説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】封筒の斜行補正の不良を抑制するとともに、画像を封筒の所望位置に安定して精度良く形成することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像形成装置は、封筒100の斜行を補正するレジストローラ61と、封筒100の位置を検知するセンサ62とを備える。そして、本発明の画像形成装置では、フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態で封筒が搬送される場合、センサ62及びレジストローラ61のニップ位置が共に搬送方向AR1におけるフラップ部102内の予め設定された所定区間Aに位置するタイミングで、封筒100の位置検知を行い、前記センサの検知結果に基づいて、書込部による書き込み位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封筒に画像を形成する画像形成装置及びその画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、封筒に画像形成する機能を有するものがある。
【0003】
封筒は、通常の用紙と異なり、封筒本体の端部に、折り返して糊付けするためのフラップ部を有する。このため、従来、フラップ部を考慮した封筒への画像形成方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、フラップ部を用紙搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する場合に、フラップ部の開閉状態に応じて画像形成の制御条件を変更することが提案されている。具体的には、フラップ部を用紙搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する際に、フラップ部の開閉状態に応じて、転写部へ搬送する搬送条件、感光体に画像を書き込む書き込み条件又はレジストローラにおける封筒の斜行補正条件を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−58738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1で提案されている画像形成方法を用いることにより、封筒のフラップ部の開閉状態に関係なく、封筒本体の所望位置に画像形成することが可能になる。しかしながら、例えば、特許文献1等で提案されている画像形成方法のように、フラップ部をシート搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する場合、以下のような問題がある。
【0007】
静止したレジストローラに封筒を突き当てて封筒の斜行を補正する画像形成装置においては、フラップ部を搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送すると、フラップ部の端辺がレジストローラに突き当てられる。この場合、レジストローラに突き当てられるフラップ部の端辺は短く、また、突き当てられるフラップ部の厚さも封筒本体に比べて薄いために、フラップ部が変形し、例えば、つぶれた状態になることがある。このような状況が発生すると、封筒の斜行を補正できなくなり、所望の位置に画像を形成することが困難になる。
【0008】
本発明は上記問題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、封筒の斜行補正の不良を抑制するとともに、封筒の所望位置に安定して画像を形成することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の画像形成装置および画像形成方法により達成される。
(1) 感光体と、前記感光体上に画像を書き込む書込部と、前記画像を現像してトナー像を形成する現像部と、平行部と傾斜部からなるフラップ部と封筒本体を有する封筒に前記トナー像を転写する転写部と、
前記封筒の斜行を補正して前記転写部へ前記封筒を搬送するレジストローラと、
前記転写部と前記レジストローラの間に配置され、前記封筒の搬送方向と平行となる一方の端部の位置を検知するセンサと、
前記書込部、前記レジストローラおよび前記センサを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態で封筒が搬送される場合、前記レジストローラおよび前記センサが前記フラップ部の前記平行部に位置するタイミングで、前記フラップ部の前記平行部の端部の位置を前記センサにより検知し、前記センサの検知結果に基づいて、前記書込部による前記画像の書き込み位置を変更することを特徴とする画像形成装置。
(2) 前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量と前記フラップ部の端部から封筒本体の端部までの長さの総和となる位置の変更であることを特徴とする上記(1)の画像形成装置。
(3) 前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態とならないように封筒が搬送される場合、前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量の変更のみとすることを特徴とする上記(1)又は上記(2)の画像形成装置。
(4) 前記封筒のフラップ部の位置情報が、予め設定されている上記(1)の画像形成装置。
(5) さらに、前記フラップ部の位置情報を設定するための操作表示部を備える上記(4)の画像形成装置。
(6) 前記センサは、前記フラップ部の複数箇所を検知し、前記制御部は、前記複数箇所の検知結果に基づいて、前記封筒の斜行量を算出する前記(1)〜(5)のいずれか一項の画像形成装置。
(7) 前記制御部は、前記複数箇所における検知結果と、前記複数箇所で検知を行った時の前記レジスト部の駆動時間とにより、前記封筒の斜行量を算出する上記(6)の画像形成装置。
(8) さらに、前記封筒の形状情報、及び、前記搬送方向に対する前記フラップ部の位置を検出する封筒検出センサを備える上記(1)〜(7)のいずれか一項の画像形成装置。
(9) 前記封筒検出センサは、前記封筒の搬送方向に沿った端部の位置を連続的に又は所定間隔で検出する上記(8)の画像形成装置。
