画像形成装置およびブラシローラ
【課題】表面に樹脂粒子を含む帯電ローラに接触させるブラシローラを用いた画像形成装置においても、長期に安定した清掃能力の維持が可能と同時に帯電ローラの帯電能力も長期にわたり維持する。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体の表面を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラ2と、この帯電ローラ2の表面を清掃するブラシローラ41とを備える。ブラシローラ41は円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維101とを有する。各繊維101はその先端を、好ましくは、ブラシローラ41の回転方向と逆の回転方向に向けて曲げた(傾斜または湾曲させた)。
【解決手段】画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体の表面を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラ2と、この帯電ローラ2の表面を清掃するブラシローラ41とを備える。ブラシローラ41は円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維101とを有する。各繊維101はその先端を、好ましくは、ブラシローラ41の回転方向と逆の回転方向に向けて曲げた(傾斜または湾曲させた)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体を帯電する帯電部材として、像担持体に接触して回転し、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置は、ドラム型或いはエンドレスベルト型の電子写真感光体、静電記録装置における、ドラム型或いはエンドレスベルト型の静電記録誘電体など、回転可能な像担持体を有する。以下、このような像担持体を代表して感光体という。
【0003】
感光体の一次帯電の方法として、接触帯電方法が実用化されている。接触帯電方法では、帯電部材として、導電性支持体(芯金)の外周に導電性弾性体層を設け、この導電性弾性体層の外周に抵抗層を被覆して設けた帯電ローラが用いられる。すなわち、この帯電ローラを感光体に接触させて回転可能に配設し、芯金に電圧を印加し、帯電ローラと感光体の当接ニップの近傍で微小な放電をさせて感光体の表面を帯電させる。
【0004】
芯金に印加する電圧の種類としては、直流電圧のみを用いるDC帯電方式と、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を用いるAC+DC帯電方式がある。AC+DC帯電方式の場合、帯電の均一性を得るために重畳する交流電圧には、直流電圧印加時の帯電開始電圧値の2倍以上のピーク間電圧Vppを持つ電圧が使用されている。
【0005】
近年、電子写真画像形成装置の長寿命化、高生産化に伴い、この帯電ローラの長寿命化も同時に望まれてきている。帯電ローラの寿命に係るものとしては、トナーなどに付着している外添剤及びトナー自身などの異物の付着による帯電ローラ汚れが挙げられる。帯電ローラは感光体に接触して回転する部材であるので、感光体の表面に残留している上記のような異物が転移して汚れやすい。この帯電ローラ汚れは帯電能力の低下及びムラの原因となり、帯電ローラの長寿命化が阻害される。
【0006】
そこで、帯電ローラにクリーニングブレード等の清掃部材を接触又は近接させ、この清掃部材によって帯電ローラに付着した異物を掻き落し、帯電ローラの表面を清掃する技術が各種提案されている(特許文献1、2参照)。
【0007】
また、帯電ローラの表面及び感光体の表面に清掃部材を接触させ、かつこの清掃部材を長手方向(軸方向)に摺動させることにより、帯電ローラの表面に付着した異物をこの清掃部材で除去する技術も提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
さらに、感光体(像担持体)のクリーニングブラシ(本体クリーニング装置のクリーニングブラシ)を帯電ローラにも接触させ、このクリーニングブラシによって帯電ローラの表面に付着した異物をも除去しようとする発明が開示されている(特許文献4参照)。
【0009】
一方、帯電ローラにおいても、長寿命を形成するために発泡層を含んだ構成で表層に撥水性の高い材料を施し、その表層内に樹脂粒子を混入し、微小ギャップを形成することで、低い放電電流量でも放電ムラが発生しないようなものが増えてきている。ただし、このような樹脂粒子を含んだ表層においては、表層の凹凸がトナー及び外添剤が付着しやすく、クリーニングし難いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−194061号公報
【特許文献2】特開平3−228081号公報
【特許文献3】特開平5−265307号公報
【特許文献4】特開平6−102800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラの場合は、特許文献1、2に記載のようなクリーニング手段、例えば、ブレードクリーニングでは、樹脂粒子による凹凸部に入りこんだ微細な外添剤までは除去できない。
【0012】
また、特許文献3、4に記載のように感光体のクリーニングと同時に帯電ローラにブラシをあてる方法では、ブラシ自体の耐久性がもたず、長寿命な画像形成装置には不適である。
【0013】
また、回転ブラシを清掃部材として帯電ローラに当てる方法も考えられるが、単純に従動、あるいは非従動にしたところで、樹脂粒子で形成された凹凸部に含まれた微細な外添剤までは十分に取れないことが分かった。
【0014】
そこで本発明は、表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラを使用した場合においても、安定した帯電能力を長期に亘って維持することを可能にした画像形成装置を提供することを目的としている。
【0015】
更に本発明は、表面に樹脂粒子を含む帯電ローラに接触させるブラシローラを用いた画像形成装置においても、帯電ローラの帯電能力を長期に亘って維持できるとともに、長期に安定した清掃能力の維持を可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラと、この帯電ローラの表面を清掃するブラシローラとを備えた画像形成装置において、前記ブラシローラは円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、この複数の繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする。
【0017】
ブラシローラの繊維の先端を傾斜または湾曲させたことにより、ブラシローラの回転による繊維先端が帯電ローラの表面に当接する際の衝撃および反発力が緩和される。その結果、帯電ローラの表面を傷つけるおそれが軽減される。
【0018】
前記ブラシローラは前記帯電ローラに並行して押圧配設され、前記帯電ローラの回転に従動回転することにより、ブラシローラのための独立した駆動源は不要である。
【0019】
好ましくは、前記繊維の先端は、ブラシローラの回転方向と逆の回転方向に向けて傾斜又は湾曲させる。これにより、繊維の先端が傾斜または湾曲していても清掃能力が低下しない。
【0020】
前記繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合の範囲は好ましくは3〜30%である。この度合いの範囲を得るための前記繊維の太さと長さの関係は例えば以下の式で表される。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7、12≦x≦30
ここに、xはブラシローラの繊維の太さ[μm]、yはブラシローラの繊維の長さ[mm]である。
【0021】
ブラシローラの繊維の抵抗は、例えば109〜1016Ωである。
【0022】
本発明のブラシローラは、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ローラの表面を清掃するブラシローラであって、円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、各繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラを使用した場合においても、清掃部材としてのブラシローラにより安定した帯電能力を長期に亘って維持することが可能となる。また、帯電ローラに接触させるブラシローラにおいても、長期に安定した清掃能力の維持することができ、感光ドラムなどへ与える不具合もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による画像形成装置の一例の概略の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る帯電ローラの構成の一例の説明図である。
【図3】図2の帯電ローラの保護層の説明図である。
【図4】図2の帯電ローラを清掃する帯電ローラ用清掃部材としてのブラシローラ(ブラシローラ)の横断面模型図である。
【図5】図4のブラシローラの製造方法の説明図である。
【図6】先端に曲がりのない直毛のブラシ繊維を有する従来のブラシローラの説明図である。
【図7】先端が曲がったブラシ繊維を有する本発明に係るブラシローラの作用の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る倒れ指数の測定装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る倒れ指数を測定するための実際の画像処理結果の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における、実験的に得た、毛の太さと長さの組み合わせと、その評価結果を示すグラフである。
【図11】耐久枚数と汚れ指数の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例1〜4と、比較例1〜5で用いたブラシ構成と帯電ローラの構成、および測定による実際の画像、評価結果をまとめて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここに記載する装置構成、構成部品、構成部品の寸法、材質、及び形状、相対配置、その他各種数値などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
[画像形成装置例]
図1は画像形成装置例の概略の構成を示す模式図である。この画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1を用いた接触帯電方式・転写方式の電子写真画像形成装置である。
【0027】
感光ドラム1は、ドラム軸線を中心に回転自在に支持されて配設されており、駆動機構(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例においてこの帯電手段は、帯電部材として帯電ローラ2を用いた接触帯電装置(ローラ帯電装置)である。
【0028】
帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部がそれぞれ軸受け部材で回転自在に支持され、ローラ軸線が感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列されて、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設される。本例において、この帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して回転する。また、帯電ローラ2は、表層に樹脂粒子を混入させて表面の凹凸が形成される。この帯電ローラ2の詳細については後述する。
【0029】
ブラシローラ(回転ブラシともいう)41は、帯電ローラ2を清掃する清掃部材であり、帯電ローラ表面に付着した異物を掻き取って、帯電ローラ表面が局部的或いは全面的に異物汚れするのを防止する。このブラシローラ41は帯電ローラ2に対して従動で回転する。このブラシローラ41の詳細についても後述する。
【0030】
帯電ローラ2のローラ軸体に対して、帯電バイアス印加電源部S1から所定の直流電圧(DC帯電方式)、或いは所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電バイアスとして印加される。これにより、回転する感光ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例では、感光ドラム1の表面がマイナスの所定電位に帯電される。
【0031】
その感光ドラム1の帯電面に対して像露光手段3により像露光がなされる。これにより、感光ドラム表面の露光明部が電位減衰して、感光ドラム表面に像露光パターンに対応した静電潜像が形成される。像露光手段3は、原稿画像を結像投影露光するアナログ露光装置でもよいし、レーザスキャナやLEDアレイ等のデジタル露光装置であってもよい。本例では、波長λ=780nmのレーザ走査露光Lを行うレーザスキャナを像露光手段3として用いている。
【0032】
