画像形成装置およびその制御方法ならびにそのプログラムおよび記憶媒体
【課題】乗り換えポイントに応じて画像を1画素単位でずらして行くと、印字された画像に、乗り換えポイントに応じた個所にギザギザやスジが発生する。このギザギザやスジは、プロセススピードを変えた、1/2スピードや、1/3スピードでも発生し、良好な出力画像が再現出来なかった。
【解決手段】異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、この遅いプロセススピードにおいて通常は画像出力されないラインを走査するタイミングで、1ラインの画像データの一部を分割出力する。
【解決手段】異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、この遅いプロセススピードにおいて通常は画像出力されないラインを走査するタイミングで、1ラインの画像データの一部を分割出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成装置に関し、特には、複数色の現像手段および各現像手段により形成された複数色の画像を順次転写する転写手段を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式カラー画像形成装置における画像形成スピードの高速化のために、色材の数と同数の現像器及び感光ドラムを備え、転写ベルト上や記録媒体上に順次異なる色の画像を転写するタンデム方式のカラー画像形成装置が普及している。このタンデム方式のカラー画像形成装置においては、レジストレーションずれを生じさせる複数の要因があることが既に知られており、それぞれの要因に対して様々な対処方法が提案されている。その1つの要因が、偏向走査装置のレンズの不均一性や取り付け位置ずれ、偏向走査装置のカラー画像形成装置本体への組み付け位置ずれである。その場合、走査線に傾きや曲がりが生じ、その程度が色毎に異なることで、レジストレーションずれとなる。
【0003】
このレジストレーションずれへの対処方法として特許文献1には、偏向走査装置の組立工程において、光学センサを用いて走査線の曲がりの大きさを測定し、レンズを機械的に回転させて走査線の曲がりを調整した後、接着剤で固定する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、偏向走査装置をカラー画像形成装置本体へ組み付ける工程において、光学センサを用いて走査線の傾きの大きさを測定し、偏向走査装置を機械的に傾かせて走査線の傾きを調整した上でカラー画像形成装置本体へ組み付ける方法が記載されている。
【0005】
また特許文献3には、光学センサを用いて走査線の傾きと曲がりの大きさを測定し、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正した画像を形成する方法が記載されている。
【0006】
この方法は画像データを画像処理することで補正をするため、機械的な調整部材や組立時の調整工程が不要となる点において、特許文献1,2に記載されている方法より安価にレジストレーションずれへ対処することができる。
【0007】
この画像処理によるレジストレーションずれ補正は、図12に示す様に副走査方向に走査ビームのズレが生じる場合に行なわれる。特許文献3の方法では、図13の乗り換え処理後の画像の様に、本明細書で乗り換えポイントと称する位置毎に原画をズラした画像を生成して出力物の走査線の傾きや曲がりを相殺するようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−116394号公報
【特許文献2】特開2003−241131号公報
【特許文献3】特開2004−170755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来例では以下のような欠点があった。
すなわち、プリンタに印字されるビットマップ画像を画像処理により補正する為に、エンジンの光学系の傾きや曲がりに応じたビットマップ画像を形成する必要がある。
【0010】
その際、乗り換えポイントに応じて画像を1画素単位でずらして行く為、印字された画像に、乗り換えポイントに応じた個所にギザギザやスジが発生する。
【0011】
このギザギザやスジは、プロセススピードを変えた、1/2スピードや、1/3スピードでも発生し、良好な出力画像が再現出来ない。
【0012】
また、上記問題を解決する為に、解像度を上げた画像を生成する手段もあるが、解像度を上げた場合、それを処理するメモリの増加によるコストアップ及びパフォーマンスが低下する等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることが望ましい。
【0015】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることが望ましい。
【0016】
また、本発明は、各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置の制御方法であって、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする。
【0017】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることが望ましい。
【0018】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることが望ましい。
【0019】
また、上記画像形成装置の制御方法による処理は、コンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することができる。そして、このプログラムを前記コンピュータに読み込ませることにより当該方法をコンピュータに実行させることができる。また、このプログラムは、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記コンピュータに読み込ませることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学系の傾きや曲がりを、原画像を修正する事により補正しようとした画像に生じる、従来技術の乗り換えポイントでの不具合を、低速プロセススピードを使用する事により抑える事が出来る。
【0021】
特に低速プロセススピードを使用する、定着性の良くない厚紙や、特殊な用紙である、コート紙、光沢フィルム、OHPシートに印字する際には、そのままの低速プロセススピードでギザギザやスジを抑えた良質な画像の出力が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施形態1]
以下に添付の図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明によるプリンタを示す概念図である。
