説明

画像形成装置管理システム

【課題】 遠隔管理装置への未送信の情報を抱えている状態で監視動作中の監視装置が停止しまったとき、他の監視装置が監視動作を引き継いで開始しようにもこの未送信の情報の存在を知ることができない。特に履歴の残らないステータスを監視し、その状態の変化を通知する場合、監視を引き継いだ監視装置は引き継ぎ後に過去に起きたステータス変化のタイミングを知る手段がない。そのため、遠隔管理装置に通知される画像形成装置の監視情報が欠落または前後することがある。
【解決手段】 監視動作中の監視装置が遠隔管理装置への送信に失敗したとき、監視を引き継ぐ他の監視装置に送信に失敗した未送信情報を送信しておく。監視を引き継ぐ他の監視装置は、監視開始時はこの情報を元に監視を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の監視装置で連携して画像形成装置の状態を監視するための画像形成装置管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
LAN(Local Area Network)に接続されたプリンタやスキャナなどの画像形成装置の稼動状態を遠隔地から監視するシステムが存在している。このようなシステムでは、画像形成装置と、画像形成装置を拠点で監視する監視装置、遠隔地で監視情報を一元的に収集する遠隔管理装置とが、LANやWAN(Wide Area Network)、インターネットを介して互いに通信を行う。監視装置は、画像形成装置の画像形成回数(カウンタ)やエラー発生状況等の状態を定期的に取得し、その監視情報を遠隔管理装置に送信する。監視情報を受信した遠隔管理装置は、これらの受信内容を蓄積管理して、画像形成装置の稼働状況を遠隔地から閲覧できるよう構成されている。
【0003】
ネットワークに接続された画像形成装置の監視には、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)と呼ばれるネットワーク管理プロトコルが使用される。SNMPに基づいたネットワーク管理は、一般的にネットワーク機器の所持するMIB(Management Information Base)と呼ばれるツリー構造の管理情報にアクセスすることにより行われる。例えば、特許文献1記載の監視装置は、これらプロトコルを用いて画像形成装置のエラー発生状況を表すステータス情報を取得し、前回取得したステータス情報と異なる場合に遠隔管理装置に通知するよう構成している。これにより、画像形成装置のエラーの発生及び回復を、遠隔管理装置に効率的に通知することができる。
【0004】
ここで監視装置は、一般に、ネットワークが不安定な場合やサーバ停止等の事態に備えて、遠隔管理装置への通知失敗時に処理を再試行できる構成となっている。例えば監視装置は、遠隔管理装置への通知で正常応答が得られなかった場合に、通知情報を保持し、所定時間後に再度通知を行う(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−015973号公報
【特許文献2】特開2006−050465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
監視装置は、画像形成装置の動作状態を監視するため、常時稼動していることが期待される。ところが、機器の不調などにより監視動作が停止してしまうことも考えられる。その場合に備え、複数の監視装置を用意して複数台数で協調して監視対象の画像形成装置の監視を行うよう構成されることがある。
【0007】
このとき、複数の監視装置が画像形成装置の監視及び遠隔管理装置への通知を同時並行的に行うことは、ネットワーク資源の有効活用や消費電力の面で無駄が多い。監視動作中の監視装置が停止した場合に、他の監視装置が監視動作を引き継いで開始するよう構成することが望まれる。しかしながら、遠隔管理装置への通知に失敗して通知情報を抱えている状態で監視装置が停止してしまった場合には、監視を引き継ぐ監視装置はこの通知情報の存在を知ることができない。特に履歴の残らないステータスを監視し、その状態の変化を通知する場合、監視を引き継いだ監視装置は引き継ぎ後に過去に起きたステータス変化のタイミングを知る手段がない。そのため、遠隔管理装置に通知される画像形成装置の監視情報が欠落または前後することがある。例えば、トナーボトル・回収トナーボックスの交換やエラー状態の放置を、ステータス変化の通知頻度や間隔を元に遠隔管理装置で判定している場合において、通知時に正しく判定することができなくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つ以上の画像形成装置(100)と、前記画像形成装置を監視する複数の監視装置(110、111)と、前記複数の監視装置から情報を受信する遠隔管理装置(120)とがネットワーク(130)を介して接続される画像形成装置管理システムにおいて、
