説明

画像形成装置のフィルム装填マガジン

【課題】 フィルム装填マガジン単体で遮光袋取り出し機能を持たせることにより、シートフィルムの取り扱い性と汎用性とを高め、且つ搬送路に生じた結露を確実に除去することのできる画像形成装置のフィルム装填マガジンを提供する。
【解決手段】 複数のシートフィルム82を遮光袋86内に積層して収納したフィルム包装体80が装填される画像形成装置のフィルム装填マガジン10であり、フィルム包装体80を画像形成装置100に装着した後、遮光袋86を外部に引き出す場合に、この遮光袋86を扱き出すための少なくとも上下一対の扱きローラ36,48を備えた。また、フィルム装填マガジン10に積層収納されたシートフィルム82の最上部に、少なくとも1枚のクリーニングシートCSを載置可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシートフィルムを遮光袋内に積層収納したフィルム包装体が装填される画像形成装置のフィルム装填マガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像形成装置のフィルム装填マガジンの一例として、レーザードライイメージャ用のフィルム装填マガジンで、フィルム装填機能を画像形成装置の本体側に持つものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このマガジンには、複数のシートフィルムを遮光袋内に積層して収納したフィルム包装体が装填される。このフィルム包装体をマガジンに装填した状態で画像形成装置の装置側トレイに挿入して組み込んだ後、フィルム包装体の遮光袋を装置外部に引き出すことで、複数枚のフィルムがマガジン内にセットされるようになっている。
【0003】
また、画像形成装置の結露による影響を防止する従来の技術として、本体の内部温度が冷えた場合に、温度検出手段の検出信号により、光源や可動ミラーを支持するキャリアと可動ミラーを支持するキャリアとを往復駆動させ、可動ミラーや光源に相対的に風を与えて結露による曇りを除去しようとするものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、走査ユニット内を気流防止カバーと断熱壁とにより仕切ることにより、空間域間の空気流動を規制して加熱空気を低温の光学部品に到達しないようにしたものもある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−209823号公報
【特許文献2】特開平04−237035号公報
【特許文献3】特開平03−291674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1のような画像形成装置においては、マガジンが挿入される装置トレイ内に、遮光袋を引き出すための上ローラが配設され、この上ローラに対向する下ローラがマガジン側に配設された構成となっている。このため、マガジンは、その画像形成装置専用のマガジンとなり、他の画像形成装置に使い回すことができないものとなっていた。一般にマガジンからフィルムを取り出す機構は画像形成装置側に有しており、マガジンは単にフィルム取り出し用の開口があれば、他の画像形成装置に対する汎用性を容易に持たせることができるが、遮光袋取り出し機構のために、この汎用性が阻害されている。
【0006】
また、画像形成装置を検診車等の移動車両内に設置した場合には、画像記録を終了した後に、フィルムの装填されたマガジンを移動車両内に保管すると、車両内環境が高温或いは高湿状態になるため、マガジンを画像形成装置から抜き取り、移動車両から屋内へ保管場所を変えたいという要望がある。しかしながら、下ローラのみのマガジンの遮光袋取り出し機構のため、マガジン単体では必要十分な遮光性が得られにくく、取り扱い性に欠けるという不利があった。
【0007】
また、画像形成装置を問診車等の移動車両内に設置した場合には、車両内環境が高湿状態となったり、夜間の冷気により画像形成装置に結露が発生する問題があるが、上記特許文献2及び上記特許文献3の結露対策は、いずれも光学系の結露対策であり、搬送路に付着した露等に対しては、それを除去するまでには至らず、十分な対策とは言い難い。即ち、搬送路に付着した結露は、装置立ち上げ後の最初に搬送されるシートフィルムの表面に付着し、その結露の部分が黒ずんでしまう画像不良が生じる。このような結露による影響は、画像形成装置を車載環境で使用する場合に特に顕著となる。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルム装填マガジン単体で遮光袋取り出し機能を持たせることにより、取り扱い性と汎用性とを高めることができ、且つ搬送路の結露を確実に除去して、画像形成に影響を及ぼす要因を排除することのできる画像形成装置のフィルム装填マガジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は下記構成により達成される。
(1)複数のシートフィルムを遮光袋内に積層して収納したフィルム包装体が装填される画像形成装置のフィルム装填マガジンであって、前記フィルム包装体を前記画像形成装置に装着した後、前記遮光袋をマガジン外部に引き出す場合に、この遮光袋を扱き出すための少なくとも上下一対の扱きローラを備えたことを特徴とする画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0010】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、従来のように、フィルム装填機能を画像形成装置側に持つものと比べて、マガジン自体に遮光袋の取り出し機構を有するために、マガジンが特定の画像形成装置の使用に限定されることがなくなり、複数種類の装置に共用することができる。また、画像形成装置を車載環境で使用する等にも、フィルムの持ち出しをマガジン単位で自由に行えるので、汎用性を高めることができる。
【0011】
