画像形成方法及び画像形成装置
【課題】 超小粒径トナーを用いながらも優れた現像性が得られ、その結果、オフセット印刷並みの高画質の可視画像と、画像部間および画像部に光沢むらのない画像を提供できる画像形成方法及び画像形成装置を具現化することである。
【解決手段】 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法である。
【解決手段】 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮明で高画質の可視画像を形成することのできる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式による画像形成において、オフセット印刷と同等の高画質の可視画像を形成するために、小粒径トナーあるいは体積平均粒径で5μm以下の超小粒径トナーを用いる技術が提案されている。
【0003】
例えば、小粒径トナーを用いた二成分現像法で、キャリアの条件(粒径、抵抗)で最適な現像性を示す技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、トナーは粒径が小さくなるに伴ってファンデルワールス力が支配的となるために、従来粒径のトナーに比べてキャリアとの付着力が大きくなる。このため、公知である磁気ブラシ現像法で現像しようとしても十分な現像性が得られず、画像濃度不足、横線の細りなどが発生する場合があった。また、十分な現像量を得るために例えば現像ロールの線速度を極端に大きくすると、 感光体(像担持体)にキャリアが付着する現象(キャリア付着)や、キャリアが飛散する現象(キャリア飛散)が発生し画像欠陥を引き起こす場合があった。
【0004】
非磁性一成分現像方式の場合も、トナーに均一に電荷を付与するには帯電付与のためのブレード等と擦る必要があるが、小粒径トナーになると単位重量あたりの比表面積が大きくなるため、トナーに均一な電荷を付与するには高いブレード圧力が必要となり、これによりトナーとスリーブとの付着力が益々増加し現像性が劣ってしまうといった課題があった。
【0005】
こうしたファンデルワールス力の増大に起因する現像性の低下は、トナーの体積平均粒径が5μm以下になると特に顕著に表れ、5μm以下の超小粒径トナーを現像し良好な画質を得るには、現像スリーブあるいは帯電体からトナーを引き離すための何らかの手段を講ずることが必要である。
【0006】
また、小粒径トナー用いた画像は用紙への載り量が少ないため、画像部間および画像部に光沢むらのない高画質な画像を形成し得る利点を有する一方、トナーの顔料濃度を高める必要があり、高顔料濃度のトナーを用い現像、転写を行なうと注入性のカブリが生じる場合があった。これはカーボンブラックを具体例とする導電性顔料で顕著である。さらに、超小粒径トナーを現像(飛翔)させるべく、現像バイアスの電界強度高めたり、転写バイアス電界強度を上げると、こうした注入性カブリがさらに顕著に生じたり、転写不良が顕著に発生してしまうといった問題があった。
【0007】
このように超小径のトナーを用いた場合は、トナーの現像性を補助する何らかの手段が必要となる。しかし、上記のように、単に現像電界強度を増加したり、転写電界強度を上げるだけでは高画質の画像品質、とりわけ厳しい品質基準があるカラー画像の要求品質を達成することは到底できない。
【0008】
したがって、前記ファンデルワールス力に打ち勝ってトナーを現像スリーブやキャリアから引き剥がし、良好な現像性を確保するためには、現像時に電界などの静電的な力だけでなく、何らかの非静電的な力が必要とされる。
【0009】
これに関し、超音波の微小振動を加えトナーを現像させる技術がある(例えば、特許文献3参照)。この技術は、感光体の損傷を防止することを目的とし、感光体の6時位置に配した超音波振動板上のトナーに超音波を印加することで飛翔現像させるものである。しかしながら、この技術を用い超小粒径トナーを現像させることは実質不可能であった。すなわち、この方法では小粒径トナーのファンデルワールス力が高いため充分な現像量を確保することはできない。さらにオフセット印刷並の高画質が要求されるカラー画像形成に関しては、何ら目的を達成することができないものであった。
このように、従来の現像技術では前記超小粒径トナーが抱える技術課題を解決することができなかった。
【特許文献1】特開2000−81722号公報
【特許文献2】特開2000−98657号公報
【特許文献3】特開昭64−54466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような知見に基づいて完成されたものであって、その目的は、超小粒径トナーを用いながらも優れた現像性が得られ、その結果、オフセット印刷並みの高画質の可視画像と、画像部間および画像部に光沢むらのない画像を提供できる画像形成方法及び画像形成装置を具現化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような事情に基づき、本発明者等が超小粒径トナーを用い可視画像を形成する場合、現像性の向上と高画質の画像を得る目的として種々検討した結果、従来の電界によって現像する方法、すなわち主として現像剤を搬送する回転スリーブと感光体との間に形成される静電電界の力によってキャリア、あるいはスリーブなどの帯電体からトナーを静電的に引き剥がす方法だけでは非静電的な付着力として作用しているファンデルワールス力の大きい超小粒径トナーを用いるとトナーを十分有効に帯電体から引き剥がすことは困難であるが、こうした施策に加え現像域に振動エネルギーを均一に加えることにより、トナーを帯電体表面から機械的に脱離し易い状態を形成し、静電力とあいまって、超小粒径トナーを有効に帯電体から引き剥がすことができ現像性が向上することが判明した。
【0012】
さらに、印加される振動エネルギーは、トナーかぶりや画像品質を低下させることなく超小粒径トナーにより本来得られるべき高画質の画像を与えることが分かった。
【0013】
具体的には、電子写真方式の画像形成装置において、潜像をトナーで現像するに際にトナーを帯電体表面から脱離しやくするするために、現像剤担持体の一部に振動エネルギーを発生させるのに適した共振器を配置し、現像ニップ域(現像領域)に効果的に振動エネルギーを加えることができるように現像剤担持体は非剛性のスリーブで構成した。このような構成により、前記超小粒径トナーの技術課題をより効果的に解決できた。
【0014】
すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法である。
【0015】
<2> 前記現像担持体が非剛性であり、前記振動エネルギーが超音波振動エネルギーであることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0016】
<3> 前記トナーが、少なくとも樹脂微粒子分散液及び着色剤分散液を混合し凝集粒子を形成した後、該凝集粒子を前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱せしめ融合させてなるトナー粒子から構成され、前記着色剤の含有量が該トナー粒子中の3〜50質量%の範囲であることを特徴とする<1>または<2>に記載の画像形成方法である。
【0017】
<4> 前記現像剤が、一成分現像剤あることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0018】
<5> 前記現像剤が、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0019】
<6> 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像手段を含む画像形成装置において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
<7> 前記振動エネルギー印加手段の加振部が、非剛性の現像剤担持体に接触して配置され、該振動エネルギー印加手段が超音波発生手段であることを特徴とする<6>に記載の画像形成装置である。
【0021】
<8> 前記超音波発生手段が加振部として共振器を有しており、該共振器がプラットフォーム部とホーン先端部とを備え、さらに該ホーン先端部を駆動させるために必要な高周波エネルギー発生手段と、該高周波エネルギー発生手段を駆動させるための電圧源を備えていることを特徴とする<7>に記載の画像形成装置である。
【0022】
<9> 前記現像剤担持体に、直流電圧あるいは交流電圧、または直流電圧及び交流電圧を重畳したバイアス電圧が印加されていることを特徴とする<6>〜<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0023】
<10> 前記現像領域において、潜像担持体の移動方法と現像剤担持体の移動方向とが同方向であることを特徴とする<6>〜<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0024】
<11> 前記現像領域において、潜像担持体の移動方法と現像剤担持体の移動方向とが逆方向であることを特徴とする<6>〜<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、体積平均粒径が2〜5μmの範囲の超小粒径トナーを含む現像剤を搬送し感光体(潜像担持体)にトナーを現像するに際し、超音波エネルギー振動子が現像スリーブ(現像剤担持体)の特定の位置に配置されていることにより、超小粒径トナーをキャリア及び現像スリーブ等の帯電体から機械的に容易に脱離させることができる。この現像アシスト技術を用いることにより、過度に現像電界強度を高めることなく超小粒径トナーの帯電体からの脱離が容易となり、基本的に鮮明で微細な、オフセット印刷と同等またはそれ以上の高画質の可視画像を形成でき、さらに画像部間および画像部に光沢むらのない高画質な画像を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像形成方法を用いるものであって、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
まず、本発明の画像形成方法を用いる画像形成装置と、従来の画像形成装置との相違を図を用いて説明する。
図3は、従来の画像形成装置における画像形成ユニットの一例として、一般に知られている非磁性一成分現像装置を用いた構成を示す概略構成図である。図3に示す画像形成ユニットは、容器1に予め所定量収納されているトナー7を供給ローラ2で現像ローラ3の表面に供給し、この現像ローラ3によって感光体4の表面にトナーを供給し感光体表面の潜像を現像してトナー画像を形成する構成である。なお、感光体4の表面に形成されたトナー画像は搬送されるシートSに転写される。5は容器1内のトナー7を攪拌するアジテーター、6は現像ローラ3上のトナー量を規制する帯電ブレードである。容器1内のトナー7は、供給ローラ2の動きに従って移動し帯電ブレード6との接触領域に運ばれそこで帯電ブレード6との接触により所望の極性の電荷を付与され現像ローラ3上に薄層状態のトナー8として保持される。その後、現像ローラ3の回転により搬送され、感光体4表面の潜像に対応して現像される。
【0028】
このような構成の現像器(現像手段)では、前述したような超小粒径トナーを使用した場合、トナー8が良好に現像できないという課題を有している。すなわち、帯電ブレード6を通過したトナー8は、帯電したトナーの電荷により現像ローラ3表面に静電的に付着しているが、トナーが超小粒径となるとトナー8及び現像ローラ3間のファンデルワールス力が大きくなり、現像ローラ3表面のトナー8が感光体4に移行しにくくなってしまう。この傾向は、トナーの小粒径化により帯電ブレード6の圧力をより高くする必要があることから、さらに強くなる。
【0029】
本発明者等は、上記現像性の低下に対し、感光体4の現像ローラ3との現像領域に相当する部分に振動を加える(振動エネルギーを付与する)ことでトナー8の飛翔性を向上させることができることを見出し本発明を完成させた。
図1に、本発明の画像形成装置における画像形成ユニットの一例の概略構成図を示す。この図を参照しながら本発明におけるトナーの現像性を促進させる基本的原理を説明する。なお、図3に示した画像形成ユニットとの比較において、現像には非磁性一成分トナーを用いた。
【0030】
この画像形成ユニットは、図1に示すように、矢印cで示す方向に回転駆動される感光体(潜像担持体)4と、この感光体4の外周に沿って、感光体4の回転方向において各々動作順に並ぶよう配置された、帯電装置18、露光装置17、現像装置(現像手段)19、転写装置20、分離装置21及びクリーニング装置22とにより構成されている。
【0031】
この画像形成ユニットは、本発明の画像形成装置における好ましい画像形成ユニットの一例であり、現像装置19における現像スリーブ(現像剤担持体)3bが非剛性の弾性スリーブであり、この現像スリーブ3bの裏面から超音波発生装置(振動エネルギー印加手段)の加振部である共振器10によって振動エネルギーを均一に加え、トナー8を現像スリーブ3bから機械的に脱離させ現像を促進できる構成となっている。前記共振器10は、感光体4と線接触することでエネルギーを均一に加えることができるように配置される。さらに共振器10は、ある速度以上の振動速度が得られるように駆動できる駆動装置(高周波エネルギー発生手段)を有する。
【0032】
感光体4としては、例えばドラム状の金属基体の外周面に適宜の感光層が形成されたものであり、感光層の種類としては、特に限定されるものではないが、例えばセレン、砒素セレン、アモルファスセレン(a−Se)、硫化カドミウム(CdS)、酸化亜鉛(ZnO2)、アモルファスシリコン(a−Si)等よりなる無機感光層、有機光導電性化合物よりなる有機感光層等が用いられ、好ましいものは、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成されてなる有機感光体であり、電荷輸送層と電荷発生層とが積層されてなる機能分離型のものが特に好ましい。
【0033】
露光装置17は、デジタル化された画像データを光信号に変換して感光体を露光するデジタル光学系、例えばレーザ光学系を構成するレーザ照射装置により構成されており、例えばレーザーダイオードよりなる光源(図示せず)よりのレーザ光が、回転されるポリゴンミラー、fθレンズおよびシリンドリカルレンズなどよりなる光学系を介して感光体4の表面に対して選択的に照射される。
【0034】
現像装置19は、容器の開口部に配設され矢印b方向に回転駆動可能に支持された供給ローラ2と、駆動ローラ3aに外装されたフレキシブル(非剛性)な現像スリーブ(現像剤担持体)3bとを含んで構成される(駆動ローラ及び現像スリーブが前記現像ローラのような現像部材を構成する)。フレキシブルな現像スリーブ3bは、ニッケル等の金属材料、あるいはカーボン含有ナイロン等の樹脂からなり、駆動ローラ3aよりも径が大きくその内面に上記駆動ローラ3aが内接することによって弛み部が形成され駆動ローラ3aの回転と共に矢印b方向に回転するようになっている。
【0035】
現像スリーブ3bの外面には、上記容器1の内面から延設されたステンレス鋼等の金属材料からなるブレード6が接触している。感光体4は、上記現像スリーブ3bの弛み部と対向するように配置され矢印c方向に回転駆動可能なように支持されている。現像スリーブ3b上に薄層化されるとともに摩擦帯電されたトナー8は感光体4との対向域(現像領域)へと搬送される。現像スリーブ3bには直流電圧あるいは交流電圧、または直流電圧及び交流電圧を重畳したバイアス電圧が印加されており、薄層化されたトナー8は感光体4と現像スリーブ3bとで構成されたニップ部で感光体4の潜像に現像される。
【0036】
なお、本発明においては、前記現像スリーブ3bから直接トナー8が感光体4に現像されてもよいし、現像スリーブ3bと感光体4との間に弾性ローラのような中間体を設けて、現像スリーブ3bから該弾性ローラを介して感光体4にトナーが現像される構成であってもよい。弾性ローラを設けることにより、現像域に効果的に振動エネルギーを印加させると同時に現像の安定性が可能となる。
【0037】
本発明の画像形成方法において、前記フレキシブルな現像スリーブ3bとしては、公知の弾性を有す無端ベルト等を用いることができる。該無端ベルトとしては、具体的には基材上に樹脂層を有し、必要に応じてトナー搬送のための表面層を具備したスリーブである。ベルト型の現像スリーブの場合には、前記基材としては例えばポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ステンレス製ベルト等、耐熱性、耐久性が高いものが選択される。前記樹脂層としては、ナイロン、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴム、発泡体などが用いられる。
【0038】
なお、前記表面層として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂等の離型層を有してもよい。
【0039】
前記樹脂層の硬度及び弾性率は、超音波エネルギーを効果的に伝達できれば良く、僅かに可とう性を有しておりば問題ない。完全に剛体の材料でなければ超音波エネルギーは伝達可能である。
【0040】
前記フレキシブルな現像スリーブ3bは、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を含有してもよい。
なお、感光体4と現像スリーブ3b上のトナー8は接触していても良いしに非接触であっても現像性には影響を与えない。
【0041】
次に、図1を用いて振動エネルギーを均一に加えるための装置に関して説明する。
図1に示す画像形成ユニットにおいては、ベルト状の現像スリーブ3bにおける感光体4との近接領域(現像領域)に、振動エネルギー印加手段である超音波発生装置の加振部である共振器10を備える。該振動エネルギー印加手段としては、現像領域に振動エネルギーを付与できるものであれば特に制限されない。
【0042】
ただし、本発明における振動エネルギー印加手段としては、トナーに効果的な現像性を付与する点から高周波振動エネルギーを発生する超音波発生手段であることが好ましい。また、前記振動エネルギー印加手段は、振動を効率的に伝達するため現像スリーブ(現像剤担持体)3bに接触して配置されていることが好ましく
【0043】
また、本発明における超音波発生手段は、好ましくは高周波振動エネルギーを均一に加えるための共振器10を備える。該共振器10は、支持部材と複数のセグメントに分割されたホーン部材とを有し、ホーン部材には一体状のプラットフォーム部が設けられ、各ホーンセグメントが形成されていることが好ましい。さらにホーンの各セグメントを共振周波数で駆動して感光体に振動エネルギーを加える複数の振動発生素子(高周波エネルギー発生手段)を有している。振動発生素子はある期間の周波数掃引中のある時点で最大先端速度になるようにホーンセグメントを励起できるよう選択された周波数範囲を有す電圧信号で駆動される。
