説明

画像形成装置及び外添剤除去装置

【課題】トナーの外添剤の除去効率を上げることができる画像形成装置及び外添剤除去装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、トナーで形成された像を保持する感光体102と、感光体102を清掃する清掃部材142と、感光体102の移動方向において清掃部材142よりも下流側に配置され、感光体102の表面に付着するトナーの外添剤を凝集させる外添剤凝集部材202と、外添剤凝集部材202によって凝集された外添剤を除去する外添剤除去部材252とを有し、外添剤凝集部材202は、粒径が3μm以上20μm以下である粒子が少なくとも感光体102に接触する部分に付着されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び外添剤除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、現像剤により現像される像を担持する像担持体と、上記像担持体に接触して回転することにより上記像担持体を帯電させる帯電手段と、上記像担持体に接触して上記像担持体に付着した現像剤を除去するクリーニング手段と,を備えた画像形成装置であって、上記クリーニング手段は、上記帯電手段より上記像担持体回転方向上流側に設けられた第1のクリーニング手段と、上記第1のクリーニング手段と上記帯電手段との間に設けられ、上記像担持体の回転方向下流側に向かって撓みながら上記像担持体に接触する弾性部材である第2のクリーニング手段とを有してなり、上記帯電手段は、上記帯電手段に接触して回転することにより上記帯電手段に付着した現像剤に含まれる外添材を均一にするブラシ状の外添材均一手段を備えてなることを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、移動する表面に潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像をトナーによって現像する現像手段と、該潜像形成手段によって潜像が形成される前の該潜像担持体に当接させた自らの表面を無端移動せしめながら、該潜像担持体の表面を一様帯電せしめる帯電部材、及び該帯電部材によって一様帯電せしめられる前の該潜像担持体に当接する帯電前当接部材を有する帯電装置と、該帯電部材に帯電バイアスを供給する帯電バイアス供給手段と、該帯電前当接部材に帯電前バイアスを供給する帯電前バイアス供給手段とを備える画像形成装置に用いられる該帯電前当接部材において、上記潜像担持体の表面に当接する第1箇所と、該第1箇所よりも該潜像担持体の表面移動方向下流側で該第1箇所よりも窪んでいることで、該第1箇所よりも弱い力で該潜像担持体の表面に当接するか、あるいは該表面に非接触で対向する第2箇所とを設けたことを特徴とする帯電前当接部材が開示されている。
【0004】
特許文献3には、回転可能な電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面に接触しバイアスを印加して前記電子写真感光体の表面を所定の極性に帯電する帯電部材と、前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を現像剤を用いて現像する現像手段と、前記電子写真感光体の表面と接触し前記電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング部材と、を有し、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置において、前記電子写真感光体の回転方向に対して、前記クリーニング部材の下流側で、かつ前記帯電部材の上流側に、前記電子写真感光体の表面と接する摩擦帯電部材を有し、前記クリーニング部材からすり抜けた前記電子写真感光体の表面から回収すべき回収物を前記摩擦帯電部材により前記帯電部材のバイアスと同じ極性に摩擦帯電を行うことを特徴とする電子写真画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−248865号公報
【特許文献2】特開平2008−203413号公報
【特許文献3】特開2008−70812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、トナーの外添剤の除去効率を上げることができる画像形成装置及び外添剤除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、トナーで形成された像を保持する像保持体と、前記像保持体を清掃する清掃部材と、前記像保持体の移動方向において前記清掃部材よりも下流側に配置され、前記像保持体の表面に付着するトナーの外添剤を凝集させる外添剤凝集部材と、前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する除去部材と、を有し、前記外添剤凝集部材は、粒径が3μm以上20μm以下である粒子が少