上記のようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像は現像手段によりトナー像として現像される。本例において、この現像手段は、現像剤として一成分磁性ネガ極性トナーを用いたジャンピング反転現像装置4を用いている。ただし、本発明においては、その他の現像方式のトナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)でもよい。また、上記2成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(2成分非接触現像法)も好適に用いることが出来る。現像装置4は、回転駆動される現像スリーブ5と、現像スリーブ5に現像剤を供給するためのホッパー部6を有する。現像スリーブ5と感光ドラム1とは、その間に装置長手に渡り0.3mmの一定間隔を保つように配置される。現像スリーブ5には現像バイアス印加電源部S2から所定のAC成分とDC成分を重畳した電圧が印加される。これにより、感光ドラム表面の静電潜像が現像装置4によりジャンピング反転される。
【0033】
感光ドラム表面に形成されたトナー像は、感光ドラム1の回転により、感光ドラム1と転写ローラ7との当接ニップ部である転写部Tに至り、この転写部Tに給送された記録材Pに転写される。転写ローラ7は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部がそれぞれ軸受け部材で回転自在に支持され、このローラ軸線が感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列されて、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設される。本例において、この転写ローラ7は感光ドラム1の回転に従動して回転する。記録材Pは給紙機構部(不図示)から所定の制御タイミングで給送され、レジストレーションローラ8により感光ドラム1に対する画像形成と同期取りされて適正なタイミングをもって転写部Tに導入され、感光ドラム1と転写ローラ7により挟持搬送される。転写ローラ7には、記録材Pが転写部Tを通過している間、転写バイアス印加電源部S3からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の直流電圧が印加される。本例ではプラス極性の所定電位の直流電圧が印加される。これにより、転写部Tにおいて記録材Pの裏面側(感光ドラム対向面側とは反対面側)にプラスの電荷が付与されて感光ドラム表面のトナー像が順次に記録材Pの表面に静電的に転写される。
【0034】
トナー像の転写を受けた記録材Pは転写部Tを出ると感光ドラムの表面から分離され、搬送ベルト10により定着装置11に導入される。本例の定着装置11はヒートローラ12と加圧ローラ13との圧接回転ローラ対を有する熱定着装置である。定着装置11に導入された記録材Pはローラ対12、13の圧接ニップ部である定着部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材P上の未定着のトナー像が記録材面に固着画像として熱と圧力により定着され、その後、記録材は画像形成物として装置本体外部に排出される。
【0035】
一方、記録材分離後の感光ドラム1の表面はクリーニング装置14により転写残トナー・紙粉等の残留物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。本例において、このクリーニング装置14はクリーニング部材としてチップタイプのクリーニングブレード15を用いたブレードクリーニング装置である。このクリーニングブレード15により感光ドラム表面が摺擦されることで感光ドラム表面から残留物が掻き取られる。掻き取られた残留物は回収トナー収容部16に収容される。
【0036】
[帯電ローラ]
図2により、本実施の形態に係る帯電ローラ2の構成の一例について説明する。
【0037】
図中の帯電ローラ2は、軸体201と、その外周に形成される導電性弾性体層202と、その外周に軟化剤移行防止層203、さらにその外周に形成される抵抗調整層(あるいは誘電層)204、及び保護層205から構成されている。
【0038】
軸体201としては、特に限定するものではなく、例えば金属製の円柱体からなる芯金や内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。その金属材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、鉄にメッキを施したもの等が挙げられる。
【0039】
軸体201の外周に形成される導電性弾性体層202は、特に限定するものではなく、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に好ましくは、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分およびイソシアネート成分がよい。上記ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリマーポリオール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記イソシアネート成分としては、2官能以上のポリイソシアネートであれば特に限定はなく、例えば、2,4−(または2,6−)トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0040】
なお、上記導電性弾性体層202用材料には、上記ゴムに加えて、発泡剤、導電剤、架橋剤、架橋促進剤、オイル等を必要に応じて配合してもよい。
【0041】
上記発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤等が挙げられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0042】
上記導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化錫、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等が挙げられる。
【0043】
上記架橋剤としては、例えば、硫黄、過酸化物等が挙げられる。
【0044】
このような導電性弾性体層は、通常、その導電性が10‐1 〜10‐4Ω程度に設定され、抵抗調整層よりはかなり低く設定される。その厚みは、通常、1〜10mm、好適には2〜4mm程度に設定される。
【0045】
次に、上記導電性弾性体層202の外周に形成される軟化剤移行防止層203はとして、上記導電性弾性体層中に含有されるオイル等のような軟化剤の滲み出しの遮断防止のために、N−メトキシメチル化ナイロンを主体とする層が構成をとることが特に好ましい。
【0046】
上記軟化剤移行防止層203の厚みは、一般に3〜20μmに設定され、好適には4〜10μmに設定される。そして、この軟化剤移行防止層の電気抵抗は、10−2Ω程度に設定される。
【0047】
上記N−メトキシメチル化ナイロン(8−ナイロン)は、特に限定するものではなく、従来公知のものが用いられる。また、軟化剤移行防止層203にも導電剤として、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが含有されている。
【0048】
更に、上記軟化剤移行防止層203の外周に形成される抵抗調整層204は、エピクロルヒドリンゴム(CHR)およびアクリルゴム(ACM)の片方もしくは双方と、導電剤を主体とする組成物を用いて形成されるものである。その厚みは、本発明に係る部分であり、通常、50〜400μm、特に好ましくは、200〜350μmに設定される必要がある。50μmより小さくなると、抵抗調整層204の影響が少なく、帯電ローラとして機能が成され難くなる。また、400μmより大きくなると、抵抗調整層204の影響が大きくなりすぎて、電圧をかなり高い状態で使用しなければならないため、電子写真装置の電源の使用が一般的なものを使用し難くなる。なお、ここで、上記エピクロルヒドリンゴムとは、共重合成分としてのエチレンオキシドを含有しない単独重合体もしくは共重合体のことである。この発明において主体とするとは、全体が主体のみからなる場合も含める趣旨である。
【0049】
このように、上記CHRとACMの片方もしくは双方と導電剤は、前記軟化剤移行防止層203を含めた形で使用し、帯電ムラの原因にもなるが、帯電の特性を生かすためには欠かせないものである。この抵抗調整層204の電気抵抗は105〜108Ωの範囲のものが用いられる。
【0050】
上記導電剤としては、特に制限されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩及び塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩及び高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN及びNaCl等のLi+、Na+及びK+等の周期律表第1族の金属塩あるいは第四級アンモニウム塩等の電解質、また、Ca(ClO4)2等のCa2+及びBa2+等の周期律表第2族の金属塩及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基及び一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それらと1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電剤、あるいはケッチェンブラックEC及びアセチレンブラック等の導電性カーボン、あるいはSuper Abrasion Furnace(SAF 超耐磨耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF 準超耐磨耗性)、High Abrasion Furnace(HAF 高耐磨耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF 良押出性)、General Purpose Furnace(GPF 汎用性)、Semi Reinforcing Furnace(SRF 中補強性)、Fine Thermal(FT 微粒熱分解)及びMedium Thermal(MT 中粒熱分解)等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀及びゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、あるいはポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレン等の導電性ポリマー等も可能である。尚、特に、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤が好ましく、更に環境変動が少ない導電性カーボン系のもの併せて用いられるほうがよい。なお、ここで、第四級アンモニウム塩とは、純粋な塩のみではなく第四級アンモニウム塩に過塩素酸塩がイオン結合しているものをも含む趣旨である。
【0051】
上記導電剤の配合量は、CHRおよびACMからなるゴム成分100重量部(以下「部」と略す)に対して0.5〜5部に設定することが好ましい。すなわち、導電剤の配合量が0.5部未満ではムラには非常によいが、電気抵抗が調整できず、これも過剰に電圧をかけなければならなくなる。また、5部を超えると逆に導電剤ムラが抵抗ムラにつながり、本発明の範囲では、画像ムラが発生しやすくなる。
【0052】
上記抵抗調整層204の形成材料には、上記導電剤以外に、加硫剤,充填剤等が適宜に配合される。上記加硫剤としては、特に限定するものではなく、従来公知のもの、例えばチオウレア,トリアジン,イオウ等が挙げられる。また、上記充填材としては、シリカ,タルク,クレー,酸化チタン等の絶縁性の充填剤が挙げられ、単独でもしくは併せて用いられる。なお、カーボンブラック等の導電性充填剤は高電圧下での使用においては絶縁破壊を招き易いため、ゴム成分に対して10容量%以下の使用量にとどめるべきである。
【0053】
上記抵抗調整層204の外周に最外層として形成される保護層205は、帯電ローラ表面で用いられる公知のものでよい。具体的には、先に述べたN−メトキシメチル化ナイロンを主体とするものや、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等従来公知のものをそのまま使用することができるものや、イソシアネート化合物を主成分として含有するものであればよいが、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、導電性付与剤との少なくとも一方を添加するようにしてもよい。この保護層にカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性が良好となり、低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層205は、通常、1〜25μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は3〜20μmである。また、この保護層205の電気抵抗値は107〜1011Ωcmに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
【0054】
ここで、イソシアネート化合物としては、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)および前記記載の多量体および変性体などを挙げることもできる。
【0055】
また、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーは、所定の溶剤に可溶でイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものである。アクリルフッ素系ポリマーは、例えば、水酸基、アルキル基、又はカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。また、アクリルシリコーン系ポリマーは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。
