説明

画像形成装置用消耗品カートリッジ及び画像形成システム

【課題】廉価版消耗品カートリッジが動作する・しないの設定を行うことができる画像形成装置に装着される画像形成装置用消耗品カートリッジを提供するものである。
【解決手段】本発明は、画像形成装置に装着されて利用されると共に、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジであって、前記タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置の全てで画像形成動作が実行可能であり、前記タグメモリに、廉価版消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置のうちの所定の画像形成装置のみで画像形成動作が実行可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置などにおける着脱可能な消耗品カートリッジに関連するものであり、特に適正な消耗品カートリッジの販売・普及を支える機能を搭載した画像形成装置用消耗品カートリッジ及びそのような画像形成装置用消耗品カートリッジを用いた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機、電子写真プリンタ、電子写真ファクシミリ、電子写真複合機、インクジェットプリンタ、インクジェット複合機などの画像形成装置においては、トナーまたはインクなどの消耗品が充填されたカートリッジが着脱自在に設けられ、トナーまたはインクがなくなると、消耗品カートリッジごと新しいものと交換して、前記のような画像形成装置に消耗品を供給することが行われる。
【0003】
このような消耗品カートリッジは、画像形成装置のメーカーが供給する正規のトナーやインクを充填した適合品カートリッジや、それに準拠するカートリッジであることが望ましい。なぜならば、トナーやインクの性能は記録媒体に形成される画像の画質に直接的に影響するものであり、適合品カートリッジを用いない場合には、発色特性やカラーバランスが適正でなかったりするトラブルが発生することが多いからである。また、トナーやインクなどは、そのカートリッジやトナーが付着される感光体ドラムなどの機械的な構造体に影響を与えるものでもあるので、正規のトナーやインク以外の素材からなるトナーやインクが充填されると、カートリッジや印刷エンジンの故障の原因になるからである。
【0004】
ところが、近年では、画像形成装置の製造者メーカーや販売者以外の第三者(サードパーティ、サードベンダー)が、この画像形成装置に装填可能な消耗品カートリッジを製造及び販売するケースが多発している。このようなサードベンダーが製造する消耗品カートリッジに充填されるトナーやインクは、その発色特性等が適合品と一致していない場合がある。従って、発色特性の異なるインクが充填された消耗品カートリッジを、それと気付かずにユーザーが画像形成装置本体に装填してしまうと、ホストコンピュータのディスプレイに表示されたものとは異なる発色の出力が得られてしまう虞があるし、また、粗悪なトナーやインクが用いられている場合には、最悪、画像形成装置本体が故障してしまう虞もある。
【0005】
そのため、不適合品の消耗品カートリッジを検出して、所定の警告を出力したり、画像形成自体を禁止したりすることが提案されている。例えば、特許文献1(特開2001−105625号公報)には、プリンタに指定外のインクカートリッジが装填された時に警告を発することができるインクカートリッジ監視システムが記載されている。これによれば、プリンタに装填されるインクカートリッジには、カートリッジ情報が記録されたICチップを内蔵しておき、プリンタには、ICチップとのインタフェースであるコネクタ、EEPROM及び主制御部が内蔵しておく。ホストコンピュータは、プリンタに対してステータス情報を要求し、応答されたインク交換フラグがセットされている場合には、プリンタに対してカートリッジ情報を要求し、応答されたカートリッジ情報が適合品であることを示していなければワーニングメッセージを送信するような構成となっている。
【0006】
また、特許文献2(特開2005−326731号公報)には、適合品以外のものであるトナーを収容した適合品以外のものであるトナーカートリッジが装着された場合には、装着されたトナーカートリッジが適合品以外のものであることを通知するメッセージをUI装置に表示し、適合品に対応した動作モードとは異なる動作モードでは画像品質の保証
レベルが異なることを確認するための画面をUI装置に表示し、そして、その上でユーザーが動作モードを選択する画面をUI装置に表示するなどのガイダンス表示を行う画像形成処理装置が記載されている。
【特許文献1】特開2001−105625号公報
【特許文献2】特開2005−326731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
画像形成装置の消耗品カートリッジを巡っては上記のような現状があるため、画像形成装置及びその消耗品カートリッジの製造者としては、できる得る限り適正な消耗品カートリッジの販売・普及を行いたい、という意向をもっている。そこで、適正な消耗品カートリッジの購入を確約してくるような顧客に対しては、通常より割安で消耗品カートリッジを提供する、という販売の仕方が検討されている。なお、以下、通常より割安な消耗品カートリッジのことを廉価版消耗品カートリッジなどと称する。
【0008】
ところで、このような廉価版消耗品カートリッジは、適正な廉価版消耗品カートリッジの使用を約束(契約)してくれた顧客が所有する画像形成装置でなければ動作しないように設定しなければ、廉価版消耗品カートリッジの販売戦略は意味をなさないものとなる。というのは、適正な廉価版消耗品カートリッジの使用を約束(契約)していない顧客の画像形成装置においても廉価版消耗品カートリッジが動作することとなれば、特に適正な消耗品カートリッジの使用を約束(契約)する顧客側のメリットがなくなってしまうからである。
【0009】
ところが従来、廉価版消耗品カートリッジが動作する・しないの設定を行うことができる画像形成装置は存在しない、という問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような課題を解決するために、本発明に係る画像形成装置は、画像形成装置に装着されて利用されると共に、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジであって、前記タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置の全てで画像形成動作が実行可能であり、前記タグメモリに、廉価版消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置のうちの所定の画像形成装置のみで画像形成動作が実行可能であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像形成装置は、同一の製造者が供給する画像形成装置に装着されて利用されると共に、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジであって、前記タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、該カートリッジが装着可能な、前記製造者により供給される全ての画像形成装置で画像形成動作が実行可能であり、
