説明

画像形成装置、画像形成方法、及び、画像形成プログラム

【課題】不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることが可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】この画像形成装置は、セキュアジョブ情報(SJ情報)を受信した場合、認証装置が接続されているか否かを判定する(ステップ245及び260)。画像形成装置は、認証装置が接続されていると判定したとき、受信したSJ情報をRAMに保持させる(ステップ255)。その後、ユーザが適切な情報を認証装置に入力すると、画像形成装置は、RAMに保持されているSJ情報に基づく画像形成処理を実行する。一方、画像形成装置は認証装置が接続されていないと判定したとき、受信したSJ情報をRAMに保持させない(ステップ265及び295)。これにより、SJ情報に基づく画像形成処理が実行され得ない状態においてSJ情報がRAMに保持され続けることを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体上に形成された画像(例えば、用紙に印刷された文書及び図画等)が不特定のユーザにより閲覧されることを防止することが可能な画像形成装置、画像形成方法、及び、画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置の一つは、画像を表す画像形成情報とユーザにより設定された認証用識別情報(例えば、パスワードとしての文字列)とを含むセキュアジョブ情報を端末装置(例えば、パーソナル・コンピュータ等)から受信し、受信したセキュアジョブ情報を保持する。その後、ユーザが画像形成装置に設けられた認証手段に対して認証用入力情報を入力すると、画像形成装置は、保持されている認証用識別情報から、入力された認証用入力情報と一致する認証用識別情報を特定する。そして、画像形成装置は、特定された認証用識別情報を含むセキュアジョブ情報に基づいて画像を記録媒体上に形成する(セキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行する)。このように、印刷開始時に所定の認証用入力情報の入力を要求する印刷をセキュア印刷と言う。
【0003】
これにより、保持されている認証用識別情報と同一の認証用入力情報を入力可能なユーザが画像形成装置の近傍にいるときにのみ印刷が行われる(セキュア印刷が行われる)ので、記録媒体上に形成された画像が不特定のユーザにより閲覧されることを防止することができる(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開平9−65148号公報
【発明の開示】
【0004】
ところで、画像形成装置は、セキュア印刷を行う必要がないグループにより使用されることもある。従って、ある機種の画像形成装置のすべてがセキュア印刷を実現するための認証手段を備えるように画像形成装置を構成しておくことは得策ではなく、使用するグループの要求に応じて画像形成装置に追加的に認証手段を付与できるように画像形成装置が構成されることが望ましい。従って、例えば、認証手段を画像形成装置に対して着脱可能な認証装置により構成することが好適であると考えられる。
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置においては、セキュア印刷が完了するまでの間、保持された画像形成情報が消去されないので、画像形成装置が認証手段を備えていない状態(例えば、認証装置が画像形成装置から取り外されている状態)においてセキュアジョブ情報を受信すると、画像形成情報が画像形成装置に保持され続ける虞があった。従って、例えば、画像形成装置が廃棄された場合等において、不特定のユーザが保持された画像形成情報を不正に取得することにより画像を閲覧する可能性が高まるという問題があった。
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、上述した課題に対処するためになされたものであって、通信回線を介して端末装置と通信可能に構成され且つ画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行可能な画像形成装置である。
更に、本発明に係る画像形成装置は、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信する受信手段と、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持する保持手段と、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記保持手段が前記画像形成情報を保持することを禁止する保持禁止手段と、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定する実行決定手段と、を備える。
【0007】
これによれば、画像形成装置が認証手段を備えていない場合に、画像形成情報が保持手段に保持され続けることを回避することができる。例えば、画像形成装置が認証手段を備えていない場合とは、認証手段が画像形成装置に対して着脱可能に構成され且つ同認証手段が画像形成装置から取り外されている(画像形成装置に装着されていない)場合や、認証手段がその機能を達成可能な状態(オン状態)と同機能を達成不能な状態(オフ状態)とに切り替え可能に構成され且つ同機能が達成不能な状態に設定されている場合等である。
【0008】
この結果、画像形成情報が保持手段に保持され続けることがないので、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
なお、画像形成装置が認証手段を備えていないと判定された場合に保持手段が保持することを禁止される情報は、画像形成情報のみに限られず、セキュアジョブ情報が含む画像形成情報以外の情報を含んでいてもよく、セキュアジョブ情報のすべてであってもよい。
【0009】
この場合、前記保持禁止手段は、前記受信手段が前記セキュアジョブ情報の受信を開始した時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に前記保持手段が同受信しているセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報を保持することを禁止する受信時保持禁止手段であることが好適である。
【0010】
これによれば、画像形成装置が認証手段を備えていない状態において受信手段がセキュアジョブ情報の受信を開始した場合、受信しているセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報は保持手段に保持されない。これにより、保持手段の記憶領域が無駄に使用されることを回避することができる。
【0011】
一方、本発明による画像形成装置の他の態様において、前記保持禁止手段は、前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の一部又は全部を保持した時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に同保持手段が同保持を開始した画像形成情報を同保持手段から消去することにより同保持手段が同画像形成情報を保持することを禁止する第1消去手段であることが好適である。
【0012】
これによれば、画像形成装置が認証手段を備えていない状態において保持手段がセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の少なくとも一部の保持を開始した場合、画像形成情報の少なくとも一部の保持を開始してから、保持している画像形成情報を消去するまでの期間を極めて短くすることができる。この結果、無駄に使用されている保持手段の記憶領域を早期に解放することができる。
【0013】
また、本発明による画像形成装置の他の態様において、前記保持禁止手段は、前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の全部を保持した時点から更に所定時間が経過した後の時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に同保持手段が同保持を開始した画像形成情報を同保持手段から消去することにより同保持手段が同画像形成情報を保持することを禁止する第2消去手段であることが好適である。
【0014】
端末装置が画像形成装置に対してセキュアジョブ情報を送信した後に、画像形成装置の状態が認証手段を備えていない状態から認証手段を備えている状態へ変更される場合がある。例えば、認証手段が画像形成装置に対して着脱可能に構成されている場合であってユーザが端末装置からジョブ情報を送信させた後に認証手段を画像形成装置に装着する場合が考えられる。
【0015】
このような場合、保持手段がセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の少なくとも一部の保持を開始した時点にて画像形成装置が認証手段を備えているか否かを判定するように構成された上述の画像形成装置によれば、保持手段が画像形成情報の少なくとも一部の保持を開始した時点にて画像形成情報が消去されるので、ユーザは認証手段を画像形成装置に装着した後、画像形成情報を再度送信させなければならない。即ち、ユーザの手続きが煩雑となってしまう。
【0016】
そこで、上記構成のように、保持手段がセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の保持を開始してから所定時間が経過した後の時点にて画像形成装置が認証手段を備えているか否かを判定すれば、ユーザがセキュアジョブ情報を送信させた後に画像形成装置の状態を認証手段を備えていない状態から認証手段を備えている状態へ変更することにより画像形成装置に画像形成処理を実行させることが可能となる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0017】
更に、保持手段がセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の保持を開始してから所定時間が経過した後の時点においても画像形成装置が認証手段を備えていない場合には、保持手段に保持された画像形成情報が消去されるので、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0018】
これらの場合、前記保持禁止手段は、前記認証手段を備えていないと判定した場合、前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の消去に先立って、前記保持手段から同画像形成情報が消去される旨を表す第1通知情報を同セキュアジョブ情報を送信した端末装置へ送信する第1送信手段を備えることが好適である。
【0019】
これによれば、ユーザは、保持手段に画像形成情報が保持されなくなる旨(保持手段から画像形成情報が消去される予定である旨)を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0020】
この場合、前記保持禁止手段は、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定したことにより前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報を保持していない状態にあるとき、同画像形成情報を保持していない旨を表す第2通知情報を同セキュアジョブ情報を送信した端末装置へ送信する第2送信手段を備えることが好適である。
【0021】
これによれば、ユーザは、保持手段に画像形成情報が保持されていない旨(保持手段から画像形成情報が消去された旨若しくは保持手段が画像形成情報を保持しなかった旨)を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0022】
この場合、上記画像形成装置は、前記画像形成処理を実行している期間において、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていない状態になったと判定した場合に同画像形成処理の実行を中止させる処理中止手段を備えることが好適である。