【0056】
この保護層205にも前記記載のカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性を含む環境特性が良好となり低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層205は、通常、5〜30μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は7〜23μmである。また、この保護層の電気抵抗は、103〜105Ωに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
【0057】
また、図3に示すように、保護層205で表面の凹凸を形成するために、樹脂粒子301を混入する。樹脂粒子301を混入し、表層の凹凸感を出し、感光ドラムとの接触面積を減らすことにより、帯電ローラが感光ドラムに貼り付くいわゆる貼り付きの防止や、あるいは外添剤などの汚れの防止を図る。
【0058】
このときの樹脂粒子301としては、例えば、シリカ、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子又はフェノール樹脂微粒子等のプラスチックピグメント、更にポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、ポリウレタン微粒子又はシリコーンゴム微粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0059】
帯電ローラ2は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、軸体(芯金)201の外周面に、接着剤を塗布し、先に述べたゴム組成物を用い金型加硫を利用して、導電性弾性体層202を形成する。次に、予めN−メトキシメチル化ナイロンと導電剤とを混合した混合樹脂液を作製し、これを上記導電性弾性体層202の表面を必要に応じて研磨して、そのうえにスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ軟化剤移行防止層化する。このようにして形成された導電剤含有の軟化剤移行防止層203の上に抵抗調整層204を形成する。この抵抗調整層204の形成は、CHRとACMの片方もしくは双方とイオン導電剤に、補強剤,加工助剤,加硫剤,充填剤等を、通常のゴム加工方法(バンバリーミキサー,ロール等)により混練して未加硫ゴム組成物化し、この未加硫ゴム組成物を適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等)に溶解し、前記導電性弾性体層の外周面に塗工したのち乾燥し、ついで加熱加硫することによって形成することができる。上記塗工に際してはディップ方式によることが好適である。ディップ方式とは、溶液などのジャブ漬けし、引き抜き速度で膜厚を管理しつつ、乾燥させる方式である。
【0060】
次に、導電性弾性体層202が形成されたローラをディップ方式で、繰り返し浸漬することにより、導電性弾性体層202の外周面に導電剤を主体とするゴム膜を形成させる。このときのディップ溶液粘度,昇降速度,昇降回数,乾燥時間等の条件は、上記導電剤を主体とする溶液の液膜が乾燥時に50〜400μmの範囲になるような条件に設定することが好ましい。このような液膜が形成されたものについて25〜80℃の温度で0.5〜4時間乾燥を施して溶剤を除去し、続いて150〜200℃の温度で10分〜2時間加熱することにより導電剤成分を主体とするゴム膜を加硫し抵抗調整層化させる。
【0061】
次に、上記のように抵抗調整層204を形成したのち、その上にフッ素樹脂からなる樹脂液、場合によってはそれに導電剤等を混合した樹脂液をスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ保護層化させる。
【0062】
このようにして、図2に示すような層構成が可能となる。なお、この層構成においては、好ましい構成であり、途中、塗工乾燥を繰り返し、4層構成以上を形成してもよい。また、最外層の保護層と抵抗調整層を一同に構成する3層、更に軟化剤移行防止層も一同に構成する2層についても適応可能であるが、好ましくは4層構成以上がよい。
【0063】
このようにして得られる帯電ローラ2は、ローラ全体の電気抵抗が103〜108Ω程度に設定される。前述で示したように、電気抵抗の大半は抵抗調整層204と保護層205の導電剤の量で決まる。更に膜厚から考えると基本的には抵抗調整層204がほとんどであるが、この限りではない。
【0064】
ちなみに、本実施の形態に関する帯電ローラの抵抗値は、次のように測定する。
【0065】
画像形成装置の感光ドラムをアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムと帯電ローラ2の芯金との間に100Vの電圧を加える。このときに流れる電流値を測定することにより、帯電ローラ2の抵抗値を求める。
【0066】
また、本実施の形態に係る、帯電ローラ2表面の凹凸については表面粗さRz(JIS B0601−1982)は1〜10μmであることがよい。Rzが1μm未満だと樹脂粒子の効果がでない。またRzが10μmより大きいと逆に清掃部材でも取り難くなる。
【0067】
[ブラシローラ(清掃部材)41]
図4(a)に帯電ローラ2を清掃する帯電ローラ用清掃部材としてのブラシローラ41の横断面模型図(模式図)を示す。図4(b)は1本の繊維(ブラシの毛)101の形状を拡大して示したものである
【0068】
このブラシローラ41は、この軸体43と、その周面に植立された複数(多数)の繊維101とにより構成される。その製造方法としては、図5に示すように、軸体(回転軸)43に対して、基布に所定の太さと密度の繊維101(図4)を植毛してなるブラシパイル地44を螺旋状に巻き付けて固定し、全体として外径を整えてブラシローラの形態にする方法を採用することができる。この他に、静電植毛法により、直接軸体43に対して接着剤104(図4)を塗布して静電的に植毛したりする方法を採用することもできる。本実施の形態では、ブラシローラ41の支持体の周面から外方へ突出するブラシの繊維の先端を、若干曲がった(傾斜または湾曲した)構成とする。なお、繊維の根本部分は従来と同様に、周面に垂直である。ブラシの繊維の先端の曲がり方向は、好ましくは、ブラシローラ41の回転方向と逆の回転方向とする。ブラシローラ41の回転方向と同じ回転方向とすると、帯電ローラを傷つけないという利点は共通であるが、逆の回転方向とする場合に比べて清掃能力において劣る。図示のとおり、軸体43の根本から先端の曲がりはじめまでの距離は繊維の全長の20〜70%とする。また、先端の曲がりの幅は0.1〜0.7mmである。繊維の先端はとがった形状として示しているが、根本から連続して同一の太さであってもよい。
【0069】
ブラシの繊維の電気抵抗は、109 〜1016Ωのものがよい。109より小さくなると電気的に除去物を取れなくなる。また、1016Ωより大きくなると毛同士が摩擦帯電しやすく互いに吸着して、除去物の回収能力が阻害される。この場合の電気抵抗の測定方法としては、画像形成装置の感光ドラムをアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムとブラシローラの芯金との間に100Vの電圧を加える。そして、このときに流れる電流値を測定することにより、ブラシローラの毛自身の抵抗値を求める。
【0070】
この場合の接着剤104としては、例えば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、合成ゴム及び天然ゴム等を主成分とする接着剤を用いることができる。また、これらの樹脂を主成分とする水系接着剤は、基材として弾性多孔質のものを用いた場合、基材を膨潤させることが少ないため好ましい。特に、この樹脂としてはアクリル樹脂が好ましい。このアクリル樹脂は、非反応性ポリアクリル酸エステル(非架橋型)、反応性ポリアクリル酸エステル(主としてメチロールメラミンを架橋剤として用いる)及び自己架橋型ポリアクリル酸エステルに分けられ、反応型、自己架橋型は耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性等に優れるため、多く用いられている。また、反応型アクリル樹脂の場合、物性を改良するために官能基としてカルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基及びヒドロキシル基等の少なくとも1種を導入したものであってもよい。尚、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。この方法の方が製造方法も簡単であり、好ましい。
【0071】
このブラシローラ41は、軸体43の両端部がそれぞれ軸受け部材(不図示)で回転自在に支持され、軸線が帯電ローラ2の軸線に対してほぼ並行に配列されてブラシ部が帯電ローラ2の表面に接触されて配設される。
【0072】
軸体43としては、帯電ローラの軸体と同様に特に限定するものではなく、例えば金属製の円柱体からなる芯金や内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。
【0073】
ブラシ繊維(ブラシの毛)101としては、一般に知られている繊維単独、及び導電材を分散したものを利用することができる。繊維材料としては、ポリアミド(ナイロン)、アクリル、ポリエステル、レーヨン、ビニロンを例示できる。導電材としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルなどの金属や、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素微粒子を例示できる。様々な温湿度環境での影響を受け難い点で、ナイロン系のポリアミド(ナイロン6)にカーボンブラックを分散したものが好ましい。
【0074】
ブラシの繊維の特性としては、ヤング率1000〜3700N/mm2がよい。1000N/mm2より小さいと、繊維の弾きが弱くなり、清掃能力が落ちる。また、3700N/mm2より大きくなると、今度は清掃対象物に傷をつける傾向がある。
【0075】
また、ブラシ繊維101の太さ103および毛長102については本発明に関係があるため後に詳細する。また、電性繊維の植毛密度は、その太さにもより特に限定するものではないが、例えば、50〜10000本/mm2であることが好ましく、より好ましくは75〜1000本/mm2である。
【0076】
ブラシローラ41の回転方向については、帯電ローラ2の回転に従動する方向に回転させるのがよい。従動にしないと、駆動構成を用いる必要があるためにコスト的に安価な設計は難しく、技術的に制約が大きくなる。
【0077】
また、帯電ローラ2とブラシローラ41の回転時の周速差については、ブラシの構成や材質や帯電ローラ2の材質等を調整することで、周速比を調整することができる。この周速比については、ブラシローラの表面状態や加重を調整することによっても調整可能である。帯電ローラ2の周速とブラシローラ41の周速の好ましい周速比としては50〜100%がよい。「周速比」とは、帯電ローラ2の周速度に対して、ブラシローラの軸の表面速度を同じにしたとき、100%の周速比であり、ブラシローラの軸の表面の速度が半分の速度になれば50%とする。50%より遅くなると、周速差が付きすぎて、帯電ローラを傷つける結果となる。100%になると基本的にブラシローラ41が帯電ローラと等速で回っていることになるので清掃能力が不十分となる。
【0078】
[倒れ指数]
図4で説明したとおり、ブラシローラ41の支持体の周面から外方へ突出するブラシの繊維の先端を、若干曲がった(傾斜または湾曲した)構成とした。
【0079】
図6に示すような先端に曲がりのない、いわば直毛のブラシ繊維101aを有する従来のブラシローラ41aでは、ブラシローラが帯電ローラ表面に押圧された状態でブラシ繊維101aが帯電ローラ2に当接する際、直線状態でその表面の凹凸部に当接するので、その表面部分に局所的な衝撃を与える。さらにブラシ繊維101aが直線状態から湾曲する過程で、ブラシ繊維101aに大きな歪みが生じる。そのため、ブラシ繊維101aが帯電ローラ2から開放されるときにブラシ繊維101aの強い反発力が発生する。このようなブラシ繊維101aの動作に伴って、帯電ローラ2の表面を傷つけやすくなる、と考えられる。
【0080】
これに対して、図7に示すように先端が曲がったブラシ繊維101であれば、帯電ローラ2の回転に対して、その周速度V1より遅い周速度V2でブラシローラ41が従動回転する際、ブラシ繊維の先端が直線状態で帯電ローラ2の凹凸面に当接するのではなく、湾曲した状態で当接するので帯電ローラ2の表面への衝撃力が弱まる。また、元々湾曲しているので、帯電ローラ面からの開放時に図6で示したようなブラシ繊維の強度な反発力が発生しない。このような理由から、ブラシ繊維101で帯電ローラ2の表面を傷つけるおそれが軽減される。かつ、ブラシ繊維101の先端はなお帯電ローラ2の表面の凹部にも入り込めるので、清掃能力は維持される。
【0081】
図4に示したようなブラシ繊維の先端が曲がったブラシローラを製造するためには、次のような方法を採用できる。例えば、ブラシ繊維の先端を曲げる前のブラシローラの出来上がりの外径から約5%ぐらい小さい外径の筒に、このブラシローラを入れ込み、所定の熱(例えば約200℃)の熱をかけた後、筒から抜き出すと、ブラシ繊維の先端が若干曲がった状態となる。
