説明

画像形成装置、画像形成方法

【課題】副走査方向の液滴の位置ずれを補正できる画像形成装置及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】印刷データを記憶する印刷データ記憶手段203と、記録媒体を搬送する搬送ベルト17と、搬送ベルトを駆動させるための駆動部15と、記録媒体にインクの液滴を吐出するノズルが主走査方向にライン状に並んだ記録ヘッド23と、印刷データに応じて記録ヘッドのインク吐出動作を制御する印刷制御手段207と、を有する画像形成装置100において、記録媒体に着弾した液滴を撮影する撮影手段26と、液滴の吐出位置の第1の位置情報を取得する第1の位置情報取得手段51と、着弾位置の第2の位置情報を取得する第2の位置情報取得手段52と、主走査方向及び副走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段53と、記録ヘッドに前記位置ずれ量を補正させる補正手段54と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン型のインクジェット式画像形成装置に関し、特に、液滴の吐出位置を補正する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙などの記録媒体の主走査方向の全域に記録ヘッドを配置して、記録ヘッドから記録液(インク)の液滴を吐出して画像を形成するライン型のインクジェット式画像形成装置が知られている。ライン型のインクジェット式画像形成装置では記録ヘッドが主走査方向に走査する必要がないので印刷時間を短縮できる。
【0003】
このような画像形成装置においても出力画像の画質の向上が要請されるが、インクジェット方式の画像形成装置の画質は液滴が着弾する位置の精度に大きく依存する。位置がずれると形状だけでなくカラーの発色精度も低下してしまう。液滴の位置ずれや発色ずれを補正する技術として、用紙上に所定のパターンを形成し光学的に読み取ることで、位置ずれや発色のずれを検出し、補正する技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
特許文献1には、読み取りセンサを配置し、用紙に記録されたパターンを読み取りセンサが読み取ったセンサ出力値と本来記録されるべき画像から記録不良の画像記録素子の概略位置を特定する画像形成装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、画像の色ずれを補正する目的で、記録媒体を搬送する搬送ベルト上に専用のパターンを印字して、読み取りセンサで搬送ベルトに印字された画像を撮影し、色ずれ量を計算して色ずれを補正する画像形成装置が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のように位置ずれや発色ずれを補正するために記録媒体に専用のパターンを印刷すると、パターンを印刷した記録媒体は、ユーザのドキュメントなどを印刷するために利用できず無駄になってしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2のように、搬送ベルト上にパターンを形成すると、搬送ベルトをクリーニングする必要が生じるのでクリーニング手段が新たに必要となりコスト増となるという問題がある。
【0008】
これに対し、位置ずれの補正用のパターンを用いない技術も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3には、ラインセンサが読み取った読取画素データを記録紙搬送方向に一定の幅で積分した積分データと、本来打滴されるべき画像から期待される期待読取データの積分値とを比較して不適切ノズルを特定する画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載の画像形成装置は、1ライン分の読み取りデータしか取得していないため、主走査方向の位置ずれしか補正できないという問題がある。
【0010】
本発明は、記録媒体を無駄にすることやクリーニング手段等のコスト増をもたらすことなく、副走査方向の液滴の位置ずれを補正できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ユーザのドキュメントから生成した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、記録媒体を吸着させて搬送させる搬送ベルトと、前記搬送ベルトを駆動させるための駆動部と、前記録媒体にインクの液滴を吐出するノズルが主走査方向にライン状に並んだ記録ヘッドと、前記印刷データに応じて前記記録ヘッドのインク吐出動作を制御する印刷制御手段と、を有する画像形成装置において、主走査方向にライン状に並んだ撮像素子を備え、記録媒体に着弾した液滴を撮影する撮影手段と、記録媒体の端部を基準とする、前記記録ヘッドが液滴を吐出した吐出位置の第1の位置情報を取得する第1の位置情報取得手段と、記録媒体の端部を基準とする、液滴の着弾位置の第2の位置情報を取得する第2の位置情報取得手段と、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報を比較して、主走査方向及び副走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段と、前記記録ヘッドに前記位置ずれ量を補正させる補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
記録媒体を無駄にすることやクリーニング手段等のコスト増をもたらすことなく、副走査方向の液滴の位置ずれを補正できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液滴が着弾する位置ずれの補正を模式的に説明する図の一例である。
【図2】画像形成装置の概略側面図の一例である。
【図3】制御部のハードウェア的なブロック図の一例である。
【図4】最初位置Wの記憶を模式的に説明する図の一例である。
【図5】最初位置Rの記憶を模式的に説明する図の一例である。
【図6】最初位置Wと最初位置Rから算出される主走査方向の位置ずれ量を説明する図の一例である。
【図7】最初位置Wと最初位置Rから算出される副走査方向の位置ずれ量を説明する図の一例である。
【図8】、画像形成装置が、ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。
【図9】最初位置W記憶部が最初位置Wを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図10】最初位置R記憶部が最初位置Rを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】制御部のハードウェア的なブロック図の一例である(実施例2)。
【図12】最大シフト量補正部が最大シフト量を補正する手順の一例を示すフローチャート図である。
【図13】制御部のハードウェア的なブロック図の一例である(実施例3)。
【図14】位置ずれ量の算出範囲の見積もりを模式的に説明する図の一例である。
【図15】位置ずれ量の算出範囲を説明する図の一例である。
【図16】制御部のハードウェア的なブロック図の一例である(実施例4)。
【図17】画像形成装置が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。
【図18】画像形成装置が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。
【図19】画像形成装置が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。
【図20】制御部のハードウェア的なブロック図の一例である(実施例5)。
【図21】画像形成装置が位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
