説明

画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラム

【課題】最終的な印刷物の見栄えを損なうことなく、用紙束に対して適切に後処理を指示することができる画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムの提供。
【解決手段】印刷ジョブに基づいて複数の用紙に印刷画像を印刷し、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を作成する画像形成装置であって、印刷画像を生成する際に、印刷ジョブに基づいて特定される所定の後処理(断裁や綴じ止め)を実施することによって印刷物では不可視となる、用紙束の所定の領域(断裁によって切り離される断片や綴じ止めによって表紙が貼り付けられる端面)に、特定の後処理に関する指示情報を付加する後処理指示部を備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムに関し、特に、後処理装置で後処理を実施する用紙束を出力する画像形成装置及び用紙束で後処理の指示を行う後処理指示方法並びに印刷画像を生成する装置で動作する後処理指示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやデジタル複合機などの印刷装置(以下、画像形成装置と呼ぶ。)が普及しており、画像形成装置では、コンピュータ端末から送信される印刷ジョブに基づいて画像を形成して用紙に印刷する。また、画像形成装置で印刷した用紙に対して、断裁や綴じ止めなど後処理を行って印刷物を作成する。
【0003】
ここで、少量の印刷では、後処理機能を備えた画像形成装置を用いて、印刷から後処理まで一貫して行う方法(オンラインフィニッシング)を用いることが主流であるが、PP(プロダクトプリンティング)では、印刷枚数が多く、また、様々な後処理が必要になるため、オンラインフィニッシング以外に、画像形成装置とは別の専用の後処理装置を用意し、画像形成装置で印刷を行った後、印刷済みの複数の用紙(用紙束と呼ぶ。)を後処理装置にセットして後処理を行う方法(オフラインフィニッシング)が用いられることも多い。
【0004】
その際、オンラインフィニッシングにおいては、印刷ジョブに従って自動的に後処理が実行されるため、作業者が後処理に関する指示を行う必要はないが、オフラインフィニッシングでは、画像形成装置で作成した用紙束を手動で後処理装置にセットする必要があるため、用紙束のセット方向を間違ってしまうといったオペレーションエラーが発生しやすくなる。
【0005】
このような問題に関して、例えば、下記特許文献1には、ジョブチケットに基づく後工程作業指示内容が記述された印刷用紙と、印刷データが印刷された印刷用紙とを異なる出力方法にて出力するようにして、出力物から所望とする後工程作業指示書を容易に認識できるようにする技術が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、紙葉のそれぞれ印刷画像領域の余白領域に、その印刷画像領域のページ番号類データをコード表示するコードマークを印刷しておき、丁合手段により紙葉をページ番号順に1枚ずつ搬送手段上に搬送しながら丁合し、読取手段により順次読み取られるコードマークと、基準データ記憶手段から読み出される基準ページ番号類データとの一致、不一致を照合判定手段にて判定して、異常丁合の発生を検査する技術が開示されている。
【0007】
また、下記特許文献3には、積載した状態の記録媒体の側面に所定の識別標識が現れるよう、所定の記憶媒体の縁部に所定のパターンを記録する手段を設けることにより、記録媒体を積載した状態において水平方向から見ただけで仕分け先等の識別を可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−33659号公報
【特許文献2】特開2000−263961号公報
【特許文献3】特開平1−310982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1では、後工程作業指示書と印刷データが印字された印刷用紙を異なる方法にて出力することによって、後処理工程の内容を認識しやすくしているが、この方法では、別紙の指示書を印刷する必要があり、また、指示書が別紙であるが故の指示ミスが発生しやすくなるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2では、バーコードを各ページ面に印刷し、後処理(丁合検査)等に利用しているが、この方法では、指示に用いたバーコードは基本的に各々の用紙に残存してしまうため、最終的な印刷物の見栄えが著しく損なわれてしまうという問題がある。
【0011】
また、特許文献3では、単純に紙の端部に情報を付加し、仕分け先等の識別を容易にしているが、この情報は、後処理と連動する情報では無く、また、この方法でも、付加した情報は用紙束に残存してしまう場合があるため、最終的な印刷物の見栄えが著しく損なわれてしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、最終的な印刷物の見栄えを損なうことなく、用紙束に対して適切に後処理を指示することができる画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、印刷ジョブに基づいて複数の用紙に印刷画像を印刷し、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を作成する画像形成装置であって、前記印刷画像を生成する際に、前記印刷ジョブに基づいて特定される所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加する後処理指示部を備えるものである。
【0014】
また、本発明は、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を作成する画像形成装置を用いた後処理指示方法であって、印刷ジョブに基づいて印刷画像を生成する第1ステップと、前記印刷画像を複数の用紙に印刷して前記用紙束を作成する第2ステップと、を少なくとも有し、前記第1ステップでは、前記印刷ジョブで所定の後処理が指示されている場合は、前記所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加するものである。
【0015】