【0082】
ブラシ繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合として倒れ指数という指標を導入した。図8に倒れ指数の測定装置の構成を示す。図8(a)はその斜視図、図8(b)は正面図を示している。
【0083】
この測定装置は、表面が水平な台801上に配置した1対の軸受け802でブラシローラ41の両端の軸を支持し、その垂直上部の所定の高さ(この例では25cm)から所定の出力(この例では60W)の光源(この例ではハロゲンランプ)803から光を照射し、毛の表面の明るさを所定の値(この例では800〜2000lx)にする。ブラシローラ41の軸を中心として、光源804から90±5°の方向から所定位置(この例では12cm)離れた位置から、所定解像度(この例では600万画素)のデジタルカメラ(キヤノン製Power Shot SX110IS)804で画像を取り込む。この取り込んだ画像を画像処理ソフト(Photoshop、ver.6.0)を使用して二値化処理を行い、光を当てない状況から光を当てた状況での白黒割合(全体領域に対する白領域の割合)を判別する。二値化の閾値としては、曲げのないブラシ(マスターブラシ)の測定結果が所定値(この例では2%)になるように調整する。
【0084】
測定ポイントとしては、長手方向の3箇所(例えば両端部から30mmの位置、中央部)と、更に軸を90度回転させた別の周方向位置での同様の長手方向の3箇所(計6箇所)の測定を行い、それらの結果の平均値を求めて、これを倒れ指数とする。この場合、以下の6箇所が全て下記の条件を満たすことが必要である。但し、本発明はこれに限るものではない。
【0085】
図9に、倒れ指数を測定するための実際の画像処理結果の例を示す。図9(a)は白の割合すなわち倒れ指数が2%の例、図9(b)は19%の例を示している。
【0086】
本実施の形態では、倒れ指数が3〜30%の範囲に入ることが望ましい。3%より小さくなるとほとんど先端が曲がっていない状態なので、従来と変わらないことになる。また、30%より大きくなると毛の丸まりが過度となり、清掃能力に問題が発生する。
【0087】
[毛の太さと長さ]
本発明では、ブラシ繊維(毛)の先端を湾曲させることから、必要な毛の長さ102と太さ103に深い関係がある。図10に、実験的に得た、毛の太さと長さの組み合わせと、その評価結果を示している。図中、×、△、○が測定ポイントであり、○が良好、△が普通、×が不良(NG)を示している。この評価結果から、毛の直径(x)[μm]と毛の長さ(y)[mm]の好ましい関係は、次式で表される。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7(12≦x≦30)
【0088】
yとxの関係が0.03x+0.02>yとなると、帯電ローラへ傷が付きやすくなるとともに、先端に曲がり癖がつきにくくなる。逆に0.05x+0.7<yとなると、毛が長くなりすぎることにより、毛のこしがなくなり、毛の先端の曲げがなくなる。また、毛の太さ(直径)103についても、xが12μmより小さい径では毛が柔らかすぎて、これも毛の先端の曲げくせがつかない。また、30μmより大きくなると帯電ローラに傷をつけやすい傾向がある。
【0089】
[実施例]
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0090】
(実施例1)
直径8mmの芯金(軸体)に以下の発泡層形成材料で230℃×3分の加硫条件で3.8mm厚の発泡層を形成した。
1)発泡層形成材料の調整
エチレンプロピレンゴム 100重量部
オイル 70重量部
ポリエチレングリコール 1重量部
発泡剤 3重量部
【0091】
次に、発泡層上に、アジピン酸と1,4ブタンジオールのポリエステルジオールをMDI(メチレンジフェニルイソシアネート)で鎖延長したウレタン100重量部にカーボンを30重量部分散させてなる下塗層を200μm厚に形成し、更に旭硝子(株)のルミフロンを塗料化したものである日本油脂(株)製のベルフロン100重量部に対して導電性酸化錫を170重量部、4μmのフッ素樹脂粒子30重量部を分散させて導電性を付与し、これを上記発泡層と下塗層からなるローラにディップし、ローラ表面に厚さ10μmの導電膜層を形成して帯電ローラを得た。このときの帯電ローラの硬度はアスカーCで45°となった。また、表面粗さは5μmとなった。
【0092】
2)ブラシローラ41の調製
芯金径8φの表面に、厚さ20μm程度となるようにホットメルト接着剤(乾燥後)を塗布し、静電植毛装置(東洋電植株式会社製)により、60kVの電圧で、絶縁性のナイロン66繊維(長さ;1.0mm、太さ;17μm)の植毛(植毛密度;100本/mm2)を行い、温度80℃に調整した熱風循環乾燥炉内で30分間乾燥させて繊維を固着し、10φのブラシローラを製造した。このブラシローラを内径9.7φの鉄の筒に挿入し、200℃の炉で5分間放置し、その後常温で1日放置した。このブラシローラを筒から取り出し、表面の画像を図8に示したような測定装置で取り込み、画像処理ソフトにて倒れ指数を求めた。このときの倒れ指数は15%となった。
【0093】
これらの帯電ローラとブラシローラを図1に示したような本体改造したiR3045(キヤノン株式会社製)に装着した。これを通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(耐久枚数200K枚)を行い、帯電ローラ上の汚れを(耐久枚数50K、100K、150K、200K枚)確認した。これらの評価結果は、非常に良好で画像上問題ないものとなった。また、耐久時の帯電ローラ表面を観察しても傷は確認されることなく、非常によいものとなった。また、高湿環境(32℃90%RH)で放置しても帯電ローラが感光体に貼り付くことはなかった。
【0094】
図11に耐久枚数と汚れ指数の関係を示す。帯電ローラの清掃が良好に行われた場合には、実線のグラフG1に示すように、大きな耐久枚数に亘って(長期に亘って)汚れが良好に排除される。これに対して帯電ローラの清掃が良好でなければ、破線のグラフG2に示すように耐久枚数が増加するにつれて汚れが蓄積が大きくなり、汚れ指数が悪化する。帯電ローラの清掃がさらに不良の場合には、一点鎖線で示したグラフG3のように、比較的短期間のうちに汚れが蓄積して帯電が不安定となってしまう。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmから24μmに変更し、更に毛の長さを1.5mmに変更し、φ10の筒に入れて型をつける以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は25%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは非常に良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0096】
(実施例3)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、更に毛の長さを1.3mmに変更し、筒の径をφ10.1にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は15%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは非常に良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0097】
(実施例4)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9.5にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は30%となった。評価としては、帯電ローラの汚れはほぼ良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラを筒に入れないで、先端を曲げないで実施例1と同様の検討を行った。倒れ指数はほぼ1%となった。このときの帯電ローラの汚れは少し悪くまた、帯電ローラの表面が傷つき、評価としては、耐久枚数50Kを過ぎたあたりから画像上にスジがでて、耐久安定性に問題となった。
【0099】
(比較例2)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmから12μmに変更し、更に毛の長さを0.5mmに変更し、φ9.3の筒に入れて型をつける以外、実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は10%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは少し悪かったが、帯電ローラの傷つきはなかった。ただ、毛が短いため耐久枚数50Kまでは問題がなかったが、耐久枚数100Kぐらいでスジがでて耐久安定性が確保できなかった。これにより、毛が短くなると先端が丸く、帯電ローラの傷つきはないが、毛長が短いために清掃能力が低下することが分かる。
【0100】
(比較例3)
実施例1の帯電ローラにおいて表層樹脂のフッ素樹脂粒子を含まないように製造し、実施例1と同様のブラシローラにて実施例1と同様の検討を行った。評価としては、帯電ローラの表層汚れは問題なく、帯電ローラの傷つきはなかった。ただし、途中から帯電ローラが感光体に貼り付き耐久に不都合な状態となった。これにより、帯電ローラに樹脂粒子がないと耐久性に問題が生じることが分かる。
【0101】
(比較例4)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9.4にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は31%となった。評価としては、帯電ローラの汚れが少し悪くなると同時に、耐久安定性も少し悪くなった。ただ、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きはなかった。
【0102】
(比較例5)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は40%となった。評価としては、帯電ローラの汚れがかなり悪くなると同時に、耐久安定性も悪くなった。
【0103】
図12に、以上の実施例1〜4と、比較例1〜5で用いたブラシ構成と帯電ローラの構成、および測定による実際の画像、評価結果をまとめて示した。
【0104】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、「倒れ指数」の測定は上記のようなブラシローラ単体の光学的検知光学的検知を利用した測定装置および測定方法に限定されるものではなく、ブラシ繊維の先端の曲がり具合が確認できる任意の手法を利用することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 像露光手段
4 現像装置
5 現像スリーブ
6 ホッパー部
7 転写ローラ
8 レジストレーションローラ
10 搬送ベルト
11 定着装置
12 ヒートローラ
13 加圧ローラ
14 クリーニング装置
15 クリーニングブレード
16 回収トナー収容部
30 フッ素樹脂粒子
41 ブラシローラ(回転ブラシ:清掃部材)
43 軸体
44 ブラシパイル地
101 ブラシ
101a ブラシ繊維
102 毛長
104 接着剤
201 軸体(芯金)
202 導電性弾性体層
203 軟化剤移行防止層
204 抵抗調整層
205 保護層
301 樹脂粒子
801 台
804 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体を帯電する帯電部材として、像担持体に接触して回転し、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラを使用する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置は、ドラム型或いはエンドレスベルト型の電子写真感光体、静電記録装置における、ドラム型或いはエンドレスベルト型の静電記録誘電体など、回転可能な像担持体を有する。以下、このような像担持体を代表して感光体という。
【0003】
感光体の一次帯電の方法として、接触帯電方法が実用化されている。接触帯電方法では、帯電部材として、導電性支持体(芯金)の外周に導電性弾性体層を設け、この導電性弾性体層の外周に抵抗層を被覆して設けた帯電ローラが用いられる。すなわち、この帯電ローラを感光体に接触させて回転可能に配設し、芯金に電圧を印加し、帯電ローラと感光体の当接ニップの近傍で微小な放電をさせて感光体の表面を帯電させる。
【0004】
芯金に印加する電圧の種類としては、直流電圧のみを用いるDC帯電方式と、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を用いるAC+DC帯電方式がある。AC+DC帯電方式の場合、帯電の均一性を得るために重畳する交流電圧には、直流電圧印加時の帯電開始電圧値の2倍以上のピーク間電圧Vppを持つ電圧が使用されている。
【0005】
近年、電子写真画像形成装置の長寿命化、高生産化に伴い、この帯電ローラの長寿命化も同時に望まれてきている。帯電ローラの寿命に係るものとしては、トナーなどに付着している外添剤及びトナー自身などの異物の付着による帯電ローラ汚れが挙げられる。帯電ローラは感光体に接触して回転する部材であるので、感光体の表面に残留している上記のような異物が転移して汚れやすい。この帯電ローラ汚れは帯電能力の低下及びムラの原因となり、帯電ローラの長寿命化が阻害される。
【0006】
