説明

画像形成装置用ベルト、画像形成装置用固定摺動部材、定着装置および画像形成装置

【課題】ダイヤモンドライクカーボン層の割れや剥離を効果的に防止することができる画像形成装置用ベルト、画像形成装置用固定摺動部材、並びに、優れた耐摩耗性と摺動特性とを長期間にわたって維持することができる定着装置の提供。
【解決手段】ベルト基材62の表面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層64Bを備える画像形成装置用ベルト38、基材の摺動面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層を備える画像形成装置用固定摺動部材、並びに、定着ベルトと、前記定着ベルトの外周面に接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面に接して摺動する1つ以上の固定摺動部材と、を備え、前記定着ベルトまたは固定摺動部材として、前記画像形成装置用ベルトまたは前記画像形成装置用固定摺動部材を用いる定着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用ベルト、画像形成装置用固定摺動部材、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高生産性や加熱部材の温度上昇時間(ウォームアップタイム)短縮等の利便性向上を目的として、従来のロールを用いた定着装置に代わって、ベルトを使用した定着装置が多く提案されている。また、さらなる利便性向上のため、加圧ロールの代わりに加圧ベルトと、加圧ベルト内面に配置した固定摺動部材とを用いることで、長い接触領域を確保し、生産性向上等を実現した定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構成では、ポリイミド等の樹脂製のベルトと固定摺動部材との摺動面にフッ素樹脂(例えば、PTFE)を用いた固定摺動部材が使用されている。
【0003】
また、潤滑保護膜としてダイヤモンドライクカーボン(以下、本明細書において単に「DLC」と称すことがある)を使用し、長期間にわたって優れた耐摩耗性、摺動特性を有する加熱定着装置およびその製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3829695号
【特許文献2】特開平7−295409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ダイヤモンドライクカーボン層の割れや剥離を効果的に防止することができる画像形成装置用ベルト、およびダイヤモンドライクカーボン層の割れや剥離を効果的に防止することができる画像形成装置用固定摺動部材を提供することにある。
また、優れた耐摩耗性と摺動特性とを長期間にわたって維持することができる定着装置、および優れた画像を長期間にわたって得ることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。
すなわち請求項1に係る発明は、ベルト基材の表面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層を備える画像形成装置用ベルトである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のベルト基材が表面に凹凸を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン層が、該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されている画像形成装置用ベルトである。
【0007】
請求項3に係る発明は、定着ベルトと、前記定着ベルトの外周面に接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面に接して摺動する1つ以上の固定摺動部材と、を備え、前記定着ベルトとして、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用ベルトであって、前記固定摺動部材との摺動面に前記ダイヤモンドライクカーボン層を備えたベルトを用いる定着装置である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の定着ベルトにおけるダイヤモンドライクカーボン層が溝を介して複数に分割されており、該溝が、前記固定摺動部材との摺動方向の下流側から上流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されている定着装置である。
【0009】
請求項5に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用ベルトを備える画像形成装置である。
【0010】
請求項6に係る発明は、請求項3または請求項4に記載の定着装置を備える画像形成装置である。
【0011】
請求項7に係る発明は、基材の摺動面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層を備える画像形成装置用固定摺動部材である。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の基材が摺動面に凹凸を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン層が、該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されている画像形成装置用固定摺動部材である。
【0013】