【0024】
以下では特に、同図に示すプリンタ2としてのレーザビームプリンタの構成について説明する。
【0025】
図1に於いて、1はプリンタ本体であり、外部に接続されているホストコンピュータから供給される圧縮された画像データを入力して記憶する事が出来る。また、圧縮された画像データを展開しながら、記憶媒体である記録紙上に像を形成する機能を有する。
【0026】
100は各種操作の為のスイッチ及びLED表示器などが配置されている操作パネル、101はプリンタ2における全体の制御を実行すると共に、ホストコンピュータ等から供給される文字情報などを解析するプリンタ制御ユニット(コントローラ)である。このプリンタ制御ユニット101は主に上記文字情報を、対応する文字パターンの画像信号に変換するか、或いは、圧縮された画像データを展開しながら展開後のデータをレーザスキャナユニット109に転送する。
【0027】
プリントが開始されると、プリンタ1は、給紙カセット102或いは手差しトレイ103より記録紙を装置内に給送するための給紙動作を開始する。こうして給紙された記録紙は、紙送りユニット104に送られ、現像ユニット105、106、107、108を順次通過するように搬送される。このとき同時に、コントローラ101で展開された各色毎の画像データは、画像変換処理が行われた後、レーザスキャナユニット109に送られる。
【0028】
レーザスキャナユニット109は、半導体レーザを駆動する為の回路であり、入力された画像データに応じて半導体レーザから発射されるレーザ光のON/OFFを切り替える。レーザスキャナユニット109に送られた画像データは、各色毎に、その画像データに基づいて現象ユニット105、106、107、108の感光ドラムがレーザスキャンされ、各色に対応する感光ドラム上に所望のカラー画像が形成される。この各色毎の画像データの形成を、記録紙の搬送に同期させる事により、搬送ユニット104で搬送される記録紙上に各色のカラー画像が現像される。
【0029】
また、現像ユニット105、106、107、108には、トナーの残量を検知するセンサが取り付けられており、トナーの減少に応じて、このセンサからの情報がコントローラ101に送られる。
【0030】
こうしてカラー画像が印刷された記録紙は、定着ユニット110によって熱定着が行われ、給紙トレイ111に排紙される。
【0031】
このようなプリンタ2の構成により、各色毎に独立して現像が出来るために、非常に高速にプリント画像をえることが出来る。
【0032】
次に、図2を用いて上述のプリンタ2におけるプリンタ制御ユニット(コントローラ)101の詳細について説明する。
図2はこのプリンタ制御ユニット101の詳細構成を表すブロック図である。
【0033】
同図に於いて、215はホストインターフェース部(HOST I/F部)であり、外部装置217より圧縮されたイメージデータが入力される。
【0034】
202はCPUであり、ROM部204に格納された制御プログラムを実行し、本プリンタ全体の制御を行う。
【0035】
203はRAM部でありホストコンピュータから送られてきた、プリントする為の記録データを蓄えておく領域や、ワークメモリとしてCPU202が各種制御を実行する際に必要な作業領域を提供する。
【0036】
204はROM部であり、CPU202が実行するための各種プログラム(ファームウェア)を格納している。
【0037】
201はASICであり、HOST I/F部215、CPU I/F部216、メモリ制御部205、伸長回路206、207、208,209、画像出力部210、211、212、213を含んでいる。
【0038】
HOST I/F部215は、インターフェースケーブルを通じて、外部装置であるホストコンピュータとの制御信号のやりとりや、データの送受信等を行なう。データ受信に関しては、メモリ制御部205と連動して、DMA制御で受信データをRAM部203へ格納する。
【0039】
CPU I/F部216は、文字通りCPU202とのインターフェースを司るもので、ASIC内部の不図示の制御レジスタ、データレジスタへのアクセス制御を行なう。
【0040】
メモリ制御部205は、ROM部204、RAM部203へのアクセス制御を行うと共に、各ブロック間のデータのDMA転送や、調停を制御するブロックである。
【0041】
伸長回路206、207,208,209は、RAM部203に格納された圧縮画像データを、各々の伸長回路から出力されるリクエスト信号に応じて、メモリ制御部205の調停に従い、RAM部から出力される圧縮画像データを受け取る手段を有している。
【0042】
上記伸長回路として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用に4つの伸長回路が存在する。各伸張回路は、RAM部203から転送された圧縮画像データを伸長し、伸張済みの画像データを画像出力部210、211、212、213を介してエンジン部307に出力している。
【0043】
また、CPU202は、各現像ユニットや定着ユニット110等を含む画像形成部とのコマンド・ステータスのやり取りを一定の間隔で常に行い、この画像形成部の状態を把握している。また、CPU202は、画像形成部にプリント命令等の命令を送るなどの処理も行っている。もちろん、外部装置から圧縮された画像データを受け取るだけではなく印字情報(文字コード等)や、パターンデータ等を受信して、CPU202の制御のもとレンダリングした画像を前述の圧縮画像データに含めても良い。
【0044】
ここで、上記画像出力部の詳細な構成について図3を用いて説明する。
【0045】
図3は、画像出力部(同図301は、図2の210に対応)の詳細構成を示すブロック図である。
【0046】
同図において、302は、図2の伸長回路206から出力された画像データを蓄積するラインバッファ回路である。
【0047】
306は、画像出力部における各種パラメータを記憶するレジスタ回路からなるパラメータ設定回路である。
【0048】
304は、パラメータ設定回路306に設定されたパラメータより、ラインバッファ回路302に対し読み出し位置を制御するアドレス制御回路である。
【0049】
305は、画像出力の設定範囲をライン毎に制御する制御回路としての出力範囲設定回路である。
【0050】
303は、出力範囲設定回路305で設定された範囲内の画像を出力する画像マスク回路である。
【0051】
以上のように画像出力部301は上記各回路によって構成される。
【0052】
次に図4のフローチャートを参照して、本実施形態の動作説明を行なう。
【0053】
まず、ホストコンピュータがプリントを開始する場合、ホストコンピュータ上で画像データが生成される。そして、ホストコンピュータは、その生成された画像を圧縮し、圧縮された画像は、インターフェースを介してプリンタに入力されることとなる。もちろん、プリンタ1本体でプリントを開始する場合も、ここで説明するホストコンピュータによる処理がプリンタ1で実行される点を除いて同様の動作となる。