【0044】
例えば、図1に示すように、交流電源(電圧源)11によって駆動されて20〜200kHzの周波数fで作動する比較的高周波数の音響または超音波共振器10が、現像部ニップ位置(現像領域)で現像スリーブ9の裏側を振動させるように配置される。現像スリーブ9の振動はスリーブ上に搬送されているトナー8を揺り動かすため、トナー8が現像スリーブ9から機械的に脱離するによって、現像スリーブ9と感光体4との接触が不十分なために間隙が生じていても現像させることができる。
【0045】
こうした作用により、通常より低い現像電界で現像効率を高めることができ、また、超小粒径トナーを現像する場合のトナーへの注入帯電(像品質不良の原因)の発生も抑えられる。
【0046】
本発明の画像形成装置の構造をより詳細に説明すれば、共振器10は現像スリーブ3bの幅方向に並行で、現像スリーブ3bの移動方向(矢印b方向)に直行する方向に振動表面を備えており、その幅は一般に現像スリーブ3bの幅とほぼ同じである。ここに例示した現像スリーブ3bは、共振器10の振動運動に追従することができる程度の非剛性、すなわち幾分可撓性(「可撓性」とは、外力をかけて曲げるときの曲げやすさ(たわみやすさ)の程度をいい、小さい外力で容易に曲げられるほど可撓性が大きいことを意味する)を備えていることが好ましい。
【0047】
共振器10の振動エネルギーはさまざまな方法で現像スリーブ3bに伝達される。共振器10は、例えば図2に示すように、圧電変換素子40とホーン部材50とを有しており、それらは共に後ろ板30に支持されている。ホーン部材50には、プラットフォーム部51とホーン先端部52と現像スリーブ9に接触してそれに共振器の音響エネルギーを与える接触先端部53とが設けられている。
【0048】
そして、ホーン部材50の接触先端部53が現像スリーブ3bに接触することによって先端部の動きが現像スリーブ3bを振動運動させる。共振器10から現像スリーブ3bへ振動エネルギーを伝達するための結合構造を提供するために、共振器10を特殊な真空箱構造体と組み合わせてもよい。ホーン部材50の形状、寸法に関しては、例えば特開平5−53453号公報で開示されているような台形でありほぼ矩形の基部と三角形の先端部とを備えたもの、あるいは、ホーン部材50は段差型にてほぼ矩形の基材と段差ホーン先端部を設けたものであってもよい。何れにせよ現像効率は少なくともホーン先端部52の速度の関数であり、ホーン先端部52の速度が増加すると現像効率は増加する。
【0049】
図1に示す画像形成ユニットに関し、本発明では、前記現像領域において、感光体(潜像担持体)4の移動方法と現像スリーブ(現像剤担持体)3bの移動方向とが同方向であってもよいし、逆方向でってもよい。同方向の場合には、現像性能が環境変動や経時で比較的安定化できる点で好ましい。また、逆方向の場合には、細線等の画像品位が優れる点で好ましい。
【0050】
本発明においては、トナーとして体積平均粒径が2〜5μmの範囲の超小粒径トナーが用いられるが、前記のような振動エネルギー付与条件で現像を行った場合の現像効率は50〜100%の範囲であることが好ましく、70〜100%の範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは90〜100%の範囲である。
【0051】
なお上記現像効率は、一定面積のべた画像について現像を行い下式(1)により求められる。
現像効率(%)={感光体表面に現像されたトナー量(mg/cm2)/現像スリーブ表面のトナー量(mg/cm2)×感光体と現像スリーブとの周速度比}×100 ・・・ 式(1)
【0052】
このようにして感光体4の表面に形成されたトナー画像は、転写手段20において搬送されてきた例えば紙よりなる記録材に転写され、感光体4に密着した状態にある記録材は、トナー画像の転写直後に、分離手段21において感光体4から分離される。感光体4から分離された紙は、定着装置に向かって搬送され、当該定着装置においてトナー画像が熱定着され、紙に原稿の画像に対応した可視画像が形成され、この可視画像は搬送されて外部に排出される。また、紙が分離された後の感光体4は、クリーニング装置22を通過することにより、表面に残留しているトナーが除去される。
【0053】
前記のようにして感光体4表面に現像され、その後記録材に転写されたトナー画像のトナー載り量(以下、「TMA」という場合がある)を単色につき(100%の面積率を形成する場合)0.40mg/cm2以下とすることが好ましく、より好ましくは0.35mg/cm2以下、さらに好ましくは0.30mg/cm2以下である。
TMAが0.40mg/cm2以下であると、前記のように得られる画像が高画質化するとともに、転写材の加熱ロールに対する離型性が向上するので、トナーが加熱ロールに付着することによって生じるオフセット現象や、トナーが加熱ロールに追従することにより生じる紙詰まり等のトラブルが発生しないので好ましい。但し、得られる画像におけるトナーの充分な発色を確保するためには、画像面積率100%におけるTMAは、0.1mg/cm2以上であるのが好ましく、より好ましくは0.15mg/cm2以上である。
【0054】
そして、本発明においては前記のように現像スリーブ3bからの現像効率を高くすることができるため、例えば非磁性一成分トナーを用いる場合、前記トナー載り量を得るのに現像スリーブ3b上のトナー搬送量を0.1〜0.5mg/cm2の範囲、より好ましくは0.15〜0.45mg/cm2の範囲と少なくすることができる。よって、トナー帯電の均一性等が改善されより高画質な画像を得ることができる。
【0055】
本発明の画像形成装置に用いられる現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤であっても、一成分現像剤であってもよい。
【0056】
次に、本発明に用いられるトナーについて説明する。
本発明に用いられるトナーの製造方法は、例えば、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、液中乾燥造粒法、等が上げられるが、超小粒径トナーを工業的な製造コストで得るためには懸濁重合法、乳化重合法、液中乾燥造粒法が望ましく、乳化重合によるトナー製造法が最も望ましい。
【0057】
乳化重合法を用いたトナーの製造法は、特開平6−250439号公報などに記載されている。この方法は、界面活性剤を用いて乳化重合させ樹脂微粒子分散液を調製し、他方、着色剤を分散させた着色剤分散液を調製し、これらの分散液を混合した後、前記の界面活性剤と反対の電気極性を有する界面活性剤を添加して、上記の樹脂微粒子と着色剤を所望の粒子径になるまで凝集させ(凝集工程)、その後、凝集粒子を所望の粒子径で安定化させた後、凝集粒子を樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)以上の温度で融合させ(融合工程)、トナーを作製するものである。非イオン性界面活性剤は、乳化重合や着色剤分散液を調製するときに、微粒子の分散安定性を確保するために添加する。
【0058】
また、前記凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けたものであってもよい。この付着工程では、凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、微粒子分散液を添加混合して、凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される微粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、追加微粒子とされる場合がある。
【0059】
追加微粒子としては、樹脂微粒子の他に離型剤微粒子、着色剤微粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。微粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、微粒子(追加微粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られるトナー粒子の粒度分布をシャープにすることができ、高画質化に寄与することが可能となる。
【0060】
また、付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や離型剤などの内添物のトナー表面露出を低減でき、結果として帯電性や寿命を向上させることができることや、融合工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善可能となる点で有利である。従って、離型剤を使用するときには、樹脂微粒子を主体とした追加微粒子を添加することが好ましい。さらにこの方法を用いれば、融合工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
【0061】
以下、前記各工程についてさらに詳しく説明する。
前記凝集工程に用いられる樹脂微粒子及び追加樹脂微粒子としては、結着樹脂となる熱可塑性の重合体より形成されたものであり、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のポリオレフィン類;等の単量体の単独重合体またはこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物、これら重合体の共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0062】
これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂が特に好ましい。ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤等を用いて乳化重合やシード重合により樹脂微粒子分散液を容易に作製することができる点で有利である。
【0063】
樹脂微粒子の分散液の調製方法について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した方法を採用することができるが、例えば以下のようにして調製することができる。樹脂微粒子における樹脂が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂微粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。
【0064】
また、樹脂微粒子における樹脂が、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解し、この溶解物を、イオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に添加し、ホモジナイザー等の分散機を用いて微粒子分散させた後、加熱ないし減圧することにより前記油性溶剤を蒸散させることにより調製することができる。
【0065】
なお、樹脂微粒子分散液に分散された樹脂微粒子が、樹脂微粒子以外の成分を含む複合粒子である場合、これらの複合粒子を分散させた分散液は、例えば、以下のようにして調製することができる。複合粒子の各成分を、溶剤中に溶解分散した後、前述のように適当な分散剤と共に水中に分散し、加熱ないし減圧することにより溶剤を除去して得る方法や、乳化重合やシード重合により作製されたラテックス表面に機械的剪断または電気的吸着を行い、固定化する方法により調製することができる。また、樹脂微粒子を製造する際に、着色剤や離型剤を添加して製造された複合樹脂粒子を用いてもよい。
【0066】
また、本発明におけるトナーの製造において、凝集工程に離型剤分散液を添加して樹脂微粒子や着色剤とともに凝集させ、トナー中に融合させることも可能であるし、樹脂微粒子と着色剤を凝集した後、離型剤分散液を添加して凝集粒子表面に離型剤を付着させることも可能である。ここで用いる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系、石油系のワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
【0067】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断力を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて微粒子化し、粒径が1μm以下の粒子の分散液として作製することができる。また、これらの離型剤微粒子はその他の樹脂微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
【0068】
離型剤は、トナー粒子に対して20質量%以下の添加量であることが好ましい。離型剤が多すぎるとトナー表面に露出又はトナー外に遊離する離型剤が多くなり、トナー自体の流動性や保管性に問題を生じたり、フィルミングが発生するなど信頼性を悪化させることがある。オイルレス定着と組み合わせる場合には、前記離型剤を6質量%以上含有していることが好ましい。離型剤が少なすぎるとホットオフセットが発生したり、定着器からの剥離性が低下する場合がある。
【0069】
前記着色剤としては、例えば、以下に示すものを用いることができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アリニンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができ、特にカーボンブラックが好ましく用いられる。イエロー顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が好ましく用いられる。マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
【0070】
シアン顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が好ましく用いられる。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジPK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料なども用いられる。また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。
【0071】
これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。この際、着色剤の平均分散径を100〜330nmとすることで、光透過性や発色性が良好となる。
【0072】
また、前記着色剤は、色相角、採度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、本発明においては、前述のようにトナー載り量を低下させた画像形成を行うことが好ましいので、トナー粒子中の着色剤の含有量を増加させ、トナー粒子単位質量当たりの発色濃度を高くして、現像に必要なトナー量を少なくするのが好ましい。特に、トナー粒子中の着色剤の含有量は、用紙へのトナー載り量にも依存するが、トナー構成固体分総質量に対して3〜50質量%の範囲が好ましく、4〜40質量%の範囲がさらに好ましく、5〜20質量%の範囲が最も好ましい。
【0073】
着色剤の含有量が3質量%未満であると、トナーの単位重量当たりの発色濃度が不足する傾向がある。一方、含有量が多い程トナーの発色濃度は高くなるが、50質量%を超えると、極少量のトナーが非画像部へ飛散した場合でも地汚れが顕著となったり、顔料の補強効果により着色粒子の溶融粘度が上昇し定着性が低下する場合がある。
【0074】
また、磁性トナーとして用いる場合は磁性粉を含有させるが、ここで使用する磁性粉としては、フェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金又はこれら金属を含む化合物などを挙げることができる。さらに必要に応じて、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
【0075】
さらにまた、従来のトナー外添剤をトナー粒子中に含有させることも可能である。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどの無機微粒子を、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することができる。これらの磁性粉、帯電制御剤、その他の外添剤の分散方法は、前記着色剤と同様に行うことができる。
【0076】
また、本発明におけるトナーには、無機もしくは有機の微粒子を添加することができる。この微粒子は着色剤や離型剤などの内添物の分散性を向上させることができる。また、微粒子の補強効果によりトナーの貯蔵弾性率が大きくなり、耐オフセット性や定着器からの剥離性が向上する場合がある。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどを単独もしくは併用して用いることができる。なかでもOHP透明性の観点からシリカを用いることが好ましい。微粒子はトナー製造時に直接添加することもできるが、分散性を高めるためにあらかじめ水など水溶性媒体へ分散されたものを用いることが好ましい。分散においては、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基などを用いて分散性を向上させることもできる。
【0077】
さらにトナーには、その他の帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の体積平均粒径としては、1μm以下であることが必要であり、0.01〜1μmの範囲であるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記体積平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
【0078】
前記樹脂微粒子分散液、着色剤分散液及びその他の成分(粒子)を分散させた分散液における分散媒としては、例えば水系媒体等があげられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等があげられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
種々の分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
【0080】
前記水系媒体には、凝集剤として界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が好適にあげられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類等があげられる。
【0082】
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類等があげられる。
