説明

画像形成装置およびその制御方法ならびにその制御プログラム

【課題】画像形成装置において、ユーザが設定した用紙の種別(紙種・紙厚)と実際に搬送する用紙の種別が異なっている場合でも、自動的に、最適な画質や定着性を得ることができるとともに、さらには最適な搬送制御や消費電力の低減を実現することができるようにする。
【解決手段】印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサと、センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行う制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびその制御方法ならびにその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが使用する紙種や紙厚を搬送トレイ毎に設定し、画像形成装置において、設定された用紙種別(紙種・紙厚)毎に転写や定着性に関する画像印字設定を最適に制御することが行われている。一方、近年では、画像処理装置が対応すべき紙種および紙厚の種類が増加しており、多種類の用紙種別毎に最適な制御(例えば、最適な画質での印字など)が要求されるようになってきている。
【0003】
このような状況のもと、特許文献1では、外部(ユーザ)から与えられる用紙種別情報と実際に搬送した用紙種別(紙厚)が異なる場合でも、検出された紙厚に対応する情報を基に適切な搬送制御(ピッチの切り替え)をすることで安定した搬送を行えるようにした画像形成装置を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように搬送トレイ毎に用紙種別毎の設定をする手法では、搬送トレイの数が限られることから、多様な紙種/紙厚の用紙に対応しようとすると、その設定のためにユーザに負担がかかり画像形成装置の利便性が損なわれてしまう。また、ユーザが間違った用紙種別の設定をしてしまったり、異なる種別の用紙を混在させて搬送トレイにセットしてしまうことも起こりうるが、このような誤りに気づくことは困難であり、ユーザの意図通りの画質の印字や定着性が得られないといった事態となる。また、特許文献1の技術では、検出された紙厚に対応する情報を基に適切な搬送制御(ピッチの切り替え)をするが、異なる紙厚に対応するだけでは、ユーザの意図通りの画質や定着性を実現することは困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザが設定した用紙の種別(紙種・紙厚)と実際に搬送する用紙の種別が異なっている場合でも、自動的に、最適な画質や定着性を得ることができるとともに、さらには最適な搬送制御や消費電力の低減を実現することができる画像形成装置、およびその制御方法ならびにその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサと、前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサを備えた画像形成装置の制御方法であって、制御手段が、前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、前記画像形成装置に備わる制御用コンピュータに、前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現に搬送し画像形成する用紙の種別(紙種・紙厚)を検出し、検出した種別に応じた所定の制御をするので、ユーザが設定した用紙の種別(紙種・紙厚)と実際に搬送する用紙の種別が異なっている場合でも、自動的に、最適な画質や定着性を得ることができるとともに、さらには最適な搬送制御や消費電力の低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す構成図である。
【図2】図2は、プロッタ装置の内部構成の概略を示す図である。
【図3】図3は、同実施形態の画像形成装置に設置される各種センサの詳細な配置を示す図である。
【図4】図4は、透過型光学センサの一種を示す図である。
【図5】図5は、プロッタ装置の基本的な電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、同実施形態の画像形成装置の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、給紙トレイ#1用紙種別設定画面の一例を示す図である。
【図8】図8は、紙種・紙厚ミスマッチ検知時動作選択画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、ユーザへ報知するために表示される用紙種別情報の一例を示す図である。
【図10】図10は、ユーザ定義カスタム紙登録画面の一例を示す図である。
