画像形成装置
【課題】印画時に十分大きな押圧力で印字ヘッドを押圧するとともに、印字ヘッドを押圧するための部材の加工時間を減少させることが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】この熱転写プリンタでは、押圧機構は、2本の支持棒4と、2本の支持棒4に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面と他方側面とを連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材5とを含む。また、回動部材5の他方側面の押圧部は、2本の支持棒4の撓み変形による押圧力を用いてサーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧する。また、他方側面の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材7が装着されている。また、2本の支持棒4の両端部が挿入され、シャーシ1に対して回動可能に支持されるキャップ部6をさらに備えている。また、回動部材5の押圧部は、サーマルヘッド2の幅方向の中心部近傍を押圧するように配置される。
【解決手段】この熱転写プリンタでは、押圧機構は、2本の支持棒4と、2本の支持棒4に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面と他方側面とを連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材5とを含む。また、回動部材5の他方側面の押圧部は、2本の支持棒4の撓み変形による押圧力を用いてサーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧する。また、他方側面の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材7が装着されている。また、2本の支持棒4の両端部が挿入され、シャーシ1に対して回動可能に支持されるキャップ部6をさらに備えている。また、回動部材5の押圧部は、サーマルヘッド2の幅方向の中心部近傍を押圧するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、印字を行う印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドなどの印字ヘッドを備えた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、サーマルヘッド(印字ヘッド)と、サーマルヘッドがインクシートを介して押圧する中間転写媒体と、中間転写媒体に転写されたインクを用紙に転写する転写手段と、引っ張りコイルバネのバネ力によりサーマルヘッドを押圧するためのサーマルヘッド離接機構とを含む構造において、サーマルヘッド離接機構によりサーマルヘッドを押圧することによって、インクシートのインクを中間転写媒体に転写し、中間転写媒体に転写されたインクを転写手段の発熱および押圧により用紙に転写する熱記憶装置(画像形成装置)が開示されている。
【0004】
また、従来、画像形成装置の一例として、熱転写プリンタが知られている。図14および図15は、従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図16および図17は、押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。図18は、図14および図15に示した従来の熱転写プリンタにおけるサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための断面図である。図14〜図18を参照して、従来の一例による熱転写プリンタの構造について説明する。
【0005】
従来の熱転写プリンタは、図14および図15に示すように、金属製のシャーシ101と、印字を行うためのサーマルヘッド102と、プラテンローラ103と、金属製の支持棒104と、歯部を有する押さえ部材105と、歯部を有しない押さえ部材106と、押さえ部材105を回動させるための樹脂製の小径ギア部107aおよび大径ギア部107bを有する駆動ギア107と、ねじりコイルバネ108と、プラテンローラ軸受け部109aが一体的に形成された樹脂製の軸受けプレート109と、プラテンローラ軸受け部110aが一体的に形成された樹脂製の軸受けプレート110と、モータ111と、モータブラケット112と、中間ギア113とを備えている。
【0006】
また、図14および図15に示すように、シャーシ101のモータブラケット112が取り付けられている一方側面101aに対向する他方側面101bには、インクシートカートリッジ(図示せず)を取り付けるための挿入部101cが設けられている。また、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bには、支持棒104の両端部が回動可能に挿入される挿入穴101dが設けられている。また、サーマルヘッド102は、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に、支持軸102aを中心として回動可能に取り付けられている。また、ねじりコイルバネ108は、サーマルヘッド102の支持軸102aに取り付けられている。このねじりコイルバネ108は、サーマルヘッド102をプラテンローラ103から離間させる方向に付勢する機能を有する。また、サーマルヘッド102の下部に設けられたヘッド部102bは、プラテンローラ103に対向するように配置されている。また、サーマルヘッド102のヘッド部102bの両端部の上方には、押さえ部材105および106に押圧される曲げ加工部102cが形成されている。
【0007】
また、図16および図17に示すように、支持棒104の両端部近傍の挿入部104a
は、小判形状に加工されるとともに、押さえ部材105および106の小判形状の挿入孔105aおよび106aにそれぞれ空回りしないように挿入されている。また、支持棒104の挿入部104aの外側には、軸受け支持部104bが形成されている。また、軸受け支持部104bは、シャーシ101の挿入穴101dに回動可能に支持されている。また、押さえ部材105および106には、それぞれ、サーマルヘッド102の曲げ加工部102cを押圧する押圧バネ105bおよび106bが取り付けられている。また、図18に示すように、押さえ部材105の歯部は、駆動ギア107の小径ギア部107aに係合するように配置されている。また、小径ギア部107aは、大径ギア部107bと一体的に回転するように配置されている。また、駆動ギア107は、シャーシ101の一方側面101aに取り付けられるとともに、中間ギア113からの駆動力を押さえ部材105に伝達する。また、モータブラケット112に取り付けられているモータ111(図15参照)の駆動力は、中間ギア113(図18参照)を介して駆動ギア107の大径ギア部107bに伝達される。