前記画像形成装置(100)は、
前記画像形成装置の稼動状態を表す最新の状態を保持する最新状態保持手段(204)と、
状態取得要求を受けると前記最新の状態を要求元に返す状態送信手段(205)とを有し、
前記監視装置(110)は、
監視稼動中であるか否かを示す監視稼動情報を保持する監視稼動情報保持手段(401)と、
前記遠隔管理装置(120)への未送信情報を保持する未送信情報保持手段(408)とを有し、
前記監視稼動情報保持手段の保持する前記監視稼動情報が監視稼動中であるとき、他の監視装置(111)に稼動中であることを定期的に通知する稼動中通知手段(402)と、
前記監視稼動情報保持手段の保持する前記監視稼動情報が監視稼動中であるとき、1つ以上の前記画像形成装置(100)の前記状態を定期的に取得する状態取得手段(403)と、
前記状態取得手段で取得した状態を前回取得した状態と比較する状態比較手段(404)と、
前記状態比較手段で前記状態が変化していたとき、前記遠隔管理装置(120)に該画像形成装置(100)の状態変化情報を送信する状態変化通知手段(405)と、
前記状態変化通知手段で前記遠隔管理装置(120)への送信に成功したかを応答で判断する送信成功判断手段(406)と、
前記送信成功判断手段で送信に失敗したと判断したとき、前記状態変化情報を未送信情報保持手段に記憶する第一の未送信情報記憶手段(407)と、
前記送信成功判断手段で送信に失敗したと判断したとき、前記未送信情報を前記他の監視装置(111)に送信する他装置通知手段(409)と、
前記未送信情報保持手段に保持された前記未送信情報が存在するとき、前記未送信情報を所定の間隔を空けて前記遠隔管理装置(120)への再度送信する未送信再送手段(410)と、
前記未送信再送手段で前記遠隔管理装置(120)への送信に成功したかを応答で判断する再送成功判断手段(411)と、
前記再送成功判断手段で送信に成功したと判断したとき、前記未送信情報保持手段で保持していた前記未送信情報を削除する第一の未送信情報削除手段(412)と、
該未送信情報の削除要求を前記他の監視装置(111)に送信する未送信情報削除要求手段(413)と、
前記監視稼動情報が監視稼動中ではないとき、監視稼動中となっている他の監視装置(111)から監視情報を受信する監視情報受信手段(414)と、
前記監視情報受信手段で該画像形成装置(100)の未送信情報を受信したとき、該未送信情報を未送信情報保持手段に記憶する第二の未送信情報記憶手段(415)と、
前記監視情報受信手段で削除要求を受信したとき、前記未送信情報保持手段で保持していた前記未送信情報を削除する第二の未送信情報削除手段(416)と、
前記監視情報受信手段で稼動中の通知を受信したとき、通知受信からの経過時間を初期化して計時を開始する稼動通知経過時間計時手段(417)と、
前記稼動通知経過時間計時手段によって計時する前記経過時間が所定の時間を超えたとき、前記監視稼動情報を監視稼動中に切り替える監視開始手段(418)と、
を備えることを特徴とする画像形成装置管理システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遠隔管理装置への通知に失敗して通知情報を抱えている状態で監視装置が停止してしまった場合にも、監視を引き継ぐ監視装置にこの通知情報が送られているので、この情報を元に監視を開始することができる。特に履歴の残らないステータスを監視し、その状態の変化を通知する場合、監視を引き継いだ監視装置は未通知のステータス変化のタイミングを知り、それを送信できる。そのため、遠隔管理装置に通知される画像形成装置の監視情報が欠落または前後することがない。例えば、トナーボトル・回収トナーボックスの交換やエラー状態の放置を、ステータス変化の通知頻度や間隔を元に遠隔管理装置で判定している場合においても、通知時にその時点までに届いている情報で正しく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】システム全体の概略図である。
【図2】画像形成装置100のハードウェア構成を示す図である。
【図3】監視装置110のハードウェア構成を示す図である。
【図4】監視装置110の中で、特に本システムに係る部分のソフトウェア構成図である。
