説明

画像形成装置および除電装置

【課題】トナー像が転写された記録材を転写手段から定着手段に移動させる際にトナーが移動しにくく、形成される画像に乱れが生じにくい画像形成装置等を提供する。
【解決手段】トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像を用紙に転写する転写手段と、トナー像を用紙に定着する定着部50と、転写手段から定着部50に用紙を搬送する回転体81と用紙の搬送方向に沿って形成される突起部を有する用紙案内部とを備える搬送手段80と、転写手段と搬送手段80の間に配され用紙を除電する除電手段70とを備え、除電手段70は、尖状突起を有する第1除電部と、第1除電部の用紙搬送方向下流側に配され、用紙と非接触に配される第2除電部とを備えることを特徴とする画像形成装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、除電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、プリンタ等の画像形成装置では、例えばドラム状に形成された感光体を一様に帯電し、この感光体を画像情報に基づいて制御された光で露光して感光体上に静電潜像を形成する。そして、この静電潜像をトナーによって可視像(トナー像)とし、更にこのトナー像を記録材に転写し、これを定着装置によって定着して画像形成している。
【0003】
特許文献1には、記録シートの第1面に画像を形成したのちに、記録シートの第2面に画像を形成して記録シートの両面に画像形成可能な複写機であって、二次転写ローラと、記録シートの搬送路に沿った転写ローラの下流に配設され、トナー画像を記録シートに定着させる定着部と、転写ローラから定着部に至る搬送路の途中に配設され、記録シートに帯電した電荷を除去する除電部材とを備え、記録シートの第2面にトナー画像を転写するときには、記録シートの第1面にトナー画像を転写するときよりも、記録シートのループ量を小さくする制御を実行する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−76680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、一般的に転写手段では、トナーと逆極性の電圧を印加して電界を発生させ、電界を形成させることにより生じる静電気力によってトナー像を記録材上に転写させている。そのためトナー像が転写された後の記録材は静電気を帯びている場合がある。そしてトナー像が転写された記録材を転写手段から定着手段に移動させる際に、この静電気に起因してトナーが移動し、形成される画像に乱れが生じることがあった。
本発明は、トナー像が転写された記録材を転写手段から定着手段に移動させる際にトナーが移動しにくく、形成される画像に乱れが生じにくい画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、トナー像を形成するトナー像形成手段と、前記トナー像形成手段により形成された前記トナー像を記録材に転写する転写手段と、前記転写手段により転写された前記トナー像を記録材に定着する定着手段と、前記転写手段から前記定着手段に記録材を搬送する回転体と、記録材の搬送方向に沿って形成される突起部を有する記録材案内部とを備える搬送手段と、前記転写手段と前記搬送手段の間に配され、記録材を除電する除電手段と、を備え、前記除電手段は、尖状突起を有する第1除電部と、前記第1除電部の記録材搬送方向下流側に配され、記録材と非接触に配される第2除電部と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記除電手段の前記第1除電部は、接地電圧とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記除電手段は、前記第2除電部の記録材搬送方向の幅を前記第1除電部の記録材搬送方向の幅より大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記搬送手段は、記録材が当該搬送手段を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度が、記録材が前記除電手段を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度に対し小さくなるように配することで記録材の搬送方向を変更し、前記第2除電部は、記録材の搬送方向を変更する箇所に隣接して配することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記除電手段の前記第2除電部は、導電性繊維を含む材料からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置である。
