説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】接触帯電方式を採用した場合であっても、帯電ムラ及び転写メモリの発生が少なく、優れた画像特性を長期に渡り維持することができる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、帯電手段と除電手段との間には、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、当該均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、導電性ブラシから電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真感光体を用いた画像形成装置及び画像形成方法に関する。特に、付着粒子をならすための均一化手段に対して電圧を印加するにあたり、当該均一化手段に含まれる往復動手段に対して電圧を印加することにより、優れた導通安定性を維持することができる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、コピー等に用いられる画像形成装置は、電子写真感光体の周囲に、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、この帯電した感光体表面を露光して潜像を形成する露光手段と、この潜像にトナーを転写させて現像する現像手段と、このトナーを記録紙に転写して画像化する転写手段と、転写後の感光体表面に残留する残留電位を消去する除電手段と、を順次配置した画像形成プロセスが採用されている。
ここで、かかる帯電手段としては、電子写真感光体表面に対して帯電ローラ等の帯電部材を直接接触させる接触帯電方式と、コロナ帯電器を用いて感光体表面をコロナ帯電させる非接触帯電方式と、があるが、全体構成が簡易であり、オゾン等の有害物質の発生もないことから、接触帯電方式がより多く実用化されてきている。
しかしながら、この接触帯電方式は、電子写真感光体表面と帯電部材とが直接接触していることに起因して様々な問題が生じる。例えば、電子写真感光体表面に残留した現像剤成分である粒子が帯電部材表面に付着して帯電ムラが発生したり、また、帯電ローラに対して電源供給するにあたり、電源と帯電ローラとの接続端子部分が、帯電ローラの振動に起因して電気的に不安定となり、帯電ムラが発生したりする。また、このような帯電ムラの問題は、転写後の表面に帯電極性と逆極性の電位が残留する、いわゆる転写メモリの存在によってより顕著になる傾向にある。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、図9に示すように、接触帯電方式を採用した画像形成装置であって、接触式一次帯電ローラ202と、現像手段204と、転写手段206と、前露光ランプ209と、を備えた画像形成装置200において、帯電ローラ202の上流側に、帯電ローラ202と同極性に帯電する接触式前帯電ローラ208を備えることで、接触式一次帯電ローラと逆極性に帯電している感光体表面を、前帯電ローラにより同極性まで引き上げて、転写メモリを消去することができる画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、図10に示すように、接触帯電方式を採用した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジであって、帯電ローラ402を電子写真感光体表面に対して押し付ける手段として、バネ405、406を用いるとともに、当該バネ405、406及び給電部材409を介して帯電ローラ402に電圧を印加することにより、電子写真感光体表面を所定電位に帯電させることができるプロセスカートリッジ400が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6ー83249号公報(特許請求の範囲、図1)
【特許文献2】特許3039693号公報(特許請求の範囲、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置は、発生した転写メモリを、前帯電ローラ208により直接的に消去する方法であって、電子写真感光体表面上に残留した異物が帯電ローラ202に付着したような場合には、やはり、帯電ムラや画像上の濃度ムラが発生するという問題が見られた。
また、特許文献2に記載のプロセスカートリッジは、バネを介して電源供給することで構成が簡素化されて組立作業性は向上するものの、ここで用いられるバネは、あくまで帯電ローラを感光体表面に一定圧力で押し付けるための押圧手段であって、例えば、所定振幅で連続的に振動するような往復運動への適用は十分考慮されていなかった。
また、特許文献2は、帯電ローラを感光体表面に対して押し付けるために用いるバネに対する電気接続であって、この帯電ローラとは異なる目的で配置された、転写メモリ消去のための前帯電手段への適用については十分考慮されていなかった。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、導電性ブラシが往復動(スラスト)する均一化手段を備えた画像形成装置を用いることにより、電子写真感光体表面に付着している粒子を均一に平坦化させ、感光体表面の帯電状態を安定化させるとともに、当該均一化手段に含まれる往復動手段に対して電圧を印加することにより、例えば、当該往復動手段の支点となる固定端に対して電圧を印加することができるため、優れた導通安定性を発揮して、帯電特性を更に向上させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、電子写真感光体表面と接触して配置される均一化手段に対して、電子写真感光体表面に付着した微粒子をならす機能と、電子写真感光体上に形成された転写メモリを消去する機能と、の双方を付加するとともに、当該均一化手段への電圧印加が安定的に為される構造を備えることにより、優れた画像特性を長期に渡り維持することができる