(2)開口を有し前記シートフィルムを内部に載置するマガジン本体と、該マガジン本体の該開口を開閉自在に覆う蓋部材とを備え、前記上下一対の扱きローラが、前記マガジン本体側に配置された扱きローラ及び前記蓋部材側に配置した扱きローラを有することを特徴とする(1)記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0012】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、蓋部材を開けて、フィルム包装体をマガジン本体内に収納して、遮光袋の一部(ひれ部)をマガジン本体側の扱きローラ上に置き、蓋部材を閉じれば、遮光袋をマガジン本体側の扱きローラと、蓋部材側の扱きローラとで挟み込むことができる。これにより、遮光袋の引き出し作業を簡単にできる。
【0013】
(3)前記蓋部材が、前記マガジン本体にヒンジ接続されていることを特徴とする(2)記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0014】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、蓋部材がマガジン本体から分離されるものと比べて、蓋部材のマガジン本体への閉蓋組み合わせ方向を間違えることがなく、取り扱いもし易くなる。
【0015】
(4)前記扱きローラ対の各扱きローラが、前記蓋部材の閉蓋状態で該蓋部材の開閉方向に対して互いにずれた位置に配置されており、前記扱きローラ対のいずれか一方の扱きローラを前記マガジン本体に対して相対移動自在に支持し、前記蓋部材の開閉方向に対して略重なる位置に移動させるローラ移動手段を備えたことを特徴とする(2)又は(3)記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0016】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、収納されたフィルム包装体の遮光袋を引き出す際に、扱きローラ対のいずれか一方の扱きローラが移動して、前記蓋部材の開閉方向に互いに略重なる位置に配置されるために、蓋部材側の扱きローラとマガジン本体側の扱きローラとが近接し、遮光袋を強く扱いて小さく潰すことができる。
【0017】
(5)前記ローラ移動手段が、前記扱きローラを回転自在に軸支する支持部材と、該支持部材を前記遮光袋の引き出し方向とは逆方向に付勢する弾性付勢手段とを有することを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1項記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0018】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、支持部材により扱きローラが回転自在に軸支されながら、弾性付勢手段によって遮光袋の引き出し方向とは逆方向に付勢されるので、マガジンに収納されたフィルム包装体の遮光袋を引き出す際に、ローラ移動手段によって、扱きローラを移動させることができる。
【0019】
(6)前記画像形成装置との間で情報交換が可能な情報記憶手段を備えたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0020】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、画像形成装置に装着されたフィルム装填マガジンから情報を取り出したり、情報を書き込むことができるので、複数のフィルム装填マガジンを一元的に管理することができ、利便性が高められる。
【0021】
(7) 前記フィルム装填マガジンの最上部にクリーニングシートを少なくとも1枚載置可能とするクリーニングシート収容部を備えたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項記載のフィルム装填マガジン。
【0022】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、フィルム装填マガジンの最上部をクリーニングシートの載置場所とすることにより、クリーニングシートを収納する特別なトレイが必要とならず、従来の装置をそのまま使用して結露を除去することができる。クリーニングシートは、装置のウォーミングアップ時に置くだけに限らず、装置の使用終了時にフィルム装填マガジンの最上部にクリーニングシートを1枚載置しておくようにしてもよい。
【0023】
(8)前記クリーニングシートは、シート表面又はシート素材自体に吸湿性を有することを特徴とする(7)記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0024】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、クリーニングシートが、シート表面を親水性としたり、シート素材により吸湿性を持たせたりすることにより、搬送路に発生した結露を確実に吸着して除去することができる。
【0025】
(9)前記クリーニングシートは、少なくとも150℃までの耐熱性を有することを特徴とする(7)記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【0026】