【図11】図11は、「ユーザへ紙種・紙厚の報知/検出用紙種別のカスタム登録」の有効/無効設定画面の一例を示す図である。
【図12】図12は、紙種・紙厚反映テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、重送検知設定画面の一例を示す図である。
【図14】図14は、ユーザへ報知するための重送検出画面の一例を示す図である。
【図15】図15は、ユーザへ報知するための異常紙検出画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
はじめに、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示す構成図である。
【0013】
画像形成装置は、図1に示すように、プロッタ装置1、シート格納装置2〜3、シート後処理装置(フィニシャー)4〜6の各ユニットで構成されている。
【0014】
プロッタ装置1は、例えば電子写真式記録装置やインクジェット式記録装置で構成され、画像情報を用紙へ印刷し、機外に排出する。図1の構成例では、印刷された用紙をさらにシート後処理装置4〜6に搬送する。図1に示すように、プロッタ装置1には、シート格納装置2〜3などの複数のシート格納装置や、シート後処理装置4〜6などの複数のシート後処理装置を接続することができる。
【0015】
シート格納装置2〜3は、画像を転写するための用紙を格納する装置である。シート格納装置2のように、プロッタ装置1の下側に接続される比較的小容量のものや、シート格納装置3のように、プロッタ装置1と並んで接続される大容量のものがある。これらのシート格納装置2〜3は、異なるサイズの用紙を格納した複数の給紙段(各給紙段にはそれぞれ同一サイズの用紙が格納される)を備えており、プロッタ装置1へ用紙を搬送する。
【0016】
シート後処理装置4〜6は、プロッタ装置1から排出された用紙に対して後処理を施す装置である。符号4のシート後処理装置は、例えば製本用の表紙や合紙を挿入するための挿入装置を表わし、符号5のシート後処理装置は、例えばパンチ処理をするためのパンチ装置、および製本するために用紙を折るための折り装置を表わし、符号6のシート後処理装置は、例えば用紙に対してステープル処理をするためのステープル装置、テープ製本やリング製本やシュア製本をするための製本装置、および製本された用紙を最終的なサイズに断裁するための断裁装置を表す。
【0017】
また、ステープル処理用のステープル、無線綴じ製本のための接着剤、テープ製本のためのテープ、リング製本のためのリング、シュア製本のためのバインドストリップ等の各消耗品を格納する消耗品格納ユニット(図示せず)を備えている。
【0018】
また、ステープル処理では、印刷物の綴じ枚数によってステープルをカットする際にステープル切り屑が発生し、パンチ処理では、印刷用紙にパンチ穴を開ける際にパンチ屑が発生し、製本処理では、三方仕上げ裁ちや無線綴じのミーリング処理の際に断裁屑が発生するが、発生したステープル切り屑、パンチ屑、断裁屑のような残滓を格納するための残滓回収ユニット(図示せず)も備えている。
【0019】
なお、単体の画像形成装置としての機能を成すため、セットされた原稿を読み取り位置に搬送する読み取り給紙装置、原稿の画像情報を読み取るスキャナ装置、テンキー、スタートキー、ファンクションキー、ワンタッチキー等の各種操作キーを備えた操作パネル及び液晶ディスプレィ等の表示パネルで構成される操作部を備えていてもよい。また、プロッタ装置1とシート格納装置2を単体の画像形成装置として用いることができる。以下では、このプロッタ装置1とシート格納装置2から構成される画像形成装置を例として説明する。
【0020】
ここで、画像形成装置の内部構成について、図2を用いて説明する。図2では、プロッタ装置1が給紙トレイ101aを備えるものとし、また、シート格納装置2の一部(給紙トレイ101b)を含めてその概略構成を図示している。
【0021】
図2に示すプロッタ装置1は、像担持体としての転写ベルト105に沿って各色のプロセスカートリッジ(106Bk、106M、106C、106Y)が並べられた構成、つまり転写ベルト105に沿って各プロセスカートリッジが対向して配置された構成を備えるものであり、いわゆる、タンデムタイプといわれる画像形成装置である。転写ベルト105は図2でいうと反時計回りに回転し、回転方向の上流側から順に、複数のプロセスカートリッジ(電子写真プロセス部)106Bk、106M、106C、106Yが配列されている。これら複数のプロセスカートリッジ106Bk、106M、106C、106Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。プロセスカートリッジ106Bkはブラックの画像を、プロセスカートリッジ106Mはマゼンタの画像を、プロセスカートリッジ106Cはシアンの画像を、プロセスカートリッジ106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。