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、帯電手段と除電手段との間には、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、当該均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、導電性ブラシから電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする画像形成装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の画像形成装置によれば、往復動する均一化手段により電子写真感光体表面の付着粒子をならすとともに、この連続的に往復動する均一化手段において、例えば、当該往復動と連動しない固定された箇所を介して、電圧印加手段から導電性ブラシに対して電圧を印加することにより、その導通安定性を半恒久的に維持することができる。
【0007】
また、本発明を構成するにあたり、往復動手段は、導電性ブラシを所定方向に付勢するための付勢手段を含み、当該付勢手段の一端を、導電性ブラシと接続された可動端とし、付勢手段の他端を、往復動に連動しない固定端とし、当該固定端に対して電圧印加手段が電気接続してあることが好ましい。
このように構成することにより、この付勢手段に対して、電圧印加手段との接続部分を支点とした往復運動を生じさせ、その接続部分を常時固定しておくことができる。その結果、電圧印加手段と往復動手段との間で優れた導通安定性が発揮され、効果的に転写メモリを消去することができる。
【0008】
また、本発明を構成するにあたり、付勢手段がバネ部材からなることが好ましい。
このように構成することにより、バネ部材が、導電性ブラシと電圧印加手段との間を電気接続するための導線としての役割を果たし、その径や長さを変更することで、容易にその電気伝導性を変更することができる。
【0009】
また、本発明を構成するにあたり、往復動手段は、電子写真感光体の端部に同心で結合されたドラムギアと、当該ドラムギアと噛合するスラストギアと、当該スラストギアと同心で結合され外側側面に傾斜面を有しているカム円盤と、導電性ブラシの一部に取り付けられ、導電性ブラシをカム円盤の方向に向けて付勢する付勢手段と、一端が傾斜面と当接され他端が導電性ブラシに固定された当接片と、から構成してあることが好ましい。
このように構成することにより、導電性ブラシの往復動が、ギアを介して感光体ドラムの回転動作と連動することとなり、往復動手段として独立した動力源を配置した場合に比べて、部品点数の少ない簡易な構成とすることができる。
【0010】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、電圧印加手段と導電性基材とが電気的に接続してあることが好ましい。
このように構成することにより、導電性基材に植え付けるように配置された導電性ブラシ繊維に対して一様に電圧を印加することができる。その結果、転写メモリを消去するための前帯電手段としての機能を更に効果的に発揮して、より高品位の画像特性を維持することができる。
【0011】
また、本発明を構成するにあたり、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、電子写真感光体の表面と接触する際に発生する静電気を効果的に除去することができるとともに、均一化手段に電圧を印加した際に、この導電性ブラシ繊維が電気伝導性に優れる導線として機能し、転写メモリをより効果的に消去することができる。
【0012】
また、本発明を構成するにあたり、導電性基材としてステンレス板を用いることが好ましい。
このように構成することにより、導電性及び機械的強度に優れた導電性ブラシとすることができる。したがって、往復動の振動数を変化させた場合であっても、導電性ブラシが塑性変形することなく、優れた均一化効果及び帯電効果を発揮することができる。
【0013】
また、本発明を構成するにあたり、電子写真感光体が単層型電子写真感光体であることを特徴とすることが好ましい。
このように構成することにより、電子写真感光体を簡易な構成とすることができ、その製造工程を簡素化することができる。
【0014】
また、本発明を構成するにあたり、帯電手段による電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、所望の画像特性を維持したまま、前帯電手段としての均一化手段が転写メモリを消去して、優れた除電効果を発揮することができる。
【0015】
また、本発明の別の態様は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、帯電手段と除電手段との間には、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、当該均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、導電性ブラシから電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする画像形成方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置として、接触帯電方式を採用した画像形成装置であって、転写手段と除電手段との間に電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあるとともに、当該均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含み、更に当該往復動手段に含まれるバネ部材の固定端に対して、電圧印加手段が電気的に接続してある画像形成装置を例に採って、図1〜8を適宜参照しながら具体的に説明する。
【0017】
1.基本的構成