【0054】
(S401)
プリンタ側では、はじめに、ステップS401において、印字に必要な各種パラメータの入力及び設定が行なわれる。
【0055】
(S402)
ステップS402では、エンジン側に記憶されている光学系の傾きや曲がりの情報を記憶した記憶素子から、これらの情報が、コントローラを介してホスト側に送られる。このようにしてホスト側は上記情報を取得する。そしてホスト側では、プリンタ側から送られて来た傾きや曲がりの情報を基にレジストレーションのずれ量を計算し、さらにこのズレ量に基づいて乗り換えポイントを算出する。
【0056】
(S403)
ステップS403では、ホストコンピュータは、出力する画像の出力モードに応じて、エンジン側のプロセススピード(1/2または1/1)を決定している。
【0057】
ここで、原画像データに対する乗り換えポイントに基づく変更による補正を伴わない場合と、補正を伴う場合の各プロセススピード毎の画像データの出力タイミングについて説明する。
【0058】
図5は、光学系の傾きや曲がりを、画像を変更する事によって補正していない場合の画像データの出力タイミングの図である。
【0059】
図5の1/1プロセススピードでは、主走査方向のタイミング信号であるBD信号に応じて、1BD毎に1ラインの画像データをエンジン側に出力する事により、画像を形成し印字することになる。
【0060】
図5の1/2プロセススピードにおいては、BDの周期は1/1プロセススピードと同じ周期だが、紙の搬送スピードを1/2スピードにする事で、1/2プロセススピードモードを実現している。この1/2プロセススピードモードは、定着性の良くない厚紙や、特殊な用紙である、コート紙、光沢フィルム、OHPシートに印字する際に、トナーの剥がれを防止し、定着性を上げる為に使用される。また、葉書や封筒のような小サイズ紙においてもヒータの端部昇温を抑える為に使用される。
【0061】
なお、図5の“データの流れ2”に示すように、副走査方向のスピードが1/2になる為、奇数ラインのBD信号のタイミングで、画像データをエンジン側に出力する事により、画像を形成している。
【0062】
次に乗り換えポイントに基づく原画像の変更による補正を伴う場合を説明する。図6に、光学系の傾きや曲がりを、原画像のデータを変更する事により補正している従来の画像データの出力タイミングであって、簡単のため乗り換えポイントが一箇所の場合を示している。この場合、画像を生成するホスト側、またはコントローラ側で、乗り換えポイントに応じた画像の変換を行っている。
【0063】
例えば同図の“データの流れ3”で、2ライン目に示すように、最初に本来の2ライン目の前半の画像データが出力され、乗り換えポイント後に本来の1ライン目の後半の画像データが出力されるような画像データが生成されることになる。なお、1ライン目の斜線部分は白が出力される。
【0064】
図6の“データの流れ4”は、1/2プロセススピードモードにおける画像データの出力タイミングを示しており、図5に示した“データの流れ2”と同様に奇数ラインで画像データは出力されることになる。なお、乗り換えについては、上記“データの流れ3”の場合と同様である。
【0065】
(S404)
ステップS403で、紙種や紙サイズでプロセススピードが決定されて、ステップS404では、1/1プロセススピードでの制御がおこなわれ、ステップS405では、1/2プロセススピードでの制御が行われる。
【0066】
ここで、原画像の変更による補正を伴う場合で1/2プロセススピードでの画像データの出力タイミングについて図10を用いてさらに詳細に説明する。
【0067】
図7は、1/2プロセススピードでの本実施形態における出力制御を示したタイミングチャートである。
【0068】
図7において、“データの流れ6”は、乗り換えポイントの前に、中間乗り換えポイントを設定した場合の図である。
【0069】
本実施形態では、この場合に、エンジン側に画像データを出力するタイミングは、図7の出力画像データ1の様に、通常使用していない偶数ライン上に、中間乗り換えポイントと乗り換えポイントで挟まれた画像データを分割出力するタイミングとなる。これにより、偶数ラインに出力された画像データは、エンジン部で印字される時に、この偶数ラインを挟む奇数ラインの間に印字されることになる。
【0070】
従って、図7の“データの流れ5”に示す1画素単位の図の様に乗り換えポイントの段差が1画素分ある段差に比べ、同図の“データの流れ6”に示す1画素単位の図の様に乗り換えポイントと中間乗り換えポイントの間で、1/2画素単位の段差となる。
【0071】
(S406)
ステップS405でプロセススピードとして1/2プロセススピードが決定されると、ステップS406よりエンジンに対して画像データの出力が開始される。
【0072】
このとき、図2に示す伸長回路から出力された画像データは、一度図3に示すラインバッファ回路302に記憶される。
【0073】
ラインバッファ回路302に記憶された画像データは、画像マスク回路303に出力されるが、ここで、図7で説明したように、ラインバッファの読み出し制御が行われる。
【0074】
ここで、ラインバッファの読み出し制御について図8を用いて説明する。
図8はラインバッファの読み出し制御を説明する図である。
【0075】
本実施形態においては、図8に示すように、1/2プロセススピードの場合、奇数ライン(通常ライン)で画像データ(例えば同図の2)の読み出しが行われる。そして、読出しが中間乗り換えポイントにきた処で、読み出しを一時中断し、次に乗り換えポイントまで読み出し位置を進めるカウントを行い、乗り換えポイントに達した時点で乗り換え対象の画像データ(例えば同図の1)の読み出しを開始する。
【0076】
偶数ライン(補間ライン)においては、上記と逆の読み出しを行う。すなわち、中間乗り換えポイントに達するまで読み出しを一時中断するとともに読み出し位置を進めるカウントを行い、中間乗り換えポイントに達した時点で補間ラインで出力すべき画像データの読み出しを行う。そして、乗り換えポイントに達した時点で再び読み出しを一時中断するとともに読み出し位置を進めるカウントを行い次の奇数ラインに達するのを待つ。このようにして、図7で示したタイミングでエンジン部に対して画像データを出力する事が出来る。
【0077】
(S407)
エンジン部に画像データの出力が開始されると、ステップS407より、1ページ分の画像データが送られたか否かの判定が行われ、1ページ分送られた処で終了となる。この後、エンジン部にて画像が形成される。
【0078】
[実施形態2]
前述した実施形態1においては、図7に示した様に、乗り換えポイントと、その前の中間乗り換えポイントを設定し、偶数ラインに分割出力する画像データの出力範囲を設定している。しかしながらある種の出力画像に対しては、図9の“データの流れ6”に対して示す“データの流れ7”のように、これらの中間乗り換えポイントの間に実施形態1の乗り換えポイントの位置がくるようにしても良い。すなわち、この乗り換えポイントの前後の範囲を、分割出力する画像データの出力範囲としても良い。
