説明

画像形成装置とその処理方法及びプログラム

【課題】設定ファイルを配信させ、複合機上で動作するアプリケーションの導入を容易にする仕組みを提供することである。
【解決手段】外部記憶装置が接続可能な画像形成装置であって、当該画像形成装置に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定し、設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断し、前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定し、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得し、取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動し、他の画像形成装置のアプリケーションを起動させるべく、取得した設定ファイルを、他の画像形成装置に送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
設定ファイルの配信することが可能な画像形成装置とその処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合機の基本的な使い方から、ユーザのニーズに沿った使い方を実現するために、複合機に複合機用のアプリケーションをインストールし、複合機の基本機能以外の機能を実現するようになってきている。
【0003】
そのため、複合機のアプリケーションの設定においては、ネットワークを介して設定を変更する、或いは複合機の画面から設定変更を行っている。
【0004】
例えば、初期導入時には数十台の複合機を導入するケースもあるが、この場合アプリケーションの設定を1台1台する必要があり、大きな手間となるため、複合機でアプリケーションを起動する際に設定情報をサーバから取得する方法が考えられる。
【0005】
設定情報を複合機に取り込む技術として特許文献1や特許文献2のように、様々な方法が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−78392号公報
【特許文献2】特開2008−269323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のようにサーバから設定情報を取得する方法は、どのサーバを参照するかについて複合機を設置する際に1台1台設定しなくてはならず、数十台など大規模な導入において設定に手間がかかっていた。
【0008】
また、特許文献2のようにクライアント端末から複合機に設定情報を送る方法は、設定情報を配信するクライアント端末を準備し、クライアント端末上で設定情報を送るアプリケーションを操作しなければならず、不慣れなユーザであると操作が煩雑であるため、簡単に複合機のアプリケーションの設定を行うことが望まれている。
【0009】
そこで、本発明の目的は、画像形成装置でアプリケーションの起動時に、設定ファイルが記憶されている外部記憶装置が接続されているか否かを判定し、外部記憶装置が記憶されている場合には当該画像形成装置のアプリケーションが設定ファイルを配信するアプリケーションとして動作することで、他の画像形成装置にアプリケーションが参照する設定ファイルを配信させ、複合機上で動作するアプリケーションの導入を容易にする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、外部記憶装置が接続可能な画像形成装置であって、当該画像形成装置に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段で設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断する中断手段と、前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得する設定ファイル取得手段と、前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、他の画像形成装置のアプリケーションを起動させるべく、前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを、他の画像形成装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の画像形成装置から設定ファイルを受信する設定ファイル受信手段と、前記設定ファイル受信手段で受信した設定ファイルを記憶する記憶手段と、前記アプリケーション起動手段は、前記記憶手段で記憶した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動することを特徴とする。
【0012】
また、前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の画像形成装置から設定ファイルを受信するべく、当該画像形成装置の設定ファイル受信用のポートを開き、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、他の画像形成装置へ設定ファイルを送信するべく、当該画像形成装置の設定ファイル送信用のポートを開くポート設定手段
を更に備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記中断手段は、設定ファイルを受信するための待機画面を表示し、前記待機画面で初期設定で前記アプリケーションを起動する指示があった場合に、当該アプリケーションが保持する初期設定に従って設定ファイルを作成する設定ファイル作成手段を更に備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記アプリケーション起動手段は、前記設定ファイル作成手段で作成した設定ファイルを用いて、アプリケーションを初期設定起動することを特徴とする。