請求項9に係る発明は、定着ベルトと、前記定着ベルトの外周面に接する加圧部材と、前記定着ベルトの内周面に接して摺動する1つ以上の固定摺動部材と、を備え、前記固定摺動部材として、請求項7または請求項8に記載の画像形成装置用固定摺動部材であって、前記定着ベルトとの摺動面に前記ダイヤモンドライクカーボン層を備えた固定摺動部材を用いる定着装置である。
【0014】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の固定摺動部材におけるダイヤモンドライクカーボン層が溝を介して複数に分割されており、該溝が、前記定着ベルトとの摺動方向の上流側から下流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されている定着装置である。
【0015】
請求項11に係る発明は、請求項7または請求項8に記載の画像形成装置用固定摺動部材を備える画像形成装置である。
【0016】
請求項12に係る発明は、請求項9または請求項10に記載の定着装置を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明によれば、ダイヤモンドライクカーボン層の割れや剥離を効果的に防止することができる。
【0018】
請求項2に係る発明によれば、良好な離型性を得ることができる。
【0019】
請求項3に係る発明によれば、優れた耐摩耗性と摺動特性とを長期間にわたって維持することができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、潤滑剤を用いる場合において、定着ベルトの軸方向両端部側への潤滑剤の片寄りを好適に防止し、良好な摺動性を長期間にわたって維持することができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、優れた画像を長期間にわたって得ることができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、優れた定着画像を長期間にわたって得ることができる。
【0023】
請求項7に係る発明によれば、ダイヤモンドライクカーボン層の割れや剥離を効果的に防止することができる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、良好な離型性を得ることができる。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、優れた耐摩耗性と摺動特性とを長期間にわたって維持することができる。
【0026】
請求項10に係る発明によれば、潤滑剤を用いる場合において、定着ベルトの軸方向両端部側への潤滑剤の片寄りを好適に防止し、良好な摺動性を長期間にわたって維持することができる。
【0027】
請求項11に係る発明によれば、優れた画像を長期間にわたって得ることができる。
【0028】
請求項12に係る発明によれば、優れた定着画像を長期間にわたって得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略することがある。
【0030】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、第1の実施形態に係る定着装置を示す概略断面図である。図3は、第1の実施形態に係る定着装置を示す概略構成図である。図4(A)は、従来における定着ベルトの表面を示す概略断面図である。図4(B)は、第1の実施形態に係る定着ベルトの表面を示す概略断面図である。図5は、第1の実施形態に係る定着ベルトの概略平面図である。
なお、図2は、定着装置の軸方向から見た概略断面図である。図3は、図2の2−2概略断面図であり、定着装置の軸方向と直交方向から見た概略断面図である。図4(A)および図4(B)は、定着ベルトの軸方向から見た概略断面図である。図5は、図4(B)の矢印G方向から見た(定着ベルトの内周面を軸方向と直行方向から見た)概略平面図である。
【0031】
第1の実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、一方向へ(図1において矢印A方向)に回転する円筒状の感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の回転方向上流側から順に、感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム10に像光Lを照射して表面に潜像を形成する露光装置14と、感光体ドラム10表面の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー画像を形成する現像器16A〜16Dで構成される現像装置16と、感光体ドラム10と対向し、周面が周回可能に支持される無端ベルト状の中間転写体18と、トナー画像の転写後に感光体ドラム10に残留するトナーを除去する清掃装置20と、感光体ドラム10の表面を除電する除電露光装置22とが設けられている。
【0032】
また、中間転写体18の内側には、感光体ドラム10表面に形成されたトナー画像を中間転写体18に一次転写する転写装置24と、2つの支持ロール26A、26Bと、二次転写を行うための転写対向ロール28とが配置されており、これらによって中間転写体18が一方向(図1において矢印B方向)へ周回可能に張架されている。転写対向ロール28と対向する位置には、中間転写体18を介して、中間転写体18の外周面に一次転写されたトナー画像を記録紙(記録媒体)Pに二次転写する転写ロール30が設けられており、転写対向ロール28と転写ロール30との圧接部に、記録紙Pが矢印C方向へ送り込まれるようになっている。そして、当該圧接部において表面にトナー画像が二次転写された記録紙Pは、そのまま矢印C方向に搬送される。
