説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷することがない画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、像を担持する転写ベルト40と、周面に開口凹部605が形成されるとともに、前記開口凹部605に配設されて径方向に移動する転写材把持爪611、及び前記開口凹部605に配設されて前記転写材把持爪611と転写材を介して当接して前記転写材を把持する支持部材を有する2次転写ローラー61と、前記転写ベルト40と前記2次転写ローラー61とを押圧させる押圧部材と、前記2次転写ローラー61の前記開口凹部605が前記転写ベルト40と対向したときに前記転写材把持爪611と前記転写ベルト40との間の距離を規制する規制部材650と、
を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体上に形成した潜像をトナーによって現像し、現像トナー像を転写ベルト上に転写し、さらに転写ベルト上のトナー像を記録紙などの媒体に転写し、転写された媒体上のトナー像を融着し定着して画像形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置に関連して、転写ローラー胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿って転写材の縁部を把持することができる爪部材及び爪座部材を設けておき、これらにより転写材を把持しつつ、中間転写体などに形成されたトナー像を当該転写材に転写する技術が知られている。例えば、このような技術を利用したものとしては、特許文献1(特表2006−513883号公報)に記載のものがある。この特許文献1には、転写中においては転写ローラーの凹部に配設された把持部材により転写材を把持し、転写終了後、当該転写材を開放する画像形成装置が開示されている。従来のこのような画像形成装置によれば、転写中に転写材がずれてしまうことを防止し、確実に転写を行うことが可能となる。
【0003】
一方、転写体上のトナー像を転写材に転写させる際、所望の転写効率を得るため、転写材を通過させる転写ローラーと転写体との間のニップに適切な転写荷重がかかるように制御する必要があることが知られている。例えば、特許文献2(特開2002−156839号公報)には、押圧部材により転写ローラーを像担持体へ押圧する転写部を有する画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特表2006−513883号公報
【特許文献2】特開2002−156839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
胴部に設けられた凹部に、ローラー軸方向に沿った転写材の縁部を把持する爪部材と爪座部材とからなる把持機構を有する転写ローラーと、トナー像が形成された転写体との間のニップ間に適切な転写荷重を印加することによって、厚さの異なる転写材に対して良好な転写効率を確保することができたり、転写材先端が転写ニップ通過した後に把持機構による把持を開放することで転写体からの剥離性を良好にすることができたりする。
【0005】
しかしながら、転写ローラーの凹部が転写体に対向する位置にきたとき、凹部内に設けられた転写機構を構成する爪部材などが転写体と接触することで、転写体を傷つけてしまう恐れがある、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記のような問題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、像を担持する像担持体と、周面に凹部が形成されるとともに、前記凹部に配設されて径方向に移動する転写材把持部材、及び前記凹部に配設されて前記転写材把持部材と転写材を介して当接して前記転写材を把持する支持部材を有する転写ローラーと、前記像担持体と前記転写ローラーとを押圧させる押圧部材と、前記転写ローラーの前記凹部が前記像担持体と対向したときに前記転写材把持部材と前記像担持体との間の距離を規制する規制部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記転写ローラーは、回転軸を有し、前記押圧部
材は、前記転写ローラーの前記回転軸を押圧して前記転写ローラーを前記像担持体へ押圧させる。
【0008】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記像担持体は、ベルト部材であり、前記像担持体を張架し、前記像担持体を介して前記転写ローラーの周面と当接するローラーを有し、前記押圧部材は、前記ローラーを押圧して前記像担持体を前記転写ローラーへ押圧させる。
【0009】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記規制部は、前記転写ローラーの軸方向端部に配設された第1規制部材、及び前記第1規制部材と当接する第2規制部材を備える。
【0010】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記第2規制部材は、前記ローラーの軸方向端部に配設されるとともに、前記ローラーとベアリング部を介して支持される。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記転写ローラーの周面に配設されるとともに、端部が前記転写ローラーの凹部で支持されるシート部材と、前記シート部材を前記凹部で支持するシート支持部材と、を有し、前記規制部材は、前記シート支持部材と前記像担持体との間の距離を規制する。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記シート部材は、基材層を有し、前記基材層はポリイミドである。
【0013】
また、本発明に係る画像形成方法は、転写材を搬送し、搬送された前記転写材を転写ローラーの周面に形成された凹部に配設された転写材把持部材と支持部材とで挟持して把持し、前記転写材を把持しながら前記転写ローラーを回転させて前記転写材把持部材が前記像担持体と対向したときに、前記転写材把持部材と前記像担持体との間の距離を規制し、前記像担持体に担持された像を前記転写材に転写することを特徴とする。
【0014】
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、転写材把持爪(部材)と像担持体とが対向するときに転写材把持爪(部材)と像担持体との当接を規制する規制部を有しているので、転写ローラーの凹部が像担持体に対向する位置にきたとき、凹部内に設けられた転写材把持爪(部材)が像担持体と接触することを防止することができ、転写材把持爪(部材)によって像担持体を損傷する恐れがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸中心間距離を説明する図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸中心間距離を説明する図である。
【図15】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図17】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図18】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図19】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図20】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸中心間距離を説明する図である。
【図21】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図22】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。
【図23】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図24】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図25】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図26】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図27】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図28】本発明の第4実施形態に係る画像形成装置における2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸中心間距離を説明する図である。