【0008】
上記した従来の熱転写プリンタのサーマルヘッド102のプラテンローラ103に対する押さえ動作としては、図18に示すように、モータ111(図15参照)の駆動力が中間ギア113および駆動ギア107の大径ギア部107bおよび小径ギア部107aを介して押さえ部材105の歯部に伝達されることにより、押さえ部材105は、シャーシ101の挿入穴101dに支持されながら回動される。これにより、押さえ部材105の押圧バネ105bによって、シャーシ101の一方側面101a側の曲げ加工部102cが押圧される。また、押さえ部材105および106は、支持棒104にそれぞれ空回りしないように取り付けられているので、押さえ部材105が回動することによって、支持棒104および押さえ部材106は回動される。これにより、図15に示すように、押さえ部材106の押圧バネ106bによって、シャーシ101の他方側面101b側の曲げ加工部102cが押圧される。その結果、サーマルヘッド102のヘッド部102bは、ねじりコイルバネ108の付勢力に抗してプラテンローラ103に押圧される。
【特許文献1】特開平7−323587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14〜図18に示した従来の熱転写プリンタでは、サーマルヘッド102を押圧するための部材を構成する押さえ部材105および106と支持棒104とを空回りしないように連結するために、金属製の支持棒104の両端部の挿入部104aに、小判形状を形成していた。このように金属製の支持棒104に小判形状を形成するためには、加工に時間がかかる切削加工を行う必要があるため、サーマルヘッド102を押圧するための部材の加工に時間がかかるという問題点があった。また、挿入部104aの外側の軸受け支持部104bの軸径は、挿入部104aの小判形状部分の幅以下の大きさにする必要があるため、軸受け支持部104bについても切削加工を行う必要があった。これによっても、部品の加工に時間がかかるという問題点があった。
【0010】
また、上記特許文献1で開示された構造では、明確に記載はされていないが、サーマルヘッド離接機構が1つの引っ張りコイルバネのバネ力のみにより、サーマルヘッドを押圧すると考えられるため、印画時に、サーマルヘッドを十分な押圧力で押圧するのは困難であるという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印画時に十分大きな押圧力で印字ヘッドを押圧するとともに、印字ヘッドを押圧するための部材の加工時間を減少させることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、シャーシと、印字を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、印字ヘッドをプラテンローラに押圧する押圧機構と、押圧機構を駆動させるための駆動機構とを備えた画像形成装置において、押圧機構は、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の金属製の回動部材とを含み、金属製の回動部材の他方側面の押圧部は、2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧し、回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されており、回動部材の連結部は、2本の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含み、2本の支持棒の両端部が挿入され、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備え、駆動機構は、カム溝を含み、回動部材の一方側面は、カム溝に係合するカムピンを含み、回動部材は、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている。
【0013】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、その2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材とを設けるとともに、回動部材の他方側面の押圧部を、2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧するように構成することによって、印画時に、2本の支持棒の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧することができる。また、回動部材の支持棒を2本設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい2本の支持棒によって、使用回数の増加による支持棒の塑性変形を有効に抑制することができる。また、金属製の回動部材の押圧部の先端部に、樹脂製の押圧部材を装着することによって、印字ヘッドを押圧する際に、樹脂製の押圧部材を印字ヘッドに接触させることができる。その結果、金属製の回動部材が印字ヘッドに接触することに起因して、印字ヘッドが損傷するのを抑制することができる。また、2本の支持棒の両端部に、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部を挿入することによって、2本の支持棒に取り付けられた回動部材をシャーシに対して回動させることができる。また、回動部材の連結部に、2本の支持棒の撓み量を規制する規制部を設けることによって、2本の支持棒が過度に撓まないようにすることができる。その結果、支持棒の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。また、駆動機構に、カム溝を設けるとともに、回動部材の一方側面に、カム溝に係合するカムピンを設けることによって、カム溝およびカムピンを用いて駆動機構の駆動力を回動部材に伝達することができる。その結果、容易に、回動部材の他方側面の押圧部を回動させることができる。