【0033】
記録紙Pの搬送方向(矢印C方向)下流側には、記録紙P表面のトナー画像を加熱溶融して記録紙Pに定着する定着装置32が配されており、記録紙Pが用紙案内部材36を経由して送り込まれる。また、中間転写体18の回転方向(矢印B方向)下流に沿った位置には、中間転写体18表面に残留するトナーを除去する清掃装置34が設けられている。
【0034】
次に、第1の実施形態に係る定着装置について説明する。
【0035】
第1の実施形態に係る定着装置32は、図2および図3に示すように、一方向(矢印D方向)へ回転する無端状の定着ベルト38と、定着ベルト38の周面に圧接され、一方向(矢印E方向)へ回転する加圧ロール40と、定着ベルト38の加圧ロール40との圧接面とは反対の外周面に対向すると共に離間して配置される磁界発生装置42と、を備えている。
【0036】
定着ベルト38の内周側には、加圧ロール40とで接触部を形成する固定摺動部材44と、磁界発生装置42に定着ベルト38を介して対向すると共に定着ベルト38の内周面に接触して配置される発熱制御部材46と、固定摺動部材44を支持する支持部材48と、を備えている。発熱制御部材46は、支持部材48により支持されている。そして、定着ベルト38の両端部には、定着ベルト38を回転駆動するために、その回転動力を伝達するための駆動伝達部材50が設けられている。
【0037】
また、定着ベルト38と加圧ロール40との接触部の記録紙Pの搬送方向(矢印F方向)下流側には、剥離部材52が設けられている。剥離部材52は、一端が固定支持された支持部52Aと、これに支持されている剥離シート52Bとからなり、剥離シート52Bの先端が定着ベルト38に近接又は接触するように配置されている。
【0038】
まず、定着ベルト38について説明する。定着ベルト38は、図4(B)に示すように、ベルト基材62の表面(内周面)にダイヤモンドライクカーボン(DLC)層64Bを備えている。
【0039】
基材62は磁界(磁束)によって発熱する発熱層であり、磁界(磁束)を容易に貫通しつつ、磁界の作用により発熱しやすい材料であり、熱容量がより小さいことがよい。発熱層として具体的には、例えば、厚み1μm以上20μm以下(望ましくは2μm以上15μm以下)である、非磁性金属材料を含む発熱層が挙げられる。非磁性金属材料としては、例えば、銅、アルミ、銀等が挙げられる。
【0040】
DLC層64Bは、図4(A)に示す連続膜状のDLC層64Aではなく、図4(B)に示すように、複数に分割して形成された不連続膜である。DLC層64Bは、例えば、0.01μm以上5μm以下(望ましくは1μm以上5μm以下)に形成されている。
【0041】
また、上記不連続膜として形成されたDLC層64Bは溝66を介して複数に分割されており、該溝66は、図5に示すように、固定摺動部材44との摺動方向(矢印H)の下流側から上流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されている。すなわち、図5において説明すると、ベルト軸方向中央から左右それぞれの側に対称に溝66が形成され、ベルト軸方向中央から右側に形成された溝66は軸方向端部から左斜め上方向に形成されており、一方ベルト軸方向中央から左側に形成された溝66は軸方向端部から右斜め上方向に形成されている。尚ここで、上記「摺動方向(矢印H)」とは、固定摺動部材44と定着ベルト38との摺動箇所において該定着ベルト38が回転する方向を表す。
尚、上記DLC層64Bは、複数に分割された内の1つにおける一辺の長さ(ベルト内周面に形成されたDLC層64Bをベルト径方向から観察した場合における一辺の長さ)が、10μm以上3mm以下(望ましくは10μm以上100μm以下)に形成されている。また、溝66の幅は、1μm以上100μm以下(望ましくは1μm以上10μm以下)に形成されている。
【0042】
ここで、DLC層64Bに用いられるダイヤモンドライクカーボン(DLC)について説明する。炭素原子から構成されている材料として、ダイヤモンド、DLC、グラファイトに関し、それぞれの構造等を図6に示す。DLCは、炭素から構成される材料であって、ダイヤモンド構造とグラファイト構造の両方から構成されており、部分的には、水素との結合を含んだアモルファス構造を有している。そのため、DLCはダイヤモンドとグラファイトとの中間的な性質を有している。
また、DLCの中でも、硬質でかつ摩擦係数が低いという観点から、特にta−C(Tetrahedral Amorphous Carbon)層が好ましく用いられる。上記ta−Cは、炭素から構成される材料であってアモルファス構造を有しており、sp3結合が85%以上であるものをさす。
【0043】
DLC層64Bを形成する方法としては特に限定されないが、プラズマ化学気相蒸着法やカソーディックアーク法により形成されることが好ましい。DLC層64Bの厚さは0.5〜5μmであることが好ましい。
【0044】
また、DLC層64Bとしてのta−C層は、例えばアーク放電を用いてカーボン(グラファイト)よりCを抽出することで、成膜することが好適である。本手法がカソーディックアーク法と呼ばれるものであり、例えばインターナショナルカンファレンス オン マイクロメカトロニクス フォー インフォメーションアンド プリシジョン イクイップメント (1997年、 東京)の予稿集第357頁から第362頁(International Conference on Micromechatronics for Information and Precision Equipment(Tokyo、July、20−23、1997)PP.357ー362)に記載される特性を持ち、反応性スパッタ法、イー・シー・アール−・シー・ブイ・ディー(Electron Cycletoron Resonance−ChemicalVaper Deposition;ECR−CVD)法等の他の方法で成膜したDLC膜と比べsp3結合性が強く、被覆材料として使用した場合、硬質でかつ摩擦係数が低いという利点を持つ。
