説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】ユーザの操作内容や画像供給装置の画像供給能力に応じて、画像形成の生産性を向上する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像供給装置2から送られる画像形成指示に従って画像形成を行う画像形成エンジン8と、画像形成指示が無くなった時点から画像形成エンジン8の各機能を順次停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を記憶する記憶手段4と、画像形成指示が無くなった時点で記憶手段4に記憶された停止待ち合せ時間の減算を開始し、停止待ち合せ時間を経過した段階で画像形成エンジン8の各機能を順次停止し始める制御手段5とを備え、制御手段5は、画像形成動作の種類および画像形成する枚数に応じて、停止待ち合せ時間を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタや複写機等の画像形成装置には、コンピュータやスキャナ等の画像供給装置から供給された画像を記録媒体に印刷する画像形成エンジンが設けられている。電子写真方式を採用する画像形成エンジンでは、感光体や、感光体を帯電する帯電器、感光体に静電潜像を形成する露光器、静電潜像が形成された感光体上にトナー像を形成する現像器、トナー像を記録媒体に転写する転写器、記録媒体に転写されたトナー像を加熱加圧して定着する定着器が設けられている。
【0003】
これらの部材の寿命を延命化するため、画像供給装置からの画像形成指示が無い場合には、画像形成エンジンを停止する技術が、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1には、画像データの数によって、プリントの起動および停止を制御する技術が開示されている。一方、特許文献2には、画像形成エンジンの各機能を停止し始めてから全ての機能が停止するまでの間に、画像形成指示が有った場合には、画像形成エンジンを停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を調整する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−272555号公報
【特許文献2】特開2006−142770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような背景を鑑み、ユーザの操作内容や画像供給装置の画像供給能力に応じて、画像形成の生産性を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像供給装置から送られる画像形成指示に従って画像形成を行う画像形成エンジンと、前記画像形成指示が無くなった時点から前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を記憶する記憶手段と、前記画像形成指示が無くなった時点で前記記憶手段に記憶された停止待ち合せ時間の減算を開始し、前記停止待ち合せ時間を経過した段階で前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始める制御手段とを備え、前記制御手段は、画像形成動作の種類および画像形成する枚数に応じて、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記画像形成動作の種類が複写機の動作である場合には、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記画像形成動作の種類がプリンタまたはファクシミリの処理である場合には、前記停止待ち合せ時間を調整しないことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記画像形成の枚数が所定値未満の場合に、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記停止待ち合せ時間が次の原稿の複写指示を行うまでの時間より短い場合には、次の原稿の複写指示を行うまでの時間に延長されることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記停止待ち合せ時間を経過する前に、前記画像供給装置から次の画像形成指示が送られてきた場合には、前記画像形成エンジンの各機能の停止処理を開始しないことを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記停止待ち合せ時間を経過し、前記画像形成エンジンの各機能を停止し始めてから全ての機能が停止するまでの間に、前記画像供給装置から次の画像形成指示が送られてきた場合には、前記記憶手段に記憶する停止待ち合せ時間を延長し、送られてこなかった場合には、前記記憶手段に記憶する停止待ち合せ時間を短縮することを特徴とする。