説明

画像形成用帯電器

【課題】清掃部材が帯電ワイヤを清掃する際、清掃部材が帯電ワイヤに与えるストレスが緩和された画像形成用帯電器を提供すること。
【解決手段】画像形成用帯電器は、帯電ワイヤと、帯電ワイヤが長手方向の両側間に張架されたシールドケースと、帯電ワイヤの張設方向に沿って往復移動する清掃部材と、清掃部材を往復駆動させる駆動機構を備える画像形成用帯電器であって、帯電ワイヤと清掃部材とを接触並びに離間させる離接部を備え、清掃部材は、清掃動作時以外において、帯電ワイヤの一端部に位置するホームポジションに留まるとともに、清掃動作時において、帯電ワイヤの他端部まで移動し、駆動機構は、清掃部材が帯電ワイヤの他端部に達してから、所定時間、前記清掃部材を他端部方向に駆動し、所定時間の間、離接部が前記清掃部材を帯電ワイヤから離間させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置に用いられ、帯電を行う帯電ワイヤを清掃する清掃部材を備える帯電器に関する。特に、清掃部材が帯電ワイヤを清掃する際、帯電ワイヤ端部で清掃部材が空転移動している間に、帯電ワイヤの高さ位置を決定するワイヤ高さ位置決め部材において、帯電ワイヤに生じるバリの発生および切断を防止する機構を備える帯電器に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、定速回転する感光体ドラムを備えた像形成部を有しており、この感光体ドラムの表面に形成された画像を転写紙に転写し、定着することによってコピーを行うように構成されている。感光体ドラムは、その表面に均一に電荷が与えられた後、原稿を読み取った光像により露光されて潜像が形成される。さらに感光体ドラムにトナーが吸着されて像が顕在化する。感光体ドラムへ電荷を供給するにはシールドケース及び帯電ワイヤを備える帯電器が利用されており、帯電ワイヤに直流高電圧を印加することにより感光体ドラムの表面を帯電させている。この帯電ワイヤが張設されている空間は、トナーや転写紙から生じる微細なパーティクルが飛散した悪環境である。したがって、帯電ワイヤはその外周面に上記パーティクル等が付着し易く、これに起因して適正なコロナ放電が得られなくなるという不都合を有していた。
【0003】
このような帯電ワイヤに付着するパーティクルを取り除くために、従来から、帯電ワイヤに清掃部材を当接するようにして設け、この清掃部材を帯電ワイヤの張設方向に沿って定期的に往復動させることにより、付着パーティクルを自動的に払拭除去する清掃部材が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、清掃部材を清掃用の当接位置から解除位置に切り換える位置切換手段を備えたクリーニング装置が開示されている。このクリーニング装置は、清掃時には清掃部材を帯電ワイヤに当接させ、清掃後には清掃部材を帯電ワイヤの一側端に位置させて清掃部材の帯電ワイヤへの当接を解放する。これにより、清掃後に帯電器が動作する際、帯電ワイヤが感光体ドラムに対して平行を保つことができ、感光体ドラムに均一な電荷を供給することができる。
【0005】
特許文献2には、往動時に放電ワイヤに接触する第1の清掃部と、復動時に放電ワイヤに接触する第2の清掃部を有し、第1の清掃部と第2の清掃部がそれぞれ放電ワイヤに対して互いに反対側から接触する放電ワイヤ清掃装置が開示されている。この清掃装置は、往動時および復動時に放電ワイヤの異なる面を清掃するから、効率よく放電ワイヤの清掃を行うことができる。
【0006】
上述したような清掃装置には、往動から復動への折り返し動作を行う機構が必要となる。この機構として、例えばステッピングモータが挙げられる。ステッピングモータとは、パルス数で清掃部材の移動距離を計算して、ワイヤ端部に清掃部材が到達するタイミングを算出することにより清掃部材の折り返しを制御するモータである。しかしながら、ステッピングモータは非常に高価であることから使用が控えられることが多く、その代わりとしてDCブラシモータが用いられる。
【0007】
上記DCブラシモータを用いる場合、モータには、モータの一方向駆動時間が予め設定されている。この設定時間より早く清掃部材が帯電ワイヤの端部に到達した場合、余分な時間、清掃部材が帯電ワイヤの端部で空転(送り動作と圧縮バネで押し戻される動作の繰り返し)する。その後、清掃時間がモータの設定時間に達すると、モータの正逆転切り替えが行われ、清掃部材が復動する。これにより、高価な制御モータを使用せずに清掃部材の往復動を自動で行うことができる。
【0008】
しかしながら、上記DCブラシモータを上述したような清掃装置に用いると、帯電ワイヤの端部で帯電ワイヤが清掃部材に挟まれた状態のまま空転することになり、帯電ワイヤが清掃部材によって引っ張られる。これにより、帯電ワイヤの高さ位置を決定するワイヤ高さ位置決め部材により帯電ワイヤがしごかれる状態となる。この状態が続くと、例えば帯電ワイヤが金メッキワイヤであればメッキが剥げたり、バリが発生したり、ひどい場合ではワイヤが切れてしまうという問題を有していた。
【0009】
【特許文献1】特開平9−190052号公報
【特許文献2】特開2004−317702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した問題に鑑みて、清掃部材が帯電ワイヤを清掃する際、清掃部材が空転移動している間に、帯電ワイヤが清掃部材によって引っ張られず、例えば帯電ワイヤに金メッキワイヤを用いてもワイヤ高さ位置決め部材との接触部分でメッキが剥げず、また帯電ワイヤにおけるバリの発生、ワイヤの切断を防止する画像形成用帯電器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、帯電ワイヤと、該帯電ワイヤが長手方向の両側間に張架されたシールドケースと、前記帯電ワイヤの張設方向に沿って往復移動する清掃部材と、該清掃部材を往復駆動させる駆動機構を備える画像形成用帯電器であって、前記帯電ワイヤと前記清掃部材とを接触並びに離間させる離接部を備え、前記清掃部材は、清掃動作時以外において、前記帯電ワイヤの一端部に位置するホームポジションに留まるとともに、清掃動作時において、前記帯電ワイヤの他端部まで移動し、前記駆動機構は、前記清掃部材が帯電ワイヤの他端部に達してから、所定時間、前記清掃部材を前記他端部方向に駆動し、
