説明

画像形成装置および通信制御プログラム

【課題】通信開始から終了までのいずれの時点においてドア開となった場合であっても、通信異常を的確に検知することができる画像形成装置および通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】光学制御部と、ドアが開扉された場合に光学制御部への電源を遮断する電源遮断部102と、電圧の低下を検知する第1電圧検知部105と、通信開始前に電圧の低下が検知された場合は光学制御部と通信せず、通信終了後に電圧の低下が検知された場合は終了した通信を異常と判定する通信制御部108と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信エラーを検知する画像形成装置および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における画像処理は画像形成装置内で各種制御を行う複数のユニット間の通信により制御されるが、複数のユニットの中には、画像形成装置に備えられた所定のドアの開扉(以下、ドア開という。)により電源が遮断されるユニットが存在する場合もある。このようなドア開により電源が遮断されるユニットを備えた画像形成装置にあっては、ドア開により当該ユニットと正常な通信ができなくなってしまう。
【0003】
そこで、パリティチェックで通信エラーを判定し、通信エラーと判定された後にドアの開閉状態を調べ、通信エラーの原因がドアの開扉であるか、通信手段あるいは回線の故障であるかを判断する方法が既に知られている。
【0004】
例えば、通信エラー発生時に通信エラーがドア開によるものか、通信手段あるいは回線の故障による真の通信エラーかを判定する目的でドアの開閉状態を検出するドア開閉検出手段と、通信が正常に行われたことを識別するパリティチェック等の通信状態識別手段と、識別結果を記憶する通信監視手段と、ドア開閉検出手段の検出結果と通信監視手段の記憶内容に基づいて装置の状態を診断する自己診断手段を有する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、通信途中にドア開となった場合、データ送信とドア開の検知とのタイミングによってはパリティチェックにより通信エラーと判断できない可能性が生じ、誤ったデータが取り込まれてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通信開始から終了までのいずれの時点においてドア開となった場合であっても、通信異常を的確に検知することができる画像形成装置および通信制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、所定の処理を実行する処理部と、所定のドアの開扉により前記処理部への電源を遮断する電源遮断部と、前記電源遮断部の後段の電圧の低下を検知する電圧検知部と、前記処理部との通信開始前に前記電圧検知部により電圧の低下が検知された場合は前記処理部と通信せず、前記処理部との通信終了後に前記電圧検知部により電圧の低下が検知された場合は終了した通信を異常と判定する通信制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、所定の処理を実行する処理部と、所定のドアの開扉により前記処理部への電源を遮断する電源遮断部と、を備えたコンピュータを、前記電源遮断部の後段の電圧の低下を検知する電圧検知部電圧の低下を検知する電圧検知ステップと、前記処理部との通信開始前に前記電圧の低下が検知された場合は前記処理部と通信せず、前記処理部との通信終了後に前記電圧の低下が検知された場合は終了した通信を異常と判定する通信制御ステップ、として機能させるための通信制御プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、通信開始から終了までのいずれの時点においてドア開となった場合であっても、通信異常を的確に検知することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置の外観を示す全体図である。
【図2】図2は、画像形成装置が備える各ユニットに電源供給する電源回路の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、画像形成装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、通信データのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】図5は、電源DC11の電圧および電源DC30の電圧の状態変移を示す図である。
【図6】図6は、通信制御部による通信可能な期間を示す図である。
【図7】図7は、駆動ユニットと光学ユニットとの通信処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置の一例である複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および通信制御プログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかる画像形成装置100の外観を示す全体図である。図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成動作を制御する本体部1と、用紙等を本体部1に大量収容する大容量給紙部4と、印刷された用紙等に対してソート、穴あけ、綴じ込み等を施すフィニッシャー8と、印刷やソート等がなされた用紙を排紙する排紙部7とを主に備える。
