説明

画像形成装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体

【課題】構成要素の交換によりアクセスエラーが生じても使用することができる画像形成装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、ディスクコントローラ105及びHDD106を備える。ディスクコントローラ105は、HDD106に対するアクセスを行う。構成変更検出モジュール205によりHDD106の変更が検知された場合において、HDD106に対するアクセスがエラーになったときは、HDD106の状態確認を行う回数と時間を変更してHDD106に対するアクセスを行う。その結果、HDD106に対するアクセスが成功した回数が既定値を超過したときは、HDD106の状態確認を行う回数と時間の既定値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体に関し、特に、複数の構成要素を備えた画像形成装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、原稿から読み取った情報を印刷する複写機能や、画像情報を格納する機能や、公衆回線やネットワークを介してデータを送受信する機能など、複数の機能を有する複合機能装置が主流となってきている。これに伴い、画像形成装置は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置と同等の処理能力を有すると共に、情報処理装置と同様にハードディスク装置(HDD)等のデバイスが接続されるようになってきている。
【0003】
HDD等の複数の構成要素からなる画像形成装置においては、構成要素の一つが着脱あるいは変更され、当該構成要素が有するアクセスタイミングが異なる場合に、アクセスが正常に行われなくなる。この場合、画像形成装置は、エラー表示を行って使用不能となるといった問題が生じる。
【0004】
この問題に対処する方法として、電源投入時に周辺機器の画像形成装置への接続状態を確認し、以前と接続状態が変更されていた場合にエラー表示を行う方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−202207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された方法では、周辺機器などの構成要素の交換前と交換後の特性の差異に起因してアクセスがエラーとなり、画像形成装置が使用不能となる場合がある。そこで、構成要素の特性の差異が微細であれば、エラーとはせずに画像形成装置を使用できるようにする回避策を講じることが求められている。
【0007】
本発明の目的は、構成要素の交換によりアクセスエラーが生じても使用することができる画像形成装置、その制御方法、プログラム、及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、請求項 1記載の画像形成装置は、構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置において、前記構成要素の変更を検知する検知手段と、前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別手段と、前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行手段と、前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
上述の目的を達成するために、請求項3記載の制御方法は、構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置の制御方法において、前記構成要素の変更を検知する検知ステップと、前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別ステップと、前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行ステップと、前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更ステップとを備えることを特徴とする。
【0010】
上述の目的を達成するために、請求項4記載のプログラムは、構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、前記構成要素の変更を検知する検知ステップと、前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別ステップと、前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行ステップと、前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更ステップとを備えることを特徴とする。
【0011】
上述の目的を達成するために、請求項5記載のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、請求項4記載のプログラムを格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して既定の処理が正常に実行されなかったと判別されたときに既定の処理とは異なる他の処理を実行する。また、他の処理が正常に実行されたときは、構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する。これにより、構成要素の交換によりアクセスエラーが生じても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1におけるコントローラボード100によって実行されるデバイスアクセス処理のモジュールの構成を示す図である。
