画像形成装置および画像形成方法
【課題】複数のパターンを切り替えることによって中間階調の再現性を向上させることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置では、白細線の再現性を優先する場合には、低階調値の領域では階調値に対応したドットスクリーン中の白細線の太さが当該画像形成装置で白細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅よりも小さくなる階調値をしきい値として、入力画像の階調値が該しきい値を超えるとドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える(S308)。高階調値の領域では階調値に対応したラインスクリーン中の白細線の太さが再現可能な最小のライン幅よりも小さくなる階調値をしきい値として、入力画像の階調値が該しきい値を超えるとラインスクリーンを白抜きドットスクリーンに切り替える(S312)。
【解決手段】画像形成装置では、白細線の再現性を優先する場合には、低階調値の領域では階調値に対応したドットスクリーン中の白細線の太さが当該画像形成装置で白細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅よりも小さくなる階調値をしきい値として、入力画像の階調値が該しきい値を超えるとドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える(S308)。高階調値の領域では階調値に対応したラインスクリーン中の白細線の太さが再現可能な最小のライン幅よりも小さくなる階調値をしきい値として、入力画像の階調値が該しきい値を超えるとラインスクリーンを白抜きドットスクリーンに切り替える(S312)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置および画像形成方法に関し、特に、中間階調をより安定して再現することのできる画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置においては、紙媒体へ画像を形成するプロセスとして電子写真方式が採用されている。この電子写真方式では、露光装置を用いて感光体上(典型的には、感光体ドラムや感光体ベルト)に静電潜像を形成し、続いて、この静電潜像を現像することで画像が作られる。
【0003】
近年、電子写真方式に対する高画質化への要望が高まっている。たとえば、露光装置の改良により、静電潜像の解像度が2400dpi(dot per inch)までも向上している。
【0004】
一方で、このような解像度の向上とともに、プロセスの安定性の向上についても要望が高まっている。すなわち、解像度の向上とプロセスの安定性とは相反すると言われており、解像度を高めつつ、安定性を維持することが重要な技術的課題となっている。このようなプロセスの安定性は、中間階調の仕上がりに影響を与える。
【0005】
プロセスの安定性を図る技術として、たとえば、特開平5−161013号公報(以下、特許文献1)は、画質の安定を保つために、高濃度と低濃度とを繰り返したパターンをセンサで検知し、画像データの濃度を変調するデジタル記録装置を開示している。
【0006】
また、特開平5−328112号公報(以下、特許文献2)は、周辺画素の濃度状況からディザ処理を変更することで、処理対象の画像に濃度の偏りがあっても階調性を持った画像を復元できるディザ処理方法を開示している。
【0007】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、網点(ハーフトーン)手法を用いて、中間階調が再現される。このハーフトーン手法では、小さな点からなるパターン(ドットパターン)や細い線からなるパターン(ラインパターン)を用いて、その単位面積あたりの着色量(典型的には、トナー付着量)を制御することで、目的とする階調値を再現する。この単位面積あたりの着色量の制御では、複数の階調値にそれぞれ対応付けた複数のスクリーンを予め用意しておき、再現すべき濃度に応じてスクリーンが選択される。一般的なスクリーンは、着色すべき「付着領域」と着色すべきではない「非付着領域」とを所定周期で規則的に配置したものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−161013号公報
【特許文献2】特開平5−328112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電子写真方式においては、図8、9に示されたように、その特性上、極細線や小さな隙間を作像することが不得意であるため、解像度の向上させるためにスクリーンにおける線数を上げると、画像安定性が低下すると言われている。
【0010】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0011】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0012】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0013】
図10は、細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。左側から右側へ移るにつれて、細線および白抜き線の太さが太くなっている。この図から、電子写真では極細線や小さな隙間を表現するのは苦手であることがわかる。
【0014】
そのため、2400dpi解像度の潜像を形成できる露光装置を搭載する画像形成装置であっても、実際に2400dpi解像度の潜像形成は文字部に限定し、中間調を表現するハーフトーン部は、600dpi解像度の機種と同等のスクリーン線数で表現し、画像安定性の低下を防止している。
【0015】
上記のやり方では、画像形成装置の解像度を2400dpiまで高めても、文字再現性は向上するものの、中間調を表現するハーフトーン部のスクリーン線数は従来の600dpiの時と変わりなくなってしまう。すなわち、装置自体の高解像度化を行なってもハーフトーン部のスクリーン線数向上は厳しいままとなる。
【0016】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、解像度を向上させながら中間階調の再現性も向上させることができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、形成可能な最小値を記憶するための記憶手段と、スクリーンにおける一方の領域についての隣接する当該領域の間隔を算出するための算出手段と、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの上記領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択するための選択手段と、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するための作像手段とを備える。
【0018】
好ましくは、第1のパターンと第2のパターンとのうちの一方はドットパターンであり他方はラインパターンである。
【0019】
好ましくは、記憶手段は、形成可能な最小値として、白細線の再現に対応する第1の最小値と、黒細線の再現に対応する第2の最小値とを記憶する。
【0020】
好ましくは、選択手段は、切替後のパターンとして、隣接する第1の領域間の距離が、スクリーンパターンの切り替えを境に階調値が高い側の方が低い側に比べて大きくなるように、第2のパターンのスクリーンを選択する。
【0021】
好ましくは、白細線の再現性を黒細線の再現性よりも優先する場合、算出手段は、スクリーンにおける隣接する第2の領域の間隔を算出し、選択手段は、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとする。
【0022】
より好ましくは、入力画像の階調値の増加に伴って選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が減少して特定された形成可能な最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する。
【0023】
より好ましくは、入力画像の階調値の増加に伴って選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する。
【0024】
好ましくは、黒細線の再現性を白細線の再現性よりも優先する場合、算出手段は、スクリーンにおける隣接する第1の領域の間隔を算出し、選択手段は、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの第1の領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとする。
【0025】
より好ましくは、入力画像の階調値の減少に伴って選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの第1の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する。
【0026】
より好ましくは、入力画像の階調値の減少に伴って選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの第1の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する。
【0027】
好ましくは、選択手段は、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が上記最小値に相当するパターンを有するスクリーンに対応した階調値をしきい値として、入力画像の階調値としきい値とを比較してスクリーンパターンを決定し、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって決定されたパターンのスクリーンを選択する。
【0028】
好ましくは、選択手段は、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンを選択し、選択したスクリーンの第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとし、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択する。
【0029】
好ましくは、記憶手段は形成可能な最小値を再現性に影響する条件ごとに記憶し、画像形成装置は、再現性に影響する条件を取得し、当該条件に対応した形成可能な最小値を特定するための特定手段をさらに備える。
【0030】
より好ましくは、記憶手段は、形成可能な最小値をスクリーン角度ごとに記憶し、特定手段は、取得した再現性に影響する条件とスクリーン角度とに対応する再生可能な最小値を特定する。
【0031】
本発明の他の局面に従うと、画像形成方法は複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、記憶装置から、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、当該条件に対応した画像形成装置において形成可能な最小値を読み出すステップと、スクリーンにおける細線の幅を算出するステップと、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの一方の領域についての隣接する当該領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択するステップと、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップとを備える。
【発明の効果】
【0032】
この発明によると、スクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態に従う画像形成装置の構成概略図である。
【図2】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図でる。
【図3】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図4】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図5】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図6】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図7】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図8】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図9】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図10】細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。
【図11】この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。
【図12】本願発明者らによる、画像形成装置で安定して再現できる太さを調査した結果を表わした図である。
【図13】図11のパターン212を拡大して白細線の太さdを表わした図である。
【図14】実施の形態に従う画像形成装置内の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図15】実施の形態に従う画像形成装置の制御部における制御構造を示すブロック図である。
【図16】実施の形態に従う画像形成装置における画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態に従う画像形成装置における、スクリーンの切り替えのためのしきい値を算出する処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態に従う画像形成装置における、スクリーンの選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態にかかる画像形成装置におけるスクリーンの切り替えを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0035】
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。以下の例では、モノクロ機の複合機であるものとするが、本発明に関する画像形成装置はモノクロ機に限定されず、2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機でもよい。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの構成概略図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、像担持体としての、図中点線の矢印方向に回転駆動する感光体1と、感光体1と対向する位置に備えられる、感光体1を一様に帯電させるための帯電ローラ2と、感光体1と帯電ローラ2よりも回転方向に先で対抗する位置に備えられる現像ローラ5を含んだ現像装置4と、感光体1と現像ローラ5よりも回転方向に先であって、記録材の搬送経路(ペーパーパス)を間に挟んで感光体1と対向する位置に備えられる、転写器としての転写ローラ10と、記録材の搬送経路の感光体1および転写ローラ10の位置よりも下流側(搬送される方向の先)に位置に備えられる、搬送された記録材を加熱圧着させるための定着器12と、これらを制御するための制御部20とを有する。
【0037】
画像形成装置MFPは、さらに、図示しない露光器を有する。露光器としては、レーザやLED(Light Emitting Diode)などが該当する。露光器は、露光器からの露光3が、感光体1の回転方向に向かって帯電ローラ2と対向する位置から現像ローラ5と対向する位置までの間に照射されるような位置および角度で配置される。
【0038】
制御部20は処理対象の画像データに基づいて露光器に制御信号を出力することで、露光器は感光体1に向けて露光3を照射する。露光器からの露光3は、帯電ローラ2によって一様に帯電した感光体1の表面を露光する。感光体1上には、露光器からの露光3により静電潜像が形成される。
【0039】
現像装置4は、感光体1に近接した位置に配され、その内部にトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を蓄積する。現像装置4はその内部に供給スクリュー6aと攪拌スクリュー6bと規制部材7とを有する。
【0040】
攪拌スクリュー6bは現像装置4内のトナーとキャリアとを攪拌することで現像剤を摩擦荷電する。供給スクリュー6aは摩擦荷電された現像剤を現像ローラ5に供給する。規制部材7は、現像ローラ5への現像剤の搬送量を規制することで、現像ローラ5に供給される現像剤を規制する。
【0041】
現像ローラ5は、感光体1に接する位置で図中点線の矢印方向に回転駆動する。現像ローラ5が回転することにより、現像ローラ5に供給された現像剤は感光体1との最近接部である現像領域へと搬送される。そして、現像ローラ5に印加された電圧と感光体1上の静電潜像との間で形成される電界により、現像剤は現像ローラから感光体1へと移動して感光体1上の静電潜像を可視像(トナー像)へと現像する。現像領域を通過して現像に寄与せずに現像ローラ5上に残った現像剤は、剥離極により剥離され現像装置4へと回収される。
【0042】
画像形成装置MFPは図示しない記録材を供給するための給紙部を有する。タイミングローラ9は、供給部から給紙された記録材を、感光体1上の画像先端にタイミングを合わせて感光体1と転写ローラ10との間の転写領域に搬送する。感光体1上に形成されたトナー像は転写ローラ10により感光体1から剥離され記録材へと転写される。トナー像を保持した記録材は定着器12へと搬送され、ここで熱と圧力とが加えられてトナー像が記録材へと定着される。感光体1上に残った転写残りトナーはクリーニングブレード11により、感光体1から掻き取られる。
【0043】
なお、像担持体は図示したローラ形状の感光体でなく、ベルト形状の感光体でもよい。同様に、帯電器はローラ帯電方式ではなく、コロナ放電方式のチャージャや、ブレード、ブラシ、近接帯電部材等の他の帯電方式でもよい。その際の電圧印加はグリッドメッシュやブレード、ブラシ等により行なわれる。
【0044】
また、現像装置も図示した2成分現像方式ではなく、1成分やハイブリッド現像方式でもよい。
【0045】
また、転写器も、転写ローラを用いた転写方式ではなく転写チャージャや転写ベルト等を用いてもよいし、感光体から記録材へ直接トナー像を転写する直接転写方式でなく感光体と記録材との間に転写ローラ、転写ベルト等の中間転写体を配置した、2段階以上の転写を行なう方式でもよい。
【0046】
クリーニング方式もクリーニングブレードによる方式でなく、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはそれらの組み合わせによる複合クリーニング方式でもよい。または、クリーニング機構を廃し、現像器により転写残トナーの回収を行なうクリーナーレス方式でもよい。
【0047】
定着装置の定着方式も定着ローラを用いた定着方式でなく、定着ベルト等を用いた定着方式や非接触式の定着方式でもよい。
【0048】
また、画像形成装置MFPが2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機である場合、画像形成装置MFPの構成は図1と概ね同様であるが、感光体を4本配置したタンデム機や、感光体は1本であるが、現像装置を複数配置して、現像色を切り替える4サイクル機となる。
【0049】
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
【0050】
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。スクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数の網点化画像(スクリーン)が生成され、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応するスクリーンを生成して、そのスクリーンで表わされるパターンに従って記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当するパターンを表わすスクリーンが生成される。このようなパターンとしては、一般的には、「ドットパターン」または「ラインパターン」が採用される。