なくとも前記像保持体に接触する部分に付着されてなる画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る本発明は、前記外添剤凝集部材に付着する粒子は、材質が有機物である請求項1記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項3に係る本発明は、前記像保持体に接触し、前記像保持体を帯電させる帯電部材をさらに有し、前記除去部材は、前記帯電部材の表面から前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項4に係る本発明は、前記除去部材は、前記像保持体の表面から前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する請求項1又は2記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項5に係る本発明は、前記外添剤凝集部材は、電圧が印加される請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置である。
【0012】
請求項6に係る本発明は、前記外添剤凝集部材は、無端状であって、回転する請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置である。
【0013】
請求項7に係る本発明は、前記除去部材は、少なくとも表面が発泡体であり、ロール形状である請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置である。
【0014】
請求項8に係る本発明は、トナーで形成された像を保持する像保持体の移動方向において、前記像保持体を清掃する清掃部材よりも下流側に配置され、前記像保持体の表面に付着するトナーの外添剤を凝集させる外添剤凝集部材を有し、前記外添剤凝集部材は、粒径が3μm以上20μm以下である粒子が少なくとも前記像保持体に接触する部分に付着されてなる外添剤除去装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る本発明によれば、トナーの外添剤の除去効率を上げることができる画像形成装置を提供することができる。
【0016】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、像保持体の摩耗を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【0017】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1又は2係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、像保持体に接触する部材の数を減らすことができ、像保持体の摩耗を抑制すことができる画像形成装置を提供することができる。
【0018】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、帯電部材に到達する前にトナーの外添剤を除去することができ、帯電部材への外添剤の付着を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【0019】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、外添剤凝集部材からトナーの外添剤が離脱しやすくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0020】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1乃至5いずれかに記載の本発明が奏する効果を奏することに加えて、外添剤凝集部材の帯電部材又は像保持体に接触する部分の面積を大きくすることができ、外添剤を凝集しやすくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0021】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至6いずれかに係る本発明が奏する効果を奏することに加えて、凝集した状態にあるトナーの外添剤を回収しやすくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0022】
請求項8に係る本発明によれば、トナーの外添剤の除去効率を上げることができる外添剤除去装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置で用いられるトナーを示す図である。
【図3】図1に示す画像形成装置が有する外添剤凝集部材を、図1における矢印A―A方向から示す図である。
【図4】比較例に係る画像形成装置が有する外添剤凝集部材を示す図である。
