説明

画像形成装置および画像形成プログラム

【課題】 OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置10は、PDLの処理の移管の要否の判定の基準である移管条件情報32を記憶するローカルメモリ12aを備えているプロセッサ12を含む複数のプロセッサを備えており、プロセッサのそれぞれは、印刷データのPDLを解釈するPDL解釈手段41と、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータに基づいて印刷中間言語であるOLを生成するOL生成手段43と、PDLオペレータが描画OLを生成するための描画オペレータであるときに他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする処理移管手段46と、描画オペレータの処理内容とローカルメモリに格納された移管条件情報32とに基づいて移管の要否の判定をする移管判定手段44として機能することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプロセッサを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のプロセッサを搭載した画像処理装置において、印刷データに基づいて印刷を実行する印刷処理を複数のプロセッサで並列に処理することによって、印刷処理を高速化するものが知られている。
【0003】
ここで、印刷処理は、受信したPostscriptやPCLXLなどのページ記述言語(Page Description Language。以下「PDL」という。)形式の印刷データを解釈するPDL解釈処理と、PDL解釈処理によって解釈された内容に基づいて印刷中間言語(Orderlist。以下「OL」という。)を生成するOL生成処理と、OL生成処理によって生成されたOLに基づいて最終的な印刷用のドットデータを生成するOL描画処理と、OL描画処理によって生成されたドットデータに基づいて印刷を実行する出力処理という4つの処理で構成されている。
【0004】
一般的に、PDL解釈処理およびOL生成処理は、合わせてOL生成工程として捉えられるとともに、OL描画処理および出力処理は、合わせてOL処理工程として捉えられることが多い。つまり、印刷処理は、OL生成工程と、OL処理工程という2つの工程で構成されていると考えられることが多い。
【0005】
OL生成工程およびOL処理工程に関する複数のプロセッサによる並列処理の実現方法は、次の3つに分類されることができる。
(1)OL生成工程における並列処理化
(2)OL処理工程における並列処理化
(3)OL生成工程とOL処理工程との並列処理化
【0006】
「OL処理工程における並列処理化」の例としては、ページ内のそれぞれの分割領域に対して、OLコマンドの数や、負荷の重いコマンドがあるか否かの状態に基づいて負荷状態の調査を行い、負荷状態の調査結果に基づいて各プロセッサの負荷が均一になるように各プロセッサに処理領域を割り当てるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
「OL生成工程とOL処理工程との並列処理化」の例としては、各プロセッサのアイドル時間を少なくするために、OL生成工程と、OL処理工程とを複数のプロセッサで並列に処理するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
「OL生成工程における並列処理化」の例としては、OL生成工程のPDL解釈処理に相当する空描画と、OL生成工程のPDL解釈処理からOL処理工程のOL描画処理までの一連の処理に相当する実描画とを行うことができる印刷制御装置であって、マスタプロセッサによって空描画をページ順に行うことによって各ページの紙サイズやフォント情報などの書式情報を取得し、空描画が終了したページの次のページの実描画を複数のスレーブプロセッサのうち実描画を行っていない1つのスレーブプロセッサに行わせるものが知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0009】
また、「OL生成工程における並列処理化」の例としては、OL生成工程のPDL解釈処理に相当する空描画と、OL生成工程のPDL解釈処理からOL処理工程のOL描画処理までの一連の処理に相当するビットマップ展開とを行うことができるページプリンタ制御装置であって、ビットマップ展開を行っていないプロセッサによって空描画をページ順に行い、空描画が終了したページの次のページのビットマップ展開を複数のプロセッサのうちビットマップ展開を行っていない1つのプロセッサに行わせることによって、各プロセッサのアイドル時間を少なくするものも知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3728820号公報
【特許文献2】特開2007−156613号公報
【特許文献3】特開2003−67156号公報
【特許文献4】特開2005−63027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献3および特許文献4に記載されたものは、複数のページの印刷データに対して全体の処理時間を短縮するものであり、ページ単位の処理を高速化することができないという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、複数のプロセッサと、PDLの処理の移管の要否の判定の基準である移管条件情報を記憶する移管条件メモリとを備えており、前記プロセッサのそれぞれは、印刷データのPDLを解釈するPDL解釈手段と、前記PDL解釈手段によって解釈されたPDLオペレータに基づいて印刷中間言語であるOLを生成するOL生成手段と、前記PDLオペレータが描画OLを生成するための描画オペレータであるときに他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする処理移管手段と、前記描画オペレータの処理内容と前記移管条件メモリに格納された前記移管条件情報とに基づいて前記移管の要否の判定をする移管判定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、処理が重い描画オペレータに基づいてプロセッサが描画OLを生成するときに、OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる。また、本発明の画像形成装置は、PDLオペレータが描画オペレータであるときに描画オペレータの処理内容によらず移管を行う構成と比較して、ページ単位の処理を高速化することができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の前記プロセッサのそれぞれは、前記移管条件メモリを内蔵していても良い。
【0016】
この構成により、本発明の画像形成装置は、移管条件メモリをプロセッサの外部のメモリで構成する場合と比較して、処理を高速化することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置の外部から前記移管条件情報を受け付ける移管条件受付手段を備えていても良い。
【0018】
この構成により、本発明の画像形成装置は、移管条件情報の変更を容易化することができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、前記移管条件受付手段によって受け付けられた前記移管条件情報を記憶する不揮発メモリと、前記画像形成装置の起動時に前記不揮発メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記移管条件メモリに書き込む移管条件書込手段とを備えており、前記プロセッサのそれぞれは、前記移管条件メモリを内蔵していても良い。
【0020】
この構成により、本発明の画像形成装置は、起動後に移管条件情報を反映することができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、前記不揮発メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記画像形成装置の外部からの要求に応じて前記不揮発メモリから削除する移管条件削除手段を備えていても良い。
【0022】
この構成により、本発明の画像形成装置は、変更された移管条件情報を削除することができる。
【0023】
また、本発明の画像形成装置は、デフォルトの前記移管条件情報を記憶しているデフォルト移管条件メモリを備えており、前記移管条件書込手段は、前記画像形成装置の起動時に前記不揮発メモリに前記移管条件情報が記憶されていないとき、前記デフォルト移管条件メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記移管条件メモリに書き込んでも良い。
【0024】
この構成により、本発明の画像形成装置は、変更された移管条件情報を削除したときに、起動後にデフォルトの移管条件情報を適用することができる。
【0025】
また、本発明の画像形成装置は、前記移管条件メモリから前記移管条件情報を取得する移管条件取得手段と、前記移管条件取得手段によって取得された前記移管条件情報を前記画像形成装置の外部に通知する移管条件通知手段とを備えていても良い。
【0026】
この構成により、本発明の画像形成装置は、現在設定されている移管条件情報を外部に通知することができる。
【0027】
また、本発明の画像形成装置は、前記移管に要する時間である移管時間を計測する移管時間計測手段と、前記プロセッサ毎に単独での前記描画OLの生成時間をテスト用のデータを使用して計測する描画OL生成時間計測手段と、前記移管条件情報を生成する移管条件生成手段とを備えており、前記移管条件生成手段は、前記移管時間計測手段によって計測された前記移管時間と、前記描画OL生成時間計測手段によって計測された前記生成時間とに基づいて、前記移管条件情報を生成しても良い。
【0028】
この構成により、本発明の画像形成装置は、利用者が手動で移管条件情報を変更する構成と比較して、移管条件情報の変更を容易化することができる。また、本発明の画像形成装置は、実際の用紙への印刷の測定結果に基づいて移管条件情報を生成する構成と比較して、用紙を節約することができる。
【0029】
また、本発明の画像形成プログラムは、複数のプロセッサと、PDLの処理の移管の要否の判定の基準である移管条件情報を記憶する移管条件メモリとを備えている画像形成装置のプログラムであって、印刷データのPDLを解釈するPDL解釈手段、前記PDL解釈手段によって解釈されたPDLオペレータに基づいて印刷中間言語であるOLを生成するOL生成手段と、前記PDLオペレータが描画OLを生成するための描画オペレータであるときに他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする処理移管手段、及び、前記描画オペレータの処理内容と前記移管条件メモリに格納された前記移管条件情報とに基づいて前記移管の要否の判定をする移管判定手段として前記プロセッサのそれぞれを機能させることを特徴とする。
【0030】
この構成により、本発明の画像形成プログラムを実行する画像形成装置は、処理が重い描画オペレータに基づいてプロセッサが描画OLを生成するときに、OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる。また、本発明の画像形成プログラムを実行する画像形成装置は、PDLオペレータが描画オペレータであるときに描画オペレータの処理内容によらず移管を行う構成と比較して、ページ単位の処理を高速化することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の画像形成装置は、OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示すプロセッサ情報を示す図である。
