説明

画像形成装置およびプロセスカートリッジ

【課題】本発明は、案内板の振動と用紙後端のばたつきを抑えることで、案内板のはじき音を抑制するとともに、用紙に形成される画像の品質を向上させることができる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【解決手段】レーザプリンタ1は、トナー像を担持する感光ドラム27と、感光ドラム27に対向配置され、感光ドラム27上のトナー像を用紙3に転写する転写ローラ30と、転写位置Cへ用紙3を搬送する給紙ローラ8等と、給紙ローラ8等により搬送される用紙3を一方の面で支持して感光ドラム27へ向けて案内する可撓性の案内板61とを備えている。そして、案内板61の他方の面には、案内板61よりも軟らかいスポンジ62が設けられるとともに、そのスポンジ62が、案内板61の感光ドラム27側の端縁よりも感光ドラム27側へ突出して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザプリンタなどの画像形成装置と、この画像形成装置に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置には、現像剤像を担持する感光ドラムと、現像剤像を引き寄せる転写バイアスが印加される転写ローラとが互いに当接した状態で設けられており、これらの間を用紙が通過する際に現像剤像が転写ローラ側に移動することで用紙に現像剤像が転写されて画像が形成されるようになっている。ところで、このような画像形成装置では、感光ドラムと転写ローラとの間における転写位置よりも用紙の搬送方向上流側において、感光ドラムと用紙が離れていると、それらの間に電界が発生した場合に現像剤が飛散して用紙が汚れるといった問題(いわゆる、プレ転写)があった。
【0003】
このような問題に対しては、従来、転写位置よりも上流側に設けた案内板によって用紙を感光ドラム側へ寄せることで、プレ転写を抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−5535号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記した技術において案内板がフィルムなどの撓みやすい部材で形成されている場合には、用紙の後端(上流側の端部)が案内板を通り抜けるときに、今まで撓んでいた案内板が元に戻ることによって振動して、音(いわゆる、はじき音)が発生する可能性があった。また、感光ドラムや転写ローラの表面が案内板先端と当接して傷つかないように、転写位置から案内板をある程度離して設ける必要があるため、用紙の後端が案内板先端を通り抜けるときに、それまで案内板で支持されていた用紙の後端が自由になることで、転写位置と案内板との間のスペースにおいて用紙の後端がばたつくことがあった。そして、このような用紙後端のばたつきは、転写不良を引き起こして用紙に形成される画像の品質低下を招来させるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、案内板のはじき音を抑制するとともに、用紙に形成される画像の品質を向上させることができる画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、現像剤像を担持する像担持体と、前記像担持体に対向配置され、前記像担持体上の前記現像剤像を記録シートに転写する転写手段と、前記像担持体と前記転写手段の間の転写位置へ記録シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される記録シートを一方の面で支持して前記像担持体へ向けて案内する可撓性の案内板とを備え、前記案内板の他方の面には、前記案内板よりも軟らかい緩衝部材が設けられるとともに、前記緩衝部材が、前記案内板の前記像担持体側の端縁よりも前記像担持体側へ突出して形成されたことを特徴とする。なお、像担持体が感光ドラムである場合には、この感光ドラムは、画像形成装置に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジに設けてもよい。さらに、この場合には、プロセスカートリッジに、案内板や緩衝部材を設けてもよい。
【0008】
本発明によれば、案内板に緩衝部材が設けられるので、用紙の後端が案内板を通り抜けるときに案内板が振動しても、その振動が緩衝部材によって吸収されることとなる。また、案内板の像担持体側の端縁から像担持体側へ突出させる緩衝部材は、案内板よりも軟らかいため、像担持体と接触したとしても像担持体を傷付ける可能性が低い。そのため、緩衝部材を像担持体に近づけることができ、その結果、転写位置と案内板との間のスペースにおいて緩衝部材で用紙の後端を支持して、そのばたつきを抑えることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、案内板の振動を緩衝部材で吸収することができるので、案内板のはじき音を抑制することができる。また、用紙の後端を緩衝部材で支持することで用紙後端のばたつきを抑えることができるので、用紙に形成される画像の品質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<レーザプリンタの全体構成>