〔位置ずれ補正の概略〕
図1は、液滴が着弾する位置ずれの補正を模式的に説明する図の一例である。図1の画像形成装置100は、搬送ベルトの主走査方向の全域にわたってインク吐出ヘッド23を有するフルライン型のインクジェット式画像形成装置100である(以下、単に画像形成装置という)。また、画像形成装置100は、インク吐出ヘッド23よりも下流に搬送ベルトの主走査方向の全域を撮影するライン状のイメージセンサ26を有する。
(1)まず、記録媒体が図示左側から右方向に搬送ベルトによって搬送され始める。
(2)インク吐出ヘッド23は、ユーザのドキュメントなど印字対象の印刷データに基づき液滴(インク)を記録媒体に向けて吐出する。これにより、記録媒体には例えば「あ」という文字が徐々に形成される。
(3)画像形成装置100は、主走査方向の位置毎に、液滴を始めて吐出した副走査方向の位置(以下、最初位置W)を取得する。図1の「あ」という文字の画像データに示すように、主走査方向の位置50では、副走査方向に2,3、4に液滴が吐出されているので最初位置Wは2である。また、主走査方向の位置10の場合、最初位置Wは5である。
(4)記録媒体が右方向に搬送されるとイメージセンサ26の直下を通過するので、イメージセンサ26は記録媒体の副走査方向の端部から形成された画像の撮影を開始する。したがって、記録媒体の全体がイメージセンサ26の下部を通過すると、例えば「あ」という文字の画像の全体が撮影される。
(5)画像形成装置100は、撮影された画像において、記録用紙の副走査方向の先端を基準に、主走査方向の位置毎に、液滴が始めて検出された副走査方向の位置(以下、最初位置Rという)を記憶する。図の「あ」という文字の場合、主走査方向の位置53に対し、副走査方向の位置2で初めて液滴が着弾している。主走査方向の位置13では、副走査方向の位置5で初めて液滴が着弾している。
(6)理想的な状態では、印刷データと撮影された画像とは画素毎に画素値が一致するはずであるが、若干のずれがあることが多い。図の例では、最初位置Rと最初位置Wとを比較すると主走査位置に3程度の着弾位置のずれが生じていることが分かる。
(7)画像形成装置100は、このような位置ずれ量が確定すると次の記録媒体から主走査方向の着弾位置を3程度左にずらす。これにより、主走査方向の液滴の吐出位置を正確に補正することができる。
(8)また、画像形成装置100は、最初位置Wと最初位置Rのどちらかを3程度左にずらした後、対応する主走査方向の位置毎に、最初位置Wと最初位置Rの差分を算出する。この差分は、主走査方向の位置毎の、副走査方向の位置ずれ量になる(図の例では副走査方向の位置ずれ量はゼロである)。
(9)画像形成装置100は、副走査方向に対しても、次の記録媒体から吐出位置を補正する。
【0016】
したがって、本実施形態の画像形成装置100は、吐出位置の補正用に記録媒体を無駄にすることも、搬送ベルトをクリーニングする必要もなく、ユーザのドキュメントを印刷しながら補正するので、ユーザに補正のための操作や待ち時間を要求することなく着弾位置を補正できる。また、主走査方向だけでなく副走査方向にも着弾位置を補正することができる。
【実施例1】
【0017】
〔画像形成装置100の構成〕
図2は、画像形成装置100の概略側面図の一例である。画像形成装置100は、図中左から、給紙部40、画像形成部30、及び、排紙部20を有し、給紙部40から排紙部20に向かう用紙搬送経路が装置内部に形成されている。両面印刷の場合は、排紙部20に排紙される前に搬送ベルト17の下方に記録媒体が給送され、再度、記録媒体が搬送ベルト17によって搬送される。
【0018】
図2の画像形成装置100はカラー印刷用であるが、モノクロ印刷、2色印刷等、インクの種類はどのようなものでもよい。
【0019】
給紙部40の直ぐ下流側には1対の用紙送りローラ12、さらに下流に1対のレジストローラ14が備えられており、記録媒体は、用紙送りローラ12により給紙部40から1枚ずつ取り出され、レジストローラ14まで搬送される。
【0020】
用紙送りローラ12とレジストローラ14の間には、用紙検出部13が配置されている。用紙検出部13は、記録媒体の位置及び大きさを検出する。
【0021】
画像形成部30は、2つのベルトローラ15,19と、ベルトローラ15とベルトローラ19に掛け回された無端状の搬送ベルト17、記録位置検出部22、インク吐出ヘッド23、第2の用紙検出部25、イメージセンサ26、及び、用紙終端検出部27、を有する。搬送ベルト17はループ状に回転し、記録媒体を搬送する上側経路17Xと、戻り経路である下側経路17Yと、を構成している。
【0022】
搬送ベルト17内部には記録媒体の吸引手段として不図示の吸引ファンが内臓されており、用紙送りローラ12によって搬送されてくる記録媒体を、搬送ベルト17に設けた吸引孔を介して吸引することで、上側経路17Xの表面に吸着保持する。吸着保持された記録媒体は、ベルトローラ15、19の駆動によって、反動ベルトの回転に伴って下流側(右方)へ向けて搬送される。
【0023】
インク吐出ヘッド23は、上側経路17Xの表面に対向する位置に配置され、インク吐出ヘッド23と搬送ベルト17の表面の隙間部分が上側経路17Xとなる。インク吐出ヘッド23は、上側経路17Xに沿って、4色のインク(イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK)に対応する色の数だけ配置されている。
【0024】
インク吐出ヘッド23は、記録媒体の紙幅(主走査方向)に対応する長さを有し、図2の紙面に垂直な方向にヘッド本体24が千鳥状に配置された、ライン型ヘッドとして構成されている。インク吐出ヘッド23の下面に取り付けられたヘッド本体(図2には各色ごとに、24Y、24M、24C、24Kと表示)24には、インクを搬送ベルト17の表面に向けて吐出するための微小径の吐出ノズル(図示せず)が、主走査方向に多数並べられている。
【0025】
また、インク吐出ヘッド23と対向する搬送ベルト17の下面には、平板からなるたわみ防止部材18が配設されている。
【0026】
これらの構成により、搬送ベルト17の表面上を搬送される記録媒体は4つのインク吐出ヘッド23におけるヘッド本体24の直ぐ下側を順に通過し、各色のインク吐出ヘッド23が各色のインクを吐出することで所望のカラー画像が形成される。
【0027】
なお、たわみ防止部材18には、インク吐出ヘッド23の下面に取り付けられたヘッド本体のノズルから空吐出されたインクを通過させるための穴(図示せず)が設けられており、更にその下方には空吐出インクを受け止める空吐出インク受け16が設けられている。
【0028】
また、記録位置検出部22は、記録媒体へのインク吐出タイミングを決定する記録媒体の位置センサであり、用紙後端部の検知も兼ねる。第2の用紙検出部25は、記録媒体の位置と大きさを検出する。用紙終端検出部27は、紙詰まりや次紙の供給タイミングを決定するためのセンサである。
【0029】
また、インク吐出ヘッド23の下流側には、イメージセンサ26が上側経路17Xの記録媒体に垂直な光軸を持つようにして配置されている。イメージセンサ26はインク吐出ヘッド23よりも下流側ならどこに配置されてもよいが、好ましくはたわみ防止部材18の副走査方向の終端よりも内側である。イメージセンサ26は、記録媒体の全域をカバーするように主走査方向に記録媒体の紙幅に対応する長さを有することが好ましいが、記録媒体の主走査方向の一方の端部を撮影範囲に含んでいれば、記録媒体の全域をカバーしていなくてもよい。
【0030】
イメージセンサ26は、記録媒体が下部を通過するたびに、記録用紙の副走査方向の先端から各位置で、主走査方向の1ライン分のラインデータを撮影する。
【0031】
