説明

画像形成装置と画像形成装置の障害復旧方法とプログラム

【課題】 プログラムが起動できなかった場合にそのプログラムが依存するハードウェア資源を初期化することによって起動できるようにする。
【解決手段】 CPU3はSCSの処理により、予め設定したSRM,コピーアプリを含む主要なプログラムが全て起動可能であることを確認した後、主要なプログラム以外のその他のプログラム、例えば、プリンタアプリ,スキャナアプリ,FAXアプリを順次起動し、そのいずれかが起動不可能か否かを判定し、いずれかが起動不可能と判定した場合、その起動不可能なプログラムについて依存する記憶媒体の有無を判定し、依存する記憶媒体があった場合、その記憶媒体を初期化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ,コピー,ファクシミリ,スキャナを含む複数種類の機能を果たす画像形成装置と画像形成装置の障害復旧方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタ,コピー,ファクシミリ,スキャナなどの各装置の機能を1つの筐体内に収納した画像形成装置(以下「複合機」とする)が一般的に知られている。
この複合機は、1つの筐体内に表示部,印刷部及び撮像部などの装置を設けると共に、それらの各部を使用してプリンタ,コピー,ファクシミリ及びスキャナ装置にそれぞれ対応する機能を実現するアプリケーションソフトウェア(「アプリケーションプログラム」ともいう、以下「プログラム」と略称する)を記憶し、各プログラムの実行の切り替えによって画像形成装置をプリンタ,コピー,ファクシミリ,又はスキャナとして動作させるものである。
このような複合機では、メモリやハードディスクドライブ(HDD)などのハードウェア資源に障害が発生することによってプログラムが起動不可能になった場合、ハードウェア資源の障害に影響のあるプログラムの全機能を停止しなければならないという問題があった。
そこで従来、障害の発生したハードウェア資源を使用しない範囲でサービスを提供するようにした画像形成装置(例えば、特許文献1参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のような従来の画像形成装置では、障害の発生したハードウェア資源の初期化(例:HDDのフォーマットなど)を行うことで障害から復旧できる可能性があるにも関わらず、ユーザ(あるいはサービスマン)が障害の原因を取り除く(例:障害が発生したハードウェア資源の交換など)まで、限定されたサービスしか使用できないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、プログラムが起動できなかった場合にそのプログラムが依存するハードウェア資源を初期化することによって起動できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の目的を達成するため、必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定(「判断」ともいう)する主要プログラム起動判定手段と、上記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定手段と、上記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化手段を備え、上記主要プログラム起動判定手段によって起動可能と判定され、且つ上記その他プログラム起動判定手段によって起動不可能と判定された場合、その起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して上記依存媒体初期化手段を実行する画像形成装置を提供する。
また、通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手段を設け、その起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、上記主要プログラム起動判定手段と上記その他プログラム起動判定手段との判定を実行し、その判定結果に基づいて上記依存媒体初期化手段を実行するようにするとよい。
【0005】
また、通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手段と、上記その他のプログラムの中から起動させるプログラムを選択する起動プログラム選択手段を設け、上記起動方式判定手段によって復旧起動と判定され、且つ上記主要プログラム起動判定手段によって起動可能と判定された場合、上記起動プログラム選択手段によって選択されたプログラムに対して上記その他プログラム起動判定手段を実行し、その判定結果が起動不可能と判定されたプログラムに対して上記依存媒体初期化手段を実行するようにするとよい。
さらに、復旧起動状態であることを通知する復旧起動状態通知手段と、復旧起動状態から通常起動状態に変更する起動状態変更手段を設け、上記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、上記復旧起動状態通知手段を実行し、上記起動状態変更手段の実行要求が入力された場合、上記起動状態変更手段を実行するようにするとよい。
【0006】
また、上記起動プログラム選択手段によって選択されなかったプログラムの情報を登録して保持する起動未選択プログラム情報保持手段を設け、次回起動時に上記起動未選択プログラム情報保持手段によって情報が保持されていないプログラムのみを起動するようにするとよい。
さらに、上記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、上記起動未選択プログラム情報保持手段によって保持されている情報を消去するようにするとよい。
また、上記依存媒体初期化手段によって初期化実行後、再度上記その他プログラム起動判定手段を実行し、依然として起動不可能と判定されたプログラムの情報を登録して保持する起動不可能プログラム情報保持手段を設け、次回起動時に上記起動不可能プログラム情報保持手段によって情報が保持された起動不可能なプログラムは起動しないようにするとよい。
さらに、上記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、上記起動不可能プログラム情報保持手段によって保持されている情報を消去するようにするとよい。
【0007】
また、必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定する主要プログラム起動判定工程と、上記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定工程と、上記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化工程と、上記主要プログラム起動判定工程によって起動可能と判定され、且つ上記その他プログラム起動判定工程によって起動不可能と判定された場合、その起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して上記依存媒体初期化工程を実行する工程とからなる画像形成装置の障害復旧方法を提供する。
さらに、上記のような画像形成装置の障害復旧方法において、通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定工程と、その起動方式判定工程によって復旧起動と判定された場合、上記主要プログラム起動判定工程と上記その他プログラム起動判定工程との判定を実行し、その判定結果に基づいて上記依存媒体初期化工程を実行する工程を含むようにするとよい。
【0008】