最初に、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの全体構成について簡単に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に用紙3を給紙するためのフィーダ部4や、給紙された用紙3に画像を形成するための画像形成部5などを備えている。
【0011】
<フィーダ部の構成>
フィーダ部4は、本体ケーシング2内の底部に着脱可能に装着される給紙トレイ6と、給紙トレイ6内に設けられた用紙押圧板7を備えている。また、フィーダ部4は、給紙トレイ6の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ8および給紙パット9と、給紙ローラ8に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられる紙粉取りローラ10,11を備えている。さらに、フィーダ部4は、紙粉取りローラ10,11に対して下流側に設けられるレジストローラ12を備えている。なお、以下の説明においては、用紙3の搬送方向下流側または上流側を、単に、下流側または上流側という場合があるとともに、搬送されている用紙3の下流側の端縁を先端、上流側の端縁を後端という場合がある。
【0012】
そして、このように構成されるフィーダ部4では、給紙トレイ6内の用紙3が、用紙押圧板7によって給紙ローラ8側に寄せられ、この給紙ローラ8および給紙パット9で送り出されて各種ローラ10〜12を通った後一枚ずつ画像形成部5(詳しくは、転写位置C;図2参照)に搬送されるようになっている。
【0013】
<画像形成部の構成>
画像形成部5は、スキャナ部16、プロセスカートリッジ17、定着部18などを備えている。
【0014】
<スキャナ部の構成>
スキャナ部16は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、レーザ発光部(図示せず。)、回転駆動されるポリゴンミラー19、レンズ20,21、反射鏡22,23,24などを備えている。レーザ発光部から発光される画像データに基づくレーザビームは、鎖線で示すように、ポリゴンミラー19、レンズ20、反射鏡22,23、レンズ21、反射鏡24の順に通過あるいは反射して、プロセスカートリッジ17の感光ドラム27の表面上に高速走査にて照射される。
【0015】
<プロセスカートリッジの構成>
プロセスカートリッジ17は、スキャナ部16の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着される構造となっている。そして、このプロセスカートリッジ17の外枠を構成する中空の筐体51内には、現像カートリッジ28、感光ドラム27、スコロトロン型帯電器29および転写ローラ30が主に設けられている。
【0016】
現像カートリッジ28は、筐体51に対して着脱自在に装着されており、現像ローラ31、層厚規制ブレード32、供給ローラ33およびトナーホッパ34を備えている。そして、トナーホッパ34内のトナーは、供給ローラ33の矢印方向(反時計方向)への回転により、現像ローラ31に供給され、このとき、供給ローラ33と現像ローラ31との間で正に摩擦帯電される。現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31の矢印方向(反時計方向)への回転に伴なって、層厚規制ブレード32と現像ローラ31との間に進入し、一定厚さの薄層として現像ローラ31上に担持される。
【0017】
感光ドラム27は、筐体51に、矢印方向(時計方向)へ回転可能に支持されている。この感光ドラム27は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面部分がポリカーボネートからなる正帯電性の感光層により形成されている。
【0018】
スコロトロン型帯電器29は、感光ドラム27の上方に、感光ドラム27に接触しないように、所定間隔を隔てて対向配置されている。このスコロトロン型帯電器29は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム27の表面を一様に正極性に帯電させるように構成されている。
【0019】
