説明

画像形成装置および画像形成装置の制御方法

【課題】画像形成に係る調整処理に要する時間を短縮する。
【解決手段】色ズレ補正処理が開始されると、転写搬送ベルト上にトナマークーパターン列が形成される。トナーマークパターンの各セットにおいて、転写搬送ベルトを走行させてトナーマークをセンサで検出し、基準時刻から各トナーマークまでの時間を計測する。計測結果を用いて各トナーマーク間の距離を求め、この距離に基づき主走査および副走査方向の色ズレ量を検出する。検出された色ズレ量に基づき感光体ドラムへの光書き込みを制御して、色ズレを補正する。また、基準時刻から各トナーマークまでの時間の計測結果を用いて、基準位置からトナーマークパターン列中の各セットとの間の距離を求め、予め求められた当該距離との差分を算出する。この算出結果に基づき、転写搬送ベルト上の画像転写位置に対する転写紙の到達タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写方式を用いて画像形成を行う画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、互いに異なる色を形成するための複数の感光体を有するタンデム方式のカラー画像形成装置が普及している。このタンデム方式のカラー画像形成装置における、印刷媒体に対して画像を転送する方式の一つに、中間転写方式がある。
【0003】
この中間転写方式では、感光体に対して光書き込みにより静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して得たトナー画像を、中間転写体に一旦転写する動作を各色毎に行って、中間転写体上に各色のトナー画像を重ねる。そして、この中間転写体から印刷媒体に対して各色のトナー画像を転写して定着させ、カラー画像を得る。中間転写体としては、無端ベルト(転写搬送ベルトと呼ぶ)が採用されるのが一般的である。
【0004】
この転写搬送ベルトは、使用環境の湿度や温度の影響で伸縮することがある。この場合、トナー画像を印刷媒体に転写する画像転写位置へのトナー画像の到達タイミングが理想時間からずれてしまい、印刷媒体に対する印刷位置のズレが発生してしまうおそれがある。また、転写搬送ベルトの伸縮度合いは、その時々で異なるため、転写位置へのトナー画像の到達タイミングの理想時間に対するズレ量も、バラツキを持つものとなる。
【0005】
この画像転写位置へのトナー画像の到達タイミングのズレに対応するために、専用のトナーマークパターンを転写搬送ベルト上に作像し、センサで検出して転写搬送ベルトの駆動タイミングを補正する制御が既に知られている。すなわち、転写搬送ベルト上に、タイミング制御用のトナーマークパターンを作像する。そして、この作像されたトナーマークパターンの画像転写位置への到達タイミングを検出し、その検出結果に基づいて転写紙の搬送速度/搬送タイミングを調整する。これにより、画像転写位置に対する画像の到達タイミングと印刷媒体の到達タイミングとを合わせる。
【0006】
特許文献1には、専用のトナーマークパターン(トナー像)を中間転写ベルト上に形成し、このトナー像の画像転写位置への到達タイミングを検出し、この検出結果に基づき用紙の搬送速度や搬送タイミングを調整する構成が開示されている。特許文献1によれば、画像転写位置に対する画像の到達タイミングと、用紙の到達タイミングとを、高い精度で合わせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、画像転写位置に対する画像の到達タイミングと印刷媒体の到達タイミングとを合わせるために、専用のトナーマークパターンを作像し、さらに、このトナーマークパターンを検出するという処理を行うため、処理に時間を要していたという問題点があった。また、専用のトナーマークパターンを作像するため、トナーの消費量も増加してしまう。
【0008】
上述した特許文献1においても、画像の到達タイミングと用紙の到達タイミングとを、専用のトナー像を形成して調整しており、処理に時間を要するという問題点は、解消できていない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、画像形成に係る調整処理に要する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の第1の像担持体それぞれに形成された潜像を異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する像形成手段と、所定速度で駆動され、像形成手段で複数の第1の像担持体のそれぞれに対して形成された各色の像が位置を合わせて重ね合わせられて転写される第2の像担持体と、第2の像担持体に重ね合わされて転写された各色の像を予め定められた転写位置で転写材に転写して画像形成を行う画像形成手段と、転写材を転写位置に搬送させる搬送手段と、第2の像担持体に対してトナーマークパターンを形成するトナーマークパターン形成手段と、第2の像担持体に転写されたトナーマークパターンを検出する検出手段と、検出手段によるトナーマークパターンの検出結果によって、像形成手段による像形成条件を補正する補正値を算出する補正値算出手段と、検出手段によるトナーマークパターンの検出結果によって、第2の像担持体に転写された各色の像が転写位置に到達する時間を算出する到達時間算出手段と、到達時間算出手段による算出結果に基づき、搬送手段が転写材を転写位置に到達させるタイミングを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、像形成手段が、複数の第1の像担持体それぞれに形成された潜像を異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する像形成ステップと、画像形成手段が、像形成ステップで複数の第1の像担持体のそれぞれに対して形成され、所定速度で駆動される第2の像担持体に重ね合わされて転写された各色の像を、予め定められた転写位置で転写材に転写して画像形成を行う画像形成ステップと、搬送手段が、転写材を転写位置に搬送させる搬送ステップと、トナーマークパターン形成手段が、第2の像担持体に対してトナーマークパターンを形成するトナーマークパターン形成ステップと、検出手段が、第2の像担持体に転写されたトナーマークパターンを検出する検出ステップと、補正値算出手段が、検出ステップによるトナーマークパターンの検出結果によって、像形成ステップによる像形成条件を補正する補正値を算出する補正値算出ステップと、到達時間算出手段が、検出ステップによるトナーマークパターンの検出結果によって、第2の像担持体に転写された各色の像が転写位置に到達する時間を算出する到達時間算出ステップと、制御手段が、到達時間算出ステップによる算出結果に基づき、搬送ステップが転写材を転写位置に到達させるタイミングを制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成に係る調整処理に要する時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態に係る画像形成装置の一例の構成を示す略線図である。