【0023】
上述した画像形成装置は、ユーザにより適切な認証用入力情報が入力された時、セキュアジョブ情報に基づく画像形成処理の実行を開始する。ところで、画像形成処理の実行中に、ユーザが画像形成装置の近傍を離れる場合がある。
【0024】
このような場合、上記構成のように、画像形成処理が実行されている期間において画像形成装置が認証手段を備えているか否かを判定し画像形成装置が認証手段を備えていないと判定した場合に画像形成処理の実行を中止させれば、ユーザが画像形成装置の状態を認証手段を備えていない状態へ変更する(例えば、認証手段を画像形成装置から取り外す)ことにより画像形成処理の実行を容易に中止させることができる。
【0025】
従って、ユーザが画像形成情報に基づく画像形成処理の実行中に画像形成装置から離れたい場合に、以降において記録媒体上に形成される予定であった残余の画像が記録媒体上に形成されることをユーザが容易に禁止することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0026】
また、上記保持禁止手段が第1送信手段を備える画像形成装置において、前記保持禁止手段は、前記端末装置から前記第1通知情報に応答して送信された所定の即時処理情報を受信した場合、同第1通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報が消去される前に同セキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するように構成されることが好適である。
【0027】
これによれば、画像形成装置が認証手段を備えていない場合であってもユーザが直ちに画像形成装置の近傍へ移動する予定である等の理由により不特定のユーザによって画像を閲覧される可能性が低いとユーザが判断した場合には、直ちに画像形成処理を実行させることができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。更に、画像形成情報を再度送信する場合よりも通信量を低減することができる。
【0028】
また、上記保持禁止手段が第2送信手段を備える画像形成装置において、前記保持禁止手段は、前記第2通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報であって前記端末装置に保持されていた画像形成情報が同第2通知情報に応答して同端末装置から送信された場合、同送信された画像形成情報に基づく前記画像形成処理を実行するように構成されることが好適である。
【0029】
これによれば、画像形成装置が認証手段を備えていないと判定されたことにより保持手段が画像形成情報を保持していない状態にある場合においても、ユーザが画像形成処理の実行を要求するときには、ユーザが端末装置に画像形成情報を生成させるための操作を再び行うことなく、ユーザが過去に送信したセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報に基づいて画像形成処理を実行させることができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係る画像形成方法は、通信回線を介して端末装置と通信可能に構成された画像形成装置を用いて画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行するための画像形成方法である。
更に、本発明に係る画像形成方法は、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信するステップと、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持手段に保持させるステップと、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記画像形成情報を前記保持手段に保持させることを禁止するステップと、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定するステップと、を含む。
【0031】
一方、本発明に係る画像形成プログラムは、通信回線を介して端末装置と通信可能に構成された画像形成装置により実行されることによって画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行するための画像形成プログラムである。
更に、本発明に係る画像形成プログラムは、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信する手順と、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持手段に保持させる手順と、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記画像形成情報を前記保持手段に保持させることを禁止する手順と、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定する手順と、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る画像形成プログラムを実行する画像形成装置を含む画像形成システムであって本発明に係る画像形成方法を用いる画像形成システムの各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る画像形成システムは、図1に示したように、通信回線(本例では、ローカル・エリア・ネットワーク)10を介して互いに接続された画像形成装置20及び複数の情報処理装置(端末装置)30を備えている。
【0034】
(画像形成装置)
画像形成装置20は、レーザプリンタである。画像形成装置20は、バスを介して互いに接続されたCPU21と、フラッシュ・メモリ22と、保持手段を構成するRAM23と、表示部24と、操作入力部25と、プリンタエンジン部26と、接続インターフェース部27と、受信手段を構成する通信インターフェース部28と、を備えている。
【0035】
CPU21は、所定のプログラムを実行することにより、画像形成装置20の各構成部に種々の指示情報を送るようになっている。
【0036】
フラッシュ・メモリ22は、電源がオン状態である間に情報を保持(記憶)するとともに保持された情報を消去することが可能(読み書き可能)な記憶媒体である。フラッシュ・メモリ22は、電源がオフ状態である間、保持している情報を保持し続けるようになっている。フラッシュ・メモリ22には、画像形成装置20を作動させるためのプログラム等が予め保持されている。
【0037】
RAM23は、読み書き可能な記憶媒体である。RAM23は、電源がオン状態である間にのみ情報を保持できるようになっている。
【0038】
表示部24は、図示しない表示用パネル(本例では、液晶パネル)を含んでいる。表示部24は、CPU21からの指示に応じて、ユーザに情報を通知するメッセージやユーザに情報を入力させる入力欄等を含む画像を表示用パネルに表示させるようになっている。
【0039】
操作入力部25は、図示しない複数のボタンを備えている。操作入力部25は、ボタンが押されることにより、そのボタンに対応する情報が入力されるようになっている。各ボタンに対応する情報は、表示部24により表示される画像と関連づけて設定されている。なお、操作入力部25は、ユーザが表示部24の表示用パネルに直接触ることにより情報が入力されるように構成されていてもよい。
【0040】
プリンタエンジン部26は、レーザ光が照射されることにより周面上に静電潜像が形成される感光体ドラムと、画像形成情報に基づいて感光体ドラムの周面を走査するレーザ光を生成するスキャナユニットと、帯電した現像剤を感光体ドラムの周面に供給する現像剤供給部と、を含んでいる。プリンタエンジン部26は、画像形成情報を受け取ると、受け取った画像形成情報に基づいて記録媒体としての用紙上に現像剤による画像を形成する画像形成処理を実行するようになっている。
【0041】
接続インターフェース部27は、外部機器と通信可能に外部機器を接続(装着)可能なインターフェース(本例では、ユニバーサル・シリアル・バス・インターフェース(USBインターフェース))を備える。
【0042】
通信インターフェース部28は、通信回線10に接続可能なインターフェース(本例では、通信ケーブルを介したインターフェース)を備える。通信インターフェース部28は、通信回線10に接続された状態にて情報処理装置30へ情報を送信するとともに情報処理装置30から情報を受信するようになっている。通信インターフェース部28は、受信した情報を一時的に保持する読み書き可能な記憶媒体であるバッファ用メモリ(図示省略)を備えている。なお、通信インターフェース部28は、通信ケーブルを介することなく無線方式にて通信回線10に接続されるように構成されていてもよい。
【0043】
(認証装置)
更に、画像形成装置20には、認証手段としての認証装置29が着脱可能に装着されるとともにその状態において認証装置29が電気的に接続され得るようになっている。即ち、認証装置29は、画像形成装置20に装着及び接続された状態において、画像形成装置20の表示部24及び操作入力部25の極近傍に配置される。認証装置29は、操作入力部25を介したユーザの指示に応じて、通常モードと、登録モードと、に切り替わるようになっている。
【0044】
認証装置29は、接続インターフェース部29aと、入力情報入力部29bと、認証用情報登録部29cと、認証用情報保持部29dと、識別情報特定部29eと、を備えている。
【0045】
接続インターフェース部29aは、画像形成装置20の接続インターフェース部27に接続(装着)可能になっている。接続インターフェース部29aは、接続インターフェース部27に接続された状態において、認証装置29が接続されていることを画像形成装置20に通知するために、機器に固有の機器識別情報(認証装置29を表す機器識別情報)を所定の時間が経過する毎に画像形成装置20へ送信するようになっている。
【0046】
入力情報入力部29bは、所定の認証用入力情報が入力され得るようになっている。本例では、認証用入力情報は、ICチップを備えるカード(ICカード)に記録された情報である。即ち、本例の入力情報入力部29bは、ICカードが所定の位置に配置されると、そのICカードに記録されている情報を認証用入力情報として読み取るようになっている。入力情報入力部29bは、認証装置29が登録モードである場合に読み取った認証用入力情報を認証用情報登録部29cへ送り、一方、認証装置29が通常モードである場合に読み取った認証用入力情報を識別情報特定部29eへ送るようになっている。
【0047】
認証用情報登録部29cは、認証装置29が登録モードである状態において、表示部24及び操作入力部25を利用してユーザにより入力される認証用識別情報(本例では、複数の文字及び数字を含む記号列からなるユーザID)を接続インターフェース部29aを介して受信し得るようになっている。なお、認証用情報登録部29cは、表示部24及び操作入力部25と独立した入力手段を備え、その入力手段から入力される認証用識別情報を受信し得るように構成されていてもよい。
【0048】
認証用情報登録部29cは、認証用識別情報を受信すると、入力情報入力部29bから認証用入力情報を受け取ることを待機するようになっている。認証用情報登録部29cは、入力情報入力部29bから認証用入力情報が送られると、受け取った認証用入力情報と入力された認証用識別情報とを関連付けて認証用情報保持部29dに保持させるようになっている。
【0049】
識別情報特定部29eは、認証装置29が通常モードである状態において、入力情報入力部29bから認証用入力情報を受け取ると、認証用情報保持部29dに保持されている認証用識別情報の中から、受け取った認証用入力情報に関連付けられて保持されている認証用識別情報を検索することにより同保持されている認証用識別情報の一つを特定するようになっている。
【0050】
識別情報特定部29eは、認証用情報保持部29dに保持されている認証用識別情報の一つが特定された場合に特定された認証用識別情報を認証結果として出力し、一方、保持されている認証用識別情報の一つが特定されなかった場合に認証用識別情報を特定できなかった旨を表す情報を認証結果として出力するようになっている。識別情報特定部29eは、出力された認証結果を接続インターフェース部29aを介して画像形成装置20へ送るようになっている。
