説明

画像形成装置およびその制御方法

【課題】カラー画像に対応した画像形成装置において、廃トナー容器に収容された廃トナーの満杯を可能な限り正確に判定する。
【解決手段】 廃トナーを色ごとに搬送する複数の廃トナー搬送手段1A〜1Dと、各廃トナー搬送手段1A〜1Dにより搬送された各廃トナーを一括収容する廃トナー容器2と、廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯に近いニアエンドを検知するニアエンド検知手段53と、画像データの画素数を色ごとにカウントするピクセルカウンタ4A〜4Dと、ニアエンド検知手段によりニアエンド検知後、ピクセルカウンタ4A〜4Dによりカウントされた画像データの色ごとの画素数を、画像形成の都度積算して記憶する積算画素数記憶手段6A〜6Dと、積算画素数記憶手段6A〜6Dに記憶された色ごとの積算画素数が1つでも所定値に達したとき、廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯に到達した本エンドであると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、廃トナー容器に廃トナーを収容する画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置では、用紙に転写されずに感光体等に残存する廃トナーを、廃トナー容器に収容している。廃トナー容器の容量は有限であるので、廃トナーが満杯になる前に廃トナー容器を空のものに交換する必要がある。そのため、何らかの手段で廃トナー容器内の廃トナーの満杯を検知している。
【0003】
特許文献1には、画像データの画素数をピクセルカウンタによりカウントし、廃トナー収容量センサにより廃トナー収容量が所定量であること(ニアエンド)を検知したとき、画素数の積算を開始し、積算値が所定値に達したときに、廃トナー収容量が満杯に到達したと判定する(本エンド)ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−271023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の手法では、本エンドは画素数から廃トナー量を見積もって判定しており、廃トナー量を直接検知しているわけではないので、必ずしも正確ではない。特に、カラー画像に対応した画像形成装置で、色ごとに廃トナーを搬送して廃トナー容器に一括収容するタイプでは、特許文献1のように画像データの総画素数をパラメータとすると、色ごとにカウントした画素数ではないために正、画像データを正確に反映したものではなくなる。
【0006】
すなわち、図6(a)に示すように、トナーの使用頻度が一色に偏っている場合、廃トナー容器の満杯位置を超えて廃トナーがオーバーフローする危険性がある。また、図6(b)に示すように、トナーの使用頻度が比較的平均している場合でも、現実にはまだ満杯まで余裕があるのに満杯と判定されてしまい、ユーザにとって煩雑な廃トナー容器の交換作業の回数を増やすことになる。
【0007】
この発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、カラー画像に対応した画像形成装置において、廃トナー容器に収容された廃トナーの満杯を可能な限り正確に判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の画像形成装置では、感光体に静電潜像として形成された画像データを複数色のトナーにより可視化し、用紙に転写することによりカラー画像を形成した後、感光体上に残留する廃トナーを廃トナー容器に回収する画像形成装置において、廃トナーを色ごとに搬送する複数の廃トナー搬送手段と、各前記廃トナー搬送手段により搬送された各廃トナーを一括収容する廃トナー容器と、前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯に近いニアエンドを検知するニアエンド検知手段と、前記画像データの画素数を色ごとにカウントするピクセルカウンタと、前記ニアエンド検知手段によりニアエンド検知後、前記ピクセルカウンタによりカウントされた前記画像データの色ごとの画素数を、画像形成の都度積算して記憶する積算画素数記憶手段と、前記積算画素数記憶手段に記憶された色ごとの積算画素数が1つでも所定値に達したとき、前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯に到達した本エンドであると判定するようにしている。
【0009】
この構成によると、色ごとにカウントした画素数を積算し、本エンドを判定するので、画像データを反映した適切な本エンド判定が行える。