【図2】図2は、中間転写ユニットの一例の構成をより詳細に示す略線図である。
【図3】図3は、画像形成装置の制御系の一例の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、画像形成装置の制御系から実施形態に関わりの深い部分を抜き出して各部の機能を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施形態に適用可能なトナーマークパターンの一例を示す略線図である。
【図6】図6は、トナーマークの有無とセンサの出力信号との関係の例を示す略線図である。
【図7】図7は、色ズレ検出についてより具体的に説明するための略線図である。
【図8】図8は、センサの出力信号の例を示す略線図である。
【図9】図9は、ノイズをトナーマークとして誤検出する例を示す略線図である。
【図10】図10は、ノイズ要因をトナーマークとして誤検出しているか否かを判定する方法を説明するための略線図である。
【図11】図11は、パターン間隔の検出結果に対する評価の例を示す略線図である。
【図12】図12は、トナーマークパターンから画像転写位置に対して画像が到達する到達タイミングを検出する処理の例を説明するための略線図である。
【図13】図13は、実施形態による色ズレ補正処理および到達タイミング補正処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、センサによるトナーマーク検出の一例を概略的に示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態に適用可能な構成)
以下に添付図面を参照して、画像形成装置および画像形成装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。図1は、実施形態に係る画像形成装置1の一例の構成を示す。画像形成装置1において、下部に設けられる給紙トレイ15A、15Bおよび15Cに収納される転写紙30が、複数の搬送ローラにより、図1において経路Aで示されるように、中間転写ユニット14および定着ユニット12を通って、排紙口Bから排紙トレイ11に排紙される。操作部10は、この画像形成装置1を操作するための操作子や表示部が設けられる。
【0015】
中間転写ユニット14において、転写搬送ベルト16が図中で反時計回り(図中の矢印の方向)に走行するようになっている。図1の例では、この転写搬送ベルト16の上側に、転写搬送ベルト16の走行方向の上流側から、それぞれイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)および黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部20Y、20M、20Cおよび20Kが順に配置されている。各トナー像形成部20Y、20M、20Cおよび20Kは、像担持体としての感光体ドラム21Y、21M、21Cおよび21Kと、現像ユニットとをそれぞれ備えている。
【0016】
なお、以下では、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す。
【0017】
光書込ユニット13は、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズおよび反射ミラーなどを備え、画像データに従い各感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kの表面にレーザ光を走査しながら照射して光書き込みを行い、各感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kに対して静電潜像を形成する。各感光体ドラム21Y、21M、21C、21K上に形成された静電潜像は、光書込ユニット13に含まれる現像器によりそれぞれ現像され、トナー像が形成される。
【0018】
各感光体ドラム21Y、21M、21C、21K上に形成されたY、M、CおよびK各色のトナー像は、図中で反時計回りに走行される転写搬送ベルト16上に対し、1次転写点で各色が位置を合わせて重ね合わされて転写される。転写搬送ベルト16は、Y、M、CおよびK各色のトナー像を担持した状態で走行駆動される。
【0019】
転写搬送ベルト16が駆動され、Y、M、CおよびK各色のトナー像が、転写紙30に対する転写位置に到達するタイミングで、転写紙30が当該転写位置に到達するように、転写紙30が搬送駆動される。転写位置において、転写電界が印加され、転写搬送ベルト16上に担持された各色のトナー像が転写紙30に転写される。この、転写搬送ベルト16上の各色のトナー像が転写紙30に転写される位置を、2次転写点と呼ぶ。
【0020】
転写紙30は、このようにして中間転写ユニット14で各色のトナー画像が転写された後、経路Aに従いさらに搬送され、定着ユニット12で加圧加熱される。これにより、各色のトナー画像が転写紙30に定着され、転写紙30上にはフルカラートナー画像が形成される。
【0021】
図2は、中間転写ユニット14の一例の構成をより詳細に示す。なお、図2において、上述の図1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。中間転写ユニット14において、転写搬送ベルト16は、図中で右端に配される駆動ローラ52により走行駆動される。また、この例では、駆動ローラ52は、タイミングベルト53により駆動モータ54の駆動ギアと接続され、駆動モータ54の回転速度に比例して回転する。転写紙30は、ローラ55により駆動ローラ52側に所定の圧力を掛けられながら、ローラ55と駆動ローラ52との間を通過する。例えば、転写紙30のローラ55と駆動ローラ52との間の通過部分が2次転写点となる。
【0022】
