説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】電力消費を抑えつつ利用者が複数の機能を続けて実行する際の利便性を向上させた画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】利用者から何れかの機能の実行の指示が受け付けられた場合、当該機能で用いる機器が動作状態となるように制御し、当該利用者により続けて異なる機能の実行が指示されると予測される場合、当該利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前に当該次の機能で用いる機器が動作状態となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、稼働時、動作モードにおける必要最小限の機能に対して電力を供給することで、電力消費を抑える技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の機能を備え、該機能の組み合わせにより画像処理を行う画像処理装置であって、画像処理の実行履歴に基づき、機能ごとの実行頻度を算出し、算出される実行頻度に基づき、省電力モード時に給電する機能を選択することで、使用状況に応じて柔軟かつ簡易に電力使用状況を最適化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359703号公報
【特許文献2】特開2009−225139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電力消費を抑えつつ利用者が複数の機能を続けて実行する際の利便性を向上させた画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明である画像形成装置は、各々の処理を組み合わせることにより複数の機能を実現し、記録媒体に画像を形成する処理を少なくとも含む各々予め定められた処理を行う複数の処理手段と、前記複数の処理手段の各々の状態を処理の実行が可能な動作状態又は電力消費を抑えた節電状態に切り替える切替手段と、利用者から前記複数の機能の何れかの実行の指示を受け付ける受付手段と、前記受付手段により利用者から何れかの機能の実行の指示が受け付けられた場合、当該機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御し、当該利用者により続けて異なる機能の実行が指示されると予測される場合、前記受付手段で当該利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前に当該次の機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御する制御手段と、を備えている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、利用者毎に、実行した機能の履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段が、前記履歴情報において、前記受付手段で機能の実行の指示した利用者が当該機能に続けて異なる機能の実行していた場合、続けて異なる機能の実行が指示されると予測する。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、利用者毎に、予め定められた異なる2以上の機能を続けて実行することが予定される実施予定期間を示す実施予定期間情報を取得する取得手段をさらに備え、前記制御手段が、前記受付手段で利用者から機能の実行が指示されたタイミングが当該利用者の前記実施予定期間情報により示される実施予定期間内であり、かつ実行が指示された機能が前記2以上の機能の最初の機能である場合、続けて異なる機能の実行が指示されると予測する。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3記載の発明において、利用者毎の各種の予定の実施予定期間を記憶した外部サーバと通信を行う通信手段をさらに備え、前記取得手段が、前記通信手段を介して前記外部サーバから特定の予定の実施予定期間を示す実施予定期間情報を取得する。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4記載の発明において、前記制御手段が、前記受付手段により受付けた機能の実行の完了時に次の機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御するものである。
【0011】
請求項6の発明のプログラムは、コンピュータを、前記請求項1から請求項5の何れか1項記載の制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項6の発明によれば、複数の機能を続けて実行する際に、利用者から次の機能の実行の指示を受け付けてから次の機能を動作状態に復帰させる場合と比較して、電力消費を抑えつつ利用者が複数の機能を続けて実行する際の利便性を向上させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、利用者が実行した機能の履歴に関わらず特定の機能を次の機能として動作状態に復帰させる場合と比較して、利用者が過去に実行した機能を次の機能として復帰させることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、利用者の予定に関わらず次の機能を動作状態に復帰させる場合と比較して、利用者が異なる複数の機能を続けて実行する予定に合わせて次の機能を動作状態に復帰させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、特定の予定の実施予定期間を個別に入力させる場合と比較して、利用者が特定の予定の実施予定期間を入力させる手間を省くことができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、受付けた機能と次の機能を同時に動作状態に復帰させる場合と比較して、電力消費を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る操作パネルの一例を示す平面図である。
