説明

画像形成装置、記憶装置及びデータ検査方法

【課題】記憶装置に記憶されるプログラム等の内、本質的でない部分に異常がある場合、その異常部分の機能を切り離し、機器全体が使用できなくなることを防止可能な画像形成装置等を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、記憶領域が複数のブロックに分割されて複数のデータ記憶領域が形成され、各データ記憶領域のあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域とが設けられる記憶部12と、装置の有する機能単位で分割された各データを各データ記憶領域、各データ記憶領域のチェックサム値をチェックサム記憶領域に書き込みを行う書込部16と、装置の電源投入時に、各データ記憶領域に対しチェックサムの演算を行い、これとチェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行い、データが正常であるか否かの判定を行う演算部と、異常のあるデータ記憶領域に記憶される機能を使用不可とする制御部10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,チェックサムによりメモリ等に記憶されたデータが正常であるかを確認する記憶装置、データ検査方法に関する。又、この記憶装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、例えば、プリンタや複写機等の画像形成装置や携帯電話やデジタルカメラ等の様々な機器において、機器を制御し、動作させるためのプログラムや制御用データ等、各種のデータを記憶する記憶装置が各機器内に設けられる。即ち、プログラム等の各種データを記憶する記憶装置は、各機器に組み込まれる。そして、各種データを記憶する素子には、例えば、フラッシュROM等の不揮発性メモリが用いられる。
【0003】
そして、フラッシュROMのように、複数回にわたりデータ更新を行うことができる記憶装置においては、データ更新中の高電圧や静電気などのノイズ等による外的要因や、電源が停電等により切断されるなど、正常にデータ更新されないことがある。又、正常にデータ更新されても、その後、静電気、高電圧等のノイズなどにより、データが破壊されることもある。そして、記憶装置に記憶されたデータに異常があると、機器の制御、動作等にエラーが発生する。そのため、記憶されたデータの誤りの有無を判定する必要がある。従来から、このような判定に用いられる方法として、チェックサムによる誤り検知が知られている。この方法では、記憶されたデータを順に加算し、その加算結果とあらかじめ記憶される参照用のチェックサム値を比較し、記憶されているデータが正常かを判断する。
【0004】
このような、フラッシュROM等の記憶内容の誤り検知を行う方法として、チェックサムを利用する発明が特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1には、装置の経時変化を記憶する不揮発メモリを備え、不揮発メモリヘのデータの書込みの中断を予測して、データの書込が中断前に終了するように制御する制御手段を有し、例えば、制御手段は書込むデータ量を制限する制御を行う画像形成装置や、前記不揮発メモリを複数の領域に分け、該領域ごとに種類の異なるデータを記憶する画像形成装置が記載され、データの誤り検知のためチェックサムを用いることが記載されている(特許文献1:請求項1、3、5、段落0055等参照)。
【特許文献1】特開2000−071566
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、フラッシュROM等を備える記憶装置では、従来、記憶するデータ全体に対しチェックサムを行い、1ビットでもチェックサムの演算結果が異なれば、異常があるものと判定されていた。従って、フラッシュROM等が記憶するデータに、例えば、記憶装置が組み込まれる機器を制御するプログラムが記憶されている場合などは、異常があると判定されれば、その機器の全機能を停止する措置が採られていた。
【0006】
しかし、フラッシュROM等が記憶するプログラムのうち、例えば、機器の機能を拡張するためのプログラムの部分でデータの異常があり、機器を制御するための基本的なプログラムには異常がない場合でも機器の全機能が停止され、機器全体が使用不可とされるという問題がある。言い換えると、フラッシュROM等が記憶する制御プログラムのうちで拡張機能に相当する部分に異常があっても機器全体が使用できず、使用者の利便性が損なわれているという問題がある。
【0007】
ここで、特許文献1記載の発明をみると、フラッシュROM等のメモリの記憶領域を複数の領域に分割し、領域ごとに異なるデータを記憶することが記載され、各領域についてチェックサムが保持される構成(特許文献1:段落0055〜0058等参照)が示されている。しかし、特許文献1記載の発明は、領域ごとに異なるデータを記憶して電源遮断時における緊急書込でのデータ量を制限し、書込異常を無くすことで、フラッシュROMが書き込まれるデータの異常発生防止を図るものであり、実際にプログラム等のデータに異常がある場合の対処を示唆したものではない。
【0008】
又、特許文献1記載の発明において、記憶の対象とされるデータは、感光体ドラムの使用時間や高圧印加の履歴時間等の使用履歴に関するデータを示すに過ぎず(請求項1、段落0076等参照)、制御プログラムを対象とするものではなく、上記に示した制御プログラムのうちで本質的でない部分に異常があっても機器全体が使用できなくなるという課題を解決することはできない。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、記憶装置に記憶されるプログラム等の内、本質的でない部分に異常がある場合、その異常のある部分の機能を切り離し、機器全体が使用できなくなることを防止可能な画像形成装置、記憶装置、データ検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため請求項1に係る発明は、装置の制御を行うためのデータを記憶するための記憶領域が、複数のブロックに分割されることで複数のデータ記憶領域が形成されるとともに、データ更新時に各前記データ記憶領域に書き込まれるデータのあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域とが設けられる記憶部と、装置の有する機能単位で分割された各データを各前記データ記憶領域に書き込み、各データのチェックサム値を前記チェックサム記憶領域に書き込みを行う書込部と、装置の電源投入時に、各前記データ記憶領域のデータに対しチェックサムの演算を行い、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各前記データ記憶領域に記憶されるデータが正常であるか否かの判定を行う演算部と、異常のある前記データ記憶領域に記憶される機能を使用不可とする制御部を有することとした。
【0011】