【発明の効果】
【0010】
この発明によると、カラー画像に対応した画像形成装置において、廃トナー容器に収容された廃トナーの満杯を可能な限り正確に判定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1(a)は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の廃トナー回収装置を示す正面側断面図である。図1(b)は同廃トナー回収装置を示す概略側断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の廃トナー回収装置に関わる制御系統を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の廃トナー回収装置による本エンドの判定フローである。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の廃トナー回収装置による本エンド判定時の廃トナー容器内の状態の一例を模式的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の廃トナー回収装置による本エンドの判定フローの他の例である。
【図6】図6(a)は従来の画像形成装置の廃トナー回収装置による本エンド判定時の廃トナー容器内の状態の一例を模式的に示す図である。図6(b)は従来の画像形成装置の廃トナー回収装置による本エンド判定時の廃トナー容器内の状態の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の画像形成装置は、感光体に静電潜像として形成された画像データを複数色のトナーにより可視化し、用紙に転写することによりカラー画像を形成した後、感光体上に残留する廃トナーを色ごとに搬送し、廃トナー容器内に一括回収するように構成される。以下、本発明をタンデム方式のフルカラー複写機に応用した場合を例にして図面を参照しながら説明する。
【0013】
本発明の実施の形態に係る画像形成装置は、図1(a)および図1(b)に示すような廃トナー回収装置100を備える。すなわち、廃トナー回収装置100は、大きく、同図に示すように廃トナー搬送機構1A〜1D、廃トナー容器2、および廃トナー攪拌機構3を備える。
【0014】
廃トナー搬送機構1A〜1Dは、廃トナーを色ごとに搬送するように構成される。本実施の形態では、添え字“A”がブラック、“B”はシアン、“C”はマゼンタ、“D”はイエローのトナーに対応しているものとする。具体的には、各廃トナー搬送機構1A〜1Dは、図1(b)に示すように、不図示の感光体のクリーニング装置に一端(図1(b)では右端)直結され直線状に延びる筒状の搬送路13、搬送路13内に軸方向に挿入されて回転自在に設けられた搬送スクリュー12、および搬送スクリュー12を回転駆動する搬送モータ11を有する。
【0015】
搬送路13の他端(図1(b)では左端)にはトナー排出口131が下部に開口している。各廃トナー搬送機構1A〜1Dの搬送路13は、図1(a)に示すように、水平方向に並んで配置される。したがって、トナー排出口131も、色ごとに、廃トナー容器2内で水平方向に並んでいる。
【0016】
以上の廃トナー搬送機構1A〜1Dの構成で、搬送モータ11により搬送スクリュー12が回転されると、図1(b)の右から左へ廃トナーが搬送され、トナー排出口131から廃トナーが廃トナー容器2内に落下する。これにより、感光体上に残留する廃トナーを色ごとに搬送され、廃トナー容器2内に収容される。つまり、廃トナーの搬送は色ごとに行われるが、廃トナーの回収は廃トナー容器2内に一括して収容されるようになっている。
【0017】
廃トナー攪拌機構3は、廃トナー容器2内に収容された廃トナーを攪拌するように構成される。具体的には、図1(a)に示すように、廃トナー攪拌機構3は、廃トナー容器2内に回転自在に設けられた攪拌スクリュー32、および攪拌スクリュー32を回転駆動する攪拌モータ31を有する。
【0018】
以上の廃トナー攪拌機構3の構成で、攪拌モータ31により攪拌スクリュー32が回転されると、廃トナー容器2内に溜まった廃トナーが攪拌され、トナー排出口131から落下する各色のトナーが均一に混合される。これにより、堆積した廃トナーの上面が均一にならされるため、トナー排出口131の直下近傍に廃トナーが盛り上がることがない。
【0019】
図2は上述した廃トナー回収装置100に関わる制御系統を示すブロック図である。図2に示すように、CPUなどで構成される制御部5は、画像積算部51A〜51D、攪拌モータ駆動部52、ニアエンド判定部53、積算画素数比較部54、本エンド判定部55、および搬送モータ駆動部56A〜56Dを有する。