図3は、画像形成装置100の制御部200のハードウェア的なブロック図の一例を示す。制御部200は、画像形成装置100の全体の制御を司るCPU201と、CPU201が実行するプログラム240、その他の固定データ(パラメータ等)を格納するROM202と、印刷データを一時格納するRAM203と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ(NVRAM204)と、印刷データに対する各種信号処理や画像処理等を行うASIC205とを備えている。
また、制御部200は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行なうためのホストI/F206と、印刷制御部207と、副走査モータ61を駆動するためのモータ駆動部210と、各種センサ215からの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。また、制御部200には、画像形成装置100に必要な情報の入力及び表示を行なうための操作パネル214が接続されている。センサ215は、例えば、用紙検出部13、記録位置検出部22、第2の用紙検出部25、及び、用紙終端検出部27である。
【0032】
制御部200は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト側からの印刷データ等をケーブル又はネットワークを介してホストI/F206で受信する。
そして、制御部200のCPU201は、ホストI/F206に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC205にて必要な画像処理等を行ない、この印刷データを印刷制御部207に転送する。なお、印刷データはラスターデータ(ドットパターン)になっており、ドットパターンの生成はホスト側のプリンタドライバ又はASIC205等で行なわれている。
印刷制御部207はヘッドドライバ(ドライバIC)220を有し、ヘッドドライバ220は、上述した印刷データの1行分に相当するシリアルデータを抽出し、シリアルデータに基づく駆動信号を生成してインク吐出ヘッド23に供給する。ヘッドドライバ220はキャリッジ側に設けたヘッド本体24を駆動する。
【0033】
ヘッドドライバ220は、印刷データに関係なく生成される共通の駆動波形を生成する駆動波形生成部(不図示)を有する。駆動波形生成部は、ROM202に格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換して、それを増幅することで共通駆動波形を生成する。共通駆動波形は、一周期内の電圧が増減する電圧信号である。
【0034】
ヘッドドライバ220は、共通駆動波形の一周期毎に、共通駆動波形を選択的に通過させるスイッチングを行い、それを駆動波形とする。具体的には、ヘッドドライバ220は、印刷データのドット有無を示す階調情報と液滴の大きさを示す滴制御信号に基づき、共通駆動波形をマスクするオンオフ信号を生成する。階調情報は1つのドット毎に2ビットの情報であり、滴制御信号は、例えば、3段階の液滴サイズがある場合、2ビット(大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット))の情報である。このように、ある色のドットの有無とその大きさにより、オンオフ信号が定まる。
【0035】
ヘッドドライバ220は、オンオフ信号を増幅して不図示のアナログスイッチに供給する。よって、アナログスイッチから出力される信号は、クロック毎にオンオフが制御された信号となり、オンの時には共通駆動波形を通過させ、オフの時には遮断することができる。このように共通駆動波形を選択的に透過させた信号が駆動信号となる。
【0036】
ヘッドドライバ220のアナログスイッチは、インク吐出ヘッド23に接続されている。よって、インク吐出ヘッド23に印刷データに応じた駆動信号が供給され、インク吐出ヘッド23は、印刷データにより指定される記録用紙の位置に指定されるサイズの液滴を着弾させることができる。
【0037】
また、CPU201は、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ62からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ61に対する駆動出力値(制御値)を算出する。この制御値をモータ駆動部210に出力すると、モータ駆動部210がモータドライバを介して副走査モータ61を駆動する。これにより搬送ベルト17が決まった速度で記録媒体を搬送する。
【0038】
以上のように構成された画像形成装置100の動作について説明する。印刷すべき印刷データが図示しないホストコンピュータからホストI/F206を介して入力され、RAM203等の画像メモリに蓄えられる。
【0039】
CPU201は、RAM203に印刷データが記憶されると、用紙送りローラ12を駆動し、給紙部40の最上紙の分離搬送を行い下流部のレジストローラ14に向けて搬送する。CPU201は、用紙送りローラ12とほぼ同じタイミングで、ベルトローラ15,19の駆動を開始して、搬送ベルト17の搬送動作を開始する。
【0040】
次に、用紙検出部13が記録媒体の先端を検出するとCPU201に通知し、CPU201は所定のタイミングだけ待機した後、レジストローラ14を駆動し、記録媒体を搬送ベルト17の上側経路17Xの表面へと搬送する。
【0041】
〔最初位置W〕
図3に示したようにCPU201は、最初位置W記憶部51,最初位置R記憶部52,位置ずれ算出部53,及び、位置ずれ補正部54を有する。これらはCPU201がプログラム240を実行して実現される。本実施例ではこのようにソフト的に位置ずれ量を算出するとして説明するが、位置ずれ量の一部又は全体がハード的(例えばヘッドドライバ220やASIC205)に算出されてもよい。
【0042】
本実施例では、最初位置W記憶部51が、主走査方向の各位置毎に、ヘッドドライバ220が最初に液滴を着弾させた副走査方向の最初位置Wを取得して、主走査方向の位置に対応づけてRAM203等に記憶する。
【0043】
図4は、最初位置Wの記憶を模式的に説明する図の一例を示す。最初位置W記憶部51は、記録位置検出部22が記録媒体の先端部を検知したことを、記録位置検出部22からの通知により検出する。なお、この通知により、CPU201は上記の印刷工程を開始する。
【0044】
ヘッドドライバ220は、インク色毎に、インク吐出ヘッド23に駆動信号を供給する。ヘッドドライバ220は、駆動信号で液滴を吐出し、主走査方向の位置毎に初めて吐出された液滴がある場合、その副走査位置をCPU201に通知する。図4を例にすると、
・ブラックKのインクが主走査方向の位置2に初めて吐出されたのが副走査方向の位置2である
・ブラックKのインクが主走査方向の位置3に初めて吐出されたのが副走査方向の位置3である。
・ブラックKのインクが主走査方向の位置4、7に初めて吐出されたのが副走査方向の位置4である。
・ブラックKのインクが主走査方向の位置6に初めて吐出されたのが副走査方向の位置6である。
【0045】
最初位置W記憶部51は、ヘッドドライバ220から通知された「主走査方向の位置毎に液滴が初めて吐出された副走査位置」を、最初位置WとしてRAM203等に記憶する。図4では、主走査方向の位置に対応づけて最初位置Wが記憶されている。最初位置W記憶部51はこれをインクの各色毎に行う。
【0046】
ここで、主走査方向の位置と副走査方向の位置に付いて説明する。印字における主走査方向の位置の解像度は、主走査方向のノズルの数などにより制限されるが少なくとも600〜1200dpiの解像度がある。例えば、1200dpiした場合、A4サイズの記録媒体では主走査方向の長さが210mm(約8.3インチ)なので、主走査方向の位置は約9920個に分割される。したがって、最初位置W記憶部51は、最大で9920個の位置に対応づけて最初位置Wを記憶することができる。一方、主走査方向の位置ずれを補正する際、9920個の情報は不要で、ある程度のずれの傾向が数値化できればよいので、例えば、主走査方向の100〜1000個の位置毎に、最初位置Wを記憶するとしてもよい。