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記停止待ち合せ時間の延長分の時間は、短縮分の時間よりも長いことを特徴とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶手段は、不揮発性記憶手段であることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の発明は、画像供給装置から送られる画像形成指示が無くなってから画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を減算するステップと、画像形成動作の種類および画像形成する枚数に応じて、前記停止待ち合せ時間を調整するステップと、前記停止待ち合せ時間が経過した段階で、前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるステップと、を実行させるための画像形成プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、ユーザの操作内容や画像供給装置の画像供給能力に応じて、画像形成の生産性を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、複写機の画像供給元である原稿読み取り装置の画像供給能力に応じて、画像形成の生産性を向上することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、複写機として動作する場合と比べ、画像形成エンジンが停止し易く、画像形成エンジンの消耗部材の寿命を延命させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、ユーザの操作内容(画像形成の枚数)に応じて、画像形成エンジンが停止し難くなり、画像形成の生産性を向上することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、ユーザの操作内容(次の原稿の複写指示を行うまでの時間)に応じて、画像形成エンジンが停止し難くなり、画像形成の生産性を向上することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、画像形成指示の頻度に応じて、画像形成エンジンが停止し難くなり、画像形成の生産性を向上することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、画像形成指示の頻度に応じて、画像形成の生産性を向上するとともに、画像形成エンジンの消耗部材の寿命を延命させることができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、画像形成エンジンが停止し難くなり、画像形成の生産性の低下を抑制することができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、電源OFF/ON以前のユーザの操作内容や画像供給能力も含めた停止待ち合せ時間の調整が可能になる。
【0024】
請求項10に記載の発明によれば、本件発明を適用する場合と比べ、ユーザの操作内容や画像供給装置の画像供給能力に応じて、画像形成の生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、ユーザの操作内容や画像供給装置の画像供給能力に応じて、画像形成エンジンの停止処理を自動判断する画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0026】
(画像形成装置の構成)
図1は、本実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。画像形成装置1は、画像データの供給元であるファクシミリやコンピュータ、原稿読み取り装置(スキャナ)等の画像供給装置2から受信した画像データを用紙等の記録媒体に印刷して出力する。
【0027】
画像形成装置1は、画像供給装置2から画像データを受信する通信手段3と、各種の設定情報を記憶する不揮発性記憶手段4と、プログラムに従って各手段を制御する制御手段5と、プログラムを格納するROM6(Read Only Memory)と、プログラムの作業領域および各種情報を一時的に格納するRAM7(Random Access Memory)と、画像データに基づいて記録媒体に画像形成を行う画像形成エンジン8とを備える。
【0028】
図2は、画像形成エンジンの構成を説明する模式図である。画像形成エンジン8は、画像データをROS9(Raser Output Scanner)で光信号に変換し、矢印方向に回転する感光体ドラム10に露光する。感光体ドラム10の表面は、帯電器11によって、例えば−700Vに一様に帯電されており、ROS9の露光を受けて、その表面に静電潜像が形成される。
【0029】
静電潜像は、最大濃度部で例えば、−200V程度まで減衰する。このとき、レーザ露光量を変化させると、静電潜像の電位が変化し、最終的に得られる画像濃度が変化する。感光体ドラム10の回転に伴い、静電潜像は、現像器12によりトナー像として顕像化される。現像器12の内部には、トナーと、トナーを帯電および搬送するキャリアとが混合されて充填される。この混合比率を変化させることで、最終的に得られる画像濃度が変化する。
【0030】