【0013】
また、本体部1は上部に自動原稿供給装置6を有し、自動原稿供給装置6にセットされた原稿はスキャナ部(不図示)によりスキャンされる。また、本体部1の上部にはユーザに対して種々の指示を入力するためのインターフェースが配置される操作部5が設けられている。また、本体部1の前面中央には、本体部1内部に格納されたトナー等をカバーするドア2が備えられている。なお、ドア2が開扉された場合、ユーザによる操作時の安全性確保のため、駆動系が停止される。
【0014】
さらに、本体部1の下部には給紙部3が設けられており、給紙部3には収容された用紙やOHPシートなどの画像形成の対象となる画像形成対象シートに対して画像形成される。
【0015】
次に、画像形成装置100の電源回路の構成と動作について説明する。図2は、画像形成装置100が備える各ユニットに電源供給する電源回路の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置100の電源供給部は、電源DC10から供給される電力が入力されるインターロックSW(switch)50と、インターロックSW50と接続されたリレー60と、電源DC40から供給される電力が入力される駆動ユニット70と、電源DC21から供給される電力が入力される画像処理ユニット80と、電源DC30から供給される電力が入力される光学ユニット90とを主に備える。
【0016】
インターロックSW50は、ドア2が開扉された場合に、機械的に連動してOFFとなり、電源DC10から供給される電圧と、電源DC20から供給される電圧を遮断するスイッチである。なお、一例として電源DC10には5vの電圧が供給される。ドア2は、例えばユーザによるトナー交換やジャム処理等の際に開扉される。リレー60はインターロックSW50がOFF(電源遮断)となった場合、そのOFFに連動してOFF(電源遮断)となるリレーである。インターロックSW50とリレー60は、電源遮断部(図3参照)の一例である。なお、本願では電源遮断部はドア2の開扉により連動して電源回路の遮断を行うが、ドア2の開扉を検知するドア開検知部(不図示)を設けて、このドア開検知部の検知によって遮断を行っても良い。
【0017】
電源DC11は、インターロックSW50がON(給電状態)となった場合に、電源DC10と同電位となることによりHighとなる。なお、電源DC11の電圧はドア2の開扉時には電源DC10から遮断されているためLowとなっている。なお、Highは、電圧の供給レベルが所定の電圧レベル(アクティブ)となるHighレベル、Lowは電圧供給が遮断されたLowレベル(0v)状態を示し、以下、単に、High、Lowと記述する。
【0018】
また、インターロックSW50がONとなった場合、リレー60もONとなる。電源DC21の電圧は、リレー60がONとなった場合に電源DC20と同電位となることによりHighとなる。なお、一例として電源DC20には24vの電圧が供給される。
【0019】
駆動ユニット70は、感光体ドラム(不図示)を駆動させるモータ等を制御する駆動制御部71を備え、光学ユニット90と通信する。駆動制御部71には、電源DC40から供給される電圧が入力される。ここで、電源DC40は、ドア2が開扉した場合にも遮断されない電源である。
【0020】
画像処理ユニット80は、スキャナ(不図示)や書込部(不図示)等を制御する画像処理制御部81と、電源DC21を降圧するDC/DCコンバータ82とを備える。画像処理制御部81には、電源DC40から供給される電圧と、ドア2のドア開により遮断される電源DC21から供給される電圧の2系統の電圧が入力される。画像処理制御部81には、駆動制御部71と同様に、ドア2が開扉した場合であっても、電源DC40により電圧が供給される。
【0021】
また、画像処理ユニット80は、駆動ユニット70の通信対象である光学ユニット90に電圧を供給する。画像処理ユニット80は、電源DC21から供給された電圧をDC/DCコンバータ82により任意の値に降圧し、電源DC30を生成する。画像処理ユニット80は、生成した電源DC30を光学ユニット90に供給する。電源DC30の電圧は、ドア2のドア閉時に電源DC21と電源DC20が同電位となりDC/DCコンバータ82により供給されることによりHighとなる。なお、電源DC30の電圧は、ドア2のドア開により遮断される電源DC21から生成されるため、ドア2のドア開時に遮断されLowとなる。
【0022】
また、光学ユニット90は、駆動ユニット70の通信対象であり、ドア2が開操作されると、インターロックSW50がOFFとなり電源遮断されるユニットである。光学ユニット90はVCSEL(Vertical Cavity SurfDCe Emitting Lazer)等が使用される光学系を制御する光学制御部91を備える。光学制御部91には、電源DC30から供給される電圧が入力されるが、ドア2が開操作された場合、電源DC30からの電圧が遮断される。
【0023】
