説明

画像形成装置のデータ構造および画像形成装置操作システム

【課題】画像形成装置に対して機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱が発生することを防止できる画像形成装置のデータ構造等を提供する。
【解決手段】本発明に係わる画像形成装置のデータ構造は、機種の異なる画像形成装置に共通して設定可能である。さらに、当該データ構造は、画像形成装置が有する各機能と前記各機能に対応した字列とが、所定の規則に基づいて構成されている。ここで字列は、少なくとも1以上の字を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置のデータ構造および画像形成装置操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばMFP(Multi Function Peripheral)のような画像形成装置は、ファクス機能やコピー機能等の複数種類の機能を有する。ここで、前記で例示したファクス機能やコピー機能等の各機能内にも、別途複数の機能が設定されている。たとえば、ファクス機能内には短縮ダイヤル機能が別途用意されており、コピー機能内にはコピー予約機能が別途設定されている。
【0003】
また、これらの各機能には所定の数字が対応しており、上記画像形成装置において前記所定の数字を入力することにより、当該入力した数字に対応する機能を呼び出している(以後、機能ショートカットシステムと称する)。
【0004】
当該機能ショートカットシステムを実現するために、各画像形成装置には、機能と当該機能に対応した数字との対応関係が予め設定(記憶)されている。
【0005】
なお、当該機能ショートカットシステムに類する技術として、たとえば特許文献1が存在する。
【0006】
【特許文献1】特開2006−11668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、異なる機種の画像形成装置には、各々異なる対応関係(より具体的には、機能と当該機能に対応した数字との対応関係)が設定されいた。つまり、画像形成装置の機種が異なると、同じ機能を呼び出す場合でも、各画像形成装置ごとに異なる数字を入力しなければならなかった。
【0008】
したがって、当該画像形成装置のメンテナンスの際に、作業員が画像形成装置から所定の機能を呼び出す際に混乱する問題があった。また、ユーザから当該画像形成装置に関する問合せがあり、当該問合せに対してインフォメーションセンタ側が応対する場合を考える。当該場合には、当該インフォメーションセンタ側は各機種ごとに予め設定されている上記対応関係を認識している必要があり、問合せに対する応対に混乱が生じることがあるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は、画像形成装置に対して上記機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱が発生することを防止できる画像形成装置のデータ構造、および画像形成装置操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の画像形成装置のデータ構造は、機種の異なる画像形成装置に共通して設定可能であり、前記画像形成装置が有する各機能と、前記各機能に対応しており少なくとも1以上の字を含む字列とが、所定の規則に基づいて構成されている。
【0011】
また、請求項2に記載の画像形成装置のデータ構造は、請求項1に記載の画像形成装置のデータ構造であって、前記各機能は、少なくとも2以上の階層を有するツリー構造に体系付けられており、各前記階層において、同じ前記機能には、同じ前記字列が対応している。
【0012】
また、請求項3に記載の画像形成装置操作システムは、サービスセンタと、前記サービスセンタから送信される所定の信号の受信が可能であり、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置のデータ構造が設定されている、少なくとも2機種以上の画像形成装置とを、備えており、前記サービスセンタは、前記字列に対応した字列信号を少なくとも含む信号を所定の前記画像形成装置に対して送信することにより、前記所定の画像形成装置から前記字列に対応した前記機能を呼び出す。
【発明の効果】
【0013】
請求項1,2に記載の画像形成装置のデータ構造は、機種の異なる画像形成装置に共通して設定可能であり、画像形成装置が有する機能と字列とが、所定の規則に基づいて構成されている。たとえば、各機能は、少なくとも2以上の階層を有するツリー構造に体系付けられており、各階層において、同じ機能には、同じ字列が対応している。したがって、所定の機能を機種の異なる画像形成装置から読み出す場合、何れの画像形成装置においても、同じ字列を入力するだけで当該所定の機能を読み出すことができる。また、データ構造は、所定の規則に基づいて構成されているので、機能ショートカットシステムを使用するユーザ等は、容易に機能と当該機能に対応した字列との関係を見出すことができる。したがって、機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱が発生することを防止できる画像形成装置のデータ構造を提供できる。
【0014】
また、請求項3に記載の画像形成装置操作システムでは、当該システムを構成する機種の異なる各画像形成装置には請求項1に記載の画像形成装置のデータ構造が設定されている。したがって、サービスセンタが何れの画像形成装置に対して同じ数字列信号を送信すれば、何れの画像形成装置において同じ機能が呼び出される。つまり、機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱がサービスセンタ側で発生することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。図1は、本発明に係るデータ構造の一部を示す概略図である。なお、図1は、説明容易の観点から簡略化されている。したがって、実際のデータ構造は、より多くの機能が含まれており、階層もより多く含まれ得る。