【0008】
請求項6に記載の発明は、尖状突起を有する第1除電部と、前記第1除電部の記録材搬送方向下流側に配される搬送案内部と、搬送案内部に取り付けられ記録材と非接触に配される第2除電部と、を備え、前記第2除電部の記録材搬送方向の幅を前記第1除電部の記録材搬送方向の幅より大きくし、当該第1除電部および当該第2除電部により記録材の除電を行なうことを特徴とする除電装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、前記第1除電部は、接地電圧とすることを特徴とする請求項6に記載の除電装置である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、トナー像が転写された記録材を転写手段から定着手段に移動させる際にトナーが移動しにくく、形成される画像に乱れが生じにくい画像形成装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、第2除電部を設けることに起因して生じる画像乱れを抑制することができる。
請求項3の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、第2除電部によってより多くの静電気を除去しやすくなる。
請求項4の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、除電部を通過した後の記録材の静電気量を予め定められた範囲内としやすくなる。
請求項5の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、除電部を通過した後の記録材の静電気の分布に、よりムラが生じにくくなる。
請求項6の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、記録材の静電気量を予め定められた範囲内としやすくなる除電装置を提供することができる。
請求項7の発明によれば、本構成を採用しない場合に比較して、第1除電部と第2除電部との間に電気的な相互作用が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示している。
【図2】本実施の形態の搬送手段について説明した図である。
【図3】本実施の形態の除電手段について説明した図である。
【図4】(a)〜(b)は、第1除電部を更に詳しく説明した図である。
【図5】(a)〜(c)は、画像乱れについて説明した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<画像形成装置全体の説明>
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示している。
本実施の形態に係る画像形成装置1は、矢印A方向に回転可能に配設される像保持体としての感光体ドラム11、矢印B方向に回転可能に配設され、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)して保持させる転写材としての中間転写ベルト20、中間転写ベルト20上に転写された重ねトナー像を記録材である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部30、二次転写されたトナー像を用紙Pに定着する定着手段(定着装置)の一例としての定着部50、画像形成装置1の各機構部を制御する制御部60、二次転写部30により帯電した用紙Pを除電する除電装置の一例としての除電手段70、二次転写部30から定着部50に用紙Pを搬送する搬送手段80を備えている。
【0014】
感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電させる接触帯電部材としての帯電ロール12、感光体ドラム11上に静電潜像が書込まれるトナー像形成部としてのレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色成分トナーが収容されて感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像部としての現像器14Y,14M,14C,14Kを回転可能に取り付けた回転式現像装置14、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト20に転写する転写部としての一次転写ロール15、感光体ドラム11上の残留トナーのうち通常の極性と逆極性に帯電したトナーを回収するクリーニングブレード16などの電子写真用デバイスが順次配設されている。
【0015】
ここで、帯電ロール12は、金属製シャフト表面にエピクロルヒドリンゴム層を形成し、さらにこのエピクロルヒドリンゴム層の表面に酸化錫の導電粉を含有させたポリアミドを3μmほどコートしたものからなる。なお本実施の形態では、帯電ロール12は、スコロトロン型の帯電装置とすることもできる。