この構成によれば、制御部が異常のあるブロックに記憶される機能を使用不可として制御対象外にすることで、その機能が画像形成装置の本質的、基本的な動作に関するものでない場合には、記憶部のデータの一部が、書換時の電源遮断、高電圧、静電気等により破壊されても、画像形成装置自体は動作可能な状態を維持することができる。
【0012】
又、請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、分割される前記記憶部の記憶領域のうち、1つのブロックを装置本体の動作を制御するためのデータを記憶する基本領域とし、その他のブロックをオプション機器の動作を制御するためのデータを記憶する1又は複数の拡張領域とすることとした。
【0013】
この構成によれば、記憶領域のうち1つを、装置本体の動作を制御するプログラム等を記憶する基本領域とし、その他の記憶領域をオプション機器の動作を制御するプログラム等を記憶する拡張領域として分割することにより、オプション機器の数は限られたものであるから、記憶部の記憶領域が必要以上のブロックに分割せず、処理の複雑化を防ぐことができる。即ち、記憶領域の分割の好適な一例を示す。
【0014】
又、請求項3に係る発明は、請求項2記載の発明において、前記制御部は、前記基本領域に記憶されたデータに異常がある場合は装置自体をエラーとして停止させ、前記拡張領域に記憶されたデータに異常がある場合はその前記オプション機器を使用不可として扱うこととした。
【0015】
この構成によれば、拡張領域に異常がある場合は、その拡張領域に記憶されるデータに対応するオプション機器を使用不可として制御部が扱うことで、そのオプション機器は使用不可となるものの、画像形成装置やその他のオプション機器の使用は確保される。従って、使用者の利便性を向上させることができる。一方、基本領域に異常があると画像形成装置本体の制御・動作にいずれ異常が生じてしまうため、画像形成装置をエラーとして停止させることで、画像形成装置の使用中でのエラー停止を防ぐことができる。
【0016】
又、請求項4に係る発明は、請求項2又は3記載の発明において、装置に接続される前記オプション機器は、シートの供給を行うフィーダ及び/又は両面印刷ユニットであることとした。
【0017】
この構成は、オプション機器の好適な一例を示すものであって、これらのオプション機器を制御するためのプログラムに異常がある場合でも、オプション機器が装着された画像形成装置全体が動作不能状態となることはなく、該当するオプション機器の制御を切り離すことで画像形成装置自体は、動作可能な状態を維持することができる。
【0018】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4記載の発明において、前記書込部は、データ更新後、装置の最初の電源投入時にデータの異常が発見された場合、異常のあった前記データ記憶領域に対応する前記チェックサム記憶領域に対して異常のあることを示す一定の値を書き込み、前記演算部は、データ更新後、チェックサムの比較演算後は、前記チェックサム記憶領域での異常のあることを示す一定の値の書き込みの有無により、各前記データ記憶領域のデータの異常の有無を判定することとした。
【0019】
この構成によれば、画像形成装置の電源投入時ごとに、チェックサムを行わず、記憶部に記憶される更新結果に基づき、各ブロックの正常、異常を判断するから、画像形成装置やオプション機器が使用可能であるかが迅速に判断され、画像形成装置の起動処理を高速化することができる。
【0020】
又、請求項6に係る発明は、機器の制御を行うためのデータを記憶し、機器に組み込まれる記憶装置において、機器の制御を行うためのデータを記憶するための記憶領域が、複数のブロックに分割されることで複数のデータ記憶領域が形成されるとともに、データ更新時に各前記データ記憶領域に書き込まれる各データのあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域とが設けられる記憶部と、機器の有する機能単位で分割された各データを各前記データ記憶領域に書き込み、各データのチェックサム値を前記チェックサム記憶領域に書き込みを行う書込部と、機器の電源投入時に、各前記データ記憶領域のデータに対しチェックサムの演算を行い、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各前記データ記憶領域に記憶されるデータが正常であるか否かの判定を行う演算部と、異常のある前記データ記憶領域に記憶される機能を使用不可とする制御部を有することとした。
【0021】
この構成によれば、制御部が異常のあるブロックに記憶される機能を使用不可として、そのブロックにアクセスを行わないので、その機能が機器の制御において、本質的、基本的な動作に関するものでない場合には、記憶部のデータの一部が破壊された状態でも、機器自体は動作可能な状態を維持できる記憶装置を提供することができる。
【0022】
又、請求項7に係る発明は、データ検査方法において、データ更新時に、機器の制御を行うためのデータを、複数のブロックに分割される記憶部のデータ記憶領域に、機器の有する機能単位で各データ記憶領域に記憶させるステップと、データ更新時に、前記記憶部に設けられるチェックサム記憶領域に、各データのあらかじめ計算されたチェックサム値を記憶させるステップと、前記記憶部のデータ更新後、装置の電源投入時に、演算部により各データ記憶領域に対しチェックサムの演算を行い、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各データ記憶領域に記憶されたデータが正常であるかどうかの判定を行うステップと、機器を制御するための制御部により、前記異常のある前記データ記憶領域の機能の使用を制限するステップを有することとした。
【0023】
この方法によれば、制御部が異常のあるブロックに記憶される機能を使用不可として制御対象外にすることで、その機能が機器の本質的、基本的な動作に関するものでない場合には、記憶部のデータの一部が破壊された状態でも、機器自体は動作可能な状態を維持することができるデータ検査方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明によれば、データ記憶領域の一部に異常があっても、その異常のある部分が、例えばオプション機器のような、拡張機能に関する部分の異常であれば、その機能を使用しないこととして、基本的な画像形成装置や機器の動作を保証することで全体が完全に停止してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図1〜7を参照しつつ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0026】
最初に、本発明に係る記憶装置は、各種装置に適用可能であるが、代表例として画像形成装置としてのプリンタ1に組み込む場合を説明する。そこで、まず、本実施形態のプリンタ1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の概略構造の一例を示す模型的正面断面図である。尚、図1では、シートの搬送方向を破線矢印で示す。