転写ローラ30は、感光ドラム27の下方において、この感光ドラム27に対向して接触するように配置され、筐体51に、矢印方向(反時計方向)へ回転可能に支持されている。この転写ローラ30は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料が被覆されて構成されている。この転写ローラ30には、転写時に、定電流制御によって転写バイアスが印加される。なお、この転写ローラ30と感光ドラム27との接触位置(ニップ位置)で、転写位置C(図2参照)が形成される。
【0020】
そして、感光ドラム27の表面は、スコロトロン型帯電器29により一様に正帯電された後、スキャナ部16からのレーザビームの高速走査により露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、画像データに基づく静電潜像が形成される。ここで、「静電潜像」とは、一様に正帯電されている感光ドラム27の表面のうち、レーザビームによって露光されて電位が下がっている露光部分をいう。次いで、現像ローラ31の回転により、現像ローラ31上に担持されているトナーが、感光ドラム27に対向して接触する時に、感光ドラム27の表面上に形成される静電潜像に供給される。そして、トナーは、感光ドラム27の表面上で選択的に担持されることによって可視像化され、これによって反転現像によりトナー像が形成される。
【0021】
その後、感光ドラム27と転写ローラ30とは、図2に示す転写位置Cにおいて、用紙3を両者間で挟持して搬送するように回転駆動され、感光ドラム27と転写ローラ30との間を用紙3が搬送されることにより、感光ドラム27の表面に担持されているトナー像が用紙3上に転写される。
【0022】
<定着部の構成>
定着部18は、プロセスカートリッジ17の下流側に配設され、加熱ローラ41、加熱ローラ41と対向配置され加熱ローラ41を押圧する押圧ローラ42、および、これら加熱ローラ41および押圧ローラ42の下流側に設けられる1対の搬送ローラ43を備えている。そして、このように構成される定着部18では、用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ41と押圧ローラ42との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ43によって、排紙パス44に搬送するようにしている。なお、排紙パス44に送られた用紙3は、排紙ローラ45によって排紙トレイ46上に排紙されるか、あるいは、排紙ローラ45の逆回転およびフラッパ49の切替によって装置内に戻されて、複数の反転搬送ローラ50で画像形成部5の上流側に反転状態で再供給されて両面印刷がなされるようになっている。
【0023】
<転写位置周りの構造>
次に、本発明の特徴部分となる転写位置周りの構造について詳細に説明する。参照する図面において、図2は、図1に示すレーザプリンタの転写位置周りの構造を簡易化して示す側断面図である。なお、図1の転写位置周りの構造は、説明の便宜上、適宜省略して示している。
【0024】
図2に示すように、感光ドラム27と転写ローラ30との当接部(転写位置C)より上流側には、用紙3を感光ドラム27へ向けて案内する案内板61と、スポンジ62とが設けられている。
【0025】
案内板61は、その上面61aで用紙3を支持して感光ドラム27側に案内するものであり、可撓性を有する絶縁性材料、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなり、プレス加工などにより略矩形状のフィルム部材として形成されている。そして、この案内板61は、上流側から下流側に向かって上方(転写ローラ30の中心点から感光ドラム27の中心点へ向かう方向)へ傾斜するように、その基端部(上流側の端部)61bが、第1台座51aに固定されている。また、この案内板61は、前記したように第1台座51aによって傾斜状態で固定されることで、その先端部61cが、常に感光ドラム27に向いた状態で揺動自在となっている。
【0026】
ここで、第1台座51aの上面は、案内板61を固定する部位の上流側の部位が案内板61の板厚以上の高さ分一段上がった段差形状となっており、これにより、紙詰まり(ジャム)が防止されるようになっている。また、第1台座51aの下部には、転写位置C側へ延びる第2台座51bが形成されている。なお、第2台座51bの上面は、ニップ搬送方向NDに対して傾斜するように(案内板61と平行となるように)形成されている。ここで、「ニップ搬送方向」とは、像担持体と転写手段で記録シートを搬送する方向であり、本実施形態のように、像担持体と転写手段がともにローラ状であるときは、側面視におけるこれらの共通接線方向(または、両者の軸を結んだ方向に直交する方向)をいう。
【0027】