【図3】実施の形態に係る識別情報入力画面の一例を示す図である。
【図4】実施の形態に係る処理選択画面の一例を示す図である。
【図5】実施の形態に係る履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図6】第1の実施の形態に係る復帰制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】続けて異なる機能の実行が予測される場合の消費電力の変化を示すグラフである。
【図8】続けて異なる機能の実行が予測されない場合の消費電力の変化を示すグラフである
【図9】実施の形態に係る連続実施機能情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る復帰制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】他の形態に係る履歴情報のデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明をスキャン機能、コピー機能、印刷(プリント)機能、ファクシミリ(FAX)機能を備えた画像形成装置に適用した場合について説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1には、第1の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成を示すブロック図が示されている。
【0020】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、商用電源(例えば、AC100V)に接続され、オン又はオフに切り替えられることにより当該商用電源から供給される電力を通電状態又は非通電状態に切り替える電源スイッチ12と、電源スイッチ12に接続され、当該電源スイッチ12を介して商用電源から供給される電力を第1電圧レベル(例えば、5V)の直流電力に変換する第1低圧電源装置14と、電源スイッチ12に接続され、当該電源スイッチ12を介して商用電源から供給される電力を第2電圧レベル(例えば、24V)の直流電力に変換する第2低圧電源装置16とを備えている。
【0021】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、各々の処理を組み合わせることによりコピー機能、印刷機能、ファクシミリ機能を実現するための処理手段として、各種の操作ボタン40(図2参照)やタッチパネル42が設けられた操作パネル17と、装置全体の動作を制御するコントローラ18と、自動原稿送り装置を有し、自動原稿送り装置にセットされた記録用紙又は予め定めた読込位置に置かれた記録用紙から画像を読み込み、当該画像を示す画像データを取得するスキャナ20と、画像データに基づいて電子写真方式にて感光体ドラムに潜像を形成し、形成された当該潜像にトナーを付着させて現像したトナー像を記録用紙に転写する画像形成エンジン22と、一般通信回線に接続され、一般通信回線を介して他のFAX端末装置とFAX通信を行うFAX通信部26を備えている。
【0022】
コントローラ18は、第1低圧電源装置14に接続され、当該第1低圧電源装置14から電力が供給されている。操作パネル17、スキャナ20、画像形成エンジン22及びFAX通信部26は、第2低圧電源装置16に接続され、当該第2低圧電源装置16から電力が供給されている。また図示されてないがFAX通信部26の回線検知する部分等で、第1低圧電源装置14に部分的に接続されているエリアもある。
【0023】
コントローラ18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)30や、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM32、各種データを一時的に記憶するRAM34、各種データを記憶して保持するHDD(ハード・ディスク・ドライブ)36、ネットワークNETに接続され、ネットワークNETを介して外部サーバ80などの外部機器との間でプリントを行う印刷データを含む通信データの送受信を行うネットワークI/F(インタフェース)部38を備えている。
【0024】
また、画像形成エンジン22は、加熱・加圧することにより記録用紙に転写されたトナー像を当該記録用紙に定着させる定着器24を備えている。
【0025】
操作パネル17、コントローラ18、スキャナ20、画像形成エンジン22及びFAX通信部26は、バスBUSを介して相互に接続されている。従って、コントローラ18は、スキャナ20の作動の制御、画像形成エンジン22の作動の制御、FAX通信部26を介した他のFAX端末装置とのFAX通信の制御を各々行える。また、コントローラ18は、操作パネル17に設けられた操作ボタン40及びタッチパネル42(図2参照。)に対するユーザの操作状態を把握できる。また、コントローラ18は、操作パネル17に設けられたタッチパネル42へのメッセージの表示を制御を行える。