前記タグメモリに、廉価版消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、該カートリッジが装着可能な、前記製造者により供給される画像形成装置のうちの所定の画像形成装置のみで画像形成動作が実行可能であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記所定の画像形成装置は、前記画像形成装置の所有者との契約により、前記製造者が前記廉価版カートリッジの使用を可能とする処理を施した画像形成装置であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像形成システムは、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジと、該画像形成装置用消耗品カートリッジが装着される画像形成装置と、からなる画像形成システムであって、前記画像形成装置は、廉価版カートリッジの使用が不可である廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置と、廉価版カートリッジの使用が可能である廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置の2態をとることができ、前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時は動作、廉価版消耗品カートリッジ装着時は制限された動作となり、前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時及び廉価版消耗品カートリッジ装着時ともに動作となることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る画像形成システムは、画像形成装置の所有者との契約により前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置から前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置へ変更することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る画像形成システムは、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジと、該画像形成装置用消耗品カートリッジが装着され、該画像形成装置用消耗品カートリッジと同一の製造者が供給する画像形成装置と、からなる画像形成システムであって、前記画像形成装置は、廉価版カートリッジの使用が不可である廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置と、廉価版カートリッジの使用が可能である廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置の2態をとることができ、前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時は動作、廉価版消耗品カートリッジ装着時は制限された動作であり、前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時及び廉価版消耗品カートリッジ装着時ともに制限のない動作であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記製造者と前記画像形成装置の所有者との契約により、前記製造者が前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置から前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置へ変更処理することを特徴とする。
【0017】
本発明の画像形成装置用消耗品カートリッジ及び画像形成システムによれば、廉価版トナーカートリッジが動作する・しないの設定が可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの構成図(ブロック図)である。
【図2】本実施形態のプリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図(要部断面図)である。
【図3】本実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。
【図4】装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【図5】本実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【図6】他の実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。
【図7】装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【図8】他の実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【図9】他の実施形態を適用した画像形成装置であるプリンタの構成図(ブロック図)である。
【図10】他の実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。
【図11】装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【図12】他の実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態を図面を参照しつつ、画像形成装置がプリンタである場合を例にとり説明する。図1は、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの構成図(ブロック図)である。図1に示すプリンタ2が本発明を適用した画像形成装置であり、ホストコンピュータ1(ホスト装置)からの印刷要求等に基づいて、所定の印刷媒体に対して画像の形成を行なう装置である。かかるプリンタ2は、4色のトナーカートリッジ611(現像ユニット)を装着できる構成となっており、上記印刷要求に従ってトナーを使い分け異なる色のトナー画像を順次重ねて、画像形成を行うものである。
【0020】
図1に示すホストコンピュータ1は、プリンタ2の通信用I/F41を介してプリンタ2に対して印刷要求を行なうホスト装置であり、ユーザー操作等に基づいて画像データと制御コマンドを含む印刷データをプリンタ2に送信する。なお、ホストコンピュータ1は、所謂パーソナルコンピュータなどで構成することができる。また、図1においては、プリンタ2は、ホストコンピュータ1と接続されているが、複数のホスト装置とネットワークを介して接続される構成としてもよく、そのために通信用I/F41には、100BASE−TX/10BASE−TマルチプロトコルEthernet(登録商標)インターフェイスやHI−SPEED USB(USB 2.0)インターフェイス等の周知の規格のインターフェイス手段を用い得る。ホストコンピュータ1内のプリンタドライバ3は、ホストコンピュータ1内のアプリケーション(図示せず)などからのデータを受け取って、プリンタ2に送信する上記印刷データを生成する部分である。
【0021】