また、回動部材の他方側面の押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置することによって、回動部材の他方側面の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均等に印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドを、プラテンローラに対して左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。また、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材の一方側面を駆動機構により回動させるように構成することによって、回動部材の一方側面と他方側面との間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材を形成することができるので、回動部材を用いて印字ヘッドを押圧する機構を有する場合に、印字ヘッドを押圧するための部材である回動部材の加工時間を低減することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、印字を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、撓み変形可能な複数の支持棒と、複数の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材と、回動部材の一方側面を回動させるための駆動機構とを備え、回動部材の他方側面の押圧部は、複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧する。
【0015】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、回動部材の他方側面の押圧部が、複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧するように構成することによって、印画時に、複数の支持棒の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧することができる。また、回動部材の支持棒を複数設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい複数の支持棒によって、使用回数の増加による支持棒の塑性変形を有効に抑制することができる。また、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材の一方側面を駆動機構により回動させるように構成することによって、回動部材の一方側面と他方側面との間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材を形成することができるので、回動部材を用いて印字ヘッドを押圧する機構を有する場合に、印字ヘッドを押圧するための部材である回動部材の加工時間を低減することができる。
【0016】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材は金属製であり、回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されている。このように構成すれば、印字ヘッドを押圧する際に、樹脂製の押圧部材が印字ヘッドに接触する。これにより、金属製の回動部材が印字ヘッドに接触することに起因して、印字ヘッドが損傷するのを抑制することができる。
【0017】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、シャーシをさらに備え、複数の支持棒の両端部が挿入され、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備える。このように構成すれば、キャップ部により、容易に、複数の支持棒に取り付けられた回動部材はシャーシに対して回動することができる。
【0018】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材の連結部は、複数の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含む。このように構成すれば、規制部により、複数の支持棒が過度に撓まないようにすることができる。これにより、支持棒の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。
【0019】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、駆動機構は、カム溝を含み、回動部材の一方側面は、カム溝に係合するカムピンを含む。このように構成すれば、カム溝およびカムピンを用いて駆動機構の駆動力を回動部材に伝達することができるので、容易に、回動部材の他方側面の押圧部を回動させることができる。
【0020】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材の他方側面の押圧部は、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている。このように構成すれば、回動部材の他方側面の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均等に印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドを、プラテンローラに対し
