説明

画像形成装置、制御方法及びプログラム

【課題】用紙を横送りする場合と縦送りする場合とで同じ出力物が得られるときに、装置のパフォーマンスを最大限に利用することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成システムは、A4サイズの用紙を、長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容するカセット110と、短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容するカセット112と、印刷ジョブを実行するに際してユーザがカセット110又はカセット112のいずれから給紙を行うかを設定する操作表示装置300とを有する。画像形成システムを制御するCPU151は、ジョブを実行した場合に用紙が横送りと縦送りとで同じ出力物が得られるか否かを判断し、同じ出力物が得られると判断した場合にカセット112から給紙が行われるように設定されているときには、カセット110から給紙を行う設定に変更することをユーザに対して操作表示装置300を通して促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写機では、シート(以下「用紙」と記す)が収容されたカセット又は用紙が載置された手差し給紙口から給紙が行われている。用紙の収容又は載置の形態としては、用紙の給送方向と用紙の短辺とを平行にする縦置きと、用紙の給送方向と用紙の長辺とを平行にする横置きとがある。通常、A4サイズ以下の用紙であれば、ユーザの要望により、どちらの置き方でも所望のジョブを行うことが可能になっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、横置きされた用紙をその短辺を先端にして給送する「縦送り」よりも、縦置きされた用紙をその長辺を先端にして給送する「横送り」の方が、生産性が高い。これは、用紙搬送速度が不変である場合には、用紙搬送方向における用紙の長さが、縦送り(例えばA4R)の場合には横送り(例えばA4)の場合よりも長くなるからである。したがって、例えば、用紙への複写のみを行うようなジョブでは、横送りで処理を行った方が生産性は高く、ユーザにとって快適である。
【0004】
なお、一般的に、定着器のローラの軸方向長さは、A4サイズの長辺の長さより少し長く構成されている。従って、A4サイズの用紙の縦送りの場合、定着器の端部では、用紙が通紙せず、用紙に熱が奪われないために昇温する。このような昇温を防止するためには、用紙の給送間隔を広げ、生産性を落とす制御が採られることが一般的である。一方、横送りであればこのような問題の発生を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−23413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、画像形成装置では、生産性は横送りを用いた方が高い。しかし、この論理が全てのユーザに伝わっているとは限らない。そのために、縦送りが必須ではないにもかかわらず、横送りでの処理が可能なジョブを縦送りによって実行している場合が多くあり、画像形成装置のパフォーマンスが最大限に発揮されずにしまっている。
【0007】
但し、例えば、用紙に対するパンチ穴の形成位置を所定の場所に指定したい場合や利便性を考えて所定の場所に所定のステイプル処理を行いたい場合等で、横送りではなく縦送りでのジョブの実行が必要となる状況にも対応する必要がある。
【0008】
本発明は、用紙を横送りする場合と縦送りする場合とで同じ出力物が得られるときに、装置のパフォーマンスを最大限に利用することができる画像形成装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、所定のサイズの用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、前記所定のサイズの用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、を備える画像形成装置であって、印刷ジョブを実行するに際して、手動により、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から給紙を行うかを設定する設定手段と、前記印刷ジョブを実行した場合に、前記用紙が前記横送りで搬送された場合と前記用紙が前記縦送りで搬送された場合とで同じ出力物が得られるか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が前記同じ出力物が得られると判断した場合において前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送が行われるように手動で設定されているときに、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行う設定への変更を促す通知を行う通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る画像形成装置の制御方法は、所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記画像形成装置に判断させる判断ステップと、前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記画像形成装置に行わせる通知ステップと、前記通知ステップにおいて前記第1の収容部から給紙を行うように設定に変更された場合には前記第1の収容部から給紙を行って前記ジョブを実行し、前記ユーザが前記第2の収容部から給紙を行う設定を保持した場合には前記第2の収容部から給紙を行って前記ジョブを実行するよう前記画像形成装置を制御する制御ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る情報処理装置の制御方法は、所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法であって、印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記情報処理装置に判断させる判断ステップと、前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記ユーザに前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記情報処理装置に行わせる通知ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法を該情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、前記情報処理装置の制御方法は、印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記情報処理装置に判断させる判断ステップと、前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記ユーザに前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記情報処理装置に行わせる通知ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、横送りの方が縦送りよりも生産性が高く、かつ、横送りでも縦送りでも同じ出力物が得られる場合に、縦送りが設定されていたときには横送りでのジョブの実行をユーザに推奨する。これにより、画像形成装置のパフォーマンスを最大限に利用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構造を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成システムの制御を司るコントローラの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1の画像形成システムが備える操作表示装置の概略構成を示す図である。
【図4】図3に示される表示パネルの詳細な構成を示す図である。
【図5】図4に示される仕上げキーが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図6】図1の画像形成システムにおいて複写物に対してステイプル処理とパンチ処理をそれぞれ行う場合の原稿と複写物との基本的な関係を示す図である。