【0047】
後述するイメージセンサ26の解像度は、コストや適用される技術により様々であるが、600〜1200dpiの解像度が得られるようになっている。また、超解像度技術を利用すれば、イメージセンサ26の解像度以上の解像度で画像を読み取ることができる。
【0048】
最初位置Wと最初位置Rを比較する際、最初位置Rの解像度の方が粗いとドットレベルの補正が意味をなさなくなる。例えば、最初位置Rの解像度の方が粗い場合、位置ずれ量は算出できても、位置ずれ量が正確であるという保証がない。最初位置Wの解像度の方が粗い場合、位置ずれ量を算出しても、位置ずれ量が最初位置Wの解像度の1単位を超えなければ補正することが困難になる。よって、ヘッドドライバ220の解像度とイメージセンサ26の解像度を一致させておくことが好ましい。
【0049】
なお、印字における副走査方向の位置の解像度は、搬送ベルト17の位置制御の精度により制限されるが少なくとも600〜2400dpiの解像度がある。副走査方向の解像度は、インク吐出ヘッド23とイメージセンサ26にとって共通なので、副走査方向においては最初位置Wと最初位置Rの解像度は一致している。
【0050】
〔最初位置R〕
インク吐出ヘッド23の下を通過した記録媒体に形成された画像は、インク吐出ヘッド23の下流のイメージセンサ26により読み取られる。すなわち、画像形成装置100は画像形成と画像の読み取りを同じ記録媒体に対して同時並行的に行う。
【0051】
図5は、最初位置Rの記憶を模式的に説明する図の一例を示す。イメージセンサ26は、第2の用紙検出部25が記録媒体の先端を検知すると画像の読み取りを開始する。イメージセンサ26は、読み取った主走査方向の1ライン毎のラインデータを所定のサイクル時間毎にCPU201に送出する。ラインデータは記録用紙の先端から副走査方向の読み取りの解像度にしたがって、順次、CPU201に送信される。なお、ラインデータには各色の画素値が含まれる。
【0052】
最初位置R記憶部52は、ラインデータに、初めて読み出されたCMYKのいずれかの色がある場合、初めて読み出されたCMYKの画素の副走査方向の位置を主走査方向の位置に対応づけて記憶する。なお、その色の画素の主走査方向の位置は、ラインデータの最初の画素からの画素数を数えることで特定できる。図5を例にすると、
・ブラックKの画素値が主走査方向の位置4で初めて読み取られたのが副走査方向の位置2である。
・ブラックKのインクが主走査方向の位置5で初めて読み取られたのが副走査方向の位置3である。
・ブラックKのインクが主走査方向の位置6、9で初めて読み取られたのが副走査方向の位置4である。
・ブラックKのインクが主走査方向の位置8で初めて読み取られたのが副走査方向の位置6である。
【0053】
より具体的には、最初位置R記憶部52は、ブラックKと同じ画素値を、ラインデータを最初の画素から順番に比較し、ブラックKと同じ画素値の画素がある場合、その画素の主走査方向の位置に対応づけて、その時の副走査方向の位置を最初位置RとしてRAM203等に記憶する。
【0054】
次のラインデータに対しても最初位置R記憶部52は同様の処理を行うが、最初位置R記憶部52は、すでにRAM203に最初位置Rが記憶された主走査方向の位置に対応するラインデータの画素よりも後の画素の画素値から、ブラックKと同じ画素値を抽出すればよい。こうすることで処理時間を短縮できる。
【0055】
なお、最初位置Wが、例えば、主走査方向の100〜1000個の位置毎に、最初位置Wを記憶している場合、最初位置R記憶部52も主走査方向の100〜1000個の位置毎に最初位置Rを記憶すればよい。
【0056】
〔位置ずれ量の算出〕
図6は、最初位置Wと最初位置Rから算出される主走査方向の位置ずれ量を説明する図の一例である。なお、主走査方向の全ての位置で最初位置Wと最初位置Rが記憶されている必要はなく、ある程度の数(例えば、100以上)の最初位置Wと最初位置Rが記憶されれば、又は、所定数以上のラインから最初位置Wと最初位置Rが記憶されれば、位置ずれ量の算出が可能になる。
【0057】
図6で、主走査方向の位置毎に、最初位置Wと最初位置Rを比較すると、主走査方向の位置2の最初位置Wが「2」であるのに対し、主走査方向の位置2の最初位置Rは「0」である。最初位置Rが「2」になる主走査方向の位置は4である。同様に最初位置Rと最初位置Wの対応を調べると、最初位置Wと最初位置Rの間に位置2つ分のずれがあることが分かる。
【0058】
図6では主走査方向の位置の数が10個なので、最初位置Wと最初位置Rの間の位置ずれを算出することは比較的短時間に完了する。例えば、最初位置Wを固定して最初位置Rを主走査方向に1つずつシフトしながら、最初位置Wと最初位置Rの差分を算出し、差分の合計が最小になった際の最初位置Rのシフト量が、最初位置Wと最初位置Rの間の位置ずれ量である(最初位置Rを固定して最初位置Wをシフトしてもよい)。図6を例にすれば最初位置Rを左方向に2つシフトした際に、差分の合計がゼロになる。
【0059】
しかしながら、例えば主走査方向の位置の数が9920個など大きな数となると、計算量が膨大になるため実用的でなくなってしまう。
【0060】
そこで、本実施形態では、画像形成装置100の機械構成から、ずれる可能性がある最大シフト量を設定しておくことにする。最大シフト量は、種々の要因により変化しうるが、9920個の位置の数に対し数%もずれないとしてよい。したがって、例えば、主走査方向の位置の数が9920個の場合なら、最大シフト量を100個分(約1%)〜500個(約5%)程度とする。
【0061】
最初位置Wは、最大シフト量と同じ数だけを位置ずれ量の算出対象としてもよいが、より少なくすることもできる。数が多いほど位置ずれ量を正確に算出できるが、CPU201の処理負荷を考慮して決定する。
【0062】
位置ずれ算出部53は、最初位置Rを1つずつシフトさせて、主走査方向の同じ位置毎に最初位置Wと最初位置Rの差を二乗した値の合計を算出する。
【0063】
シフト量がゼロの場合、最初位置Wと最初位置Rの差を二乗した値の合計は、
98=(0-0)2+(2-0)2+(3-0)2+(4-2)2+(0-3)2+(6-4)2+(4-0)2+(0-6)2+(0-4)2+(0-0)2 となる。
【0064】
シフト量が1の場合、最初位置Wと最初位置Rの差を二乗した値の合計は、
78=(0-0)2+(2-0)2+(3-2)2+(4-3)2+(0-4)2+(6-0)2+(4-6)2+(0-4)2+(0-0)2+(0-0)2 となる。
なお、不図示の11番目の最初位置Rを「0」とした。
【0065】
シフト量が2の場合、最初位置Wと最初位置Rの差を二乗した値の合計は、
0=(0-0)2+(2-2)2+(3-3)2+(4-4)2+(0-0)2+(6-6)2+(4-4)2+(0-0)2+(0-0)2+(0-0)2 となる。
なお、不図示の11、12番目の最初位置Rを「0」とした。
位置ずれ算出部53は、この計算をシフト量が最大シフト量になるまで繰り返し、最初位置Wと最初位置Rの差を二乗した値の合計が最小となるシフト量を特定する。このシフト量が主走査方向の位置ずれ量である。こうすることにより、計算負荷を抑制して主走査方向の位置ずれを特定できる。
【0066】
位置ずれ算出部53は、各インク色毎に位置ずれ量を算出する。インク吐出ヘッド23は固定されているので、4つのインク色はほぼ同じ位置ずれ量を示すことが多いが、各インク色毎に位置ずれ量を算出することで、発色ずれなどを高度に補正できる。なお、いずれかのインク色の位置ずれにより他の全てのインク色の位置ずれを代用してもよいし、各インク色毎の位置ずれ量の平均により、全てのインク色の位置ずれに利用してもよい。
【0067】
〔位置ずれ量の補正〕