【0051】
図2および図3は、ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図であり、図4および図5は、ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。図2〜図5に示すように、各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、図2〜図5では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
【0052】
図2〜図5に示すように、複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。以下の説明において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
【0053】
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」と称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」と称する。
【0054】
図2および図3に示すように、「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。図4および図5に示すように、一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
【0055】
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図2に示すように、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、図3に示すように、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0056】
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図4に示すように、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、図5に示すように、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0057】
さらに、上述のドットスクリーンとラインスクリーンとを複合したスクリーン群が採用される場合もある。図6および図7は、ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【0058】
図6には、低階調側では、図2に示すドットスクリーンに類似したパターン変化を示す一方で、高階調側では、図4に示すラインスクリーンに類似したパターン変化を示すスクリーン群の例を示す。すなわち、図6に示すスクリーン群では、低階調側では、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には(すなわち、隣接するドット同士が接合した後には)、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が徐々に拡大する。
【0059】
また、図7には、図6に示すスクリーン群に比較してその高階調側の階調再現性を高めたスクリーン群が例示される。すなわち、図7に示すスクリーン群では、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が全体的に徐々に拡大する。さらに、ライン幅が所定値を超えると、ラインの一部の幅のみが徐々に拡大する。
【0060】
<電子写真方式における画像再現性>
上述したように、電子写真方式では、静電潜像をトナー像に現像するため、非常に細い線や小さな隙間を再現することは得意ではない。
【0061】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0062】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0063】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0064】
図10は、細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。左側から右側へ移るにつれて、細線および白抜き線の太さが太くなっている。この図から、電子写真では極細線や小さな隙間を表現するのは苦手であることがわかる。
【0065】
このように、電子写真方式では、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンについては、再現性が低下し得る。したがって、上述のような中間階調の再現処理に用いるスクリーン群についても、付着領域および非付着領域のいずれもができる限り狭くならないようにすることが好ましい。
【0066】
上述の図2〜図5に示すスクリーン群は、ドットまたはラインという基本的な形状を基本にして、面積率を単調増加させて再現する階調値を変化させている。そのため、ある階調値においては、1画素分の幅しかない付着領域および/または非付着領域が存在していることがわかる。
【0067】
また、図6に示すスクリーン群は、低階調側において、ドットスクリーンに類似した形態でドット径が拡大し、高階調側において、ラインスクリーンに類似した形態でライン幅が拡大するので、上述の図2〜図5に示すスクリーンに比較して、画像再現性の劣化を抑制することができる。さらに、図7に示すスクリーンは、高階調側において、非付着領域の幅を維持したまま、その長さが短くなるので、図6に示すスクリーンに比較して、高階調側における画像再現性の劣化を抑制することができる。
【0068】
<本実施の形態に従うスクリーン>
本実施の形態に従う画像形成装置MFPが中間階調の再現処理に用いる複数のスクリーン(以下「スクリーンセット」とも称す。)は、上述の図6や図7に示すスクリーン群に比較して、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避することで、中間階調をさらに高い安定性で再現する。
【0069】
図11は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。なお、本発明についての理解をより容易にするために、図11には、図2〜図7に示すスクリーンと対比可能なスクリーンを描画するが、本発明に係るスクリーンはこれに限られるものではない。
【0070】
図6および図7に示すスクリーン群では、図2〜図5に示すスクリーン群に比較して、幅の狭い付着領域および/または非付着領域を含むパターンが低減されているが、ある面積率において、間隔の狭い非付着領域が現れてしまうと、その間隔の狭い非付着領域が消滅することはあっても、非付着領域の間隔が広がることはない。
【0071】
たとえば、図7に示すスクリーン群では、ドットスクリーンに類似した形態から、ラインスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するドット同士が接合する。すなわち、各ドットでは、当該ドットのある一方に位置する隣接ドットに向かって付着領域が拡大することでラインが現れる。このラインが現れる直前には、隣接するドット間で、その幅の狭い隙間領域202が生じる。この隙間領域202は、隣接するドット同士が接合すると消滅する。なお、このとき、隙間領域202以外の非付着領域については、その幅は変化しない。
【0072】
また、図7に示すスクリーン群では、ラインスクリーンに類似した形態から、非付着領域についてのドットスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するライン同士の一部が接合する。すなわち、各ラインでは、当該ラインのある一方に位置する隣接ラインに向かって部分的にライン幅が拡大することで非付着領域についてのドットが現れる。この非付着領域についてのドットが現れる直前には、隣接するライン間で、その幅の狭い隙間領域204が生じる。この隙間領域204は、隣接するライン同士を接合する付着領域が延びることで消滅する。なお、このとき、隙間領域204以外の付着領域については、その幅は変化しない。
【0073】
これに対して、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、スクリーン全体の階調値には影響を与えることなく、上述のような隙間領域202および204の発生を防止することを可能にしている。概略すると、本実施の形態に従うスクリーンは、ある階調値において付着領域に設定される部分であっても、より高い階調値においては、非付着領域に設定され得る点において、上述の図2〜図7に示すスクリーンとは大きく相違している。すなわち、上述の図2〜図7に示すスクリーンでは、ある階調値において付着領域とされた部分については、それより高い階調値においては常に付着領域とされているが、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、このような付着領域および非付着領域についての制限を緩和して、よりフレキシブルなパターン変化を行なう。
【0074】
より具体的には、図11に示すスクリーンでは、ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーンという3つのスクリーンを順次切り替えることで、必要な濃度変化を生じさせる。すなわち、目的とする階調値が高くなるに従って、パターン211、パターン212、パターン213、パターン214、パターン215、パターン216、パターン217、パターン218の順で変化する。このうち、パターン211および212は、「ドットパターン」であり、パターン213、214および215は、「ラインパターン」であり、パターン216および217は、「白抜きドットパターン」である。
【0075】
本明細書において、「ドットスクリーン」は、上述したように、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域としたパターンを意味する。このドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「ドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ドットパターン」とも称す。
【0076】
また、「ラインスクリーン」は、上述したように、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンを意味する。このラインスクリーンは、階調値の増加に伴って、ドットスクリーンにおける規則とは独立した別の所定の規則(ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大)に従って付着領域が拡大するパターン変化を有する。なお、「ラインスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ラインパターン」とも称す。
【0077】
さらに、「白抜きドットスクリーン」は、非付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を付着領域としたパターンを意味する。この白抜きドットスクリーンは、階調値の減少に伴って非付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「白抜きドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「白抜きドットパターン」とも称す。
【0078】
図11において、より高い階調値への変化に伴って、特定の階調値でドットパターン(パターン212)からラインパターン(パターン213)へ切り替わる場合には、パターン212に示すドットを一方向にのみ拡大することでラインを生じさせるのではなく、ドットに含まれる一部分(領域205)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ドットの一部を隣接するドットの方向に拡大(領域206)させる。言い換えれば、ドットパターンを構成する領域205の付着領域を、領域206へ移動させることで、表現する階調値を増大する。なお、パターン212とパターン213との間では、面積率は一定となっているが、これは、表現される濃度がそのスクリーン種類(ドットパターンとラインパターンとの相違)に応じて異なるためである。すなわち、同じ面積率であっても、その値によっては、いずれかのスクリーン(この例では、ラインパターン)の方がより高い濃度として再現される場合があるからである。
【0079】
このようにドットパターンからラインパターンへの切り替え時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域202の発生を抑制できるとともに、ラインパターンへの切り替え後における非付着領域の線幅をより広くすることができる。
【0080】
また、さらに高い濃度への変化に伴って、ラインパターン(パターン215)から白抜きドットパターン(パターン216)へ切り替わる場合には、パターン215に示すラインの一部を一方向にのみ拡大することで白抜きドットを生じさせるのではなく、ラインに含まれる一部分(領域207)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ラインの一部を隣接するラインの方向に拡大(領域208)させる。言い換えれば、ラインパターンを構成する領域207の付着領域を、領域208へ移動させることで、再現する階調値を増大する。なお、パターン215とパターン216との間では、面積率は一定となっているが、これについても、上述したように再現される階調値がそのスクリーン種類(ラインパターンと白抜きドットパターンとの相違)に応じて異なるためである。このようにラインパターンから白抜きドットパターンへの切り替え時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域204の発生を抑制できるとともに、白抜きドット自体も2マス×2マスの大きさを維持できる。この白抜きドットの幅は、図7に示す非付着領域の幅より広くなっている。
【0081】
すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、入力画像の単位領域に対し、再現すべき階調値が第1しきい値(図11に示すパターン212によって再現される階調値とパターン213によって再現される階調値との中間値)より小さい場合には、第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)よりスクリーンが選択され、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連のラインスクリーン)よりスクリーンが選択される。また、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より大きい第2しきい値(図11に示すパターン215によって再現される階調値とパターン216によって再現される階調値との中間値)より大きい場合には第3スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)よりスクリーンが選択される。
【0082】
別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、再現すべき階調値の増加に伴って第1領域(トナー付着領域)を所定の方向に拡大するように、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)からスクリーンを選択(算出)する(たとえば、図11に示すパターン215の状態)。さらに、再現すべき階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーン選択元が当該第1スクリーン群から、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)に切り替える。切り替え時のスクリーンとしては、所定の方向において、当該第1パターン内の隣接する第1領域間の距離よりも、当該第2パターン内の第2領域の幅が大きいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図11に示すパターン216)。
【0083】
さらに別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(トナー非付着領域)を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、階調値の減少に伴って第2領域が所定の方向に拡大するように、第2スクリーン群からスクリーンが選択(算出)され(たとえば、図11に示すパターン215の状態)、その後、階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーンの選択元が第2スクリーン群から第1スクリーン群に切り替えられる。切り替え時のスクリーンとして、所定の方向において、第2パターン内の第2領域の幅よりも、第1パターン内の隣接する第1領域間の距離が小さいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図11に示すパターン216の状態)。
【0084】
上述のように切り替える場合には、切替前後において、第1スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図11に示すパターン212の状態)と、第2スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図11に示すパターン213の状態)とは、実質的に同じ階調値を有することが好ましい。
【0085】
また、切換前後において、同じ階調値を維持したまま、第1領域のトナー付着の制御対象の画素を第2領域におけるトナー付着の制御対象でない画素に置き換える再配置が実行されることが好ましい。たとえば、図11に示すパターン212の状態とパターン213の状態とを比較すると、第1領域(トナー付着領域)の数は維持されたまま、第2領域(トナー非付着領域)の一部が第1領域(トナー付着領域)に置き換えられていることがわかる。また、図11に示すパターン215の状態とパターン216の状態との間でも同様である。
【0086】
このように、本実施の形態においては、ある濃度において付着領域に設定される部分であっても、より高い濃度において非付着領域に設定する手法を用いてスクリーン切り替えを行なうことで、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避し、これによって、中間階調をより安定性を高めて再現できる。
【0087】
なお、図11においては、濃度が高くなるにつれて、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順でスクリーン切り替えを行なう構成について例示したが、切り替えロジックをより簡素化する観点から、ドットスクリーンとラインスクリーンとの間でのみスクリーン切り替えを行なう構成を採用してもよい。
【0088】
<スクリーン切り替え>
本願発明者らは、画像形成装置MFPで不得意な極細線や白抜き細線の太さがどの程度かを把握するため、画像形成装置MFPで図10に示された太さの異なる黒細線と白細線とが混在するパターンを作像し、安定して再現できる太さを調査した。図12は、本願発明者らによる調査結果を表わした図である。
【0089】
具体的には、作像環境条件として、温度10℃および湿度15%程度である「低温・低湿」環境、温度23℃および湿度65%程度である「通常」環境、ならびに温度30℃および湿度85%程度である「高温・高湿」環境の各条件下で細線の再現性を調査した。また、トナー帯電量の条件として、20μC/g程度である「低い」帯電量、30μC/g程度である「通常」の帯電量、および40μC/g程度である「高い」帯電量の各条件下で細線の再現性を調査した。また、装置の使用状況の条件として、作像可能量の20%程度しか使用されていない「新品」、およびほぼ作像可能量まで使用されている「耐久後」の各条件下で細線の再現性を調査した。また、図10は黒細線と白細線とを4本ずつ混在するパターンの例を表わしているが、本調査では8本ずつの混在するパターンを用いた。なお、図12に示された太さは、実際の出力画像の線の太さではなく、画像データにおける線の太さを示している。