【図3】図1におけるCPU102により実行されるデバイスアクセス処理のフローチャートである。
【図4】図3におけるステップS701のHDDアクセス処理のフローチャートである。
【図5】図3におけるステップS703のエラー表示処理のフローチャートである。
【図6】図4におけるステップS302のエラー保護モード処理のフローチャートである。
【図7】図1におけるディスクコントローラ105に対してリセット指示を出した場合に、HDD106がアクセス可能となるレディ状態になるまでの時間経過を示す図である。
【図8】図1におけるディスクコントローラ105に対してリセット指示を出した場合に、HDD106がアクセス可能となるレディ状態になるまでの時間経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1において、本実施の形態に係る画像形成装置は、コントローラボード100、SRAM108、HDD(ハードディスク装置)106、ファクスエンジン110、プリントエンジン111、及びスキャンエンジン112を備える。
【0017】
コントローラボード100は、画像形成装置を制御する。コントローラボード100は、ブートロム101、CPU102、揮発性メモリ103、イメージプロセッサ104、ディスクコントローラ105、バスコントローラ107、及びデバイスコントローラ109を備える。
【0018】
ブートロム101は、起動プログラムが格納された不揮発性メモリである。CPU102は、起動プログラム及び他のプログラムを実行する演算装置である。揮発性メモリ103は、プログラムやデータを一時的に格納する。
【0019】
イメージプロセッサ104は、画像形成処理を高速に実行する。ディスクコントローラ105は、HDD106を制御する。バスコントローラ107は、SRAM108等の不揮発性記憶装置とのインタフェースを司る。
【0020】
デバイスコントローラ109は、ファクスエンジン110、プリントエンジン111、及びスキャンエンジン112等の画像形成デバイスに接続され、これらの画像形成デバイスを制御して画像形成処理を実行する。
【0021】
図2は、図1におけるコントローラボード100によって実行されるデバイスアクセス処理のモジュールの構成を示す図である。
【0022】
図2において、デバイスアクセス処理は、デバイスドライバ200として実装される。デバイスドライバ200は、OS(Operating System)206から呼び出され、OS206の要求にしたがって動作する。
【0023】
なお、デバイスドライバ200及びOS206は、HDD106等の不揮発性記憶装置に格納され、コントローラボード100の電源投入時に、揮発性メモリ103に読み込まれ、CPU102により実行される。
【0024】
デバイスドライバ200は、デバイスアクセスモジュール201、エラー制御モジュール202、エラー保護モードモジュール203、履歴管理モジュール204、及び構成変更検出モジュール205を備える。
【0025】
デバイスアクセスモジュール201は、HDD106等のデバイスを制御するモジュールである。エラー制御モジュール202は、エラー状況によりLCDパネル等の画像形成装置が備える表示部に対してエラー表示を行う。エラー保護モードモジュール203は、エラー制御モジュール202により、直ぐにはエラー表示せずに通常とは異なるアクセス処理を行うことが指示された場合に呼び出される。履歴管理モジュール204は、エラー保護モードモジュール203における処理状態をSRAM108等の不揮発性記憶装置に履歴として格納する。
【0026】
構成変更検出モジュール205は、画像形成装置の起動毎に接続されている構成要素を検出し、SRAM108等の不揮発性記憶装置に格納された情報と比較し、差異があると構成が変更されたことをSRAM108に記録する。また、構成変更検出モジュール205は、OS206からの要求に従って、構成の変更があったか否かの情報をOS206に返却する。
【0027】
以下、本実施の形態におけるデバイスアクセス処理を図3〜5のフローチャートを用いて、図1の画像形成装置が備えるコントローラボード100のHDD106へのアクセスを例にして説明する。
【0028】
アプリケーションプログラムなどからHDD106へのアクセス要求があると、OS206は、図3に示すフローチャートに従ってデバイスアクセス処理を実行する。
【0029】
図3は、図1におけるCPU102により実行されるデバイスアクセス処理のフローチャートである。
【0030】
図3において、まず、CPU102は、後述する図4のHDDアクセス処理を実行して、HDD106へアクセスする(ステップS701)。次に、CPU102は、HDDアクセス処理によりアクセスエラーの通知があったか否かを判別する(ステップS702)。
【0031】
ステップS702の判別の結果、HDDアクセス処理によりアクセスエラーの通知がなかったとき、即ち、HDD106へのアクセスが成功したときは、本処理を終了する。
【0032】
一方、ステップS702の判別の結果、HDDアクセス処理によりアクセスエラーの通知があったときは、後述する図5のエラー表示処理を実行する(ステップS703)。次に、エラー表示処理によりエラー保護モードへの移行を指示する旨の通知があったか否かを判別する(ステップS704)。
【0033】
ステップS704の判別の結果、エラー表示処理によりエラー保護モードへの移行を指示する旨の通知がなかったときは、本処理を終了する。
【0034】
一方、ステップS704の判別の結果、エラー表示処理によりエラー保護モードへの移行を指示する旨の通知があったときは、ステップS705に進む。ステップS705では、SRAM108等の不揮発性記憶装置に格納されるエラー保護モードフラグをONにして、ステップS701に戻る。