【図4】(a)クロック数が650MHzのプロセッサに対する図2に示す移管条件情報の一例を示す図である。(b)クロック数が700MHzのプロセッサに対する図2に示す移管条件情報の一例を示す図である。
【図5】図1に示す画像形成装置の1つのプロセッサの動作のフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートの続きのフローチャートである。
【図7】図2に示すPDLホストバッファに格納される印刷データの一例を示す図である。
【図8】図7に示す印刷データに対する各プロセッサのタイミングチャートであって、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があるとプロセッサが判定する場合のタイミングチャートである。
【図9】図2に示すOLバッファに格納されたスタックの状態を示す図である。
【図10】図7に示す印刷データに対する各プロセッサのタイミングチャートであって、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないとプロセッサが判定する場合のタイミングチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図12】図11に示す画像形成装置の機能ブロック図である。
【図13】図11に示す画像形成装置のプロセッサ情報を示す図である。
【図14】(a)図11に示すROMに記憶されているデフォルト移管条件情報の一例を示す図である。(b)図12に示す不揮発メモリに記憶される更新用移管条件情報の一例を示す図である。
【図15】図11に示す外部装置としてのPCのモニタに表示される移管条件設定画面を示す図である。
【図16】移管条件情報の更新が実行されるときの図11に示す画像形成装置の動作のシーケンス図である。
【図17】移管条件情報の確認が実行されるときの図11に示す画像形成装置の動作のシーケンス図である。
【図18】図11に示す画像形成装置から外部に通知される通知用移管条件情報の一例を示す図である。
【図19】移管条件情報のリセットが実行されるときの図11に示す画像形成装置の動作のシーケンス図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図21】図20に示す画像形成装置の機能ブロック図である。
【図22】図20に示す外部装置としてのPCのモニタに表示される移管条件設定画面を示す図である。
【図23】自動による移管条件情報の更新が実行されるときの図20に示す画像形成装置の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成図である。
【0036】
図1に示すように、画像形成装置10は、システムバス11と、プロセッサ12を含む複数のプロセッサと、本発明の画像形成プログラムを含む各種のプログラムや各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)13と、プロセッサによってプログラムが実行されるときにプログラムや各種のデータを一時的に記憶する作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)14と、最終的な印刷用のドットデータに基づいて用紙などの記録媒体に印刷を実行するプリントエンジン15と、利用者による操作を受け付ける操作パネル16と、外部装置90と通信を行うための入出力ポート17とを備えている。
複数のプロセッサ、ROM13、RAM14、プリントエンジン15、操作パネル16、及び入出力ポート17は、互いにシステムバス11により接続されている。
【0037】
プロセッサ12は、ROM13に記憶されているプログラムを実行する演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ12は、ローカルメモリ12aを内蔵している。画像形成装置が備える複数のプロセッサは、全てプロセッサ12と同じ構成を備える。複数のプロセッサは、図示していない1つのコントローラボードに搭載されている。
【0038】
入出力ポート17は、例えば外部装置90がPC(Personal Computer)である場合、ネットワークやUSB(Universal Serial Bus)などのバスを経由して外部装置90と接続される。また、入出力ポート17は、例えば外部装置90がUSBメモリである場合、USBを経由して外部装置90と接続される。
【0039】
なお、画像形成装置10は、例えば、複合機、プリンタなどの画像形成装置である。
【0040】
図2は、画像形成装置10の機能ブロック図である。
【0041】
図2に示すように、RAM14は、PDL形式の印刷データを格納するPDLホストバッファ21と、OLを格納するOLバッファ22と、印刷処理全体で使用されるワークメモリ23として機能する。
【0042】
なお、PDLホストバッファ21に格納される印刷データは、例えば外部装置90がPCである場合、外部装置90から送信されてネットワークやUSBなどのバスを経由して受信されたデータである。また、PDLホストバッファ21に格納される印刷データは、外部装置90がUSBメモリである場合、利用者による操作パネル16への操作に応じて外部装置90から読み出されたデータである。
【0043】
プロセッサ12のローカルメモリ12aは、プロセッサ12の情報であるプロセッサ情報31と、後述する移管の要否の判定の基準である移管条件情報32とを記憶している。すなわち、ローカルメモリ12aは、本発明の移管条件メモリを構成している。プロセッサ情報31および移管条件情報32は、プロセッサ12自身用の情報である。プロセッサ12は、ROM13に記憶されている画像形成プログラムを実行することによって、個別バッファ33、PDL解釈手段41、PDL判定手段42、OL生成手段43、移管判定手段44、プロセッサ探索手段45、処理移管手段46、終了通知手段47、OLバッファ格納手段48、個別バッファ格納手段49、受信待機手段50、OL排出手段51、OL処理手段52、及び、出力手段53として機能する。画像形成装置が備える複数のプロセッサは、全てプロセッサ12と同じ構成を備える。
個別バッファ33は、プロセッサ毎に設けられている。
PDL解釈手段41は、PDLホストバッファ21から印刷データを読み出してPDLを解釈する。
PDL判定手段42は、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータ(オペレーションコード)の種類を判定する。
OL生成手段43は、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータに基づいてROP(ラスタオペレーション)指定などのグラフィック状態の設定OLやImage処理、Paint処理といった描画処理の描画OLを生成する。
移管判定手段44は、描画OLを生成するための描画オペレータの処理内容に基づいて後述する移管の要否の判定をする。
プロセッサ探索手段45は、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータが描画オペレータであるときに他のアイドル状態のプロセッサを探索する。
処理移管手段46は、プロセッサ探索手段45によって探索された他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする。
終了通知手段47は、OL生成手段43が描画OLの生成を終了したときに描画OLの生成の終了の通知を移管先のプロセッサに対して行う。
OLバッファ格納手段48は、移管元のプロセッサが無いときにOL生成手段43によって生成されたOLをOLバッファ22に格納する。
個別バッファ格納手段49は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまでOL生成手段43によって生成されたOLを個別バッファ33に一時的に格納する。
受信待機手段50は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで待機する。
OL排出手段51は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信した時点で個別バッファ33に格納されているOLをOLバッファ22に排出する。
OL処理手段52は、OLバッファ22に格納されているOLに基づいて最終的な印刷用のドットデータを生成する。
出力手段53は、OL処理手段52によって生成されたドットデータをプリントエンジン15に送信する。
【0044】
PDL判定手段42は、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータが、情報オペレータ、設定OLオペレータ、描画オペレータ、ページ終了オペレータの何れであるかを判定する。情報オペレータは、パス情報や色情報などの設定情報のオペレータである。設定OLオペレータは、グラフィック状態の設定OLを生成するためのオペレータである。描画オペレータは、描画OLを生成するためのオペレータである。ページ終了オペレータは、ページの終了を示すオペレータである。情報オペレータおよび設定OLオペレータは、何れも描画のための設定情報のオペレータであるが、設定OLオペレータがOLを生成するためのオペレータである点において両者は異なる。
【0045】
個別バッファ33は、OL生成手段43によって生成されたグラフィック状態の設定OLや描画OLを一時的に格納するためのバッファであり、プロセッサのローカルメモリによって構成されている。
【0046】
図3は、プロセッサ情報31を示す図である。
【0047】
図3に示すように、プロセッサ情報31は、移管元のプロセッサのIDを示す移管元ID31aと、移管先のプロセッサのIDを示す移管先ID31bと、画像形成装置10に搭載されているプロセッサの総数を示すプロセッサ数31cと、プロセッサ12の現在の描画状態を示す描画状態31dとを含んでいる。なお、プロセッサ数31cは、プロセッサ探索手段45がアイドル状態の他のプロセッサを探索するときに必要な情報である。
【0048】
図4(a)は、クロック数が650MHzのプロセッサに対する移管条件情報32の一例を示す図である。図4(b)は、クロック数が700MHzのプロセッサに対する移管条件情報32の一例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、移管条件情報32は、描画OLのパラメータに対する閾値の情報である。ベジェ曲線に対する閾値としてベジェ曲線のパス数、Stroke(直線)に対する閾値としてStrokeのパス数、イメージに対する閾値としてイメージのピクセル数が記憶されている。例えば、プロセッサのローカルメモリは、自身のクロック数が650MHzであるときに図4(a)に示す移管条件情報32を、自身のクロック数が700MHzであるときに図4(b)に示す移管条件情報32を記憶している。なお、図4に示す閾値は、移管元のプロセッサが移管先のプロセッサに処理の移管の依頼を開始してから、移管先のプロセッサが共有メモリであるRAM14にアクセスして実際に処理を開始することができるまでの時間(以下「移管時間」という。)に基づいて設定することができる。例えば、閾値は、描画OLの生成時間が移管時間未満または移管時間以下となる描画オペレータに対してPDLの処理が移管される必要がないと判定されるように設定されれば良い。つまり、図4に示す閾値は、システムバス11やプロセッサの性能に応じて割り当てられれば良い。