【0083】
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類等があげられる。
【0084】
以上のような材料を用いて、凝集工程では、少なくとも樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液を含み、必要に応じて離型剤分散液などのその他の成分を添加混合して調整された分散液を、攪拌しながら室温から樹脂のガラス転移温度程度の温度範囲で加熱することにより樹脂微粒子及び着色剤などを凝集させて凝集粒子を形成する。
【0085】
その際、前述のように、樹脂微粒子、着色剤、必要に応じて上記の無機微粒子などを一度に添加してもよいし、分割して微粒子成分を段階的に添加し、凝集粒子の構成を例えばコアシェル構造や、粒子の半径方向に成分を傾斜させた構造を付与してもよい。その場合は、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液及び離型剤微粒子分散液などを混合分散し、一定水準の粒径になるまで凝集粒子を成長させる。そして必要に応じて、樹脂微粒子分散液などをさらに加えて凝集粒子表面に追加樹脂微粒子を付着させてもよい。追加樹脂微粒子が凝集粒子表面を覆うことにより、着色剤、離型剤などがトナー表面に露出することを防止することができ、これらの露出による帯電不良、不均一帯電を抑制するのに有効である。
【0086】
上記の凝集工程では、凝集剤として2価以上の無機金属塩を用いるが、凝集剤は3価以上、特に4価であることが好ましい。前記無機金属は価数が大きいほど凝集力が強く、安定に凝集を制御することができるため、未凝集物を生ずることが少なく、優れた粒度分布を得ることができる。4価以上の無機金属塩重合体としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムなどを用いることができる。
【0087】
次いで、融合工程では、例えば、樹脂のガラス転移点以上の温度、一般には70〜120℃の範囲に加熱処理して凝集粒子を融合させ、トナー粒子含有液(トナー粒子分散液)を得る。次いで、得られたトナー粒子含有液は、遠心分離または吸引濾過により処理して、トナー粒子を分離し、イオン交換水によって1〜3回洗浄する。その際pHを調整することで洗浄効果をより高めることができる。その後、濾別し、イオン交換水によって1〜3回洗浄し、乾燥することによって、トナー粒子を得ることができる。
【0088】
乳化凝集法で得たトナー粒子は、その粒度分布が従来の懸濁重合法等に代表される重合法で得たトナー粒子と比較して極めてシャープであり、さらに超小粒径トナーを高い収率で製造できる点で望ましい。
【0089】
本発明に用いられるトナーは、体積平均粒子径D50v が2〜5μmの範囲である。体積平均粒径が2.0〜4.5μmの範囲がより好ましく、2.0〜4.0μmの範囲がさらに好ましく、2.5〜3.5μmの範囲が特に好ましい。トナーの体積平均粒径が5.0μmを超えると、粗大粒子の比率が高くなり、定着工程を経て得られる画像の細線や微小ドットの再現性、および階調性が低下する。一方、トナーの体積平均粒径が、2.0μm未満となると、トナーの粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、潜像担持体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う他の工程における種々の不具合が生じる。なお、本発明でいう「細線の再現性」とは、主として30〜60μmの範囲、好ましくは30〜40μmの範囲の幅の細線を忠実に再現可能か否かを意味し、さらに同程度の径のドットを再現し得るかについても考慮に入れたものである。
【0090】
本発明におけるトナーの体積粒度分布指標GSDvは1.3以下であることが好ましく、1.25以下であることがより好ましい。また、個数粒度分布指標GSDpは1.4以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。
GSDvが1.3よりも大きいと、トナー中の粗粉が多くなり、画像の飛び散りが発生する場合がある。GSDpが1.4よりも大きいと、トナー中の微粉が多くなり、トナー飛散による機内のトナー汚染が多くなる場合がある。
【0091】
また、本発明におけるトナーの小粒径側個数粒度分布指標GSDp−underは1.40以下であることが好ましい。このGSDp−underは、トナーの粒度分布における小粒径トナーの比率を表すものであるが、GSDp−underが1.40を超えると、小粒径トナーの比率が高くなるため、初期性能の他に信頼性の点からも極めて大きな影響を有する。即ち、前記のように小粒径トナーの付着力が大きいため、静電気的制御が困難となりやすく、2成分現像剤を用いる場合はキャリア表面にトナーが残留しやすい。この場合、繰り返し機械力を与えられると、キャリア汚染を招き、結果としてキャリアの劣化を促進する。また、小粒径トナーは付着力が大きいため、現像効率の低下も発生し、結果として画質欠陥が生じる場合がある。
前記GSDp−underは1.3以下であることがより好ましい。
【0092】
前記体積平均粒径、GSDv、GSDp、及びGSDp−underは、以下のように求められる。まず、例えば、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター製)、などの測定器で測定される粒度分布を基にして、体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を引いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v(これを体積平均粒径とする)、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。
【0093】
そして、体積粒度分布指数GSDvは、(D84v/D16v)1/2として算出され、数平均粒度分布指数GSDpは、(D84p/D16p)1/2として算出される。また、小粒径側平均個数粒度分布指標GSDp−underは、(D50p/D16p)として算出される。
【0094】
さらに、本発明におけるトナーの形状係数SF1は105〜160の範囲にあることが好ましい。形状係数が105より小さいと、形状が球形に極めて近いため、水のような流動性を持つようになり、搬送性が悪化する場合がある。形状係数が160より大きいと、トナーの流動性が低下し、部分的に強いストレスが加わったり、搬送力、攪拌力を上げる必要が生ずるなどして、現像剤の劣化が促進される。
なお、上記SF1は110〜145の範囲がより好ましい。
【0095】
ここで上記形状係数SF1は、下記式(2)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(2)
上記式(2)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
【0096】
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(2)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0097】
得られたトナー粒子には、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等として、無機粒体および有機粒体を添加しトナーとすることができる。無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられ、有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩があげられる。無機粒体のなかでも疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。
【0098】
作製されたトナーは、現像剤目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。例えば、トナーを単独で用いて、一成分系の静電荷像現像剤として調製してもよいし、また、キャリアと組み合わせて二成分系の静電荷像現像剤として調製してもよい。
【0099】
キャリアとしては、特に制限はなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリアなどそれ自体公知のキャリアを用いることができ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0100】
本発明の画像形成方法は、トナーリサイクル工程を含む電子写真方式にも適用することができる。トナーリサイクル工程は、クリーニング工程において回収したトナーを現像剤層に移す工程である。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
【0101】
本発明の画像形成方法は、トナー画像を熱定着する定着工程を含むことができる。定着工程では、公知の接触型熱定着装置を用いて行うことができるが、具体的には、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる定着部材を具備する熱ローラ定着装置や、定着部材として、このようなローラとローラとの組み合わせを、ローラとベルトとの組み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置が使用できる。定着装置には、必要に応じてシリコーンオイルなどの離型剤塗布手段を具備したものであってもよい。
【0102】
定着部材の基材(コア)には、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、ロール型定着部材の場合には、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型定着部材の場合には、例えばポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ステンレス製ベルト等耐熱性、耐久性が高いものが選択される。前記ゴム弾性層としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムが用いられ、そのゴム硬度はアスカーC硬度で50〜80度の範囲であることが好ましい。硬度が低すぎると耐久性が劣り、高すぎるとロールの変形が不十分となり定着性が損なわれる場合がある。その厚みは0.05mm〜5mmの範囲であることが好ましい。厚みが薄すぎると変形が不十分となり定着性が損なわれる場合があり、厚すぎると加熱に時間がかかり実用性が劣る場合がある。
【0103】
定着部材表面層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂が用いられ、中でもフッ素樹脂を用いることで長期に渡り、信頼性の高い定着性能が得られる。定着部材表面に用いるフッ素樹脂としては、PFA(パーフロロアルコキシエチルエーテル共重合体)等のテフロン(登録商標)との共重合体、フッ化ビニリデン等が含有された軟質フッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂は、シリコーンゴムやフッ素ゴムと比較して、トナー汚れ等の付着や沈着による離型性の低下が見られないために、トナー側の離型性が十分であれば、定着部材の長寿命化が図れる。
【0104】
定着部材表面層は、厚みが1.0〜80μmの範囲にあることが好ましい。厚みが薄すぎると耐久性が劣り、厚すぎると定着ロールの変形が不十分となりニップ幅が不均一になり定着性が損なわれる場合がある。前記定着部材は、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を含有してもよい。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0106】
<各種物性測定法>
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(粒度分布)
コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)で測定した。アパーチャーのサイズは50μmとした。粒度分布の算出には、分割された粒度範囲(分割数:0.793〜32.0μmまでを16チャンネルに、logスケールで0.1間隔となるように分割する。具体的にはチャンネル1が0.793μm以上1.00μm未満、チャンネル2が1.00μm以上1.26μm未満、チャンネル3が1.26μm以上1.59μm未満とし、左側の数値のlog値が(log0.793=)−0.1、(log1.00=)0、0.1、・・・1.4となるように分割した。ただしアパーチャーサイズが50μmの場合1μm未満の感度が低いため、チャンネル1はカウントせず、残りの15チャンネルを用いた。)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。
【0107】
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、体積粒度分布における16累積体積%に対する84累積体積%の比率の平方根、即ち(D84v/D16V)1/2として算出される。なお、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P)1/2として算出される。
【0108】
(トナー、樹脂微粒子の分子量、分子量分布測定方法)
本発明におけるトナー及び樹脂微粒子の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
【0109】
(樹脂微粒子、着色剤粒子、離形剤粒子の体積平均粒径)
樹脂微粒子、着色剤粒子、離形剤粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。
【0110】
(トナー、樹脂微粒子のガラス転移点、離型剤の融点)
トナー、樹脂微粒子のガラス転移点及び離型剤の融点は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
【0111】
<各分散液の調製>
(樹脂微粒子分散液(L1)の調製)
−油層1−
・スチレン(和光純薬製) ・・・・15.3部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) ・・・・0.46部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) ・・・・0.6部
・ドデカンチオール(和光純薬製) ・・・・0.2部
【0112】
−油層2−
・スチレン(和光純薬製) ・・・・15.3部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) ・・・・0.46部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) ・・・・0.6部
・ドデカンチオール(和光純薬製) ・・・・0.4部
【0113】
−水層1−
・イオン交換水 ・・・・17.5部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) ・・・・0.35部
【0114】
−水層2−
・イオン交換水 ・・・・40部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) ・・・・0.05部
・過硫酸アンモニウム(和光純薬製) ・・・・0.3部
【0115】
上記油層1の成分と、水層1の成分の半量とをフラスコ中に入れて攪拌混合し単量体乳化分散液1とし、同様に油層2と残りの水層1の半量を攪拌混合し単量体乳化分散液2とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で充分に置換し攪拌をしながら、オイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。この反応容器内に、初めに単量体乳化分散液1を2時間かけて滴下し、次に単量体乳化分散液2を1時間かけて滴下して乳化重合を行った。滴下終了後さらに75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させて、樹脂微粒子分散液(L1)を調製した。
【0116】
得られた分散液中の樹脂微粒子について、個数平均粒子径D50nを測定したところ290nmであり、ガラス転移点を測定したところ52℃であり、数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ12000であった。その後イオン交換水を加えて、分散液中の固形分濃度を40質量%に調整した。なお、固形分濃度は、3gの分散液を秤量し、130℃、30分加熱して水分を揮発させ残留した乾燥物の質量から算出した。
【0117】
(離型剤微粒子分散液(W1)の調製)
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト社製、Polywax725、融点:103℃)・・・・30部
・カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾールB50) ・・・・3部
・イオン交換水 ・・・・67部
【0118】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤微粒子分散液(W1)を調製した。得られた分散液中の離型剤微粒子の個数平均粒子径D50nは280nmであった。その後イオン交換水を加えて、分散液の固形分濃度を30質量%に調整した。
【0119】
(マゼンタ顔料分散液(M1)の調製)
・マゼンタ顔料(大日精化工業社製、Pigment Red 122(キナクリドン))・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0120】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3000rpmで2分間、顔料を水になじませ、さらに5000回転で10分間分散後、通常の攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させてマゼンタ顔料分散液(M1)を得た。
分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは106nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0121】
(シアン顔料分散液(C1)の調製)
・シアン顔料(大日精化工業社製、Pigment Blue15:3) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0122】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、シアン顔料分散液(C1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは121nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0123】