【0022】
プロセスカートリッジ(106Bk、106M、106C、106Y)は、感光体(109Bk,M,C,Y)と、その他の幾つかの装置とを1つのユニットとして共通の支持体に支持するものであり、本装置に対して着脱可能になっている。ブラック用のプロセスカートリッジ106Bkを例にすると、感光体109Bkの他、1次転写ニップ部を通過した後の感光体109Bkの表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーナーブレード113Bkも有している。また、クリーニング後の感光体109Bk表面を除電する図示しない除電装置や、除電後の感光体109Bk表面を一様帯電せしめる帯電手段としての帯電器110Bkなども有している。他色用のプロセスカートリッジ(106M、106C、106Y)も、取り扱うトナーの色が異なる他は、ほぼ同様の構成になっている。なお、露光器111は、各プロセスカートリッジ(106Bk、106M、106C、106Y)が形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光(114Bk、114M、114C、114Y)を、それぞれ対応するプロセスカートリッジの感光体(109Bk、109M、109C、109Y)に照射する。
【0023】
また、図2において、プロセスカートリッジ106Bk内には、トナーを撹拌するパドル106a、トナーを供給する供給ローラ106b、トナー層を一定厚にする現像ブレード106cが配置されている。また、図2の符号119は搬送ローラ、符号120はレジストセンサ、符号121は搬送路センサ、符号123は排紙センサ、符号125は転写後の転写ベルト105上の残トナーを除去する中間ベルトクリーナ、符号130は転写後の感光体および転写ベルト105上の残トナーを回収し収納する廃トナーボックス、符号131は廃トナーボックス130内の廃トナーの満杯検知を行なう廃トナーフル検知センサである。
【0024】
転写ベルト105は、回転駆動される2次転写駆動ローラ107と転写ベルトテンションローラ108とに巻回されたエンドレスのベルトである。この2次転写駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、2次転写駆動ローラ107と、転写ベルトテンションローラ108とが、転写ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
【0025】
以下の説明では、プロセスカートリッジ106Bkについて具体的に説明するが、他のプロセスカートリッジ106M、106C、106Yはプロセスカートリッジ106Bkと同様であるので、そのプロセスカートリッジ106M、106C、106Yの各構成についての説明は省略する。
【0026】
画像形成に際し、感光体109Bkの外周面は、暗中にて帯電器110Bkにより一様に帯電された後、露光器111からのブラック画像に対応したレーザ光114Bkにより露光され、静電潜像を形成される。現像器112Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化する。このことにより感光体109Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
【0027】
このトナー画像は、感光体109Bkと転写ベルト105とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ115Bkの働きにより転写ベルト105上に転写される。この転写により、転写ベルト105上にブラックのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体109Bkは、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレード113Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0028】
以上のように、プロセスカートリッジ106Bkで転写ベルト105に転写されたブラックの画像は、転写ベルト105によって次のプロセスカートリッジ106Mに搬送される。プロセスカートリッジ106Mでは、プロセスカートリッジ106Bkでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト105上に形成されたブラックの画像に重畳されて転写される。
【0029】
転写ベルト105は、さらに次のプロセスカートリッジ106C、106Yに搬送され、同様の動作により、感光体109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体109Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト上に重畳されて転写される。こうして、転写ベルト105上にフルカラーのトナー画像が形成される。