また、本発明は、印刷ジョブに基づいて印刷画像を生成する装置で動作する後処理指示プログラムであって、前記印刷画像が印刷された複数の用紙は、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を構成するものであり、前記装置を、前記印刷画像を生成する際に、前記印刷ジョブに基づいて特定される所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加する後処理指示部として機能させるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムによれば、最終的な印刷物の見栄えを損なうことなく、用紙束に対して適切に後処理を指示することができる。
【0017】
その理由は、画像形成装置(後処理指示プログラム)では、オフラインの後処理装置によって後処理が実施される用紙束を構成する複数の用紙に形成する印刷画像を生成する際に、後処理を実施することによって最終的な印刷物では不可視となる、用紙束の所定の領域に、後処理に関する指示情報を認識可能に付加する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施例に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るコンピュータ端末の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を模式的に示す図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る後処理装置の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る後処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る後処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る後処理指示方法の一例を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第1の実施例に係る後処理指示方法の他の例を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第1の実施例に係る後処理指示方法の他の例を模式的に示す図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係る後処理指示方法の一例を模式的に示す図である。
【図13】本発明の第2の実施例に係る後処理指示方法の他の例を模式的に示す図である。
【図14】本発明の第2の実施例に係る後処理指示方法の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
背景技術で示したように、画像形成装置で用紙束を作成し、その用紙束を手動で後処理装置にセットして断裁や綴じ止めなどの後処理を行うオフラインフィニッシングでは、断裁や綴じ止めの方向を間違ってしまうといったオペレーションエラーが発生しやすくなる。そこで、用紙束とは別の指示書を印刷したり、用紙の印刷面に指示情報を印刷したり、用紙束の端面に指示情報を印刷したりする方法が提案されている。しかしながら、用紙束とは別の指示書を印刷する方法では、指示書を印刷する手間が生じ、指示ミスが生じやすくなる。また、用紙の印刷面や端面に指示情報を印刷する方法では、後処理後に指示情報が残存してしまうため、最終的な印刷物の見栄えが著しく損なわれてしまうという問題がある。
【0020】
ここで、後処理には、断裁や綴じ止め、折り、パンチなど様々な処理があるが、断裁では印刷物から断片を切り離すため、その断片にどのような情報が印刷されていても、最終的な印刷物の見栄えを損なうことはない。また、綴じ止めの内、用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける形態(例えば、くるみ製本)では、綴じ止めする端面は表紙に隠れて見えなくなり、また、綴じ止めする端面の近傍は見開いても見えないため、それらの領域にどのような情報が印刷されていても、最終的な印刷物の見栄えを損なうことはない。また、綴じ止めの内、用紙束の一端面近傍を綴じ合わせる形態(例えば、ステープル綴じ)では、綴じ合わせる端面の近傍は見開いても見えないため、その領域にどのような情報が印刷されていても、最終的な印刷物の見栄えを損なうことはない。
【0021】
そこで、本発明の一実施の形態では、オフラインフィニッシングにおいて、画像形成装置では、印刷画像を生成する際に、用紙束に対する後処理として断裁若しくは綴じ止めが指示されている場合には、断裁によって切り離される断片の任意の領域、若しくは、綴じ止めによって視認できなくなる領域に、断裁若しくは綴じ止めに対する指示情報(後処理装置にセットする面を示す文字情報や記号、記号、画像、後処理の条件を記録したコード情報など)を付加する。
【0022】
これにより、後処理に際して、作業者は用紙束に付加された指示情報を見ながら作業を行えばよいため、作業ミスを未然に防止することができ、かつ、付加された指示情報は、後処理によって切り離されたり、表紙に覆われて視認できなくなるため、最終的な印刷物の見栄えの悪化を防止することができる。
【実施例1】
【0023】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムについて、図1乃至図11を参照して説明する。図1は、本実施例の印刷システムの構成を示す図であり、図2は、コンピュータ端末の構成、図3及び図4は、画像形成装置の構成、図5及び図6は、後処理装置の構成を示す図である。また、図7及び図8は、画像形成装置と後処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図9乃至図11は、本実施例の後処理指示方法を模式的に示す図である。
【0024】
図1に示すように、本実施例の印刷システムは、印刷ジョブを作成して送信する1又は複数のコンピュータ端末10と、印刷ジョブを受信して用紙に印刷し、印刷済みの複数の用紙からなる用紙束51を出力する1又は複数の画像形成装置20と、用紙束51に対して後処理を行って最終的な印刷物(完成印刷物54と呼ぶ。)を出力する1または複数のオフラインの後処理装置30と、で構成される。コンピュータ端末10と画像形成装置20とは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク40によって接続されている。以下、各装置について詳細に説明する。
【0025】
[コンピュータ端末]