【0090】
図12に示された本調査の結果から、調査に用いられた画像形成装置においては、細線の再現性は温度などの細線の再現性に影響する条件ごとに異なることがわかり、また、黒細線の再現性の特性と白細線の再現性の特性とが異なることがわかる。つまり、入力画像の再現時に白細線の再現性を優先するのか黒細線の再現性を優先するのかで、スクリーンを切り替えるタイミングが異なる場合がある。いずれの細線の再現性を優先するかは予め設定されていてもよいし、画像形成のたびに指定されるものであってもよい。
【0091】
従って、画像形成装置MFPは、図12に示された再現性の特性を予め記憶しておき、再現性に影響する条件に応じた該特性に基づいて再現可能な最小のライン幅Lを特定する。そして、再現対象の領域の階調値に対応して選択されるスクリーンにおける細線の太さdが特定された再現可能な最小のライン幅Lを下回ったときに、ドットスクリーンとラインスクリーンとを切り替える。これにより、安定した細線の再現性を確保する。
【0092】
なお、本調査では作像条件として、環境、トナー帯電量、および装置の使用状況の各条件を変化させて行なったが、これら以外の細線の再現性に影響する他の条件を変化させて調査してもよい。
【0093】
(白細線の再現性を優先する切り替え)
入力画像が、たとえば低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像であったり、たとえば白細線が多く含まれる画像のような低階調度の領域の再現が調度領域の領域の再現よりも優先される画像であったりする場合、再現可能な最小のライン幅Lは白細線の太さから決定される。そこで、細線の再現性に影響する条件に応じた図12の特性を参照して、細線の再現性に影響する条件がたとえば「低温・低湿」環境、「通常」の帯電量、および「新品」である場合、白細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅Lは50μmであると特定される。従って、この場合、画像形成装置MFPでは50μmをしきい値として、白細線の太さdが該しきい値を下回ったところをスクリーンの切り替え位置とする。
【0094】
この場合には低階調値側から比較する。低階調値領域では低階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現され、高階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現されるので、画像形成装置MFPは、低階調値側の領域を再現するのに用いているドットスクリーン中の白細線の太さdを算出する。
【0095】
たとえば、低階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン変化中のパターン212が選択された場合を挙げて説明する。図13は、図11のパターン212を拡大して白細線の太さdを表わした図である。この場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン212の白細線の太さdを算出する。図13を参照して、白細線の太さdは、中央のドットに注目すると矢印で示した部分の長さであるスクリーンパターンの白抜き部の最小長さに該当する。図13に示す1マスは画素を示しており、解像度が600dpiの場合は1画素の大きさは約42μmである。したがってこの場合は、d=42×2=84μmとなる。
【0096】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン212の白細線の太さd(84μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(50μm)とを比較する。その結果、階調値に対応して選択されたパターン212の白細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、画像形成装置MFPは、現在の階調においてはまだスクリーンを切り替える必要はないと判断し得る。
【0097】
再現する領域の階調値が上がると、再現に用いるドットスクリーン中のドットパターンがパターン212より濃度が濃くなり、各ドットが大きくなる。そうなると、図13の矢印で表わされた白抜き部の最小長さが小さくなる。そして、再現する対象の領域の階調値に従って選択したスクリーン中の白細線の太さdがd<Lの切り替えの条件を満たす太さに達すると、画像形成装置MFPは、その濃度(階調値)がドットスクリーンからラインスクリーンへの切り替え位置であると判断し、用いるスクリーンをラインスクリーンへ切り替える。
【0098】
同様に、入力画像が高階調値の画像である場合にも低階調値側から比較する。高階調値領域では低階調値側の領域はラインスクリーンを用いて再現され、高階調値側の領域は白抜きドットスクリーンを用いて再現されているので、たとえば、低階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン215が選択された場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン215の白細線の太さdを算出する。図11を参照してパターン215では白細線の太さdは1画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42μmとなる。
【0099】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン215の白細線の太さd(42μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(50μm)とを比較し、階調値に対応して選択されたパターン215の白細線の太さdがd<Lの切り替えの条件をすでに満たしていると判断し得る。
【0100】
この場合、現在の階調でのラインスクリーンからドットスクリーンへの切り替えは遅すぎると言え、より低階調値な階調、遅くとも、白細線太さが50μmとなる階調値で切り替えなければならい。
【0101】
このように、画像形成装置MFPは、入力画像の白細線の再現性を優先して再現する場合に、白細線の太さdが上述のd<Lの切り替えの条件を満たす階調値を切り替え位置を表わすしきい値として、ドットスクリーンからラインスクリーンまたはラインスクリーンから白抜きドットスクリーンへ切り替える。このようにすることで、図12の調査結果に示されるように、白細線がつぶれることなく再現できる。そのため、この場合のスクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0102】
(黒細線の再現性を優先する切り替え)
入力画像が、たとえば高階調値から低階調値へ連続的に変化する画像であったり、たとえば黒細線が多く含まれる画像のような高階調度の領域の再現が低階調度領域の領域の再現よりも優先される画像であったりする場合、再現可能な最小のライン幅Lは黒細線の太さから決定される。そこで、細線の再現性に影響する条件に応じた図12の特性を参照して、細線の再現性に影響する条件がたとえば「低温・低湿」環境、「通常」の帯電量、および「新品」である場合、黒細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅Lは40μmであることがわかる。従って、この場合、画像形成装置MFPでは40μmしきい値として、黒細線の太さdが該しきい値を下回ったところをスクリーンの切り替え位置とする。
【0103】
この場合には高階調値側から比較する。低階調値領域では高階調値側の領域がラインスクリーンを用いて再現され、低階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現されるので、画像形成装置MFPは、高階調値側の領域を再現するのに用いているラインスクリーン中の黒細線の太さdを算出する。
【0104】
たとえば、高階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン変化中のパターン213が選択された場合を挙げて説明する。この場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン213の黒細線の太さdを算出する。図11を参照して、パターン213の黒細線の太さdは1画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42μmとなる。
【0105】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン213の黒細線の太さd(42μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(40μm)とを比較する。その結果、階調値に対応して選択されたパターン213の黒細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、この場合画像形成装置MFPは、図11のパターン変化に示されたようにラインスクリーンからドットスクリーンへ切り替えてもよいし、再現する対象の領域の階調値がもう少し低階調値側となるまで切り替えず、ラインスクリーン中の黒細線の太さdが40μmとなってd<Lの切り替えの条件を満たした階調値となった時点で切り替えてもよい。
【0106】
同様に、入力画像が高階調値の画像である場合にも高階調値側から比較する。高階調値領域では高階調値側の領域は白抜きドットスクリーンを用いて再現され、低階調値側の領域はラインスクリーンを用いて再現されているので、たとえば、高階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン216が選択された場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン216の黒細線の太さdを算出する。図11を参照してパターン216では黒細線の太さdは2画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42×2=84μmとなる。
【0107】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン216の黒細線の太さd(84μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(40μm)とを比較する。その結果、現在使用しているパターン216の黒細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、この場合画像形成装置MFPは、図11のパターン変化に示されたように白抜きドットスクリーンからラインスクリーンへ切り替えてもよいし、もう少し低階調値側まで切り替えずに白抜きドットスクリーンを使用し、白抜きドットスクリーン中の黒細線の太さdが40μmとなってd<Lの切り替えの条件を満たした階調調値となった時点で切り替えてもよい。
【0108】
このように、画像形成装置MFPは、入力画像の黒細線の再現性を優先して再現する場合に、黒細線の太さdが上述のd<Lの切り替えの条件を満たす階調値を切り替え位置を表わすしきい値として、ラインスクリーンからドットスクリーンまたは白抜きドットスクリーンからラインスクリーンへ切り替える。このようにすることで、図12の調査結果に示されるように、黒細線がつぶれることなく再現できる。そのため、この場合のスクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0109】
(最小線幅Lに関する説明)
なお、電子写真では露光装置において、レーザ走査やLEDを多数並置させて潜像を形成するものが一般的であるため、図12に示された調査結果は、用いた画像形成装置が同じ画像形成装置であっても、その細線を作像する方向によって再現性の結果が異なる場合がある。細線を作像する方向、つまりスクリーン角度θは、再現モードから特定される。従って、好ましくは、本実施の形態に従う画像形成装置MFPはスクリーン角度θごとの図12に示されたような再現性の特定を記憶する。そして、画像形成装置MFPは、再現モードからスクリーン角度θを特定して用いる特性を読み込んで該特性から再現可能な最細ライン幅Lを特定する。再現対象の階調における細線の太さdが特定された再現可能な最細ライン幅Lを下回ったときにドットスクリーンとラインスクリーンとを切り替えるようにすることで、さらに再現性を向上させることができる。
【0110】
また、本実施例では画像形成装置MFPはモノクロ機であるものとしているが、2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機である場合、画像形成装置MFPは、さらに、色ごとに再現性の特定を記憶してもよい。そして、画像形成装置MFPは再現する対象の画像データに含まれる色を判断し、該当する色に対応した特性を読み込んで該特性から再現可能な最細ライン幅Lを特定する。
【0111】
<制御部の構成>
図14は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFP内の制御部20のハードウェア構成を示す模式図である。
【0112】
図14を参照して、制御部20は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
【0113】
制御部20では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
【0114】
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブや図示しないスキャナによって取得した画像情報などを蓄積する。
【0115】
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
【0116】
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
【0117】
<制御構造>
図15は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの制御部20における制御構造を示すブロック図である。
【0118】
図14を参照して、制御部20は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体1上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部20は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン選択部160と、切替判断部161と、スクリーン格納部162と、指令生成部166とを含む。
【0119】
画像再生の際には、再現モードがユーザ操作などによって制御部20に与えられる。再現モードとは再現性の度合いの規定を指す。たとえば、写真モードや文字モードなどが挙げられ、写真モードでは再現性が高く、文字モードでは再現性が低く規定される。再現モードにはスクリーン角度θが対応付けられている。
【0120】
スクリーン格納部162は、RAM104、EEPROM108、HDD110に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU102がプログラムをRAM104に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
【0121】
スクリーン格納部162には、階調値の再現に用いられるスクリーン群と、再現モードとスクリーン角度との対応関係と、図12に示された特性とが格納される。
【0122】
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
【0123】
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
【0124】
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
【0125】
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン選択部160へ出力する。
【0126】
切替判断部161は、スクリーン格納部162を参照して入力された再現モードに対応したスクリーン角度θを特定し、図12に示されたスクリーン角度ごとの再現性の特性の内から該スクリーン角度θに対応した特性を読み込む。また、図示しないセンサ等から、温度等の、細線の再現性に影響する条件を取得する。そして、切替判断部161は、読み込んだ特性と細線の再現性に影響する条件とに基づいて、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2をそれぞれ特定する。また、切替判断部161は、スクリーン格納部162に格納されているそれぞれのスクリーン中の白細線の太さおよび黒細線の太さを算出し、それと再現可能な最小のライン幅L1,L2とを比較して、上述の切替の条件に基づいて、白細線の再現性を優先する場合のドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th1、ラインスクリーンからドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)に切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th2、黒細線の再現性を優先する場合のラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th3、およびドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)からラインスクリーンに切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th4、のそれぞれを決定する。これら切り替え位置を表わす階調値のしきい値は、スクリーン選択部160に与えられる。
【0127】
スクリーン選択部160は、図示しない記憶領域に記憶されている再現モードを参照して、白細線の再現性を優先するのか黒細線の再現性を優先するのかを特定した上で、切替判断部161から与えられた階調値のしきい値のうちから用いるしきい値を選び、そのしきい値と入力された再現すべき濃度とを比較して、選択するスクリーンのパターンを決定する。そして、決定したパターン(ドットパターン、ラインパターン)を含んだスクリーンから階調値判断部158から受けた判断結果に基づいて、再現すべき濃度に応じたスクリーンを順次選択する。より具体的には、スクリーン選択部160は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンを参照して、再現すべき濃度に対応するスクリーンを決定する。そして、選択したスクリーンを画像領域に対してマッピングする。スクリーン選択部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
【0128】
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。その際、入力画像のうちの画像領域については、画素ごとの階調値を参照する。そして、この露光指令は露光器へ出力される。すなわち、この露光指令によって、生成されたスクリーンに従って画像形成処理が実行される。
【0129】
<処理手順>
図16は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、代表的に、制御部20のCPU102が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
【0130】
図16を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0131】
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
【0132】
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