このように構成された画像形成装置のフィルム装填マガジンにおいては、クリーニングシートが耐熱性を有することで、熱現像部等の高温部位に対しても搬送することが出来るので、画像形成装置に特別な対策を講ずる必要がなく、従来の装置をそのまま用いることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の画像形成装置のフィルム装填マガジンによれば、フィルム包装体を画像形成装置に装着した後、遮光袋をマガジン外部に引き出す場合に、この遮光袋を扱き出すための少なくとも上下一対の扱きローラを備えたことにより、マガジンを他の画像形成装置へ利用することも可能となり、また、マガジン単位で管理することもでき、マガジンの汎用性と取り扱い性とを高めることができる。更に、搬送路の結露を確実に除去して画像形成に影響を及ぼす要因を積極的に排除し、高画質の画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る画像形成置のフィルム装填マガジンの好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る画像形成装置のフィルム装填マガジンの一実施形態を示す画像形成装置全体の構造図で、図2は図1に示すフィルム装填マガジンに装填されるフィルム包装体の外観斜視図である。
【0029】
まず、画像形成装置100の構成について説明する。
図1に示すように、本発明の画像形成装置のフィルム装填マガジン10が用いられる画像形成装置100は、熱現像記録材料であるシートフィルム82の搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとを備えており、また、各部間の要所に設けられシートフィルム82を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
【0030】
また、上記画像形成装置100は、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、さらにその上段に画像露光部Bと熱現像部Cと冷却部Dとを配置した構成となっており、画像露光部Bと熱現像部Cとを隣接させた配置としている。従って、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことができ、シートフィルム82の搬送パス長を最短化し、1枚の出力時間を短縮することができる。また、1枚のシートフィルム82に対して露光工程と熱現像工程との両工程を同時に実施することが可能となる。
【0031】
シートフィルム82としては、前述の熱現像感光材料又は感光感熱記録材料等を使用することができる。熱現像感光材料は、光ビーム(例えば、レーザビーム)によって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させる記録材料である。また、感光感熱記録材料は、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させるか、或いは、レーザビームのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で定着する記録材料である。
【0032】
熱現像記録材料供給部Aは、シートフィルム82を一枚ずつ取り出して、シートフィルム82の搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、三つの装填部102,104,106と、各装填部にそれぞれ配置される枚葉機構166と、供給ローラ対108,110,112と、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。供給ローラ対108,110,112の近傍には、結露センサSが配置されている。また、三段構成となっている各装填部102,104,106の内部には、異なる、例えば、B4サイズ、及び半切サイズ等のシートフィルム82,82,82が収容されたフィルム装填マガジン10,10,10がマガジン受けであるトレイ114,116,118内に収納され、各段に装填されたサイズや向きのシートフィルム82,82,82を選択的に使用できるようにしている。
【0033】
シートフィルム82は、図2に示すように、シート状に加工され、通常、150枚等の所定単位の積層体(束)とされて、当て紙84に収納された状態で、アルミニウム箔等の遮光袋86内に包装される。これにより、シートフィルム82は、所定枚数がパッケージされたフィルム包装体80として取り扱われる。そして、シートフィルム82は、遮光袋86の一部に切込みが入れられ、端部に形成されたひれ部88がマガジン10の外側に引き出されることにより、当て紙84とともにマガジン10内に配置される。このような状態でシートフィルム82は熱現像記録材料供給部Aの各段に装填される。
【0034】
トレイ114,116,118の下面部には、後述するフィルム装填マガジンに配設されたバーコードの位置に対応して開口部120,122,124が形成されており、これら開口部120,122,124に臨むようにしてバーコードリーダ126,128,130が配設される。また、バーコードリーダ126,128,130は、収納されたフィルム包装体80の遮光袋86に添付されたバーコードを読み取るように構成してもよい。
【0035】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきたシートフィルム82に対して光ビームLBを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像をシートフィルム82に記録して潜像を形成する。
【0036】
熱現像部Cは、走査露光後のシートフィルム82を搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後のシートフィルム82を冷却して、排出トレイ132に搬出する。
【0037】
ここで、熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には幅寄せ機構134が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきたシートフィルム82を、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
【0038】
次に、画像露光部Bについて具体的に説明する。