(10) 前記センサの配置位置が予め設定されている上記(1)〜上記(9)のいずれか一項の画像形成装置。
(11) 感光体と、前記感光体上に画像を書き込む書込部と、前記画像を現像してトナー像を形成する現像部と、平行部と傾斜部からなるフラップ部と封筒本体を有する封筒に前記トナー像を転写する転写部と、
前記封筒の斜行を補正して前記転写部へ前記封筒を搬送するレジストローラと、
前記転写部と前記レジストローラの間に配置され、前記封筒の搬送方向と平行となる端部の位置を検知するセンサと、
前記書込部、前記レジストローラおよび前記センサを制御する制御部と、を備える画像形成装置の画像形成方法であって、
前記制御部は、前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態で前記封筒を前記レジストローラに給紙する工程と、
前記レジストローラにより、前記封筒の斜行を補正する工程と、
前記レジストローラおよび前記センサが前記フラップ部の前記平行部に位置するタイミングで、前記フラップ部の前記平行部の端部の位置を前記センサにより検知する工程と、
前記センサの検知結果に基づいて、前記書込部による前記画像の書き込み位置を変更する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
(12) 前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量と前記フラップ部の端部から封筒本体の端部までの長さの総和となる位置の変更であることを特徴とする上記(1)に記載の画像形成方法。
(13) 前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態とならないように前記封筒を前記レジストローラに給紙する工程を有し、
前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量の変更のみであることを特徴とする上記(11)又は上記(12)に記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0010】
上述のように、本発明では、封筒への画像形成時に、フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態で封筒をレジストローラへ搬送する。即ち、厚さが厚い封筒本体をレジストローラに突き当てて封筒の斜行を補正する。それゆえ、本発明によれば、上述した封筒の斜行補正の不良の発生を抑制することができる。
【0011】
さらに、本発明では、フラップ部を有する封筒をレジストローラでニップして転写部へ搬送する際、前記レジストローラおよびセンサが前記フラップ部の平行部に位置するタイミングで、前記フラップ部の前記平行部の端部の位置を前記センサにより検知する。即ち、レジストローラでニップされている封筒のニップ幅が一定となる安定した領域で封筒を搬送している位置にセンサ及びレジストローラの両方が位置するタイミングで封筒の端部の位置を検知する。それゆえ、本発明では、封筒の搬送状態が安定した状態で封筒の位置を検知することができる。この場合、封筒の搬送方向に対する片寄り量をより正確に検出することができ、画像の書き込み位置をより精度良く設定することにより、封筒の所望位置に安定して精度良く画像形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】レジストローラ及びセンサ付近の概略構成図である。
【図3】画像形成装置の制御系のブロック構成図である。
【図4】封筒に画像形成する原理を説明するための図である。
【図5】封筒情報の設定の一例を説明するための図である。
【図6】封筒情報の設定の一例を説明するための図である。
【図7】封筒に画像形成する処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図7中のステップS4内の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】変形例1における封筒の斜行量の検出を説明するための図である。
【図10】変形例3における封筒情報の検出を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法の一例を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
<1.基本構成例>
[画像形成装置の構成]
図1に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図を示す。なお、図1には、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の機能を備え、電子写真方式によりシート上にモノクロ画像を形成する画像形成装置1の構成例を示す。
【0015】
画像形成装置1は、原稿搬送部2と、原稿読み取り部3と、画像形成部4と、給紙部5と、排紙トレイ6とを備える。なお、画像形成装置1内には、給紙部5から画像形成部4を介して排紙トレイ6に至るシートの搬送経路Sが形成され、この搬送経路Sは、画像形成装置1内の所定位置に設けられた各種ローラ、ガイド板、及び、搬送ベルト等により形成される。
【0016】
また、画像形成装置1は、画像形成装置1の動作全体を制御する制御部、画像形成装置1の各種操作を表示する操作表示部、及び、画像データに対して所定の処理を施す画像処理部を備える(後述の図3参照)。
【0017】
さらに、画像形成装置1は、給紙部5から画像形成部4に至る搬送経路Sの途中に、シートの斜行を補正するレジストローラおよびシートの基準位置からの片寄りを検知するセンサを有する。
【0018】
原稿搬送部2は、複数の原稿給紙トレイ21を有し、所定の原稿給紙トレイ21にセットされたシートを原稿読み取り部3に搬送する。
【0019】
原稿読み取り部3は、原稿画像を光学的に読み取り、原稿画像の情報をアナログ電気信号に変換し、さらに、該アナログ電気信号をデジタル信号に変換する。そして、原稿読み取り部3は、変換したデジタル信号を画像データとして画像処理部に出力する。
【0020】
画像形成部4は、ドラム状の感光体41、前記感光体41の周囲に設けられた帯電部42、前記感光体上に潜像からなる画像を書き込む書込部43、前記感光体上に形成された前記画像を現像してトナー像を形成する現像部44、転写ローラ45により押圧された転写ベルト67を有し、前記トナー像をシートに転写する転写部46、前記感光体41表面をクリーニングするクリーニング部47、トナー像をシートに定着する定着部48およびシートを排紙する排紙ローラ49を有する。