また、コンピュータに、必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定する主要プログラム起動判定手順と、上記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定手順と、上記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化手順と、上記主要プログラム起動判定手順によって起動可能と判定され、且つ上記その他プログラム起動判定手順によって起動不可能と判定された場合、その起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して上記依存媒体初期化手順を実行する手順を実行させるためのプログラムを提供する。
また、上記のようなプログラムにおいて、通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手順と、その起動方式判定手順によって復旧起動と判定された場合、上記主要プログラム起動判定手順と上記その他プログラム起動判定手順との判定を実行し、その判定結果に基づいて上記依存媒体初期化手順を実行する手順を実行させるようにするとよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明による画像形成装置と画像形成装置の障害復旧方法は、プログラムが起動できなかった場合にそのプログラムが依存するハードウェア資源を初期化することによって起動できるようにすることができる。
また、この発明によるプログラムは、コンピュータに、プログラムが起動できなかった場合にそのプログラムが依存するハードウェア資源を初期化することによって起動できるようにするための機能を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の画像形成装置の実施例である複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】図1のコントローラ1上で実行されるソフトウェア群の構成図である。
【図3】この実施例の複合機における電源投入時の処理を示すフローチャート図である。
【図4】その他のアプリとHDDとの依存関係を示すテーブルデータの一例を示す説明図である。
【図5】その他のアプリ毎にHDDの初期化を行ったか否かを示すテーブルデータの一例を示す説明図である。
【0011】
【図6】この実施例の複合機における電源投入時の他の処理を示すフローチャート図である。
【図7】この実施例の複合機における電源投入時のさらに他の処理を示すフローチャート図である。
【図8】その他のプログラムについて起動プログラムとして選択されているか否かを示すテーブルデータの一例を示す説明図である。
【図9】その他のプログラムについて起動不可能か否かを示すテーブルデータの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
〔実施例〕
図1は、この発明の画像形成装置の実施例である複合機のハードウェア構成を示すブロック図である。
この複合機は、コントローラ1上のASIC2を介してCPU3,HDD4,ROM5,RAM6がデータのやり取りが可能に接続されている。
ROM5には、図2に記載するソフトウェア群を記憶しており、その各ソフトウェア(プログラム)をRAM6上に展開してCPU3が実行し、ASIC2を介して、操作部7,スキャナ部8,FAX部9,エンジン部10との通信制御を行うことにより、プリンタ,コピー,ファクシミリ及びスキャナ装置にそれぞれ対応する機能を実現し、この複合機をプリンタ,コピー,ファクシミリ,又はスキャナとして動作させるものである。
【0013】
そして、この複合機は、CPU3がRAM6を作業領域としてROM5に記憶されたこの発明に係るプログラムを実行して、この発明に係る画像形成装置の障害復旧方法の処理を実施し、この発明に係る各手段の機能を果たすことにより、電源投入時、複合機に必須の機能を提供する主要なプログラムの他のプログラムが実行できなかった場合、その実行できなかったプログラムが実行できるように試みるため、その実行できなかったプログラムが依存するハードウェア資源を初期化する処理とその他の処理を含む障害復旧処理を行うことができる。
【0014】
図2は、図1のコントローラ1上で実行されるソフトウェア群20の構成図である。
コントローラ1上でバイオス(BIOS)プログラム21がオペレーティングシステム(OS)プログラム22を起動し、OS22上では、コピーアプリケーションプログラム(「コピーアプリ」と略称する)23,プリンタアプリケーションプログラム(「プリンタアプリ」と略称する)24,スキャナアプリケーションプログラム(「スキャナアプリ」と略称する)25,FAXアプリケーションプログラム(「FAXアプリ」と略称する)26を含む各種のプログラムからの処理要求を解釈してハードウェア資源の獲得要求を発生させるコントロールサービスと、1または複数のハードウェア資源の管理を行い、コントロールサービスからの獲得要求を調停するシステムリソースマネージャ(SRM)プログラム30が動作する。
【0015】
コントロールサービスプログラムは、複数のサービスモジュールプログラムから形成され、SCS(システムコントロールサービス)プログラム36と、エンジンコントロールサービス(ECS)プログラム31と、メモリコントロールサービス(MCS)プログラム32と、オペレーションパネルコントロールサービス(OCS)プログラム33と、ファックスコントロールサービス(FCS)プログラム34と、ネットワークコントロールサービス(NCS)プログラム35とから構成される。
この実施例では、図中主要アプリケーション群にまとめた各プログラムである、コピーアプリ23,SRM30,ECS31,MCS32,OCS33,FCS34,NCS35,SCS36は、この複合機における必須の機能を提供する主要なプログラムとして設定されており、その設定情報はROM5に記憶されており、CPU3が参照可能である。また、主要なプログラム以外のその他のプログラムとして、プリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26が設定されており、その設定情報はROM5に記憶されており、CPU3が参照可能である。
【0016】
次に、この複合機における電源投入時の処理について説明する。
図3は、この実施例の複合機における電源投入時の処理を示すフローチャート図である。
この実施例の複合機の電源投入時、ステップ(図中「S」で示す)1で、CPU3はBIOS21の処理により、特定の操作で電源オンになったか否かを判定する(「起動方式判定処理」に相当する)。この判定で、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ2へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ7へ進む。
【0017】
例えば、電源ボタンとこの複合機の主要なプログラムの1つとして設定されているコピーアプリ23によるコピー機能の実行を要求するコピーボタンとの両方の押下された場合を特定の操作で電源オンと設定した場合、電源ボタンとコピーボタンとの両方の押下が行われて電源オンになったか否かを判定し、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ2へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ7へ進む。
上記特定の操作では、所定の時間内であれば電源ボタンとコピーボタンの押下タイミングに差があってもよいものとする。
ステップ2では、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22の処理による制御に移行したら、ステップ3へ進む。
上記BIOS21によるRAM6上へOS22の展開とOS22へ制御を移す処理をOS22の起動とする。
【0018】