位置ずれ補正部54は、位置ずれ算出部53が特定した位置ずれ量を位置ずれ補正部54に通知する。位置ずれ補正部54は、ヘッドドライバ220に位置ずれ量を通知すると共に、主走査方向にその位置ずれ量だけ、液滴の吐出位置をずらすように要求する。ヘッドドライバ220は、位置ずれ量に応じて、印刷データの主走査方向の書き出し位置を変える。これにより、主走査方向のノズル位置と印刷データ(ドットパターン)の対応が位置ずれ量だけずれるので、液滴の吐出位置(すなわち着弾位置も)を補正することができる。
【0068】
〔副走査位置の位置ずれ〕
最初位置Wと最初位置Rを利用すれば、主走査方向の位置ずれだけでなく副走査方向の位置ずれも補正できる。
【0069】
図7は、最初位置Wと最初位置Rから算出される副走査方向の位置ずれ量を説明する図の一例である。図7では説明のため、最初位置Rをこれまでと異なる値にした。
【0070】
仮に、最初位置Wと最初位置Rが主走査方向に全くずれていない場合、主走査方向の同じ位置同士の最初位置Wと最初位置Rの差は、副走査位置の位置ずれそのものである。しかし、上記のように最初位置Wと最初位置Rは主走査方向に位置ずれを有することがあり得るので、位置ずれ算出部53は、まず、主走査方向の位置ずれ量により最初位置Rをシフトさせる。
【0071】
図7では、「0,0,0,5,6,7,0,6,5,0」という最初位置Rが、主走査方向の位置ずれ量である位置2つだけシフトされ、「0,5,6,7,0,6,5,0,0,0」となっている。
【0072】
次に、位置ずれ算出部53は、主走査方向の同じ位置同士の最初位置Wと最初位置Rの差を算出してRAM203等に記憶する。これにより、主走査方向の位置毎に最初位置Wと最初位置Rの差が得られる。位置ずれ算出部53は、各差を全てヘッドドライバ220に通知する。こうすることで、ヘッドドライバ220はノズル位置(主走査方向)ごとに液滴の吐出タイミングを位置ずれ量だけ補正できる。
【0073】
なお、副走査方向の位置ずれは、記録媒体が斜めになっているなどの特殊な状態でなければ、主走査方向にほぼ一定となることが多いので、位置ずれ算出部53は、主走査方向の位置毎の最初位置Wと最初位置Rの差から、例えば平均値を算出するなどして、副走査方向の位置ずれ量を決定してもよい。
【0074】
位置ずれ補正部54は、ヘッドドライバ220に位置ずれ量を通知すると共に、副走査査方向にその位置ずれ量だけ、液滴の吐出位置をずらすように要求する。ヘッドドライバ220は、各ノズル列毎に、副走査方向の書き出し位置を変える。これによりノズル毎に、記録媒体の先端からの書き出し位置が変わるので、液滴の吐出位置(すなわち着弾位置も)を補正することができる。なお、各インク色の液滴の吐出位置が補正されることで、色間のずれも補正される。
【0075】
〔動作手順〕
図8は、画像形成装置100が、ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。図8の手順は、画像形成装置100が印刷データを受信するとスタートする。
【0076】
まず、最初位置W記憶部51は、記録位置検出部22が記録媒体の先端を検知したか否かを判定する(S10)。
【0077】
記録位置検出部22が記録媒体の先端を検知した場合(S10のYes)、最初位置W記憶部51は各インク色毎に、ヘッドドライバ220が主走査方向に初めて吐出した液滴の副走査位置を最初位置Wとして、主走査方向の位置に対応づけて記憶する(S20)。
【0078】
次に、イメージセンサ26が画像を読み取り、ラインデータを最初位置R記憶部52の送出する。最初位置R記憶部52は、ラインデータから主走査方向に初めて読み出されたCMYKのいずれかの色がある場合、その副走査位置を最初位置Rとして主走査方向の位置に対応づけて記憶する(S30)。
【0079】
最初位置Rと最初位置Wのいずれも、主走査方向の1ラインだけでは全ての主走査方向の位置に最初位置Rと最初位置Wが記憶されることはなく、何ラインかの印字及び読み取りが必要になる。例えば、最初位置Rと最初位置Wの両方が所定数(所定割合)以上、記憶されることが条件になる。
【0080】
次に、位置ずれ算出部53は、上記の方法で主走査方向の位置ずれ量を算出する(S40)。また、位置ずれ算出部53は、主走査方向の位置ずれ量を利用して、副走査方向の位置ずれ量を算出する(S50)。
【0081】
しかし、位置ずれ量の算出の直後、位置ずれ補正部54がすぐに位置ずれ量を補正してしまうと、インク吐出ヘッド23が吐出中であった場合、吐出中の画像の吐出タイミングが、副走査方向の途中で変わってしまうことになる。これは、画像品質の低下となり、ある副走査位置で画像が途切れたような(又はかさなったような)印象となるため、吐出中の画像がある場合、位置ずれ補正部54は、1枚の記録媒体の印字が終了するまで待機する(S60)。
【0082】
1枚の記録媒体の印字が終了すると、位置ずれ補正部は位置ずれの補正を行う(S70)。これにより、次回の記録媒体から印刷を補正できる。
【0083】
図9は、最初位置W記憶部51が最初位置Wを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。図9の手順は、記録位置検出部22が記録媒体の先端を検知するとスタートする。
【0084】
最初位置W記憶部51は、ヘッドドライバ220から最初位置Wに対応する副走査位置を取得したか否かを判定する(S110)。ヘッドドライバ220は液滴を吐出して、主走査方向に初めて吐出された液滴がある場合、その副走査位置を最初位置W記憶部51に通知する。
【0085】
最初位置Wに対応する副走査位置を取得した場合(S110のYes)、最初位置W記憶部51は主走査方向の位置に対応づけて最初位置Wを記憶する(S120)。
【0086】
最初位置Wに対応する副走査位置を取得しない場合(S110のNo)、最初位置W記憶部51は、用紙終端検出部27が用紙の終端を検出したか否かを判定する(S130)。これにより、例えば、画像中1回も液滴が吐出されない印刷データがあっても、記録媒体がインク吐出ヘッド23の下を抜けたら、制御を終了するができる。
【0087】
図10は、最初位置R記憶部52が最初位置Rを記憶する手順を示すフローチャート図の一例である。図10の手順は、第2の用紙検出部25が記録媒体の先端を検知するとスタートする。
【0088】
最初位置W記憶部51は、イメージセンサ26が画像を読み出して生成したラインデータを取得し、主走査方向に初めて読み出されたCMYKのいずれかの色があるか否かを判定する(S210)。
【0089】
主走査方向に初めて読み出されたCMYKのいずれかの色がある場合(S210のYes)、最初位置R記憶部52は、その副走査位置(最初位置R)を主走査方向の位置に対応づけて記憶する(S220)。
【0090】
主走査方向に初めて読み出されたCMYKのいずれかの色がない場合(S210のNo)、最初位置R記憶部52は、用紙終端検出部27が用紙の終端を検出したか否かを判定する(S230)。これにより、例えば、画像中1回も液滴が吐出されない印刷データがあっても、記録媒体がインク吐出ヘッド23下を抜けたら、制御を終了するができる。
【0091】
以上説明したように、本実施例の画像形成装置100は、吐出位置の補正用に記録媒体を無駄にすることも、搬送ベルト17をクリーニングする必要もなく、ユーザのドキュメントを印刷しながら、液滴の吐出位置を補正することができる。
【実施例2】
【0092】
実施例1では、位置ずれ算出部53が主走査方向の位置ずれ量を算出する際、最大シフト量を設定した。最大シフト量を小さく見積もることでCPU201の処理負荷を低減できる。
【0093】
しかし、最大シフト量は、画像形成装置100の機内温度などに影響されることが懸念される。そこで、本実施例では、最大シフト量を温度に応じて補正する画像形成装置100について説明する。
【0094】
図11は、本実施例の画像形成装置100の制御部200のハードウェア的なブロック図の一例を示す。図11において図3と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図11の画像形成装置100は、温度センサ217及び最大シフト量補正部55を有する。温度センサ217はI/O213に接続されており、所定のサイクル毎に温度検出し、CPU201に通知している。位置ずれ算出部53は、位置ずれ量を算出した場合、この温度T度を位置ずれ量に対応づけてNVRAM204に記憶する。