【0016】
さらに、感光体ドラム11は、金属製の薄肉の円筒形ドラムの表面に有機感光層を形成したものからなり、有機感光層が負極性に帯電する材料で構成されている。そして、現像器14Y,14M,14C,14Kによる現像は反転現像方式にて行われる。従って、現像器14Y,14M,14C,14Kで使用されるトナーは負極性帯電タイプのものである。帯電ロール12には予め定められた帯電バイアスを印加するための帯電バイアス電源12aが、回転式現像装置14には各現像器14Y,14M,14C,14Kに予め定められた現像バイアスを印加するための現像バイアス電源14aが、一次転写ロール15には予め定められた一次転写バイアスを印加するための一次転写バイアス電源15aが、それぞれ接続されている。また、回転式現像装置14には、回転により予め定められた現像器を感光体ドラム11に対向させるための現像装置駆動モータ14bが取り付けられている。なお、感光体ドラム11は接地されている。なお本実施の形態の画像形成装置1では、感光体ドラム11、帯電ロール12、レーザ露光器13、回転式現像装置14をトナー像を形成するトナー像形成手段として捉えることができる。
【0017】
中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では6つ)のロール21〜26に掛け渡されるようになっている。これらのうち、ロール21は中間転写ベルト20の駆動ロール、ロール22は中間転写ベルト20の位置決めや平坦な一次転写面の形成に用いられる金属製のアイドルロール、ロール23は中間転写ベルト20の張力を一定とするために用いられるテンションロール、ロール24,25は従動ロール、ロール26は後述する二次転写用のバックアップロールである。また、中間転写ベルト20は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、塩化ビニル等の樹脂または各種ゴム等に導電剤としてカーボンブラックを適量含有させたものからなり、その表面抵抗率を10.8±0.6logΩ/□、体積抵抗率を10±2logΩ・cm、厚みを90±15μmとしたものを用いている。
【0018】
二次転写部30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール31と、ロール26と、二次転写ロール31上に残留するトナー等を除去するクリーニングブレード32等とによって構成される。二次転写ロール31は、ロール26は、エピクロンヒドリンゴムとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムからなり、その表面抵抗率が6.7±0.15logΩ/□となるように形成され、硬度は例えば70°(アスカC)に設定される。このロール26の軸部には予め定められた二次転写バイアスを印加するための二次転写バイアス電源31aが接続され、一方、二次転写ロール31は接地されている。
【0019】
一方、二次転写部30の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト20上に付着する残留トナーを除去するクリーナとしてのベルトクリーナ27が設けられており、中間転写ベルト20を挟んでベルトクリーナ27に対向する位置には、中間転写ベルト20の内面に沿って板金部材28が配置されている。このベルトクリーナ27は、ウレタン性のクリーニングブレード41と、このクリーニングブレード41が収容されるクリーナハウジング42とを有している。また、クリーニングブレード41の一端側はブロック43に挟み込まれることで固定されており、このブロック43は軸44aを中心に揺動するホルダ44に取り付けられている。さらに、ホルダ44の下端側に設けられた凹部44bとクリーナハウジング42下部に設けられた膨出部42aとの間には、クリーニングブレード41を中間転写ベルト20に向けて付勢するバネ45が取り付けられ、クリーニングブレード41からみて中間転写ベルト20の移動方向上流側には、除去した異物の外部への飛び散りを抑制するためのフィルムシール46が取り付けられている。
【0020】
また、ホルダ44は、クリーナ駆動モータ27aに接続された図示しないカムによりバネ45の付勢方向とは逆方向に付勢あるいは付勢解除できるようになっており、これによりクリーニングブレード41が中間転写ベルト20に対して接離できるようになっている。そして、本実施の形態では、複数色からなるカラー画像が形成される場合には、最終色前のトナー像が二次転写ロール31およびベルトクリーナ27を通過するまで、これら二次転写ロール31およびベルトクリーナ27が中間転写ベルト20から離間するようになっている。
