説明

画像形成装置及び処理液塗布装置

【課題】処理液を被記録媒体に塗布する画像形成装置において、塗布ローラとスクイーズローラからの処理液の蒸発を抑え、長時間の停止後であっても塗布動作の立ち上げ時間の短縮化を図る。
【解決手段】塗布ローラ232と、スクイーズローラ233と、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233を内部に保持し、塗布ローラ232の搬送ローラ235との接触部分に開口部234aが形成されて、内部に処理液201を貯留可能な貯留部234bを形成するハウジング部材234とを備え、塗布ローラ232は搬送ローラ235に対して接触及び離間可能に配設され、ハウジング部材234の内周面形状は塗布ローラ232及びスクイーズローラ234の外周面形状に倣う形状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及び処理液塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(インクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行うものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限るものではなく、吐出されるときに液体となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。また、「画像形成装置」には液体吐出方式のものに限らず、電子写真方式で画像形成を行うものなども含まれるが、以下では液体吐出方式の画像形成装置で説明する。
【0004】
このような液体吐出方式の画像形成装置においては、色材を含むインクを液滴化して画像形成を行うために、液滴で形成されるドットがひげ状に乱れるフェザリング、異なる色のインク滴が隣接して用紙に打たれた場合に、各色が相互に混ざり合って色境界が不鮮明になるカラーブリード等の不具合が生じることがあり、更に印字後の紙上の液滴が乾くまでに時間がかかるという問題がある。
【0005】
そこで、従来から特許文献1に記載されているようにインクと反応して滲み防止を促す前処理液を塗布ローラで塗布したり、特許文献2に記載されているように前処理液を液体吐出ヘッドからミスト状に吐出させて塗布したりすることが行われる(その他、特許文献3も参照)。また、処理液を泡にして塗布する装置も知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−137378号公報
【特許文献2】特開2005−138502号公報
【特許文献3】特開2003−205673号公報
【特許文献4】特開2009−012394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように処理液を被記録媒体に塗布するようにした場合、処理液を貯留したパンにスクイーズローラの一部を浸漬させてスクイーズローラで処理液を汲み上げて塗布ローラに供給する構成を採用するのが一般的である。
【0008】
しかしながら、このような構成にあっては、塗布装置が動作を停止しているときに、スクイーズローラ及び塗布ローラに付着した処理液から水分等が蒸発して乾燥し、処理液が増粘して、塗布再開時に塗布量にバラツキが生じたり、これを回避するために塗布ローラ表面の処理液の状態を初期化しようとすると塗布再開時の立ち上げ時間が長くかかってしまうという課題がある。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、塗布動作立ち上げ時間の短縮を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布装置と、を備え、
前記塗布装置は、
前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、
前記塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して前記塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、
前記ハウジング部材には、前記塗布ローラの前記搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、
前記ハウジング部材は、内部に前記処理液を貯留可能な貯留部を有し、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラを保持したまま遥動可能に配設されている
構成とした。
【0011】
また、前記ハウジング部材の揺動により、前記塗布ローラは前記搬送ローラに対して接触及び離間する構成とできる。
【0012】
また、前記ハウジング部材の内周面は、少なくとも前記塗布ローラの外周面に倣う形状である構成とできる。
【0013】
また、前記ハウジング部材の内周面のうち、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとの接触部に対応する部分が、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとの接触部の外形状に倣う形状である構成とできる。