【0095】
図12は、最大シフト量補正部55が最大シフト量を補正する手順の一例を示すフローチャート図である。
【0096】
最大シフト量補正部55は、位置ずれ量の算出タイミングになった否かを判定する(S310)。位置ずれ量の算出タイミングとは、十分な数の最初位置Rと最初位置Wが記憶されたタイミングである。
【0097】
位置ずれ量の算出タイミングになった場合(S310のYes)、最大シフト量補正部55はNVRAM204から位置ずれ量を算出した際の温度T℃を読み出し、かつ、温度センサ217が検出した現在の温度T0を取得する(S320)。
【0098】
そして、最大シフト量補正部55は、温度差|T−T0|が閾値より大きいか否かを判定する(S330)。例えば、温度差がほとんどなかった場合は、最初位置Wと最初位置Rのずれ量も小さいことが予想されるため、位置ずれ量を計算する最大シフト量も小さくてよい。しかし、温度差が閾値より大きかった場合(S330のYes)、位置ずれ量が大きいことが予想されるため、最大シフト量補正部55は最大シフト量を大きくする(S340)。この場合、最大シフト量補正部55は、温度差に応じて最大シフト量を大きくことが好ましい。
【0099】
最大シフト量が補正された後は、位置ずれ算出部53が位置ずれ量を算出し、現在の温度に対応づけてNVRAM204に記憶する。
【0100】
したがって、本実施例の画像形成装置100は、機内温度に応じて最大シフト量を最適化できるので、温度差が小さい場合にはCPU201の処理負荷を低減でき、温度差が大きい場合には位置ずれ量の算出範囲を広げ、位置ずれ量を精度よく算出できる。
【実施例3】
【0101】
また、最大シフト量が大きいことは、位置ずれ量の算出範囲を広げることができるが、位置ずれ量の計算に時間がかかることを意味する。
【0102】
しかし、位置ずれ量の算出が終わるまで、画像形成装置100は吐出位置の補正ができないので、位置ずれ量の算出に時間がかかると、例えば、次の記録媒体に対する印刷が開始されるまでに位置ずれ量の算出が間に合わないことも生じる。このため、位置ずれ量の算出時間は短い方が長いよりも好ましい。
【0103】
そこで、本実施例では、位置ずれ量の算出時間を低減する画像形成装置100について説明する。
【0104】
〔ドキュメントに応じて算出範囲を制限する〕
図13は、本実施例の画像形成装置100の制御部200のハードウェア的なブロック図の一例を示す。図13において図3と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図13の画像形成装置100は、計算範囲見積もり部56を有する。計算範囲見積もり部56は、主走査方向の最初位置Wと最初位置Rのどの部分を位置ずれ量の算出に用いるか(位置ずれ量の算出に用いられる最初位置Wと最初位置Rの範囲を「印刷ずれ量の算出範囲」という)を見積もる。なお、最初位置Rのどの部分を算出に用いるかは、最大シフト量の見積もりと同義である。
【0105】
図14は計算範囲の見積もりを模式的に説明する図の一例である。図14(a)は文字が中心のドキュメントを表し、図14(b)は図が中心のドキュメントを表す。文字が中心のドキュメントの場合、文字は左から記述されるので記録媒体の左側にはほとんど文字が印字されるのに対し、右側は改行などで文字が印字されないこともある。このため、文字が中心のドキュメントの場合、記録媒体の左側の最初位置Wと最初位置Rを用いて位置ずれ量を算出すればよいことになる。
【0106】
計算範囲見積もり部56は、ドキュメントの種類を判別し、文字が中心のドキュメントの場合、最初位置Wの主走査方向の左から10%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。また、最初位置Rの主走査方向の左から20%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。したがって、最大シフト量は主走査方向の最初位置Rの10%になる。
【0107】
また、図が中心のドキュメントの場合、図は中央に描画されることが多いので記録媒体の左右の端部にはほとんど図が印字されないことがある。このため、図が中心のドキュメントの場合、記録媒体の中央付近の最初位置Wと最初位置Rを用いて位置ずれ量を算出すればよいことになる。
【0108】
計算範囲見積もり部56は、ドキュメントの種類を判別し、図が中心のドキュメントの場合、最初位置Wの主走査方向の中央の10%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。また、最初位置Rの主走査方向の中央を含む20%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。したがって、最大シフト量は主走査方向の最初位置Rの10%になる。なお、写真が中心のドキュメントは、図が中心のドキュメントと同様に扱うことができる。
【0109】
なお、ドキュメントの種類は、プリンタドライバから取得した印刷条件の印刷品質(一般文書、CAD、写真等)から判別される。また、カラー印刷の場合は写真と判別されてもよい。
【0110】
このように、ドキュメントの種類に応じて位置ずれ量の算出に用いる最初位置Wと最初位置Rを制限することで、位置ずれ量の算出範囲を最適にして、位置ずれ量の計算にかかる時間を抑制できる。
【0111】
〔位置ずれ量の算出範囲を段階的に狭める〕
また、位置ずれ量の算出範囲を段階的に狭めることも有効である。
図15は、位置ずれ量の算出範囲を説明する図の一例である。
(1)まず、計算範囲見積もり部56は、シフト量を等間隔又はランダムに設定する。図では5,10、15…のように等間隔にシフト量が設定されている。なお、最初位置Wの計算範囲は固定であるとする。
(2)位置ずれ算出部53は、設定された各シフト量で、最初位置Wと最初位置Rの差分を算出し、差分の二乗の合計を求める。図では、シフト量が5の場合の差分の二乗の合計が50,シフト量が10の場合の差分の二乗の合計が100,シフト量が15の場合の差分の二乗の合計が90である。
(3)計算範囲見積もり部56は、合計が最小のシフト量を特定し、そのシフト量の前後のシフト量において間隔を空けずに(又は十分小さい間隔をもって)、位置ずれ算出部53に差分の算出を要求する。シフト量が5で差分の合計が最小になっているので、シフト範囲は、5に対し例えばプラスマイナス50%(=約3)のように決定される。すなわち、2〜8がシフト量となる。
(4)位置ずれ算出部53は、シフト量を2〜8として、それぞれのシフト量で最初位置Wと最初位置Rの差分の二乗を算出し、その合計を求める。
【0112】
このような手順を踏むことで、位置ずれ算出部53の計算量を低減でき、位置ずれ量の算出範囲を適切に絞り込むことができる。
【0113】
〔記録速度を考慮して算出範囲を変更する〕
位置ずれ量の算出時間として許容されるのは、おおむね次の記録媒体への印刷が開始するまでである。次の記録媒体への印刷が開始するまでに位置ずれ量の算出が完了すれば、画像形成装置100は次の記録媒体への印字には位置ずれを補正することができる。
【0114】
ここで、記録速度は副走査方向や主走査方向の印字の解像度によって変わりうるので、位置ずれ量を算出するための許容時間も記録速度によって変わってくる。そこで、計算範囲見積もり部56は、記録速度によって位置ずれ量の算出範囲を変更する。
【0115】
具体的には、計算範囲見積もり部56は、記録速度を例えば印刷条件(解像度、印刷品質等)から取得する。計算範囲見積もり部56は、記録速度に応じて、主走査方向の最初位置Rと最初位置Wのどの部分を位置ずれ量の算出に用いるかを見積もる。
【0116】