【0045】
また、DLC層64Bを不連続膜状に形成する方法としては、基材62に所定形状のマスキングを施すことで、形成されるDLCの形状を自由に設計することが可能となる。
【0046】
また、定着ベルト38は上記構成に限られず、前記基材62としては、基層表面に発熱層を設け、その内周面(基層表面)にDLC層を形成したベルトや、更に上記基層上に弾性層を介して上記発熱層を設けたベルトも適用しうる。
尚、上記基層としては、発熱層を支持する強度を有し、耐熱性があり、磁界(磁束)を貫通しつつ、磁界の作用により発熱しないか、または発熱しにくい材料を自由に選ぶことが好ましい。例えば、金属ベルト(非磁性金属として例えば非磁性ステンレススチールや、軟質磁性材料および硬質磁性材料として例えばFe,Ni,Co,またはこれらの合金Fe−Ni−CoやFe−Cr−Co合金等からなる金属材料で構成されたベルト)や、樹脂ベルト(例えばポリイミドベルト)等が挙げられる。また、上記弾性層としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等を含む弾性層が挙げられる。
【0047】
定着ベルト38の直径は、例えば20mm以上50mm以下のものが適用され得る。また、DLC層64Bが形成された定着ベルト38の内周面(固定摺動部材44との摺動面)には、潤滑剤(例えばシリコーンオイル等)が塗布される。
【0048】
次に、加圧ロール40について説明する。第1の実施形態では、以下に加圧ロール40が定着ベルト38と離間している例を示すが、定着ベルト38と加圧ロール40は常に接触していてもよい。加圧ロール40は、両端部がバネ部材(不図示)によって定着ベルト38を介して固定摺動部材44に例えば総荷重294N(30kgf)で押圧して配置されている。一方、予備加熱(定着可能状態になるまでの加熱)のときには、定着ベルト38と離間するように移動される(不図示)。
【0049】
加圧ロール40は、例えば、金属製の円筒状の芯材40Aと、該芯材40Aの表面に設けられた弾性層40B(例えばシリコーンゴム層や、フッ素ゴム層等)と、を備えたロールが適用し得る。また、加圧ロール40には、必要に応じて最表面に表面離型層(フッ素樹脂層)を備えてもよい。
【0050】
次に、発熱制御部材46について説明する。発熱制御部材46は、定着ベルト38の内周面に倣った形状に構成され、定着ベルト38内周面に接すると共に磁界発生装置42に定着ベルト38を介して対向して配置されている。
【0051】
また、発熱制御部材46は、支持部材48のバネ部材48Bにより、支持部材本体48Aとは非接触で定着ベルト38を円筒形状に維持させつつ、非押圧で定着ベルト38の内周面に接して配置されている。第1の実施形態においては、1Nで発熱制御部材46が定着ベルト38内周面に接触している。ベルトに張力を作用させないので、接触させてもベルト形状は極端に変化はしない。
【0052】
そして、発熱制御部材46は、例えばキューリー点を持つ感温磁性金属材料であって、磁界の作用によって発熱させないようにした非発熱体を含んで構成されている。このキューリー点は、定着ベルト38の設定温度以上、定着ベルト38の耐熱温度以下の範囲であることがよく、具体的には、例えば140℃〜240℃であることが望ましく、より望ましくは150℃〜230℃である。
【0053】
次に固定摺動部材44について説明する。固定摺動部材44は例えば定着ベルト38の軸方向(幅方向)に軸線を有する棒状部材で構成され、加圧ロール40から作用する押圧力に抵抗するものとなっている。定着ベルト38を介して加圧ロール40が固定摺動部材44に押圧させることで、定着ベルト38はその内周面側に変形される。このように加圧ロール40と固定摺動部材44の接触部の用紙搬送方向の下流側部で定着ベルト38に曲率を与えることにより用紙が定着ベルトから剥離される。
【0054】
ここで、用紙の剥離性能を得るため、「定着ベルト38を介して加圧ロール40が固定摺動部材44に押圧させることで、定着ベルト38はその内周面側に弾性変形できるか」という観点で定着ベルト38を決定するが、第1の実施形態での定着ベルトには金属材料を用いているため、可撓性は、定着ベルト38の剛性を決める金属からなる層で決まる。
【0055】
また、定着ベルト38が内部側に弾性変形領域内で撓むかどうかを、非磁性スレンレスの硬質材で調査した。少なくとも定着時に定着ベルトに掛かる荷重同等以上の押圧力を付与して撓み量を評価した結果、非磁性スレンレスの硬質材の厚さが250μmではほとんど撓まず、200μmで若干撓みが発生し始めた。非磁性スレンレスの硬質材の厚さが150μm、125μm、100μm、75μmでは十分な撓みが発生した。したがって、定着ベルト38の金属材料の層は200μm以下が望ましい。
【0056】
固定摺動部材44の材料としては、加圧ロール40から押圧力を受けたときのたわみ量が許容されるレベル以下になる材料であれば、特に制限はなく、例えば、シリコーンゴムが最適である。シリコーンゴム以外にも、アルミ、ガラス繊維入りPPS(ポリフェニレンサルファイド)、フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂等を用いてもよい。
【0057】
次に支持部材48について説明する。支持部材48は、例えば、支持部材本体48Aと、発熱制御部材46を支持するためのバネ部材48Bと、支持部材本体48Aと当該本体48Aの長手方向両端に設けられるシャフト48Cとで構成されている。