そこで、帯電ローラにクリーニングブレード等の清掃部材を接触又は近接させ、この清掃部材によって帯電ローラに付着した異物を掻き落し、帯電ローラの表面を清掃する技術が各種提案されている(特許文献1、2参照)。
【0007】
また、帯電ローラの表面及び感光体の表面に清掃部材を接触させ、かつこの清掃部材を長手方向(軸方向)に摺動させることにより、帯電ローラの表面に付着した異物をこの清掃部材で除去する技術も提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
さらに、感光体(像担持体)のクリーニングブラシ(本体クリーニング装置のクリーニングブラシ)を帯電ローラにも接触させ、このクリーニングブラシによって帯電ローラの表面に付着した異物をも除去しようとする発明が開示されている(特許文献4参照)。
【0009】
一方、帯電ローラにおいても、長寿命を形成するために発泡層を含んだ構成で表層に撥水性の高い材料を施し、その表層内に樹脂粒子を混入し、微小ギャップを形成することで、低い放電電流量でも放電ムラが発生しないようなものが増えてきている。ただし、このような樹脂粒子を含んだ表層においては、表層の凹凸がトナー及び外添剤が付着しやすく、クリーニングし難いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭58−194061号公報
【特許文献2】特開平3−228081号公報
【特許文献3】特開平5−265307号公報
【特許文献4】特開平6−102800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラの場合は、特許文献1、2に記載のようなクリーニング手段、例えば、ブレードクリーニングでは、樹脂粒子による凹凸部に入りこんだ微細な外添剤までは除去できない。
【0012】
また、特許文献3、4に記載のように感光体のクリーニングと同時に帯電ローラにブラシをあてる方法では、ブラシ自体の耐久性がもたず、長寿命な画像形成装置には不適である。
【0013】
また、回転ブラシを清掃部材として帯電ローラに当てる方法も考えられるが、単純に従動、あるいは非従動にしたところで、樹脂粒子で形成された凹凸部に含まれた微細な外添剤までは十分に取れないことが分かった。
【0014】
そこで本発明は、表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラを使用した場合においても、安定した帯電能力を長期に亘って維持することを可能にした画像形成装置を提供することを目的としている。
【0015】
更に本発明は、表面に樹脂粒子を含む帯電ローラに接触させるブラシローラを用いた画像形成装置においても、帯電ローラの帯電能力を長期に亘って維持できるとともに、長期に安定した清掃能力の維持を可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラと、この帯電ローラの表面を清掃するブラシローラとを備えた画像形成装置において、前記ブラシローラは円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、この複数の繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする。
【0017】
ブラシローラの繊維の先端を傾斜または湾曲させたことにより、ブラシローラの回転による繊維先端が帯電ローラの表面に当接する際の衝撃および反発力が緩和される。その結果、帯電ローラの表面を傷つけるおそれが軽減される。
【0018】
前記ブラシローラは前記帯電ローラに並行して押圧配設され、前記帯電ローラの回転に従動回転することにより、ブラシローラのための独立した駆動源は不要である。
【0019】
好ましくは、前記繊維の先端は、ブラシローラの回転方向と逆の回転方向に向けて傾斜又は湾曲させる。これにより、繊維の先端が傾斜または湾曲していても清掃能力が低下しない。
【0020】
前記繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合の範囲は好ましくは3〜30%である。この度合いの範囲を得るための前記繊維の太さと長さの関係は例えば以下の式で表される。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7、12≦x≦30
ここに、xはブラシローラの繊維の太さ[μm]、yはブラシローラの繊維の長さ[mm]である。
【0021】
ブラシローラの繊維の抵抗は、例えば109〜1016Ωである。
【0022】
本発明のブラシローラは、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ローラの表面を清掃するブラシローラであって、円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、各繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、表層に樹脂粒子を含んだ帯電ローラを使用した場合においても、清掃部材としてのブラシローラにより安定した帯電能力を長期に亘って維持することが可能となる。また、帯電ローラに接触させるブラシローラにおいても、長期に安定した清掃能力の維持することができ、感光ドラムなどへ与える不具合もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による画像形成装置の一例の概略の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る帯電ローラの構成の一例の説明図である。
【図3】図2の帯電ローラの保護層の説明図である。
【図4】図2の帯電ローラを清掃する帯電ローラ用清掃部材としてのブラシローラ(ブラシローラ)の横断面模型図である。
【図5】図4のブラシローラの製造方法の説明図である。
【図6】先端に曲がりのない直毛のブラシ繊維を有する従来のブラシローラの説明図である。
【図7】先端が曲がったブラシ繊維を有する本発明に係るブラシローラの作用の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る倒れ指数の測定装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る倒れ指数を測定するための実際の画像処理結果の例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における、実験的に得た、毛の太さと長さの組み合わせと、その評価結果を示すグラフである。
【図11】耐久枚数と汚れ指数の関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施例1〜4と、比較例1〜5で用いたブラシ構成と帯電ローラの構成、および測定による実際の画像、評価結果をまとめて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここに記載する装置構成、構成部品、構成部品の寸法、材質、及び形状、相対配置、その他各種数値などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
[画像形成装置例]
図1は画像形成装置例の概略の構成を示す模式図である。この画像形成装置は、静電潜像を形成するための回転可能な像担持体としてドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)1を用いた接触帯電方式・転写方式の電子写真画像形成装置である。
【0027】
感光ドラム1は、ドラム軸線を中心に回転自在に支持されて配設されており、駆動機構(不図示)により矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される。回転する感光ドラム1の表面は、帯電手段により所定の極性・電位に一様に帯電される。本例においてこの帯電手段は、帯電部材として帯電ローラ2を用いた接触帯電装置(ローラ帯電装置)である。
【0028】
帯電ローラ2は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部がそれぞれ軸受け部材で回転自在に支持され、ローラ軸線が感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列されて、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設される。本例において、この帯電ローラ2は感光ドラム1の回転に従動して回転する。また、帯電ローラ2は、表層に樹脂粒子を混入させて表面の凹凸が形成される。この帯電ローラ2の詳細については後述する。
【0029】
ブラシローラ(回転ブラシともいう)41は、帯電ローラ2を清掃する清掃部材であり、帯電ローラ表面に付着した異物を掻き取って、帯電ローラ表面が局部的或いは全面的に異物汚れするのを防止する。このブラシローラ41は帯電ローラ2に対して従動で回転する。このブラシローラ41の詳細についても後述する。
【0030】
帯電ローラ2のローラ軸体に対して、帯電バイアス印加電源部S1から所定の直流電圧(DC帯電方式)、或いは所定の直流電圧に所定の交流電圧を重畳した電圧(AC+DC帯電方式)が帯電バイアスとして印加される。これにより、回転する感光ドラム1の表面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例では、感光ドラム1の表面がマイナスの所定電位に帯電される。
【0031】
その感光ドラム1の帯電面に対して像露光手段3により像露光がなされる。これにより、感光ドラム表面の露光明部が電位減衰して、感光ドラム表面に像露光パターンに対応した静電潜像が形成される。像露光手段3は、原稿画像を結像投影露光するアナログ露光装置でもよいし、レーザスキャナやLEDアレイ等のデジタル露光装置であってもよい。本例では、波長λ=780nmのレーザ走査露光Lを行うレーザスキャナを像露光手段3として用いている。
【0032】
上記のようにして感光ドラム表面に形成された静電潜像は現像手段によりトナー像として現像される。本例において、この現像手段は、現像剤として一成分磁性ネガ極性トナーを用いたジャンピング反転現像装置4を用いている。ただし、本発明においては、その他の現像方式のトナー粒子に対して磁性キャリアを混合したものを現像剤として用い、この現像剤を磁気力により搬送し、感光ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)でもよい。また、上記2成分現像剤を感光ドラム1に対して非接触状態で現像する方法(2成分非接触現像法)も好適に用いることが出来る。現像装置4は、回転駆動される現像スリーブ5と、現像スリーブ5に現像剤を供給するためのホッパー部6を有する。現像スリーブ5と感光ドラム1とは、その間に装置長手に渡り0.3mmの一定間隔を保つように配置される。現像スリーブ5には現像バイアス印加電源部S2から所定のAC成分とDC成分を重畳した電圧が印加される。これにより、感光ドラム表面の静電潜像が現像装置4によりジャンピング反転される。
【0033】
感光ドラム表面に形成されたトナー像は、感光ドラム1の回転により、感光ドラム1と転写ローラ7との当接ニップ部である転写部Tに至り、この転写部Tに給送された記録材Pに転写される。転写ローラ7は、ローラ軸体(導電性支持体、芯金)を有する導電性弾性ローラであり、ローラ軸体の両端部がそれぞれ軸受け部材で回転自在に支持され、このローラ軸線が感光ドラム1のドラム軸線に対してほぼ並行に配列されて、感光ドラム1に対して所定の押圧力で接触押圧されて配設される。本例において、この転写ローラ7は感光ドラム1の回転に従動して回転する。記録材Pは給紙機構部(不図示)から所定の制御タイミングで給送され、レジストレーションローラ8により感光ドラム1に対する画像形成と同期取りされて適正なタイミングをもって転写部Tに導入され、感光ドラム1と転写ローラ7により挟持搬送される。転写ローラ7には、記録材Pが転写部Tを通過している間、転写バイアス印加電源部S3からトナーの帯電極性とは逆極性の所定電位の直流電圧が印加される。本例ではプラス極性の所定電位の直流電圧が印加される。これにより、転写部Tにおいて記録材Pの裏面側(感光ドラム対向面側とは反対面側)にプラスの電荷が付与されて感光ドラム表面のトナー像が順次に記録材Pの表面に静電的に転写される。
【0034】
トナー像の転写を受けた記録材Pは転写部Tを出ると感光ドラムの表面から分離され、搬送ベルト10により定着装置11に導入される。本例の定着装置11はヒートローラ12と加圧ローラ13との圧接回転ローラ対を有する熱定着装置である。定着装置11に導入された記録材Pはローラ対12、13の圧接ニップ部である定着部Nに進入して挟持搬送される。これにより、記録材P上の未定着のトナー像が記録材面に固着画像として熱と圧力により定着され、その後、記録材は画像形成物として装置本体外部に排出される。
【0035】
一方、記録材分離後の感光ドラム1の表面はクリーニング装置14により転写残トナー・紙粉等の残留物の除去を受けて清掃され、繰り返して画像形成に供される。本例において、このクリーニング装置14はクリーニング部材としてチップタイプのクリーニングブレード15を用いたブレードクリーニング装置である。このクリーニングブレード15により感光ドラム表面が摺擦されることで感光ドラム表面から残留物が掻き取られる。掻き取られた残留物は回収トナー収容部16に収容される。
【0036】
[帯電ローラ]
図2により、本実施の形態に係る帯電ローラ2の構成の一例について説明する。
【0037】
図中の帯電ローラ2は、軸体201と、その外周に形成される導電性弾性体層202と、その外周に軟化剤移行防止層203、さらにその外周に形成される抵抗調整層(あるいは誘電層)204、及び保護層205から構成されている。