図1に、本発明における画像形成装置の基本的構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、帯電手段12と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、このクリーニング装置17において除去しきれず、感光体表面に不均一に残留した粒子をならすための均一化手段2と、感光体表面の残留電位を除去するための除電手段18と、が順次配置されている。
また、帯電手段12には、帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。この電源19は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧とすることもできる。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続することで、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができる。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22は、直流成分(DC)を印加することができる電源であって、その極性は転写手段側が負極になるように接続されている。このように接続することで、かかる画像形成装置を反転現像式の画像形成装置とすることができる。
また、均一化手段2は、電子写真感光体11の表面と接触する導電性ブラシ50と、導電性ブラシ50を電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段70とから構成されている。よって、この均一化手段2によってクリーニング装置17で除去し切れなかった粒子、例えば、酸化チタン等の外添剤としての無機微粒子などを電子写真感光体11の表面上において均一にならすことができる。
更に、この均一化手段70は、バネ部材を介して電圧印加手段61と電気的に接続されており、転写メモリ消去のための前帯電手段としての機能が付加されている。
【0018】
2.往復動手段
(1)基本的構成
次いで、図2を用いて往復動手段70の基本的構成について説明する。
図2は、往復動手段70及び導電性ブラシ50を斜め方向から眺めた概略斜視図である。
この図2に示すように、往復動手段70は、電子写真感光体11の端部に同心で結合されたドラムギア71と、このドラムギア71と噛み合うように配置されたスラストギア72と、このスラストギア72と同心に結合され、外側側面に傾斜面73aを有するカム円盤73と、一端が傾斜面73aと当接され他端が導電性ブラシ50に固定された当接片74と、この導電性ブラシ50の一部に固定され、導電性部材50をカム円盤73方向に向けて付勢するバネ部材75と、から構成されている。
また、この当接片74が固定してある導電性ブラシ50は、板状形状を有する導電性基材51と、この導電性基材51に植え付けられるように設けられた導電性ブラシ繊維52と、から構成されている。この導電性ブラシ50は、バネ部材75によって図中矢印X方向に常時押し付けられるように配置され、傾斜面73aの回転中心とずれた位置で当接している当接片74を介して、X方向及び−X方向に往復動(スラスト)することにより、電子写真感光体11表面に残留した粒子をならすことができる。
【0019】
このように構成される往復動手段70において、バネ部材75は、一端が、支持部材50aを介して導電性ブラシ50と接続してあるとともに、他端が、支持部材30aを介して画像形成装置の筐体30及び電圧印加手段61と接続してある。すなわち、このバネ部材75は、一端が、接点62において所定振幅で往復動する導電性ブラシ50と接続された可動端であり、他端が、接点63において筐体30と接する固定端となっていることが好ましい。
この理由は、このように両端のいずれか一端を固定して動かないようにすることで、電圧印加手段61との接点63を往復動運動に影響されない不動点とすることができ、連続的に往復動する導電性ブラシに対して、安定的に電源供給することができるためである。
【0020】
(2)バネ部材との接続
次いで、このバネ部材75と電圧印加手段61との接続状態について、図3(a)〜(b)を用いてより詳細に説明する。
この図3(a)〜(b)は、図2におけるバネ部材75と電圧印加手段61との接点状態の別態様を示した図である。本発明の往復動手段において、電圧印加手段とのインターフェイスに固定端を用いる目的はその導通安定性にあることから、その限りにおいて様々な態様を採ることができる。
より具体的には、図3(a)に示すように、一端を往復動する導電性ブラシ50と接続し、他端を筐体30と接続してあるバネ部材75と並列に、第2のバネ部材76を設けることが好ましい。
この理由は、このように複数のバネ部材を用いることにより、複数の固定端63及び63´を設けることができ、断線による不良発生を防止するとともに、その接触抵抗を低減して、安定的な電源供給ができるためである。
また、図3(b)に示すように、バネ部材75と電気的に並列接続するように、電圧印加手段61と導電性ブラシ50とを電気接続する電気配線81を用いることが好ましい。
この理由は、接点63での接続と合わせて、複数の接点を設けることができるとともに、その接続位置を任意に選択することができ、周辺部材との干渉を抑えて、効果的に導通安定性を得ることができるためである。
なお、この電気配線81の種類としては、導電性ブラシ50の往復動運動に追従できる程度に変形可能なリード線や、フラットケーブル、更には導線の周囲をビニル樹脂で被覆した電気配線とすることができる。
【0021】
(3)動作原理
次いで、図4(a)〜(c)を用いて、往復動手段70の動作原理について説明する。
この図4(a)〜(c)は、図2を図中矢印Y方向から眺めたときの概略平面図であり、それぞれ導電性ブラシの位置変化を順次時系列に沿って示した図である。
まず図4(a)は、傾斜面73aを有するカム円盤73の長軸位置(A)が最上部にきたときの状態を図示してある。
このとき、カム円盤73の長軸位置(A)と当接している当接片74は、可動範囲内において最も右側に位置することとなる。
すなわち、図4(a)における導電性ブラシ50は、バネ部材75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て、最も右側に位置した状態を示していると言える。