ステップ3では、CPU3はOS22の処理により、この複合機において主要なプログラムとして設定されている、図2に示した23,30〜36の各プログラムを順次起動させ、主要アプリ(主要なプログラム)が全て起動可能か否かを判定する(「主要アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、主要アプリが全て起動可能ならステップ4へ進み、主要アプリが全て起動可能でなければ(いずれかの主要アプリが起動不能なら)、ステップ8へ進む。
この判定では、CPU3はOS22の処理により、23,30〜36の各プログラムに対して実行を要求した後、その各プログラムから一定時間内に応答があった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動可能と判定してステップ4へ進み、実行を要求したプログラムから一定時間内に応答がなかった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動不可能と判定してステップ8へ進む。
【0019】
ステップ4では、CPU3はSCS36の処理により、その他のプログラムとして設定されている、図2に示したプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の全てについて、起動可能か否かを順次判定する(「その他アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、その他のアプリが全て起動可能ならステップ5へ進み、その他のアプリが全て起動可能でなければ(いずれかのその他のアプリが起動不能なら)、ステップ10へ進む。
ステップ4の判定において、起動の可否を判定するアプリの順序は、ROM5上に予め保存しておいた、図4に示すような各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで決定し、この実施例では起動可否判定を、1.プリンタ,2.スキャナ,3.FAXの順に行う。
【0020】
ステップ5では、CPU3はSCS36の処理により、その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内の各初期化フラグをクリアし、ステップ6へ進む。
一方、ステップ10では、CPU3はSCS36の処理により、復旧処理として、まず、起動不可能と判定されたアプリケーションがハードウェア資源である特定の記憶媒体に依存しているか否かを判定する。
この判定では、ROM5に予め記憶されている、各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで判定する。
【0021】
このテーブルは、図4に示すように、例えば、プリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の各アプリケーションと、ハードディスク装置(HDD)4との依存関係を示しており、「0」のとき依存関係はなく、「1」のときは依存関係にあることを示している。例えば、プリンタアプリ24については「1」なので、HDD4との依存関係があることを示している。
このステップ10の判定では、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在する場合は、ステップ11へ進み、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、ステップ5へ進む。
【0022】
ステップ10で、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、記憶媒体の初期化による復旧は不可能であることとし、ステップ5で、CPU3はSCS36の処理により、その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内の各初期化フラグをクリアし、ステップ6へ進む。また、初期化済みであれば記憶媒体の初期化による復旧は不可能であるとして、初期化フラグをクリアして、ステップ6へ進む。
ステップ11では、CPU3はSCS36の処理により、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在し、その記憶媒体が初期化済みか否かを判定する。
この判定で、初期化済みと判定したら、ステップ5へ進み、初期化済みではないと判定したら、ステップ12へ進む。
【0023】
ステップ12では、CPU3はSCS36の処理により、依存している記憶媒体が初期化されていない場合は、依存関係にある記憶媒体の初期化を行い、初期化フラグをセットし、ステップ6へ進む。
ステップ6では、図5のテーブルに初期化フラグ「1」がセットされていた場合、全アプリケーションの起動確認が完了していても、ステップ4へ戻り、図5の初期化フラグ「1」がセットされているアプリケーションに対して再度処理を実行し、全初期化フラグが「0」にクリアされている場合は、この処理を終了する。
【0024】
例えば、プリンタアプリ24を例とすると、ステップ4でプリンタアプリ24が起動不可能と判定された場合は、プリンタアプリ24は図4に示すようにHDD4に依存しているため、ステップ10で記憶媒体に依存していると判定し、ステップ11でプリンタアプリ24についてHDD4を初期化しているか否かを判定し、初期化していないと判定した場合は、ステップ12で、HDD4を初期化し、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、図4に示したテーブルに記載されたプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の全ての起動確認が完了しても、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグが「1」にセットされているため、再度プリンタアプリ24の起動確認を行う流れとなる。
【0025】
また、このときのHDD4の初期化は、プリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションの論理フォーマットとし、その他のアプリケーションについては再度起動確認を行う必要はない。
さらに、プリンタアプリ24とFAXアプリ26の両者が起動不可能と判定された場合を例とすると、図4に示すテーブルからプリンタアプリ24はHDD4に依存しているため、まず、ステップ12でプリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示すテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、スキャナアプリ25がステップ4で起動確認された後、FAXアプリ26の起動可否判定に移る。
【0026】
ここで、図4に示すようにFAXアプリ26もHDD4に依存しているため、ステップ12でFAXアプリ26が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示すテーブルのFAXアプリ26のHDD初期化フラグを「1」にする。
ここまででプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の全アプリの起動確認が完了したが、図5に示すプリンタアプリ24とFAXアプリ26のHDD初期化フラグが「1」になっているため、ステップ4へ戻ることとなる。
ステップ4では、図5に示すテーブルの初期化フラグが「1」になっているアプリケーションに対して順に再度起動可否判定を行う。
例えば、図5に示すテーブルに基づいて、プリンタアプリ24,FAXアプリ26の順に行うものとする。
【0027】
ステップ4で起動可能と判定された場合は、ステップ5で初期化フラグを「0」にクリアし、起動不可能と判定された場合も、ステップ11で初期化フラグが「1」となっているため、ステップ5で初期化フラグが「0」にクリアされる。