【0038】
軸体201としては、特に限定するものではなく、例えば金属製の円柱体からなる芯金や内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。その金属材料としては、ステンレス、アルミニウム、銅、鉄にメッキを施したもの等が挙げられる。
【0039】
軸体201の外周に形成される導電性弾性体層202は、特に限定するものではなく、例えば、ポリウレタンフォーム、ポリノルボルネンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。特に好ましくは、通常のポリウレタンフォームの製造に用いられるポリオール成分およびイソシアネート成分がよい。上記ポリオール成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリマーポリオール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記イソシアネート成分としては、2官能以上のポリイソシアネートであれば特に限定はなく、例えば、2,4−(または2,6−)トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カーボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0040】
なお、上記導電性弾性体層202用材料には、上記ゴムに加えて、発泡剤、導電剤、架橋剤、架橋促進剤、オイル等を必要に応じて配合してもよい。
【0041】
上記発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤、有機系発泡剤等が挙げられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0042】
上記導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化錫、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤等)等が挙げられる。
【0043】
上記架橋剤としては、例えば、硫黄、過酸化物等が挙げられる。
【0044】
このような導電性弾性体層は、通常、その導電性が10‐1 〜10‐4Ω程度に設定され、抵抗調整層よりはかなり低く設定される。その厚みは、通常、1〜10mm、好適には2〜4mm程度に設定される。
【0045】
次に、上記導電性弾性体層202の外周に形成される軟化剤移行防止層203はとして、上記導電性弾性体層中に含有されるオイル等のような軟化剤の滲み出しの遮断防止のために、N−メトキシメチル化ナイロンを主体とする層が構成をとることが特に好ましい。
【0046】
上記軟化剤移行防止層203の厚みは、一般に3〜20μmに設定され、好適には4〜10μmに設定される。そして、この軟化剤移行防止層の電気抵抗は、10−2Ω程度に設定される。
【0047】
上記N−メトキシメチル化ナイロン(8−ナイロン)は、特に限定するものではなく、従来公知のものが用いられる。また、軟化剤移行防止層203にも導電剤として、ケッチェンブラック等のカーボンブラックが含有されている。
【0048】
更に、上記軟化剤移行防止層203の外周に形成される抵抗調整層204は、エピクロルヒドリンゴム(CHR)およびアクリルゴム(ACM)の片方もしくは双方と、導電剤を主体とする組成物を用いて形成されるものである。その厚みは、本発明に係る部分であり、通常、50〜400μm、特に好ましくは、200〜350μmに設定される必要がある。50μmより小さくなると、抵抗調整層204の影響が少なく、帯電ローラとして機能が成され難くなる。また、400μmより大きくなると、抵抗調整層204の影響が大きくなりすぎて、電圧をかなり高い状態で使用しなければならないため、電子写真装置の電源の使用が一般的なものを使用し難くなる。なお、ここで、上記エピクロルヒドリンゴムとは、共重合成分としてのエチレンオキシドを含有しない単独重合体もしくは共重合体のことである。この発明において主体とするとは、全体が主体のみからなる場合も含める趣旨である。
【0049】
このように、上記CHRとACMの片方もしくは双方と導電剤は、前記軟化剤移行防止層203を含めた形で使用し、帯電ムラの原因にもなるが、帯電の特性を生かすためには欠かせないものである。この抵抗調整層204の電気抵抗は105〜108Ωの範囲のものが用いられる。
【0050】
上記導電剤としては、特に制限されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム及び変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩及び塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩及び高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、各種ベタイン等の両性イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤等の帯電防止剤、LiCF3SO3、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN及びNaCl等のLi+、Na+及びK+等の周期律表第1族の金属塩あるいは第四級アンモニウム塩等の電解質、また、Ca(ClO4)2等のCa2+及びBa2+等の周期律表第2族の金属塩及びこれらの帯電防止剤が、少なくとも1個以上の水酸基、カルボキシル基及び一級ないし二級アミン基等のイソシアネートと反応する活性水素を有する基を持ったものが挙げられる。更には、それらと1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等の多価アルコールとその誘導体等の錯体、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体等のイオン導電剤、あるいはケッチェンブラックEC及びアセチレンブラック等の導電性カーボン、あるいはSuper Abrasion Furnace(SAF 超耐磨耗性)、Intermediate Super Abrasion Furnace(ISAF 準超耐磨耗性)、High Abrasion Furnace(HAF 高耐磨耗性)、Fast Extruding Furnace(FEF 良押出性)、General Purpose Furnace(GPF 汎用性)、Semi Reinforcing Furnace(SRF 中補強性)、Fine Thermal(FT 微粒熱分解)及びMedium Thermal(MT 中粒熱分解)等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀及びゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、あるいはポリアニリン、ポリピロール及びポリアセチレン等の導電性ポリマー等も可能である。尚、特に、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤が好ましく、更に環境変動が少ない導電性カーボン系のもの併せて用いられるほうがよい。なお、ここで、第四級アンモニウム塩とは、純粋な塩のみではなく第四級アンモニウム塩に過塩素酸塩がイオン結合しているものをも含む趣旨である。
【0051】
上記導電剤の配合量は、CHRおよびACMからなるゴム成分100重量部(以下「部」と略す)に対して0.5〜5部に設定することが好ましい。すなわち、導電剤の配合量が0.5部未満ではムラには非常によいが、電気抵抗が調整できず、これも過剰に電圧をかけなければならなくなる。また、5部を超えると逆に導電剤ムラが抵抗ムラにつながり、本発明の範囲では、画像ムラが発生しやすくなる。
【0052】
上記抵抗調整層204の形成材料には、上記導電剤以外に、加硫剤,充填剤等が適宜に配合される。上記加硫剤としては、特に限定するものではなく、従来公知のもの、例えばチオウレア,トリアジン,イオウ等が挙げられる。また、上記充填材としては、シリカ,タルク,クレー,酸化チタン等の絶縁性の充填剤が挙げられ、単独でもしくは併せて用いられる。なお、カーボンブラック等の導電性充填剤は高電圧下での使用においては絶縁破壊を招き易いため、ゴム成分に対して10容量%以下の使用量にとどめるべきである。
【0053】
上記抵抗調整層204の外周に最外層として形成される保護層205は、帯電ローラ表面で用いられる公知のものでよい。具体的には、先に述べたN−メトキシメチル化ナイロンを主体とするものや、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等従来公知のものをそのまま使用することができるものや、イソシアネート化合物を主成分として含有するものであればよいが、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーと、導電性付与剤との少なくとも一方を添加するようにしてもよい。この保護層にカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性が良好となり、低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層205は、通常、1〜25μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は3〜20μmである。また、この保護層205の電気抵抗値は107〜1011Ωcmに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
【0054】
ここで、イソシアネート化合物としては、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)及び3,3−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート(TODI)および前記記載の多量体および変性体などを挙げることもできる。
【0055】
また、アクリルフッ素系ポリマー及びアクリルシリコーン系ポリマーは、所定の溶剤に可溶でイソシアネート化合物と反応して化学的に結合可能なものである。アクリルフッ素系ポリマーは、例えば、水酸基、アルキル基、又はカルボキシル基を有する溶剤可溶性のフッ素系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸フッ化アルキルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。また、アクリルシリコーン系ポリマーは、溶剤可溶性のシリコーン系ポリマーであり、例えば、アクリル酸エステルとアクリル酸シロキサンエステルのブロックコポリマーやその誘導体等を挙げることができる。
【0056】
この保護層205にも前記記載のカーボンブラックのような導電剤を混合分散させると、低温低湿時の導電性を含む環境特性が良好となり低温低湿環境下でも良好な性能が発揮されるようになる。このような保護層205は、通常、5〜30μmの厚みに設定されるのが好ましく、特に好適な範囲は7〜23μmである。また、この保護層の電気抵抗は、103〜105Ωに設定される。なお、上記導電剤としては、カーボンブラックに限定されるものではなく、従来公知の導電剤を上記カーボンブラックに代えて使用することができる。
【0057】
また、図3に示すように、保護層205で表面の凹凸を形成するために、樹脂粒子301を混入する。樹脂粒子301を混入し、表層の凹凸感を出し、感光ドラムとの接触面積を減らすことにより、帯電ローラが感光ドラムに貼り付くいわゆる貼り付きの防止や、あるいは外添剤などの汚れの防止を図る。
【0058】
このときの樹脂粒子301としては、例えば、シリカ、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、シリコーンゴム微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリスチレン微粒子、アミノ樹脂微粒子又はフェノール樹脂微粒子等のプラスチックピグメント、更にポリメチルメタクリル酸メチル微粒子、ポリウレタン微粒子又はシリコーンゴム微粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0059】
帯電ローラ2は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、軸体(芯金)201の外周面に、接着剤を塗布し、先に述べたゴム組成物を用い金型加硫を利用して、導電性弾性体層202を形成する。次に、予めN−メトキシメチル化ナイロンと導電剤とを混合した混合樹脂液を作製し、これを上記導電性弾性体層202の表面を必要に応じて研磨して、そのうえにスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ軟化剤移行防止層化する。このようにして形成された導電剤含有の軟化剤移行防止層203の上に抵抗調整層204を形成する。この抵抗調整層204の形成は、CHRとACMの片方もしくは双方とイオン導電剤に、補強剤,加工助剤,加硫剤,充填剤等を、通常のゴム加工方法(バンバリーミキサー,ロール等)により混練して未加硫ゴム組成物化し、この未加硫ゴム組成物を適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン等)に溶解し、前記導電性弾性体層の外周面に塗工したのち乾燥し、ついで加熱加硫することによって形成することができる。上記塗工に際してはディップ方式によることが好適である。ディップ方式とは、溶液などのジャブ漬けし、引き抜き速度で膜厚を管理しつつ、乾燥させる方式である。