【0050】
次に、画像形成装置10の動作について説明する。
【0051】
図5は、画像形成装置10の複数のプロセッサの内の1つであるプロセッサ12の動作のフローチャートである。図6は、図5に示すフローチャートの続きのフローチャートである。以下においては、プロセッサ12の動作について説明するが、他のプロセッサの動作についても同様である。
【0052】
図5および図6に示すように、画像形成装置10のプロセッサ12は、PDLホストバッファ21に印刷データが有るか否かを判断する(S101)。
【0053】
S101においてPDLホストバッファ21に印刷データが無いと判断されると、プロセッサ12は、図5および図6に示す処理を終了する。
【0054】
一方、S101においてPDLホストバッファ21に印刷データが有ると判断されると、PDL解釈手段41は、PDLホストバッファ21から印刷データを読み出して(S102)、印刷データのPDLを解釈する(S103)。
【0055】
次いで、PDL判定手段42は、PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータの種類を判定する(S104)。
【0056】
PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータがS104において情報オペレータであると判定されると、PDL判定手段42は、この情報オペレータの設定情報をローカルメモリ12aに格納する(S111)。次いで、PDL判定手段42は、この設定情報が以降のPDLオペレータで使用される設定情報であるか否かを判断する(S112)。
【0057】
S112において情報オペレータの設定情報が以降のPDLオペレータで使用される設定情報ではないと判断されると、処理はS101へ移行する。
【0058】
一方、情報オペレータの設定情報が以降のPDLオペレータで使用される設定情報であるとS112において判断されると、PDL判定手段42は、この設定情報を複数のプロセッサの共有メモリであるRAM14に格納し(S113)、処理はS101へ移行する。
【0059】
PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータが設定OLオペレータであるとS104において判定されると、OL生成手段43は、この設定OLオペレータに基づいてグラフィック状態の設定OLを生成する(S131)。
【0060】
次いで、移管判定手段44は、移管元のプロセッサが存在するか否かを判断する(S132)。ここで、移管判定手段44は、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aが0以外の場合に、移管元のプロセッサが存在すると判断し、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aが0の場合に、移管元のプロセッサが存在しないと判断する。
【0061】
S132において移管元のプロセッサが存在しないと判断されると、OLバッファ格納手段48は、S131において生成された設定OLをOLバッファ22に格納して(S133)、処理はS101へ移行する。
【0062】
一方、S132において移管元のプロセッサが存在すると判断されると、個別バッファ格納手段49は、S131において生成された設定OLを個別バッファ33に格納する(S134)。
【0063】
次いで、受信待機手段50は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで待機する(S135)。なお、受信待機手段50は、受信した通知が移管元のプロセッサからの通知であることを、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aに基づいて判断する。
【0064】
描画OLの生成の終了の通知が移管元のプロセッサから受信されると、移管判定手段44は、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aをリセットして0にする(S136)。
【0065】
次いで、OL排出手段51は、個別バッファ33に格納されている設定OLをOLバッファ22に排出して(S137)、処理はS101へ移行する。
【0066】
PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータが描画オペレータであるとS104において判定されると、移管判定手段44は、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があるか否かを判定する(S151)。具体的には、移管判定手段44は、PDL解釈手段41によって解釈された描画オペレータのパラメータから描画がベジェ曲線、Stroke、イメージのうち何れであるかの情報を獲得する。移管判定手段44は、描画がベジェ曲線又はStrokeである場合にはそのパス数の情報を、イメージの描画である場合にはそのピクセル数の情報を獲得する。つまり、移管判定手段44は、描画オペレータの処理内容を獲得する。そして、移管判定手段44は、獲得した処理内容と、ローカルメモリ12aに記憶されている移管条件情報32とに基づいて、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があるか否かを判定する。例えば、ローカルメモリ12aに記憶されている移管条件情報32が図4(a)に示す情報である場合、移管判定手段44は、PDL解釈手段41によって解釈された描画オペレータのパラメータから800パスより大きいパス数のベジェ曲線の描画であるという処理内容や、8000パスより大きいパス数のStrokeの描画であるという処理内容や、8000ピクセルより大きいピクセル数のイメージの描画であるという処理内容を獲得したとき、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があると判定する。一方、ローカルメモリ12aに記憶されている移管条件情報32が図4(a)に示す情報である場合、移管判定手段44は、PDL解釈手段41によって解釈された描画オペレータのパラメータから800パス以下のパス数のベジェ曲線の描画であるという処理内容や、8000パス以下のパス数のStrokeの描画であるという処理内容や、8000ピクセル以下のピクセル数のイメージの描画であるという処理内容を獲得したとき、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないと判定する。
【0067】
他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があるとS151において判定されると、プロセッサ探索手段45は、複数のプロセッサの中からアイドル状態のプロセッサを探索する(S152)。具体的には、プロセッサ探索手段45は、他のプロセッサに対してアイドル状態であるか否かを問い合わせる。このとき、プロセッサ探索手段45は、自身用のプロセッサ情報31におけるプロセッサ数31cに基づいて、他のプロセッサの数を認識することができる。問い合わせられたプロセッサは、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dがOFFであるとき、アイドル状態であるというメッセージを返し、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dがONであるとき、アイドル状態ではないというメッセージを返す。
【0068】
次いで、プロセッサ探索手段45は、S152における探索の結果、アイドル状態のプロセッサが存在するか否かを判断する(S153)。
【0069】
S151において他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないと判定されるか、S153においてアイドル状態のプロセッサが存在しないと判断されると、プロセッサ12は、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをONにする(S154)。
【0070】
次いで、OL生成手段43は、PDL解釈手段41によって解釈された描画オペレータに基づいて描画OLを生成する(S155)。
【0071】
次いで、プロセッサ探索手段45は、移管元のプロセッサが存在するか否かを判断する(S156)。ここで、プロセッサ探索手段45は、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aが0以外の場合に、移管元のプロセッサが存在すると判断し、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aが0の場合に、移管元のプロセッサが存在しないと判断する。
【0072】
S156において移管元のプロセッサが存在しないと判断されると、プロセッサ12は、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにする(S157)。
【0073】
次いで、OLバッファ格納手段48は、S155において生成された描画OLをOLバッファ22に格納する(S158)。
【0074】
次いで、終了通知手段47は、描画OLの生成の終了の通知を移管先のプロセッサに対して行って(S159)、図5および図6に示す処理が終了する。なお、終了通知手段47は、自身用のプロセッサ情報31における移管先ID31bに基づいて移管先のプロセッサを特定する。また、プロセッサ12は、S159の処理を実行する際、自身用のプロセッサ情報31における移管先ID31bをリセットして0にする。また、プロセッサ12は、移管先ID31bが0であるときには、S159において通知を行わない。
【0075】
S156において移管元のプロセッサが存在すると判断されると、個別バッファ格納手段49は、S155において生成された描画OLを個別バッファ33に格納する(S160)。
【0076】
次いで、受信待機手段50は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで待機する(S161)。
【0077】
描画OLの生成の終了の通知が移管元のプロセッサから受信されると、プロセッサ12は、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aをリセットして0にする(S162)。
【0078】
次いで、プロセッサ12は、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにする(S163)。
【0079】
次いで、OL排出手段51は、個別バッファ33に格納されている描画OLをOLバッファ22に排出する(S164)。上述したS159の処理が実行されて、図5および図6に示す処理が終了する。
【0080】
S153においてアイドル状態のプロセッサが存在すると判断されると、処理移管手段46は、S152において探索された他のプロセッサに以降のPDLの処理を移管する(S165)。
【0081】
次いで、プロセッサ12は、S165において移管した移管先のプロセッサのID(例えば、「2」)を自身用のプロセッサ情報31における移管先ID31bに記録する(S166)。ここで、以降のPDLの処理が移管された移管先のプロセッサは、移管してきた移管元のプロセッサのID(例えば、「1」)を自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aに記憶する。