【0079】
その場合、中間乗り換えポイント1及び中間乗り換えポイント2を設定し、中間乗り換えポイント1と中間乗り換えポイント2の間の画像データを、偶数ラインに出力するように制御しても良い。もちろん、出力画像に応じて、乗り換えポイントと乗り換えポイント2の間の画像データを、偶数ラインに出力する制御を行うといった事も可能である。これらの出力制御は、実施形態1における出力制御法と同様の手法で実施できることは当業者には明らかであろう。
【0080】
[実施形態3]
前述した実施形態1においては、図7に示す様に、1/2プロセススピードに対して、どのタイミングでエンジン部に対して画像データを出力するかの制御法であった。これに対し、図10は、プロセススピードが1/3プロセススピードでの画像データの分割出力タイミングを示している。このプロセススピードの場合には、1ライン目の画像に対し、2ライン目、3ライン目の画像出力を出力画像データ1の様に制御する事により、より段差の少ない滑らかな画像を印字する事が出来る。この具体的制御は、補間ラインが2ラインになり、各補間ラインに対し所要の画像データの分割出力が行われる点を除いて、実施形態1における出力制御法と同様の手法で実施できることは当業者には明らかであろう。
【0081】
[実施形態4]
前述した実施形態1においては、図8を用いて説明した様に、ラインバッファから読み出す画像データを制御する事で、奇数ラインと偶数ラインに出力する画像データを制御している。
【0082】
図11においては、ラインバッファから読み出す画像データは、常に奇数ラインおよび偶数ラインで同じ画像データを読み出している。
【0083】
この場合、図3の画像マスク回路303において、奇数ライン及び偶数ラインでエンジン部に出力する各画像データの有効範囲を、それぞれ同図に示す画像出力範囲1と画像出力範囲2としてマスク制御する事により、実施形態1と同等の効果を得る事が出来る。
【0084】
[その他の実施形態]
なお、本発明の目的は、上述した実施形態で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がそのプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
【0085】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、コンピュータに、上述した実施形態の機能を実現させることになる。そのため、このプログラムコード及びプログラムコードを記憶/記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の一つを構成することになる。
【0086】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0087】
また、前述した実施形態の機能は、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって実現される。また、このプログラムの実行とは、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行う場合も含まれる。
【0088】
さらに、前述した実施形態の機能は、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによっても実現することもできる。この場合、まず、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行う。こうした機能拡張ボードや機能拡張ユニットによる処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明を適用できるプリンタ本体のブロック図である。
【図2】同プリンタにおけるプリンタ制御ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】同プリンタ制御ユニットにおける画像出力部の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態1の動作フローチャートである。
【図5】従来の補正を伴わない場合の、通常動作時および1/2プロセススピード時のタイミングチャートである。
【図6】従来の補正時の、通常動作時および1/2プロセススピード時の出力制御を示したタイミングチャートである。
【図7】実施形態1における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図8】同実施形態におけるラインバッファの読み出し制御を説明する図である。
【図9】実施形態2における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図10】実施形態3における1/3プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図11】実施形態4における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図12】従来の乗り換え処理を説明する図である。
【図13】従来の乗り換え処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
201:ASIC部
202:CPU
203:RAM部
204:ROM部
205:メモリ制御部
206:伸長回路Y
207:伸長回路M
208:伸長回路C
209:伸長回路K
210:画像出力部Y
211:画像出力部M
212:画像出力部C
213:画像出力部K
215:HOST I/F部
216:CPU I/F部
217:HOST
301:画像出力部
302:ラインバッファ回路
303:画像マスク回路
304:アドレス制御回路
305:出力範囲設定回路
306:パラメータ設定回路
307:エンジン部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成装置に関し、特には、複数色の現像手段および各現像手段により形成された複数色の画像を順次転写する転写手段を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式カラー画像形成装置における画像形成スピードの高速化のために、色材の数と同数の現像器及び感光ドラムを備え、転写ベルト上や記録媒体上に順次異なる色の画像を転写するタンデム方式のカラー画像形成装置が普及している。このタンデム方式のカラー画像形成装置においては、レジストレーションずれを生じさせる複数の要因があることが既に知られており、それぞれの要因に対して様々な対処方法が提案されている。その1つの要因が、偏向走査装置のレンズの不均一性や取り付け位置ずれ、偏向走査装置のカラー画像形成装置本体への組み付け位置ずれである。その場合、走査線に傾きや曲がりが生じ、その程度が色毎に異なることで、レジストレーションずれとなる。