その結果、ステップ6で、全てのアプリケーションの起動確認が完了し、また初期化フラグも全て「0」にクリアされることとなるので、この処理を終了する。
なお、図4,図5に示す各テーブルは、共にHDD4との依存関係と初期化済みフラグのみに簡略化したものだが、他の記憶媒体に対する依存関係と初期化済みフラグも追加可能とする。
【0028】
一方、ステップ7では、通常の起動処理として、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22が動作してOS22の処理による制御に移行した後、CPU3はOS22の処理により、この複合機の主要なプログラムとその他のプログラムとを順次起動し、この処理を終了する。
また、ステップ8では、CPU3はOS22の処理により、操作部7に複合機が起動不可能である旨のメッセージを表示し、ステップ9へ進み、CPU3はOS22の処理により、複合機の動作を停止し、この処理を終了する。
このようにして、この実施例の複合機は、主要な機能を実現するプログラム以外のプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の各プログラムのいずれかが起動できなかった障害が発生した場合、その起動できなかったアプリが依存する記憶媒体を初期化することにより障害復旧できた場合に、ユーザに対する利用可能なサービスの制限を回避することができる。
【0029】
次に、ユーザが特定の操作を行うことで障害の原因となったハードウェア資源を初期化することも可能だが、ユーザは障害の原因となったハードウェアが何か分からないため、全てのプログラムの起動確認を行い、障害の要因となったハードウェア資源を調査する必要が生じる。
そのため、特定のプログラムのみ復旧したいユーザにとっては無駄な遅延が発生するという問題がある。
また、例えば、誤って特定の操作を実行してしまい復旧起動した場合、起動プログラムの選択によって通常起動よりも起動時間が長くかかることや、誤って記憶媒体の初期化を実行してしまう恐れがある。
そこで、次に上述のような不具合を解消する処理を含むこの実施例の複合機における電源投入時の処理について説明する。
【0030】
図6は、この実施例の複合機における電源投入時の他の処理を示すフローチャート図である。
この処理では、複合機の電源投入時、ステップ(図中「S」で示す)21で、CPU3はBIOS21の処理により、特定の操作で電源オンになったか否かを判定する(「起動方式判定処理」に相当する)。この判定で、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ22へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ29へ進む。
上記判定で特定の操作で電源オンになったと判定した場合、操作部7に復旧モードで起動していること(復旧起動状態であること)を表示してユーザに通知する。
【0031】
例えば、電源ボタンとこの複合機の主要なプログラムの1つとして設定されているコピーアプリ23によるコピー機能の実行を要求するコピーボタンとの両方の押下された場合を特定の操作で電源オンと設定した場合、電源ボタンとコピーボタンとの両方の押下が行われて電源オンになったか否かを判定し、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ22へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ29へ進む。
上記特定の操作では、所定の時間内であれば電源ボタンとコピーボタンの押下タイミングに差があってもよいものとする。
【0032】
ステップ22では、操作部7から通常起動にする指示入力があったか否かを判定する。すなわち、この判定では、復旧モード(復旧起動状態)から通常起動状態に変更する実行入力がされたか否かを判定している。
ステップ22の判定で、通常起動にする指示入力があれば、ステップ29へ進み、通常起動にする指示入力がなければ、ステップ23へ進む。
ステップ23では、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22の処理による制御に移行したら、ステップ24へ進む。
上記BIOS21によるRAM6上へOS22の展開とOS22へ制御を移す処理をOS22の起動とする。
【0033】
ステップ24では、CPU3はOS22の処理により、この複合機において主要なプログラムとして設定されている、図2に示した23,30〜36の各プログラムを順次起動させ、主要アプリ(主要なプログラム)が全て起動可能か否かを判定する(「主要アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、主要アプリが全て起動可能ならステップ25へ進み、主要アプリが全て起動可能でなければ(いずれかの主要アプリが起動不能なら)、ステップ30へ進む。
この判定では、CPU3はOS22の処理により、23,30〜36の各プログラムに対して実行を要求した後、その各プログラムから一定時間内に応答があった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動可能と判定してステップ25へ進み、実行を要求したプログラムから一定時間内に応答がなかった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動不可能と判定してステップ30へ進む。
【0034】
ステップ25では、図2に示したプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26のその他のプログラムの中から起動アプリ(ユーザからの起動を希望するプログラム)の選択入力を操作部7から受付け、ステップ26へ進む。
なお、この処理では、図示を省略したが、ステップ25による起動アプリ選択の有無を判定し、起動アプリ選択があったらステップ26の処理を実行し、起動アプリ選択が無かったら、図3に示したステップ4のその他アプリケーション起動判定処理を実行し、主要なプログラム以外のその他のプログラムについて起動の可否を判定するようにしても良い。
【0035】
ステップ26では、CPU3はSCS36の処理により、その他のプログラムとして設定されている、図2に示したプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の中から、上記選択入力された起動アプリについてのみ、起動可能か否かを順次判定する(「選択アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、選択された起動アプリが全て起動可能ならステップ27へ進み、選択された起動アプリが全て起動可能でなければ(いずれかの選択アプリが起動不能なら)、ステップ32へ進む。
ステップ26の判定において、起動の可否を判定するアプリの順序は、ROM5上に予め保存しておいた、図4に示すような各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで決定し、この実施例では起動可否判定を、1.プリンタ,2.スキャナ,3.FAXの順に行う。
【0036】
ステップ26の判定において、起動の可否を判定するアプリの順序は、ROM5上に予め保存しておいた、図4に示したような各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照し、そのテーブル内の登録アプリの中から上記選択されたアプリを選択順に実施すると良い。
この処理では、その他のアプリ全てが選択された場合を説明する。例えば、起動可否判定を、1.プリンタ,2.スキャナ,3.FAXの順に行う。
なお、選択入力されたアプリが、1.プリンタ,2.FAXと登録された場合、起動可否判定を、プリンタについて実施し、その後、スキャナについては実施せずにFAXについて実施する。
【0037】