【図29】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図30】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図31】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図32】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図33】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図である。
【図34】本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸中心間距離を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。画像形成装置の中央部に配置された各色の画像形成部に対し、現像装置30Y、30M、30C、30Kは、画像形成装置の下方部に配置され、転写ベルト40、2次転写部(2次転写ユニット)60、定着ユニット90などの構成は画像形成装置の上方部に配置されている。特に、定着ユニット90が、転写ベルト40上方にレイアウトされることにより、画像形成装置全体としての設置面積を抑制することが可能となっている。本実施形態においては、2次転写ユニット60で2次転写を経た用紙などの転写材は、不図示の搬送手段により搬送されつつ、定着ユニット90へと搬送される構成となっているためにこのようなレイアウトを実現することができる。
【0017】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、トナーによる画像を形成するために、感光体10Y、10M、10C、10K、コロナ帯電器11Y、11M、11C、11K、LEDアレイなどの露光ユニット12Y、12M、12C、12K等を備えている。コロナ帯電器11Y、11M、11C、11Kにより、感光体10Y、10M、10C、10Kを一様に帯電させ、露光ユニット12Y、12M、12C、12Kにより、入力された画像信号に基づいて露光を行い、帯電された感光体10Y、10M、10C、10K上に静電潜像を形成する。
【0018】
現像装置30Y、30M、30C、30Kは、概略、現像ローラー20Y、20M、20C、20K、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器(リザーバ)31Y、31M、31C、31K、これら各色の液体現像剤を現像剤容器31Y、31M、31C、31Kから現像ローラー20Y、20M、20C、20Kに塗布する塗布ローラーであるアニロックスローラー32Y、32M、32C、32K等を備え、各色の液体現像剤により感光体10Y、10M、10C、10K上に形成された静電潜像を現像する。
【0019】
転写ベルト40は、エンドレスのベルトであり、ベルト張架ローラー41、42に張架され、1次転写部50Y、50M、50C、50Kで感光体10Y、10M、10C、10Kと当接しながら回転駆動される。2つのベルト張架ローラー41、42のうち、張架ローラー41は不図示のモーターなどの駆動部を持つ駆動ローラーであり、張架ローラー41が回転することによって、転写ベルト40を回転駆動している。1次転写部50Y、50M、50C、50Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kと転写ベルト40を挟んで1次転写ローラー51Y、51M、51C、51Kが対向配置され、感光体10Y、10M、10C、10Kとの当接位置を転写位置として、現像された感光体10Y、10M、10C、10K上の各色のトナー像を転写ベルト40上に順次重ねて転写し、フルカラーのトナー像を形成する。
【0020】
2次転写部においては、2次転写ローラー61が転写ベルト40を挟んでベルト張架ローラー41と対向配置され、さらに2次転写ローラークリーニングブレード62からなるクリーニング装置が配置される。そして、2次転写ローラー61を配置した転写位置において、転写ベルト40上に形成された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を転写材搬送経路Lにて搬送される用紙、フィルム、布等の転写材に転写する。なお、2次転写ユニット60は、転写ベルト40と2次転写ローラー61との間で形成されるニップにおいて、転写ベルト40上に形成されたトナー像を転写材に転写するために必要な構成の全てを
内包するものである。すなわち、2次転写ユニット60には、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間に電位差を与え、トナー像の移動を促す不図示のバイアス印加手段なども含まれるものである。
【0021】
また、2次転写ユニット60において、2次転写ローラー61は図1矢印の示す方向(下方)に、バネなどの付勢・押圧部材により付勢されており、これにより2次転写ニップ部に適切な転写荷重をかけることができるようになっている。前記の押圧部材は、2次転写ローラー61の回転軸を押圧することによって、2次転写ローラー61を転写ベルト40へ押圧させるような構成となっている。また、2次転写ローラー61の回転軸には、2次転写ローラー61の回転と共に回転する位置規制部材650が設けられている。この位置規制部材650は、2次転写ローラー61の回転時、固定的に設けられた被当接部材690と当接することにより、所定の位相で転写ベルト40との間の距離を維持する機能を有している。
【0022】
なお、特許請求の範囲においては、位置規制部材650と被当接部材690とを含めた構成を上位概念化し「規制部」として表現している。また、特許請求の範囲において位置規制部材650については「第1規制部材」として、また、被当接部材690については「第2規制部材」として表現している。
【0023】
2次転写ローラー61の軸部は、2次転写ローラー61周面と転写ベルト40が当接している状態、位置規制部材650と被当接部材690とで2次転写ローラー61の位置を規制している状態のすべての状態において2次転写ローラー61の軸部を案内する穴部の上側の壁部、下側の壁部まで到達しない範囲で揺動する。
【0024】
さらに、経路転写材搬送経路Lの下流には、不図示の搬送手段が配列されており、転写材を定着ユニット90に搬送するようになっており、定着ユニット90では、用紙等の転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着させ定着させる。
【0025】
転写ベルト40がベルト張架ローラー42に張架されている箇所で、転写ベルト40をクリーニングする転写ベルトクリーニングブレード49からなるクリーニング装置が当接・配置され、転写ベルト40上の残りトナー、キャリアをクリーニングするようになっている。なお、転写ベルト40を駆動するための駆動力はベルト張架ローラー42に持たせることもできる。
【0026】
画像形成装置に対する転写材の供給は給紙装置(不図示)によって行われる。このような給紙装置にセットされた転写材は、所定のタイミングにて一枚ごとに転写材搬送経路Lに送り出されるようになっている。転写材搬送経路Lでは、ゲートローラー101、101’及び転写材ガイド102によって転写材を2次転写位置まで搬送し、転写ベルト40上に形成された単色のトナー現像像やフルカラーのトナー現像像を転写材に転写する。2次転写された転写材は、上記のように、不図示の転写材搬送手段によって、さらに定着ユニット90に搬送される。定着ユニット90は、加熱ローラー91と、この加熱ローラー91側に所定の圧力で付勢された加圧ローラー92とから構成されており、これらのニップ間に転写材を挿通させ、転写材上に転写された単色のトナー像やフルカラーのトナー像を用紙等の転写材に融着し定着させる。
【0027】
ここで、現像装置について説明するが、各色の画像形成部及び現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー(Y)の画像形成部及び現像装置に基づいて説明する。
【0028】
画像形成部は、感光体10Yの外周の回転方向に沿って、感光体クリーニングブレード
18Y、コロナ帯電器11Y、露光ユニット12Y、現像装置30Yの現像ローラー20Y、第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’が配置されている。
【0029】
感光体10Yと当接している感光体クリーニングブレード18Yは、感光体10Y上の1次転写部において転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングする。
【0030】
現像装置30Yにおける現像ローラー20Yの外周には、クリーニングブレード21Y、アニロックスローラー32Y、コンパクションコロナ発生器22Yが配置されている。アニロックスローラー32Yには、現像ローラー20Yへ供給する液体現像剤の量を調整する規制ブレード33Yが当接している。液体現像剤容器31Yの中にはオーガ34Yが収容されている。また、感光体10Yと対向する位置には、転写ベルト40を挟むようにして、1次転写部の1次転写ローラー51Yが配置されている。
【0031】
感光体10Yは、外周面にアモルファスシリコン感光体などの感光層が形成された円筒状の部材からなる感光体ドラムであり、時計回りの方向に回転する。
【0032】