(イエロー顔料分散液(Y1)の調製)
・イエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Pigment Yellow74) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0124】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、イエロー顔料分散液(Y1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは118nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0125】
(ブラック顔料分散液(K1)の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製、リーガル330) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0126】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、ブラック顔料分散液(K1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは120nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調製した。
【0127】
<トナーの作製>
(マゼンタトナー(トナーM1)の作製)
・樹脂微粒子分散液(L1)・・・160部
・離型剤微粒子分散液(W1)・・・33部(トナー中の10質量%)
・マゼンタ顔料分散液(M1)・・・60部(トナー中の9質量%)
・ポリ塩化アルミニウム10質量%水溶液(浅田化学社製、PAC100W) ・・・15部
・1%硝酸水溶液 ・・・3部
【0128】
上記成分を混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて5000rpmで3分間分散した後、前記フラスコに磁力シールを有した攪拌装置、温度計とpH計を具備した蓋をしてから、加熱用マントルヒーターをセットし、フラスコ中の分散液全体が攪拌される最低の回転数に適宜調節して攪拌しながら48℃まで1℃/1minの昇温速度で加熱した。48℃で30分間保持し、凝集粒子の粒径を確認した。その後、15分ごとに凝集粒子粒径を確認しながら、フラスコ内温度を0.1℃/15minの昇温速度で加熱し、凝集粒子の体積平均粒径が3.0μmになった時点で昇温を停止し、その温度を保った。この時の凝集粒子の粒径は、体積平均粒径が3.0μm、個数平均粒度分布GSDpが1.23であった。
【0129】
昇温停止後ただちに樹脂微粒子分散液(L1)を50部追加し、30分間保持したのち、系内のpHが6.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてから、1℃/1minの昇温速度で97℃まで加熱した。昇温後、硝酸水溶液を加えて系内のpHを5.0にして、10時間保持して凝集粒子を加熱融合した。その後系内を50℃まで降温し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12.0に調節して10分間保持した。その後分散液をフラスコから取り出し、イオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄した後、さらに固形分量が10質量%となるようにイオン交換水中に分散し、硝酸を加えてpH3.0で10分間攪拌した後、再びイオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄し、得られたスラリーを凍結乾燥してマゼンタトナー粒子を得た。
【0130】
マゼンタトナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.5μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.20、体積平均粒度分布指標GSDvが1.19、含水量は0.28質量%であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ135であり、形状のばらつきも特に見られなかった。
【0131】
前記マゼンタトナー粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)微粒子と、アナターゼ型構造を有す酸化チタン(一次粒子平均粒径20nm)とを、それぞれ1質量%ずつ添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、マゼンタトナー(トナーM1)を作製した。
【0132】
(シアントナー(トナーC1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにシアン顔料分散液(C1)を用いた以外を同様にして、シアントナー粒子を得た。
【0133】
このシアントナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.6μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.22、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ134であり、形状のばらつきも特に見られなかった。
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添しシアントナー(トナーC1)を得た。
【0134】
(イエロートナー(トナーY1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにイエロー顔料分散液(Y1)を用いた以外を同様にして、イエロートナー粒子を得た。
【0135】
このイエロートナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.4μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.20、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ134であり、形状のばらつきも特に見られなかった
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、イエロートナー(トナーY1)を得た。
【0136】
(ブラックトナー(トナーK1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにブラック顔料分散液(K1)を用いた以外を同様にして、ブラックトナー粒子を得た。
【0137】
このブラックトナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.5μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.22、体積平均粒度分布指標GSDvが1.21であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ132であり、形状のばらつきも特に見られなかった
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、ブラックトナー(トナーK1)を得た。
【0138】
(トナーM2〜M4、C2〜C5、K2〜K3の作製)
トナーM1、C1、K1の作製において、着色剤分散液の添加量を表1に示すように変え、トナー製造条件等の諸条件を微調整した以外は同様にして、トナーM2〜M4、C2〜C5、K1〜K2を製造した。製造条件としては、特にトナー粒径が大きいトナーを作製する際は、トナーの凝集時間を延長させ所望の粒径のトナーを製造した。
これらのトナーの特性をまとめて表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
<現像剤D1〜D4の作製>
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100部に、α−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5質量%となるようにして樹脂被覆型キャリアを製造した。
【0141】
トナーM1:4部を、得られた樹脂被覆型キャリア100部に混合して、マゼンタトナーを含有する2成分現像剤(現像剤D1)を作製した。
また、前記トナーM1を、各々トナーC1、Y1、K1に変更した以外は上記と同様にして現像剤D2〜D4を得た。
【0142】
<実施例1>
トナー評価用に、図1に示されている構成の画像形成ユニットを搭載した画像形成装置を作製した。具体的には、感光体4は直径60mm、長さ300mmのドラム状の有機感光体よりなる。帯電装置18は、感光体4の図における上方であって、感光体4に接触しないように、所定の間隔を隔てて対向配置されている。この帯電装置18は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させるスコロトロン型の帯電器であり、ベルト感光体の表面を正極性に一様に帯電させるように構成されている。
【0143】
現像装置19は、直径25mm、厚さ100μmのアルミニウム製の基材の外周面に、カーボンブラックを含有したナイロン樹脂層を設けたベルト状のフレキシブルな現像スリーブ3bを備えている。
【0144】
上記フレキシブルな現像スリーブ3bには、−600Vの直流電圧にピーク間電圧1.5KV、周波数2KHzの交流電圧を重畳して印加した。また、現像スリーブ3bの裏面(スリーブの感光体に対する側と反対側の面)には、図2に示すような構成からなり、ホーン先端部52に沿って8つのホーンセグメントを備えた共振器10を有する超音波発生器を、共振器10の接触先端部53が現像スリーブ3bに接触するように配置した。そして、交流電源11により61kHzの周波数で励起したときにホーン先端部に沿った列状のホーンセグメントの応答速度0.75cm/秒/Vで、前記現像バイアス電源と超音波発生素子のオン/オフのタイミングが同時となるように設定した。
【0145】
この現像装置19にトナーM1を装填し、感光体4の線速を300mm/sec、現像スリーブ3bとの周速比(現像スリーブ/感光体)を1.1とし、記録用紙上のTMAが0.35mg/cm2となるようにして現像を行った(非磁性一成分現像)。この時の現像効率は91%であった。現像されたトナー画像は転写装置20により記録用紙に転写され、図示しない2本ロール型の定着器(定着温度:175℃)により定着を行った。
【0146】
以上のプロセス構成の画像形成装置を作動させることにより、連続10000枚の可視画像を作製し以下の方法によって画像濃度、かぶり、線画、文字品質を評価したところ得られた全ての可視画像は非常に高い画質であった。また、併せて現像効率も評価した。
【0147】
以下に評価項目と判断基準を示す。
(画像濃度)
面積率100%のベタ画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)を用い評価した。
○・・・画像濃度が1.4以上
×・・・画像濃度が1.4未満
【0148】
(画像かぶり)
地肌部の相対反射濃度を画像評価装置imageXpertにより紙の相対反射濃度を0.000として測定した。
○・・・相対反射濃度が0.004未満
×・・・相対反射濃度が0.004以上
【0149】
(細線再現性評価試験)
感光体上に線幅が50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写および定着した。記録用紙上の定着像の細線の画像を、VH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、G1およびG2を許容範囲とした。
G1:細線がトナーにより均一に埋まり、エッジ部での乱れもない。
G2:細線がトナーによって均一に埋まっているが、エッジ部で僅かなぎざつきが見られる。
G3:細線がトナーによってほぼ均一に埋まっているが、エッジ部でのぎざつきが目立つ。
G4:細線がトナーによって均一に埋まっておらず、エッジ部でのぎざつきが目立つ。
G5:細線がトナーによって均一に埋まっておらず、エッジ部でのぎざつきが著しく目立つ。
【0150】
(ソリッド画像の画像光沢均一性評価)
得られた画像について、画像内の光沢差、および画像部と非画像部(コート紙)との光沢差を目視にて観察し以下の基準により評価した。G1およびG2を許容範囲とした。
G1:画像内および画像部と非画像部に光沢差はまったく観察されず、画像の光沢均一性は極めて良好であった。
G2:画像部と非画像部には若干光沢差が観察されたが、画像内にはグロス差は観察されず、画像全体としては光沢均一性が良好であった。
G3:画像内および画像部と非画像部の双方に若干光沢差が観察され、画像の光沢均一性は若干劣っていた。
G4:画像内および画像部と非画像部の双方に光沢差が観察され、画像の光沢均一性は劣っていた。
G5:画像内および画像部と非画像部の双方に著しい光沢差が観察され、画像の光沢均一性は著しく劣っていた。
【0151】
(文字品質)
3ポイントの英字「Xerox」、6ポイントの和字「魑魅魍魎」を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製)拡大観察しエッジ部にシャープさ(鮮鋭性)、エッジ部周辺のトナー散り(文字散り)を以下の基準により評価した。
◎・・・文字散りが無く、文字のエッジや先端部のシャープさが非常に優れている。
○・・・文字散りが無く、鮮鋭性も良好
×・・・・文字散りが目立ち、鮮鋭性に劣る
なお、○以上を合格とした。
【0152】
<実施例2〜実施例9、及び比較例1〜比較例4>
実施例1において、トナーM1の代わりに表2に示したトナーを用いた以外は実施例1と同様にして画像を形成し前記評価を行った。
評価結果を表2にまとめて示す。
【0153】
【表2】
【0154】
<比較例5〜比較例9>
実施例1において、画像形成装置の超音波発生装置を取り除いた以外同様の画像形成装置を用い、トナーM1の代わりに表3に示したトナーを用いた以外は実施例1と同様にして画像を形成し前記評価を行った。
評価結果を表3にまとめて示す
【0155】
【表3】
【0156】
<実施例10>
実施例1において、画像形成装置における現像装置を現像剤として二成分現像剤を用いられるように現像器部分を改造し、これに現像剤D1を装填した以外は実施例1と同様にして、画像を形成し前記評価を行った。
結果を表4に示す。
【0157】
<実施例11〜13>
実施例10において、現像剤D1の代わりに現像剤D2〜D4を用いた以外は実施例10と同様にして、画像評価を実施した。
評価結果を表4にまとめて示す。
【0158】
【表4】
【0159】
以上結果から、本発明の画像形成方法、画像形成装置によれば、高い画像濃度と細線再現性を有するとともに良好な文字品質と、ソリッド画像の光沢が均一な画像を提供できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の画像形成装置における画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明における共振器の構成の一例を示す概略図である。
【図3】従来の画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0161】
1 容器
2 供給ローラ
3 現像ローラ
3a 駆動ローラ
3b 現像スリーブ(現像剤担持体)
4 感光体(潜像担持体)
5 パドル
6 帯電ブレード
7、8 トナー
10 共振器
11 交流電源(電圧源)
17 露光装置
18 帯電装置
20 転写装置
22 クリーニング装置
30 圧電変換素子
40 プラットフォーム部
50 ホーン部材
51 ホーン部
52 ホーン先端部
53 接触先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鮮明で高画質の可視画像を形成することのできる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式による画像形成において、オフセット印刷と同等の高画質の可視画像を形成するために、小粒径トナーあるいは体積平均粒径で5μm以下の超小粒径トナーを用いる技術が提案されている。
【0003】
例えば、小粒径トナーを用いた二成分現像法で、キャリアの条件(粒径、抵抗)で最適な現像性を示す技術が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、トナーは粒径が小さくなるに伴ってファンデルワールス力が支配的となるために、従来粒径のトナーに比べてキャリアとの付着力が大きくなる。このため、公知である磁気ブラシ現像法で現像しようとしても十分な現像性が得られず、画像濃度不足、横線の細りなどが発生する場合があった。また、十分な現像量を得るために例えば現像ロールの線速度を極端に大きくすると、 感光体(像担持体)にキャリアが付着する現象(キャリア付着)や、キャリアが飛散する現象(キャリア飛散)が発生し画像欠陥を引き起こす場合があった。
【0004】
非磁性一成分現像方式の場合も、トナーに均一に電荷を付与するには帯電付与のためのブレード等と擦る必要があるが、小粒径トナーになると単位重量あたりの比表面積が大きくなるため、トナーに均一な電荷を付与するには高いブレード圧力が必要となり、これによりトナーとスリーブとの付着力が益々増加し現像性が劣ってしまうといった課題があった。
【0005】
こうしたファンデルワールス力の増大に起因する現像性の低下は、トナーの体積平均粒径が5μm以下になると特に顕著に表れ、5μm以下の超小粒径トナーを現像し良好な画質を得るには、現像スリーブあるいは帯電体からトナーを引き離すための何らかの手段を講ずることが必要である。
【0006】
また、小粒径トナー用いた画像は用紙への載り量が少ないため、画像部間および画像部に光沢むらのない高画質な画像を形成し得る利点を有する一方、トナーの顔料濃度を高める必要があり、高顔料濃度のトナーを用い現像、転写を行なうと注入性のカブリが生じる場合があった。これはカーボンブラックを具体例とする導電性顔料で顕著である。さらに、超小粒径トナーを現像(飛翔)させるべく、現像バイアスの電界強度高めたり、転写バイアス電界強度を上げると、こうした注入性カブリがさらに顕著に生じたり、転写不良が顕著に発生してしまうといった問題があった。
【0007】
このように超小径のトナーを用いた場合は、トナーの現像性を補助する何らかの手段が必要となる。しかし、上記のように、単に現像電界強度を増加したり、転写電界強度を上げるだけでは高画質の画像品質、とりわけ厳しい品質基準があるカラー画像の要求品質を達成することは到底できない。