て左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一例である熱転写プリンタを図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの正面図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの上面図である。図4〜図7は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの支持棒、回動部材およびキャップ部の詳細構造を示した図である。図8および図9は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドがプラテンローラを押圧した状態を示した図である。図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による熱転写プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である熱転写プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による熱転写プリンタは、図1〜図3に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うためのサーマルヘッド2と、プラテンローラ3と、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒4と、金属製の回動部材5と、樹脂製のキャップ部6と、樹脂製の押圧部材7と、回動部材5を回動させるための駆動ギア8と、ねじりコイルバネ9と、樹脂製の軸受けプレート10および11と、モータ軸ギア部12aを有するモータ12と、金属製のモータブラケット13と、モータ軸ギア部12aと係合する大径ギア部14aおよび駆動ギア8と係合する小径ギア部14bを有する中間ギア14とを備えている。なお、サーマルヘッド2は、本発明の「印字ヘッド」の一例である。また、駆動ギア8は、本発明の「駆動機構」の一例である。
【0024】
また、図1〜図3に示すように、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット13が取り付けられている。一方側面1aに対向する他方側面1bには、インクシートカートリッジ(図示せず)を取り付けるための挿入部1cが設けられている。また、サーマルヘッド2は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に、支持軸2aを中心として回動可能に取り付けられている。また、サーマルヘッド2の下部に設けられたヘッド部2bは、プラテンローラ3に対向するように配置されている。
【0025】
ここで、図4〜図7を参照して、本実施形態による金属製の2本の支持棒4、回動部材5およびキャップ部6の詳細構造を説明する。図4に示すように、回動部材5には、撓み変形可能な2本の支持棒4が取り付けられている。この2本の支持棒4は、金属製のピアノ線からなる。本実施形態では、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4を設け、1本あたりの断面積を減少させている。たとえば、支持棒を直径3.2mmの1本の支持棒で構成した
場合、この支持棒の断面積は、約8.04mm2となる。これに対して、本実施形態のよ
うに、支持棒を2本の支持棒4で構成した場合、2本の支持棒4の断面積の合計が、1本の支持棒で構成した場合の断面積約8.04mm2と同じになるように構成すると、1本
あたりの断面積Aは約4.02mm2と小さくなる。このとき、支持棒4の半径rは、A
=πr2の式より、約1.13mmとなり、支持棒4の直径(2r)は、約2.26mmとなる。この支持棒4を2本にした場合の支持棒4の直径(約2.26mm)は、支持棒を
1本により構成した場合の、支持棒の直径(3.2mm)に比べ小さくなる。このように
、支持棒を2本により構成した場合では、支持棒を1本により構成した場合と比べて、支持棒の断面積および直径を小さくすることが可能になる。
【0026】
また、本実施形態では、図4に示すように、金属製の回動部材5は、一方側面5aと、他方側面5cと、一方側面5aおよび他方側面5cとを連結する連結部5eとからなるコ
の字形状を有する。また、回動部材5の一方側面5aには、後述する駆動ギア8のカム溝8aに係合するカムピン5bが設けられている。また、他方側面5cには、サーマルヘッド2を押圧する押圧部5dが設けられている。また、回動部材5の一方側面5aおよび他方側面5cには、2本の支持棒4を挿入するために長穴状に形成された挿入孔5fが設けられている。また、回動部材5の連結部5eは、2本の支持棒4を囲むコの字形状の断面を有する。この連結部5eのコの字形状の内面部分は、2本の支持棒4の撓み量を規制する規制部5g(図4、図6および図7参照)を構成する。また、樹脂製のキャップ部6は、約6mmの直径を有するとともに、約2.26mmの直径を有する2本の支持棒4の両
端部を挿入するための長穴部6aを有する。
【0027】
また、図5に示すように、2本の支持棒4の両端部に取り付けられたキャップ部6は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの挿入穴1dに挿入されるとともに、シャーシ1に対して回動可能に支持されている。また、図4および図6に示すように、金属製の回動部材5の他方側面5cの押圧部5dの先端部には、樹脂製の押圧部材7が装着されている。また、図2に示すように、回動部材5の押圧部5dは、回動することによって、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)の中心近傍を押圧するように配置されている。
【0028】
また、本実施形態では、図6および図9に示すように、押圧部5dに装着された押圧部材7の先端部7aから回動部材5の他方側面5cの挿入孔5fの中心までの高さh1は、サーマルヘッド2を押圧する際に撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4が上方向に撓むように、押圧時のサーマルヘッド2の上面部2cからシャーシ1の挿入穴1dの中心までの高さh2(図9参照)よりも高さが大きく形成されている。また、本実施形態では、図1および図8に示すように、駆動ギア8には、回動部材5の一方側面5aと係合するカム溝8aが設けられている。
【0029】
また、図1、図2および図3に示すように、ねじりコイルバネ9は、サーマルヘッド2の支持軸2aに取り付けられている。このねじりコイルバネ9は、サーマルヘッド2をプラテンローラ3から離間させる方向に付勢する機能を有する。また、図1〜図3に示すように、軸受けプレート10は、シャーシ1の一方側面1aの外側面に取り付けられ、軸受けプレート11は、シャーシ1の他方側面1bの外側面に取り付けられている。また、図2および図5に示すように、軸受けプレート10には、キャップ部6が抜けるのを防止するための抜け止め部10aが設けられている。また、図1および図2に示すように、軸受けプレート11には、キャップ部6が抜けるのを防止するための抜け止め部11aが設けられている。また、図1〜図3に示すように、軸受けプレート10には、プラテンローラ3を回転可能に支持するプラテンローラ軸受け部10bが一体的に形成されている。また、図2および図3に示すように、軸受けプレート11には、プラテンローラ3を回転可能に支持するプラテンローラ軸受け部11bが一体的に形成されている。また、図3に示すように、モータブラケット13に取り付けられたモータ12の駆動力は、モータ軸ギア部12aから中間ギア14の大径ギア部14aおよび小径ギア部14bを介して駆動ギア8に伝達される。