【0016】
図1に示すデータ構造は、機種の異なる画像形成装置に共通して設定および認識可能である。たとえば、第一の機種の画像形成装置と第二の機種の画像形成装置とが存在する場合、両画像形成装置において、図1に例示したデータ構造は設定可能であると共に、認識可能である。
【0017】
ここで、画像形成装置として、たとえばMFP(Multi Function Peripheral)装置等がある。また、第一の機種と第二の機種とでは、たとえば画像形成装置が有する機能数や機能内容等が異なる。
【0018】
また、図1に示すように、データ構造は、画像形成装置が有する各機能と当該各機能に対応した字列(数字)とで構成されている。さらに、当該各機能と各字列との構成は、所定の規則に基づいている。ここで、字列は、少なくとも1以上の文字(数字)から構成されている。
【0019】
たとえば、各機能は、少なくとも2以上の階層を有するツリー構造に体系付けられている。
【0020】
図1を参酌すると、第一階層として「コピー」機能が設けられており、当該「コピー」機能の下の第二階層には、たとえば「初期値」機能と「コピー予約」機能とが設けられている。さらに、当該「初期値」機能の下の第三階層には、たとえば「画質」機能、「濃度」機能、「拡大縮小」機能および「ソート」機能が設けられている(コピー機能に関するツリー構造の一例)。
【0021】
また、第一階層として「ファクス」機能が設けられており、当該「ファクス」機能の下の第二階層には、たとえば「初期値」機能と「その他の設定」機能とが設けられている。さらに、当該「その他の設定」機能の下の第三階層には、たとえば「あて先名表示」機能および「リダイヤル回数」機能が設けられている(ファクス機能に関するツリー構造の一例)。
【0022】
さらに、ツリー構造に体系付けられた図1に示したデータ構造に着目すると、同じ階層において、同じ機能には、同じ字列(数字)が対応している(割り振られている)。
【0023】
たとえば図1の第二階層に着目すると、「コピー」機能の下の「初期値」機能、「ファクス」機能の下の「初期値」機能、および「スキャナー」機能の下の「初期値」機能が、各々共通して設けられている。つまり、上位の機能は異なるものの、第二階層において同じ「初期値」機能が存在する(設定されている)。そして、各「初期値」機能に対応する数字を見てみると、同じ「01」が割り振られている。
【0024】
また、図1の第三階層に着目すると、各「初期値」機能の下に、同じ「画質」機能および「濃度」機能が、各々共通して設けられている。つまり、上位の機能は異なるものの、第三階層において同じ「画質」機能および「濃度」機能が存在する。そして、各「画質」機能および「濃度」機能に対応する数字を見てみると、各「画質」機能には同じ「01」が割り振られており、各「濃度」機能には同じ「02」が割り振られている。
【0025】
また、図1の第三階層に着目すると、「ファクス」機能および「スキャナー」機能に属する第三階層には、同じ「ファイル形式」機能が設けられている。そして、各「ファイル形式」機能に対応する数字を見てみると、同じ「06」が割り振られている。
【0026】
なお、各階層において、共通しない「機能」も存在する。たとえば、図1の第一階層では、「コピー」機能、「ファクス」機能および「スキャナー」機能は、各々共通する機能でない。また、第三階層に着目すると、「拡大縮小」機能、「ソート」機能、「送信元名」機能、「あて先名表示」機能、「リダイヤル回数」機能、「解像度」機能および「ボックス登録/変更」機能は、各々共通する機能ではない。
【0027】
当該共通しない各機能には、任意の字列(数字)を割り振ることが可能である(したがって、図1において、各階層において共通しない「機能」に対応する数字の割り振り方は、一例であると把握できる)。
【0028】
図1に例示したデータ構造が、機種の異なる、たとえば第一の機種の画像形成装置および第二の機種の画像形成装置に設定する。すると、機種は異なれども、同じ数字を入力するだけで、同じ「機能」が読み出される。たとえば、両画像形成装置において、「コピー機能に属する初期値機能に属する濃度機能」を読み出す場合を想定する。当該場合には、両画像形成装置において同じ「010102」の数字を入力すると、当該「コピー機能に属する初期値機能に属する濃度機能」を読み出すことができる。
【0029】
なお上述したように、所定の数字を入力することにより、当該入力した数字に対応する機能を呼び出すシステムを、機能ショートカットシステムと称する。
【0030】
以上のように、本発明に係わる画像形成装置のデータ構造は、異なる機種の画像形成装置において、共通して設定することができるものであり、共通して認識することができるものである。
【0031】
したがって、同じ数字を入力するだけで、機種の異なる全ての画像形成装置において同じ目的の「機能」が読み出すことができる。つまり、当該機能ショートカットシステムを使用するに際して混乱を生じることが防止される。
【0032】
さらに、本発明に係わる画像形成装置のデータ構造は、所定の規則に基づいて構成されている。たとえば、各機能は、少なくとも2以上の階層を有するツリー構造に体系付けられており、各階層において、同じ機能には同じ数字列が対応している。
【0033】
したがって、機能ショートカットシステムを使用するユーザは、容易に機能と当該機能に対応した字列との関係を見出すことができる。よって、機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱が発生することをより確実に防止できる。
【0034】
なお、機種が異なると、たとえば一の画像形成装置が有している機能Aが、他の画像形成装置では有さないこともある。その場合には、前記各画像形成装置には、次のようなデータ構造を各々設定しても良い。
【0035】