【0021】
画像形成部4の具体的な処理動作は、次の通りである。まず、画像形成部4は、画像処理部で所定の画像処理が施された画像データを取得する。次いで、帯電部42、書込部43、現像部44及び転写部46において、給紙部5から給紙されたシートに対して、画像データに基づいて、それぞれ、帯電、書き込み、現像及び転写の処理をこの順で行う。これらの処理により、シート上にトナー像が形成される。そして、定着部48では、形成されたトナー像をシートに定着処理し、該定着処理されたシートを、排紙ローラ49を介して排紙トレイ6に排紙する。
【0022】
給紙部5は、各種シートに対応した給紙カセット51を複数有し、各給紙カセット51に収納された所定のシートを搬送経路Sに沿って、一枚ずつ、レジストローラ61に給紙する。
【0023】
また、本実施形態の画像形成装置1は、例えばパーソナルコンピュータ等の外部端末機器と接続可能であり、該外部機器から画像データを取得して、該画像データに対応する画像をシート上に形成することも可能である。
【0024】
[レジスト搬送部の構成]
図2に、シートの搬送経路Sの途中に設けられ、シートの斜行を補正するレジストローラ61及び片寄りを検知するセンサ62を有するレジスト搬送部60の概略構成を示す。
【0025】
レジスト搬送部60は、レジストローラ61、シートの片寄りを検知するセンサ62および2つの搬送ローラ63,64を有する。そして、レジストローラ61、センサ62および2つの搬送ローラ63,64は、シートの搬送方向AR1において、転写部46の上流側に設けられる。また、レジストローラ61、センサ62および2つの搬送ローラ63,64は、搬送方向AR1の上流側からこの順で配置される。
【0026】
また、レジスト搬送部60は、レジストローラ61、センサ62及び搬送ローラ63の領域に渡って設けられた上部ガイド板65および下部ガイド板66を有する。さらに、レジスト搬送部60は、搬送ローラ63から搬送されたシートを感光体41と転写部46間に搬送するための転写ベルト67を有する。なお、転写ベルト67は、搬送ローラ64に取り付けられ、搬送ローラ64の回転動作により駆動され、シートを搬送する。
【0027】
レジストローラ61は、画像形成時に、給紙部5から搬送されたシートの斜行を補正する。具体的には、給紙部5から搬送されたシートが静止したレジストローラ61に突き当てられた後に、更にループ形成ローラ68によりシートを送り込んでループを形成することによりレジストローラ61突き当てられたシートの先端部の斜行が補正される。その後、斜行が補正されたシートは、レジストローラ61により搬送が開始され、転写部46へ搬送される。
【0028】
片寄りを検知するセンサ62は、シートの搬送方向AR1と直交する方向の端部におけるシートの片寄り量を検出する。
【0029】
センサ62は、シートからの反射光を検出し、その検出信号に基づいて、搬送されるシートの端部位置を検出する。そして、センサ62は、検出した結果を制御部に出力する。センサ62は、例えば複数のフォトセンサを主走査方向に並べて構成したラインセンサ等で構成することができる。
【0030】
センサ62を通過したシートは、上部ガイド板65および下部ガイド板66に案内され、更に搬送ローラ64により回転駆動される転写ベルト67により転写部46に搬送される。
【0031】
[画像形成装置の制御系の構成]
図3に、画像形成装置1における制御系のブロック構成図を示す。なお、図3には、説明を簡略化するために、主に、封筒への画像形成時に機能する構成部分のみを示す。
【0032】
画像形成装置1の制御系は、制御部70、給紙部5、操作表示部71、レジストローラ61、書込部43、画像処理部72およびセンサ62を有し、システムバス73を介して電気的に接続される。
【0033】
なお、図3に示す給紙部5、レジストローラ61、書込部43およびセンサ62は、図1及び2で説明したそれらと同様の構成であるので、ここでは、これらの構成についての説明は省略する。
【0034】
制御部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit),ROM,RAM等から構成され、上記各部および画像形成装置1の動作全体を制御する。
【0035】
操作表示部71は、画像形成装置1の各種操作の状況及び操作結果を表示する。また、本実施形態では、操作表示部71は、ユーザが直接、操作表示部71に各種操作情報を入力する機能、すなわち、操作パネルの機能も備える。ただし、本発明はこれに限定されず、ユーザによる各種操作情報の入力を可能にする操作入力部を、操作表示部71とは別個に設けてもよい。
【0036】
画像処理部72は、例えば、原稿読み取り部3により読み取られた原稿の画像データや、外部機器から入力された画像データに対して所定の画像処理を施し、該画像データを印刷用の画像データに変換する。そして、画像処理部72は、印刷用の画像データを書込部43に出力する。
【0037】
また、本実施形態では、制御部70は、センサ62の検知結果に基づいて、基準位置に対するシートの片寄り量を算出する。そして、制御部70は、算出した片寄り量に応じて、所定の片寄り補正の制御を行う。具体的には、制御部70は、書込部43による画像の書き込みの開始位置を変更する。この画像の書き込み位置の変更制御により、シートの所望の位置に画像形成することができる。
【0038】
ただし、本実施形態において封筒に画像形成を行う場合には、制御部70は、センサ62による片寄り量の検知の検知結果と、前記フラップ部の端部から封筒本体の端部までの長さであるフラップ部の長さとの総和に基づき、画像の書き込み位置を変更する。
【0039】
[封筒への画像形成動作の原理]
次に、本実施形態の画像形成装置1における封筒への画像形成動作の原理を説明するが、その前に、例えば特許文献1等で提案されている画像形成方法のように、封筒のフラップ部をシートの搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する場合の各種問題について説明する。
【0040】