【0008】
したがって、前記ファンデルワールス力に打ち勝ってトナーを現像スリーブやキャリアから引き剥がし、良好な現像性を確保するためには、現像時に電界などの静電的な力だけでなく、何らかの非静電的な力が必要とされる。
【0009】
これに関し、超音波の微小振動を加えトナーを現像させる技術がある(例えば、特許文献3参照)。この技術は、感光体の損傷を防止することを目的とし、感光体の6時位置に配した超音波振動板上のトナーに超音波を印加することで飛翔現像させるものである。しかしながら、この技術を用い超小粒径トナーを現像させることは実質不可能であった。すなわち、この方法では小粒径トナーのファンデルワールス力が高いため充分な現像量を確保することはできない。さらにオフセット印刷並の高画質が要求されるカラー画像形成に関しては、何ら目的を達成することができないものであった。
このように、従来の現像技術では前記超小粒径トナーが抱える技術課題を解決することができなかった。
【特許文献1】特開2000−81722号公報
【特許文献2】特開2000−98657号公報
【特許文献3】特開昭64−54466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は以上のような知見に基づいて完成されたものであって、その目的は、超小粒径トナーを用いながらも優れた現像性が得られ、その結果、オフセット印刷並みの高画質の可視画像と、画像部間および画像部に光沢むらのない画像を提供できる画像形成方法及び画像形成装置を具現化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上のような事情に基づき、本発明者等が超小粒径トナーを用い可視画像を形成する場合、現像性の向上と高画質の画像を得る目的として種々検討した結果、従来の電界によって現像する方法、すなわち主として現像剤を搬送する回転スリーブと感光体との間に形成される静電電界の力によってキャリア、あるいはスリーブなどの帯電体からトナーを静電的に引き剥がす方法だけでは非静電的な付着力として作用しているファンデルワールス力の大きい超小粒径トナーを用いるとトナーを十分有効に帯電体から引き剥がすことは困難であるが、こうした施策に加え現像域に振動エネルギーを均一に加えることにより、トナーを帯電体表面から機械的に脱離し易い状態を形成し、静電力とあいまって、超小粒径トナーを有効に帯電体から引き剥がすことができ現像性が向上することが判明した。
【0012】
さらに、印加される振動エネルギーは、トナーかぶりや画像品質を低下させることなく超小粒径トナーにより本来得られるべき高画質の画像を与えることが分かった。
【0013】
具体的には、電子写真方式の画像形成装置において、潜像をトナーで現像するに際にトナーを帯電体表面から脱離しやくするするために、現像剤担持体の一部に振動エネルギーを発生させるのに適した共振器を配置し、現像ニップ域(現像領域)に効果的に振動エネルギーを加えることができるように現像剤担持体は非剛性のスリーブで構成した。このような構成により、前記超小粒径トナーの技術課題をより効果的に解決できた。
【0014】
すなわち本発明は、
<1> 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法である。
【0015】
<2> 前記現像担持体が非剛性であり、前記振動エネルギーが超音波振動エネルギーであることを特徴とする<1>に記載の画像形成方法である。
【0016】
<3> 前記トナーが、少なくとも樹脂微粒子分散液及び着色剤分散液を混合し凝集粒子を形成した後、該凝集粒子を前記樹脂微粒子のガラス転移点以上の温度に加熱せしめ融合させてなるトナー粒子から構成され、前記着色剤の含有量が該トナー粒子中の3〜50質量%の範囲であることを特徴とする<1>または<2>に記載の画像形成方法である。
【0017】
<4> 前記現像剤が、一成分現像剤あることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0018】
<5> 前記現像剤が、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0019】
<6> 少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像手段を含む画像形成装置において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【0020】
<7> 前記振動エネルギー印加手段の加振部が、非剛性の現像剤担持体に接触して配置され、該振動エネルギー印加手段が超音波発生手段であることを特徴とする<6>に記載の画像形成装置である。
【0021】
<8> 前記超音波発生手段が加振部として共振器を有しており、該共振器がプラットフォーム部とホーン先端部とを備え、さらに該ホーン先端部を駆動させるために必要な高周波エネルギー発生手段と、該高周波エネルギー発生手段を駆動させるための電圧源を備えていることを特徴とする<7>に記載の画像形成装置である。
【0022】
<9> 前記現像剤担持体に、直流電圧あるいは交流電圧、または直流電圧及び交流電圧を重畳したバイアス電圧が印加されていることを特徴とする<6>〜<8>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0023】
<10> 前記現像領域において、潜像担持体の移動方法と現像剤担持体の移動方向とが同方向であることを特徴とする<6>〜<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【0024】
<11> 前記現像領域において、潜像担持体の移動方法と現像剤担持体の移動方向とが逆方向であることを特徴とする<6>〜<9>のいずれかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、体積平均粒径が2〜5μmの範囲の超小粒径トナーを含む現像剤を搬送し感光体(潜像担持体)にトナーを現像するに際し、超音波エネルギー振動子が現像スリーブ(現像剤担持体)の特定の位置に配置されていることにより、超小粒径トナーをキャリア及び現像スリーブ等の帯電体から機械的に容易に脱離させることができる。この現像アシスト技術を用いることにより、過度に現像電界強度を高めることなく超小粒径トナーの帯電体からの脱離が容易となり、基本的に鮮明で微細な、オフセット印刷と同等またはそれ以上の高画質の可視画像を形成でき、さらに画像部間および画像部に光沢むらのない高画質な画像を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤より現像する現像工程を含む画像形成方法において、前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、上記本発明の画像形成方法を用いるものであって、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする。
【0027】
まず、本発明の画像形成方法を用いる画像形成装置と、従来の画像形成装置との相違を図を用いて説明する。
図3は、従来の画像形成装置における画像形成ユニットの一例として、一般に知られている非磁性一成分現像装置を用いた構成を示す概略構成図である。図3に示す画像形成ユニットは、容器1に予め所定量収納されているトナー7を供給ローラ2で現像ローラ3の表面に供給し、この現像ローラ3によって感光体4の表面にトナーを供給し感光体表面の潜像を現像してトナー画像を形成する構成である。なお、感光体4の表面に形成されたトナー画像は搬送されるシートSに転写される。5は容器1内のトナー7を攪拌するアジテーター、6は現像ローラ3上のトナー量を規制する帯電ブレードである。容器1内のトナー7は、供給ローラ2の動きに従って移動し帯電ブレード6との接触領域に運ばれそこで帯電ブレード6との接触により所望の極性の電荷を付与され現像ローラ3上に薄層状態のトナー8として保持される。その後、現像ローラ3の回転により搬送され、感光体4表面の潜像に対応して現像される。
【0028】
このような構成の現像器(現像手段)では、前述したような超小粒径トナーを使用した場合、トナー8が良好に現像できないという課題を有している。すなわち、帯電ブレード6を通過したトナー8は、帯電したトナーの電荷により現像ローラ3表面に静電的に付着しているが、トナーが超小粒径となるとトナー8及び現像ローラ3間のファンデルワールス力が大きくなり、現像ローラ3表面のトナー8が感光体4に移行しにくくなってしまう。この傾向は、トナーの小粒径化により帯電ブレード6の圧力をより高くする必要があることから、さらに強くなる。
【0029】
本発明者等は、上記現像性の低下に対し、感光体4の現像ローラ3との現像領域に相当する部分に振動を加える(振動エネルギーを付与する)ことでトナー8の飛翔性を向上させることができることを見出し本発明を完成させた。
図1に、本発明の画像形成装置における画像形成ユニットの一例の概略構成図を示す。この図を参照しながら本発明におけるトナーの現像性を促進させる基本的原理を説明する。なお、図3に示した画像形成ユニットとの比較において、現像には非磁性一成分トナーを用いた。
【0030】
この画像形成ユニットは、図1に示すように、矢印cで示す方向に回転駆動される感光体(潜像担持体)4と、この感光体4の外周に沿って、感光体4の回転方向において各々動作順に並ぶよう配置された、帯電装置18、露光装置17、現像装置(現像手段)19、転写装置20、分離装置21及びクリーニング装置22とにより構成されている。
【0031】
この画像形成ユニットは、本発明の画像形成装置における好ましい画像形成ユニットの一例であり、現像装置19における現像スリーブ(現像剤担持体)3bが非剛性の弾性スリーブであり、この現像スリーブ3bの裏面から超音波発生装置(振動エネルギー印加手段)の加振部である共振器10によって振動エネルギーを均一に加え、トナー8を現像スリーブ3bから機械的に脱離させ現像を促進できる構成となっている。前記共振器10は、感光体4と線接触することでエネルギーを均一に加えることができるように配置される。さらに共振器10は、ある速度以上の振動速度が得られるように駆動できる駆動装置(高周波エネルギー発生手段)を有する。
【0032】
感光体4としては、例えばドラム状の金属基体の外周面に適宜の感光層が形成されたものであり、感光層の種類としては、特に限定されるものではないが、例えばセレン、砒素セレン、アモルファスセレン(a−Se)、硫化カドミウム(CdS)、酸化亜鉛(ZnO2)、アモルファスシリコン(a−Si)等よりなる無機感光層、有機光導電性化合物よりなる有機感光層等が用いられ、好ましいものは、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成されてなる有機感光体であり、電荷輸送層と電荷発生層とが積層されてなる機能分離型のものが特に好ましい。
【0033】
露光装置17は、デジタル化された画像データを光信号に変換して感光体を露光するデジタル光学系、例えばレーザ光学系を構成するレーザ照射装置により構成されており、例えばレーザーダイオードよりなる光源(図示せず)よりのレーザ光が、回転されるポリゴンミラー、fθレンズおよびシリンドリカルレンズなどよりなる光学系を介して感光体4の表面に対して選択的に照射される。
【0034】
現像装置19は、容器の開口部に配設され矢印b方向に回転駆動可能に支持された供給ローラ2と、駆動ローラ3aに外装されたフレキシブル(非剛性)な現像スリーブ(現像剤担持体)3bとを含んで構成される(駆動ローラ及び現像スリーブが前記現像ローラのような現像部材を構成する)。フレキシブルな現像スリーブ3bは、ニッケル等の金属材料、あるいはカーボン含有ナイロン等の樹脂からなり、駆動ローラ3aよりも径が大きくその内面に上記駆動ローラ3aが内接することによって弛み部が形成され駆動ローラ3aの回転と共に矢印b方向に回転するようになっている。
【0035】
現像スリーブ3bの外面には、上記容器1の内面から延設されたステンレス鋼等の金属材料からなるブレード6が接触している。感光体4は、上記現像スリーブ3bの弛み部と対向するように配置され矢印c方向に回転駆動可能なように支持されている。現像スリーブ3b上に薄層化されるとともに摩擦帯電されたトナー8は感光体4との対向域(現像領域)へと搬送される。現像スリーブ3bには直流電圧あるいは交流電圧、または直流電圧及び交流電圧を重畳したバイアス電圧が印加されており、薄層化されたトナー8は感光体4と現像スリーブ3bとで構成されたニップ部で感光体4の潜像に現像される。
【0036】
なお、本発明においては、前記現像スリーブ3bから直接トナー8が感光体4に現像されてもよいし、現像スリーブ3bと感光体4との間に弾性ローラのような中間体を設けて、現像スリーブ3bから該弾性ローラを介して感光体4にトナーが現像される構成であってもよい。弾性ローラを設けることにより、現像域に効果的に振動エネルギーを印加させると同時に現像の安定性が可能となる。
【0037】
本発明の画像形成方法において、前記フレキシブルな現像スリーブ3bとしては、公知の弾性を有す無端ベルト等を用いることができる。該無端ベルトとしては、具体的には基材上に樹脂層を有し、必要に応じてトナー搬送のための表面層を具備したスリーブである。ベルト型の現像スリーブの場合には、前記基材としては例えばポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ステンレス製ベルト等、耐熱性、耐久性が高いものが選択される。前記樹脂層としては、ナイロン、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴム、発泡体などが用いられる。
【0038】
なお、前記表面層として、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂等の離型層を有してもよい。
【0039】
前記樹脂層の硬度及び弾性率は、超音波エネルギーを効果的に伝達できれば良く、僅かに可とう性を有しておりば問題ない。完全に剛体の材料でなければ超音波エネルギーは伝達可能である。
【0040】
前記フレキシブルな現像スリーブ3bは、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を含有してもよい。
なお、感光体4と現像スリーブ3b上のトナー8は接触していても良いしに非接触であっても現像性には影響を与えない。
【0041】
次に、図1を用いて振動エネルギーを均一に加えるための装置に関して説明する。
図1に示す画像形成ユニットにおいては、ベルト状の現像スリーブ3bにおける感光体4との近接領域(現像領域)に、振動エネルギー印加手段である超音波発生装置の加振部である共振器10を備える。該振動エネルギー印加手段としては、現像領域に振動エネルギーを付与できるものであれば特に制限されない。
【0042】
ただし、本発明における振動エネルギー印加手段としては、トナーに効果的な現像性を付与する点から高周波振動エネルギーを発生する超音波発生手段であることが好ましい。また、前記振動エネルギー印加手段は、振動を効率的に伝達するため現像スリーブ(現像剤担持体)3bに接触して配置されていることが好ましく
【0043】
また、本発明における超音波発生手段は、好ましくは高周波振動エネルギーを均一に加えるための共振器10を備える。該共振器10は、支持部材と複数のセグメントに分割されたホーン部材とを有し、ホーン部材には一体状のプラットフォーム部が設けられ、各ホーンセグメントが形成されていることが好ましい。さらにホーンの各セグメントを共振周波数で駆動して感光体に振動エネルギーを加える複数の振動発生素子(高周波エネルギー発生手段)を有している。振動発生素子はある期間の周波数掃引中のある時点で最大先端速度になるようにホーンセグメントを励起できるよう選択された周波数範囲を有す電圧信号で駆動される。
【0044】
例えば、図1に示すように、交流電源(電圧源)11によって駆動されて20〜200kHzの周波数fで作動する比較的高周波数の音響または超音波共振器10が、現像部ニップ位置(現像領域)で現像スリーブ9の裏側を振動させるように配置される。現像スリーブ9の振動はスリーブ上に搬送されているトナー8を揺り動かすため、トナー8が現像スリーブ9から機械的に脱離するによって、現像スリーブ9と感光体4との接触が不十分なために間隙が生じていても現像させることができる。
【0045】
こうした作用により、通常より低い現像電界で現像効率を高めることができ、また、超小粒径トナーを現像する場合のトナーへの注入帯電(像品質不良の原因)の発生も抑えられる。
【0046】
本発明の画像形成装置の構造をより詳細に説明すれば、共振器10は現像スリーブ3bの幅方向に並行で、現像スリーブ3bの移動方向(矢印b方向)に直行する方向に振動表面を備えており、その幅は一般に現像スリーブ3bの幅とほぼ同じである。ここに例示した現像スリーブ3bは、共振器10の振動運動に追従することができる程度の非剛性、すなわち幾分可撓性(「可撓性」とは、外力をかけて曲げるときの曲げやすさ(たわみやすさ)の程度をいい、小さい外力で容易に曲げられるほど可撓性が大きいことを意味する)を備えていることが好ましい。
【0047】
共振器10の振動エネルギーはさまざまな方法で現像スリーブ3bに伝達される。共振器10は、例えば図2に示すように、圧電変換素子40とホーン部材50とを有しており、それらは共に後ろ板30に支持されている。ホーン部材50には、プラットフォーム部51とホーン先端部52と現像スリーブ9に接触してそれに共振器の音響エネルギーを与える接触先端部53とが設けられている。
【0048】
そして、ホーン部材50の接触先端部53が現像スリーブ3bに接触することによって先端部の動きが現像スリーブ3bを振動運動させる。共振器10から現像スリーブ3bへ振動エネルギーを伝達するための結合構造を提供するために、共振器10を特殊な真空箱構造体と組み合わせてもよい。ホーン部材50の形状、寸法に関しては、例えば特開平5−53453号公報で開示されているような台形でありほぼ矩形の基部と三角形の先端部とを備えたもの、あるいは、ホーン部材50は段差型にてほぼ矩形の基材と段差ホーン先端部を設けたものであってもよい。何れにせよ現像効率は少なくともホーン先端部52の速度の関数であり、ホーン先端部52の速度が増加すると現像効率は増加する。
【0049】
図1に示す画像形成ユニットに関し、本発明では、前記現像領域において、感光体(潜像担持体)4の移動方法と現像スリーブ(現像剤担持体)3bの移動方向とが同方向であってもよいし、逆方向でってもよい。同方向の場合には、現像性能が環境変動や経時で比較的安定化できる点で好ましい。また、逆方向の場合には、細線等の画像品位が優れる点で好ましい。
【0050】