【0060】
次に、導電性弾性体層202が形成されたローラをディップ方式で、繰り返し浸漬することにより、導電性弾性体層202の外周面に導電剤を主体とするゴム膜を形成させる。このときのディップ溶液粘度,昇降速度,昇降回数,乾燥時間等の条件は、上記導電剤を主体とする溶液の液膜が乾燥時に50〜400μmの範囲になるような条件に設定することが好ましい。このような液膜が形成されたものについて25〜80℃の温度で0.5〜4時間乾燥を施して溶剤を除去し、続いて150〜200℃の温度で10分〜2時間加熱することにより導電剤成分を主体とするゴム膜を加硫し抵抗調整層化させる。
【0061】
次に、上記のように抵抗調整層204を形成したのち、その上にフッ素樹脂からなる樹脂液、場合によってはそれに導電剤等を混合した樹脂液をスプレー,ディッピング等でコーティングして乾燥し、必要な場合には熱処理して架橋させ保護層化させる。
【0062】
このようにして、図2に示すような層構成が可能となる。なお、この層構成においては、好ましい構成であり、途中、塗工乾燥を繰り返し、4層構成以上を形成してもよい。また、最外層の保護層と抵抗調整層を一同に構成する3層、更に軟化剤移行防止層も一同に構成する2層についても適応可能であるが、好ましくは4層構成以上がよい。
【0063】
このようにして得られる帯電ローラ2は、ローラ全体の電気抵抗が103〜108Ω程度に設定される。前述で示したように、電気抵抗の大半は抵抗調整層204と保護層205の導電剤の量で決まる。更に膜厚から考えると基本的には抵抗調整層204がほとんどであるが、この限りではない。
【0064】
ちなみに、本実施の形態に関する帯電ローラの抵抗値は、次のように測定する。
【0065】
画像形成装置の感光ドラムをアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムと帯電ローラ2の芯金との間に100Vの電圧を加える。このときに流れる電流値を測定することにより、帯電ローラ2の抵抗値を求める。
【0066】
また、本実施の形態に係る、帯電ローラ2表面の凹凸については表面粗さRz(JIS B0601−1982)は1〜10μmであることがよい。Rzが1μm未満だと樹脂粒子の効果がでない。またRzが10μmより大きいと逆に清掃部材でも取り難くなる。
【0067】
[ブラシローラ(清掃部材)41]
図4(a)に帯電ローラ2を清掃する帯電ローラ用清掃部材としてのブラシローラ41の横断面模型図(模式図)を示す。図4(b)は1本の繊維(ブラシの毛)101の形状を拡大して示したものである
【0068】
このブラシローラ41は、この軸体43と、その周面に植立された複数(多数)の繊維101とにより構成される。その製造方法としては、図5に示すように、軸体(回転軸)43に対して、基布に所定の太さと密度の繊維101(図4)を植毛してなるブラシパイル地44を螺旋状に巻き付けて固定し、全体として外径を整えてブラシローラの形態にする方法を採用することができる。この他に、静電植毛法により、直接軸体43に対して接着剤104(図4)を塗布して静電的に植毛したりする方法を採用することもできる。本実施の形態では、ブラシローラ41の支持体の周面から外方へ突出するブラシの繊維の先端を、若干曲がった(傾斜または湾曲した)構成とする。なお、繊維の根本部分は従来と同様に、周面に垂直である。ブラシの繊維の先端の曲がり方向は、好ましくは、ブラシローラ41の回転方向と逆の回転方向とする。ブラシローラ41の回転方向と同じ回転方向とすると、帯電ローラを傷つけないという利点は共通であるが、逆の回転方向とする場合に比べて清掃能力において劣る。図示のとおり、軸体43の根本から先端の曲がりはじめまでの距離は繊維の全長の20〜70%とする。また、先端の曲がりの幅は0.1〜0.7mmである。繊維の先端はとがった形状として示しているが、根本から連続して同一の太さであってもよい。
【0069】
ブラシの繊維の電気抵抗は、109 〜1016Ωのものがよい。109より小さくなると電気的に除去物を取れなくなる。また、1016Ωより大きくなると毛同士が摩擦帯電しやすく互いに吸着して、除去物の回収能力が阻害される。この場合の電気抵抗の測定方法としては、画像形成装置の感光ドラムをアルミニウム製のドラムと入れ替える。その後、アルミニウム製ドラムとブラシローラの芯金との間に100Vの電圧を加える。そして、このときに流れる電流値を測定することにより、ブラシローラの毛自身の抵抗値を求める。
【0070】
この場合の接着剤104としては、例えば、アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、合成ゴム及び天然ゴム等を主成分とする接着剤を用いることができる。また、これらの樹脂を主成分とする水系接着剤は、基材として弾性多孔質のものを用いた場合、基材を膨潤させることが少ないため好ましい。特に、この樹脂としてはアクリル樹脂が好ましい。このアクリル樹脂は、非反応性ポリアクリル酸エステル(非架橋型)、反応性ポリアクリル酸エステル(主としてメチロールメラミンを架橋剤として用いる)及び自己架橋型ポリアクリル酸エステルに分けられ、反応型、自己架橋型は耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性等に優れるため、多く用いられている。また、反応型アクリル樹脂の場合、物性を改良するために官能基としてカルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基及びヒドロキシル基等の少なくとも1種を導入したものであってもよい。尚、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上併用してもよい。この方法の方が製造方法も簡単であり、好ましい。
【0071】
このブラシローラ41は、軸体43の両端部がそれぞれ軸受け部材(不図示)で回転自在に支持され、軸線が帯電ローラ2の軸線に対してほぼ並行に配列されてブラシ部が帯電ローラ2の表面に接触されて配設される。
【0072】
軸体43としては、帯電ローラの軸体と同様に特に限定するものではなく、例えば金属製の円柱体からなる芯金や内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体が用いられる。
【0073】
ブラシ繊維(ブラシの毛)101としては、一般に知られている繊維単独、及び導電材を分散したものを利用することができる。繊維材料としては、ポリアミド(ナイロン)、アクリル、ポリエステル、レーヨン、ビニロンを例示できる。導電材としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケルなどの金属や、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブなどの炭素微粒子を例示できる。様々な温湿度環境での影響を受け難い点で、ナイロン系のポリアミド(ナイロン6)にカーボンブラックを分散したものが好ましい。
【0074】
ブラシの繊維の特性としては、ヤング率1000〜3700N/mm2がよい。1000N/mm2より小さいと、繊維の弾きが弱くなり、清掃能力が落ちる。また、3700N/mm2より大きくなると、今度は清掃対象物に傷をつける傾向がある。
【0075】
また、ブラシ繊維101の太さ103および毛長102については本発明に関係があるため後に詳細する。また、電性繊維の植毛密度は、その太さにもより特に限定するものではないが、例えば、50〜10000本/mm2であることが好ましく、より好ましくは75〜1000本/mm2である。
【0076】
ブラシローラ41の回転方向については、帯電ローラ2の回転に従動する方向に回転させるのがよい。従動にしないと、駆動構成を用いる必要があるためにコスト的に安価な設計は難しく、技術的に制約が大きくなる。
【0077】
また、帯電ローラ2とブラシローラ41の回転時の周速差については、ブラシの構成や材質や帯電ローラ2の材質等を調整することで、周速比を調整することができる。この周速比については、ブラシローラの表面状態や加重を調整することによっても調整可能である。帯電ローラ2の周速とブラシローラ41の周速の好ましい周速比としては50〜100%がよい。「周速比」とは、帯電ローラ2の周速度に対して、ブラシローラの軸の表面速度を同じにしたとき、100%の周速比であり、ブラシローラの軸の表面の速度が半分の速度になれば50%とする。50%より遅くなると、周速差が付きすぎて、帯電ローラを傷つける結果となる。100%になると基本的にブラシローラ41が帯電ローラと等速で回っていることになるので清掃能力が不十分となる。
【0078】
[倒れ指数]
図4で説明したとおり、ブラシローラ41の支持体の周面から外方へ突出するブラシの繊維の先端を、若干曲がった(傾斜または湾曲した)構成とした。
【0079】
図6に示すような先端に曲がりのない、いわば直毛のブラシ繊維101aを有する従来のブラシローラ41aでは、ブラシローラが帯電ローラ表面に押圧された状態でブラシ繊維101aが帯電ローラ2に当接する際、直線状態でその表面の凹凸部に当接するので、その表面部分に局所的な衝撃を与える。さらにブラシ繊維101aが直線状態から湾曲する過程で、ブラシ繊維101aに大きな歪みが生じる。そのため、ブラシ繊維101aが帯電ローラ2から開放されるときにブラシ繊維101aの強い反発力が発生する。このようなブラシ繊維101aの動作に伴って、帯電ローラ2の表面を傷つけやすくなる、と考えられる。
【0080】
これに対して、図7に示すように先端が曲がったブラシ繊維101であれば、帯電ローラ2の回転に対して、その周速度V1より遅い周速度V2でブラシローラ41が従動回転する際、ブラシ繊維の先端が直線状態で帯電ローラ2の凹凸面に当接するのではなく、湾曲した状態で当接するので帯電ローラ2の表面への衝撃力が弱まる。また、元々湾曲しているので、帯電ローラ面からの開放時に図6で示したようなブラシ繊維の強度な反発力が発生しない。このような理由から、ブラシ繊維101で帯電ローラ2の表面を傷つけるおそれが軽減される。かつ、ブラシ繊維101の先端はなお帯電ローラ2の表面の凹部にも入り込めるので、清掃能力は維持される。
【0081】
図4に示したようなブラシ繊維の先端が曲がったブラシローラを製造するためには、次のような方法を採用できる。例えば、ブラシ繊維の先端を曲げる前のブラシローラの出来上がりの外径から約5%ぐらい小さい外径の筒に、このブラシローラを入れ込み、所定の熱(例えば約200℃)の熱をかけた後、筒から抜き出すと、ブラシ繊維の先端が若干曲がった状態となる。
【0082】
ブラシ繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合として倒れ指数という指標を導入した。図8に倒れ指数の測定装置の構成を示す。図8(a)はその斜視図、図8(b)は正面図を示している。
【0083】
この測定装置は、表面が水平な台801上に配置した1対の軸受け802でブラシローラ41の両端の軸を支持し、その垂直上部の所定の高さ(この例では25cm)から所定の出力(この例では60W)の光源(この例ではハロゲンランプ)803から光を照射し、毛の表面の明るさを所定の値(この例では800〜2000lx)にする。ブラシローラ41の軸を中心として、光源804から90±5°の方向から所定位置(この例では12cm)離れた位置から、所定解像度(この例では600万画素)のデジタルカメラ(キヤノン製Power Shot SX110IS)804で画像を取り込む。この取り込んだ画像を画像処理ソフト(Photoshop、ver.6.0)を使用して二値化処理を行い、光を当てない状況から光を当てた状況での白黒割合(全体領域に対する白領域の割合)を判別する。二値化の閾値としては、曲げのないブラシ(マスターブラシ)の測定結果が所定値(この例では2%)になるように調整する。
【0084】
測定ポイントとしては、長手方向の3箇所(例えば両端部から30mmの位置、中央部)と、更に軸を90度回転させた別の周方向位置での同様の長手方向の3箇所(計6箇所)の測定を行い、それらの結果の平均値を求めて、これを倒れ指数とする。この場合、以下の6箇所が全て下記の条件を満たすことが必要である。但し、本発明はこれに限るものではない。
【0085】
図9に、倒れ指数を測定するための実際の画像処理結果の例を示す。図9(a)は白の割合すなわち倒れ指数が2%の例、図9(b)は19%の例を示している。
【0086】
本実施の形態では、倒れ指数が3〜30%の範囲に入ることが望ましい。3%より小さくなるとほとんど先端が曲がっていない状態なので、従来と変わらないことになる。また、30%より大きくなると毛の丸まりが過度となり、清掃能力に問題が発生する。
【0087】
[毛の太さと長さ]
本発明では、ブラシ繊維(毛)の先端を湾曲させることから、必要な毛の長さ102と太さ103に深い関係がある。図10に、実験的に得た、毛の太さと長さの組み合わせと、その評価結果を示している。図中、×、△、○が測定ポイントであり、○が良好、△が普通、×が不良(NG)を示している。この評価結果から、毛の直径(x)[μm]と毛の長さ(y)[mm]の好ましい関係は、次式で表される。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7(12≦x≦30)
【0088】
yとxの関係が0.03x+0.02>yとなると、帯電ローラへ傷が付きやすくなるとともに、先端に曲がり癖がつきにくくなる。逆に0.05x+0.7<yとなると、毛が長くなりすぎることにより、毛のこしがなくなり、毛の先端の曲げがなくなる。また、毛の太さ(直径)103についても、xが12μmより小さい径では毛が柔らかすぎて、これも毛の先端の曲げくせがつかない。また、30μmより大きくなると帯電ローラに傷をつけやすい傾向がある。