【0035】
図4は、図3におけるステップS701のHDDアクセス処理のフローチャートである。
【0036】
図4において、まず、SRAM108等の不揮発性記憶装置に格納されたエラー保護モードフラグを参照することにより、現在のモードがエラー保護モードであるか否かを判別する(ステップS301)。
【0037】
ステップS301の判別の結果、現在のモードがエラー保護モードであるときは、ステップS302に進む。一方、ステップS301の判別の結果、現在のモードがエラー保護モードではなく通常モードであるときは、ステップS303に進む。
【0038】
ステップS302では、後述する図6のエラー保護モード処理を実行する。次に、エラー保護モード処理によりアクセスエラーの通知があったか否かを判別する(ステップS313)。
【0039】
ステップS313の判別の結果、エラー保護モード処理によりアクセスエラーの通知があったときは、ステップS307に進む。ステップS307では、アクセスエラーの通知をOS206に返却し、本処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS313の判別の結果、エラー保護モード処理によりアクセス成功の通知があったときは、ステップS308に進む。ステップS308では、HDD106に対してリードやライトのアクセスを実行する。次に、HDD106に対するアクセスに成功したか否かを判別する(ステップ309)。
【0041】
ステップS309の判別の結果、HDD106に対するアクセスに成功したときは、アクセス成功の通知をOS206に返却し(ステップS310)、本処理を終了する。一方、ステップS309の判別の結果、HDD106に対するアクセスに失敗したときは、ステップS311で、既定時間ウェイトした後、ステップS312に進む。
【0042】
ステップS312では、HDD106に対するアクセス回数が既定回数を超過しているか否かを判別する。ステップS312の判別の結果、HDD106に対するアクセス回数が既定回数を超過していないときは、ステップS308に戻り、HDD106に対するアクセスを実行する。一方、ステップS312の判別の結果、HDD106に対するアクセス回数が既定回数を超過しているときは、ステップS307に進み、アクセスエラーの通知をOS206に返却し、本処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS303では、CPU102は、ディスクコントローラ105に対してHDD106のリセットを指示する。次に、CPU102は、HDD106のリセット処理が完了しHDD106がアクセス可能なレディ状態になっているか否かを判別する(ステップS304)。
【0044】
ステップS304の判別の結果、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっているときは、ステップS308に進み、HDD106に対するアクセスを実行する。
【0045】
一方、ステップS304の判別の結果、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっていないときは、ステップS305に進む。ステップS305で、SRAM108に格納された既定時間ウェイトした後、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過しているか否かを判別する(ステップS306)。
【0046】
ステップS306の判別の結果、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過していないときは、ステップS304に戻り、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっているか否かを判別する。
【0047】
一方、ステップS306の判別の結果、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過しているときは、アクセスエラーの通知をOS206に返却し(ステップS307)、本処理を終了する。
【0048】
図5は、図3におけるステップS703のエラー表示処理のフローチャートである。
【0049】
図5において、エラー表示処理は、エラー制御モジュール202により実行される。まず、SRAM108等の不揮発性記憶装置に格納されたエラー保護モードフラグを参照することにより、現在のモードがエラー保護モードであるか否かを判別する(ステップS401)。
【0050】
ステップS401の判別の結果、現在のモードがエラー保護モードであるときは、ステップS402に進む。一方、ステップS401の判別の結果、現在のモードがエラー保護モードではなく通常モードであるときは、ステップS403に進む。
【0051】
ステップS403では、HDDの交換があったか否かを構成変更検出モジュール205に問い合わせ、構成変更検出モジュール205の回答を参照して、HDDの交換があったか否かを判別する(ステップS404)。
【0052】
ステップS404の判別の結果、HDDの交換がなかったときは、ステップS402に進む。一方、ステップS404の判別の結果、HDDの交換があったときは、エラー保護モードへの移行を指示する旨をOS206に返却し(ステップS405)、本処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS402では、CPU102は、エラー表示を行うと共に、システムを停止し、本処理を終了する。
【0054】
なお、構成変更検出モジュールは、HDDに対して情報要求コマンドを発行する事により、モデル名やバージョン番号を取得し、これらをSRAM108等の不揮発性記憶装置に格納し、画像形成装置の起動毎に差異があったかどうかを確認する。
【0055】