【0026】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、第2低圧電源装置16と、スキャナ20、画像形成エンジン22、FAX通信部26とを接続する各電力配線にスイッチ90A〜90Dを設けている。コントローラ18は、スイッチ90A〜90Dに接続され、スイッチ90A〜90Dのオン・オフを制御しており、使用しない機器への電力の供給の停止を行える。
【0027】
図2には、本実施の形態に係る操作パネル17の一例が示されている。
【0028】
操作パネル17には、テンキー40A、スタートボタン40B、クリアボタン40C、節電ボタン40D等の各種の操作ボタン40と、タッチ操作が行えるタッチパネル42とが設けられている。
【0029】
この節電ボタン40Dは、コントローラ18に直接接続されており、節電時に利用者によって節電ボタン40Dが操作されると、コントローラ18によって検知される。
【0030】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成が行われない状態で予め定められた待機期間を経過すると、動作状態が節電状態へ移行する。この節電状態では、電力消費を抑えて省エネルギー化を実現するため、第2低圧電源装置16やスイッチ90A〜90Dをオフして使用しない機器への電力の供給の停止しており、タッチパネル42の表示及び点灯を停止したり、画像形成エンジン22の定着器24への通電をされる電力を停止している。
【0031】
画像形成装置10は、節電状態で操作パネル17の節電ボタン40Dが押下されると、第2低圧電源装置16やスイッチ90Dをオンして操作パネル17への電力の供給を再開させ、操作パネル17により利用者から何れかの機能の実行の指示が受け付けられた場合、当該機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御している。
【0032】
また、本実施の形態に係る画像形成装置10は、装置の使用が許可された利用者の識別情報が利用者情報としてHDD36に予め記憶されている。
【0033】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
【0034】
上述したように本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像形成が行われない状態で予め定められた待機期間を経過すると、動作状態が節電状態へ移行する。
【0035】
利用者は、節電状態の装置を使用する場合、操作パネル17の節電ボタン40Dを押下する。
【0036】
操作パネル17の節電ボタン40Dが押下されると、第2低圧電源装置16とスイッチ90Dをオンして操作パネル17への電力の供給を再開させ、タッチパネル42にユーザの認証を行うための識別情報入力画面50を表示させる。
【0037】
図3には、識別情報入力画面50の一例が示されている。
【0038】
識別情報入力画面50には、識別情報を入力するための入力領域52と認証開始を指示するOKボタン54が設けられている。
【0039】
利用者は、識別情報入力画面50が表示されると、入力領域52に識別情報の入力し、OKボタン54を指定する。
【0040】
画像形成装置10は、OKボタン54の指定が行われると、入力領域52に入力された識別情報がHDD36に記憶された利用者情報の何れか識別情報と合致するか否かによりユーザの認証を行い、認証が得られた場合、タッチパネル42に、図4に示すようにコピー、スキャン、FAXを選択を受け付ける選択画面60を表示する。この選択画面60には、コピー、スキャン、FAXの各機能にそれぞれに対応して機能選択ボタン62が設けられている。
【0041】
画像形成装置10は、タッチパネル42により利用者から何れかの機能が選択された場合、当該機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。例えば、スキャンが指定された場合、コントローラ18は、スイッチ90Cをオンさせてスキャナ20への電力の供給を再開させる。
【0042】
ところで、このように選択された機能で用いる機器のみが動作状態となるように制御した場合、電力消費を抑えられるものの、利用者が複数の機能を続けて実行する際に利用者により次の機能の実行が指示されてから当該次の機能で用いる機器が動作状態となるように制御した場合、次の機能の実行が可能となるまで待ち時間が発生する。
【0043】
特に、画像形成エンジン22は、定着器24で加熱・加圧することにより記録用紙に転写されたトナー像を定着させるため、定着を行う際に特定の温度範囲である必要があるが、節電状態が長期間になると、定着器24の温度が低下する。このため、定着器24の温度が低下した場合、定着器24の温度が特定の温度範囲に上昇するまで画像を形成できず、定着器24のウォームアップの待ち時間が長くなる。
【0044】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、利用者により続けて異なる機能の実行が指示されるかを予測し、続けて異なる機能の実行が予測される場合、タッチパネル42で利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前に当該次の機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0045】