次に、画像形成装置100の機能構成について説明する。図3は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置100は、電源遮断部102と、エラー検知部103と、エラー判定部104と、第1電圧検知部105と、第2電圧検知部106と、表示制御部107と、通信制御部108と、操作表示部109と、記憶部110とを主に備える。
【0024】
電源遮断部102は、図2におけるインターロックSW50及びリレー60によって実現される。記憶部110は各種アプリケーション、通信データ等の各種情報を記憶する。
【0025】
通信制御部108は、シリアル通信やバス通信により各種ユニット間の通信を制御し、通信終了時に通信データを記憶部110に保存する。ここで、通信制御部108は通信方式としてポーリングを用い、ノイズ対策として複数回のリードを行う。例えば、通信制御部108は、駆動制御部71と光学制御部91との間でデータ送受信させる。
【0026】
また、通信制御部108は、駆動制御部71と画像処理制御部81との間で光学制御部91に供給される電源DC30、インターロックにより遮断される電源DC11の情報を送受信させる。通信制御部108は、ユニット間での通信開始前および通信終了時に電源DC11及び電源DC30から供給される電圧のうち少なくともどちらか一方が遮断されているか否かを確認する。通信制御部108は、通信開始前に電源DC11及び電源DC30から供給される電圧のうち少なくともどちらか一方が遮断されていることを確認した場合、通信を実行しない。
【0027】
一方、通信制御部108は、通信終了時において、通信開始前には遮断されていなかった電源DC11及び電源DC30からの電圧のうち少なくともどちらか一方が遮断されていることを確認した場合、終了した通信を異常と判定する。例えば、通信制御部108は終了した通信の通信データを異常と判定し、通信データを破棄した上で、電源DC11及び電源30から電圧がHighとなってから通信をリトライする。
【0028】
ここで、通信データの詳細について説明する。図4は、通信データのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、通信制御部108は、1ビットのパリティビットを含む8ビットの通信データを用いて各ユニット間の通信を制御する。ここでは、奇数パリティとして誤りを検出する。
【0029】
しかし、例えば、通信制御部108は、光学制御部91からの「01001010」という通信データを駆動制御部71に送信している途中でドア2が開扉された場合に、実際には光学制御部91への電圧が供給されず通信データは異常となるにもかかわらず、通信データの送信結果を正常と判断してしまう事態が生じてしまう。一例として、図4に示すように、通信制御部108は「01001010」というデータのうち「0100」のデータまで送信した後にドア2が開扉され、光学制御部91への電圧が供給されなくなった場合、続きのデータである「1010」は送信されず「0000」が送信される。この通信データは異常である。しかしながら、通信制御部108は通信データの異常を奇数パリティにより検出するため、送る予定であったデータが「1010」送信されたデータが「0000」の場合には、偶然奇数となり通信データの異常を検出できないこととなる。
【0030】
そこで、通信制御部108は、通信終了時において、通信開始前には遮断されていなかった電源DC11及び電源DC30からの電圧のうち少なくともどちらか一方が遮断されていることを確認した場合は当該通信の全てのデータを異常と判定する。これにより、通信途中でドア2が開扉された場合に誤った通信データを記憶部110に保存するという事態を防止することができる。
【0031】
電源遮断部102は、ドア2の開扉によりインターロックSW50、リレー60がOFFとなると、インターロックSW50が電源DC10から供給される電圧を遮断し、リレー60が電源DC20から供給される電圧を遮断する。
【0032】
第1電圧検知部105は、電源DC11の電圧を監視し、電源DC10の電圧遮断に伴う電源DC11の電圧の低下を検知する。例えば、第1電圧検知部105は、電源DC11の電圧のHigh/Low状態を監視する。ここでは、駆動制御部71が第1電圧検知部105を備える。図2に示すように、電源DC11はインターロックSW50の直後に接続されているが、電源DC30はインターロックSW50の直後に接続されたリレー60、およびリレー60と接続された画像処理制御部81を挟んでインターロックSW50と接続されている。このため、電源DC11の電圧が供給される駆動制御部71は、電源DC30に供給される電圧が遮断されるよりも前にインターロックSW50がOFFになったこと、即ちドア開を検知することができる。なお、第1電圧検知部105は本発明の電圧検知部の一例である。
【0033】
第2電圧検知部106は、電源DC30の電圧を監視し、電源DC11および電源DC20の電圧遮断に伴う電源DC30の電圧の低下を検知する。例えば、第2電圧検知部106は、電源DC30の電圧のHigh/Low状態の情報を監視する。ここで、第2電圧検知部106は、上記のような構成により、電源DC11の電圧低下が検知されてから所定時間が経過した後に電源DC30の電圧低下を検知することとなる。なお、第2電圧検知部106は本発明の電圧検知部の一例である。
【0034】