本発明においては、トナーとして体積平均粒径が2〜5μmの範囲の超小粒径トナーが用いられるが、前記のような振動エネルギー付与条件で現像を行った場合の現像効率は50〜100%の範囲であることが好ましく、70〜100%の範囲であることがより好ましく、最も好ましいのは90〜100%の範囲である。
【0051】
なお上記現像効率は、一定面積のべた画像について現像を行い下式(1)により求められる。
現像効率(%)={感光体表面に現像されたトナー量(mg/cm2)/現像スリーブ表面のトナー量(mg/cm2)×感光体と現像スリーブとの周速度比}×100 ・・・ 式(1)
【0052】
このようにして感光体4の表面に形成されたトナー画像は、転写手段20において搬送されてきた例えば紙よりなる記録材に転写され、感光体4に密着した状態にある記録材は、トナー画像の転写直後に、分離手段21において感光体4から分離される。感光体4から分離された紙は、定着装置に向かって搬送され、当該定着装置においてトナー画像が熱定着され、紙に原稿の画像に対応した可視画像が形成され、この可視画像は搬送されて外部に排出される。また、紙が分離された後の感光体4は、クリーニング装置22を通過することにより、表面に残留しているトナーが除去される。
【0053】
前記のようにして感光体4表面に現像され、その後記録材に転写されたトナー画像のトナー載り量(以下、「TMA」という場合がある)を単色につき(100%の面積率を形成する場合)0.40mg/cm2以下とすることが好ましく、より好ましくは0.35mg/cm2以下、さらに好ましくは0.30mg/cm2以下である。
TMAが0.40mg/cm2以下であると、前記のように得られる画像が高画質化するとともに、転写材の加熱ロールに対する離型性が向上するので、トナーが加熱ロールに付着することによって生じるオフセット現象や、トナーが加熱ロールに追従することにより生じる紙詰まり等のトラブルが発生しないので好ましい。但し、得られる画像におけるトナーの充分な発色を確保するためには、画像面積率100%におけるTMAは、0.1mg/cm2以上であるのが好ましく、より好ましくは0.15mg/cm2以上である。
【0054】
そして、本発明においては前記のように現像スリーブ3bからの現像効率を高くすることができるため、例えば非磁性一成分トナーを用いる場合、前記トナー載り量を得るのに現像スリーブ3b上のトナー搬送量を0.1〜0.5mg/cm2の範囲、より好ましくは0.15〜0.45mg/cm2の範囲と少なくすることができる。よって、トナー帯電の均一性等が改善されより高画質な画像を得ることができる。
【0055】
本発明の画像形成装置に用いられる現像剤は、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤であっても、一成分現像剤であってもよい。
【0056】
次に、本発明に用いられるトナーについて説明する。
本発明に用いられるトナーの製造方法は、例えば、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、液中乾燥造粒法、等が上げられるが、超小粒径トナーを工業的な製造コストで得るためには懸濁重合法、乳化重合法、液中乾燥造粒法が望ましく、乳化重合によるトナー製造法が最も望ましい。
【0057】
乳化重合法を用いたトナーの製造法は、特開平6−250439号公報などに記載されている。この方法は、界面活性剤を用いて乳化重合させ樹脂微粒子分散液を調製し、他方、着色剤を分散させた着色剤分散液を調製し、これらの分散液を混合した後、前記の界面活性剤と反対の電気極性を有する界面活性剤を添加して、上記の樹脂微粒子と着色剤を所望の粒子径になるまで凝集させ(凝集工程)、その後、凝集粒子を所望の粒子径で安定化させた後、凝集粒子を樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)以上の温度で融合させ(融合工程)、トナーを作製するものである。非イオン性界面活性剤は、乳化重合や着色剤分散液を調製するときに、微粒子の分散安定性を確保するために添加する。
【0058】
また、前記凝集工程と融合工程との間に、凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させた微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程(付着工程)を設けたものであってもよい。この付着工程では、凝集工程で調製された凝集粒子分散液中に、微粒子分散液を添加混合して、凝集粒子に微粒子を付着させて付着粒子を形成するが、添加される微粒子は、凝集粒子に凝集粒子から見て新たに追加される粒子に該当するので、追加微粒子とされる場合がある。
【0059】
追加微粒子としては、樹脂微粒子の他に離型剤微粒子、着色剤微粒子等を単独もしくは複数組み合わせたものであってもよい。微粒子分散液を追加混合する方法としては、特に制限はなく、例えば徐々に連続的に行ってもよいし、複数回に分割して段階的に行ってもよい。このようにして、微粒子(追加微粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、得られるトナー粒子の粒度分布をシャープにすることができ、高画質化に寄与することが可能となる。
【0060】
また、付着工程を設けることにより、擬似的なシェル構造を形成することができ、着色剤や離型剤などの内添物のトナー表面露出を低減でき、結果として帯電性や寿命を向上させることができることや、融合工程における融合時において、粒度分布を維持し、その変動を抑制することができると共に、融合時の安定性を高めるための界面活性剤や塩基または酸等の安定剤の添加を不要にしたり、それらの添加量を最少限度に抑制することができ、コストの削減や品質の改善可能となる点で有利である。従って、離型剤を使用するときには、樹脂微粒子を主体とした追加微粒子を添加することが好ましい。さらにこの方法を用いれば、融合工程において、温度、攪拌数、pHなどの調整により、トナー形状制御を簡単に行うことができる。
【0061】
以下、前記各工程についてさらに詳しく説明する。
前記凝集工程に用いられる樹脂微粒子及び追加樹脂微粒子としては、結着樹脂となる熱可塑性の重合体より形成されたものであり、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のポリオレフィン類;等の単量体の単独重合体またはこれらを2種以上組み合せて得られる共重合体またはこれらの混合物、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、あるいはこれらと前記ビニル系樹脂との混合物、これら重合体の共存下でビニル系単量体を重合する際に得られるグラフト重合体等を挙げることができる。
【0062】
これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂が特に好ましい。ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤等を用いて乳化重合やシード重合により樹脂微粒子分散液を容易に作製することができる点で有利である。
【0063】
樹脂微粒子の分散液の調製方法について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した方法を採用することができるが、例えば以下のようにして調製することができる。樹脂微粒子における樹脂が、前記ビニル基を有するエステル類、前記ビニルニトリル類、前記ビニルエーテル類、前記ビニルケトン類等のビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、前記ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)製の樹脂微粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製することができる。
【0064】
また、樹脂微粒子における樹脂が、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解し、この溶解物を、イオン性界面活性剤や高分子電解質と共に水中に添加し、ホモジナイザー等の分散機を用いて微粒子分散させた後、加熱ないし減圧することにより前記油性溶剤を蒸散させることにより調製することができる。
【0065】
なお、樹脂微粒子分散液に分散された樹脂微粒子が、樹脂微粒子以外の成分を含む複合粒子である場合、これらの複合粒子を分散させた分散液は、例えば、以下のようにして調製することができる。複合粒子の各成分を、溶剤中に溶解分散した後、前述のように適当な分散剤と共に水中に分散し、加熱ないし減圧することにより溶剤を除去して得る方法や、乳化重合やシード重合により作製されたラテックス表面に機械的剪断または電気的吸着を行い、固定化する方法により調製することができる。また、樹脂微粒子を製造する際に、着色剤や離型剤を添加して製造された複合樹脂粒子を用いてもよい。
【0066】
また、本発明におけるトナーの製造において、凝集工程に離型剤分散液を添加して樹脂微粒子や着色剤とともに凝集させ、トナー中に融合させることも可能であるし、樹脂微粒子と着色剤を凝集した後、離型剤分散液を添加して凝集粒子表面に離型剤を付着させることも可能である。ここで用いる離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;シリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス;ミツロウのごとき動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系、石油系のワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。
【0067】
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断力を付与できるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて微粒子化し、粒径が1μm以下の粒子の分散液として作製することができる。また、これらの離型剤微粒子はその他の樹脂微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段に添加してもよい。
【0068】
離型剤は、トナー粒子に対して20質量%以下の添加量であることが好ましい。離型剤が多すぎるとトナー表面に露出又はトナー外に遊離する離型剤が多くなり、トナー自体の流動性や保管性に問題を生じたり、フィルミングが発生するなど信頼性を悪化させることがある。オイルレス定着と組み合わせる場合には、前記離型剤を6質量%以上含有していることが好ましい。離型剤が少なすぎるとホットオフセットが発生したり、定着器からの剥離性が低下する場合がある。
【0069】
前記着色剤としては、例えば、以下に示すものを用いることができる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アリニンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができ、特にカーボンブラックが好ましく用いられる。イエロー顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185等が好ましく用いられる。マゼンタ顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
【0070】
シアン顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができ、特に、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が好ましく用いられる。橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジPK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。また、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系などの各種染料なども用いられる。また、これらの着色剤は単独もしくは混合して使用される。
【0071】
これらの着色剤は、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。また、着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもできる。この際、着色剤の平均分散径を100〜330nmとすることで、光透過性や発色性が良好となる。
【0072】
また、前記着色剤は、色相角、採度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。そして、本発明においては、前述のようにトナー載り量を低下させた画像形成を行うことが好ましいので、トナー粒子中の着色剤の含有量を増加させ、トナー粒子単位質量当たりの発色濃度を高くして、現像に必要なトナー量を少なくするのが好ましい。特に、トナー粒子中の着色剤の含有量は、用紙へのトナー載り量にも依存するが、トナー構成固体分総質量に対して3〜50質量%の範囲が好ましく、4〜40質量%の範囲がさらに好ましく、5〜20質量%の範囲が最も好ましい。
【0073】
着色剤の含有量が3質量%未満であると、トナーの単位重量当たりの発色濃度が不足する傾向がある。一方、含有量が多い程トナーの発色濃度は高くなるが、50質量%を超えると、極少量のトナーが非画像部へ飛散した場合でも地汚れが顕著となったり、顔料の補強効果により着色粒子の溶融粘度が上昇し定着性が低下する場合がある。
【0074】
また、磁性トナーとして用いる場合は磁性粉を含有させるが、ここで使用する磁性粉としては、フェライトやマグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金又はこれら金属を含む化合物などを挙げることができる。さらに必要に応じて、4級アンモニウム塩、ニグロシン系化合物やトリフェニルメタン系顔料など、通常使用される種々の帯電制御剤を添加してもよい。
【0075】
さらにまた、従来のトナー外添剤をトナー粒子中に含有させることも可能である。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどの無機微粒子を、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基で分散して使用することができる。これらの磁性粉、帯電制御剤、その他の外添剤の分散方法は、前記着色剤と同様に行うことができる。
【0076】
また、本発明におけるトナーには、無機もしくは有機の微粒子を添加することができる。この微粒子は着色剤や離型剤などの内添物の分散性を向上させることができる。また、微粒子の補強効果によりトナーの貯蔵弾性率が大きくなり、耐オフセット性や定着器からの剥離性が向上する場合がある。無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどを単独もしくは併用して用いることができる。なかでもOHP透明性の観点からシリカを用いることが好ましい。微粒子はトナー製造時に直接添加することもできるが、分散性を高めるためにあらかじめ水など水溶性媒体へ分散されたものを用いることが好ましい。分散においては、イオン性界面活性剤や高分子酸、高分子塩基などを用いて分散性を向上させることもできる。
【0077】
さらにトナーには、その他の帯電制御剤などの公知の材料を添加してもよい。その際に添加される材料の体積平均粒径としては、1μm以下であることが必要であり、0.01〜1μmの範囲であるのが好ましい。前記体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記体積平均粒径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記体積平均粒径は、例えばマイクロトラックなどを用いて測定することができる。
【0078】
前記樹脂微粒子分散液、着色剤分散液及びその他の成分(粒子)を分散させた分散液における分散媒としては、例えば水系媒体等があげられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等があげられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0079】
種々の分散液を作製する手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
【0080】
前記水系媒体には、凝集剤として界面活性剤を添加混合しておくのが好ましい。界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が好適にあげられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤がより好ましい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤またはカチオン界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0081】
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油ナトリウム等の脂肪酸セッケン類;オクチルサルフェート、ラウリルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、ノニルフェニルエーテルサルフェート等の硫酸エステル類;ラウリルスルホネート、ドデシルスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、トリイソプロピルナフタレンスルホネート、ジブチルナフタレンスルホネート等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホネートホルマリン縮合物、モノオクチルスルホサクシネート、ジオクチルスルホサクシネート、ラウリン酸アミドスルホネート、オレイン酸アミドスルホネート等のスルホン酸塩類;ラウリルホスフェート、イソプロピルホスフェート、ノニルフェニルエーテルホスフェート等のリン酸エステル類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル2ナトリウム等のスルホコハク酸塩類等があげられる。
【0082】
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミン塩酸塩、ステアリルアミン塩酸塩、オレイルアミン酢酸塩、ステアリルアミン酢酸塩、ステアリルアミノプロピルアミン酢酸塩等のアミン塩類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート、ラウロイルアミノプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパークロレート、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類等があげられる。