【0027】
まず、本実施形態のプリンタ1には、オプション機器として、フィーダ2と両面印刷ユニット3が接続される。前記両面印刷ユニット3は、プリンタ1の本体の左側面及び下面を覆うように、プリンタ1の本体に取り付けられる。又、フィーダ2は、プリンタ1にシートを供給するためのものであり、本実施形態では、両面印刷ユニット3の下方に重ねて設けられる。尚、フィーダ2は更に複数段重ねることができる。
【0028】
次に、プリンタ1の本体を詳細に説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、タンデム型であり、中間転写ベルト91を用いてフルカラーの画像をシートに形成する。そのため、カセット4、シート搬送部5、2次転写部6、定着部7、画像形成部8、中間転写部9を主な構成として有する。
【0030】
前記カセット4は、本体部内下方に引き出し可能に配置され、その内部にプリンタ用紙等の各種、各サイズのシートが収容される。カセット4は、画像形成を行う旨がプリンタ1に入力されると、1枚ずつシートをシート搬送部5に送り出す。前記シート搬送部5は、本体部内でのシート搬送を行う。シート搬送部5は、モータ、ギア等からなる駆動機構(不図示)に接続され回転駆動する搬送ローラ対51や、シートを2次転写部6にタイミングを合わせて進入させるレジストローラ対52、シートを破線矢印の方向に案内するためのガイド板(不図示)等が設けられる。
【0031】
前記2次転写部6は、本体部内のほぼ中央位置に設けられ、画像形成部8で形成されトナー像が重畳して転写(1次転写)された中間転写ベルト91上のトナー像をシートに転写する。2次転写部6は、主として2次転写ローラ61と、2次転写ローラ61に対向して配され中間転写ベルト91を張架し、モータ、ギア等の駆動機構(不図示)と接続され回転駆動する駆動ローラ92で構成される。
【0032】
前記定着部7は、2次転写部6の左方に配され、シート上のトナー像に接する加熱ローラ71と、加熱ローラ71に圧接して配置される加圧ローラ72とを有し、ニップに進入したシートに2次転写されたトナー像をシートに定着させる。定着後のシートは、両面印刷を行わない場合、本体部上方の排出部53に搬送され、排出トレイ54に排出される。一方、両面印刷を行う場合、定着後のシートは、両面印刷ユニット3方向に搬送される。尚、定着部7の出口近傍に設けられる第1切替ガイド55が、搬送方向の切替を行う。
【0033】
画像形成部8は、中間転写ベルト91上方に設けられる。画像形成部8は、シアン用の画像形成ユニット81C、マゼンタ用の画像形成ユニット81M、イエロー用の画像形成ユニット81Y、及びブラック用の画像形成ユニット81Bで構成される。具体的に、画像形成ユニット81C〜81Bは、中間転写ベルト91の上方かつ近接して並列配置される。尚、各画像形成ユニット81C〜81Bの構成については後述する。
【0034】
前記中間転写部9は、中間転写ベルト91、駆動ローラ92、中間転写ベルト91を張架し周回させるための2本の従動ローラ93、94、4本の1次転写ローラ95、ベルトクリーニング装置96等で構成され、ユニット化可能である。中間転写体としての中間転写ベルト91は、例えば誘電体樹脂で無端状に形成され、複数のローラに周回可能に張架される。駆動ローラ92は、2次転写ローラ61に対向して配されるローラであり、中間転写部9のうち、最下方に配される。この駆動ローラ92には、モータ・ギア等から構成される駆動機構(不図示)が接続され、駆動ローラ92が回転駆動することで、中間転写ベルト91は、図1では時計回りに周回する。
【0035】
1次転写ローラ95は、中間転写ベルト91に感光体ドラム82が接する部分で感光体ドラム82に対向して回転可能に支持される。そして、1次転写ローラ95は、電源(不図示)によりトナーの帯電極性と逆極性の電圧(電流)を印加される。このバイアス印加で、感光体ドラム82から中間転写ベルト91にトナーが引き付けられ、各画像形成ユニット81C〜81Bで形成されたトナー像が中間転写ベルト91表面にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたフルカラーのトナー像が形成される。尚、ベルトクリーニング装置96は、画像形成ユニット81Bのベルト周回方向上流側に設けられ、中間転写ベルト91表面に残留するトナー等を除去し、回収する。
【0036】
次に、図2に基づき、各画像形成ユニット81の構成、動作について説明する。図2は本発明の実施形態に係る1つの画像形成ユニット81の一例を示す部分拡大図である。尚、4色の各画像形成ユニット81C〜81Bは構造が共通するので、「C」「M」「Y」「B」の記号は省略し、1つの画像形成ユニット81を抽出して説明する。又、図2中の実線矢印は、各回転部材の回転方向を示す。
【0037】
画像形成ユニット81は、像担持体としての感光体ドラム82と、帯電装置83、露光装置84、現像装置85、ドラムクリーニング装置86等で構成される。
【0038】
前記感光体ドラム82は、アルミニウム等の導電性基体の外周面に、アモルファスシリコンの感光層を設けた円筒状の部材であり、その表面に帯電したトナーのトナー像を担持する。前記帯電装置83は、感光体ドラム82の表面を均一に帯電させる。帯電装置83は、コロナ放電によるものや、ローラ、ブラシによるものでも良い。
【0039】
露光装置84は、帯電装置83の感光体ドラム82の回転方向下流側に配される。露光装置84はアレイ状等のLEDを有し、帯電した感光体ドラム82表面に画像データに応じた光を照射して、照射部分の電位を光減衰させて感光体ドラム82表面に静電潜像を形成する。尚、LEDに代えて、LSU(Laser Scan Unit)等を用いることもできる。現像装置85は、トナーを帯電させて感光体ドラム82の静電潜像にトナーを供給する。そのため、感光体ドラム82に正対しトナーを担持して回転する現像ローラ85aを備える。この現像ローラ85aからのトナーの供給により、静電潜像がトナー像に現像される。尚、トナー補給のためのコンテナ85bが、現像装置85に接続される。前記ドラムクリーニング装置86は、感光体ドラム82から中間転写ベルト91に転写されずに残留した現像剤を清掃する。
【0040】
次に、図1に戻り、両面印刷ユニット3について説明する。
【0041】
上述のように、両面印刷ユニット3は、両面印刷のためのオプション機器としてプリンタ1本体に取り付けられる。まず、両面印刷を行う場合、定着部7を通過した片面印刷済のシートが、定着部7の下流の搬送路上に設けられ回動駆動する第1切替ガイド55により、両面印刷ユニット3内に導かれる。更に、シートは、両面排出トレイ31近傍に設けられ回動駆動する第2切替ガイド32により、両面印刷ユニット3の下方に導かれる。尚、シート搬送経路上に、シートの搬送を行うため適宜搬送ローラ対33が設けられる。
【0042】