【0082】
次いで、プロセッサ12は、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをONにする(S167)。
【0083】
次いで、OL生成手段43は、PDL解釈手段41によって解釈された描画オペレータに基づいて描画OLを生成する(S168)。次いで、上述したS157〜S159の処理が実行されて、図5および図6に示す処理が終了する。なお、このときS158においてOLバッファ22に格納される描画OLは、S168において生成された描画OLである。
【0084】
PDL解釈手段41によって解釈されたPDLオペレータがS104においてページ終了オペレータであると判定されると、OL処理手段52は、OLバッファ22に格納されているOLに基づいて最終的な印刷用のドットデータを生成する(S191)。なお、移管元のプロセッサが存在すると判断された場合に、OL処理手段52は、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで、S191の処理を待機する。
【0085】
次いで、出力手段53は、S191において生成されたドットデータをプリントエンジン15に送信し(S192)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0086】
なお、図5および図6に示す処理においては、S101〜S103の処理がPDL解釈処理に相当し、S104〜S168の処理がOL生成処理に相当し、S191の処理がOL描画処理に相当し、S192の処理が出力処理に相当する。つまり、S101〜S168の処理がOL生成工程に相当し、S191〜S192の処理がOL処理工程に相当する。
【0087】
図7は、PDLホストバッファ21に格納される印刷データの一例を示す図である。
【0088】
図7に示す印刷データは、PCLXLの印刷データである。「BeginSession」は、新しいセッションの開始を定義するオペレータである。「OpenDataSource」は、フォントやイメージなどの一部のデータの入力ソースを定義するオペレータである。「BeginPage」は、紙サイズやオリエンテーションを定義して、新しいページの開始を宣言するオペレータである。「SetPageDefaultCMT」は、ページの座標変換行列をBeginSession時のデフォルトかつターゲットページのオリエンテーションに戻すオペレータである。「SetPageOrigin」は、ページ座標系の原点を新しいX,Y位置に移動するオペレータである。「SetColorSpace」は、色空間の設定を行うオペレータである。「SetROP」は、ソースイメージ、ペイントパターン、デスティネーションイメージに適用されるカレントのラスタオペレーションを設定するオペレータである。「NewPath」は、カレントパス(サブパス)を削除するオペレータである。「SetCursor」は、ユーザ座標上の絶対位置にカレントポイントを移動するオペレータである。「BeginImage」は、指定される属性(階調数、データの直接または間接指定のモード、幅、高さ、デスティネーションサイズ)に従ってデバイスを設定し、イメージデータの入力待ち状態になるオペレータである。「ReadImage」は、実イメージデータに対する属性を指定した後、データソースから実イメージデータを読み込み、BeginImageで設定した属性に従ってイメージの描画を行うオペレータである。「EndImage」は、BeginImage〜ReadImage〜EndImageからなる一連のイメージ描画モードの終了を宣言するオペレータである。「SetPenSource」は、Strokeに使用される色を定義するオペレータである。「SetBrushSource」は、Fillに使用される色を定義するオペレータである。「BezierPath」は、絶対位置指定による座標指定を使用してカレントパスにベジェパスを加えるオペレータである。「CloseSubPath」は、カレントポジションからカレントサブパスのスタートにパスを閉じるようにラインを加えるオペレータである。「PaintPath」は、グラフィックステートのアトリビュート設定に従ってカレントパスをペイント(fill & stroke)するオペレータである。「LinePath」は、絶対位置指定による座標指定を使用してカレントパスに線分パスを加えるオペレータである。「LineRelPath」は、相対位置指定による座標指定を使用してカレントパスにベジェパスを加えるオペレータである。「EndPage」は、1ページの描画終了を定義し、ページ排出を行うオペレータである。「CloseDataSource」は、OpenDataSourceで定義されたデータの入力ソースを解除し、未定義状態にするオペレータである。「EndSession」は、BeginSessionで定義されたカレントセッションの終了を宣言するオペレータである。
【0089】
以下においては、理解を容易にするため、画像形成装置10がプロセッサを2つだけ備えている場合について説明し、その2つのプロセッサをプロセッサa、プロセッサbと区別して記載する。ここで、プロセッサa、プロセッサbとも、プロセッサ12と同じ構成を備える。
【0090】
図8は、図7に示す印刷データに対する各プロセッサのタイミングチャートであって、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があるとプロセッサa、プロセッサbが判定する場合のタイミングチャートである。
【0091】
<タイミングt0>
図7に示す印刷データがPDLホストバッファ21に格納されると、プロセッサaは、図5および図6に示す処理を開始して、印刷データの最初の「BeginSession」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサaは、「BeginSession」が情報オペレータであるので、「BeginSession」の設定情報をプロセッサaのローカルメモリに格納するとともに(S111)、RAM14にも格納して(S113)、処理はS101へ移行する。その後、プロセッサaは、印刷データにおける範囲Aの残りのオペレータについても、「BeginSession」と同様な動作を繰り返す。このとき、以降のPDLオペレータで使用されない設定情報については、RAM14には格納されない(S112でNO)。
【0092】
<タイミングt1>
プロセッサaは、印刷データにおける範囲Bのオペレータである「SetROP」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサaは、「SetROP」が設定OLオペレータであるので、「SetROP」に基づいてグラフィック状態の設定OLである「ROP OL」を生成する(S131)。また、プロセッサaは、移管元のプロセッサが存在しないので(S132でNO)、S131において生成した「ROP OL」をOLバッファ22に格納して(S133)、処理はS101へ移行する。
【0093】
なお、プロセッサaは、もしも移管元のプロセッサが存在する場合には(S132でYES)、S131において生成した「ROP OL」を個別バッファ33に格納して(S134)、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで待機する(S135)。そして、プロセッサaは、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信すると、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aをリセットし(S136)、個別バッファ33に格納されている「ROP OL」をOLバッファ22に排出して(S137)、処理はS101へ移行する。
【0094】
<タイミングt2>
印刷データにおける範囲Cのオペレータが情報オペレータであるので、プロセッサaは、範囲Cのオペレータに対して、範囲Aのオペレータに対する動作と同様に動作する。
【0095】
<タイミングt3>
プロセッサaは、印刷データにおける範囲Dのオペレータである「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」を読み出す(S102)。ここで、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」は、プロセッサaによって纏めて取り扱われるオペレータである。プロセッサaは、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があると判定する(S151でYES)ので、複数のプロセッサの中からアイドル状態のプロセッサを探索し(S152)、アイドル状態であったプロセッサbに以降のPDLの処理を移管する(S165)。プロセッサaは、S165において移管したプロセッサbのIDを自身用のプロセッサ情報31における移管先ID31bに記録し(S166)、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをONにする(S167)。次いで、プロセッサaは、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてImage処理の描画OLとして「Image OL(D)」を生成し(S168)、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにする(S157)。次いで、プロセッサaは、S168において生成した「Image OL(D)」をOLバッファ22に格納し(S158)、描画OLの生成の終了の通知を移管先のプロセッサbに対して行って(S159)<タイミングt6>、図5および図6に示す処理が終了する。
【0096】
<タイミングt3>
以降のPDLの処理をプロセッサaから移管されたプロセッサbは、図5および図6に示す処理を開始する。ここで、印刷データにおける範囲Eのオペレータが情報オペレータであるので、プロセッサbは、範囲Eのオペレータに対して、プロセッサaによる範囲Aのオペレータに対する動作と同様に動作する。なお、プロセッサbは、図5および図6に示す処理を開始するとき、RAM14に格納されている設定情報を読み出してプロセッサbのローカルメモリに格納する。
【0097】
<タイミングt4>
プロセッサbは、印刷データにおける範囲Fのオペレータである「PaintPath」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサbは、「PaintPath」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があると判定する(S151でYES)ので、複数のプロセッサの中からアイドル状態のプロセッサを探索する(S152)。このとき、アイドル状態のプロセッサが存在しないので(S153でNO)、プロセッサbは、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをONにし(S154)、「PaintPath」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてPaint処理の描画OLとしての「Paint OL(F)」を生成し(S155)、移管元のプロセッサが存在するか否かを判断する(S156)。このとき、未だ<タイミングt6>より前であり、移管元のプロセッサとしてプロセッサaが存在するので(S156でYES)、プロセッサbは、「Paint OL(F)」を個別バッファ33に格納し(S160)、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサaから受信するまで待機する(S161)<タイミングt5>。