転写搬送ベルト16の、Y、M、C、K各色の1次転写点から2次転写点に至る経路上に、テンションローラ50が配置される。テンションローラ50は、スプリング51といった弾性体により、外側に向けて、常時、テンションが掛けられている。このテンションローラ50により、装置内の温度や湿度の変化などの影響で転写搬送ベルト16に伸縮が発生した場合であっても、転写搬送ベルト16に弛みが発生しないようにされている。
【0023】
なお、転写搬送ベルト16に発生した伸縮をテンションローラ50により吸収する場合、1次転写点と2次転写点との間の距離が変化することになる。例えば、転写搬送ベルト16が伸びた場合には、1次転写点と2次転写点との間の距離がより大きくなる。したがって、転写搬送ベルト16上に転写されたトナー像が2次転写点に到達するまでの時間が変化してしまい、転写紙30に対する画像位置が副走査方向にずれることになる。
【0024】
中間転写ユニット14において、センサ60は、光源と受光部とを備え、後述するようにして転写搬送ベルト16上に形成されるトナーマークパターン像を検出する。詳細は後述するが、センサ60は、転写搬送ベルト16の幅方向(主走査方向)の両端および中央部の3箇所に設けられる。
【0025】
図3は、画像形成装置1の制御系の一例の構成を示す。この制御系は、CPU(Central Processing Unit)100と、RAM(Random Access Memory)101と、ROM(Read Only Memory)102と、IO(IN/OUT)制御部103と、駆動モータインターフェイス(I/F)104と、検出IO部105とを有し、これら各部がバス110で互いに通信可能に接続されている。CPU100は、ROM102に予め記憶されるプログラムに従い、RAM101をワークメモリとして用いて、この画像形成装置1の全体を制御する。なお、ROM102は、書き換え可能であるものとする。
【0026】
図3において、ドライバ106は、駆動モータ54を駆動する。駆動モータI/F104は、ドライバ106とCPU100との間のインターフェイスである。検出IO部105には、センサ60の出力が供給される。検出IO部105は、センサ60の出力をCPU100が解釈可能な情報に変換して、CPU100に供給する。
【0027】
IO制御部103は、CPU100の命令により、負荷70の動作を制御する。負荷70は、例えば各部を駆動するためのモータ、クラッチ・ソレノイド、各センサなどを含む。また、IO制御部103は、CPU100の命令により、データの入出力などの制御も行う(図示しない)。
【0028】
また、バス110には、外部装置107をさらに接続させることができる。外部装置107は、例えばパーソナルコンピュータであり、転写紙30に対して画像形成を行うための画像データや、この画像形成装置1に対する制御コマンドなどを、この画像形成装置1に対して入力する。外部装置107から入力される画像データの受信処理や、外部装置107との間でなされる制御コマンドなどの送受信処理などは、CPU100により制御される。
【0029】
図4は、図3に示した構成のうち、本実施形態に関わりの深い部分を抜き出し、各部の機能を示す。検出IO部105は、センサ60の制御を行うセンサ制御部124を有すると共に、センサ60の出力信号の入力と、当該出力信号をデジタルデータであるマーク位置読取情報に変換してバス110に対して出力するマーク位置情報入出力部125とを有する。
【0030】
CPU100は、マーク位置情報入出力部125から供給されたマーク位置読取情報に基づきトナーマークパターン像の位置を演算するマーク位置情報演算部120を有する。マーク位置情報演算部120は、例えば、CPU100上で動作するプログラムのモジュールである。
【0031】
RAM101は、マーク位置読取情報保持部121と、マーク位置情報演算結果保持部122とを有する。マーク位置読取情報保持部121は、マーク位置情報入出力部125から出力された、マーク位置読取情報を一時的に保持する。CPU100のマーク位置情報演算部120は、このマーク位置読取情報保持部121からマーク位置読取情報を読み出して演算し、マーク位置情報を出力する。このマーク位置情報は、マーク位置情報演算結果保持部122に保持される。
【0032】
ROM102は、初期マーク位置情報記憶部123を有する。初期マーク位置情報記憶部123は、例えば後述する基準値算出モード時に、マーク位置情報演算結果保持部122に保持されたマーク位置情報を、トナーマークパターン像の初期位置を示す情報として記憶する。
【0033】
(実施形態に適用可能なトナーマークパターン)
図5は、本実施形態に適用可能なトナーマークパターンの一例を示す。本実施形態においては、転写搬送ベルト16に対して、図5に例示されるようなラダーパターン200、200、…を形成する。各ラダーパターン200は、Y、K、MおよびC各色の線が主走査方向と平行に、等間隔に配置される横線パターンと、各色の線が主走査方向に対して45°の角度を以て等間隔に配置される斜めパターンとが組み合わされてなる。
【0034】
なお、以下では、ラダーパターン200を構成する各色の線のそれぞれを、トナーマークと呼ぶ。すなわち、ラダーパターン200は、複数のトナーマークの集合があるパターンを構成するトナーマークパターンである。
【0035】
ラダーパターン200は、図5に例示されるように、転写搬送ベルト16に対し、主走査方向すなわち幅方向に3列(両端および中央)、形成される。例えば、CPU100によりラダーパターン200を形成するための画像データが生成され、この画像データに基づき光書込ユニット13を制御し、各感光体ドラム21Y、21M、21C、21Kに対してラダーパターン200の静電潜像を形成する。この静電潜像を現像してトナー像とし、このラダーパターン200のトナー像を、転写搬送ベルト16上に対して転写させる。このとき、各列のラダーパターン200は、副走査方向すなわち転写搬送ベルト16の走行方向に向けて、それぞれ複数が形成される。1のラダーパターン200を1セットとし、例えば各列に8セットずつ、ラダーパターン200が形成される。
【0036】
センサ60は、ラダーパターン200の各列に対応し、図5における左端のラダーパターン200を検出するセンサ60Fと、中央のラダーパターン200を検出するセンサ60Cと、右端のラダーパターンを検出するセンサ60Rとを有する。各センサ60F、60Cおよび60Rは、それぞれ検出対象に向けて光線を射出する光源と、検出対象からの光を検出する光検出素子とを有する。より具体的には、各センサ60F、60Cおよび60Rとして、汎用的な駆動反射型フォトインタラプタを用いることができる。なお、以下では、各センサ60F、60Cおよび60Rを区別する必要の無い場合には、各センサ60F、60Cおよび60Rをセンサ60として説明する。