【0015】
また、前記アプリケーションは、当該画像形成装置に予め有する機能とは別の機能を実現するために、当該画像形成装置にインストールすることが可能なアプリケーションであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置でアプリケーションの起動時に、設定ファイルが記憶されている外部記憶装置が接続されているか否かを判定し、外部記憶装置が記憶されている場合には当該画像形成装置のアプリケーションが設定ファイルを配信するアプリケーションとして動作することで、他の画像形成装置にアプリケーションが参照する設定ファイルを配信させ、複合機上で動作するアプリケーションの導入を容易にする効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】設定情報配信システムのシステム構成を示す図
【図2】複合機100のハードウエア構成を示す図
【図3】複合機100のソフトウェアブロックを示す図
【図4】複合機100の機能構成を示す図
【図5】複合機100のフローチャートを示す図
【図6】設定ファイルを示すイメージ図
【図7】ホスト名ファイルを示すイメージ図
【図8】プレ起動画面を示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を用いて、本実施形態の設定情報配信システムについて説明する。
【0020】
複合機100はネットワークを介して他の複合機100と通信可能に接続されている。本実施形態では2台の複合機となっているが、複合機は2台に限らず、2台以上の複合機が接続されている環境であってもよい。
【0021】
複合機100には、複合機でアプリケーションがインストールされている。(親)アプリケーション110と(子)アプリケーション120は同一アプリケーションではあるが、設定を配信する親と設定を受信する子という関係にある。また、本実施形態で説明するアプリケーションは、当該複合機に予め有する機能(スキャンやプリント)とは別の機能(例えば、スキャンやプリントを用いた拡張機能)を実現するために、当該複合機にインストールすることが可能なアプリケーションである。より詳細には、HDD204に記憶された印刷ジョブの内、複合機100にログインしたユーザの印刷ジョブを複合機の操作パネルに表示し、選択された印刷ジョブをその複合機で即時に印刷するアプリケーションなどがある。
【0022】
本実施形態では図示した110と120を、明示的にそれぞれ親、子としたが、どちらを親にするかは起動時に外部記憶装置(例えばUSBメモリ)が接続されていることで決定する。具体的には外部記憶装置(例えばUSBメモリ)が接続されている複合機が親となる。
【0023】
次に、図2を用いて、図1に示した複合機100を制御するコントローラユニットのハードウエア構成について説明する。
【0024】
図2は、図1に示した複合機100のコントローラユニットのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2において、216はコントローラユニットで、画像入力デバイスとして機能するスキャナ214や、画像出力デバイスとして機能するプリンタ212と接続する一方、LANや公衆回線(WAN)(例えば、PSTNまたはISDN等)と接続することで、画像データやデバイス情報の入出力を行なう。
【0026】
コントローラユニット216において、201はCPUで、システム全体を制御するプロセッサである。202はRAMで、CPU201が動作するためのシステムネットワークメモリであり、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリでもある。
【0027】
203はROMで、システムのブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。204はハードディスクドライブ(HDD)で、システムを制御するための各種プログラム(複合機にインストール可能なアプリケーションプログラム含む)、アプリケーションプログラムが参照する設定情報(設定ファイル)、画像データ等を格納する。
【0028】
207は操作部インタフェース(操作部I/F)で、操作部(UI)208とのインタフェース部であり、操作部208に表示する画像データを操作部208に対して出力する。また、操作部I/F207は、操作部208から本システム使用者が入力した情報(例えば、ユーザ情報等)をCPU201に伝える役割をする。なお、操作部208はタッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下(指等でタッチ)することにより、各種指示を行うことができる。
【0029】
205はネットワークインタフェース(Network I/F)で、ネットワーク(LAN)に接続し、データの入出力を行う。206はモデム(MODEM)で、公衆回線に接続し、FAXの送受信等のデータの入出力を行う。
【0030】
218は外部インタフェース(外部I/F)で、USB、IEEE1394,プリンタポート,RS−232C等の外部入力を受け付けるI/F部であり、本実施形態においては認証で必要となるICカードの読み取り用のカードリーダ219が外部I/F部218に接続されている。そして、CPU201は、この外部I/F218を介してカードリーダ219によるICカードからの情報読み取りを制御し、該ICカードから読み取られた情報を取得可能である。