【0098】
なお、プロセッサbは、もしも移管元のプロセッサが存在しない場合には(S156でNO)、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにし(S157)、S155において生成した「Paint OL(F)」をOLバッファ22に格納し(S158)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0099】
<タイミングt6>
プロセッサbは、描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサaから受信すると、自身用のプロセッサ情報31における移管元ID31aをリセットし(S162)、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにし(S163)、個別バッファ33に格納されている「Paint OL(F)」をOLバッファ22に排出して(S164)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0100】
<タイミングt7>
タイミングt3において以降のPDLの処理をプロセッサaから移管されたプロセッサbは、続けて図5および図6に示す処理を開始する。ここで、印刷データにおける範囲Gのオペレータが情報オペレータであるので、プロセッサbは、範囲Gのオペレータに対して、プロセッサaによる範囲Aのオペレータに対する動作と同様に動作する。
【0101】
<タイミングt8>
印刷データにおける範囲Hのオペレータである「PaintPath」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があると判定し(S151でYES)、プロセッサaがアイドル状態であるので、プロセッサbは、プロセッサaによる範囲Dのオペレータに対する動作と同様に動作する。つまり、プロセッサbは、アイドル状態であったプロセッサaに以降のPDLの処理を移管し(S165)、「PaintPath」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてPaint処理の描画OLとして「Paint OL(H)」を生成し(S168)、S168において生成した「Paint OL(H)」をOLバッファ22に格納し(S158)、描画OLの生成の終了の通知を移管先のプロセッサaに対して行って(S159)<タイミングt10>、図5および図6に示す処理が終了する。
【0102】
<タイミングt8>
以降のPDLの処理をプロセッサbから移管されたプロセッサaは、図5および図6に示す処理を開始する。ここで、印刷データにおける範囲Iのオペレータが情報オペレータであるので、プロセッサaは、範囲Iのオペレータに対して、範囲Aのオペレータに対する動作と同様に動作する。なお、プロセッサaは、図5および図6に示す処理を開始するとき、RAM14に格納されている設定情報を読み出してプロセッサaのローカルメモリに格納する。
【0103】
<タイミングt9>
プロセッサaは、印刷データにおける範囲Jのオペレータである「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサaは、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要があると判定する(S151でYES)ので、複数のプロセッサの中からアイドル状態のプロセッサを探索する(S152)。このとき、アイドル状態のプロセッサが存在しないので(S153でNO)、プロセッサaは、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをONにし(S154)、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてImage処理の描画OLとしての「Image OL(J)」を生成し(S155)、移管元のプロセッサが存在するか否かを判断する(S156)。このとき、既に<タイミングt10>より後であり、移管元のプロセッサが存在しないので(S156でNO)、プロセッサaは、自身用のプロセッサ情報31における描画状態31dをOFFにし(S157)、「Image OL(J)」をOLバッファ22に格納して(S158)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0104】
図9は、OLバッファ22に格納されたスタックの状態を示す図である。
【0105】
プロセッサaによって最終的な印刷用のドットデータが生成される前、OLバッファ22には、図9に示すように、上述した「ROP OL」、「Image OL(D)」、「Paint OL(F)」、「Paint OL(H)」、「Image OL(J)」が順番通りに格納されている。
【0106】
<タイミングt11>
図8に示すように、タイミングt8において以降のPDLの処理をプロセッサbから移管されたプロセッサaは、続けて図5および図6に示す処理を開始する。そして、プロセッサaは、印刷データにおける範囲Kのオペレータである「EndPage」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサaは、「EndPage」がページ終了オペレータであるので、OLバッファ22に格納されているOLに基づいて最終的な印刷用のドットデータを生成し(S191)、S191において生成したドットデータをプリントエンジン15に送信し(S192)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0107】
図10は、図7に示す印刷データに対する各プロセッサのタイミングチャートであって、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないと範囲Hおよび範囲Jのオペレータの処理時にプロセッサbが判定する場合のタイミングチャートである。
【0108】
なお、図10に示す動作のうちタイミングt8までの動作は、図8に示す動作と同一であるので、説明を省略する。
【0109】
<タイミングt8>
図10に示すように、印刷データにおける範囲Hのオペレータである「PaintPath」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないと判定する(S151でNO)ので、プロセッサbは、「PaintPath」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてPaint処理の描画OLとして「Paint OL(H)」を生成し(S155)、移管元のプロセッサが存在しないと判断し(S156でNO)、S155において生成した「Paint OL(H)」をOLバッファ22に格納し(S158)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0110】
<タイミングt9´>
タイミングt3において以降のPDLの処理をプロセッサaから移管されたプロセッサbは、続けて図5および図6に示す処理を開始する。そして、プロセッサbは、印刷データにおける範囲Iのオペレータが情報オペレータであるので、範囲Iのオペレータに対して、プロセッサaによる範囲Aのオペレータに対する動作と同様に動作する。
【0111】
<タイミングt10´>
プロセッサbは、印刷データにおける範囲Jのオペレータである「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサbは、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」が描画オペレータであり、他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする必要がないと判定する(S151でNO)ので、「BeginImage〜ReadImage〜EndImage」と、ローカルメモリに格納されている設定情報とに基づいてImage処理の描画OLとしての「Image OL(J)」を生成し(S155)、移管元のプロセッサが存在しないと判断し(S156でNO)、「Image OL(J)」をOLバッファ22に格納して(S158)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0112】
なお、プロセッサbによって最終的な印刷用のドットデータが生成される前、OLバッファ22には、図9に示すように、上述した「ROP OL」、「Image OL(D)」、「Paint OL(F)」、「Paint OL(H)」、「Image OL(J)」が順番通りに格納されている。
【0113】
<タイミングt11´>
タイミングt3において以降のPDLの処理をプロセッサaから移管されたプロセッサbは、続けて図5および図6に示す処理を開始する。そして、プロセッサbは、印刷データにおける範囲Kのオペレータである「EndPage」を読み出して(S102)、PDLオペレータの種類を判定する(S104)。そして、プロセッサbは、「EndPage」がページ終了オペレータであるので、OLバッファ22に格納されているOLに基づいて最終的な印刷用のドットデータを生成し(S191)、S191において生成したドットデータをプリントエンジン15に送信し(S192)、図5および図6に示す処理が終了する。
【0114】
以上に説明したように、画像形成装置10は、処理が重いPDLオペレータである描画オペレータに基づいてプロセッサが描画OLを生成するときに、他のプロセッサに以降のPDLの処理を移管するので、OL生成工程における並列処理化によってページ単位の処理を高速化することができる。
【0115】
また、画像形成装置10は、描画オペレータの処理内容に基づいて移管の要否を判定するので、単純な矩形を描くFILLの描画OLや、ピクセル数が少ないイメージデータの描画OLなど、移管時間より生成時間が短い描画OLを含むページを印刷する場合、PDLオペレータが描画オペレータであるときに描画オペレータの処理内容によらず移管を行う構成と比較して、ページ単位の処理を高速化することができる。
【0116】
また、画像形成装置10は、アイドル状態のプロセッサに移管元のプロセッサが以降のPDLの処理を移管するので、アイドル状態ではないプロセッサにも移管元のプロセッサが以降のPDLの処理を移管する構成と比較して、処理を高速化することができる。なお、画像形成装置10は、アイドル状態であるか否かという条件以外の条件によって、移管先のプロセッサが選択されるようになっていても良い。
【0117】
また、画像形成装置10は、移管先のプロセッサが描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信するまで、生成したOLを個別バッファ33に格納し、移管先のプロセッサが描画OLの生成の終了の通知を移管元のプロセッサから受信した時点で個別バッファ33に格納されているOLをOLバッファ22に排出するので、OLを正しい順番でOLバッファ22に格納することができ、その結果、正しい描画を実現することができる。
【0118】