【図7】図5に示されるステイプルキーが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図8】図7に示されるダブルタブが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図9】図5に示されるパンチキーが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図10】図1の画像形成システムを構成するフィニッシャに設けられているステイプラの動作を模式的に示す図である。
【図11】A4サイズ用紙の横送り及びA4サイズ用紙の縦送りのそれぞれについて、シングルステイプル処理が設定されたときの印刷画像とステイプル位置との関係を示す図である。
【図12】A4サイズ用紙の横送り及びA4サイズ用紙の縦送りのそれぞれについて、ダブルステイプル処理が設定されたときの印刷画像とステイプル位置との関係を示す図である。
【図13】図1の画像形成システムを構成するパンチ装置の動作を模式的に示す図である。
【図14】A4サイズ用紙の横送り及びA4サイズ用紙の縦送りのそれぞれについて、パンチ処理が設定されたときの印刷画像とパンチ穴位置との関係を示す図である。
【図15】図4に示される用紙選択キーが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図16】図15の画面においてカセット3キーが押下されたときに表示される画面の例を示す図である。
【図17】A4サイズ用紙の横送り及びA4サイズ用紙の縦送りのそれぞれについて、用紙と定着部との位置関係を示す図である。
【図18】図1の画像形成システムの生産性を示す表である。
【図19】図1の画像形成システムでのジョブでA4R縦送りが設定され、且つ、一定の条件が揃った場合に表示される画面の例である。
【図20】ジョブに用いる給紙方法の変更に関する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<画像形成システムの概略構成>
図1は本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構造を示す断面図である。主要部の縦断面構造を示す構成図である。画像形成システムは、画像形成装置10、パンチ装置600及びフィニッシャ装置500から構成されている。
【0017】
[画像形成装置の概略構成]
画像形成装置10は、大略的に、プリンタ(画像形成部)100、イメージリーダ200、操作表示装置300及び原稿給送装置400から構成されている。原稿給送装置400はイメージリーダ200上に搭載されている。
【0018】
原稿給送装置400は、ここでは、例えば、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ左方向へ給紙し、湾曲したパスを介してプラテンガラス202の所定位置に停止させる。この状態でスキャナユニット201を左から右へ走査させることにより原稿を読み取る。スキャナユニット201の走査時には、原稿の読み取り面がランプの光で照射され、原稿からの反射光がミラーを介してレンズに導かれ、レンズを通過した光はイメージセンサ203の撮像面に結像する。
【0019】
スキャナユニット201によって光学的に読み取られた画像は、イメージセンサ203によって画像データに変換されて、後述する画像信号制御部281へ出力される。画像信号制御部281では、受信した画像データに対して所定の画像処理を施し、プリンタ100の露光制御部101に対してビデオ信号として出力される。画像信号制御部281は必要に応じて画像を90度回転する処理を行うこともある。
【0020】
画像形成装置10のその他の構成、パンチ装置600及びフィニッシャ装置500の構成については、後に画像形成装置10からの排紙形態について排紙形態毎に説明する際に、適宜、説明することとする。
【0021】
[画像形成システムの制御系]
図2は画像形成システムの制御を司るコントローラの概略構成を示すブロック図である。コントローラはCPU回路部150を有している。CPU回路部150は、CPU151、ROM152及びRAM153を内蔵している。ROM152には制御プログラムが格納されており、制御プログラムがCPU151により実行されることで、図2に示される各種の制御部が統括的に制御される。なお、RAM153は制御データの一時的な保持や制御に伴う演算処理の作業領域等として用いられる。
【0022】
原稿給送装置制御部480は、CPU回路部150からの指示に基づいて、原稿給送装置400の駆動制御を行う。イメージリーダ制御部280は、CPU回路部150からの指示に基づいて、スキャナユニット201やイメージセンサ203等に対する駆動制御を行い、イメージセンサ203から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部281に転送する。
【0023】
画像信号制御部281は、CPU回路部150からの指示に基づいて、コピー動作時には、イメージセンサ203からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に所定の画像処理を施し、ビデオ信号に変換して、プリンタ制御部180に出力する。また、画像信号制御部281は、CPU回路部150からの指示に基づいて、プリント動作時には、コンピュータ283から外部I/F282を介して入力されたデジタル画像信号に所定の画像処理を施し、ビデオ信号に変換して、プリンタ制御部180に出力する。プリンタ制御部180は、CPU回路部150からの指示に基づいて、入力されたビデオ信号に基づいて、プリンタ100を駆動制御する。
【0024】
操作表示装置制御部380は、操作表示装置300とCPU回路部150との間での情報(信号)の受け渡しを行う。操作表示装置300は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示する表示部等を有し、各キーの操作に対応する信号をCPU回路部150に出力し、CPU回路部150からの信号に基づいて対応する情報を表示部に表示する。
【0025】
フィニッシャ制御部580は、CPU回路部150との間で情報の受け渡しを行うことによって、フィニッシャ500の動作制御を行う。また、パンチ装置制御部680は、CPU回路部150との間で情報の受け渡しを行うことによって、パンチ装置600の動作制御を行う。
【0026】
<排紙の形態>
[後処理を実行しない場合]
画像形成が行われた用紙(シート)に対してステイプル処理(ステイプル針で綴じる処理)やパンチ処理(穿孔処理)等の後処理を何ら施さずに画像形成システムから用紙を排出する場合の画像形成システムの動作について、図1を参照して説明する。
【0027】
先ず、プリンタ100の露光制御部101は、入力されたビデオ信号に基づいてレーザ光を変調して出力する。レーザ光は不図示のポリゴンミラー等により走査されながら感光ドラム102上に照射され、これにより、感光ドラム102には静電潜像が形成される。
【0028】
感光ドラム102上の静電潜像は、現像器103から供給される現像剤によって現像剤像として可視化される。一方、現像剤像の転写対象となる用紙が、用紙の収容部であるカセット110,111,112又は手差給紙トレイ113から搬送パスに給送される。搬送パスに給送された用紙は、レジストローラ114に用紙先端を突き当てられて一旦停止し、傾き補正された後、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、感光ドラム102と転写部104との間に搬送される。これにより、感光ドラム102に形成された現像剤像が、転写部104において給送された用紙上に転写される。
【0029】
現像剤像が転写された用紙は定着部105に搬送され、定着部105は用紙を熱圧することによって現像剤像を用紙上に定着させる。定着部105を通過した用紙は、フラッパ118によって排出ローラ116を経てプリンタ100から下流装置であるパンチ装置600へと排出される。
【0030】
このとき、用紙はフェイスアップ(印刷面が上)の状態で搬出される。そのため、用紙をフェイスダウン(印刷面が下)の状態で排出したい場合には、フラッパ118を切り換えて、定着部105を通過した用紙を用紙反転搬送パス119へ搬入し、用紙をスイッチバックさせる。これにより用紙を、用紙の表裏を反転させた後に排出ローラ116を経て、プリンタ100からパンチ装置600へと排出することができる。
【0031】
プリンタ100から排出された用紙は、パンチ装置600を通過して、フィニッシャ500に排出される。ここでは、パンチ装置600では用紙に対するパンチ処理は行われないため、パンチ装置600の構成についての説明を省略する。