画像露光部Bは、光ビーム走査露光によってシートフィルム82を露光する部位であり、熱現像材料の搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部(副走査手段)136と、走査露光部(レーザ照射手段)138とを備えている。走査露光部138は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザを走査(主走査)させる。このときシートフィルム82を副走査搬送部136によって副走査方向に移動させる。
【0039】
副走査搬送部136は、照射するレーザ光の主走査ラインを挟んで、軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ140,142と、これら駆動ローラ140,142に対向して配置され、シートフィルム82を支持するガイド板144を備えている。ガイド板144は、各駆動ローラ140,142との間に挿入されるシートフィルム82を、並設されたこれら駆動ローラ同士間の外側で該駆動ローラ周面の一部に沿って撓ませて、駆動ローラ同士間でシートフィルム82の撓みによる弾性反発力を当接して受け止めるようにしている。
【0040】
この撓みによりシートフィルム82自身に弾性反発力が発生する。この弾性反発力により、シートフィルム82と駆動ローラ140,142との間に所定の摩擦力が生じ、駆動ローラ140,142からシートフィルム82へ確実に搬送駆動力が伝達されて、シートフィルム82が搬送されるようになる。従って、シートフィルム82の搬送面からのばたつき、即ち、上下方向のばたつきが確実に抑制される。この駆動ローラ同士間のシートフィルム82に向けてレーザ光を照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。なお、駆動ローラ140,142は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を、歯車やベルト等の伝達手段を介して受け、図1の時計回り方向へ回転するようになっている。
【0041】
次に、熱現像部Cについて説明する。
熱現像部Cは、熱処理を適用されるタイプの被熱処理熱現像記録材料を加熱するものであり、構成としては、シートフィルム82を処理するのに必要な温度となる加熱体としての熱現像記録材料の移送方向に並ぶ複数のプレートヒータ146,148,150を湾曲させ、かつ、これらプレートヒータ146,148,150を一連の円弧状配置としている。
【0042】
即ち、これらプレートヒータ146,148,150を含む熱現像部Cの構成としては、図示されるように、各プレートヒータに凹面を設け、シートフィルム82をプレートヒータの凹面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときのシートフィルム82の移送手段として、供給ローラ152と、各プレートヒータからシートフィルム82への伝熱用でもある複数の押さえローラ154と、を配設している。
【0043】
押さえローラ154は、歯車156に噛合して歯車156の回転に従動して回転駆動される。これら押さえローラ154としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等が利用できる。この構成により、搬送されるシートフィルム82がプレートヒータ146,148,150に押し付けられつつ搬送されるので、シートフィルム82の座屈が防止される。なお、上記の湾曲プレートヒータは一例であり、この他、加熱手段としては平坦なプレートヒータや加熱ドラム等を用いる構成であってもよい。
【0044】
熱現像部C内におけるシートフィルム82の搬送路の終端には、シートフィルム82を移送する排出ローラ158が配設されている。そして、熱現像部Cから搬出されたシートフィルム82は、冷却部Dによってシワが発生しないように、かつ湾曲ぐせが付かないように注意しながら冷却される。冷却部Dから排出されたシートフィルム82は搬送路途中に設けられた冷却ローラ対160によりガイドプレート162内に案内され、さらに、排出ローラ対164から排出トレイ132に排出される。
【0045】
このように冷却部D内には、複数の冷却ローラ対160がシートフィルム82の搬送経路に所望の一定曲率Rを与えるように配置されている。これは、シートフィルム82がその材料のガラス転移点以下に冷却されるまで一定の曲率Rにより搬送されるということであり、このように意図的に熱現像記録材料に曲率を付けることで、ガラス転移点以下に冷却される前に余計なカールが付かなくなり、ガラス転移点以下となれば、新たなカールが付くこともなく、カール量がばらつかない。
【0046】
また、冷却ローラ自体及び冷却部Dの内部雰囲気を温度調節している。このような温度調節は、熱処理装置の立ち上げ直後と十分にランニングを行った後との状態をなるべく同様なものにし、濃度変動を小さくすることができる。
【0047】
次に、画像形成装置100の主な制御系統について説明する。
図3に画像形成装置の制御系統のブロック構成図を示した。画像形成装置100は、電源/制御部Eが、所定の位置に配置された始動スイッチSWのオン操作により電源投入される。また、電源/制御部Eには、結露センサSが検出した電気信号が不図示の増幅回路等を通じて与えられる。そして、電源/制御部Eは、始動スイッチSWのオン操作をトリガとして、結露センサSの電気信号(電圧信号値)に応じた所定のウォームアップ処理を行う。
【0048】
ウォームアップ処理としては、フィルム装填マガジン10の最上部に収納された、後述するクリーニングシートCSを搬送路に沿って搬送する処理工程を含む。また、ウォームアップ処理は、熱現像部Cのプレートヒータ146,148,150を駆動させてプレートヒータ146,148,150を暖気運転させたり、画像露光部Bのレーザ出力を安定させること等を行うようにしてもよい。ウォームアップ処理が完了したところで、熱現像記録媒体供給部A、枚葉機構166を駆動させるとともに、画像露光部Bを駆動させる。このとき、ウォームアップ処理に最も長い時間を要するユニットは熱現像部Cとなる。