そして、両面印刷を行うシートは、両面印刷ユニット3の下方に設けられる第3切替ガイド34により、両面印刷ユニット3内最下方の反転部分R1に導かれる。(この部分を図1中で2点鎖線で図示)。この反転部分R1への入口には、回動駆動する第3切替ガイド34と、モータ、ギア等の駆動装置(不図示)に接続されるスイッチバックローラ35が設けられる。このスイッチバックローラ35は、シートの反転部分R1への進入後、最初は、図1において反時計方向に回転して、シートを反転部分R1の奥の方へ送り込む。
【0043】
その後、スイッチバックローラ35は、反転部分R1にシートを完全に送り込む前に、回転方向が逆転し、第3切替ガイド34の回動により搬送方向が切り替えられる。シートは、スイッチバックローラ35からプリンタ本体の右下面に設けられる再合流点Pまでの再合流搬送路R2(再合流搬送路R2を図1において一点鎖線で図示)を、スイッチバックローラ35上方を迂回しつつ搬送される。この両面印刷ユニット3の動作により、シートは表裏逆転され、再合流点Pから裏面に再度画像形成を行ってシートの両面に画像が形成される。尚、シートの両面に画像形成されたシートは、最終的に両面排出トレイ31に排出される。
【0044】
次に、図1に基づき、フィーダ2について説明する。
【0045】
本実施形態のプリンタ1におけるフィーダ2は、例えば、500〜1000枚単位で各種、各サイズ(例えばA4、B4等)のシートを収容可能な大容量の給紙装置である。尚、図1では1段のみであるが、フィーダ2を複数段重ねることが可能である。フィーダ2内にはシートを積載しピックアップローラ22に最上位のシートを当接させる載置板21や、モータ、ギア等の駆動装置に接続され本体部からの給紙指示を受けシートを搬送路に向けて送り出すピックアップローラ22、シートを上方へ向けて搬送する搬送ローラ対23等が設けられる。そして、フィーダ2内のシート搬送部分は、図1の右方に位置し、両面印刷ユニット3の再合流搬送路R2と接続され、フィーダ2からもシートが2次転写部6、定着部7方向に向けて搬送される。
【0046】
次に、図3に基づき、本実施形態のプリンタ1のハードウェア構成及びその制御について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るプリンタ1のブロック図である。
【0047】
まず、図3に示す外部コンピュータ100は、ネットワーク等を介し画像データ等を送信できるようにプリンタ1に接続される。そして、本実施形態におけるプリンタ1は、外部コンピュータ100から送信される画像データに基づき画像形成を行うことができる。
【0048】
そして、図3に示すように、本実施形態のプリンタ1は、プリンタ1全体の動作の制御のため、プリンタ1内部の制御基板上に設けられ、CPU11、記憶部12(RAM13、HDD14、フラッシュROM15等で構成)、書込部16等から構成される制御部10を有する。前記CPU11は、中央演算処理装置として機能し、HDD14、フラッシュROM15に格納されているデータ(制御のためのプログラムやデータ等)に基づき、プリンタ1の各部を制御する。尚、CPU11は、プリンタ1の電源投入時に記憶部12に記憶されるデータが正常かの確認を行うチェックサムの演算を行う演算部でもある。
【0049】
記憶部12は、例えば、RAM13、HDD14、フラッシュROM15等のメモリで構成される。RAM13は、揮発性のメモリであり制御用プログラムや制御用データを一時的に展開する場合や、画像データを一時的に保存しておく場合などに用いられる。HDD14は、大容量の不揮発性の記憶装置であって、制御用プログラムや、画像データの保存や、使用者によるプリンタ1の設定情報を保存する場合などに使用される。
【0050】
フラッシュROM15は、プリンタ1本体及びオプション機器の制御用プログラムや制御用データ等を記憶し、CPU11は、プリンタ1の各部やオプション機器の制御のためフラッシュROM15からデータを読み出す。例えば、フラッシュROM15は、プリンタ1の電源投入時の起動に関する制御プログラム等を格納する。
【0051】
ここで、特許請求の範囲の記載の「データ」の文言について述べておくと、特許請求の範囲記載の「データ」の文言には、狭義のデータだけではなく、プリンタ1本体やオプション機器を制御するためのプログラムも含まれる。言い換えると、フラッシュROM15に記憶される内容を「データ」として総称するものである。
【0052】
書込部16は、インストール時やバージョンアップ時等にフラッシュROM15の更新を行い、新たなプログラム等をフラッシュROM15に記憶させるため、フラッシュROM15の書込を行う部分であり、フラッシュROM15は、例えば、複数回にわたり(例えば、10万回)更新可能である。又、詳細は後述するが、書込部16は、プリンタ1の機能単位で分割された各プログラム等を各データ記憶領域D1、D2、D3に、又、各データ記憶領域D1、D2、D3に記憶される各データのチェックサム値をチェックサム記憶領域E1、E2、E3に書き込みを行う。
【0053】
このように、本実施形態のプリンタ1は、制御部10、記憶部12、書込部16、演算部としてのCPU11を有するから、記憶装置が組み込まれているといえるものである。
【0054】
そして、この制御部10には、プリンタ1を構成するカセット4、シート搬送部5、2次転写部6、定着部7、画像形成部8、中間転写部9、電源装置17、操作パネル18等が接続され、各部の動作を、記憶部12に記憶されたプログラム等に基づき、的確にプリンタ1が機能するように制御する。
【0055】
ここで、図3に示す電源装置17は、プリンタ1内に適宜設けられ、プリンタ1本体だけでなく、フィーダ2や両面印刷ユニット3に対しても電力供給を行う。具体的に、電源装置17は、例えば、商用電源に接続され、交流を直流に整流し、電子部品駆動のため制御基板(制御部10)やオプション機器に5Vや3.3Vの直流電圧を供給し、プリンタ1本体内や、フィーダ2、両面印刷ユニット3内におけるローラやドラム等の回転体を回転させるためモータに、例えば、24V程度の電力供給等を行う。
【0056】
一方、操作パネル18は、例えば、プリンタ1の上面に設けられ(図1参照)、各種ボタンや、液晶表示部等を有し、使用者は、プリンタ1の操作を行う場合、各種ボタンを押下し、又、例えば、液晶表示部には、プリンタ1にエラーが発生した場合に、エラーが発生したこと、及び、その種類の表示を行う等、プリンタ1の状態情報を表示可能である。
【0057】
一方、両面印刷ユニット3や、フィーダ2のオプション機器側にも、CPU25、36が搭載される。オプション機器側のCPU25、36は、本体側のCPU11と通信可能とされる。例えば、プリンタ1の電源投入時の起動処理時、本体側のCPU11の接続確認信号に対し、オプション機器側が応答信号を返信して、本体側のCPU11は、オプション機器が接続されていることを認識する。又、本体側のCPU11は、そのオプション機器側のCPU25、36に、動作指示を与える等の処理を行う。例えば、本体側のCPU11は、CPU25にフィーダ2内のピックアップローラ22や搬送ローラ対23を回転させるためのモータや、CPU36に両面印刷ユニット3内のスイッチバックローラ35や切替ガイド32、34や搬送ローラ対33を回転させるためのモータを回転させるタイミング等の指示を行いオプション機器の制御を行う。尚、図3では簡略化して、各オプション機器には、CPU25、36のみを図示する。