【0031】
また、外部記憶装置220(例えば、USBメモリ)が外部I/F部218に接続されている。そして、CPU201は、この外部I/F218を介して外部記憶装置220内から例えば設定情報(設定ファイル)の読み込みを制御し、外部記憶装置220に記憶されている情報を取得可能である。以上のデバイスがシステムバス209上に配置される。
【0032】
220はイメージバスインタフェース(IMAGE BUS I/F)であり、システムバス209と画像データを高速で転送する画像バス215とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0033】
画像バス215は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス215上には以下のデバイスが配置される。
【0034】
210はラスタイメージプロセッサ(RIP)で、例えば、PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開する。211はプリンタインタフェース(プリンタI/F)で、プリンタ212とコントローラユニット216を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、213はスキャナインタフェース(スキャナI/F)で、スキャナ214とコントローラユニット216を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0035】
217は画像処理部で、入力画像データに対し補正、加工、編集を行ったり、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。また、これに加えて、画像処理部217は、画像データの回転や、多値画像データに対してはJPEG、2値画像データはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0036】
スキャナ部214は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサで走査することで、ラスタイメージデータとして電気信号に変換する。原稿用紙は原稿フィーダのトレイにセットし、装置使用者が操作部208から読み取り起動指示することにより、CPU201がスキャナ214に指示を与え、フィーダは原稿用紙を1枚ずつフィードし原稿画像の読み取り動作を行う。
【0037】
プリンタ部212は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する部分であり、その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。プリント動作の起動は、CPU201からの指示によって開始する。なお、プリンタ部212には、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセットがある。
【0038】
操作部208は、LCD表示部を有し、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報を操作部I/F 207を介してCPU201に伝える。また、操作部208は、各種操作キーとして、例えば、スタートキー、ストップキー、IDキー、リセットキー等を備える。
【0039】
ここで、操作部208のスタートキーは、原稿画像の読み取り動作を開始する時などに用いる。スタートキーの中央部には、緑と赤の2色LEDがあり、その色によってスタートキーが使える状態にあるかどうかを示す。また、操作部208のストップキーは、稼働中の動作を止める働きをする。また、操作部208のIDキーは、使用者のユーザIDを入力する時に用いる。リセットキーは、操作部からの設定を初期化する時に用いる。
【0040】
カードリーダ219は、CPU201からの制御により、ICカード(例えば、ソニー社のフェリカ(FeliCa)(登録商標))内に記憶されている情報を読み取り、該読み取った情報を外部I/F218を介してCPU201へ通知する。
【0041】
以上のような構成によって、複合機100は、スキャナ214から読み込んだ画像データをLAN700上に送信したり、LANから受信した印刷データをプリンタ212により印刷出力することができる。
【0042】
また、スキャナ214から読み込んだ画像データをモデム206により、公衆回線上にFAX送信したり、公衆回線からFAX受信した画像データをプリンタ212により出力することできる。
【0043】
図3は、図1の複合機100におけるソフトウェアブロックの一例を示す図である。
【0044】
図3を用いて、複合機100内の環境の前提を説明する。追加で設けられたソフトウェア動作環境はアプリケーションプラットフォーム2009(以下、プラットフォームということがある。)と呼ばれる。このプラットフォーム2009は、インタプリタとひとそろいのアプリケーションプログラミングインタフェース(以下、API)群やフレームワーク群から構成される。そして、このプラットフォーム2009は、その上で動作するソフトウェアのために一種の擬似OSあるいはコンピューティングプラットフォームというべきものを提供する。
【0045】
インタプリタは、所定の命令セットに含まれる命令からなる一連の命令列を逐次的に読み出し解釈し実行する。この命令セットをハードウェアのCPUのための命令セットと同等の位置づけに捉える場合、インタプリタは特に仮想マシンと呼ばれることもある。API群およびフレームワーク群は、このソフトウェア動作環境の下層に内在する実際のリアルタイムOS(2010)が提供する資源やハードウェア資源を抽象化した各種の資源群に対するアクセスを、ソフトウェア動作環境上で動作するソフトウェアのために提供する。
