説明

画像形成装置、及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法

【課題】加圧パージ後のインクジェットヘッドの内圧を容易に所定の微正圧に設定すること。
【解決手段】K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6にパージ圧力Paを加えて当該各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からインク液6kを吐出しするパージ期間tpの経過後に、加圧弁20−1を閉じてエアータンク19とインクタンク12−1との連通を遮断した状態で大気開放弁17−1を複数回開閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドからインク液を吐出して画像形成媒体に画像形成する画像形成装置に係わり、特にインクジェットヘッドのメンテナンス方法及びこの方法を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置に用いられるインクジェットヘッド1は、図13に示すように複数のノズル2を形成したノズルプレート3と、複数のノズル2毎に設けられた各圧電素子(PZT)4とを有し、これら圧電素子4により各ノズル2毎に各インク室5が形成されている。このようなインクジェットヘッド1は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロ(Y)の各色毎に設けられている。これらインクジェットヘッド1の各インク室5は、それぞれ各色のインク液6が充填されている。画像形成時に各圧電素子4が変位動作すると、各ヘッド内圧、即ち各インク室5内の圧力が高くなり、各ノズル2からそれぞれインク液6が吐出される。
【0003】
このようなインクジェットヘッド1は、各ヘッド内圧、即ち各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に各メニスカス7を形成している。ところが、インク室5内に塵や埃、エアー、変質したインク液等が混入していたり、ノズル2やノズル2の近傍に塵や埃等の付着物が付着していると、メニスカス7が壊れ、これによってノズル2から吐出されるインク液6の量が適正量にならなかったり、インク液6の吐出方向が変化してしまう。このため、高画質の画像形成ができなくなる。
【0004】
このような事からインクジェットヘッド1のメンテナンスが行なわれる。このメンテナンスの技術としては、例えば特許文献1がある。この特許文献1には、インクジェットヘッドにおける所定のノズルを吸引キャップ等の密閉手段により密閉し、この密閉された密閉手段の内部を負圧状態にして、この密閉手段をインクジェットヘッドに対して掃引移動させてノズル内の残留インク液を吸引してノズル内の気泡や異物などを排出することが記載されている。
【0005】
インクジェットヘッド1のメンテナンスでは、ノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などを排出し、かつ壊れたメニスカス7を回復すると共に、新たに壊れたメニスカス7を発生しないことである。しかしながら、特許文献1のようにただ単にインクジェットヘッドに対して負圧状態にした密閉手段を掃引移動させるだけでは、インクジェットヘッド1のノズル2にメニスカス7を確実に回復することは困難性である。
【0006】
このような問題を解決するために従来では、単色、例えばK色のインクジェットヘッドに対して図14に示すような構成でメンテナンスを行っている。例えばK色の6つのインクジェットヘッド1k−1〜1k−6(図では1k−3〜1k−5を省略)は、同一インク供給ライン上に配置されている。これらインクジェットヘッド1k−1〜1k−6には、分配器10が接続されている。この分配器10には、チューブ11を介してインクタンク(サブタンク)12が接続されている。このインクタンク12内には、K色のインク液6kが充填されている。なお、インクタンク12内のインク液6kの液面高さ位置とインクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0007】
このインクタンク12には、インク供給チューブ13を介してインク液6kを収容するインクボトル14が接続されている。インク供給チューブ13には、インク供給弁15が設けられ、このインク供給弁15を開放することによりインクボトル14内に収容されているインク液6kがインクタンク12に供給される。又、インクタンク12には、大気開放チューブ16が接続され、この大気開放チューブ16に大気開放弁17が設けられている。又、インクタンク12には、連通チューブ18を介してエアータンク19が接続され、かつ連通チューブ18に加圧弁20が設けられている。エアータンク19には、加圧チューブ21を介して加圧ポンプ22が接続されている。
【0008】
又、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対応して各クリーニング部材(吸引ヘッド)23k−1〜23k−6(図では23k−3〜23k−5を省略)が設けられている。これらクリーニング部材23k−1〜23k−6は、それぞれ吸引チューブ24を介して吸引ポンプ25に接続されている。これらクリーニング部材23k−1〜23k−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対してそれぞれ摺動する。
【0009】
このような構成において、先ず、大気開放弁17を閉じると共に、加圧弁20を閉じ、次に加圧ポンプ22を駆動する。この加圧ポンプ22からのエアーは、加圧チューブ21を通してエアータンク19に供給される。このとき、加圧弁20が閉じられているので、エアータンク19内の圧力は上昇する。このエアータンク19内の圧力が所定の圧力(パージに必要な圧力)に達したと検知されると、加圧弁20が開放される。これにより、エアータンク19内の高い圧力がそれぞれ加圧弁20を通してインクタンク12に加えられ、このインクタンク12内の圧力が上昇する。
【0010】
これら圧力の上昇によりインクタンク12内に充填されているインク液6kは、チューブ11を通して分配器10に供給され、さらに各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からインク液6kが吐出される。このインク液6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。このようにインク液6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などを排出することをパージと称する。
【0011】
次に、大気開放弁17を開放することで、インクタンク12内に高まった圧力を外部へ逃がし、インクタンク12内を減圧させる。大気開放弁17の開放、即ち減圧は各インクジェットヘッド1k−1〜1k6の各インク室5内の圧力が所定の微正圧、例えば0.01〜3KPaになるまで行われ、微正圧に達したならば、大気開放弁17は閉塞される。なお、この微正圧とは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2から、インク液6kが垂れ落ちない程度の状態の圧力値である。
【0012】
この微正圧が印加された状態で、各クリーニング部材23−1〜23−6がそれぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズルプレート3に対して摺動し、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズルプレート3に排出、付着されたインク液6kを掻き取りながら吸引すると共に、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。このように各クリーニング部材23k−1〜23k−6を移動して各ノズルプレート3の付着物を吸引除去することをサッキングと称する。
【0013】
次に、大気開放弁17が再び開放され、この状態で放置されることにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられて、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−347260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら図15中のAに示すように、インクジェットヘッド1k−1〜1k6の各インク室5内を減圧させるために大気開放弁17を開放し、インク室5内が所定の微正圧に達したときに大気開放弁17を閉塞しても、時間が経つにつれて所定の微正圧値から上昇してしまうという問題がある。
【0016】
これは、大気開放チューブ16及び大気開放弁17がインクタンク12に直接設けられていることに起因している。即ち、インクタンク12側の内圧は大気開放弁17の開閉に比較的敏感に反応し、急激に減圧される。これに対してエアタンク19側は、大気開放チューブ16及び大気開放弁17の位置から加圧チューブ18を介して遠くに設けられているため、エアタンク19側の内圧は大気開放弁17の開閉に対してあまり敏感に反応せず、減圧の度合いとしてはエアタンク12に比較して緩やかである。この結果、大気開放弁17が閉塞された瞬間というのは、インクタンク12側の内圧が低く、エアタンク19側の内圧が高い状態となり、大気開放弁17が閉塞された後でも、内圧が高いエアタンク19側から内圧の低いインクタンク側へとエアーが供給され、徐々にインクタンク12側の内圧が高くなり、それがインク室5内の内圧を所定の微正圧の値から高める結果を招いている(このような、ある高い内圧から所定の低い内圧へ変移させる際に、一時的に所定の内圧よりも低い内圧にまで下がってから、その後所定の低い内圧に戻ろうとする現象を、以下、アンダーシュートと呼ぶ)。
【0017】
このような問題を解決するために、大気開放弁17の閉塞後に上昇するであろうと予測される圧力を予め見越して、大気開放弁17を閉塞するタイミングを遅らせることも考えられる(図15中のB参照)。しかしながら、この場合、大気開放弁17を閉塞する時点では急激なインク室5内圧の減圧に伴って、負圧に達するおそれがある。つまりインク室内圧としては正圧から負圧へと変移するので、インク室から一旦吐き出されたエアーや異物などを再びノズル内に巻き込んでしまうおそれがある。
【0018】