図1に示すように、プリンタ2は、コントローラ部4、エンジン制御部5、エンジン6、及び操作部7などで構成される。コントローラ部4は、前記ホストコンピュータ1から送信される印刷データを受信し、当該データに含まれる制御コマンドを解釈すると共に、当該データに含まれる画像データに対して所定の処理を施してエンジン6側へ提供するデータを生成する。図示していないが、コントローラ部4には、CPUや画像メモリなどが備えられており、当該画像メモリには上記生成したデータなどが格納される。また、コントローラ部4は、上記画像メモリに所定量のデータが生成された時点で、エンジン制御部5に対して現像を開始する旨の情報を送信する。
【0022】
次に、エンジン制御部5は、図1に示されるように、CPU51、ROM52、RAM53、ログ記録用メモリ54、及びタグメモリ用I/F55、装置ステータス記憶用メモリ57等で構成される。CPU51は、エンジン6の各部を制御する部分である。さらにCPU51は、タグメモリ用I/F55を介して、トナーカートリッジ611に設けられたタグメモリ612から情報を読み取り、その情報に基づき処理・判断を実行するものである。ログ記録用メモリ54は、プリンタ2にどのようなトナーカートリッジ611が装着されてきたかに係る情報が記録される周知の不揮発性メモリである。前記ROM52は、プリンタ2を制御するための各種プログラムを記憶し、また、前記RAM53は、プリ
ンタ2に関する各種情報を一時的に記憶する。また、タグメモリ用I/F55は、前記CPU51とトナーカートリッジ側のタグメモリ612とのインターフェイスであり、CPU51がトナーカートリッジ側メモリ612に書き込まれた前記情報を読み出して前記ログ記録用メモリ54に書き込む際などに用いられる。装置ステータス記憶用メモリ57は、プリンタ2がどのようなトナーカートリッジを用い得るか、について記録するものである。この装置ステータス記録用メモリ57については後に詳しく説明する。
【0023】
エンジン6は、帯電ユニット、露光ユニット、現像装置、転写ユニット等で構成されるが、図1においては、現像装置61(現像手段)とその他のエンジン内ユニット62という区分で表現している。図2は、本実施形態のプリンタ2のエンジン6部分の機構を中心に示した構成図(要部断面図)である。
【0024】
感光体ドラム621は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸に対して回転可能であり、矢印で示されるように時計方向に回転する。帯電ユニット622は、感光体ドラム621を帯電し、露光ユニット623は内蔵するレーザやLEDアレイなどの光源からのビームを帯電された感光体ドラム621に照射して静電気による潜像を形成する。露光ユニット623のビーム照射は、ホストコンピュータ1から入力される画像情報に基づいて変調された駆動信号により制御される。
【0025】
現像装置61は、現像材であるトナーを収容するブラックトナーカートリッジ611B、マゼンタトナーカートリッジ611M、シアントナーカートリッジ611C、イエロートナーカートリッジ611Yが着脱可能に装着される装着部614B〜614Yを有し、中心軸613に対して回転可能な現像ロータリーである。現像装置61を回転させて必要なトナーカートリッジ611B〜611Yを感光体ドラム621に近接させ、現像材を潜像が形成された感光体ドラム621に供給することで、潜像が現像材による像に現像される。
【0026】
現像装置61に装着されたトナーカートリッジ611B〜611Yの状態をプリンタ2が認識できるように、各トナーカートリッジ611には、現像材の色情報や残量情報等を記憶する記憶媒体、例えば非接触型不揮発性メモリであるタグメモリ612B〜612Yが設けられている。そして、電源が立ち上がった後や、トナーカートリッジ611が現像装置61に装着された後に、そのタグメモリ612の情報がプリンタ2によって読み出される。また、現像後にトナーカートリッジ611のタグメモリの残量情報が更新される。このトナーカートリッジ側メモリ612には、そのトナーカートリッジ611に収容されているトナーのトナータイプに関する情報等その他種々の情報が含まれていてもよい。また、エンジン制御部5のタグメモリ用I/F55とタグメモリ612B〜612Yとは非接触、即ち無線で相互に通信する方式としてもよいし、タグメモリ用I/F55とタグメモリ612B〜612Yとの間は有線で相互に通信する方式をとってもよい。
【0027】
本発明においては、トナーカートリッジ611に設けられるタグメモリ612B〜612Yには、当該トナーカートリッジ611が通常のトナーカートリッジであるのか、廉価版トナーカートリッジであるのかに係る情報も記憶されている。
【0028】
一次転写ユニット626は、感光体621に形成されたトナー像を中間転写体627に転写する。中間転写体627は、例えばPETフィルムの表面にアルミ蒸着層を形成しその表面に半導電塗料を形成したエンドレスのベルトであり、感光体ドラム621と同じ周速度で回転駆動される。給紙カートリッジ92から供給された紙などの印刷媒体は給紙ローラ94を経て、二次転写ユニット628、そして定着ユニット629へと搬送される。そして、二次転写ユニット628が、中間転写体627に形成されたトナー像を給紙カートリッジ92から供給された印刷媒体に転写し、定着ユニット629が、印刷媒体上に転
写されたトナー像を媒体に溶着させて永久像とし、その印刷媒体はプリンタ2外に排出される。
【0029】
クリーニングユニット624は、一次転写ユニット626と帯電ユニット622との間に設けられ、感光体ドラム621の表面に当接されるクリーニングブレード625を有し、一次転写された後に感光体ドラム621上に残存する現像材(トナー)がクリーニングブレード625により除去される。
【0030】
図1に示す操作部7(操作手段)は、ユーザーがプリンタ2を操作するための部分であり、操作表示パネル71や操作ボタン等から成る。操作表示パネル71上には、タッチパネル等のデバイスが設けられており、ユーザーは操作表示パネル71上に表示されるUI(ユーザーインターフェイス)を参照しながら、直接、操作表示パネル71に触れることによってプリンタ2の操作ができるようになっている。当該操作部7では、プリンタ2における印刷条件の設定など各種の設定行為が可能である。
【0031】
以上のように構成されるプリンタ2に用いるトナーカートリッジ611の種類について説明する。プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジ611には、通常のトナーカートリッジと、廉価版トナーカートリッジの2種類のトナーカートリッジがある。廉価版のトナーカートリッジは通常のトナーカートリッジより価格が安く設定されており、プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジのみを使用するとの契約を交わした顧客に対してのみに販売されるものである。
【0032】
このような廉価版トナーカートリッジは、適正な廉価版トナーカートリッジの使用を契約してくれた顧客が所有するプリンタ2でなければ動作しないように設定しなければ、廉価版トナーカートリッジの販売戦略は意味をなさないものとなる。というのは、適正な廉価版トナーカートリッジの使用を契約していない顧客のプリンタ2においても廉価版トナーカートリッジが動作することとなれば、特に適正なトナーカートリッジの使用を契約する顧客側のメリットがなくなってしまうからである。