【0046】
資源にはプロセッサによる命令実行コンテクストやメモリ、ファイルシステム、ネットワークインタフェースを含む各種入出力(I/O)などがある。特に、命令実行コンテクストは実際のCPUとリアルタイムOSが提供するマルチタスク機構とは独立に、ソフトウェア動作環境が独自にインタプリタ上の命令実行コンテクストを管理できる。また、メモリも同様にソフトウェア動作環境が独自のメモリ管理を提供できる。
【0047】
プラットフォームで動作するソフトウェア(アプリケーション)はインタプリタによって逐次的に読み込み解釈実行されるため、これらの処理の過程で命令列を監視しシステムに悪影響を与える動作を除外できる可能性がある。また、ソフトウェア実行環境上のソフトウェアから各種資源に対するアクセスは、プラットフォームが提供するAPI群やフレームワーク群を経由して間接的に資源を操作するため、この過程でシステムに悪影響を与える動作を除外できる。
【0048】
したがって、ファームウェア内部にインタプリタおよびAPI群とフレームワーク群からなるソフトウェア実行環境の階層を設けるアプローチは、基本的には静的かつ固定的に構成されるべき低コスト組み込みシステムのファームウェアにおいて、ソフトウェアの動的な特性を部分的に導入するために非常に有効である。また、プラットフォーム2009上には、アプリケーション1(2005)乃至アプリケーション2(2006)などが配置される。これらアプリケーション1などは、プラットフォームのAPIを用いて実行される。
【0049】
次に、図4を用いて本発明の実施形態における、各端末内の機能の関連を説明する。なお、それぞれの機能につては後述のフローチャートで詳細に説明するため、ここでは各種端末内に記載されている機能の概略について説明する。
【0050】
アプリケーション動作部(111/121)は、インストールされているアプリケーション毎の主機能を実行する機能である。(親)アプリケーション上のアプリケーション動作部111は設定配信部112が外部記憶装置から読み込んだアプリケーション動作設定(設定情報)を受け取り、アプリケーションが参照する領域に記憶する。また、アプリケーション動作設定(設定情報)を読み込み、アプリケーションの主機能を動作する。主機能とは、アプリケーションが実行するスキャンデータを所定のサーバに送信する機能や、サーバに蓄積されている印刷ジョブの一覧を表示し、サーバに対して一覧で選択された印刷ジョブの印刷指示をする機能等である。
【0051】
設定配信部(112)は、複合機100に付属されている外部記憶装置から設定ファイルを取得し、アプリケーション動作部111へ受け渡す。また取得した設定ファイルを外部記憶装置内のホストファイルに記載されている複合機100上で動作する(子)アプリケーションに対して送信する機能を有する。
【0052】
設定受信部(122)は、(親)アプリケーション110内の設定配信部112から送信される設定ファイルを受信して同アプリケーション内のアプリケーション動作部121に対して通知する。
【0053】
次に図5のフローチャートを用いて本実施形態の詳細な説明をする。
【0054】
Step500では、CPU201が、複合機100の電源ON(起動時)に従って、(親)アプリケーション110又は(子)アプリケーション120が起動する。より具体的には、オペレーティングシステムが立ち上がり、アプリケーションプラットフォームがアプリケーションプラットフォーム上で動作するアプリケーションに対してAPI等を用いて起動命令を出す。
【0055】
Step501では、(親)アプリケーション110又は(子)アプリケーション120が起動時に、CPU201により、それぞれのアプリケーション動作部111/121が、複合機100内のHDD204のアプリケーションが参照する領域に設定ファイルが存在するか否かを判定する。設定ファイルが存在する場合は、Step502へ処理を移し、設定ファイルが存在しない場合は、Step503へ処理を移す。
【0056】
Step502では、設定ファイルが存在するため、CUP201により、アプリケーション動作部111/121が、アプリケーション動作部111/121が設定ファイルを読み込んで起動する。なお、本実施形態では、設定ファイルを読み込んで起動した場合には処理を終了したが、設定ファイルが存在した場合でも外部記憶装置の装着を判定し、装着があった場合には、Step512へ処理を移し、装着がない場合には、処理を終了するように構成することも可能である。
【0057】
これにより、複合機を追加導入した場合などに、既に設定ファイルが存在してアプリケーションが起動可能な複合機を親複合機として、追加導入した子複合機に設定ファイルを簡単に配信することができる。
【0058】
設定ファイルのイメージ図は、図6である。設定ファイルはアプリケーションごとに異なるが、例えば、複合機に印刷ジョブを蓄積し、複合機にログインしたユーザの印刷ジョブ一覧を操作部208に表示し、選択された印刷ジョブをプリンタ部212へ出力するような蓄積型のプリントアプリケーションの場合には、次の設定情報を設定ファイルとして保持する。
【0059】
設定1(Key1)として、印刷ジョブが格納されるHDD204の領域(ボックス)の識別番号。設定2(Key2)として、ボックスのパスワード、設定3(Key3)として、印刷後に印刷ジョブを削除するか否か(ON/OFF)、設定4(Key4)として、印刷ジョブ一覧画面に複合機へログインしたユーザ名を表示するか否か(ON/OFF)、設定5(Key5)として、印刷ジョブ一覧画面にボタンAを表示するか否か(ON/OFF)等があげられる。
【0060】
