説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】装置の起動時毎にキャリッジの走査を伴う異物検知動作を行っているために装置の立ち上がりに時間がかかる。
【解決手段】電源オンで画像形成装置が起動されたときに、印刷枚数のカウント値とジャム発生時印刷枚数のカウント値とが一致するか否かを判別し、印刷枚数とジャム発生時印刷枚数が一致しているときには、上述した異物検知動作を行い、一致していないときには異物検知動作を行わないで、電源オン時の初期動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関し、画像形成手段を搭載したキャリッジを備える画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体にインクを着弾させて画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体、樹脂などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用いる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。また、本発明は画像形成手段として液体吐出ヘッドを備えるものに限られないが、以下では液体吐出ヘッドを記録ヘッドとする装置で説明する。
【0004】
シリアル型画像形成装置においては、給紙された用紙にジャムなどが発生して装置外に正常に排出されなかった場合、そのまま印刷が行なわれると、正常な印刷を行なうことができず、またジャム用紙と記録ヘッドの干渉によって記録ヘッドが損傷することがあるため、装置の起動時(電源オン時)にキャリッジを走査して用紙が残存しているか否かを検知する異物検知動作を行うようにしている。
【0005】
そして、キャリッジ動作異常検出手段がキャリッジの移動状態が異常であることを検出したときに、キャリッジ高さ調整手段を駆動してキャリッジを用紙搬送面から離れる方向に移動させた後、キャリッジを主走査方向における移動方向と逆方向に移動範囲の端部まで退避移動させることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−166370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従前は、装置の起動時毎に、キャリッジの走査を伴う異物検知動作を行っているために、不必要な異物検知動作も行われることになり、装置の立ち上がり時間(装置の電源オンから印刷開始可能となるまでの時間)がかかるという課題がある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、装置の立ち上がり時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段が搭載されて主走査方向に移動されるキャリッジと、
装置の起動時に、前記キャリッジを移動させて、正常に装置外に排出されなかった前記被記録媒体が残存しているか否かを検知する異物検知動作を制御する制御手段と、を備え、
印刷枚数を計数して記憶する印刷枚数計数手段と、
前記被記録媒体のジャムが発生した時の前記計数手段の計数値であるジャム発生印刷枚数を記憶する手段と、を有し、
前記制御手段は、前記装置の起動時に、前記印刷枚数計数手段で記憶されている印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときに、前記異物検知動作の制御を行う
構成とした。
【0010】
ここで、電源オフ状態でも計時を行う計時手段と、
電源オフ状態でも計時を行う計時手段と、
最後の印刷動作から電源オン時までの経過時間を取得する手段と、を有し、
前記制御手段は、装置の電源オン時に、前記経過時間が予め定めた所定時間以上であるときには前記異物検知動作の制御を行う
構成とできる。
【0011】
また、電源オフ状態でも装置本体の内部を開放する外部カバーの開放を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、装置の電源オン時に、装置の電源オフ時から電源オン時までの間に前記検出手段が前記外部カバーの開放を検出しているときには前記異物検知動作の制御を行う
構成とできる。
【0012】
また、前記異物検知動作を行ったか否かを記憶する識別記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記異物検知動作を行ったときに前記識別記憶手段に前記異物検知動作を行ったことを記憶させ、前記識別記憶手段に前記異物検知動作を行ったことが記憶されているときには、前記印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときでも前記異物検知動作を行わない
構成とできる。
【0013】
本発明に係るプログラムは、
装置の起動時に、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段が搭載されたキャリッジを主走査方向に移動させて、正常に装置外に排出されなかった前記被記録媒体が残存しているか否かを検知する異物検知動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
印刷枚数を計数して記憶する印刷枚数計数処理と、
前記被記録媒体のジャムが発生した時の前記計数手段の計数値であるジャム発生印刷枚数を記憶させる処理と、
前記装置の起動時に、前記記憶されている印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときに前記異物検知動作の処理とを、コンピュータに行わせる