この選択入力されたアプリの情報は、不揮発性メモリに、例えば、HDD4,ROM5にテーブル形式で登録して保持し、その情報を参照して起動の可否を判定すると良い。
また、選択入力されたアプリの情報を、RAM6が不揮発性メモリならばRAM6に保持するようにしてもよい。
ステップ27では、CPU3はSCS36の処理により、その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内の各初期化フラグをクリアし、ステップ28へ進む。
一方、ステップ32では、CPU3はSCS36の処理により、復旧処理として、まず、起動不可能と判定されたアプリケーションがハードウェア資源である特定の記憶媒体に依存しているか否かを判定する。
この判定では、ROM5に予め記憶されている、各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで判定する。
【0038】
このテーブルは、図4に示したように、例えば、プリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の各アプリケーションと、ハードディスク装置(HDD)4との依存関係を示しており、「0」のとき依存関係はなく、「1」のときは依存関係にあることを示している。例えば、プリンタアプリ24については「1」なので、HDDとの依存関係があることを示している。
このステップ32の判定で、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在する場合は、ステップ33へ進み、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、ステップ27へ進む。
【0039】
ステップ32の判定で、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、記憶媒体の初期化による復旧は不可能であることとし、ステップ27で、CPU3はSCS36の処理により、その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内の各初期化フラグをクリア(消去)し、ステップ28へ進む。また、初期化済みであれば記憶媒体の初期化による復旧は不可能であるとして、初期化フラグをクリアして、ステップ28へ進む。
ステップ33では、CPU3はSCS36の処理により、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在し、その記憶媒体が初期化済みか否かを判定する。
この判定で、初期化済みと判定したら、ステップ27へ進み、初期化済みではないと判定したら、ステップ34へ進む。
【0040】
ステップ34では、CPU3はSCS36の処理により、依存している記憶媒体が初期化されていない場合は、依存関係にある記憶媒体の初期化を行い、初期化フラグをセットし、ステップ28へ進む。
ステップ28では、図5のテーブルに初期化フラグ「1」がセットされていた場合、全選択アプリの起動確認が完了していても、ステップ26へ戻り、図5の初期化フラグ「1」がセットされているアプリケーションに対して再度処理を実行し、全初期化フラグが「0」にクリアされている場合は、この処理を終了する。
【0041】
例えば、選択されたアプリがプリンタアプリ24の場合を例とすると、ステップ26でプリンタアプリ24が起動不可能と判定された場合は、プリンタアプリ24は図4に示すようにHDD4に依存しているため、ステップ32で記憶媒体に依存していると判定し、ステップ33でプリンタアプリ24についてHDD4を初期化しているか否かを判定し、初期化していないと判定した場合は、ステップ34で、HDD4を初期化し、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、他の選択アプリの全ての起動確認が完了しても、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグが「1」にセットされているため、再度プリンタアプリ24の起動確認を行う流れとなる。
【0042】
また、このときのHDD4の初期化は、プリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションの論理フォーマットとし、その他のアプリケーションについては再度起動確認を行う必要はない。
さらに、プリンタアプリ24とFAXアプリ26の両者が起動不可能と判定された場合を例とすると、図4に示したテーブルからプリンタアプリ24はHDD4に依存しているため、まず、ステップ34でプリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、スキャナアプリ25がステップ26で起動確認された後、FAXアプリ26の起動可否判定に移る。
【0043】
ここで、図4に示したようにFAXアプリ26もHDD4に依存しているため、ステップ34でFAXアプリ26が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示したテーブルのFAXアプリ26のHDD初期化フラグを「1」にする。
ここまでで起動選択されたプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の全アプリの起動確認が完了したが、図5に示したプリンタアプリ24とFAXアプリ26のHDD初期化フラグが「1」になっているため、ステップ26へ戻ることとなる。
ステップ26では、図5に示したテーブルの初期化フラグが「1」になっているアプリケーションに対して順に再度起動可否判定を行う。
例えば、図5に示したテーブルに基づいて、プリンタアプリ24,FAXアプリ26の順に行うものとする。
【0044】
ステップ26で起動可能と判定された場合は、ステップ27で初期化フラグを「0」にクリアし、起動不可能と判定された場合も、ステップ33で初期化フラグが「1」となっているため、ステップ27で初期化フラグが「0」にクリアされる。
その結果、ステップ28で、全起動選択アプリケーションの起動確認が完了し、また初期化フラグも全て「0」にクリアされることとなるので、この処理を終了する。
一方、ステップ29では、通常の起動処理として、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22が動作してOS22の処理による制御に移行した後、CPU3はOS22の処理により、この複合機の主要なプログラムとその他のプログラムとの全アプリを順次起動し、この処理を終了する。
また、ステップ30では、CPU3はOS22の処理により、操作部7に複合機が起動不可能である旨のメッセージを表示し、ステップ31へ進み、CPU3はOS22の処理により、複合機の動作を停止し、この処理を終了する。
【0045】
このようにして、ユーザが起動させたいプログラムのみについて起動可否を判定することにより、障害復旧処理においてユーザが不要と判定したプログラムの起動可否確認に要する時間を短縮することができる。
また、ユーザが誤って復旧起動してしまった際に、起動プログラムの選択を行う必要が無く通常起動に戻すことができるので、起動確認に要する時間の短縮と共に、記憶媒体の初期化の誤実行を回避することができる。
【0046】
次に、上述の処理において、初期化選択しなかった記憶媒体によって次回起動時に通常起動できない可能性がある。
また、初期化未選択のアプリケーションが登録されている場合、記憶媒体の交換によって復旧した後も通常起動では起動させることができない可能性もある。
さらに、起動選択されていたアプリケーションであっても、記憶媒体の初期化によって起動可能な状態に復旧できない場合、次回起動時に通常起動できない可能性がある。
さらにまた、起動不可能なアプリケーションが登録されている場合、記憶媒体の交換によって復旧した後も通常起動では起動させることができない可能性がある。