Step503では、設定ファイルが存在しないため、(親)アプリケーション110又は(子)アプリケーション120は、CPU201により、設定配信部112又は設定受信部122がプレ起動画面を表示させる。プレ起動画面が表示されると、アプリケーションは設定ファイルを読み込んで各種設定を行うことが一時的に中断される。なお、設定配信部112又は設定受信部122は図4に示すようなUIを表示して設定情報の配信/受信の待機状態になる。図4は(子)アプリケーション120が操作部208に表示する画面例である。
【0061】
Step504では、CPU201により、設定配信部112又は設定受信部122は、複合機100に設定ファイルが格納されている外部記憶装置(例えばUSBメモリ)が付属されているかを判断する。このとき外部記憶装置内に存在するファイルが自身の設定ファイルかどうかを判定する基準としては、例えば、ファイル名にアプリケーション名があるか、または固有のアプリケーションIDのようなものが存在するかで判別を行う。
【0062】
Step505では、CPU201により、設定配信部112が、外部記憶装置から設定ファイルを読み込む(取得する)。
【0063】
Step506では、CPU201により、設定配信部112が、読み込んだ設定ファイルに記憶されている設定情報を複合機100のHDD204内のアプリケーションが参照する所定の場所に保存する。Step502と同様に設定ファイルを読み込んでアプリケーションを起動する。また、図8のプレ起動画面の表示を解除する。
【0064】
Step507では、CPU201により、設定配信部112が、外部記憶装置から設定を配信する先となる子複合機のホスト名ファイルを取得する。ホスト名ファイルのイメージ図が図7である。ホスト名ファイルには、配信先のIPアドレスや、ホスト名が記載されており、記載されている先に設定ファイルが配信される。なお、本実施形態では、図7のホスト名ファイルに記載されている配信先に設定ファイルを送信するように構成したが、ネットワーク上でブロードキャストを行い、通信可能な複合機を特定して、特定された複合機のうち、後述する設定受信ポートに接続できた複合機に設定ファイルを送信するように構成することも可能である。
【0065】
Step508では、CPU201により、設定配信部112が、設定配信処理としてStep509〜Step 511の処理をStep507で取得したホスト数分繰り返す。
【0066】
Step509では、CPU201により、設定配信部112が、子複合機の同一アプリケーションが開いている設定受信用ポートに対して接続を行う。どのポートが開かれているかはアプリケーション毎に予め決められており、例えば、アプリケーションプログラム内、ホスト名ファイルや設定ファイル内に記載しておく。この時、子複合機の設定受信部122は、アプリケーション固有のポートを開いて設定の配信を待機していることとする。
【0067】
Step510では、CPU201により、Step509でのポートに対しての接続が成功したかを判定する。接続が成功した場合には、Step511へ処理を移し、接続に失敗した場合には繰り返し処理に戻る。
【0068】
Step511では、CPU201により、Step506でHDD204に書き込んだ(保存した)設定ファイルを子複合機内の設定受信部122に対して送信する。
【0069】
Step512では、CPU201により、外部記憶装置の付属が無いと判断されたため、(子)アプリケーション120として、設定受信部122がアプリケーション固有の設定受信ポートを開く。どのポートを開くかはアプリケーション毎に予め決められており、例えば、プログラム内に記載しておく。
【0070】
Step513では、CPU201により、設定受信部122が、(親)アプリケーション110の設定配信部112から設定ファイルが配信されるのを待機する。
【0071】
Step514では、CPU201により、アプリケーション動作部121が、図8で示すプレ起動画面上の初期化ボタンがユーザにより押されたか否かを判断する。初期化ボタンが押されたと判断した場合には、Step515へ処理移す。初期化ボタンが押下されていないと判断した場合にはStep518へ処理を移す。
【0072】
Step515では、CPU201により、アプリケーション動作部121が、Step512で開いた設定受信用ポートを閉じる。
【0073】
Step516では、CPU201により、アプリケーション動作部121が、アプリケーション固有で決まっている初期設定を複合機100上のHDD204の所定の領域に設定ファイルとして保存する。
【0074】
Step517では、CPU201により、設定受信部122が、アプリケーション動作部121に対して初期設定で起動する旨の通知を行う。通知を受けたアプリケーション動作部121は複合機100のHDD内の所定の場所の設定ファイルを読み込み、設定に応じた起動を実行し、アプリケーション画面を表示する。また、図8のプレ起動画面の表示を解除する。これにより、アプリケーションデフォルトの設定でアプリケーションを起動させることができる。
【0075】
Step518では、Step514で[初期化]ボタンが押されずに(親)複合機の設定配信部112から専用ポートに設定ファイルが送信された際に、CPU201により、設定受信部122が親複合機100から設定ファイルを受信する。
【0076】
Step519では、CPU201により、設定受信部122が、Step518で受信した設定ファイルを複合機100のHDD204の所定の場所に保存する。
【0077】
Step520では、Step519で正常に設定を保存した場合、CPU201により、設定受信部122がStep512で開いた設定受信用ポートを閉じる。
【0078】