また、トナーとキャリアとを感光体ドラム10の表面に搬送する現像ロール13には、現像バイアス電圧が印加される。静電潜像と現像バイアス電圧との間で作る電位差(現像コントラスト電位)により、トナーが現像ロール13から感光体ドラム10の表面へ移動し、感光体ドラム10の表面にトナー像が形成される。このとき、現像バイアスを変化させると、現像コントラスト電位が変化し、最終的に得られる画像濃度が変化する。
【0031】
現像器12によって感光体ドラム10の表面に形成されたトナー像は、転写器14によって、その電荷が調整され、転写装置に達する。一方、駆動ロール、従動ロールによって転写ベルト15が矢印方向に循環移動し、感光体ドラム10との間に転写部を形成している。
【0032】
画像形成の指示を受けると、複数の用紙トレイのうちいずれかに載置された記録媒体は、用紙搬送路を経由して転写部に搬送される。転写部へ搬送された記録媒体には、感光体ドラム10上のトナー像が転写される。なお、このとき、転写ベルト15には、転写ローラ16によってトナーとは逆極性の電圧が印加されている。その後、記録媒体は、さらに用紙搬送経路を経由して定着器17に搬送される。定着器17は、加熱および加圧して記録媒体にトナーを恒久的に定着する。トナーが定着した記録媒体は、用紙搬送経路を経由し、排出ロールから画像形成装置1の外部に排出される。
【0033】
また、現像器12には、トナーを補給するトナー容器と、トナー容器からトナーを現像器12に搬送するディスペンスモータとが設けられる。また、表面電位センサ18は、感光体ドラム10の表面電位を測定する。トナー濃度センサ19は、現像器12内のトナー濃度を測定する。また、画像濃度センサ20は、感光体ドラム10上に形成された画像濃度検出用のトナーパッチの濃度を検出する。
【0034】
以上のような機能を備えた画像形成エンジン8は、画像供給装置10から画像形成の指示を受けると、即座に画像形成処理を行うことができるように、各機能を常に起動しておくことが望ましい。一方、画像形成の指示が一定時間送られてこない場合には、各機能を停止して、部品の消耗を防ぐ。
【0035】
画像形成装置1は、画像供給装置2の画像形成指示がなくなってから一定の停止待ち合せ時間をカウントする。停止待ち合せ時間内に次の画像形成指示が送られてこなかった場合には、画像形成装置1は、画像形成エンジン8の各機能の停止処理を開始する。停止待ち合せ時間は、不揮発性記憶手段4に記憶される。
【0036】
画像形成エンジン8の停止処理は、各機能の保護の観点から、各機能を所定の順序で停止していく。画像形成エンジン8の停止処理が開始すると、全ての機能が停止するまで処理が続行される。画像形成装置1は、画像形成エンジン8の停止処理を開始するまでの停止待ち合せ時間を調整し、画像形成指示に対する迅速な画像形成処理と、画像形成エンジン8の部品の消耗防止との両立を図る。
【0037】
具体的には、画像形成装置1は、所定の停止待ち合せ時間を経過し、画像形成エンジン8の各機能を順次停止している間(停止処理時間内)に、次の画像形成指示が送られてきた場合には、次回の停止待ち合せ時間を延長し、停止処理時間内に次の画像形成指示が送られてこなかった場合には、次回の停止待ち合せ時間を短縮するように調整する。
【0038】
つまり、停止処理時間内に次の画像形成指示があるということは、ユーザの画像形成指示の頻度に対して、停止待ち合せ時間が短かったこととなるため、次回の待ち合せ時間を僅かに延長しておくことで、停止処理時間内に次の画像形成指示がくるのを回避し、即座に画像形成エンジン8を機能させることができるようにする。
【0039】
一方、停止処理時間内に次の画像形成指示がなかった場合には、ユーザの画像形成指示の頻度が少ないことから、次回の停止待ち合せ時間を短縮しておくことで、画像形成エンジン8を早めに停止することができる。これによって、画像形成エンジン8の部品の消耗を抑制することができる。
【0040】
図3は、画像形成指示の有無と画像形成動作との関係を示すタイミングチャートである。画像形成装置1は、画像供給装置2より送信されたPrint指示(画像形成指示)情報をRAM7内に格納し、Print指示情報に関する印刷および用紙排出動作を行う。画像形成エンジン8が待機状態であって、Print指示情報がRAM7内に格納された場合には、画像形成装置1は、画像形成エンジン8の起動処理を行い、起動した後に印刷および用紙排出動作を行う。
【0041】
その後、Print指示情報に含まれる最終頁の印刷および用紙排出動作が完了したら、RAM7からPrint指示情報を削除する。RAM7からPrint指示情報が削除された段階から所定の待ち合せ時間を経過した後、画像形成エンジン8の停止処理が開始する。全ての機能が停止すると、画像形成エンジン8は待機状態になる。画像形成エンジン8が、停止処理を行っている間に次のPrint指示情報を受け、RAM7にPrint指示情報を格納したか否かによって、停止待ち合せ時間の調整を行う。
【0042】
図4は、停止待ち合せ時間の調整処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを実行する画像形成プログラムは、ROM6に記憶されており、制御手段5であるCPUによって実行される。なお、この画像形成プログラムは、CDROM等の記録媒体に格納して提供することができる。
【0043】