【0030】
図10〜図13は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための図である。次に、図1〜図3および図8〜図13を参照して、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明する。まず、初期状態としては、図1、図2および図10〜図11に示すように、ねじりコイルバネ9の付勢力により、サーマルヘッド2は、プラテンローラ3から離間する方向に回動されているとともに、回動部材5は、押圧部材7が装着された押圧部5dがサーマルヘッド2の上面部2cを押圧しない位置に回動されている。この状態から、図3に示すように、モータ12の駆動力が、モータ軸ギア部1
2aから、中間ギア14の大径ギア部14aおよび小径ギア部14bと、駆動ギア8のカム溝8aに係合する回動部材5の一方側面5aのカムピン5bとを介して、回動部材5の一方側面5aに伝達される。これにより、回動部材5の一方側面5aは、図10に示した状態から図12に示した状態へと図10の矢印E方向に回動されるので、回動部材5の他方側面5cが、図11の矢印F方向に回動されて、図11に示した状態から図13に示した状態になる。これにより、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dに装着された押圧部材7は、図8、図9および図13に示すように、サーマルヘッド2の上面部2cに当接する。このとき、図9に示すように、押圧時の回動部材5の他方側面5cの押圧部5dに装着された押圧部材7の先端部7aから挿入孔5fの中心までの高さh1は、押圧時のサーマルヘッド2の上面部2cからシャーシ1の挿入穴1dの中心までの高さh2よりも高さが大きく形成されているので、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4は上方へ撓む。これにより、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4に曲げ応力が発生するので、その曲げ応力により、押圧部5dに装着された押圧部材7が、図2の矢印B方向にサーマルヘッド2の上面部2cに対して押圧される。その結果、サーマルヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3に対して押圧される。
【0031】
本実施形態では、上記のように、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4と、その支持棒4に取り付けられ、駆動ギア8のカム溝8aに係合する一方側面5aと、押圧部5dを有する他方側面5cと、一方側面5aと他方側面5bcを連結する連結部5eとを含むコの字状の回動部材5を設けるとともに、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み変形による押圧力を用いてサーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧するように構成することによって、印画時に、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、サーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧することができる。
【0032】
また、本実施形態では、回動部材5の支持棒4を2本設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒4は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒4の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい2本の支持棒4によって、使用回数の増加による支持棒4の塑性変形を有効に抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、金属製の回動部材5の押圧部5dの先端部に、樹脂製の押圧部材7を装着することによって、サーマルヘッド2を押圧する際に、樹脂製の押圧部材7をサーマルヘッド2の上面部2cに接触させることができる。その結果、金属製の回動部材5がサーマルヘッド2に接触することに起因して、サーマルヘッド2が損傷するのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、2本の支持棒4の両端部に、シャーシ1に対して回動可能に支持されるキャップ部6を挿入することによって、2本の支持棒4に取り付けられた回動部材5を容易にシャーシ1に対して回動させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、回動部材5の連結部5eに、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み量を規制する規制部5gを設けることによって、2本の支持棒4が過度に撓まないようにすることができる。その結果、支持棒4の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、駆動ギア8に、カム溝8aを設けるとともに、回動部材5の一方側面5aに、カム溝8aに係合するカムピン5aを設けることによって、カム溝8aおよびカムピン5aを用いて駆動ギア8の駆動力を回動部材5に伝達することができる。そ
の結果、容易に、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを回動させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)の中心部近傍を押圧するように配置することによって、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dにより、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)に対して左右均等にサーマルヘッド2を押圧することができる。これにより、サーマルヘッド2を、プラテンローラ3に対して左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。