前記所定時間の間、前記離接部が前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする画像形成用帯電器に関する。
請求項2記載の発明は、前記清掃部材が、部材基盤部と、該部材基盤部に付設されるとともに前記帯電ワイヤを跨ぐアーム部を備え、前記離接部が、前記シールドケースを構成する前記帯電ワイヤと平行な面に長手方向に対称に穿設された2つの溝孔形状をなし、清掃動作時において、前記アーム部が前記帯電ワイヤを接触押圧し、前記所定時間の間、前記アーム部の底部両端が前記離接部に挿入されることにより、前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1記載の画像形成用帯電器に関する。
請求項3記載の発明は、前記清掃部材が、部材基盤部と、該部材基盤部から延出された正面H型の本体支持部と、該本体支持部の該部材基盤部とは逆方向に取り付けられた2つの挟み込み本体部を備え、前記正面H型の本体支持部が、帯電ワイヤ両側に対向して配される一対の支持棒と、該支持棒を接続する接続棒からなり、前記離接部が、前記帯電ワイヤと前記シールドケースを構成する前記帯電ワイヤと平行な面に配されるシャフトであって、清掃動作時において、前記挟み込み本体部が、前記帯電ワイヤを両側から接触押圧し、前記所定時間の間、前記離接部が前記一対の支持棒と前記接続棒と前記2つの挟み込み本体部とで形成される空間に挿入され、前記離接部が前記2つの挟み込み本体部間を押し拡げることにより、前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1記載の画像形成用帯電器に関する。
請求項4記載の発明は、前記離接部が台形円錐形状のシャフトであることを特徴とする請求項3記載の画像形成用帯電器に関する。
請求項5記載の発明は、清掃動作時において、前記清掃部材が前記帯電ワイヤの前記他端部から前記ホームポジションまで移動し、前記駆動機構は、前記清掃部材が前記ホームポジションに達してから、所定時間、前記清掃部材を前記ホームポジション方向に駆動し、前記所定時間の間、前記離接部が前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成用帯電器に関する。
請求項6記載の発明は、前記駆動機構が駆動モータを備え、該駆動モータがDCブラシモータであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成用帯電器に関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の画像形成用帯電器は、清掃部材が帯電ワイヤの他端部に達してから、駆動機構が、所定時間、清掃部材を他端部方向に駆動し、その所定時間の間、離接部が清掃部材を帯電ワイヤから離間させる。これにより、清掃部材が空転移動している間に帯電ワイヤが清掃部材によって引っ張られることがないため、帯電ワイヤの高さ位置を決定するワイヤ高さ位置決め部材(深さ位置設定片)と帯電ワイヤが接触しない。したがって、例えば帯電ワイヤに金メッキワイヤを用いてもワイヤ高さ位置決め部材との接触部分でメッキが剥げることがない。また帯電ワイヤにおけるバリの発生、ワイヤの切断を防止することができる。
【0013】
請求項2記載の画像形成用帯電器は、清掃動作時には清掃部材が帯電ワイヤを接触押圧することにより清掃することができ、清掃部材のアーム部の両端が前記離接部に挿入されることにより、清掃部材を帯電ワイヤから離間させることができる。これにより、清掃部材による帯電ワイヤへのストレスを緩和できる。
【0014】
請求項3記載の画像形成用帯電器は、清掃動作時には、清掃部材の挟み込み本体部が帯電ワイヤを両側から接触押圧することにより清掃することができ、清掃部材が空転移動している間は清掃部材と帯電ワイヤが離間しているため、清掃部材による帯電ワイヤへのストレスを緩和できる。さらに、清掃部材が帯電ワイヤを両側から接触押圧するから清掃部材が帯電ワイヤに対して接触する面積が広いため、清掃効率が高い。
【0015】
請求項4記載の画像形成用帯電器は、離接部が台形円錐形状のシャフトである。離接部が清掃部材の挟み込み本体部に接触して徐々に挟み込み本体部を押し拡げることができる。したがって、離接部が前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることが容易となり、挟み込み本体部と離接部の接触による摩擦を最小限化することができる。
【0016】
請求項5記載の画像形成用帯電器は、清掃動作時において、清掃部材が帯電ワイヤの他端部からホームポジションまで移動し、駆動機構は、清掃部材が前記ホームポジションに達してから、所定時間、清掃部材をホームポジション方向に駆動し、所定時間の間、離接部が清掃部材を帯電ワイヤから離間させるから、帯電ワイヤの他端部だけでなくホームポジションにおいても清掃部材が帯電ワイヤから離間した状態で空転する。
したがって、ホームポジションにおいて、帯電ワイヤに金メッキワイヤを用いてもワイヤ高さ位置決め部材との接触部分でメッキが剥げることがなく、また帯電ワイヤにおけるバリの発生、ワイヤの切断を防止することができる。
【0017】
請求項6記載の画像形成用帯電器は、駆動機構が駆動モータを備え、該駆動モータがDCブラシモータである。清掃部材が、DCブラシモータに設定された設定時間より早く帯電ワイヤの端部に到達した場合には、その余分な時間は、離接部によって清掃部材が帯電ワイヤから離間した状態で清掃部材が空転する。したがって、高価なステッピングモータ等の制御モータを使用せずに、清掃部材の往復動を自動で行うことができ、且つ清掃部材による帯電ワイヤへのストレスを緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明に係る画像形成用帯電器を含む複写機の一例を示す全体斜視図、図2は、その内部構成図である。複写機(1)は、複写機本体(1a)と、その頂部に配設された原稿載置部(1b)とからなり、複写機本体(1a)は、光学機構(2)、像形成部(3)、用紙搬送機構(4)、反転機構(5)、および両面ユニット部(6)を備える。
【0019】
原稿載置部(1b)は、複写機本体(1a)の頂面開口に装着されたコンタクトガラス(1c)面を開閉する原稿押さえ部を備え、マニュアル操作でコンタクトガラス(1c)面上に原稿をセットする。なお、原稿載置部(1b)は、コンタクトガラス(1c)の上部に配されるとともに、積層された原稿を1枚ずつコンタクトガラス(1c)上に搬入して露光位置にセットして原稿読み取り後に搬出する自動原稿送り装置であってもよい。