また、第2電圧検知部106は、通信制御部108を介して駆動制御部71に監視する電圧の情報を送信する。ここでは、画像処理制御部81が第2電圧検知部106を備える。画像処理制御部81にはドア2が開扉されても遮断されない電源DC40から電圧が供給されるため、ドア2が開扉された場合であっても駆動制御部71と通信可能である。なお、ここでは画像処理制御部81が第2電圧検知部106を備えるが、駆動制御部71が第2電圧検知部106を備え、駆動制御部71が直接電源DC30から供給される電圧を監視することとしてもよい。
【0035】
ここで、第1電圧検知部105および第2電圧検知部106による電圧低下の検知方法の詳細について説明する。図5は、電源DC11の電圧および電源DC30の電圧の状態変移を示す図である。
【0036】
図5において、(1)は、第1電圧検知部105により電源DC11の電圧がHighと判定され、第2電圧検知部106により電源DC30の電圧がHighと判定される期間を示す。(1)の期間では、電源DC11および電源DC30ともに電圧が供給されているので、通信制御部108は通信実行可能である。
【0037】
また、(2)は、ドア2のドア開により、第1電圧検知部105が電源DC11の電圧をLowと判定し、一方、第2電圧検知部106が電源DC30の電圧をLowと判定する期間を示す。(2)の期間は、通信制御部108による通信途中におけるドア2のドア開により、まず電源DC11の電圧がインターロックSW50により遮断され、電源DC11の電圧が遮断されてから所定時間が経過した後に電源DC30の電圧がリレー60により遮断されることを示す。なお、電源DC30の電圧は、インターロックSW50との間にリレー60とDC/DCコンバータ82が接続されているという回路の構成上、電源DC11の電圧低下から遅延することとなる。このように、(2)の期間では、回路上の遅延により、電源DC11の電圧がLowとなってから所定時間が経過した後に、電源DC30の電圧がLowとなることを示す。
【0038】
さらに、図5の各矢印は、第1電圧検知部105または第2電圧検知部106が電圧の変化を検知した時点を示す。図5に示すように、それぞれの電源の電圧が遮断され電圧がLowとなった時点と矢印が示す時点には時間差がある。これは、第1電圧検知部105および第2電圧検知部106ともに電圧の低下をポーリングにより検知するため、実際に電圧が低下してから所定のポーリング間隔の時間分検知遅れが発生することを示す。
【0039】
つまり、仮に、回路上の遅延とポーリングによる検知遅延のため、第2電圧検知部106により電源DC30のみを監視することとした場合、第1電圧検知部105により電源DC11の電圧低下が検知される前に、駆動ユニット70の通信相手である光学ユニット90に供給される電源DC30の電圧が遮断されてしまう。そして、光学ユニット90に供給される電源DC30の電圧が光学ユニット90と駆動ユニット70との通信データの送受信途中で遮断されてしまうと、駆動ユニット70と光学ユニット90との間の通信も誤ったものとなってしまう。
【0040】
例えば、光学ユニット90から駆動ユニット70への通信データの送信途中で電源DC30の電圧が遮断された場合、遮断された時点より後のデータが誤ったものとなる可能性が高い。また、通信制御部108により実際には送受信されていない通信データが、誤って送受信済みとして記憶部110に保存されてしまい正確な画像処理が実行できないこととなる。このため、駆動ユニット70は、記憶部110に誤った通信データが保存されないように、光学ユニット90に供給される電源DC30の電圧が遮断される前に通信を終了させる必要がある。
【0041】
そこで、(2)の期間を通信不可と判定するために、第1電圧検知部105は、インターロックSW50の直後の電源DC11の電圧を監視する。通信制御部108は、第1電圧検知部105により、光学制御部91に供給される電源DC30の電圧が遮断される前に、電源DC11の電圧の低下が検知されることにより、通信データを異常と判定することができる。
【0042】
また、(3)は、第1電圧検知部105により電源DC11の電圧がLowと判定され、第2電圧検知部106により電源DC30の電圧をLowと判定される期間を示す。通信制御部108は、(3)の期間は通信を行わない。
【0043】
また、(4)は、一度開けられたドア2が閉じられることにより、インターロックSW50がONとなって電源DC10から再び電圧が供給され、先に第1電圧検知部105により電源DC11の電圧がHighと判定される期間を示す。また、(4)の期間では、第2電圧検知部106は上記回路上の遅延およびポーリングによる検知遅延のため、まだ電源DC30の電圧をLowと判定したままの状態を示す。この期間で電源DC30を監視している理由を説明する。電源DC11のみを監視している場合にはドア閉に伴い電源DC11の電圧がHighとなるため、ドアが閉じられていると判定する。しかし、光学制御部91に供給される電源30の電圧はこの期間ではリレー60、DC/DCコンバータ82による回路遅延があるためLowである。そのため、光学制御部91からの通信データは誤ったものとなる。そのため、通信制御部108は、第1電圧検知部105により電源DC11の電圧がHighと判定された後、回路上の遅延およびポーリングによる検知遅延の時間を経て、第2電圧検知部106により電源DC30の電圧がHighと判定されてから通信を再開することとする。
【0044】