封筒のフラップ部をシートの搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送した場合、上述のように、封筒のフラップ部をレジストローラに突き当てた際に、フラップ部が変形するという問題が生じるが、これは、封筒の搬送方向を逆にすることにより解決可能である。しかしながら、封筒の両面に画像を形成する場合、封筒の表面に画像形成する際の搬送方向と、裏面に画像形成する際の搬送方向とが逆転することになり、上記問題は解消されない。
【0041】
また、封筒のフラップ部をシートの搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する場合、フラップ部の形状によっては、搬送方向に沿って、搬送ローラによるフラップ部のニップ幅が大きく変化し、封筒が斜行してしまうこともある。
【0042】
さらに、通常、シートの搬送方向に直交する主走査方向の書き込み位置の精度を良好とするためには、片寄りを検知するセンサ62での検知位置において、シートの搬送状態が安定していることが望ましい。一般に、片寄りを検知するセンサ62はシートの搬送方向において転写部46の上流側の直前に配置される。それゆえ、シートの主走査方向の書き込み位置の精度を良好とするためには、レジストローラ61からセンサ62を介して転写部46に至るまでの搬送経路においてシートが斜行しないような安定性が求められる。
【0043】
しかしながら、封筒のフラップ部をシートの搬送方向の下流側に向けて封筒を搬送する場合には、上述のように、フラップ部がレジストローラを通過した際に封筒が斜行することがあり、封筒の主走査方向における書き込み位置の精度が低下する。
【0044】
そこで、本実施形態の画像形成装置1では、上記各種問題を解消するため、封筒への画像形成時には、普通紙等に対する通常の画像形成動作と異なり、次のようにして画像を形成する。ここでは、図4を参照しながら、本実施形態における封筒への画像形成動作の原理を具体的に説明する。なお、図4は、上方の画像形成部4側から見た封筒への画像形成時におけるレジストローラ61付近の封筒100の搬送状態を示す図である。
【0045】
本実施形態では、まず、図4に示すように、フラップ部102を有する封筒本体101の辺が搬送方向と平行になる状態で封筒100を搬送する。この場合、封筒本体101をレジストローラ61に突き当てて斜行補正することになる。すなわち、封筒本体101のレジストローラ61への突き当てると、突き当てられる部分は、フラップ部102に比べて、突き当て幅が大きくなり、かつ、厚さも厚くなる。それゆえ、本実施形態では、封筒100をレジストローラ61に突き当てて斜行補正する際に、フラップ部102が変形するという問題が解消される。
【0046】
次いで、本実施形態では、斜行補正された封筒100をレジストローラ61でニップしてセンサ62側に搬送する。そして、その搬送途中で、前記レジストローラ61および前記センサ62が前記フラップ部102の前記平行部103に位置するタイミングで、前記フラップ部102の前記平行部103の端部の位置を前記センサ62により検知する。すなわち、本実施形態では、封筒100の片寄り検知位置62a及びレジストローラ61によるニップ位置61aがともに区間A内に位置するタイミングで封筒100の片寄りを検知する。
【0047】
それ以外の場合、例えば、封筒100の片寄り検知位置62a及びレジストローラ61のニップ位置61aの少なくとも一方がフラップ部102の傾斜部104(図4中の区間B)内に位置する場合には、位置検知を行わない。
【0048】
なお、本実施形態において、レジストローラ61のニップ位置61aおよびセンサ62がともに区間Aに位置するタイミングのみで封筒100の位置検知を行う理由は、次の通りである。
【0049】
平行部103が位置する区間Aでは、搬送時に、レジストローラ61による封筒100のニップ幅Hnが一定になるので、封筒100の搬送姿勢が安定した状態となる。それゆえ、レジストローラ61のニップ位置61a及びセンサ62がともに区間A内に位置する状態で封筒100の片寄り検知を行うことにより、封筒100の搬送姿勢が安定した状態で封筒100の片寄り検知を行うことができる。この結果、封筒100の主走査方向AR2における封筒100の片寄り量を精度良く検知できる。
【0050】
一方、傾斜部104が位置する区間Bでは、搬送時に、レジストローラ61による封筒100のニップ幅Hnが搬送方向AR1に沿って変化する。特に、封筒本体101より厚さの薄い、フラップ部102のニップ幅が搬送方向AR1に沿って変化する。それゆえ、区間Bでは、封筒100の搬送姿勢が安定せず、斜行し易くなる。また、区間Bでは、斜行部104の端部位置も搬送方向AR1に沿って変化するので、端部位置の検知区間としては好ましくない。これらのことから、本実施形態では、封筒100の片寄り検知位置62a及びレジストローラ61のニップ位置61aの少なくとも一方がフラップ部102の傾斜部104内(区間B)に位置する場合には、位置検知を行わない。
【0051】
上述のように、本実施形態では、フラップ部102の形状を考慮して、封筒100の搬送姿勢が安定し、かつ、封筒100の端部位置の変化がない区間Aにおいてのみ位置検知を行う。そして、本実施形態では、その片寄り検知の結果に基づいて、画像の主走査方向AR2の書き込み位置が基準位置になるように、画像の書き込み位置を変更する。
【0052】
ただし、この際、封筒100のフラップ部102がセンサ62を設けた一方の端部側に位置する場合には、片寄り検知の結果に加え、予め設定されたフラップ部102の幅Haを考慮して画像の書き込み位置を変更する。具体的には、図4中の矢印AR3に示すように、主走査方向AR2において、片寄り検知の結果に加え、画像106が、さらにフラップ部102の幅Haだけシフトして形成されるように画像の書き込み位置を変更する。一方、封筒100のフラップ部102がセンサ62を設けた一方の端部側と異なる他方の端部側に位置する場合および普通紙である場合には、フラップ部102の幅Haを考慮せず、片寄り量のみに基づき画像の書き込み位置の変更を行う。
【0053】
なお、本実施形態では、例えば、封筒100のフラップ部102の幅Ha、フラップ部102の平行部103(区間A)の長さ、及び、傾斜部104(区間B)の長さ等の形状情報や、搬送方向AR1に対するフラップ部102の位置情報などの封筒情報を予め画像形成装置1に設定する。そして、これらの情報に基づいて、上述した封筒100の位置検知処理および画像の書き込み位置の変更を行う。
【0054】