【0133】
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS112)。
【0134】
CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において生成されたスクリーンおよび画像領域の画素値とに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を露光器へ出力する(ステップS116)。すると、露光器が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、処理は終了する。
【0135】
次に、図17を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける、スクリーンの切り替えのためのしきい値を算出する処理について説明する。この処理は、たとえば画像形成装置MFPの起動時や、所定枚数の印刷が行なわれた後や、再現モードが変更されたときなどの、所定の条件を満たしたときに実行される。
【0136】
図17を参照して、上記所定の条件が満たされて処理が開始されると、CPU102は、設定されている再現モードからスクリーン角度θを特定する(ステップS200)。そして、CPU102は、スクリーン角度ごとに記憶されている再現性の特性のうちから、特定されたスクリーン角度θに対応付けられている再現性の特性を読み込む(ステップS202)。
【0137】
また、CPU102は、作像環境条件やトナー帯電量の条件や装置の使用状況の条件など、再現性の特定に規定されている細線再現性に影響する各条件を、図示しないセンサ等から取得する(ステップS204)。そして、読み込まれた再現性の特性の上記条件を満たす値を参照して、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2を特定する(ステップS206)。
【0138】
また、CPU102は、格納されているスクリーンのそれぞれについて、黒細線の太さd1および白細線の太さd2を算出し、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1と黒細線の太さd1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2と白細線の太さd2とを比較することで、白細線の再現性を優先する場合のドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th1、ラインスクリーンからドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)に切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th2、黒細線の再現性を優先する場合のラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th3、およびドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)からラインスクリーンに切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th4、のそれぞれを決定する(ステップS208)。そして、処理は終了する。
【0139】
次に、図18を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンの選択処理(ステップS112)について説明する。
【0140】
図18を参照して、CPU102は、対象とする所定単位領域について、再現モードが白細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でYES)、低階調値領域である場合(ステップS302でYES)、再現すべき階調値とドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th1とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th1より小なる場合には(ステップS304でYES)、CPU102はドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したドットスクリーンを選択する(ステップS306)。再現すべきしきい値がしきい値Th1より大なる場合には(ステップS304でNO)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。
【0141】
再現モードが白細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でYES)、高階調値領域である場合(ステップS302でNO)、再現すべき階調値とラインスクリーンから白抜きドットスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th2とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th2より小なる場合には(ステップS310でYES)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。再現すべきしきい値がしきい値Th2より大なる場合には(ステップS310でNO)、CPU102は白抜きドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応した白抜きドットスクリーンを選択する(ステップS312)。
【0142】
再現モードが黒細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でNO)、低階調値領域である場合(ステップS314でYES)、再現すべき階調値とラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th3とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th3より小なる場合には(ステップS316でYES)、CPU102はドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したドットスクリーンを選択する(ステップS306)。再現すべきしきい値がしきい値Th3より大なる場合には(ステップS316でNO)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。
【0143】
再現モードが黒細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でNO)、高階調値領域である場合(ステップS314でNO)、再現すべき階調値と白抜きドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th4とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th4より小なる場合には(ステップS318でYES)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。再現すべきしきい値がしきい値Th4より大なる場合には(ステップS318でNO)、CPU102は白抜きドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応した白抜きドットスクリーンを選択する(ステップS312)。
【0144】
以上の処理を対象とする所定単位領域ごとに実行することで、全領域について用いるスクリーンが選択される。
【0145】
図19は、本実施の形態にかかる画像形成装置MFPにおけるスクリーンの切り替えを模式的に示した図であって、図19(A)は、階調値が低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合のスクリーンの切り替えを模式的に示した図であり、図19(B)は、階調値が高階調値から低階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合のスクリーンの切り替えを模式的に示した図である。本実施の形態にかかる画像形成装置MFPにおいて上述の処理が行なわれることで、階調値が低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合には、用いるスクリーンを、階調値が低階調値側からしきい値Th1に至るまではドットスクリーンとし、しきい値Th1を超えるとラインスクリーンに切り替え、さらにしきい値Th2を超えると白抜きドットスクリーンに切り替える(図19(A))。階調値が高階調値から低階調値に連続的に変化する画像を再現する場合には、用いるスクリーンを、階調値が高階調値側からしきい値Th4に至るまでは白抜きドットスクリーンとし、しきい値Th4を下回るとラインスクリーンに切り替え、さらにしきい値Th3を下回るとドットスクリーンに切り替える(図19(B))。このようにすることで、各スクリーン中の細線の太さが再現可能な最小のライン幅よりも大きくなるため、スクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0146】
[変形例]
上の例では、予めスクリーンを切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th1〜Th4が決定されており、再現する所定単位領域ごとに階調値としきい値とを比較することでスクリーンパターンを決定するものとしている。
【0147】
しかしながら、他の例として、再現する所定単位領域の階調値に応じてスクリーンを選択した上で、該スクリーンにおける黒細線の太さd1または白細線の太さd2を算出し、再現モードから特定されるスクリーン角度θに対応した再現性の特性から得られる再現可能な黒細線の最小のライン幅L1または白細線の最小のライン幅L2と比較することで、選択したスクリーンを切り替えるか否かを判断するようにしてもよい。
【0148】
この場合、CPU102は、予め、上述の再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および白細線の最小のライン幅L2をスクリーン角度θに対応した再現性の特性から取得しておけばよく、しきい値Th1〜Th4を決定する処理を不要とすることができる。
【0149】
上述の実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0150】
また、上述の実施の形態に従うCPUで実行されるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
【0151】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
1 感光体、2 帯電ローラ、3 露光、4 現像装置、5 現像ローラ、6a 供給スクリュー、6b 攪拌スクリュー、7 規制部材、9 タイミングローラ、10 転写ローラ、11 クリーニングブレード、12 定着器、20 制御部、104 RAM、106 ROM、112 外部通信I/F、114 内部通信I/F、116 内部バス、152 前処理部、154 領域分離部、156 文字処理部、158 階調値判断部、160 スクリーン選択部、161 切替判断部、162 スクリーン格納部、166 指令生成部、MFP 画像形成装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置および画像形成方法に関し、特に、中間階調をより安定して再現することのできる画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像形成装置においては、紙媒体へ画像を形成するプロセスとして電子写真方式が採用されている。この電子写真方式では、露光装置を用いて感光体上(典型的には、感光体ドラムや感光体ベルト)に静電潜像を形成し、続いて、この静電潜像を現像することで画像が作られる。
【0003】
近年、電子写真方式に対する高画質化への要望が高まっている。たとえば、露光装置の改良により、静電潜像の解像度が2400dpi(dot per inch)までも向上している。
【0004】
一方で、このような解像度の向上とともに、プロセスの安定性の向上についても要望が高まっている。すなわち、解像度の向上とプロセスの安定性とは相反すると言われており、解像度を高めつつ、安定性を維持することが重要な技術的課題となっている。このようなプロセスの安定性は、中間階調の仕上がりに影響を与える。
【0005】
プロセスの安定性を図る技術として、たとえば、特開平5−161013号公報(以下、特許文献1)は、画質の安定を保つために、高濃度と低濃度とを繰り返したパターンをセンサで検知し、画像データの濃度を変調するデジタル記録装置を開示している。
【0006】
また、特開平5−328112号公報(以下、特許文献2)は、周辺画素の濃度状況からディザ処理を変更することで、処理対象の画像に濃度の偏りがあっても階調性を持った画像を復元できるディザ処理方法を開示している。
【0007】
一般的に、電子写真方式の画像形成装置では、網点(ハーフトーン)手法を用いて、中間階調が再現される。このハーフトーン手法では、小さな点からなるパターン(ドットパターン)や細い線からなるパターン(ラインパターン)を用いて、その単位面積あたりの着色量(典型的には、トナー付着量)を制御することで、目的とする階調値を再現する。この単位面積あたりの着色量の制御では、複数の階調値にそれぞれ対応付けた複数のスクリーンを予め用意しておき、再現すべき濃度に応じてスクリーンが選択される。一般的なスクリーンは、着色すべき「付着領域」と着色すべきではない「非付着領域」とを所定周期で規則的に配置したものが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−161013号公報
【特許文献2】特開平5−328112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電子写真方式においては、図8、9に示されたように、その特性上、極細線や小さな隙間を作像することが不得意であるため、解像度の向上させるためにスクリーンにおける線数を上げると、画像安定性が低下すると言われている。
【0010】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0011】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0012】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0013】
図10は、細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。左側から右側へ移るにつれて、細線および白抜き線の太さが太くなっている。この図から、電子写真では極細線や小さな隙間を表現するのは苦手であることがわかる。
【0014】
そのため、2400dpi解像度の潜像を形成できる露光装置を搭載する画像形成装置であっても、実際に2400dpi解像度の潜像形成は文字部に限定し、中間調を表現するハーフトーン部は、600dpi解像度の機種と同等のスクリーン線数で表現し、画像安定性の低下を防止している。
【0015】
上記のやり方では、画像形成装置の解像度を2400dpiまで高めても、文字再現性は向上するものの、中間調を表現するハーフトーン部のスクリーン線数は従来の600dpiの時と変わりなくなってしまう。すなわち、装置自体の高解像度化を行なってもハーフトーン部のスクリーン線数向上は厳しいままとなる。
【0016】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、解像度を向上させながら中間階調の再現性も向上させることができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、形成可能な最小値を記憶するための記憶手段と、スクリーンにおける一方の領域についての隣接する当該領域の間隔を算出するための算出手段と、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの上記領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択するための選択手段と、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するための作像手段とを備える。
【0018】
好ましくは、第1のパターンと第2のパターンとのうちの一方はドットパターンであり他方はラインパターンである。
【0019】
好ましくは、記憶手段は、形成可能な最小値として、白細線の再現に対応する第1の最小値と、黒細線の再現に対応する第2の最小値とを記憶する。
【0020】
好ましくは、選択手段は、切替後のパターンとして、隣接する第1の領域間の距離が、スクリーンパターンの切り替えを境に階調値が高い側の方が低い側に比べて大きくなるように、第2のパターンのスクリーンを選択する。
【0021】
好ましくは、白細線の再現性を黒細線の再現性よりも優先する場合、算出手段は、スクリーンにおける隣接する第2の領域の間隔を算出し、選択手段は、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとする。
【0022】
より好ましくは、入力画像の階調値の増加に伴って選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が減少して特定された形成可能な最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する。
【0023】
より好ましくは、入力画像の階調値の増加に伴って選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの第2の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する。
【0024】
好ましくは、黒細線の再現性を白細線の再現性よりも優先する場合、算出手段は、スクリーンにおける隣接する第1の領域の間隔を算出し、選択手段は、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの第1の領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとする。
【0025】
より好ましくは、入力画像の階調値の減少に伴って選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの第1の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する。
【0026】
より好ましくは、入力画像の階調値の減少に伴って選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの第1の領域の間隔の最小値が減少して上記最小値に達すると、選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する。
【0027】
好ましくは、選択手段は、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が上記最小値に相当するパターンを有するスクリーンに対応した階調値をしきい値として、入力画像の階調値としきい値とを比較してスクリーンパターンを決定し、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって決定されたパターンのスクリーンを選択する。
【0028】
好ましくは、選択手段は、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンを選択し、選択したスクリーンの第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第2のパターンとし、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択する。
【0029】
好ましくは、記憶手段は形成可能な最小値を再現性に影響する条件ごとに記憶し、画像形成装置は、再現性に影響する条件を取得し、当該条件に対応した形成可能な最小値を特定するための特定手段をさらに備える。