例えば、記録速度がV1の場合、計算範囲見積もり部56は、最初位置Wの主走査方向の左から10%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。また、最初位置Rの主走査方向の左から20%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。したがって、最大シフト量は主走査方向の最初位置Rの10%になる。
【0117】
例えば、記録速度がV2(<V1)の場合、計算範囲見積もり部56は、最初位置Wの主走査方向の左から20%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。また、最初位置Rの主走査方向の左から40%程度のみを位置ずれ量の算出に用いると決定する。したがって、最大シフト量は主走査方向の最初位置Rの20%になる。
【0118】
こうすることで、記録速度が変わっても、位置ずれ量の算出が終了する前に次の記録媒体への印刷が開始することが防止できる。
【0119】
なお、本実施例の位置ずれ量の算出範囲の変更は、実施例2の温度変換と共に画像形成装置100に適用できる。この場合、温度差に応じて最大シフト量を大きくする。
【実施例4】
【0120】
本実施例では、位置ずれ量が異常に大きかった場合に適切な対応が可能な画像形成装置100について説明する。
【0121】
図16は、本実施例の画像形成装置100の制御部200のハードウェア的なブロック図の一例を示す。図16において図3と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図16の画像形成装置100は、異常処理部57を有する。異常処理部57は、位置ずれ量が閾値以上に大きかった場合に、以下の態様で対応する。
(1)画像形成装置100を停止させる。
(2)画像形成装置100に印刷を停止させた後、再度、同じ画像データを印刷させる。
(3)位置ずれ算出部53に位置ずれ量を再計算させ、画像形成装置100を停止させる。
【0122】
このように異常処理部57は位置ずれ量の大きさを監視することで、位置ずれ量が異常に大きい場合も適切な対応が可能になる。
【0123】
図17は、画像形成装置100が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。図17において図8と同じステップの手順の説明は省略する。
【0124】
図17の手順では、ステップS60にて位置ずれ量が算出された後、異常処理部57が位置ずれ量が閾値以上か否かを判定する(S65)。位置ずれ量が閾値以上でない場合(S65のNo)、異常処理部57は何もせず、印字が継続される。
【0125】
位置ずれ量が閾値以上の場合(S65のYes)、異常処理部57は例えば印刷制御部207に直ちに印字を中止させる(S66)。そして、異常処理部57は、画像形成装置100に警告ランプを点灯させたりエラーメッセージを表示させるなどして、ホスト側からの印刷要求を受け付けないようにする。すなわち、画像形成装置100は停止した状態と等しくなる。ユーザはカスタマーエンジニアを呼ぶなどして対処することができる。
【0126】
これにより、位置ずれ量が異常に大きい場合、ヘッドドライバ220が印刷データの全てを印字することなく印字を終了できる。
【0127】
図18は、画像形成装置100が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。図18において図8と同じステップの手順の説明は省略する。
【0128】
図18の手順では、ステップS60にて位置ずれ量が算出された後、異常処理部57が位置ずれ量が閾値以上か否かを判定する(S65)。位置ずれ量が閾値以上でない場合(S65のNo)、異常処理部57は何もせず、印字が継続される。
【0129】
位置ずれ量が閾値以上の場合(S65のYes)、異常処理部57は例えば印刷制御部207に直ちに印字を中止させ、かつ、記録媒体を排出させる(S67)。
【0130】
そして、第2の用紙検出部25が記録媒体の排紙を検出すると、異常処理部57は、位置ずれ量が異常に大きかった印刷データを再度印刷するよう、印刷制御部207に要求する(S68)。
【0131】
これにより、位置ずれ量が異常に大きい場合、ヘッドドライバ220が印刷データの全てを印字することなく印字を終了でき、再度、印刷することができる。
【0132】
図19は、画像形成装置100が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。図19において図8と同じステップの手順の説明は省略する。
【0133】
図19の手順では、ステップS60にて位置ずれ量が算出された後、異常処理部57が位置ずれ量が閾値以上か否かを判定する(S65)。位置ずれ量が閾値以上でない場合(S65のNo)、異常処理部57は何もせず、印字が継続される。
【0134】
位置ずれ量が閾値以上の場合(S65のYes)、異常処理部57は異常回数をカウントアップする(S69)。異常回数は、位置ずれ量が閾値以上の場合にカウントアップされる値で、NVRAM204に記憶されている。
【0135】
そして、異常処理部57は異常回数が規定値を超えたか否かを判定する(S691)。異常回数が規定値を超えていない場合(S691のNo)、異常処理部57は何もせず、印字が継続される。
【0136】
異常回数が規定値を超えている場合(S691のYes)、異常処理部57は例えば印刷制御部207に直ちに印字を中止させる(S66)。そして、異常処理部57は、画像形成装置100に警告ランプを点灯させたりエラーメッセージを表示させるなどして、ホスト側からの印刷要求を受け付けないようにする。すなわち、画像形成装置100は停止した状態と等しくなる。ユーザはカスタマーエンジニアを呼ぶなどして対処することができる。
【0137】
これにより、何度も異常に大きい位置ずれ量が算出される場合に、画像形成装置100を停止させることができる。
【0138】
以上説明したように本実施例の画像形成装置100は、位置ずれ量が閾値以上に大きかった場合に適切に対応することができる。なお、本実施例は実施例1から3の全てに適用可能である。
【実施例5】
【0139】
実施例1〜4ではいずれも位置ずれ量を算出し液滴の吐出位置を補正する画像形成装置100について説明した。しかし、このような補正機能をオプションとして設定すれば、画像形成装置100毎に位置ずれを補正するか否かを選択することが可能になり、ユーザのコスト負担を軽減できる。
【0140】
そこで、本実施例では、吐出位置の位置ずれを補正するか否かをユーザ等が選択可能な画像形成装置100について説明する。
【0141】
図20は、本実施例の画像形成装置100の制御部200のハードウェア的なブロック図の一例を示す。図20において図3と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図20の画像形成装置100は、イメージセンサ26の脱着を検出するスイッチ230を有する。このスイッチ230は、イメージセンサ26が装着されていることを検出してCPU201に通知する。
【0142】
したがって、本実施例の画像形成装置100はイメージセンサ26が装着されている場合にのみ、最初位置W、最初位置Rの記憶、位置ずれの算出、及び、位置ずれの補正が可能になる。
【0143】
こうすることで、メーカは画像形成装置100にイメージセンサ26を装着せずに販売することもできコストダウンを図ることができ、ユーザはイメージセンサ26を装着された画像形成装置100を購入するか否かを判断できる。なお、イメージセンサ26は市場に出荷された後、ユーザやカスタマーエンジニアが画像形成装置100に装着することもできる。
【0144】
図21は、画像形成装置100が、位置ずれ量を検出して補正する手順のフローチャート図の一例である。図21において図8と同じステップの手順の説明は省略する。
【0145】