図6は、図4におけるステップS302のエラー保護モード処理のフローチャートである。
【0056】
図6において、まず、CPU102は、ディスクコントローラ105に対してHDD106のリセットを指示する(ステップS801)。
【0057】
次に、HDD106のリセット処理が完了しHDD106がアクセス可能なレディ状態になっているか否かを判別する(ステップS802)。
【0058】
ステップS802の判別の結果、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっていないときは、ステップS808に進む。一方、ステップS802の判別の結果、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっているときは、ステップS804に進む。
【0059】
ステップS808で、SRAM108に格納された既定時間ウェイトした後、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過しているか否かを判別する(ステップS809)。
【0060】
ステップS809の判別の結果、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過していないときは、ステップS802に戻り、HDD106がアクセス可能なレディ状態になっているか否かを判別する。
【0061】
一方、ステップS809の判別の結果、HDD106の状態確認回数がSRAM108に格納された既定回数を超過しているときは、ステップS810に進む。ステップS810では、予めSRAM108等の不揮発性記憶装置に格納された代替ウェイト時間を取得する。次に、代替ウェイト時間の取得に成功したか否かを判別する(ステップS811)。
【0062】
ステップS811の判別の結果、代替ウェイト時間の取得に成功したときは、取得した代替ウェイト時間に基づいて、SRAM108に格納された既定時間及び既定回数を変更し(ステップS812)、ステップS802に戻る。
【0063】
一方、ステップS811の判別の結果、代替ウェイト時間の取得に失敗したとき、即ちこれ以上代替ウェイト時間が設定されていないときは、アクセスエラーの通知をOS206に返却し(ステップS813)、本処理を終了する。
【0064】
ステップS804では、履歴管理モジュール204に状態確認間隔及び状態確認回数を含む情報を通知する。通知された履歴管理モジュール204は、SRAM108等の不揮発性記憶装置に通知内容と通知回数を格納するとともに、通知回数をOS206に返却する。
【0065】
ステップS805では、OS206に返却された通知回数、即ちエラー保護モードの処理によりHDDアクセスに成功した回数が既定値を超過しているか否かを判別する。ステップS805の判別の結果、通知回数が既定値を超過しているときは、ステップS806に進む。ステップS806では、状態確認間隔と状態確認回数を、SRAM108等の不揮発性記憶装置に格納された通常モードにおける既定値(ステップS305及びステップS306で参照)として設定し、ステップS807に進む。
【0066】
一方、ステップS805の判別の結果、通知回数が既定値を超過していないときは、アクセス成功の通知をOS206に返却し(ステップS807)、本処理を終了する。
【0067】
図7及び図8は、図1におけるディスクコントローラ105に対してリセット指示を出した場合に、HDD106がアクセス可能となるレディ状態になるまでの時間経過を示す図である。
【0068】
図7に示すように、ディスクコントローラ105に対してリセット指示を行うと、ディスクコントローラ105に接続されたHDD106が、最大でMAXt時間だけリセット状態となる。MAXtはHDDのモデル毎に既定されており、これを超える場合にはHDDが故障していると判断される。
【0069】
図7の例では、既定のウェイト時間を空けた上で、MAXt時間内で状態確認を複数回行っているが、状態確認が行われるタイミングで、HDDがリセット状態から復帰して、処理を受付可能なレディ状態にならない。したがって状態確認回数が既定回数を超過し、アクセスエラーとなる(図4のS306でYES)。
【0070】
一方、エラー保護モードでは、図8に示すように、ディスクコントローラ105に対してリセットを指示した後、HDD106の状態確認を行う間隔を、例えば、図7の間隔の1/2に狭める。これにより、MAXt時間内で、HDD106がレディ状態になったことを検出可能となる(図6のステップS802でYES)。
【0071】
本実施の形態のエラー保護モード処理では、HDD106のリセットからレディになるまでのタイミングに着目して、ウェイト時間と繰り返し回数を変更する場合に関して説明したが、本発明はこれに限られるものではない。HDD106へのリセット処理だけでなく、HDD106の電源のOFF/ONや自己診断モードの実行等を組み合わせてもよい。これにより、通常モードにおけるアクセス処理ではエラーとなっていたケースが、エラー保護モード処理により正常アクセスとなる確率を高めることが可能となる。
【0072】
以上、説明したように本実施の形態によれば、HDDアクセスモジュールにおいて、HDDへのアクセスに失敗した場合に、エラー処理モジュールにおいて、HDDの交換が最近行われたかどうかの判別を行う。直近にHDDの交換が行われていれば、直ぐにはエラー表示を行わずに、HDDアクセスモジュールに対して、エラー保護モードへの移行を通知する。この通知に呼応してHDDアクセスモジュールは、エラー保護モードとして、通常のアクセス処理とは異なるタイミングや手法を用いてアクセスを試みる。エラー保護モードにおける処理によりHDDへのアクセスが成功したか否かを記録しておき、HDDアクセスモジュールがHDDアクセス時にこの情報を参照することにより、エラー保護モードにおける処理を実施するか否かを判断する。