構成とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像形成装置及びプログラムによれば、装置の起動時に、記憶されている印刷枚数とジャム発生印刷枚数とが一致しているときに異物検知動作を行う構成としたので、起動時の不必要な異物検知動作を省略できて、立ち上げ時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一例を示す前方側から見た斜視説明図である。
【図2】同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。
【図3】同機構部の正面説明図である。
【図4】制御部の概要を示すブロック説明図である。
【図5】異物検知動作の説明に供する模式的平面説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)の説明に供するフロー図である。
【図7】本発明の第2実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)の説明に供するフロー図である。
【図8】本発明の第3実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)の説明に供するフロー図である。
【図9】本発明の第4実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)の説明に供するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明を適用した画像形成装置の一例について図1ないし図3を参照して説明する。図1は同画像形成装置を前方側から見た斜視説明図、図2は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図3は同機構部の正面説明図である。
【0017】
この画像形成装置は、図1に示すように、装置本体101と、装置本体101に装着した記録媒体である用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備え、さらに、装置本体101の前面104の一端部側には、前面104から前方側に突き出し、上面の外部カバーである上カバー105よりも低くなったカートリッジホルダ106を有し、このカートリッジホルダ106の上面に操作キーや表示器などの操作部107を配置している。カートリッジホルダ106には液体カートリッジであるインクカートリッジ(メインタンク)110の脱着を行うための開閉可能な前カバー108を有している。
【0018】
そして、装置本体101内には、図2及び図3に示すように、左右の側板100L,100R間に横架した主ガイドロッド1及び図示しない従ガイド部材でキャリッジ3を摺動自在に保持し、主走査モータ5によって、駆動プーリ6と従動プーリ7間に渡したタイミングベルト8を介して主走査方向に移動走査する。
【0019】
このキャリッジ3には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド4y、4m、4c、4k(区別しないときは「記録ヘッド4」という。)を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0020】
記録ヘッド4を構成する液体吐出ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0021】
一方、用紙を搬送するために、用紙を静電吸着して記録ヘッド4に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト12を備えている。この搬送ベルト12は、無端状ベルトであり、搬送ローラ13とテンションローラ14との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成し、周回移動しながら帯電ローラ15によって帯電(電荷付与)される。
【0022】
また、搬送ベルト12は、副走査モータ16によってタイミングベルト17及びタイミングプーリ18を介して搬送ローラ13が回転駆動されることによって、副走査方向に周回移動する。
【0023】
さらに、キャリッジ3の主走査方向の一方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4の維持回復を行う維持回復機構20が配置され、他方側には搬送ベルト12の側方に記録ヘッド4から空吐出を行う空吐出受け21がそれぞれ配置されている。
【0024】
なお、維持回復機構20は、例えば記録ヘッド4のノズル面(ノズルが形成された面)をキャッピングする4個のキャップ部材31、ノズル面を払拭するワイパ部材32、画像形成に寄与しない液滴(空吐出滴)を受ける空吐出受け33などで構成されている。
【0025】
また、キャリッジ3の主走査方向に沿って両側板間に、所定のパターン(位置識別部、目盛り、スリットなどともいう。以下「スリット」という。)を形成したエンコーダスケール23を張装し、キャリッジ23にはエンコーダスケール23のスリットを読取る透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ24を設け、これらのエンコーダスケール23とエンコーダセンサ24によってキャリッジ23の移動を検知するリニアエンコーダ(主走査エンコーダ)27を構成している。
【0026】
また、搬送ローラ13の軸には高分解能のエンコーダスケール(コードホイール)25を取り付け、このエンコーダスケール25に形成したパターン(スリット)を検出する透過型フォトセンサからなるエンコーダセンサ26を設けて、これらのエンコーダスケール25とエンコーダセンサ26によって搬送ベルト12の移動量及び移動位置を検出するロータリエンコーダ(副走査エンコーダ)28を構成している。