【0037】
図6は、トナーマークの有無とセンサ60の出力信号との関係の例を示す。図6(a)がトナーマークの有無を示し、図6(b)がセンサ60の出力信号の例を示す。センサ60がトナーマークを検出している間は、センサ60から射出された光線がトナーマークで拡散されるため、センサ60の出力信号は、”Low”状態となる。一方、センサ60がトナーマークを検出していない間は、センサ60から射出された光線は、転写搬送ベルト14で反射され、反射光がセンサ60に検出されるため、センサ60の出力信号は、”High”状態となる。
【0038】
(色ズレ補正について)
次に、本実施形態に適用可能な色ズレ補正の一例の方法について説明する。本実施形態では、上述のラダーパターン200の横線パターン200Aを構成するトナーマーク同士の間隔と、横線パターン200Aの各トナーマークと、斜め線パターン200Bの各トナーマークとの間隔とを計測することで、色ズレ補正を行う補正値を算出する。
【0039】
ラダーパターン200は、転写搬送ベルト16の主走査方向の両端および中央の位置に、副走査方向に沿って繰り返し形成され、3のトナーマークパターン列が構成される。また、ラダーパターン200の先頭のトナーマーク(横線パターン200Aの色Yのトナーマーク)から、当該ラダーパターン200の次に配置されるラダーパターン200の先頭のトナーマークまでの長さが、ラダーパターン200の長さとする。このラダーパターン200によるトナーマークパターン列を、センサ60F、60Cおよび60Rによりそれぞれ検知し、色ズレ補正処理を行う。
【0040】
ラダーパターン200では、例えば、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bを構成する各トナーマークの、センサ60F、60Cおよび60Rによる検知結果を一定のサンプリング間隔でサンプリングし、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bの各トナーマークが検知された時間間隔を計測する。計測された時間間隔に対して、既知の転写搬送ベルト16の速度を乗じることで、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bを構成する各トナーマーク間の距離を取得できる。また、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bのうち同じ色のトナーマーク間の距離を計測し、各色の距離を比較することで、ズレ量を求めることが可能となる。
【0041】
図7を用いて、色ズレ検出についてより具体的に説明する。副走査方向の色ズレを算出するには、横線パターン200Aを使用し、基準色である色Kと他の色Y、MおよびCとのパターン間隔(y1,m1,c1)をそれぞれ計測する。そして、計測結果を基準色に対する各色それぞれの理想距離と比較することで、副走査方向の色ズレを算出することができる。理想距離の値は、例えば出荷時の調整において計測した値をROM102などに予め記憶させておくことが考えられる。
【0042】
主走査方向の色ズレを算出するには、各色について、横線パターン200Aの各線と斜め線パターン200Bの各トナーマークとの間隔(y2,k2,m2,c2)をそれぞれ計測する。斜め線パターン200Bの各トナーマークは、主走査方向に対して45°の角度を持っているため、計測された間隔の、基準色(色K)と他の色Y、MおよびCとの差分が各色Y、MおよびCそれぞれの主走査方向の色ズレ量となる。例えば、色Yの主走査方向における色ずれ量は、k2−y2で求められる。このようにして、ラダーパターン200を用いて副走査方向および主走査方向の色ズレ(レジストズレ)量を取得することができる。
【0043】
このような色ズレ量の検出処理は、例えば、少なくとも1のラダーパターン200を用いて実行することが可能である。複数のラダーパターン200を用いて各色について色ズレ量の検出を行うことで、色ズレ補正処理をより精度よく行うことができる。例えば、複数のラダーパターン200を用いて算出された色ズレ量に対して、平均値処理などの統計的処理を施して、各色の色ズレ量を算出することが考えられる。
【0044】
また、上述した色ズレ量の検出処理を、主走査方向に位置の異なるセンサ60F、60Cおよび60Rを用いてそれぞれ行うことで、各ズレ量について、主走査方向および副走査方向それぞれの成分を検出することができる。例えば、スキュー成分であれば、センサ60Fおよびセンサ60Rでそれぞれ検知される副走査方向の色ズレ量の差分を算出することで取得可能である。また、センサ60Fおよび60C、ならびに、センサ60Cおよび60Rそれぞれで主走査方向のズレの差分を算出することで、倍率誤差偏差を取得可能である。
【0045】
上述のようにして算出された各色の色ズレ量に基づき光書込ユニット13における感光体ドラム21Y、21M、21Cおよび21Kに対する光書き込みを制御することで、色ズレ補正を行うことができる。
【0046】
(画像転写位置に対する画像の到達タイミング検出)
次に、転写搬送ベルト16上に形成された画像が、当該画像を転写紙30に転写する画像転写位置に到達するタイミングを検出する、到達タイミング検出処理について説明する。
【0047】
(1)センサによるノイズ検知
先ず、センサ60が転写搬送ベルト16上の傷や汚れといったノイズを検出した場合の処理について説明する。本実施形態による到達タイミング検出では、センサ60の出力信号が”Low”状態となったときにトナーマークが検出されたと見做し、当該出力信号の”Low”状態を検知した時刻を順次記憶する。そして、記憶された各々の時刻の差分を所定に算出することで、到達タイミング検出を行う。そのため、センサ60の出力信号が転写搬送ベルト16上のノイズを検知したことで”Low”状態となった場合の検出結果を排除する必要がある。
【0048】
センサ60が転写搬送ベルト16のトナーマークやノイズの無い部分を読み取っている場合には、図8に例示されるように、センサ60の出力は”High”状態を保つ。この”High”状態のセンサ60の出力電圧を基準電圧Vsgとする。なお、図中に示される電圧Vthは、パターン検知閾値電圧であって、このパターン検知閾値電圧Vth以下のセンサ60の出力電圧を検知した場合に、トナーマークを検出したと判定される。
【0049】