【0032】
フィニッシャ500では、用紙束に対してステイプル処理やソート処理等の処理を行うことができるが、ここではこれらの処理を行われないため、用紙はストレート排出される。このストレート排出では、用紙をノンソートパス516へ搬送するようにフラッパ518が切り換わり、用紙はノンソートパス516を経由し、搬送ローラ517によってスタックトレイ510へ排出される。なお、フィニッシャ500においてステイプル処理を行うための構成と動作については、次に説明する。
【0033】
[ステイプル処理]
画像形成を行った用紙に対してステイプル処理を行い、その後、排出する処理について、図1を参照して説明する。なお、ステイプル処理を行うか否か(ステイプル処理の選択/解除)やステイプル処理の具体的な内容(条件)は、ユーザによる操作表示装置300の操作により設定することができる。
【0034】
プリンタ100では、上述したように後処理が設定されていない場合と同様に、用紙に対する印刷処理が行われる。定着部105を通過した用紙が用紙反転搬送パス119へ搬送されるようにフラッパ125が切り換わり、用紙をスイッチバックさせることで用紙の表裏を反転させる。これにより、用紙はフェイスダウンの状態でプリンタ100からパンチ装置600を経てフィニッシャ500へ排出される。
【0035】
フィニッシャ500では、用紙束に対してステイプル処理を行うために、排出ローラ501,502が用紙を束排紙ベルト503上へ排出する。なお、正確には、束排紙ベルト503と平行に束排紙ベルト503から数ミリメートル程度高い位置に低摩擦の中間処理トレイが設けられており、用紙はこの中間処理トレイ上に排出される。
【0036】
中間処理トレイは束排紙ベルト503と平行に右下がりとなるように斜めに配置されているため、中間処理トレイに排出された用紙は中間処理トレイ(束排紙ベルト503)に沿って自重で右下方向に落下する。更に、扇形の戻しローラ504が半時計方向に回転することにより、戻しローラ504の円弧に設けられた摩擦部材が用紙に当接する。この摩擦部材は、用紙を右下方向に落下させる役割を果たし、用紙の端部をストッパ板507に突き当てさせる。こうして用紙の縦方向(送り方向)の揃え動作が行われる。
【0037】
また、図1が描画されている紙面に垂直な方向(用紙幅方向)の手前側と奥側とに、中間処理トレイに対して整合板506が配置されている。整合板506は、中間処理トレイ上に用紙が排出される毎に駆動され、中間処理トレイ上の用紙に対して用紙幅方向の揃え動作を行う。ステイプル処理を行う一束分の用紙が中間処理トレイ上に排出され、整合板506による揃え動作が終了すると、用紙束に対してステイプラユニット505によりステイプル動作が行われる。ステイプル処理された用紙束は、束排紙ベルト503によりスタックトレイ510,511のいずれかへ排出される。
【0038】
なお、ステイプラユニット505は、図1が描画されている紙面に垂直な方向に移動可能であり、手前側や奥側、中央等の任意の位置で、中間処理トレイ上の用紙束に対してステイプル動作を行うことができるようになっている。用紙束に対してステイプル動作を行う位置は、ユーザが操作表示装置300を操作して設定することができる。
【0039】
[パンチ処理]
画像形成を行った用紙に対してパンチ処理を行った後に用紙を排出する処理について、図1を参照して説明する。なお、パンチ処理を行うか否か(パンチ処理の選択/解除)やパンチ処理の具体的な内容は、ユーザによる操作表示装置300の操作により設定することができる。
【0040】
プリンタ100では、上述したように後処理が設定されていない場合と同様に、用紙に対する印刷処理が行われる。プリンタ100からパンチ装置600に送られてきた用紙は、搬送ローラ601によってフィニッシャ500側へ送られる。パンチ処理を行う場合には、用紙搬送中にセンサ605が用紙の後端を検知してから一定時間後に、用紙を搬送したまま用紙後端から所定長さ位置(例えば、数cmの位置)にパンチモジュール603,604によってパンチ穴が開けられる。そして、パンチ穴が形成された用紙は搬送ローラ602によってフィニッシャ500へ排出される。
【0041】
<操作表示装置の構成と後処理の設定>
[操作表示装置の基本表示]
図3は操作表示装置300の概略構成を示す図である。操作表示装置300は、タッチパネル式の表示パネル30と、数字入力に用いられる数字キー31と、印刷ジョブ(以下「ジョブ」と記す)の投入(実行)に用いられるスタートキー33とを備えている。
【0042】
図4は表示パネル30の詳細な構成を示す図である。図4(A)はデフォルトの設定から何ら変更されていない場合の表示例であり、印刷倍率41に「100%」が、給紙選択42に「自動」が、印刷部数(枚数)43に「1」枚がそれぞれ設定されている。印刷倍率を変えたい場合(拡大/縮小印刷を行う)には倍率キー44を押下し、給紙選択を変えたい場合には用紙選択キー46を押下し、それぞれ、押下後に現れる設定画面にて設定を行うことができる。なお、用紙選択キー46の押下後に現れる設定画面については説明を省略し、用紙選択キー46の押下後に現れる設定画面については後述する。印刷枚数43を変更したい場合には、数字キー31で所望の数値を入力すればよいようになっている。
【0043】
画像濃度47は、設定可能な5段階に応じた5つの升(枠)からなるインジケータにより表示されている。薄く印刷したい場合には「うすくキー」48を、濃く印刷したい場合には「こくキー」49を押下すればよく、キー48,49の押下によって画像濃度を所望の段階に変更することができる。画像濃度47の5つの升のうち、塗り潰された(黒い))升が現在の設定濃度を示している。図4(A)では5つの升の中央の升が黒く表示されており、これが標準(通常)の設定濃度になる。
【0044】
仕上げキー45は、ステイプル処理やパンチ処理等の後処理(仕上げ)の設定を行いたいときに押下されるキーである。仕上げキー45が押下されると、後述する仕上げ設定画面に変化し、仕上げの設定を行うことができる。
【0045】
図4(B)は図4(A)から各種設定が変更された例を示しており、印刷倍率は「50%」に、給紙選択は「カセット3 A4R」に、印刷部数は「20」に、画像濃度はやや濃い目(標準より1段階濃い)に設定されている。また、仕上げに関して、仕上げキー45の表示がステイプル処理を行うことを示す「ステイプル仕上げ」に設定されている。
【0046】
[仕上げ(後処理)設定]
図5は図4(図4(A)でも図4(B)でもよい)の画面で仕上げキー45が押されたときに表示される画面(仕上げ設定画面)の例である。ソートキー51が押下されると、印刷された用紙がジョブ単位で束になって出力される。なお、ソート処理については、本発明とは直接に関係がないため、説明を省略する。ステイプルキー52が押下されると、後述するステイプル設定画面に変化する。パンチキー53が押下されると、後述するパンチ設定画面に変化する。キャンセルキー54が押下されると、仕上げとして行う処理は選択されず、図4の画面に戻る。
【0047】
[ステイプル処理、パンチ処理の設定]
図6は複写物に対してステイプル処理とパンチ処理をそれぞれ行う場合の原稿と複写物との基本的な関係を示す図である。図6(A)には原稿給送装置400に原稿61がセットされた状態が示されている。図6(B)は図6(A)の通りに原稿61がセットされた場合に得られる複写物に対して「左上をステイプル針で綴じる」が設定されている場合の出力例62を示している。なお、図6(B)の符号64はステイプル針である。図6(C)は図6(A)の通りに原稿61がセットされた場合に得られる複写物に対して「左側にパンチ穴を形成する」が設定されている場合の出力例63を示している。なお、図6(C)の符号65はパンチ穴である。
【0048】
(ステイプル処理の設定の詳細)
図7は図5の仕上げ設定画面においてステイプルキー52が押下されたときに表示される画面(ステイプル設定画面)の例である。図7(A)は初期画面であり、この状態では設定は行われていない。ステイプル設定画面70には、1箇所にステイプルを行う場合に用いられるシングルタブ71と、2箇所にステイプル処理を行う場合に用いられるダブルタブ72が表示される。図7の各図にはシングルタブ71が選択されている状態が示されている。
【0049】
シングルタブ71内には、用紙に対してステイプル処理を行う位置を指定するための左上ステイプルキー73、左下ステイプルキー74、右上ステイプルキー75及び右下ステイプルキー76が表示されている。また、シングルタブ71内にはプレビュー77が表示されており、選択されたステイプル位置に従って、プレビュー77にはステイプルの図形が表示される。なお、図7(A)では、ステイプル位置が選択されていないために4つのステイプルキーは全て淡色表示となっており、プレビュー77にはステイプル針の図形は表示されていない。