【0051】
(情報処理装置)
情報処理装置30は、パーソナル・コンピュータである。情報処理装置30は、バスを介して互いに接続されたCPU31と、ハード・ディスク・ドライブ(HDD)32と、RAM33と、表示部34と、操作入力部35と、通信インターフェース部36と、を備えている。
【0052】
CPU31は、所定のプログラムを実行することにより、情報処理装置30に種々の動作を実行させるようになっている。
【0053】
HDD32は、読み書き可能な記憶媒体である。HDD32は、電源がオフ状態である間、保持している情報を保持し続けるようになっている。HDD32には、情報処理装置30の各構成部が有する基本的な機能(例えば、キーボード及びマウスの操作による情報の入力やディスプレイによる画像の表示等)を実現するためのシステムプログラムを含む種々のプログラムやデータ等が保持されている。これらのプログラムはCPU31により実行される。
【0054】
RAM33は、読み書き可能な記憶媒体である。RAM33は、電源がオン状態である間にのみ情報を保持できるようになっている。
【0055】
表示部34は、表示用パネル(本例では、液晶パネル)を有する図示しないディスプレイを備えている。表示部34は、CPU31からの指示に応じて、ユーザに情報を通知するメッセージやユーザに情報を入力させる入力欄等を含む画像を表示用パネルに表示させるようになっている。
【0056】
操作入力部35は、図示しないキーボード及びマウスを備えている。操作入力部25は、キーボードのキー又はマウスのクリック用ボタンが押される(マウスがクリックされる)ことにより、或いは、マウスが移動させられることにより、表示部34により表示されている画像に応じて各操作に設定されている情報が入力されるようになっている。操作入力部35は、入力された情報をCPU31へ送るようになっている。
【0057】
(作動の概要)
次に、上記のように構成された画像形成システムの作動の概要について説明する。
この画像形成システムの情報処理装置30は、画像形成情報を含むジョブ情報である通常ジョブ情報及びセキュアジョブ情報のいずれか一方をユーザUAの指示に応じて画像形成装置20へ送信する。画像形成装置20は、通常ジョブ情報を受信した場合、直ちに受信した通常ジョブ情報に基づく画像形成処理(印刷)を実行する。
【0058】
画像形成装置20は、セキュアジョブ情報を受信した場合、認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かを判定する。画像形成装置20は、認証装置29が接続されていると判定したとき、受信したセキュアジョブ情報をRAM23に保持させる。その後、ユーザUAが適切な認証用入力情報を認証装置29に入力すると、画像形成装置20は、RAM23に保持されているセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行する。これにより、セキュア印刷が実行される。
【0059】
一方、画像形成装置20は、認証装置29が接続されていないと判定したとき、受信したセキュアジョブ情報をRAM23に保持させない(RAM23が保持することを禁止する)。これにより、画像形成装置20に認証装置29が接続されていない状態(即ち、セキュアジョブ情報に基づく画像形成処理が実行され得ない状態)において、画像形成情報がRAM23に保持され続けることがないので、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0060】
(作動の詳細)
以下、この画像形成システムの作動の詳細について、図2〜図9を参照しながら説明する。
【0061】
先ず、この画像形成システムを利用するユーザUAは、この画像形成システムを利用してセキュア印刷を行う前に認証用入力情報と認証用識別情報とを認証装置29に登録しておく。
【0062】
より具体的に述べると、認証装置29を画像形成装置20に装着及び接続した状態において、ユーザUAは、表示部24及び操作入力部25を利用して、認証装置29を登録モードに設定するとともに認証装置29の認証用情報登録部29cに認証用識別情報CIDA(本例では、複数の記号からなるユーザIDであって情報処理装置30の使用を開始する際にユーザUAにより入力されるユーザID)を入力する。次いで、ユーザUAは、ユーザUAが所有するICカードICAを認証装置29上の所定の位置に配置することにより、ICカードICAに記録されている情報CINAを認証用入力情報CINAとして入力情報入力部29bに読み取らせる。
【0063】
認証装置29の認証用情報登録部29cは、入力情報入力部29bによって読み取られた認証用入力情報CINAと入力された認証用識別情報CIDAとを互いに関連付けて認証用情報保持部29dに保持(記憶)させる。このようにして、認証用入力情報CINAと認証用識別情報CIDAとが認証装置29に登録される。
【0064】
また、画像形成装置20のCPU21は、図2にフローチャートにより示した印刷制御を行うための印刷制御ルーチンの処理を所定時間の経過毎であって同印刷制御ルーチンが実行中でない場合に開始するようになっている。
【0065】
従って、所定のタイミングになると、CPU21は、ステップ200から処理を開始し、ステップ205に進んでジョブ情報の受信を開始したか否かを判定する。この時点では、ジョブ情報の受信は開始していない。従って、CPU21は、ステップ205にて「No」と判定してジョブ情報の受信を開始するまで同ステップ205にて待機する。
【0066】
一方、ユーザUAは、実行中のアプリケーションソフト(例えば、文書作成ソフトや図面作成ソフト等)において所望の画像を印刷するために、キーボード又はマウスを操作することにより印刷を指示する印刷指示情報を入力する(例えば、メニューから印刷を選択する。)。
【0067】
情報処理装置30のCPU31は、印刷指示情報を受け取ると、図3にフローチャートにより示したジョブ情報を送信するためのジョブ情報送信ルーチンの実行を開始するようになっている。従って、CPU31は、ステップ300から処理を開始し、ステップ305に進んで図4に示した印刷実行ダイアログ400を表示部34の表示用パネルに表示させる。
【0068】
印刷実行ダイアログ400には、セキュア印刷指定用チェックボックス401と、印刷ボタン402と、キャンセルボタン403と、が配置されている。
【0069】
セキュア印刷指定用チェックボックス401は、マウスのカーソルが重なって表示された状態にてマウスがクリックされることにより選択状態(チェックされた状態)と非選択状態(チェックされていない状態)とに切り替わるようになっている。以下、表示部34により表示される後述するダイアログ内のチェックボックスも同様に動作する。
【0070】
印刷ボタン402は、マウスのカーソルが重なって表示された状態にてマウスがクリックされることにより押し込まれる動作が表示される(以下、「印刷ボタン402が押し込まれる」とも言う。)ようになっている。キャンセルボタン403も同様に動作する。以下、表示部34により表示される後述するダイアログ内のボタンも同様に動作する。
【0071】
印刷実行ダイアログ400は、印刷ボタン402が押し込まれることにより印刷を実行する旨を表す情報を生成するようになっている。更に、印刷実行ダイアログ400は、印刷ボタン402が押し込まれたとき、セキュア印刷指定用チェックボックス401が選択状態であるときにはセキュア印刷が指定されている旨を表す情報を生成し、一方、非選択状態であるときにはセキュア印刷が指定されていない旨を表す情報を生成するようになっている。
また、印刷実行ダイアログ400は、キャンセルボタン403が押し込まれることにより、印刷を実行しない旨を表す情報を生成するようになっている。
【0072】
次いで、CPU31は、ステップ310に進んでユーザUAが印刷実行ダイアログ400に基づく情報の入力を完了したか否かを判定する。この時点では、印刷実行ダイアログ400が印刷を実行する旨を表す情報及び印刷を実行しない旨を表す情報のいずれも生成していないので、ユーザUAによる情報の入力は完了していない。従って、CPU31は、ステップ310にて「No」と判定してユーザUAによる情報の入力が完了するまで同ステップ310にて待機する。
【0073】
(通常印刷)
先ず、ユーザUAが印刷開始時に所定の認証用入力情報の入力を要求しない印刷(通常印刷)を希望する場合から説明する。この場合、ユーザUAは、セキュア印刷指定用チェックボックス401を選択していない状態にて印刷ボタン402を押し込む。
【0074】
これにより、CPU31は、セキュア印刷が指定されていない旨を表す情報と、印刷を実行する旨を表す情報と、を受け取る。このとき、CPU31は、ステップ310にて「Yes」と判定してステップ315に進み、印刷実行ダイアログ400の表示を終了させるとともに印刷実行ダイアログ400において印刷の実行が選択されたか否か(即ち、印刷ボタン402が押し込まれたのかキャンセルボタン403が押し込まれたのか)を判定する。
【0075】
この状態においては、印刷を実行する旨を表す情報が入力されているので、CPU31は、同ステップ315にて「Yes」と判定してステップ320に進み、画像形成情報を生成する。この画像形成情報は、ユーザUAにより印刷が希望されている画像を表す情報(データ)であって画像形成装置20に同画像を印刷させるために必要な情報である。
【0076】
次いで、CPU31は、ステップ325に進んでセキュア印刷が指定されているか否かを判定する。上述したように、この状態においては、セキュア印刷を指定していない旨を表す情報が入力されているので、CPU31は、ステップ325にて「No」と判定してステップ330に進み、通常印刷用ヘッダ情報を生成する。
【0077】
ここで、通常印刷用ヘッダ情報は、セキュア印刷が指定されていない旨を表すセキュアフラグオフ情報と、ジョブ情報を送信したユーザを識別するためのユーザ識別情報(本例では、情報処理装置30の使用を開始する際にユーザにより入力されるユーザID)と、ジョブ情報を識別するためのジョブ情報識別情報(本例では、情報処理装置30から送信されるジョブ情報に対して付与される一意の番号(シリアル番号))と、ジョブ情報を送信した情報処理装置を画像形成装置20に特定(識別)させるための端末装置識別情報(本例では、IPアドレス)と、からなる。
【0078】
次いで、CPU31は、ステップ335に進んで上記ステップ330にて生成されたヘッダ情報(この場合、通常印刷用ヘッダ情報)の末尾に上記ステップ320にて生成された画像形成情報を付加することによりジョブ情報(この場合、通常ジョブ情報)を生成し、生成したジョブ情報を画像形成装置20へ送信する。そして、CPU31はステップ399に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0079】
これにより、画像形成装置20は、情報処理装置30から送信されたジョブ情報の受信を開始する。従って、画像形成装置20のCPU21は、図2の印刷制御ルーチンのステップ205にて「Yes」と判定してステップ210に進み、ヘッダ情報の受信が完了したか否かを判定する。
【0080】
この時点では、ヘッダ情報の受信は完了していない。従って、CPU21は、ステップ210にて「No」と判定してヘッダ情報の受信が完了するまで同ステップ210にて待機する。
【0081】
そして、ヘッダ情報の受信が完了すると、CPU21は、ステップ210にて「Yes」と判定してステップ215に進み、セキュア印刷が指定されているか否かを判定する。この状態においては、セキュア印刷が指定されていない旨を表すセキュアフラグオフ情報がヘッダ情報に含まれている。
【0082】
従って、CPU21は、ステップ215にて「No」と判定してステップ220に進み、ジョブ情報の受信が完了したか否かを判定する。この時点では、ジョブ情報の受信は完了していない。従って、CPU21は、ステップ220にて「No」と判定してジョブ情報の受信が完了するまで同ステップ220にて待機する。
【0083】
そして、ジョブ情報の受信が完了すると、CPU21は、ステップ220にて「Yes」と判定してステップ225に進み、通信インターフェース部28のバッファ用メモリに保持されている受信したジョブ情報をRAM23に保持させるとともにバッファ用メモリに保持されている情報を消去する。