なお本実施の形態の画像形成装置1では、中間転写ベルト20、一次転写ロール15、および二次転写ロール31によりトナー像を用紙に転写する転写手段が構成される。
【0021】
さらに、定着部50は、ハロゲンランプ等の加熱源を内蔵する加熱ロール51と、この加熱ロール51に圧接配置される加圧ロール52とを備えており、これら加熱ロール51と加圧ロール52との間に形成される定着ニップ域にトナー像が転写された用紙を通過させることで、定着を行うようになっている。
【0022】
<搬送手段の説明>
図2は、本実施の形態の搬送手段80について説明した図である。
図2に示すように搬送手段80は、二次転写部30から定着部50に用紙Pを搬送する回転体の一例としての回転ベルト81と、回転ベルト81の回転軸方向外側に、用紙Pを案内する記録材案内部の一例としての用紙案内部82とを備える。更に搬送手段80は、回転ベルト811を回転させるための駆動手段83と、図示しないファンに接続され用紙Pを回転ベルト811に吸着させるための負圧を発生させる空気流を通すためのダクト84とを備える。
【0023】
回転ベルト81は、ゴム等の伸縮性のある材料から形成される。そして回転ベルト81は、一対の回転ロール85により張架され、回転ロール85が回転することにより回転を行なう。また回転ロール85には駆動手段83が接続されている。そのため駆動手段83により駆動力が発生すると、回転ロール85を介して回転ベルト81が回転する。そして回転ベルト81が回転することにより、用紙Pを、二次転写部30から定着部50に搬送することができる。
【0024】
また回転ベルト81には、規則的に配列する孔部81aが複数形成されている。上述したダクト84は、この孔部81aと接続されており、図示しないファンを回転させるとダクト84を介して、孔部81aから空気が吸引される。そのため回転ベルト81上に用紙Pが搬送されると、用紙Pと回転ベルト81との間に負圧が生じ、用紙Pは、回転ベルト81に吸引されつつ、搬送される。
【0025】
用紙案内部82は、用紙Pの搬送方向に沿って形成される突起部の一例としてのリブ82aを有する。そして用紙Pはこのリブ82aに接触しつつ搬送される。そのため摩擦力を軽減した状態で、用紙Pを搬送することができる。用紙案内部82に樹脂等を成形加工することで製造することができる。
【0026】
ここで用紙案内部82に形成されるリブ82aにより転写されたトナー像に乱れが生じる場合がある。つまり二次転写部30により用紙Pにトナー像が転写される際には、上述したように二次転写ロール31に電圧を印加し電界をかけることにより行なう。そのためその際に用紙Pに発生した静電気が、搬送手段80に達するまでに予め定められた量以上残存していると、用紙Pがリブ82aに静電吸着しやすくなる。そして用紙Pがリブ812aに静電吸着すると、用紙Pとリブ82aとの間に生じる摩擦により放電が生じる。そしてこの放電により、リブ82aに沿って用紙P上のトナーが飛び散る現象が生じる。その結果、トナー像に乱れが生じ、形成される画像に画像乱れが生じる。この画像乱れは、用紙Pとリブ82aとが接触した箇所で生じ、用紙Pの搬送方向(副走査方向)に伸びる筋状のムラとなって現れる。
【0027】
このような現象を抑制するため、本実施の形態では、二次転写部30と搬送手段80の間に配され、用紙Pを除電する除電手段70を以下のような形態としている。
【0028】
<除電手段の説明>
図3は、本実施の形態の除電手段70について説明した図である。
図3に示すように除電手段70は、第1除電部71と、用紙Pを搬送手段80に向けて案内する搬送案内部72と、第1除電部71の用紙搬送方向下流側に配される第2除電部73とを備える。つまり除電手段70は、予め定められた距離をおいて配される2つの除電部を備える。
【0029】
図4(a)〜(b)は、第1除電部71を更に詳しく説明した図である。
第1除電部71は、板状の金属等からなる電極であり、その用紙搬送方向の厚さ(肉厚)は、例えば0.5mmである。そして長尺方向を主走査方向に対しほぼ平行になるようにして配置される。また図4(a)に示すように第1除電部71は、取り付け部711により固定されている。この取り付け部711は、樹脂等からなり、第1除電部71は、この取り付け部711に埋め込まれることで固定が行なわれる。また第1除電部71は、尖状突起71aを有する。本実施の形態において尖状突起71aは、図4(b)に示すように、例えば、高さ(a)が2mmであり、ピッチ(b)が3mmである。そして尖状突起71aの先端部は、用紙Pの搬送方向に向いており、用紙Pが搬送されたときの用紙Pと尖状突起71aの距離は、例えば0.5mmである。
【0030】
搬送案内部72は、樹脂等による成形品であり、用紙Pの搬送方向に沿って形成されるリブ72aを有する。そして用紙Pが二次転写部30から搬送されると、用紙Pは、搬送案内部72のリブ72aに接触することで案内され搬送手段70に向けて誘導される。