一方、転写搬送ベルト16上の、傷や汚れといった様々なノイズ要因がある部分をセンサ60が読み取った場合には、センサ60の出力電圧は、このノイズ要因を通過したタイミングで基準電圧Vsgよりも低い電圧となる可能性がある。図9に例示されるように、パターン検知閾値電圧Vth以下の出力電圧を検知した場合、ノイズ要因がトナーマークとして誤検出される。図9の例では、2箇所がトナーマークとして誤検出されている。
【0050】
(2)誤検知判定
図10を用いて、ノイズ要因をトナーマークとして誤検出しているか否かを判定する方法について説明する。本実施形態では、トナーマークの検出処理に伴いこの判定を行う。より具体的には、ラダーパターン200を、転写搬送ベルト16の主走査方向における両端および中央の3列のそれぞれについて、少なくとも8セット(8個)形成し、各列毎に、隣接するラダーパターン200の横線パターン200A同士、ならびに、斜め線パターン200B同士の間隔を算出する。なお、算出には、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bそれぞれにおいて、最終色(この例では色C)のトナーマークを用いる。
【0051】
以下において、各トナーマークパターン列について、隣接するラダーパターン200の横線パターン200A同士の間隔を、時間Hori_intvl_P_[x]とする。なお、「x」は、1〜7の値であり、「P」は、「F」、「C」および「R」の何れかであり、「F」はセンサ60Fにより検出される列、「C」はセンサ60Cにより検出される列、「R」はセンサ60Rにより検出される列を示す。また、各トナーマークパターン列において、(y×8−4)番目(最終色のトナーマークのみを対象とするため)にパターン検知閾値電圧Vth以下のセンサ60の出力電圧を検知した時刻を、時刻MHori_P_[y]とする。「y」は、1〜8の値である。
【0052】
センサ60Fにより検出される列について、時間Hori_intvl_F_[x]は、下記の式(1)〜式(7)によって算出される。
Hori_intvl_F_[1]=MHori_F_[2]−MHori_F_[1] …(1)
Hori_intvl_F_[2]=MHori_F_[3]−MHori_F_[2] …(2)
Hori_intvl_F_[3]=MHori_F_[4]−MHori_F_[3] …(3)
Hori_intvl_F_[4]=MHori_F_[5]−MHori_F_[4] …(4)
Hori_intvl_F_[5]=MHori_F_[6]−MHori_F_[5] …(5)
Hori_intvl_F_[6]=MHori_F_[7]−MHori_F_[6] …(6)
Hori_intvl_F_[7]=MHori_F_[8]−MHori_F_[7] …(7)
【0053】
斜め線パターン200Bについても同様である。各トナーマークパターン列について、隣接するラダーパターン200の斜め線パターン200B同士の間隔を、時間Slop_intvl_P_[x]とする。また、各トナーマークパターン列において、(y×8)番目にパターン検知閾値電圧Vth以下のセンサ60の出力電圧を検知した時刻を、時刻Slop_P_[y]とする。なお、「P」、「x」および「y」の意味などについては、上述と同様である。
【0054】
センサ60Fにより検出される列について、時間Slop_intvl_F_[x]は、下記の式(8)〜式(14)によって算出される。
Slop_intvl_F_[1]=Slop_F_[2]−Slop_F_[1] …(8)
Slop_intvl_F_[2]=Slop_F_[3]−Slop_F_[2] …(9)
Slop_intvl_F_[3]=Slop_F_[4]−Slop_F_[3] …(10)
Slop_intvl_F_[4]=Slop_F_[5]−Slop_F_[4] …(11)
Slop_intvl_F_[5]=Slop_F_[6]−Slop_F_[5] …(12)
Slop_intvl_F_[6]=Slop_F_[7]−Slop_F_[6] …(13)
Slop_intvl_F_[7]=Slop_F_[8]−Slop_F_[7] …(14)
【0055】
上述した式(1)〜式(14)の演算を、センサ60Cおよび60Rの検出結果についても、それぞれ実行すると、下記の式(15)〜式(20)に示されるように、42個のパターン間隔が算出される。
Hori_intvl_F_[1]、Hori_intvl_F_[2]、…、Hori_intvl_F_[7] …(15)
Hori_intvl_C_[1]、Hori_intvl_C_[2]、…、Hori_intvl_C_[7] …(16)
Hori_intvl_R_[1]、Hori_intvl_R_[2]、…、Hori_intvl_R_[7] …(17)
Slop_intvl_F_[1]、Slop_intvl_F_[2]、…、Slop_intvl_F_[7] …(18)
Slop_intvl_C_[1]、Slop_intvl_C_[2]、…、Slop_intvl_C_[7] …(19)
Slop_intvl_R_[1]、Slop_intvl_R_[2]、…、Slop_intvl_R_[7] …(20)
【0056】
次に、式(15)〜式(20)の如く得られた42個のパターン間隔それぞれについて、下記の式(21)〜式(26)に示す比較を行い、これら42個の各パターン間隔が、所定の範囲に収まっているか否かを判定する。なお、式(21)〜式(26)において、値IDは、パターン間隔の理想値を示し、値SPは、誤検出に対する許容値を示す。これら値IDおよび値SPは、長さを示す。また、値dlは、転写搬送ベルト16の走行速度(プロセス線速)を示す。
【0057】
ID−SP<Hori_intvl_F_[x]×dl<ID+SP …(21)
ID−SP<Hori_intvl_C_[x]×dl<ID+SP …(22)
ID−SP<Hori_intvl_R_[x]×dl<ID+SP …(23)
ID−SP<Slop_intvl_F_[x]×dl<ID+SP …(24)
ID−SP<Slop_intvl_C_[x]×dl<ID+SP …(25)
ID−SP<Slop_intvl_R_[x]×dl<ID+SP …(26)
【0058】
上述の式(21)〜式(26)を、「x」を1〜7としてそれぞれ判定結果を求める。そして、式(21)〜式(26)それぞれの判定結果に対して図11の評価を適用し、各列における8セットのラダーパターン200の横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bうち、ノイズ要因をパターンと誤検出していると見做される箇所を特定する。