【0084】
次いで、CPU21は、ステップ230に進んで上記ステップ225にてRAM23に保持させられたジョブ情報に含まれる画像形成情報に基づく画像形成処理を実行させるための指示情報をプリンタエンジン部26に送る。これにより、プリンタエンジン部26は、その画像形成情報に基づく画像形成処理の実行(印刷)を開始する。
【0085】
そして、CPU21は、ステップ235に進んで上記ステップ230にて開始させられた印刷が完了したか否かを判定する。この時点では、印刷は完了していない。従って、CPU21は、ステップ235にて「No」と判定して印刷が完了するまで同ステップ235にて待機する。
【0086】
そして、印刷が完了すると、CPU21は、ステップ235にて「Yes」と判定してステップ240に進み、上記ステップ225にてRAM23に保持させられたジョブ情報(即ち、完了した印刷の基となった画像形成情報を含むジョブ情報)をRAM23から消去する。次いで、CPU21は、ステップ299に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0087】
このように、セキュア印刷が指定されていないジョブ情報(通常ジョブ情報)が送信される(通常印刷が指示される)と、画像形成装置20はジョブ情報を受信した後、直ちに印刷を行う。
【0088】
なお、ユーザUAが図4の印刷実行ダイアログ400のキャンセルボタン403を押し込んだ場合、情報処理装置30のCPU31は、図3のジョブ情報送信ルーチンのステップ315に進んだとき、同ステップ315にて「No」と判定してステップ399に直接進み、ジョブ情報を送信することなく本ルーチンを一旦終了する。これにより、ジョブ情報が送信されないので、印刷は行われない。
【0089】
(セキュア印刷)
次に、ユーザUAがセキュア印刷を希望する場合であって認証装置29が画像形成装置20に接続され続けている場合について説明を続ける。この場合、ユーザUAは、図4の印刷実行ダイアログ400が表示部34の表示用パネルに表示されているときに、セキュア印刷指定用チェックボックス401を選択状態に設定し、その状態にて印刷ボタン402を押し込む。
【0090】
これにより、情報処理装置30のCPU31は、セキュア印刷が指定されている旨を表す情報と、印刷を実行する旨を表す情報と、を受け取る。従って、CPU31が図3のジョブ情報送信ルーチンのステップ325に進んだとき、CPU31は、同ステップ325にて「Yes」と判定してステップ340に進み、セキュア印刷用ヘッダ情報を生成する。
【0091】
ここで、セキュア印刷用ヘッダ情報は、セキュア印刷が指定されている旨を表すセキュアフラグオン情報と、ユーザUAが予め認証装置29に登録した認証用識別情報CIDA(本例では、情報処理装置30の使用を開始する際にユーザにより入力されるユーザID)と、上記ユーザ識別情報(本例では、認証用識別情報と同一のユーザID)と、上記ジョブ情報識別情報(本例では、シリアル番号)と、上記端末装置識別情報(本例では、情報処理装置30のIPアドレス)と、からなる。なお、本例のようにユーザ識別情報が認証用識別情報と同一である場合には、ユーザ識別情報を省略してもよい。
【0092】
次いで、CPU31は、ステップ335に進んで上記ステップ340にて生成されたヘッダ情報(この場合、セキュア印刷用ヘッダ情報)の末尾に上記ステップ320にて生成された画像形成情報を付加することによりジョブ情報(この場合、セキュアジョブ情報)を生成し、生成したジョブ情報を画像形成装置20へ送信する。そして、CPU31はステップ399に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0093】
一方、この時点にて画像形成装置20のCPU21が図2の印刷制御ルーチンの処理を開始してステップ215に進んだとき、CPU21は、同ステップ215にて「Yes」と判定してステップ245に進む。
【0094】
CPU21は、ステップ245にて認証装置29が画像形成装置20に接続されている(即ち、画像形成装置20が認証手段を備えている)か否かを判定する。この状態においては、認証装置29は画像形成装置20に接続されているので、画像形成装置20は、認証装置29から認証装置29を表す機器識別情報を受け取っている。従って、CPU21は、ステップ245にて「Yes」と判定してステップ250に進み、ジョブ情報の受信が完了したか否かを判定する。
【0095】
この時点では、ジョブ情報の受信は完了していない。従って、CPU21は、ステップ250にて「No」と判定してジョブ情報の受信を完了するまで同ステップ250にて待機する。
【0096】
そして、ジョブ情報の受信が完了すると、CPU21は、ステップ250にて「Yes」と判定してステップ255に進み、通信インターフェース部28のバッファ用メモリに保持されている受信したジョブ情報をRAM23に保持させるとともにバッファ用メモリに保持されている情報を消去する。
【0097】
次いで、CPU21は、ステップ260に進んで認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かを判定する。この状態においても、認証装置29は画像形成装置20に接続されている。従って、CPU21は、ステップ260にて「Yes」と判定してステップ299に進み、本ルーチンを一旦終了する。
【0098】
このようにして、ユーザUAが情報処理装置30に送信させたセキュアジョブ情報が画像形成装置20のRAM23に保持される。
【0099】
一方、画像形成装置20のCPU21は、図5にフローチャートにより示したセキュア印刷を制御するためのセキュア印刷制御ルーチンの処理を所定時間の経過毎であって同セキュア印刷制御ルーチンが実行中でない場合に開始するようになっている。
【0100】
従って、所定のタイミングになると、CPU21は、ステップ500から処理を開始してステップ505に進み、認証装置29による認証用識別情報の特定が完了したか否かを判定する。この時点では、認証用識別情報の特定は完了していない。従って、CPU21は、ステップ505にて「No」と判定して認証用識別情報の特定が完了するまで同ステップ505にて待機する。なお、ステップ505の処理が実行されることは、実行決定手段の機能が達成されることに対応している。
【0101】
いま、ユーザUAがジョブIDとして#351〜#355が付与された複数のセキュアジョブ情報を情報処理装置30から画像形成装置20へ送信させた状態において、ジョブIDとして#351〜#353が付与されたセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報に基づく画像形成処理を画像形成装置20に実行させたいと希望する場合について説明を続ける。
【0102】
この場合、ユーザUAは、前記複数のセキュアジョブ情報を情報処理装置30から送信させた後、画像形成装置20に実際に画像形成処理を実行させるために、画像形成装置20に接続された認証装置29に対して認証用入力情報CINAを入力する。
【0103】
より具体的に述べると、ユーザUAは、表示部24及び操作入力部25を利用して、認証装置29を通常モードに設定する。そして、ユーザUAは、ユーザUAが所有するICカードICAを認証装置29上の所定の位置に配置することによりICカードICAに記録されている情報CINAを認証用入力情報CINAとして認証装置29の入力情報入力部29bに読み取らせる。
【0104】
認証装置29の識別情報特定部29eは、認証用情報保持部29dに保持されている認証用識別情報の中から、入力情報入力部29bによって読み取られた認証用入力情報CINAに関連付けて保持されている認証用識別情報を検索することにより同保持されている認証用識別情報の一つ(即ち、ユーザUAが登録した認証用識別情報としてのユーザID)CIDAを特定する。そして、識別情報特定部29eは、特定された認証用識別情報CIDAを認証結果として画像形成装置20へ送る。
【0105】
これにより、画像形成装置20のCPU21は、認証装置29から送られた認証結果を受け取る。従って、CPU21は、図5のセキュア印刷制御ルーチンのステップ505にて「Yes」と判定してステップ510に進み、図6に示したジョブ情報選択ダイアログ600を表示部24の表示用パネルに表示させる。
【0106】
ジョブ情報選択ダイアログ600には、ジョブ指定用チェックボックス601〜605と、選択完了ボタン606と、が配置されている。
【0107】
ジョブ指定用チェックボックス601〜605は、ジョブ指定用チェックボックス601〜605の一つが指定された状態にて操作入力部25の所定のボタンが押されることにより選択状態(チェックされた状態)と非選択状態(チェックされていない状態)とに切り替わるようになっている。以下、表示部24により表示される後述するダイアログ内のチェックボックスも同様に動作する。
【0108】
選択完了ボタン606は、選択完了ボタン606が指定された状態にて操作入力部25の所定のボタンが押されることにより押し込まれる動作が表示される(以下、「選択完了ボタン606が押し込まれる」とも言う。)ようになっている。以下、表示部24により表示される後述するダイアログ内のボタンも同様に動作する。
【0109】
ジョブ情報選択ダイアログ600は、選択完了ボタン606が押し込まれることにより選択状態にあるジョブ指定用チェックボックス601〜605に対応するジョブIDが選択された旨を表す情報を生成するようになっている。
【0110】
次いで、CPU21は、ステップ515に進んでユーザUAがジョブ情報選択ダイアログ600に基づく情報の入力を完了したか否かを判定する。この時点では、ジョブ情報選択ダイアログ600がジョブIDが選択された旨を表す情報を生成していないので、ユーザUAによる情報の入力は完了していない。従って、CPU21は、ステップ515にて「No」と判定してユーザUAによる情報の入力が完了するまで同ステップ515にて待機する。
【0111】
一方、ユーザUAは、印刷の実行を希望するジョブID(#351〜#353)に対応するジョブ指定用チェックボックス601〜603を選択状態に設定した後、選択完了ボタン606を押し込む。
【0112】
これにより、CPU21は、選択状態にあるジョブ指定用チェックボックス601〜603に対応するジョブID(#351〜#353)が選択された旨を表す情報を受け取る。従って、CPU21は、ステップ515にて「Yes」と判定してステップ520に進み、ジョブ情報選択ダイアログ600の表示を終了させるとともにRAM23に保持されているセキュアジョブ情報のうちの特定された認証用識別情報CIDAを含み且つ選択されたジョブID(#351〜#353)を含むセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報に基づく画像形成処理を実行させるための指示情報をプリンタエンジン部26に送る。これにより、プリンタエンジン部26は、その画像形成情報に基づく画像形成処理の実行(印刷)を開始する。
【0113】
そして、CPU21は、ステップ525に進んで認証装置29が接続されているか否かを判定する。この状態においては、認証装置29は接続されている。従って、CPU21は、ステップ525にて「Yes」と判定してステップ530に進み、ジョブID(#351〜#353)を含むセキュアジョブ情報に基づくすべての印刷が完了したか否かを判定する。この時点では、すべての印刷は完了していない。従って、CPU21は、ステップ530にて「No」と判定して上記ステップ525及び同ステップ530の処理をすべての印刷が完了するまで繰り返す。
【0114】
そして、すべての印刷が完了すると、CPU21は、ステップ530にて「Yes」と判定してステップ535に進み、RAM23に保持されているジョブ情報のうちの完了した印刷の基となった画像形成情報を含むセキュアジョブ情報(特定された認証用識別情報CIDAを含み且つ選択されたジョブID(#351〜#353)を含むセキュアジョブ情報)をRAM23から消去する。次いで、CPU21は、ステップ599に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0115】