【0033】
そこで、本発明においては、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57を利用して、当該プリンタが通常のトナーカートリッジのみ使用可能なものであるのか、通常のトナーカートリッジの他に廉価版トナーカートリッジも使用可能なものであるのか、に係る情報を保持するように構成する。
【0034】
図3は、本実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。製造者は、プリンタ2の工場出荷時(初期出荷時)においては、装置ステータス記録用メモリ57に、例えば00を設定する。そして、製造者はプリンタ2を所有する顧客と概略以下のような契約を交わす。
・プリンタ2の所有者に対して廉価版トナーカートリッジを供給する。
・プリンタ2の所有者は、不適合トナーカートリッジを使用しない。
【0035】
なお、ここで適合トナーカートリッジとは、少なくともプリンタ2の製造者が供給する純正品を含んでおり、プリンタ2で用いるためにメーカーが製造・販売をてがける品質保証された正規品、適正品、或いはそれに準ずるような品質が担保されたものであり、不適合トナーカートリッジとは、それら以外のものであり、プリンタ2での使用において、品質が保証されていないものである。
【0036】
以上のような契約を交わした顧客のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57には、例えば01を設定する。このような装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、例えばサービスマンが行うような特殊な操作を要するものとしておくことが望ま
しい。例えば、装置ステータス記録用メモリ57の書き換えは、プリンタ2の不図示のボード上の特殊なコネクタから、通常プリンタ2内では用いない電源電圧値で書き換えを行うように設定する方法がある。このような場合、装置ステータス記録用メモリ57には、専用のワンタイムメモリや、既存LSIのワンタイム領域を用いて、一度書き換えを行うと元に戻せないような設定としておくこともできる。
【0037】
なお、上記のような特殊なコネクタのポート以外に、EthernetインターフェイスやUSBインターフェイス等の周知のポートを利用して、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うような構成としてももちろん構わない。
【0038】
また、装置ステータス記録用メモリ57をRF−IDで構成しておき、製造者のみが知り得る特殊なプロトコルや暗号を用いて、プリンタ2外から無線で書き換えるようにしてもよい。このときも、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うと、元に戻せないような不可逆な設定としておくこともできる。
【0039】
また、装置ステータス記録用メモリ57は、要は「00」、「01」などの状態を記憶すればよいものであるので、例えば、ヒューズなどの部品で装置ステータス記録用メモリ57を構成しておき、「00」から「01」に設定を変更するときに、ヒューズなどの部品を溶断させるようにしてもよい。このようなヒューズなどの部品の装置ステータス記録用メモリ57は、必然的に設定変更は不可逆なものとなる。
【0040】
次に、以上のように設定された装置ステータス記録用メモリ57に基づくプリンタ2の動作について説明する。図4は、装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【0041】
本発明においては、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定と、プリンタ2に装着されたトナーカートリッジとの対応関係で、プリンタ2のエンジン6を動作させるか、制限された動作とするか、決定する。
【0042】
プリンタ2の初期出荷時は、装置ステータス記録用メモリ57の設定は「00」である。この場合、通常のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は動作するが、廉価版のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は制限された動作となる。これに対して、顧客が契約を行い、装置ステータス記録用メモリ57の設定が「01」に書き換えられると、通常のトナーカートリッジの装着時でも、廉価版のトナーカートリッジを装着時でも、エンジン6は動作するように構成する。
【0043】
次に、エンジン制御部5における装着トナーカートリッジに依る動作について説明する。図5は、本実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【0044】
図5のフローチャートにおいて、ステップS100で装着トナーカートリッジの判定処理が開始されると、続いてステップS101へと進み、装置ステータス記録用メモリ57の記憶値の読み込みが行われる。続いて、ステップS102において、読み込まれた値が「01」であるか否かが判定される。「01」である(YESである)と判定されると、ステップS106へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS107に進み処理を終了する。
【0045】
ステップS102における判定で、NOであると判定されると、続いてステップS103へと進み、ステップS103において、トナーカートリッジ611のタグメモリを読み出す。このタグメモリには、前述したように、当該トナーカートリッジが通常のトナーカ
ートリッジであるのか、廉価版トナーカートリッジであるのかに係る情報が記憶されている。
【0046】
ステップS104では、装着トナーカートリッジが廉価版トナーカートリッジであるか否かが判定される。ステップS104でNOと判定されると、ステップS106へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS107に進み処理を終了する。
【0047】
ステップS104でYESであると判定されると、契約を行っていない顧客のプリンタ2であるにも関わらず、廉価版トナーカートリッジが装着されていることが判明するので、ステップS105へと進み、エンジン6を停止とする。続いて、ステップS107に進み処理を終了する。
【0048】
以上のように、本発明によれば、廉価版消耗品カートリッジが動作する・しないの設定が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態を図面を参照しつつ、画像形成装置が同じプリンタ2である場合を例にとり説明する。
【0050】
第2実施形態のプリンタ2に用いるトナーカートリッジ611の種類について説明する。この実施形態においては、プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジ611には、通常のトナーカートリッジ、第1廉価版トナーカートリッジ、第2廉価版トナーカートリッジの計3種類のトナーカートリッジがあるものとする。第1廉価版トナーカートリッジは通常のトナーカートリッジより価格が安く設定されており、第2廉価版トナーカートリッジは第1廉価版トナーカートリッジよりさらに価格が安く設定されている。
【0051】