【0020】
画素数積算部51A〜51Dは、ピクセルカウンタ4A〜4Dがそれぞれ接続されている。ピクセルカウンタ4A〜4Dは、画像データ8の画素数を色ごとにカウントする。画素数積算部51A〜51Dは、ピクセルカウンタ4A〜4Dによりカウントされた画像データ8の色ごとの画素数を、画像形成の都度積算するように構成される。
【0021】
攪拌モータ駆動部52は上述した廃トナー攪拌機構3の攪拌モータ31の動作を制御する。
【0022】
ニアエンド判定部53は廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯に近いニアエンドに達したか否かを判定し、画素数積算部51A〜51Dおよび攪拌モータ駆動部52を制御する。
【0023】
具体的には、上記攪拌モータ31のモータ軸に作用するトルクを検知するトルク検知器31により、所定値以上のトルクが検知されると、ニアエンド判定部53はニアエンドに達したと判定し、攪拌モータ駆動部52を制御して攪拌モータ31を停止させる。これにより、ニアエンドに達した後は、廃トナー容器2内の廃トナーの攪拌が止まり、以降本エンドに達するまで各トナー搬送機構3のトナー排出口131から落下した廃トナーがそれぞれのトナー排出口131の直下近傍に堆積されるようになる(図4参照。)。
【0024】
また、ニアエンド判定部53はニアエンドに達したと判定すると、画素素積算部51A〜51Dによる色ごとの画像データ8の画素数の積算を開始する。積算された画素数は各積算画素数メモリ6A〜6Dに記憶され、画像形成の都度更新される。
【0025】
トルク検知器7は、本発明のニアエンド検知手段の一例であるが、ニアエンド検知手段は、これに限られない。例えば、廃トナー容器2内に堆積された廃トナーの上面高さを光学的に検知するセンサで構成することも可能である。
【0026】
搬送モータ駆動部56A〜56Dは上述した廃トナー搬送機構1A〜1Dの搬送モータ11の動作を制御する。
【0027】
積算画素数比較部54は、積算画素数メモリ6A〜6Dに記憶された色ごとの積算画素数を所定値と比較し、その結果を本エンド判定部55に出力する。
【0028】
本エンド判定部55は、廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯に到達した本エンドであるか否かを判定し、その結果に応じて搬送モータ駆動部56A〜56Dを制御する。具体的には、積算画素数比較部54により、色ごとの積算画素数が1つでも所定値に達したことが出力されると、廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯に到達した本エンドであると判定し、搬送モータ駆動部56A〜56Dを制御して各廃トナー搬送機構1A〜1Dの搬送モータ11を停止させる。これにより、本エンドに達した後は、廃トナー容器2内への廃トナーの搬送が止まり、以降は廃トナーが収容されなくなる。なお、このタイミングで画像形成装置の表示手段等を用いて廃トナー容器2の交換をユーザに促すサインが出され、廃トナー容器の交換がなされるまで、新たな画像データの入力を受け付けないように画像形成装置は待機状態に維持される。
【0029】
上記の本エンド判定の流れを図3のフローチャートによりまとめると、ニアエンド後に、画像データが入力されると(S1)、色ごとに画素数がカウントされ(S3)、色ごとに画素数が積算され(S4)、色ごとの積算画素数のいずれかが所定値に達したとき、廃トナー容器2内の廃トナー量が満杯の到達した本エンドであると判定される(S4)。
【0030】
この結果、図4に示すように、廃トナー容器2のあらかじめ定められた満杯位置に、本エンド判定時の廃トナーのピーク位置を近づけることが可能となる。
【0031】
本実施の形態によると、色ごとにカウントした画素数を積算し、本エンドを判定するので、画像データを反映した適切な本エンド判定が行える。すなわち、廃トナー容器2に収容された廃トナーの満杯を可能な限り正確に判定することが出来る。
【0032】
なお、初めに積算画素数が所定値に達した色がブラック以外のとき、本エンド検知後もブラックの積算画素数が前記所定値に達するまでは、継続してブラックのトナーによる単色の画像形成を可能とするようにしても良い。具体的には、図5のフローに示すように、初めに積算画素数が所定値に達した色がブラック以外のとき(S5の否定判定)、画像データが入力されると(S6)、モノクロ画像か否かをピクセルカウンタ4A〜4Dにより判定し(S7)、モノクロ画像であれば(S7の肯定判定)、ブラックの画素数をカウントして積算する(S8、S9)。そして、ブラックの積算画素数が前記所定値に達するまではS6に戻り、ブラックのトナーによる単色の画像形成が継続される。S7でモノクロ画像でない、すなわちカラー画像であることが判定されると(否定判定)、画像形成を中止する(S11)。