【図5】未送信情報保持部405の保持する未送信情報テーブルの一例を表す図である。
【図6】監視装置110が監視稼動モードのときの処理を示すフローチャートである。
【図7】監視装置110が監視稼動モードのときの処理を示すフローチャートである。
【図8】監視装置110が監視非稼動モードのときの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0012】
(実施例1)
図1は、本発明の実施の形態に係るシステム全体を示す図である。画像形成装置100と監視装置110、111は顧客のネットワークに設置されており、遠隔管理装置120と通信回線130を介して相互に接続されている。このとき、通信回線130は、LANやWAN、インターネットなどが想定され、有線であっても無線であっても良い。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置100の構成を表す図である。画像形成装置100は、複合機能型画像形成装置MFP(Multi Function Peripheral)や、単一機能型画像形成装置SFP(Single Function Peripheral)などを示している。画像形成部201は、プリンタやスキャナ、ファクシミリなどの一部、または全部が含まれる。操作部202は、ハードキーやタッチパネルなどの入力機器を備え、画像形成部の操作や通信設定の操作などを受け付ける。制御部203は、操作部202からの入力を受けて画像形成部201の制御を行う画像形成制御、画像形成部201のメンテナンスに関わる機器管理制御など、画像形成装置100全体の制御を行う。記憶部204は、ROMやRAM、HDDなどを備え、画像データの記憶領域として使われるほか、機器管理制御に必要な画像形成装置の管理情報としてカウンタ情報やステータス情報、ユーザ管理情報、設定情報などを記憶する。通信I/F部205は、監視装置110へ管理情報を送信するため、通信回線130と接続されるネットワークインターフェイスである。
【0014】
図3は、本発明の実施の形態に係る監視装置110の構成を表す図である。監視装置110はユーザや管理者の使用する計算機であって、出力I/F部301、入力I/F部302、記憶装置303、メモリ304、CPU305、通信I/F部306からなる。出力I/F部301は、ディスプレイなどの出力装置を接続し、プログラムの実行結果などを出力する。入力I/F部302は、キーボード、マウスなどの入力装置を接続し、入力装置からの入力を受け付ける。記憶装置303には、OS(Operating System)や後述のソフトウェア構成、フローチャートで示す手順を含む各種プログラムが格納されている。CPU305は、記憶装置303からプログラムをメモリ304にロードし、実行する。他の監視装置111も、監視装置110と同様の構成を備える。
【0015】
図4は、監視装置110のソフトウェア構成の中で、特に本システムに係る部分のソフトウェア構成を表す図である。監視稼動情報保持部401は、監視装置110自身が画像形成装置100を監視中(監視稼動モード)であるか否かを示す監視稼動情報を保持する。稼動中通知部402は、監視稼動情報保持部401の保持する監視稼動情報が監視稼動モードである場合に、画像形成装置100を監視中であることを他の監視装置111へ、通信I/F部306を介して通知する。状態取得部403は、通信I/F部306を介して画像形成装置100から画像形成装置100の状態を取得する。このときの状態を取得するプロトコルとしては、例えばSNMPといったネットワーク管理プロトコルが想定されるが、これに限らない。状態比較部404は、状態取得部403で前回取得した状態のうち監視すべきステータス情報を保持し、該ステータス情報と新たに取得した状態のステータス情報とを比較して変化の有無を判断する。状態変化通知部405は、状態比較部404でステータス情報が変化したと判断したときに処理の指示を受け、その変化情報を通信I/F部306を介して遠隔管理装置120へ送信する。このときの送信手段としては、電子メールでの送信やHTTPを用いたSOAPメッセージの送信などが想定される。送信成功判断部406は、状態変化通知部405の通信時の接続状況や応答内容を受け、遠隔管理装置120への送信に成功したか否かを判断する。例えばHTTPによる通信の場合、Webサーバ(この場合遠隔管理装置120)が正常に受信できたかどうかは、Webサーバからの応答のステータスコードが200番台であるか否かで判断できる。また、SOAPメッセージによる送受信であれば、さらに応答で受信したSOAPメッセージの内容で判断することもできる。