そして、これらの第1台座51aおよび第2台座51bは、筐体51の一部として形成されている。なお、第1台座51aや第2台座51bは、互いに別体に構成されていてもよく、また、筐体51とは別体に構成されていてもよい。ここで、第1台座51aおよび第2台座51bは、プロセスカートリッジ17がレーザプリンタ1に装着されて不動状態となることによって、レーザプリンタ1内において不動状態となっている。
【0028】
スポンジ62は、案内板61よりも軟らかい多孔質の部材であり、その断面形状が直角台形(直角を持った台形)となるように形成されている。詳しくは、このスポンジ62は、上面62aと、上面62aに対して平行で、かつ、上面62aよりも面積の小さな下面62bと、上面62aおよび下面62bに直交する基端面62cと、上面62aから下面62bに向かって基端面62c側に傾斜する先端面62dとを有した構造となっている。
【0029】
そして、このスポンジ62は、その鋭角に尖った先端部62eが案内板61の先端部61cの端縁よりも感光ドラム27側へ突出するように、その上面62aが案内板61の下面61dに固定されている。また、このスポンジ62は、その先端部62eが感光ドラム27とは所定の隙間を介して配置されるとともに、その下面62bおよび基端面62cが第2台座51bに接するように配置されている。ここで、スポンジ62の上面62aは、「案内板に対向する面」に相当し、下面62bは、「案内板に対向する面の反対面」に相当する。
【0030】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
案内板61にスポンジ62を設けることで、用紙3の後端が案内板61を通り抜けるときに案内板61が振動しても、その振動がスポンジ62によって吸収されるので、案内板61のはじき音を抑制することができる。
案内板61の先端部61cの端縁よりもスポンジ62が感光ドラム27側に突出しているので、用紙3の後端が案内板61を通り抜けるときの用紙3の後端の下方への振れをスポンジ62で支持して、そのばたつきを抑えることができる。そして、このように用紙3の後端のばたつきを抑えることで、用紙3に形成される画像の品質を向上させることができる。
【0031】
スポンジ62の下面62bを第2台座51bに接するように配置することで、スポンジ62の先端部62eの位置合わせを行う際にスポンジ62が第2台座51bに支持されることにより安定するので、その位置合わせが容易となる。また、本実施形態では、スポンジ62の下面62bのみならず、スポンジ62の基端面62cも第2台座51bに接するように配置されるので、スポンジ62の先端部62eの位置合わせは、スポンジ62の角部を第2台座51bの隅部に合わせるだけで簡単に行うことが可能となっている。
【0032】
また、前記したようにスポンジ62の下面62bおよび基端面62cが第2台座51bに接するように配置されることによって、スポンジ62を予め固定させた案内板61を第1台座51aに取り付ける作業を、スポンジ62の角部を第2台座51bの隅部に合わせながら行うことができるので、その取付作業が容易になる。さらに、案内板61の振動を吸収するスポンジ62が第2台座51bに接しているので、案内板61の振動を迅速に減衰させることができる。
【0033】
緩衝部材として変形しやすいスポンジ62を採用したので、例えば用紙3が厚紙である場合であっても、案内板61を良好に撓ませて、ジャムの発生を抑えることができる。また、緩衝部材にスポンジ62を採用することにより、スポンジ62内の空隙によって音を吸収することができるので、吸音効果をさらに高めることができる。
【0034】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
例えば、転写位置周りの構造は、前記実施形態に限らず、以下に示すような様々な形態を採用してもよい。
【0035】
<転写位置周りの構造の変形例>
[変形例1]
図3に示すように、変形例1に係る転写位置C周りの構造は、前記実施形態におけるスポンジ62の先端部形状を変更した形態である。詳しくは、変形例1のスポンジ63は、その先端部63eが角柱状、すなわち、その下流側の角部が全て90°となるように形成されている。言い換えると、スポンジ63は、その断面形状が矩形となるように形成されている。
【0036】
以上、変形例1によれば、以下のような効果を得ることができる。
スポンジ63は、その先端部63eを角柱状に形成すればよいので、例えば角柱状の部材を単に切るだけで、案内板61に取り付ける部品としてのスポンジ63を製造でき、製造コストを低くすることができる。また、先端部63eが角柱状(角部が90°)であることから、用紙3を支持する下流側上部の角部が潰れにくくなっているので、用紙3を良好に支持して、用紙3の位置を略一定に維持することができる。
【0037】
[変形例2]