【0058】
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15の記憶領域について説明する。図4は、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15の記憶領域の一例を示した説明図である。尚、ここでは、プリンタ本体及びオプション機器の制御のためのプログラム等が格納されている領域について説明するが、他の領域には、異なるプログラム等を記憶することは可能である。
【0059】
ここで、図4に示すアドレスは、16進数での表記であり(以下、0xは、16進数での表記であることを示す。)、本説明での記憶領域のアドレス範囲は、0x00010000〜0x0001ffffとする。又、本実施形態のフラッシュROM15は、1アドレスあたり、8ビット(1バイト)のデータを格納できるものとする。尚、記憶領域の範囲や1アドレスあたりのビット長は、一例を示しているに過ぎず、これに限られない。
【0060】
図4に示すように、フラッシュROM15の記憶領域は、本実施形態では、大きく分けて3つのブロックに分割される。ここで、記憶領域は、プリンタ本体の制御を行うためのプログラム等を記憶する基本領域T1(0x00010000〜0x00017fff)と、フィーダ2の制御を行うためのプログラム等を記憶するための拡張領域T2(0x00018000〜0x0001bfff)と、両面印刷ユニット3の制御を行うためのプログラム等を記憶するための拡張領域T3(0x0001c000〜0x0001ffff)として3つの領域に、ブロックとして分割される。即ち、拡張領域T2、T3はオプション機器の動作を制御するための拡張機能に係るプログラム等が記憶される。
【0061】
各ブロックについて説明すると、まず、基本領域T1には、実際にプリンタ本体の動作の制御を行うためのプログラム等を記憶するための領域であるデータ記憶領域D1(0x00010000〜0x00017ffd)と、データ記憶領域D1に書き込まれるプログラム等のあらかじめ計算されたチェックサム値等が書込部16により書き込まれるチェックサム記憶領域E1(0x00017ffe〜0x00017fff)が設けられる。
【0062】
そして、拡張領域T2には、実際にフィーダ2の動作の制御を行うためのプログラム等を記憶するための領域であるデータ記憶領域D2(0x00018000〜0x0001bffd)と、データ記憶領域D2に書き込まれるプログラム等のあらかじめ計算されたチェックサム値等が書込部16により書き込まれるチェックサム記憶領域E2(0x0001bffe〜0x0001bfff)が設けられる。
【0063】
更に、拡張領域T3は、実際に両面印刷ユニット3の動作の制御を行うためのプログラム等を記憶するための領域であるデータ記憶領域D3(0x0001c000〜0x0001fffd)と、データ記憶領域D3に書き込まれるプログラム等のあらかじめ計算したチェックサム値等が書込部16により書き込まれるチェックサム記憶領域E3(0x0001fffe〜0x0001ffff)が設けられる。
【0064】
このように、フラッシュROM15は、制御を行うためのプログラム等のデータを記憶し、その記憶領域が、複数のブロックに分割されることで複数のデータ記憶領域D1、D2、D3が形成される。又、記憶領域には、データ更新時に各データ記憶領域D1、D2、D3に書き込まれるデータのあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域E1、E2、E3も設けられる。
【0065】
尚、記憶領域の分割は、この例に限られるものではなく、更に複数に分割するようにしても良い。例えば、基本領域T1に記憶させるデータを更に細分化して、プリンタ1が印刷だけは最低限行えるプログラム等の部分と、その他の部分に分け、その他の部分を別の拡張領域に記憶させるブロック分け等、適宜設定可能である。
【0066】
次に、図5に基づき、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15のデータの更新について説明する。図5は、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15のデータの更新の一例を説明するためのフローチャートである。
【0067】
まず、CPU11は、フラッシュROM15へ書込を行うデータを、各ブロックごとにRAM13等に準備する(ステップ♯1)。即ち、プリンタ1を本体を制御するプログラム等と、フィーダ2を制御するプログラム等と、両面印刷ユニット3を制御するプログラム等というように、機能ごとに分割して、フラッシュROM15に記憶させる各プログラム等を用意する。そして、CPU11は、フラッシュROM15に書込を行う各プログラム等について、あらかじめ、それぞれ1行毎に加算、即ち、チェックサムを行う(ステップ♯2)。この場合、例えば、加算には2バイト使用し、桁あふれは無視するようにして加算を行うことができる(以下のチェックサムでも同様)。
【0068】
そして、各ブロックで全行の加算が完了すると、CPU11は、データ記憶領域D1、D2、D3に機能単位で分けられたプログラム等を、フラッシュROM15のチェックサム記憶領域E1、E2、E3には、それぞれのチェックサムの結果が書き込まれるように設定を行う(ステップ♯3)。尚、例えば、加算結果が0x0000(即ち、2バイトの領域において0が16個)となった場合、この値は、詳細は後述するが、特有の意味を満たせるので、0xaaaaに変換する設定を行う。
【0069】
そして、CPU11は、書込部16をステップ♯3までの処理、演算により生成されたデータをフラッシュROM15に書き込みを行うように制御し、書込部16は、フラッシュROM15のデータ更新を開始する(ステップ♯4)。フラッシュROM15のデータ更新が開始されると、まず、書込部16は、フラッシュROM15のデータを一旦全て消去する(ステップ♯5)。その後、0x00010000〜0x0001ffffまで一気に書込を行う(ステップ♯6)。そして、フラッシュROM15の更新処理が終了する。
【0070】
次に、図6に基づき、フラッシュROM15のデータ更新が正常に行われたかどうかの確認処理について説明する。図6は、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15のデータの更新確認処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