【0014】
また、前記ハウジング部材には、内部に前記処理液を貯留可能な貯留部を有する構成とできる。
【0015】
また、前記ハウジング部材の内周面と前記スクイーズローラの外周面との間で形成される隙間のうち、前記貯留部における隙間は、他の部分における隙間よりも大きい構成とできる。
【0016】
また、前記ハウジング部材の前記開口部を開閉するシャッタ部材を備えている構成とできる。
【0017】
また、前記ハウジング部材の前記開口部を前記シャッタ部材で閉じた後内部の処理液を抜いて前記ハウジング部材の内部を減圧する構成とできる。
【0018】
本発明に係る処理液塗布装置は、
被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置であって、
前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、
前記塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して前記塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、
前記ハウジング部材には、前記塗布ローラの前記搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、
前記ハウジング部材は、内部に前記処理液を貯留可能な貯留部を有し、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラを保持したまま揺動可能に配設されている
構成とした。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る画像形成装置及び本発明に係る処理液塗布装置によれば、被記録媒体を搬送する搬送ローラと、被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、ハウジング部材には、塗布ローラの搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、ハウジング部材は、内部に処理液を貯留可能な貯留部を有し、塗布ローラ及びスクイーズローラを保持したまま揺動可能に配設されている構成としたので、塗布ローラとスクイーズローラを常に処理液とともに覆うことができ、塗布ローラとスクイーズローラからの処理液の蒸発を抑え、長時間の停止後であっても塗布動作の立ち上げ時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】同実施形態における塗布装置の塗布部の詳細な説明に供する塗布動作時の模式的側面説明図である。
【図3】同じく塗布状態の側断面説明図である。
【図4】同じく待機状態の側断面説明図である。
【図5】同画像形成装置の制御部の概要の説明に供するブロック説明図である。
【図6】同塗布装置の動作説明に供するフロー図である。
【図7】図6に続く説明に供するフロー図である。
【図8】本発明の第2実施形態における塗布部の説明に供する塗布状態の側断面説明図である。
【図9】同じく待機状態の側断面説明図である。
【図10】本発明の第3実施形態の塗布部の説明に供する待機状態の斜視説明図である。
【図11】同じく平面説明図である。
【図12】同じく正面説明図である。
【図13】図12のB−B線に沿う断面説明図である。
【図14】同じく側面説明図である。
【図15】同じくシャッタ開放動作状態の斜視説明図である。
【図16】同じく平面説明図である。
【図17】同じく正面説明図である。
【図18】図17のC−C線に沿う断面説明図である。
【図19】同じく側面説明図である。
【図20】同じく塗布状態の斜視説明図である。
【図21】同じく平面説明図である。
【図22】同じく正面説明図である。
【図23】図22のD−D線に沿う断面説明図である。
【図24】同じく側面説明図である。
【図25】本発明の第4実施形態に係る塗布装置の全体斜視説明図である。
【図26】同じく塗布部の塗布状態の側断面説明図である。
【図27】同じく待機状態の側断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。まず、本発明に係る画像形成装置の一例について図1を参照して説明する。なお、図1は同画像形成装置の全体構成図である。
この画像形成装置は、被記録媒体である用紙100に液滴を吐出して画像を形成する画像形成手段としての記録ヘッドユニット101と、用紙100を搬送する搬送ベルト102と、用紙100を収容する給紙トレイ103と、記録ヘッドユニット101よりも用紙搬送方向上流側で被塗布部材である用紙100に処理液を塗布する本発明に係る処理液塗布装置200とを備えている。
【0022】
記録ヘッドユニット101は、液滴を吐出する複数のノズルを用紙幅相当分の長さに配列したノズル列を有するライン型液体吐出ヘッドから構成され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を記録ヘッド101y、101m、101c、101kを備えている。なお、シリアル型画像形成装置として記録ヘッドをキャリッジに搭載する構成とすることもできる。