図4に示すように、変形例2に係る転写位置C周りの構造は、前記実施形態(図2)におけるスポンジ62の先端部形状を変更した形態である。すなわち、変形例2のスポンジ64は、その上面64aのうち案内板61から感光ドラム27側へ迫り出す面の一部が、感光ドラム27に近づくにつれて(下流側に向かうにつれて)転写ローラ30側へ傾斜する案内面64fとして形成されている。より詳しくは、この案内面64fは、その上流側部分が下流側部分よりも感光ドラム27から離れるように、案内板61に対して傾斜している。なお、この案内面64fは、「記録シートと当接する面」に相当する。
【0038】
以上、変形例2によれば、以下のような効果を得ることができる。
スポンジ64の上面64aの一部を上述のように傾斜状に形成することで、用紙3の後端を案内面64fによって転写位置Cの近くまで支持することができるので、用紙3の後端のばたつきをより抑えることができる。また、案内面64fの上流側部分が下流側部分よりも感光ドラム27から離れているので、感光ドラム27とスポンジ64との間に、下流側に向かうにつれて徐々に狭まる通路を形成することができる。したがって、用紙3の先端が下方に向けて曲がっている場合であっても、用紙3の先端を案内面64fで受けて感光ドラム27側へ滑らかに案内することができる。
【0039】
[変形例3,4]
図5(a),(b)に示すように、変形例3,4に係る転写位置C周りの構造は、第2台座51b上にスポンジ65の下面65bの一部または全部が固定されるとともに、このスポンジ65上にスポンジ65の上面65aよりも短い案内板61’が固定された構造となっている。また、この変形例3,4に係るスポンジ65は、前記した変形例2と同様に、その上面65aのうち案内板61’から感光ドラム27側へ迫り出す面の一部が、感光ドラム27に近づくにつれて転写ローラ30側へ傾斜する案内面65fとして形成されている。ただし、この案内面65fは、変形例2とは異なり、その上流側部分が下流側部分よりも感光ドラム27に近づくように、案内板61’に対して傾斜している。
【0040】
以上、変形例3,4によれば、以下のような効果を得ることができる。
スポンジ65を第2台座51b上に直接固定するため、スポンジ65の先端の位置合わせが容易となる。ちなみに、第2台座に先に固定した案内板の下面にスポンジを後から固定する構造の場合には、案内板の寸法誤差や案内板の撓みによって、スポンジの先端の位置合わせは難しい。
【0041】
また、図5(b)に示す変形例4の場合は、スポンジ65の下面65bの全面を第2台座51bに固定する構造であることから、スポンジ65を第2台座51b上にセットする際、スポンジ65が安定するので、その取付作業がより容易となる。
スポンジ65の上面65aの一部を傾斜状に形成することで、用紙3の後端を案内面65fによって転写位置Cの近くまで支持することができるので、用紙3の後端のばたつきをより抑えることができる。
【0042】
なお、変形例3,4では、スポンジ65の下面65bを第2台座51bに固定させたが、本発明はこれに限定されず、例えばスポンジ65の下面65bを第2台座51bとは非接触とし、スポンジ65の基端面65cのみを第2台座51bに固定させてもよい。この場合であっても、前記と同様に、スポンジ65を第2台座51bに直接固定するため、スポンジ65の先端の位置合わせが容易となる。
【0043】
[変形例5,6,7]
図6(a),(b),(c)に示すように、変形例5,6,7に係る転写位置C周りの構造は、案内板61の基端部61bを第2台座71,72,73に固定し、スポンジ64を、その下面64bが第2台座71,72,73とは非接触な状態となるように案内板61に固定した構造となっている。具体的に、図6(a)に示す変形例5では、案内板61の基端部61bの下面61dが、第2台座71の上面に固定されている。また、図6(b)に示す変形例6では、案内板61の基端部61bの上面61aが、下流側へ迫り出すように形成された第2台座72の下面に固定されている。さらに、図6(c)に示す変形例7では、案内板61の基端部61bが、第2台座73に埋め込まれて固定されている。さらに、各変形例5,6,7においては、スポンジ64の基端面64cも、第2台座71,72,73とは非接触な状態となっている。
【0044】
なお、各変形例5,6,7においては、図4のスポンジ64を採用しているが、スポンジの形状はどのようなものを用いてもよい。また、前記した案内板61の基端部61bは、「案内板の像担持体とは反対側の端部」に相当する。
【0045】
以上、変形例5,6,7によれば、以下のような効果を得ることができる。