Step521では、CPU201により、設定受信部122が、アプリケーション動作部121に対して設定受信後の起動通知を発行する。起動通知を受信したアプリケーション動作部121は複合機100のHDD204の所定の場所の設定ファイルを読み込んで起動する。このとき読み込む設定ファイルはStep519で設定受信部122が保存した設定ファイルになる。また、図8のプレ起動画面の表示を解除する。
【0079】
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態では、外部記憶装置が接続可能な複合機(画像形成装置)で、当該複合機(画像形成装置)に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定し、設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断し、前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定し、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得し、取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動し、他の複合機(画像形成装置)のアプリケーションを起動させるべく、取得した設定ファイルを、他の複合機(画像形成装置)に送信する。
【0080】
また、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の複合機(画像形成装置)から設定ファイルを受信し、受信した設定ファイルを記憶し、記憶した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動する。
【0081】
また、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の複合機(画像形成装置)から設定ファイルを受信するべく、当該複合機(画像形成装置)の設定ファイル受信用のポートを開き、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、他の画像形成装置へ設定ファイルを送信するべく、当該画像形成装置の設定ファイル送信用のポートを開く。
【0082】
また、起動を中断する際は、設定ファイルを受信するための待機画面(プレ起動画面)を表示し、待機画面で初期設定で前記アプリケーションを起動する指示があった場合に、当該アプリケーションが保持する初期設定に従って設定ファイルを作成する。
【0083】
更に、アプリケーション起動する際は、作成した設定ファイルを用いて、アプリケーションを初期設定起動する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態によれば、複合機(画像形成装置)の起動時に、設定ファイルが記憶されている外部記憶装置が接続されているか否かを判定し、外部記憶装置が記憶されている場合には当該複合機(画像形成装置)のアプリケーションが設定ファイルを配信するアプリケーションとして動作することで、他の複合機(画像形成装置)にアプリケーションが参照する設定ファイルを配信させ、複合機上で動作するアプリケーションの導入が容易になる。
【0085】
より具体的には、例えば、1台の複合機(親機)で設定した内容を、複数台の複合機(子機)に配信することにより、1台1台に設定しなくてはならない設置時の手間を軽減することができる。
【0086】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
【0087】
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0088】
また、本発明におけるプログラムは、図5に示すフローチャートの処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムであり、本発明の記憶媒体は図5の処理方法をコンピュータが実行可能なプログラムが記憶されている。なお、本発明におけるプログラムは図5の各装置の処理方法ごとのプログラムであってもよい。
【0089】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0090】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0091】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、DVD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、EEPROM、シリコンディスク、ソリッドステートドライブ等を用いることができる。
【0092】
また、コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0093】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0094】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0095】
さらに、本発明を達成するためのプログラムをネットワーク上のサーバ、データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0096】
なお、上述した各実施形態およびその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
100 複合機
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 HDD