なお、結露センサSとしては、電気抵抗式、水晶振動子式、光学式等、適宜の方式のものが採用される。
【0049】
次に、図4〜図8を参照して、フィルム装填マガジン10について詳細に説明する。
図4は図1に示す画像形成装置のフィルム装填マガジンの蓋部材を開いた状態での外観斜視図である。フィルム装填マガジン10は、開口14を有するマガジン本体12と、マガジン本体12の開口14を開閉自在に覆う蓋部材16とを有して構成されている。フィルム装填マガジン10は、画像形成装置100に3個収納されるいずれもが同一構造であるために、ここでは、それらの内の一つについてのみ説明する。
【0050】
マガジン本体12は、四方を囲んで配置されていて上方に開口14が形成された側板18,20,22,24と、底板26とを有して有底の箱形を呈している。
【0051】
マガジン本体12の底板26には、その一部にバーコードラベル28が貼り付けられている。バーコードラベル28は、このフィルム装填マガジン10が画像形成装置100のトレイ114内に収納された際に、画像形成装置100の装填部102内においてトレイ114の下方に形成された開口部120,122,124を介してバーコードリーダ(図1の126,128,130参照)によってマガジンの情報が読み取られる。ここで、情報記憶手段としてのバーコードラベル28に代えて、書き換え可能な磁気カードや無線タグを取り付けても良い。磁気カードや無線タグ(例えばRF−ID(Radio Frequency-IDentification)等)にした場合には、それらの情報記憶手段に、予め記録媒体の種類、枚数、サイズ、縦横の方向、クリーニングシートCS載置の有無、等の情報を書き込んでおいて、画像形成装置100又は外部からその情報を読み込むことにより、複数のフィルム装填マガジン10を一元的に管理することができる。なお、バーコードラベル28等の情報記憶手段は、底板26に限らず、側板18,20,24のいずれかに貼り付けられていても良く、情報記憶手段に対向した位置にバーコードリーダや、カードリーダ・ライタ或いは無線通信器等の情報読み書き手段が設けられていればよい。
【0052】
マガジン本体12の側板22には、このフィルム装填マガジン10を画像形成装置100に収納、及び取り出す際に把持するハンドル30が取り付けられている。ハンドル30は可倒式になっており、画像形成装置100内では畳まれて収容される。また、側板22には、閉蓋された蓋部材16をロックするためのロックノブ32が設けられている。
【0053】
さらに、マガジン本体12の底板26には、両側板22,24の内側に、シートフィルム82が装填された際に、当て紙84を支持する二対のガイド34,35が配置されている。また、底板26の遮光袋86の引き出し側である図中の右方端寄りに、扱きローラ対を構成する一方の扱きローラ36が回転自在に軸支され、かつ、後述するローラ移動手段40(図5参照)を介してローラ軸を、遮光袋の引き出し方向とは反対方向(反対側の側板20の方向)に付勢させつつ移動可能な状態として配置させている。
【0054】
蓋部材16は、基端側がマガジン本体12の端部にヒンジ部材42によってヒンジ接続されている。また、蓋部材16には、画像形成装置100の装填部102に収納された後に開口状態とされるフィルム引き出し孔44が、フィルム装填マガジン10の長手方向に沿って形成されている。そして、蓋部材16には、マガジン本体12のロックノブ32に対応した側部にキャッチャ46が取り付けられている。そしてさらに、蓋部材16には、遮光袋86の引き出し側である一方の扱きローラ36に対向する位置寄りに、他方の扱きローラ48を回転自在に軸支して配置している。なお、マガジン本体12側の一方の扱きローラ36と、蓋部材16側の他方の扱きローラ48とからなるローラ対は、一対に限らず、二対以上の複数対設けた構成であっても良い。
【0055】
図5にフィルム装填マガジンのマガジン本体の一部破断平面図を示した。ローラ移動手段40は、マガジン本体12側の一方の扱きローラ36を両端部において回転自在に支持する支持部材50と、底板26との間に組み付けられた一対のバネ部材52A,52B(弾性付勢手段)を有する。バネ部材52A,52Bは、コイルバネであって、一方の扱きローラ36を側板18から離れる方向に常時付勢している。
【0056】
次に、上記構成のフィルム装填マガジン10にシートフィルムを装填する手順を、図6を参照して説明する。
【0057】
図6(a)に示すように、蓋部材16を開蓋状態にし、マガジン本体12の底板26上にフィルム包装体80を載置する。このとき、遮光袋86のひれ部88がマガジン本体12の一方の扱きローラ36上に載せられる。
【0058】
次に、図6(b)に示すように、蓋部材16を閉蓋状態にする。このときの扱きローラ対は、上側の扱きローラ48の軸と下側の扱きローラ36の軸との位置が蓋部材16の開閉方向(以下、単に開閉方向と呼ぶ)に一致しておらず、遮光袋86のひれ部88が閉蓋時に殆ど抵抗無く挟み込まれ、蓋部材16が浮き上がることはない。
【0059】
そして、図6(c)に示すように、蓋部材16が閉蓋された後に、遮光袋86のひれ部88を扱きローラ対から引き出す。このとき、下側の扱きローラ36は、ひれ部88の動きによってバネ部材52A,52Bの弾性力に抗してひれ部88の引き出し方向にスライドされ、図示しないストッパ31に当接する位置、即ち、上側の扱きローラ48の軸と開閉方向に略一致する位置に移動する。これにより、扱きローラ対同士間の間隔が狭くなり、遮光袋86を強く扱いて小さく纏めることができる。
【0060】
そして、図6(d)に示すように、遮光袋86が取り除かれたシートフィルム82があて紙(図2参照)84とともにフィルム装填マガジン10内に残されてシートフィルム82の装填が完了する。フィルム装填マガジン10に装填されたシートフィルム82は、蓋部材16のフィルム引き出し孔44が自動或いは手動にて開放されることにより、そのフィルム引き出し孔44から取り出されて、供給ローラ対108によって画像露光部B側へ送られる。
【0061】