【0027】
このように構成したこの画像形成装置においては、図示しない給紙トレイから用紙10が帯電された搬送ベルト12上に給紙されて吸着され、搬送ベルト12の周回移動によって用紙10が副走査方向に搬送される。そこで、キャリッジ3を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド4を駆動することにより、停止している用紙10にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙10を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙10の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙10を排紙トレイ103に排紙する。
【0028】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図4を参照して説明する。なお、同図は同制御部のブロック説明図である。
この制御部500は、この装置全体の制御を司るCPU501と、CPU501に本発明に係る制御(処理)を実行させるプログラムを含む各種プログラム、その他の固定データを格納するROM502と、画像データ等を一時格納するRAM503と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性メモリ504と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC505などを備えている。
【0029】
また、記録ヘッド4を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動信号発生手段を含む印刷制御部508と、キャリッジ3側に設けた記録ヘッド4を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)509と、キャリッジ3を移動走査する主走査モータ5、搬送ベルト12を周回移動させる副走査モータ16を駆動するためのモータ駆動部510と、帯電ローラ15にACバイアスを供給するACバイアス供給部512などを備えている。
【0030】
また、I/O部513は、主走査エンコーダ27のエンコーダセンサ24、副走査エンコーダ28のエンコーダセンサ26、装置に装着されている各種のセンサ群515からの情報を取得し、プリンタの制御に必要な情報を抽出し、印刷制御部508やモータ駆動部510、ACバイアス供給部511の制御に使用する。センサ群515は、用紙の位置を検出するための光学センサや、機内の温度、湿度を監視するためのサーミスタ、帯電ベルトの電圧を監視するセンサ、カバーの開閉を検出するためのインターロックスイッチなどがあり、I/O部513は様々のセンサ情報を処理することができる。
【0031】
ここで、CPU501は、主走査エンコーダ27を構成するエンコーダセンサ24からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて主走査モータ5に対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部210を介して主走査モータ5を駆動する。同様に、副走査エンコーダ28を構成するエンコーダセンサ25からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値と、予め格納した速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ16対する駆動出力値(制御値)を算出してモータ駆動部211を介して副走査モータ16を駆動する。
【0032】
また、この制御部500には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル514が接続されている。さらに、この制御部500には、現在時刻(年月日時刻)を計時する計時手段であるリアルタイムクロック(RTC)520を備えている。
【0033】
この制御部500は、ホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのI/F506を持っていて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト600側から、ケーブル或いはネットワークを介してI/F506で受信する。
【0034】
そして、制御部500のCPU501は、I/F506に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC505にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行い、この画像データを印刷制御部508からヘッドドライバ509に転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成はホスト600側のプリンタドライバ601で行っている。
【0035】
印刷制御部508は、上述した画像データをシリアルデータで転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、制御信号などをヘッドドライバ509に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動信号生成部を含み、1の駆動パルス或いは複数の駆動パルスで構成される駆動信号をヘッドドライバ509に対して出力する。
【0036】