【0050】
画面70内にはOKキー78とキャンセルキー79とが設けられており、OKキー78が押下されると、選択されたステイプル位置でステイプル設定が確定し、図4の画面に戻る。一方、キャンセルキー79が押下されると、ステイプル設定は行われずに図4の画面に戻る。
【0051】
図7(A)の画面で左上ステイプルキー73が押下されると、図7(B)に示される画面に変化する。図7(B)では、ユーザが左上ステイプルキー73を選択したことを容易に認識することができるように、左上ステイプルキー73が濃色表示に変わっている。また、左上ステイプルキー73が選択されたことに対応して、ステイプル針の図形77aがプレビュー77内の左上に表示されている。
【0052】
図7(B)の画面で右下ステイプルキー76が押下されると、図7(C)に示される画面に変化する。図7(C)では、左上ステイプルキー73の選択が解除されて淡色表示になる一方で、選択された右下ステイプルキー76が濃色表示に変わっている。また、右下ステイプルキー76が選択されたことに対応して、プレビュー77では、図7(B)で左上に表示されていたステイプル針の図形が消えて、右下にステイプル針の図形77aが表示されている。
【0053】
なお、図7(B)の画面でOKキー78が押下されると左上シングルステイプル処理の設定が確定し、図7(C)の画面でOKキー78が押下されると右下シングルステイプル処理の設定が確定し、図4の画面に戻る。一方、図7(B),(C)の画面においてキャンセルキー79が押下されると、ステイプル設定は行われずに図4の画面に戻る。
【0054】
図8は図7(A)〜(C)の各画面でダブルタブ72が押下されたときに表示される画面の例を示す図である。図8(A)は初期画面であり、この状態では設定は行われていない。ダブルタブ72内には、用紙に対してステイプル処理を行う位置を指定するため左ステイプルキー83及び右ステイプルキー84と、選択されたステイプル位置を示すプレビュー85とが表示されている。なお、図8(A)では、ステイプル位置が選択されていないため、2つのステイプルキーは淡色表示となっており、プレビュー85にはステイプル針の図形は表示されていない。
【0055】
図8(A)の画面で左ステイプルキー83が押下されると、図8(B)の画面に変化する。図8(B)では、ユーザが左ステイプルキー83を選択したことを容易に認識することができるように、左ステイプルキー83が濃色表示に変化している。また、左ステイプルキー83が選択されたことに対応して、ステイプル針の図形がプレビュー85内の左側に表示されている。
【0056】
図8(B)の画面で右ステイプルキー84が押下されると、図8(C)の画面に変化する。図8(C)では左ステイプルキー83の選択が解除されて淡色表示になり、その一方で選択された右ステイプルキー84が濃色表示に変わっている。また、右ステイプルキー84が選択されたことに対応して、プレビュー85では、図8(B)で左側に表示されていたステイプル針の図形が消えて、右側にステイプル針の図形が表示されている。
【0057】
なお、図8(B)の画面でOKキー78が押下されると左側ダブルステイプル処理の設定が確定し、図8(C)の画面でOKキー78が押下されると右側ダブルステイプル処理の設定が確定して、図4の画面に戻る。一方、図8(B),(C)の画面においてキャンセルキー79が押下されると、ステイプル設定は行われずに図4の画面に戻る。
【0058】
(パンチ処理の設定の詳細)
図9は図5の仕上げ設定画面においてパンチキー53が押下されたときに表示される画面の例である。図9(A)は初期画面であり、この状態では設定は行われていない。パンチ設定画面90には、パンチ穴を形成したい位置を選択するための左パンチキー91及び右パンチキー92と、パンチ穴の位置を簡易的に表示するためのプレビュー93とが表示されている。なお、図9(A)では、パンチ位置が選択されていないため、2つのパンチキーは淡色表示となっており、プレビュー93にはパンチ穴の図形は表示されていない。また、OKキー98とキャンセルキー99は、ステイプル設定画面に表示されるOKキー78及びキャンセルキー79と同様の機能を有する。
【0059】
図9(A)の画面で左パンチキー91が押下されると、図9(B)に示される画面に変化する。ユーザが左パンチキー91を選択したことを容易に認識することができるように、図9(B)では左パンチキー91が濃色表示に変化している。また、左パンチキー83が選択されたことに対応して、パンチ穴の図形がプレビュー93内の左側に表示されている。
【0060】
図9(B)の画面で右パンチキー92が押下されると、図9(C)に示される画面に変化する。図9(C)では、左パンチキー91の選択が解除されて淡色表示になる一方で、選択された右パンチキー92が濃色表示に変わっている。また、右パンチキー92が選択されたことに対応して、プレビュー93では、図9(B)で左側に表示されていたパンチ穴の図形が消えて、右側にパンチ穴の図形が表示されている。
【0061】
なお、図9(B)の画面でOKキー98が押下されると左側パンチ処理の設定が確定し、図9(C)の画面でOKキー98が押下されると右側パンチ処理の設定が確定して、図4の画面に戻る。一方、図9(B),(C)の画面においてキャンセルキー99が押されると、パンチ設定は行われずに図4の画面に戻る。
【0062】
<フィニッシャにおけるステイプル処理>
[ステイプラユニットのステイプル動作]
図10はフィニッシャ500に設けられているステイプラユニット505の動作を模式的に示す図である。図10(A)はステイプラユニット505の側面図である。ステイプラユニット505では、ストッパ板507に突き当てられて端が揃えられた用紙束をステイプラ101でステイプル処理する。
【0063】
図10(B)及び図10(C)は、図10(A)に示した矢印Kで示される矢視でのステイプラ101の動きを模式的に示す図である。なお、このようにステイプラ101の動きを下側から見た図で説明する理由は次の通りである。すなわち、ステイプル処理の際には、用紙は画像形成された面が下に向いた状態でステイプラユニット505に入ってくるため、用紙に形成された画像とステイプル位置との関係の把握が容易となるからである。
【0064】
図10(B)に示すように、ステイプラ101は、用紙搬送方向と直交するように用紙面と平行に配置されたレールに沿って移動することができるようになっている。そして、ステイプラ101が用紙の角部において斜めにステイプル処理することができるように、レールの両端部がカーブしている。また、レールの直線部分の長さは用紙サイズに応じて調節することができるようになっており、レールのカーブ部が用紙の端部に揃うようになっている。
【0065】
図10(C)は、ステイプル位置を模式的に示している。図7を参照して説明したように、ステイプル位置の設定に従って、シングルステイプル処理であれば位置101a,101dのいずれかがステイプル針で綴じられ、ダブルステイプル処理であれば位置101b,101cの2箇所がステイプル針で綴じられる。
【0066】
[A4サイズの用紙に対するシングルステイプル処理]
A4サイズの用紙にシングルステイプル処理を行うジョブの具体的な処理形態について説明する。図11は、A4サイズの用紙の横送り(A)及びA4サイズの用紙の縦送り(B)のそれぞれについて、シングルステイプル処理が設定されたときの印刷画像とステイプル位置との関係を示す図である。
【0067】
先ず、図11(A)に示した、A4サイズの用紙Sを横送り(用紙長手(長辺)が先端となる搬送)する場合のシングルステイプル処理について説明する。横送りされるA4サイズの用紙Sに対してシングルステイプル処理を行うとき、ステイプルユニット505を図10に示す矢印K方向から見ると、用紙S及びステイプラ101は〔α〕又は〔β〕のいずれかの状態となる。用紙Sは印刷面(ここでは「A」の文字が印刷されているとする)が下向きの状態で搬送されてくるので、用紙Sを図10に示す矢印K方向(画像面側)から見ると、用紙Sは、文字Aが正姿勢の〔a〕,〔c〕と逆姿勢の〔b〕,〔d〕のいずれかの状態となる。
【0068】