図2に示すように、コンピュータ端末10は、制御部11と、表示部12と、操作部13などで構成される。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ11b、HDD(Hard Disk Drive)11c、通信I/F部11dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU11aは、各部の制御を行う。メモリ11bは、HDD11c、通信I/F部11dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分であり、記憶されたデータはCPU11aによって処理され、必要に応じてHDD11cや通信I/F部11dに転送される。HDD11cは、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、印刷ジョブなどを格納し、これらはCPU11aにより必要に応じて読み出され、メモリ11b上で実行処理される。通信I/F部11dは、通信ネットワーク40を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0027】
上記制御部11は、文書を作成するためのアプリケーションや文書の印刷を指示するプリンタドライバとして機能し、アプリケーションで作成した文書データは、プリンタドライバにより、画像形成装置20で読み取り可能な言語(PCL(Printer Control Language)やPS(Post Script)などのPDL(Page Description Language))の印刷ジョブに変換され、通信I/F部11dを介して画像形成装置20に送信される。
【0028】
表示部12は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置等からなり、画像形成装置20へ送信する印刷ジョブを設定するためのプリンタドライバ画面やプロパティ画面、後処理条件を設定する画面等を表示する。
【0029】
操作部13は、表示部12上に表示された情報を操作したり、情報を入力したりする部分であり、ポインティングデバイス、キーボード、トラックボール、トラックパッド、タブレット、及びスタイラスペンなどで構成される。
【0030】
[画像形成装置]
図3及び図4に示すように、画像形成装置20は、制御部21と、ADF(Auto Document Feeder:自動原稿送り装置)22と、画像読取部23と、表示部24と、操作部25と、給紙部26と、画像形成部27と、排紙部28などで構成される。
【0031】
制御部21は、各構成部を制御する部分で、CPU21a、ROMやRAMなどのメモリ21b、HDD21c、通信I/F部21dなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU21aは各部の制御などを行う。メモリ21bは、HDD21c、画像読取部23、通信I/F部21dから読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分で、記憶されたデータはCPU21aによって画像処理され、必要に応じてHDD21cや画像形成部27に転送される。HDD21cは、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報などを格納し、これらはCPU21aにより必要に応じて読み出され、メモリ21b上で実行処理される。通信I/F部21dは、通信ネットワーク40を介して繋がっている機器との接続を確立し、データの送受信を実行する。
【0032】
上記制御部21は、印刷ジョブの各ページをラスタライズしてページ毎の印刷画像を生成し、必要に応じて画像処理(色調整、濃度調整、スライドや縮小などの処理)やスクリーニングを行い、画像形成部27で印刷可能な印刷画像データを出力する画像処理部としても機能する。
【0033】
また、制御部21は、印刷ジョブで設定された情報(後処理の種類(本実施例では「断裁」)、用紙束の用紙枚数、用紙の厚み等)に基づいて、断裁によって本体から切り離される部分(以下、断片53と呼ぶ。)を特定し、ページ毎の印刷画像を生成する際に、断片53となる部分の所定の領域に、後処理装置30にセットする方向を示す文字などの後処理に関する情報(以下、後処理指示情報と呼ぶ。)を付加する後処理指示部としても機能する。この後処理指示部はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを後処理指示部として機能させる後処理指示プログラムとして構成し、この後処理指示プログラムを制御部21上で実行する構成としてもよい。
【0034】
ADF22は、単数もしくは複数枚の原稿用紙を自動で画像読取部23へ搬送する部分である。
【0035】
画像読取部23は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0036】
表示部24は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、画像形成装置20を操作するための画面等を表示する。また、操作部25は、ボタンやスイッチ等からなり、各種設定や指示を行う。なお、表示部24と操作部25は別々の装置としても良いし、表示部24上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)25を設けた一体の装置としてもよく、タッチパネルの場合は、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部21に出力する。
【0037】
給紙部26は、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイで構成される。また、格納された用紙を画像形成部27へ送り出す部分を含む。
【0038】
画像形成部27は、電子写真方式や静電記録方式等の作像プロセスを利用した画像形成に必要な構成要素で構成され、画像読取部23で読み取った画像、あるいは通信I/F部21dを介して受け取った印刷ジョブに基づいて生成された印刷画像と、後処理指示情報を表す画像とを、指定された用紙上に形成する。
【0039】
排紙部28は、印刷画像が形成された複数の用紙を用紙束51として排出する。
【0040】
[後処理装置]
図5及び図6に示すように、後処理装置30は、制御部31、表示部32、操作部33、給紙部34、画像読取部35、後処理部36、排紙部37などで構成される。
【0041】
制御部31は、各構成部を制御する部分で、CPU31a、ROMやRAMなどのメモリ31b、HDD31cなどを備え、これらはバスを介して接続されている。CPU31aは各部の制御並びに画像読み取り処理などを行う。メモリ31bは、画像読取部35、HDD31から読み込んだ種々のデータを一時的に記憶する部分で、記憶されたデータはCPU31aによって画理され、必要に応じてHDD31cに転送される。HDD31cは、CPU31aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、バーコードパターンなどを格納し、それらはCPU31aにより必要に応じて読み出され、メモリ31b上で実行処理される。