まず、図6に示すスタートは、データ更新後、最初のプリンタ1の電源ON時、即ち、フラッシュROM15のデータ更新後、フラッシュROM15に始めて電源が供給された時点である。まず、フラッシュROM15の更新後、最初の電源投入時か否かの確認をCPU11は行う(ステップ♯11)。この確認方法としてはフラッシュROM15内の基本領域T1、拡張領域T2、T3以外の領域に、一定の値(例えば0xffff)を書き込んでおき、データ検査終了後、その値を消去するようにして、この一定の値の有無により判定する等、適宜確認を行えばよい。
【0072】
次に、フラッシュROM15の更新後、最初にプリンタ1の電源が投入され、起動処理が開始されると、制御部10のCPU11は、基本領域T1のデータ記憶領域D1の1行毎の加算、即ち、チェックサムの演算を行う(ステップ♯12)。このデータ記憶領域D1のチェックサムの演算結果とチェックサム記憶領域E1に記憶されるあらかじめ計算されたチェックサム値の比較を行う(ステップ♯13)。比較の結果、両方の値が同一であれば(ステップ♯14のYes)、データ記憶領域D1は正常として、処理を継続する。
【0073】
一方で、両方の値が同一でなければ(ステップ♯14のNo)、プリンタ1本体の制御を行うためのプログラム等に異常があると判断し、使用を続けてもエラーが発生する可能性が極めて高いため、起動処理を中断し、チェックサム記憶領域E1に異常が存在することを示す一定の値(例えば、0x0000)をCPU11は、書込部16に書き込ませ(ステップ♯15)、プリンタ1はエラー停止し(ステップ♯16)、確認処理を終了する(エンド)。尚、以下の説明では、記憶されるプログラム等に異常があることを示す一定の値として、各チェックサム記憶領域E1、E2、E3に0x0000を統一して書き込むものとする。尚、他の一定の値を書き込んでも良い。
【0074】
次に、制御部10は、フィーダ2の制御に関する拡張領域T2のデータ記憶領域D2に対する異常の有無の検査を実行する。具体的には、データ記憶領域D2について、チェックサムの演算をCPU11が行う(ステップ♯17)。このデータ記憶領域D2のチェックサムの演算結果とチェックサム記憶領域E2に記憶されるあらかじめ計算されたチェックサム値の比較を行う(ステップ♯18)。比較の結果、両方の値が同一であれば(ステップ♯19のYes)、データ記憶領域D2は正常として、処理を継続する。一方で、両方の値が同一でなければ(ステップ♯19のNo)、CPU11は、フィーダ2の制御を行うためのプログラム等に異常があると判断し、CPU11は、チェックサム記憶領域E2に0x0000を書き込むように書込部16に指示する(ステップ♯20)。
【0075】
その次に、制御部10は、両面印刷ユニット3の制御に関する拡張領域T3のデータ記憶領域D3に対する異常の有無の検査を実行する。具体的には、データ記憶領域D3のチェックサムの演算をCPU11が行う(ステップ♯21)。演算後、このデータ記憶領域D3のチェックサムの演算結果とチェックサム記憶領域E3に記憶されるあらかじめ計算されたチェックサム値の比較を行う(ステップ♯22)。比較の結果、両方の値が同一であれば(ステップ♯23のYes)、データ記憶領域D2は正常として、更新直後の異常の有無の検査は終了する(エンド)。一方で、両方の値が同一でなければ(ステップ♯23のNo)、CPU11は、両面印刷ユニット3の制御を行うためのプログラム等に異常があると判断する。そこでCPU11は、チェックサム記憶領域E3に0x0000を書き込むように書込部16に指示する(ステップ♯24)。
【0076】
次に、図7に基づき、データ更新後における各データ記憶領域D1、D2、D3の検査完了後のオプション機器関連の起動処理について説明する。図7は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の起動処理の一例を示すフローチャートである。
【0077】
まず、スタートは、プリンタ1の主電源投入後であり、フラッシュROM15の更新後、最初の電源投入時では、チェックサムによる各データ記憶領域D1、D2、D3へのデータ検査終了後の時点である。尚、2回目以降の電源投入時では、最初の電源投入時のデータの検査において、異常があれば、各チェックサム記憶領域E1、E2、E3に0x0000が書き込まれているので、チェックサムの演算は原則不要である。
【0078】
まず、制御部10のCPU11は、基本領域T1に関するチェックサム記憶領域E1の内容を確認する(ステップ♯31)。もし、0x0000が書き込まれていれば(ステップ♯32のNo)、処理を中断し、エラー停止する(ステップ♯33)。この時、操作パネル18にエラー表示してもよい。一方、チェックサム記憶領域E1に異常を示す一定の値が書き込まれていなければ(ステップ♯32のYes)、データ記憶領域D1の内容をRAM13等に展開し、制御部10は、プリンタ1本体の機能を実行可能状態に移行させる(ステップ♯34)。
【0079】
そして、CPU11は、フィーダ2に備えられるCPU25に向けて信号を送信し、CPU25から返信があるかどうかを確認する。即ち、フィーダ2の装着の有無を確認する(ステップ♯35)。返信がなければ(ステップ♯36のNo)、フィーダ2は、物理的に接続されていないとCPU11は判断し、両面印刷ユニット3の接続の有無に関するステップ♯41に移行する。返信があれば(ステップ♯36のYes)、次に、フィーダ2に関するチェックサム記憶領域E2に異常を示す0x0000が書き込まれているか確認を行う(ステップ♯37)。
【0080】
もし、0x0000が書き込まれていれば(ステップ♯38のNo)、制御部10は、フィーダ2を未装着として切り離す(ステップ♯39)。言い換えると、制御部10は、異常のあるデータ記憶領域D2に記憶されるフィーダ2の給紙機能のプログラム等を使用不可とする。この制御部10による切り離しは、例えば、制御部10が電源装置17を制御して、フィーダ2への電力供給をOFFすることや、CPU25への指示をCPU11が行わない等の方法で実現すればよい。
【0081】
一方、0x0000が書き込まれていなければ(ステップ♯38のYes)、CPU11は、RAM13内にフィーダ2有りの旨のフラグを立てる(ステップ♯40)。このフラグが立って始めて、制御部10は、フィーダ2を制御の対象とし、通信可能なだけでは制御対象としない。
【0082】
次に、両面印刷ユニット3に関する確認処理が開始される。まず、CPU11は、両面印刷ユニット3に備えられるCPU36に向けて確認信号を送信し、CPU36から返信があるかどうかを確認する。即ち、両面印刷ユニット3の装着の有無を確認する(ステップ♯41)。返信がなければ(ステップ♯42のNo)、両面印刷ユニット3は、物理的に接続されていないとCPU11は判断し、オプション機器に関する起動処理を終了し(エンド)、次の処理に移行する。返信があれば(ステップ♯42のYes)、次に、両面印刷ユニット3の制御プログラム等に関するチェックサム記憶領域E3に異常を示す0x0000が書き込まれているか確認を行う(ステップ♯43)。
【0083】