このように、認証装置29が画像形成装置20に接続されている場合、ユーザUAがセキュアジョブ情報を画像形成装置20へ送信すると、画像形成装置20は、セキュアジョブ情報を保持した状態にて待機する。そして、ユーザUAがICカードICAを用いて認証用入力情報CINAを認証装置29に入力し、その認証用入力情報CINAが認証装置29によって登録されていることが認識されると印刷が実行される。従って、ユーザUAが画像形成装置20の近傍にいるときにのみ、そのセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理(印刷)が行われる(セキュア印刷が行われる)ので、記録媒体上に形成された画像が不特定のユーザにより閲覧されることを防止することができる。
【0116】
(認証装置が接続されていない状態にてセキュアジョブ情報が送信された場合)
次に、認証装置29が画像形成装置20に接続されていない状態においてユーザUAがセキュアジョブ情報を情報処理装置30から送信させた場合について説明を続ける。
【0117】
この場合、画像形成装置20のCPU21が図2の印刷制御ルーチンのステップ245に進んだとき、CPU21は、同ステップ245にて「No」と判定してステップ265に進む。
【0118】
CPU21は、ステップ265にて受信したセキュアジョブ情報を保持していない旨を表す第2通知情報としての非記憶通知情報を、受信したヘッダ情報に含まれる端末装置識別情報に基づいて特定される情報処理装置30へ送信する。なお、ステップ265の処理が実行されることは、第2送信手段の機能が達成されることに対応している。
【0119】
そして、CPU21は、受信したセキュアジョブ情報をRAM23に保持することなくステップ299に進んで本ルーチンを一旦終了する。即ち、受信したセキュアジョブ情報がRAM23に保持されることが禁止される。なお、ステップ245の処理において「No」と判定された場合には受信したセキュアジョブ情報がRAM23に保持されないから、この画像形成装置20は、受信時保持禁止手段(即ち、保持禁止手段)を備えていることになる。
【0120】
一方、情報処理装置30のCPU31は、図示しない非記憶通知情報表示ルーチンを実行することにより非記憶通知情報を受信したとき、図7に示した非記憶通知ダイアログ700を表示部34の表示用パネルに表示させる。
【0121】
非記憶通知ダイアログ700には、画像形成情報が保持されなかった旨を表すメッセージ701と、OKボタン702と、が配置されている。これにより、ユーザは、RAM23に画像形成情報が保持されていない旨を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0122】
非記憶通知ダイアログ700は、OKボタン702が押し込まれることによりユーザによりメッセージ701が確認された旨を表す情報を生成するようになっている。
CPU31は、ユーザによりメッセージ701が確認された旨を表す情報を受け取ると非記憶通知ダイアログ700の表示を終了させる。
【0123】
このように、画像形成装置20は、認証装置29が画像形成装置20に接続されていない状態においてセキュアジョブ情報を受信すると、受信したセキュアジョブ情報をRAM23に保持しない。
【0124】
これにより、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合(画像形成装置20に認証装置29が接続されていない場合)に、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0125】
更に、画像形成装置20が認証手段を備えていない状態においてセキュアジョブ情報の受信を開始した場合、受信しているセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報はRAM23に保持されない。これにより、RAM23の記憶領域が無駄に使用されることを回避することができる。
【0126】
(ジョブ情報の受信が完了した直後に認証装置が接続されなくなった場合)
次に、画像形成装置20がセキュアジョブ情報の受信を完了した直後に認証装置29が画像形成装置20から取り外された場合について説明する。
【0127】
上記仮定に従えば、画像形成装置20のCPU21が図2の印刷制御ルーチンのステップ260に進んだとき、CPU21は、同ステップ260にて「No」と判定してステップ270に進む。
【0128】
CPU21は、ステップ270にて、第1通知情報としての選択要求情報を、上記ステップ250にて受信を完了したセキュアジョブ情報に含まれる端末装置識別情報に基づいて特定される情報処理装置30へ送信する。この選択要求情報は、RAM23から上記受信を完了したセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報が消去される旨を表すとともにユーザによる所定の選択を要求する旨を表す情報である。更に、選択要求情報は、上記受信したセキュアジョブ情報に含まれる認証用識別情報及びジョブ情報識別情報を含む。なお、ステップ270の処理が実行されることは、第1送信手段の機能が達成されることに対応している。
【0129】
次いで、CPU21は、ステップ275に進み、選択要求情報に基づいて情報処理装置30から送信される選択情報の受信が完了したか否かを判定する。この時点では、選択情報の受信は完了していない。従って、CPU21は、ステップ275にて「No」と判定して選択情報の受信が完了するまで同ステップ275にて待機する。
【0130】
一方、情報処理装置30のCPU31は、図8にフローチャートにより示した選択情報を送信するための選択情報送信ルーチンの処理を所定時間の経過毎であって同選択情報送信ルーチンが実行中でない場合に開始するようになっている。
【0131】
従って、所定のタイミングになると、CPU31は、ステップ800から処理を開始してステップ805に進み、選択要求情報を受信したか否かを判定し、選択要求情報を受信するまで同ステップ805にて待機する。
【0132】
このとき、画像形成装置20が図2のステップ270の処理を実行すると、情報処理装置30は、選択要求情報を受信する。従って、情報処理装置30のCPU31は、上記ステップ805にて「Yes」と判定してステップ810に進み、図9に示した選択ダイアログ900を表示部34の表示用パネルに表示させる。
【0133】
選択ダイアログ900には、RAM23から画像形成情報が消去される旨を表すメッセージ901と、即時印刷ボタン902と、データ消去ボタン903と、が配置されている。これにより、ユーザは、RAM23に画像形成情報が保持されなくなる旨を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0134】
選択ダイアログ900は、即時印刷ボタン902が押し込まれることにより、直ちに印刷を行う旨を表す情報を生成するようになっている。一方、選択ダイアログ900は、データ消去ボタン903が押し込まれることにより、印刷を行うことなく直ちにジョブ情報を消去する旨を表す情報を生成するようになっている。
【0135】
次いで、CPU31は、ステップ815に進んでユーザUAが選択ダイアログ900に基づく情報の入力を完了したか否かを判定する。この時点では、選択ダイアログ900がいずれの情報も生成していないので、ユーザUAによる情報の入力は完了していない。従って、CPU31は、ステップ815にて「No」と判定してユーザUAによる情報の入力が完了するまで同ステップ815にて待機する。
【0136】
(即時印刷が選択された場合)
先ず、ユーザUAが、直ちに画像形成装置20の近傍へ移動する予定である等の理由により、直ちに印刷を行うことを希望する場合から説明する。この場合、ユーザUAは即時印刷ボタン902を押し込む。
【0137】
これにより、CPU31は、直ちに印刷を行う旨を表す情報を受け取る。従って、CPU31は、ステップ815にて「Yes」と判定してステップ820に進み、選択ダイアログ900の表示を終了させるとともに選択ダイアログ900において即時印刷が選択されたか否か(即ち、即時印刷ボタン902が押し込まれたのかデータ消去ボタン903が押し込まれたのか)を判定する。
【0138】
この状態においては、直ちに印刷を行う旨を表す情報が入力されているので、CPU31は、ステップ820にて「Yes」と判定してステップ825に進み、即時印刷用選択情報を選択情報として生成し、生成された選択情報を画像形成装置20へ送信する。即ち、選択情報は第1通知情報に応答して送信される。ここで、即時印刷用選択情報は、直ちに画像形成処理を行う旨を表す即時処理情報である。更に、即時印刷用選択情報は、受信した選択要求情報に含まれる認証用識別情報及びジョブ情報識別情報を含む。そして、CPU31はステップ899に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0139】
これにより、画像形成装置20は選択情報を受信する。従って、画像形成装置20のCPU21は、上記ステップ275にて「Yes」と判定してステップ280に進み、受信した選択情報が即時印刷用選択情報であるか否かを判定する。
【0140】
この状態においては、受信した選択情報は、即時印刷用選択情報である。従って、CPU21は、ステップ280にて「Yes」と判定してステップ285に進み、RAM23に保持されているセキュアジョブ情報のうちの認証用識別情報が即時印刷用選択情報に含まれる認証用識別情報と一致し且つジョブ情報識別情報が即時印刷用選択情報に含まれるジョブ情報識別情報と一致するセキュアジョブ情報(第1通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報)に含まれる画像形成情報に基づく画像形成処理を実行させるための指示情報をプリンタエンジン部26に送る。これにより、プリンタエンジン部26は、その画像形成情報に基づく画像形成処理の実行(印刷)を開始する。
【0141】
そして、CPU21は、ステップ290に進んで印刷が完了したか否かを判定する。この時点では、印刷は完了していない。従って、CPU21は、ステップ290にて「No」と判定して印刷が完了するまで同ステップ290にて待機する。
【0142】
そして、印刷が完了すると、CPU21は、ステップ290にて「Yes」と判定してステップ295に進み、RAM23に保持されているセキュアジョブ情報のうちの完了した印刷の基となった画像形成情報を含むセキュアジョブ情報をRAM23から消去する。
次いで、CPU21は、ステップ299に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0143】
このように、画像形成装置20は、情報処理装置30から選択要求情報に応答して送信された即時印刷用選択情報を受信した場合、同選択要求情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報が消去される前に同セキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行する。
【0144】
これにより、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合(画像形成装置20に認証装置29が接続されていない場合)であってもユーザUAが直ちに画像形成装置20の近傍へ移動する予定である等の理由により不特定のユーザによって画像を閲覧される可能性が低いとユーザUAが判断した場合には、直ちに画像形成処理を実行させることができる。即ち、ユーザUAの利便性を向上させることができる。更に、画像形成情報を再度送信する場合よりも通信量を低減することができる。
【0145】
(データ消去が選択された場合)
次に、ユーザUAが印刷を行うことなく直ちにジョブ情報を消去することを希望する場合について説明する。この場合、ユーザUAはデータ消去ボタン903を押し込む。
【0146】
これにより、CPU31は、印刷を行うことなく直ちにジョブ情報を消去する旨を表す情報を受け取る。従って、CPU31がステップ820に進んだとき、CPU31は、同ステップ820にて「No」と判定してステップ830に進み、情報消去用選択情報を生成し、生成された選択情報を画像形成装置20へ送信する。この情報消去用選択情報は、直ちにジョブ情報を消去する旨を表す情報である。更に、情報消去用選択情報は、受信した選択要求情報に含まれる認証用識別情報及びジョブ情報識別情報を含む。そして、CPU31はステップ899に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0147】