【0042】
表示部32は、液晶表示装置や有機EL表示装置等からなり、後処理装置30を操作するための画面等を表示する。また、操作部33は、ボタンやスイッチ等からなり、後処理の詳細設定や種々の操作(例えば、「自動バーコード設定」の指示)ができる構成となっている。なお、表示部32と操作部33は別々の装置としても良いし、表示部32上に、透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)33を設けた一体の装置としてもよい。
【0043】
給紙部34は、画像形成装置20で作成された用紙束51を載置する部分であり、搭載した用紙束51を画像読取部35又は後処理部36へ送り出す。
【0044】
画像読取部35は、用紙束51の断片53に印刷された画像を光学的に読み取る部分であり、用紙束51の断片53を走査する光源と、断片53で反射された光を電気信号に変換するCCD等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0045】
後処理部36は、断裁実行部36a、バインド実行部36b、折実行部36cなどで構成され、給紙部34から搬送される用紙束51対して、制御部31からの指示により、断裁・綴じ止め、折りなどのユーザの希望するフィニッシング処理を加えて出力する。
【0046】
断裁実行部36aは、後処理部36のフィニッシング機能のうちのひとつである「断裁」を実行する部分である。断裁の形式は、三方断裁、四方化粧断裁等、複数種類が用意されており、制御部31からの指示により、選択された形式に従って断裁を実行する。
【0047】
バインド実行部36bは、後処理部36のフィニッシング機能のうちのひとつである「綴じ止め」を実行する部分である。綴じ止めの形式は、くるみ製本(無線綴じ)、ステープル綴じ等、複数種類が用意されており、制御部31からの指示により、選択された形式に従って綴じ止めを実行する。
【0048】
折実行部36cは、後処理部36のフィニッシング機能のうちひとつである「折り」を実行する部分である。折の形式は、中折、3つ折り、Z折等、複数種類が用意されており、制御部31からの指示により、選択された形式に従って折を実行する。
【0049】
排紙部37は、後処理後の印刷物(完成印刷物54)を排出する。
【0050】
なお、図5及び図6では、後処理部36として、断裁実行部36aとバインド実行部36bと折実行部36cとを備える構成を示したが、本実施例では、少なくとも断裁実行部36aを備えていればよい。また、図5及び図6では、後処理装置30に画像読取部35を設け、用紙束51の断片53に印刷された後処理指示情報を自動的に読み取る構成としているが、後処理指示情報を作業者が目視で確認する場合は、画像読取部35を省略することができる。
【0051】
また、図1では、印刷システムをコンピュータ端末10と画像形成装置20と後処理装置30とで構成したが、印刷ジョブに基づいて印刷画像を生成するRIP(Raster Image Processor)コントローラ等の制御装置を通信ネットワーク40に接続してもよく、その場合は、制御装置の制御部を後処理指示部として機能させることができる。
【0052】
以下、上記構成の印刷システムの動作について説明する。
【0053】
まず、コンピュータ端末10の制御部11(プリンタドライバ)は、印刷条件(用紙の種類、印刷部数等)及び後処理条件(後処理の有無、種類等)を設定するための画面を表示部12に表示させる。そして、ユーザが操作部13を操作して印刷条件及び後処理条件を設定すると、制御部11(プリンタドライバ)は、JDF(Job Definition Format)などの印刷ジョブを作成し、通信ネットワーク40を介して、作成した印刷ジョブを画像形成装置20に送信する。
【0054】
次に、画像形成装置20の動作について、図7のフローチャート図を参照して説明する。
【0055】
画像形成装置20の制御部21は、通信ネットワーク40を介して、コンピュータ端末10から印刷ジョブを受信すると、当該印刷ジョブに埋め込まれている後処理情報(後処理の種類及びその条件)及び用紙に関する情報(用紙の種類や枚数)を取得し、取得した情報をメモリ21bに保持する(S101)。なお、後処理情報や用紙に関する情報は、印刷ジョブから取得する方法に限らず、MIB(Management Information Base)テーブルに保持されている情報をSNMP(Simple Network Management Protocol)により取得する方法や、XML(Extensible Markup Language)データをHTTP(Hypertext Transfer Protocol)もしくはHTTPs(Hypertext Transfer Protocol Security)により取得する方法などを用いることもできる。
【0056】
次に、制御部21は、取得した情報に基づいて、受信した印刷ジョブが後処理装置30を利用するジョブであるか否かを判断する(S102)。後処理装置30を利用しないジョブの場合は、制御部21は、印刷ジョブの各ページをラスタライズし、ラスタライズ後の印刷画像データを画像形成部27に送付する(S107)。一方、後処理装置30を利用するジョブの場合は、制御部21は、取得した情報に基づいて、断裁によって切り離される断片53に後処理指示情報を付加するか否かを判断する(S103)。
【0057】
例えば、後処理の種類が断裁の場合は、断片53に後処理指示情報を付加しても完成印刷物54の見栄えは悪化しないため、後処理指示情報を付加すると判断する。なお、ここでは、後処理指示情報を付加するか否かを制御部21が判断する構成としているが、後処理指示情報を付加するか否かをユーザに選択させる画面を表示部24に表示させ、ユーザの指示に従って、後処理指示情報を付加するか否かを決定してもよい。
【0058】
後処理指示情報を付加しない場合は、上記と同様に、制御部21は、印刷ジョブの各ページをラスタライズし、ラスタライズ後の印刷画像データを画像形成部27に送付する(S107)。一方、後処理指示情報を付加する場合は、制御部21(後処理指示プログラム)は、用紙の種類及び枚数から、当該印刷ジョブによって作成される用紙束51が後処理指示情報を付加できる厚みであるか否かを判断する(S104)。
【0059】