次いで、図4(b)は、図3(a)の状態から、カム円盤73が90°回転したときの状態を図示している。つまり、当接片74は、カム円盤73の長軸位置と短軸位置の中間位置(B)で当接していることとなる。したがって、当接片74は、可動範囲内の中心に位置することとなる。
すなわち、図4(b)における導電性ブラシ50は、バネ部材75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て振動中心に位置した状態を示していると言える。
次いで、図4(c)は、図4(b)の状態から、更にカム円盤73が90°回転したときの状態を図示している。つまり、当接片74は、カム円盤73の短軸位置(C)で当接していることとなる。したがって、当接片74は、可動範囲内において最も左側に位置することとなる。
すなわち、図4(c)における導電性ブラシ50は、バネ部材75によって図中左方向に付勢されつつ、電子写真感光体11から見て最も左に位置した状態を示していると言える。
つまり、この図4(a)〜(c)の一連の作業を連続的に実施することで、導電性ブラシ50は、電子写真感光体11の軸方向に、所定の振幅で往復動することとなる。
【0022】
また、このように動作する往復動手段において、その振幅を1mm以上の値とすることが好ましい。
この理由は、このように往復動の振幅を所定値以上に設定することにより、電子写真感光体表面に付着した粒子に、所定値以上の外力を加えることができ、効果的な均一化ができるためである。しかしながら、かかる振幅が大き過ぎるような場合には、電子写真感光体表面と導電性ブラシとの接触回数が過度に増加して感光体表面を摩耗させてしまう場合がある。更に、導電性ブラシの可動域が広がりすぎて、装置の小型化を阻害する場合がある。また、逆にかかる振幅が小さ過ぎるような場合には、粒子の付着状態によっては、感光体表面から引き剥がすことができない場合がある。
したがって、往復動の振幅の範囲としては、1.3〜5.0(mm)の範囲内の値とすることが好ましく、1.5〜3.0(mm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0023】
(4)導電性ブラシ
また、本発明に用いられる導電性ブラシは、図2に示すように、板状形状を有する導電性基材51と、この導電性基材51に植え付けられるように設けられた導電性ブラシ繊維52と、から構成され、その一部には当接片74及び付勢手段75が取り付けてある。このように構成される導電性ブラシ50は、当接片74を介して往復動手段70と連結して往復動することにより、導電性ブラシ繊維52が、電子写真感光体表面に付着した粒子を均一に散して均一化させることができる。
このような導電性ブラシ50において、電子写真感光体11表面と直接接触する部材である導電性ブラシ繊維52の材料としては、導電性粒子を含有したポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂とすることが好ましい。
この理由は、このような導電性繊維を用いることで、摩擦による静電気を効率的に除去することができるとともに、均一化手段に電圧を印加した際に、この導電性ブラシ繊維が導線として機能し、転写メモリをより効果的に除去することができるためである。
また、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を調整するにあたり、カーボン等の導電性粒子の添加量を調整することにより、容易にその導電性を制御することができるためである。
【0024】
また、このような導電性ブラシ繊維を用いた場合には、その原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることが好ましい。
この理由は、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗の値を過度に高くした場合には、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要が生じ、導電性ブラシ繊維と感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、画像特性を低下させる場合があるためである。また、逆に、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を過度に低くした場合には、放電現象が生じにくくなり、転写メモリを十分消去しきれない場合が生じるためである。
したがって、かかる原糸抵抗の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0025】
また、導電性ブラシ繊維における毛足長さを2〜7(mm)の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値とすることによって、感光体表面と接触した際の導電性ブラシ繊維の湾曲状態を所定範囲内に規定することができ、導電性ブラシと感光体との間の異常放電を効果的に防止することができるためである。
また、かかる毛足長さが2(mm)未満となった場合には、感光体のドラム径によっては、導電性ブラシの端部において、非接触領域が形成され、異常放電の発生原因となり得る。また逆に、7(mm)を超えたような場合には、導電性ブラシ繊維の湾曲部分が過度に長くなり、やはり異常放電の発生原因となり得る。
したがって、導電性ブラシ繊維における毛足長さとしては、3〜6(mm)の範囲内の値とすることがより好ましく、4〜5(mm)の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】
また、導電性ブラシにおける導電性ブラシ繊維の繊維密度を180kF/inch2(≒28kF/cm2)以下の値とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維相互の接触状態を規定することができ、導電性ブラシ繊維間における不均一な接触から生じる異常放電を防止できるためである。
【0027】