【図5】図3に示す外添剤凝集部材の表面を示し、図5(A)は外添剤凝集部材の表面を約10000倍に拡大して示す図であり、図5(B)は外添剤凝集部材の表面を約50000倍に拡大して示す図である。
【図6】図4に示す外添剤凝集部材の表面を示し、図6(A)は外添剤凝集部材の表面を約10000倍に拡大して示す図であり、図6(B)は外添剤凝集部材の表面を約50000倍に拡大して示す図である。
【図7】図1に示す画像形成装置において、現像剤凝集部材の感光体に接触する部分の表面粗さ、及び粗さ間隔を変化させた場合に、外添剤凝集部材を設けなかった場合と比較して、画像に筋が生じるまでの画像形成枚数が10000枚以上、多いか否かを示す図である。
【図8】外添剤凝集部材にバイアスを印加することによる効果を確認する実験の結果を示すグラフである。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。図1に示すように、画像形成装置10は画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12内に像形成部100と給紙装置300とが設けられている。また、画像形成装置本体12内には、記録媒体として用いられる用紙を搬送する搬送路350が形成されている。また、画像形成装置本体12には、用紙を排出するために用いられる排出口14が形成されている。
【0025】
像形成部100は、例えば単色の画像を形成するものであり、電子写真方式が採用されている。像形成部100は、トナーで形成された像(以下、「トナー像」)を保持する像保持体として用いられていて、例えば円筒形状の感光体102と、感光体102を一様に帯電する帯電装置104と、帯電装置104によって帯電された感光体102の表面に光を照射し、感光体102の表面に静電潜像を形成する潜像形成装置110と、感光体102に形成された潜像をトナーを用いて現像し、感光体102の表面にトナー像を形成する現像装置114と、現像装置114によって感光体102の表面に形成されたトナー像を用紙に転写する転写装置122と、転写装置122によってトナー像が用紙に転写された後の感光体102を清掃する清掃装置140と、転写装置122によって用紙に転写されたトナーを、その用紙に定着する定着装置126とを有する。
【0026】
清掃装置140は、感光体102の表面に接触し、感光体102の表面を清掃する清掃部材142を有する。清掃部材142は、感光体102の表面に残留するトナーや、感光体102に付着する紙粉等を感光体102の表面から掻き取るようにして除去する。
【0027】
清掃部材142は、トナーや紙粉等を感光体102の表面から除去するものの、トナーの外添剤(以下、「外添剤」)の一部を感光体102の表面から除去することができない。清掃部材142によって感光体102の表面から除去されなかった外添剤は、感光体102と清掃部材142との間を通過する。これは、外添剤がトナーよりも小径であり、外添剤がトナーよりも強く感光体102に付着しているためである。また、球形の外添剤ほど、転がり易いため、特に感光体と清掃部材との間をすり抜ける傾向がある。清掃部材142と感光体102との間を通過する外添剤は、主として外径が100nm程度の球形の外添剤である。感光体102と清掃部材142との間を通過した外添剤は、感光体102の回転に伴って、感光体102に付着した状態で帯電装置104の側へと搬送される。
【0028】
帯電装置104は、感光体102に接触し、感光体102を帯電させる帯電部材として用いられる帯電ロール106を有する。帯電ロール106には、予め定められたタイミングで帯電用の電圧が印加される。
【0029】
現像装置114は、現像装置本体116を有し、現像装置本体116に例えばロール形状の現像剤搬送部材118が装着されている。また、現像装置本体116内には、トナーとキャリアとからなる現像剤が収納されていて、この現像剤中のトナーが現像剤搬送部材118によって感光体102に向けて搬送される。
【0030】
また、像形成部100は、外添剤凝集装置200を有する。外添剤凝集装置200は、外添剤凝集部材202と、外添剤凝集部材202に電圧(ACバイアス)を印加するACバイアス印加装置210とを有する。外添剤凝集部材202は、図1中に矢印aで示す感光体102の移動方向において、清掃部材142よりも下流側に配置されている。また、外添剤凝集部材202は、感光体102と清掃部材142との間を通過し、感光体102の表面に付着した状態にある外添剤を凝集させる。外添剤凝集部材202の詳細は後述する。
【0031】
ACバイアス印加装置210は、外添剤凝集部材202にACバイアスを印加することで、外添剤凝集部材202に付着し、外添剤凝集部材202から離間しにくくなっている外添剤を外添剤凝集部材202から離間させる。外添剤を外添剤凝集部材202から離間させることで、外添剤凝集部材202の機能の低減が抑制され、外添剤凝集部材202の寿命が延び、外添剤凝集部材の交換頻度が低くなる。加えて、外添剤が凝集しやすくなり、後述する外添剤除去装置250による外添剤の除去がより良好になされやすくなる。
【0032】