ヘッドドライバ509は、シリアルに入力される記録ヘッド4の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部508から与えられる駆動信号を構成する駆動パルスを選択的に記録ヘッド4の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド24を駆動する。このとき、駆動信号を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴、中滴、小滴など滴量の異なる液滴を吐出させて大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
【0037】
また、CPU501は、装置の起動時に、キャリッジ3を移動させて、正常に装置外(排紙トレイ103)に排出されなかった用紙10が残存しているか否かを検知する異物検知動作を制御する制御手段と、印刷枚数を計数して記憶する印刷枚数計数手段を兼ねている。また。CPU501は、用紙10のジャムが発生した時の計数手段の計数値であるジャム発生印刷枚数をNVRAM504(記憶手段)に記憶する。
【0038】
次に、この装置における異物検知動作について図5の模式的平面説明図を参照して説明する。
異物検知動作は、キャリッジ3を、破線図示の異物検知開始位置(例えばホーム位置)から仮想線図示の異物検知終了位置まで、主走査方向に移動させ、このときのキャリッジ移動距離を示す主走査エンコーダ27(エンコーダセンサ24)の出力値が予め規定した異物検知閾値よりも小さい場合に、異物の影響でキャリッジ3が異物検知終了位置まで移動できなかったと判定して、正常に排紙されなかった用紙10が装置本体1内に存在する(異物が存在する)と判別する。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)ついて図6のフロー図を参照して説明する。
まず、電源オン(電源ON)でこの画像形成装置が起動されたときに、印刷枚数のカウント値とジャム発生時印刷枚数のカウント値とが一致するか否かを判別する。そして、印刷枚数とジャム発生時印刷枚数が一致しているときには、上述した異物検知動作を行い、一致していないときには異物検知動作を行わないで、電源オン時の初期動作を行う。なお、電源オン時の初期動作とは、例えばキャリッジ3に搭載されている記録ヘッド4にインクを供給するヘッドタンクへのインク充填方式を決定して充填を行う動作などである。
【0040】
ここで、印刷枚数のカウント値は、CPU501によって、装置が起動されてから累積的にカウントしている、印刷された用紙の枚数であり、NVRAM504に更新記憶している。また、ジャム発生時印刷枚数のカウント値は、装置内に用紙詰まり(ジャム)が発生した時に印刷枚数であり、CPU501はジャムが発生した時の印刷枚数のカウント値をジャム発生時印刷枚数のカウント値としてNVRAM504に更新記憶している。
【0041】
したがって、印刷枚数のカウント値とジャム発生時印刷枚数が一致していないときには異物検知動作を行うことなく電源オン時の初期動作に移行できるので、起動時毎に異物検知動作を行う場合に比べて装置の立ち上がりが迅速に行われる。
【0042】
このように、装置の起動時に、記憶されている印刷枚数とジャム発生印刷枚数とが一致しているときに異物検知動作を行う構成とすることで、起動時の不必要な異物検知動作を省略できて、装置の立ち上げ時間を短縮できる。
【0043】
次に、本発明の第2実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)ついて図7のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態において、印刷枚数とジャム発生時印刷枚数が一致していないとき、最後のジョブ(JOB、印刷動作)からの経過時間が予め定めた所定時間(一定時間)を超えているか否かを判別し、経過時間が一定時間を超えているときには、異物検知動作を行うようにしている。
【0044】
つまり、印刷枚数カウント値とジャム発生時印刷枚数カウント値が一致していない場合でも、電源オン時に、キャリッジ3が正常に駆動できるかどうかを、異物検知動作を実施することで確認する。例えば、長期間キャリッジを動作させていない場合、様々な原因により正常にキャリッジが移動できない状態になっている可能性がある。そこで、最後の印刷動作から電源オン時までの経過時間を取得して、異物検知動作を利用してキャリッジ3が正常に駆動できるかどうかを確認する。
【0045】
そして、キャリッジ3が正常駆動するか否かを確認して異物検知動作を実施する判定としては、最後のJOBを実施してからの経過時間が、実施判定のために規定した所定時間を越えているか否かで判定する。なお、現在時刻はRTC520から取得し、最後のJOB(印刷動作)を実施した時刻はNVRAM504に記憶し、電源オン時の現在時刻を読み出して、最後の印刷動作から電源オン時までの経過時間を取得する。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)ついて図8のフロー図を参照して説明する。
本実施形態においては、前記第1実施形態において、印刷枚数とジャム発生時印刷枚数が一致していないとき、最後の印字終了時から今回の起動時までの間に装置内部を開放する装置本体101のカバー105が開放されたか否かを判別し、上カバー105が開放されたときには、異物検知動作を行うようにしている。
【0047】
つまり、印刷枚数カウント値とジャム発生時印刷枚数カウント値が一致していない場合でも、正常に印字が完了した後に上カバー105が開けられて異物が混入することがあるために、上カバー105が開けられたときには異物検知を実施する。
【0048】