【0020】
上記光学機構(2)は、コンタクトガラス(1c)上の原稿をホームポジション(H.P)を基準に往動時に走査するハロゲンランプからなる光源(211)および反射鏡(212)を有する第1光学系(21)、光源(211)により照射され原稿面で反射された原稿像を像形成部3に導く複数の反射鏡(221)(222)(223)を有する第2光学系(22)、上記原稿像を感光体ドラム(31)面に結像させるレンズ(23)、第1、第2光学系(21)(22)を往復方向にガイドする一対のガイドレール(24)、および第1、第2光学系(21)(22)をガイドレール(24)に沿ってそれぞれ所定速度で走行させる駆動手段(図略)を備える。
【0021】
光源(211)からの光は、コンタクトガラス(1c)上にセットされた原稿に向けて照射され、原稿面で反射されて原稿像を得る。この原稿像は、図中、一点鎖線で示すように反射鏡(212)(221)(222)で反射され、レンズ(23)を経た後、反射鏡(223)を介して感光体ドラム(31)の露光位置に導かれる。
【0022】
像形成部3は、駆動手段(図略)によって時計方向に定速回転される感光体ドラム(31)を備えるとともに、感光体ドラム(31)の周囲に、その回転方向の上流側から帯電部(32)、現像部(33)、トナー回収ローラ部(34)、転写部(35)、分離部(36)およびクリーニング部(37)を備える。感光体ドラム(31)は帯電部(32)により表面が均一帯電された後、原稿像が露光されて静電潜像が形成される。この静電潜像は現像部(33)でトナーが付着することによって顕在化され、ついで転写部(35)で転写紙に転写される。トナー像が転写された転写紙は、分離部(36)で感光体ドラム(31)から分離された後、後述する定着部(46)に導かれる。
【0023】
用紙搬送機構(4)は、複写機本体(1a)の下部位置に着脱可能に設けられ、それぞれ積層状態で所定サイズの転写紙を収納する複数段の給紙カセットCを備えるとともに、搬送方向上流側から転写紙を1枚ずつ送り出す給紙ローラ(411)(412)、給紙された用紙の重送を防止する捌きローラ対(421)(422)、各搬送ローラ対(431)〜(434)、二次給紙のためのレジストローラ対(44)を備える。また、感光体ドラム(31)の下流方向には、一対の回転ローラ(451)(452)間に張架された搬送ベルト(45)、定着部(46)、排出ローラ対(47)、および排紙トレイ(48)が設けられている。搬送ガイド部(40)は、捌きローラ対(42)から給送された用紙を排出ローラ対(47)まで搬送するためのもので、所要幅を有して対向配置された板状体で構成される。手差しトレイ(49)は所要サイズの転写紙をマニュアルでセット可能にするもので、給紙ローラ(413)及び捌きローラ対(423)を有してなり、その下流側で搬送ガイド部(40)と合流している。定着部(46)は、上側の熱ローラ(461)と下側の圧ローラ(462)とからなり、熱ローラ(461)は内部にヒータが設けられ、圧ローラ(462)は熱ローラ(461)側に所要の圧力で押圧されている。
【0024】
給紙カセットC、あるいは手差しトレイ(49)から給紙ローラ(411)〜(413)によって繰り出された転写紙は、それぞれの搬送ローラ対(431)〜(434)を経てレジストローラ対(44)まで給送される。レジストローラ対(44)まで搬送された転写紙は、光学機構(2)の露光走査の開始タイミングと同期して二次給紙され、転写部(35)でトナー像が転写される。トナー像が転写された転写紙は、搬送ベルト(45)を経て定着部(46)に搬送され、ここでトナー像が転写紙に定着された後、排出ローラ対(47)を経て排紙トレイ(48)に排出される。
【0025】
反転機構(5)は、定着部(46)と排出ローラ対(47)との間の搬送ガイド部(40の途中にあり、電磁ソレノイド(図略)によって水平軸(511)周りに、転写紙を排出ローラ対(47)の方向に導く回動位置と、後述の両面ユニット部(6)の方向に導く回動位置とに切換えられる方向切換え板(51)を有するとともに、方向切換えされた転写紙を両面ユニット部(6)に導くべく対向配置された反転用紙ガイド(52)、反転用紙ガイド(52)の途中の搬送ローラ対(53)、および反転用紙ガイド(52)の下流端に設けられた搬出ローラ対(54)から構成される。両面ユニット部(6)側に方向切換えされた転写紙は、反転用紙ガイド(52)に沿って下方に搬送され、反転用紙ガイド(52)の搬送ローラ対(53)が設けられた部分に形成されている湾曲部分において定着部(46)で形成されたカールが矯正され、可及的に真っ直に戻された状態で搬出ローラ対(54)に導かれる。
【0026】
両面ユニット部(6)は、転写紙の両面に複写を行うためのもので、ユニット部本体(60)を有する中間トレイ部(7)と再給送機構(8)とから構成される。中間トレイ部(7は、反転されてきた転写紙を載置する中間トレイ(71)を備えるとともに、この上方に用紙はたき部(72)、ニップローラ(73)、用紙ガイド(74)、および用紙面上に自重落下して用紙の移送に伴って連れ回りする回転板(75)を備えている。なお、用紙ガイド(74)は回転板(75)の取付け位置の前側にのみ設けられ、上部で軸支されて自重、または下方への僅かな付勢力でもって後方に傾斜されて中間トレイ(71)上に当接されている。この用紙ガイド(74)は、搬出ローラ対(54)から搬出された転写紙を中間トレイ(71)の面上にスムーズに案内して、転写紙の先端が回転板(75)に衝突することによるストックミスを防止する。
【0027】
また、再給送機構(8)は、中間トレイ(71)の下方に形成され、所定間隔を有して対向配置された板状体からなる再給送ガイド部(81)を備えるとともに、中間トレイ(71)の再給送方向のやや前方側であって、上部周面を一部露出して設けられた再給紙ローラ(82)、その前方の反転ローラ(83)、一対の回転ローラ(841)(842)間に張架され、反転ローラ(83)の周面に接触した状態で再給送方向と逆方向に回転する捌きベルト(84)、および再給送ガイド部(81)の適所に所要間隔を置いて配設された再給送ローラ対(851)〜(853)を有して形成されている。また、捌きベルト(84)の回転ローラ(841)と反転ローラ(83)とが対面する用紙ニップ位置には、可撓性を有するシート体がユニット部本体(60)から下方に垂下し、その下端が反転ローラ(83)に当接した状態で取り付けられている。