また、導電性ブラシを構成する導電性ブラシ繊維の太さを規定するにあたり、当該ブラシ繊維の単糸繊度を6(デニール)以上の値とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値とすることにより、導電性ブラシ繊維と感光体との接触面積を所定値以上とすることができ、異常放電の発生を効果的に防止することができるためである。また、ブラシ繊維の原糸抵抗の値を、かかる単糸繊度の値を用いて制御することができ、より精度良くブラシ繊維の抵抗値を制御することができるためである。
【0028】
(5)導電性基材
また、本発明に係る導電性基材としては、導電性、及び十分な機械的強度を有するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ステンレス、銅、及びアルミニウム等の金属板を用いることが好ましく、特にステンレス板が好ましい。
この理由は、ステンレス板であれば、導電性、及び機械的強度において特に優れるため、導電性ブラシの変形を防止して、長期に渡り安定的な均一化効果が得られるためである。
また、本発明において、電圧印加手段は、当該導電性基材に対して電気接続してあることが好ましい。すなわち、上述したバネ部材の一端が、当該導電性基材と電気接続してあることが好ましい。
この理由は、導電性ブラシに電圧を印加するにあたり、導電性ブラシを構成する材料の中で比較的強度が高く、安定的な接点を容易に形成することができるためである。したがって、本発明のように、導電性ブラシが所定振幅で連続的に往復動するような場合であっても、長期に渡り安定的に導通状態を維持することができる。
【0029】
2.帯電特性
次いで、本発明における均一化手段2を、転写メモリを消去するための前帯電手段として用いた場合の、電子写真感光体表面の帯電特性について説明する。
この均一化手段2を前帯電手段として機能させるにあたり、電圧印加手段61を用いて導電性ブラシ50に所定の電圧を印加することにより、導電性ブラシ繊維51を介して、電子写真感光体感光体表面に所定量の電荷が注入され、転写手段によって発生した転写メモリを消去することができる。
このとき、均一化手段2に適用される印加条件としては、導電性ブラシ50から感光体11に流れる電流の電流密度(Ib)を700(μA/m2)以上の値とすることができる。
ここで、図5に、感光体として正帯電の電子写真感光体を用いた場合の、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この図5において、横軸は、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、縦軸においては、上側にいく程、均一化手段により転写メモリが消去されていることを意味し、下側にいく程、均一化手段による転写メモリの消去が不十分であることを意味している。
また、図5中の曲線(A)〜(D)は、それぞれ原糸抵抗の異なる導電性ブラシ繊維を用いたときの特性曲線である。より具体的には、順に1×1012.5(Ω・cm)、1×1010.5(Ω・cm)、1×108.5(Ω・cm)、1×106.5(Ω・cm)の時の曲線を表している。
また、本発明において、転写メモリ電位(Vt)とは、連続印刷を実施した場合の、現像位置における感光体表面の表面電位の変化量として定義される。
より具体的には、感光体を連続的に回転させて白紙画像を印刷した場合に、第1周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V1)とし、第3周目のときの現像位置における感光体表面の表面電位を(V3)とした場合に、(V1)−(V3)で表される値として定義される。
【0030】
この図5から理解できるように、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗の値に関わらず、電流密度(Ib)を高くするほど、残留している転写メモリ電位は小さくなり、特に、700(μA/m2)以上の範囲で、安定的に消去されると言える。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、かかる電流密度(Ib)の範囲としては、700〜2000(μA/m2)の範囲内の値とすることが好ましく、1000〜1500(μA/m2)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明において電流密度とは、電流値を1秒間当たりの印加面積で割ったものを意味している。すなわち、電流値I(A)の電流が、軸長L(mm)、外周速度D(mm/sec)で回転している感光体へ流れている場合、電流密度は、I/(L×D)(μA/m2)で表すことができる。
【0031】
また、図6に、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を表す特性図を示す。
この特性図において、横軸は、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)を表し、縦軸は、転写メモリ電位(Vt)を表している。
すなわち、図6は、図5における電流密度(Ib)を、特性曲線(A)〜(D)のそれぞれの原糸抵抗の値を用いて電圧に換算したものに相当する。
この図6から理解できるように、導電性ブラシの原糸抵抗の値が高いほど、転写メモリを消去するために高い電圧を印加する必要があると言える。特に、同じ印加電圧で比較した場合には、導電性ブラシ繊維の原糸抵抗が1×1011(Ω・cm)を超えると、転写メモリ電位の消去が著しく不十分になることが分かる。
したがって、かかる原糸抵抗の範囲としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましく、1×105〜1×109(Ω・cm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0032】
また、導電性ブラシへの印加電圧(Vb)を直流電圧で1100(V)以上の値とすることが好ましい。この理由は、図6に示すように、導電性ブラシの固有抵抗値に関わらず、転写メモリ電位(Vt)を下げることができるためである。