【0023】
搬送ベルト102は、無端状ベルトであり、搬送ローラ121とテンションローラ122との間に掛け渡されて周回するように構成している。この搬送ベルト102に対する用紙100の保持は、例えば静電吸着、空気の吸引による吸着などを行う構成とすることやその他の公知の搬送手段を用いることができる。また、ローラ対による搬送手段を用いることもできる。
【0024】
給紙トレイ103に収容された用紙100はピックアップローラ131で1枚ずつ分離給紙されて搬送ローラ対132によって搬送路135aを介してレジストローラ対133に送られ、レジストローラ対133から所定のタイミングで塗布装置200を配設した搬送路135bに送られて、塗布装置200で処理液が塗布された後、搬送ローラ対134によって搬送ベルト102上に送り込まれて保持される。
【0025】
そして、搬送ベルト102の周回移動で搬送されてヘッドユニット101から各色の液滴が吐出されて画像が形成され、その後排紙トレイ104に排出される。
【0026】
塗布装置200は、処理液201を収容した容器202と、この容器202から処理液201を圧送するポンプ203と、ポンプ203で供給路204を介して供給された処理液201を被記録媒体である用紙100に塗布する塗布部208と、塗布部208から処理液201を回収、排出する排出路253と、排出ポンプ252と、排出された処理液201の廃液251を貯留する廃液タンク250とを備えている。
【0027】
ここで、処理液201は、用紙100の表面に塗布することで用紙100の表面を改質する改質材である。例えば、処理液201は、予め用紙100(前述したように材質としての紙に限定されない。)にムラなく塗布しておくことで、インクの水分を速やかに用紙100に浸透させると共に色成分を増粘させ、更には乾燥も早めることによって滲み(フェザリング、ブリーディング等)や裏抜けを防止し、生産性(単位時間当たりの画像出力枚数)をあげることを可能にする定着剤(セット剤)である。
【0028】
この処理液201は、組成的には、例えば界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれか、若しくはこれらを2種類以上混合させたもの)に対して、水分の浸透を促進するセルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース等)とタルク微粉体の様な基剤を加えた溶液等を挙げることができる。更に微粒子を含有することもできる。
【0029】
次に、本発明の第1実施形態における塗布装置の塗布部の詳細について図2ないし図4を参照して説明する。なお、図2は同塗布部の模式的側面説明図、図3は同塗布部の塗布状態(シャッタ開状態)の側断面説明図、図4は同じく待機状態状態(シャッタ閉状態)の側断面説明図である。
【0030】
塗布部208は、用紙100を搬送する搬送ローラ235と、搬送ローラ235に対向して用紙100に処理液201を塗布する塗布ローラ232と、塗布ローラ232上の処理液201の液膜を薄くするスクイーズローラ233と、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233を内部に保持し、塗布ローラ232の搬送ローラ235との接触部分に開口部234aが形成されて、内部に処理液201を貯留可能な(保持する)ハウジング部材234を備えている。なお、各ローラの回転方向は図2の矢示方向である。
【0031】
このようにハウジング部材234で塗布ローラ232及びスクイーズローラ233を覆うことで、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233が大気中に露出しない構成となり、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233上の処理液201の蒸発を抑制することができる。またハウジング内部材234内に処理液201を貯留する構成であるため、ハウジング部材234内は貯留された処理液の蒸発で飽和状態に維持されるため、より塗布ローラ232及びスクイーズローラ233上からの処理液201の蒸発は抑制される。
【0032】
これらのローラは、搬送ローラ235に塗布ローラ232が一定の加圧力で接し、塗布ローラ232にスクイーズローラ233が接して配置されている。
【0033】
ここで、ハウジング部材234は、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233を保持したままに揺動可能に配設されている。つまり、塗布ローラ232、スクイーズローラ233及び処理液トレイ及びローラカバーを兼ねるハウジング部材234がユニット化(一体化)されて塗布ユニット236として構成され、塗布ユニット236は、図示しない駆動手段(後述するモータ516)によって図示しない駆動伝達機構を介して、図3に示す状態(塗布状態又は塗布位置という。)と、図4に示す状態(待機(未塗布)状態又は待機(未塗布)位置という。)との間(図2の矢印A方向)で揺動可能(移動可能)に配設されている。
【0034】