【0028】
なお、両面ユニット部(6)は、複写機本体(1a)から前方側に抜き出し可能に構成されており、この装着位置に、両面ユニットに代えて給紙カセットCを前方側からスライドさせて装填することで、給紙カセットの3段構成とすることも可能となっている。この場合、給紙ローラ(411)及び捌きローラ対(421)に相当する部分を給送ユニットとして構成しておき、給紙カセットCの挿入に先立って、この給送ユニットを装填するようにすればよい。
【0029】
搬出ローラ対(54)から中間トレイ(71)上に転写紙が送られてくると、用紙はたき部(72)が回動して転写紙の後端側(再給送時には先端側)を上方から押さえて残存するカールを強制的に真っ直に規制し、この状態でニップローラ(73)が再給紙方向に回転して転写紙を反転ローラ(83)とシート体(86)間の用紙ニップ位置まで移送してニップ状態の確保と前端揃えとを行う。転写紙の移送状態は回転板(75)の回動軸に設けられたロータリエンコーダ(図略)等で監視されている。この状態で、再給送、すなわち裏面複写動作の開始指示があると、再給紙ローラ(82)、反転ローラ(83)および捌きベルト(84)が回転駆動を開始し、用紙はたき部(72)による上方からの押圧作用によって最下位の転写紙から順に1枚ずつ繰り出され、再給送ガイド部(81)を経て搬送ガイド部(40)と合流する位置まで給送され、合流後は、搬送ローラ対(433)、レジストローラ対(44)により感光体ドラム(31)に導かれる。裏面にトナー像が転写された転写紙は、排出ローラ対(47)を経て排紙トレイ(48)に排出される。
【0030】
図3は、帯電部(32)の一実施形態を示す裏面側から見た斜視図であり、図4は、清掃部材(320)が第2支持部(324)側に移動した場合のA線矢視の部分拡大斜視図である。帯電部(32)は、シールドケース(321)、このシールドケース(321)内に張設された帯電ワイヤ(322)、シールドケース(321)内の帯電ワイヤ(322)を、張設起点および折り返し点で支持するプラスチック製の第1支持部(323)および第2支持部(324)を備えるとともに、帯電ワイヤ(322)の張設方向に沿って往復動し得るように設けられた清掃部材(320)、およびこの清掃部材(320)を往復動させる駆動機構(325)を備えている。
【0031】
上記シールドケース(321)は、断面視でコ字形状のステンレススチール製等の長尺体からなり、長手方向に延びる一面にシールドケース(321)の全長に亘る長尺開口(321a)が形成されている。また、シールドケース(321)の底部(図4では天井部になるが以下底部という)には、図4に示すように長手方向の略全長に亘る長尺ガイド孔(321b)が穿設され、この長尺ガイド孔(321b)の幅方向両側部にガイドレール(321c)が形成されている。そして、上記清掃部材(320)は、その一部がこの長尺ガイド孔(321b)に嵌め込まれ、左右一対のガイドレール(321c)に案内されつつ摺接移動し得るようになっている。
【0032】
シールドケース(321)の一側部に第1支持部(323)の先端部が嵌入固定されているとともに他側部に第2支持部(324)の先端部が嵌入固定されている。第1支持部(323)は箱型に形成され、シールドケース(321)に対向した面に帯電ワイヤを挿通させる開口が設けられているとともに、長尺開口(321a)に連なる面が開放されている。この第1支持部(323)内には、帯電ワイヤ(322)を張架する張架突片(323a)、および帯電ワイヤ(322)のシールドケース(321)内での張設深さを設定する深さ位置設定片(323b)が設けられている。深さ位置設定片(323b)は、張架突片(323a)よりもシールドケース(321)側に寄った部分に、張架突片(323a)よりも高さ寸法が大きく設定されて形成されている。また、張架突片(323a)は、深さ位置設定片(323b)の内壁面から第1支持部(323)内に向けて突設され、帯電ワイヤ(322)の折り返し部分を張架し得るようになっている。
【0033】
従って、第2支持部(324)側から引き出された帯電ワイヤ(322)を、深さ位置設定片(323b)を介して張架突片(323a)に半周分だけ巻き付けて折り返し、さらに深さ位置設定片(323b)を介して第2支持部(324)方向に導くことにより、帯電ワイヤ(322)は折り返し部分で張架突片(323a)に係止され、しかも深さ位置設定片(323b)によって第1支持部(323)側の張設深さ位置が設定された状態になっている。
【0034】
第2支持部(324)は、上記第1支持部(323)と同様に箱型に形成され、その底部から帯電ワイヤ(322)の一端部を固定する固定突片(324a)、帯電ワイヤ(322)の他端部をバネ(324c)を介して係止する鉤形の係止突片(324b)、および深さ位置設定片(324d)が突設されている。
【0035】
深さ位置設定片(324d)は、固定突片(324a)およびバネ(324c)よりもシールドケース(321)側に寄った部分に設けられているとともに、固定突片(324a)および係止突片(324b)よりも高く、かつ、第1支持部(323)側の深さ位置設定片(323b)と同一高さに設定されている。そして、帯電ワイヤ(322)は、その一端部が固定突片(324a)に固定された状態で深さ位置設定片(324d)を介してシールドケース(321)内に導かれ、第1支持部(323)側の深さ位置設定片(323b)を介して張架突片(323a)を半周巻いて折り返され、再び各深さ位置設定片(323b)(324d)を介して第2支持部(324)内に導かれ、他端部がバネ(324c)に結着し、電気的に開放端として取り付けられている。帯電ワイヤ(322)は、上記のようにシールドケース(321)内の長手方向に張設された状態で、バネ(324c)が基準長よりも伸長されるように長さ設定され、バネ(324c)の付勢力によって緊張状態が維持されるようにしている。
【0036】
また、第2支持部(324)の外方遊端部には内部に接続端子(図略)を備えた端子部(324e)が突設されている。上記接続端子は係止突片(324b)に接続されており、この端子部(324e)に高圧の直流電源に接続することによって帯電ワイヤ(322に高電圧が印加されるようにしている。