ステイプラ101が〔α〕のときに用紙Sが〔a〕の状態で搬送されてくると、〔e〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して右上がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。ステイプラ101が〔α〕のときに用紙Sが〔b〕の状態で搬送されてくると、〔f〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して左下がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0069】
同様に、ステイプラ101が〔β〕のときに用紙Sが〔c〕の状態で搬送されてくると、〔g〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して右下がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。ステイプラ101が〔β〕のときに用紙Sが〔d〕の状態で搬送されてくると、〔h〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して左下がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0070】
なお、上記説明では、便宜上、ステイプラ101の位置を先に説明したが、実際の動作では、ステイプル位置の設定を確認し(例:左下)、画像回転を決定し(例:〔b〕)、ステイプラ101の位置を決定する(例:〔α〕)というフローになる。
【0071】
次に、図11(B)に示した、A4サイズの用紙Sを縦送り(用紙短手(短辺)が先端となる搬送)する場合のシングルステイプル処理について説明する。縦送りされたA4サイズの用紙Sに対してシングルステイプル処理を行うとき、ステイプルユニット505を矢印K方向から見ると、用紙S及びステイプラ101は〔γ〕又は〔δ〕のいずれかの状態となる。〔γ〕及び〔δ〕の状態では、〔α〕及び〔β〕の状態よりも、用紙の短辺に合わせてステイプルユニット505のレールが機械的に短くなっている。
【0072】
図11(A)と同様に用紙Sは印刷面が下向きの状態で搬送されてくるので、用紙Sを矢印K方向下から見ると、用紙Sは文字Aが正姿勢から反時計回りに90度回転した〔i〕,〔k〕と時計回りに90度回転した〔j〕,〔l〕のいずれかの状態となる。
【0073】
したがって、ステイプラ101が〔γ〕のときに用紙Sが〔i〕の状態で搬送されてくると、〔m〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して右下がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。ステイプラ101が〔γ〕のときに用紙Sが〔j〕の状態で搬送されてくると、〔n〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して左上がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0074】
同様に、ステイプラ101が〔δ〕のときに用紙Sが〔k〕の状態で搬送されてくると、〔o〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して左下がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。ステイプラ101が〔δ〕のときに用紙Sが〔l〕の状態で搬送されてくると、〔p〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して右上がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0075】
図11(A),(B)を参照した上記説明の通り、印刷される画像の回転とステイプル位置とを調整することによって、正姿勢の画像に対して右上、右下、左下、左上への任意のステイプル処理が可能になる。つまり、図11に示されるように、〔e〕=〔p〕、〔f〕=〔o〕、〔g〕=〔m〕、〔h〕=〔n〕というように、A4サイズの用紙Sを横送りした場合と縦送りした場合のいずれの場合でも、同じ出力物を得ることができることがわかる。
【0076】
[A4サイズの用紙に対するダブルステイプル処理]
図12は、A4サイズの用紙の横送り(A)及びA4サイズの用紙の縦送り(B)のそれぞれについて、ダブルステイプル処理が設定されたときの印刷画像とステイプル位置との関係を示す図である。
【0077】
先ず、図12(A)に示した、A4サイズの用紙Sを横送りする場合のダブルステイプル処理について説明する。横送りされたA4サイズの用紙Sに対してダブルステイプルを行う場合に、図10と同様にステイプルユニット505を下から見ると、用紙S及びステイプラ101は〔ε〕の状態となる。よって、ステイプラ101は用紙Sの長辺に沿った2箇所をステイプル針で綴じる。ここで、用紙Sは印刷面が下向きの状態で搬送されてくるため、用紙Sを図10に示す矢印K方向から見ると、用紙Sは文字Aが正姿勢の〔q〕と逆姿勢の〔r〕のいずれかの状態となる。
【0078】
よって、ステイプラ101が〔ε〕のときに用紙Sが〔q〕の状態で搬送されてくると、〔s〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して右側がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。ステイプラ101が〔ε〕のときに用紙Sが〔r〕の状態で搬送されてくると、〔t〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して左側がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0079】
なお、上記説明では、便宜上、ステイプラ101の位置を先に説明したが、実際の動作では、ステイプル位置の設定を確認し(例:左側)、画像回転を決定し(例:〔r〕)、ステイプラ101の位置を決定する(例:〔ε〕)というフローになる。
【0080】
次に、図12(B)に示した、A4サイズの用紙Sを縦送りする場合のダブルステイプル処理について説明する。縦送りされたA4サイズの用紙Sに対してダブルステイプル処理を行うとき、ステイプルユニット505を矢印K方向から見ると、用紙S及びステイプラ101は〔ζ〕の状態となる。〔ζ〕の状態では〔ε〕の状態よりも用紙Sの短辺に合わせてステイプルユニット505のレールが機械的に短くなっている。
【0081】
図12(A)と同様に用紙Sは印刷面が下向きの状態で搬送されてくるため、用紙Sを矢印K方向から見ると、用紙Sは文字Aが正姿勢から反時計回りに90度回転した〔u〕と時計回りに90度回転した〔v〕のいずれかの状態となる。
【0082】
したがって、ステイプラ101が〔ζ〕のときに用紙Sが〔u〕の状態で搬送されてくると、〔w〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して下側がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。また、ステイプラ101が〔ζ〕のときに用紙Sが〔v〕の状態で搬送されてくると、〔x〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して上側がステイプル針で綴じられた出力物が得られる。
【0083】
図11を参照して説明したように、シングルステイプル処理ではA4サイズの用紙Sを横送りする場合と縦送りする場合とで同じ出力物の作成が可能である。しかし、図12を参照して説明した通り、ダブルステイプル処理ではA4サイズの用紙Sを横送りする場合と縦送りする場合とでは同じ出力物を得ることができないことがわかる。
【0084】
<パンチ装置におけるパンチ処理>
[A4サイズの用紙に対するパンチ処理]
図13はパンチ装置600の動作を模式的に示す図である。図13(A)はA4サイズの用紙Sがパンチ装置600を通過し始めた状態を示す側面図である。図13(A)の状態を経て用紙Sの後端がセンサ605による用紙検知位置に到達した状態が図13(B)示されている。センサ605による用紙Sの後端検知から一定時間が経過した時点で、図13(C)に示されるように、パンチモジュール603,604が備える穴開け部材1301が用紙Sを貫通するように動作することで、用紙Sに対してパンチ穴が開けられる。
【0085】
図13(D)には、縦送りされた用紙Sと穴開け部材1301によるパンチ動作時のパンチモジュール603,604との位置関係をパンチモジュール604側から見た状態が示されている。パンチモジュール603,604は2つの穴開け部材1301を備えており、これらの穴開け部材1301は、2つのパンチ穴の中心を結ぶ線が用紙Sの後端辺と平行になるように、用紙Sの後端付近の2箇所にパンチ穴を開ける。