まず、Print動作を開始すると、画像形成装置1は、異常停止要因が発生しているか否かを判断する(ステップS1)。異常停止要因が発生している場合には、Print動作を停止する(ステップS13)。一方、異常停止要因が発生していない場合には、Print指示情報に従って、Print処理を実施する(ステップS2)。
【0044】
Print処理を実施し、Print用紙を排出した後、Print指示情報をRAM7から削除し(ステップS3)、停止判断タイマーTに停止待ち合せ時間を設定する(ステップS4)。停止待ち合せ時間は、不揮発性記憶手段4に記憶されており、この内容を読み込んで停止判断タイマーの設定を行う。
【0045】
まず、画像形成動作の種類が、複写機の処理(Copy Job)か否かを判断する(ステップS5)。画像形成動作の種類が、プリンタの処理(Printer Job)やファクシミリの処理(Fax Job)である場合、画像形成装置1の周辺にはユーザが大抵不在であるため、画像形成エンジン8の停止処理が開始したとしても、ユーザの利便性は低下しない。したがって、Printer JobまたはFax Jobの場合には、停止待ち合せ時間を調整しない。
【0046】
一方、Copy Jobの場合には、画像形成装置1の周辺にユーザがいるため、頻繁に画像形成エンジン8が停止したのでは、画像形成装置1の使い勝手が悪くなる。したがって、Copy Jobの場合には、少なくとも次にユーザがJobを入力するまでの間は画像形成エンジン8が停止しないように、停止待ち合せ時間を調整する。
【0047】
Copy Jobの場合には(ステップS5でYes)、Print動作開始から現在までの画像形成の枚数(Print枚数)が、複写枚数(Copy枚数)のチェック値(PVc)よりも少ないか否かを判断する(ステップS6)。これは、画像供給装置2(原稿読み取り装置)の画像供給能力が画像形成エンジン8の画像形成能力よりも遅い場合には、原稿読み取り装置の処理を待つ間に、画像形成エンジン8の停止および再起動が行われてしまうからである。
【0048】
すなわち、同じ原稿のCopy枚数が多い場合には、原稿読み取り装置が一枚処理した後、画像形成エンジン8がCopy枚数分の印刷および用紙排出を継続して行うため、停止することはないが、同じ原稿のCopy枚数が少ない場合には、画像形成エンジン8が印刷および用紙排出をすぐに終了し、原稿読み取り装置の次の処理を待つ間に、画像形成エンジン8の停止処理が開始してしまう。したがって、本来は画像供給能力よりも画像形成能力の方が高いにも関わらず、画像供給能力よりも画像形成能力が劣って見えてしまうことがある。このため、画像供給能力に応じた画像形成の生産性を向上するため、ステップS6において、Print枚数が所定値未満か否かを判断する。
【0049】
また、同じ原稿のCopy枚数が少ない場合には、ユーザが原稿台に次の原稿をセットして複写指示を行うまでに、画像形成エンジン8の停止処理が開始してしまう場合がある。このため、停止待ち合せ時間が、次のCopy Jobを入力するまでの操作時間(Tc)よりも短いか否かを判断する(ステップS7)。停止待ち合せ時間が、Tc分確保されていない場合には(ステップS7でYes)、停止待ち合せ時間をTcまで延長する(ステップS8)。つまり、停止判断タイマーを次の原稿の複写指示を行うまでの時間(Tc)に補正する。
【0050】
ステップS6〜ステップS8の具体例についてさらに詳述する。例えば、Copy枚数のチェック値(PVc)が11枚であり、次のCopy Jobを入力するまでの操作時間(Tc)が10秒に設定されているものとする。例えば、Print動作開始から現在までのPrint枚数が20枚の場合には、Copy枚数のチェック値(PVc)より多いため、原稿読み取り装置が次の画像を供給するまでに、画像形成エンジン8が印刷および用紙排出を継続するため、停止待ち合わせ時間を調整する必要がない(ステップS6でNo)。
【0051】
一方、例えば、Print動作開始から現在までのPrint枚数が8枚の場合には、Copy枚数のチェック値(PVc)より少ないため、画像形成エンジン8がすぐに印刷および用紙排出を終え、停止処理に入らないように、停止待ち合わせ時間を調整する方向へ進む(ステップS6でYes)。
【0052】
この際、停止待ち合わせ時間が10秒以上あり、次のCopy Jobを入力するまでの操作時間(Tc)が少なくとも確保されていれば(ステップS7でNo)、画像形成エンジン8が印刷および用紙排出を終了したとしても、停止処理を開始するまでに次のCopy Jobが投入される可能性が高いため、停止待ち合せ時間を調整する必要がない(ステップS7でNo)。
【0053】
一方、例えば、停止待ち合わせ時間が6秒であり、次のCopy Jobを入力するまでの操作時間(Tc)の10秒が確保されていなければ(ステップS7でYes)、ユーザが次のCopy Jobを入力するまでに、画像形成エンジン8の停止処理が開始してしまうため、これを防止するために、停止待ち合わせ時間の6秒を次のCopy Jobを入力するまでの操作時間(Tc)の10秒に延長する(ステップS8)。これにより、画像形成エンジン8の無駄な停止および再起動が防止され、ユーザの操作内容に応じた画像形成の生産性が向上する。
【0054】
このように、画像形成装置1が、ユーザの操作内容や画像供給装置2の画像供給能力に応じて、画像形成エンジン8の停止処理を行うべきか否かを自動判断することで、無駄な停止をせずに連続したPrint動作を行うことができる。したがって、画像形成装置1と画像供給装置2による総合的なPrintの生産性が向上する。