また、像形成部100は、外添剤除去装置250を有し、外添剤除去装置250は、外添剤除去部材252を有する。外添剤除去部材252は、外添剤凝集装置200によって凝集された外添剤を除去するための部材であり、この実施形態においては帯電ロール106に接触している。また、外添剤除去部材252は、ロール形状を有し、帯電ロール106に接触する部分の材質は、例えばスポンジである。また、外添剤除去部材252は、少なくとも表面部分、すなわち少なくとも帯電ロール106に接触する部分が発泡体であることが望ましい。
【0033】
外添剤除去部材252の帯電ロール106に接触する部分は、より具体的には、多孔質の3次元構造を有する発泡体からなり、内部や表面に空洞や凹凸部が存在し、弾性を有していることが好ましい。外添剤除去部材252の帯電ロール106に接触する部分の具体的な材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、オレフィン、メラミン又はポリプロピレン、NBR、EPDM、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム、クロロプレン、シリコーン、ニトリル等の発泡性の樹脂又はゴムを材質としたもの等を用いることができる。
【0034】
外添剤除去部材252は、凝集した状態にある外添剤であって、粒径が数μm程度の比較的に大きい外添剤であって、帯電ロール106に対する付着力が比較的に小さい外添剤を帯電ロール106の表面から除去することができる。一方、外添剤除去部材252は、粒径が比較的に小さく、帯電ロール106に対する付着力が比較的に大きい外添剤を帯電ロール106の表面から除去することは困難である。
【0035】
定着装置126は、内部に熱源を有する加熱ロール128と、加熱ロール128に接触する加圧ロール130とを有し、加熱ロール128と加圧ロール130との接触部で用紙に転写されたトナー像を加熱し、加圧することで、トナー像を用紙に像を定着させる。
【0036】
給紙装置300は、像形成部100に用紙を供給する装置であって、用紙が積層された状態で収容された用紙収納容器302と、用紙収納容器302から用紙を送り出す送り出しロール304とを有する。
【0037】
搬送路350は、給紙装置300から転写装置122に向けて用紙を搬送し、転写装置122から定着装置126に向けて用紙を搬送し、排出口14を通過して画像形成装置本体12内から用紙を排出するように用紙を搬送する搬送路である。用紙搬送路350に沿って、用紙の搬送方向における上流側がら順に、先述の送り出しロール304、搬送ロール354、レジストロール356、先述の転写装置122、先述の定着装置126が配置されている。
【0038】
レジストロール356は、転写装置122に向けて搬送される用紙の先端部の転写装置122側に向けての移動を一時的に停止させ、感光体102にトナーが形成されるタイミングと合致するように、用紙の先端部の転写装置122に向けての移動を再開させる。
【0039】
図2には、画像形成装置10で用いられるトナーTが示されている。トナーTは、例えば、乳化重合により、乳化樹脂粒子、顔料粒子、ワックス粒子を凝集することにより形成された所謂重合トナーである。ここで、トナーTとして、重合トナーを用いることに代えて、混練粉砕法で製造された所謂粉砕トナーを用いても良い。ここで混練粉砕法とは、樹脂、顔料等を溶融し、混練した後に粉砕して、さらに分級することによりトナーを製造する方法である。
【0040】
トナーTの表面には、外添剤Aが付着している。外添剤とは、トナーの流動性、転写性、帯電量の制御性等を改善するためにトナーの表面に添付される粒子であり、無機粒子であることが好ましく、例えば、SiO(シリカ)、TiO(チタニア)、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等を使用することができる。これらのうち、本実施形態で用いられる外添剤Aとしては、シリカの粒子が用いられている。外添剤の体積平均粒径は、30nm以上500nm以下であることが望ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。
【0041】
図3には、外添剤凝集部材202が示されている。
図3に示されるように、外添剤凝集部材202は、多数の粒子Pが少なくとも感光体102(図1参照)に接触する部分に付着されてなる。具体的には、外添剤凝集部材202は、板状の基材204と、基材204に塗布され、粒子Pが分散している塗布層206とを有する。基材204は、板状であって、その材質としては、例えばポリウレタン等のゴムや、例えばPET(Poly-Ethylene-Terephthalate)等の樹脂フィルムなどを用いることができる。粒子Pの体積平均粒径は、後述するように3μm以上20μm以下であることが望ましい。
【0042】