【0030】
より好ましくは、記憶手段は、形成可能な最小値をスクリーン角度ごとに記憶し、特定手段は、取得した再現性に影響する条件とスクリーン角度とに対応する再生可能な最小値を特定する。
【0031】
本発明の他の局面に従うと、画像形成方法は複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、記憶装置から、第1の領域と第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、当該条件に対応した画像形成装置において形成可能な最小値を読み出すステップと、スクリーンにおける細線の幅を算出するステップと、複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの一方の領域についての隣接する当該領域の間隔が上記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、複数のスクリーンの中から入力画像の階調値に対応したスクリーンであって第2のパターンのスクリーンを選択するステップと、選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップとを備える。
【発明の効果】
【0032】
この発明によると、スクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施の形態に従う画像形成装置の構成概略図である。
【図2】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図でる。
【図3】ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図4】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図5】ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。
【図6】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図7】ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【図8】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図9】電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。
【図10】細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。
【図11】この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。
【図12】本願発明者らによる、画像形成装置で安定して再現できる太さを調査した結果を表わした図である。
【図13】図11のパターン212を拡大して白細線の太さdを表わした図である。
【図14】実施の形態に従う画像形成装置内の制御部のハードウェア構成を示す模式図である。
【図15】実施の形態に従う画像形成装置の制御部における制御構造を示すブロック図である。
【図16】実施の形態に従う画像形成装置における画像形成処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態に従う画像形成装置における、スクリーンの切り替えのためのしきい値を算出する処理の手順を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態に従う画像形成装置における、スクリーンの選択処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態にかかる画像形成装置におけるスクリーンの切り替えを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0035】
<画像形成装置の構成>
本発明は、電子写真方式の画像形成装置であればどのような装置にも適用できるものであり、具体的には、コピー機、レーザプリンタ、ファクシミリ、複合機(Multi Function Peripheral)などに適用される。以下では、本発明に係る画像形成装置の典型例として、複写機能、プリント機能、ファクシミリ機能、およびスキャナ機能といった複数の機能を搭載した複合機について説明する。以下の例では、モノクロ機の複合機であるものとするが、本発明に関する画像形成装置はモノクロ機に限定されず、2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機でもよい。
【0036】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの構成概略図である。図1を参照して、画像形成装置MFPは、像担持体としての、図中点線の矢印方向に回転駆動する感光体1と、感光体1と対向する位置に備えられる、感光体1を一様に帯電させるための帯電ローラ2と、感光体1と帯電ローラ2よりも回転方向に先で対抗する位置に備えられる現像ローラ5を含んだ現像装置4と、感光体1と現像ローラ5よりも回転方向に先であって、記録材の搬送経路(ペーパーパス)を間に挟んで感光体1と対向する位置に備えられる、転写器としての転写ローラ10と、記録材の搬送経路の感光体1および転写ローラ10の位置よりも下流側(搬送される方向の先)に位置に備えられる、搬送された記録材を加熱圧着させるための定着器12と、これらを制御するための制御部20とを有する。
【0037】
画像形成装置MFPは、さらに、図示しない露光器を有する。露光器としては、レーザやLED(Light Emitting Diode)などが該当する。露光器は、露光器からの露光3が、感光体1の回転方向に向かって帯電ローラ2と対向する位置から現像ローラ5と対向する位置までの間に照射されるような位置および角度で配置される。
【0038】
制御部20は処理対象の画像データに基づいて露光器に制御信号を出力することで、露光器は感光体1に向けて露光3を照射する。露光器からの露光3は、帯電ローラ2によって一様に帯電した感光体1の表面を露光する。感光体1上には、露光器からの露光3により静電潜像が形成される。
【0039】
現像装置4は、感光体1に近接した位置に配され、その内部にトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を蓄積する。現像装置4はその内部に供給スクリュー6aと攪拌スクリュー6bと規制部材7とを有する。
【0040】
攪拌スクリュー6bは現像装置4内のトナーとキャリアとを攪拌することで現像剤を摩擦荷電する。供給スクリュー6aは摩擦荷電された現像剤を現像ローラ5に供給する。規制部材7は、現像ローラ5への現像剤の搬送量を規制することで、現像ローラ5に供給される現像剤を規制する。
【0041】
現像ローラ5は、感光体1に接する位置で図中点線の矢印方向に回転駆動する。現像ローラ5が回転することにより、現像ローラ5に供給された現像剤は感光体1との最近接部である現像領域へと搬送される。そして、現像ローラ5に印加された電圧と感光体1上の静電潜像との間で形成される電界により、現像剤は現像ローラから感光体1へと移動して感光体1上の静電潜像を可視像(トナー像)へと現像する。現像領域を通過して現像に寄与せずに現像ローラ5上に残った現像剤は、剥離極により剥離され現像装置4へと回収される。
【0042】
画像形成装置MFPは図示しない記録材を供給するための給紙部を有する。タイミングローラ9は、供給部から給紙された記録材を、感光体1上の画像先端にタイミングを合わせて感光体1と転写ローラ10との間の転写領域に搬送する。感光体1上に形成されたトナー像は転写ローラ10により感光体1から剥離され記録材へと転写される。トナー像を保持した記録材は定着器12へと搬送され、ここで熱と圧力とが加えられてトナー像が記録材へと定着される。感光体1上に残った転写残りトナーはクリーニングブレード11により、感光体1から掻き取られる。
【0043】
なお、像担持体は図示したローラ形状の感光体でなく、ベルト形状の感光体でもよい。同様に、帯電器はローラ帯電方式ではなく、コロナ放電方式のチャージャや、ブレード、ブラシ、近接帯電部材等の他の帯電方式でもよい。その際の電圧印加はグリッドメッシュやブレード、ブラシ等により行なわれる。
【0044】
また、現像装置も図示した2成分現像方式ではなく、1成分やハイブリッド現像方式でもよい。
【0045】
また、転写器も、転写ローラを用いた転写方式ではなく転写チャージャや転写ベルト等を用いてもよいし、感光体から記録材へ直接トナー像を転写する直接転写方式でなく感光体と記録材との間に転写ローラ、転写ベルト等の中間転写体を配置した、2段階以上の転写を行なう方式でもよい。
【0046】
クリーニング方式もクリーニングブレードによる方式でなく、クリーニングブラシ、クリーニングローラ、またはそれらの組み合わせによる複合クリーニング方式でもよい。または、クリーニング機構を廃し、現像器により転写残トナーの回収を行なうクリーナーレス方式でもよい。
【0047】
定着装置の定着方式も定着ローラを用いた定着方式でなく、定着ベルト等を用いた定着方式や非接触式の定着方式でもよい。
【0048】
また、画像形成装置MFPが2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機である場合、画像形成装置MFPの構成は図1と概ね同様であるが、感光体を4本配置したタンデム機や、感光体は1本であるが、現像装置を複数配置して、現像色を切り替える4サイクル機となる。
【0049】
<中間階調の再現処理>
次に、電子写真方式の画像形成プロセスにおける中間階調の再現処理について説明する。上述したように、電子写真方式における画像形成プロセスでは、レーザビームなどを用いて、一様に帯電させた感光体の表面を再現すべき画像に応じて露光させることで、感光体上に静電潜像を形成し、さらに、この形成された静電潜像を現像部によってトナー像として現像する。すなわち、電子写真方式では、感光体の表面上でトナー像とすべき部分か否かを制御するのみであり、各部分の着色量(すなわち、トナー付着量)を連続的に制御することはできない。そこで、電子写真方式における中間階調は、網点(ハーフトーン)手法を用いて、単位面積あたりのトナーを付着すべき面積の比率(以下「面積率」とも称す。)を制御することで再現される。すなわち、小さな点や線からなる露光パターンに従って、露光装置による単位面積あたりの露光量を制御することで中間階調が再現される。一般的に、露光装置では、露光に用いられる光をオン/オフ時間を制御する、いわゆるパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)方式が採用されているため、本実施の形態においても、このパルス幅変調方式の露光装置を用いる構成について例示する。このパルス幅変調方式では、画像の濃度が低い(低階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に短くし、画像の濃度が高い(高階調値の)部分については発光時間の比率を相対的に長くする。
【0050】
より具体的には、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、いわゆるスクリーン技術を用いて中間階調を再現する。スクリーン技術では、複数の階調値にそれぞれ対応付けて複数の網点化画像(スクリーン)が生成され、入力画像に含まれる中間階調を有する単位領域毎にスクリーンに従って感光体の表面に対する露光パターンが制御される。すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、複数の階調値にそれぞれ対応するスクリーンを生成して、そのスクリーンで表わされるパターンに従って記録紙上にトナー画像を形成する。写真などを高精度で再現するためには、多数の階調値を再現可能にする必要があるため、目的とし得る階調値に相当するパターンを表わすスクリーンが生成される。このようなパターンとしては、一般的には、「ドットパターン」または「ラインパターン」が採用される。
【0051】
図2および図3は、ドットスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図であり、図4および図5は、ラインスクリーンにおける配置パターンの一例を示す図である。図2〜図5に示すように、各スクリーンは、着色すべき(トナーを付着すべき)領域である「第1領域(トナー付着領域)」と、着色すべきではない(トナーを付着すべきではない)領域である「第2領域(トナー非付着領域)」とにより定義された2値化パターンを有している。なお、図2〜図5では、第1領域(トナー付着領域)を「黒」で表現し、第2領域(トナー非付着領域)を「白」で表現しており、以下の図においても同様の表現方法を採用する。
【0052】
図2〜図5に示すように、複数のスクリーンの各々は、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(または、トナー付着領域)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(または、トナー非付着領域)とが定められたパターンを含む。以下の説明において、「第1領域」はトナーを付着させるための制御の対象となる画素または画素の集合体に対応し、「第2領域」はそれ以外の領域、すなわち、トナーを付着させるための制御の対象ではない画素または画素の集合体に対応する。
【0053】
なお、以下の説明では、第1領域(または、トナー付着領域)を単に「付着領域」と称し、第2領域(または、トナー非付着領域)を単に「非付着領域」と称する。
【0054】
図2および図3に示すように、「ドットスクリーン」は、典型的には、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域として配置したパターンを有する。図4および図5に示すように、一方、「ラインスクリーン」は、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンをもつ。
【0055】
このとき、プリント結果における粒状性(ざらつき)の少ない緻密な画像を再現するためには、スクリーン切替によって空間周波数を大きく変化させないことが好ましい。そのため、ドットスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図2に示すように、元のドットの周囲に他のドットを追加配置して集合させる方法、もしくは、図3に示すように、分散させてドットの配置数を増加させる方法が採用される。このように、ドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドットの集合体の拡大、または、分散したドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0056】
また、ラインスクリーンにおいて再現する濃度の階調値を増加させる場合には、図4に示すように、元のラインの中心位置を維持したまま、そのライン幅を広くする方法、もしくは、図5に示すように、ラインの配置数を分散させて増加させる方法が採用される。このように、ラインスクリーンでは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ライン幅の拡大、または、分散したラインの配置数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。
【0057】
さらに、上述のドットスクリーンとラインスクリーンとを複合したスクリーン群が採用される場合もある。図6および図7は、ドットスクリーンとラインスクリーンとの複合スクリーン群における配置パターンの一例を示す図である。
【0058】
図6には、低階調側では、図2に示すドットスクリーンに類似したパターン変化を示す一方で、高階調側では、図4に示すラインスクリーンに類似したパターン変化を示すスクリーン群の例を示す。すなわち、図6に示すスクリーン群では、低階調側では、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には(すなわち、隣接するドット同士が接合した後には)、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が徐々に拡大する。
【0059】
また、図7には、図6に示すスクリーン群に比較してその高階調側の階調再現性を高めたスクリーン群が例示される。すなわち、図7に示すスクリーン群では、再現すべき階調値が相対的に低い場合には、濃度の階調値が高くなるにつれてドット径が徐々に拡大し、ある面積率を超えた後には、階調値がさらに高くなるに従ってライン幅が全体的に徐々に拡大する。さらに、ライン幅が所定値を超えると、ラインの一部の幅のみが徐々に拡大する。
【0060】
<電子写真方式における画像再現性>
上述したように、電子写真方式では、静電潜像をトナー像に現像するため、非常に細い線や小さな隙間を再現することは得意ではない。
【0061】
図8および図9は、電子写真方式における画像再現性が悪化する状況を模式的に示した図である。なお、図8および図9には、トナー像を定着させた記録紙の断面図を模式的に示すが、そのサイズについては、実際のものとは必ずしも一致していない。
【0062】
図8に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅をもつ線状のトナー像を考える。トナー像を形成するための潜像がある程度の幅を有する場合には、潜像と現像ローラとの間の電界は、エッジ効果により電気力線の回り込みが生じても一定方向の電界となるため、トナー像はある程度安定して形成される。そのため、電荷を有するトナーの現像に際して、安定した現像を実行できる。しかし、潜像の有する幅が小さい場合は、現像領域に対してエッジ効果による電気力線の回り込みが顕著になり、電界の方向が安定しない傾向がある。そのため、狭い領域にトナーを安定して付着させることが困難となる。また定着においては、トナー像がある程度広い幅を有する場合には、トナーが一体化するため、記録紙に安定的に定着し得る。これに対して、トナー像が細い場合には、トナーの拡散などによって、記録紙に安定して定着できない場合がある。この場合には、線が「切れた」状態に見えたり、線が全く再現できなくなったりする。
【0063】
また、図9に示すように、主走査方向もしくは副走査方向に所定幅の隙間(トナーが存在すべきではない部分)をもつトナー像を考える。トナー像の隙間がある程度広い幅を有する場合には、隣接するトナーからの影響を受けたとしても、その隙間を維持することができる。これに対して、隙間が狭い場合には、隣接するトナーの拡散などによって、隙間が埋まってしまう場合がある。
【0064】
図10は、細線、白抜き線の太さを変えた画像データを実際に電子写真で作像した画像である。左側から右側へ移るにつれて、細線および白抜き線の太さが太くなっている。この図から、電子写真では極細線や小さな隙間を表現するのは苦手であることがわかる。
【0065】
このように、電子写真方式では、トナーを付着させる幅が狭いパターン、および、トナーを付着させない幅が狭いパターンについては、再現性が低下し得る。したがって、上述のような中間階調の再現処理に用いるスクリーン群についても、付着領域および非付着領域のいずれもができる限り狭くならないようにすることが好ましい。
【0066】
上述の図2〜図5に示すスクリーン群は、ドットまたはラインという基本的な形状を基本にして、面積率を単調増加させて再現する階調値を変化させている。そのため、ある階調値においては、1画素分の幅しかない付着領域および/または非付着領域が存在していることがわかる。
【0067】
また、図6に示すスクリーン群は、低階調側において、ドットスクリーンに類似した形態でドット径が拡大し、高階調側において、ラインスクリーンに類似した形態でライン幅が拡大するので、上述の図2〜図5に示すスクリーンに比較して、画像再現性の劣化を抑制することができる。さらに、図7に示すスクリーンは、高階調側において、非付着領域の幅を維持したまま、その長さが短くなるので、図6に示すスクリーンに比較して、高階調側における画像再現性の劣化を抑制することができる。
【0068】
<本実施の形態に従うスクリーン>
本実施の形態に従う画像形成装置MFPが中間階調の再現処理に用いる複数のスクリーン(以下「スクリーンセット」とも称す。)は、上述の図6や図7に示すスクリーン群に比較して、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避することで、中間階調をさらに高い安定性で再現する。