また、本実施形態において、封筒100の片寄り検知を行うタイミングは、レジストローラ61のニップ位置61a及びセンサ62がともに区間A内に位置するタイミングであれば、任意に設定することができる。
【0055】
例えば、レジストローラ61のニップ位置61a及びセンサ62間の中間位置が、搬送方向AR1において、封筒100の中央になるように、封筒100の片寄り検知位置62aを設定してもよい。この場合、レジストローラ61及びセンサ62の両方を、より確実に区間A内に配置することができる。
【0056】
また、例えば、予め設定された封筒100の搬送方向AR1の長さとなる封筒幅Hの情報に基づいて、レジストローラ61のニップ位置61a及びセンサ62がともに区間A内に確実に位置するように片寄り検知位置62aを設定してもよい。なお、この片寄り検知位置62aの設定は、制御部70で行うことができる。
【0057】
さらに、封筒100の片寄り検知位置62aの設定方法としては、例えば、操作表示部71等の情報入力手段を介して、ユーザが直接入力して設定してもよい。
【0058】
なお、上述した封筒100の片寄りの検知位置62aの調整は、例えば、レジストローラ61を停止して封筒の斜行を補正した後に、封筒100を搬送方向AR1の下流側へ搬送する際のレジストローラ61の回転駆動時間等により制御することができる。
【0059】
[封筒情報の取得法]
上述のように、本実施形態の画像形成装置1では封筒100に画像を形成する際に、予め封筒100の上記各種封筒情報を画像形成装置1に設定するが、この封筒情報の設定方法としては、例えば次のような方法を用いることができる。
【0060】
(1)封筒情報を選択する方法
設定方法(1)では、まず、例えば定型サイズ等の一般によく使用される封筒100の形状情報を予め画像形成装置1に記憶する。なお、この際に形状情報を記憶する封筒100は、定型サイズの封筒100に限らず、不定型サイズの封筒100であってもよい。次いで、画像形成時に、ユーザが操作表示部71で用紙選択の操作パネルを表示し、その中から所望の封筒100を選択することにより封筒情報を設定する。
【0061】
なお、この設定方法(1)では、封筒100のフラップ部102の位置情報も操作パネルを介して選択するようにしてもよい。また、フラップ部102の位置情報の別の設定方法としては、例えば給紙カセット51等にフラップ部102のセット方向を予め指定する旨の指示を表示しておき、ユーザがその指示に従って封筒100をセットするようにしてもよい。この場合には、フラップ部102の位置情報としてデフォルト値が設定される。
【0062】
(2)封筒情報を入力する方法
上記設定方法(1)では、画像形成装置1に予め記憶された種々の封筒情報から所望の封筒情報を選択するが、市場には、多種多様な不定型サイズの封筒100が存在する。それ故、上記設定方法(1)では対応できないケースも発生することがある。
【0063】
そこで、設定方法(2)では、あらゆる形状の封筒100に対応するため、セットする封筒毎に封筒100の形状情報およびフラップ部102の位置情報をユーザが入力して設定する。
【0064】
図5及び6に、設定方法(2)により、封筒100の形状情報およびフラップ部102の位置情報を入力して設定する一例を示す。設定方法(2)で、まず、ユーザが操作表示部71の操作パネルを操作し、図5に示すような印刷メニューの画面80を表示する。次いで、ユーザは、印刷メニューの画面80内の印刷プロパティの表示画面81を開き、用紙種類ボタン82を選択する。これにより、用紙選択メニューの画面83が開く。
【0065】
次いで、ユーザは用紙選択メニューの画面83の中から封筒モードの選択ボタン84を選択する。これにより、図6に示すような封筒情報設定メニューの画面85が操作パネルに表示される。図6に示す例では、封筒情報設定メニューの画面85に、封筒100の形状情報の設定エリア86と、フラップ部102の位置情報の設定エリア87とが別個に表示される。
【0066】
次いで、表示された封筒情報設定メニューの画面85の設定エリア86において、ユーザは、例えば、封筒幅H、フラップ幅Ha、フラップ部102の傾斜部長さHbおよび平行部長さHc等の形状情報を入力する。また、ユーザは、設定エリア87において、4つの矢印ボタン88から一つ選択して、封筒100の搬送方向AR1(図6に示す「トレイ先端側」の矢印方向)に対するフラップ部102の位置を設定する。
【0067】
なお、印刷メニューから封筒情報設定メニューまでの表示形態は、図5及び6に示す例に限定されず任意である。例えば、封筒情報設定メニューの画面85において、設定エリア86及び設定エリア87を一体的に表示してもよい。
【0068】
また、封筒情報の設定方法は、上記設定方法(1)又は(2)に限らず、例えば、上記設定方法(1)及び(2)の両方を備える構成にしてもよい。この場合には、例えば、上記設定方法(2)で設定した封筒情報を記憶し、その封筒情報を次回以降の封筒100への画像形成処理に利用できるようにしてもよい。
【0069】
[封筒への画像形成処理]
次に、本実施形態の画像形成装置1における封筒への画像形成方法を、図7を参照しながら説明する。なお、図7は、本実施形態における封筒への画像形成時の処理手順を示すフローチャートである。
【0070】
まず、画像形成装置1の制御部70は、例えば、上述した設定方法(1)又は(2)等の方法により、予め設定された封筒情報、即ち、封筒100の形状情報及びフラップ部102の位置情報を取得する(ステップS1)。
【0071】
次いで、制御部70は、封筒100の印刷ジョブを開始し、給紙部5を制御して、レジストローラ61に封筒100を給紙する。次いで、制御部70は、レジストローラ61およびループ形成ローラ68を制御して、給紙された封筒100の斜行を補正する(ステップS2)。具体的には、静止したレジストローラ61に封筒100を突き当てた後にループ形成ローラ68から更に送り込むことによって封筒100の斜行を補正する。
【0072】
次いで、制御部70は、フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になるか否かを判定する(ステップS3)。
【0073】
ステップS3において、フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行にならない場合および普通紙である場合には、ステップS3はNO判定となる。この場合、画像形成装置1は、基準位置からの片寄り補正制御のみを行う(ステップS4)。