本発明は、このような問題に鑑み、インク室の内圧を容易に所定の微正圧に設定することができる画像形成装置、及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の画像形成装置は、インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、前記インクタンク内を加圧する加圧タンクと、前記インクタンクと前記加圧タンクとの間を接続する第1の弁を有する連通部材と、前記インクタンクに設けられ、該インクタンクを大気開放する第2の弁と、前記インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも前記第1の弁及び前記第2の弁の開閉動作を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記第2の弁を閉塞し、前記第1の弁を開放することで前記加圧タンクから前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるインク吐出制御部と、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させた後、前記第1の弁を閉塞し、さらに該第1の弁を閉塞した状態で前記第2の弁を複数回間欠的に開閉することで前記ヘッド内圧を前記インクジェットヘッドのノズルから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様のインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクタンクと接続されるエアータンクと、前記エアータンク内を加圧する加圧 ポンプと、を有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、前記加圧ポンプを駆動し、前記エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、前記エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させ、前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるパージ工程と、前記パージ工程後、前記エアータンクと前記インクタンクとの連通を遮断する遮断工程と、前記遮断工程後、前記インクタンクを複数回間欠的に大気開放し、前記ヘッド内圧が前記インクジェットヘッドから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧になるように前記インクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、インク室の内圧を容易に所定の微正圧に設定することができる画像形成装置、及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】同装置におけるメンテナンスユニットの構成図。
【図3】同装置におけるクリーニング部材の構成図。
【図4】同装置における単色(K色)のインク供給系の構成図。
【図5】同装置におけるメンテナンス開始時のベルトプラテン及び各インクパンの移動位置を示す図。
【図6】同装置における単色のメンテナンスタイミング図。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態における4色のインク供給系の構成図。
【図8】同装置における全色のメンテナンスタイミング図。
【図9】本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態における単色(例えばK)多数のインクジェットヘッドを有するインク供給系の構成図。
【図10】同装置における単色多数のメンテナンスタイミング図。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第4の実施の形態における大版サイズの画像記録媒体への画像記録に適用したインク供給系の構成図。
【図12】同装置における多色多数のインクジェットヘッドを有するメンテナンスタイミング図。
【図13】インクジェットヘッドの概略構成図。
【図14】従来における画像形成装置のメンテナンスを行うための構成図。
【図15】同装置におけるインクジェットヘッド内圧のアンダーシュートの発生を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は画像形成装置の構成図である。装置本体30は、下部筐体31と上部筐体32とからなる。上部筐体32の一方の側面には、給紙トレイ33が着脱可能に取り付けられている。この給紙トレイ33には、複数枚の画像形成媒体34が収納されている。この給紙トレイ33の給紙端部には、ピックアップローラ35が設けられ、給紙トレイ33内に収納されている画像形成媒体34を1枚づつ給紙するようになっている。
【0024】
上部筐体32内における給紙トレイ33からの給紙路上には、一対のレジストレーションローラ対36が設けられている。このレジストレーションローラ対36は、給紙トレイ33から給紙された画像形成媒体34を所定の搬送速度でベルトプラテン37に供給する。
【0025】
このベルトプラテン37は、3つのプラテンローラ38a、38b、38cと、これらプラテンローラ38a、38b、38c間に掛けられた無端で帯状の搬送ベルト38dとを有する。各プラテンローラ38a、38b、38cのうちプラテンローラ38aが駆動ローラとなっている。各プラテンローラ38a、38bの下部には、エアー吸引部38eが設けられている。このベルトプラテン37は、供給された画像形成媒体34をエアー吸引部38eによりエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着すると共に、プラテンローラ38aの駆動により所定の搬送速度でY方向に搬送する。
【0026】
上部筐体32内におけるベルトプラテン37からの排紙路上には、排出ローラ対39が設けられている。上部筐体32の他方の側面には、排紙トレイ40が着脱可能に取り付けられている。この排紙トレイ40には、排出ローラ対39から排出された画像形成された画像形成媒体34が収納される。
【0027】
ベルトプラテン37の上方には、各色すなわちK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6と、C色の各インクジェットヘッド1c−1〜1c−6と、M色の各インクジェットヘッド1m−1〜1m−6と、Y色の各インクジェットヘッド1y−1〜1y−6とが設けられている。これらインクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6は、それぞれ各色(K、C、M、Y)毎にY方向に所定の間隔を開けて設けられている。そして、K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6は、X軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。同様に、C、M、Y色の各インクジェットヘッド1c−1〜1c−6、1m−1〜1m−6、1y−1〜1y−6もX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。これらインクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6は、それぞれ各インク液6k〜6yを吐出する複数のノズル孔を配列してなる2つのインクヘッド単体の互いの背面を並設してなる。なお、これらインクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の上部には、それぞれ各色別に各分配器10−1〜10−4が接続されている。
【0028】
これらインクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の側面側には、それぞれ各色(K、C、M、Y)別の各インクパン41k、41c、41m、41yが設けられている。これらインクパン41k〜41yは、図2に示すようにメンテナンスユニット42内のメンテナンスキャリッジ43に連結されている。このメンテナンスユニット42には、X方向駆動機構44及びY方向駆動機構45が設けられている。X方向駆動機構44は、メンテナンスユニット42をX方向に移動させ、Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42をY方向に移動させる。又、メンテナンスユニット42の各コーナ部には、Z軸方向の各ガイド46が設けられている。メンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の移動(上下移動)に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に移動する。
【0029】
各インクパン41k、41c、41m、41y上には、それぞれ各クリーニング部材23k−1、23k−2、23k−3、…、23y−6が設けられている。なお、図2上では、符号が煩雑になることから全ての符号の記載を省略する。これらクリーニング部材23k−1〜23y−6は、各色毎に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の配置位置に対応してX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。
【0030】
これらクリーニング部材23k−1〜23y−6は、図3に示すように凸状部47の両側にそれぞれ各ワイプブレード47−1、47−2を設けると共に、複数の吸引ノズル48、49を設けている。各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6は、上述したようにそれぞれ2つのインクヘッド単体の互いの背面を並設してなるので、2つのインクヘッド単体の間に凸状部47が入り、一方のインクヘッド単体にワイプブレード47−1が接触すると共に複数の吸引ノズル48によりエアー吸引が行われ、これと同時に他方のインクヘッド単体にワイプブレード47−2が接触すると共に複数の吸引ノズル49によりエアー吸引が行われる。
【0031】
上部筐体32の上部には、各色(K、C、M、Y)別の各インクボトル14k、14c、14m、14yが設けられている。又、上部筐体32の下部には、各色(K、C、M、Y)別の各インクタンク12−1〜12−4が設けられている。さらに、下部筐体31には、廃液ボトル51が設けられている。
【0032】
図4は各色(K、C、M、Y)のうち単色(K色)のインク供給系の構成図を示す。なお、図14と同一部分には同一符号を付してある。但し、図14に示すインク液6、分配器10、チューブ11、インクタンク12、インク供給チューブ13、インクボトル14、インク供給弁15、大気開放チューブ16、大気開放弁17、連通チューブ18及び加圧弁20は、K色のインク供給系としてそれぞれインク液6k、分配器10−1、チューブ11−1、インクタンク12−1、インク供給チューブ13−1、インクボトル14k、インク供給弁15−1、大気開放チューブ16−1、第1の大気開放弁17−1、連通チューブ18−1及び加圧弁20−1の各符号を付している。