また、プロセッサは、S151においてアクセスする移管条件情報32をローカルメモリに記憶している。したがって、画像形成装置10は、S151においてアクセスする移管条件情報32をプロセッサの外部のメモリに記憶する構成する場合と比較して、プロセッサによる移管条件情報32へのアクセスを高速化することができるので、処理を高速化することができる。なお、S151においてプロセッサによってアクセスされる移管条件情報32は、プロセッサのローカルメモリではなく、プロセッサの外部のメモリ、例えば、RAM14に記憶されていても良い。同様に、プロセッサ情報31も、プロセッサのローカルメモリではなく、プロセッサの外部のメモリに記憶されていても良い。
【0119】
また、プロセッサは、個別バッファ33として機能するローカルメモリを備えている。したがって、画像形成装置10は、個別バッファ33をプロセッサの外部のメモリで構成する場合と比較して、個別バッファ33へのOLの書き込みを高速化することができるので、処理を高速化することができる。なお、個別バッファ33は、プロセッサのローカルメモリではなく、プロセッサの外部のメモリ、例えば、RAM14で構成されていても良い。
【0120】
また、プロセッサは、PDLオペレータが描画のための設定情報のオペレータである場合、設定情報が以降のPDLオペレータで使用される情報であるときのみ(S112でYES)、設定情報をRAM14に格納する(S113)。したがって、画像形成装置10は、不要な設定情報に対する処理が発生することを防止することができる。なお、プロセッサは、設定情報が以降のPDLオペレータで使用される情報であるか否かに関わらず、全ての設定情報をRAM14に格納するようになっていても良い。
【0121】
本実施の形態においては、移管先のプロセッサは、PDLオペレータが描画オペレータであるときに以降のPDLの処理を更に他のプロセッサに移管しない限り、描画OLをOLバッファ22に格納した後も以降のPDLの処理を継続するようになっているが、描画OLをOLバッファ22に格納した時点で移管元のプロセッサに以降のPDLの処理を移管するようになっていても良い。
【0122】
本実施の形態においては、図8において画像形成装置10がプロセッサを2つだけ備えている場合について説明しているが、画像形成装置10がプロセッサを3つ以上備えている場合についても同様である。
【0123】
本実施の形態においては、描画状態のON、OFFでアイドル状態を判断するようになっているが、他の方法によってアイドル状態を判断するようになっていても良い。例えば、プロセッサは、図5および図6に示す処理を行っている場合にアイドル状態ではないと判断し、図5および図6に示す処理を行っていない場合にアイドル状態であると判断するようになっていても良い。
【0124】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0125】
本実施の形態に係る画像形成装置の構成は、以下に述べる構成を除いて第1の実施の形態に係る画像形成装置10の構成と同様である。本実施の形態に係る画像形成装置の構成のうち画像形成装置10の構成と同様の構成については、画像形成装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0126】
図11は、本実施の形態に係る画像形成装置210のハードウェア構成図である。
【0127】
図11に示すように、画像形成装置210の構成は、画像形成装置10(図1参照。)がEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発メモリ211を備えた構成と同様である。
【0128】
図12は、本実施の形態に係る画像形成装置210の機能ブロック図である。
【0129】
なお、画像形成装置210の機能は、画像形成装置10の機能(図2参照。)に以下の機能が追加された機能である。図12には、追加された機能のみ示している。
【0130】
図12に示すように、画像形成装置210のプロセッサ12は、ROM13に記憶されているプログラムを実行することによって、移管条件受付手段221、移管条件書込手段222、移管条件取得手段223、移管条件通知手段224、及び、移管条件削除手段225として機能する。画像形成装置210が備える複数のプロセッサは、全てプロセッサ12と同じ構成を備える。
移管条件受付手段221は、更新のための移管条件情報32を画像形成装置210の外部から受け付ける。
移管条件書込手段222は、移管条件受付手段221によって受け付けられた移管条件情報32を各プロセッサのローカルメモリに書き込む。
移管条件取得手段223は、各プロセッサから移管条件情報32を取得する。
移管条件通知手段224は、移管条件取得手段223によって取得された移管条件情報32を画像形成装置210の外部に通知する。
移管条件削除手段225は、移管条件情報32の削除を実行する。
【0131】
また、ROM13は、デフォルトの移管条件情報32であるデフォルト移管条件情報32aを記憶しており、本発明のデフォルト移管条件メモリを構成している。
【0132】
また、不揮発メモリ211は、移管条件受付手段221によって受け付けられる移管条件情報32である更新用移管条件情報32bを記憶する。
【0133】
図13は、プロセッサ情報31を示す図である。
【0134】
図13に示すように、画像形成装置210のプロセッサ情報31は、画像形成装置10のプロセッサ情報31(図3参照。)にプロセッサのクロック数31eを追加した情報である。
【0135】
次に、画像形成装置210の動作について説明する。
【0136】
画像形成装置210は、第1の実施の形態において画像形成装置10について説明した動作に加えて以下の動作を実行することができる。
【0137】
図14(a)は、ROM13に記憶されているデフォルト移管条件情報32aの一例を示す図である。図14(b)は、不揮発メモリ211に記憶される更新用移管条件情報32bの一例を示す図である。
【0138】
図14(a)に示すデフォルト移管条件情報32aは、プロセッサaの閾値がベジェ曲線で1000パスであり、Strokeで10000パスであり、イメージで10000ピクセルであり、プロセッサbの閾値がベジェ曲線で500パスであり、Strokeで5000パスであり、イメージで5000ピクセルであることを示す情報である。図14(b)に示す更新用移管条件情報32bは、プロセッサaの閾値がベジェ曲線で500パスであり、Strokeで20000パスであり、イメージで80000ピクセルであり、プロセッサbの閾値がベジェ曲線で100パスであり、Strokeで50000パスであり、イメージで100000ピクセルであることを示す情報である。
【0139】
図15は、外部装置90としてのPCのモニタに表示される移管条件設定画面を示す図である。
【0140】
図15に示すように、移管条件設定画面には、不揮発メモリ211に書き込まれる更新用移管条件情報32bのファイル名が指定されるテキストボックス291aと、移管条件情報32の更新が実行されるときに押される実行ボタン291bと、移管条件情報32の確認のために画像形成装置210から通知される移管条件情報32のファイルの保存先フォルダが入力されるテキストボックス292aと、移管条件情報32の確認が実行されるときに押される実行ボタン292bと、全てのプロセッサの移管条件情報32がリセットされるときに選択されるラジオボタン293aと、移管条件情報32がリセットされるプロセッサが指定されるときに選択されるラジオボタン293bと、移管条件情報32がリセットされるプロセッサが指定されるためのリストボックス293cと、移管条件情報32のリセットが実行されるときに押される実行ボタン293dとが含まれている。ラジオボタン293aおよびラジオボタン293bは、常に何れか一方のみが選択された状態である。
【0141】
図16は、移管条件情報32の更新が実行されるときの画像形成装置210の動作のシーケンス図である。
【0142】
画像形成装置210の移管条件書込手段222は、画像形成装置210が起動されたときに不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが記憶されているか否かを判断し、不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが記憶されていない場合には、ROM13に記憶されているデフォルト移管条件情報32aをプロセッサa、プロセッサbのそれぞれのローカルメモリに割り当てる。つまり、プロセッサaのローカルメモリには、ベジェ曲線で1000パスであり、Strokeで10000パスであり、イメージで10000ピクセルであるプロセッサa用の移管条件情報32が書き込まれ、プロセッサbのローカルメモリには、ベジェ曲線で500パスであり、Strokeで5000パスであり、イメージで5000ピクセルであるプロセッサb用の移管条件情報32が書き込まれる。このようにして、画像形成装置210にデフォルト移管条件情報32aが適用されているものとする。
【0143】
図16に示すように、外部装置90は、利用者の指示に応じて図14(b)に示す更新用移管条件情報32bを作成する(S301)。
【0144】
次いで、利用者は、S301において作成された更新用移管条件情報32bのファイル名を図15に示す移管条件設定画面のテキストボックス291aに指定し、実行ボタン291bを押して移管条件情報32の更新を外部装置90に指示する。これによって、外部装置90は、更新用移管条件情報32bを画像形成装置210に送信して移管条件情報32の更新を要求する(S302)。
【0145】
画像形成装置210の移管条件受付手段221は、S302において外部装置90から送信されてきた更新用移管条件情報32bを受け付け(S303)、S303において受け付けた更新用移管条件情報32bを不揮発メモリ211に格納し(S304)、更新用移管条件情報32bの格納を完了したことを外部装置90に通知する(S305)。
【0146】
外部装置90は、S305における画像形成装置210からの通知を受け取ると、画像形成装置210の再起動を行う(S306)。
【0147】
画像形成装置210の移管条件書込手段222は、S306において画像形成装置210が再起動されると、不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが記憶されているか否かを判断し、不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが記憶されている場合には、不揮発メモリ211に格納されている更新用移管条件情報32bをプロセッサa、プロセッサbのそれぞれのローカルメモリに割り当てる(S307)。つまり、プロセッサaのローカルメモリには、ベジェ曲線で500パスであり、Strokeで20000パスであり、イメージで80000ピクセルであるプロセッサa用の移管条件情報32が書き込まれ、プロセッサbのローカルメモリには、ベジェ曲線で100パスであり、Strokeで50000パスであり、イメージで100000ピクセルであるプロセッサb用の移管条件情報32が書き込まれる。
【0148】
なお、移管条件書込手段222は、不揮発メモリ211に記憶されている更新用移管条件情報32bの対象となっているプロセッサのローカルメモリには、更新用移管条件情報32bを適用するが、更新用移管条件情報32bの対象となっていないプロセッサのローカルメモリには、ROM13に記憶されているデフォルト移管条件情報32aを適用する。
【0149】
以上においては、外部装置90が自動的に画像形成装置210の再起動を行うようになっているが、利用者が画像形成装置210の電源を手動で一旦オフにしてから再びオンにすることによって画像形成装置210を再起動しても良い。また、画像形成装置210がS304の処理の後に自ら再起動を行うようになっていても良い。