塗布層206は、粒子Pを分散させた樹脂ポリマーが用いられていて、その厚さは、例えば5μm以上90μm以下であることが望ましい。粒子Pとしては、有機物である粒子が用いられている。より具体的には、粒子Pとして、アクリル樹脂からなる粒子、スチレン樹脂からなる粒子、ナイロン樹脂からなる粒子を用いることができる。ここで、アクリル樹脂からなる粒子としては、例えば清水化成品工業社が製造のARXシリーズ、SSXシリーズを用いることができる。また、スチレン樹脂からなる粒子としては、例えば清水化成品工業社製のSBXシリーズを用いることができる。また、ナイロン樹脂からなる粒子としては、例えば東レ社製のナイロン6微粒子を用いることができる。
【0043】
粒子Pとして有機物からなる粒子を用いることにより、粒子Pとして、無機物からなる粒子を用いる場合と比較して感光体102の摩耗が生じにくい。
【0044】
以上のように構成された画像形成装置10においては、画像形成時に感光体102が図1に示す矢印a方向に回転することに伴って、清掃部材142が、感光体102の表面から紙粉や、転写後に残留したトナー等を掻き落とする。清掃部材142は、感光体102の表面から残留したトナー等をかき落とすものの、感光体102の表面に付着した粒径が比較的に小さい外添剤は感光体102と清掃部材142との間をすり抜ける。このすり抜けた外添剤は、感光体102の回転に伴って、感光体102と外添剤凝集部材202とが接触している位置に到達する。
【0045】
感光体102と外添剤凝集部材202とが接触した部分に到達した外添剤は、外添剤凝集部材202の作用により凝集される。そして、ある程度の大きさになるまで凝集すると、外添剤の外添剤凝集部材202に対する付着力が弱くなり、外添剤は外添剤凝集部材202から離間する。そして、外添剤凝集部材202から離間した外添剤が、感光体102の回転に伴って感光体102と帯電ロール106とが接触する位置に到達する。そして、感光体102から帯電ロール106に移動した外添剤が、外添剤除去部材252によって帯電ロール106の表面から除去される。
【0046】
ここで、単体の外添剤や、凝集しているもの粒径が小さい外添剤などは、外添剤除去部材252によって帯電ロール106の表面から除去されにくい。これは、粒径が小さいと、外添剤の帯電ロール106に対する付着力が強くなるためである。帯電ロール106の表面から外添剤が十分に除去されないと、帯電ロール106による感光体102の帯電が均一になることがあり、これを原因として画像形成装置10で形成される最終的な画像の品質が低下することがある。
【0047】
この第1の実施形態では、外添剤凝集部材202によって外添剤が凝集されるため、単体の外添剤や、凝集しているもの粒径が小さい外添剤などの除去しにくい外添剤が少なくなり、外添剤除去部材252によって除去されやすい比較的に粒径が大きい外添剤が増える。このため、外添剤が除去されやすく、最終的に形成される画像の品質が低下しにくい。
【0048】
また、以上のように構成された画像形成装置10においては、外添剤凝集部材202の、凝集した外添剤が離間した部分は、凝集した外添剤が離間した後、感光体102の表面に付着した外添剤を凝集させるために用いられる。このように、外添剤凝集部材202は、外添剤を凝集させるために繰り返して用いられる。
【0049】
図4には、比較例に係る画像形成装置が有する外添剤凝集部材202が示されている。比較例に係る画像形成装置は、外添剤凝集部材202の構造を除き、他の構成は先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10(図1参照)と同じである。また、この比較例に係る画像形成装置が有する外添剤凝集部材202は、後述するように外添剤を凝集させる機能がほとんどないものの、説明の便宜上、外添剤凝集部材との名前をつけている。
【0050】
先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10が有する外添剤凝集部材202(図3参照)は、板状の基材204と、粒子Pが分散された樹脂ポリマーが用いられる塗布層206とを有していた。これに対して、この比較例に係る画像形成装置が有する外添剤凝集部材202は、基材204を有するものの、塗布層206を有しない。このため、基材204の表面が帯電ロール106に接触する。
【0051】
図5は、第1の実施形態に係る画像形成装置10が有する外添剤凝集部材202(図3参照)であって、外添剤が付着していない状態で使用が開始された後、500枚の画像を形成した後の外添剤凝集部材202の感光体102に接触する部分を示した図であって、図5(A)は外添剤凝集部材202の表面を約10000倍に拡大して示した図であり、図5(B)は外添剤凝集部材202の表面を約50000倍に拡大して示した図である。尚、図5(A)、図5(B)ともに、外添剤凝集部材202の表面を顕微鏡で拡大して撮影した写真をもとに、外添剤凝集部材202の表面を描いたものである。
【0052】