また、(5)は、第1電圧検知部105により電源DC11の電圧がHighと判定され、および第2電圧検知部106により電源DC30の電圧がHighと判定される期間を示す。ここでは、通信制御部108は、電源DC11、電源DC30ともに電圧が供給されているので通信実行可能である。
【0045】
図6は、通信制御部108による通信可能な期間を示す図である。図6は、図5の電圧の状態変移を示す図において、通信制御部108による通信可能な期間が(1)と(5)であり、これ以外の(2)〜(4)までの期間は通信不可能であることを示す。それぞれの期間は、図6に示すように、(1)は、電源DC11の電圧、電源DC30の電圧がともにHighと判定された期間であり、(2)は、電源DC11の電圧がLow、電源DC30の電圧がHighと判定された期間である。また、(3)は、電源DC11の電圧、電源DC30の電圧がともにLowと判定された期間であり、(4)は、電源DC11の電圧がHigh、電源DC30の電圧がLowと判定された期間を示す。また、(5)は、電源DC11の電圧、電源DC30の電圧がともにHighと判定された期間を示す。
【0046】
図2に戻り、エラー検知部103は、通信制御部108による通信エラーを検知する。例えば、通信エラーには回線の故障や、データ送受信の失敗等がある。
【0047】
エラー判定部104は、エラー検知部103により通信エラーが検知された場合に、通信異常か否かを判定する。例えば、エラー判定部104は、エラー検知部103により3回連続して通信エラーが検知されたか否かを確認し、3回連続して通信エラーが検知された場合に通信異常と判定する。
【0048】
ここで、エラー判定部104がこのように通信エラーの連続を複数回確認するのは、真の通信異常を確実に判定するためである。例えば、単にノイズ等の原因で通信エラーが検知された場合は、通信制御部106が通信をリトライすることにより解消するので通信異常との判定は不要である。
【0049】
表示制御部107は、各種情報を操作表示部109に表示する。表示制御部107は、エラー判定部104により通信異常と判定された場合に、操作表示部109に通信異常を表示する。
【0050】
次に、駆動ユニット70と光学ユニット90との通信処理の手順について説明する。図7は、駆動ユニット70と光学ユニット90との通信処理の手順を示すフローチャートである。
【0051】
通信制御部108は、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方が遮断されているか否かを確認する(ステップS1)。例えば、通信制御部108は、第1電圧検知部105により電源DC11から供給された電圧の低下、および第2電圧検知部106により電源DC30から供給された電圧の低下のうち少なくともいずれか一方が検知された場合に電圧遮断を確認する。
【0052】
通信制御部108は、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方が遮断されていないことを確認した場合(ステップS1:No)、通信を実行する(ステップS2)。エラー検知部103は、通信制御部108から通信エラーが発生したか否かを検知する(ステップS3)。エラー判定部104は、通信エラーの発生が検知された場合(ステップS3:Yes)、3回連続して通信エラーを検知したか否かを確認する(ステップS4)。通信制御部108は、エラー判定部104により3回連続して通信エラーが検知されたことが確認されなかった場合(ステップS4:No)、ステップS2に戻り通信をリトライする。
【0053】
通信制御部108は、エラー判定部104により通信エラーが検知されなかった場合(ステップS3:No)、および、エラー判定部104により3回連続して通信エラーが検知されたことが確認された場合(ステップS4:Yes)、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方が遮断されているか否かを確認する(ステップS5)。例えば、通信制御部108は、第1電圧検知部105により電源DC11から供給された電圧の低下、および第2電圧検知部106により電源DC30から供給された電圧の低下のうち少なくともいずれか一方が検知された場合に電圧遮断を確認する。
【0054】
通信制御部108は、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方が遮断されていることを確認した場合(ステップS5:Yes)、行った通信の通信データを異常と判定し、通信を終了する(ステップS7)。例えば、通信制御部108は、終了した通信の通信データを破棄し、電源DC11及び電源30から電圧がHighとなってから通信をリトライする。
【0055】
一方、通信制御部108は、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらも遮断されていないことを確認した場合は(ステップS5:No)、エラー判定部104により通信異常と判定されたか否かを確認する(ステップS6)。例えば、通信制御部108はステップS4におけるエラー判定部104による判定結果を参照する。
【0056】
通信制御部108は、エラー判定部104により通信異常と判定されなかったことを確認した場合(ステップS6:No)、行った通信は正常として通信を完了する(ステップS8)。一方、通信制御部108は、エラー判定部104により通信異常と判定された場合(ステップS6:Yes)、表示制御部107により操作表示部109に通信異常を表示させる(ステップS9)。