【0074】
ここで、ステップS4の処理内容を、図8を参照しながら説明する。なお、図8は、ステップS4で行う各種処理の手順を示すフローチャートである。
【0075】
まず、制御部70は、センサ62を制御して、搬送されている封筒100の片寄り検知を所定位置で行い、封筒100の端部位置を検出する(ステップS11)。なお、この際の片寄り検知の位置は、予め設定された位置で行われる。次いで、制御部70は、ステップS11で検出した端部位置と、予め設定された封筒100のサイズ情報から得られる基準位置との差を片寄り量として算出する(ステップS12)。次いで、制御部70は、ステップS12で算出した封筒100の片寄り量に基づいて、片寄り補正制御のみを行う(ステップS13)。具体的には、制御部70は、書込部43による主走査方向AR2における画像の書き込み位置が所望の位置になるように、画像の書き込み位置を変更する。
【0076】
ステップS4では、封筒100の片寄り検知し、フラップ幅を考慮せず、片寄り補正制御のみを行う。その後、書込部43は、変更された画像の書き込み位置の情報に基づいて、封筒100に画像を書き込む(ステップS8)。
【0077】
一方、ステップS3において、フラップ部102を有する封筒本体101の辺が搬送方向と平行となる場合には、ステップS3はYES判定となる。この場合、制御部70は、封筒100のフラップ部102がセンサ62の側に位置するか否かを判定する(ステップS5)。
【0078】
ステップS5において、封筒100のフラップ部102がセンサ62の側に位置する場合(図4の状態)には、ステップS5はYES判定となる。この場合、制御部70は、レジストローラ61により斜行補正された封筒100をセンサ62側に搬送する。そして、制御部70は、センサ62を制御して、封筒100の搬送途中で、センサ62及びレジストローラ61のニップ位置61aが共に区間Aの平行部103に位置するタイミングで、封筒100の片寄り検知を行う(ステップS6)。なお、ステップS6の片寄り検知処理では、図8中のステップS11及びS12と同様にして、制御部70にて、封筒100の片寄り量を算出する。
【0079】
次いで、制御部70は、算出した封筒100の片寄り量および予め設定されたフラップ部102の幅情報に基づいて、主走査方向AR2における画像の書き込み位置が基準位置になるように、画像の書き込み位置を変更する片寄り補正制御を行う(ステップS7)。そして、制御部70は、画像書込部43を制御して、書込部43を制御して、変更された画像の書き込み位置の情報に基づいて、封筒100に画像を書き込む(ステップS8)。
【0080】
一方、ステップS5において、封筒100のフラップ部102がセンサ62の側に位置しない反対側に位置する場合には、ステップS5はNO判定となる。この場合、制御部70は、レジストローラ61により、ステップS6と同様に、斜行補正された封筒100をセンサ62側に搬送する。そして、制御部70は、センサ62を制御して、封筒100の搬送途中で、センサ62及びレジストローラ61のニップ位置61aがともに区間Aに位置するタイミングで、封筒100の片寄り検知を行う(ステップS9)。
【0081】
次いで、制御部70は、センサ62での検知結果に基づいて、主走査方向AR2における画像の書き込み位置が基準位置になるように、片寄り補正制御のみを行う(ステップS10)。この際、フラップ部102がセンサ62とは反対側に位置するので、フラップ部102の幅は考慮しない。
【0082】
そして、制御部70は、書込部43を制御して、変更された画像の書き込み位置の情報に基づいて、封筒100に画像を書き込む(ステップS8)。本実施形態では、このようにして封筒100に画像を形成する。
【0083】
なお、本実施形態では、ステップS3及びS5の判定処理を、封筒100の斜行補正(ステップS2)後に実施する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。ステップS3及びS5の判定処理は、封筒情報の設定(ステップS1)後から片寄り検知(ステップS6又はS9)前までの間であれば、任意のタイミングで行うことができる。
【0084】
上述のように、本実施形態では、フラップ部102を有する封筒本体101の辺が搬送方向と平行となるように封筒100をレジストローラ61に搬送する。さらに、本実施形態では、封筒100をレジストローラ61でニップしながら搬送し、その途中で、センサ62及びレジストローラ61のニップ位置61aが共にフラップ部102の平行部103(区間A)に位置するタイミングで封筒100の片寄り検知を行う。それゆえ、本実施形態の画像形成装置1では、封筒100の斜行補正の不良を抑制することができ、かつ、画像を封筒100の所望位置に安定して精度良く形成することができる。
【0085】
なお、本実施形態では、画像形成装置1として、電子写真方式によりシート上にモノクロ画像を形成する画像形成装置を例に挙げ説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置にも適用可能であり、同様の効果が得られる。また、本発明は、電子写真方式以外の任意の画像形成方式を採用した画像形成装置にも適用可能である。例えば、本発明は、インクジェット方式、熱転写方式、銀塩写真方式等の画像形成装置にも適用可能であり、同様の効果が得られる。
【0086】
<2.各種変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば、下記に示すような各種変形例が考えられる。
【0087】
[変形例1]
上記実施形態では、センサ62を封筒100の片寄り量を検出するために用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フラップ部102の平行部103(区間A)において、所定間隔で複数回、片寄り検知を行うことにより、封筒100の片寄り量だけでなく、封筒100の斜行量(傾き量)も検出することができる。すなわち、センサ62を封筒100の片寄り検知だけでなく、斜行検知にも利用することができる。
【0088】
変形例1の画像形成装置における片寄り検知及び斜行検知の原理を、図9を参照しながら、具体的に説明する。なお、図9では、説明を簡略化するため、フラップ部102の平行部103(区間A)内の2つの位置P1及びP2で片寄り検知を行う例を示す。