この予測を行うため、本実施の形態に係る画像形成装置10は、利用者毎に、実行した機能の履歴を示す履歴情報をHDD36に記憶する。
【0046】
図5には、履歴情報のデータ構造の一例が示されている。
【0047】
履歴情報には、利用者の識別情報、実行した機能、機能の実行期間が記憶されている。
【0048】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、タッチパネル42で利用者から機能の実行の指示を受けた場合、HDD36に記憶された履歴情報において、操作パネル17に対して機能の実行を指示した利用者が当該機能に続けて異なる機能を実行していた場合、当該異なる機能の実行が続けて指示されると予測し、当該異なる機能の実行で用いる機器を動作状態に復帰させる復帰制御処理を行う。
【0049】
図6には、タッチパネル42で利用者から機能の実行の指示を受けた際にコントローラ18のCPU30により実行される復帰制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはROM32に予め記憶されている。
【0050】
ステップS10では、現在選択された機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0051】
この際、操作パネル17には、選択された機能に応じた操作画面がタッチパネル42に表示される。利用者は、タッチパネル42や操作ボタン40を操作して操作画面で機能に応じた条件の設定を行いスタートボタン40Bにより処理開始を指示する。
【0052】
画像形成装置10は、ステップS10の制御により、現在実行が指示された機能で用いる機器が動作状態に復帰すると、操作パネル17に設定された条件に従い実行が指示された機能の処理を開始する。
【0053】
ステップS12では、ユーザの認証の際に入力された利用者の識別情報に基づき、HDD36に記憶された履歴情報から当該利用者が実行した機能の履歴を読み出す。
【0054】
次のステップS14では、上記ステップS12で読み出した機能の履歴において、タッチパネル42で利用者から現在実行が指示された機能に続けて異なる機能を実行した履歴があるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS16へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。なお、本実施の形態では、上記ステップS12で読み出した機能の履歴において、現在実行が指示された機能の終了から予め定めた待ち時間(例えば、1分)以内に異なる機能を開始している履歴が存在する場合、続けて異なる機能を実行したと見なす。
【0055】
ステップS16では、上記ステップS12で読み出した機能の履歴において、現在実行が指示された機能に続けて異なる機能が実行された実行時期が予め定められた許容経過期間(例えば、2週間)以内であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS18へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0056】
ステップS18では、許容経過期間以内に現在実行が指示された機能に続けて実行された機能を次に実行が予測される機能として、次に実行が予測される機能で用いる機器のうち、電力の供給が停止されているものがあるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS20へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。なお、次に実行が予測される機能が複数ある場合は、次に実行が予測される各機能で用いる機器のうち、電力の供給が停止されているものがあるか否かを判定するものとするが、次に実行が予測される機能のうち、最も直前に実行された機能で用いる機器に電力の供給が停止されているものがあるか否かを判定するようにしてもよい。
【0057】
ステップS20では、現在実行が指示された機能が終了する終了予定時刻を求める。本実施の形態では、各機能を実行した際の処理時間をHDD36に記憶させておき、過去に同様の機能を実行した際の平均処理時間を求めて、現在実行が指示された機能の処理開始から平均処理時間を経過した時刻を終了予定時刻とする。なお、各機能の処理時間を実際の処理対象とする記録用紙の枚数から予測してもよい。例えば、現在実行が指示された機能がスキャンである場合、自動原稿送り装置にセットされた記録用紙の厚さを検出するセンサを設け、記録用紙の厚さから読み込む記録用紙の枚数を概算する。そして、概算した読み込む記録用紙の枚数に一枚当たりの平均読取り時間を乗算することにより処理時間を予測し、現在実行が指示された機能の処理開始から処理時間を経過した時刻を終了予定時刻としてもよい。また、例えば、現在実行が指示された機能がFAX送信である場合、一枚当たりの平均読取り時間と一枚当たりの平均FAX送信時間とを加算した加算時間に、読み込む記録用紙を乗算することにより処理時間を予測し、現在実行が指示された機能の処理開始から処理時間を経過した時刻を終了予定時刻としてもよい。
【0058】