【0038】
また、本実施形態では、一方側面5aと、押圧部5dを有する他方側面5cと、一方側面5aおよび他方側面5cを連結する連結部5eとを含むコの字形状の回動部材5の一方側面5aを駆動ギア8のカム溝8aにより回動させるように構成することによって、回動部材5の一方側面5aと他方側面5cとの間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材5を形成することができるので、回動部材5を用いてサーマルヘッド2を押圧する機構を有する場合に、サーマルヘッド2を押圧するための部材である回動部材5の加工時間を低減することができる。
【0039】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例として熱転写プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、印字ヘッドを有する画像形成装置であれば、熱転写プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、2本の支持棒の撓み変形による曲げ応力を用いて、サーマルヘッドを押圧部により押圧する例を示したが、本発明はこれに限らず、3本以上の支持棒の撓み変形による曲げ応力を用いて、サーマルヘッドを押圧部により押圧するように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、押圧部が、サーマルヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧する例を示したが、本発明はこれに限らず、押圧部が、サーマルヘッドの幅方向の中心部以外の部分を押圧するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの正面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの平面図である。
【図4】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの支持棒、回動部材およびキャップ部の詳細構造を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタのシャーシ、軸受けプレートおよびキャップ部の断面図である。
【図6】図4に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材の他方側面を矢印C方向から見た正面図である。
【図7】図4に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材の一方側面を矢印D方向から見た正面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の全体構成を示した斜視図である。
【図9】図8に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の全体構成を示した正面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材と駆動ギアとの位置関係を示した断面図である。
【図11】図10に示した一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドと回動部材との位置関係を示した断面図である。
【図12】図8に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の回動部材と駆動ギアとの位置関係を示した断面図である。
【図13】図12に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合のサーマルヘッドと回動部材との位置関係を示した断面図である。
【図14】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図15】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図16】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタの押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。
【図17】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタの押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。
【図18】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタにおけるサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シャーシ
2 サーマルヘッド(印字ヘッド)
3 プラテンローラ
4 支持棒
5 回動部材
5a 一方側面
5b カムピン
5c 他方側面
5d 押圧部
5e 連結部
5g 規制部
6 キャップ部
7 押圧部材
8 駆動ギア(駆動機構)
8a カム溝
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特に、印字を行う印字ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドなどの印字ヘッドを備えた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、サーマルヘッド(印字ヘッド)と、サーマルヘッドがインクシートを介して押圧する中間転写媒体と、中間転写媒体に転写されたインクを用紙に転写する転写手段と、引っ張りコイルバネのバネ力によりサーマルヘッドを押圧するためのサーマルヘッド離接機構とを含む構造において、サーマルヘッド離接機構によりサーマルヘッドを押圧することによって、インクシートのインクを中間転写媒体に転写し、中間転写媒体に転写されたインクを転写手段の発熱および押圧により用紙に転写する熱記憶装置(画像形成装置)が開示されている。
【0004】
