説明

画像形成装置及びジョブ制御プログラム

【課題】ユーザーの利用態様や使用環境に適した円滑なジョブの実行を図る。
【解決手段】 機能ごとのジョブの同時実行数が上限値に達した場合にジョブの実行制限を行う画像形成装置(MFP)1であって、同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する保証ジョブ数設定手段161と、同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する共用ジョブ数設定手段と162と、を備える構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョブの円滑な実行を可能とする画像形成装置及びジョブ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンター等の画像形成装置においては、スキャンした原稿の画像データや受信した印刷データ等のジョブを一旦メモリにスプールしつつ所定のタイミングで出力を行うことで、出力処理の効率化や円滑化を図っている。
このため、多くのジョブを同時に処理しようとした場合、メモリ容量を超過して遅延や中断が生ずることがあるため、ジョブの同時実行数の上限値(制限数)を予め定め、この上限値に達した場合にはジョブの実行を制限するようにしている。
この他、特許文献1には、優先度にもとづいてジョブの同時実行可能数を制御するジョブスプール制御の技術が開示されている。
このジョブスプール制御によれば、ジョブの緊急度や実行者に応じ、あるいは、CPUの稼働率に応じてジョブの同時実行数の上限値を動的に変動することができるため、緊急時の印刷処理にも対応でき、かつ、効率のよい印刷処理を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−164481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のジョブスプール制御は、ジョブ単位で優先度を設定し、ジョブ同士で優先順位を判断するなど、煩瑣な処理を伴う。
また、優先度が最も高いジョブの当該優先度に応じて同時実行可能数を増やしてジョブの実行可能性を高めるようにしているが、必ずしもジョブの実行を保証するものではない。
さらに、ジョブ種別を問わず、ジョブ全体として制御を行うようにしている。
このため、ジョブの同時実行数の上限値が機能ごとに定義づけられたMFP等においては、仕様がユーザー環境にマッチしていないケースに柔軟に対応することはできなかった。
例えば、コピーの使用頻度が高いユーザーのMFPに対しコピーに関する前記上限値を増やすことや、FAXを全く使わないユーザーのMFPに対しFAXに関する前記上限値を減らすことはできず、ユーザーの利用態様や使用環境に応じた適切なジョブの実行管理がなされていなかった。
【0005】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、機能ごとに同時に実行することができる保証ジョブ数を設定するとともに、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定し、さらに、任意の機能に関する保証ジョブ数や共用ジョブ数を変更できるようにすることでユーザーの利用態様や使用環境に適した円滑なジョブの実行を可能とする画像形成装置及びジョブ制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、機能ごとのジョブの同時実行数が上限値に達した場合にジョブの実行制限を行うジョブ制御手段と、同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する保証ジョブ数設定手段と、同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する共用ジョブ数設定手段と、を備えた構成としてある。
【0007】
また、本発明のジョブ制御プログラムは、画像形成装置のコンピュータを、機能ごとのジョブの同時実行数が上限値に達した場合にジョブの実行制限を行うジョブ制御手段、同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する保証ジョブ数設定手段、及び、同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する共用ジョブ数設定手段、として機能するようにしてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の画像形成装置及びジョブ制御プログラムによれば、ユーザーの利用態様や使用環境に適した円滑なジョブの実行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】操作表示部を示す図である。
【図3】「機能別ジョブ管理数設定」画面の遷移を示す図である。
【図4】ジョブ制御部における制御動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像形成装置)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置(MFP1)の構成を示すブロック図である。