その一方で、かかる印加電圧(Vb)を過度に上げた場合には、導電性ブラシと感光体との間で異常放電が発生し、帯電特性に悪影響を与える場合がある。
したがって、かかる印加電圧(Vb)を、1100〜3000(V)の範囲内の値とすることが好ましく、1100〜2000(V)の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0033】
また、導電性ブラシから注入される電流の電流密度をIb(μA/m2)とし、転写手段から注入される電流の電流密度をIt(μA/m2)とした場合に、|Ib/It|で表される値を2以上とすることが好ましい。
ここで、図7に、導電性ブラシとして所定の原糸抵抗を有する導電性ブラシ繊維を用いたときの、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)と、転写メモリ電位(Vt)と、の関係を、転写手段15から注入される電流の電流密度(It)毎に表した特性図を示す。また、図7中の曲線(E)〜(G)は、転写手段から注入される電流の電流密度(It)が、順に、−395(μA/m2)、−316(μA/m2)、−237(μA/m2)のときの特性曲線を表している。
また、図8には、図7における横軸を、|Ib/It|に換算した特性図を示す。
これらの特性図から理解できるように、転写手段から注入される電流の電流密度(It)の絶対値が大きいほど、転写メモリ電位(Vt)は高く、更にいえば、|Ib/It|で表される値を2以上とした場合に、転写メモリ電位(Vt)は十分下がることが分かる。
すなわち、特性曲線(E)においては、導電性ブラシから注入される電流の電流密度(Ib)の絶対値が790以上のときに、転写メモリ電位が下がっている。また、特性曲線(F)においてはIbの絶対値が632以上、特性曲線(G)においてはIbの絶対値が474以上で、それぞれ転写メモリが十分消去されていることが分かる。
また逆に、この電流密度(Ib)を過度に高くした場合には、導電性ブラシと感光体表面との接触部分近傍において異常放電が起こり、帯電特性に不具合を生じさせる場合がある。
したがって、|Ib/It|で表される値を2.5〜8.0の範囲内の値とすることが好ましく、3.0〜6.0の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0034】
3.帯電手段
また、本発明において、感光体表面を所定電位に帯電させるための帯電手段は、接触式の帯電手段であることを特徴とする。
この接触式の帯電手段は、コロナ帯電のような非接触帯電式を採用した場合に比べて、小型であるとともに、コロナ帯電の際に発生するオゾン等の有害物質を発生させることもなく、対環境性に優れた帯電手段である。
しかしながら、電子写真感光体表面と直接接触する構成であることから、印刷後に電子写真感光体表面に不均一に残留している現像剤成分、例えば、酸化チタン等の外添剤などが、帯電部材の表面に不均一に付着して、帯電ムラを生じさせる場合がある。
そこで、本発明においては、所定の振幅で往復動する均一化手段を設けるとともに、当該均一化手段に転写メモリ消去のための前帯電手段としての機能を付加し、更にその導通安定性に優れる構造を有することにより、帯電手段として接触式の帯電手段を用いた場合であっても、帯電手段の前段階で、不均一に残留している粒子を均一にならすとともに、転写メモリも同時に消去して、帯電ムラの発生を抑制することができる。
また、本発明に用いられる電子写真感光体は、単層型及び積層型のいずれも用いることができるが、単層型の電子写真感光体とすることが好ましい。
この理由は、積層型に比べて製造工程を簡素化することができるためである。また、帯電方式として、感光体表面をプラス極性に帯電させる正帯電方式を採用した場合であっても、帯電印加電圧として重畳電圧を用いた場合に生じる帯電飽和領域の狭小化という問題を解決し、安定的に電子写真感光体表面を帯電させることができるためである。
【0035】
また、この帯電手段による電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることが好ましい。
この理由は、初期帯電電位を所定値以上することで、画像ムラを抑制したまま、所望の画像濃度を得ることができるためである。
【0036】
また、帯電手段において、感光体表面との接触部分の部材としては、導電性ゴム又は導電性スポンジを用いることが好ましい。
より具体的には、エピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)等の半導電性を有する極性ゴム(イオン導電系ゴム)や、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム等にイオン導電剤を添加して半導電性を付与したイオン導電系ゴム等を用いる事ができる。このとき、体積固有抵抗としては、1×103〜1×1010(Ω・cm)の範囲内の値とすることが好ましい。
【0037】
4.移動手段
また、均一化手段2には、この導電性ブラシ50と、電子写真感光体11表面と、の距離を変更することができる移動手段が設けてあることが好ましい。この理由は、このような移動手段を用いることで、導電性ブラシと感光体表面との押圧力を調整することができ、粒子の付着状態に応じて、導電性ブラシと電子写真感光体との接触状態を適宜調整することができるためである。
このとき、導電性ブラシの感光体表面に対する押圧力としては、0.1〜100(kgf/cm2)の範囲内の値とすることが好ましい。このような範囲内の値であれば、感光体の駆動に過剰な負荷をかけることなく、付着粒子を効果的に均一化させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