【0033】
エアータンク19には、大気開放チューブ52が設けられている。この大気開放チューブ52には、第2の大気開放弁53が設けられている。
画像形成制御部54は、画像形成媒体34に対する画像形成の一連の動作制御を行う。すなわち、画像形成制御部54は、給紙トレイ33に収納されている画像形成媒体34をピックアップローラ35により1枚づつピックアップして上部筐体32内に供給し、この供給された画像形成媒体34をレジストレーションローラ対36によりタイミングを調整してベルトプラテン37に搬送する。
【0034】
この画像形成制御部55は、ベルトプラテン37を駆動して画像形成媒体34をエアー吸引部38eによるエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着した状態で所定の搬送速度でY方向に搬送する。このとき画像形成制御部54は、K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6からK色のインク液6kを噴出して画像形成媒体34上に画像を形成する。画像形成制御部54は、画像形成された画像形成媒体34を排出ローラ対39を通して排紙トレイ40内に排出する。
【0035】
又、画像形成制御部54は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のメンテナンス動作制御を行うためのインク吐出制御部55及びエアー遮断コントロール部56を有する。
このうち、インク吐出制御部55は、第1と第2の大気開放弁17−1、53を閉じると共に、インク供給弁15−1、加圧弁20−1をそれぞれ閉じた状態で、加圧ポンプ22からのエアーをエアータンク19に供給する。インク吐出制御部55は、エアータンク19に設けられた圧力センサ57から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク19内の圧力がパージ圧力Paに必要な圧力に達したことを検出すると、このときに加圧弁20−1を開放し、エアータンク19からエアーを加圧弁20−1を通してインクタンク12−1に供給し、さらに分配器10−1を通して各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給して当該ヘッド内圧をパージ圧力Paに高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6からK色のインク液6kを吐出させる。
【0036】
エアー遮断コントロール部56は、インク吐出制御部55によるインクジェットヘッド1k−1〜1k−6からのインク液6kの吐出しの終了時に、加圧弁20−1を閉じてエアータンク19からインクタンク12−1へのエアー供給を遮断し、かつこのエアー供給の遮断の後に第1の大気開放弁17−1を複数回、例えば2回開放する。
【0037】
次に、上記の如く構成された装置における単色(K色)の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対するメンテナンス動作制御について説明する。
メンテナンス開始時、図5に示すようにベルトプラテン37がZ方向に下降する。このベルトプラテン37の下降に伴ってメンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。
【0038】
次に、Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42を画像形成媒体34の給紙側に向ったY方向に移動させる。これにより、メンテナンスユニット42における各インクパン41k、41c、41m、41y上の各クリーニング部材20k−1、20k−2、20k−3、…、20y−6が各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
【0039】
メンテナンスの初期状態として、加圧ポンプ22は停止し、加圧弁20−1は閉じられ、第1及び第2の大気開放弁17−1、53は開放されている。これにより、K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ヘッド内圧、即ち各インク室5内には、インクタンク12を通してバックプレッシャが加わり、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2に各メニスカス7を形成するようになっている。又、K色に対応する各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から離れた下方に位置している。
【0040】
次に、図6に示すメンテナンスタイミング図を参照して説明する。
画像形成制御部54は、時刻t1において第1及び第2の大気開放弁17−1、53に対してそれぞれ閉命令を発する。これにより第1及び第2の大気開放弁17−1、53は閉じる。
次に、インク吐出制御部55は、時刻t2において、加圧ポンプ22に対して駆動命令を発する。これと共に、画像形成制御部55は、同時刻t2において、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対して各クリーニング部材23k−1〜23k−6を直下に位置決めし、これらクリーニング部材23k−1〜23k−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に当接する。
【0041】
加圧ポンプ22の駆動によりエアーが加圧チューブ21を通してエアータンク19内に供給される。このとき、加圧弁20−1は閉じているので、エアータンク19内の圧力は、上昇する。このエアータンク19内の圧力は、圧力センサ57により検出され、その圧力検出信号がインク吐出制御部に送られる。
【0042】
エアータンク19内の圧力がノーマルパージの圧力Pa(例えば3〜20KPa)に必要な圧力に達すると、この時刻t3にインク吐出制御部55は、加圧ポンプ22に停止命令を発すると共に、加圧弁20−1に対して開放命令を発する。この加圧弁20−1が開放されると、エアータンク19内の圧力が加圧弁20−1を通してインクタンク12−1に加えられる。このとき、第1及び第2の大気開放弁17−1、53は、閉じているので、インクタンク12−1内の圧力が上昇する。この圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているK色のインク液6kがチューブ11−1を通して分配器10−1に供給され、さらにK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からインク液6kが吐出される。
【0043】
このインク液6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。これら各ノズル2から吐出されたインク液6kは、廃液ボトル51に排出される。このインク液6kの吐出しは、パージ圧力Paの加わるパージ期間tpに行なわれる。画像形成制御部54は、パージ期間tpを内部タイマにより計測し、例えば約0.3〜20秒、好ましくは約0.5〜5秒の期間内に設定する。
【0044】
パージ期間tpが経過すると、エアー遮断コントロール部56は、時刻t4において、加圧弁20−1に対して閉命令を発する。これにより、加圧弁20−1は閉じる。この加圧弁20−1が閉じることで、エアータンク19からインクタンク12−1へのエアーの流入が遮断される。
【0045】
これと共にエアー遮断コントロール部56は、同時刻t4において第1の大気開放弁17−1に対して開放命令を発し所定時間だけ開放させ、その後閉塞させる。そして再び時刻t5において第1の大気開放弁17−1に対して開放命令を発し所定時間だけ開放させ、その後閉塞させる。
【0046】
第1の大気開放弁17−1を開放したときに生じる急激な圧力低下から、第1の大気開放弁17−1を閉じると、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のヘッド内圧が微正圧を通り越して一旦負圧にまで低下し、再び正圧に戻るようなアンダーシュートが発生しようとするが、第1の大気開放弁17−1の最初の開放と同時に加圧弁20−1を遮断するので、エアータンク19からインクタンク12−1へのエアーの流入を遮断することができアンダーシュートの発生を抑制もしくは、発生したとしてもその規模を小さくすることができる。
【0047】
つまり、第1の大気開放弁17−1の閉塞によって一旦微正圧に設定したならば、その後にエアータンク19からのエアーの流入が遮断されるためインクタンク12内圧が上昇することがなく、インク室内圧を微正圧に維持することができる。
この結果、第1の大気開放弁17−1の間欠的な2回の開閉、ならびに加圧弁20の遮断により各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のインク室内圧は、当該各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各イズル2からインク液6kが垂れ落ちない程度の微正圧に設定される。この微正圧は、例えば約0.01〜3KPaである。
【0048】
次に、画像形成制御部54は、時刻t6において、吸引ポンプ25に対して吸引命令を発する。この吸引ポンプ25の吸引動作により、各クリーニング部材23k−1〜23k−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49からエアーの吸引を開始する。
吸引ポンプ25によりエアー吸引による各クリーニング部材23k−1〜23k−6に加わる負圧が所定値で安定すると、画像形成制御部54は、時刻t7において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42がX方向に移動するので、各クリーニング部材23k−1〜23k−6は、それぞれ当該各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動し、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズルプレート3に排出されたインク液6kを掻き取りながら吸引すると共に、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0049】
このとき、各クリーニング部材23k−1〜23k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズルプレート3上のインク液6kを吸引するので、インク液面が各イズル2と各インク室5内との間で移動することがなく、各インク室5内にエアーを巻き込むおそれもない。サッキング期間tsが終了する時刻t8になると、画像形成制御部54は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0050】