第一の未送信情報記憶部407は、送信成功判断部406で送信に失敗したと判断した場合に処理の指示を受け、遠隔管理装置120への送信に失敗した情報を未送信情報として未送信情報保持部408に記憶する。他装置通信部409は、送信成功判断部406で送信に失敗したと判断した場合に処理の指示を受け、第一の未送信情報記憶部407が記憶したのと同様の未送信情報を、通信I/F部306を介して他の監視装置111へ送信する。未送信情報再送部410は、未送信情報保持部408に記憶されている未送信情報を、状態変化通知部405と同様の送信手段でもって遠隔管理装置120へ送信する。再送成功判断部411は、未送信情報再送部410の通信時の接続状況や応答内容を受け、遠隔管理装置120への送信に成功したか否かを判断する。第一の未送信情報削除部412は、再送成功判断部411で送信に成功したと判断した場合に処理の指示を受け、送信に成功した未送信情報の削除を未送信情報保持部408に指示する。未送信情報削除要求部413は、再送成功判断部411で送信に成功したと判断した場合に処理の指示を受け、第一の未送信情報削除部412が削除を指示したのと同様の削除指示を、通信I/F部306を介して他の監視装置111へ要求する。監視情報受信部414は、他の監視装置111から通信I/F部306を介して監視情報を受信する。ここで受信する監視情報には、未送信情報や未送信情報の削除要求、監視中であることの通知がある。第二の未送信情報記憶部415は、監視情報受信部414が受信した監視情報が未送信情報であった場合に処理の指示を受け、受信した未送信情報を未送信情報保持部408に記憶する。第二の未送信情報削除部416は、監視情報受信部414が受信した監視情報が未送信情報の削除要求であった場合に処理の指示を受け、受信した削除要求に従って未送信情報の削除を未送信情報保持部408に指示する。稼動通知経過時間計時部417は、他の監視装置111からの稼動中通知を受信してからの経過時間を計時する。監視開始部418は、稼動通知経過時間計時部417の計時する経過時間が所定の時間を超えた場合に処理の指示を受け、監視稼動情報保持部401の保持する監視稼動情報を監視稼動モードに切り替える。
【0016】
図5は、未送信情報保持部408の保持する未送信情報の一例を表す図である。未送信情報管理テーブル500は、遠隔管理装置120への送信に失敗した画像形成装置100の状態に関する情報を蓄積し、保持する。未送信情報管理テーブル500は、監視対象の画像形成装置100を一意に特定するデバイスID501に、画像形成装置100の状態情報を示すステータス502とを対応付けて記録する。また、ステータス502の発生を検知したタイミングを特定する情報として、本実施例においては画像形成装置100の画像形成回数情報を示すカウンタ503や、検知したときの日時を示す変化検知日時504もあわせて記録する。
【0017】
画像形成装置100を監視対象とする複数の監視装置110、111のうち、定期的に画像形成装置110の状態を取得して監視を行う(監視稼動モード)のは、いずれか1台のみである。監視装置110が監視稼動モードであるとき、他の監視装置111は定期的な状態取得は行わず、監視装置110の監視動作が停止した場合に備える(監視非稼動モード)。逆に、他の監視装置111が監視稼動モードであるとき、監視装置110は監視非稼動モードとなる。
【0018】
図6乃至図7は、本実施例において、監視装置110が監視稼動モードにあるときの、画像形成装置100を監視する監視動作を示すフローチャートである。監視装置110において、監視稼動情報保持部401が監視稼動モードとき、稼動中通知部402は監視装置110が監視稼動モードであることを他の監視装置111に定期的に通知する(ステップS601)。また、状態取得部403は、監視対象の画像形成装置110の状態を定期的に取得する(ステップS602)。ここで言う状態とは、例えばエラーの発生状況や、トナー残量情報などの画像形成装置100の動作に関わるステータス情報を指す。続くステップS603で状態比較部404は、監視すべきステータス情報が前回取得したものから変化したか(例えばトナー残量少を表すステータスが発生した、など)を判断する。ステップS603で変化したと判断すると、ステップS604で状態変化通知部405はステータス変化の情報を遠隔管理装置120へ送信する。このとき状態変化通知部405は、ステータス変化の情報として、変化後のステータス情報や画像形成装置100を特定するデバイスID、ステータスが変化したタイミングを示す情報(例えば画像形成装置100から取得したカウンタ)もあわせて送信する。状態変化通知部405は、ネットワークが不安定等の事由により遠隔管理装置120への送信に失敗することがある。ステップS605で送信成功判断部406が送信に失敗したと判断したとき、第一の未送信情報記憶部407はそのステータス変化の情報を未送信情報保持部408の保持する未送信情報管理テーブル500に行を追加し記憶する(ステップS606)。あわせて、他装置通知部409は、ステップS606で記憶したものと同様の情報を他の監視装置111に送信する(ステップS607)。