また、本発明の別の態様は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、帯電手段と除電手段との間には、電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、当該均一化手段は、電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、導電性ブラシから電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図1に示すような画像形成装置10を好適に使用することができる。
ここで、図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
【0039】
次いで、トナー像が転写された後の記録紙20は、分離手段(図示せず)によって感光体11表面から分離され、搬送ベルトによって定着器に搬送される。次いで、この定着器によって、加熱、加圧処理されて表面にトナー像が定着された後、排出ローラによって画像形成装置10の外部に排出される。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、本発明のクリーニング装置17によって除去される。
また、このクリーニング装置17で除去できなかった粒子、例えば酸化チタン等の外添剤としての無機微粒子は、均一化手段2によって均一にならされ、平坦化される。
また、感光体11の表面に残留した電荷は、バネ部材75を介して電気接続してある均一化手段2により均一な帯電電位まで引き上げられ、その後、除電器18からの除電光の照射によって完全に消去され、次の画像形成に供されることになる。
従って、本発明の画像形成装置を用いることで、帯電手段として接触帯電方式を採用した場合であっても、往復動する均一化手段を用いて、感光体表面に不均一に付着している粒子を均一にならすとともに、電子写真感光体表面に残留した転写メモリを消去して、優れた画像特性を長期に渡り維持することができる。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
1.電子写真感光体の作成
電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン2.7重量部と、正孔輸送剤としてスチルベンアミン化合物50重量部と、電子輸送剤としてアゾキノン系化合物35重量部と、結着樹脂として平均分子量30000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン700重量部と、を攪拌容器内に収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液をアルマイト素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、130℃、45分間の条件で熱風乾燥し、膜厚30μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
【0041】
2.導電性ブラシの作成
また、導電性ブラシ繊維として、導電性ナイロンブラシ(単糸繊度6.2(デニール)、毛足長さ3mm、原糸抵抗1×108.5(Ω・cm))を用い、導電性基材としてステンレス板を用いた。
【0042】
3.帯電ローラにおける付着ムラ評価
得られた感光体を、京セラミタ(株)製プリンタKM1500改造機に搭載するとともに、導電性ブラシを感光体表面に対してニップ幅5mm、毛先食い込み量0.5mmとなるように圧接させた。
次いで、電子写真感光体を外周速度110(mm/sec)の周速で回転させた後、この感光体表面と帯電手段との間に1200(V)の直流電圧を印加して、感光体表面を約400(V)に帯電させた。
次いで、転写手段と感光体表面との間に直流電圧を印加させて、転写手段から注入される電流の電流密度(It)を、−316(μA/m2)(電流値換算:−8(μA))、となるように調整した。
最後に、導電性ブラシに1000(V)の電圧を印加するとともに、振幅が1(mm)となるように調整して連続的に往復動させながら、記録紙50000枚を通紙して印字した。また、印字後、帯電ローラへの付着ムラを目視確認して、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:帯電ローラにおける付着ムラは全く見られない。
△:帯電ローラにおける付着ムラはやや見られるが、実使用上問題ない。
×:帯電ローラにおける付着ムラが顕著に見られる。
【0043】
4.画像ムラ評価
また、記録紙50000枚を通紙し印字して得られたグレー画像に対して、濃度ムラの発生を確認し、下記基準に準じて評価した。得られた結果を表1に示す。
○:グレー画像における濃度ムラは全く見られない。
△:グレー画像における濃度ムラはやや見られるが、実使用上問題ない。
×:グレー画像における濃度ムラが顕著に見られる。
【0044】
【表1】

【0045】
[実施例2〜7]
実施例2〜7では、導電性ブラシの振幅を1.5〜5.0(mm)に変更した以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
【0046】
[比較例1]
比較例1では、導電性ブラシの往復動を停止させた以外は、実施例1と同様の条件で電子写真感光体及び導電性ブラシを作成して評価した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
表1に示す結果から理解されるように、実施例1〜7においては、本発明に適合する条件を用いたので、帯電ローラ上での付着ムラ及び画像ムラ評価において、良好な結果が得られた。
また、比較例1においては、導電性ブラシを往復動させていないことから、電子写真感光体表面に不均一に残留している粒子が、不均一なままで帯電手段の表面に付着したことから、その画像評価において不良が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法によれば、導電性ブラシが往復動して電子写真感光体感光体表面に付着した粒子を均一化させることができるため、後の帯電手段において、帯電手段の表面には、均一化された粒子が付着することから、帯電ムラの発生が少なく、優れた帯電特性を維持することができるようになった。