第1廉価版トナーカートリッジは、プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジのみを使用するとの契約を交わした顧客に対してのみに販売されるものである。さらに、例えば第2廉価版トナーカートリッジは、第1廉価版トナーカートリッジを長期にわたって使用し続けてくれた顧客などにサービス的な意味合いを込めて、第1廉価版トナーカートリッジよりさらに安価に提供される。
【0052】
以上のような第1、第2廉価版トナーカートリッジは、適正な廉価版トナーカートリッジの使用を契約してくれた顧客が所有するプリンタ2でなければ動作しないように設定しなければ、廉価版トナーカートリッジの販売戦略は意味をなさないものとなる。というのは、適正な廉価版トナーカートリッジの使用を契約していない顧客のプリンタ2においても廉価版トナーカートリッジが動作することとなれば、特に適正なトナーカートリッジの使用を契約する顧客側のメリットがなくなってしまうからである。また、本実施形態においては、第1、第2廉価版トナーカートリッジの別をプリンタ2が判別するように構成しなくてはならない。
【0053】
本実施形態おいても、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57を利用して、当該プリンタが通常のトナーカートリッジのみ使用可能なものであるのか、通常のトナーカートリッジの他に第1廉価版トナーカートリッジも使用可能なものであるのか、さらに第2廉価版トナーカートリッジも使用可能なものであるのか、に係る情報を保持するように構成する。
【0054】
図6は、本実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。製造者は、プリンタ2の工場出荷時(初期出荷時)においては、装置ステータス記録用メモリ57に、例えば00を設定する。そして、製造者はプリンタ2を所有する顧客と概略以下のような第1の契約を交わす。
・プリンタ2の所有者に対して第1廉価版トナーカートリッジを供給する。
・プリンタ2の所有者は、不適合トナーカートリッジを使用しない。
【0055】
さらに、第1廉価版トナーカートリッジを長期にわたって使用し続けてくれた顧客などにサービス的な意味合いを込めて第2廉価版トナーカートリッジが提供される。このとき、顧客とは以下のような第2の契約を交わす。
・プリンタ2の所有者に対して第2廉価版トナーカートリッジを供給する。
・プリンタ2の所有者は、不適合トナーカートリッジを使用しない。
【0056】
なお、ここで、適合トナーカートリッジとは、少なくともプリンタ2の製造者が供給する純正品を含んでおり、プリンタ2で用いるためにメーカーが製造・販売をてがける品質保証された正規品、適正品、或いはそれに準ずるような品質が担保されたものであり、不適合トナーカートリッジとは、それら以外のものであり、プリンタ2での使用において、品質が保証されていないものである。
【0057】
以上のような第1の契約を交わした顧客のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57には、例えば01を設定する。また、第2の契約を交わした顧客のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57には、例えば10を設定する。
【0058】
本実施形態においても、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、例えばサービスマンが行うような特殊な操作を要するものとしておくことが望ましい。例えば、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、プリンタ2の不図示のボード上の特殊なコネクタから、通常プリンタ2内では用いない電源電圧値で書き換えを行うように設定する方法がある。このような場合、装置ステータス記録用メモリ57には、専用のワンタイムメモリや、既存LSIのワンタイム領域を用いて、一度書き換えを行うと元に戻せないような設定としておくこともできる。
【0059】
なお、上記のような特殊なコネクタのポート以外に、EthernetインターフェイスやUSBインターフェイス等の周知のポートを利用して、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うような構成としてももちろん構わない。
【0060】
また、装置ステータス記録用メモリ57をRF−IDで構成しておき、製造者のみが知り得る特殊なプロトコルや暗号を用いて、プリンタ2外から無線で書き換えるようにしてもよい。このときも、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うと、元に戻せないような不可逆な設定としておくこともできる。
【0061】
また、装置ステータス記録用メモリ57は、要は「00」、「01」、「10」などの状態を記憶すればよいものであるので、例えば、ヒューズなどの部品で装置ステータス記録用メモリ57を構成しておき、「00」から「01」に、さらに「01」から「10」に設定を変更するときに、ヒューズなどの部品を溶断させるようにしてもよい。このようなヒューズなどの部品の装置ステータス記録用メモリ57は、必然的に設定変更は不可逆なものとなる。
【0062】
次に、以上のように設定された装置ステータス記録用メモリ57に基づくプリンタ2の動作について説明する。図7は、装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【0063】
本発明においては、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定と、プリンタ2に装着されたトナーカートリッジとの対応関係で、プリンタ2のエンジン6を動作させるか、制限された動作とするか、決定する。
【0064】
プリンタ2の初期出荷時は、装置ステータス記録用メモリ57の設定は「00」である。この場合、通常のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は動作するが、第1、第2廉価版のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は制限された動作となる。これに対して、顧客が第1の契約を行い、装置ステータス記録用メモリ57の設定が「01」に書き換えられると、通常のトナーカートリッジと、第1の廉価版のトナーカートリッジの装着時、エンジン6は動作するように構成する。ただ、装置ステータス記録用メモリ57の設定が「01」の場合には、第2廉価版のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は制限された動作となる。次に、顧客が第2の契約を行い、装置ステータス記録用メモリ57の設定が「10」に書き換えられると、通常のトナーカートリッジ、第1、第2の廉価版トナーカートリッジの装着時の全ての場合でエンジン6は動作するように構成する。
【0065】
次に、エンジン制御部5における装着トナーカートリッジに依る動作について説明する。図8は、本実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【0066】