次に、画像形成制御部54は、放置期間tfの開始時の時刻t9になると、各クリーニング部材23k−1〜23k−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から離す。又、画像形成制御部54は、同時刻t9において、第1及び第2の大気開放弁17−1、53に対して開放命令を発する。これにより、第1及び第2の大気開放弁17−1、53は開放される。これら第1及び第2の大気開放弁17−1、53が開放され、この状態で放置されることにより、各タンクに大気圧が印加され、インクタンク12と各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2との高さ位置関係により、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられて、各ノズル2にメニスカス7が形成される。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6は、画像形成可能な状態に設される。メンテナンスユニット42は、時刻t8において、元の位置に戻る。
【0051】
このように上記第1の実施の形態によれば、パージ期間tpの経過後に、加圧弁20−1を閉じてエアータンク19からインクタンク12−1へのエアーの流入を遮断する。これにより、第1の大気開放弁17−1を時刻t4に開放して閉じたとしても、このときエアータンク19からインクタンク12−1にエアーが流入しないので、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のヘッド内圧が下降後に上昇するようなアンダーシュートの発生が極力抑制できる。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のヘッド内圧が大気圧あるいは負圧まで低下することはなくなり、当該インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からエアーを巻き込んでインク室5内にエアーを吸い入れることがなくなる。
【0052】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2へのエアーの流入を防ぎ、メンテナンス後に各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6からインク液6kを安定して噴出できる。
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0053】
図7は画像形成装置の4色(K、C、M、Y)のインク供給系の構成図である。各色(K、C、M、Y)別の複数のインクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6は、それぞれ各色(K、C、M、Y)別の各分配器10−1〜10−4に接続されている。これら分配器10−1〜10−4には、各チューブ11−1〜11−4を介して各色別の各インクタンク(サブタンク)12−1〜12−4が接続されている。
【0054】
これらインクタンク12−1〜12−4内には、それぞれ各色(K、C、M、Y)の各インク液6k、6c、6m、6yが充填されている。これらインクタンク12−1〜12−4には、それぞれ各大気開放チューブ16−1〜16−4が接続され、かつこれら大気開放チューブ16−1〜16−4にそれぞれ各第1の大気開放弁17−1〜17−4が設けられている。なお、これらインクタンク12−1〜12−4内の各インク液6k、6c、6m、6yの液面高さ位置と各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0055】
又、これらインクタンク12−1〜12−4には、各連通チューブ18−1〜18−4を介してエアータンク19に接続されている。これら連通チューブ18−1〜18−4には、それぞれ各加圧弁20−1〜20−4が設けられている。なお、インクタンク12−1〜12−4には、それぞれ各色(K、C、M、Y)別の各インクボトル14k、14c、14m、14yが接続され、これらインクボトル14k、14c、14m、14yから各色のインク液6k、6c、6m、6yが供給される。
【0056】
又、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に対応して各クリーニング部材23k−1、23k−2、…、23y−6が設けられている。なお、図7では、図示する煩雑さを避けるためにK色の各クリーニング部材23k−1〜23k−6を示す。
【0057】
インク吐出制御部55は、第1と第2の大気開放弁17−1〜17−4、53を閉じると共に、インク供給弁15−1、加圧弁20−1をそれぞれ閉じた状態で、加圧ポンプ22からのエアーをエアータンク19に供給する。このインク吐出制御部55は、エアータンク19に設けられた圧力センサ57から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク19内の圧力がパージ圧力Paに必要な圧力に達したことを検出すると、このときに各加圧弁20−1〜20−4を開放し、エアータンク19からエアーを各加圧弁20−1〜20−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に供給し、さらに各分配器10−1〜10−4を通して各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に供給して当該ヘッド内圧をパージ圧力Paに高め、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6からそれぞれ各色(K、C、M、Y)の各インク液6k、6c、6m、6yを吐出させる。
【0058】
エアー遮断コントロール部56は、インク吐出制御部55による各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6からの各インク液6k、6c、6m、6yの吐出し(パージ)を終了するときに、各加圧弁20−1〜20−4を閉じてエアータンク19から各インクタンク12−1〜12−4へのエアー供給を遮断する。このときエアー遮断コントロール部56は、第1の大気開放弁17−1を複数回、例えば2回断続的に開閉させ、かつ大気開放弁17−1の2回目の開放時に各加圧弁20−1〜20−4を閉じる。
【0059】
次に、上記の如く構成された装置における4色の各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に対するメンテナンス動作制御について図8に示すメンテナンスタイミング図を参照して説明する。
画像形成制御部54は、時刻t11において第1及び第2の大気開放弁17−1〜17−4、53に対してそれぞれ閉命令を発する。これにより、第1及び第2の大気開放弁17−1〜17−4、53は閉じられる。
【0060】
次に、インク吐出制御部55は、時刻t12において、加圧ポンプ22に対して駆動命令を発すると共に、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に対して各クリーニング部材23k−1、23k−2、…、23y−6を位置決めし、これらクリーニング部材23k−1、23k−2、…、23y−6を各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に当接した状態で待機する。
【0061】
加圧ポンプ22の駆動によりエアーが加圧チューブ21を通してエアータンク19内に供給される。このとき、全ての加圧弁20−1〜20−4は、閉じているので、エアータンク19内の圧力は、上昇する。このエアータンク19内の圧力は、圧力センサ57により検出され、その圧力検出信号がインク吐出制御部に送られる。
【0062】
エアータンク19内の圧力がパージ圧力Pa(例えば3〜20KPa)に必要な圧力に達すると、この時刻t13にインク吐出制御部55は、加圧ポンプ22に停止命令を発すると共に、全ての加圧弁20−1〜20−4に対して開放命令を発する。これら加圧弁20−1〜20−4が開放されると、エアータンク19内の高い圧力が各加圧弁20−1〜20−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に加えられる。
【0063】
このとき、第1及び第2の大気開放弁17−1〜17−4、53は、閉じているので、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が上昇する。この圧力の上昇により各インクタンク12−1〜12−4内に充填されている各色の各インク液6k、6c、6m、6yが各チューブ11−1〜11−4を通して各分配器10−1〜10−4に供給され、さらに各色の各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6に供給される。これによって各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズル2から各色の各インク液6k、6c、6m、6yが勢いよく吐出され、パージが行われる。
【0064】
このパージによって各ノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。これらノズル2から吐出された各インク液6k、6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。各インク液6k、6c、6m、6yの吐出しは、パージ圧力Paの加わるパージ期間tpに行なわれる。
【0065】
エアー遮断コントロール部56は、パージ期間tp中に各加圧弁20−1〜20−4を開放すると共に、パージ期間tpの経過の後も各加圧弁20−1〜20−4を開放し続ける。これら加圧弁20−1〜20−4の開放中の時刻t14に、エアー遮断コントロール部56は、第1の大気開放弁17−1〜17−4を一定期間だけ開放して閉じる。このように各加圧弁20−1〜20−4を開放しつつ、第1の大気開放弁17−1〜17−4を開放することで各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各へッド内圧は減圧するものの急激に減圧することはない。
【0066】
この後、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が各加圧弁20−1〜20−4を通してエアータンク19内の圧力と略同一になる頃(時刻t15)で、エアー遮断コントロール部56は、各加圧弁20−1〜20−4を閉じて各インクタンク12−1〜12−4とエアータンク19との間を遮断し、エアータンク19から各インクタンク12−1〜12−4へのエアーの流入を遮断する。