【0058】
支持部材本体48Aやシャフト48Cは、例えば金属材料、樹脂材料等により構成することができる、また、支持部材本体48Aは、例えば非磁性金属材料(例えば、銅、アルミ、銀)で構成させている。シャフトにかかる荷重により撓みが大きくなり、シャフト剛性が問題になる場合には、例えば撓みが小さくなるヤング率を有する材質の部材と非磁性金属からなる構造体としてもよい。
【0059】
一方、バネ部材48Bは、発熱制御部材46と支持部材本体48Aとの連結部材であり、発熱制御部材46を直接支持するものである。バネ部材48Bは、発熱制御部材46をその幅方向両端部にて連結されている。
【0060】
また、バネ部材48Bは、例えば湾曲した板バネ(例えば金属製、各種エラストマー等の板ばね)で構成される。このバネ部材48Bにより、発熱制御部材46は、支持されると共に、定着ベルト38が偏心して回転して、定着ベルト38が半径方向へ変位しても、その変位に対して追従し、定着ベルト38の内周面に接触状態が維持される。
【0061】
次に、駆動伝達部材50について説明する。駆動伝達部材50は、定着ベルト38を自己回転させるための駆動動力を伝達するための部材であり、例えば、定着ベルト38の端部内側に嵌め込まれるフランジ部50Aと、外周面に凹凸を有する円筒状のギア部50Bとで構成されている。駆動伝達部材50は、例えば、金属材料、樹脂材料等で構成され得る。
【0062】
駆動伝達部材50は、フランジ部50Aを定着ベルト38の端部内側に嵌めこませて定着ベルト38の端部に支持される。そして、図示しないモータ等により駆動伝達部材50のギア部50Bが回転駆動されると共に、その回転動力が定着ベルト38に伝達され定着ベルト38が自己回転される。
【0063】
なお、駆動伝達部材50は、定着ベルト38の軸方向両端に設けているが、これに限られず、定着ベルト38の軸方向一端のみに設けてもよい。また、駆動伝達部材50は、フランジ部50Aを定着ベルト38の端部内側に嵌めこませて定着ベルト38の端部に支持されているが、これに限られず、フランジ部50Aの内側に定着ベルト38の端部を嵌め込んで、駆動伝達部材50を定着ベルト38の端部に支持してもよい。
【0064】
次に、磁界発生装置42について説明する。磁界発生装置42は、定着ベルト38の外周面に倣った形状に構成され、発熱制御部材46と定着ベルト38を介して対向すると共に、定着ベルト38の外周面との間隔が例えば1〜3mmとなるように配置されている。また、磁界発生装置42には、複数回巻き回されている励磁コイル(磁界発生手段)42Aが、定着ベルト38の軸方向へ沿って配置されている。
【0065】
この励磁コイル42Aには、励磁コイル42Aに交流電流を供給する励磁回路(不図示)が接続されている。また、この励磁コイル42Aの表面上には磁性体部材42Bが、長さ方向(定着ベルト38の軸方向)に沿って延在して配置されている。
【0066】
磁界発生装置42の出力により、例えば磁束(磁界)が定着ベルト38の発熱層を貫通しつつ発熱させる。
【0067】
なお、磁界発生装置42は、定着ベルト38の内周面側に所定の間隙を持って設けてもよい。この場合、発熱制御部材46は定着ベルト38の外周面に接して設けられる。
【0068】
以下、第1の実施形態に係る画像形成装置100の動作について説明する。
【0069】
まず、感光体ドラム10の表面が帯電装置12により帯電され、次いで露光装置14から像光Lが照射されて感光体ドラム10表面に静電電位の差による潜像が形成される。そして、感光体ドラム10の矢印A方向への回転により、現像装置16の1つの現像器16Aと対向する位置に移動し、現像器16Aから1色目のトナーが転移され、感光体ドラム10表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、感光体ドラム10の矢印A方向への回転により、中間転写体18との対向位置に搬送され、転写装置24によって中間転写体18表面に静電的に一次転写される。
【0070】
一方、一次転写後に感光体ドラム10表面に残留するトナーが清掃装置20により除去され、清浄化後の感光体ドラム10表面は、除電露光装置22により電位的に初期化され、再び帯電装置12との対向位置に移動する。
【0071】
以後、現像装置16の3つの現像器16B、16C、16Dが順次感光体ドラム10と対向する位置に移動し、また1色目における方法によって2色目、3色目、4色目のトナー画像が順次形成され、それぞれ中間転写体18表面に4色重なるように一次転写される。
【0072】
中間転写体18上に重ね合わされたトナー画像は、中間転写体18の矢印B方向への周回移動により、転写ロール30と転写対向ロール28との対向位置に搬送され、送り込まれた記録紙Pに接触される。転写ロール30と中間転写体18とには転写用バイアス電圧が印加されており、トナー画像は記録紙P表面に二次転写される。
【0073】
未定着のトナー画像を保持した記録紙Pは、用紙案内部材36を経由して定着装置32へ搬送される。
【0074】
次に、第1の実施形態に係る定着装置32の動作について説明する。
まず、定着装置32では、例えば上記画像形成装置100におけるトナー画像形成動作が開始されると同時に(無論、当然タイムラグがあってもよい。以下、同様である。)、定着ベルト38と加圧ロール40とが離間した状態で、不図示のモータにより駆動伝達部材50が回転駆動され、これに伴い定着ベルト38が矢印D方向へ例えば周速200mm/secで回転駆動される。
【0075】