【0030】
なお、画像形成に際して、ブラックのみの印刷の場合は一次転写ローラ115M、一次転写ローラ115C、一次転写ローラ115Yは、それぞれ感光体109M、感光体109C、感光体109Yから離間された位置に退避し、前述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行う。
【0031】
転写ベルト105の下方には、給紙トレイ101a,給紙トレイ101b、給紙ローラ102a,102b、レジストローラ103などを有する給紙手段が設けられ、また、各給紙トレイ101a,101bに印刷用紙がセットされたことを検知するセンサ(図示せず)が設けられている。また、2次転写駆動ローラ107に対向するように2次転写ローラ116を備えている。ここで、2次転写駆動ローラ107は、2次転写ローラ116との間に転写ベルト105を挟み込んで2次転写ニップ部を形成している。さらに、2次転写ニップ部の上方には、定着器122、排紙ローラ118などを備えている。
【0032】
給紙トレイ101a,bは、記録媒体としての用紙104を複数枚重ねて収納しており、一番上の用紙104には給紙ローラ102a,bが当接している。給紙ローラ102a,bは、図示しない駆動手段によって回転し、一番上の用紙104の先端をレジストローラ103に突き当てた状態で回転を一旦停止させる。そして、用紙104を適切なタイミングで転写バイアスが印加された2次転写ニップ部に向けて送り出す。転写ベルト105上に形成されたトナー画像は、この2次転写ニップ部で用紙104に転写される。2次転写ニップ部を通過した後の転写ベルト105には、用紙104に転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中転ベルトクリーナ125によってクリーニングされる。
【0033】
2次転写ニップ部を通過した用紙104は、定着器122の定着ローラと加圧ローラ間を通過する際の熱と圧力の作用により、表面に転写されたトナー画像が定着される。その後、用紙104は、排紙ローラ118によって機外の図1に示したシート後処理装置4〜6へと排出される。
【0034】
次に、画像形成装置に設置される各種センサの詳細な配置を図3に示す。なお、図3では、給紙トレイから画像形成部間に設けられる各種センサを例示している。
【0035】
本実施形態において特徴的な紙種・紙厚センサは、全ての、搬送経路の合流地点でありかつ画像形成される用紙の転写位置より前に設置する。さらに、シート格納装置2の各給紙段(給紙トレイ)内にも紙種・紙厚センサを設置する。用紙セット時には、給紙トレイ内に設置した紙種・紙厚センサによって、紙種・紙厚を検出することができる。
【0036】
次に、紙種・紙厚センサの一例として、図4に、紙厚を検知するレバーエンコーダ式の透過型光学センサの一種を示す。同図に示す光学センサは、用紙に当接して紙厚に応じて回動するレバー41に固定されたフィルムスケールを、LED発光側43と検知部を有する受光側42とで構成される光ピックアップにより読み取ることにより紙厚を検知する。その出力は、パルス出力であり、用紙が当該センサに進入する前後でのパルス数の差で厚みを検出する。ここでは、用紙の先頭から約30mmの区間を測定し、厚みを確定させる。具体的には、搬送速度(あるいは画像形成速度)300mm/sの場合、約100[ms]の区間で出力されるパルス数を、1[ms]〜2[ms]周期でキャプチャし、そのパルス数から紙厚を確定させる。
【0037】
また、紙種を検知するセンサとしては、用紙の表面に光を当てその反射光を読み取ることにより紙種を検知することができる反射型光学センサが知られている。ここではその説明は省略する。以上のような紙厚を検知する光学センサおよび紙種を検知する光学センサを組み合わせることにより、紙種・紙厚センサとすることができる。
【0038】
次に、プロッタ装置1の基本的な電気的構成を、図5に示すブロック図を用いて説明する。
【0039】
プロッタ装置1は、CPU51、画像メモリ52、I/O(入出力部)53、I/F(インターフェース部)54、ROM55、RAM56、表示手段を有する操作パネル(オペレーションパネル)57、等を備えている。CPU51はROM55に記憶された制御プログラムに従い、プロッタ装置1および周辺機器を構成する各部を制御する。画像メモリ52は印刷データに含まれる画像データを一時的に記憶する。I/O53は、画像形成部や各種センサなどの電装品の入出力を制御する。I/F54は装置とケーブルなどで接続されたパーソナルコンピュータ等のホストからの印刷データ等を受け取る。ROM55は装置全体を制御するための制御プログラムを記憶する。RAM56は装置に関する各種情報を一時的に記憶する。操作パネル57はユーザが装置の状態把握や、装置の動作変更を設定するための手段である。I/O53には、前述の紙種・紙厚センサ58aや、搬送センサ58b等の各センサ群が接続されている。