【0003】
このレジストレーションずれへの対処方法として特許文献1には、偏向走査装置の組立工程において、光学センサを用いて走査線の曲がりの大きさを測定し、レンズを機械的に回転させて走査線の曲がりを調整した後、接着剤で固定する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、偏向走査装置をカラー画像形成装置本体へ組み付ける工程において、光学センサを用いて走査線の傾きの大きさを測定し、偏向走査装置を機械的に傾かせて走査線の傾きを調整した上でカラー画像形成装置本体へ組み付ける方法が記載されている。
【0005】
また特許文献3には、光学センサを用いて走査線の傾きと曲がりの大きさを測定し、それらを相殺するようにビットマップ画像データを補正し、その補正した画像を形成する方法が記載されている。
【0006】
この方法は画像データを画像処理することで補正をするため、機械的な調整部材や組立時の調整工程が不要となる点において、特許文献1,2に記載されている方法より安価にレジストレーションずれへ対処することができる。
【0007】
この画像処理によるレジストレーションずれ補正は、図12に示す様に副走査方向に走査ビームのズレが生じる場合に行なわれる。特許文献3の方法では、図13の乗り換え処理後の画像の様に、本明細書で乗り換えポイントと称する位置毎に原画をズラした画像を生成して出力物の走査線の傾きや曲がりを相殺するようにしている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−116394号公報
【特許文献2】特開2003−241131号公報
【特許文献3】特開2004−170755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来例では以下のような欠点があった。
すなわち、プリンタに印字されるビットマップ画像を画像処理により補正する為に、エンジンの光学系の傾きや曲がりに応じたビットマップ画像を形成する必要がある。
【0010】
その際、乗り換えポイントに応じて画像を1画素単位でずらして行く為、印字された画像に、乗り換えポイントに応じた個所にギザギザやスジが発生する。
【0011】
このギザギザやスジは、プロセススピードを変えた、1/2スピードや、1/3スピードでも発生し、良好な出力画像が再現出来ない。
【0012】
また、上記問題を解決する為に、解像度を上げた画像を生成する手段もあるが、解像度を上げた場合、それを処理するメモリの増加によるコストアップ及びパフォーマンスが低下する等の問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明は、各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする。
【0014】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることが望ましい。
【0015】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることが望ましい。
【0016】
また、本発明は、各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置の制御方法であって、通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする。
【0017】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることが望ましい。
【0018】
また、上記発明において、前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることが望ましい。
【0019】
また、上記画像形成装置の制御方法による処理は、コンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することができる。そして、このプログラムを前記コンピュータに読み込ませることにより当該方法をコンピュータに実行させることができる。また、このプログラムは、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介して前記コンピュータに読み込ませることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学系の傾きや曲がりを、原画像を修正する事により補正しようとした画像に生じる、従来技術の乗り換えポイントでの不具合を、低速プロセススピードを使用する事により抑える事が出来る。
【0021】
特に低速プロセススピードを使用する、定着性の良くない厚紙や、特殊な用紙である、コート紙、光沢フィルム、OHPシートに印字する際には、そのままの低速プロセススピードでギザギザやスジを抑えた良質な画像の出力が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[実施形態1]
以下に添付の図面を用いて本発明の一実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明によるプリンタを示す概念図である。
【0024】
以下では特に、同図に示すプリンタ2としてのレーザビームプリンタの構成について説明する。
【0025】
図1に於いて、1はプリンタ本体であり、外部に接続されているホストコンピュータから供給される圧縮された画像データを入力して記憶する事が出来る。また、圧縮された画像データを展開しながら、記憶媒体である記録紙上に像を形成する機能を有する。
【0026】
100は各種操作の為のスイッチ及びLED表示器などが配置されている操作パネル、101はプリンタ2における全体の制御を実行すると共に、ホストコンピュータ等から供給される文字情報などを解析するプリンタ制御ユニット(コントローラ)である。このプリンタ制御ユニット101は主に上記文字情報を、対応する文字パターンの画像信号に変換するか、或いは、圧縮された画像データを展開しながら展開後のデータをレーザスキャナユニット109に転送する。
【0027】
プリントが開始されると、プリンタ1は、給紙カセット102或いは手差しトレイ103より記録紙を装置内に給送するための給紙動作を開始する。こうして給紙された記録紙は、紙送りユニット104に送られ、現像ユニット105、106、107、108を順次通過するように搬送される。このとき同時に、コントローラ101で展開された各色毎の画像データは、画像変換処理が行われた後、レーザスキャナユニット109に送られる。
【0028】