図8のフローチャートにおいて、ステップS200で装着トナーカートリッジの判定処理が開始されると、続いてステップS201へと進み、装置ステータス記録用メモリ57の記憶値の読み込みが行われる。続いて、ステップS202において、読み込まれた値が「10」であるか否かが判定される。「10」である(YESである)と判定されると、ステップS209へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS210に進み処理を終了する。
【0067】
ステップS202における判定で、NOであると判定されると、続いてステップS203へと進み、ステップS203で読み込まれた値が「01」であるか否かが判定される。「01」である(YESである)と判定されると、ステップS207に進み、トナーカートリッジ611のタグメモリを読み出す。タグメモリには、前述したように、当該トナーカートリッジが通常のトナーカートリッジであるのか、廉価版トナーカートリッジであるのかに係る情報が記憶されている。
【0068】
ステップS208では、装着トナーカートリッジが第2廉価版トナーカートリッジであるか否かが判定される。ステップS208でNOと判定されると、ステップS209へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS210に進み処理を終了する。
【0069】
ステップS208でYESであると判定されると、第2の契約をしていない顧客のプリンタ2であるのに、第2廉価版カートリッジが装着されていることが判明するので、ステップS206へと進み、エンジン6を停止とする。続いて、ステップS210に進み処理を終了する。
【0070】
ステップS203で読み込まれた値が「01」でない(NOである)と判定されると、ステップS2204に進み、トナーカートリッジ611のタグメモリを読み出す。次に、ステップS205では、装着されたトナーカートリッジが第1、第2を含め廉価版トナーカートリッジであるか否かが判定される。ステップS205でNOと判定されると、ステップS209へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS210に進み処理を終了する。
【0071】
ステップS205でYESであると判定されると、契約を行っていない顧客のプリンタ2であるにも関わらず、第1又は第2の廉価版トナーカートリッジが装着されていることが判明するので、ステップS205へと進み、エンジン6を停止とする。続いて、ステップS210に進み処理を終了する。
【0072】
以上のように、本発明によれば、第1廉価版トナーカートリッジ、第2廉価版トナーカートリッジが動作する・しないの設定が可能な画像形成装置を提供することができる。
【0073】
なお、以上の第2実施形態においては、通常のトナーカートリッジと、第1廉価版トナーカートリッジと、第2廉価版トナーカートリッジとの計3種類のトナーカートリッジがあるものとして説明したが、本発明の主旨に基づいて、通常のトナーカートリッジと、第1廉価版トナーカートリッジと、第2廉価版トナーカートリッジ、・・・・、第n廉価版トナーカートリッジを判別することができる画像形成装置を構成することができるのは言うまでもない。
【0074】
次に、本発明の第3実施形態を図面を参照しつつ、画像形成装置が同じプリンタである場合を例にとり説明する。図9は、他の実施形態を適用した画像形成装置であるプリンタの構成図(ブロック図)である。図9の構成図(ブロック図)が、図1の構成図(ブロック図)と異なる点は、プリンタ2とクライアントとなるホストコンピュータ1とが、LAN、WANなどのネットワーク100を介して接続される構成となっている。さらに図9の構成図(ブロック図)が図1の構成図(ブロック図)と異なる点は、LAN、WANなどのネットワーク100は、さらにインターネットなどの通信網110に接続されており、プリンタ2と、トナーカートリッジなどの消耗品の販売管理を行う消耗品販売センター120とが通信可能に接続されている点である。この消耗品販売センター120とプリンタ2との関連性については後に説明する。
【0075】
以上のように構成される第3実施形態において、プリンタ2に用いるトナーカートリッジ611の種類について説明する。
【0076】
この実施形態においては、プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジ611には、通常のトナーカートリッジ、廉価版トナーカートリッジ、廉価版トナーカートリッジの2種類のトナーカートリッジがあるものとする。廉価版トナーカートリッジは通常のトナーカートリッジより価格が安く設定されている。不適合トナーカートリッジがプリンタ2に装着された場合の動作も制約するので、この不適合トナーカートリッジについて説明する。適合トナーカートリッジとは、少なくともプリンタ2の製造者が供給する純正品を含んでおり、プリンタ2で用いるためにメーカーが製造・販売をてがける品質保証された正規品、適正品、或いはそれに準ずるような品質が担保されたものであり、不適合トナーカートリッジとは、それら以外のものであり、プリンタ2での使用において、品質が保証されていないものである。
【0077】
廉価版トナーカートリッジは、プリンタ2の製造者が供給するトナーカートリッジのみを使用するとの契約を交わした顧客に対してのみに販売されるものである。また、本実施形態においては、プリンタ2の製造者が廉価版トナーカートリッジを顧客に提供する代わりに、顧客側でも不適合カートリッジは使用しない、という内容の契約も交わすものである。
【0078】
以上のような廉価版トナーカートリッジは、適正なトナーカートリッジの使用を契約してくれた顧客が所有するプリンタ2でなければ動作しないように設定しなければ、廉価版トナーカートリッジの販売戦略は意味をなさないものとなる。というのは、適正な廉価版トナーカートリッジの使用を契約していない顧客のプリンタ2においても廉価版トナーカートリッジが動作することとなれば、特に適正なトナーカートリッジの使用を契約する顧客側のメリットがなくなってしまうからである。また、本実施形態においては、廉価版トナーカートリッジの提供という販売戦略をより実効的とするために、不適合トナーカートリッジ使用に係る問題に対しても配慮がなされている。
【0079】
本実施形態おいても、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57を利用して、当該プリンタが通常のトナーカートリッジのみ使用可能なものであるのか、通常のトナーカートリッジの他に廉価版トナーカートリッジも使用可能なものであるのかに係る情報を保持するように構成する。
【0080】
図10は、本実施形態のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定を示す図である。製造者は、プリンタ2の工場出荷時(初期出荷時)においては、装置ステータス記録用メモリ57に、例えば00を設定する。そして、製造者はプリンタ2を所有する顧客と概略以下のような契約を交わす。
・プリンタ2の所有者に対して廉価版トナーカートリッジを供給する。
・プリンタ2における不適合トナーカートリッジの使用を禁止する。
【0081】
以上のような契約を交わした顧客のプリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57には、例えば11を設定する。
【0082】