【0086】
[A4サイズの用紙に対するパンチ処理]
図14は、A4サイズの用紙の横送り(A)及びA4サイズの用紙の縦送り(B)のそれぞれについて、パンチ処理が設定されたときの印刷画像とパンチ穴位置との関係を示す図である。
【0087】
先ず、図14(A)に示した、A4サイズの用紙Sを横送りする場合のパンチ処理について説明する。横送りされたA4サイズの用紙Sに対してパンチ処理を行う場合に、パンチモジュール604を図10に示す矢印K方向から見たとき、用紙S及びパンチモジュール604は〔η〕の状態となる。よって、パンチモジュール603,604は、用紙Sの後端の長辺に沿った2箇所にパンチ穴を形成する。
【0088】
ここで、用紙Sは印刷面が下向きの状態で搬送されてくるので、用紙Sを矢印K方向から見ると、用紙Sは文字Aが正姿勢の〔i〕と逆姿勢の〔ii〕のいずれかの状態となる。よって、用紙Sが〔i〕の状態で搬送されてくると、〔iii〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して右側にパンチ穴1401が形成された出力物が得られる。また、用紙Sが〔ii〕の状態で搬送されてくると、〔iv〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して左側にパンチ穴1401が形成された出力物が得られる。
【0089】
なお、上記説明では、便宜上、パンチモジュール604の位置を先に説明したが、実際の動作では、パンチ穴位置の設定を確認し(例:左側)、画像回転を決定する(例:〔ii〕)というフローになる。
【0090】
次に、図14(B)に示した、A4サイズの用紙Sを縦送りする場合のパンチ処理について説明する。縦送りされたA4サイズの用紙Sに対してパンチ処理を行う場合に、パンチモジュール604を矢印K方向から見ると、用紙S及びパンチモジュール604は〔θ〕の状態となる。よって、パンチモジュール603,604は、用紙Sの後端の短辺に沿った2箇所にパンチ穴を形成する。
【0091】
図14(A)と同様に用紙Sは印刷面が下向きの状態で搬送されてくるので、用紙Sを矢印K方向から見ると、用紙Sは、文字Aが正姿勢から反時計回りに90度回転した〔v〕と時計回りに90度回転した〔vi〕のいずれかの状態となる。したがって、用紙Sが〔v〕の状態で搬送されてくると、〔vii〕に示されるように、正姿勢の文字Aに対して下側にパンチ穴1401が形成された出力物が得られることになる。また、用紙Sが〔vi〕の状態で搬送されてくると、〔viii〕に示されるように、結果的に正姿勢の文字Aに対して上側にパンチ穴1401が形成された出力物が得られる。
【0092】
よって、パンチ処理では、ダブルステイプル処理の場合と同様に、図11で説明したように、A4サイズの用紙を横送りする場合と縦送りする場合とで同じ出力物を得ることができないことがわかる。
【0093】
<用紙選択>
[用紙の自動選択]
図15は、操作表示装置300に表示される用紙選択画面の例であり、図4の用紙選択キー46が押下されたときに表示される画面である。図15(A)は基本画面である。用紙選択画面1500には、自動用紙選択キー1501、カセット1キー1502、カセット2キー1503及びカセット3キー1504が表示されている。カセット1キー1502、カセット2キー1503及びカセット3キー1504はそれぞれ、カセット110、カセット111及びカセット112に対応する。
【0094】
自動キー1501が選択されている場合、原稿サイズに合わせて用紙が自動的に選ばれる。用紙の自動選択はデフォルトでオンとなっており、図15(A)に示されているように、自動キー1501が他のキーに対して濃色表示されることで、ユーザは自動選択が有効になっていることを容易に認識することができるようになっている。なお、図15(A)は原稿がセットされていないときの図であるため、カセットは選択されておらず、そのため、カセット1キー1502、カセット2キー1503及びカセット3キー1504は淡色表示となっている。
【0095】
カセット1キー1502、カセット2キー1503及びカセット3キー1504のそれぞれには、収容されている用紙のサイズと量が表示されている。本実施形態では、用紙の自動選択が有効になっている場合に原稿サイズがA4サイズであると、A4横送りがA4R縦送りよりも優先的に選択されるようになっている。また、本実施形態では、カセット1キー1502に対応するカセット112よりもカセット2キー1503に対応するカセット111が、カセット111よりもカセット3キー1504に対応するカセット110が優先的に選択される。
【0096】
そのため、原稿がA4サイズであると判明すると、カセット1キー1502に対応するカセット110にA4横送りが入っているためにカセット110(第1の収容部)が選択される。これに伴って、図15(A)の表示は、カセット1キー1502が濃色表示された図15(B)の表示に変わる。カセット110のA4横送りの全ての用紙がなくなると、カセット3キー1504に対応するA4R縦送りの用紙が収容されたカセット112(第2の収容部)が選択される。これに伴って、図15(B)の表示は、カセット3キー1504が濃色表示された図15(C)の表示に変わる。この場合、原稿画像は画像信号制御部281においてA4R縦送りの用紙に画像形成されるように90度回転処理される。
【0097】
[用紙の手動選択]
図16は図15の画面においてカセット3キー1504が押下された場合に表示される画面の例である。カセット3キー1504がユーザの意思によって手動で選択されたことを示すために、自動キー1501が淡色表示となって選択が解除され、且つ、カセット3キー1504が濃色表示されている。このように、手動でカセットが選択された場合には、原稿サイズに関係なく、手動選択されたカセットから給紙が行われる。
【0098】
<プリンタの定着器における端部昇温について>
画像形成システムの生産性に影響を与える定着部105での端部昇温現象について説明する。図17は、A4サイズ用紙の横送り(A)及びA4サイズ用紙の縦送り(B)のそれぞれについて、用紙Sと定着部105との位置関係を示す図である。
【0099】
横送りされている用紙Sが定着部105を通過する状態を示している図17(A)から明らかなように、この場合、定着部105では通紙されない部分が殆どないことがわかる。これに対して、縦送りされている用紙Sが定着部105を通過する状態を示している図17(B)では、定着部105の両端において、用紙が通過しない非通紙部105dが生じていることがわかる。
【0100】
定着部105では、用紙が通過するときに用紙がその部分の熱を奪って行くために、奪われた熱量を補充するためにヒータを加熱させるが、用紙が通過しない非通紙部105dでは紙が熱を奪っていかないにもかかわらず加熱されるため、温度が上昇していく。そこで、非通紙部105dの過熱を抑えるために、(a)通常の生産性を低めに設定し、非通紙部105dの急激な温度上昇を防ぐ、又は、(b)非通紙部105dの温度が予め定められた基準値よりも高くなった時点で生産性を下げる等の制御を行っている。そのため、用紙を横送りする場合と縦送りする場合とでは生産性が大きく異なり、1つのジョブで印刷する用紙の枚数が多くなるほど、用紙を縦送りすると処理時間が長くなってしまう。
【0101】
<画像形成システムの生産性>
図18は画像形成システムの生産性を示す表である。A4横送りの「32ppm」は、A4サイズの用紙を横送りして片面印刷を実行する場合に、1分間に32枚の印刷が可能であることを示している。
【0102】
A4サイズの用紙を縦送りして片面印刷を実行するA4R縦送りの場合には、定着部105の端部昇温を防止するために16ppmとなっている。また、A4R縦送りの場合には、ダウンシーケンスとして、30枚以上の連続印刷が行われるとそれ以降は8ppmに下がり、更に30枚以上(合計60枚以上)の連続印刷が行われるとそれ以降は4ppmに下がる設定となっている。
【0103】
ダウンシーケンスは、定着部105の端部の温度を測定した結果に基づいて設定してもよいが、本実施形態では、端部昇温を予測し、予め定められた枚数だけ連続して印刷されると生産性を落とすことで、定着部105の端部昇温を防止している。この表から分かるように、本実施形態に係る画像形成システムでは、A4横送りとA4R縦送りとでは、生産性はA4横送りの方が著しく高くなっている。
【0104】
<用紙選択のお勧め表示>