図5(A)、図5(B)から、粒子P(図3参照)の一部が塗布層206の表面から突出することで塗布層206の表面に形成された凸部に外添剤Aが集中的に付着するようにして、外添剤Aが凝集していることがわかる。尚、塗布層206の表面に形成された凸部は、図5(A)、図5(B)においては、凝集した外添剤Aの下側に隠れた状態となっている。
【0053】
図6は、比較例に係る画像形成装置が有する外添剤凝集部材202(図4参照)であって、外添剤が付着していない状態で使用が開始された後、500枚の画像を形成をした後の感光体102に接触する部分を示した図であって、図5は外添剤凝集部材202の表面を約10000倍に拡大して示した図であり、図5(B)は外添剤凝集部材202の表面を約50000倍に拡大して示した図である。尚、図6(A)、図6(B)ともに、外添剤凝集部材202の表面を顕微鏡で拡大して撮影した写真をもとに、外添剤凝集部材202の表面を描いたものである。
【0054】
先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、外添剤凝集部材202の感光体102に接触する部分に形成された凸部に付着するようにして外添剤が凝集していた。これに対して、この比較例においては、感光体102に接触する部分に凸部が形成されていないため、外添剤は凝集することなく、感光体102に接触する部分に敷き詰められたように分散された状態となっている。
【0055】
図7には、外添剤凝集部材202を設けなかった場合と比較して、最終的に形成される画像に画質の低下が生じるまでの枚数が10000枚以上多いか否かを、外添剤凝集部材202の感光体102に接触する部分の表面粗さ(Rz)と凹凸の平均間隔(Sm)とに応じて示したグラフである。図7においては、外添剤凝集部材202を設けなかった場合と比較して、最終的に形成される画像に画質の低下が生じるまでの枚数が10000枚以上多い場合を○で示し、外添剤凝集部材202を設けなかった場合と比較して、最終的に形成される画像に画質の低下が生じるまでの枚数が10000枚以上多くない場合を?で示している。
【0056】
ここで、画質の低下とは、具体的には、帯電ロール106のトナーの外添剤が付着することにともなって、画像に用紙が搬送される方向の筋が最終的に形成される画像に生じることをさす。また、表面粗さ(Rz)とは、10点平均粗さとも称され、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜取り、この抜取り部分の平均線から縦倍率の方向に測定した最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものである。また、凹凸の平均間隔(Sm)とは、一般には、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜取り、この抜取り部分において一つの山及びそれに隣り合う一つの谷に対応する平均線の長さの和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均をミリメートル(mm)で表したものであるが、ここでは、上述の算術平均をマイクロメートル(μm)で表したものを用いている。尚、表面粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)の測定は、例えば、株式会社東京精密のSurfcom 590A(商品名)を用いて測定することができる。
【0057】
また、外添剤凝集部材202の表面粗さ(Rz)及び凹凸の平均間隔(Sm)は、例えば、塗布層206を形成する際に、粒子P(図3参照)として異なる径のアクリル樹脂粒子を用いることで調整することができる。
【0058】
図7から、外添剤凝集部材202の感光体102に接する部分の表面粗さ(Rz)が5μm以上、凹凸の平均間隔(Sm)が200μm以下である場合に、画質の低下が生じにくいことがわかる。ここで、外添剤凝集部材202の表面粗さ(Rz)を5μm以上にするために、外添剤凝集部材202を研磨することも可能であるとも思われる。しかしながら、研磨後の外添剤凝集部材202の形状を維持することが困難である。そこで、この第1の実施形態においては、外添剤凝集部材202の形状を維持することができるように、基材204の表面に粒子Pを分散させた塗布層206を形成するとの構成を採用している。
【0059】
外添剤凝集部材202の感光体102に接する部分の表面粗さ(Rz)が5μm以上、凹凸の平均間隔(Sm)が200μm以下となるように塗布層206を形成しようとした場合、粒子Pの粒径が3μm以上、20μm以下であることが望ましい。粒子Pの粒径が、3μm未満であると、表面粗さ(Rz)を5μm以上にしようとした場合、50重量部パーセント以上との大量の粒子Pを添加した樹脂ポリマーを用いて塗布層206を形成することを要し、粒子Pの分散が不十分になり、不均一になる虞があり、均一な表層を得られない虞がある。また、粒子Pの粒径が、3μm未満であると、粒子Pの割合が増え、樹脂ポリマーの割合が減るため十分な粘着強度を得ることができずに、塗布層206の表面にクラックが生じやすくなるとの弊害が生じる虞がある。
【0060】