また、従来、画像形成装置の一例として、熱転写プリンタが知られている。図14および図15は、従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図16および図17は、押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。図18は、図14および図15に示した従来の熱転写プリンタにおけるサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための断面図である。図14〜図18を参照して、従来の一例による熱転写プリンタの構造について説明する。
【0005】
従来の熱転写プリンタは、図14および図15に示すように、金属製のシャーシ101と、印字を行うためのサーマルヘッド102と、プラテンローラ103と、金属製の支持棒104と、歯部を有する押さえ部材105と、歯部を有しない押さえ部材106と、押さえ部材105を回動させるための樹脂製の小径ギア部107aおよび大径ギア部107bを有する駆動ギア107と、ねじりコイルバネ108と、プラテンローラ軸受け部109aが一体的に形成された樹脂製の軸受けプレート109と、プラテンローラ軸受け部110aが一体的に形成された樹脂製の軸受けプレート110と、モータ111と、モータブラケット112と、中間ギア113とを備えている。
【0006】
また、図14および図15に示すように、シャーシ101のモータブラケット112が取り付けられている一方側面101aに対向する他方側面101bには、インクシートカートリッジ(図示せず)を取り付けるための挿入部101cが設けられている。また、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bには、支持棒104の両端部が回動可能に挿入される挿入穴101dが設けられている。また、サーマルヘッド102は、シャーシ101の一方側面101aおよび他方側面101bの内側に、支持軸102aを中心として回動可能に取り付けられている。また、ねじりコイルバネ108は、サーマルヘッド102の支持軸102aに取り付けられている。このねじりコイルバネ108は、サーマルヘッド102をプラテンローラ103から離間させる方向に付勢する機能を有する。また、サーマルヘッド102の下部に設けられたヘッド部102bは、プラテンローラ103に対向するように配置されている。また、サーマルヘッド102のヘッド部102bの両端部の上方には、押さえ部材105および106に押圧される曲げ加工部102cが形成されている。
【0007】
また、図16および図17に示すように、支持棒104の両端部近傍の挿入部104a
は、小判形状に加工されるとともに、押さえ部材105および106の小判形状の挿入孔105aおよび106aにそれぞれ空回りしないように挿入されている。また、支持棒104の挿入部104aの外側には、軸受け支持部104bが形成されている。また、軸受け支持部104bは、シャーシ101の挿入穴101dに回動可能に支持されている。また、押さえ部材105および106には、それぞれ、サーマルヘッド102の曲げ加工部102cを押圧する押圧バネ105bおよび106bが取り付けられている。また、図18に示すように、押さえ部材105の歯部は、駆動ギア107の小径ギア部107aに係合するように配置されている。また、小径ギア部107aは、大径ギア部107bと一体的に回転するように配置されている。また、駆動ギア107は、シャーシ101の一方側面101aに取り付けられるとともに、中間ギア113からの駆動力を押さえ部材105に伝達する。また、モータブラケット112に取り付けられているモータ111(図15参照)の駆動力は、中間ギア113(図18参照)を介して駆動ギア107の大径ギア部107bに伝達される。
【0008】
上記した従来の熱転写プリンタのサーマルヘッド102のプラテンローラ103に対する押さえ動作としては、図18に示すように、モータ111(図15参照)の駆動力が中間ギア113および駆動ギア107の大径ギア部107bおよび小径ギア部107aを介して押さえ部材105の歯部に伝達されることにより、押さえ部材105は、シャーシ101の挿入穴101dに支持されながら回動される。これにより、押さえ部材105の押圧バネ105bによって、シャーシ101の一方側面101a側の曲げ加工部102cが押圧される。また、押さえ部材105および106は、支持棒104にそれぞれ空回りしないように取り付けられているので、押さえ部材105が回動することによって、支持棒104および押さえ部材106は回動される。これにより、図15に示すように、押さえ部材106の押圧バネ106bによって、シャーシ101の他方側面101b側の曲げ加工部102cが押圧される。その結果、サーマルヘッド102のヘッド部102bは、ねじりコイルバネ108の付勢力に抗してプラテンローラ103に押圧される。
【特許文献1】特開平7−323587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図14〜図18に示した従来の熱転写プリンタでは、サーマルヘッド102を押圧するための部材を構成する押さえ部材105および106と支持棒104とを空回りしないように連結するために、金属製の支持棒104の両端部の挿入部104aに、小判形状を形成していた。このように金属製の支持棒104に小判形状を形成するためには、加工に時間がかかる切削加工を行う必要があるため、サーマルヘッド102を押圧するための部材の加工に時間がかかるという問題点があった。また、挿入部104aの外側の軸受け支持部104bの軸径は、挿入部104aの小判形状部分の幅以下の大きさにする必要があるため、軸受け支持部104bについても切削加工を行う必要があった。これによっても、部品の加工に時間がかかるという問題点があった。
【0010】
また、上記特許文献1で開示された構造では、明確に記載はされていないが、サーマルヘッド離接機構が1つの引っ張りコイルバネのバネ力のみにより、サーマルヘッドを押圧すると考えられるため、印画時に、サーマルヘッドを十分な押圧力で押圧するのは困難であるという問題点がある。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、印画時に十分大きな押圧力で印字ヘッドを押圧するとともに、印字ヘッドを押圧するための部材の加工時間を減少させることが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第1の局面による画像形成装置は、シャーシと、印字を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、印字ヘッドをプラテンローラに押圧する押圧機構と、押圧機構を駆動させるための駆動機構とを備えた画像形成装置において、押圧機構は、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の金属製の回動部材とを含み、金属製の回動部材の他方側面の押圧部は、2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧し、回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されており、回動部材の連結部は、2本の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含み、2本の支持棒の両端部が挿入され、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備え、駆動機構は、カム溝を含み、回動部材の一方側面は、カム溝に係合するカムピンを含み、回動部材は、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている。