また、図3及び図4に示すようにハウジング部材234の内周面(内壁面)は、塗布ローラ232の外周面及びスクイーズローラ233の外周面の一部に倣う形状としている。また、ハウジング部材234の内周面(内壁面)とスクイーズローラ233の外周面との間で形成される隙間のうち、処理液201を貯留する部分(所謂パン、以下「貯留部」という。)234bは他の部分よりも大きくしている。
【0035】
このように、ハウジング部材234の内周面形状を塗布ローラ232、スクイーズローラ233の外周面に倣う形状とすることで、ハウジング部材234の内周面と塗布ローラ232、スクイーズローラ233の外周面との隙間を小さくできて、内部の空気量が少なくなって貯留された処理液201の少量の蒸発でハウジング部材234内部が飽和蒸気量に達し、塗布ローラ232及びスクイーズローラ233上の処理液201の乾燥が防止される。
【0036】
また、ハウジング部材234には、処理液201が供給される供給口280と、処理液201を排出する排出口281が設けられている。供給口280を横方向に設け、排出口281を供給口280よりも下方に設けることで、貯留部234b内の異物(紙粉等)が供給口280へ流入することを防止するとともに、排出口281からの異物の排出が促進される。また、貯留部234bにおける処理液201を検知する検知手段として満杯を検知する満杯検知センサ260と、エンドを検知するエンド検知センサ261が設けられている。
【0037】
さらに、ハウジング部材234には、開口部234aを開閉する塗布ローラ232の外周形状に倣う円弧状の断面を有するシャッタ部材300を備えている。このシャッタ部材300は、ハウジング部材234に設けられた案内溝302で案内されて、ハウジング部材234の外周に沿って図3の開位置(開放位置)と図4の閉位置(閉鎖位置)との間で移動可能とされている。
【0038】
なお、ハウジング部材234の案内溝302は、シャッタ開位置ではシャッタ部材300をハウジング部材234の外周面から離間した状態とし、シャッタ閉位置にするときにシャッタ部材300をハウジング部材234の外周面に向けて移動させる溝部302aを有している。
【0039】
また、シャッタ部材300の内周面側にはハウジング部材234外周面との密着性を高めるための弾性変形可能な部材などからなる封止部材303を設けている。このようなシャッタ部材300を塗布停止時に閉位置に移動することにより、ハウジング部材234内の気密性を高めることができ、より塗布ローラ232及びスクイーズローラ233上の処理液201の乾燥を防止できる。
【0040】
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図5を参照して説明する。
主制御部501は、この画像形成装置全体の制御を司るCPU、ROM、RAM、I/O等からなるマイクロコンピュータなどによって構成される。この主制御部501は受領した画像データを処理して印刷制御部502に転送し、印刷制御部502は画像データに応じてヘッドドライバ503を介して記録ヘッド101を駆動制御し、画像データに応じて液滴を吐出させる。また、主制御部501は、モータ駆動部504を介して搬送ベルト102を周回移動させる搬送モータ505を駆動制御して、被記録媒体100を搬送させる。
【0041】
塗布制御部510は、塗布装置200の各部の制御を司る。この塗布制御部510は、主制御部501からの塗布要求を受けて処理液塗布動作を制御するため、ポンプ駆動部511を介してポンプ203、252を駆動し、ローラ駆動部512を介して塗布ローラ232、スクイーズローラ233を回転させるモータ513を駆動制御し、ユニット駆動部515を介して塗布ユニット236を揺動(回動)させるモータ516を駆動制御する。
【0042】
なお、シャッタ部材300の開閉動作は、図示しない連動機構(手段)により、塗布ユニット236の回動動作に連動して、塗布ユニット236が塗布ローラ232と搬送ローラ235を接触させる塗布位置に移動するときに図3に示す開位置にシャッタ部材300が移動し、塗布ユニット236が塗布ローラ232を搬送ローラ235から離間させる未塗布位置に移動するときに図4に示す閉位置にシャッタ部材300が移動するようにしている。
【0043】
このように構成した実施形態における塗布装置の動作について図6及び図7のフロー図を参照して説明する。
まず、図6を参照して、画像出力(塗布)要求を受信すると、塗布装置200の塗布部208が待機(未塗布)状態か否かを判別し、待機状態であるときには、塗布ユニット236を回動させてローラ232、233の位置を塗布状態(図3の位置)に移動させる。この塗布ユニット236の塗布状態への回動に連動してシャッタ部材300が開位置に移動して、ハウジング部材234の開口部234aが開き、シャッタ部材234が開いた状態で塗布ローラ232が搬送ローラ235に接触する。
【0044】
そして、ハウジング部材234の貯留部234b内に所定量の処理液201があるか否かを判別し、所定量の処理液201がないときにはポンプ203を駆動して容器202(図では「タンク」と表記する。以下同じ。)から処理液201を所定量になるまで貯留部234bに供給(補充)する。
【0045】