そこで、次に上述のような不具合を解消する処理を含むこの実施例の複合機における電源投入時の処理について説明する。
【0047】
図7は、この実施例の複合機における電源投入時のさらに他の処理を示すフローチャート図である。
この処理では、複合機の電源投入時、ステップ(図中「S」で示す)41で、CPU3はBIOS21の処理により、特定の操作で電源オンになったか否かを判定する(「起動方式判定処理」に相当する)。この判定で、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ42へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ50へ進む。
上記判定で特定の操作で電源オンになったと判定した場合、操作部7に復旧モードで起動していること(復旧起動状態であること)を表示してユーザに通知する。
【0048】
例えば、電源ボタンとこの複合機の主要なプログラムの1つとして設定されているコピーアプリ23によるコピー機能の実行を要求するコピーボタンとの両方の押下された場合を特定の操作で電源オンと設定した場合、電源ボタンとコピーボタンとの両方の押下が行われて電源オンになったか否かを判定し、特定の操作で電源オンになったと判定した場合はステップ42へ進み、特定の操作で電源オンになったのではないと判定した場合はステップ50へ進む。
上記特定の操作では、所定の時間内であれば電源ボタンとコピーボタンの押下タイミングに差があってもよいものとする。
【0049】
ステップ42では、起動登録情報初期化処理で、起動未選択プログラム情報を含むアプリケーション起動選択情報と起動不可能プログラム情報を含むアプリケーション起動可否情報をクリア(消去)し、ステップ43へ進む。
ステップ43では、操作部7から通常起動にする指示入力があったか否かを判定する。すなわち、この判定では、復旧モード(復旧起動状態)から通常起動状態に変更する実行入力がされたか否かを判定している。
ステップ43の判定で、通常起動にする指示入力があれば、ステップ50へ進み、通常起動にする指示入力がなければ、ステップ44へ進む。
ステップ44では、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22の処理による制御に移行したら、ステップ45へ進む。
上記BIOS21によるRAM6上へOS22の展開とOS22へ制御を移す処理をOS22の起動とする。
【0050】
ステップ45では、CPU3はOS22の処理により、この複合機において主要なプログラムとして設定されている、図2に示した23,30〜36の各プログラムを順次起動させ、主要アプリ(主要なプログラム)が全て起動可能か否かを判定する(「主要アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、主要アプリが全て起動可能ならステップ46へ進み、主要アプリが全て起動可能でなければ(いずれかの主要アプリが起動不能なら)、ステップ53へ進む。
この判定では、CPU3はOS22の処理により、図2に示した23,30〜36の各プログラムに対して実行を要求した後、その各プログラムから一定時間内に応答があった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動可能と判定してステップ46へ進み、実行を要求したプログラムから一定時間内に応答がなかった場合は、主要アプリ(主要なプログラム)が起動不可能と判定してステップ53へ進む。
【0051】
ステップ46では、図2に示したプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26のその他のプログラムの中から起動アプリ(ユーザからの起動を希望するプログラム)の選択入力を操作部7から受付け、選択入力された起動アプリ情報(起動が選択されたプログラムの情報)と、選択入力されなかった起動未選択アプリの情報(起動未選択プログラム情報)とを登録して保持し、ステップ47へ進む。
なお、ステップ46で起動アプリ選択が無かったら、図3に示したステップ4のその他アプリケーション起動判定処理を実行し、主要なプログラム以外のその他のプログラムについて起動の可否を判定するようにしても良い。
【0052】
上記起動アプリと起動未選択アプリの情報は、図8に示すようなテーブルを不揮発性メモリ、例えば、HDD4,ROM5,RAM6に用意し、選択入力されたアプリケーションは「1」のフラグを、起動選択されなかったアプリケーションは「0」のフラグを記録することによって保持する。
図8に示したテーブルでは、プリンタアプリ24とFAXアプリ26が起動選択されていることを示している。
【0053】
ステップ47では、CPU3はSCS36の処理により、その他のプログラムとして設定されている、図2に示したプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の中から、上記選択入力された起動アプリについてのみ、起動可能か否かを順次判定する(「選択アプリケーション起動判定処理」に相当する)。この判定で、選択された起動アプリが全て起動可能ならステップ48へ進み、選択された起動アプリが全て起動可能でなければ(いずれかの選択アプリが起動不能なら)、ステップ55へ進む。
ステップ47の判定において、起動の可否を判定するアプリの順序は、ROM5上に予め保存しておいた、図4に示すような各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで決定し、この実施例では起動可否判定を、1.プリンタ,2.スキャナ,3.FAXの順に行う。
【0054】
ステップ47の判定において、起動の可否を判定するアプリの順序は、ROM5上に予め保存しておいた、図4に示したような各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照し、そのテーブル内の登録アプリの中から上記選択されたアプリを選択順に実施すると良い。
この処理では、その他のアプリ全てが選択された場合を説明する。例えば、起動可否判定を、1.プリンタ,2.スキャナ,3.FAXの順に行う。
なお、選択入力されたアプリが、1.プリンタ,2.FAXと登録された場合、起動可否判定を、プリンタについて実施し、その後、スキャナについては実施せずにFAXについて実施する。
【0055】
この選択入力されたアプリの情報は、不揮発性メモリに、例えば、HDD4,ROM5にテーブル形式で登録して保持し、その情報を参照して起動の可否を判定すると良い。
また、選択入力されたアプリの情報を、RAM6が不揮発性メモリならばRAM6に保持するようにしてもよい。
ステップ48では、CPU3はSCS36の処理により、
その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内に初期化フラグがセットされている場合は起動不可能と登録し、各初期化フラグをクリアし、ステップ49へ進む。
一方、ステップ55では、CPU3はSCS36の処理により、復旧処理として、まず、起動不可能と判定されたアプリケーションがハードウェア資源である特定の記憶媒体に依存しているか否かを判定する。
この判定では、ROM5に予め記憶されている、各アプリケーションと記憶媒体との依存関係を示したテーブルを参照することで判定する。
【0056】
このテーブルは、図4に示したように、例えば、プリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の各アプリケーションと、ハードディスク装置(HDD)4との依存関係を示しており、「0」のとき依存関係はなく、「1」のときは依存関係にあることを示している。例えば、プリンタアプリについては「1」なので、HDDとの依存関係があることを示している。