案内板61およびスポンジ64の結合体が、第2台座71,72,73から片持ち梁状に感光ドラム27側へ突出するので、仮にスポンジ64の下方に他の構造物がある場合であっても、スポンジ64の先端を転写位置Cへ近づけることができる。すなわち、スポンジ64の下面を支持する部材を設ける必要がないので、スポンジ64の先端を転写位置Cまで近づけるときに、スポンジ64の下面を支持する部材と他の構造物が干渉することがない。また、逆に、片持ち梁状となった案内板61およびスポンジ64の結合体の下方に、他の構造物を任意に配設できるため、設計自由度を高めることができる。
【0046】
また、案内板61およびスポンジ64の結合体の下方(具体的には、案内板61の揺動範囲内)に何も設けない場合には、案内板61が片持ち梁状であることから撓みやすいため、ジャムの発生をより確実に抑えることができる。ここで、「揺動範囲」とは、用紙3から加わる力によって案内板61が実際に撓んで揺動する範囲であり、案内板61が真っ直ぐの状態のときの位置から案内板61が厚紙等のコシの強い用紙3によって最も撓んでいる状態のときの位置までの扇状の範囲をいう。
【0047】
さらに、スポンジ64の基端面64cも、第2台座71,72,73とは非接触な状態となっているので、案内板61が撓む際に、スポンジ64が第2台座71,72,73側に押し付けられることによって抵抗となるのを抑制でき、案内板61を良好に撓ませることができる。
【0048】
[変形例8]
図7に示すように、変形例8に係る転写位置C周りの構造は、図4に示した変形例2の構造を一部変更する構造であり、詳しくはスポンジ64の案内面64f(先端面)を感光ドラム27に接触させた構造となっている。なお、この変形例8では、スポンジ64の案内面64fを感光ドラム27に接触させているが、本発明はこれに限定されず、例えば図2のスポンジ62の先端部62e(角部)を感光ドラム27に接触させてもよい。
【0049】
以上、変形例8によれば、以下のような効果を得ることができる。
スポンジ64が感光ドラム27に接触するので、用紙3の後端のばたつきをより確実に抑制することができる。また、本変形例8のようにスポンジ64の案内面64fを感光ドラム27に面接触させることにより、用紙3を感光ドラム27に倣うように寄せることができるので、プレ転写をより抑制することができる。
【0050】
[変形例9,10,11]
図8(a),(b),(c)に示すように、変形例9,10,11に係る転写位置C周りの構造は、図6(a)に示す変形例5の構造を一部変更する構造であり、詳しくはスポンジ64の代わりにゴム81,82,83を設けた構造となっている。具体的に、図8(a)に示す変形例9のゴム81は、案内板61に対して平行に配置されて案内板61の下面61dに固定される板状部81aと、板状部81aの感光ドラム27側の端縁に一体に形成され、感光ドラム27側に近づくにつれて転写ローラ30側に傾斜する傾斜壁部81bとを備えて構成されている。
【0051】
また、図8(b)に示す変形例10のゴム82は、変形例9のゴム81と同様の板状部82aおよび傾斜壁部82bを備える他、傾斜壁部82bに対して平行となる複数のリブ82cと、板状部82aに対して平行となる下壁部82dとを備えて構成されている。そして、各リブ82cは、傾斜壁部82bや隣のリブ82cとの間に所定の間隔を設けて板状部82aの下面に形成され、下壁部82dは、傾斜壁部82bおよび複数のリブ82cの下縁に一体に形成されている。
【0052】
また、図8(c)に示す変形例11のゴム83は、変形例10のゴム82から下壁部82dを取り除いた構造となっており、変形例10のゴム82と同様の板状部83a、傾斜壁部83bおよび複数のリブ83cを備えた構造となっている。
【0053】
以上、変形例9,10,11によれば、以下のような効果を得ることができる。
緩衝部材としてスポンジよりも硬いゴム81,82,83を用いたので、案内板61の撓みすぎを良好に抑えることができる。すなわち、各変形例9,10,11のように案内板61が片持ち梁状であると、例えば厚紙などに対して案内板61が撓みすぎる可能性があるが、そのような場合に本変形例9,10,11のようなゴム81,82,83を採用すると、撓みすぎの問題を解消することができる。
【0054】
なお、緩衝部材は、用紙の幅方向(用紙の面と平行な方向であり、かつ、搬送方向と直交する方向)において複数に分割し、それらを所定の隙間を介して配設するようにしてもよい。これによれば、用紙と緩衝部材との摩擦抵抗が減るため、用紙をスムーズに搬送することができる。
【0055】
<その他の実施形態>
前記実施形態では、レーザプリンタ1に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
前記実施形態では、像担持体の一例として、感光ドラム27を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばトナーを担持する中間転写ベルトや感光体ベルトなどを採用してもよい。