この場合、画像形成装置20のCPU21が上記ステップ280に進んだとき、CPU21は、同ステップ280にて「No」と判定してステップ295に直接進み、印刷を行うことなくRAM23に保持されているセキュアジョブ情報のうちの認証用識別情報が情報消去用選択情報に含まれる認証用識別情報と一致し且つジョブ情報識別情報が情報消去用選択情報に含まれるジョブ情報識別情報と一致するセキュアジョブ情報をRAM23から消去する。即ち、受信したセキュアジョブ情報がRAM23に保持されることが禁止される。なお、ステップ260及びステップ295の処理が実行されることは、第1消去手段(即ち、保持禁止手段)の機能が達成されることに対応している。次いで、CPU21は、ステップ299に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0148】
これにより、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合に、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0149】
(セキュア印刷中に認証装置が取り外された場合)
次に、画像形成装置20がセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理(セキュア印刷)を行っている間に認証装置29が画像形成装置20から取り外された場合について説明を続ける。
【0150】
この場合、画像形成装置20のCPU21が図5のセキュア印刷制御ルーチンのステップ525に進んだとき、CPU21は、同ステップ525にて「No」と判定してステップ540に進み、セキュアジョブ情報に基づく画像形成処理(セキュア印刷)を中止させるための指示情報をプリンタエンジン部26に送る。これにより、プリンタエンジン部26は、実行中の画像形成処理(セキュア印刷)を中止する。なお、ステップ525及びステップ540の処理が実行されることは、処理中止手段の機能が達成されることに対応している。
【0151】
そして、CPU21は、ステップ535に進んでRAM23に保持されているセキュアジョブ情報のうちの中止された印刷の基となった画像形成情報を含むセキュアジョブ情報をRAM23から消去する。次いで、CPU21は、ステップ599に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0152】
このように、ユーザUAが画像形成装置20から認証装置29を取り外すことにより画像形成処理の実行を容易に中止させることができる。従って、ユーザUAが画像形成情報に基づく画像形成処理の実行中に画像形成装置20から離れたい場合に、以降において記録媒体上に形成される予定であった残余の画像が記録媒体上に形成されることをユーザUAが容易に禁止することができるので、ユーザUAの利便性を向上させることができる。
【0153】
以上、説明したように、本発明に係る画像形成システムの第1実施形態によれば、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合に、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0154】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成システムについて説明する。第2実施形態に係る画像形成システムは、上記第1実施形態に係る画像形成システムに対して、セキュアジョブ情報を保持した時点にて認証装置29が接続されていないと判定された場合であっても同セキュアジョブ情報の保持を継続し、その判定した時点から所定時間が経過した時点にて認証装置29がなお接続されていないと判定された場合に同セキュアジョブ情報を消去する点のみにおいて相違している。従って、以下、かかる相違点を中心として説明する。
【0155】
この第2実施形態に係る画像形成装置20のCPU21は、第1実施形態に係る図2の印刷制御ルーチンに代えて、図10にフローチャートにより示した印刷制御ルーチンを実行するようになっている。この印刷制御ルーチンは、図2の印刷制御ルーチンからステップ245の処理及びステップ265の処理を除くとともに図2の印刷制御ルーチンのステップ260の処理とステップ270の処理との間に図10に示したステップ1005からステップ1020までの各処理を追加したルーチンである。
【0156】
従って、情報処理装置30から画像形成装置20へセキュアジョブ情報が送信された場合に画像形成装置20のCPU21が図10の印刷制御ルーチンの処理を開始すると、CPU21は、上記図2の印刷制御ルーチンを実行した場合に実行されていた上記ステップ245の処理を実行することなくステップ255に進んで、受信したセキュアジョブ情報をRAM23に保持させる。即ち、CPU21は、認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かを判定することなくセキュアジョブ情報をRAM23に保持させる。
【0157】
そして、CPU21は、ステップ260に進んで初めて認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かを判定する。そのとき、認証装置29が画像形成装置20に接続されていない場合、CPU21は、同ステップ260にて「No」と判定してステップ1005に進む。
【0158】
CPU21は、ステップ1005にて、保持しているセキュアジョブ情報が消去される旨を表す第1通知情報としての消去予定通知情報を、前記保持したセキュアジョブ情報に含まれる端末装置識別情報に基づいて特定される情報処理装置30へ送信する。なお、ステップ1005の処理が実行されることは、第1送信手段の機能が達成されることに対応している。
【0159】
次いで、CPU21は、ステップ1010に進んでタイマTを開始させる。即ち、タイマTの値を「0」にリセットする。これにより、タイマTは、セキュアジョブ情報の全部がRAM23に保持されてから最初に認証装置29が画像形成装置20に接続されていないと判定された時点から経過した時間を表す。
【0160】
そして、CPU21は、ステップ1015に進んで認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かを判定する。この状態においては、認証装置29は画像形成装置20に接続されていない。従って、CPU21は、ステップ1015にて「No」と判定してステップ1020に進み、タイマTが予め設定された待機時間(所定時間)Tth(本例では、10分)よりも長いか否かを判定する。
【0161】
この時点では、タイマTは、待機時間Tthよりも短い。従って、CPU21は、ステップ1020にて「No」と判定してステップ1015に再び進む。CPU21は、認証装置29が画像形成装置20に接続されず、且つ、タイマTが待機時間Tth以下である限り、ステップ1015の処理及びステップ1020の処理を上述した場合と同様に繰り返し実行する。
【0162】
一方、情報処理装置30のCPU31は、図示しない消去予定通知情報表示ルーチンを実行することにより消去予定通知情報を受信したとき、図11に示した消去予定通知ダイアログ1100を表示部34の表示用パネルに表示させる。
【0163】
消去予定通知ダイアログ1100には、画像形成情報が消去される旨を表すメッセージ1101と、OKボタン1102と、が配置されている。これにより、ユーザUAは、画像形成情報がRAM23から消去される旨を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザUAの利便性を向上させることができる。
【0164】
消去予定通知ダイアログ1100は、OKボタン1102が押し込まれることによりユーザUAによりメッセージ1101が確認された旨を表す情報を生成するようになっている。CPU31は、ユーザUAによりメッセージ1101が確認された旨を表す情報を受け取ると消去予定通知ダイアログ1100の表示を終了させる。
【0165】
この状態において、セキュアジョブ情報がRAM23に保持されてから最初に認証装置29が画像形成装置20に接続されていないと判定された時点から上記待機時間Tthが経過する前に認証装置29が画像形成装置20に接続される場合について説明する。
【0166】
この場合、認証装置29が画像形成装置20に接続された時点にてCPU21がステップ1015に進んだとき、CPU21は、ステップ1015にて「Yes」と判定してステップ299へ直接進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、RAM23に保持されたセキュアジョブ情報は、RAM23から消去されることなくRAM23に保持され続ける。従って、上述したように、ユーザUAは、認証装置29に対して認証用入力情報CINAを入力することにより、画像形成装置20にそのセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行させることができる。
【0167】
他方、セキュアジョブ情報がRAM23に保持されてから最初に認証装置29が画像形成装置20に接続されていないと判定された時点から上記待機時間Tthが経過しても認証装置29が画像形成装置20に接続されなかった場合について説明する。
【0168】
この場合、タイマTが上記待機時間Tthよりも長くなった時点にてCPU21がステップ1020に進んだとき、CPU21は、ステップ1020にて「Yes」と判定してステップ270以降のステップに進む。これにより、CPU21は、情報処理装置30へ選択要求情報を送信し、情報処理装置30から即時印刷用選択情報を受信した場合には印刷を行った後にセキュアジョブ情報をRAM23から消去し、一方、情報消去用選択情報を受信した場合には印刷を行うことなくセキュアジョブ情報をRAM23から消去して本ルーチンを一旦終了する。なお、ステップ1010、ステップ1015及びステップ1020の処理が実行されることは、第2消去手段の機能の一部が達成されることに対応している。
【0169】
以上、説明したように、本発明に係る画像形成システムの第2実施形態によれば、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合、セキュアジョブ情報がRAM23に保持されてから所定時間(待機時間)Tth後に、保持されているセキュアジョブ情報がRAM23から消去される。これにより、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。
【0170】
更に、上記第2実施形態によれば、ユーザUAがセキュアジョブ情報を送信させた時点においては認証装置29が画像形成装置20に接続されていない場合であっても、ユーザUAがセキュアジョブ情報を送信させた時点から所定時間が経過するまでに、画像形成装置20に認証装置29を接続する(即ち、画像形成装置20の状態を認証手段を備えていない状態から認証手段を備えている状態へ変更する)ことにより画像形成装置20に画像形成処理を実行させることが可能となる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0171】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成システムについて説明する。第3実施形態に係る画像形成システムは、上記第1実施形態に係る画像形成システムに対して、認証装置29が画像形成装置20に接続されていないと判定されたことによりセキュアジョブ情報がRAM23から消去された場合にユーザの指示に応じて情報処理装置30がセキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信するように構成されている点のみにおいて相違している。従って、以下、かかる相違点を中心として説明する。
【0172】
この第3実施形態に係る情報処理装置30のCPU31は、第1実施形態に係る図3のジョブ情報送信ルーチンに代えて、図12にフローチャートにより示したジョブ情報送信ルーチンを実行するようになっている。このジョブ情報送信ルーチンは、図3のジョブ情報送信ルーチンのステップ340の処理とステップ335の処理との間に図12に示したステップ1205の処理を追加したルーチンである。