【0057】
ステップS1において、通信制御部108は、電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方が遮断されていることを確認した場合は(ステップS1:Yes)、通信を実行することなく処理を終了する。
【0058】
このように、本実施の形態によれば、通信制御部108による通信開始前および通信終了時に電源DC11及び電源DC30のうち少なくともどちらか一方の電圧遮断を確認し、電圧遮断を確認した場合はすでに行った通信の通信データを異常と判定するので、通信開始から終了までのいずれの時点においてドア開となった場合であっても、通信異常を的確に検知することができる。
【0059】
図8は、本実施の形態にかかる画像形成装置100の一例である複合機(以下、複合機100という。)のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、この複合機100は、コントローラ120とエンジン部(Engine)160とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ120は、複合機100全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部160は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、例えば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0060】
コントローラ120は、CPU121と、ノースブリッジ(NB)123と、システムメモリ(MEM−P)122と、サウスブリッジ(SB)124と、ローカルメモリ(MEM−C)127と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)126と、ハードディスクドライブ(HDD)110とを有し、ノースブリッジ(NB)123とASIC126との間をAGP(DCcelerated Graphics Port)バス125で接続した構成となる。また、MEM−P122は、ROM(Read Only Memory)122aと、RAM(Random Access Memory)122bと、をさらに有する。
【0061】
CPU121は、複合機100の全体制御をおこなうものであり、NB123、MEM−P122およびSB124からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0062】
NB13は、CPU121とMEM−P122、SB124、AGP125とを接続するためのブリッジであり、MEM−P122に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0063】
MEM−P122は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM122aとRAM122bとからなる。ROM122aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM122bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0064】
SB124は、NB123とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB124は、PCIバスを介してNB123と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0065】
ASIC126は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP125、PCIバス、HDD128およびMEM−C127をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC126は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC126の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C127を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMDC(Direct Memory DCcess Controller)と、エンジン部160との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC126には、PCIバスを介してFCU(FDCsimile Control Unit)130、USB(Universal Serial Bus)140、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース150が接続される。操作表示部109はASIC126に直接接続されている。
【0066】
MEM−C127は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD110は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0067】