【0055】
次に、次のPrint指示情報が有るか否かを判断し(ステップS9)、有る場合にはステップS1〜S8を繰り返す。すなわち、停止待ち合せ時間を経過する前に、画像形成指示が有った場合には、すぐに画像形成エンジンの各機能の停止処理を開始しない。そして、次のPrint指示情報に従って、Print動作を実施する。また、無い場合には停止待ち合せ時間のカウントダウンを開始する(ステップS10)。停止待ち合せ時間のカウントダウンは、予め不揮発性記憶手段4に設定された監視間隔の時間分待機した後、その監視間隔の時間分ずつ減算する。監視間隔は、例えば10ミリ秒である。
【0056】
停止待ち合せ時間の減算を行っている間に、異常停止要因が発生した場合には(ステップS11のYes)、Print動作を停止する。また、異常停止要因が発生していない場合には(ステップS11のNo)、停止待ち合せ時間の残りが0より大きいか否か、すなわち、停止待ち合せ時間が残っているか否かを判断し、0より大きい場合には、ステップS9〜ステップS12を繰り返す。これにより、停止待ち合せ時間が経過するまでの間に、次のPrint指示情報が送られれば、そのPrint指示情報にPrint動作を実施できることになる。
【0057】
一方、停止待ち合せ時間が経過するまで、次のPrint指示情報が送られてこなければ、ステップS12の判断でNoとなり、Print動作の停止(画像形成エンジン8の各機能の順次停止処理)を実行する(ステップS13)。その後、異常停止要因の発生有無を判断し(ステップS14)、発生していればPrint動作を終了し、発生していなければ停止動作中に次のPrint指示を受信したか否かを判断する(ステップS15)。つまり、画像形成エンジン8の各機能を順次停止していく間(停止処理時間内)に、次のPrint指示情報が送られてきたか否かを判断する。
【0058】
停止処理時間内に次のPrint指示情報が送られてきた場合には、不揮発性記憶手段4に記憶する停止待ち合わせ時間を所定時間分延長する(ステップS16)。一方、停止処理時間内に次のPrint指示情報が送られてこなかった場合には、不揮発性記憶手段4に記憶する停止待ち合わせ時間を所定時間分短縮する(ステップS17)。
【0059】
ここで、停止待ち合わせ時間の延長分と短縮分とでは、延長分を短縮分よりも長くすることが望ましい。例えば、延長分を1秒、短縮分を1/100秒とする。これは、延長分より短縮分を大きくすると、停止待ち合せ時間が急激に短くなり、ユーザがPrint指示を要求する際に、画像形成エンジン8が停止していることが多くなり、生産性の低下を招きやすくなるからである。一方、延長分より短縮分を小さくすることで、徐々に停止待ち合せ時間が短くなっていき、ユーザのPrint指示の要求頻度に合わせて細かく対処できるようになるからである。
【0060】
このように、停止処理時間内に次のPrint指示情報が送られてきたか否かによって不揮発性記憶手段4に記憶する停止待ち合せ時間の延長、短縮を行うことで、次回の停止の待ち合せを行う際には、ユーザの利用頻度が反映された待ち時間を用いることができるようになる。
【0061】
つまり、予め設定した停止待ち合せ時間を経過して停止処理を行っている間に、次のPrint指示情報が送られてきたということは、停止待ち合せ時間がもう少し長ければ停止処理を開始しなくて済んだことになるため、次回の停止待ち合せ時間を延長することで画像形成エンジン8の起動状態を保ち、Print処理のレスポンスを優先させることができる。
【0062】
一方、停止処理が完了した後で、次のPrint指示情報が送られてきたということは、ユーザの利用頻度が低い可能性が高いため、停止待ち合せ時間を短縮して早めに画像形成エンジン8を停止しても実用上の影響はなく、部品の消耗を抑制できるようになる。
【0063】
このように、ユーザの利用頻度に応じて、停止待ち合せ時間が最適化されることで、頻繁にPrint指示が出る場合には、画像形成エンジン8の動作確率が高くなって生産性が向上し、反対に、Print指示の要求頻度が少なくなれば、画像形成エンジン8を停止している時間が長くなり、部品寿命の延命を優先させることが可能になる。
【0064】
本実施形態では、停止待ち合せ時間を不揮発性記憶手段4に記憶しているため、電源OFF/ON以前の画像供給能力も含めた停止待ち合せ時間の調整が可能になる。また、停止待ち合せ時間の延長/短縮における加算値/減算値をユーザインターフェースによって可変とすることで、「画像供給能力に対するレスポンス」と「部材寿命延命」の優先度に関する重み付けを変更することができる。さらに、画像形成システムの目指す方向やジョブ単位(Print/Copy/Fax)で重みを付け、個別設定にも柔軟に対応することが可能となる。
【0065】
なお、画像形成エンジン8の機能向上に伴い、バージョンアップした画像形成プログラムを画像形成装置1にインストールすることで、画像形成エンジン8の機能に合わせた停止待ち合せ時間の最適化処理を実現できる。
【0066】
(本実施形態の優位性)