例えば、用紙厚さ×枚数で算出される用紙束51の厚みが10mm以上の場合は、それぞれの用紙の縁領域に、後処理指示情報を表す画像を短冊状に分割(スライス)した分割画像を印刷することによって、用紙束51の端面に後処理指示情報が認識可能(読み取れる程度)に付加できると判断する。なお、ここでは、用紙束51の端面に後処理指示情報を付加するため、用紙束51の厚みを判断しているが、後述するように、後処理指示情報を1枚目の用紙の表面に付加する場合は用紙束51の厚みを判断する必要はない。
【0060】
用紙束51に十分な厚みがない場合は、後処理指示情報を付加することができないため、上記と同様に、制御部21は、印刷ジョブの各ページをラスタライズし、ラスタライズ後の印刷画像データを画像形成部27に送付する(S107)。なお、その際に、厚みが不足しているために後処理指示情報が付加できないことを知らせる警告メッセージを表示してもよい。また、後処理指示情報が付加できない事態を防ぐために、コンピュータ端末10のプリンタドライバで印刷条件を設定する際に、用紙束51の端面に印刷可能な文字の大きさを明示しても良い。
【0061】
一方、用紙束51に十分な厚みがある場合は、制御部21(後処理指示プログラム)は、断片53に後処理指示情報を明示する画像を作成する(S105)。例えば、後処理指示情報が文字の場合は、その文字を用紙束51の用紙枚数で短冊状に分割(スライス)した分割画像を作成する。そして、制御部21(後処理指示プログラム)は、印刷ジョブの各ページをラスタライズする時に、各ページに、そのページに対応する分割画像を合成し、合成した印刷画像データを画像形成部27に送付する(S106)。
【0062】
次に、画像形成部27は、送付された印刷画像データに基づく印刷画像を各用紙に印刷し(S108)、排紙部28に印刷済みの複数の用紙50からなる用紙束51を出力する(S109)。
【0063】
断片53に後処理指示情報を認識可能に付加する例について、図9乃至図11を参照して具体的に説明する。なお、図9乃至図11は、用紙束51の一辺を切り落とす場合の例であるが、二辺若しくは三辺を切り落とす場合も同様に適用することができる。
【0064】
例えば、断片53の端面に「断裁面」や「フィニッシャーセット面」、「CUT SIDE」などの文字(本実施例では「断裁面」の文字とする。)を付加する場合は、図9(a)、(b)に示すように、各々の用紙50の断片53側の縁領域に、「断裁面」の文字を短冊状に分割した分割画像を付加する。例えば、用紙束51の用紙枚数が50枚であるとすると、「断裁面」の文字を短冊状に分割して50個の分割画像を生成し、各々の用紙50の断片53側の縁領域に、生成した分割画像を順次付加する。そして、分割画像を付加した用紙50を束ねると、図9(c)に示すように、排紙部28に出力される用紙束51の断片53の端面に、「断裁面」の文字が認識可能に出現するようになる。
【0065】
なお、図9では、用紙束51を構成する用紙50に連続して分割画像を付加したが、後処理指示情報が認識可能であれば、断続的(例えば、1枚おき)に分割画像を付加してもよい。また、図9では、全ての用紙50に分割画像を付加したが、用紙束51の厚みよりも小さいサイズの後処理指示情報を付加する場合は、用紙束51を構成する一部の用紙50(例えば、積層方向の中央部分の用紙50のみ)に分割画像を付加してもよい。
【0066】
また、図9では、断片53側の端面に後処理指示情報を認識可能に付加する例を示したが、断片53は最終的に用紙束51から切り離されるため、断片53の任意の領域に後処理指示情報を付加することができる。
【0067】
例えば、図10(a)に示すように、断片53の上面(用紙束51の最上部の用紙50の断片53内の領域)に後処理指示情報(例えば、「断裁面」の文字)を付加することもできる。この構成では、用紙束51の中の1枚の用紙50に後処理指示情報を付加すればよいため、後処理指示情報を付加する処理を簡便にすることができる。また、用紙束51の端面に文字を付加する場合は、用紙束51を構成する用紙50の枚数が少ないと、文字が用紙50の積載方向に圧縮されて潰れてしまうため、文字が読み取り難くなる可能性があるが、用紙束51の上面に付加する場合は、このような問題が生じることがなく、後処理指示情報を確実に作業者に認識させることができる。
【0068】
また、後処理装置30の給紙部34の構造によっては、用紙束51の断片53側の端面が見えにくい場合もある。そのような場合には、断片53側の端面に代えて、若しくは、断片53側の端面と共に、図10(b)に示す領域に後処理指示情報(例えば、「断裁面」の文字)を付加してもよい。
【0069】
また、ここでは、後処理指示情報として「断裁面」の文字を付加する場合について記載したが、後処理装置30の画像読取部35で後処理指示情報を読み取る場合は、文字に代えて、若しくは、文字と共に、図10(c)に示すようなバーコードやQRコードのようなコード情報を断片53内の任意の場所(端面や表面など)に付加することもできる。このコード情報に後処理条件を記録しておけば、後処理装置30で後処理を実施する際に、作業者が後処理条件を設定する手間を省くことができる。
【0070】
また、後処理指示情報で用紙束51をセットする方向を指示する場合は、文字やコード情報に代えて、若しくは、文字やコード情報と共に、図10(d)に示すような矢印などの記号や図形、断裁処理を模式的に表す画像(ピクトグラム)を断片53内の任意の場所(端面や表面など)付加することもできる。ピクトグラムを付加した場合、日本語を理解できない外国人であっても、ピクトグラムを見ればどのような後処理を行えばよいかを容易に認識することができるため、作業ミスを低減することができる。
【0071】
また、断片53の端面で後処理指示情報が視認できるようにするためには、各用紙50の縁領域に印刷する必要があるが、LBP(Laser Beam Printer)では、用紙の縁まで印刷を行うと、転写部にトナーが堆積し、高圧電流がリークしたり、用紙の裏面が汚れたりするという問題が生じる。そのような場合は、例えば、図11に示すように、用紙の縁から多少内側の領域(いわゆる縁あり印刷で印刷可能な領域)に後処理指示情報を印刷することもできる。この構成の場合、各々の用紙50を正しく積層すると後処理指示情報は視認できなくなるが、図11(b)に示すように、用紙束51を構成する各々の用紙50をずらすことによって後処理指示情報が視認可能に出現するようになる。
【0072】
次に、後処理装置30の動作について、図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0073】