一方、粒子Pの粒径が20μmよりも大きいと、凹凸の平均間隔(Sm)を200μm以下にするために粒子Pを樹脂ポリマー中に大量に添加することを要し、樹脂ポリマーの割合が減るために十分な粘着強度を得ることができずに、塗布層206の表面にクラックが生じやすくなるとの弊害が生じる虞がある。さらに、粒子Pの粒径が20μmよりも大きいと、十分な粘着強度が得られないため、使用中に粒子Pが離脱してしまう虞がある。
【0061】
以上のように、外添剤凝集部材202を、粒径が3μm以上20μm以下である粒子Pが少なくとも感光体102に接触する部分に付着されてなるようにすることで、外添剤凝集部材202の表面粗さ(Rz)、及び凹凸の平均間隔(Sm)が好適な値となり、外添剤凝集部材202が破損しにくくなる。
【0062】
図8は、外添剤凝集部材202にバイアスを印加することによる効果を確認する実験の結果を示すグラフである。実験においては、まず、感光体102に接する部分の表面粗さ(Rz)と、凹凸の平均間隔(Sm)とが同じである2種類の外添剤凝集部材である外添剤凝集部材Aと、外添剤凝集部材Bとを準備した。外添剤凝集部材Aは、Alフィルムを基材とし、この基材に、ナイロン樹脂ポリマーに粒径が5μmのアクリル樹脂を40重量部、分散させた表層を塗布したものである。外添剤凝集部材Bは、PETフィルムを基材とし、この基材に、ナイロン樹脂ポリマーに粒径が5μmのアクリル樹脂を40重量部、分散させた表層を塗布したものである。外添剤凝集部材A、外添剤凝集部材Bともに、表面粗さ(Rz)は9.6μmであり、凹凸の平均間隔(Sm)は65μmである。
【0063】
実験では、図1に示す第1の実施形態に係る画像形成装置10の外添剤凝集部材202として外添剤凝集部材Aを取付け、外添剤凝集部材Aにバイアス印加装置210で600VppのACバイアスを印加して、10000枚の画像を形成した後の帯電ロール106の抵抗上昇幅を測定した。その結果、帯電ロール106の抵抗の上昇は、0.04logΩであった。
【0064】
次に、図1に示す第1の実施形態に係る画像形成装置10の外添剤凝集部材202として外添剤凝集部材Bを取付け、外添剤凝集部材BにACバイアスを印加することなく、10000枚の画像を形成した後の帯電ロール106の抵抗上昇幅を測定した。その結果、帯電ロール106の抵抗の上昇は、0.24logΩであった。
【0065】
トナーの外添剤は高抵抗である。このため、帯電ロール106に外添剤が付着すると、帯電ロール106の抵抗が上昇する。すなわち、帯電ロール106の抵抗上昇幅が大きいほど、帯電ロール106が外添剤によって汚染されていることを意味する。このことから、外添剤凝集部材AにACバイアスを印加した場合の方が、外添剤凝集部材Bにバイアスを印加しない場合と比較して帯電ロール106の外添剤による汚染が抑制されていることがわかる。以上のように、外添剤凝集部材202にACバイアスを印加することで、外添剤凝集部材202にACバイアスを印加しない場合と比較して外添剤が除去されやすくなり、帯電ロール106の外添剤による汚染が抑制されることが実験によって確認された。
【0066】
図9には、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10が示されている。
前述の第1の実施形態に係る画像形成装置10においては、外添剤凝集装置200の外添剤凝集部材202は、塗布層206が形成された基材204を有し、基材204は板状であった(図3参照)。これに対して、この第2の実施形態に係る画像形成装置10が有する外添剤凝集装置200は、板状の基材204に替えて、無端条の基材220が用いられている。また、基材220の外側の面であって、感光体102に接触する面には、その面の全域にわって塗布層222が形成されている。塗布層222の構成は、先述の第1の実施形態における塗布層206(図3参照)と同じである。
【0067】
基材220は、支持部材230に回転することができるように支持されている。基材220を回転させることで、感光体102に接触する塗布層222の面積が大きくなり、先述の第1の実施形態と比較して外添剤が凝集しやすくなる。以上で説明をした部分以外は、先述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0068】
図10には、本発明の第3の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。
先述の第1の実施形態に係る画像形成装置10では、外添剤除去装置250は、帯電ロール106の表面から凝集した外添剤を除去するように、帯電ロール106に接触する外添剤除去部材252を有していた(図1参照)。これに対して、この第3の実施形態に係る画像形成装置10では、外添剤除去装置250は、感光体102の表面から凝集した外添剤を除去する外添剤除去部材260を有している。外添剤除去部材260は、図10に矢印aで示す感光体102の移動方向において、清掃部材142が感光体102に接触する部分よりも下流側であって、帯電ロール106が感光体102に接触する位置よりも上流側で感光体102に接触している。外添剤除去部材260の構成は、先述の第1の実施形態における外添剤除去部材252と同様である。また、以上で説明をした部分以外は、先述の第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0069】