【0083】
前記非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレート等のアルキルエステル類;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステアリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミノエーテル、ポリオキシエチレン大豆アミノエーテル、ポリオキシエチレン牛脂アミノエーテル等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド等のアルキルアミド類;ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル、ポリオキシエチレンナタネ油エーテル等の植物油エーテル類;ラウリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等のソルビタンエステルエーテル類等があげられる。
【0084】
以上のような材料を用いて、凝集工程では、少なくとも樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液を含み、必要に応じて離型剤分散液などのその他の成分を添加混合して調整された分散液を、攪拌しながら室温から樹脂のガラス転移温度程度の温度範囲で加熱することにより樹脂微粒子及び着色剤などを凝集させて凝集粒子を形成する。
【0085】
その際、前述のように、樹脂微粒子、着色剤、必要に応じて上記の無機微粒子などを一度に添加してもよいし、分割して微粒子成分を段階的に添加し、凝集粒子の構成を例えばコアシェル構造や、粒子の半径方向に成分を傾斜させた構造を付与してもよい。その場合は、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液及び離型剤微粒子分散液などを混合分散し、一定水準の粒径になるまで凝集粒子を成長させる。そして必要に応じて、樹脂微粒子分散液などをさらに加えて凝集粒子表面に追加樹脂微粒子を付着させてもよい。追加樹脂微粒子が凝集粒子表面を覆うことにより、着色剤、離型剤などがトナー表面に露出することを防止することができ、これらの露出による帯電不良、不均一帯電を抑制するのに有効である。
【0086】
上記の凝集工程では、凝集剤として2価以上の無機金属塩を用いるが、凝集剤は3価以上、特に4価であることが好ましい。前記無機金属は価数が大きいほど凝集力が強く、安定に凝集を制御することができるため、未凝集物を生ずることが少なく、優れた粒度分布を得ることができる。4価以上の無機金属塩重合体としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウムなどを用いることができる。
【0087】
次いで、融合工程では、例えば、樹脂のガラス転移点以上の温度、一般には70〜120℃の範囲に加熱処理して凝集粒子を融合させ、トナー粒子含有液(トナー粒子分散液)を得る。次いで、得られたトナー粒子含有液は、遠心分離または吸引濾過により処理して、トナー粒子を分離し、イオン交換水によって1〜3回洗浄する。その際pHを調整することで洗浄効果をより高めることができる。その後、濾別し、イオン交換水によって1〜3回洗浄し、乾燥することによって、トナー粒子を得ることができる。
【0088】
乳化凝集法で得たトナー粒子は、その粒度分布が従来の懸濁重合法等に代表される重合法で得たトナー粒子と比較して極めてシャープであり、さらに超小粒径トナーを高い収率で製造できる点で望ましい。
【0089】
本発明に用いられるトナーは、体積平均粒子径D50v が2〜5μmの範囲である。体積平均粒径が2.0〜4.5μmの範囲がより好ましく、2.0〜4.0μmの範囲がさらに好ましく、2.5〜3.5μmの範囲が特に好ましい。トナーの体積平均粒径が5.0μmを超えると、粗大粒子の比率が高くなり、定着工程を経て得られる画像の細線や微小ドットの再現性、および階調性が低下する。一方、トナーの体積平均粒径が、2.0μm未満となると、トナーの粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、潜像担持体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う他の工程における種々の不具合が生じる。なお、本発明でいう「細線の再現性」とは、主として30〜60μmの範囲、好ましくは30〜40μmの範囲の幅の細線を忠実に再現可能か否かを意味し、さらに同程度の径のドットを再現し得るかについても考慮に入れたものである。
【0090】
本発明におけるトナーの体積粒度分布指標GSDvは1.3以下であることが好ましく、1.25以下であることがより好ましい。また、個数粒度分布指標GSDpは1.4以下であることが好ましく、1.3以下であることがより好ましい。
GSDvが1.3よりも大きいと、トナー中の粗粉が多くなり、画像の飛び散りが発生する場合がある。GSDpが1.4よりも大きいと、トナー中の微粉が多くなり、トナー飛散による機内のトナー汚染が多くなる場合がある。
【0091】
また、本発明におけるトナーの小粒径側個数粒度分布指標GSDp−underは1.40以下であることが好ましい。このGSDp−underは、トナーの粒度分布における小粒径トナーの比率を表すものであるが、GSDp−underが1.40を超えると、小粒径トナーの比率が高くなるため、初期性能の他に信頼性の点からも極めて大きな影響を有する。即ち、前記のように小粒径トナーの付着力が大きいため、静電気的制御が困難となりやすく、2成分現像剤を用いる場合はキャリア表面にトナーが残留しやすい。この場合、繰り返し機械力を与えられると、キャリア汚染を招き、結果としてキャリアの劣化を促進する。また、小粒径トナーは付着力が大きいため、現像効率の低下も発生し、結果として画質欠陥が生じる場合がある。
前記GSDp−underは1.3以下であることがより好ましい。
【0092】
前記体積平均粒径、GSDv、GSDp、及びGSDp−underは、以下のように求められる。まず、例えば、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター製)、などの測定器で測定される粒度分布を基にして、体積、数をそれぞれ小粒径側から累積分布を引いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v(これを体積平均粒径とする)、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。
【0093】
そして、体積粒度分布指数GSDvは、(D84v/D16v)1/2として算出され、数平均粒度分布指数GSDpは、(D84p/D16p)1/2として算出される。また、小粒径側平均個数粒度分布指標GSDp−underは、(D50p/D16p)として算出される。
【0094】
さらに、本発明におけるトナーの形状係数SF1は105〜160の範囲にあることが好ましい。形状係数が105より小さいと、形状が球形に極めて近いため、水のような流動性を持つようになり、搬送性が悪化する場合がある。形状係数が160より大きいと、トナーの流動性が低下し、部分的に強いストレスが加わったり、搬送力、攪拌力を上げる必要が生ずるなどして、現像剤の劣化が促進される。
なお、上記SF1は110〜145の範囲がより好ましい。
【0095】
ここで上記形状係数SF1は、下記式(2)により求められる。
SF1=(ML2/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(2)
上記式(2)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
【0096】
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出することができる。すなわち、スライドガラス表面に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(2)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0097】
得られたトナー粒子には、流動性助剤、クリーニング助剤、研磨剤等として、無機粒体および有機粒体を添加しトナーとすることができる。無機粒体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、酸化セリウム等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子があげられ、有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される総ての粒子が挙げられる。さらに、滑剤を添加することもできる。滑剤として、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩があげられる。無機粒体のなかでも疎水化されたシリカを必須成分として添加することが好ましい。
【0098】
作製されたトナーは、現像剤目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。例えば、トナーを単独で用いて、一成分系の静電荷像現像剤として調製してもよいし、また、キャリアと組み合わせて二成分系の静電荷像現像剤として調製してもよい。
【0099】
キャリアとしては、特に制限はなく、鉄粉系キャリア、フェライト系キャリアなどそれ自体公知のキャリアを用いることができ、例えば、特開昭62−39879号公報、特開昭56−11461号公報等に記載された樹脂被覆キャリア等の公知のキャリアを使用することができる。現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0100】
本発明の画像形成方法は、トナーリサイクル工程を含む電子写真方式にも適用することができる。トナーリサイクル工程は、クリーニング工程において回収したトナーを現像剤層に移す工程である。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
【0101】
本発明の画像形成方法は、トナー画像を熱定着する定着工程を含むことができる。定着工程では、公知の接触型熱定着装置を用いて行うことができるが、具体的には、例えば、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加熱ローラと、芯金上にゴム弾性層を有し、必要に応じて定着部材表面層を具備した加圧ローラとからなる定着部材を具備する熱ローラ定着装置や、定着部材として、このようなローラとローラとの組み合わせを、ローラとベルトとの組み合わせ、ベルトとベルトとの組み合わせに代えた定着装置が使用できる。定着装置には、必要に応じてシリコーンオイルなどの離型剤塗布手段を具備したものであってもよい。
【0102】
定着部材の基材(コア)には、耐熱性に優れ、変形に対する強度が強く、熱伝導性の良い材質が選択され、ロール型定着部材の場合には、例えばアルミ、鉄、銅等が選択され、ベルト型定着部材の場合には、例えばポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ステンレス製ベルト等耐熱性、耐久性が高いものが選択される。前記ゴム弾性層としては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムが用いられ、そのゴム硬度はアスカーC硬度で50〜80度の範囲であることが好ましい。硬度が低すぎると耐久性が劣り、高すぎるとロールの変形が不十分となり定着性が損なわれる場合がある。その厚みは0.05mm〜5mmの範囲であることが好ましい。厚みが薄すぎると変形が不十分となり定着性が損なわれる場合があり、厚すぎると加熱に時間がかかり実用性が劣る場合がある。
【0103】
定着部材表面層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素ラテックス、フッ素樹脂が用いられ、中でもフッ素樹脂を用いることで長期に渡り、信頼性の高い定着性能が得られる。定着部材表面に用いるフッ素樹脂としては、PFA(パーフロロアルコキシエチルエーテル共重合体)等のテフロン(登録商標)との共重合体、フッ化ビニリデン等が含有された軟質フッ素樹脂を用いることができる。フッ素樹脂は、シリコーンゴムやフッ素ゴムと比較して、トナー汚れ等の付着や沈着による離型性の低下が見られないために、トナー側の離型性が十分であれば、定着部材の長寿命化が図れる。
【0104】
定着部材表面層は、厚みが1.0〜80μmの範囲にあることが好ましい。厚みが薄すぎると耐久性が劣り、厚すぎると定着ロールの変形が不十分となりニップ幅が不均一になり定着性が損なわれる場合がある。前記定着部材は、目的に応じて各種の添加剤等を含有していてもよく、例えば、磨耗性向上、抵抗値制御等の目的でカーボンブラックや金属酸化物、SiCなどのセラミックス粒子等を含有してもよい。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
【0106】
<各種物性測定法>
まず、実施例、比較例で用いたトナー等の物性測定方法について説明する。
(粒度分布)
コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)で測定した。アパーチャーのサイズは50μmとした。粒度分布の算出には、分割された粒度範囲(分割数:0.793〜32.0μmまでを16チャンネルに、logスケールで0.1間隔となるように分割する。具体的にはチャンネル1が0.793μm以上1.00μm未満、チャンネル2が1.00μm以上1.26μm未満、チャンネル3が1.26μm以上1.59μm未満とし、左側の数値のlog値が(log0.793=)−0.1、(log1.00=)0、0.1、・・・1.4となるように分割した。ただしアパーチャーサイズが50μmの場合1μm未満の感度が低いため、チャンネル1はカウントせず、残りの15チャンネルを用いた。)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。
【0107】
これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は、体積粒度分布における16累積体積%に対する84累積体積%の比率の平方根、即ち(D84v/D16V)1/2として算出される。なお、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P)1/2として算出される。
【0108】
(トナー、樹脂微粒子の分子量、分子量分布測定方法)
本発明におけるトナー及び樹脂微粒子の分子量及び分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
【0109】
(樹脂微粒子、着色剤粒子、離形剤粒子の体積平均粒径)
樹脂微粒子、着色剤粒子、離形剤粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定した。
【0110】
(トナー、樹脂微粒子のガラス転移点、離型剤の融点)
トナー、樹脂微粒子のガラス転移点及び離型剤の融点は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とし、融点は吸熱ピークの頂点の温度とした。
【0111】
<各分散液の調製>
(樹脂微粒子分散液(L1)の調製)
−油層1−
・スチレン(和光純薬製) ・・・・15.3部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) ・・・・0.46部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) ・・・・0.6部
・ドデカンチオール(和光純薬製) ・・・・0.2部
【0112】
−油層2−
・スチレン(和光純薬製) ・・・・15.3部
・n−ブチルアクリレート(和光純薬製) ・・・・0.46部
・β−カルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) ・・・・0.6部
・ドデカンチオール(和光純薬製) ・・・・0.4部
【0113】
−水層1−
・イオン交換水 ・・・・17.5部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) ・・・・0.35部
【0114】
−水層2−
・イオン交換水 ・・・・40部
・アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファックス) ・・・・0.05部
・過硫酸アンモニウム(和光純薬製) ・・・・0.3部
【0115】
上記油層1の成分と、水層1の成分の半量とをフラスコ中に入れて攪拌混合し単量体乳化分散液1とし、同様に油層2と残りの水層1の半量を攪拌混合し単量体乳化分散液2とした。反応容器に上記水層2の成分を投入し、容器内を窒素で充分に置換し攪拌をしながら、オイルバスで反応系内が75℃になるまで加熱した。この反応容器内に、初めに単量体乳化分散液1を2時間かけて滴下し、次に単量体乳化分散液2を1時間かけて滴下して乳化重合を行った。滴下終了後さらに75℃で重合を継続し、3時間後に重合を終了させて、樹脂微粒子分散液(L1)を調製した。
【0116】
得られた分散液中の樹脂微粒子について、個数平均粒子径D50nを測定したところ290nmであり、ガラス転移点を測定したところ52℃であり、数平均分子量(ポリスチレン換算)を測定したところ12000であった。その後イオン交換水を加えて、分散液中の固形分濃度を40質量%に調整した。なお、固形分濃度は、3gの分散液を秤量し、130℃、30分加熱して水分を揮発させ残留した乾燥物の質量から算出した。
【0117】
(離型剤微粒子分散液(W1)の調製)
・ポリエチレンワックス(東洋ペトロライト社製、Polywax725、融点:103℃)・・・・30部
・カチオン性界面活性剤(花王社製、サニゾールB50) ・・・・3部
・イオン交換水 ・・・・67部
【0118】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で95℃に加熱しながら十分に分散した後、圧力吐出型ホモジナイザー(ゴーリン社製、ゴーリンホモジナイザー)で分散処理し、離型剤微粒子分散液(W1)を調製した。得られた分散液中の離型剤微粒子の個数平均粒子径D50nは280nmであった。その後イオン交換水を加えて、分散液の固形分濃度を30質量%に調整した。
【0119】
(マゼンタ顔料分散液(M1)の調製)
・マゼンタ顔料(大日精化工業社製、Pigment Red 122(キナクリドン))・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0120】