このステップ55の判定で、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在する場合は、ステップ56へ進み、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、ステップ48へ進む。
【0057】
ステップ55の判定で、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在しない場合は、記憶媒体の初期化による復旧は不可能であることとし、ステップ48で、CPU3はSCS36の処理により、その他アプリケーション毎のハードウェア資源の初期化の有無を示すテーブルデータ内の各初期化フラグがセットされている場合は起動不可能と登録してフラグをクリア(消去)し、ステップ49へ進む。また、初期化済みであれば記憶媒体の初期化による復旧は不可能であるとして、起動不可能と登録して初期化フラグをクリアして、ステップ49へ進む。
ステップ56では、CPU3はSCS36の処理により、起動不可能と判定されたアプリと依存関係にある記憶媒体が存在し、その記憶媒体が初期化済みか否かを判定する。
この判定で、初期化済みと判定したら、ステップ48へ進み、初期化済みではないと判定したら、ステップ57へ進む。
【0058】
ステップ57では、CPU3はSCS36の処理により、依存している記憶媒体が初期化されていない場合は、依存関係にある記憶媒体の初期化を行い、初期化フラグをセットし、ステップ49へ進む。
ステップ49では、図5のテーブルに初期化フラグ「1」がセットされていた場合、全選択アプリの起動確認が完了していても、ステップ47へ戻り、図5の初期化フラグ「1」がセットされているアプリケーションに対して再度処理を実行し、全初期化フラグが「0」にクリアされている場合は、この処理を終了する。
【0059】
例えば、選択されたアプリがプリンタアプリ24の場合を例とすると、ステップ47でプリンタアプリ24が起動不可能と判定された場合は、プリンタアプリ24は図4に示すようにHDD4に依存しているため、ステップ55で記憶媒体に依存していると判定し、ステップ56でプリンタアプリ24についてHDD4を初期化しているか否かを判定し、初期化していないと判定した場合は、ステップ57で、HDD4を初期化し、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、他の選択アプリの全ての起動確認が完了しても、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグが「1」にセットされているため、再度プリンタアプリ24の起動確認を行う流れとなる。
【0060】
また、このときのHDD4の初期化は、プリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションの論理フォーマットとし、その他のアプリケーションについては再度起動確認を行う必要はない。
さらに、プリンタアプリ24とFAXアプリ26の両者が起動不可能と判定された場合を例とすると、図4に示したテーブルからプリンタアプリ24はHDD4に依存しているため、まず、ステップ57でプリンタアプリ24が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示したテーブルのプリンタアプリ24のHDD初期化フラグを「1」にする。
その後、スキャナアプリ25がステップ47で起動確認された後、FAXアプリ26の起動可否判定に移る。
【0061】
ここで、図4に示したようにFAXアプリ26もHDD4に依存しているため、ステップ57でFAXアプリ26が使用するHDD4のパーティションを初期化し、図5に示したテーブルのFAXアプリ26のHDD初期化フラグを「1」にする。
ここまでで起動選択されたプリンタアプリ24,スキャナアプリ25,FAXアプリ26の全アプリの起動確認が完了したが、図5に示したプリンタアプリ24とFAXアプリ26のHDD初期化フラグが「1」になっているため、ステップ47へ戻ることとなる。
ステップ47では、図5に示したテーブルの初期化フラグが「1」になっているアプリケーションに対して順に再度起動可否判定を行う。
例えば、図5に示したテーブルに基づいて、プリンタアプリ24,FAXアプリ26の順に行うものとする。
【0062】
ステップ47で起動可能と判定された場合は、ステップ48で初期化フラグを「0」にクリアし、起動不可能と判定された場合も、初期化フラグが「1」となっているため、ステップ55の判断で起動媒体依存否とされ、ステップ48へ進んで初期化フラグが「0」にクリアされる。
その結果、ステップ49で、全起動選択アプリケーションの起動確認が完了し、また初期化フラグも全て「0」にクリアされることとなるので、この処理を終了する。
一方、ステップ50では、図8と図9のテーブルを参照し、起動選択されていないアプリケーション(図8の例ではスキャナアプリ25)もしくは起動不可能と登録されたアプリケーション(図9の例ではFAXアプリ26)の有無を判断し、あった場合は、ステップ51で起動選択されているアプリかつ起動不可能以外のアプリのみを起動(図8,図9の例ではプリンタアプリ24のみ起動)し、この処理を終了する。
【0063】
また、ステップ50で、起動選択されていないアプリケーションもしくは起動不可能と登録されたアプリケーションがなかった場合は、ステップ52で全アプリを起動し、この処理を終了する。
すなわち、通常の起動処理として、CPU3はBIOS21の処理により、RAM6上へOS22を展開して実行し、OS22が動作してOS22の処理による制御に移行した後、CPU3はOS22の処理により、この複合機の主要なプログラムとその他のプログラムとの全アプリを順次起動し、この処理を終了する。
また、ステップ53では、CPU3はOS22の処理により、操作部7に複合機が起動不可能である旨のメッセージを表示し、ステップ54へ進み、CPU3はOS22の処理により、複合機の動作を停止し、この処理を終了する。
【0064】
図6で示した処理の場合、ステップ25で起動選択されなかったアプリケーションがあると、再起動時に通常起動としても起動選択しなかったアプリケーションが原因で通常起動できない場合がある。
そこで、図8に示したようなテーブルを複合機内に保持し、ステップ25で起動選択されたアプリケーションは「1」を、起動選択されなかったアプリケーションは「0」を記入しておく。
図8ではプリンタアプリ24とFAXアプリ26は起動選択されていることを示している。
また、ステップ25において起動選択されたアプリケーションであっても記憶媒体の初期化によって復旧できないアプリケーションがあった場合、次回起動時に通常起動できない。
【0065】
そこで、図9に示したようなテーブルを複合機内に保持し、ステップ34で記憶媒体初期化後に再度起動確認した場合でも起動不可能なアプリケーションは「1」を記入する。
ここで、図9に示したテーブルの初期値は全て「0」としておく。
図9に示したテーブル内のフラグ例では、FAXアプリ26が復旧できなかったことを示している。
図7に示した処理では、ステップ50の判定で、通常起動時に図8と図9のテーブルを参照し、起動選択されていないアプリケーション(図8の例ではスキャナアプリ25)、もしくは起動不可能と登録されたアプリケーション(図9の例ではFAXアプリ26)があった場合、ステップ51で起動選択されているアプリかつ起動不可能以外のアプリのみ起動する(図8,図9の例ではプリンタアプリ24のみ)。
【0066】
ただし、この場合、デバイス(記憶媒体)の交換によって復旧が完了した場合においてもテーブル上に保存されているアプリケーションの起動選択情報(図8)やアプリケーションの起動可否情報(図9)によって起動されない状態が継続してしまうことになる。
そこで、デバイス交換後に一度復旧モードで起動し、ステップ42で、アプリケーションの起動選択情報(図8)やアプリケーションの起動可否情報(図9)をクリアし、ステップ43で、通常起動への移行を選択することにより、通常起動で全アプリケーションの起動が可能になる。