【0069】
図11は、この発明の実施の形態に従うスクリーンセットにおけるパターン変化の一例を示す図である。なお、本発明についての理解をより容易にするために、図11には、図2〜図7に示すスクリーンと対比可能なスクリーンを描画するが、本発明に係るスクリーンはこれに限られるものではない。
【0070】
図6および図7に示すスクリーン群では、図2〜図5に示すスクリーン群に比較して、幅の狭い付着領域および/または非付着領域を含むパターンが低減されているが、ある面積率において、間隔の狭い非付着領域が現れてしまうと、その間隔の狭い非付着領域が消滅することはあっても、非付着領域の間隔が広がることはない。
【0071】
たとえば、図7に示すスクリーン群では、ドットスクリーンに類似した形態から、ラインスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するドット同士が接合する。すなわち、各ドットでは、当該ドットのある一方に位置する隣接ドットに向かって付着領域が拡大することでラインが現れる。このラインが現れる直前には、隣接するドット間で、その幅の狭い隙間領域202が生じる。この隙間領域202は、隣接するドット同士が接合すると消滅する。なお、このとき、隙間領域202以外の非付着領域については、その幅は変化しない。
【0072】
また、図7に示すスクリーン群では、ラインスクリーンに類似した形態から、非付着領域についてのドットスクリーンに類似した形態に変化する段階において、隣接するライン同士の一部が接合する。すなわち、各ラインでは、当該ラインのある一方に位置する隣接ラインに向かって部分的にライン幅が拡大することで非付着領域についてのドットが現れる。この非付着領域についてのドットが現れる直前には、隣接するライン間で、その幅の狭い隙間領域204が生じる。この隙間領域204は、隣接するライン同士を接合する付着領域が延びることで消滅する。なお、このとき、隙間領域204以外の付着領域については、その幅は変化しない。
【0073】
これに対して、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、スクリーン全体の階調値には影響を与えることなく、上述のような隙間領域202および204の発生を防止することを可能にしている。概略すると、本実施の形態に従うスクリーンは、ある階調値において付着領域に設定される部分であっても、より高い階調値においては、非付着領域に設定され得る点において、上述の図2〜図7に示すスクリーンとは大きく相違している。すなわち、上述の図2〜図7に示すスクリーンでは、ある階調値において付着領域とされた部分については、それより高い階調値においては常に付着領域とされているが、本実施の形態に従うスクリーンセットでは、このような付着領域および非付着領域についての制限を緩和して、よりフレキシブルなパターン変化を行なう。
【0074】
より具体的には、図11に示すスクリーンでは、ドットスクリーン、ラインスクリーン、および白抜きドットスクリーンという3つのスクリーンを順次切り替えることで、必要な濃度変化を生じさせる。すなわち、目的とする階調値が高くなるに従って、パターン211、パターン212、パターン213、パターン214、パターン215、パターン216、パターン217、パターン218の順で変化する。このうち、パターン211および212は、「ドットパターン」であり、パターン213、214および215は、「ラインパターン」であり、パターン216および217は、「白抜きドットパターン」である。
【0075】
本明細書において、「ドットスクリーン」は、上述したように、付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を非付着領域としたパターンを意味する。このドットスクリーンは、階調値の増加に伴って付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「ドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ドットパターン」とも称す。
【0076】
また、「ラインスクリーン」は、上述したように、所定方向に延びる付着領域と非付着領域とを交互に線状に配置したパターンを意味する。このラインスクリーンは、階調値の増加に伴って、ドットスクリーンにおける規則とは独立した別の所定の規則(ライン幅の拡大、または、ラインの配置数の増大)に従って付着領域が拡大するパターン変化を有する。なお、「ラインスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「ラインパターン」とも称す。
【0077】
さらに、「白抜きドットスクリーン」は、非付着領域をマトリックス状に配置し、それ以外の部分を付着領域としたパターンを意味する。この白抜きドットスクリーンは、階調値の減少に伴って非付着領域が所定の規則(ドット径の拡大、または、ドット数の増大)に従って拡大するパターン変化を有する。なお、「白抜きドットスクリーン」に含まれる各スクリーンが有するパターンを「白抜きドットパターン」とも称す。
【0078】
図11において、より高い階調値への変化に伴って、特定の階調値でドットパターン(パターン212)からラインパターン(パターン213)へ切り替わる場合には、パターン212に示すドットを一方向にのみ拡大することでラインを生じさせるのではなく、ドットに含まれる一部分(領域205)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ドットの一部を隣接するドットの方向に拡大(領域206)させる。言い換えれば、ドットパターンを構成する領域205の付着領域を、領域206へ移動させることで、表現する階調値を増大する。なお、パターン212とパターン213との間では、面積率は一定となっているが、これは、表現される濃度がそのスクリーン種類(ドットパターンとラインパターンとの相違)に応じて異なるためである。すなわち、同じ面積率であっても、その値によっては、いずれかのスクリーン(この例では、ラインパターン)の方がより高い濃度として再現される場合があるからである。
【0079】
このようにドットパターンからラインパターンへの切り替え時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域202の発生を抑制できるとともに、ラインパターンへの切り替え後における非付着領域の線幅をより広くすることができる。
【0080】
また、さらに高い濃度への変化に伴って、ラインパターン(パターン215)から白抜きドットパターン(パターン216)へ切り替わる場合には、パターン215に示すラインの一部を一方向にのみ拡大することで白抜きドットを生じさせるのではなく、ラインに含まれる一部分(領域207)を付着領域から非付着領域に変化させるととともに、ラインの一部を隣接するラインの方向に拡大(領域208)させる。言い換えれば、ラインパターンを構成する領域207の付着領域を、領域208へ移動させることで、再現する階調値を増大する。なお、パターン215とパターン216との間では、面積率は一定となっているが、これについても、上述したように再現される階調値がそのスクリーン種類(ラインパターンと白抜きドットパターンとの相違)に応じて異なるためである。このようにラインパターンから白抜きドットパターンへの切り替え時に、付着領域を再配置することで、図7に示す隙間領域204の発生を抑制できるとともに、白抜きドット自体も2マス×2マスの大きさを維持できる。この白抜きドットの幅は、図7に示す非付着領域の幅より広くなっている。
【0081】
すなわち、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、入力画像の単位領域に対し、再現すべき階調値が第1しきい値(図11に示すパターン212によって再現される階調値とパターン213によって再現される階調値との中間値)より小さい場合には、第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)よりスクリーンが選択され、階調値が第1しきい値より大きい場合には第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連のラインスクリーン)よりスクリーンが選択される。また、本実施の形態に従う画像形成装置MFPでは、入力画像の単位領域に対し、階調値が第1しきい値より大きい第2しきい値(図11に示すパターン215によって再現される階調値とパターン216によって再現される階調値との中間値)より大きい場合には第3スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)よりスクリーンが選択される。
【0082】
別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、再現すべき階調値の増加に伴って第1領域(トナー付着領域)を所定の方向に拡大するように、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)からスクリーンを選択(算出)する(たとえば、図11に示すパターン215の状態)。さらに、再現すべき階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーン選択元が当該第1スクリーン群から、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)に切り替える。切り替え時のスクリーンとしては、所定の方向において、当該第1パターン内の隣接する第1領域間の距離よりも、当該第2パターン内の第2領域の幅が大きいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図11に示すパターン216)。
【0083】
さらに別の言い方をすれば、本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、トナー付着の制御対象となる画素で構成される第1領域(トナー付着領域)を定める第1パターンを有するスクリーンを複数含む第1スクリーン群(典型的には、上述したような一連のドットスクリーン)と、トナー付着の制御対象でない画素で構成される第2領域(トナー非付着領域)を定める第2パターンを有するスクリーンを複数含む第2スクリーン群(典型的には、上述したような一連の白抜きドットスクリーン)とを保持する。そして、階調値の減少に伴って第2領域が所定の方向に拡大するように、第2スクリーン群からスクリーンが選択(算出)され(たとえば、図11に示すパターン215の状態)、その後、階調値が所定のしきい値に到達した時に、スクリーンの選択元が第2スクリーン群から第1スクリーン群に切り替えられる。切り替え時のスクリーンとして、所定の方向において、第2パターン内の第2領域の幅よりも、第1パターン内の隣接する第1領域間の距離が小さいスクリーンが選択(算出)される(たとえば、図11に示すパターン216の状態)。
【0084】
上述のように切り替える場合には、切替前後において、第1スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図11に示すパターン212の状態)と、第2スクリーン群から選択(算出)されるスクリーン(たとえば、図11に示すパターン213の状態)とは、実質的に同じ階調値を有することが好ましい。
【0085】
また、切換前後において、同じ階調値を維持したまま、第1領域のトナー付着の制御対象の画素を第2領域におけるトナー付着の制御対象でない画素に置き換える再配置が実行されることが好ましい。たとえば、図11に示すパターン212の状態とパターン213の状態とを比較すると、第1領域(トナー付着領域)の数は維持されたまま、第2領域(トナー非付着領域)の一部が第1領域(トナー付着領域)に置き換えられていることがわかる。また、図11に示すパターン215の状態とパターン216の状態との間でも同様である。
【0086】
このように、本実施の形態においては、ある濃度において付着領域に設定される部分であっても、より高い濃度において非付着領域に設定する手法を用いてスクリーン切り替えを行なうことで、付着領域および/または非付着領域の幅が狭くなることを回避し、これによって、中間階調をより安定性を高めて再現できる。
【0087】
なお、図11においては、濃度が高くなるにつれて、ドットパターン、ラインパターン、白抜きドットパターンの順でスクリーン切り替えを行なう構成について例示したが、切り替えロジックをより簡素化する観点から、ドットスクリーンとラインスクリーンとの間でのみスクリーン切り替えを行なう構成を採用してもよい。
【0088】
<スクリーン切り替え>
本願発明者らは、画像形成装置MFPで不得意な極細線や白抜き細線の太さがどの程度かを把握するため、画像形成装置MFPで図10に示された太さの異なる黒細線と白細線とが混在するパターンを作像し、安定して再現できる太さを調査した。図12は、本願発明者らによる調査結果を表わした図である。
【0089】
具体的には、作像環境条件として、温度10℃および湿度15%程度である「低温・低湿」環境、温度23℃および湿度65%程度である「通常」環境、ならびに温度30℃および湿度85%程度である「高温・高湿」環境の各条件下で細線の再現性を調査した。また、トナー帯電量の条件として、20μC/g程度である「低い」帯電量、30μC/g程度である「通常」の帯電量、および40μC/g程度である「高い」帯電量の各条件下で細線の再現性を調査した。また、装置の使用状況の条件として、作像可能量の20%程度しか使用されていない「新品」、およびほぼ作像可能量まで使用されている「耐久後」の各条件下で細線の再現性を調査した。また、図10は黒細線と白細線とを4本ずつ混在するパターンの例を表わしているが、本調査では8本ずつの混在するパターンを用いた。なお、図12に示された太さは、実際の出力画像の線の太さではなく、画像データにおける線の太さを示している。
【0090】
図12に示された本調査の結果から、調査に用いられた画像形成装置においては、細線の再現性は温度などの細線の再現性に影響する条件ごとに異なることがわかり、また、黒細線の再現性の特性と白細線の再現性の特性とが異なることがわかる。つまり、入力画像の再現時に白細線の再現性を優先するのか黒細線の再現性を優先するのかで、スクリーンを切り替えるタイミングが異なる場合がある。いずれの細線の再現性を優先するかは予め設定されていてもよいし、画像形成のたびに指定されるものであってもよい。
【0091】
従って、画像形成装置MFPは、図12に示された再現性の特性を予め記憶しておき、再現性に影響する条件に応じた該特性に基づいて再現可能な最小のライン幅Lを特定する。そして、再現対象の領域の階調値に対応して選択されるスクリーンにおける細線の太さdが特定された再現可能な最小のライン幅Lを下回ったときに、ドットスクリーンとラインスクリーンとを切り替える。これにより、安定した細線の再現性を確保する。
【0092】
なお、本調査では作像条件として、環境、トナー帯電量、および装置の使用状況の各条件を変化させて行なったが、これら以外の細線の再現性に影響する他の条件を変化させて調査してもよい。
【0093】
(白細線の再現性を優先する切り替え)
入力画像が、たとえば低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像であったり、たとえば白細線が多く含まれる画像のような低階調度の領域の再現が調度領域の領域の再現よりも優先される画像であったりする場合、再現可能な最小のライン幅Lは白細線の太さから決定される。そこで、細線の再現性に影響する条件に応じた図12の特性を参照して、細線の再現性に影響する条件がたとえば「低温・低湿」環境、「通常」の帯電量、および「新品」である場合、白細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅Lは50μmであると特定される。従って、この場合、画像形成装置MFPでは50μmをしきい値として、白細線の太さdが該しきい値を下回ったところをスクリーンの切り替え位置とする。
【0094】
この場合には低階調値側から比較する。低階調値領域では低階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現され、高階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現されるので、画像形成装置MFPは、低階調値側の領域を再現するのに用いているドットスクリーン中の白細線の太さdを算出する。
【0095】
たとえば、低階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン変化中のパターン212が選択された場合を挙げて説明する。図13は、図11のパターン212を拡大して白細線の太さdを表わした図である。この場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン212の白細線の太さdを算出する。図13を参照して、白細線の太さdは、中央のドットに注目すると矢印で示した部分の長さであるスクリーンパターンの白抜き部の最小長さに該当する。図13に示す1マスは画素を示しており、解像度が600dpiの場合は1画素の大きさは約42μmである。したがってこの場合は、d=42×2=84μmとなる。
【0096】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン212の白細線の太さd(84μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(50μm)とを比較する。その結果、階調値に対応して選択されたパターン212の白細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、画像形成装置MFPは、現在の階調においてはまだスクリーンを切り替える必要はないと判断し得る。
【0097】
再現する領域の階調値が上がると、再現に用いるドットスクリーン中のドットパターンがパターン212より濃度が濃くなり、各ドットが大きくなる。そうなると、図13の矢印で表わされた白抜き部の最小長さが小さくなる。そして、再現する対象の領域の階調値に従って選択したスクリーン中の白細線の太さdがd<Lの切り替えの条件を満たす太さに達すると、画像形成装置MFPは、その濃度(階調値)がドットスクリーンからラインスクリーンへの切り替え位置であると判断し、用いるスクリーンをラインスクリーンへ切り替える。
【0098】
同様に、入力画像が高階調値の画像である場合にも低階調値側から比較する。高階調値領域では低階調値側の領域はラインスクリーンを用いて再現され、高階調値側の領域は白抜きドットスクリーンを用いて再現されているので、たとえば、低階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン215が選択された場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン215の白細線の太さdを算出する。図11を参照してパターン215では白細線の太さdは1画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42μmとなる。
【0099】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン215の白細線の太さd(42μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(50μm)とを比較し、階調値に対応して選択されたパターン215の白細線の太さdがd<Lの切り替えの条件をすでに満たしていると判断し得る。
【0100】
この場合、現在の階調でのラインスクリーンからドットスクリーンへの切り替えは遅すぎると言え、より低階調値な階調、遅くとも、白細線太さが50μmとなる階調値で切り替えなければならい。
【0101】
このように、画像形成装置MFPは、入力画像の白細線の再現性を優先して再現する場合に、白細線の太さdが上述のd<Lの切り替えの条件を満たす階調値を切り替え位置を表わすしきい値として、ドットスクリーンからラインスクリーンまたはラインスクリーンから白抜きドットスクリーンへ切り替える。このようにすることで、図12の調査結果に示されるように、白細線がつぶれることなく再現できる。そのため、この場合のスクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0102】