【0173】
従って、ユーザUAがセキュア印刷を希望する場合、CPU31が上記ジョブ情報送信ルーチンの処理を開始してステップ340にてセキュア印刷用ヘッダ情報を生成した後、CPU31は、ステップ1205に進んで上記ステップ340にて生成されたヘッダ情報(この場合、セキュア印刷用ヘッダ情報)の末尾に上記ステップ320にて生成された画像形成情報を付加することによりジョブ情報(この場合、セキュアジョブ情報)を生成し、生成したジョブ情報をRAM33に保持させる。
【0174】
次いで、CPU31は、ステップ335に進んで、上記ステップ1205にて生成したジョブ情報を画像形成装置20へ送信した後、上記ジョブ情報送信ルーチンを一旦終了する。
【0175】
更に、CPU31は、図13にフローチャートにより示したセキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信するための変更送信ルーチンの処理を所定時間の経過毎であって同変更送信ルーチンが実行中でない場合に開始するようになっている。
【0176】
従って、所定のタイミングになると、CPU31は、ステップ1300から処理を開始してステップ1305に進み、後述する消去完了通知情報を受信したか否かを判定する。現時点が上記ステップ335の処理によってジョブ情報を画像形成装置20へ送信した直後であるとすると、消去完了通知情報は受信されていない。従って、CPU31は、ステップ1305にて「No」と判定して消去完了通知情報を受信するまで同ステップ1305にて待機する。
【0177】
一方、この第3実施形態に係る画像形成装置20のCPU21は、第1実施形態に係る図2の印刷制御ルーチンに代えて、図14にフローチャートにより示した印刷制御ルーチンを実行するようになっている。この印刷制御ルーチンは、図2の印刷制御ルーチンからステップ245の処理及びステップ265の処理を除くとともに図2の印刷制御ルーチンのステップ270からステップ295までの処理を図14に示したステップ1405及びステップ1410の処理に置換したルーチンである。
【0178】
従って、セキュアジョブ情報の全部がRAM23に保持された時点にて認証装置29が画像形成装置20に接続されていない場合、CPU21が上記印刷制御ルーチンの処理を開始してステップ260に進んだとき、CPU21は、同ステップ260にて「No」と判定してステップ1405に進む。
【0179】
CPU21は、ステップ1405にて、第2通知情報としての消去完了通知情報を、受信したヘッダ情報に含まれる端末装置識別情報に基づいて特定される情報処理装置30へ送信する。この消去完了通知情報は、セキュアジョブ情報の消去が完了した旨を表す情報である。更に、消去完了通知情報は、上記ステップ255にて保持されたセキュアジョブ情報に含まれるジョブ情報識別情報を含む。なお、ステップ1405の処理が実行されることは、第2送信手段の機能が達成されることに対応している。
【0180】
次いで、CPU21は、ステップ1410に進んで上記ステップ255にて保持されたセキュアジョブ情報をRAM23から消去する。これにより、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合に、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。その後、CPU21は、ステップ299へ直接進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0181】
これにより、情報処理装置30は、消去完了通知情報を受信する。従って、情報処理装置30のCPU31は、上記ステップ1305にて「Yes」と判定してステップ1310に進み、図15に示した変更送信実行ダイアログ1500を表示部34の表示用パネルに表示させる。
【0182】
変更送信実行ダイアログ1500には、RAM23から画像形成情報が消去された旨を表すメッセージ1501と、変更送信ボタン1502と、キャンセルボタン1503と、が配置されている。これにより、ユーザは、RAM23に画像形成情報が保持されていない旨を知ることができるので、その状況に対して迅速に対処することができる。即ち、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0183】
変更送信実行ダイアログ1500は、変更送信ボタン1502が押し込まれることにより、セキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信する旨を表す情報を生成するようになっている。一方、変更送信実行ダイアログ1500は、キャンセルボタン1503が押し込まれることにより、ジョブ情報を再送信しない旨を表す情報を生成するようになっている。
【0184】
次いで、CPU31は、ステップ1315に進んでユーザUAが変更送信実行ダイアログ1500に基づく情報の入力を完了したか否かを判定する。この時点では、変更送信実行ダイアログ1500がいずれの情報も生成していないので、ユーザUAによる情報の入力は完了していない。従って、CPU31は、ステップ1315にて「No」と判定してユーザUAによる情報の入力が完了するまで同ステップ1315にて待機する。
【0185】
(変更送信が選択された場合)
先ず、ユーザUAが、直ちに画像形成装置20の近傍へ移動する予定である等の理由により、セキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信することを希望する場合から説明する。この場合、ユーザUAは変更送信ボタン1502を押し込む。
【0186】
これにより、CPU31は、セキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信する旨を表す情報を受け取る。従って、CPU31は、ステップ1315にて「Yes」と判定してステップ1320に進み、変更送信実行ダイアログ1500の表示を終了させるとともに変更送信実行ダイアログ1500において変更送信の実行が選択されたか否か(即ち、変更送信ボタン1502が押し込まれたのかキャンセルボタン1503が押し込まれたのか)を判定する。
【0187】
この状態においては、セキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信する旨を表す情報が入力されているので、CPU31は、同ステップ1320にて「Yes」と判定してステップ1325に進み、通常印刷用ヘッダ情報を生成する。
【0188】
次いで、CPU31は、ステップ1330に進んで上記ステップ1325にて生成されたヘッダ情報(この場合、通常印刷用ヘッダ情報)の末尾に、RAM33に保持されているセキュアジョブ情報のうちの「上記ステップ1305にて受信した消去完了通知情報に含まれるジョブ情報識別情報を含むセキュアジョブ情報」中の画像形成情報(第2通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報)を付加することによりジョブ情報(この場合、通常ジョブ情報)を生成し、生成したジョブ情報を画像形成装置20へ送信する。即ち、通常ジョブ情報は第2通知情報に応答して送信される。
【0189】
そして、CPU31は、ステップ1335に進んでRAM33に保持されているセキュアジョブ情報のうちの上記ステップ1305にて受信した消去完了通知情報に含まれるジョブ情報識別情報を含むセキュアジョブ情報を、RAM33から消去する。その後、CPU31はステップ1399に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これにより、画像形成装置20は、上述したように、通常ジョブ情報を受信し、受信した通常ジョブ情報に含まれる画像形成情報に基づく画像形成処理を実行する。
【0190】
このように、情報処理装置30は、セキュアジョブ情報を送信するとき、送信するセキュアジョブ情報をRAM33に保持する。そして、情報処理装置30は、消去完了通知情報を受信したとき、RAM33に保持しているセキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して画像形成装置20へ送信できるようになっている。
【0191】
これにより、画像形成装置20が認証手段を備えていないと判定されたことによりRAM23が画像形成情報を保持していない状態にある場合においても、ユーザUAが画像形成処理の実行を要求するときには、ユーザUAが情報処理装置30に画像形成情報を生成させるための操作を再び行うことなく、ユーザUAが過去に送信したセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報に基づいて画像形成処理を実行させることができる。即ち、ユーザUAの利便性を向上させることができる。
【0192】
(キャンセルが選択された場合)
次に、ユーザUAがセキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信することを希望しない場合について説明する。この場合、ユーザUAはキャンセルボタン1503を押し込む。
【0193】
これにより、CPU31は、ジョブ情報を再送信しない旨を表す情報を受け取る。従って、CPU31がステップ1320に進んだとき、CPU31は、同ステップ1320にて「No」と判定してステップ1335に進み、RAM33に保持されているセキュアジョブ情報のうちの上記ステップ1305にて受信した消去完了通知情報に含まれるジョブ情報識別情報を含むセキュアジョブ情報をRAM33から消去する。そして、CPU31はステップ1399に進んで本ルーチンを一旦終了する。
【0194】
以上、説明したように、本発明に係る画像形成システムの第3実施形態によっても、画像形成装置20が認証手段を備えていない場合に、画像形成情報がRAM23に保持され続けることを回避することができる。この結果、不特定のユーザが画像形成情報を不正に取得する可能性を極めて低くすることができる。従って、不特定のユーザにより画像が閲覧される可能性を極めて低くすることができる。また、ユーザUAが過去に送信したセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報に基づいて画像形成処理を実行させることができるので、ユーザUAの利便性を向上させることができる。
【0195】
更に、上記第3実施形態によれば、セキュアジョブ情報の全部の保持が開始した直後に認証装置29が画像形成装置20に接続されているか否かが判定され、認証装置29が画像形成装置20に接続されていないと判定された場合には保持されているセキュアジョブ情報は直ちにRAM23から消去される。従って、画像形成装置20が認証手段を備えていない状態においてRAM23がセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の全部の保持を開始した場合であっても、画像形成情報が保持されている期間を極めて短くすることができる。この結果、無駄に使用されているRAM23の記憶領域を早期に解放することができる。
【0196】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態の認証手段は、画像形成装置20に着脱可能に構成された認証装置29であったが、画像形成装置20に接続された状態においてその機能を達成可能な状態(オン状態)と同機能を達成不能な状態(オフ状態)とに切り替え可能に構成された認証装置であってもよい。
【0197】
例えば、認証装置はスイッチを備えていてもよく、そのスイッチの状態に応じてオン状態とオフ状態とに切り替えられるようになっていてもよい。また、認証装置は所定のプログラムを実行することにより認証手段の機能を達成するように構成されていてもよく、そのプログラムを実行している状態(即ち、オン状態)と実行していない状態(即ち、オフ状態)とに切り替えられるようになっていてもよい。なお、オフ状態は、認証装置の故障によりその機能を達成不能な場合を含んでいてもよい。
【0198】
このような場合、上記各実施形態の画像形成装置20は、認証装置がオン状態にあるときに画像形成装置20が認証手段を備えている状態であると判定し、認証装置がオフ状態にあるときに画像形成装置20が認証手段を備えていない状態であると判定するように構成される。