【0037】
また、上記第1支持部(323)の底板部分には、プラスチック製のケーシング(326)が延設され、このケーシング(326)に清掃部材(320)をシールドケース(321)内で移動させる駆動機構(325)の一部が内装されている。
【0038】
駆動機構(325)は、シールドケース(321)の底部外方に長手方向に延びるように配設されたスパイラルロッド(325a)、上記ケーシング(326)に内装された駆動モータ(図略)、この駆動モータの駆動軸に取り付けられたウォームギヤ、およびケーシング内に引き入れられたスパイラルロッドの端部に設けられ、かつ、上記ウォームギヤに噛合するピニオンを備える。
【0039】
スパイラルロッド(325a)は、シールドケース(321)の長手方向の両側部(即ち第1支持部(323)側と第2支持部(324)側)において長尺ガイド孔(321b)から外方に向けて突出した一対のブラケット(321e)に軸心周りに回転自在に軸支され、かつ、上記清掃部材(320)の部材基盤部(320a)のネジ孔(302c)に螺着されている。従って、駆動機構(325)の駆動モータを正逆駆動することにより、この駆動力はウォームギヤおよびピニオンを介してスパイラルロッド(325a)に伝達され、このスパイラルロッド(325a)の正逆回転によって清掃部材(320)がガイドレール(321c)に案内されつつ正逆移動される。また、スパイラルロッド(325a)には清掃部材(320)の部材基盤部(320a)およびブラケット(321e)との間にコイルバネ(320i)が嵌め込まれ、これによって清掃部材(320)がブラケット(321e)に衝突することにより受ける衝撃を緩衝するようにしている。
尚、スパイラルロッド(325a)にコイルバネ(320i)を嵌め込む代わりに、スパイラルロッド(325a)とコイルバネ(320i)を別部材とし、スパイラルロッド(325a)の端部にコイルバネ(320i)とそのコイルバネの軸部材を付設してもよい。
【0040】
部材基盤部(320a)は、シールドケース(321)の長尺ガイド孔(321b)から外部に突出したナット部材(320b)と、このナット部材(320b)に一体に連設され、かつ、長尺ガイド孔(321b)に嵌まり込んだアーム支持体(320c)を備える。
【0041】
ナット部材(320b)にはスパイラルロッド(325a)に螺合するネジ孔(302c)が設けられているとともに、アーム支持体(320c)には幅方向両側部に左右一対のガイドレール(321c)に摺接状態で外嵌される一対の外嵌溝(302d)が凹設されている。そして、一対の外嵌溝(302d)を対応した各ガイドレール(321c)に外嵌した状態で清掃部材(320)がシールドケース(321)に装着された状態になり、スパイラルロッド(325a)を軸心周りに正逆回転することにより、部材基盤部(320a)はガイドレール(321c)に案内されつつシールドケース(321)の長手方向に正逆移動する。
【0042】
次に、図5を参照し、駆動機構(325)による清掃部材(320)の折り返し機構について説明する。清掃動作時以外、清掃部材(320)は第1支持部(323)側の帯電ワイヤ(322)の一端部に配され、この場所を清掃部材(320)のホームポジションという。
駆動機構(325)の駆動モータとしてDCブラシモータを用いる場合、駆動モータには、モータの一方向駆動時間として、帯電ワイヤ(322)の一端部(ホームポジション)から他端部の片道に要する最短往動時間Tと数秒のマージン時間αの合計時間が設定される。このマージン時間αは、帯電ワイヤ(322)の汚れ具合や環境による負荷変動により清掃時間が変動するため、これら清掃時間のばらつきに対応するために設定するものである。そして駆動モータを設定時間(T+α時間)正転して、帯電ワイヤ(322)のホームポジションから他端部へ清掃部材(320)を往動させる。(他端部からホームポジション側に戻る場合についても同様に、最短復動時間T時間と数秒のマージン時間αの合計時間が設定時間として設定される。)
この設定時間(T+α時間)より早く清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)の他端部のコイルバネ(320i)まで到達した場合、余分な時間、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)の端部で空転する。空転とは、駆動モータによって清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)のホームポジションから他端部方向に駆動する動作と、コイルバネ(320i)によって清掃部材(320)が他端部からホームポジション方向へ押し戻される動作の繰り返しのことである。実際の空転時間(所定時間)は、設定時間(T+α時間)から実際の移動に要した時間を引いた時間となる。その後、設定時間に達したら、駆動モータによる正逆転切り替えが行われ、清掃部材(320)が他端部からホームポジション方向へ復動する。
清掃部材(320)の折り返しは、このように駆動機構(325)による正逆転切り替えによって行われ、この清掃部材(320)の折り返しが繰り返されることによって、帯電ワイヤ(322)の清掃が継続される。
ここで、清掃部材(320)が空転して移動する場所を空転領域、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)を清掃する場所を清掃領域という。
【0043】
本発明の画像形成用帯電器は、さらに帯電ワイヤ(322)と清掃部材(320)とを接触並びに離間させる離接部(327)を備える。
離接部(327)によって、帯電ワイヤ(322)と清掃部材(320)とを離間させている間に、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)端部の空転領域で空転することができる。
【0044】
上記の本発明の好適な実施形態を元にして、以下図を参照しつつ、清掃部材(320)および離接部(327)の機構を中心に本発明の2つの実施形態を説明する。
【0045】
第1の実施形態として、図6および図7を参照する。図6および図7は第2支持部(324)側に配される清掃部材(320)および離接部(327)を含む帯電器の一部を示す斜視図であり、図6は清掃部材(320)が空転領域で清掃解除状態(起立姿勢)である図であり、図7は清掃部材(320)が清掃領域で押圧接触する清掃状態(傾斜姿勢)である図である。これらの図6、7に示すように、清掃部材(320)は、部材基盤部(320a)と、この部材基盤部(320a)に付設されたアーム部材(320d)とを備えて形成されている。