(黒細線の再現性を優先する切り替え)
入力画像が、たとえば高階調値から低階調値へ連続的に変化する画像であったり、たとえば黒細線が多く含まれる画像のような高階調度の領域の再現が低階調度領域の領域の再現よりも優先される画像であったりする場合、再現可能な最小のライン幅Lは黒細線の太さから決定される。そこで、細線の再現性に影響する条件に応じた図12の特性を参照して、細線の再現性に影響する条件がたとえば「低温・低湿」環境、「通常」の帯電量、および「新品」である場合、黒細線の太さに着目した場合の再現可能な最小のライン幅Lは40μmであることがわかる。従って、この場合、画像形成装置MFPでは40μmしきい値として、黒細線の太さdが該しきい値を下回ったところをスクリーンの切り替え位置とする。
【0103】
この場合には高階調値側から比較する。低階調値領域では高階調値側の領域がラインスクリーンを用いて再現され、低階調値側の領域がドットスクリーンを用いて再現されるので、画像形成装置MFPは、高階調値側の領域を再現するのに用いているラインスクリーン中の黒細線の太さdを算出する。
【0104】
たとえば、高階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン変化中のパターン213が選択された場合を挙げて説明する。この場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン213の黒細線の太さdを算出する。図11を参照して、パターン213の黒細線の太さdは1画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42μmとなる。
【0105】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン213の黒細線の太さd(42μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(40μm)とを比較する。その結果、階調値に対応して選択されたパターン213の黒細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、この場合画像形成装置MFPは、図11のパターン変化に示されたようにラインスクリーンからドットスクリーンへ切り替えてもよいし、再現する対象の領域の階調値がもう少し低階調値側となるまで切り替えず、ラインスクリーン中の黒細線の太さdが40μmとなってd<Lの切り替えの条件を満たした階調値となった時点で切り替えてもよい。
【0106】
同様に、入力画像が高階調値の画像である場合にも高階調値側から比較する。高階調値領域では高階調値側の領域は白抜きドットスクリーンを用いて再現され、低階調値側の領域はラインスクリーンを用いて再現されているので、たとえば、高階調値側の領域を再現するために該階調値に応じて図11のパターン216が選択された場合、画像形成装置MFPは、階調値に対応したパターン216の黒細線の太さdを算出する。図11を参照してパターン216では黒細線の太さdは2画素分であるため、解像度が600dpiの場合はd=42×2=84μmとなる。
【0107】
画像形成装置MFPは、算出された階調値に対応して選択されたパターン216の黒細線の太さd(84μm)としきい値である再現可能な最小のライン幅L(40μm)とを比較する。その結果、現在使用しているパターン216の黒細線の太さdはd>Lとなりd<Lの切り替えの条件を満たしていない。そのため、この場合画像形成装置MFPは、図11のパターン変化に示されたように白抜きドットスクリーンからラインスクリーンへ切り替えてもよいし、もう少し低階調値側まで切り替えずに白抜きドットスクリーンを使用し、白抜きドットスクリーン中の黒細線の太さdが40μmとなってd<Lの切り替えの条件を満たした階調調値となった時点で切り替えてもよい。
【0108】
このように、画像形成装置MFPは、入力画像の黒細線の再現性を優先して再現する場合に、黒細線の太さdが上述のd<Lの切り替えの条件を満たす階調値を切り替え位置を表わすしきい値として、ラインスクリーンからドットスクリーンまたは白抜きドットスクリーンからラインスクリーンへ切り替える。このようにすることで、図12の調査結果に示されるように、黒細線がつぶれることなく再現できる。そのため、この場合のスクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0109】
(最小線幅Lに関する説明)
なお、電子写真では露光装置において、レーザ走査やLEDを多数並置させて潜像を形成するものが一般的であるため、図12に示された調査結果は、用いた画像形成装置が同じ画像形成装置であっても、その細線を作像する方向によって再現性の結果が異なる場合がある。細線を作像する方向、つまりスクリーン角度θは、再現モードから特定される。従って、好ましくは、本実施の形態に従う画像形成装置MFPはスクリーン角度θごとの図12に示されたような再現性の特定を記憶する。そして、画像形成装置MFPは、再現モードからスクリーン角度θを特定して用いる特性を読み込んで該特性から再現可能な最細ライン幅Lを特定する。再現対象の階調における細線の太さdが特定された再現可能な最細ライン幅Lを下回ったときにドットスクリーンとラインスクリーンとを切り替えるようにすることで、さらに再現性を向上させることができる。
【0110】
また、本実施例では画像形成装置MFPはモノクロ機であるものとしているが、2色以上のカラー機や4色以上のトナーを用意したフルカラー機である場合、画像形成装置MFPは、さらに、色ごとに再現性の特定を記憶してもよい。そして、画像形成装置MFPは再現する対象の画像データに含まれる色を判断し、該当する色に対応した特性を読み込んで該特性から再現可能な最細ライン幅Lを特定する。
【0111】
<制御部の構成>
図14は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFP内の制御部20のハードウェア構成を示す模式図である。
【0112】
図14を参照して、制御部20は、処理部であるCPU(Central Processing Unit)102と、記憶部であるRAM(Random Access Memory)104、ROM(Read Only Memory)106、EEPROM(Electrical Erasable and Programmable Read Only Memory)108、およびHDD(Hard Disk Drive)110と、通信部である外部通信I/F(インターフェイス:Interface)112および内部通信I/F114とを含む。なお、これらの部位は、内部バス116を介して互いに接続される。
【0113】
制御部20では、CPU102が、ROM106などに予め格納されている各種処理を実行するためのプログラムをRAM104などに展開して実行することで、画像形成装置MFPが制御される。
【0114】
RAM104は、揮発性メモリであり、ワークメモリとして使用される。より具体的には、RAM104には、実行されるプログラム自体に加えて、処理対象の画像データや各種変数データが一時的に格納される。EEPROM108は、典型的には不揮発性の半導体メモリであり、画像形成装置MFPのIPアドレスやネットワークドメインなどを各種設定値を記憶する。HDD110は、典型的には不揮発性の磁気メモリであり、画像処理装置から受信した印刷ジョブや図示しないスキャナによって取得した画像情報などを蓄積する。
【0115】
外部通信I/F112は、典型的にはイーサネット(登録商標)といった汎用的な通信プロトコルをサポートし、ネットワークNWを介してパーソナルコンピュータPCや他の画像形成装置との間でデータ通信を提供する。
【0116】
内部通信I/F114は、操作パネルなどと接続され、操作パネルに対するユーザ操作に応じた信号を受信して、CPU102へ伝送するとともに、CPU102からの命令に従って、操作パネルにメッセージなどを表示するために必要な信号を送信する。
【0117】
<制御構造>
図15は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPの制御部20における制御構造を示すブロック図である。
【0118】
図14を参照して、制御部20は、プリント対象の入力画像に応じた静電潜像を感光体1上に形成するために露光装置へ与える指令(露光指令)を出力する。より具体的には、制御部20は、その制御構造として、前処理部152と、領域分離部154と、文字処理部156と、階調値判断部158と、スクリーン選択部160と、切替判断部161と、スクリーン格納部162と、指令生成部166とを含む。
【0119】
画像再生の際には、再現モードがユーザ操作などによって制御部20に与えられる。再現モードとは再現性の度合いの規定を指す。たとえば、写真モードや文字モードなどが挙げられ、写真モードでは再現性が高く、文字モードでは再現性が低く規定される。再現モードにはスクリーン角度θが対応付けられている。
【0120】
スクリーン格納部162は、RAM104、EEPROM108、HDD110に含まれる所定の領域として提供される。その他の部位は、典型的に、CPU102がプログラムをRAM104に展開し、各コマンドを実行することで提供される。
【0121】
スクリーン格納部162には、階調値の再現に用いられるスクリーン群と、再現モードとスクリーン角度との対応関係と、図12に示された特性とが格納される。
【0122】
前処理部152は、プリント対象の入力画像に対して、色補正などの前処理を行なう。この前処理部152によって処理された入力画像は、領域分離部154へ出力される。
【0123】
領域分離部154は、前処理部152から受けた入力画像を文字領域と画像領域とに分離する。基本的に、文字領域は、中間階調として再現する必要がない部分であり、画像領域は、中間階調として再現する必要がある部分である。領域分離部154によって分離された文字領域の情報は、文字処理部156へ出力され、画像領域の情報は、階調値判断部158へ出力される。
【0124】
文字処理部156は、領域分離部154から受けた文字領域の情報に対して、輪郭強調処理などの文字に適した処理を行なう。そして、文字処理部156は、処理結果を指令生成部166へ出力する。
【0125】
階調値判断部158は、領域分離部154から受けた画像領域の情報に基づいて、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断する。そして、階調値判断部158は、その判断結果をスクリーン選択部160へ出力する。
【0126】
切替判断部161は、スクリーン格納部162を参照して入力された再現モードに対応したスクリーン角度θを特定し、図12に示されたスクリーン角度ごとの再現性の特性の内から該スクリーン角度θに対応した特性を読み込む。また、図示しないセンサ等から、温度等の、細線の再現性に影響する条件を取得する。そして、切替判断部161は、読み込んだ特性と細線の再現性に影響する条件とに基づいて、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2をそれぞれ特定する。また、切替判断部161は、スクリーン格納部162に格納されているそれぞれのスクリーン中の白細線の太さおよび黒細線の太さを算出し、それと再現可能な最小のライン幅L1,L2とを比較して、上述の切替の条件に基づいて、白細線の再現性を優先する場合のドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th1、ラインスクリーンからドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)に切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th2、黒細線の再現性を優先する場合のラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th3、およびドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)からラインスクリーンに切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th4、のそれぞれを決定する。これら切り替え位置を表わす階調値のしきい値は、スクリーン選択部160に与えられる。
【0127】
スクリーン選択部160は、図示しない記憶領域に記憶されている再現モードを参照して、白細線の再現性を優先するのか黒細線の再現性を優先するのかを特定した上で、切替判断部161から与えられた階調値のしきい値のうちから用いるしきい値を選び、そのしきい値と入力された再現すべき濃度とを比較して、選択するスクリーンのパターンを決定する。そして、決定したパターン(ドットパターン、ラインパターン)を含んだスクリーンから階調値判断部158から受けた判断結果に基づいて、再現すべき濃度に応じたスクリーンを順次選択する。より具体的には、スクリーン選択部160は、スクリーン格納部162に格納されているスクリーンを参照して、再現すべき濃度に対応するスクリーンを決定する。そして、選択したスクリーンを画像領域に対してマッピングする。スクリーン選択部160は、マッピング結果を指令生成部166へ出力する。
【0128】
指令生成部166は、文字処理部156から受けた処理結果およびスクリーン選択部160から受けたマッピング結果を合成することで、入力画像に対応する露光指令を生成する。その際、入力画像のうちの画像領域については、画素ごとの階調値を参照する。そして、この露光指令は露光器へ出力される。すなわち、この露光指令によって、生成されたスクリーンに従って画像形成処理が実行される。
【0129】
<処理手順>
図16は、この発明の実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける画像形成処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、代表的に、制御部20のCPU102が予め格納されたプログラムを読込んで実行することで提供される。
【0130】
図16を参照して、まず、CPU102は、画像形成処理の開始が指示されたか否かを判断する(ステップS100)。画像形成処理の開始が指示されていない場合(ステップS100においてNOの場合)には、CPU102は、ステップS100の処理を繰り返す。
【0131】
画像形成処理の開始が指示された場合(ステップS100においてYESの場合)には、CPU102は、入力画像を受付ける(ステップS102)。具体的には、CPU102は、原稿のスキャンを実行させる。あるいは、CPU102は、HDD110などから指定された画像データを読出す。
【0132】
続いて、CPU102は、受付けた入力画像に対して前処理を実行し(ステップS104)、さらに、前処理後の入力画像を文字領域と画像領域とに分離する(ステップS106)。その後、CPU102は、ステップS106において分離した文字領域について、必要な処理を行なう(ステップS108)。
【0133】
並行して、CPU102は、ステップS106において分離した画像領域について、所定単位領域ごとに再現すべき階調値を判断し(ステップS110)、この判断結果に基づいて、各単位領域に用いるべきスクリーンを選択する(ステップS112)。
【0134】
CPU102は、ステップS108において出力された処理結果と、ステップS112において生成されたスクリーンおよび画像領域の画素値とに基づいて、入力画像に対応する露光指令を生成し(ステップS114)、その生成した露光指令を露光器へ出力する(ステップS116)。すると、露光器が、その露光指令に基づく、画像形成処理を実行する。そして、処理は終了する。
【0135】
次に、図17を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおける、スクリーンの切り替えのためのしきい値を算出する処理について説明する。この処理は、たとえば画像形成装置MFPの起動時や、所定枚数の印刷が行なわれた後や、再現モードが変更されたときなどの、所定の条件を満たしたときに実行される。
【0136】
図17を参照して、上記所定の条件が満たされて処理が開始されると、CPU102は、設定されている再現モードからスクリーン角度θを特定する(ステップS200)。そして、CPU102は、スクリーン角度ごとに記憶されている再現性の特性のうちから、特定されたスクリーン角度θに対応付けられている再現性の特性を読み込む(ステップS202)。
【0137】
また、CPU102は、作像環境条件やトナー帯電量の条件や装置の使用状況の条件など、再現性の特定に規定されている細線再現性に影響する各条件を、図示しないセンサ等から取得する(ステップS204)。そして、読み込まれた再現性の特性の上記条件を満たす値を参照して、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2を特定する(ステップS206)。
【0138】
また、CPU102は、格納されているスクリーンのそれぞれについて、黒細線の太さd1および白細線の太さd2を算出し、再現可能な黒細線の最小のライン幅L1と黒細線の太さd1および再現可能な白細線の最小のライン幅L2と白細線の太さd2とを比較することで、白細線の再現性を優先する場合のドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th1、ラインスクリーンからドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)に切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th2、黒細線の再現性を優先する場合のラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する低階調値領域での階調値Th3、およびドットスクリーン(白抜きドットスクリーン)からラインスクリーンに切り替える位置に相当する高階調値領域での階調値Th4、のそれぞれを決定する(ステップS208)。そして、処理は終了する。
【0139】
次に、図18を参照して、本実施の形態に従う画像形成装置MFPにおけるスクリーンの選択処理(ステップS112)について説明する。
【0140】
図18を参照して、CPU102は、対象とする所定単位領域について、再現モードが白細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でYES)、低階調値領域である場合(ステップS302でYES)、再現すべき階調値とドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th1とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th1より小なる場合には(ステップS304でYES)、CPU102はドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したドットスクリーンを選択する(ステップS306)。再現すべきしきい値がしきい値Th1より大なる場合には(ステップS304でNO)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。
【0141】
再現モードが白細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でYES)、高階調値領域である場合(ステップS302でNO)、再現すべき階調値とラインスクリーンから白抜きドットスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th2とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th2より小なる場合には(ステップS310でYES)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。再現すべきしきい値がしきい値Th2より大なる場合には(ステップS310でNO)、CPU102は白抜きドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応した白抜きドットスクリーンを選択する(ステップS312)。