【0089】
[実施例]
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。
【0090】
(実施例1)
直径8mmの芯金(軸体)に以下の発泡層形成材料で230℃×3分の加硫条件で3.8mm厚の発泡層を形成した。
1)発泡層形成材料の調整
エチレンプロピレンゴム 100重量部
オイル 70重量部
ポリエチレングリコール 1重量部
発泡剤 3重量部
【0091】
次に、発泡層上に、アジピン酸と1,4ブタンジオールのポリエステルジオールをMDI(メチレンジフェニルイソシアネート)で鎖延長したウレタン100重量部にカーボンを30重量部分散させてなる下塗層を200μm厚に形成し、更に旭硝子(株)のルミフロンを塗料化したものである日本油脂(株)製のベルフロン100重量部に対して導電性酸化錫を170重量部、4μmのフッ素樹脂粒子30重量部を分散させて導電性を付与し、これを上記発泡層と下塗層からなるローラにディップし、ローラ表面に厚さ10μmの導電膜層を形成して帯電ローラを得た。このときの帯電ローラの硬度はアスカーCで45°となった。また、表面粗さは5μmとなった。
【0092】
2)ブラシローラ41の調製
芯金径8φの表面に、厚さ20μm程度となるようにホットメルト接着剤(乾燥後)を塗布し、静電植毛装置(東洋電植株式会社製)により、60kVの電圧で、絶縁性のナイロン66繊維(長さ;1.0mm、太さ;17μm)の植毛(植毛密度;100本/mm2)を行い、温度80℃に調整した熱風循環乾燥炉内で30分間乾燥させて繊維を固着し、10φのブラシローラを製造した。このブラシローラを内径9.7φの鉄の筒に挿入し、200℃の炉で5分間放置し、その後常温で1日放置した。このブラシローラを筒から取り出し、表面の画像を図8に示したような測定装置で取り込み、画像処理ソフトにて倒れ指数を求めた。このときの倒れ指数は15%となった。
【0093】
これらの帯電ローラとブラシローラを図1に示したような本体改造したiR3045(キヤノン株式会社製)に装着した。これを通常環境下(20℃/50%)でトナー載り量0.025g/A4サイズの画像を1枚間欠で通紙画像試験(耐久枚数200K枚)を行い、帯電ローラ上の汚れを(耐久枚数50K、100K、150K、200K枚)確認した。これらの評価結果は、非常に良好で画像上問題ないものとなった。また、耐久時の帯電ローラ表面を観察しても傷は確認されることなく、非常によいものとなった。また、高湿環境(32℃90%RH)で放置しても帯電ローラが感光体に貼り付くことはなかった。
【0094】
図11に耐久枚数と汚れ指数の関係を示す。帯電ローラの清掃が良好に行われた場合には、実線のグラフG1に示すように、大きな耐久枚数に亘って(長期に亘って)汚れが良好に排除される。これに対して帯電ローラの清掃が良好でなければ、破線のグラフG2に示すように耐久枚数が増加するにつれて汚れが蓄積が大きくなり、汚れ指数が悪化する。帯電ローラの清掃がさらに不良の場合には、一点鎖線で示したグラフG3のように、比較的短期間のうちに汚れが蓄積して帯電が不安定となってしまう。
【0095】
(実施例2)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmから24μmに変更し、更に毛の長さを1.5mmに変更し、φ10の筒に入れて型をつける以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は25%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは非常に良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0096】
(実施例3)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、更に毛の長さを1.3mmに変更し、筒の径をφ10.1にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は15%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは非常に良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0097】
(実施例4)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9.5にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は30%となった。評価としては、帯電ローラの汚れはほぼ良好でまた、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きもなかった。
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラを筒に入れないで、先端を曲げないで実施例1と同様の検討を行った。倒れ指数はほぼ1%となった。このときの帯電ローラの汚れは少し悪くまた、帯電ローラの表面が傷つき、評価としては、耐久枚数50Kを過ぎたあたりから画像上にスジがでて、耐久安定性に問題となった。
【0099】
(比較例2)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmから12μmに変更し、更に毛の長さを0.5mmに変更し、φ9.3の筒に入れて型をつける以外、実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は10%となった。評価としては、帯電ローラの汚れは少し悪かったが、帯電ローラの傷つきはなかった。ただ、毛が短いため耐久枚数50Kまでは問題がなかったが、耐久枚数100Kぐらいでスジがでて耐久安定性が確保できなかった。これにより、毛が短くなると先端が丸く、帯電ローラの傷つきはないが、毛長が短いために清掃能力が低下することが分かる。
【0100】
(比較例3)
実施例1の帯電ローラにおいて表層樹脂のフッ素樹脂粒子を含まないように製造し、実施例1と同様のブラシローラにて実施例1と同様の検討を行った。評価としては、帯電ローラの表層汚れは問題なく、帯電ローラの傷つきはなかった。ただし、途中から帯電ローラが感光体に貼り付き耐久に不都合な状態となった。これにより、帯電ローラに樹脂粒子がないと耐久性に問題が生じることが分かる。
【0101】
(比較例4)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9.4にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は31%となった。評価としては、帯電ローラの汚れが少し悪くなると同時に、耐久安定性も少し悪くなった。ただ、帯電ローラの傷つきなしでしかも高湿環境下での貼り付きはなかった。
【0102】
(比較例5)
実施例1と同様の帯電ローラ2を製造し、実施例1のブラシローラについてブラシ繊維の太さの直径を17μmのままで、長さを同様にして、筒の径をφ9にする以外実施例1と同様の検討を行った。このときの倒れ指数は40%となった。評価としては、帯電ローラの汚れがかなり悪くなると同時に、耐久安定性も悪くなった。
【0103】
図12に、以上の実施例1〜4と、比較例1〜5で用いたブラシ構成と帯電ローラの構成、および測定による実際の画像、評価結果をまとめて示した。
【0104】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。例えば、「倒れ指数」の測定は上記のようなブラシローラ単体の光学的検知光学的検知を利用した測定装置および測定方法に限定されるものではなく、ブラシ繊維の先端の曲がり具合が確認できる任意の手法を利用することが可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 像露光手段
4 現像装置
5 現像スリーブ
6 ホッパー部
7 転写ローラ
8 レジストレーションローラ
10 搬送ベルト
11 定着装置
12 ヒートローラ
13 加圧ローラ
14 クリーニング装置
15 クリーニングブレード
16 回収トナー収容部
30 フッ素樹脂粒子
41 ブラシローラ(回転ブラシ:清掃部材)
43 軸体
44 ブラシパイル地
101 ブラシ
101a ブラシ繊維
102 毛長
104 接着剤
201 軸体(芯金)
202 導電性弾性体層
203 軟化剤移行防止層
204 抵抗調整層
205 保護層
301 樹脂粒子
801 台
804 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、
この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラと、
この帯電ローラの表面を清掃するブラシローラとを備えた画像形成装置において、
前記ブラシローラは円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、この複数の繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ブラシローラは前記帯電ローラに並行して押圧配設され、前記帯電ローラの回転に従動回転することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記繊維の先端は、ブラシローラの回転方向と逆の回転方向に向けて傾斜又は湾曲させたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合の範囲が3〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記度合いの範囲を得るための前記繊維の太さと長さの関係が以下の式で表されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7、12≦x≦30
ここに、xはブラシローラの繊維の太さ[μm]、yはブラシローラの繊維の長さ[mm]である。
【請求項6】
ブラシローラの繊維の抵抗が109〜1016Ωであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ローラの表面を清掃するブラシローラであって、
円柱体または円筒体からなる軸体と、
この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、
各繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とするブラシローラ。
【請求項1】
静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、
この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラと、
この帯電ローラの表面を清掃するブラシローラとを備えた画像形成装置において、
前記ブラシローラは円柱体または円筒体からなる軸体と、この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、この複数の繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ブラシローラは前記帯電ローラに並行して押圧配設され、前記帯電ローラの回転に従動回転することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記繊維の先端は、ブラシローラの回転方向と逆の回転方向に向けて傾斜又は湾曲させたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記繊維の先端の傾斜又は湾曲の度合の範囲が3〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記度合いの範囲を得るための前記繊維の太さと長さの関係が以下の式で表されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
0.03x+0.2≦y≦0.05x+0.7、12≦x≦30
ここに、xはブラシローラの繊維の太さ[μm]、yはブラシローラの繊維の長さ[mm]である。
【請求項6】
ブラシローラの繊維の抵抗が109〜1016Ωであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
静電潜像を形成するための回転可能な像担持体と、この像担持体を帯電する、表層に樹脂粒子を含んでいる帯電ローラとを備えた画像形成装置において、前記帯電ローラの表面を清掃するブラシローラであって、
円柱体または円筒体からなる軸体と、
この軸体の周面に植立された複数の繊維とを有し、
各繊維はその先端を傾斜または湾曲させたことを特徴とするブラシローラ。
【図1】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図9】
【図12】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図9】
【図12】
【公開番号】特開2011−133688(P2011−133688A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293516(P2009−293516)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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