【0046】
上記アーム部材(320d)は、支持軸(320e)と、この支持軸(320e)に突設されたパッド支持アーム(320f)および爪片(320g)とから形成されている。パッド支持アーム(320f)はU字形状を呈し、その両端部が支持軸(320e)に固定されている。また爪片(320g)は、支持軸(320e)からの突出方向がパッド支持アーム(320f)とは逆になるように突設方向が設定されている。
【0047】
また、支持軸(320e)は、アーム支持体(320c)のシールドケース(321)内に没入した部分の幅方向両縁部に突設された左右一対の軸受(321d)に回動自在に支持されている。軸受(321d)には軸孔よりも小径でかつ軸孔に連なる挿通溝が設けられ、支持軸(320e)はこの挿通溝に圧入して軸孔に内嵌されるようになっている。
【0048】
アーム部材(320d)が部材基盤部(320a)に取り付けられた状態で、パッド支持アーム(320f)がシールドケース(321)内の2本の帯電ワイヤ(322)を跨ぐようにしている。また、アーム部材(320d)が起立姿勢にある状態では、図6に示すように、パッド支持アーム(320f)の水平杆(302g)の内面部が帯電ワイヤ(322)に非押圧乃至は離間状態(押圧しない)で対向している。そして、アーム部材(320d)が同傾斜姿勢にある状態では、図7に示すように、水平杆(302g)が帯電ワイヤ(322)に押圧状態で摺接する。水平杆(302g)の内面部には、帯電ワイヤ(322)を横断するように清掃パッド(320h)が貼設されている。この清掃パッド(320h)はフェルト状のウェブによって形成され、帯電ワイヤ(322)を擦ることで清浄化が行われる。
【0049】
パッド支持アーム(320f)において、水平杆(302g)は着脱可能に構成されており、パッド支持アーム(320f)の両側腕に水平杆(302g)を圧入することによって水平杆(302g)と両側腕とが一体化する。また、水平杆(302g)に両側腕から離間する方向に力を加えることによって水平杆(302g)を取り外すことができるように、両者の接触部に互いに対応した係止凸部や係止凹部が設けられている。
【0050】
一方、シールドケース(321)の第2支持部(324)側の底部には、長尺ガイド孔(321b)を挟んで幅方向一対の離接部(327)が穿設される。この離接部は溝孔形状であり、またこの離接部(327)のシールドケース長手方向の長さは、空転領域の長さと同じまたはそれ以上であればよい。
【0051】
清掃部材(320)が第2支持部(324)側の空転領域にあるときは、アーム部材(320d)が備える2つの爪片(320g)がそれぞれ離接部(327)に挿入され、図6に示すように、アーム部材(320d)が起立姿勢になるようにしている。
【0052】
また、清掃部材(320)が清掃領域にあるときは、爪片(320g)の先端部がシールドケース(321)の底面に当接することによってパッド支持アーム(320f)が支持軸(320e)周りに時計方向に回動し、図6に示すように、アーム部材(320d)が傾斜姿勢になるようにしている。
【0053】
図8は、清掃部材(320)の動作を説明するための説明図であり、(イ)は清掃部材(320)が空転領域にある状態、(ロ)は清掃部材(320)が清掃領域にある状態をそれぞれ示している。まず、図8(イ)では、アーム部材(320d)の爪片(320g)が溝孔形状の離接部(327)に挿入され、これによってパッド支持アーム(320f)が起立姿勢になっている。このようにして、清掃パッド(320h)の帯電ワイヤ(322)に対する押圧状態が解除されている。清掃部材(320)が溝孔形状の離接部(327)に挿入された状態のまま、清掃部材(320)が空転してシールドケース長手方向の移動が繰り返される。この空転は、シールドケース(321)の深さ位置設定片(324d)(図3)と帯電ワイヤ(322)の張設深さ位置が一定になった状態で行われる。
【0054】
清掃部材(320)が空転して所定時間が経過すると、駆動機構(325)の駆動モータが駆動してスパイラルロッド(325a)を逆方向に回転させる。これにより清掃部材(320)が逆方向に移動し、空転領域から清掃領域へと向かう。図8(ロ)に示すように、清掃部材(320)のアーム部材(320d)が清掃領域に到達すると、爪片(320g)は離接部(327)から抜け出し、その先端部がシールドケース(321)の底板(ガイドレール(321c))に当止する。これによって支持軸(320e)を中心に時計方向に所定角度だけ回動した状態で位置規制されるため、この回動によってパッド支持アーム(320f)も同方向に回動し、清掃パッド(320h)が帯電ワイヤ(322)を押圧した状態になる。従って、この状態で清掃部材(320)の移動を継続することにより、帯電ワイヤ(322)は清掃パッド(320h)によって払拭され、付着しているパーティクルが除去されて清浄化される。そして、清掃部材(320)が清掃領域から空転領域に戻ってきた時には、アーム部材(320d)は、図8(イ)に示すように再度起立姿勢になり、上述したように、清掃部材(320)が溝孔形状の離接部(327)に挿入された状態のまま、清掃部材(320)が空転してシールドケース長手方向の移動が繰り返される。
【0055】
次に、第2の実施形態として、図9を参照する。図9は清掃部材(320)および離接部(327)を含む帯電器の一部を示す斜視図であり、空転領域で清掃部材(320)が清掃解除状態にある図である。清掃部材(320)は、部材基盤部(320a)、本体支持部(320k)および2つの挟み込み本体部(320j)を備える。
【0056】
本体支持部(320k)は、正面H型の形状をなし、部材基盤部(320a)(図4)の上方に延出されている。この本体支持部(320k)は、帯電ワイヤ(322)の左右に対向して配される一対の支持棒(320l)と、その一対の支持棒(320l)を横方向に接続する接続棒(320m)を備える。一対の支持棒(320l)の上端に2つの挟み込み本体部(320j)の下縁がそれぞれ取り付けられている。2つの挟み込み本体部(320j)は、帯電ワイヤ(322)の左右に対向して配されており、清掃動作時には、2つの挟み込み本体部(320j)が帯電ワイヤ(322)を左右から挟みこんで押圧接触する。