コロナ帯電器11Yは、感光体10Yと現像ローラー20Yとのニップ部より感光体10Yの回転方向の上流側に配置され、図示しない電源装置から電圧が印加され、感光体10Yをコロナ帯電させる。露光ユニット12Yは、コロナ帯電器11Yより感光体10Yの回転方向の下流側において、コロナ帯電器11Yによって帯電された感光体10Y上に光を照射し、感光体10Y上に潜像を形成する。なお、画像形成プロセスの始めから終わりまでで、より前段に配置されるローラーなどの構成は、後段に配置されるローラーなどの構成より上流にあるものと定義する。
【0033】
現像装置30Yは、コンパクション作用を施すコンパクションコロナ発生器22Y、キャリア内にトナーを概略重量比20%程度に分散した状態の液体現像剤を貯蔵する現像剤容器31Yを有する。
【0034】
また現像装置30Yは、前記の液体現像剤を担持する現像ローラー20Y、液体現像剤を現像ローラー20Yに塗布するための塗布ローラーであるアニロックスローラー32Yと、現像ローラー20Yに塗布する液体現像剤量を規制する規制ブレード33Yと、液体現像剤を攪拌、搬送しつつアニロックローラー32Yに供給するオーガ34Y、現像ローラー20Yに担持された液体現像剤をコンパクション状態にするコンパクションコロナ発生器22Y、現像ローラー20Yのクリーニングを行う現像ローラークリーニングブレード21Yを有する。
【0035】
現像剤容器31Yに収容されている液体現像剤は、従来一般的に使用されているIsopar(商標:エクソン)をキャリアとした低濃度(1〜3wt%程度)かつ低粘度の、常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性を有する不揮発性液体現像剤である。すなわち、本発明における液体現像剤は、熱可塑性樹脂中へ顔料等の着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形粒子を、有機溶媒、シリコーンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約15〜25%とした高粘度(HAAKE RheoStress RS600を用いて、25℃の時のせん断速度が1000(1/s)のときの粘弾性が30〜300mPa・s程度)の液体現像剤である。
【0036】
アニロックスローラー32Yは、現像ローラー20Yに対して液体現像剤を供給し、塗布する塗布ローラーとして機能するものである。このアニロックスローラー32Yは、円筒状の部材であり、表面に現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に螺旋状に彫刻
された溝による凹凸面が形成されたローラーである。このアニロックスローラー32Yにより、現像剤容器31Yから現像ローラー20Yへと液体現像剤が供給される。装置動作時においては、図1に示すように、オーガ34Yが反時計回り回転し、アニロックローラー32Yに液体現像剤を供給し、アニロックローラー32Yは反時計回りに回転して、現像ローラー20Yに液体現像剤を塗布する。
【0037】
規制ブレード33Yは、厚さ200μm程度の金属ブレードであり、アニロックスローラー32Yの表面に当接し、アニロックスローラー32Yによって坦持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制し、現像ローラー20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。そして、アニロックスローラー32Yによって担持搬送されてきた液体現像剤の膜厚、量を規制、調整し、現像ローラー20Yに供給する液体現像剤の量を調整する。
【0038】
現像ローラークリーニングブレード21Yは、現像ローラー20Yの表面に当接するゴム等で構成され、現像ローラー20Yが感光体10Yと当接する現像ニップ部より現像ローラー20Yの回転方向の下流側に配置されて、現像ローラー20Yに残存する液体現像剤を掻き落として除去するものである。
【0039】
コンパクションコロナ発生器22Yは、現像ローラー20Y表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、コンパクションコロナ発生器22Yによって、コンパクション部位でコンパクションコロナ発生器22Y側から現像ローラー20Yに向かって電界が印加される。なお、このコンパクションのための電界印加手段は、図1に示すコロナ放電器のコロナ放電に代えて、コンパクションローラーなどを用いても良い。
【0040】
現像ローラー20Yに担持されてコンパクションされた現像剤は、現像ローラー20Yが感光体10Yに当接する現像ニップ部において、所定の電界印加によって、感光体10Yの潜像に対応して現像される。
【0041】
現像残りの現像剤は、現像ローラークリーニングブレード21Yによって掻き落として除去され現像剤容器31Y内の回収部に滴下して再利用される。尚、このようにして再利用されるキャリア及びトナーは混色状態ではない。
【0042】
1次転写の上流側に配置される感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに対向して現像ローラー20Yの下流側に配置して感光体10Yに現像されたトナー像の余剰キャリアを回収するものである。この感光体スクイーズ装置は、感光体10Yに摺接して回転する弾性ローラー部材から成る第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’とから構成され、感光体10Y上に現像されたトナー像から余剰なキャリア及び本来不要なカブリトナーを回収し、顕像(トナー像)内のトナー粒子比率を上げる機能を有する。なお、感光体スクイーズローラー13Y、13Y’には、所定のバイアス電圧が印加されている。
【0043】
上記の第1感光体スクイーズローラー13Y、第2感光体スクイーズローラー13Y’からなるスクイーズ装置を経た感光体10Y表面は、1次転写部50Yに進入する。
【0044】
1次転写部50Yでは、感光体10Yに現像された現像剤像を1次転写ローラー51Yにより転写ベルト40へ転写する。この1次転写部においては、1次転写バックアップローラー51に印加される転写バイアスの作用によって、感光体10上のトナー像は転写ベルト40側に転写される。ここで、感光体10Yと転写ベルト40は等速度で移動する構成であり、回転及び移動の駆動負荷を軽減するとともに、感光体10Yの顕像トナー像への外乱作用を抑制している。
【0045】
上記現像装置30Yの現像プロセスと同様のプロセスによって、現像装置30M、30C、30Kにおいても、それぞれの感光体10M、10C、10K上にマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像が各々形成される。そして、転写ベルト40はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)各色の1次転写部50のニップを通過し、各色の感光体上の現像剤(現像像)が転写され、色重ねされて2次転写ユニット60のニップ部に進入する。
【0046】
2次転写ユニット60を経た転写ベルト40は、再び1次転写部50で転写像を受けるために周回するが、1次転写部50が実行される上流側において転写ベルト40は、転写ベルトクリーニングブレード49などによってクリーニングが実施される。
【0047】
転写ベルト40は、ポリイミド基層上にポリウレタンの弾性中間層を設け、さらにその上にPFA表層が設けられている三層構造となっている。このような転写ベルト40では、ポリイミド基層側においてベルト張架ローラー41、42で張架され、PFA表層側においてトナー像が転写されるようにして用いられる。
【0048】
次に本実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラー61についてより詳細に説明する。図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。図2において、601はローラー胴部、602はローラー軸部、605は開口凹部、607はシート材、610は転写材把持機構、611は転写材把持爪、612は爪座部、613は第1開口縁、614は第2開口縁、615は把持爪回動中心をそれぞれ示している。
【0049】
2次転写ローラー61のローラー胴部601の両端部にはローラー軸部602が設けられており、このローラー軸部602を中心としてローラー胴部601が回動自在となるように装置本体側に取り付けられるようになっている。また、ローラー胴部601には、軸方向にわたる開口凹部605が設けられており、開口凹部605の一方の第1開口縁613から他方の第2開口縁614の中には転写材把持機構610が、また開口凹部605以外のローラー胴部601にはシート材607が設けられている。
【0050】
転写材把持機構610は転写材を把持したり、解放したりするための機構である。シート材607は80〜90μm厚さのポリイミド基材層にフッ素樹脂コーティングが施された構成となっており、所定の電気的抵抗成分を有する半導電層としても機能する。なお、図面において、このシート材607の厚さは誇張的に表現されている。
【0051】