この定着ベルト38の回転駆動がなされると共に、不図示の励磁回路から磁界発生装置42に含まれる励磁コイル42Aに交流電流が供給される。励磁コイル42Aに交流電流が供給されると、励磁コイル42Aの周囲に磁束(磁界)が生成消滅を繰り返す。この磁束(磁界)が定着ベルト38の発熱層を横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界が生じるように、当該発熱層に渦電流が発生し、発熱層の表皮抵抗および発熱層を流れる電流の二乗に比例して発熱する。
【0076】
これにより、定着ベルト38は、発熱層により例えば10秒程度で設定温度(例えば150℃)まで加熱される。
【0077】
次に、定着ベルト38に対し加圧ロール40を押圧した状態で、上記定着装置に送り込まれた記録紙Pが定着ベルト38と加圧ロール40との接触部に送り込まれ、発熱体により加熱された定着ベルト38と加圧ロール40とによって加熱押圧され、トナー画像が当該記録紙P表面に溶融圧着され、トナー画像が記録紙P表面に定着される。
【0078】
ここで、定着ベルト38の内周面に形成されるDLC層64Bは、非常に硬くて脆い材料である。そのため、図4(A)に示す連続膜のDLC層64Aである場合、定着ベルト38の駆動や固定摺動部材44との摺動等によって基材62に力がかかると、DLC層64Aには割れや剥離が発生する。その結果、定着ベルト38では、固定摺動部材44との耐摩耗性と摺動特性との低下を招き、信頼性が低下する。
これに対し、不連続膜(複数に分割して形成された)のDLC層64Bとすることで、DLCの歪みによる応力集中の発生を防止し、割れ、剥離を好適に防止することが可能となる。
【0079】
また、DLC層64Bは溝66を介して複数に分割されており、該溝66が、固定摺動部材44との摺動方向(矢印H)の下流側から上流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されていることで、固定摺動部材44との摺動に伴って潤滑剤がベルト軸方向中央部方向に流れ、潤滑剤の両端部への片寄り、更には潤滑剤の漏れを好適に防止し、良好な摺動性を長期間にわたって維持することができる。
【0080】
一方、定着ベルト38および加圧ロール40による定着の際、定着ベルト38は、その内周面の形状に倣った形状の発熱制御部材46に非押圧で接触されて、支持されつつ回転し、摺動抵抗を抑制しつつ、定着ベルトの固定摺動部材44による振れの抑制と電磁力(コイルからの磁界とそれを妨げる方向に発熱層に流れる渦電流が作る反作用磁界との反発力、すなわちベルトにはコイルから遠ざかる方向の力がかかる)を受け止め、ベルトとコイル間距離を安定して保ち、ベルト形状を維持して定着が行われる。
【0081】
そして、記録紙Pは、定着ベルト38と加圧ロール40との接触部から送り出されたとき、その剛性によって送り出された方向に直進しようとし、曲げ回される定着ベルト38から先端が剥離され、その記録紙Pの先端と定着ベルト38との隙間に剥離部材52(剥離シート52B)が入り込み、記録紙Pを定着ベルト38表面から剥離する。
【0082】
以上説明したようにトナー画像が記録紙Pに形成され、定着が行われる。
【0083】
更には、第1の実施形態では、不連続膜状のDLC層64Bを形成したベルトを定着ベルトとして用いた形態を示したが、これに限られず、例えは不連続膜状のDLC層64Bを形成したベルトは、画像形成装置における中間転写ベルト、記録媒体搬送ベルト等としても用い得る。
【0084】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る画像形成装置は、前記第1の実施形態に係る画像形成装置において、定着ベルト38の基材62の表面にDLC層64Bを形成せず、一方、定着装置32における固定摺動部材44の摺動面に不連続膜状のDLC層を形成することに特徴を有する。ここで、上記摺動面とは、他の部材と摺動する面をさし、第2の実施形態においては定着ベルト38と摺動する面を表す。
第2の実施形態に係る画像形成装置においては、上記特徴以外は前記第1の実施形態に係る画像形成装置における構成をそのまま採用することができる。従って、以下においては上記特徴部分のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0085】
図7は、第2の実施形態に係る固定摺動部材の表面(摺動面)を示す概略断面図である。
【0086】
第2の実施形態に係る画像形成装置においては、上述の通り定着ベルト38の表面にDLC層64Bが形成されておらず、即ち基材62がそのまま定着ベルト38を構成している。また、図7に示すとおり、第2の実施形態における固定摺動部材244は、基材262の表面(摺動面)に不連続膜状のDLC層264Bが形成されている。また、DLC層264Bは溝266を介して複数に分割されており、該溝266は第1の実施形態における溝66のように、図10に示すごとく摺動方向(定着ベルト38との摺動方向/図10における矢印H’)の上流側から下流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されている。尚ここで、上記「摺動方向(矢印H’)」とは、固定摺動部材244と定着ベルト38との摺動箇所において該定着ベルト38が回転する方向を表す。
尚、固定摺動部材244の基材262としては、第1の実施形態において固定摺動部材44として用いた材料をそのまま採用することができる。
【0087】
固定摺動部材244表面(摺動面)への不連続膜状のDLC層264Bの形成は、前述の第1の実施形態における形成方法をそのまま採用することができる。
【0088】
ここで、固定摺動部材244の摺動面に形成されるDLC層264Bは、非常に硬くて脆い材料であり、従来では基材262に力がかかると、DLC層264Bには割れや剥離が発生する懸念があった。しかし、これに対して、不連続膜(複数に分割して形成された)のDLC層264Bとすることで、DLCの歪みによる応力集中の発生を防止し、割れ、剥離を好適に防止することが可能となる。