【0199】
また、上記各実施形態の認証装置29は、画像形成装置20の一部(CPU21やRAM23等)を利用して情報の処理及び保持を行うように構成されていてもよい。
【0200】
更に、上記各実施形態においては、認証用入力情報は、ICカードに記録された情報であったが、顔の形、指紋又は静脈の形状等の生体情報であってもよく、複数の文字及び数字を含む記号列からなるパスワードであってもよい。
【0201】
加えて、上記各実施形態においては、図5及び図6を用いて説明したように、ユーザが認証用入力情報を入力することにより入力された認証用入力情報に対応する認証用識別情報を含むセキュアジョブ情報の一覧が表示され、表示されたセキュアジョブ情報の中から実際に印刷を開始するセキュアジョブ情報をユーザに選択させるように構成されていた。
【0202】
これに代えて、上記各実施形態は、任意のユーザから送信され且つ保持されているセキュアジョブ情報のすべての一覧を表示し、表示したセキュアジョブ情報の中からユーザが実際に印刷を開始させたいセキュアジョブ情報をユーザに選択させ、選択されたセキュアジョブ情報に含まれる認証用識別情報に対応する認証用入力情報をユーザに入力させることにより印刷を開始するように構成されていてもよい。
【0203】
また、上記各実施形態において、画像形成装置20は、セキュアジョブ情報の受信が完了した後に、受信したセキュアジョブ情報の全部を保持し、その後、認証装置29が接続されているか否かを判定するように構成されていた(ステップ260)。これに代えて、上記各実施形態の画像形成装置20は、セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の一部を受信した時点にて、受信した画像形成情報の一部を保持し、その後、認証装置29が接続されているか否かを判定するように構成されていてもよい。この場合、画像形成装置20は、認証装置29が接続されていないと判定されたとき、保持している画像形成情報の一部を消去するとともに以降において受信される画像形成情報の残余の部分を保持しないように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成システムの概略構成を表すブロック図である。
【図2】図1に示した画像形成装置のCPUが実行するプログラムであって印刷制御を行うためのプログラムを示したフローチャートである。
【図3】図1に示した情報処理装置のCPUが実行するプログラムであってジョブ情報を送信するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図4】図1に示した情報処理装置の表示部に表示される画像であって印刷を実行するか否かの選択をユーザに促す画像を示した図である。
【図5】図1に示した画像形成装置のCPUが実行するプログラムであってセキュア印刷制御を行うためのプログラムを示したフローチャートである。
【図6】図1に示した画像形成装置の表示部に表示される画像であって印刷を実行するジョブ情報の選択をユーザに促す画像を示した図である。
【図7】図1に示した情報処理装置の表示部に表示される画像であって画像形成情報が保持されなかった旨をユーザに通知する画像を示した図である。
【図8】図1に示した情報処理装置のCPUが実行するプログラムであって選択情報を送信するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図9】図1に示した情報処理装置の表示部に表示される画像であって即時印刷を実行するか否かの選択をユーザに促す画像を示した図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置のCPUが実行するプログラムであって印刷制御を行うためのプログラムを示したフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される画像であって画像形成情報が消去される旨をユーザに通知する画像を示した図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置のCPUが実行するプログラムであってジョブ情報を送信するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図13】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置のCPUが実行するプログラムであってセキュアジョブ情報を通常ジョブ情報に変更して再送信するためのプログラムを示したフローチャートである。
【図14】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置のCPUが実行するプログラムであって印刷制御を行うためのプログラムを示したフローチャートである。
【図15】本発明の第3実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される画像であって変更送信を実行するか否かの選択をユーザに促す画像を示した図である。
【符号の説明】
【0205】
10…通信回線、20…画像形成装置、21…CPU、23…RAM、24…表示部、25…操作入力部、26…プリンタエンジン部、27…接続インターフェース部、28…通信インターフェース部、29…認証装置、29a…接続インターフェース部、29b…入力情報入力部、29c…認証用情報登録部、29d…認証用情報保持部、29e…識別情報特定部、30…情報処理装置、31…CPU、33…RAM、34…表示部、35…操作入力部、36…通信インターフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して端末装置と通信可能に構成され且つ画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行可能な画像形成装置であって、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信する受信手段と、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持する保持手段と、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記保持手段が前記画像形成情報を保持することを禁止する保持禁止手段と、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定する実行決定手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記受信手段が前記セキュアジョブ情報の受信を開始した時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に前記保持手段が同受信しているセキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報を保持することを禁止する受信時保持禁止手段である画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の一部又は全部を保持した時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に同保持手段が同保持を開始した画像形成情報を同保持手段から消去することにより同保持手段が同画像形成情報を保持することを禁止する第1消去手段である画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の全部を保持した時点から更に所定時間が経過した後の時点にて、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合に同保持手段が同保持を開始した画像形成情報を同保持手段から消去することにより同保持手段が同画像形成情報を保持することを禁止する第2消去手段である画像形成装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記認証手段を備えていないと判定した場合、前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報の消去に先立って、前記保持手段から同画像形成情報が消去される旨を表す第1通知情報を同セキュアジョブ情報を送信した端末装置へ送信する第1送信手段を備える画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定したことにより前記保持手段が前記セキュアジョブ情報に含まれる画像形成情報を保持していない状態にあるとき、同画像形成情報を保持していない旨を表す第2通知情報を同セキュアジョブ情報を送信した端末装置へ送信する第2送信手段を備える画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成処理を実行している期間において、前記認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていない状態になったと判定した場合に同画像形成処理の実行を中止させる処理中止手段を備える画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記端末装置から前記第1通知情報に応答して送信された所定の即時処理情報を受信した場合、同第1通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報が消去される前に同セキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するように構成された画像形成装置。
【請求項9】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記保持禁止手段は、前記第2通知情報が送信される基となったセキュアジョブ情報を構成する画像形成情報と同一の画像形成情報であって前記端末装置に保持されていた画像形成情報が同第2通知情報に応答して同端末装置から送信された場合、同送信された画像形成情報に基づく前記画像形成処理を実行するように構成された画像形成装置。
【請求項10】
通信回線を介して端末装置と通信可能に構成された画像形成装置を用いて画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行するための画像形成方法であって、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信するステップと、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持手段に保持させるステップと、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記画像形成情報を前記保持手段に保持させることを禁止するステップと、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定するステップと、
を含む画像形成方法。
【請求項11】
通信回線を介して端末装置と通信可能に構成された画像形成装置により実行されることによって画像形成情報を含むセキュアジョブ情報に基づく画像形成処理を実行するための画像形成プログラムであって、
前記端末装置から送信される前記セキュアジョブ情報を受信する手順と、
前記受信したセキュアジョブ情報を保持手段に保持させる手順と、
入力された所定の認証用入力情報に基づいて所定の認証結果を出力する認証手段を備えているか否かを判定し同認証手段を備えていないと判定した場合には前記画像形成情報を前記保持手段に保持させることを禁止する手順と、
前記認証手段を備えている場合には、前記保持されているセキュアジョブ情報に基づく前記画像形成処理を実行するか否かを前記認証結果に基づいて決定する手順と、
を含む画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−207473(P2008−207473A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46930(P2007−46930)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】