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて、3000rpmで2分間、顔料を水になじませ、さらに5000回転で10分間分散後、通常の攪拌器で1昼夜攪拌させて脱泡した後、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン社製、HJP30006)を用いて、圧力240MPaで約1時間分散させてマゼンタ顔料分散液(M1)を得た。
分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは106nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0121】
(シアン顔料分散液(C1)の調製)
・シアン顔料(大日精化工業社製、Pigment Blue15:3) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0122】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、シアン顔料分散液(C1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは121nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0123】
(イエロー顔料分散液(Y1)の調製)
・イエロー顔料(クラリアントジャパン社製、Pigment Yellow74) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0124】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、イエロー顔料分散液(Y1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは118nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調整した。
【0125】
(ブラック顔料分散液(K1)の調製)
・カーボンブラック(キャボット社製、リーガル330) ・・・・20部
・アニオン系界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) ・・・・2部
・イオン交換水 ・・・・78部
【0126】
上記成分を混合し、前記マゼンタ顔料分散液(M1)の調製と同様にして、ブラック顔料分散液(K1)を得た。分散液中の顔料の数平均粒子径D50nは120nmであった。その後イオン交換水を加えて分散液の固形分濃度を15質量%に調製した。
【0127】
<トナーの作製>
(マゼンタトナー(トナーM1)の作製)
・樹脂微粒子分散液(L1)・・・160部
・離型剤微粒子分散液(W1)・・・33部(トナー中の10質量%)
・マゼンタ顔料分散液(M1)・・・60部(トナー中の9質量%)
・ポリ塩化アルミニウム10質量%水溶液(浅田化学社製、PAC100W) ・・・15部
・1%硝酸水溶液 ・・・3部
【0128】
上記成分を混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中で、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて5000rpmで3分間分散した後、前記フラスコに磁力シールを有した攪拌装置、温度計とpH計を具備した蓋をしてから、加熱用マントルヒーターをセットし、フラスコ中の分散液全体が攪拌される最低の回転数に適宜調節して攪拌しながら48℃まで1℃/1minの昇温速度で加熱した。48℃で30分間保持し、凝集粒子の粒径を確認した。その後、15分ごとに凝集粒子粒径を確認しながら、フラスコ内温度を0.1℃/15minの昇温速度で加熱し、凝集粒子の体積平均粒径が3.0μmになった時点で昇温を停止し、その温度を保った。この時の凝集粒子の粒径は、体積平均粒径が3.0μm、個数平均粒度分布GSDpが1.23であった。
【0129】
昇温停止後ただちに樹脂微粒子分散液(L1)を50部追加し、30分間保持したのち、系内のpHが6.5になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えてから、1℃/1minの昇温速度で97℃まで加熱した。昇温後、硝酸水溶液を加えて系内のpHを5.0にして、10時間保持して凝集粒子を加熱融合した。その後系内を50℃まで降温し、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを12.0に調節して10分間保持した。その後分散液をフラスコから取り出し、イオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄した後、さらに固形分量が10質量%となるようにイオン交換水中に分散し、硝酸を加えてpH3.0で10分間攪拌した後、再びイオン交換水を用いて充分にろ過、通水洗浄し、得られたスラリーを凍結乾燥してマゼンタトナー粒子を得た。
【0130】
マゼンタトナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.5μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.20、体積平均粒度分布指標GSDvが1.19、含水量は0.28質量%であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ135であり、形状のばらつきも特に見られなかった。
【0131】
前記マゼンタトナー粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)微粒子と、アナターゼ型構造を有す酸化チタン(一次粒子平均粒径20nm)とを、それぞれ1質量%ずつ添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、マゼンタトナー(トナーM1)を作製した。
【0132】
(シアントナー(トナーC1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにシアン顔料分散液(C1)を用いた以外を同様にして、シアントナー粒子を得た。
【0133】
このシアントナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.6μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.22、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ134であり、形状のばらつきも特に見られなかった。
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添しシアントナー(トナーC1)を得た。
【0134】
(イエロートナー(トナーY1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにイエロー顔料分散液(Y1)を用いた以外を同様にして、イエロートナー粒子を得た。
【0135】
このイエロートナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.4μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.20、体積平均粒度分布指標GSDvが1.20であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ134であり、形状のばらつきも特に見られなかった
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、イエロートナー(トナーY1)を得た。
【0136】
(ブラックトナー(トナーK1)の作製)
前記マゼンタトナーM1の作製において、マゼンタ顔料分散液(M1)の代わりにブラック顔料分散液(K1)を用いた以外を同様にして、ブラックトナー粒子を得た。
【0137】
このブラックトナー粒子の体積平均粒径D50Vは3.5μm、個数平均粒度分布指標GSDpが1.22、体積平均粒度分布指標GSDvが1.21であった。このトナー粒子の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、樹脂、顔料及びその他添加剤が狙い通り融合されており、穴や凹凸などは見られず、顔料の分散状態も良好であった。また、このトナーの形状係数SF1をルーゼクス画像解析装置で測定したところ132であり、形状のばらつきも特に見られなかった
このトナー粒子にマゼンタトナーと同様に外添剤を外添し、ブラックトナー(トナーK1)を得た。
【0138】
(トナーM2〜M4、C2〜C5、K2〜K3の作製)
トナーM1、C1、K1の作製において、着色剤分散液の添加量を表1に示すように変え、トナー製造条件等の諸条件を微調整した以外は同様にして、トナーM2〜M4、C2〜C5、K1〜K2を製造した。製造条件としては、特にトナー粒径が大きいトナーを作製する際は、トナーの凝集時間を延長させ所望の粒径のトナーを製造した。
これらのトナーの特性をまとめて表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】
<現像剤D1〜D4の作製>
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100部に、α−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5質量%となるようにして樹脂被覆型キャリアを製造した。
【0141】
トナーM1:4部を、得られた樹脂被覆型キャリア100部に混合して、マゼンタトナーを含有する2成分現像剤(現像剤D1)を作製した。
また、前記トナーM1を、各々トナーC1、Y1、K1に変更した以外は上記と同様にして現像剤D2〜D4を得た。
【0142】
<実施例1>
トナー評価用に、図1に示されている構成の画像形成ユニットを搭載した画像形成装置を作製した。具体的には、感光体4は直径60mm、長さ300mmのドラム状の有機感光体よりなる。帯電装置18は、感光体4の図における上方であって、感光体4に接触しないように、所定の間隔を隔てて対向配置されている。この帯電装置18は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させるスコロトロン型の帯電器であり、ベルト感光体の表面を正極性に一様に帯電させるように構成されている。
【0143】
現像装置19は、直径25mm、厚さ100μmのアルミニウム製の基材の外周面に、カーボンブラックを含有したナイロン樹脂層を設けたベルト状のフレキシブルな現像スリーブ3bを備えている。
【0144】
上記フレキシブルな現像スリーブ3bには、−600Vの直流電圧にピーク間電圧1.5KV、周波数2KHzの交流電圧を重畳して印加した。また、現像スリーブ3bの裏面(スリーブの感光体に対する側と反対側の面)には、図2に示すような構成からなり、ホーン先端部52に沿って8つのホーンセグメントを備えた共振器10を有する超音波発生器を、共振器10の接触先端部53が現像スリーブ3bに接触するように配置した。そして、交流電源11により61kHzの周波数で励起したときにホーン先端部に沿った列状のホーンセグメントの応答速度0.75cm/秒/Vで、前記現像バイアス電源と超音波発生素子のオン/オフのタイミングが同時となるように設定した。
【0145】
この現像装置19にトナーM1を装填し、感光体4の線速を300mm/sec、現像スリーブ3bとの周速比(現像スリーブ/感光体)を1.1とし、記録用紙上のTMAが0.35mg/cm2となるようにして現像を行った(非磁性一成分現像)。この時の現像効率は91%であった。現像されたトナー画像は転写装置20により記録用紙に転写され、図示しない2本ロール型の定着器(定着温度:175℃)により定着を行った。
【0146】
以上のプロセス構成の画像形成装置を作動させることにより、連続10000枚の可視画像を作製し以下の方法によって画像濃度、かぶり、線画、文字品質を評価したところ得られた全ての可視画像は非常に高い画質であった。また、併せて現像効率も評価した。
【0147】
以下に評価項目と判断基準を示す。
(画像濃度)
面積率100%のベタ画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)を用い評価した。
○・・・画像濃度が1.4以上
×・・・画像濃度が1.4未満
【0148】
(画像かぶり)
地肌部の相対反射濃度を画像評価装置imageXpertにより紙の相対反射濃度を0.000として測定した。
○・・・相対反射濃度が0.004未満
×・・・相対反射濃度が0.004以上
【0149】
(細線再現性評価試験)
感光体上に線幅が50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写および定着した。記録用紙上の定着像の細線の画像を、VH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、G1およびG2を許容範囲とした。
G1:細線がトナーにより均一に埋まり、エッジ部での乱れもない。
G2:細線がトナーによって均一に埋まっているが、エッジ部で僅かなぎざつきが見られる。
G3:細線がトナーによってほぼ均一に埋まっているが、エッジ部でのぎざつきが目立つ。
G4:細線がトナーによって均一に埋まっておらず、エッジ部でのぎざつきが目立つ。
G5:細線がトナーによって均一に埋まっておらず、エッジ部でのぎざつきが著しく目立つ。
【0150】
(ソリッド画像の画像光沢均一性評価)
得られた画像について、画像内の光沢差、および画像部と非画像部(コート紙)との光沢差を目視にて観察し以下の基準により評価した。G1およびG2を許容範囲とした。
G1:画像内および画像部と非画像部に光沢差はまったく観察されず、画像の光沢均一性は極めて良好であった。
G2:画像部と非画像部には若干光沢差が観察されたが、画像内にはグロス差は観察されず、画像全体としては光沢均一性が良好であった。
G3:画像内および画像部と非画像部の双方に若干光沢差が観察され、画像の光沢均一性は若干劣っていた。
G4:画像内および画像部と非画像部の双方に光沢差が観察され、画像の光沢均一性は劣っていた。
G5:画像内および画像部と非画像部の双方に著しい光沢差が観察され、画像の光沢均一性は著しく劣っていた。
【0151】
(文字品質)
3ポイントの英字「Xerox」、6ポイントの和字「魑魅魍魎」を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製)拡大観察しエッジ部にシャープさ(鮮鋭性)、エッジ部周辺のトナー散り(文字散り)を以下の基準により評価した。
◎・・・文字散りが無く、文字のエッジや先端部のシャープさが非常に優れている。
○・・・文字散りが無く、鮮鋭性も良好
×・・・・文字散りが目立ち、鮮鋭性に劣る
なお、○以上を合格とした。
【0152】
<実施例2〜実施例9、及び比較例1〜比較例4>
実施例1において、トナーM1の代わりに表2に示したトナーを用いた以外は実施例1と同様にして画像を形成し前記評価を行った。
評価結果を表2にまとめて示す。
【0153】
【表2】
【0154】
<比較例5〜比較例9>
実施例1において、画像形成装置の超音波発生装置を取り除いた以外同様の画像形成装置を用い、トナーM1の代わりに表3に示したトナーを用いた以外は実施例1と同様にして画像を形成し前記評価を行った。
評価結果を表3にまとめて示す
【0155】
【表3】
【0156】
<実施例10>
実施例1において、画像形成装置における現像装置を現像剤として二成分現像剤を用いられるように現像器部分を改造し、これに現像剤D1を装填した以外は実施例1と同様にして、画像を形成し前記評価を行った。
結果を表4に示す。
【0157】
<実施例11〜13>
実施例10において、現像剤D1の代わりに現像剤D2〜D4を用いた以外は実施例10と同様にして、画像評価を実施した。
評価結果を表4にまとめて示す。
【0158】
【表4】
【0159】
以上結果から、本発明の画像形成方法、画像形成装置によれば、高い画像濃度と細線再現性を有するとともに良好な文字品質と、ソリッド画像の光沢が均一な画像を提供できることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本発明の画像形成装置における画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明における共振器の構成の一例を示す概略図である。
【図3】従来の画像形成ユニットの構成の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0161】
1 容器
2 供給ローラ
3 現像ローラ
3a 駆動ローラ
3b 現像スリーブ(現像剤担持体)
4 感光体(潜像担持体)
5 パドル
6 帯電ブレード
7、8 トナー
10 共振器
11 交流電源(電圧源)
17 露光装置
18 帯電装置
20 転写装置
22 クリーニング装置
30 圧電変換素子
40 プラットフォーム部
50 ホーン部材
51 ホーン部
52 ホーン先端部
53 接触先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤により現像する現像工程を含む画像形成方法において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤により現像する現像手段を含む画像形成装置において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤により現像する現像工程を含む画像形成方法において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギーを印加しながら現像を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
少なくとも、潜像担持体の表面に形成された潜像を、現像剤担持体表面に担持されたトナーを含有する現像剤により現像する現像手段を含む画像形成装置において、
前記トナーの体積平均粒径が2〜5μmの範囲であり、前記現像剤担持体の現像領域に相当する部分に振動エネルギー印加手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2006−79019(P2006−79019A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266006(P2004−266006)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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