2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間に所定のバイアス電圧が印加され、ローラー胴部601におけるシート材607に転写材が巻きつけられている状態で、2次転写ユニットにおける2次転写ニップを通過するときに転写ベルト40から転写材へのトナー像の転写が行われる。
【0052】
転写材把持機構610は、概略、ローラー軸方向にわたって離散的に設けられる転写材把持爪611及び爪座部612とからなる複数のペアとから構成されている。転写材把持爪611は、把持爪回動中心615に図中a又はb方向に動作することにより、転写材把持爪611と爪座部612との間で転写材の縁部を把持したり、把持した転写材を解放したりすることができるようになっている。
【0053】
2次転写ローラー61の開口凹部605において、ローラー胴部601と同様の外周面(ローラー胴部601周面とローラー軸部602との間の距離と、同様の距離分ローラー軸部602から離れたところに構成される仮想的な周面)が仮想的に存在するものと仮定すると、爪座部612は仮想外周面内に設けられるようなレイアウトとなっている。一方
、転写材把持爪611がa方向に最大限に回動すると、転写材把持爪611の一部が仮想外周面外にまで延在するようになっている。
【0054】
なお、2次転写ローラー61のローラー軸部602の両端には、2つの規制部材650が設けられている。この規制部材650は、転写材把持爪611と転写ベルト40とが対向するときに、被当接部材690と当接することによって、転写材把持爪611と転写ベルト40との当接・接触を規制するものとして機能する。このため、2次転写ローラー61の開口凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、開口凹部605内に設けられた転写材把持爪611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷する恐れがない。
【0055】
次に、2次転写ローラー61の開口凹部605に設けられた転写材把持機構610の動作と、規制部材650に基づく位置規制動作について説明する。図3乃至図7は本発明の実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図であり、各図(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた図であり、また各図(B)は2次転写ユニット60をローラー軸と垂直の方向からみた模式図である。また、図8は2次転写ローラー61の回転に伴う、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離を説明する図である。なお、以下、本明細書においては、2次転写ローラー61の回転状態に応じて、位相が変化するものとして表現することがある。
【0056】
図3は転写材Sが転写材ガイド102に沿って、2次転写ローラー61に向かい進入している状態(位相:A相)を示している。連続印刷を行っている場合でも、図3に示す位相では、2次転写ニップには、既転写済みの転写材なども存在しない状態となっている。このとき、規制部材650と被当接部材690とは接触しておらず、2次転写ローラー61は転写ベルト40と当接する状態で軸間距離が維持されている。図3に示す位相では、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LAが保た
れた状態となる。
【0057】
図4は転写材ガイド102に沿って進入してくる転写材Sの把持準備を行っている状態(位相:B相)を示している。このとき、2次転写ローラー61における開口凹部605は転写ベルト40と対向する状態となっているが、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LBが保たれた状態となる。また、このとき、2次転写ローラー61は下
方に向けて付勢されているが、2次転写ローラー61の付勢力・荷重は、規制部材650を介して被当接部材690が受けている状態となる。開口凹部605における転写材把持機構610の動作としては、転写材把持爪611が爪座部612から離間し把持部を解放し、転写材Sを把持する準備がなされる。規制部材650と被当接部材690との当接により、軸間距離LBは軸間距離LAより長くなるようにされており、したがって、爪座部612から離間した転写材把持爪611も、転写ベルト40に接触することはない。
【0058】
図5は転写材把持機構610における転写材把持爪611を閉じることによって、転写材Sを把持している状態(位相:C相)を示している。このC相においても、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離が保たれるようになっているが、その軸間距離は最大で距離LCとなるように設定されている。この軸間距離LCは軸間距離LBより長い。このよう
に軸間距離がLCとなることによって、転写材Sの縁部を把持するために、転写材把持爪
611が動作していても、転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはない。
【0059】
図6は転写材把持機構610によって把持した転写材Sを、2次転写ニップを超えて搬送している状態(位相:D相)を示している。2次転写ニップを通過する転写材Sには、
転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写されている。D相においては、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が、転写荷重となっている。規制部材650と被当接部材690とは接触していないが、二次転写ニップには通過中の転写材Sが存在するために、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。ここで、軸間距離LDから軸間距離LAを差し引いた距離は、転写材Sの厚さに相当するものとなる。軸間距離LDは軸間距離LAよりも長く、軸間距離LBや軸間距離LCよりは短い。
【0060】
図7は転写材把持機構610によって転写材Sを解放し、下流に存在する転写材搬送手段に受け渡した状態(位相:D’相)を示している。D’相においても、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が転写荷重となり、2次転写ニップを通過する転写材Sに、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写される。また、D’相においても、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。
【0061】
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)とが対向するときに転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)との当接を規制する規制部(規制部材650を含む構成)を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が像担持体(転写ベルト40)に対向する位置にきたとき、凹部内に設けられた転写材把持爪611が像担持体(転写ベルト40)と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって像担持体(転写ベルト40)を損傷する恐れがない。
【0062】
上記のように転写材把持機構610で解放された転写材Sは、不図示の搬送手段によって、定着ユニット90まで搬送される。定着ユニット90においては、加熱ローラー91と加圧ローラー92とが形成する定着ニップ間に進入する。この定着ニップを経た転写材Sは、トナー像が融着され永久可視像とされる。
【0063】
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、転写材把持爪611と転写体(転写ベルト40)とが対向するときに転写材把持爪611と転写体(転写ベルト40)との当接を規制する規制部材650を有しているので、転写ローラー(2次転写ローラー61)の凹部(605)が転写体(転写ベルト40)に対向する位置にきたとき、凹部(605)内に設けられた転写材把持爪611が転写体(転写ベルト40)と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって転写体を損傷する恐れがない。
【0064】
次に本発明の第2の実施形態について説明する。第2実施形態が先に説明した第1の実施形態と相違する点は、2次転写ローラー61の付勢形態と、規制部材650及び被当接部材690の形態の相違である。以下、これらの相違点について詳しく説明する。
【0065】
図9乃至図13は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図であり、各図(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた図であり、また各図(B)は2次転写ユニット60をローラー軸と垂直の方向からみた模式図である。また、図14は2次転写ローラー61の回転に伴う、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離を説明する図である。