【0031】
第2除電部73は、シート状の部材であり、その長尺方向を主走査方向に対しほぼ平行になるようにして配置される。また図2や図3に示すように第2除電部73は、搬送案内部72のリブ72aの下側に配される。即ち第2除電部73は、搬送案内部72のリブ72aを挟み用紙Pの搬送路と対向して配される。本実施の形態では、第2除電部73は、導電性繊維を含む材料である導電性不織布からなる。このような材料からなる部材を、第2除電部73として使用することで画像乱れをより生じにくくすることができる。つまり第1除電部71のように尖状突起71aの箇所で用紙Pの除電を行なうと、用紙Pから除去される静電気の分布が主走査方向で不均一になりやすくなる。即ち尖状突起71aにより除電された部分と尖状突起71aの間で除電された部分とで静電気の分布が不均一になりやすい。そしてこれにより画像乱れが生じやすくなる。本実施の形態の第2除電部73では、静電気の分布が主走査方向で均一になりやすく、画像乱れがより生じにくくなる。
第2除電部73の短尺方向の長さは、例えば、5mmであり、厚さは例えば1mmである。また用紙Pが搬送された際の用紙Pと第2除電部73の最近接距離は、例えば1mm〜2mmである。
【0032】
<除電手段と搬送手段の位置関係の説明>
本実施の形態では、除電手段70と搬送手段80により搬送路YR(図1参照)が形成される。そして搬送手段80は、用紙Pが搬送手段80を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度が、用紙Pが除電手段70を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度に対し小さくなるように配する。そしてこれにより搬送路YRの途中であって、除電手段70と搬送手段80の境界付近で用紙Pの搬送方向を変更している。つまりこのようにすること下側に凸の形状で用紙Pはループを描くようにして搬送される。
【0033】
このようにすることで、定着部50において発生する紙シワを抑制することができる。つまり用紙Pをループを描くように搬送させることで、用紙Pは曲がりながら搬送される。これは用紙Pがたるみつつ搬送されると言い換えることができる。そしてこのようにすることで定着部50の定着ニップ域に用紙Pの先端部がほぼ同時に入らなかった場合、即ち用紙Pが斜めに入った場合でも紙シワが生じにくくなる。つまり用紙Pが斜めに定着ニップ域に入った場合、用紙Pに作用する応力が用紙Pの主走査方向で不均一となりこれに起因して用紙Pに紙シワが生じる。一方、用紙Pにたるみがあると、このたるみにより用紙Pに作用する応力が緩和され紙シワが生じにくくなる。
【0034】
<除電手段の機能の説明>
次に第1除電部71および第2除電部73の機能について説明を行なう。
上述した筋状のムラを抑制するため本実施の形態では、主に第2除電部73で用紙Pの静電気を除電する。つまりこの筋状のムラは用紙Pの下側、即ち第2除電部73側の電位が予め定められた電位より大きいために生じる現象である。そのため用紙Pの下側に第2除電部73を配することで、より効果的に用紙Pの下側の静電気を除去し、除電を行なうことができる。
【0035】
また本実施の形態では、第2除電部73は、用紙Pと非接触で配される。用紙Pと接触するように第2除電部73を配すると、用紙Pの下側から静電気をより多く除去することになる。その結果、用紙Pの下側と用紙Pの上側との静電気量の差が大きくなりすぎる。そのためこれに起因して用紙Pの下側と上側で電位のバランスが崩れ、用紙Pの上側に形成されているトナー像が動きやすくなる。そしてトナー像が動くと用紙Pに形成される画像に乱れが生じる。
【0036】
更に本実施の形態では、第2除電部73は、前述した用紙Pの搬送方向を変更する箇所に隣接して配することが好ましい。用紙Pはこの箇所において、搬送方向を変化させるために、下側から上側に押される力が働く。そのため用紙Pが予め定められた搬送路から浮いて搬送されることが起きにくい。よって第2除電部73と用紙Pとの距離が予め定められた距離となりやすく、用紙Pの下側の静電気量を予め定められた範囲内としやすくなる。
【0037】
また第1除電部71と第2除電部73とは、予め定められた距離より離間させて配することが好ましい。ここで第1除電部71と第2除電部73とが予め定められた距離未満であると、第1除電部71と第2除電部73との間に電気的な相互作用が生じ、他の画像乱れが生じやすくなる。つまり本実施の形態では、第2除電部73を設けることで、前述した画像に筋状のムラが生じる画像乱れは抑制できるが、他の画像乱れが生じやすくなる。
【0038】
図5(a)〜(c)は、画像乱れについて説明した概念図である。