【0150】
図17は、移管条件情報32の確認が実行されるときの画像形成装置210の動作のシーケンス図である。
【0151】
利用者は、画像形成装置210に現在設定されている移管条件情報32を確認するため、移管条件情報32の保存先フォルダを図15に示す移管条件設定画面のテキストボックス292aに入力し、実行ボタン292bを押して移管条件情報32の確認を外部装置90に指示することができる。これによって、外部装置90は、図17に示すように、移管条件情報32の通知を画像形成装置210に要求する(S321)。
【0152】
画像形成装置210の移管条件取得手段223は、S321における外部装置90からの要求に応じて、各プロセッサのローカルメモリからプロセッサ情報31のクロック数31eと、移管条件情報32とを読み出し、読み出した情報に基づいて図18に示す通知用移管条件情報32cを生成することによって、通知用移管条件情報32cを取得する(S322)。通知用移管条件情報32cには、プロセッサ毎の移管条件情報32だけでなく、生成された日付、ファームウェアのバージョン、プロセッサ毎のクロック数などが含まれている。通知用移管条件情報32cのうち、プロセッサ毎の移管条件情報32以外の情報は、コメントアウトされている。
【0153】
画像形成装置210の移管条件通知手段224は、S322において取得された通知用移管条件情報32cを外部装置90に通知する(S323)。
【0154】
外部装置90は、S323において画像形成装置210から通知された通知用移管条件情報32cを、図15に示す移管条件設定画面のテキストボックス292aに入力されていた保存先フォルダに保存する(S324)。
【0155】
なお、S324において保存された通知用移管条件情報32cは、移管条件情報32を更新可能な画像形成装置であれば、画像形成装置210以外の画像形成装置においても使用されることができる。
【0156】
図19は、移管条件情報32のリセットが実行されるときの画像形成装置210の動作のシーケンス図である。
【0157】
利用者は、図15に示す移管条件設定画面のラジオボタン293aを選択して全てのプロセッサを指定するか、ラジオボタン293bを選択してリストボックス293cによって特定のプロセッサを指定し、実行ボタン293dを押して移管条件情報32のリセットを外部装置90に指示することができる。これによって、外部装置90は、図19に示すように、利用者によって指定されたプロセッサのIDとともに移管条件情報32のリセットの要求を画像形成装置210に送信する(S341)。
【0158】
画像形成装置210の移管条件削除手段225は、S341において外部装置90から要求を受信すると、受信したIDによって特定されるプロセッサ用の更新用移管条件情報32bを不揮発メモリ211から削除し(S342)、削除の完了を外部装置90に通知する(S343)。
【0159】
なお、不揮発メモリ211から更新用移管条件情報32bが削除されたことは、画像形成装置210の再起動後に動作に反映される。つまり、移管条件書込手段222は、不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが格納されているか否かをプロセッサ毎に確認し、不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが格納されていれば、その更新用移管条件情報32bをそのプロセッサのローカルメモリに書き込み、不揮発メモリ211に移管条件情報32が格納されていなければ、ROM13に記憶されているデフォルト移管条件情報32aをそのプロセッサのローカルメモリに書き込む。
【0160】
また、画像形成装置210は、S342の処理の後に自ら再起動を行うようになっていても良い。
【0161】
本実施の形態においては、画像形成装置210がプロセッサを2つだけ備えている場合について説明しているが、画像形成装置210がプロセッサを3つ以上備えている場合についても同様である。
【0162】
なお、以上においては、利用者が外部装置90としてのPC内のユーティリティソフトウェアを介して画像形成装置210を操作するようになっているが、利用者が画像形成装置210の操作パネル16を介して画像形成装置210を直接操作するようになっていても良い。利用者が画像形成装置210の操作パネル16を介して画像形成装置210を操作するようになっている場合、図15に示す移管条件設定画面は、操作パネル16に表示される。また、利用者が画像形成装置210の操作パネル16を介して画像形成装置210を操作するようになっている場合、移管条件受付手段221によって受け付けられる更新用移管条件情報32bは、予めUSBメモリなどの外部装置90に保存されているものでも良いし、利用者に操作パネル16から直接入力させるものでも良い。
【0163】
画像形成装置210は、第1の実施の形態において画像形成装置10について説明した効果に加えて以下に説明する効果を得ることができる。
【0164】
画像形成装置210は、画像形成装置210の外部から更新用移管条件情報32bを受け付ける移管条件受付手段221を備えているので、移管条件情報32の変更を容易化することができる。したがって、画像形成装置210は、例えば、描画OLの生成のアルゴリズムが改良されたことによって描画OLの生成の時間が大幅に短縮された場合や、製造後に最適な移管条件情報32が新たに発見された場合であっても、最適な移管条件情報32が適用されたファームウェアが新たに作成される必要がない。また、画像形成装置210は、例えば、最適な移管条件情報32が互いに異なる複数の機種があったとしても、移管条件情報32が異なるファームウェアが機種毎に作成される必要がない。なお、最適な移管条件情報32が互いに異なる複数の機種としては、例えば、800MHzのクロック数のプロセッサを搭載していた画像形成装置210と、800MHzのクロック数のプロセッサが生産中止になったために、代わりに500MHzのクロック数のプロセッサを搭載するようになった画像形成装置210とのようなものも含まれる。
【0165】
また、画像形成装置210は、移管条件受付手段221によって受け付けられた更新用移管条件情報32bを記憶する不揮発メモリ211と、起動時に不揮発メモリ211に記憶されている更新用移管条件情報32bをプロセッサのローカルメモリに書き込む移管条件書込手段222とを備えているので、起動後に更新用移管条件情報32bを反映することができる。
【0166】
また、画像形成装置210は、不揮発メモリ211に記憶されている更新用移管条件情報32bを画像形成装置210の外部からの要求に応じて不揮発メモリ211から削除する移管条件削除手段225を備えているので、変更された移管条件情報32を削除することができる。
【0167】
また、画像形成装置210は、起動時に不揮発メモリ211に更新用移管条件情報32bが記憶されていないとき、ROM13に記憶されているデフォルト移管条件情報32aをプロセッサのローカルメモリに書き込むので、変更された移管条件情報32を削除したときに、起動後にデフォルト移管条件情報32aを適用することができる。
【0168】
また、画像形成装置210は、プロセッサのローカルメモリから取得した移管条件情報32を画像形成装置210の外部に通知する移管条件通知手段224を備えているので、現在設定されている移管条件情報32を外部に通知することができる。
【0169】
(第3の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0170】
本実施の形態に係る画像形成装置の構成は、以下に述べる構成を除いて第2の実施の形態に係る画像形成装置210の構成と同様である。本実施の形態に係る画像形成装置の構成のうち画像形成装置210の構成と同様の構成については、画像形成装置210の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0171】
図20は、本実施の形態に係る画像形成装置410のハードウェア構成図である。
【0172】
図20に示すように、画像形成装置410の構成は、画像形成装置210(図11参照。)が時間を計るタイマー411を備えた構成と同様である。
【0173】
図21は、本実施の形態に係る画像形成装置410の機能ブロック図である。
【0174】
なお、画像形成装置410の機能は、画像形成装置10の機能(図2参照。)に以下の機能が追加された機能である。図21には、追加された機能のみ示している。
【0175】
図21に示すように、画像形成装置410のプロセッサ12は、ROM13に記憶されているプログラムを実行することによって、更新要求受付手段421、移管時間計測手段422、描画OL生成時間計測手段423、移管条件生成手段424、移管条件格納手段425、及び、移管条件通知手段426として機能する。画像形成装置410が備える複数のプロセッサは、全てプロセッサ12と同じ構成を備える。
更新要求受付手段421は、移管条件情報32の自動更新の要求を画像形成装置410の外部から受け付ける。
移管時間計測手段422は、タイマー411によって移管時間を計測する。
描画OL生成時間計測手段423は、プロセッサ毎に単独での描画OLの生成時間をタイマー411によって計測する。
移管条件生成手段424は、更新用の移管条件情報32である更新用移管条件情報32bを生成する。
移管条件格納手段425は、移管条件生成手段424によって生成された更新用移管条件情報32bを不揮発メモリ211に格納する。
移管条件通知手段426は、移管条件生成手段424によって生成された更新用移管条件情報32bを画像形成装置410の外部に通知する。
また、画像形成装置410のプロセッサ12は、ROM13に記憶されているプログラムを実行することによって、第2の実施の形態に係る画像形成装置210と同様に、移管条件受付手段221、移管条件書込手段222および移管条件削除手段225としても機能する。
【0176】
また、ROM13は、デフォルトの移管条件情報32であるデフォルト移管条件情報32aを記憶しており、本発明のデフォルト移管条件メモリを構成している。
【0177】
また、不揮発メモリ211は、更新用移管条件情報32bを記憶する。
【0178】
次に、画像形成装置410の動作について説明する。
【0179】
画像形成装置410は、第1の実施の形態において画像形成装置10について説明した動作に加えて以下の動作を実行することができる。
【0180】
図22は、外部装置90としてのPCのモニタに表示される移管条件設定画面を示す図である。
【0181】
図22に示すように、移管条件設定画面には、利用者の手動による移管条件情報32の更新が実行されるときに押される実行ボタン491aと、不揮発メモリ211に書き込まれる更新用移管条件情報32bのファイル名が指定されるテキストボックス491bと、全てのプロセッサの移管条件情報32のリセットが実行されるときに押される実行ボタン492aと、移管条件情報32の自動更新が実行されるときに押される実行ボタン493aと、イメージ、ベジェ曲線およびstrokeの全てに対して移管条件情報32が更新されるときに選択されるラジオボタン493bと、イメージに対して移管条件情報32が更新されるときに選択されるラジオボタン493cと、ベジェ曲線に対して移管条件情報32が更新されるときに選択されるラジオボタン493dと、strokeに対して移管条件情報32が更新されるときに選択されるラジオボタン493eと、移管条件情報32の自動更新の結果が表示される更新結果表示領域493fとが含まれている。ラジオボタン493b〜ラジオボタン493eは、常に何れか一方のみが選択された状態である。
【0182】