【0040】
次に、本実施形態の画像形成装置の動作を、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
はじめに、ユーザが画像形成装置の給紙トレイ(大容量給紙トレイ等も含む)へ任意の印刷用紙をセットしたことを検知する(ステップS01)。ここでは、この給紙トレイへの印刷用紙のセットが検知されると、それを用紙種別検知のトリガとして以下の処理を実行する。
【0042】
印刷用紙のセットが検知されると、各給紙トレイ内に設置されている紙種・紙厚センサにより、紙種及び紙厚を検知する(ステップS02)。
【0043】
次いで、ユーザが、給紙トレイ#1(例えば、図2の給紙トレイ101a)にセットした用紙に対して、(1)自動判別(自動)の設定としているのか、または、(2)手動の任意設定としているのかの判断を行う(ステップS03)。この設定は給紙トレイ毎に行え、図7に例示する、オペレーションパネル等に表示される給紙トレイ#1用紙種別設定画面を介して設定される。図7の例では、紙種および紙厚のそれぞれについて、自動/手動の設定をすることができる。自動設定では、ステップS02で検知された紙種・紙厚が、給紙トレイ内の用紙の紙種・紙厚として設定される。手動設定では、規定の紙種および紙厚の設定の他、紙種および紙厚のそれぞれについて、ユーザ定義のカスタム紙の設定も行えるようになっており、設定された紙種・紙厚が手動設定時の給紙トレイ内の用紙種別となる。
【0044】
手動設定がなされている場合、ユーザが手動設定した用紙種別とステップS02にて本装置が自動で検知し判別した用紙種別を比較する(ステップS04)。
【0045】
ステップS04での比較で、用紙種別が一致となった場合は、ステップS11以降の処理を行い、用紙種別が不一致となった場合は、ステップS05に移行しミスマッチ時の動作設定に従い処理を切り替える。この設定は、例えば、図8に例示する紙種・紙厚ミスマッチ検知時動作選択画面にて設定することができる。図8の例では、ミスマッチ時に(1)印刷継続、(2)印刷中断、(3)検出紙種別情報表示のみ、(4)ユーザ定義カスタム紙登録、のいずれかを実行することを設定することができる。
【0046】
ここで、印刷継続が設定されている場合は、ステップS11へ移行し印刷処理を継続する。印刷中断が設定されている場合は、ステップS06へ移行し、印刷中止動作を行う。検出紙種別情報表示のみが設定されている場合は、ステップS07へ移行し、オペレーションパネル等に、例えば図9に例示する、給紙トレイ#1にセットされた用紙種別情報を表示する。ユーザ定義カスタム紙登録が設定されている場合は、ステップS08へ移行し、オペレーションパネル等に、図10に例示するユーザ定義カスタム紙登録画面を表示し、この登録画面から、ユーザ定義カスタム紙の名前、紙種、紙厚、各種パラメータの設定登録を受け付ける。ステップS06〜S08の処理後は、ユーザによる本装置に対する操作に応じた処理を行う。
【0047】
一方、ステップS03にて、紙種・紙厚の自動設定がなされている場合、検出した印刷用紙に対して「ユーザへ紙種・紙厚の報知/検出用紙種別のカスタム登録」の設定が有効となっているか否かの判断を行う(ステップS09)。この有効/無効の設定は、例えば、図11に例示する「ユーザへ紙種・紙厚の報知/検出用紙種別のカスタム登録」の有効/無効設定画面から設定することができる。
【0048】
ステップS09にて、有効と設定されていた場合、ステップS10へ移行し、オペレーションパネル等を通してユーザへ検出用紙種別情報(図9に例示したトレイセット紙種情報と同様の情報)を表示することにより報知し、さらにユーザ定義カスタム紙の追加登録(カスタム登録)を行う。上記報知により、ユーザは、自身で判断できない用紙種別を知ることができる。またカスタム登録では、ユーザが任意で又は報知された検出用紙種別情報を基に、あるいは紙種・紙厚センサにより検知されたデータを基に本装置が自動で、用紙の紙厚(gsm単位)/紙種(普通紙、OHP等)を細かく設定し、任意の名前(ユーザ定義カスタム紙の名称)を付与することができる。また、登録しているユーザ定義カスタム紙に対する、画像形成に用いるパラメータも任意に変更する事ができ、図12に例示する紙種・紙厚反映テーブルに反映される。この紙種・紙厚反映テーブルには、規定の印刷用紙に関する紙種・紙厚の情報および搬送速度(m/s)、転写電流(μA)、定着目標温度(℃)が予め設定されている。カスタム登録をユーザが任意で行う場合、図10に例示したユーザ定義カスタム紙登録画面と同様の設定画面を介して登録を行うことができる。このカスタム登録により、ユーザは、自身が望む設定で印刷をすることができる。
【0049】
続くステップS11では、ユーザによる印刷開始の指示を待つ待機状態となるが、ユーザが印刷(コピー/プリント)開始を指示したことを検知するとステップS12へ移行する。