MFP1は、図1に示すように、主制御部としてのCPU(Central Processing Unit)90を備えるほか、ROM(Read Only Memory)91およびRAM(Random Access Memory)92を備える。
ROM91には、CPU90に、ジョブを実行させるためのジョブ制御プログラムが格納されている。また、ROM91には、CPU90に、コピー、プリンター、ファックス(FAX)、PC送信といった各機能のジョブ処理を実行させるためのプログラムが格納され、このプログラムを読み込ませることによって各々の機能を実施することができる。
RAM92は、CPU90がこれらのプログラムを実行する際にデータを一時的にスプールする作業領域(ワークエリア)として用いられるメモリである。
【0011】
MFP1は、図1に示すように、原稿読取部10、通信インターフェース11、操作表示部12、ジョブ入力部13、画像処理部14、出力部15、ジョブ制御部16及びFAXボードインタフェース17を備える。
【0012】
原稿読取部10は、いわゆるスキャナーであり、操作表示部12によるコピー操作等に応じ、原稿トレイ(不図示)にセットされた原稿を読み取って画像データを取得する。原稿読取部10は、取得した画像データを画像処理部14に出力する。
通信インターフェース11は、電話回線やLAN等が接続され、パーソナルコンピュータやFAX装置(不図示)などの外部装置との間で印刷データやFAXデータの送受信を行う。
【0013】
操作表示部12は、MFP1本体(不図示)の上部外周に配置され、MFP1の利用者による各種入力操作や、利用者に対して各種画面の表示を行う。
操作表示部12は、例えば、図2に示すように、利用者から操作指示を受け付ける操作部121と、利用者への情報を表示する表示部122とから構成される。
操作部121は、画像出力に関する各種設定や、画像処理スタートの入力操作を行うことができるようになっており、コピー,スキャナー,プリント,FAX等のジョブの実行を選択する機能選択キーK1、印刷枚数や印刷部数等の数字の入力に使用されるテンキーK2、設定終了後、ジョブの実行を開始させるスタートキーK3、操作部121を介して行った直前の各種設定をキャンセルするクリアキーK4、開始されたジョブを途中で中止させるストップキーK5、各種設定を全てキャンセルし、初期の設定に戻すリセットキーK6等のキーを備える。
【0014】
表示部122は、周知の液晶表示パネルから構成され、MFP1の動作状況、実行結果、あるいは操作部121を介して入力された各種設定値,利用者へのメッセージ等を表示する。
また、表示部122は、選択操作を受け付けるタッチパネル機能を備えており、種々の操作画面に応じて各種設定値の入力を受け付けることもできる。
例えば、表示部122には、「機能別ジョブ管理数設定」画面(図3参照)を表示することができ、この画面に表示される各種キーをタッチすることによって、ジョブの同時実行数の機能ごとの保証値(保証ジョブ数)や共用値(共用ジョブ数)を変更することができる。
なお、「機能別ジョブ管理数設定」画面を介した保証ジョブ数や共用ジョブ数の変更については、後記「保証ジョブ数及び共用ジョブ数を変更する方法」のところで詳細に説明する。
【0015】
ジョブ入力部13は、原稿読取部10によって読み取った画像データや、通信インターフェース11を介して受信した印刷データ、FAXデータなどのジョブデータを入力して画像処理部14に出力する。
画像処理部14は、ジョブ入力部13から入力したジョブデータを解釈して必要な画像処理を行う。例えば、印刷対象ジョブに対しては、色変換処理、濃度補正処理、網点処理等を行う。
画像処理部14は、画像処理が施されたジョブを出力部15に出力する。
出力部15は、上記ジョブ処理を介して得た画像やデータを出力する。
例えば、スキャナーで読み取ったコピー原稿、受信した印刷データの画像やFAX画像を印刷するための印刷エンジンが相当する。
【0016】
ここで、ジョブ制御部16は、ジョブの同時実行数にもとづく種々の制御を行う。
例えば、ジョブ制御部16は、ジョブの同時実行数が予め定めた上限値(制限数)に達したことを検知した場合には、新たなジョブの受け付けを拒否し、その旨を、表示部122を介して通知する処理を基本的な制御動作として行う(ジョブ制御手段)。メモリのオーバーワークを防ぐものである。
【0017】
また、ジョブ制御部16は、上述した基本制御の他、ジョブの同時実行数に関し、機能ごとのジョブ保証数や各機能に共通のジョブ共用数を設定し、又は、これらを増減する制御を行う。
このため、ジョブ制御部16は、保証ジョブ数設定手段161、共用ジョブ数設定手段162、及び、保証ジョブ数変更手段163からなる機能ブロックを構成する。
【0018】
保証ジョブ数設定手段161は、同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する。
保証ジョブ数として設定された数は、その機能で使用できるメモリ等の資源をシステム内で保証されることを意味する。つまり、他の機能によって使用されることはなく、必ず実行できることを保証するジョブの同時実行数を示す。