図18を参照して説明したように、A4横送りとA4R縦送りとでは生産性に大きな差があり、生産性はA4横送りの方が高い。そのため、ステイプル処理やパンチ処理等の後処理を行わない場合に、A4サイズの用紙を横送りする場合と縦送りする場合とで同じ出力物が得られるシングルステイプル処理を行うときには、A4R縦送りよりもA4横送りを用いた方が処理時間は短くなる。
【0105】
しかし、A4横送りとA4R縦送りの生産性の違いをユーザが理解していない場合があり、A4横送りを用いた方が快適であるにも関わらずA4R縦送りでジョブを実行してしまうことがある。そこで、本実施形態では、低生産性のジョブ設定がなされている場合に、高生産性のジョブ設定に変更するアナウンスを行う。
【0106】
図19は、ジョブでA4R縦送りが設定され、且つ、一定の条件が揃った場合に表示される画面の例である。「一定の条件」を含めて詳細は図20を参照して後述するが、A4R縦送りが設定されているがA4横送りでも同じ出力結果が得られる場合には、図19(A)の画面が表示され、ユーザにA4横送りへの変更を促す。
【0107】
図19(A)に示されるNOキー191が押下された場合、他のカセットにA4横送りがあればA4横送りにジョブが変更され、他のカセットにA4横送りがなければ図19(B)の表示となる。OKキー192押下されると、A4R縦送りの設定でジョブが実行される。なお、原稿がA4横置きである場合、A4横送りにジョブが変更されると、画像信号制御部281により画像の90度回転処理が行われる。
【0108】
図19(B)は、図19(A)においてNOキー191が押下されたが、他のカセットにA4横送りが収容されていなかった場合に表示されるA4横送り補給要求画面である。この画面ではカセットにA4横送りをセットすることを促し、A4横送りがセットされると、A4横送りでジョブがスタートする。一方、キャンセルキー196が押されると、当初のA4R縦送りのジョブがスタートする。
【0109】
<ジョブの変更、設定に関する処理フロー>
図20はジョブに用いる給紙方法の変更に関する処理のフローチャートである。ここでの給紙方法とは、A4横送りを用いるかA4R縦送りを用いるかを指す。先ず、CPU151はジョブが投入されたか否かを判断する(ステップS2001)。コピー等のジョブは、例えば、操作表示装置300に表示されるスタートキー33等の押下によって投入される。
【0110】
ステップS2001の処理はジョブが投入されるまで繰り返される(S2001:NO)。ジョブが投入されると(S2001:YES)、CPU151はジョブがA4R縦送りの設定となっているかを判断する(ステップS2002)。A4R縦送りの設定ではない場合(S2002:NO)、CPU151は、処理をステップS2001に戻して、次のジョブの投入を待つ。A4R縦送りの設定である場合(S2002:NO)、CPU151は処理をステップS2003に進める。
【0111】
ステップS2003において、CPU151はパンチ処理が設定されているかを判定する。パンチ処理が設定されている場合には(S2003:YES)、CPU151は処理をステップS2001に戻して次のジョブの投入を待つ。これは、図14に示した通り、A4横送りとA4R縦送りとで同じ出力物を作成することができないため、A4R縦送りをA4横送りに変更することができないからである。
【0112】
パンチが設定されていない場合(S2003:NO)、CPU151はダブルステイプル処理が設定されているかを判断する(ステップS2004)。ダブルステイプル処理が設定されている場合(S2003:YES)、CPU151は処理をステップS2001に戻して次のジョブの投入を待つ。これは、図12に示した通り、A4横送りとA4R縦送りとで同じ出力物を作製することができないため、A4R縦送りをA4横送りに変更することができないからである。
【0113】
ダブルステイプル処理が設定されていない場合(S2004:NO)、CPU151は、処理をステップS2005に進めて、ジョブが50イメージ以上であるかを判定する。ここで「ジョブが50イメージである」とは、片面印刷のジョブであれば50枚に印刷を行い、両面印刷のジョブであれば25枚に印刷を行うことを指す。
【0114】
50イメージ以上のジョブではない場合(S2005:NO)、CPU151は処理をステップS2001に戻して次のジョブの投入を待つ。これは、少ないジョブの場合には、最終的な出力物が出てくるまでの時間(処理時間、待ち時間)は、ユーザが気にするほどのものではないと考えられるからである。50イメージ以上のジョブである場合(S2005:YES)、CPU151は図19(A)の画面を操作表示装置300に表示する(ステップS2006)。その後、CPU151は図19(A)の画面に表示されたキーが押下されたかを判定する(ステップS2007)。
【0115】
ステップS2007の処理はキーが押されるまで繰り返される(S2007:NO)。キーが押下されると(S2007:YES)、CPU151は押下されたキーの種類を判別する(ステップS2008)。図19(A)のOKキー192が押下された場合、CPU151は処理をステップS2001に戻して次のジョブの投入を待つ。図19(A)のNOキー191が押下された場合、CPU151は、処理をステップS2009に進めて、どのカセットにA4横送りが存在するかを調べる。
【0116】
A4横送りのカセットが存在する場合(S2009:YES)、CPU151は、処理をステップS2013に進め、ジョブの設定をA4R縦送りからA4横送りに変更してジョブを実行し、その後、処理をステップS2001に戻す。A4横送りのカセットが存在しない場合(S2009:NO)、CPU151は、処理をステップS2010に進めて、図19(B)の補給要求画面を表示する。
【0117】
ステップS2010の後、CPU151は、処理をステップS2011に進め、どのカセットにA4横送りが補給されたかを調べる。A4横送りで用紙が補給された場合(S2011:YES)、CPU151は、ジョブの設定をA4横送りに変更し(ステップS2013)、ジョブを実行した後に処理をステップS2001に戻す。A4横送りで用紙が補給されていない場合(S2011:NO)、CPU151は、処理をステップS2012に進めて、図19(B)のキャンセルキー196が押下されたかを判定する。
【0118】
キャンセルキー196が押下された場合(S2012:YES)、CPU151は、ジョブの設定を変えずにジョブを実行し、その後に処理をステップS2001に戻して次のジョブ投入を待つ。キャンセルキー196が押下されていない場合(S2012:NO)、CPU151は処理をステップS2011に戻す。なお、図20では、重要な処理(A4R縦送りからA4横送りへの変更を行うことが好ましいか否かの判断)を破線枠2100で囲んでいる。
【0119】
上記の実施形態では、用紙の長辺を先頭にしても短辺を先頭にしても搬送可能な用紙のうち、短辺を先端にした例としてA4R縦送りを取り上げたが、他のサイズの用紙であっても、上述の考え方に基づいてジョブの設定の変更が可能である。長辺を先頭にしても短辺を先頭にしても搬送可能な用紙のうち、出力結果が異なる例としてパンチ処理及びダブルステイプル処理を取り上げたが、出力結果が異なる設定であれば他の処理であっても構わない。
【0120】
更に、上記実施形態では、A4R縦送りからA4横送りへの変更の基準として50イメージとした。つまり、予め定められたイメージ数以上の場合に、A4R縦送りからA4横送りへの変更を促すとしたが、ユーザの使い勝手を考慮して他の条件を設定してもよく、イメージ数を考慮せず常にA4R縦送りからA4横送りへ変更する構成としてもよい。
【0121】
<効果>
後処理を行わない場合を含め、ユーザがA4横送りで実行可能なジョブをA4R縦送りで行う場面がある。これは、図18で説明したように、ユーザがA4横送りとA4R縦送りの生産性の違いを知らないことや、ユーザがこのような生産性の違いを知らずにカセットの全てをA4R縦送りにセットしていることに起因する。つまり、A4横送りとA4R縦送りの生産性の違いを知らないユーザは、多くの場合、A4横送りで同じ結果が得られる場合においてもA4R縦送りでジョブを行っているものと考えられる。
【0122】
また、ユーザが図18で述べたように、A4横送りとA4R縦送りの生産性の違い知っていたとしても、例えば、カセット1をA4横送りで利用しており、カセット3をA4R縦送りで時々利用するユーザもいることがわかっている。この場合、図15(C)を参照して説明したように、カセット1が用紙なしの状態である場合には、カセット3のA4R縦送りが選択されることになり、このような状況下でA4R縦送りが利用されているという事態が考えられる。
【0123】