【0057】
挟み込み本体部(320j)の内側部には、図9に示す如く清掃パッド(320h)が埋設されている。この清掃パット(320h)は、挟み込み本体部(320j)の帯電ワイヤ(322)に対する対向面よりも帯電ワイヤ(322)側に突出して形成される。また、図示しないが、上記の如く清掃パッド(320h)を突出させる代わりに、挟み込み本体部(320j)が清掃動作時に帯電ワイヤ(322)に対する対向面全てに、清掃パッド(320h)を貼設してもよい。
この清掃パッド(320h)はフェルト状のウェブによって形成され、帯電ワイヤ(322)を左右から擦ることで清浄化が行われる。
【0058】
一方、シールドケース(321)の第2支持部(324)側の深さ位置設定片(324d)には離接部(327)が取り付けられ、この離接部(327)はシールドケース(321)の底面より上方であるとともに帯電ワイヤ(322)の下方に配される。
離接部(327)はシャフトであり、断面円状の棒状である。この離接部(327)の中心軸は帯電ワイヤ(322)と平行に配される。好ましくは、離接部(327)は台形円錐形状をなし、この場合、離接部(327)の直径が第2支持部(324)側の深さ位置設定片(324d)に接近するにつれて大きくなるように配される。これは、離接部(327)が2つの挟み込み本体部(320j)間を押し拡げることを容易にする。また、離接部(327)のシールドケース長手方向の長さは、空転領域の長さと同じまたはそれ以上であればよい。
【0059】
挟み込み本体部(320j)の下縁は円弧状をなし、これは、断面円状の棒状である離接部(327)との摩擦力を最小限化し、挟み込み本体部(320j)と離接部(327)との摺接を容易にする。さらに、離接部(327)を弾性部材で形成するおよび/又は支持棒(320l)を可撓性部材で形成してもよい。これにより、離接部(327)と挟み込み本体部(320j)との接触による磨耗を軽減するとともに、離接部(327)が2つの挟み込み本体部(320j)間を押し拡げることを容易にし、そして挟み込み本体部(320j)と帯電ワイヤ(322)の離間を容易にすることができる。
【0060】
清掃部材(320)が空転領域にある場合は、図9に示すように、離接部(327)は、一対の支持棒(320m)と接続棒(320l)と2つの挟み込み本体部(320j)とで形成される空間に挿入される。そして、挟み込み本体部(320j)の円弧状の下縁が離接部(327)の上縁に接触し、離接部(327)によって挟み込み本体部(320j)が押し拡げられ、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)に非押圧乃至は離間状態(押圧しない)となる。また、離接部(327)が台形円錐形状をなす場合には、清掃部材(320)が第2支持部(324)側の深さ位置設定片(324d)に接近すると、その離接部(327)の直径が大きくなるため、清掃部材(320)と帯電ワイヤ(322)との離間距離は大きくなる。
清掃部材(320)が清掃領域にある場合は、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)を左右から挟みこんで接触押接する。
【0061】
以下、清掃部材(320)の動作をさらに説明する。
清掃部材(320)が清掃領域から空転領域に移動すると、清掃部材(320)の挟み込み本体部(320j)が離接部(327)に接触し、第2支持部(324)側の深さ位置設定片(324d)に接近するにつれて、挟み込み本体部(320j)が押し拡げられる。これにより清掃部材(320)の挟み込み本体部(320j)が離間するため、清掃パッド(320h)の帯電ワイヤ(322)に対する押圧状態が解除される。清掃部材(320)が離接部(327)により離間している状態のまま、清掃部材(320)が空転してシールドケース(321)の長手方向(図9の矢印方向)の移動が繰り返される。この空転は、シールドケース(321)の深さ位置設定片(324d)と帯電ワイヤ(322)の張設深さ位置が一定になった状態で行われる。
【0062】
清掃部材(320)が空転して所定時間が経過すると、駆動機構(325)の駆動モータが駆動してスパイラルロッド(325a)を逆方向に回転させる。これにより清掃部材(320)が逆方向に移動し、空転領域から清掃領域へと移動する。清掃領域に移動すると、清掃部材(320)の挟み込み本体部(320j)が帯電ワイヤ(322)を左右から挟み込み、清掃パッド(320h)が帯電ワイヤ(322)を左右から押圧した状態になる。この状態で清掃部材(320)の移動を継続することにより、帯電ワイヤ(322)は清掃パッド(320h)によって払拭され、付着しているパーティクルが除去されて清浄化される。そして、清掃部材(320)が清掃領域から空転領域に戻ってきた時には、上述したように、再度挟み込み本体部(320j)が離接部(327)に押し拡げられ、清掃部材(320)と帯電ワイヤ(322)が離間した状態のまま、清掃部材(320)が空転してシールドケース長手方向の移動が繰り返される。
【0063】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも含むものである。
【0064】
(1)上記第1の実施形態においては、解除姿勢と押圧接触姿勢とを、いわゆる回動乃至は揺動によって達成したが、これに限定されず、空転領域において、昇降動作を利用したものや、帯電ワイヤの張設方向に直交する面内で傾斜させることによって解除姿勢を実現する方式のものも採用可能である。
【0065】
(2)上記第1及び第2の実施形態においては、シールドケース(321)の第2支持部(324)側にのみ離接部(327)を備えた空転領域が設定されているが、第1支持部(323)のホームポジション側にも離接部(327)を設けて空転領域を設定してもよい。つまり、清掃動作時において、清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)の他端部からホームポジションまで移動し、駆動機構(325)は、清掃部材(320)が前記ホームポジションに達してから、所定時間、前記清掃部材(320)を前記ホームポジション方向に駆動し、所定時間の間、離接部が清掃部材(320)を帯電ワイヤから離間させる。これにより、帯電ワイヤ(322)の両端部において清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)から離間した状態で空転するから、両端部で清掃部材(320)が帯電ワイヤ(322)に負荷をかけることがない。