本実施形態によれば、ユーザの利用頻度に応じて、停止待ち合せ時間が最適化されることで、頻繁にPrint指示が出る場合には、画像形成エンジン8の動作確率が高くなって生産性が向上し、反対に、Print指示の要求頻度が少なくなれば、画像形成エンジン8を停止している時間が長くなり、部品寿命の延命を優先させることが可能になる。
【0067】
また、画像形成装置1が、ユーザの操作内容(Jobの種類や操作時間)や画像供給装置2の画像供給能力に応じて画像形成エンジン8の停止処理を自動判断することで、無駄な停止をせずに連続してPrint動作を行うことができる。したがって、画像形成装置1と画像供給装置2による総合的なPrintの生産性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、およびこれらの複合機等の画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置のブロック図である。
【図2】画像形成エンジンの構成を説明する模式図である。
【図3】画像形成指示の有無と画像形成動作との関係を示すタイミングチャートである。
【図4】停止待ち合せ時間の調整処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…画像形成装置、2…画像供給装置、3…通信手段、4…不揮発性記憶手段、5…制御手段、6…ROM、7…RAM、8…画像形成エンジン、9…ROS、10…感光体ドラム、11…帯電器、12…現像器、13…現像ロール、14…転写器、15…転写ベルト、16…転写ローラ、17…定着器、18…表面電位センサ、19…トナー濃度センサ、20…画像濃度センサ、21…除電器、22…クリーナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像供給装置から送られる画像形成指示に従って画像形成を行う画像形成エンジンと、
前記画像形成指示が無くなった時点から前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を記憶する記憶手段と、
前記画像形成指示が無くなった時点で前記記憶手段に記憶された停止待ち合せ時間の減算を開始し、前記停止待ち合せ時間を経過した段階で前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始める制御手段とを備え、
前記制御手段は、画像形成動作の種類および画像形成する枚数に応じて、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成動作の種類が複写機の処理である場合には、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成動作の種類がプリンタまたはファクシミリの処理である場合には、前記停止待ち合せ時間を調整しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成の枚数が所定値未満の場合に、前記停止待ち合せ時間を調整することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記停止待ち合せ時間が次の原稿の複写指示を行うまでの時間より短い場合には、次の原稿の複写指示を行うまでの時間に延長されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記停止待ち合せ時間を経過する前に、前記画像供給装置から次の画像形成指示が送られてきた場合には、前記画像形成エンジンの各機能の停止処理を開始しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記停止待ち合せ時間を経過し、前記画像形成エンジンの各機能を停止し始めてから全ての機能が停止するまでの間に、前記画像供給装置から次の画像形成指示が送られてきた場合には、前記記憶手段に記憶する停止待ち合せ時間を延長し、送られてこなかった場合には、前記記憶手段に記憶する停止待ち合せ時間を短縮することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記停止待ち合せ時間の延長分の時間は、短縮分の時間よりも長いことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記記憶手段は、不揮発性記憶手段であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像供給装置から送られる画像形成指示が無くなってから画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるまでの停止待ち合せ時間を減算するステップと、
画像形成動作の種類および画像形成する枚数に応じて、前記停止待ち合せ時間を調整するステップと、
前記停止待ち合せ時間が経過した段階で、前記画像形成エンジンの各機能を順次停止し始めるステップと、を実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−145577(P2010−145577A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320580(P2008−320580)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】