次のステップS22では、次に実行が予測される機能で用いる機器に通電を開始した際の動作状態に復帰するまでの復帰時間を求める。この復帰時間は、機器毎に予め定めた時間としてHDD36に記憶しておき、HDD36から読み出すことにより求めてもよい。また、各機器の状態を検出して、復帰時間を求めてもよい。例えば、画像形成エンジン22の定着器24の温度を検出し、検出した温度から特定の温度範囲に上昇するまで時間を予測してもよい。また定着器24のオフしていた時間から温度低下を予測して、特定の温度範囲に上昇するまで時間を予測してもよい。
【0059】
次のステップS24では、終了予定時刻から復帰時間だけ前の時刻を復帰開始時刻とする。
【0060】
次のステップS26では、復帰開始時刻となるまで処理待ちを行う。
【0061】
ステップS28では、次に実行が予測される機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御し、処理終了となる。
【0062】
これにより、例えば、図5に示すように、履歴情報が記憶されており、利用者Aが前回スキャンとコピーを続けて実行してから許容経過期間以内にスキャンの実行の指示した場合、画像形成装置10は、図7に示すように、スキャンの実行の指示されたタイミングT1でスイッチ90Cをオンしてスキャンで用いるスキャナ20への通電を開始してスキャンを動作状態に復帰させる。そして、スキャンの実行中に、スイッチ90Aをオンしてコピーで用いる画像形成エンジン22への通電を開始させて画像形成エンジン22のウォームアップを開始させ、スキャンが終了する終了予定時刻T2に画像形成エンジン22を動作状態に復帰させる。
【0063】
これにより、利用者Aは、スキャンに続けてコピーを行う場合、スキャンの終了時にコピーで用いられるスキャナ20と画像形成エンジン22が動作状態となっているため、コピーを速やかに行える。
【0064】
一方、例えば、図5に示すように、履歴情報が記憶されており、利用者Bがスキャンの機能を選択した場合、画像形成装置10は、図8に示すように、スキャンの機能が選択されたタイミングT1でスイッチ90Cをオンしてスキャンで用いるスキャナ20への通電を開始してスキャンを動作状態に復帰させる。しかし、図5に示す履歴情報にスキャンに続けて他の機能を実行した履歴が無いため、画像形成エンジン22への通電が行われず、スキャンの終了後、待機状態となる。
【0065】
これにより、画像形成エンジン22への通電が行われないため、電力消費が抑えられる。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る画像形成装置10の概略構成は上記第1の実施の形態と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0067】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、ネットワークI/F部38を介して外部サーバとの通信が可能とされている。第2の実施の形態に係る外部サーバ80は、スケジュール管理ソフトがインストールされており、利用者毎の各種の予定が登録されている。
【0068】
ところで、利用者は、特定の予定に合わせて2以上の特定の機能を続けて実行する場合がある。例えば、特定の利用者は、会議を行った際に、会議の書類(会議で白板に書いた議事録等)を電子データとして保存するためにスキャンし、その後、書類を配布するためにコピーを続けて行う場合がある。
【0069】
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10は、利用者のスケジュールに基づいて、利用者が続けて異なる機能の実行が指示されるかを予測し、続けて異なる機能の実行が予測される場合、タッチパネル42で利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前に当該次の機能で用いる機器が動作状態となるようにスイッチ90A〜90Dを制御する。
【0070】
この予測を行うため、本実施の形態に係る画像形成装置10は、利用者毎に、異なる2以上の機能を続けて実行する特定の予定を示す特定予定情報、及び機能の実行順を連続実施機能情報としてHDD36に記憶する。連続実施機能情報は、操作パネル17から設定されても良く、また、ネットワークNETを介してパーソナル・コンピュータ(PC)などの外部装置から設定されてもよい。
【0071】
図9には、連続実施機能情報のデータ構造の一例が示されている。
【0072】
連続実施機能情報には、利用者の識別情報、特定予定情報、機能の実行順が記憶されている。機能の実行順に記載された矢印「→」は実行される順番を示している。
【0073】
本実施の形態に係る画像形成装置10は、外部サーバ80に予めアクセスして、利用者毎に登録された予定と当該予定の実施予定期間を取得してスケジュール情報として記憶する。
【0074】
画像形成装置10は、タッチパネル42で利用者から機能の実行の指示を受けた場合、スケジュール情報に、連続実施機能情報に記憶された当該利用者の特定予定情報により示される特定の予定が存在するかを求める。そして、画像形成装置10は、スケジュール情報に特定の予定が存在する場合、利用者から機能の実行が指示されたタイミングが特定の予定の実施予定期間であり、かつ実行が指示された機能が特定の予定で続けて実行される最初の機能である場合、続けて異なる機能の実行が指示されると予測し、当該異なる機能の実行で用いる機器を動作状態に復帰させる復帰制御処理を行う。
【0075】
図10には、本実施の形態に係る復帰制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、第1の実施の形態に係る復帰制御処理(図5)と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