【0089】
図9に示す例では、例えば、まず、位置P1及びP2で片寄り検知を行い、各位置での片寄り量だけでなく、検知時刻等の検知結果を取得する。次いで、位置P1及びP2で片寄り検知した際の各時刻と、レジストローラ61の駆動速度とから位置P1及びP2間の距離ΔLを求める。そして、位置P1及びP2でそれぞれ検出した封筒100の片寄り量と、算出した位置P1及びP2間の距離ΔLとから斜行量を算出する。
【0090】
上述した封筒100の片寄り検知及び斜行検知は、センサ62及びレジストローラ61のニップ位置61aが共にフラップ部102の平行部103(区間A)に位置するタイミングで行う。この場合、封筒100の搬送状態が安定した状態で封筒100の片寄り検知及び斜行検知の両方を行うことができるので、封筒100の片寄り量だけでなく、斜行量もより正確に検出することができる。なお、封筒100の斜行量の算出処理は、制御部70で行う。
【0091】
上述のように、平行部103の複数の箇所で封筒100の片寄り検知を行い、封筒100の片寄り量だけでなく斜行量も算出することにより、より一層正確に封筒100の位置を把握することができる。この結果、この例では、画像の書き込み位置をより一層正確に設定することができる。
【0092】
[変形例2]
上記実施形態では、封筒情報の設定方法として、ユーザが封筒情報を設定する例(上記設定方法(1)又は(2))を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、封筒100の搬送経路Sにおいて、レジストローラ61の上流側にイメージセンサ等の封筒検出センサを配置して、封筒情報を取得する変形例2の構成にしてもよい。
【0093】
具体的には、例えば、レジストローラ61の上流側にイメージセンサを設け、このイメージセンサにより封筒100の外形を検出し、その検出結果に基づいて、封筒100の形状情報及びフラップ部102の位置情報を取得するようにしてもよい。なお、イメージセンサとしては、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等を用いることができる。
【0094】
この例のように、イメージセンサ等の封筒検出センサを設けて封筒情報を取得した場合、ユーザによる封筒情報の設定処理を省略することができるので、画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。
【0095】
なお、上記実施形態で説明したユーザが操作表示部71を介して封筒情報を設定する構成の代わりに、この例の封筒検出センサで封筒情報を取得する構成を適用してもよいが、この例の構成を上記実施形態に追加してもよい。
【0096】
[変形例3]
また、封筒情報を取得するための封筒検出センサとして、例えば、シートの端部位置を検出するセンサ62等と同様の構成のセンサを用いてもよい(変形例3)。この場合、搬送方向AR1においてレジストローラ61の上流側に封筒検出センサを設け、この封筒検出センサにより封筒100のフラップ部102の端部位置を連続的又は所定間隔毎に測定する。そして、封筒検出センサの測定結果に基づいて、封筒100の形状情報及びフラップ部102の位置情報を取得する。
【0097】
図10に、この例における封筒情報の検出原理の概要を示す。なお、図10に示す例では、封筒検出センサとして、レジストローラ61の下流側に設けられたセンサ62と同様の構成のセンサ90を用いた例を示す。
【0098】
この例において、レジストローラ61の上流側でセンサ90により封筒100の片寄り検知を開始すると、まず、図10中の搬送方向AR1の位置P3において、フラップ部102の傾斜部104と封筒本体101との境界付近のエッジ位置が検出される。
【0099】
次いで、封筒100を搬送させながら連続的又は所定間隔でセンサ90により片寄り検知を続けると、センサ90がフラップ部102の傾斜部104と平行部103の境界付近の位置P4に到達するまで、検出される端部位置が連続的に変化する。その後、さらに封筒100を搬送させながら片寄り検知を続けると、片寄り検知を行う区間が平行部103となるので、検出される端部位置の変化はほとんどなくなる。
【0100】
すなわち、フラップ部102の傾斜部104(区間B)で片寄り検知を行っている間は、端部位置の検知結果が大きく変化し、平行部103(区間A)で片寄り検知を行っている間は、検知結果の変化が小さくなる。それゆえ、センサ90での検知結果の変化量を検出することにより、フラップ部102の傾斜部104と平行部103との境界を判別することができ、この判別結果に基づいて封筒100の形状情報を自動的に得ることができる。
【0101】
また、フラップ部102がセンサ90の側に位置しない場合には、センサ90から得られる端部位置の検知結果の変化量は、検知開始からほとんど変化しない。すなわち、この例の方法では、センサ90から得られる検知結果に基づいて、フラップ部102がセンサ90の側に位置するか否かも判別することができ、フラップ部102の位置情報も得ることができる。なお、上述した封筒100の形状情報及び位置情報の算出及び取得処理は、例えば制御部70等で行うことができる。
【0102】
なお、図10に示す例では、封筒情報を取得するための封筒検出センサを別途設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御部70の処理能力が十分高い場合には、レジストローラ61の搬送方向AR1の下流側に設けられたセンサ62を用いて封筒情報を取得してもよい。この場合、センサの数を増やす必要がないので、装置構成がより簡易になる。
【0103】
また、レジストローラ61の搬送方向AR1の下流側に設けられたセンサ62を用いて封筒情報を取得する場合、例えば、次のようにしてもよい。まず、レジストローラ61により封筒100をセンサ62側に一旦搬送して、センサ62で封筒100の外形を検出する。次いで、封筒100をレジストローラ61の搬送方向AR1の上流側に戻す。その後、上記実施形態と同様にして封筒100の片寄り検知を行う。この場合、制御部70の処理能力が十分高くなくてもよい。
【0104】
上述のように、この例においても、上記変形例2と同様に、ユーザによる封筒情報の設定処理を省略することができるので、画像形成装置の使い勝手を向上させることができる。
【0105】