本実施形態においても、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、例えばサービスマンが行うような特殊な操作を要するものとしておくことが望ましい。例えば、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、プリンタ2の不図示のボード上の特殊なコネクタから、通常プリンタ2内では用いない電源電圧値で書き換えを行うように設定する方法がある。このような場合、装置ステータス記録用メモリ57には、専用のワンタイムメモリや、既存LSIのワンタイム領域を用いて、一度書き換えを行うと元に戻せないような設定としておくこともできる。
【0083】
なお、上記のような特殊なコネクタのポート以外に、EthernetインターフェイスやUSBインターフェイス等の周知のポートを利用して、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うような構成としてももちろん構わない。
【0084】
また、装置ステータス記録用メモリ57をRF−IDで構成しておき、製造者のみが知り得る特殊なプロトコルや暗号を用いて、プリンタ2外から無線で書き換えるようにしてもよい。このときも、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うと、元に戻せないような不可逆な設定としておくこともできる。
【0085】
また、装置ステータス記録用メモリ57は、要は「00」、「11」などの状態を記憶すればよいものであるので、例えば、ヒューズなどの部品で装置ステータス記録用メモリ57を構成しておき、「00」から「11」に設定を変更するときに、ヒューズなどの部品を溶断させるようにしてもよい。このようなヒューズなどの部品の装置ステータス記録用メモリ57は、必然的に設定変更は不可逆なものとなる。
【0086】
本実施形態においては、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、消耗品販売センター120が、通信網110やネットワーク100を介して行うようにすることもできる。このようなことを可能とするためには、遠隔地に存在するプリンタ2のファームウエアをアップグレードするような周知の技術を用いるようにすればよい。
【0087】
また、本実施形態においては、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えは、廉価版トナーカートリッジがプリンタ2に装着されたことをトリガーとして行うようにすることもできる。このように構成するためには、廉価版トナーカートリッジがプリンタ2に装着されたことを、エンジン制御部5が検出すると、装置ステータス記録用メモリ57のキー情報の書き換えを行うプログラムをROM52に書き込んでおくことにより実現できる。
【0088】
次に、以上のように設定された装置ステータス記録用メモリ57に基づくプリンタ2の動作について説明する。図11は、装置ステータス記録用メモリ57の設定と、動作トナーカートリッジ・制限動作トナーカートリッジとの対応関係を示す図である。
【0089】
本発明においては、プリンタ2の装置ステータス記録用メモリ57の設定と、プリンタ2に装着されたトナーカートリッジとの対応関係で、プリンタ2のエンジン6を動作させるか、制限された動作とするか、決定する。
【0090】
なお、不適合カートリッジをプリンタ2で検出する技術については周知のものを用いることができる。
【0091】
プリンタ2の初期出荷時は、装置ステータス記録用メモリ57の設定は「00」である。この場合、通常のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は動作するが、廉価版のトナーカートリッジを装着するとエンジン6は制限された動作となる。これに対して、顧客が契約を結び、装置ステータス記録用メモリ57の設定が「11」に書き換えられると、通常のトナーカートリッジと、廉価版のトナーカートリッジの装着時エンジン6は動作するように構成し、不適合カートリッジの装着時エンジン6は制限された動作とするように構成する。
【0092】
次に、エンジン制御部5における装着トナーカートリッジに依る動作について説明する。図12は、本実施形態のプリンタ2のエンジン制御部5における制御フローチャートを示す図である。
【0093】
図12のフローチャートにおいて、ステップS300で装着トナーカートリッジの判定処理が開始されると、続いてステップS301へと進み、装置ステータス記録用メモリ57の記憶値の読み込みが行われる。続いて、ステップS302において、読み込まれた値が「11」であるか否かが判定される。「11」である(YESである)と判定されると、ステップS306へと進む。
【0094】
ステップS306では、プリンタ2に装着されているトナーカートリッジがどのようなものであるのかを検出する。このような検出には周知のトナーカートリッジ検出技術を用いることができる。
【0095】
次に、ステップS307においては、プリンタ2に装着されているトナーカートリッジが不適応カートリッジでるか否かが検出される。ステップS307の判定の結果がNOであれば、ステップS308に進み、エンジン6を動作として、続いてステップS309に進み処理を終了する。
【0096】
ステップS307の判定の結果がYESであれば、ステップS305に進み、エンジン6を停止とする。続いて、ステップS309に進み処理を終了する。
【0097】
ステップS302において、NOであると判定されると、ステップS303へと進み、トナーカートリッジ611のタグメモリを読み出す。タグメモリには、前述したように、当該トナーカートリッジが通常のトナーカートリッジであるのか、廉価版トナーカートリッジであるのかに係る情報が記憶されている。
【0098】
次に、ステップS304へと進む。ステップS304では、装着トナーカートリッジが廉価版トナーカートリッジであるか否かが判定される。ステップS304でNOと判定されると、ステップS308へと進み、エンジン6を動作として、続いてステップS309
に進み処理を終了する。
【0099】
ステップS304でYESであると判定されると、契約をしていない顧客のプリンタ2であるのに、廉価版カートリッジが装着されていることが判明するので、ステップS305へと進み、エンジン6を停止とする。続いて、ステップS309に進み処理を終了する。
【0100】
以上のように、本発明によれば、廉価版トナーカートリッジが動作する・しないの設定が可能な画像形成装置を提供することができる。また、本実施形態においては、不適合トナーカートリッジ使用に係る問題に対しても配慮がなされているので、廉価版トナーカートリッジの提供という販売戦略をより実効的とすることができる。
【0101】
なお、以上においては、プリンタの消耗品としてトナーカートリッジの場合について説明したが、本発明は画像形成装置のための記録材が充填される消耗品カートリッジ全般について適用し得るものであり、例えば、インクジェット方式のプリンタ及びその消耗品であるインクカートリッジの場合でも本発明の考え方を適用し得るものである。
【0102】
また、以上の説明においては、画像形成装置としてプリンタの例について説明したが、本発明は、画像形成装置とその画像形成にて必要となる消耗品との関係に適用し得るものであるので、本発明は、その他の画像形成装置である電子写真方式の複写機、電子写真方式のファクシミリ、電子写真方式の複合機、インクジェット方式のプリンタ、インクジェット方式のファクシミリ、インクジェット方式の複合機などの画像形成装置にも適用し得るものである。