更に、通常設定が図4(A)の通りとなっており、ユーザが図4(B)の設定に変更した場合に、例えば、(a)その画面のまま3分が経過する、(b)ジョブが終了してから1分が経過する、のどちらかの条件が満たされると、通常設定に戻るようになっている。逆に言えば、図4(B)の設定に変更したままユーザが画像形成システムから離れてしまった場合、設定の変更から3分以内にジョブを入れると、前の設定のままのジョブが投入されてしまう。また、ジョブの終了後から1分以内に何も設定を変えないで、再度、スタートキー33が押下されてジョブが投入されると、前のジョブと同じ設定で後のジョブが実行されることになる。よって、前の設定がA4R縦送りであると、次のジョブもA4R縦送りで実行されることになる。
【0124】
このような状況に対して図20のフローが採用される。すなわち、A4R縦送りとA4横送りとで同じ出力物が得られ、且つ、ユーザが快適にジョブを投入することができる場合において、A4R縦送りのジョブが設定されているときに、ユーザにスムーズにA4横送りのジョブに変更することを促す。これに従って、ユーザが生産性の高いA4横送りでのジョブを選択することで、画像形成システムのパフォーマンスが十分に発揮され、ジョブが完了するまでの待ち時間も短縮される。
【0125】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、原稿の画像を複写する複写モードを例にして説明したが、情報処理装置(コンピュータ)からの画像をプリントするプリントモードでも適用可能である。この場合、画像形成装置が判断した結果をコンピュータへ通知し、コンピュータにインストールされているプリンタドライバのプログラムを介して上述したような設定変更の表示を行うようにすればよい。
【0126】
また、設定の変更の判断を画像形成装置で行うのではなく、プリンタドライバを介して印刷ジョブの設定を行う際に、プリンタドライバが判断するようにしてもよい。そして、その判断結果に基づいてプリンタドライバが、コンピュータの画面上に上述したような設定の変更を促す表示を行う。その後のユーザの操作に応じて、プリンタドライバは、印刷ジョブを画像形成装置へ送信する。
【0127】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0128】
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0129】
100 プリンタ
300 操作表示装置
500 フィニッシャ
600 パンチ装置
110 カセット(第1の収容部)
112 カセット(第2の収容部)
150 CPU回路部
151 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサイズの用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、前記所定のサイズの用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、
前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段と、を備える画像形成装置であって、
印刷ジョブを実行するに際して、手動により、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から給紙を行うかを設定する設定手段と、
前記印刷ジョブを実行した場合に、前記用紙が前記横送りで搬送された場合と前記用紙が前記縦送りで搬送された場合とで同じ出力物が得られるか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が前記同じ出力物が得られると判断した場合において前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送が行われるように手動で設定されているときに、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行う設定への変更を促す通知を行う通知手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通知手段は、前記印刷ジョブで印刷するイメージ数が予め定められたイメージ数以上の場合に、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行う設定への変更を促す通知を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段によって画像が形成された用紙に対して所定の後処理を施す後処理手段を更に有し、
前記印刷ジョブが前記後処理手段にて後処理を施すことを含んでいる場合、前記判断手段は、前記用紙が前記横送りで搬送された場合と前記用紙が前記縦送りで搬送された場合とで同じ出力物が得られるか否かを、前記後処理が施された場合の結果を含めて判断することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記後処理は、前記用紙にパンチ穴を形成するパンチ処理又は前記用紙を所定の位置で綴じるステイプル処理のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置の制御方法であって、
印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記画像形成装置に判断させる判断ステップと、
前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記画像形成装置に行わせる通知ステップと、
前記通知ステップにおいて前記第1の収容部から給紙を行うように設定に変更された場合には前記第1の収容部から給紙を行って前記ジョブを実行し、前記ユーザが前記第2の収容部から給紙を行う設定を保持した場合には前記第2の収容部から給紙を行って前記ジョブを実行するよう前記画像形成装置を制御する制御ステップと、を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法であって、
印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記情報処理装置に判断させる判断ステップと、
前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記ユーザに前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記情報処理装置に行わせる通知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
所定のサイズの用紙を、該用紙が長辺を先端にした横送りにより搬送されるように収容する第1の収容部と、該用紙が短辺を先端にした縦送りにより搬送されるように収容する第2の収容部とを有する収容手段と、前記収容手段に収容されている用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される用紙に画像を形成する画像形成手段とを備える画像形成装置に印刷ジョブを送信する情報処理装置の制御方法を該情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、
前記情報処理装置の制御方法は、
印刷ジョブを実行するに際して前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から用紙の搬送を行うか又は前記用紙が前記縦送りで搬送されるように前記第2の収容部から用紙の搬送を行うかが手動で設定されているときに、前記用紙を前記横送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合と前記用紙を前記縦送りで搬送させて前記印刷ジョブを実行する場合とで同じ出力物が得られるか否かを前記情報処理装置に判断させる判断ステップと、
前記判断ステップで前記同じ出力物が得られると判断された場合に、前記ユーザに前記用紙が前記横送りで搬送されるように前記第1の収容部から給紙を行うように設定の変更を促す通知を前記情報処理装置に行わせる通知ステップと、を有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−86389(P2013−86389A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229679(P2011−229679)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】