レーザスキャナユニット109は、半導体レーザを駆動する為の回路であり、入力された画像データに応じて半導体レーザから発射されるレーザ光のON/OFFを切り替える。レーザスキャナユニット109に送られた画像データは、各色毎に、その画像データに基づいて現象ユニット105、106、107、108の感光ドラムがレーザスキャンされ、各色に対応する感光ドラム上に所望のカラー画像が形成される。この各色毎の画像データの形成を、記録紙の搬送に同期させる事により、搬送ユニット104で搬送される記録紙上に各色のカラー画像が現像される。
【0029】
また、現像ユニット105、106、107、108には、トナーの残量を検知するセンサが取り付けられており、トナーの減少に応じて、このセンサからの情報がコントローラ101に送られる。
【0030】
こうしてカラー画像が印刷された記録紙は、定着ユニット110によって熱定着が行われ、給紙トレイ111に排紙される。
【0031】
このようなプリンタ2の構成により、各色毎に独立して現像が出来るために、非常に高速にプリント画像をえることが出来る。
【0032】
次に、図2を用いて上述のプリンタ2におけるプリンタ制御ユニット(コントローラ)101の詳細について説明する。
図2はこのプリンタ制御ユニット101の詳細構成を表すブロック図である。
【0033】
同図に於いて、215はホストインターフェース部(HOST I/F部)であり、外部装置217より圧縮されたイメージデータが入力される。
【0034】
202はCPUであり、ROM部204に格納された制御プログラムを実行し、本プリンタ全体の制御を行う。
【0035】
203はRAM部でありホストコンピュータから送られてきた、プリントする為の記録データを蓄えておく領域や、ワークメモリとしてCPU202が各種制御を実行する際に必要な作業領域を提供する。
【0036】
204はROM部であり、CPU202が実行するための各種プログラム(ファームウェア)を格納している。
【0037】
201はASICであり、HOST I/F部215、CPU I/F部216、メモリ制御部205、伸長回路206、207、208,209、画像出力部210、211、212、213を含んでいる。
【0038】
HOST I/F部215は、インターフェースケーブルを通じて、外部装置であるホストコンピュータとの制御信号のやりとりや、データの送受信等を行なう。データ受信に関しては、メモリ制御部205と連動して、DMA制御で受信データをRAM部203へ格納する。
【0039】
CPU I/F部216は、文字通りCPU202とのインターフェースを司るもので、ASIC内部の不図示の制御レジスタ、データレジスタへのアクセス制御を行なう。
【0040】
メモリ制御部205は、ROM部204、RAM部203へのアクセス制御を行うと共に、各ブロック間のデータのDMA転送や、調停を制御するブロックである。
【0041】
伸長回路206、207,208,209は、RAM部203に格納された圧縮画像データを、各々の伸長回路から出力されるリクエスト信号に応じて、メモリ制御部205の調停に従い、RAM部から出力される圧縮画像データを受け取る手段を有している。
【0042】
上記伸長回路として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)用に4つの伸長回路が存在する。各伸張回路は、RAM部203から転送された圧縮画像データを伸長し、伸張済みの画像データを画像出力部210、211、212、213を介してエンジン部307に出力している。
【0043】
また、CPU202は、各現像ユニットや定着ユニット110等を含む画像形成部とのコマンド・ステータスのやり取りを一定の間隔で常に行い、この画像形成部の状態を把握している。また、CPU202は、画像形成部にプリント命令等の命令を送るなどの処理も行っている。もちろん、外部装置から圧縮された画像データを受け取るだけではなく印字情報(文字コード等)や、パターンデータ等を受信して、CPU202の制御のもとレンダリングした画像を前述の圧縮画像データに含めても良い。
【0044】
ここで、上記画像出力部の詳細な構成について図3を用いて説明する。
【0045】
図3は、画像出力部(同図301は、図2の210に対応)の詳細構成を示すブロック図である。
【0046】
同図において、302は、図2の伸長回路206から出力された画像データを蓄積するラインバッファ回路である。
【0047】
306は、画像出力部における各種パラメータを記憶するレジスタ回路からなるパラメータ設定回路である。
【0048】
304は、パラメータ設定回路306に設定されたパラメータより、ラインバッファ回路302に対し読み出し位置を制御するアドレス制御回路である。
【0049】
305は、画像出力の設定範囲をライン毎に制御する制御回路としての出力範囲設定回路である。
【0050】
303は、出力範囲設定回路305で設定された範囲内の画像を出力する画像マスク回路である。
【0051】
以上のように画像出力部301は上記各回路によって構成される。
【0052】
次に図4のフローチャートを参照して、本実施形態の動作説明を行なう。
【0053】
まず、ホストコンピュータがプリントを開始する場合、ホストコンピュータ上で画像データが生成される。そして、ホストコンピュータは、その生成された画像を圧縮し、圧縮された画像は、インターフェースを介してプリンタに入力されることとなる。もちろん、プリンタ1本体でプリントを開始する場合も、ここで説明するホストコンピュータによる処理がプリンタ1で実行される点を除いて同様の動作となる。
【0054】
(S401)
プリンタ側では、はじめに、ステップS401において、印字に必要な各種パラメータの入力及び設定が行なわれる。
【0055】
(S402)
ステップS402では、エンジン側に記憶されている光学系の傾きや曲がりの情報を記憶した記憶素子から、これらの情報が、コントローラを介してホスト側に送られる。このようにしてホスト側は上記情報を取得する。そしてホスト側では、プリンタ側から送られて来た傾きや曲がりの情報を基にレジストレーションのずれ量を計算し、さらにこのズレ量に基づいて乗り換えポイントを算出する。
【0056】
(S403)
ステップS403では、ホストコンピュータは、出力する画像の出力モードに応じて、エンジン側のプロセススピード(1/2または1/1)を決定している。
【0057】
ここで、原画像データに対する乗り換えポイントに基づく変更による補正を伴わない場合と、補正を伴う場合の各プロセススピード毎の画像データの出力タイミングについて説明する。
【0058】
図5は、光学系の傾きや曲がりを、画像を変更する事によって補正していない場合の画像データの出力タイミングの図である。
【0059】
図5の1/1プロセススピードでは、主走査方向のタイミング信号であるBD信号に応じて、1BD毎に1ラインの画像データをエンジン側に出力する事により、画像を形成し印字することになる。
【0060】