【0142】
再現モードが黒細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でNO)、低階調値領域である場合(ステップS314でYES)、再現すべき階調値とラインスクリーンからドットスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th3とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th3より小なる場合には(ステップS316でYES)、CPU102はドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したドットスクリーンを選択する(ステップS306)。再現すべきしきい値がしきい値Th3より大なる場合には(ステップS316でNO)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。
【0143】
再現モードが黒細線の再現性を優先するものである場合であって(ステップS300でNO)、高階調値領域である場合(ステップS314でNO)、再現すべき階調値と白抜きドットスクリーンからラインスクリーンに切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th4とを比較する。その結果、再現すべき階調値がしきい値Th4より小なる場合には(ステップS318でYES)、CPU102はラインスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応したラインスクリーンを選択する(ステップS308)。再現すべきしきい値がしきい値Th4より大なる場合には(ステップS318でNO)、CPU102は白抜きドットスクリーンを用いて再現すると判断し、再現すべき階調値に対応した白抜きドットスクリーンを選択する(ステップS312)。
【0144】
以上の処理を対象とする所定単位領域ごとに実行することで、全領域について用いるスクリーンが選択される。
【0145】
図19は、本実施の形態にかかる画像形成装置MFPにおけるスクリーンの切り替えを模式的に示した図であって、図19(A)は、階調値が低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合のスクリーンの切り替えを模式的に示した図であり、図19(B)は、階調値が高階調値から低階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合のスクリーンの切り替えを模式的に示した図である。本実施の形態にかかる画像形成装置MFPにおいて上述の処理が行なわれることで、階調値が低階調値から高階調値へ連続的に変化する画像を再現する場合には、用いるスクリーンを、階調値が低階調値側からしきい値Th1に至るまではドットスクリーンとし、しきい値Th1を超えるとラインスクリーンに切り替え、さらにしきい値Th2を超えると白抜きドットスクリーンに切り替える(図19(A))。階調値が高階調値から低階調値に連続的に変化する画像を再現する場合には、用いるスクリーンを、階調値が高階調値側からしきい値Th4に至るまでは白抜きドットスクリーンとし、しきい値Th4を下回るとラインスクリーンに切り替え、さらにしきい値Th3を下回るとドットスクリーンに切り替える(図19(B))。このようにすることで、各スクリーン中の細線の太さが再現可能な最小のライン幅よりも大きくなるため、スクリーンパターンの再現性を向上させることができ、良好なハーフトーン画像を再現することができる。
【0146】
[変形例]
上の例では、予めスクリーンを切り替える位置に相当する階調値のしきい値Th1〜Th4が決定されており、再現する所定単位領域ごとに階調値としきい値とを比較することでスクリーンパターンを決定するものとしている。
【0147】
しかしながら、他の例として、再現する所定単位領域の階調値に応じてスクリーンを選択した上で、該スクリーンにおける黒細線の太さd1または白細線の太さd2を算出し、再現モードから特定されるスクリーン角度θに対応した再現性の特性から得られる再現可能な黒細線の最小のライン幅L1または白細線の最小のライン幅L2と比較することで、選択したスクリーンを切り替えるか否かを判断するようにしてもよい。
【0148】
この場合、CPU102は、予め、上述の再現可能な黒細線の最小のライン幅L1および白細線の最小のライン幅L2をスクリーン角度θに対応した再現性の特性から取得しておけばよく、しきい値Th1〜Th4を決定する処理を不要とすることができる。
【0149】
上述の実施の形態に係るプログラムによって実現される機能の一部または全部を専用のハードウェアによって構成してもよい。
【0150】
また、上述の実施の形態に従うCPUで実行されるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。したがって、このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明に係るプログラムに含まれ得る。
【0151】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0152】
1 感光体、2 帯電ローラ、3 露光、4 現像装置、5 現像ローラ、6a 供給スクリュー、6b 攪拌スクリュー、7 規制部材、9 タイミングローラ、10 転写ローラ、11 クリーニングブレード、12 定着器、20 制御部、104 RAM、106 ROM、112 外部通信I/F、114 内部通信I/F、116 内部バス、152 前処理部、154 領域分離部、156 文字処理部、158 階調値判断部、160 スクリーン選択部、161 切替判断部、162 スクリーン格納部、166 指令生成部、MFP 画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
前記複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、
前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、形成可能な最小値を記憶するための記憶手段と、
前記スクリーンにおける前記一方の領域についての隣接する当該領域の間隔を算出するための算出手段と、
前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの前記領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択するための選択手段と、
前記選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するための作像手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のパターンと前記第2のパターンとのうちの一方はドットパターンであり他方はラインパターンである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値として、白細線の再現に対応する第1の最小値と、黒細線の再現に対応する第2の最小値とを記憶する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、切替後のパターンとして、隣接する前記第1の領域間の距離が、前記スクリーンパターンの切り替えを境に階調値が高い側の方が低い側に比べて大きくなるように、前記第2のパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
白細線の再現性を黒細線の再現性よりも優先する場合、
前記算出手段は、前記スクリーンにおける隣接する前記第2の領域の間隔を算出し、
前記選択手段は、前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの前記第2の領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとする、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力画像の階調値の増加に伴って前記選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの前記第2の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記入力画像の階調値の増加に伴って前記選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの前記第2の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する、請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
黒細線の再現性を白細線の再現性よりも優先する場合、
前記算出手段は、前記スクリーンにおける隣接する前記第1の領域の間隔を算出し、
前記選択手段は、前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの前記第1の領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとする、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記入力画像の階調値の減少に伴って前記選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの前記第1の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記入力画像の階調値の減少に伴って前記選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの前記第1の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する、請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が前記最小値に相当するパターンを有するスクリーンに対応した階調値をしきい値として、前記入力画像の階調値と前記しきい値とを比較してスクリーンパターンを決定し、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記決定されたパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応した、前記第1のパターンを有するスクリーンを選択し、前記選択したスクリーンの前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとし、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値を再現性に影響する条件ごとに記憶し、
再現性に影響する条件を取得し、当該条件に対応した前記形成可能な最小値を特定するための特定手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値をスクリーン角度ごとに記憶し、
前記特定手段は、前記取得した再現性に影響する条件と前記スクリーン角度とに対応する前記再生可能な最小値を特定する、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、
前記複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、
記憶装置から、前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、当該条件に対応した前記画像形成装置において形成可能な最小値を読み出すステップと、
前記スクリーンにおける細線の幅を算出するステップと、
前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの前記一方の領域についての隣接する当該領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択するステップと、
前記選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップとを備える、画像形成方法。
【請求項1】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成装置であって、
前記複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、
前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、形成可能な最小値を記憶するための記憶手段と、
前記スクリーンにおける前記一方の領域についての隣接する当該領域の間隔を算出するための算出手段と、
前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの前記領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択するための選択手段と、
前記選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するための作像手段とを備える、画像形成装置。
【請求項2】
前記第1のパターンと前記第2のパターンとのうちの一方はドットパターンであり他方はラインパターンである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値として、白細線の再現に対応する第1の最小値と、黒細線の再現に対応する第2の最小値とを記憶する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記選択手段は、切替後のパターンとして、隣接する前記第1の領域間の距離が、前記スクリーンパターンの切り替えを境に階調値が高い側の方が低い側に比べて大きくなるように、前記第2のパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
白細線の再現性を黒細線の再現性よりも優先する場合、
前記算出手段は、前記スクリーンにおける隣接する前記第2の領域の間隔を算出し、
前記選択手段は、前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの前記第2の領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとする、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力画像の階調値の増加に伴って前記選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの前記第2の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記入力画像の階調値の増加に伴って前記選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの前記第2の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する、請求項5または6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
黒細線の再現性を白細線の再現性よりも優先する場合、
前記算出手段は、前記スクリーンにおける隣接する前記第1の領域の間隔を算出し、
前記選択手段は、前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応したスクリーンの前記第1の領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとする、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記入力画像の階調値の減少に伴って前記選択手段で選択されたドットパターンを有するスクリーンの前記第1の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをラインパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したラインパターンを有するスクリーンを選択する、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記入力画像の階調値の減少に伴って前記選択手段で選択されたラインパターンを有するスクリーンの前記第1の領域の間隔の最小値が減少して前記最小値に達すると、前記選択手段はスクリーンのパターンをドットパターンとし、前記複数のスクリーンのうちの前記入力画像の階調値に対応したドットパターンを有するスクリーンを選択する、請求項8または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記選択手段は、前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が前記最小値に相当するパターンを有するスクリーンに対応した階調値をしきい値として、前記入力画像の階調値と前記しきい値とを比較してスクリーンパターンを決定し、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記決定されたパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応した、前記第1のパターンを有するスクリーンを選択し、前記選択したスクリーンの前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について、隣接する当該領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第2のパターンとし、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択する、請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値を再現性に影響する条件ごとに記憶し、
再現性に影響する条件を取得し、当該条件に対応した前記形成可能な最小値を特定するための特定手段をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記記憶手段は、前記形成可能な最小値をスクリーン角度ごとに記憶し、
前記特定手段は、前記取得した再現性に影響する条件と前記スクリーン角度とに対応する前記再生可能な最小値を特定する、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
複数の階調値にそれぞれ対応する複数のスクリーンのうちからスクリーンを選択して記録紙上にトナー画像を形成する電子写真方式の画像形成方法であって、
前記複数のスクリーンの各々は、トナーを付着するべき領域である第1の領域とトナーを付着するべきでない領域である第2の領域とが定められたパターンを含み、
記憶装置から、前記第1の領域と前記第2の領域とのうち一方の領域について隣接する当該領域の間隔の、当該条件に対応した前記画像形成装置において形成可能な最小値を読み出すステップと、
前記スクリーンにおける細線の幅を算出するステップと、
前記複数のスクリーンのうちの入力画像の階調値に対応した、第1のパターンを有するスクリーンの前記一方の領域についての隣接する当該領域の間隔が前記最小値よりも小なるときに、スクリーンパターンを前記第1のパターンとは異なる第2のパターンに切り替え、前記複数のスクリーンの中から前記入力画像の階調値に対応したスクリーンであって前記第2のパターンのスクリーンを選択するステップと、
前記選択されたスクリーンを用いて画像形成を実行するステップとを備える、画像形成方法。
【図1】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−84993(P2012−84993A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227641(P2010−227641)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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