なお、この例の封筒検出センサで封筒情報を取得する構成を、上記実施形態で説明したユーザが操作表示部71を介して封筒情報を設定する構成の代わりに適用してもよいが、この例の構成を上記実施形態に追加してもよい。
【符号の説明】
【0106】
1…画像形成装置、2…原稿搬送部、3…原稿読み取り部、4…画像形成部、5…給紙部、6…排紙トレイ、41…感光体、42…帯電部、43…書込部、44…現像部、45…転写ローラ、46…転写部、47…クリーニング部、48…定着部、60…レジスト搬送部、61…レジストローラ、62…センサ、63,64…搬送ローラ、65…上部ガイド板、66…下部ガイド板、67…転写ベルト、70…制御部、71…操作表示部、72…画像処理部、73…システムバス、100…封筒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、前記感光体上に画像を書き込む書込部と、前記画像を現像してトナー像を形成する現像部と、平行部と傾斜部からなるフラップ部と封筒本体を有する封筒に前記トナー像を転写する転写部と、
前記封筒の斜行を補正して前記転写部へ前記封筒を搬送するレジストローラと、
前記転写部と前記レジストローラの間に配置され、前記封筒の搬送方向と平行となる一方の端部の位置を検知するセンサと、
前記書込部、前記レジストローラおよび前記センサを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態であり、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態で封筒が搬送される場合、前記レジストローラおよび前記センサが前記フラップ部の前記平行部に位置するタイミングで、前記フラップ部の前記平行部の端部の位置を前記センサにより検知し、前記センサの検知結果に基づいて、前記書込部による前記画像の書き込み位置を変更することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量と前記フラップ部の端部から封筒本体の端部までの長さの総和となる変更であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態とならないように封筒が搬送される場合、前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量の変更のみとすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記封筒のフラップ部の位置情報が予め設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに、前記フラップ部の位置情報を設定するための操作表示部を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記センサは、前記フラップ部の複数箇所を検知し、
前記制御部は、前記複数箇所の検知結果に基づいて、前記封筒の斜行量を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数箇所における基準位置からの片寄り量の検知結果と、前記複数箇所で検知を行った時の前記レジストローラの駆動時間とにより、前記封筒の斜行量を算出することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
さらに、前記封筒の形状情報、及び、前記搬送方向に対する前記フラップ部の位置を検出する封筒検出センサを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記封筒検出センサは、前記封筒の搬送方向に沿った端部の位置を連続的に又は所定間隔で検出することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記センサの配置位置が予め設定されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
感光体と、前記感光体上に画像を書き込む書込部と、前記画像を現像してトナー像を形成する現像部と、平行部と傾斜部からなるフラップ部と封筒本体を有する封筒に前記トナー像を転写する転写部と、
前記封筒の斜行を補正して前記転写部へ前記封筒を搬送するレジストローラと、
前記転写部と前記レジストローラの間に配置され、前記封筒の搬送方向と平行となる端部の位置を検知するセンサと、
前記書込部、前記レジストローラおよび前記センサを制御する制御部と、を備える画像形成装置の画像形成方法であって、
前記制御部は、前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態であり、且つ前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態で前記封筒を前記レジストローラに給紙する工程と、
前記レジストローラにより、前記封筒の斜行を補正する工程と、
前記レジストローラおよび前記センサが前記フラップ部の前記平行部に位置するタイミングで、前記フラップ部の前記平行部の端部の位置を前記センサにより検知する工程と、
前記センサの検知結果に基づいて、前記書込部による前記画像の書き込み位置を変更する工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項12】
前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量と前記フラップ部の端部から封筒本体の端部までの長さの総和となる位置の変更であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記フラップ部を有する封筒本体の辺が搬送方向と平行になる状態、且つ、前記センサで検知する前記一方の端部に前記フラップ部が位置する状態とならないように前記封筒を前記レジストローラに給紙する工程を有し、
前記書き込み位置の変更は、基準位置からの片寄り量の変更のみであることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−163942(P2012−163942A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231620(P2011−231620)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】