【0019】
未送信情報管理テーブル500に未送信情報が記憶されているとき、監視装置110は定期的に未送信情報の再送を試みる。未送信情報再送部410は、ステップS701で情報保持部405の保持する未送信情報管理テーブル500に未送信情報が記憶されていることを監視制御部406が確認すると、記憶されている未送信情報を遠隔管理装置120へ送信する(ステップS702)。ステップS702で再送成功判断部411が送信に成功したと判断したとき、第一の未送信情報削除部412は該未送信情報を未送信情報管理テーブル500から削除する(ステップS704)。あわせて、未送信情報削除要求部413は、該未送信情報の再送が不要になったことを通知するための削除要求を、他の監視装置111に送信する(ステップS705)。
【0020】
図8は、本実施例において、監視装置110が監視非稼動モードにあるときの動作を示すフローチャートである。監視装置110は、他の監視装置111の監視動作が停止した場合に備えて、監視情報受信部414は監視稼動モードにある他の監視装置111からの監視情報の受信を待ち受ける(ステップS801)。他の監視装置111から送信される監視情報には、ステップS601の他の監視装置111が正常に稼動していることを通知する稼動中通知や、ステップS607、S705の未送信情報の送信や削除要求がある。監視情報受信部414の受信した監視情報が未送信情報であった場合(ステップS802)、第二の未送信情報記憶部415は、受信した未送信情報を未送信情報保持部408の保持する未送信情報管理テーブル500に行を追加し記憶する(ステップS606)。監視情報受信部414の受信した監視情報が未送信情報の削除要求であった場合、第二の未送信情報削除部416は、該未送信情報を未送信情報管理テーブル500から削除する(ステップS805)。また、監視情報受信部414の受信した監視情報が稼動中通知であった場合、稼動通知経過時間計時部417は、そこで経過時間の計時を一旦初期化して計時を開始する(ステップS805)。監視装置110は、他の監視装置111による画像形成装置100の監視が継続していることを、稼動中通知を受信してからの経過時間の計時により判断する。稼動通知経過時間計時部417は、他の監視装置111が送信する稼動中通知の送信間隔以上で定められた所定期間を経過すると他の監視装置111の監視動作が停止したと判断する(ステップS801)。すると、ステップS806で監視開始部418は、監視稼動情報保持部401の保持する監視稼動情報を監視稼動モードに切り替える。監視装置110は監視稼動モードに切り替わると、図6乃至図7に記載のフローチャートに従って定期的に画像形成装置100を監視するとともに、未送信情報管理テーブル500に記憶された未送信情報の送信を試みる。
【0021】
なお、本実施例では監視対象の画像形成装置100を1台としたが、複数台数であっても良い。また、監視装置110が画像形成装置一体型の装置であっても良い。
さらに、画像形成装置100を監視する複数の監視装置110、111のうち、監視稼動モードとなるのは1台のみである。複数台数が監視稼動モードとなる場合に備え、監視稼動モード時に他の監視装置111からの稼動通知を受信したとき、監視開始部418は監視稼動情報を監視非稼動モードに切り替えるようにしても良い。このように構成することで、監視装置110、111を3台以上とした構成にも適用できる。
【0022】
以上、詳細に説明した本発明を適用できる本実施形態では、遠隔管理装置120への通知に失敗して通知情報を抱えている状態で監視装置110が停止してしまった場合にも、監視を引き継ぐ他の監視装置111にこの通知情報が送られている。従って、この情報を元に監視を開始することができる。特に履歴の残らないステータスを監視し、その状態の変化を通知する場合において、監視を引き継いだ他の監視装置111は未通知のステータス変化のタイミングを知り、それを送信できる。そのため、遠隔管理装置120に通知される画像形成装置100の監視情報が欠落または前後することがない。例えば、トナーボトル・回収トナーボックスの交換やエラー状態の放置を、ステータス変化の通知頻度や間隔を元に遠隔管理装置で判定している場合においても、通知時にその時点までに届いている情報で正しく判定することができる。