このとき、ステップ42の処理は、アプリケーションの起動選択情報(図8)を全て「1」に、アプリケーションの起動可否情報(図9)は全て「0」にするものとする。
【0067】
このようにして、復旧起動時に初期化しなかった記憶媒体によって通常起動できなくなることがなくなる。
また、記憶媒体の交換によって復旧した後に全てのアプリケーションを起動可能にすることができる。
さらに、記憶媒体の初期化によって一部のアプリケーションが起動可能な状態とならなかった場合、再起動時に通常起動が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
この発明による画像形成装置と画像形成装置の障害復旧方法とプログラムは、プリンタ,コピー,ファクシミリ,スキャナを含む複数種類の機能を果たす複合機を含む画像形成装置において適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1:コントローラ 2:ASIC 3:CPU 4:HDD 5:ROM 6:RAM 7:操作部 8:スキャナ部 9:FAX部 10:エンジン部 20:ソフトウェア群 21:BIOS 22:OS 23:コピーアプリ 24:プリンタアプリ 25:スキャナアプリ 26:FAXアプリ 30:SRM 31:ECS 32:MCS 33:OCS 34:FCS 35:NCS 36:SCS
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2003−84956号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定する主要プログラム起動判定手段と、
前記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定手段と、
前記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化手段とを備え、
前記主要プログラム起動判定手段によって起動可能と判定され、且つ前記その他プログラム起動判定手段によって起動不可能と判定された場合、該起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して前記依存媒体初期化手段を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手段を設け、該起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、前記主要プログラム起動判定手段と前記その他プログラム起動判定手段との判定を実行し、該判定結果に基づいて前記依存媒体初期化手段を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手段と、前記その他のプログラムの中から起動させるプログラムを選択する起動プログラム選択手段とを設け、
前記起動方式判定手段によって復旧起動と判定され、且つ前記主要プログラム起動判定手段によって起動可能と判定された場合、前記起動プログラム選択手段によって選択されたプログラムに対して前記その他プログラム起動判定手段を実行し、該判定結果が起動不可能と判定されたプログラムに対して前記依存媒体初期化手段を実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
復旧起動状態であることを通知する復旧起動状態通知手段と、復旧起動状態から通常起動状態に変更する起動状態変更手段とを設け、
前記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、前記復旧起動状態通知手段を実行し、前記起動状態変更手段の実行要求が入力された場合、前記起動状態変更手段を実行することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記起動プログラム選択手段によって選択されなかったプログラムの情報を登録して保持する起動未選択プログラム情報保持手段を設け、
次回起動時に前記起動未選択プログラム情報保持手段によって情報が保持されていないプログラムのみを起動することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、前記起動未選択プログラム情報保持手段によって保持されている情報を消去することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記依存媒体初期化手段によって初期化実行後、再度前記その他プログラム起動判定手段を実行し、依然として起動不可能と判定されたプログラムの情報を登録して保持する起動不可能プログラム情報保持手段を設け、
次回起動時に前記起動不可能プログラム情報保持手段によって情報が保持された起動不可能なプログラムは起動しないことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記起動方式判定手段によって復旧起動と判定された場合、前記起動不可能プログラム情報保持手段によって保持されている情報を消去することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定する主要プログラム起動判定工程と、前記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定工程と、前記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化工程と、前記主要プログラム起動判定工程によって起動可能と判定され、且つ前記その他プログラム起動判定工程によって起動不可能と判定された場合、該起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して前記依存媒体初期化工程を実行する工程とからなることを特徴とする画像形成装置の障害復旧方法。
【請求項10】
通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定工程と、該起動方式判定工程によって復旧起動と判定された場合、前記主要プログラム起動判定工程と前記その他プログラム起動判定工程との判定を実行し、該判定結果に基づいて前記依存媒体初期化工程を実行する工程とを含むことを特徴とする請求項9記載の画像形成装置の障害復旧方法。
【請求項11】
コンピュータに、必須の機能を提供する主要なプログラムが起動可能か否かを判定する主要プログラム起動判定手順と、前記主要なプログラム以外のその他のプログラムが起動可能か否かを判定するその他プログラム起動判定手順と、前記その他のプログラムが依存する記憶媒体を初期化する依存媒体初期化手順と、前記主要プログラム起動判定手順によって起動可能と判定され、且つ前記その他プログラム起動判定手順によって起動不可能と判定された場合、該起動不可能と判定されたその他のプログラムに対して前記依存媒体初期化手順を実行する手順を実行させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、通常起動か復旧起動かを判定する起動方式判定手順と、該起動方式判定手順によって復旧起動と判定された場合、前記主要プログラム起動判定手順と前記その他プログラム起動判定手順との判定を実行し、該判定結果に基づいて前記依存媒体初期化手順を実行する手順を実行させるための請求項11記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−54146(P2011−54146A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273597(P2009−273597)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】