ステップS12Aでは、HDD36に記憶された連続実施機能情報(図9)に、ユーザの認証の際に入力された識別情報の特定予定情報、機能の実行順が記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS13Aへ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0077】
ステップS13Aでは、HDD36に記憶された連続実施機能情報からユーザの認証の際に入力された識別情報の特定予定情報、機能の実行順を読み出す。
【0078】
ステップS14Aでは、HDD36に記憶された利用者のスケジュール情報に、上記ステップS14Aで読み出した特定予定情報により示される特定の予定があるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS15Aへ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0079】
ステップS15Aでは、現在日時が、利用者のスケジュール情報に存在する特定の予定の実施予定期間内であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS16Aへ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0080】
ステップS17Aでは、現在実行が指示された機能が上記ステップS13Aで読み出した特定の予定の機能の実行順で最初に実行される機能であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ18Aへ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0081】
ステップS18Aでは、上記ステップS13Aで読み出した特定の予定の機能の実行順で次に実行される機能を次に実行が予測される機能として、次に実行が予測される機能で用いる機器のうち、電力の供給が停止されているものがあるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS20へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0082】
これにより、例えば、外部サーバに利用者Aの予定として会議が登録され、図9に示すように連続実施機能情報が登録されており、利用者Aが当該会議の実施予定期間内にスキャンの実行を指示した場合、画像形成装置10は、図7に示すように、スキャンの実行の指示されたタイミングT1でスイッチ90Cをオンしてスキャンで用いるスキャナ20への通電を開始してスキャンを動作状態に復帰させる。そして、スキャンの実行中に、スイッチ90Aをオンしてコピーで用いる画像形成エンジン22への通電を開始させて画像形成エンジン22のウォームアップを開始させ、スキャンが終了する終了予定時刻T2に画像形成エンジン22を動作状態に復帰させる。
【0083】
これにより、利用者Aは、会議の実施予定期間内にスキャンに続けてコピーを行う場合、スキャンの終了時にコピーで用いられるスキャナ20と画像形成エンジン22が動作状態となっているため、コピーを速やかに行える。
【0084】
一方、例えば、利用者Aが会議の実施予定期間外にスキャンの実行の指示した場合、画像形成装置10は、図8に示すように、スキャンの実行の指示されたタイミングT1でスイッチ90Cをオンしてスキャンで用いるスキャナ20への通電を開始してスキャンを動作状態に復帰させる。しかし、会議の実施予定期間外であるため、画像形成エンジン22への通電が行われず、スキャンの終了後、待機状態となる。
【0085】
これにより、利用者Aがスキャンに続けてコピーを実行しない期間では画像形成エンジン22への通電が行われないため、電力消費が抑えられる。
【0086】
なお、上記各実施の形態は、組み合わせて実施してもよい。
【0087】
また、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で設計上の変更をされたものにも適用可能であるのは勿論である。
【0088】
また、上記各実施の形態は、利用者から実行が指示された機能の終了予定時刻に次に実行が予測される機能を復帰させるように制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、利用者から実行が指示された機能と共に次に実行が予測される機能を復帰も復帰させるようにしてもよい。また、次に実行が予測される機能の復帰開始時刻を利用者が次の機能の条件の設定を行う時間分遅くしてもよい。復帰開始時刻は、操作パネル17で利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前であれば、利用者が次の機能を続けて使用する際の待ち時間が短縮される。
【0089】
また、上記各実施の形態は、続けて実行される機能の組み合わせは何れでもよいものとしたが、特定の機能の組み合わせでのみ実施するようにしてもよい。
【0090】
また、上記第1の実施の形態では、許容経過期間以内に現在実行が指示された機能に続けて実行された機能を次に実行が予測される機能とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、現在実行が指示された機能に続けて実行された機能が複数ある場合、頻度が高いものを次に実行が予測される機能とするようにしてもよい。