図5の1/2プロセススピードにおいては、BDの周期は1/1プロセススピードと同じ周期だが、紙の搬送スピードを1/2スピードにする事で、1/2プロセススピードモードを実現している。この1/2プロセススピードモードは、定着性の良くない厚紙や、特殊な用紙である、コート紙、光沢フィルム、OHPシートに印字する際に、トナーの剥がれを防止し、定着性を上げる為に使用される。また、葉書や封筒のような小サイズ紙においてもヒータの端部昇温を抑える為に使用される。
【0061】
なお、図5の“データの流れ2”に示すように、副走査方向のスピードが1/2になる為、奇数ラインのBD信号のタイミングで、画像データをエンジン側に出力する事により、画像を形成している。
【0062】
次に乗り換えポイントに基づく原画像の変更による補正を伴う場合を説明する。図6に、光学系の傾きや曲がりを、原画像のデータを変更する事により補正している従来の画像データの出力タイミングであって、簡単のため乗り換えポイントが一箇所の場合を示している。この場合、画像を生成するホスト側、またはコントローラ側で、乗り換えポイントに応じた画像の変換を行っている。
【0063】
例えば同図の“データの流れ3”で、2ライン目に示すように、最初に本来の2ライン目の前半の画像データが出力され、乗り換えポイント後に本来の1ライン目の後半の画像データが出力されるような画像データが生成されることになる。なお、1ライン目の斜線部分は白が出力される。
【0064】
図6の“データの流れ4”は、1/2プロセススピードモードにおける画像データの出力タイミングを示しており、図5に示した“データの流れ2”と同様に奇数ラインで画像データは出力されることになる。なお、乗り換えについては、上記“データの流れ3”の場合と同様である。
【0065】
(S404)
ステップS403で、紙種や紙サイズでプロセススピードが決定されて、ステップS404では、1/1プロセススピードでの制御がおこなわれ、ステップS405では、1/2プロセススピードでの制御が行われる。
【0066】
ここで、原画像の変更による補正を伴う場合で1/2プロセススピードでの画像データの出力タイミングについて図10を用いてさらに詳細に説明する。
【0067】
図7は、1/2プロセススピードでの本実施形態における出力制御を示したタイミングチャートである。
【0068】
図7において、“データの流れ6”は、乗り換えポイントの前に、中間乗り換えポイントを設定した場合の図である。
【0069】
本実施形態では、この場合に、エンジン側に画像データを出力するタイミングは、図7の出力画像データ1の様に、通常使用していない偶数ライン上に、中間乗り換えポイントと乗り換えポイントで挟まれた画像データを分割出力するタイミングとなる。これにより、偶数ラインに出力された画像データは、エンジン部で印字される時に、この偶数ラインを挟む奇数ラインの間に印字されることになる。
【0070】
従って、図7の“データの流れ5”に示す1画素単位の図の様に乗り換えポイントの段差が1画素分ある段差に比べ、同図の“データの流れ6”に示す1画素単位の図の様に乗り換えポイントと中間乗り換えポイントの間で、1/2画素単位の段差となる。
【0071】
(S406)
ステップS405でプロセススピードとして1/2プロセススピードが決定されると、ステップS406よりエンジンに対して画像データの出力が開始される。
【0072】
このとき、図2に示す伸長回路から出力された画像データは、一度図3に示すラインバッファ回路302に記憶される。
【0073】
ラインバッファ回路302に記憶された画像データは、画像マスク回路303に出力されるが、ここで、図7で説明したように、ラインバッファの読み出し制御が行われる。
【0074】
ここで、ラインバッファの読み出し制御について図8を用いて説明する。
図8はラインバッファの読み出し制御を説明する図である。
【0075】
本実施形態においては、図8に示すように、1/2プロセススピードの場合、奇数ライン(通常ライン)で画像データ(例えば同図の2)の読み出しが行われる。そして、読出しが中間乗り換えポイントにきた処で、読み出しを一時中断し、次に乗り換えポイントまで読み出し位置を進めるカウントを行い、乗り換えポイントに達した時点で乗り換え対象の画像データ(例えば同図の1)の読み出しを開始する。
【0076】
偶数ライン(補間ライン)においては、上記と逆の読み出しを行う。すなわち、中間乗り換えポイントに達するまで読み出しを一時中断するとともに読み出し位置を進めるカウントを行い、中間乗り換えポイントに達した時点で補間ラインで出力すべき画像データの読み出しを行う。そして、乗り換えポイントに達した時点で再び読み出しを一時中断するとともに読み出し位置を進めるカウントを行い次の奇数ラインに達するのを待つ。このようにして、図7で示したタイミングでエンジン部に対して画像データを出力する事が出来る。
【0077】
(S407)
エンジン部に画像データの出力が開始されると、ステップS407より、1ページ分の画像データが送られたか否かの判定が行われ、1ページ分送られた処で終了となる。この後、エンジン部にて画像が形成される。
【0078】
[実施形態2]
前述した実施形態1においては、図7に示した様に、乗り換えポイントと、その前の中間乗り換えポイントを設定し、偶数ラインに分割出力する画像データの出力範囲を設定している。しかしながらある種の出力画像に対しては、図9の“データの流れ6”に対して示す“データの流れ7”のように、これらの中間乗り換えポイントの間に実施形態1の乗り換えポイントの位置がくるようにしても良い。すなわち、この乗り換えポイントの前後の範囲を、分割出力する画像データの出力範囲としても良い。
【0079】
その場合、中間乗り換えポイント1及び中間乗り換えポイント2を設定し、中間乗り換えポイント1と中間乗り換えポイント2の間の画像データを、偶数ラインに出力するように制御しても良い。もちろん、出力画像に応じて、乗り換えポイントと乗り換えポイント2の間の画像データを、偶数ラインに出力する制御を行うといった事も可能である。これらの出力制御は、実施形態1における出力制御法と同様の手法で実施できることは当業者には明らかであろう。
【0080】
[実施形態3]
前述した実施形態1においては、図7に示す様に、1/2プロセススピードに対して、どのタイミングでエンジン部に対して画像データを出力するかの制御法であった。これに対し、図10は、プロセススピードが1/3プロセススピードでの画像データの分割出力タイミングを示している。このプロセススピードの場合には、1ライン目の画像に対し、2ライン目、3ライン目の画像出力を出力画像データ1の様に制御する事により、より段差の少ない滑らかな画像を印字する事が出来る。この具体的制御は、補間ラインが2ラインになり、各補間ラインに対し所要の画像データの分割出力が行われる点を除いて、実施形態1における出力制御法と同様の手法で実施できることは当業者には明らかであろう。
【0081】
[実施形態4]