【符号の説明】
【0023】
100 画像形成装置
110 監視装置
111 監視装置
120 遠隔管理装置
130 通信回線
500 未送信情報管理テーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の画像形成装置(100)と、前記画像形成装置を監視する複数の監視装置(110、111)と、前記複数の監視装置から情報を受信する遠隔管理装置(120)とがネットワーク(130)を介して接続される画像形成装置管理システムにおいて、
前記画像形成装置(100)は、
前記画像形成装置の稼動状態を表す最新の状態を保持する最新状態保持手段(204)と、
状態取得要求を受けると前記最新の状態を要求元に返す状態送信手段(205)とを有し、
前記監視装置(110)は、
監視稼動中であるか否かを示す監視稼動情報を保持する監視稼動情報保持手段(401)と、
前記遠隔管理装置(120)への未送信情報を保持する未送信情報保持手段(408)とを有し、
前記監視稼動情報保持手段の保持する前記監視稼動情報が監視稼動中であるとき、他の監視装置(111)に稼動中であることを定期的に通知する稼動中通知手段(402)と、
前記監視稼動情報保持手段の保持する前記監視稼動情報が監視稼動中であるとき、1つ以上の前記画像形成装置(100)の前記状態を定期的に取得する状態取得手段(403)と、
前記状態取得手段で取得した状態を前回取得した状態と比較する状態比較手段(404)と、
前記状態比較手段で前記状態が変化していたとき、前記遠隔管理装置(120)に該画像形成装置(100)の状態変化情報を送信する状態変化通知手段(405)と、
前記状態変化通知手段で前記遠隔管理装置(120)への送信に成功したかを応答で判断する送信成功判断手段(406)と、
前記送信成功判断手段で送信に失敗したと判断したとき、前記状態変化情報を未送信情報保持手段に記憶する第一の未送信情報記憶手段(407)と、
前記送信成功判断手段で送信に失敗したと判断したとき、前記未送信情報を前記他の監視装置(111)に送信する他装置通知手段(409)と、
前記未送信情報保持手段に保持された前記未送信情報が存在するとき、前記未送信情報を所定の間隔を空けて前記遠隔管理装置(120)への再度送信する未送信再送手段(410)と、
前記未送信再送手段で前記遠隔管理装置(120)への送信に成功したかを応答で判断する再送成功判断手段(411)と、
前記再送成功判断手段で送信に成功したと判断したとき、前記未送信情報保持手段で保持していた前記未送信情報を削除する第一の未送信情報削除手段(412)と、
該未送信情報の削除要求を前記他の監視装置(111)に送信する未送信情報削除要求手段(413)と、
前記監視稼動情報が監視稼動中ではないとき、監視稼動中となっている他の監視装置(111)から監視情報を受信する監視情報受信手段(414)と、
前記監視情報受信手段で該画像形成装置(100)の未送信情報を受信したとき、該未送信情報を未送信情報保持手段に記憶する第二の未送信情報記憶手段(415)と、
前記監視情報受信手段で削除要求を受信したとき、前記未送信情報保持手段で保持していた前記未送信情報を削除する第二の未送信情報削除手段(416)と、
前記監視情報受信手段で稼動中の通知を受信したとき、通知受信からの経過時間を初期化して計時を開始する稼動通知経過時間計時手段(417)と、
前記稼動通知経過時間計時手段によって計時する前記経過時間が所定の時間を超えたとき、前記監視稼動情報を監視稼動中に切り替える監視開始手段(418)と、
を備えることを特徴とする画像形成装置管理システム。
【請求項2】
前記監視装置(110)はさらに、
他の監視装置(111)の前記監視稼動情報が監視稼動中であることを確認したとき、前記監視装置(110)の前記監視稼動情報を監視停止に切り替える監視停止手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置管理システム。
【請求項3】
前記監視装置(110)は画像形成装置であること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103764(P2012−103764A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249350(P2010−249350)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】