【0073】
以上により、HDDの交換に伴いアクセスタイミングがずれることにより、HDDアクセスに失敗し、エラーを表示して画像形成装置が停止することを抑制することを可能にするものである。
【0074】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態では、HDD106に対するアクセスに関して説明したが、その他の接続可能なデバイスに関しても同様に、通常処理に加えて通常とは異なるアクセス手法を試行することにより、エラーによるシステム停止の低減を図ることが可能である。
【0075】
例えば、画像形成装置のコントローラは熱を発生する部位があるため、排熱のためファンを配置している。ファンは電流を流すことでモータを回転させ、その先に接続された羽根が回転することで、一定方向に空気の流れを生み出すものである。ファンはモータを用いているため、耐用時間が定められており、耐用時間が経過した場合、あるいは塵が詰まること等によりモータの回転軸が変芯した場合には、新しいものに交換する必要がある。ファンが停止した場合、画像形成装置内の温度が上昇し、熱に弱いチップ等の破損や、発熱や発火の可能性も生じることから、モータが回転しているか否かを識別するファンロック検知信号が具備されている。
【0076】
図2のデバイスドライバ200は、ファンに対するアクセスを行う。デバイスアクセスモジュール201によりファンロック検知信号が有効になったと判定した場合に、エラー制御モジュール202は、ファンが停止している旨を、LCD等の表示部に表示し、一定時間経過後、画像形成装置の電源を切断する。
【0077】
しかし、ファンを交換した場合は、モータの特性により、電源投入から、ファンロック検知信号が有効とならない状態になる回転数まで上昇するのに時間がかかる場合があり、この場合、ファンロック状態と認識され、エラー表示となる場合がある。
【0078】
ここで、第1の実施の形態で説明したように、ファンが交換されたか否かを、構成変更検出モジュール205により判別する。この判別の結果、ファンが交換された場合において、ファンロックを検知したときは、エラー保護モードモジュール203は、ファンロック検出のウェイト時間と回数を制御する。これにより、モータ特性によりファンロックと誤検出されることを回避することができる。
【0079】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0080】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0081】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0082】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0083】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【符号の説明】
【0084】
100 コントローラボード
102 CPU
105 ディスクコントローラ
106 HDD
108 SRAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置において、
前記構成要素の変更を検知する検知手段と、
前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別手段と、
前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行手段と、
前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記他の処理が正常に実行された回数を記録する記録手段を備え、前記変更手段は、前記記録手段に記録された回数が既定値を超えたときは、前記既定の処理を当該他の処理に変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置の制御方法において、
前記構成要素の変更を検知する検知ステップと、
前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別ステップと、
前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行ステップと、
前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更ステップとを備えることを特徴とする制御方法。
【請求項4】
構成要素を備えると共に前記構成要素に対して既定の処理を実行する画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、前記制御方法は、
前記構成要素の変更を検知する検知ステップと、
前記構成要素の変更が検知されたときに当該構成要素に対して前記既定の処理が正常に実行されたか否かを判別する判別ステップと、
前記処理が正常に実行されなかったと判別されたときに前記既定の処理とは異なる他の処理を実行する実行ステップと、
前記他の処理が正常に実行されたときは、当該構成要素に対する既定の処理を当該他の処理に変更する変更ステップとを備えることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項4記載のプログラムを格納することを特徴とするコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−268355(P2010−268355A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119729(P2009−119729)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】