【0067】
また、エアー遮断コントロール部56は、各加圧弁20−1〜20−4を閉じた同時刻t15において、第1の大気開放弁17−1〜17−4を一定期間だけ開放して閉じる。このとき、各加圧弁20−1〜20−4は閉じられているので、エアータンク19から各インクタンク12−1〜12−4へのエアーの流入はない。従って、第1の大気開放弁17−1〜17−4を2回目に閉じた後に、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6のヘッド内圧が下降後に再び上昇するようなアンダーシュートの発生は抑制される。
【0068】
この後、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ヘッド内圧は、当該各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各イズル2からインク液6kが垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に設定される。
【0069】
以下、第1の実施の形態と同様に、サッキング期間tsにおいて、各クリーニング部材23k−1〜23k−6は、それぞれ当該各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動し、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズルプレート3に排出された各インク液6k、6cね6m、6yを掻き取りながら吸引すると共に、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0070】
次に、放置期間tfにおいて、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズル2に各メニスカス7を形成する。
このように上記第2の実施の形態によれば、パージ期間tp後の大気開放弁20−1〜20−4の1回目の開放をしている間にも、加圧弁20−1〜20−4を開放し続けることで、各インクジェットヘッドのヘッド内圧の減圧度合いを緩やかなものとすることができ、かつ、インクタンク12−1〜12−4とエアタンク19の内圧差を小さくすることができる。これはアンダーシュートの発生を抑制することに繋がる
また、大気開放弁17−1〜17−4の2回目の大気開放のタイミングに合わせて、加圧弁20−1〜20−4を閉塞したので、第1実施形態と同様に、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を各インク液6k、6c、6m、6yが垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に設定できるとともに、微正圧に設定した後にその圧力値が上昇するというアンダーシュートが抑制される。
【0071】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ノズル2へのエアーや塵などの異物の流入を防ぎ、メンテナンス後に各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6から各インク液6k、6c、6m、6yを安定して吐出できる。
【0072】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図9は画像形成装置の単色(例えばKのみ)のインク供給系の構成図を示す。各分配器60−1〜60−4には、それぞれ複数のインクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6が接続されている。これら分配器60−1〜60−4には、各チューブ65−1〜65−4を介して各インクタンク(サブタンク)66−1〜66−4が接続されている。
【0073】
これらインクタンク66−1〜66−4内には、それぞれK色のインク液6kが充填されている。これらインクタンク66−1〜66−4には、それぞれ各大気開放チューブ67−1〜67−4が接続され、かつこれら大気開放チューブ67−1〜67−4にそれぞれ各大気開放弁68−1〜68−4が設けられている。なお、これらインクタンク66−1〜66−4内のインク液6kの液面高さ位置と各インクジェットヘッド61−1、6−2、…、64−6の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0074】
又、これらインクタンク66−1〜66−4には、各連通チューブ69−1〜69−4を介してエアータンク70に接続されている。なお、これら連通チューブ69−1〜69−4は、途中で共通接続して1本の連通チューブとし、この1本の連通チューブをエアータンク70に接続してもよい。これら連通チューブ69−1〜69−4には、それぞれ各加圧弁71−1〜71−4が設けられている。なお、インクタンク66−1〜66−4には、それぞれK色の各インクボトル14kが接続され、これらインクボトル14kからK色のインク液6kが供給される。
【0075】
又、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6に対応して各クリーニング部材72−1、72−2、…、75−6が設けられている。なお、図9では、図示する煩雑さを避けるためにK色の各クリーニング部材72−1、…、72−6を示す。
【0076】
画像形成制御部76は、給紙トレイ33に収納されている画像形成媒体34をピックアップローラ35により1枚づつピックアップして上部筐体32内に供給し、この供給された画像形成媒体34をレジストレーションローラ対36によりタイミングを調整してベルトプラテン37に搬送する。
【0077】
この画像形成制御部76は、ベルトプラテン37を駆動して画像形成媒体34をエアー吸引部38eによるエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着した状態で所定の搬送速度でY方向に搬送する。このとき画像形成制御部86は、K色の各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6からK色のインク液6kを噴出して画像形成媒体34上に白黒の画像を形成する。画像形成制御部76は、画像形成された画像形成媒体34を排出ローラ対39を通して排紙トレイ40内に排出する。
【0078】
画像形成制御部76は、各インクジェットヘッド61−1、6−2、…、64−6のメンテナンス動作制御を行うためのインク吐出制御部77及びエアー排出制御部78を有する。
インク吐出制御部77は、加圧ポンプ22を駆動してエアーをエアータンク70を通して各インクタンク66−1〜66−4に分配供給し、当該インクタンク66−1〜66−4内の各圧力上昇により各インクタンク66−1〜66−4内のインク液6kを各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6からそれぞれ吐出(パージ)させる。
【0079】
エアー排出制御部78は、インク吐出制御部77による各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6からの各インク液6kの吐出し(パージ)を終了するときに、各加圧弁71−1〜71−4を開放している状態で1本の大気開放チューブ、例えば大気開放チューブ68−1を一定期間だけ開放し、この後、各インクタンク66−1〜66−4内の各圧力が大気圧付近に減圧したときに各加圧弁71−1〜71−4を閉じると共に全ての大気開放弁68−1〜68−4を一定期間だけ開放する。
【0080】
次に、上記の如く構成された装置における単色多数の各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6に対するメンテナンス動作制御について図10に示すメンテナンスタイミング図を参照して説明する。
画像形成制御部76は、時刻t21において全ての加圧弁71−1〜71−4及び全ての大気開放弁68−1〜68−4に対してそれぞれ閉命令を発する。これにより、全ての加圧弁71−1〜71−4及び全ての大気開放弁68−1〜68−4は閉じられる。
【0081】
次に、インク吐出制御部77は、時刻t22において、加圧ポンプ22に対して駆動命令を発すると共に、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6に対して各クリーニング部材72−1、…、72−6を位置決めし、これらクリーニング部材72−1、…、72−6を各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6に当接した状態で待機する。
【0082】
加圧ポンプ22の駆動によりエアーが加圧チューブ21を通してエアータンク70内に供給される。このとき、全ての加圧弁71−1〜71−4は、閉じているので、エアータンク70内の圧力は、上昇する。このエアータンク70内の圧力は、圧力センサ59により検出され、その圧力検出信号がインク吐出制御部77に送られる。
【0083】
エアータンク70内の圧力がパージ圧力Pa(例えば3〜20KPa)に必要な圧力に達すると、この時刻t23にインク吐出制御部77は、加圧ポンプ22に停止命令を発すると共に、全ての加圧弁71−1〜71−4に対して開放命令を発する。これら加圧弁71−1〜71−4が開放されると、エアータンク70内の高い圧力が各加圧弁71−1〜71−4を通して各インクタンク66−1〜66−4に加えられる。
【0084】
このとき、全ての大気開放弁68−1〜68−4は、閉じているので、各インクタンク66−1〜66−4内の圧力が上昇する。この圧力の上昇により各インクタンク66−1〜66−4内に充填されているK色の各インク液6kが各チューブ65−1〜65−4を通して各分配器60−1〜60−4に供給され、さらに各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6に供給される。これによって各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ノズル2からK色の各インク液6kが勢いよく吐出され、パージが行われる。
【0085】
このパージによって各ノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。これらノズル2から吐出された各インク液6kは、廃液ボトル51に排出される。各インク液6kの吐出しは、パージ圧力Paの加わるパージ期間tpに行なわれる。
エアー排出制御部78は、パージ期間tp中に各加圧弁71−1〜71−4を開放すると共に、パージ期間tpの経過の後も各加圧弁71−1〜71−4を開放し続ける。これら加圧弁71−1〜71−4の開放中の時刻t24に、1本の大気開放弁68−1を一定期間だけ開放し、そして閉じる。