【0050】
ステップS12では、印刷設定パラメータ調整/決定処理を行う。ここでは、ステップS02で検知された、セットされた印刷用紙の種別に応じて、上記紙種・紙厚反映テーブルを基に、印刷制御値(搬送速度、転写電流、定着目標温度)を設定する。印刷設定パラメータ調整/決定処理には以下の3種がある。
【0051】
(1)印刷用紙を搬送する時の搬送速度(給紙/転写/定着速度)の最適化;これにより、用紙を最適な速度で搬送することで、抵抗や摩擦によるスリップの低減や、定着熱温度の急激な低下を防止する。
【0052】
(2)用紙に画像を転写する時の転写力(転写電流)の最適化;これにより、画像を印刷用紙に転写させる時のバイアス(静電)力を最適化させ、トナーを確実に用紙へ引き付けることができる。
【0053】
(3)印刷用紙に画像を定着させる定着力(定着温度)の最適化;これにより、画像を定着する時の用紙先端と後端で温度変動が起きないよう、搬送用紙が吸収してしまう熱量を予め上げる又は下げることができる。また、定着温度を用紙毎に必要な温度に逐次更新制御することにより、高い温度での温度維持が低減され、省エネにも効果がある。
【0054】
印刷設定パラメータ調整/決定処理の(1)として、まず、用紙を搬送する際の搬送速度を決定する(ステップS12a)。
【0055】
次いで、印刷設定パラメータ調整/決定処理の(2)として、印刷用紙にトナーを転写する際の転写電流値を決定する(ステップS12b)。
【0056】
次いで、印刷設定パラメータ調整/決定処理の(3)として、印刷用紙にトナーを定着させるための定着目標温度を決定する(ステップS12c)。
【0057】
以上の印刷設定パラメータ調整/決定処理後、選択された給紙トレイから印刷用紙を搬送する(ステップS13)。
【0058】
次いで、搬送された印刷用紙が、搬送パス上に設置されている用紙紙種・紙厚検出センサ(ここでは紙厚を検知できるものであればよい)に到達した時、印刷用紙の重なりを検出する重送検知機能の設定が有効であるか無効であるかを判断する(ステップS14)。この重送検知機能の有効/無効の設定は、例えば図13に例示する重送検知設定画面から設定することができる。
【0059】
ステップS14にて、重送検知機能が有効であった場合、搬送された印刷用紙の紙厚(紙種・紙厚センサで検知)と(自動又は手動で)設定された給紙トレイ内の印刷用紙の紙厚とを比較し、異なるか否かを判断する(ステップS15)。
【0060】
ステップS15で、異なると判断された場合、ユーザへ用紙が重送されたことをオペレーションパネル等に表示することにより(図14参照)報知する(ステップS16)。
【0061】
ステップS16にてユーザへ重送の報知をした後、ステップS17において印刷の中断動作を行い、ユーザに対して排出用紙及び給紙トレイの確認を行うよう報知する。このようにして、印刷用紙の重なりをユーザに認識させ、印刷を中断させることで、白紙用紙が印刷用紙の束の中に混入することを防止することができる。
【0062】
一方、ステップS14にて、重送検知機能が無効であった場合、または、ステップS15にて、搬送用紙と設定用紙の紙厚が一致した場合は、印刷動作を継続する(ステップS18)。このとき、次に印刷するページが搬送開始される前にステップS02に戻る。以上の処理により、ユーザが設定した用紙の種別(紙種・紙厚)と実際に搬送する用紙の種別が異なっている場合でも、自動的に、最適な画質や定着性を得ることができるとともに、さらには最適な搬送制御や消費電力の低減を実現することができるようになる。また、同一給紙トレイ内に異なる用紙種別の印刷用紙が混在している場合でも、ユーザは意識せずに最適な条件で印刷を継続することができる。
【0063】
なお、例外処理として、本画像形成装置が搬送可能または印字可能ではない未保障(規格外)用紙に対しては、用紙ジャムや異常画像印字や装置の破損に繋がる恐れがあるため、ステップS02にて紙種・紙厚の検知で未保障(規格外)用紙が検知された場合、搬送させないよう制御する。その際、図15に例示する異常紙検出画面をオペレーションパネル等に表示することによりユーザに報知する。なお、紙種・紙厚反映テーブルに登録されていない用紙種別の印刷用紙を未保障(規格外)用紙として扱うことができる。
【0064】
以上、本実施形態の画像形成装置の詳細を説明した。なお、本実施形態の画像形成装置の制御プログラムは、当該画像形成装置に備わるNV−RAMやROMやその他の不揮発性記憶媒体に予め組み込まれて提供される以外に、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録し提供することも可能である。
【0065】
または、上記制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供または配布するように構成してもよい。
【0066】