【0066】
(3)上記第1及び第2の実施形態においては、長尺ガイド孔(321b)なる切欠を形成する代わりに、シールドケース(321)の底面の内側にガイドレール等を敷設し、これに沿って(絶縁性スパイラルロッドやワイヤを利用して)往復動可能に清掃部材(320)を内設してもよい。あるいは、同様な構成をシールドケース(321)の側面に設けてもよい。
【0067】
(4)上記第1及び第2の実施形態においては、清掃部材(320)を帯電器(32)に適用して説明したが、その他の帯電器、例えば転写帯電器、分離帯電器等にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る帯電ワイヤの清掃部材が適用された複写機の一実施形態を示す全体斜視図である。
【図2】図1に示す複写機の内部構成図である。
【図3】本発明に係る帯電ワイヤの清掃部材が適用された帯電部の一実施形態を示す裏面側から見た斜視図である。
【図4】図3のA線矢視の部分拡大斜視図である。
【図5】駆動機構による清掃部材の折り返し機構を示す図である。
【図6】清掃部材の一実施形態を示す斜視図であり、アーム部材が起立姿勢にある状態を示している。
【図7】清掃部材の一実施形態を示す斜視図であり、アーム部材が傾斜姿勢にある状態を示している。
【図8】清掃部材の一実施形態の動作を説明するための説明図であり、(イ)は清掃部材が空転領域にある状態、(ロ)は清掃部材が清掃領域にある状態をそれぞれ示している。
【図9】清掃部材のその他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
1 複写機
3 像形成部
31 感光体ドラム
32 帯電部
320 清掃部材
320a 部材基盤部
320b ナット部材
320c アーム支持体
320d アーム部材
320e 支持軸
320f パッド支持アーム
320g 爪片
320h 清掃パッド
320i コイルバネ
320j 挟み込み本体部
320k 本体支持部
320l 支持棒
320m 接続棒
321 シールドケース
321a 長尺開口
321b 長尺ガイド孔
321c ガイドレール
321d 軸受
321e ブラケット
322 帯電ワイヤ
323 第1支持部
323b 深さ位置設定片
324 第2支持部
324d 深さ位置設定片
325 駆動機構
325a スパイラルロッド
326 ケーシング
327 離接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電ワイヤと、該帯電ワイヤが長手方向の両側間に張架されたシールドケースと、前記帯電ワイヤの張設方向に沿って往復移動する清掃部材と、該清掃部材を往復駆動させる駆動機構を備える画像形成用帯電器であって、
前記帯電ワイヤと前記清掃部材とを接触並びに離間させる離接部を備え、
前記清掃部材は、清掃動作時以外において、前記帯電ワイヤの一端部に位置するホームポジションに留まるとともに、清掃動作時において、前記帯電ワイヤの他端部まで移動し、
前記駆動機構は、前記清掃部材が帯電ワイヤの他端部に達してから、所定時間、前記清掃部材を前記他端部方向に駆動し、
前記所定時間の間、前記離接部が前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする画像形成用帯電器。
【請求項2】
前記清掃部材が、部材基盤部と、該部材基盤部に付設されるとともに前記帯電ワイヤを跨ぐアーム部を備え、
前記離接部が、前記シールドケースを構成する前記帯電ワイヤと平行な面に長手方向に対称に穿設された2つの溝孔形状をなし、
清掃動作時において、前記アーム部が前記帯電ワイヤを接触押圧し、
前記所定時間の間、前記アーム部の両端が前記離接部に挿入されることにより、前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1記載の画像形成用帯電器。
【請求項3】
前記清掃部材が、部材基盤部と、該部材基盤部から延出された正面H型の本体支持部と、該本体支持部の該部材基盤部とは逆方向に取り付けられた2つの挟み込み本体部を備え、
前記正面H型の本体支持部が、帯電ワイヤ両側に対向して配される一対の支持棒と、該支持棒を接続する接続棒からなり、
前記離接部が、前記帯電ワイヤと前記シールドケースを構成する前記帯電ワイヤと平行な面との間に配されるシャフトであって、
清掃動作時において、前記挟み込み本体部が、前記帯電ワイヤを両側から接触押圧し、
前記所定時間の間、前記離接部が前記一対の支持棒と前記接続棒と前記2つの挟み込み本体部とで形成される空間に挿入され、前記離接部が前記2つの挟み込み本体部間を押し拡げることにより、前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1記載の画像形成用帯電器。
【請求項4】
前記離接部が台形円錐形状のシャフトであることを特徴とする請求項3記載の画像形成用帯電器。
【請求項5】
清掃動作時において、前記清掃部材が前記帯電ワイヤの前記他端部から前記ホームポジションまで移動し、
前記駆動機構は、前記清掃部材が前記ホームポジションに達してから、所定時間、前記清掃部材を前記ホームポジション方向に駆動し、
前記所定時間の間、前記離接部が前記清掃部材を前記帯電ワイヤから離間させることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の画像形成用帯電器。
【請求項6】
前記駆動機構が駆動モータを備え、該駆動モータがDCブラシモータであることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の画像形成用帯電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258515(P2009−258515A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−109507(P2008−109507)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】