前記実施形態や各実施例では、緩衝部材の一例としてスポンジやゴムを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばフェルトなどを採用してもよい。
【0056】
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙3を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
前記実施形態では、搬送手段の一例として、給紙ローラ8、紙粉取りローラ10,11およびレジストローラ12を採用したが、本発明はこれに限定されず、どのような機構であってもよい。例えば、手差しトレイから挿入される用紙を転写位置へ搬送するための機構を、搬送手段としてもよい。
【0057】
前記実施形態では、転写手段の一例として転写ローラ30を採用したが、本発明はこれに限定されず、例えば非接触型のものを採用してもよい。
【0058】
前記実施形態では、感光ドラム27を上側、転写ローラ30を下側としたが、本発明はこれに限定されず、これらの配置は適宜変更可能である。例えば、感光ドラム27を下側、転写ローラ30を上側とした構造や、感光ドラム27を左側、転写ローラ30を右側とした構造などを採用してもよい。
前記実施形態では、ニップ搬送方向NDを水平としたが、本発明はこれに限定されず、例えば水平面に対して斜めに設定してもよい。
【0059】
前記実施形態では、案内板61をプロセスカートリッジ17側に設けたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1側(プリンタ本体)に設けてもよい。
前記実施形態では、スポンジ62をプロセスカートリッジ17側に設けたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1側(プリンタ本体)に設けてもよい。
【0060】
前記実施形態では、第1台座51aをプロセスカートリッジ17側に設けたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1側(プリンタ本体)に設けてもよい。
前記実施形態では、第2台座51bをプロセスカートリッジ17側に設けたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1側(プリンタ本体)に設けてもよい。
【0061】
前記実施形態では、転写ローラ30をプロセスカートリッジ17側に設けたが、本発明はこれに限定されず、レーザプリンタ1側(プリンタ本体)に設けてもよい。
前記実施形態では、トナーを正極に帯電させる方式のプリンタに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、トナーを負極に帯電させる方式のプリンタに本発明を適用してもよい。
【0062】
また、案内板の先端から突出する緩衝部材の突出量は、どのような数値でもよいが、例えば、0.5mm程度であってもよいし、1mm〜数mm程度であってもよいし、1cm〜数cm程度であってもよい。
【0063】
なお、案内板は、以下に示すような構造としてもよい。
(1)案内板を用紙の幅方向において複数に分割し、それらを所定の隙間を介して配設するようにしてもよい。これによれば、用紙と案内板との摩擦抵抗が減るため、用紙をスムーズに搬送することができる。
【0064】
(2)案内板の先端部に搬送方向に沿った切れ目(スリット)や切り欠きを1つまたは複数設けてもよい。これによれば、案内板に皺を寄せずに、精度良く取り付けることができる。なお、このように切れ目等を設ける場合には、切れ目の根元に孔を開けたり、切り欠きの形状を略矩形や略U字状等にすることで、案内板が切れ目等を基準に裂けるのを抑えるのが望ましい。
【0065】
(3)案内板をプレス加工で形成する場合は、プレス加工において先に裁断刃と接触する側の面を表面、その反対側の面を裏面とした場合に、その表面、つまり、プレス加工のだれ面が、用紙と接触する上面となるように配置するのがよい。これによれば、用紙が案内板周縁のばりに引っ掛かることがないので、用紙をスムーズに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのレーザプリンタの一実施形態を示す側断面図である。
【図2】図1に示すレーザプリンタの転写位置周りの構造を簡易化して示す側断面図である。
【図3】変形例1に係る転写位置周りの構造を示す側断面図である。
【図4】変形例2に係る転写位置周りの構造を示す側断面図である。
【図5】変形例3に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(a)と、変形例4に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(b)である。