【0103】
また、以上、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態それぞれを説明したが、本発明は、それぞれの実施形態の構成要素の任意の組み合わせからなる実施形態も含まれるものである。
【0104】
また、本発明の考え方を、本明細書では「画像形成装置」、「画像形成装置の設定方法」という2つのカテゴリーで表現したものであるが、本発明の基本的な概念には、「消耗品の販売方法」や「画像形成装置の販売方法」などのビジネスモデル的な要素も含んでおり、本発明はそのようなカテゴリーにおいても表現し得るものであるといえる。
【符号の説明】
【0105】
1・・・ ホストコンピュータ(ホスト装置)、2・・・プリンタ、3・・・プリンタド
ライバ、4・・・コントローラ部、41・・・通信用i/F、5・・・エンジン制御部、6・・・ エンジン、7・・・操作部(操作手段)、71・・・操作表示パネル、51 ・・・CPU、52・・・ ROM、 53・・・RAM、54・・・ログ記録用メモリ、
55・・・タグメモリ用I/F、57・・・装置ステータス記録用メモリ、61・・・現像装置(現像手段)、62・・・その他のエンジン内ユニット、 611 ・・・トナーカートリッジ(現像ユニット)、612・・・タグメモリ、7・・・操作部、71・・・、操作表示パネル、92・・・給紙カートリッジ、94・・・給紙ローラ、95・・・カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に装着されて利用されると共に、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジであって、
前記タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置の全てで画像形成動作が実行可能であり、前記タグメモリに、廉価版消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、装着された画像形成装置のうちの所定の画像形成装置のみで画像形成動作が実行可能であることを特徴とする画像形成装置用消耗品カートリッジ。
【請求項2】
同一の製造者が供給する画像形成装置に装着されて利用されると共に、タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジであって、
前記タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、該カートリッジが装着可能な、前記製造者により供給される全ての画像形成装置で画像形成動作が実行可能であり、
前記タグメモリに、廉価版消耗品カートリッジであるとの情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジは、該カートリッジが装着可能な、前記製造者により供給される画像形成装置のうちの所定の画像形成装置のみで画像形成動作が実行可能であることを特徴とする画像形成装置用消耗品カートリッジ。
【請求項3】
前記所定の画像形成装置は、前記画像形成装置の所有者との契約により、前記製造者が前記廉価版カートリッジの使用を可能とする処理を施した画像形成装置であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置用消耗品カートリッジ。
【請求項4】
タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジと、該画像形成装置用消耗品カートリッジが装着される画像形成装置と、からなる画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、廉価版カートリッジの使用が不可である廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置と、
廉価版カートリッジの使用が可能である廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置の2態をとることができ、
前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置は、
通常の消耗品カートリッジ装着時は動作、廉価版消耗品カートリッジ装着時は制限された動作となり、
前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時及び廉価版消耗品カートリッジ装着時ともに動作となることを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
画像形成装置の所有者との契約により前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置から前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置へ変更することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
タグメモリを備え、該タグメモリに、通常消耗品カートリッジであるのか、廉価版消耗品カートリッジであるのかに係る情報が記憶される画像形成装置用消耗品カートリッジと、該画像形成装置用消耗品カートリッジが装着され、該画像形成装置用消耗品カートリッジと同一の製造者が供給する画像形成装置と、からなる画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、廉価版カートリッジの使用が不可である廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置と、
廉価版カートリッジの使用が可能である廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置の2態をとることができ、
前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置は、
通常の消耗品カートリッジ装着時は動作、廉価版消耗品カートリッジ装着時は制限された動作であり、
前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置は、通常の消耗品カートリッジ装着時及び廉価版消耗品カートリッジ装着時ともに制限のない動作であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
前記製造者と前記画像形成装置の所有者との契約により、前記製造者が前記廉価版カートリッジ使用不可画像形成装置から前記廉価版カートリッジ使用可能画像形成装置へ変更処理することを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−244892(P2009−244892A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141961(P2009−141961)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【分割の表示】特願2007−101264(P2007−101264)の分割
【原出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】