本実施形態のMFP1においては、コピー、PC送信、プリント、FAX送信、FAX受信のそれぞれについて保証ジョブ数を設定することができる。
ただし、保証ジョブ数は、機能ごとの合計値が一定の許容値以下になるよう制限される。ジョブをスプールするメモリ等の資源には限りがあるからである。
例えば、許容値が470ジョブの場合において、各々の保証ジョブ数を、コピー:10ジョブ、PC送信:10ジョブ、プリント:50ジョブ、FAX送信:200ジョブ、FAX受信:100ジョブとすると、その合計値は370ジョブとなるため設定は可能である。
なお、保証ジョブ数の設定は、予め製造時に設定しておくことができ、また、通信インターフェース11又は操作表示部12を介して、ユーザーが設定することもできる。
【0019】
共用ジョブ数設定手段162は、同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する。
具体的には、一定の許容値から保証ジョブ数の合計値を減じた値が共用ジョブ数として設定される。
前述の例の場合、許容値が470ジョブで、保証ジョブ数の合計値が370ジョブであるため、余った100ジョブ(=470−370)が共用ジョブ数として設定される。
つまり、メモリ等の資源を最大限に用いた場合に実行することができるトータルのジョブ同時実行可能数から各機能で割り当ててある保証ジョブ数を差し引いた値が「共用ジョブ数」となる。
【0020】
保証ジョブ数変更手段163は、入力操作に応じ、任意の機能に関する保証ジョブ数を、共用ジョブ数の範囲内で増加させ、又は、元の保証ジョブ数の範囲内で減少させる。
ここで、共用ジョブ数設定手段162は、この保証ジョブ数変更手段163の実行によって、任意の機能に関する保証ジョブ数が増加した場合は、共用ジョブ数からその増加された数を減算し、任意の機能に関する保証ジョブ数が減少した場合は、共用ジョブ数にその減少された数を加算する。
メモリ等の資源を、機能ごとの専用資源として確保しつつ、共用資源として確保できるようにすることによって、資源の有効活用を図るものである。
【0021】
(保証ジョブ数及び共用ジョブ数を変更する方法)
ここで、保証ジョブ数を変更する手順及び共用ジョブ数を変更する方法について図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、「機能別ジョブ管理数設定」画面、すなわち、保証ジョブ数や共用ジョブ数を変更する際に表示する設定画面の遷移を示した図である。
図3(a)は、起動時等、当初の「機能別ジョブ管理数設定」画面を示す。
図3(a)に示すように、「機能別ジョブ管理数設定」画面上には、操作キーとして、コピーキーf1、PC送信キーf2、プリントキーf3、FAX送信キーf4、FAX受信キーf5、共用キーf6、プラス(+)キーf7、マイナス(−)キーf8、確定キーf9が表示される。
また、同画面上には、機能別の保証ジョブ数の設定値を表示するためのボックスP1〜P5と、共用ジョブ数の設定値を表示するためのボックスP6が表示される。
なお、図3(a)に示すように、保証ジョブ数の初期値として、コピー:10ジョブ、PC送信:10ジョブ、プリント:50ジョブ、FAX送信:200ジョブ、FAX受信:100ジョブがそれぞれ設定され、共用ジョブ数の初期値として100ジョブが設定されているものとする。
【0022】
ここで、例えば、図3(b)に示すように、FAX送信キーf4を選択した後(i)、マイナスキーf8を押し続けて、FAX送信に関する保証ジョブ数を200→100に変更すると(ii)、FAX送信の保証ジョブ数が−100されるため、その減少分の100が共用ジョブ数に加算されて200となる(iii)。
次いで、図3(c)に示すように、プリントキーf3を選択した後(iv)、プラスキーf7を押し続けて、プリントに関する保証ジョブ数を50→250に変更すると(v)、共用ジョブ数が−200され、プリントに関する保証ジョブ数が250となる(vi)。
そして、確定キーf9を選択することによって、保証ジョブ数及び共用ジョブ数は変更後の値に確定され更新される(vii)。
このように、ユーザーの操作によって、任意の機能に関する保証ジョブ数を増減することができ、また、この増減を介して共用ジョブ数を増減することができる。
【0023】
つぎに、ジョブ制御部における制御動作について説明する。
図4は、ジョブ制御部における制御動作を示したフローチャートである。
図4に示すように、ジョブ制御部16は、受付けたジョブの種別を確認し(ステップ1)、その種別の実行中(未実行含む)のジョブ数を確認したうえで(ステップ2)、実行中のジョブ数をその種別のジョブの制限数と比較する(ステップ3)。
【0024】
ところで、対象のジョブの「制限数(上限値)」は、そのジョブ種別の機能に関する保証ジョブ数と共用ジョブ数にもとづき定まる。
例えば、FAX送信に関する保証ジョブ数が100ジョブに設定され、共用ジョブ数が200ジョブに設定されている場合、FAX送信ジョブに関する制限数は、最大300ジョブ(=100+200)となる。すなわち、他の実行中のジョブの同時実行数が保証ジョブ数以下である場合には共用ジョブ数は使用されないため、この場合、共用ジョブ数と保証ジョブ数との合計値が制限数(最大値)となる。