【図6】変形例5に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(a)と、変形例6に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(b)と、変形例7に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(c)である。
【図7】変形例8に係る転写位置周りの構造を示す側断面図である。
【図8】変形例9に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(a)と、変形例10に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(b)と、変形例11に係る転写位置周りの構造を示す側断面図(c)である。
【符号の説明】
【0067】
1 レーザプリンタ(画像形成装置)
3 用紙(記録シート)
5 画像形成部
8 給紙ローラ(搬送手段)
10,11 紙粉取りローラ(搬送手段)
12 レジストローラ(搬送手段)
17 プロセスカートリッジ
27 感光ドラム(像担持体)
30 転写ローラ(転写手段)
51 筐体
51a 第1台座
51b 第2台座
61 案内板
61a 上面
61b 基端部
61c 先端部
61d 下面
62 スポンジ(緩衝部材)
62a 上面
62b 下面
62c 基端面
62d 先端面
62e 先端部
C 転写位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤像を担持する像担持体と、
前記像担持体に対向配置され、前記像担持体上の前記現像剤像を記録シートに転写する転写手段と、
前記像担持体と前記転写手段の間の転写位置へ記録シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録シートを一方の面で支持して前記像担持体へ向けて案内する可撓性の案内板とを備え、
前記案内板の他方の面には、前記案内板よりも軟らかい緩衝部材が設けられるとともに、
前記緩衝部材が、前記案内板の前記像担持体側の端縁よりも前記像担持体側へ突出して形成されたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記緩衝部材の先端が、角柱状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記緩衝部材の前記記録シートと当接する面が、前記像担持体に近づくにつれて前記転写手段側へ傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置内において不動状態で配設される台座に、前記緩衝部材が固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記緩衝部材の前記案内板に対向する面の反対面が、前記台座に接していることを特徴とする請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記案内板は、前記像担持体とは反対側の端部が、前記画像形成装置内において不動状態で配設される台座に固定され、
前記緩衝部材は、前記案内板に対向する面の反対面が前記台座とは非接触な状態で、前記案内板に固定されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記緩衝部材の先端が、前記像担持体に接触していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記緩衝部材は、スポンジにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記緩衝部材は、ゴムにより構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置に着脱自在に装着されるプロセスカートリッジであって、
現像剤像を担持して、所定の転写位置で記録シートに対して前記現像剤像を転写させる感光ドラムと、
前記転写位置へ向けて搬送される前記記録シートを一方の面で支持して前記感光ドラムへ向けて案内する可撓性の案内板とを備え、
前記案内板の他方の面には、前記案内板よりも軟らかい緩衝部材が設けられるとともに、
前記緩衝部材が、前記案内板の前記像担持体側の端縁よりも前記像担持体側へ突出して形成されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−26810(P2008−26810A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202211(P2006−202211)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】