まず、作業者は、上記フローで作成した用紙束51を後処理装置30の給紙部34にセットする。その際、本実施例の用紙束51には、断片53の上面や端面などに後処理指示情報が認識可能に付加されているため、この後処理指示情報を参照することによって、用紙束51を正しい方向にセットすることができる。なお、図11の形態の場合は、作業者が用紙束51をずらして給紙部34にセットしてもよいし、画像読取部35がスキャンする際に用紙束51をずらす動作を行ってもよい。また、後処理装置30の給紙部34に、用紙をセットするガイダンス(例えば、「断裁面」と記載された面を給紙部に押し当ててくださいといった案内)を表示したり報知したりしてもよく、このような処理を行うことにより、作業ミスをより確実に防止することができる。
【0074】
次に、後処理装置30の制御部31は、後処理の設定メニュー画面を表示部32に表示させる(S201)。この設定メニュー画面では、コード情報を利用するか否かが選択できるようになっており、作業者は、後処理装置30の画像読取部35にコード情報を読み取らせるか否かを設定する。
【0075】
次に、制御部31は、設定メニュー画面でコード情報を利用するように設定されたかを判断し(S202)、コード情報を利用しない設定の場合は、設定メニュー画面に後処理に関する各種項目を表示して作業者に後処理条件を設定させる(S209)。一方、コード情報を利用する設定の場合は、画像読取部35に、用紙束51の断片53の上面や端面などに印刷されたコード情報(例えば、図10(c)に示すようなバーコード)のスキャンを開始させる(S203)。なお、コード情報には後処理条件が記録されているものとする。
【0076】
次に、制御部31は、画像読取部35がコード情報を読み取ったかを判断する(S204)。コード情報を読み取れなかった場合は、コード情報の読み取りエラーを通知するエラー画面などを表示部32に表示させ(S207)、その後、設定メニュー画面に後処理に関する各種項目を表示して作業者に後処理条件を設定させる(S209)。
【0077】
コード情報を読み取りができた場合は、制御部31は、コード情報に基づく処理が可能であるかを判断する(S205)。コード情報に基づく処理ができない場合(例えば、断裁機能を備えていない後処理装置30に対して断裁が指示された場合)は、コード情報に基づく処理ができないことを通知する警告画面などを表示部32に表示させ(S208)、その後、設定メニュー画面に後処理に関する各種項目を表示して作業者に後処理条件を設定させる(S209)。一方、コード情報に基づく処理が可能な場合は、制御部31は、コード情報に従って後処理条件の設定を行う(S206)。
【0078】
そして、制御部31は、コード情報に従って設定、若しくは、設定メニュー画面を用いて作業者が設定した後処理条件に従って、後処理部36に所定の後処理(本実施例では、用紙束51を断裁線52で断裁する処理)を実施させて(S210)、後処理指示情報が付加された断片53を切り離し(図9(d)及び図11(d)参照)、完成印刷物54を排紙部37に出力させる(S211)。
【0079】
このように、オフラインの後処理装置30を用いて断裁を行う場合、画像形成装置20では、本体から切り離して削除する断片53の上面や端面に、断裁に関する情報を示す文字や記号、図形、画像、コード情報などの後処理指示情報を認識可能に付加するため、作業ミスを未然に防止できると共に、後処理指示情報が完成印刷物54に残存することによる見栄えの悪化を防止することができる。
【実施例2】
【0080】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像形成装置及び後処理指示方法並びに後処理指示プログラムについて、図12乃至図14を参照して説明する。図12乃至図14は、本実施例の後処理指示方法を模式的に示す図である。
【0081】
前記した第1の実施例では、後処理として断裁を例にして説明したが、くるみ製本のように用紙束51の端面を表紙で覆う場合は、その端面に後処理指示情報が残存しても、完成印刷物54の見栄えを損なうことはない。そこで、本実施例では、後処理として綴じ止めを実施する場合について記載する。
【0082】
本実施例の場合、印刷システムを構成するコンピュータ端末10、画像形成装置20、後処理装置30の基本構成は、第1の実施例の図1乃至図6と同様であるが、画像形成装置20の制御部21は、印刷ジョブで設定された情報(綴じ止めの種類(くるみ製本、テープ綴じ、ステープル綴じなど)、用紙束の用紙枚数、用紙の厚み、表紙の種類等)に基づいて、綴じ止めによって隠れる部分(以下、不可視部55と呼ぶ。)を特定し、ページ毎の印刷画像を生成する際に、不可視部55に後処理指示情報を付加する後処理指示部として機能することになる。また、後処理装置30の後処理部36は、少なくともバインド実行部36bを備えていればよい。
【0083】
以下、不可視部55に後処理指示情報を認識可能に付加する例について、図12乃至図14を参照して説明する。
【0084】
図12は、後処理として、用紙束51を表紙で包む製本(例えば、くるみ製本)が実施される場合の例である。この場合、本の背になる端面は表紙部材56が貼り付けられ、完成印刷物54では背になる端面は視認できなくなり、また、綴じ合わせた部分近傍(背になる端面の近傍の用紙50の表裏面)も視認できなくなるため、この部分(不可視部55)に後処理指示情報が印刷されていても、完成印刷物54の見栄えが悪化することはない。
【0085】
そこで、第1の実施例と同様に、制御部21(後処理指示プログラム)は、綴じ止めを行う面を指示する「とじ面」や「フィニッシャーセット面」などの文字を付加する場合は、図12(a)、(b)に示すように、各々の用紙50の不可視部55側の縁領域に、「とじ面」の文字を短冊状に分割(スライス)した分割画像を付加する。例えば、用紙束51の用紙枚数が50枚であるとすると、「とじ面」の文字を短冊状に分割して50個の分割画像を生成し、各々の用紙50の不可視部55側の縁領域に、生成した分割画像を順次付加する。そして、分割画像を付加した用紙50を束ねると、図12(c)に示すように、排紙部28に出力される用紙束51の綴じ止めする端面に、「とじ面」の文字が認識可能に出現することになる。
【0086】
なお、図12では、用紙束51を構成する全ての用紙50に分割画像を付加したが、後処理指示情報が認識可能であれば、断続的(例えば、1枚おき)に分割画像を付加してもよいし、用紙束51の厚みよりも小さいサイズの後処理指示情報を付加する場合は、用紙束51を構成する一部の用紙50(例えば、積層方向の中央部分の用紙50のみ)に分割画像を付加してもよい。
【0087】
また、図12では、用紙束51の表面及び裏面を完全に覆うように表紙部材56を被せたが、例えば、13(a)に示すように、背となる端面近傍をテープで綴じ止めする手法(テープ綴じ)であっても、完成印刷物54では、不可視部55に付加された後処理指示情報を隠すことができる。