【0086】
このように各加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、1本の大気開放弁68−1のみを開放することで各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧する。
この後、エアー排出制御部78は、各インクタンク66−1〜66−4内の圧力が各加圧弁71−1〜71−4を通してエアータンク70内の圧力と略同一になる頃(時刻t25)になると、全ての加圧弁71−1〜71−4を閉じ、同時に全ての大気開放弁68−1〜68−4を一定期間だけ開放し、そして閉じる。
【0087】
従って、上記のように1本の大気開放弁68−1のみを開放したときの開口量は、全ての大気開放弁68−1〜68−4を開放したときの開口量よりも小さい。これにより、各インクタンク66−1〜66−4から大気に流出するエアーの量は、1本の大気開放弁68−1のみを開放したときの方が全ての大気開放弁68−1〜68−4を開放したときよりも少なくなる。この結果、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6では、ヘッド内圧が下降後に再び上昇するようなアンダーシュートの発生を抑制される。
【0088】
又、全ての加圧弁71−1〜71−4を開放することで、エアータンク70から各連通チューブ69−1〜69−4、各加圧弁71−1〜71−4、各インクタンク66−1〜66−4、各チューブ65−1〜65−4、各分配器60−1〜60−4、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6からなるインク経路内の圧力が平均化される。これにより、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ヘッド内圧は、当該各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各イズル2からインク液6kが垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持される。
【0089】
さらに、1本の大気開放弁68−1のみを開放することで各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧し、大気圧近傍になっているので、その後に全ての大気開放弁68−1〜68−4を開放したとしても、各大気開放弁68−1〜68−4の開閉の各応答速度のバラツキにより生じる各インクタンク66−1〜66−4等のインク経路内の圧力のバラツキが少なくなり、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ヘッド内圧をこの後のサッキング時の最適な微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持できる。
【0090】
以下、上記第1の実施の形態と同様に、サッキング期間tsにおいて、各クリーニング部材72−1、…、75−6は、それぞれ当該各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動し、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ノズルプレート3に排出された各インク液6kを掻き取りながら吸引すると共に、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0091】
次に、放置期間tfにおいて、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ノズル2に各メニスカス7を形成する。
このように上記第3の実施の形態によれば、各インクジェットヘッド61−1、6−2、…、64−6からの各インク液6kの吐出(パージ)を終了するときに、各加圧弁20−1〜20−4を開放している状態で1本の大気開放チューブ、例えば大気開放チューブ68−1を一定期間だけ開放し、この後、各加圧弁71−1〜71−4を閉じて全ての大気開放弁68−1〜68−4を一定期間だけ開放する。
【0092】
これにより、1本の大気開放弁68−1のみを開放することで各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧し、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6のヘッド内圧が下降後に再び上昇するようなアンダーシュートの発生が抑制できる。
【0093】
又、各大気開放弁68−1〜68−4の開閉の各応答速度のバラツキにより生じる各インクタンク66−1〜66−4等のインク経路内の圧力のバラツキが少なくなり、各インクジェットヘッド61−1、61−2、…、64−6の各ヘッド内圧をこの後のサッキング時の最適な微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持できる。
【0094】
なお、上記第3の実施の形態では、各加圧弁71−1〜71−4を開放している状態で1本の大気開放チューブ、例えば大気開放チューブ67−1を一定期間だけ開放し1/4の開放量を得ているが、これに限らず、例えば他の1本の大気開放チューブ67−2、67−3又は67−4を一定期間だけ開放してもよい。
【0095】
又、4本の大気開放チューブ67−1〜67−4のうち2本又は3本を開放し、1/2、3/4の開放量とすることもできる。
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態は、大版サイズの画像記録媒体に対してK色、C色、M色、Y色により画像形成する画像記録装置に適用可能である。
【0096】
図11は同装置におけるインク供給系の構成図を示す。本画像記録装置は、大版サイズの画像記録媒体への画像記録に対応するためにK色、C色、M色、Y色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−24、1c−1〜1c−24、1m−1〜1m−24、1y−1〜1y−24をそれぞれ画像記録媒体34の搬送方向(X方向)に対して垂直方向に沿い、かつK色、C色、M色、Y色毎に画像記録媒体34の搬送方向(X方向)に所定間隔をおいて互いに平行に並設している。なお、K色、C色、M色、Y色の各インク供給系が重なって図示しているので、図示する煩雑さを考慮して全ての符号を示すことを省略する。
【0097】
K色、C色、M色、Y色の各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24は、それぞれK色、C色、M色、Y色毎の各分配器90k−1、90k−2、…、90y−4に接続されている。これら各分配器90k−1、90k−2、…、90y−4には、それぞれK色、C色、M色、Y色毎の各チューブ91k−1、91k−2、…、91y−4を介してK色、C色、M色、Y色毎の各インクタンク(サブタンク)92k−1、92k−2、…、92y−4が接続されている。
【0098】
これらインクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内には、それぞれK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yが充填されている。これらインクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4には、それぞれ各大気開放チューブ93k−1、93k−2、…、93y−4が接続され、かつこれら大気開放チューブ93k−1、93k−2、…、93y−4にそれぞれ各大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4が設けられている。なお、これら大気開放チューブ93k−1、93k−2、…、93y−4及び各大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4は、図示の煩雑化を避けるために各大気開放チューブ93y−1、93y−2、…、93y−4及び各大気開放弁94y−1、94y−2、…、94y−4のみ示す。
【0099】
各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の各インク液6k、6c、…、6yの液面高さ位置と各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0100】
各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4には、それぞれ各連通チューブ95k−1、95k−2、…、95y−4が設けられている。これら連通チューブ95k−1、95k−2、…、95y−4は、共通接続されてエアータンク80に接続されている。これら連通チューブ95k−1、95k−2、…、95y−4には、それぞれ各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4が設けられている。なお、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4には、それぞれK色、C色、M色、Y色毎の各インクボトル14k、14c、…、14yが接続され、これらのインクボトル14k、14c、…、14yからK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yが供給される。
【0101】
各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24に対応してK色、C色、M色、Y色毎の各クリーニング部材97k−1、97k−2、…、97y−24が設けられている。これらクリーニング部材97k−1、97k−2、…、97y−24は、それぞれ吸引チューブ24を介して吸引ポンプ25に接続されている。
【0102】
画像記録制御部98は、上記同様に、画像記録媒体34に対する画像記録の一連の動作制御を行うもので、給紙トレイ33に収納されている画像記録媒体34をピックアップローラ35により1枚づつピックアップして上部筐体32内に供給し、この供給された画像記録媒体34をレジストレーションローラ対36によりタイミングを調整してベルトプラテン37に搬送し、ベルトプラテン37を駆動して画像記録媒体34をエアー吸引部38eによるエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着した状態で所定の搬送速度でY方向に搬送し、K色、C色、M色、Y色の各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24からそれぞれK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、6m、6yを噴出して画像記録媒体34上に画像を形成し、この後、画像記録された画像記録媒体34を排出ローラ対39を通して排紙トレイ40内に排出する。