以上のように構成された、この第3の実施形態に係る画像形成装置10では、感光体102と清掃部材142との間をすり抜けた小径の外添剤が、外添剤凝集部材202の作用により凝集し、凝集した外添剤が外添剤除去装置250によって感光体102の表面から除去される。このため、感光体102の移動方向において外添剤凝集装置200よりも下流側に位置する帯電装置104まで外添剤が到達しにくくなり、帯電装置104が有する帯電ロール106に外添剤が付着しにくくなる。
【0070】
上述の第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、画像形成装置10を、外添剤凝集装置200を、無端条の基材220を有し、基材220の外側の面であって、感光体102に接触する面には、その面の全域にわって塗布層222が形成されるようにするとともに、外添剤除去装置250は、感光体102の表面から凝集した外添剤を除去する外添剤除去部材260を有するように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上述べたように、本発明は、少なくとも、例えばプリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置と、例えばこれらの画像形成装置に適用することができる外添剤除去装置とに利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
10・・・画像形成装置
102・・・感光体
104・・・帯電装置
106・・・帯電ロール
142・・・清掃部材
200・・・外添剤凝集装置
202・・・外添剤凝集部材
204・・・基材
206・・・塗布層
210・・・バイアス印加装置
220・・・基材
222・・・塗布層
250・・・外添剤除去装置
252・・・外添剤除去部材
260・・・外添剤除去部材
A・・・外添剤
P・・・粒子
T・・・トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーで形成された像を保持する像保持体と、
前記像保持体を清掃する清掃部材と、
前記像保持体の移動方向において前記清掃部材よりも下流側に配置され、前記像保持体の表面に付着するトナーの外添剤を凝集させる外添剤凝集部材と、
前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する除去部材と、
を有し、
前記外添剤凝集部材は、粒径が3μm以上20μm以下である粒子が少なくとも前記像保持体に接触する部分に付着されてなる画像形成装置。
【請求項2】
前記外添剤凝集部材に付着する粒子は、材質が有機物である請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体に接触し、前記像保持体を帯電させる帯電部材をさらに有し、
前記除去部材は、前記帯電部材の表面から前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記除去部材は、前記像保持体の表面から前記外添剤凝集部材によって凝集された外添剤を除去する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記外添剤凝集部材は、電圧が印加される請求項1乃至4いずれか記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記外添剤凝集部材は、無端状であって、回転する請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記除去部材は、少なくとも表面が発泡体であり、ロール形状である請求項1乃至6いずれか記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーで形成された像を保持する像保持体の移動方向において、前記像保持体を清掃する清掃部材よりも下流側に配置され、前記像保持体の表面に付着するトナーの外添剤を凝集させる外添剤凝集部材を有し、
前記外添剤凝集部材は、粒径が3μm以上20μm以下である粒子が少なくとも前記像保持体に接触する部分に付着されてなる外添剤除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−177868(P2012−177868A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41877(P2011−41877)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】