【0059】
例えば、式(21)において、x=1のみにおいてパターン間隔が所定の範囲に収まっていないと判定された場合、図11の第2行に該当し、センサ60Fで検出される列の、1セット目のラダーパターン200の横線パターン200Aにおいて、ノイズ要因がトナーマークと誤検出されていると見做す。別の例では、式(22)においてx=2およびx=3においてパターン間隔が所定の範囲に収まっていないと判定された場合、図11の第3行に該当し、センサ60Cで検出される列の、3セット目のラダーパターン200の横線パターン200Aにおいて、ノイズ要因がトナーマークと誤検出されていると見做す。
【0060】
(3)到達タイミング検出
次に、トナーマークパターンから、画像転写位置に対して画像が到達する到達タイミングを検出する処理について、図12を用いて説明する。基準時刻から、トナーマークパターン列において予め定められたトナーパターンが検出されるまでの時間を計測する。この計測された時間に基づき、初期に設定された副走査レジスト調整値(転写紙30の搬送タイミングの設定値)に対する補正値であるマージンポジションオフセット値を算出する。
【0061】
本実施形態では、横線パターン200Aおよび斜め線パターン200Bそれぞれにおける、最終色(この例では色C)のトナーマークを用いて、到達タイミングの検出を行う。このとき、到達タイミングを検出する際の基準時刻として、当該最終色のFゲート開始タイミングを用いる。Fゲート開始タイミングは、画像の副走査ゲート信号によって指示される。
【0062】
より具体的には、センサ60Cの検知結果に基づき、中央列のトナーマークパターン列の各セットについて、最終色のFゲート開始タイミングから横線パターン200Aの最終色のトナーマークが検出される時刻までの時間PHori_C[y](y=1〜8)を、下記の式(27)〜式(34)の如くそれぞれ計測する。
PHori_C[1] …(27)
PHori_C[2] …(28)
PHori_C[3] …(29)
PHori_C[4] …(30)
PHori_C[5] …(31)
PHori_C[6] …(32)
PHori_C[7] …(33)
PHori_C[8] …(34)
【0063】
(4)基準値算出
本実施形態では、画像形成装置1は、動作モードとして基準算出モードと、タイミング補正モードとを有する。タイミング補正モードは、図12を用いて説明したタイミング検出処理を適宜行い、検出結果に基づき、画像転写位置に対して画像が到達する到達タイミングを補正する動作モードである。また、基準算出モードは、タイミング補正モードで到達タイミングを補正する際に基準となる基準値を算出する動作モードである。
【0064】
先ず、基準算出モード時の処理について説明する。この基準算出モードは、例えば画像形成装置1の工場出荷時に実行される。これに限らず、画像形成装置1の電源投入時や、前回の基準算出モードの実行時から所定時間が経過した時点などに実行することも考えられる。操作部10に対する所定のユーザ操作に応じて実行してもよい。
【0065】
基準算出モードにおいて、図12を用いて説明したタイミング検出処理により求められた時間PHori_C[y]を、転写搬送ベルト16の走行速度vを乗じることで距離に換算し、中央列のトナーマークパターン列の各セットについて、距離SDPHori_C[y]を算出する。より具体的には、下記の式(35)〜式(42)により、中央列のトナーマークパターン列の各セットの距離SDPHori_C[y]を算出する。これら式(35)〜式(42)で算出された距離SDPHori_C[1]〜距離SDPHori_C[8]を、それぞれROM102の初期マーク位置情報記憶部123に基準値として記憶する。
【0066】
SDPHori_C[1]=PHori_C[1]×v …(35)
SDPHori_C[2]=PHori_C[2]×v …(36)
SDPHori_C[3]=PHori_C[3]×v …(37)
SDPHori_C[4]=PHori_C[4]×v …(38)
SDPHori_C[5]=PHori_C[5]×v …(39)
SDPHori_C[6]=PHori_C[6]×v …(40)
SDPHori_C[7]=PHori_C[7]×v …(41)
SDPHori_C[8]=PHori_C[8]×v …(42)
【0067】
なお、上述した図11の評価で誤検出箇所が存在すると見做されたセットについては、SDPHori_C[y]の値を「0」として初期マーク位置情報記憶部123に記憶するとよい。また、基準算出モードを実行した際には、各給紙トレイ15A、15Bおよび15Cと、紙種(紙サイズなど)毎に設けている副走査レジスト調整値(転写紙30の搬送タイミングの設定値)も、算出された距離SDPHori_C[1]〜距離SDPHori_C[8]に基づき更新する。
【0068】
(5)タイミング補正処理
次に、タイミング補正モード時の処理について説明する。本実施形態では、画像形成装置1の動作モードがタイミング補正モードとなった際に、先ず、上述の基準算出モードで行った処理と同様にして時間PHori_C[1]〜PHori_C[8]を計測する。そして、下記の式(43)〜式(50)に従い、計測結果の各時間PHori_C[1]〜PHori_C[8]に対して転写搬送ベルト16の走行速度vを乗じた値と、基準算出モードで算出されROM102の初期マーク位置情報記憶部123に記憶される、各距離SDPHori_C[1]〜距離SDPHori_C[8]との差分DPHori_C[1]〜DPHori_C[8]をそれぞれ算出する。
【0069】
DPHori_C[1]=SDPHori_C[1]−PHori_C[1]×v …(43)
DPHori_C[2]=SDPHori_C[2]−PHori_C[2]×v …(44)
DPHori_C[3]=SDPHori_C[3]−PHori_C[3]×v …(45)
DPHori_C[4]=SDPHori_C[4]−PHori_C[4]×v …(46)
DPHori_C[5]=SDPHori_C[5]−PHori_C[5]×v …(47)
DPHori_C[6]=SDPHori_C[6]−PHori_C[6]×v …(48)
DPHori_C[7]=SDPHori_C[7]−PHori_C[7]×v …(49)
DPHori_C[8]=SDPHori_C[8]−PHori_C[8]×v …(50)
【0070】