【0089】
また、DLC層264Bは溝266を介して複数に分割されており、該溝266が、定着ベルト38との摺動方向の上流側から下流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されていることで、定着ベルト38との摺動に伴って潤滑剤がベルト軸方向中央部方向に流れ、潤滑剤の両端部への片寄り、更には潤滑剤の漏れを好適に防止し、良好な摺動性を長期間にわたって維持することができる。
【0090】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る画像形成装置は、前記第2の実施形態に係る画像形成装置において、固定摺動部材244の基材262の表面形状、およびDLC層264Bが形成される領域に特徴を有し、それ以外は前記第2の実施形態に係る画像形成装置における構成をそのまま採用することができる。従って、以下においては上記特徴部分のみを説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0091】
図8は、第3の実施形態に係る固定摺動部材の表面を示す概略断面図である。
【0092】
第3の実施形態に係る固定摺動部材344は、基材362に凸部3622と凹部3624とからなる凹凸を表面(内周面)に有している。また、DLC層364Bが、少なくとも該凹凸における凸部3622の頂点を含む領域に形成されている。
尚、基材362表面における凸部3622の頂点を含む領域に、不連続膜状のDLC層364Bを形成する方法としては、前述の第1の実施形態における形成方法をそのまま採用することができる。
【0093】
基材362が表面に凹凸を有し、不連続膜状のDLC層364Bが該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されていることにより、DLC層364Bの割れ、剥離を好適に防止することができるとともに、定着ベルト38との接触面積が減少することによって良好な離型性を得ることができる。
【0094】
なお、第2および第3の実施形態では、不連続膜状のDLC層264Bまたは364Bを形成した固定摺動部材244または344を定着装置32に用いた形態を示したが、これに限られず、例えば画像形成装置における、感光体クリーニングブレード等における固定摺動部材としても用い得る。
【実施例】
【0095】
以下、上記実施形態に係る画像形成装置の試験例を示す。
【0096】
(実施例1)
前記第2の実施形態に係る画像形成装置に用いる各種部材として、下記の部材を準備した。
・定着ベルト38:基材62(SUS)の外周面にPFA層を形成したベルト
(ベルト径:35mm)
・加圧部材40:弾性層(Siスポンジ)の表面にPFA層を形成した部材
(径:35mm)
・固定摺動部材244:基材262(Siゴム)の摺動面に不連続膜状のDLC層26
4Bを形成した部材(溝266が定着ベルト38との摺動方向の上流側から下流
側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されている)
【0097】
(比較例1)
実施例1における固定摺動部材244において、不連続膜状のDLC層264Bの代わりにフッ素樹脂層(連続膜)を形成した以外、実施例1に記載の構成により画像形成装置を準備した。
【0098】
(比較例2)
実施例1における固定摺動部材244において、不連続膜状のDLC層264Bの代わりに連続膜状のDLC層を形成した以外、実施例1に記載の構成により画像形成装置を準備した。
【0099】
〔評価〕
上記実施例1および比較例1、2における画像形成装置を駆動し、定着ベルトの駆動トルクの経時変化を測定し、固定摺動部材の磨耗を観察した。
【0100】
図9に示すように比較例1では、初期の駆動トルクは良好ながら、フッ素樹脂層の磨耗による摺動性能の低下が発生し、駆動トルクが増加した。
比較例2では、初期では良好な性能を維持していたが、連続膜状のDLC層に剥離による摺動性能の低下が発生し、駆動トルクが増加した。
実施例1では、摺動部材の磨耗による摺動特性の低下や、剥離が発生せず、長期間にわたって摺動特性を維持し、駆動トルクの増加を防止することができた。
【0101】
(実施例2)
実施例1にて準備した画像形成装置において、固定摺動部材244と定着ベルト38との摺動面(定着ベルト38の内周面)に潤滑オイルを0.5g塗布した以外、実施例1に記載の構成により画像形成装置を準備した。
【0102】
(実施例3)
実施例2における固定摺動部材244において、溝266を格子状(即ちベルト軸方向に平行な溝とベルト周方向に平行な溝)に形成した以外、実施例2に記載の構成により画像形成装置を準備した。
【0103】
〔評価〕
上記実施例2、3における画像形成装置を駆動し、潤滑オイルの漏れを観察した。
【0104】
実施例3では定着ベルトの両端部から若干の漏れが確認されたのに対し、実施例2では、潤滑オイルの漏れは観察されなかった。
【0105】
(実施例4)
前記第3の実施形態に係る画像形成装置に用いる各種部材として、下記の部材を準備した。
・定着ベルト38:基材62(SUS)の外周面にPFA層を形成したベルト
(ベルト径:35mm)
・加圧部材40:弾性層(Siスポンジ)の表面にPFA層を形成した部材
(径:35mm)
・固定摺動部材344:基材362(Siゴム)の摺動面に不連続膜状のDLC層36
4Bを形成した部材(基材362の表面が凹凸を有しており、DLC層364
Bが該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されている)