【0066】
図9を参照して、第2実施形態における2次転写ローラー61の付勢形態について説明する。2次転写ユニット60において、2次転写ローラー61のローラー軸部602はその両端でフレーム部材671に回動自在に取り付けられている。また、フレーム部材671は回動支軸部670を中心として回動可能とされると共に、付勢部材672によって図中の矢印の方向に付勢されるようになっている。第2実施形態においては、このような構
造によって、2次転写ローラー61はベルト張架ローラー41側に付勢され、2次転写ローラー61とのベルト張架ローラー41間における2次転写ニップに所定の転写荷重をかけることができるようになっている。そして、このような2次転写ニップにおける転写荷重、及び転写バイアスによって、転写ベルト40上のトナー粒子を2次転写ニップで効率的に転写材側に転写されるようになっている。
【0067】
次に、図9を参照して、第2実施形態における規制部材650及び被当接部材690について説明する。第2実施形態における被当接部材690としては、ベルト張架ローラー41のローラー径と同様の径を有するベアリングなどの部材が用いられる。この被当接部材690は、ベルト張架ローラー41の軸方向両端部に設けられている。
【0068】
この被当接部材690に対応するように、位置規制部材650が2次転写ローラー61の軸方向両端部に設けられる。また、規制部材650は、2次転写ローラー61と同じ位相で回転し、所定の位相で被当接部材690と当接することにより、2次転写ローラー61と転写ベルト40との間の距離、位置関係が保持されるようになっている。
【0069】
次に、以上のように構成される第2実施形態における転写材把持機構610の動作と、規制部材650に基づく位置規制動作について説明する。
【0070】
図9は転写材Sが転写材ガイド102に沿って、2次転写ローラー61に向かい進入している状態(位相:A相)を示している。連続印刷を行っている場合でも、図9に示す位相では、2次転写ニップには、既転写済みの転写材なども存在しない状態となっている。このとき、規制部材650と被当接部材690とは接触しておらず、2次転写ローラー61は転写ベルト40と当接する状態で軸間距離が維持されている。図9に示す位相では、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LAが保た
れた状態となる。
【0071】
図10は転写材ガイド102に沿って進入してくる転写材Sの把持準備を行っている状態(位相:B相)を示している。このとき、2次転写ローラー61における開口凹部605は転写ベルト40と対向する状態となっているが、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LBが保たれた状態となる。このとき、付勢部材672によって2次転
写ローラー61は下方に向けて付勢されているが、2次転写ローラー61の付勢力・荷重は、規制部材650を介して被当接部材690が受けている状態となる。開口凹部605における転写材把持機構610の動作としては、転写材把持爪611が爪座部612から離間し把持部を解放し、転写材Sを把持する準備がなされる。規制部材650と被当接部材690との当接により、軸間距離LBは軸間距離LAより長くなるようにされており、したがって、爪座部612から離間した転写材把持爪611も、転写ベルト40に接触することはない。
【0072】
図11は転写材把持機構610における転写材把持爪611を閉じることによって、転写材Sを把持している状態(位相:C相)を示している。このC相においても、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離が保たれるようになっているが、その軸間距離は最大で距離LCとなるように設定されている。この軸間距離LCは軸間距離LBより長い。このよ
うに軸間距離がLCとなることによって、転写材Sの縁部を把持するために、転写材把持
爪611が動作していても、転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはない。
【0073】
図12は転写材把持機構610によって把持した転写材Sを、2次転写ニップを超えて
搬送している状態(位相:D相)を示している。2次転写ニップを通過する転写材Sには、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写されている。D相においては、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が、転写荷重となっている。規制部材650と被当接部材690とは接触していないが、二次転写ニップには通過中の転写材Sが存在するために、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。ここで、軸間距離LDから軸間距離LAを差し引いた距離は、転写材Sの厚さに相当するものとなる。軸間距離LDは軸間距離LAよりも長く、軸間距離LBや軸間距離LCよりは短い。
【0074】
図13は転写材把持機構610によって転写材Sを解放し、下流に存在する転写材搬送手段に受け渡した状態(位相:D’相)を示している。D’相においても、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が転写荷重となり、2次転写ニップを通過する転写材Sに、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写される。また、D’相においても、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。
【0075】
以上のように、第2実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と転写ベルト40とが対向するときに、転写材把持爪611と転写ベルト40との当接を規制する規制部材650を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、開口凹部605内に設けられた転写材把持爪611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷する恐れがない。
【0076】
次に本発明の第3の実施形態について説明する。第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、規制部材650に設けられたプロフィール(被当接部材690と当接する面の形状)である。この規制部材650に設けられたプロフィールの相違によって、規制部材650に及び被当接部材690による位置規制動作が第2実施形態と相違するで、以下、位置規制動作について説明する。
【0077】
図15乃至図19は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図であり、各図(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた図であり、また各図(B)は2次転写ユニット60をローラー軸と垂直の方向からみた模式図である。また、図20は2次転写ローラー61の回転に伴う、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離を説明する図である。
【0078】
図15は転写材Sが転写材ガイド102に沿って、2次転写ローラー61に向かい進入している状態(位相:A相)を示している。連続印刷を行っている場合でも、図15に示す位相では、2次転写ニップには、既転写済みの転写材なども存在しない状態となっている。このとき、規制部材650と被当接部材690とは接触しておらず、2次転写ローラー61は転写ベルト40と当接する状態で軸間距離が維持されている。図15に示す位相では、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LA
が保たれた状態となる。
【0079】
図16は転写材ガイド102に沿って進入してくる転写材Sの把持準備を行っている状態(位相:B相)を示している。このとき、2次転写ローラー61における開口凹部605は転写ベルト40と対向する状態となっているが、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LBが保たれた状態となる。このとき、付勢部材672によって2次転
写ローラー61は下方に向けて付勢されているが、2次転写ローラー61の付勢力・荷重は、規制部材650を介して被当接部材690が受けている状態となる。開口凹部605
における転写材把持機構610の動作としては、転写材把持爪611が爪座部612から離間し把持部を解放し、転写材Sを把持する準備がなされる。本実施形態においては、B相における軸間距離LBは軸間距離LAより短くなるようにされている。本実施形態のように軸間距離LBは軸間距離LAより短くなる区間が存在するが、2次転写ローラー61の押圧方向の力を、軸間距離を徐々短くして吸収することで、開口凹部605に移行したときの2次転写ローラー61の押圧力が開口凹部605で急激に規制部材に切り替わることを抑制することができる。このことで、急激に切り替わることで生じる振動原因に伴う画像劣化を防止すること可能である。