もし、0x0000が書き込まれていれば(ステップ♯44のNo)、制御部10は、両面印刷ユニット3を未装着として切り離す(ステップ♯45)。言い換えると、制御部10は、異常のあるデータ記憶領域D3に記憶される両面印刷機能を使用不可とする。この制御部10による切り離しはフィーダ2と同様、フィーダ2への電源装置17からの電力供給をOFFすることや、CPU25への指示信号をCPU11が発信しない等の方法で実現すればよい。その後、オプション機器の確認処理は終了する(エンド)
【0084】
一方、0x0000が書き込まれていなければ(ステップ♯44のYes)、CPU11は、RAM13内に両面印刷ユニット3有りの旨のフラグを立てる(ステップ♯46)。このフラグが立って始めて、制御部10は、両面印刷ユニット3を制御の対象とするのであり、通信可能なだけでは、制御対象としない。
【0085】
即ち、フィーダ2及び両面印刷ユニット3が接続され、かつ、制御するためのプログラム等が正常である旨のフラグが立たない限り、フィーダ2及び両面印刷ユニット3の制御を行わない(=不可とする)のである。言い換えると、物理的にフィーダ2及び両面印刷ユニット3が接続されていないだけではなく、フラッシュROM15に記憶されるプログラム等に異常がある場合にも、そのままではオプション機器を適切に制御できないので、制御対象から切り離す。これにより、制御プログラム等の一部に異常があっても、プリンタ1本体を適切に制御できる限り、少なくともプリンタ1本体の機能は使用することができる。従って、従来のように、制御プログラムのオプション機器に関する部分に異常があっても、プリンタ1全体がエラー停止してしまうことを防ぐことができる。
【0086】
次に、図8に基づき、本発明の実施形態に係るフラッシュROM15のデータの更新が正常に行われた後に、プログラム等の破壊があった場合の制御について説明する。図8は本発明の実施形態に係るフラッシュROM15にデータの破壊があった場合の制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【0087】
まず、データの更新が正常に行われても、静電気や高電圧等の外的要因により、フラッシュROM15内のプログラム等が破壊されてしまうことがある。しかし、上記実施形態では、チェックサム記憶領域E1、E2、E3に、0x0000が書き込まれていないと、制御部10は、プリンタ1の起動時、異常がないと判断してしまう。
【0088】
しかし、プログラム等の破壊は生じているから、制御部10のCPU11がフラッシュROM15から読み出したプログラムやデータに基づいて、プリンタ1の制御を行っていると、不当命令(不正で受け付けられない命令)やバスエラー(物理的に割り当てられないメモリへのアクセス)等のエラーが発生する。
【0089】
そして、このような、不当命令やバスエラーが発生すると、例外処理(なんらかの異常が発生した場合、実行中のプログラムの処理を中断・中止する)の割り込みを、CPU11は受け付ける。即ち、CPU11は、データ記憶領域D1、D2、D3のプログラム等に異常があることを検知する検知部として機能する。
【0090】
ここで、図8におけるスタートは、CPU11が例外処理の割り込みを受けた時点を示している。この割り込みを検知すると、制御部10のCPU11は、現在処理中のプログラム等を確認する(ステップ♯51)。そして、書込部16を制御して、制御部10は、異常が確認されたプログラム等のデータ記憶領域D1、D2、D3に対応するチェックサム記憶領域E1、E2、E3に異常を示す一定の値として0x0000を書き込む(ステップ♯52)。
【0091】
その後、制御部10は、基本領域T1に異常があればエラーの発生のためプリンタ1の動作を停止(休止)し、一方、拡張領域T2、T3に異常があれば、該当するオプション機器の制御を切り離すようにしてもよい。これにより、基本領域T1(=データ記憶領域D1)に異常がなければ、プリンタ1本体については、少なくとも使用し続けることが可能になる。尚、この際、制御部10は、操作パネル18にエラー表示をしても良いし、再起動を促す表示を行っても良い。又、プリンタ1の電源が再投入されれば、起動処理が始まると、図7で説明した制御が行われることになる。
【0092】
このようにして、本実施形態の構成によれば、制御部10が異常のあるデータ記憶領域D1、D2、D3に記憶される機能を使用不可として制御対象外にすることで、その機能が画像形成装置(プリンタ1)の本質的、基本的な動作に関するものでない場合には、記憶部12のデータの一部が、書換時の電源遮断、高電圧、静電気等により破壊されても、画像形成装置自体は動作可能な状態を維持することができる。
【0093】
又、記憶領域のブロックのうち1つを、装置本体の動作を制御するプログラム等を記憶する基本領域T1とし、その他のブロックをオプション機器(フィーダ2、両面印刷ユニット3)の動作を制御するプログラム等を記憶する拡張領域T2、T3として、記憶領域をブロック単位に分割するが、オプション機器の数は限られたものであるから、記憶部12の記憶領域が必要以上のブロックに分割されず、処理の複雑化を防ぐことができる。
【0094】
又、拡張領域T2、T3に異常がある場合、その拡張領域T2、T3に記憶されるデータに対応するオプション機器を使用不可として制御部10が扱うことで、そのオプション機器は使用不可となるものの、画像形成装置やその他のオプション機器の使用は確保される。従って、使用者の利便性を向上させることができる。一方、基本領域T1に異常があると画像形成装置本体の制御・動作にいずれ異常が生じてしまうため、画像形成装置をエラーとして停止させて、画像形成装置の使用中でのエラー停止を防ぐことができる。
【0095】
又、これらのオプション機器を制御するためのプログラムに異常がある場合でも、オプション機器が装着された画像形成装置全体が動作不能状態となることはなく、該当するオプション機器の制御を切り離すことで画像形成装置自体は、動作可能な状態を維持することができる。
【0096】
又、画像形成装置の電源投入時ごとに、チェックサムを行わず、チェックサム記憶領域E1、E2、E3に異常であることを示す値の有無により、各ブロックの正常、異常を判断するから、画像形成装置やオプション機器が使用可能であるかが迅速に判断され、画像形成装置の起動処理を高速化することができる。
【0097】
以下、別実施形態について説明する。
【0098】
上述の実施形態では、プリンタ1(画像形成装置)に本発明に係る記憶装置を用いた態様を示したが、これに限られるものではなく、プログラム等の各種データが組み込まれる複合機、複写機、携帯電話等、各種機器に適用可能である。
【0099】
又、データ更新後、最初の電源投入時に、チェックサム値の比較を行い、異常があった場合は、チェックサム記憶領域E1、E2、E3に、異常を示す一定の値(例えば、0x0000)の書込を行ったが、この書き込みを行わないようにしても良い。即ち、起動処理に要する時間は若干長くなるが、より信頼性を向上させるため、プリンタ1の電源が投入されるたびに、チェックサムの演算が行われるようにしても良い。
【0100】