その後、塗布装置200を稼動して、塗布部208のスクイーズローラ233と塗布ローラ232を回転させる。次いで、貯留部234bに所定量の処理液201があるか否かを判別し、所定量の処理液201がないときにはポンプ203を駆動して容器202から処理液201を所定量になるまで貯留部234bに供給(補充)して、所定量に維持する。その後、用紙100への塗布動作を行い、要求枚数出力完了まで処理液201の補充と塗布動作を繰り返し、要求枚数の出力が完了したらローラの回転を停止する。
【0046】
その後、図7を参照して、所定時間内に次の画像出力(塗布)要求を受けたときには上記の処理を繰り返し、所定時間内に次の画像出力(塗布)要求を受けないときには、塗布ユニット236を揺動させてローラ232、233の位置を待機状態に移動させる。このとき、塗布ユニット236の待機状態への揺動に連動してシャッタ部材300が閉位置に移動して開口部234aを閉じる。これにより、ハウジング部材234内部の処理液201の水分等の蒸発による乾燥を抑制することができる。
【0047】
さらに、所定時間内に次の画像出力(塗布)要求を受けたときには、再度ローラ232、233の位置を塗布状態に移動させて、上記の処理を繰り返す。
【0048】
また、待機状態への移動後所定時間内に次の画像出力(塗布)要求を受けないときには、処理液トレイ234内の処理液201を廃棄タンク250に回収する。シャッタ部材300が閉位置の状態で排出ポンプ252により廃液することで、ハウジング部材234内が減圧状態となり、シャッタ部材300とハウジング部材234の機密性をより高く保持することができる。
【0049】
このように、被記録媒体を搬送する搬送ローラと、被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、被記録媒体を搬送する搬送ローラと、被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、ハウジング部材には、塗布ローラの搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、ハウジング部材は、内部に処理液を貯留可能な貯留部を有し、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラを保持したまま揺動可能に配設されている構成とすることで、塗布ローラとスクイーズローラを常に処理液とともに覆うことができ、塗布ローラとスクイーズローラからの処理液の蒸発を抑え、長時間の停止後であっても塗布動作の立ち上げ時間の短縮化を図ることができる。
【0050】
ここで、本実施形態ではシャッタ部材300をハウジング部材234の遥動に連動する構成としたが、シャッタ部材300をハウジング部材234の遥動に連動させずに移動可能なシャッタ開閉用駆動手段を備えることもできる。塗布ローラ232及びスクイーズローラ233はハウジング部材234内に配置されるため、両ローラのメンテナンス性はどうしても低下してしまうが、シャッタ開閉用駆動手段を設けることで塗布ユニット236を待機位置へ揺動した状態でシャッタ部材300を開き、開口部234aから塗布ローラ232の清掃等のメンテナンスを行なうことが可能となる。
【0051】
また、ハウジング部材234内の気密性も解かれるため、この状態で処理液をハウジング内に供給口280を通して流し込みスクイーズローラ233が完全に処理液201に浸漬した状態とした後でシャッタ部材300を閉じることにより、長期停止時でもスクイーズローラ233の乾燥を防止することができる。
【0052】
次に、本発明の第2実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は同実施形態における塗布部の塗布状態の側断面説明図、図9は同じく待機状態の側断面説明図である。
本実施形態では、ハウジング部材234の内周面(内壁面)のうち、塗布ローラ232とスクイーズローラ233との接触部237に対応する部分には、塗布ローラ232とスクイーズローラ233との接触部237の外形状に倣う凸部分234c、234dを形成している。
【0053】
この場合、前記第1実施形態よりもハウジング部材234の内部の空気量がより少なくなり、処理液201の少量の蒸発でハウジング部材234内部が飽和蒸気量に達し、より処理液201の乾燥が防止されるという効果を得ることができる。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について図10ないし図14を参照して説明する。なお、図10は同実施形態における塗布ユニットの待機(シャッタ閉)状態の斜視説明図、図11は同じく平面説明図、図12は同じく正面説明図、図13は同じく断面説明図、図14は同じく側面説明図である。また、図15ないし図19は同実施形態における塗布ユニットのシャッタ開放動作状態の同様な説明図、図20ないし図24は同実施形態における塗布ユニットの塗布状態の同様な説明図である。
【0055】
本実施形態は塗布ローラ232が搬送ローラ235に対して上方向から接触する水平配置(縦塗り構成)の例である。したがって、図13、図18、図23は図3を反時計回りに90度回転した配置となる。
【0056】