【0106】
〔評価〕
上記実施例1および比較例1、2の評価と同様に、定着ベルトの駆動トルクの経時変化を測定し、固定摺動部材の磨耗を観察した。図9に示すように、実施例4では、摺動部材の磨耗による摺動特性の低下や、剥離が発生せず、長期間にわたって摺動特性を維持し、駆動トルクの増加を防止することができた。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係る定着装置を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る定着装置を示す概略断面図である。
【図4】(A)は従来における定着ベルトの表面を示す概略断面図であり、(B)は第1の実施形態における定着ベルトの表面を示す概略断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る定着ベルトの概略平面図である。
【図6】ダイヤモンド、DLC、およびグラファイトの構造等を示す表である。
【図7】第2の実施形態における固定摺動部材の表面を示す概略断面図である。
【図8】第3の実施形態における固定摺動部材の表面を示す概略断面図である。
【図9】実施例における駆動トルクの測定結果を示すグラフである。
【図10】第2の実施形態に係る固定摺動部材の概略平面図である。
【符号の説明】
【0108】
10 感光体ドラム
12 帯電装置
14 露光装置
16 現像装置
18 中間転写体
20 清掃装置
22 除電露光装置
24 転写装置
26A,26B 支持ロール
28 転写対向ロール
30 転写ロール
32 定着装置
34 清掃装置
36 用紙案内部材
38、138 定着ベルト
40 加圧ロール
42 磁界発生装置
44、244、344 固定摺動部材
46 発熱制御部材
48 支持部材
48A 支持部材本体
48C シャフト
50 駆動伝達部材
52 剥離部材
62 ベルト基材
64A 連続膜状のDLC層
64B、264B、364B 不連続膜状のDLC層
66、266 溝
100 画像形成装置
262、362 基材
3622 凸部
3624 凹部
P 記録紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト基材の表面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層を備えることを特徴とする画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
前記ベルト基材が表面に凹凸を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン層が、該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面に接する加圧部材と、
前記定着ベルトの内周面に接して摺動する1つ以上の固定摺動部材と、を備え、
前記定着ベルトとして、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用ベルトであって、前記固定摺動部材との摺動面に前記ダイヤモンドライクカーボン層を備えたベルトを用いることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
前記定着ベルトにおけるダイヤモンドライクカーボン層が溝を介して複数に分割されており、該溝が、前記固定摺動部材との摺動方向の下流側から上流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
基材の摺動面に、少なくとも複数に分割して形成されたダイヤモンドライクカーボン層を備えることを特徴とする画像形成装置用固定摺動部材。
【請求項8】
前記基材が摺動面に凹凸を有し、前記ダイヤモンドライクカーボン層が、該凹凸の少なくとも頂点を含む領域に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置用固定摺動部材。
【請求項9】
定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面に接する加圧部材と、
前記定着ベルトの内周面に接して摺動する1つ以上の固定摺動部材と、を備え、
前記固定摺動部材として、請求項7または請求項8に記載の画像形成装置用固定摺動部材であって、前記定着ベルトとの摺動面に前記ダイヤモンドライクカーボン層を備えた固定摺動部材を用いることを特徴とする定着装置。
【請求項10】
前記固定摺動部材におけるダイヤモンドライクカーボン層が溝を介して複数に分割されており、該溝が、前記定着ベルトとの摺動方向の上流側から下流側に向かう方向に対して、ベルト軸方向中央部方向に傾けて形成されていることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
【請求項11】
請求項7または請求項8に記載の画像形成装置用固定摺動部材を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項9または請求項10に記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図5】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−93172(P2009−93172A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242746(P2008−242746)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】