前述した実施形態1においては、図8を用いて説明した様に、ラインバッファから読み出す画像データを制御する事で、奇数ラインと偶数ラインに出力する画像データを制御している。
【0082】
図11においては、ラインバッファから読み出す画像データは、常に奇数ラインおよび偶数ラインで同じ画像データを読み出している。
【0083】
この場合、図3の画像マスク回路303において、奇数ライン及び偶数ラインでエンジン部に出力する各画像データの有効範囲を、それぞれ同図に示す画像出力範囲1と画像出力範囲2としてマスク制御する事により、実施形態1と同等の効果を得る事が出来る。
【0084】
[その他の実施形態]
なお、本発明の目的は、上述した実施形態で示したフローチャートの手順を実現するプログラムコードを記憶した記憶媒体から、システムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がそのプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。
【0085】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が、コンピュータに、上述した実施形態の機能を実現させることになる。そのため、このプログラムコード及びプログラムコードを記憶/記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も本発明の一つを構成することになる。
【0086】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0087】
また、前述した実施形態の機能は、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって実現される。また、このプログラムの実行とは、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行う場合も含まれる。
【0088】
さらに、前述した実施形態の機能は、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットによっても実現することもできる。この場合、まず、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行う。こうした機能拡張ボードや機能拡張ユニットによる処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明を適用できるプリンタ本体のブロック図である。
【図2】同プリンタにおけるプリンタ制御ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】同プリンタ制御ユニットにおける画像出力部の詳細構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態1の動作フローチャートである。
【図5】従来の補正を伴わない場合の、通常動作時および1/2プロセススピード時のタイミングチャートである。
【図6】従来の補正時の、通常動作時および1/2プロセススピード時の出力制御を示したタイミングチャートである。
【図7】実施形態1における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図8】同実施形態におけるラインバッファの読み出し制御を説明する図である。
【図9】実施形態2における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図10】実施形態3における1/3プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図11】実施形態4における1/2プロセススピードでの出力制御を示したタイミングチャートである。
【図12】従来の乗り換え処理を説明する図である。
【図13】従来の乗り換え処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0090】
201:ASIC部
202:CPU
203:RAM部
204:ROM部
205:メモリ制御部
206:伸長回路Y
207:伸長回路M
208:伸長回路C
209:伸長回路K
210:画像出力部Y
211:画像出力部M
212:画像出力部C
213:画像出力部K
215:HOST I/F部
216:CPU I/F部
217:HOST
301:画像出力部
302:ラインバッファ回路
303:画像マスク回路
304:アドレス制御回路
305:出力範囲設定回路
306:パラメータ設定回路
307:エンジン部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、
通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置の制御方法であって、
通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置において、
通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータを記憶する手段と、前記各色の光学系の傾きや曲がりの量を表すデータからレジストレーションのズレ量を計算する計算手段と、前記計算手段により算出された前記ズレ量に基づき、ビットマップ画像の乗り換えポイントを算出する手段と、前記乗り換えポイントに応じて出力画像データを変換する変換手段と、前記変換手段により変換した出力画像データを、異なったプロセススピードで印字する手段と、前記プロセススピードに応じて、ライン毎に、出力画像データの出力範囲を制御する制御手段とを有する画像形成装置の制御方法であって、
通常のプロセススピードより遅いプロセススピードの場合に、1ラインの画像データの一部を分割出力することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項5】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントと前記乗り換えポイントの前又は、後ろにあるポイントに挟まれた範囲であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
前記分割出力される画像データは、前記乗り換えポイントの前後の範囲であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−271378(P2009−271378A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122624(P2008−122624)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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