【0103】
この画像形成制御部98は、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24のメンテナンス動作制御を行うためのインク吐出制御部99及びエアー排出制御部100を有する。
インク吐出制御部99は、加圧ポンプ22を駆動してエアーをエアータンク80を通して各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4に分配供給し、当該インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の各圧力上昇により各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の各インク液6k、6c、6m、6yを各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24からそれぞれ吐出させる。
【0104】
エアー排出制御部100は、インク吐出制御部99による各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24からそれぞれ各インク液6k、6c、6m、6yの吐出し(パージ)を終了するときに、各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放している状態で1本の大気開放弁、例えば大気開放弁94k−1を一定期間だけ開放することを例えば2回繰り返し、この後、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の各圧力が大気圧付近に減圧したときに各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を閉じると共に全ての各大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を一定期間だけ開放する。
【0105】
次に、上記の如く構成された装置における多色多数の各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24に対するメンテナンス動作制御について図12に示すメンテナンスタイミング図を参照して説明する。
画像形成制御部98は、時刻t31において、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4及び全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4に対してそれぞれ閉命令を発する。これにより、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4及び全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4は閉じられる。
【0106】
次に、インク吐出制御部99は、時刻t32において、加圧ポンプ22に対して駆動命令を発すると共に、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24に対して各クリーニング部材97k−1、97k−2、…、97y−24を位置決めして待機する。
【0107】
これと共に加圧ポンプ22の駆動によりエアーが加圧チューブ21を通してエアータンク80内に供給される。このとき、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4は、閉じているので、エアータンク80内の圧力は、上昇する。このエアータンク80内の圧力は、圧力センサ59により検出され、その圧力検出信号がインク吐出制御部99に送られる。
【0108】
エアータンク80内の圧力がパージ圧力Pa(例えば3〜20KPa)に必要な圧力に達すると、この時刻t33にインク吐出制御部99は、加圧ポンプ22に停止命令を発すると共に、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4に対して開放命令を発する。これら加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4が開放されると、エアータンク80内の高い圧力が各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を通して各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4に加えられる。
【0109】
このとき、全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4は、閉じているので、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の圧力が上昇する。この圧力の上昇により各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内にそれぞれ充填されているK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yが各チューブ91k−1、91k−2、…、91y−4を通して各分配器90k−1、90k−2、…、90y−4に供給され、さらに各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24に供給される。これによって各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ノズル2からK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yが勢いよく吐出され、パージが行われる。
【0110】
このパージによって各ノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。これらノズル2から吐出されたK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yは、廃液ボトル51に排出される。K色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yの吐出しは、パージ圧力Paの加わるパージ期間tpに行なわれる。
【0111】
エアー排出制御部100は、パージ期間tp中に各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放すると共に、パージ期間tpの経過の後も各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放し続ける。
エアー排出制御部100は、各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4の開放中の時刻t34に、1本の大気開放弁、例えば大気開放弁94k−1を一定期間だけ開放して閉じ、再び時刻t35に一定期間だけ開放して閉じる。
【0112】
このように各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放した状態で、1本の大気開放弁94k−1のみを繰り返し例えば2回だけ一定期間だけ開放することで各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧する。
【0113】
この後、エアー排出制御部100は、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4内の圧力が各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を通してエアータンク80内の圧力と略同一になる頃(時刻t36)になると、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を閉じ、時々に全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を一定期間だけ開放し、そして閉じる。
【0114】
従って、上記のように1本の大気開放弁94k−1のみを繰り返し2回開放したときの各開口量は、全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を開放したときの開口量よりも小さい。これにより、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4から大気に流出するエアーの量は、1本の大気開放弁94k−1のみを開放したときの方が全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を開放したときよりも少なくなる。この結果、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24では、ヘッド内圧が下降後に再び上昇するようなアンダーシュートの発生を抑制される。
【0115】
又、全ての加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放することで、エアータンク80から各連通チューブ95k−1、95k−2、…、95y−4、各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4、各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4、各チューブ91k−1、91k−2、…、91y−4、各分配器90k−1、90k−2、…、90y−4、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24からなるインク経路内の圧力が平均化される。
【0116】
これにより、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ヘッド内圧は、当該各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各イズル2からK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yが垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持される。
【0117】