【0080】
図17は転写材把持機構610における転写材把持爪611を閉じることによって、転写材Sを把持している状態(位相:C相)を示している。このC相においても、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離が保たれるようになっているが、その軸間距離は最大で距離LCとなるように設定されている。この軸間距離LCは軸間距離LA、LBより長い。このように軸間距離がLCとなることによって、転写材Sの縁部を把持するために、転写材
把持爪611が動作していても、転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはない。
【0081】
図18は転写材把持機構610によって把持した転写材Sを、2次転写ニップを超えて搬送している状態(位相:D相)を示している。2次転写ニップを通過する転写材Sには、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写されている。D相においては、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が、転写荷重となっている。規制部材650と被当接部材690とは接触していないが、二次転写ニップには通過中の転写材Sが存在するために、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。ここで、軸間距離LDから軸間距離LAを差し引いた距離は、転写材Sの厚さに相当するものとなる。軸間距離LDは軸間距離LAや軸間距離LBよりも長く、軸間距離LCよりは短い。
【0082】
図19は転写材把持機構610によって転写材Sを解放し、下流に存在する転写材搬送手段に受け渡した状態(位相:D’相)を示している。D’相においても、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の付勢力・荷重が転写荷重となり、2次転写ニップを通過する転写材Sに、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写される。また、D’相においても、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。
【0083】
以上のように、第3実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と転写ベルト40とが対向するときに、転写材把持爪611と転写ベルト40との当接を規制する規制部材650を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、開口凹部605内に設けられた転写材把持爪611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷する恐れがない。
【0084】
次に本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、2次転写部における転写荷重をかける際に不勢力を付与するローラーが第2実施形態と異なっている。また、第4実施形態は、転写ベルト40を駆動するベルト駆動ローラーが個別に設けられている点も第2実施形態と異なっている。さらに、第4実施形態は、ベルト張架ローラー41の上流側・下流側の両方にテンションローラーが追加されている点が第2実施形態と異なっている。
【0085】
以上のような相違について、画像形成装置全体を参照することにより説明する。図21
は本発明の第4実施形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【0086】
第4実施形態に画像形成装置の2次転写ユニット60においては、ベルト張架ローラー41が図21矢印の示す方向(上方)に付勢されており、これにより2次転写ニップ部に適切な転写荷重をかけることができるようになっている。これまでの実施形態と同様、第4実施形態においても、2次転写ローラー61の回転軸には、2次転写ローラー61の回転と共に回転する位置規制部材650が設けられ、ベルト張架ローラー41側に設けられたベアリングなどからなる被当接部材690と当接することにより、所定の位相で転写ベルト40との間の距離を維持する。
【0087】
第4実施形態に係る画像形成装置においては、転写ベルト40を駆動するベルト駆動ローラー44が現像装置30Kの直下流に設けられることにより、現像装置30Y、30M、30C、30Kで現像されたトナー像は、転写ベルト40に安定的に1次転写することができるようになっている。また、ベルト張架ローラー41とベルト駆動ローラー44との間にはテンションローラー52を、ベルト張架ローラー41の直下流にはテンションローラー53を設けて、これらのテンションローラーでベルト張架ローラー41の変位に伴う変動を吸収することにより、1次転写部や各現像装置に当該変動が伝達しないようにしている。
【0088】
また、第4実施形態において用いられる2次転写ローラー61の構成についても、第2実施形態と異なっているので、この相違についても図22を参照して説明する。図22は本発明の第4実施形態に係る画像形成装置で用いられる2次転写ローラーを説明する図である。図2において、601はローラー胴部、602はローラー軸部、605は開口凹部、607はシート材、610は転写材把持機構、611は転写材把持爪、612は爪座部、613は第1開口縁、614は第2開口縁、615は把持爪回動中心、616はシート材張架爪座、617はシート材張架部材、618はネジ部材をそれぞれ示している。
【0089】
先の実施形態と同様に、本実施形態においても、開口凹部605以外のローラー胴部601にはシート材607が設けられているが、このシート材607の一端は、第1開口縁613において、シート材を取り付ける部材であると共に転写材把持爪611の爪座部612としても機能するシート材張架爪座616が用いられることによって取り付けられている。また、シート材607の他端は、第2開口縁614において、シート材張架部材617によって取り付けられている。ローラー胴部601にシート材607を取り付ける際には、シート材607をローラー胴部601とシート材張架爪座616(又はシート材張架部材617)で挟むようにして、ネジ部材618をローラー胴部601に螺着することで取り付けを行う。
【0090】
シート材607としては80〜90μm厚さのポリイミド基材層にフッ素樹脂コーティングが施されたものを用いても良いし、80〜90μm厚さのポリイミド基材層に2mm程度のウレタン弾性層を設け、このウレタン弾性層の表層をフッ素樹脂コーティングしたものを用いてもよい。
【0091】
転写材把持機構610の動作等詳細については、爪座部612としてシート材張架爪座616が用いることを除けばその他の点では第1実施形態と相違するものではないので省略する。
【0092】
次に、以上のように構成される第4実施形態における転写材把持機構610の動作と、規制部材650に基づく位置規制動作について説明する。
【0093】
図23は転写材Sが転写材ガイド102に沿って、2次転写ローラー61に向かい進入
している状態(位相:A相)を示している。連続印刷を行っている場合でも、図23に示す位相では、2次転写ニップには、既転写済みの転写材なども存在しない状態となっている。このとき、規制部材650と被当接部材690とは接触しておらず、2次転写ローラー61は転写ベルト40と当接する状態で軸間距離が維持されている。図23に示す位相では、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LA
が保たれた状態となる。
【0094】
図24は転写材ガイド102に沿って進入してくる転写材Sの把持準備を行っている状態(位相:B相)を示している。このとき、2次転写ローラー61における開口凹部605は転写ベルト40と対向する状態となっているが、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LBが保たれた状態となる。このとき、付勢手段によってベルト張架ロ
ーラー41は上方に向けて付勢されているが、この付勢力は規制部材650が受けている状態となる。開口凹部605における転写材把持機構610の動作としては、転写材把持爪611が爪座部612から離間し把持部を解放し、転写材Sを把持する準備がなされる。規制部材650と被当接部材690との当接により、軸間距離LBは軸間距離LAより長くなるようにされており、したがって、爪座部612から離間した転写材把持爪611も、転写ベルト40に接触することはない。
【0095】
図25は転写材把持機構610における転写材把持爪611を閉じることによって、転写材Sを把持している状態(位相:C相)を示している。このC相においても、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離が保たれるようになっているが、その軸間距離は最大で距離LCとなるように設定されている。この軸間距離LCは軸間距離LBより長い。このよ