【0091】
また、上記第1の実施の形態は、履歴情報として利用者に、実行した機能、機能の実行期間を記憶する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示すように、連続して実行される機能の組み合わせ毎に、最後に当該組み合わせで実行された実施時期を記憶するものとしてもよい。
【0092】
また、上記第2の実施の形態は、外部サーバ80から利用者毎に登録された予定と当該予定の実施予定期間を取得する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、操作パネル17から入力されることにより利用者毎の予定と当該予定の実施予定期間を取得するものとしてもよい。
【0093】
また、上記第2の実施の形態は、外部サーバ80から予め利用者毎に登録された予定と当該予定の実施予定期間を取得してスケジュール情報として記憶している場合について説明したが、利用者に特定の予定があるか否かの確認や、特定の予定の実施予定期間内であるか否かの確認が必要なタイミングで外部サーバ80へアクセスして問い合わせるようにしてもよい。
【0094】
また、上記各実施の形態では、識別情報が操作パネル17から入力されることにより取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、識別情報が記録されたICカードをカードリーダで読み取ることにより取得してもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 画像形成装置
17 操作パネル(処理手段、受付手段、取得手段)
18 コントローラ
20 スキャナ(処理手段)
22 画像形成エンジン(処理手段)
26 FAX通信部(処理手段)
30 CPU(制御手段)
36 HDD(記憶手段)
38 ネットワークI/F部(通信手段、取得手段)
80 外部サーバ
90A〜90D スイッチ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の処理を組み合わせることにより複数の機能を実現し、記録媒体に画像を形成する処理を少なくとも含む各々予め定められた処理を行う複数の処理手段と、
前記複数の処理手段の各々の状態を処理の実行が可能な動作状態又は電力消費を抑えた節電状態に切り替える切替手段と、
利用者から前記複数の機能の何れかの実行の指示を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により利用者から何れかの機能の実行の指示が受け付けられた場合、当該機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御し、当該利用者により続けて異なる機能の実行が指示されると予測される場合、前記受付手段で当該利用者から次の機能の実行の指示を受け付けるよりも前に当該次の機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御する制御手段と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
利用者毎に、実行した機能の履歴を示す履歴情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記履歴情報において、前記受付手段で機能の実行の指示した利用者が当該機能に続けて異なる機能の実行していた場合、続けて異なる機能の実行が指示されると予測する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
利用者毎に、予め定められた異なる2以上の機能を続けて実行することが予定される実施予定期間を示す実施予定期間情報を取得する取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記受付手段で利用者から機能の実行が指示されたタイミングが当該利用者の前記実施予定期間情報により示される実施予定期間内であり、かつ実行が指示された機能が前記2以上の機能の最初の機能である場合、続けて異なる機能の実行が指示されると予測する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
利用者毎の各種の予定の実施予定期間を記憶した外部サーバと通信を行う通信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記通信手段を介して前記外部サーバから特定の予定の実施予定期間を示す実施予定期間情報を取得する
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記受付手段により受付けた機能の実行の完了時に次の機能で用いる前記処理手段が動作状態となるように前記切替手段を制御する
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
コンピュータを、前記請求項1から請求項5の何れか1項記載の制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−211251(P2011−211251A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73717(P2010−73717)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】