図21の手順では、ステップS10に先だって、スイッチ230がイメージセンサ26が装着されているか否かを判定する(S5)。イメージセンサ26が装着されている場合(S5のYes)、実施例1〜4のように、画像形成装置100は吐出位置の位置ずれを補正する。
【0146】
イメージセンサ26が装着されていない場合(S5のNo)、画像形成装置100は吐出位置の位置ずれを補正しない。
【0147】
本実施例の画像形成装置100は、吐出位置の位置ずれを補正するかをユーザが選択することができる。なお、本実施例は実施例1から4の全てに適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
11 給紙部
12 用紙送りローラ
13 用紙検出部
14 レジストローラ
15、19 搬送ベルトローラ
17 搬送ベルト
20 排紙部
22 記録位置検出部
23 インク吐出ヘッド
24 記録ヘッド
25 第2の用紙検出部
26 イメージセンサ
27 用紙終端検出部
30 画像形成部
100 画像形成装置
200 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0149】
【特許文献1】特許第4032359号公報
【特許文献2】特開2008−284808号公報
【特許文献3】特開2006−199048号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザのドキュメントから生成した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
記録媒体を吸着させて搬送させる搬送ベルトと、
前記搬送ベルトを駆動させるための駆動部と、
記録媒体にインクの液滴を吐出するノズルが主走査方向にライン状に並んだ記録ヘッドと、
前記印刷データに応じて前記記録ヘッドのインク吐出動作を制御する印刷制御手段と、
を有する画像形成装置において、
主走査方向にライン状に並んだ撮像素子を備え、記録媒体に着弾した液滴を撮影する撮影手段と、
記録媒体の端部を基準とする、前記記録ヘッドが液滴を吐出した吐出位置の第1の位置情報を取得する第1の位置情報取得手段と、
記録媒体の端部を基準とする、液滴の着弾位置の第2の位置情報を取得する第2の位置情報取得手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報を比較して、主走査方向及び副走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出する位置ずれ算出手段と、
前記記録ヘッドに前記位置ずれ量を補正させる補正手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記位置ずれ算出手段は、主走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出した後、
前記第1の位置情報又は前記第2の位置情報のいずれかに、主走査方向の位置ずれ量の修正を施し、副走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記位置ずれ算出手段は、複数の前記第1の位置情報と複数の前記第2の位置情報の対応を主走査方向に相対的にシフトさせながら位置ずれの大きさと相関する相関情報を算出し、前記相関情報に基づき前記位置ずれ量を決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記位置ずれ算出手段は、予め定められた最大シフト量の範囲で前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の対応を相対的にシフトさせ、前記相関情報を算出する、
ことを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
機器内の温度を検出する温度検出手段と、
前記位置ずれ算出手段が最後に前記位置ずれ量を算出した際の温度と、現在の温度の温度差に応じて、前記最大シフト量を変更する最大シフト量補正手段と、
を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ドキュメントの種別に応じて、前記位置ずれ算出手段が前記相関情報の算出に使用する前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の範囲を見積もる計算範囲見積もり手段、を有することを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の対応を主走査方向に不連続にシフトさせた際の前記相関情報に基づき、前記位置ずれ算出手段が前記相関情報の算出に使用する前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の範囲を見積もる計算範囲見積もり手段、
を有することを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドの記録速度に応じて、前記位置ずれ算出手段が前記相関情報の算出に使用する前記第1の位置情報と前記第2の位置情報の範囲を見積もる計算範囲見積もり手段、を有することを特徴とする請求項3〜5いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記位置ずれ量が閾値以上の場合、当該画像形成装置を停止して警告を出力する異常処理手段、を有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記位置ずれ量が閾値以上の場合、当該記録媒体への印字を中止して、再度、前記印刷データの印字を再開する異常処理手段、を有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記位置ずれ量が閾値以上となった回数をカウントして、回数が規定値以上になった場合、当該画像形成装置を停止して警告を出力する異常処理手段、を有することを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記撮影手段の装着を検出する撮影手段装着検出手段を有し、
前記撮影手段装着検出手段が前記撮影手段の装着を検出した場合のみ、前記位置ずれ量を算出する、ことを特徴とする請求項1〜11いずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
ユーザのドキュメントから生成した印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
記録媒体を吸着させて搬送させる搬送ベルトと、前記搬送ベルトを駆動させるための駆動部と、記録媒体にインクの液滴を吐出するノズルが主走査方向にライン状に並んだ記録ヘッドと、前記印刷データに応じて前記記録ヘッドのインク吐出動作を制御する印刷制御手段と、を有する画像形成装置の画像形成方法において、
主走査方向にライン状に並んだ撮像素子を備える撮影手段が、記録媒体に着弾した液滴を撮影するステップと、
第1の位置情報取得手段が、記録媒体の端部を基準とする、前記記録ヘッドが液滴を吐出した吐出位置の第1の位置情報を取得するステップと、
第2の位置情報取得手段が、記録媒体の端部を基準とする、液滴の着弾位置の第2の位置情報を取得するステップと、
位置ずれ算出手段が、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報を比較して、主走査方向及び副走査方向における吐出位置と着弾位置の位置ずれ量を算出するステップと、
補正手段が、前記記録ヘッドに前記位置ずれ量を補正させるステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−16894(P2012−16894A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155845(P2010−155845)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】