ここで、上述したローラ移動手段40についての詳細な構成を説明する。
図7は図1に示すフィルム装填マガジンの一部拡大断面図である。
図7(a)に示すように、マガジン本体12側の下側の扱きローラ36は、ローラ移動手段40によって側板18から離れる方向に常時付勢されているため、通常、蓋部材16に配置された上側の扱きローラ48から離れて配置される。
【0062】
マガジン本体12の底板26は、ローラ移動手段40の近傍においては二重構造の底板26A,26Bからなり、下側の底板26Aが側板20,22,24に接続されており、上側の底板26Bは、下側の底板26Aに所定間隔を空けて図示しない立脚部によって支持されている。そして、上側の底板26Bと下側の底板26Aとの間の隙間には、ベース部材29が固設されており、このベース部材29に前述のバネ部材52A,52Bの一端部が接続されている。
【0063】
一方、扱きローラ36を支持する支持部材50は、上側の底板26Bと下側の底板26Aとの間の隙間に挿入される延設部50aを有しており、バネ部材52A,52Bの他端部が接続されている。
【0064】
そして、図7(b)に示すように、フィルム包装体80がフィルム装填マガジン10内に収納されてから、包装体端部に形成されたひれ部88をフィルム装填マガジン10の外側に引き出す際に、マガジン本体12側の下側の扱きローラ36は、ローラ移動手段40のバネ部材52A,52Bによる弾性力に抗して、ひれ部88とともに蓋部材16側の上側の扱きローラ48に接近して移動される。支持部材50は、底板26A上に配設されたストッパ31により、下側の扱きローラ36が上側の扱きローラ48と開閉方向に略重なる位置で停止される。
【0065】
このようにして、蓋部材16を閉蓋するときには、蓋部材16の開閉方向から互いにずれた位置に両扱きローラ36,48がそれぞれ配置されているが、遮光袋86を引き出す場合に下側の扱きローラ36が移動して、上側の扱きローラ48と開閉方向に略重なる位置に移動して位置決めされる。これにより、フィルム包装体80の遮光袋86を強く扱き取ることができ、遮光袋86を容易に小さく潰すことができる。
【0066】
次に、上述したローラ移動手段40の変形例を説明する。
図8はフィルム装填マガジンの変形例における断面図である。
この変形例のローラ移動手段40は、バネ部材52Cを、下側の扱きローラ36を支持する支持部材50の延設部50aにおける扱きローラ36とは反対側の端部と、マガジン本体12の側板20との間に配設している。
【0067】
上記構成によれば、フィルム包装体80は延設部50a上に載置され、遮光袋86のひれ部88をフィルム装填マガジン10の外側に引き出す際に、支持部材50がスライドすることで、延設部50a上のフィルム包装体80も一体となって扱きローラ対側に引き寄せられる。従って、図7に示す構成による機能と同一の機能を、簡略化された本変形例の構成によっても実現することができる。
【0068】
また、上記説明したローラ移動手段40は、マガジン本体12側の下側の扱きローラ36に代えて、蓋部材16側の上側の扱きローラ48を移動させる構成にすることもできる。その場合も上記同様の作用効果を得ることができる。
【0069】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置100のフィルム装填マガジン10によれば、フィルム包装体80を画像形成装置100に装着した後、遮光袋86を外部に引き出す場合に、遮光袋86を扱き出すための少なくとも上下一対の扱きローラ36,48をフィルム装填マガジン10が備えているために、従来のように、遮光袋取り出し機構を画像形成装置100側とフィルム装填マガジン10側とに分割して持たせていた場合と比較して、フィルム装填マガジン10を他の画像形成装置に使い回すことが容易に行え、汎用性を高めることができる。また、画像形成装置を車載環境で使用する場合にも、フィルムの持ち出しをマガジン単位で自由に行えるので、遮光及び防湿を要するフィルムの取り扱い性を高めることができる。
【0070】
このように、フィルム装填マガジンが、特定の装置に使用が限定されることなく、画像形成装置への取り付け及び取り外しが自在となるので、フィルム装填マガジンを画像形成装置の外部に予めストックすることが簡単に行える。即ち、複数種類のシートフィルムが装填されたフィルム装填マガジン10を予め複数個、種類毎に用意しておき、これらフィルム装填マガジン10のうち、所望のシートフィルムが収容されたフィルム装填マガジン10を適宜選択して、この選択されたフィルム装填マガジン10を任意の画像形成装置100に挿入する構成としてもよい。
【0071】
そこで例えば、このようなフィルム装填マガジン10は、棚に複数個を収納しておき、各フィルム装填マガジンに設けられた情報書き換え可能な情報記憶手段(磁気カードや無線タグ)を利用して、各フィルム装填マガジン10に収容されたシートフィルムの種別や枚数等の情報を管理することもできる。この場合、棚に情報読み書き手段を設け、この情報読み書き手段により各フィルム装填マガジン10の各種情報を情報記憶手段から読み取り、解析や集計を行うことで、シートフィルムとマガジンの管理が効率よく行える。
【0072】
また、本フィルム装填マガジン10によれば、蓋部材16がマガジン本体12にヒンジ接続されているために、蓋部材16がマガジン本体12から分離されるものと比べて、蓋部材16のマガジン本体12への閉蓋組み合わせ方向を間違えることがなく、取り扱いも向上する。
【0073】
なお、本発明の画像形成装置のフィルム装填マガジンは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
例えば、扱きローラ対を構成するマガジン本体側の下側の扱きローラ及び蓋部材側の上側の扱きローラは、図示したように長尺の円筒形状をなす単一の部材に限定されず、短尺の複数の円筒部材を所定間隔毎に配置しても良い。
【0074】
次に、フィルム装填マガジンの他の実施形態を説明する。