まず、塗布ローラ232に関係する部分は塗布ローラモジュール401として、スクイーズローラ233に関係する部分はスクイーズローラモジュール402として、それぞれモジュール化され、スクイーズローラモジュール402は塗布ローラ加圧支点403を中心に回動可能に配設され、スクイーズローラ233の塗布ローラ232への加圧力を可変できる構成としている(図14参照)。
【0057】
そして、スクイーズローラモジュール402にはスプリングフック405が設けられ、塗布ローラモジュール401と一体に形成された天板417の穴418を通して天板417上に突出している。ここで、スプリングフック405と穴418の間には隙間があり、スプリングフック405が穴418内で可動できる構成としている。天板417上にはスプリング加圧アーム404が設けられ、スプリング加圧アーム404の一端部とスプリングフック405との間に塗布ローラ232とスクイーズローラ233との間を加圧する塗布/スクイーズ加圧スプリング406を介装している。
【0058】
スプリング加圧アーム404の中央部はカムラック408に係合し、カムラック408はモータ409にて移動される。またスプリング加圧アーム404は支点419で天板417に固定されているため、カムラック408と塗布/スクイーズ加圧スプリング406が取り付けられる端部は支点419を挟んで逆方向に稼動する。
【0059】
このカムラック408にはラックアーム415が設けられ、ラックアーム415の量端部にはラック416が設けられている。
【0060】
塗布ローラモジュール401の両端部にはカム411a及びギヤ411bを一体化したカムギヤ411が塗布ローラ232に対して回転自在に設けられている。カムギヤ411のカム411aは本体固定部412と当接可能に配設され、当接状態では塗布ローラ232と搬送ローラ235を離間させるストッパとして機能している。カムギヤ411のギヤ411bはラック416に噛み合い、シャッタ部材300に連結されている。
【0061】
本実施形態において、待機状態(シャッタ閉、未塗布状態)では、図10ないし図14に示すように、塗布/スクイーズ加圧スプリング406は緩んだ状態にあり、塗布ローラ232とスクイーズローラ233とは小さな加圧力で接触している。また、塗布ユニット236は、塗布ローラモジュール401のカムギヤ411のカム411aが固定部412と接触して押し上げられた状態にあり、塗布ローラ232は搬送ローラ235から離間している。さらに、塗布ローラユニット236のハウジング部材234の開口部234aはシャッタ部材300にて閉じられて密閉状態にある。
【0062】
ここで、モータ409を駆動することで、図15ないし図19に示すように、カムラック408が矢示方向に移動し、カムラック408が移動することで、スプリング加圧アーム404が矢示方向に揺動して、塗布/スクイーズ加圧スプリング406が引き伸ばされる。ここで、スプリングフック405は穴418内で可動であるため、塗布/スクイーズ加圧スプリング406の力によりスプリングフック405も矢示方向に移動する。その結果、スクイーズローラモジュール402は塗布ローラ加圧支点403を中心に回動し、塗布ローラ232とスクイーズローラ233との間の加圧力が徐々に増加する。
【0063】
さらに、カムラック408が移動することでラックアーム415とともにラック416が矢示方向に移動し、カムギヤ411が矢示方向に回転して、シャッタ部材300が開放され始め、また、カム411aが固定部412から離間して、塗布ユニット236全体が搬送ローラ235側に揺動し始める。塗布ユニット236全体の回動軸はここでは図示しないが、スクイーズローラ233の軸近傍に設けることが好ましい。
【0064】
そして、モータ409を駆動し続けることで、図20ないし図24に示すように、カムラック408が所定の位置まで移動する。これにより、スプリング加圧アーム404が所定位置まで回動して、塗布/スクイーズスプリング406が所定位置まで引き伸ばされて塗布ローラ232とスクイーズローラ233との間に所定の圧力がかかる。また、ラック416が所定位置まで移動すると、シャッタ部材300が所定位置まで回転して開口部234aが開状態になる。さらに、カムギア411が固定部412と接触しなくなり、塗布ユニット236内部の塗布ローラ232と搬送ローラ235が接触し、図示しない転写加圧スプリングによって塗布ローラ232と搬送ローラ235が所定の圧力で加圧接触する。
【0065】
次に、本発明の第4実施形態について図25ないし図27を参照して説明する。なお、図25は同実施形態の全体斜視説明図、図26は同じく塗布ユニットの塗布状態(シャッタ開状態)の模式的側面説明図、図27は同じく塗布ユニットの未塗布状態(シャッタ閉状態)の模式的側面説明図である。
【0066】
本実施形態は、前記第1実施形態で説明したと同様な、塗布ローラ232が搬送ローラ235に対して横方向から接触する垂直配置(横塗り構成)の例である。
本実施形態では、供給側処理液収容手段(容器)200からの処理液201の供給は水頭差供給方式とし、供給路204の途中に電磁弁239を設けている。また、廃液タンク250はインク廃液のタンクと兼用し、記録ヘッド101の維持回復などに伴って生じるインク廃液を、廃インクチューブ259を介して導入して収容する。
【0067】