また、均一化手段に含まれる往復動手段に対して電圧印加手段を電気接続することにより、例えば、往復動手段の支点となる固定端に対して電気接続することができるため、かかる均一化手段を、転写メモリ消去のための前帯電手段として用いる場合にも、絶えず往復動する導電性ブラシに対して安定的に電圧を印加して、確実に転写メモリを消去することができるようになった。
したがって、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法は、画像形成装置の高画質化、小型化等に寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る画像形成装置の概略図である。
【図2】本発明に係る均一化手段及び導電性ブラシの概略斜視図である。
【図3】(a)〜(b)は、バネ部材と電圧印加手段との接続状態を説明する図である。
【図4】(a)〜(c)は、均一化手段の動作原理を説明するための断面図である。
【図5】導電性ブラシから感光体表面に流れる電流の電流密度(Ib)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図6】導電性ブラシに印加した印加電圧(Vb)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図7】転写手段から感光体表面へ流れる電流の電流密度(It)と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図8】電流密度の比|Ib/It|と転写メモリ電位(Vt)との関係を示す特性図である。
【図9】従来の画像形成装置の構成を説明するために供する図である。
【図10】従来のプロセスカートリッジの構成を説明するために供する図である。
【符号の説明】
【0050】
2:均一化手段、10:画像形成装置、11:電子写真感光体、12:帯電手段、13:露光手段、14:現像手段、15:転写手段、17:クリーニング装置、20:記録紙、30:筐体、50:導電性ブラシ、51導電性基材、52:導電性ブラシ繊維、61:電圧印加手段、62、63:接点、70:往復動手段、71:ドラムギア、72:スラストギア、73:カム円盤、73a:傾斜面、74当接片、75:バネ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置において、
前記帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、前記帯電手段と除電手段との間には、前記電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、
当該均一化手段は、前記電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを前記電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、前記導電性ブラシから前記電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記往復動手段は、前記導電性ブラシを所定方向に付勢するための付勢手段を含み、当該付勢手段の一端を、前記導電性ブラシと接続された可動端とし、前記付勢手段の他端を、前記往復動に連動しない固定端とし、当該固定端に対して前記電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記付勢手段がバネ部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記往復動手段は、前記電子写真感光体の端部に同心で結合されたドラムギアと、当該ドラムギアと噛合するスラストギアと、当該スラストギアと同心で結合され外側側面に傾斜面を有しているカム円盤と、前記導電性ブラシの一部に取り付けられ、前記導電性ブラシを前記カム円盤の方向に向けて付勢する前記付勢手段と、一端が前記傾斜面と当接され他端が前記導電性ブラシに固定された当接片と、から構成してあることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記導電性ブラシは導電性基材及び導電性ブラシ繊維から構成され、前記電圧印加手段と導電性基材とが電気的に接続してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記導電性ブラシ繊維の原糸抵抗を1×1011(Ω・cm)以下の値とすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記導電性基材としてステンレス板を用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記電子写真感光体が単層型電子写真感光体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記帯電手段による前記電子写真感光体の初期帯電電位を400(V)以上の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法において、
前記帯電手段は、接触式の帯電手段であるとともに、前記帯電手段と除電手段との間には、前記電子写真感光体表面の粒子をならすための均一化手段が配置してあり、
当該均一化手段は、前記電子写真感光体表面と接触する導電性ブラシと、当該導電性ブラシを前記電子写真感光体の回転方向と直交する方向に往復動させるための往復動手段と、を含むとともに、当該往復動手段には、前記導電性ブラシから前記電子写真感光体表面に対して電流を注入するための電圧印加手段が電気接続してあることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2007−292942(P2007−292942A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119471(P2006−119471)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】