次に、差分DPHori_C[1]〜DPHori_C[8]の平均値MDPHori_Cを算出する。このとき、下記の式(51)〜式(53)に示すように、上述した図11の評価で誤検出箇所が存在すると見做されたセット数ErrorSetが所定数未満、例えば3未満であれば、この誤検出箇所が存在すると見做されたセットを除いて平均値MDPHori_Cを算出する。一方、誤検出箇所が存在すると見做されたセット数が所定数以上、例えば3以上の場合には、平均値MDPHori_Cの算出処理を行わない。
【0071】
(a) ErrorSet=0 の場合
MDPHori_C=(DPHori_C[1]+・・・+DPHori_C[8])/8 …(51)
(b) ErrorSet=1 の場合
MDPHori_C=(DPHori_C[1]+・・・+DPHori_C[8]−DPHori_C[$1])/7 …(52)
(c) ErrorSet=2 の場合
MDPHori_C=(DPHori_C[1]+・・・+DPHori_C[8]−DPHori_C[$1]−DPHori_C[$2])/6 …(53)
(d) ErrorSet≧3 の場合
平均値MDPHori_Cの算出処理を行わない。
【0072】
なお、式(52)および式(53)において、「$1」および「$2」は、それぞれ誤検出箇所が存在すると見做されたセットを示す。
【0073】
以上のようにして、誤検出箇所の検出結果を排除して算出された平均値MDPHori_Cを、タイミング補正値(マージンポジションオフセット値)として、ROM102に記憶させる。なお、ErrorSet≧3であって、平均値MDPHori_Cの算出処理を行わなかった場合は、ROM102に対するマージンポジションオフセット値の記憶処理を行わない。
【0074】
画像形成装置1においてマージンポジション制御が有効となっている場合、ROM102からこのマージンポジションオフセット値が読み出され、読み出された当該マージンポジションオフセット値が、各給紙トレイ15A、15Bおよび15Cと、紙種(紙サイズなど)毎に設けている副走査レジスト調整値に対して加算される。これにより、基準算出モードを実施した時点からの、画像転写位置に対する画像の到達タイミングのズレに合わせて、画像転写位置に対する転写紙30の到達タイミングを制御することができる。なお、マージンポジション制御は、画像転写位置に対して画像が到達する到達タイミングの補正を行う制御である。
【0075】
(全体の処理の流れ)
本実施形態では、色ズレ補正処理の際に、トナーマークパターン列を形成し、このトナーマークパターン列に含まれるトナーマークを各センサ60により検知する。上述の(5)タイミング補正処理は、色ズレ補正処理が実施された際のトナーマークの検知結果を用いて、マージンポジションオフセット値を算出する。
【0076】
図13は、本実施形態による色ズレ補正処理および到達タイミング補正処理の一例を示すフローチャートである。なお、このフローチャートにおける各処理は、CPU100により、ROM102に予め記憶されるプログラムに従い実行される。
【0077】
先ず、ステップS100で、CPU100は、色ズレ補正動作を開始する。例えば、CPU100は、IO制御部103を介して、各負荷70としての画像形成装置1の各部を制御して、転写搬送ベルト16上の両端および中央部に、図5で説明したようにして、ラダーパターン200を副走査方向に少なくとも8回、繰り返して形成し、3本のトナーマークパターン列を形成する。そして、転写搬送ベルト16を所定の走行速度で駆動させると共に、所定のタイミングで副走査ゲート信号を出力する。CPU100は、検出IO部105から供給される各センサ60の出力信号に基づき各センサ60の各トナーマークパターン列に含まれるトナーマークを検出する。
【0078】
図14は、センサ60によるトナーマーク検出の一例を概略的に示す。例えば、副走査ゲート信号のタイミング70を基準時刻t0として、この基準時刻t0から、各ラダーパターン2001、2002、…に含まれる各トナーマークが検出されるまでの時間t1、t2、t3、…を計測する。
【0079】
転写搬送ベルト16の両端および中央の各トナーマークパターン列毎に計測された各時間t1、t2、t3、…は、基準時刻t0と共に、RAM101のマーク位置読取情報保持部121に一時的に保持される。CPU100は、マーク位置読取情報保持部121に保持された各時間t1、t2、t3、…を用いて、色ズレ補正に用いる間隔(y1,m1,c1)と間隔(y2,k2,m2,c2)とを求め、図7を用いて説明した方法により、色ズレ量を取得する。そして、取得された色ズレ量に基づき光書込ユニット13における光書き込みを制御し、色ズレ補正を行う。
【0080】
次のステップS101で、CPU100は、マージンポジション制御が有効になっているか否かを判定する。若し、有効になっていないと判定した場合、図13のフローチャートにおける一連の処理が終了される。一方、有効になっていると判定した場合、CPU100は、処理をステップS102に移行させ、ステップS100で開始された色ズレ補正処理が成功か否かを判定する。若し、色ズレ補正処理が失敗であると判定した場合、図13のフローチャートにおける一連の処理が終了される。
【0081】
一方、CPU100は、ステップS102で色ズレ補正処理が成功であると判定した場合、処理をステップS103に移行させ、画像形成装置1の現在の動作モードが基準値算出モードであるか否かを判定する。若し、基準値算出モードであると判定した場合、CPU100は、処理をステップS104に移行させ、基準値算出動作を開始する。
【0082】
ステップS104において、CPU100は、上述のステップS100で取得され、RAM101のマーク位置読取情報保持部121に保持されている、各トナーマークパターン列毎に計測された各時間t1、t2、t3、…と、基準時刻t0とに基づき、上述した式(35)〜式(42)により、中央列のトナーマークパターン列の各セットの距離SDPHori_C[1]〜SDPHori_C[8]を算出する。
【0083】
各距離SDPHori_C[1]〜SDPHori_C[8]が算出されると、CPU100は、処理をステップS105に移行させ、各距離SDPHori_C[1]〜SDPHori_C[8]を、基準値としてROM102の初期マーク位置情報記憶部123に上書きで記憶し、基準値を更新する。そして、図13のフローチャートにおける一連の処理が終了される。
【0084】