【0088】
また、図12では、後処理指示情報として「とじ面」の文字を認識可能に印刷する場合について記載したが、後処理装置30の画像読取部35で後処理指示情報を自動的に読み取る場合は、文字に代えて、若しくは、文字と共に、図13(b)に示すようなバーコードやQRコードのようなコード情報を印刷することもできる。
【0089】
また、後処理指示情報で用紙束51をセットする方向を指示する場合は、文字やコード情報に代えて、若しくは、文字やコード情報と共に、矢印などの記号や図形、綴じ止め処理を模式的に表す画像(ピクトグラム)を付加することもできる。図13(c)に示すようなピクトグラムを付加した場合、日本語を理解できない外国人であっても、ピクトグラムを見ればどのような後処理を行えばよいかを容易に認識することができるため、作業ミスを低減することができる。
【0090】
また、綴じ止めする端面で後処理指示情報が視認できるようにするためには、各用紙50の縁領域に印刷する必要があるが、用紙の縁まで印刷を行うと、転写部にトナーが堆積し、高圧電流がリークしたり、用紙の裏面が汚れたりするという問題が生じる。そのような場合は、例えば、図14に示すように、用紙の縁から多少内側の領域に後処理指示情報を印刷することもできる。
【0091】
この構成の場合、図14(b)に示すように、用紙束51を構成する各々の用紙50をずらすことによって後処理指示情報を視認することができ、かつ、図14(c)に示すように、各々の用紙50を正しく積層すると後処理指示情報は視認できなくなるため、綴じ止めする端面を表紙部材56で覆わなくても、完成印刷物54の見栄えが悪化することはない。従って、用紙束51を表紙部材56で覆う「くるみ製本」のような形態に限らず、図14(d)に示すように、ステープル針57で綴じ止めする「ステープル綴じ」のような形態に対しても適用することができる。
【0092】
但し、「ステープル綴じ」の場合は、最上部の用紙50は露出した状態になるため、最上部の用紙50には後処理指示情報を印刷しないことが好ましい。また、綴じ止めした用紙束50を大きく見開くと、後処理指示情報が見えてしまう場合もあることから、後処理指示情報を印刷する領域が用紙50の縁からあまり内側にならないようにしたり、後処理指示情報を付加する位置に合わせてステープルの位置を調整したりすることが好ましい。
【0093】
このように、オフラインの後処理装置30を用いて綴じ止めを行う場合、画像形成装置20では、表紙部材56によって隠れる綴じ止めする端面などに、綴じ止めに関する情報を示す文字や記号、図形、画像、コード情報などの後処理指示情報を認識可能に付加するため、作業ミスを未然に防止できると共に、後処理指示情報が完成印刷物54に残存することによる見栄えの悪化を防止することができる。
【0094】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0095】
例えば、第1の実施例では断裁について記載し、第2の実施例では綴じ止めについて記載したが、これらの後処理を組み合わせる場合に対しても同様に適用することができる。その場合において、断裁する辺と綴じ止めする辺が異なる場合は、断片53内の領域と不可視部55の双方に後処理指示情報を付加することができる。
【0096】
また、上記実施例では、後処理として、断裁と綴じ止め(くるみ製本、テープ綴じ、ステープル綴じ)を例にして説明したが、パンチ処理の場合、穴を開ける部分に後処理指示情報(例えば、給紙部34にセットする方向を示す矢印など)を印刷することもでき、この構成でも、作業ミスを未然に防止できると共に、後処理指示情報が完成印刷物54に残存することによる見栄えの悪化を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、オフラインの後処理装置で後処理を行う用紙束を出力する画像形成装置、用紙束を構成する複数の用紙に形成する印刷画像を生成する制御装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 コンピュータ端末
11 制御部
11a CPU
11b メモリ
11c HDD
11d 通信I/F部
12 表示部
13 操作部
20 画像形成装置
21 制御部
21a CPU
21b メモリ
21c HDD
21d 通信I/F部
22 ADF
23 画像読取部
24 表示部
25 操作部
26 給紙部
27 画像形成部
28 排紙部
30 後処理装置
31 制御部
31a CPU
31b メモリ
31c HDD
32 表示部
33 操作部
34 給紙部
35 画像読取部
36 後処理部
36a 断裁実行部
36b バインド実行部
36c 折実行部
37 排紙部
40 通信ネットワーク
50 用紙
51 用紙束
52 断裁線
53 断片
54 完成印刷物
55 不可視部
56 表紙部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブに基づいて複数の用紙に印刷画像を印刷し、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を作成する画像形成装置であって、
前記印刷画像を生成する際に、前記印刷ジョブに基づいて特定される所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加する後処理指示部を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、最上部の用紙の前記断片側の領域に、前記指示情報を表す画像を付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理、若しくは、前記用紙束の前記一端面近傍を綴じ合わせるステープル処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記各々の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記後処理指示部は、前記印刷ジョブに基づいて前記用紙束の厚みを算出し、前記用紙束の厚みが予め定めた閾値以上の場合に、前記指示情報を付加する処理を実行する、ことを特徴とする請求項2、4乃至6のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記指示情報は、前記用紙束を前記後処理装置に載置する方向を指示する文字、図形、記号、画像、若しくは、前記所定の後処理の条件を記録したコード情報である、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項9】