うに軸間距離がLCとなることによって、転写材Sの縁部を把持するために、転写材把持
爪611が動作していても、転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはない。
【0096】
図26は転写材把持機構610によって把持した転写材Sを、2次転写ニップを超えて搬送している状態(位相:D相)を示している。2次転写ニップを通過する転写材Sには、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写されている。D相においては、規制部材650と被当接部材690とは離間し、ベルト張架ローラー41の付勢力が、2次転写ニップにおける転写荷重となっている。規制部材650と被当接部材690とは接触していないが、二次転写ニップには通過中の転写材Sが存在するために、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。ここ
で、軸間距離LDから軸間距離LAを差し引いた距離は、転写材Sの厚さに相当するものとなる。軸間距離LDは軸間距離LAよりも長く、軸間距離LBや軸間距離LCよりは短い。
【0097】
図27は転写材把持機構610によって転写材Sを解放し、下流に存在する転写材搬送手段に受け渡した状態(位相:D’相)を示している。D’相においても、規制部材650と被当接部材690とは離間し、ベルト張架ローラー41の付勢力が転写荷重となり、2次転写ニップを通過する転写材Sに、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写される。また、D’相においても、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。
【0098】
以上のように、第4実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と転写ベルト40とが対向するときに、転写材把持爪611と転写ベルト40との当接を規制する規制部材650を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、開口凹部605内に設けられた転写材把持爪611が転写ベルト40と接触することを防
止することができ、転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷する恐れがない。
【0099】
次に本発明の第5の実施形態について説明する。第5実施形態が先に説明した第1の実施形態と相違する点は、2次転写ローラー61の付勢形態と、規制部材650及び被当接部材690の形態の相違である。以下、これらの相違点について詳しく説明する。
【0100】
図29乃至図33は本発明の第5実施形態に係る画像形成装置における2次転写ユニット60の動作を説明する図であり、各図(A)は2次転写ユニット60をローラー軸の方向からみた図であり、また各図(B)は2次転写ユニット60をローラー軸と垂直の方向からみた模式図である。また、各図(B)に示す模式図においては、ローラー(軸)類の一端部のみが示されており、両端部を図示していないが、各図(B)の模式図に示す構成と同様の構成がもう一端部に設けられている。また、図34は2次転写ローラー61の回転に伴う、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離を説明する図である。
【0101】
図29を参照して、第5実施形態における2次転写ローラー61の付勢形態について説明する。
【0102】
2次転写ローラー61のローラー軸部602の両端部は、軸受け部710により回動自在に保持されるようになっている。また、画像形成装置のシャーシであるフレーム部材700には、長穴形状の軸案内スリット穴701が設けられており、この軸案内スリット穴701によって軸受け部710が上下方向に案内されることで、2次転写ローラー61が上下方向に摺動可能となっている。また、フレーム部材700には、バネ取り付け部702が設けられており、バネ720の一端がこのバネ取り付け部702に固着され、バネ720の他端が軸受け部710に固着される構成となっている。バネ720のバネ定数としては、2次転写ローラー61を吊ることができる程度のものが用いられる。また、フレーム部材700における軸案内穴704には、ベルト張架ローラー41のローラー軸部691が回動可能に取り付けられている。
【0103】
また、本実施形態においても、2次転写ローラー61のローラー軸部602には、2次転写ローラー61の回転と共に回転する位置規制部材650が設けられている。この位置規制部材650は、2次転写ローラー61の回転時、フレーム部材700に対して固定的に設けられた被当接部材690と当接することにより、所定の位相で転写ベルト40との間の距離を維持する機能を有している。
【0104】
2次転写ローラー61のローラー軸部602を保持する軸受け部710が、軸案内スリット穴701の最も上側となったとき、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離はLmaxとなり、軸受け部710が、軸案内スリット穴701の最も下
側となったとき、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離はLminとなる。軸案内スリット穴701は、2次転写ローラー61が十分にストロークでき
るようなものとなっている。
【0105】
2次転写ローラー61ーのローラー軸部602は、2次転写ローラー61周面と転写ベルト40が当接している状態、規制部材650と被当接部材690とで2次転写ローラー61ーの位置を規制している状態、開口凹部605の転写材把持爪611以外がニップ位置にありバネ720が伸びてローラー軸部602を吊っている状態のすべての状態において2次転写ローラー61ーのローラー軸部602を案内する軸案内スリット穴701の上側の壁部、下側の壁部まで到達しない範囲で揺動する。
【0106】
次に、以上のように構成される第5実施形態における転写材把持機構610の動作と、
規制部材650に基づく位置規制動作について説明する。
【0107】
図29は転写材Sが転写材ガイド102に沿って、2次転写ローラー61に向かい進入している状態(位相:A相)を示している。連続印刷を行っている場合でも、図29に示す位相では、2次転写ニップには、既転写済みの転写材なども存在しない状態となっている。このとき、規制部材650と被当接部材690とは接触しておらず、2次転写ローラー61は転写ベルト40と当接する状態で軸間距離が維持されている。図29に示す位相では、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LA
が保たれた状態となる。
【0108】
図30は転写材ガイド102に沿って進入してくる転写材Sの把持準備を行っている状態(位相:B相)を示している。このとき、2次転写ローラー61における開口凹部605は転写ベルト40と対向する状態となっているが、規制部材650と被当接部材690とはまだ当接していない状態であるが、2つの軸受け部710をバネ720が吊っている状態となることで、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LBが保たれた状態となる。バネ720のバネ定数は、(軸間距離LA)>(軸間距離LB)となるように設定される。このときの開口凹部605における転写材把持機構
610の動作としては、転写材把持爪611が爪座部612から離間し把持部を解放し、転写材Sを把持する準備がなされる。軸間距離LBとしては、爪座部612から離間した
転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはないような距離が設定されている。
【0109】
図31は転写材把持機構610における転写材把持爪611を閉じることによって、転写材Sを把持している状態(位相:C相)を示している。このC相においては、規制部材650と被当接部材690とが当接することによって、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離が保たれるようになっているが、その軸間距離は最大で距離LCとなるように設定されている。この軸間距離LCは軸間距離LA、軸間距離LBより長い。このように軸間距離がLCとなることによって、転写材Sの縁部を把持するために
、転写材把持爪611が動作していても、転写材把持爪611が転写ベルト40に接触することはない。
【0110】
図32は転写材把持機構610によって把持した転写材Sを、2次転写ニップを超えて搬送している状態(位相:D相)を示している。2次転写ニップを通過する転写材Sには、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写されている。D相においては、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の荷重が、転写荷重となっている。規制部材650と被当接部材690とは接触していないが、二次転写ニップには通過中の転写材Sが存在するために、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。ここで、軸間距離LDから軸間距離LAを差し引いた距離は、転写材Sの厚さに相当するものとなる。軸間距離LDは軸間距離LA、軸間距離LBよりも長く、軸間距離LCよりは短い。