利用者は、更新したい移管条件情報32のファイル名を図22に示す移管条件設定画面のテキストボックス491bに指定し、実行ボタン491aを押して移管条件情報32の更新を外部装置90に指示する。利用者の手動による移管条件情報32の更新が実行されるときの画像形成装置410の動作については、第2の実施の形態に係る画像形成装置210の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0183】
利用者は、図22に示す移管条件設定画面の実行ボタン492aを押して移管条件情報32のリセットを外部装置90に指示することができる。全てのプロセッサの移管条件情報32のリセットが実行されるときの画像形成装置410の動作については、第2の実施の形態に係る画像形成装置210の動作と同様であるので、説明を省略する。
【0184】
図23は、自動による移管条件情報32の更新が実行されるときの画像形成装置410の動作のフローチャートである。
【0185】
利用者は、図22に示す移管条件設定画面のラジオボタン493b〜ラジオボタン493eの何れか1つを選択し、実行ボタン493aを押すことによって、移管条件情報32の自動更新を外部装置90に指示することができる。これによって、外部装置90は、移管条件情報32の自動更新を画像形成装置410に要求する。画像形成装置410は、移管条件情報32の自動更新が外部装置90から要求されると、図23に示す処理を開始する。
【0186】
図23に示すように、画像形成装置410の更新要求受付手段421は、移管条件情報32の自動更新の要求を受け付ける(S501)。
【0187】
次いで、移管時間計測手段422は、プロセッサaからプロセッサbにPDLの処理を実際に移管させ、そのときの時間をタイマー411によって計測することによって、プロセッサaからプロセッサbへの移管時間を計測する(S502)。なお、プロセッサbからプロセッサaへの移管時間は、プロセッサaからプロセッサbへの移管時間と同一である。
【0188】
次いで、描画OL生成時間計測手段423は、プロセッサ毎に単独での描画OLの生成時間をタイマー411によって計測する(S503)。ここで、描画OL生成時間計測手段423は、イメージ、ベジェ曲線およびstrokeのそれぞれに対して、テスト用のデータを使用する。例えば、イメージのテスト用のデータは、1000ピクセルのデータである。ベジェ曲線のテスト用のデータは、1000パスのデータである。strokeのテスト用のデータは、1000パスのデータである。また、描画OL生成時間計測手段423は、ラジオボタン493b〜ラジオボタン493eによって選択された描画の種類のみ、プロセッサ毎に単独での描画OLの生成時間を計測する。
【0189】
次いで、移管条件生成手段424は、S502において計測された移管時間と、S503において計測された描画OLの生成時間とに基づいて、更新用移管条件情報32bを生成する(S504)。例えば、移管時間が20msecであって、1000ピクセルのイメージに対するプロセッサa単独での描画OLの生成時間が10msecである場合、プロセッサaが単独で20msecの移管時間で2000ピクセルのイメージの描画OLを生成することができるので、移管条件生成手段424は、イメージに対するプロセッサaの移管条件情報32として、2000ピクセルという閾値を生成する。閾値は、描画OLの生成時間が移管時間未満または移管時間以下となる描画オペレータに対してPDLの処理が移管される必要がないと判定されるように設定されることが好ましい。
【0190】
次いで、移管条件格納手段425は、S504において生成された更新用移管条件情報32bを不揮発メモリ211に格納する(S505)。
【0191】
最後に、移管条件通知手段426は、S504において生成された更新用移管条件情報32bを外部装置90に通知し(S506)、図23に示す処理が終了する。外部装置90は、画像形成装置410からの通知に基づいて、図22に示す移管条件設定画面の更新結果表示領域493fに更新用移管条件情報32bを表示する。
【0192】
なお、不揮発メモリ211に格納された更新用移管条件情報32bは、画像形成装置410の再起動後に動作に反映される。つまり、移管条件書込手段222は、画像形成装置410の再起動後に、不揮発メモリ211に格納されている更新用移管条件情報32bを対応するプロセッサのローカルメモリに割り当てる。
【0193】
画像形成装置410は、S505の処理の後に自ら再起動を行うようになっていても良い。
【0194】
本実施の形態においては、画像形成装置410がプロセッサを2つだけ備えている場合について説明しているが、画像形成装置410がプロセッサを3つ以上備えている場合についても同様である。
【0195】
なお、以上においては、利用者が外部装置90としてのPC内のユーティリティソフトウェアを介して画像形成装置210を操作するようになっているが、利用者が画像形成装置410の操作パネル16を介して画像形成装置410を直接操作するようになっていても良い。利用者が画像形成装置410の操作パネル16を介して画像形成装置410を操作するようになっている場合、図22に示す移管条件設定画面は、操作パネル16に表示される。また、利用者が画像形成装置210の操作パネル16を介して画像形成装置210を操作するようになっている場合、移管条件受付手段221によって受け付けられる移管条件情報32は、予めUSBメモリなどの外部装置90に保存されているものでも良いし、利用者に操作パネル16から直接入力させるものでも良い。
【0196】
画像形成装置410は、第1の実施の形態において画像形成装置10について説明した効果に加えて以下に説明する効果を得ることができる。
【0197】
画像形成装置410は、自動で移管条件情報32を変更することができるので、利用者が手動で移管条件情報32を変更する構成と比較して、移管条件情報32の変更を容易化することができる。
【0198】
また、画像形成装置410は、テスト用のデータを使用して更新用移管条件情報32bを生成するので、実際の用紙への印刷の測定結果に基づいて更新用移管条件情報32bを生成する構成と比較して、用紙を節約することができる。
【符号の説明】
【0199】
10 画像形成装置
12 プロセッサ
12a ローカルメモリ(移管条件メモリ)
13 ROM(デフォルト移管条件メモリ)
32 移管条件情報
32a デフォルト移管条件情報(移管条件情報)
32b 更新用移管条件情報(移管条件情報)
32c 通知用移管条件情報(移管条件情報)
41 PDL解釈手段
43 OL生成手段
44 移管判定手段
46 処理移管手段
210 画像形成装置
211 不揮発メモリ
221 移管条件受付手段
222 移管条件書込手段
223 移管条件取得手段
224 移管条件通知手段
225 移管条件削除手段
410 画像形成装置
422 移管時間計測手段
423 描画OL生成時間計測手段
424 移管条件生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプロセッサと、
PDLの処理の移管の要否の判定の基準である移管条件情報を記憶する移管条件メモリとを備えており、
前記プロセッサのそれぞれは、
印刷データのPDLを解釈するPDL解釈手段と、
前記PDL解釈手段によって解釈されたPDLオペレータに基づいて印刷中間言語であるOLを生成するOL生成手段と、
前記PDLオペレータが描画OLを生成するための描画オペレータであるときに他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする処理移管手段と、
前記描画オペレータの処理内容と前記移管条件メモリに格納された前記移管条件情報とに基づいて前記移管の要否の判定をする移管判定手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサのそれぞれは、前記移管条件メモリを内蔵していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の外部から前記移管条件情報を受け付ける移管条件受付手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移管条件受付手段によって受け付けられた前記移管条件情報を記憶する不揮発メモリと、
前記画像形成装置の起動時に前記不揮発メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記移管条件メモリに書き込む移管条件書込手段とを備えており、
前記プロセッサのそれぞれは、前記移管条件メモリを内蔵していることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記不揮発メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記画像形成装置の外部からの要求に応じて前記不揮発メモリから削除する移管条件削除手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
デフォルトの前記移管条件情報を記憶しているデフォルト移管条件メモリを備えており、
前記移管条件書込手段は、前記画像形成装置の起動時に前記不揮発メモリに前記移管条件情報が記憶されていないとき、前記デフォルト移管条件メモリに記憶されている前記移管条件情報を前記移管条件メモリに書き込むことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記移管条件メモリから前記移管条件情報を取得する移管条件取得手段と、
前記移管条件取得手段によって取得された前記移管条件情報を前記画像形成装置の外部に通知する移管条件通知手段と
を備えていることを特徴とする請求項3から請求項6までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移管に要する時間である移管時間を計測する移管時間計測手段と、
前記プロセッサ毎に単独での前記描画OLの生成時間をテスト用のデータを使用して計測する描画OL生成時間計測手段と、
前記移管条件情報を生成する移管条件生成手段とを備えており、
前記移管条件生成手段は、前記移管時間計測手段によって計測された前記移管時間と、前記描画OL生成時間計測手段によって計測された前記生成時間とに基づいて、前記移管条件情報を生成することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数のプロセッサと、PDLの処理の移管の要否の判定の基準である移管条件情報を記憶する移管条件メモリとを備えている画像形成装置のプログラムであって、
印刷データのPDLを解釈するPDL解釈手段、
前記PDL解釈手段によって解釈されたPDLオペレータに基づいて印刷中間言語であるOLを生成するOL生成手段、
前記PDLオペレータが描画OLを生成するための描画オペレータであるときに他のプロセッサに以降のPDLの処理の移管をする処理移管手段、及び
前記描画オペレータの処理内容と前記移管条件メモリに格納された前記移管条件情報とに基づいて前記移管の要否の判定をする移管判定手段
として前記プロセッサのそれぞれを機能させることを特徴とする画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−53612(P2012−53612A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194916(P2010−194916)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】