【0033】
図5の例によると、廃トナー容器2の交換時期を若干延ばすことが可能となる。なお、図5の例に追加して、初めに積算画素数が所定値に達した色がブラックのとき、本エンド検知後もブラック以外の積算画素数が前記所定値に達するまでは、継続してブラック以外のトナーによるカラーの画像形成を可能とするようにしても構わない。
【0034】
上記実施形態では、ピクセルカウントにより色ごとの画素数をカウントするようにしたが、印字率に応じて段階的にカウントする画素数をあらかじめ設定しておいても良い。これによると、色ごとのピクセルカウンタが不要となり、印字率を求めるための全画素数をカウントするピクセルカウンタが1つあれば足りるので、装置の低コスト化が図られる。
【0035】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0036】
1A〜1D…廃トナー搬送機構
2…廃トナー容器
3…廃トナー攪拌機構
ピクセルカウンタ…4A〜4D
100…廃トナー回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体に静電潜像として形成された画像データを複数色のトナーにより可視化し、用紙に転写することによりカラー画像を形成した後、感光体上に残留する廃トナーを廃トナー容器に回収する画像形成装置において、
廃トナーを色ごとに搬送する複数の廃トナー搬送手段と、
各前記廃トナー搬送手段により搬送された各廃トナーを一括収容する廃トナー容器と、
前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯に近いニアエンドを検知するニアエンド検知手段と、
前記画像データの画素数を色ごとにカウントするピクセルカウンタと、
前記ニアエンド検知手段によりニアエンド検知後、前記ピクセルカウンタによりカウントされた前記画像データの色ごとの画素数を、画像形成の都度積算して記憶する積算画素数記憶手段と、
前記積算画素数記憶手段に記憶された色ごとの積算画素数が1つでも所定値に達したとき、前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯に到達した本エンドであると判定する画像形成装置。
【請求項2】
前記廃トナー搬送のトナー排出口は、廃トナー容器内で水平方向に並んで配置される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記廃トナー容器内の廃トナーを攪拌する廃トナー攪拌手段を備え、前記ニアエンド検知手段によりニアエンド検知後、前記廃トナー攪拌手段を停止させる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
初めに積算画素数が前記所定値に達した色がブラック以外のとき、本エンド検知後もブラックの積算画素数が前記所定値に達するまでは、継続してブラックのトナーによる単色の画像形成を可能とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
感光体に静電潜像として形成された画像データを複数色のトナーにより可視化し、用紙に転写することによりカラー画像を形成した後、感光体上に残留する廃トナーを色ごとに搬送し、廃トナー容器内に一括回収する画像形成装置の制御方法において、
前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯に近いニアエンドを検知するステップと、
前記ニアエンド検知手段によりニアエンド検知後、前記画像データの色ごとの画素数を、画像形成の都度積算するステップと、
色ごとの積算画素数のいずれかが所定値に達したとき、前記廃トナー容器内の廃トナー量が満杯の到達した本エンドであると判定するステップと、
を有する画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
初めに積算画素数が前記所定値に達したトナーがブラック以外のとき、本エンド検知後もブラックの積算画素数が前記所定値に達するまでは、継続してブラックのトナーによる単色の画像形成を可能とする請求項5に記載の画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−220522(P2012−220522A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82779(P2011−82779)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】