状の帯電不良が発生した。
×:アナログハーフトーンでスジ状、ムラ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像、またベタ白画像でも斑点状、ポチ状の帯電不良によるカブリ画像の画像不良が多数、発生した。
【0144】
<評価2>
評価1と同様に7000枚耐久後に、画像摺擦性の評価として、転写材に、A4サイズの三一牌複印紙(中性)(普通紙、三一牌複印紙社製、70g/m)を用い、ベタ画像部5点について、50g/cmの荷重をかけたシルボン紙で5回摺擦し、摺擦後の画像濃度低下率の相加平均値を求め、以下の基準に基づき評価した。
【0145】
なお、画像濃度の測定については「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて行った。
◎:濃度低下率が2%未満である
〇:濃度低下率が2%以上、5%未満である。
△:濃度低下率が5%以上、10%未満である。
×:濃度低下率が10%以上である。
【0146】
<評価3>
15℃/10%RH環境下で、画像チャートで、画像先端ドラム1周分がベタ黒で、それ以降の部分がハーフトーンであるA3画像画出しを行い、ゴースト画像の評価を以下の評価項目に従い評価を行った。
◎:ハーフトーン部分の画像が均一で濃度差がほとんど見られない。
〇:ベタ黒直後からドラム1周分のハーフトーン画像濃度と、それ以降のハーフトーン画像濃度に少し差が見られ、濃度の段差も確認できるレベル。
【0147】
以下の図6に実施例と比較例で評価した帯電部材とトナー粘弾性のポイントと、以下の表4に、実施例と比較例の耐久に使用したトナー、帯電部材、評価結果を示す。
【0148】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の具体的な画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】帯電ローラの一例を示す図である。
【図3】本発明で用いるトナーの貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”の一例である。
【図4】本発明で用いるトナーの損失正接(tanδ)の一例である。
【図5】トナーの損失弾性率G“と複合粒子の平均粒径Dcの相関関係を示す図である。
【図6】実施例と比較例で評価した、帯電部材の表面層に含有される複合粒子の平均粒径Dcと、トナーの損失弾性率G”の点を示す図である。
【符号の説明】
【0150】
1 電子写真感光体(感光体ドラム)
2 クリーニング装置
3 定着器
4 クリーニング弾性ブレード
5 転写材
6 一次帯電ローラ
6−1 導電性支持体
6−2 弾性層
6−3 表面層
7 現像器
7−1 現像スリーブ
7−2 現像材撹拌装置
8 転写ローラ
9 一次帯電ローラ清掃部材
L 露光光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体である支持体上に少なくとも感光層を有する感光体に、導電性支持体と、該支持体上に設けられた弾性層と、最も外側に形成された表面層とを少なくとも有した帯電部材を接触させて帯電させる工程と、
帯電された感光体に、静電潜像を形成させる静電潜像形成工程と、
トナー担持体上に担持させたトナーを該静電潜像に現像してトナー像を形成する現像工程と、
感光体上に形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに、転写材に転写させる転写工程と、
を有する画像形成方法において、
該トナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1及び極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×10〜2.0×10dN/mであり、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とする画像形成方法:
5≦Dc≦(G”/1000)+40
【請求項2】
前記複合粒子の個数平均粒径Dcが10≦Dc<(G”/2000)+20である請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記トナーの平均円形度が0.960〜0.995である請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記表面層に含有される複合粒子が、表面層に使用される結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上120質量部以下である請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記コア粒子Aがシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム及びジルコン酸カルシウムからなる群より選ばれる金属酸化物微粒子aである請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記コア粒子Aが有機ケイ素化合物で表面処理されている請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記帯電部材の表面層に更にチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム及びルチル型の酸化チタン粒子からなる群より選ばれる比誘電率が50以上300以下の金属酸化物微粒子bを含有する請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記帯電部材の表面に接触し、帯電部材の表面を清掃するための清掃部材が設けられている請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記トナー粒子に含有される結着樹脂の主たる成分がビニル系共重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
電子写真感光体と、該感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することにより該感光体を帯電する帯電手段とを有し、トナー担持体上に担持させたトナーを静電潜像に現像してトナー像を形成する現像手段、クリーニング手段及び転写手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段が、帯電手段と一体に支持され、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
該トナーが、結着樹脂と着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するトナーであって、該トナーの損失正接(tanδ)が70℃以上110℃未満に極小値1及び極大値1を有し、140℃以上200℃未満に極大値2を有し、該トナーの140℃における損失弾性率G”(140℃)が1.0×10〜2.0×10dN/mであり、
該帯電部材の表面層に導電粒子として、コア粒子Aにカーボンブラックを被覆した個数平均粒径Dc(nm)が以下の式の範囲を満足する複合粒子を含有することを特徴とするプロセスカートリッジ:
5≦Dc≦(G”/1000)+40

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−330370(P2006−330370A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153995(P2005−153995)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】