後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を作成する画像形成装置を用いた後処理指示方法であって、
印刷ジョブに基づいて印刷画像を生成する第1ステップと、
前記印刷画像を複数の用紙に印刷して前記用紙束を作成する第2ステップと、を少なくとも有し、
前記第1ステップでは、前記印刷ジョブで所定の後処理が指示されている場合は、前記所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加する、ことを特徴とする後処理指示方法。
【請求項10】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記第1ステップでは、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項9に記載の後処理指示方法。
【請求項11】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記第1ステップでは、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、最上部の用紙の前記断片側の領域に、前記指示情報を表す画像を付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項9に記載の後処理指示方法。
【請求項12】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記第1ステップでは、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項9に記載の後処理指示方法。
【請求項13】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理であり、
前記第1ステップでは、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項9に記載の後処理指示方法。
【請求項14】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理、若しくは、前記用紙束の前記一端面近傍を綴じ合わせるステープル処理であり、
前記第1ステップでは、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記各々の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項9に記載の後処理指示方法。
【請求項15】
前記第1ステップでは、前記印刷ジョブに基づいて前記用紙束の厚みを算出し、前記用紙束の厚みが予め定めた閾値以上の場合に、前記指示情報を付加する処理を実行する、ことを特徴とする請求項10、12乃至14のいずれか一に記載の後処理指示方法。
【請求項16】
前記指示情報は、前記用紙束を前記後処理装置に載置する方向を指示する文字、図形、記号、画像、若しくは、前記所定の後処理の条件を記録したコード情報である、ことを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一に記載の後処理指示方法。
【請求項17】
印刷ジョブに基づいて印刷画像を生成する装置で動作する後処理指示プログラムであって、
前記印刷画像が印刷された複数の用紙は、後処理装置で後処理を実施することにより印刷物として完成する用紙束を構成するものであり、
前記装置を、
前記印刷画像を生成する際に、前記印刷ジョブに基づいて特定される所定の後処理を実施することによって前記印刷物では不可視となる、前記用紙束の所定の領域に、前記所定の後処理に関する指示情報を付加する後処理指示部として機能させる、ことを特徴とする後処理指示プログラム。
【請求項18】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項17に記載の後処理指示プログラム。
【請求項19】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、最上部の用紙の前記断片側の領域に、前記指示情報を表す画像を付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項17に記載の後処理指示プログラム。
【請求項20】
前記所定の後処理は、断裁線に沿って前記用紙束を断裁して断片を切り離す断裁処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記断片側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項17に記載の後処理指示プログラム。
【請求項21】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記複数の用紙を束ねた時に、前記用紙束の端面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項17に記載の後処理指示プログラム。
【請求項22】
前記所定の後処理は、前記用紙束の一端面を覆うように表紙を貼り付ける製本処理、若しくは、前記用紙束の前記一端面近傍を綴じ合わせるステープル処理であり、
前記後処理指示部は、前記印刷画像を生成する際に、前記用紙束を構成する複数の用紙の内の、少なくとも一部の用紙の前記一端面側の縁から所定の距離だけ内側の領域に、前記指示情報を表す画像を短冊状に分割した分割画像を順次付加し、前記各々の用紙をずらして束ねた時に、前記用紙束の上面で、前記指示情報を認識できるようにする、ことを特徴とする請求項17に記載の後処理指示プログラム。
【請求項23】
前記後処理指示部は、前記印刷ジョブに基づいて前記用紙束の厚みを算出し、前記用紙束の厚みが予め定めた閾値以上の場合に、前記指示情報を付加する処理を実行する、ことを特徴とする請求項18、20乃至22のいずれか一に記載の後処理指示プログラム。
【請求項24】
前記指示情報は、前記用紙束を前記後処理装置に載置する方向を指示する文字、図形、記号、画像、若しくは、前記所定の後処理の条件を記録したコード情報である、ことを特徴とする請求項17乃至23のいずれか一に記載の後処理指示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−236322(P2012−236322A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106285(P2011−106285)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】