以上、発明を実施するための実施の形態について説明を行ったが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を損なわない範囲で変更することが可能である。また、上述した実施形態の画像形成装置の機能は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置や、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機などの画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 プロッタ装置
2、3 シート格納装置
4〜6 シート後処理装置
51 CPU
52 画像メモリ
53 I/O
54 I/F
55 ROM
56 RAM
57 操作パネル(オペレーションパネル)
58a 紙種・紙厚センサ
58b 搬送センサ
101a,b 給紙トレイ
102a,b 給紙ローラ(ピックアップコロ、フィードコロ、セパレートコロ)
103 レジストローラ
104 用紙
105 転写ベルト
106 プロセスカートリッジ
107 2次転写駆動ローラ
108 転写ベルトテンションローラ
109Bk,M,C,Y 感光体
110 帯電器
111 露光器
112 現像器
114 レーザ光
116 2次転写ローラ(紙転写ローラ)
118 排紙ローラ
120 レジストセンサ
121 搬送路センサ(縦搬送センサ)
122 定着器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0068】
【特許文献1】特開2008−303036号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサと、
前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
紙種および紙厚からなる用紙種別毎に、搬送速度、転写電流、および定着目標温度を規定するテーブルをさらに備え、
前記制御手段は、前記テーブルを基に、前記センサにより判別された用紙種別に対応する搬送速度、転写電流、および定着目標温度を用いて、前記搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記センサにより判別された用紙種別に関する情報をユーザに報知するための報知手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
用紙種別と、該用紙種別に対する搬送速度、転写電流、および定着目標温度を任意設定するための設定手段をさらに備え、任意設定された用紙種別と、該用紙種別に対する搬送速度、転写電流、および定着目標温度は、前記テーブルに反映されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記センサによる紙厚判別結果を基に印刷用紙の重なりを検出する重送検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザが任意設定した用紙種別と前記センサにより判別された用紙種別とが異なる場合に、少なくとも、その旨をユーザに報知するか、または、印刷動作を中止するか、または、印刷を継続するか、を事前に選択するための選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記センサにより規定外の用紙種別が判別された場合、前記報知手段を通じて、ユーザに給紙トレイにセットされた印刷用紙を確認させるための報知を行うことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記センサは、紙種および紙厚を検知する光学センサであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサを備えた画像形成装置の制御方法であって、
制御手段が、前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
印刷用紙をセットする給紙トレイ内又は用紙搬送経路上に設置される用紙種別を判別するためのセンサを備えた画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成装置に備わる制御用コンピュータに、前記センサにより判別された用紙種別に応じて、現に画像形成の対象となる印刷用紙に対して最適となる搬送速度制御、画像転写制御、および画像定着制御を実行させる
ことを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−181223(P2012−181223A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41985(P2011−41985)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】