【0111】
図33は転写材把持機構610によって転写材Sを解放し、下流に存在する転写材搬送手段に受け渡した状態(位相:D’相)を示している。D’相においても、規制部材650と被当接部材690とは離間し、2次転写ローラー61の荷重が転写荷重となり、2次転写ニップを通過する転写材Sに、転写ベルト40上に重ねられたトナー像が転写される。また、D’相においても、2次転写ローラー61とベルト張架ローラー41との間の軸間距離は所定距離LDが保たれた状態となる。
【0112】
以上のように、第5実施形態に係る画像形成装置(画像形成方法)によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と転写ベルト40とが対向するときに、転
写材把持爪611と転写ベルト40との当接を規制する規制部材650を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が転写ベルト40に対向する位置にきたとき、開口凹部605内に設けられた転写材把持爪611が転写ベルト40と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって転写ベルト40を損傷する恐れがない。
【0113】
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)とが対向するときに転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)との当接を規制する規制部(規制部材650を含む構成)を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が像担持体(転写ベルト40)に対向する位置にきたとき、凹部内に設けられた転写材把持爪611が像担持体(転写ベルト40)と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって像担持体(転写ベルト40)を損傷する恐れがない。
【0114】
以上、本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、2次転写ローラー61の回転中で、転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)とが対向するときに転写材把持爪611と像担持体(転写ベルト40)との当接を規制する規制部(規制部材650を含む構成)を有しているので、2次転写ローラー61の開口凹部605が像担持体(転写ベルト40)に対向する位置にきたとき、凹部内に設けられた転写材把持爪611が像担持体(転写ベルト40)と接触することを防止することができ、転写材把持爪611によって像担持体(転写ベルト40)を損傷する恐れがない。
【符号の説明】
【0115】
10Y、10M、10C、10K・・・感光体、11Y、11M、11C、11K・・・コロナ帯電器、12Y、12M、12C、12K・・・露光ユニット、13Y、13M、13C、13K・・・第1感光体スクイーズローラー、13Y’、13M’、13C’、13K’・・・第2感光体スクイーズローラー、14Y、14Y’、14M、14M’、14C、14C’、14K、14K’、・・・感光体スクイーズローラークリーニングブレード、18Y、18M、18C、18K・・・感光体クリーニングブレード、20Y、20M、20C、20K・・・現像ローラー、21Y、21M、21C、21K・・・現像ローラークリーニングブレード、22Y、22M、22C、22K・・・コンパクションコロナ発生器、30Y、30M、30C、30K・・・現像装置、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、32Y、32M、32C、32K・・・アニロックスローラー、31Y、31M、31C、31K・・・現像剤容器、33Y、33M、33C、33K・・・規制ブレード、34Y、34M、34C、34K・・・オーガ(供給ローラー)、40・・・転写ベルト、41・・・ベルト張架ローラー、42・・・ベルト張架ローラー、44・・・ベルト駆動ローラー、45・・・現像剤回収部、46・・・転写ベルトクリーニングローラー、47・・転写ベルトクリーニングローラークリーニングブレード、49・・・転写ベルトクリーニングブレード、50Y、50M、50C、50K・・・1次転写部、51Y、51M、51C、51K・・・1次転写バックアップローラー、52、53・・・テンションローラー、60・・・2次転写ユニット、61・・・2次転写ローラー、62・・・2次転写ローラークリーニングブレード、74・・・(クリーニング)ブレード保持部材、85・・・2次転写ユニット回収貯留部、90・・・定着ユニット、91・・・加熱ローラー、92・・・加圧ローラー、95・・・第1転写ローラー、96・・・第2転写ローラー、101、101’・・・ゲートローラー、102・・・転写材ガイド、601・・・ローラー胴部、602・・・ローラー軸部、605・・・開口凹部、607・・・シート材、610・・・転写材把持機構、611・・・転写材把持爪、612・・・爪座部、613・・・第1開口縁、614・・・第2開口縁、615・・・把持爪回動中心、616・・・シート材張架爪座、617・・・シート材張架部材、618・・・ネジ部材、650・・・規制部材、670・・・回動支軸部、671・・・フレーム部材、672・・・付勢部材、690・・・被当接部材、691・・・ローラー
軸部、700・・・フレーム部材、701・・・軸案内スリット穴、702・・・バネ取り付け部、704・・・軸案内穴、710・・・軸受け部、720・・・バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像を担持する像担持体と、
周面に凹部が形成されるとともに、前記凹部に配設されて径方向に移動する転写材把持部材、及び前記凹部に配設されて前記転写材把持部材と転写材を介して当接して前記転写材を把持する支持部材を有する転写ローラーと、
前記像担持体と前記転写ローラーとを押圧させる押圧部材と、
前記転写ローラーの前記凹部が前記像担持体と対向したときに前記転写材把持部材と前記像担持体との間の距離を規制する規制部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写ローラーは、回転軸を有し、
前記押圧部材は、前記転写ローラーの前記回転軸を押圧して前記転写ローラーを前記像担持体へ押圧させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体は、ベルト部材であり、
前記像担持体を張架し、前記像担持体を介して前記転写ローラーの周面と当接するローラーを有し、
前記押圧部材は、前記ローラーを押圧して前記像担持体を前記転写ローラーへ押圧させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記規制部は、前記転写ローラーの軸方向端部に配設された第1規制部材、及び前記第1規制部材と当接する第2規制部材を備える請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第2規制部材は、前記ローラーの軸方向端部に配設されるとともに、前記ローラーとベアリング部を介して支持される請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写ローラーの周面に配設されるとともに、端部が前記転写ローラーの凹部で支持されるシート部材と、
前記シート部材を前記凹部で支持するシート支持部材と、を有し、
前記規制部材は、前記シート支持部材と前記像担持体との間の距離を規制する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記シート部材は、基材層を有し、前記基材層はポリイミドである請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
転写材を搬送し、
搬送された前記転写材を転写ローラーの周面に形成された凹部に配設された転写材把持部材と支持部材とで挟持して把持し、
前記転写材を把持しながら前記転写ローラーを回転させて前記転写材把持部材が前記像担持体と対向したときに、前記転写材把持部材と前記像担持体との間の距離を規制し、
前記像担持体に担持された像を前記転写材に転写することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−242486(P2011−242486A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112727(P2010−112727)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】