又、プリンタ1に接続されるオプション機器として、フィーダ2、両面印刷ユニット3を例として説明を行ったが、その他のオプション機器としては、画像形成後のシートに対しステープル等の各種処理を行うフィニッシャ(後処理装置)や、穿孔処理を行うパンチユニット等、多様なオプション機器を本発明は対象に含めることができる。
【0101】
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、記憶装置及び例えば、記憶装置を備えた画像形成装置等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタの概略構造を示す模型的正面断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る1つの画像形成ユニットを示す部分拡大図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンタのブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るフラッシュROMの記憶領域を示した説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係るフラッシュROMのデータの更新の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るフラッシュROMのデータの更新確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るプリンタ起動処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係るフラッシュROMにデータの破壊があった場合の制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 プリンタ(画像形成装置) 16 書込部
10 制御部 2 フィーダ(オプション機器)
11 CPU(演算部) 3 両面印刷ユニット(オプション機器)
15 フラッシュROM(記憶部12)
D1、D2、D3 データ記憶領域
E1、E2、E3 チェックサム記憶領域
T1 基本領域
T2、T3 拡張領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の制御を行うためのデータを記憶するための記憶領域が、複数のブロックに分割されることで複数のデータ記憶領域が形成されるとともに、データ更新時に各前記データ記憶領域に書き込まれる各データのあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域とが設けられる記憶部と、
装置の有する機能単位で分割された各データを各前記データ記憶領域に書き込み、各データのチェックサム値を前記チェックサム記憶領域に書き込みを行う書込部と、
装置の電源投入時に、各前記データ記憶領域のデータに対しチェックサムの演算を行って、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各前記データ記憶領域に記憶されるデータが正常であるか否かの判定を行う演算部と、
異常のある前記データ記憶領域に記憶される機能を使用不可とする制御部を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
分割される前記記憶部の記憶領域のうち、1つのブロックを装置本体の動作を制御するためのデータを記憶する基本領域とし、その他のブロックをオプション機器の動作を制御するためのデータを記憶する1又は複数の拡張領域とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記基本領域に記憶されたデータに異常がある場合は装置自体をエラーとして停止させ、前記拡張領域に記憶されたデータに異常がある場合はその前記オプション機器を使用不可として扱うことを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
装置に接続される前記オプション機器は、シートの供給を行うフィーダ及び/又は両面印刷ユニットであることを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記書込部は、データ更新後、装置の最初の電源投入時にデータの異常が発見された場合、異常のあった前記データ記憶領域に対応する前記チェックサム記憶領域に対して異常のあることを示す一定の値を書き込み、
前記演算部は、データ更新後、チェックサムの比較演算後は、前記チェックサム記憶領域での異常のあることを示す一定の値の書き込みの有無により、各前記データ記憶領域のデータの異常の有無を判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
機器の制御を行うためのデータを記憶し、機器に組み込まれる記憶装置において、
機器の制御を行うためのデータを記憶するための記憶領域が、複数のブロックに分割されることで複数のデータ記憶領域が形成されるとともに、データ更新時に各前記データ記憶領域に書き込まれる各データのあらかじめ計算されたチェックサム値が書き込まれるチェックサム記憶領域とが設けられる記憶部と、
機器の有する機能単位で分割された各データを各前記データ記憶領域に、各前記データ記憶領域のチェックサム値を前記チェックサム記憶領域に書き込みを行う書込部と、
機器の電源投入時に、各前記データ記憶領域に対しチェックサムの演算を行い、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各前記データ記憶領域に記憶されるデータが正常であるか否かの判定を行う演算部と、
異常のある前記データ記憶領域に記憶される機能を使用不可とする制御部を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
データ更新時に、機器の制御を行うためのデータを、複数のブロックに分割される記憶部のデータ記憶領域に、機器の有する機能単位で各データ記憶領域に記憶させるステップと、
データ更新時に、前記記憶部に設けられるチェックサム記憶領域に、各データ記憶領域に記憶される各データのあらかじめ計算されたチェックサム値を記憶させるステップと、
装置の電源投入時に、演算部により各データ記憶領域のデータに対しチェックサムの演算を行い、演算されたチェックサム値と前記チェックサム記憶領域に記憶されるチェックサム値との比較を行って、各データ記憶領域に記憶されたデータが正常であるかどうかの判定を行うステップと、
機器を制御するための制御部により、前記異常のある前記データ記憶領域の機能の使用を制限するステップを有することを特徴とするデータ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−90508(P2009−90508A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261917(P2007−261917)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】