本実施形態における塗布ユニット236の揺動(塗布ローラの接離)、シャッタ部材の開閉動作を行うために機構は前記第3実施形態と同様であるので、その説明を省略する。このように塗布ローラ232が搬送ローラ235に対して横方向から接触する垂直配置とすることで、処理液201の貯留部234bを十分に確保でき、また開口部234aが上方に配置されるため、貯留した処理液201が装置の振動等により開口部201a漏れ出す可能性も排除することができ、塗布装置の信頼性を高めることができる。
【0068】
なお、上記実施形態では処理液塗布装置が画像形成前の用紙に対して処理液を塗布する構成で説明しているが、記録ヘッドユニットの下流側で画像形成が行われた用紙上に処理液を塗布する構成とすることもできる。
【0069】
また、本発明に係る画像形成装置は、例えば電子写真方式の画像形成装置にも適用することができる。例えば、紙等の媒体上のトナー等の樹脂を含有する微粒子を乱すことなく、かつ当該樹脂微粒子を付着した媒体に定着液を塗布後は素早く樹脂微粒子の媒体への定着が行われ、更に媒体に残油感が発生しない程度の微量塗布が可能な樹脂微粒子の定着液を用いた、定着方法及び定着装置、並びに画像形成方法及び画像形成装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0070】
100 被記録媒体(用紙)
101 記録ヘッドユニット
102 搬送ベルト
103 給紙トレイ
200 処理液塗布装置
201 処理液
208 塗布部
232 塗布ローラ
233 スクイーズローラ
234 ハウジング部材
235 搬送ローラ
236 塗布ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布装置と、を備え、
前記塗布装置は、
前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、
前記塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して前記塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、
前記ハウジング部材には、前記塗布ローラの前記搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、
前記ハウジング部材は、内部に前記処理液を貯留可能な貯留部を有し、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラを保持したまま揺動可能に配設されている
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ハウジング部材の揺動により、前記塗布ローラは前記搬送ローラに対して接触及び離間することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ハウジング部材の内周面は、少なくとも前記塗布ローラの外周面に倣う形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ハウジング部材の内周面のうち、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとの接触部に対応する部分が、前記塗布ローラと前記スクイーズローラとの接触部の外形状に倣う形状であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ハウジング部材の内周面と前記スクイーズローラの外周面との間で形成される隙間のうち、前記貯留部における隙間は、他の部分における隙間よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ハウジング部材の前記開口部を開閉するシャッタ部材を備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ハウジング部材の前記開口部を前記シャッタ部材で閉じた後内部の処理液を抜いて前記ハウジング部材の内部を減圧することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
被記録媒体に処理液を塗布する処理液塗布装置であって、
前記被記録媒体を搬送する搬送ローラと、
前記被記録媒体に処理液を塗布する塗布ローラと、
前記塗布ローラ上の液膜を薄くするスクイーズローラと、
前記塗布ローラ及びスクイーズローラを内部に保持して前記塗布ローラ及びスクイーズローラの外周面を覆うハウジング部材と、を備え、
前記ハウジング部材には、前記塗布ローラの前記搬送ローラとの接触部分に開口部が形成され、
前記ハウジング部材は、内部に前記処理液を貯留可能な貯留部を有し、前記塗布ローラ及び前記スクイーズローラを保持したまま揺動可能に
配設されている
ことを特徴とする処理液塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−56261(P2012−56261A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203808(P2010−203808)
【出願日】平成22年9月11日(2010.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】