図9はフィルム装填マガジンの最上部にクリーニングシートの収容部を設けた一構成例を示す斜視図である。
このフィルム装填マガジン200は、最上部となる蓋部材16の外側に、クリーニングシートCSのサイズに合わせて、このクリーニングシートCSの端部に沿って形成されたガイド部材71を備え、これがクリーニングシートCSの収容部として機能する。クリーニングシートCSを、このガイド部材71に端部を沿わせて挿入することで、フィルム装填マガジン200の最上部にクリーニングシートCSが収容される。
【0075】
次に、上記クリーニングシートの収容部を有するフィルム装填マガジンを用いた場合の画像形成装置100の運転動作について、図10に基づいて説明する。
図10は画像形成装置の運転動作を説明するフローチャートである。
まず、画像形成装置100の前回の運転の終了時、或いは始動直前に結露除去用のクリーニングシートCSをフィルム装填マガジン10に積層収納されたシートフィルム82の最上部にセットしてスタートする。クリーニングシートCSは、シートフィルム82と略同一の外形寸法を有し、シート表面又はシート素材自体に吸湿性を有する。また、クリーニングシートCSは、少なくとも150℃までの耐熱性を有する。始動スイッチSWがオン操作されることにより(S101)、ウォームアップ動作が開始される(S102)。このウォームアップ動作とは、熱現像部Cや画像露光部Bのレーザ装置等が直ちに実働可能となるようにウォームアップさせるため、ヒータのプレヒートや、レーザの安定化、ローラの空転駆動等を行う動作が含まれる。
【0076】
ウォームアップ動作が開始されると、結露処理が実行される(S103)。結露処理とは、フィルム装填マガジン10の最上部に載置された少なくとも1枚のクリーニングシートCSを搬送路に沿って空搬送させる処理である。即ち、枚葉機構166を駆動させることによりフィルム装填マガジン10の最上部からクリーニングシートCSを取り出して、回転駆動している供給ローラ対108(110、112)で搬送方向下流側へ搬送する。このクリーニングシートCSを記録媒体供給部Aから画像露光部B、熱現像部C、冷却部Dへ順次搬送した後に、排出トレイ132へ排出する。これにより、記録媒体供給部Aから、画像露光部B、熱現像部C、冷却部D、排出トレイ132までの間の搬送路に生じた結露を、この1枚のクリーニングシートCSに付着(或いは吸着)させて除去することができる。
【0077】
結露処理が実行されている間は、熱現像部Cや画像露光部Bのウォームアップ動作も続行される。やがて、結露処理が完了して、画像露光部Bが安定状態に入り、続いて熱現像部Cが安定状態になると、ウォームアップ動作が終了される(S104)。ウォームアップ動作の完了は、各部の安定状態が確認されることに代えて、例えば、電源/制御部Eに内蔵されたクロックタイマがタイムアップすることにより簡便に判別することも可能である。
【0078】
ウォームアップ動作が終了すると、通常の記録・現像プロセスを開始することができる。このとき、記録開始の信号が入力されると、通常の記録動作がなされる。即ち、枚葉機構166が駆動されてシートフィルム82が一枚取り出され、供給ローラ対108等の駆動によってシートフィルム82が搬送され、画像露光部Bが駆動されることにより画像記録が行われる(S105)。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100によれば、電源/制御部Eが装置始動時のウォームアップ期間に、少なくとも1枚のクリーニングシートCSを搬送路に沿って空搬送させることにより、搬送路に生じた結露を、このクリーニングシートCSに付着(或いは吸着)させて除去することができる。これにより、結露によって画像欠陥が生じることを防止でき、装置始動時のウォームアップ後に良好な画質で画像形成が行える。
【0080】
また、結露センサSが結露の発生を検出し、且つフィルム装填マガジンに設けられた情報記憶手段(磁気カードや無線タグ)にクリーニングシートCSがフィルム装填マガジン10に載置されていることが記憶されていない場合、画像形成装置100から警告を発するようにしてもよい。これにより、クリーニングシートCSをフィルム装填マガジン10に載置するよう使用者に促して、結露除去作業のし忘れを防止することができる。
【0081】
次に、本実施形態の画像形成装置に対する第1変形例を説明する。
図11に本変形例における運転動作を説明するフローチャートを示した。本変形例においては、装置の始動時に、結露センサSが結露を検出している場合にのみ、搬送路に沿って1枚のクリーニングシートCSを搬送させて排出することにより、結露を除去するようにしている。
【0082】
始動スイッチSWがオン操作されることによりウォームアップ動作が開始されると、次いで結露センサSの計測が実行される(S201)。結露センサSの計測により、搬送路で結露が発生したか否かが判別される(S202)。
【0083】
結露センサSが結露を検出した場合、枚葉機構166を駆動させることによりフィルム装填マガジン10の最上部に載置されたクリーニングシートCSを取り出す(S203)。
【0084】
そこで、供給ローラ対108(110、112)が回転駆動され、取り出された1枚のクリーニングシートCSを供給ローラ対108(110、112)により挟み込んで搬送し、記録媒体供給部Aから、画像露光部B、熱現像部C、冷却部Dへと搬送方向下流側に搬送する(S204)。これにより、記録媒体供給部Aから、画像露光部B、熱現像部C、冷却部Dまでの間の搬送路に生じた結露を、この1枚のクリーニングシートCSに付着(或いは吸着)させて除去することができる。そして、搬送されてきたクリーニングシートCSを排出トレイ132へ排出する(S205)。
【0085】