ここで、「最後の印字終了時から上カバーを開けた」の判別は、最後の印字終了時刻情報と、上カバーが開いた時刻情報とを比較し、上カバーが開いた時刻のほうが遅い場合には最後の印字終了時から上カバーを開けたと判定し、異物検知を実施する制御を選択している。また、最後の印字終了時刻情報と、上カバーが開いた時刻情報はRTC520から取得し、それらをNVRAM504に記憶しておき、電源ON時にはその両者の時刻情報を読み出して比較する。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態における異物検知動作実施判定処理(制御)ついて図9のフロー図を参照して説明する。
本実施形態では、異物検知動作を実施したか否かの識別情報を記憶する識別記憶手段としての異物検知実施フラグを有している。そして、前記第1実施形態において、印刷枚数カウント値とジャム発生時印刷枚数カウント値が一致するとき、異物検知実施フラグがオン(異物検知動作未実施)か否かを判別し、異物検知実施フラグがオンであれば、異物検知動作を行って異物検知実施フラグをオフし、異物検知実施フラグがオンでなければすでに異物検知動作が実施されているので、異物検知動作を行うことなく、電源ON時初期動作に移行する。
【0050】
つまり、印刷枚数カウント値とジャム発生時印刷枚数カウント値が一致するとき異物検知動作を行うようにした場合でも、異物検知動作を行った後、そのまま電源がオフされ、その後電源がオンされた場合、不要な異物検知動作を行うことになる。そこで、印刷動作を伴わない電源のオン/オフが繰り返し行われた場合でも、1度異物検知動作を行えば、その後の印刷動作を伴わない電源のオフ/オンによって不要な異物検知動作が行われることを回避するようにしている。
【0051】
なお、上述した各種処理は、ROMなどに格納されたプログラムによってコンピュータに行なわせることができ、このプログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができ、或はインターネットネットなどのネットワークを通じてダウンロードすることで提供される。また、上記実施形態で説明した画像形成装置とホスト側(情報処理装置)とを組みあせて画像形成システムを構成することもできる。
【符号の説明】
【0052】
3 キャリッジ
4 記録ヘッド
23 エンコーダスケール
24 エンコーダセンサ
25 リニアエンコーダ
500 制御部
520 RTC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段が搭載されて主走査方向に移動されるキャリッジと、
装置の起動時に、前記キャリッジを移動させて、正常に装置外に排出されなかった前記被記録媒体が残存しているか否かを検知する異物検知動作を制御する制御手段と、を備え、
印刷枚数を計数して記憶する印刷枚数計数手段と、
前記被記録媒体のジャムが発生した時の前記計数手段の計数値であるジャム発生印刷枚数を記憶する手段と、を有し、
前記制御手段は、前記装置の起動時に、前記印刷枚数計数手段で記憶されている印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときに、前記異物検知動作の制御を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
電源オフ状態でも計時を行う計時手段と、
最後の印刷動作から電源オン時までの経過時間を取得する手段と、を有し、
前記制御手段は、装置の電源オン時に、前記経過時間が予め定めた所定時間以上であるときには前記異物検知動作の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
電源オフ状態でも装置本体の内部を開放する外部カバーの開放を検出する検出手段を有し、
前記制御手段は、装置の電源オン時に、装置の電源オフ時から電源オン時までの間に前記検出手段が前記外部カバーの開放を検出しているときには前記異物検知動作の制御を行う
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記異物検知動作を行ったか否かを記憶する識別記憶手段を有し、
前記制御手段は、前記異物検知動作を行ったときに前記識別記憶手段に前記異物検知動作を行ったことを記憶させ、前記識別記憶手段に前記異物検知動作を行ったことが記憶されているときには、前記印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときでも前記異物検知動作を行わない
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
装置の起動時に、被記録媒体に画像を形成する画像形成手段が搭載されたキャリッジを主走査方向に移動させて、正常に装置外に排出されなかった前記被記録媒体が残存しているか否かを検知する異物検知動作を制御する処理をコンピュータに行わせるプログラムであって、
印刷枚数を計数して記憶する印刷枚数計数処理と、
前記被記録媒体のジャムが発生した時の前記計数手段の計数値であるジャム発生印刷枚数を記憶させる処理と、
前記装置の起動時に、前記記憶されている印刷枚数と前記ジャム発生印刷枚数とが一致しているときに前記異物検知動作の処理とを、コンピュータに行わせる
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−51276(P2012−51276A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196534(P2010−196534)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】