ここで図5(a)は、上述した搬送手段80に設けられるリブ82aに起因する画像乱れであり、用紙Pとリブ82aとが接触した箇所で生じ、紙の搬送方向(副走査方向)に伸びる筋状のムラである。また図5(b)は、第2除電部73を設けることに起因する画像乱れであり、用紙P全体に生じ、用紙Pの搬送方向にトナー像が飛び散るものである。図5(b)の例では、矩形状の画像を用紙P上に形成しているが、トナー像が飛び散ることにより用紙Pの搬送方向に向けて鋸歯状の部分ができる画像となっている。また更に図5(c)は、第2除電部73を設けることに起因する画像乱れであり、用紙P全体に生じ、用紙Pの搬送方向にハーフトーン状にできる筋状のムラである。
【0039】
第1除電部71と第2除電部73とは、予め定められた距離より離間させて配することにより、図5(b)および図5(c)の画像乱れが抑制できる。より具体的には、第1除電部71と第2除電部73を、例えば2mm以上離間させて配することが好ましい。
また第1除電部71は、一般的には、−3kV等の負の電圧を印加することにより用紙Pの静電気を除電するが、本実施の形態では、接地電圧とすることが好ましい。本実施の形態では、第1除電部71を接地電圧とすることで、図5(b)および図5(c)の画像乱れを更に抑制できる。
【0040】
そして本実施の形態では、第2除電部73の用紙搬送方向の幅を第1除電部71の用紙搬送方向の幅より大きくすることが好ましい。更に第2除電部73と用紙Pとの距離を第1除電部と用紙Pとの距離より大きくすることが好ましい。このようにすることで、第2除電部においてより多くの静電気を除去することができ、図5(a)〜図5(c)の画像乱れが、より生じにくくなる。
【符号の説明】
【0041】
1…画像形成装置、11…感光体ドラム、15…一次転写ロール、20…中間転写ベルト、30…二次転写部、31…二次転写ロール、50…定着部、70…除電手段、71…第1除電部、71a…尖状突起、72…搬送案内部、72a,82a…リブ、73…第2除電部、80…搬送手段、81…回転ベルト、82…用紙案内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段により形成された前記トナー像を記録材に転写する転写手段と、
前記転写手段により転写された前記トナー像を記録材に定着する定着手段と、
前記転写手段から前記定着手段に記録材を搬送する回転体と、記録材の搬送方向に沿って形成される突起部を有する記録材案内部とを備える搬送手段と、
前記転写手段と前記搬送手段の間に配され、記録材を除電する除電手段と、
を備え、
前記除電手段は、
尖状突起を有する第1除電部と、
前記第1除電部の記録材搬送方向下流側に配され、記録材と非接触に配される第2除電部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記除電手段の前記第1除電部は、接地電圧とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記除電手段は、前記第2除電部の記録材搬送方向の幅を前記第1除電部の記録材搬送方向の幅より大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送手段は、記録材が当該搬送手段を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度が、記録材が前記除電手段を通過するときの搬送方向の水平方向に対する角度に対し小さくなるように配することで記録材の搬送方向を変更し、
前記第2除電部は、記録材の搬送方向を変更する箇所に隣接して配することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記除電手段の前記第2除電部は、導電性繊維を含む材料からなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
尖状突起を有する第1除電部と、
前記第1除電部の記録材搬送方向下流側に配される搬送案内部と、
搬送案内部に取り付けられ記録材と非接触に配される第2除電部と、
を備え、
前記第2除電部の記録材搬送方向の幅を前記第1除電部の記録材搬送方向の幅より大きくし、当該第1除電部および当該第2除電部により記録材の除電を行なうことを特徴とする除電装置。
【請求項7】
前記第1除電部は、接地電圧とすることを特徴とする請求項6に記載の除電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−103422(P2012−103422A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250995(P2010−250995)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】