つまり、ツリー構造に体系付けられたデータ構造において、図2に示すように、当該機能Aが配置される位置に機能Aと当該機能Aに対応する数字xxとを設けたデータ構造Gを、一の画像形成装置に対して設定する。これに対して、ツリー構造に体系付けられたデータ構造において、図3に示すように、上記機能Aと数字xxとが配置される箇所を空欄としたデータ構造Hを、他の画像形成装置に対して設定する。ここで、上記前提条件の場合(つまり、機種の相違により、両画像形成装置間において機能Aの有無だけが相違する場合)には、両データ構造の構成は、上記空欄の有無を除けば同じである。
【0036】
<実施例>
次に、機種の異なる複数の画像形成装置(少なくとも2機種以上の画像形成装置と把握できる)に、上記本発明に係わる画像形成装置のデータ構造を設定した場合の実施例について言及する。図4は、当該実施例を説明すための画像形成装置操作システムを示す図である。
【0037】
図4に示すように、当該画像形成装置操作システムは、1のサービスセンタ1と、複数の画像形成装置2とで構成されている。
【0038】
ここで、複数の画像形成装置2は、少なくとも2以上の異なる機種の画像形成装置2から構成されている。また、各画像形成装置2には、たとえば図1で例示したデータ構造が共通して設定されている。また、図4に示すように、サービスセンタ1と各画像形成装置2とは、所定の回線3を介して接続されている。したがって、サービスセンタ1および各画像形成装置2は、当該回線3を介して所定の信号・データ等の送受信が行われる。
【0039】
次に、図4で示した画像形成装置操作システムの動作について説明する。
【0040】
はじめに、サービスセンタ1は、所定の画像形成装置2に操作信号を送信する。
【0041】
ここで、当該操作信号には、所定の機能に対応した数字列を表す数字列信号が含まれている。また、数字列信号の他に所定の操作に関する信号が含まれている。なお以後の説明では、図1に示されている「020308」の数字列信号が、当該操作信号に含まれているとする。
【0042】
当該操作信号を受信した所定の画像形成装置2は、当該操作信号に含まれている数字列信号に対応した機能を呼び出す。つまり、サービスセンタ1は、所定の画像形成装置2から所定の機能を呼び出すことができる。なお、当該実施例では、数字列信号は「020308」であるので、所定の画像形成装置2からは「リダイヤル回数」機能が読み出される(図1参照)。
【0043】
また、上記操作信号には、数字列信号の他に所定の操作に関する信号が含まれている。したがって、所定の画像形成装置2では、当該所定の操作に関する信号と呼び出された機能とに基づく、所定の操作が行われる。
【0044】
以上のように、本実施例に係わる画像形成装置操作システムでは、各画像形成装置2は、たとえば図1で例示した画像データが共通して設定されている。そして、サービスセンタ1は、所定の画像形成装置2に対して、少なくも数字列信号を含む操作信号を送信している。
【0045】
したがって、サービスセンタ1は遠隔の地より、所定の画像形成装置2から所定の機能を呼び出すことができると共に、当該所定の画像形成装置2に対して当該読み出した所定の機能に基づく操作を、サービスセンタ1は遠隔の地より実施することができる。
【0046】
また、本発明に係わるデータ構造が各画像形成装置2に共通して設定されているので、サービスセンタ1は、何の混乱も生じること無く、当該所定の機能に基づく遠隔機能呼び出し操作を実施することができる。つまり、サービスセンタ1が何れの画像形成装置2に対して同じ数字列信号を送信すれば、何れの画像形成装置2においても同じ機能が呼び出される。よって、機能ショートカットシステムを導入した場合にも、当該機能ショートカットシステムの使用時に混乱がサービスセンタ1側で発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係わる画像形成装置のデータ構造の一例を示す図である。
【図2】データ構造の一例を示す図である。
【図3】データ構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例を説明するための画像形成装置システムを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 サービスセンタ
2 画像形成装置
3 回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種の異なる画像形成装置に共通して設定可能であり、
前記画像形成装置が有する各機能と、前記各機能に対応しており少なくとも1以上の字を含む字列とが、所定の規則に基づいて構成されている、
ことを特徴とする画像形成装置のデータ構造。
【請求項2】
前記各機能は、少なくとも2以上の階層を有するツリー構造に体系付けられており、
各前記階層において、同じ前記機能には、同じ前記字列が対応している、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置のデータ構造。
【請求項3】
サービスセンタと、
前記サービスセンタから送信される所定の信号の受信が可能であり、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置のデータ構造が設定されている、少なくとも2機種以上の画像形成装置とを、備えており、
前記サービスセンタは、
前記字列に対応した字列信号を少なくとも含む信号を所定の前記画像形成装置に対して送信することにより、前記所定の画像形成装置から前記字列に対応した前記機能を呼び出す、
ことを特徴とする画像形成装置操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−235669(P2007−235669A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55937(P2006−55937)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】