ただし、他の実行中のジョブの同時実行数がその保証ジョブ数を超過している場合には、その超過分は共用ジョブ数から割り当てることになる。このため、この超過分をαジョブとした場合の制限数は、(300−α)ジョブとなる。
【0025】
そして、実行中のジョブ数が、制限数以下であった場合には、受付けたジョブを実行する(ステップ4)。
他方、実行中のジョブ数が、制限値を超過した場合には、ジョブの受付を拒否する(ステップ5)。なお、この場合、ジョブ制御部16は、ジョブの受付が失敗した旨を操作表示部12に伝え、表示部122がその旨を示すエラー表示を行う。
【0026】
このように、本実施形態に係る画像形成装置(MFP1)によれば、機能ごとの保証ジョブ数を設定することによって、各機能におけるジョブをその設定値の範囲内で確実に実行することができる。
また、保証ジョブ数との関連にもとづいて、共用ジョブ数を相補的に定めることによって、保証ジョブ数を最小値、保証ジョブ数と共用ジョブ数との加算値を最大値とする一定の範囲からなるジョブ同時実行数の上限値(制限数)を得ることができる。
さらに、保証ジョブ数を機能ごとに変更し、その変更によって上限値を変動するようにしている。
このため、ユーザーの利用態様や使用環境に柔軟に対応することができ、ジョブを円滑に実行することができる。
【0027】
(他の実施形態)
ところで、画像形成装置においては、FAXボードに代表されるように、オプション機器を装着しないと特定の機能が実行できない仕様の製品がある。例えば、図1に示すように、FAXボード17aをFAXボードインタフェース17に装着しなければ、FAX送信及びFAX受信を行うことができないMFPがある。
ここで、FAXボード17aが非装着の場合を考えてみると、この場合FAX送信やFAX受信を行うことはないため、FAX送受信のためにシステムの資源(メモリ)を確保することは無駄であり不要である。このため、不要となった資源は、共用ジョブ数や他の機能の保証ジョブ数に加算することが資源の有効活用上、望ましい。
【0028】
そこで、本実施形態においては、ジョブ制御部16が、このようなオプション機器の非装着を検知した場合には、そのオプション機器の装着によって提供される特定の機能について本来設定されるべき保証ジョブ数、あるいは、直前に設定されていた保証ジョブ数を、共用ジョブ数に加算するようにする。
または、ジョブ制御部16が、オプション機器の非装着を検知した場合には、そのオプション機器の装着によって提供される特定の機能について本来設定されるべき保証ジョブ数や直前に設定されていた保証ジョブ数を、他の機能の保証ジョブ数に分配するようにする。なお、分配の方法としては、各機能に均等に分配しても良く、機能ごとに設定された比率にもとづいて分配するなど、任意の方法を用いることができる。
このようにすると、限られた資源をより有効に活用しつつ、稼働中の機能に係るジョブをより一層円滑に実行させることができる。
【0029】
(ジョブ制御プログラム)
次に、ジョブ制御プログラムについて説明する。
上記実施形態におけるコンピュータ(画像形成装置)のジョブ制御機能、保証ジョブ数設定機能、共用ジョブ数設定機能、保証ジョブ数変更機能は、記憶手段(例えば、ROMやハードディスクなど)に記憶されたジョブ制御プログラムにより実現される。
ジョブ制御プログラムは、コンピュータの制御手段(CPUなど)に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、前述したジョブ同時実行数の上限値の変更等のジョブ制御を行う。
これによって、上記各機能は、ソフトウェアであるジョブ制御プログラムとハードウェア資源であるコンピュータ(画像形成装置)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0030】
なお、ジョブ制御機能、保証ジョブ数設定機能、共用ジョブ数設定機能及び保証ジョブ数変更機能を実現するためのジョブ制御プログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えば、外部記憶装置及び可搬記録媒体に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM(Compact disc−Read Only Memory)等の記録媒体を内蔵し、画像形成装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、例えば、フレキシブルディスク、メモリカード、光磁気ディスク等をいう。
【0031】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM等にロードされて、CPUにより実行される。この実行により、上述した実施形態の各機能が実現される。
さらに、コンピュータでジョブ制御プログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有されたこれらのプログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされたプログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態の画像形成装置における各機能を実現する。