上述したステップS103において、CPU100は、画像形成装置1の動作モードが基準値算出モードではないと判定した場合、処理をステップS106に移行させる。ステップS106で、CPU100は、上述のステップS100で取得され、RAM101のマーク位置読取情報保持部121に保持されている、各トナーマークパターン列毎に計測された各時間t1、t2、t3、…と、基準時刻t0と、ROM102の初期マーク位置情報記憶部123に基準値として記憶されている各距離SDPHori_C[1]〜SDPHori_C[8]とに基づき、上述した式(43)〜式(50)、ならびに、式(51)〜式(53)などに基づき、マージンポジションオフセット値を算出する。
【0085】
次のステップS107で、CPU100は、ステップS106で算出されたマージンポジションオフセット値が、予め定められた正常範囲内の値であるか否かを判定する。例えば、マージンポジションオフセット値の絶対値が数mm以内(例えば5m以内)であれば、正常範囲内の値であると判定する。
【0086】
若し、正常範囲内の値であると判定した場合、CPU100は、処理をステップS108に移行させる。ステップS108で、CPU100は、ステップS106で算出したマージンポジションオフセット値を、ROM102に上書きで記憶させ、マージンポジションオフセット値を更新し、この図13のフローチャートによる一連の処理を終了させる。この更新されたマージンポジションオフセット値が各副走査レジスト調整値に対して加算され、画像転写位置に対する転写紙30の到達タイミングが制御される。
【0087】
一方、ステップS107で、算出されたマージンポジションオフセット値が正常範囲外の値であると判定した場合、CPU100は、ROM102に記憶されるマージンポジションオフセット値の更新を行わず、この図13のフローチャートによる一連の処理が終了させる。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、色ズレ補正処理を行う際に、各トナーマーク毎に計測された各時間t1、t2、t3、…を用いて、マージンポジションオフセット値の算出を行っている。そのため、マージンポジションオフセット値の算出のために別途、トナーマークを形成する必要が無く、一連の処理を高速に実行することができる。それと共に、トナーの消費を抑えることもできる。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
13 光書込ユニット
12 定着ユニット
14 中間転写ユニット
16 転写搬送ベルト
21Y,21M,21C,21K 感光体ドラム
30 転写紙
50 テンションローラ
52 駆動ローラ
60,60F,60C,60R センサ
100 CPU
101 RAM
102 ROM
103 IO制御部
105 検出IO部
200,2001,2002 ラダーパターン
200A 横線パターン
200B 斜め線パターン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0090】
【特許文献1】特開平11−194561号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の像担持体それぞれに形成された潜像を異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する像形成手段と、
所定速度で駆動され、前記像形成手段で前記複数の第1の像担持体それぞれに対して形成された前記各色の像が位置を合わせて重ね合わせられて転写される第2の像担持体と、
前記第2の像担持体に重ね合わされて転写された前記各色の像を予め定められた転写位置で転写材に転写して画像形成を行う画像形成手段と、
前記転写材を前記転写位置に搬送させる搬送手段と、
前記第2の像担持体に対してトナーマークパターンを形成するトナーマークパターン形成手段と、
前記第2の像担持体に転写された前記トナーマークパターンを検出する検出手段と、
前記検出手段による前記トナーマークパターンの検出結果によって、前記像形成手段による像形成条件を補正する補正値を算出する補正値算出手段と、
前記検出手段による前記トナーマークパターンの検出結果によって、前記第2の像担持体に転写された前記各色の像が前記転写位置に到達する時間を算出する到達時間算出手段と、
前記到達時間算出手段による算出結果に基づき、前記搬送手段が前記転写材を前記転写位置に到達させるタイミングを制御する制御手段と
を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記到達時間算出手段は、
複数の前記トナーマークパターンを検出した検出結果によって、前記時間を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記到達時間算出手段は、
複数の前記トナーマークパターンを検出した複数の検出結果の平均値を用いて、前記時間を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像形成手段が、複数の第1の像担持体それぞれに形成された潜像を異なる色のトナーで現像して各色の像を形成する像形成ステップと、
画像形成手段が、前記像形成ステップで前記複数の第1の像担持体それぞれに対して形成され、所定速度で駆動される第2の像担持体に重ね合わされて転写された前記各色の像を、予め定められた転写位置で転写材に転写して画像形成を行う画像形成ステップと、
搬送手段が、前記転写材を前記転写位置に搬送させる搬送ステップと、
トナーマークパターン形成手段が、前記第2の像担持体に対してトナーマークパターンを形成するトナーマークパターン形成ステップと、
検出手段が、前記第2の像担持体に転写された前記トナーマークパターンを検出する検出ステップと、
補正値算出手段が、前記検出ステップによる前記トナーマークパターンの検出結果によって、前記像形成ステップによる像形成条件を補正する補正値を算出する補正値算出ステップと、
到達時間算出手段が、前記検出ステップによる前記トナーマークパターンの検出結果によって、前記第2の像担持体に転写された前記各色の像が前記転写位置に到達する時間を算出する到達時間算出ステップと、
制御手段が、前記到達時間算出ステップによる算出結果に基づき、前記搬送ステップが前記転写材を前記転写位置に到達させるタイミングを制御する制御ステップと
を有する
ことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−64796(P2013−64796A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202326(P2011−202326)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】