AGP125は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P122に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0068】
なお、本実施の形態の画像形成装置100で実行される通信制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0069】
本実施の形態の画像形成装置100で実行される通信制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行される通信制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行される通信制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0071】
本実施の形態の画像形成装置100で実行される通信制御プログラムは、上述した各部(電源遮断部102、エラー検知部103、エラー判定部104、第1電圧検知部105、第2電圧検知部106、表示制御部107、通信制御部108)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU121(プロセッサ)が上記ROM122aから通信制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ電源遮断部102、エラー検知部103、エラー判定部104、第1電圧検知部105、第2電圧検知部106、表示制御部107、通信制御部108が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0072】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0073】
2 ドア
10,11.20、21,30,40 電源DC
50 インターロックSW
60 リレー
100 画像形成装置
102 電源遮断部
103 エラー検知部
104 エラー判定部
105 第1電圧検知部
106 第2電圧検知部
107 表示制御部
108 通信制御部
109 操作表示部
110 記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開平04−213271号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理を実行する処理部と、
所定のドアの開扉により前記処理部への電源を遮断する電源遮断部と、
前記電源遮断部の後段の電圧の低下を検知する電圧検知部と、
前記処理部との通信開始前に前記電圧検知部により電圧の低下が検知された場合は前記処理部と通信せず、前記処理部との通信終了後に前記電圧検知部により電圧の低下が検知された場合は終了した通信を異常と判定する通信制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧検知部は、前記電源遮断部の後段の電圧である第1電圧の低下、および、前記処理部に供給される電圧である第2電圧の低下を検知し、
前記通信制御部は、前記処理部との通信開始前に前記第1電圧および前記第2電圧のうち少なくともいずれか一方の低下が検知された場合は前記処理部と通信せず、前記処理部との通信終了後に前記第1電圧および前記第2電圧のうち少なくともいずれか一方の低下が検知された場合は前記処理部との通信を異常と判定すること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1電圧は、前記処理部に供給される電圧が遮断された場合に低下し、前記第2電圧は前記第1電圧が低下してから所定時間経過後に低下すること、
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2電圧は、前記ドアの開扉が検出された場合に前記処理部への給電回路を絶縁する継電器から出力された電圧であること、
を特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記処理部との通信を異常と判定した場合に、前記処理部との間で送受信された通信データを破棄すること、を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記処理部との通信を異常と判定した場合に、再度通信を実行すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
所定の処理を実行する処理部と、所定のドアの開扉により前記処理部への電源を遮断する電源遮断部と、を備えたコンピュータを、
前記電源遮断部の後段の電圧の低下を検知する電圧検知ステップと、
前記処理部との通信開始前に前記電圧の低下が検知された場合は前記処理部と通信せず、前記処理部との通信終了後に前記電圧の低下が検知された場合は終了した通信を異常と判定する通信制御ステップ、
として機能させるための通信制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−83716(P2012−83716A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178434(P2011−178434)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】