208 操作部
220 外部記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部記憶装置が接続可能な画像形成装置であって、
当該画像形成装置に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断する中断手段と、
前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、
前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得する設定ファイル取得手段と、
前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、
他の画像形成装置のアプリケーションを起動させるべく、前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを、他の画像形成装置に送信する送信手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の画像形成装置から設定ファイルを受信する設定ファイル受信手段と、
前記設定ファイル受信手段で受信した設定ファイルを記憶する記憶手段と、
前記アプリケーション起動手段は、前記記憶手段で記憶した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていないと判定される場合に、他の画像形成装置から設定ファイルを受信するべく、当該画像形成装置の設定ファイル受信用のポートを開き、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、他の画像形成装置へ設定ファイルを送信するべく、当該画像形成装置の設定ファイル送信用のポートを開くポート設定手段
を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中断手段は、設定ファイルを受信するための待機画面を表示し、
前記待機画面で初期設定で前記アプリケーションを起動する指示があった場合に、当該アプリケーションが保持する初期設定に従って設定ファイルを作成する設定ファイル作成手段
を更に備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記アプリケーション起動手段は、前記設定ファイル作成手段で作成した設定ファイルを用いて、アプリケーションを初期設定起動することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記アプリケーションは、当該画像形成装置に予め有する機能とは別の機能を実現するために、当該画像形成装置にインストールすることが可能なアプリケーションであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部記憶装置が接続可能な画像形成装置の処理方法であって、
当該画像形成装置に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断する中断ステップと、
前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定する接続判定ステップと、
前記接続判定ステップで、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得する設定ファイル取得ステップと、
前記設定ファイル取得ステップで取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動するアプリケーション起動ステップと、
他の画像形成装置のアプリケーションを起動させるべく、前記設定ファイル取得ステップで取得した設定ファイルを、他の画像形成装置に送信する送信ステップと
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項8】
外部記憶装置が接続可能な画像形成装置で実行可能なプログラムであって、
前記画像形成装置を、
当該画像形成装置に記憶されているアプリケーションの起動時に、当該アプリケーションが参照する設定ファイルがあるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段で設定ファイルがないと判定する場合に、アプリケーションの起動を一時的に中断する中断手段と、
前記外部記憶装置が接続されているか否かを判定する接続判定手段と、
前記接続判定手段で、前記外部記憶装置が接続されていると判定される場合に、前記外部記憶装置から、アプリケーションが参照するための設定情報が記憶されている設定ファイルを取得する設定ファイル取得手段と、
前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを用いて、アプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、
他の画像形成装置のアプリケーションを起動させるべく、前記設定ファイル取得手段で取得した設定ファイルを、他の画像形成装置に送信する送信手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104920(P2012−104920A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249795(P2010−249795)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(301015956)キヤノンソフトウェア株式会社 (364)
【Fターム(参考)】