【0032】
以上のように、本実施形態の画像形成装置(MFP1)及びジョブ制御プログラムによれば、ジョブの同時実行数の上限値を任意にかつ範囲をもった動的な値として自在にカスタマイズすることができるため、ユーザーの利用態様や使用環境に適した円滑なジョブの実行を行うことができる。
【0033】
以上、本発明の画像形成装置及びジョブ制御プログラムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態においては、MFPを例に挙げて説明したが、複数の機能を有し、メモリなどの資源を共有するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置も本発明の画像形成装置として適用することができる。これにより、本発明を広範な技術分野に適用することができる。
また、上述の実施形態では、保証ジョブ数変更手段163が、保証ジョブ数を変更する処理を介して、共用ジョブ数が変更される態様について説明したが、共用ジョブ数を直接変更することもできる。
この場合、共用ジョブ数の変更によって生じた差分は、任意の機能に関する保証ジョブ数として割り当ててもよく、また、二以上の機能に関する保証ジョブ数として分配してもよい。
このため、ユーザーによる操作性を向上させ、利便性をさらに高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、MFPなどの画像形成装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 画像形成装置
12 操作表示部
16 ジョブ制御部
161 保証ジョブ数設定手段
162 共用ジョブ数設定手段
163 保証ジョブ数変更手段
17 FAXボードインタフェース
17a FAXボード
90 CPU
91 ROM
92 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能ごとのジョブの同時実行数が上限値に達した場合にジョブの実行制限を行うジョブ制御手段と、
同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する保証ジョブ数設定手段と、
同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する共用ジョブ数設定手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保証ジョブ数設定手段は、
前記機能ごとの保証ジョブ数の合計値が一定の許容値以下になるように前記保証ジョブ数を設定し、
前記共用ジョブ数設定手段は、
前記許容値から前記合計値を減じた値を、前記共用ジョブ数として設定する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
入力操作に応じ、任意の機能に関する前記保証ジョブ数を、前記共用ジョブ数の範囲内で増加させ、又は、前記保証ジョブ数の範囲内で減少させる保証ジョブ数変更手段を備え、
前記共用ジョブ数設定手段は、
前記保証ジョブ数が増加された場合は、前記共用ジョブ数から前記増加された数を減算し、前記保証ジョブ数が減少された場合は、前記共用ジョブ数に前記減少された数を加算する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記機能のうち特定の機能を実施するために不可欠な機器を着脱可能に備え、
前記共用ジョブ数設定手段は、
前記機器の非装着を検知した場合に、前記特定の機能に関する前記保証ジョブ数を、前記共用ジョブ数に加算する請求項1〜3のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記機能のうち特定の機能を実施するために不可欠な機器を着脱可能に備え、
前記保証ジョブ数変更手段は、
前記機器の非装着を検知した場合に、前記特定の機能に関する前記保証ジョブ数を、前記特定の機能を除く他の各機能に関する前記保証ジョブ数に分配する請求項1〜3のいずれか一項記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置のコンピュータを、
機能ごとのジョブの同時実行数が上限値に達した場合にジョブの実行制限を行うジョブ制御手段、
同時に実行することができるジョブ数として、機能ごとに保証される保証ジョブ数を設定する保証ジョブ数設定手段、及び
同時に実行することができるジョブ数として、各機能に共通に割り当てることが可能な共用ジョブ数を設定する共用ジョブ数設定手段、として機能させることを特徴とするジョブ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−66123(P2013−66123A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204747(P2011−204747)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】