これにより、結露が発生したときだけに結露除去のための処理が行われ、結露の発生が認められない場合には、通常通りの運転を行うために、無駄に結露除去をすることがなくなり、運転効率が高められる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態のフィルム装填マガジン10によれば、装置始動時のウォーミングアップ期間にフィルム装填マガジン10からクリーニングシートCSを取り出して、シートフィルム82の搬送路に沿って搬送処置することにより、従来装置の機構に大幅な改変を加えることなく搬送路に生じた結露を簡便に除去することができ、これにより、結露によって形成され得る画像欠陥の発生を防止できるので良好な画質で画像形成が行える。
【0087】
また、本実施形態のフィルム装填マガジン10によれば、クリーニングシートCSが、シート表面を親水性としたり、シート素材により吸湿性を持たせるものであるために、発生した結露を確実に吸着して、それを除去することができる。また、クリーニングシートCSが耐熱性を有することで、ウォーミングアップ動作中であっても高温になる熱現像部C等の高温部位に対しても搬送することができるので、シートフィルム82と同じように扱うことができるため便利である。耐熱性を有するシート材料としては、例えば、PET等の耐熱性樹脂材料が利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に係る画像形成装置のフィルム装填マガジンの一実施形態を示す画像形成装置全体の構造図である。
【図2】図1に示したフィルム装填マガジンに装填されるフィルム包装体の外観斜視図である。
【図3】図1に示した画像形成装置の制御系統のブロック構成図である。
【図4】フィルム装填マガジンの蓋部材を開いた状態での外観斜視図である。
【図5】フィルム装填マガジンのマガジン本体の一部破断平面図である。
【図6】フィルム装填マガジンへのシートフィルムの装填手順(a)、(b)、(c)、(d)を示す説明図である。
【図7】フィルム装填マガジンにおけるローラ移動手段の通常状態での一部拡大断面図(a)、ローラ移動手段の作動状態での一部拡大断面図(b)である。
【図8】フィルム装填マガジンの変形例における断面図である。
【図9】フィルム装填マガジンの最上部にクリーニングシートの収容部を設けた一構成例を示す斜視図である。
【図10】図1に示した画像形成装置の運転動作を説明するフローチャートである。
【図11】図1に示した画像形成装置の第1変形例における運転動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10 フィルム装填マガジン
12 マガジン本体
14 開口
16 蓋部材
28 バーコードラベル(情報記憶手段)
36 扱きローラ
40 ローラ移動手段
48 扱きローラ
50 支持部材
52A,52B,52C バネ部材(弾性付勢手段)
80 フィルム包装体
82 シートフィルム(熱現像記録材料)
86 遮光袋
100 画像形成装置
CS クリーニングシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートフィルムを遮光袋内に積層して収納したフィルム包装体が装填される画像形成装置のフィルム装填マガジンであって、
前記フィルム包装体を前記画像形成装置に装着した後、前記遮光袋をマガジン外部に引き出す場合に、この遮光袋を扱き出すための少なくとも上下一対の扱きローラを備えたことを特徴とする画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項2】
開口を有し前記シートフィルムを内部に載置するマガジン本体と、
該マガジン本体の該開口を開閉自在に覆う蓋部材とを備え、
前記上下一対の扱きローラが、前記マガジン本体側に配置された扱きローラ及び前記蓋部材側に配置した扱きローラを有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項3】
前記蓋部材が、前記マガジン本体にヒンジ接続されていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項4】
前記扱きローラ対の各扱きローラが、前記蓋部材の閉蓋状態で該蓋部材の開閉方向に対して互いにずれた位置に配置されており、
前記扱きローラ対のいずれか一方の扱きローラを前記マガジン本体に対して相対移動自在に支持し、前記蓋部材の開閉方向に対して略重なる位置に移動させるローラ移動手段を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項5】
前記ローラ移動手段が、前記扱きローラを回転自在に軸支する支持部材と、該支持部材を前記遮光袋の引き出し方向とは逆方向に付勢する弾性付勢手段とを有することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項6】
前記画像形成装置との間で情報交換が可能な情報記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項7】
前記フィルム装填マガジンの最上部にクリーニングシートを少なくとも1枚載置可能とするクリーニングシート収容部を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のフィルム装填マガジン。
【請求項8】
前記クリーニングシートは、シート表面又はシート素材自体に吸湿性を有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。
【請求項9】
前記クリーニングシートは、少なくとも150℃までの耐熱性を有することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置のフィルム装填マガジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−106661(P2006−106661A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−40757(P2005−40757)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】