さらに、1本の大気開放弁94k−1のみを開放することで各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧し、大気圧近傍の圧力になるので、その後に全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を開放したとしても、各大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4の開閉の各応答速度のバラツキにより生じる各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4等のインク経路内の圧力のバラツキが少なくなり、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ヘッド内圧をこの後のサッキング時の最適な微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持できる。
【0118】
以下、上記第1の実施の形態と同様に、サッキング期間tsにおいて、各クリーニング部材97k−1、97k−2、…、97y−24は、それぞれ当該各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動し、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ノズルプレート3に排出されたK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yを掻き取りながら吸引すると共に、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0119】
次に、放置期間tfにおいて、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ノズル2に各メニスカス7を形成する。
このように上記第4の実施の形態によれば、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24からのK色、C色、M色、Y色の各インク液6k、6c、…、6yの吐出し(パージ)を終了するときに、各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を開放している状態で1本の大気開放弁、例えば大気開放弁94k−1を例えば2回繰り返して一定期間ずつ開放し、この後、各加圧弁96k−1、96k−2、…、96y−4を閉じて全ての大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4を一定期間だけ開放する。
【0120】
これにより、1本の大気開放弁94k−1のみを開放することで、大気開放量を1/16と微量にでき、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各へッド内圧は、急激に減圧することなく、時間を掛けて緩やかに減圧し、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24のヘッド内圧が下降後に再び上昇するようなアンダーシュートの発生が抑制できる。
【0121】
又、各大気開放弁94k−1、94k−2、…、94y−4の開閉の各応答速度のバラツキにより生じる各インクタンク92k−1、92k−2、…、92y−4等のインク経路内の圧力のバラツキが少なくなり、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−24の各ヘッド内圧をこの後のサッキング時の最適な微正圧(例えば約0.01〜3KPa)に維持できる。
【0122】
なお、本実施の形態においては、16本の大気開放弁94k−1,94k−2,…,94y−4のうち1つの大気開放弁を開放したが、これに限らず、開放する大気開放弁は、16本の大気開放弁94k−1,94k−2,…,94y−4のうち一部、例えば16本のうち少なくとも1本乃至最大で15本であればよく、これにより所望の大気開放量を得ることができる。
【0123】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、エアータンク19に第2の大気開放弁53を設けているが、これに限らず、エアータンク19の空気抵抗の十分大きな排出口を設け、この排出口からエアータンク19内のエアーを徐々に逃がして各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ヘッド内圧を減圧してもよい。
【0124】
又、エアータンク19と各インクタンク12−1〜12−4との各間に空気抵抗の十分大きな各連通口を設け、これら連通口を通してエアータンク19と各インクタンク12−1〜12−4との各間の圧力を同一にして、各インクジェットヘッド1k−1、1k−2、…、1y−6の各ヘッド内圧を所望の圧力値に設定してもよい。
【0125】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0126】
1k−1,1k−2,…,1y−6:インクジェットヘッド、2:ノズル、3:ノズルプレート、4:圧電素子(PZT)、5:インク室、6k,6c,6m,6y:インク液、7:メニスカス、10−1〜10−4:分配器、11−1〜11−4:チューブ、12−1〜12−4:インクタンク、13−1〜13−4:インク供給チューブ、14k,14c,14m,14y:インクボトル、15−1:インク供給弁、16−1〜16−4:大気開放チューブ、17−1〜17−4:第1の大気開放弁、18−1〜18−4:連通チューブ、20−1〜20−4:加圧弁、23k−1,23k−2,23k−3,…,23y−6:クリーニング部材、30:装置本体、31:下部筐体、32:上部筐体、33:給紙トレイ、34:画像形成媒体、35:ピックアップローラ、36:レジストレーションローラ対、37:ベルトプラテン、38a,38b,38c:プラテンローラ、38d:搬送ベルト、38e:エアー吸引部、39:排出ローラ対、40:排紙トレイ、41k,41c,41m,41y:インクパン、42:メンテナンスユニット、43:メンテナンスキャリッジ、44:X方向駆動機構、45:Y方向駆動機構、46:ガイド、47−1,47−2:ワイプブレード、47:凸状部、48,49:吸引ノズル、51:廃液ボトル、52:大気開放チューブ、53:第2の大気開放弁、54:画像形成制御部、55:インク吐出制御部、56:エアー遮断コントロール部、57:圧力センサ、60−1〜60−4:分配器、61−1,61−2,…,64−6:インクジェットヘッド、65−1〜65−4:チューブ、66−1〜66−4:インクタンク(サブタンク)、67−1〜67−4:大気開放チューブ、68−1〜68−4:大気開放弁、69−1〜69−4:連通チューブ、70:エアータンク、71−1〜71−4:加圧弁、72−1,72−2,…,75−6:クリーニング部材、76:画像形成制御部、77:インク吐出制御部、78:エアー排出制御部、1k−1〜1k−24,1c−1〜1c−24,1m−1〜1m−24,1y−1〜1y−24:インクジェットヘッド、90k−1,90k−2,…,90y−4:分配器、91k−1,91k−2,…,91y−4:チューブ、92k−1,92k−2,…,92y−4:インクタンク(サブタンク)、93k−1,93k−2,…,93y−4:大気開放チューブ、94k−1,94k−2,…,94y−4:大気開放弁、95k−1,95k−2,…,95y−4:連通チューブ、96k−1,96k−2,…,96y−4:加圧弁、97k−1,97k−2,…,97y−24:クリーニング部材、98:画像記録制御部、99:インク吐出制御部、100:エアー排出制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインクタンクと、
前記インクタンクから供給された前記インクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、
前記インクタンク内を加圧する加圧タンクと、
前記インクタンクと前記加圧タンクとの間を接続する第1の弁を有する連通部材と、
前記インクタンクに設けられ、該インクタンクを大気開放する第2の弁と、
前記インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも前記第1の弁及び前記第2の弁の開閉動作を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記第2の弁を閉塞し、前記第1の弁を開放することで前記加圧タンクから前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるインク吐出制御部と、
前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させた後、前記第1の弁を閉塞し、さらに該第1の弁を閉塞した状態で前記第2の弁を複数回間欠的に開閉することで前記ヘッド内圧を前記インクジェットヘッドのノズルから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクタンクと接続されるエアータンクと、前記エアータンク内を加圧する加圧 ポンプと、を有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、
前記加圧ポンプを駆動し、前記エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、
前記エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させ、前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるパージ工程と、
前記パージ工程後、前記エアータンクと前記インクタンクとの連通を遮断する遮断工程と、
前記遮断工程後、前記インクタンクを複数回間欠的に大気開放し、前記ヘッド内圧が前記インクジェットヘッドから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧になるように前記インクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程と、を有することを特徴とするインクジェットヘッドのメンテナンス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−63031(P2011−63031A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258888(P2010−258888)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【分割の表示】特願2005−49274(P2005−49274)の分割
【原出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】