【0013】
この第1の局面による画像形成装置では、上記のように、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、その2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材とを設けるとともに、回動部材の他方側面の押圧部を、2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧するように構成することによって、印画時に、2本の支持棒の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧することができる。また、回動部材の支持棒を2本設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい2本の支持棒によって、使用回数の増加による支持棒の塑性変形を有効に抑制することができる。また、金属製の回動部材の押圧部の先端部に、樹脂製の押圧部材を装着することによって、印字ヘッドを押圧する際に、樹脂製の押圧部材を印字ヘッドに接触させることができる。その結果、金属製の回動部材が印字ヘッドに接触することに起因して、印字ヘッドが損傷するのを抑制することができる。また、2本の支持棒の両端部に、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部を挿入することによって、2本の支持棒に取り付けられた回動部材をシャーシに対して回動させることができる。また、回動部材の連結部に、2本の支持棒の撓み量を規制する規制部を設けることによって、2本の支持棒が過度に撓まないようにすることができる。その結果、支持棒の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。また、駆動機構に、カム溝を設けるとともに、回動部材の一方側面に、カム溝に係合するカムピンを設けることによって、カム溝およびカムピンを用いて駆動機構の駆動力を回動部材に伝達することができる。その結果、容易に、回動部材の他方側面の押圧部を回動させることができる。また、回動部材の他方側面の押圧部を、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置することによって、回動部材の他方側面の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均等に印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドを、プラテンローラに対して左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。また、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材の一方側面を駆動機構により回動させるように構成することによって、回動部材の一方側面と他方側面との間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材を形成することができるので、回動部材を用いて印字ヘッドを押圧する機構を有する場合に、印字ヘッドを押圧するための部材である回動部材の加工時間を低減することができる。
【0014】
この発明の第2の局面による画像形成装置は、印字を行うための印字ヘッドと、印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、撓み変形可能な複数の支持棒と、複数の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材と、回動部材の一方側面を回動させるための駆動機構とを備え、回動部材の他方側面の押圧部は、複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧する。
【0015】
この第2の局面による画像形成装置では、上記のように、回動部材の他方側面の押圧部が、複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧するように構成することによって、印画時に、複数の支持棒の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、印字ヘッドをプラテンローラに対して押圧することができる。また、回動部材の支持棒を複数設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい複数の支持棒によって、使用回数の増加による支持棒の塑性変形を有効に抑制することができる。また、一方側面と、押圧部を有する他方側面と、一方側面および他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材の一方側面を駆動機構により回動させるように構成することによって、回動部材の一方側面と他方側面との間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材を形成することができるので、回動部材を用いて印字ヘッドを押圧する機構を有する場合に、印字ヘッドを押圧するための部材である回動部材の加工時間を低減することができる。
【0016】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材は金属製であり、回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されている。このように構成すれば、印字ヘッドを押圧する際に、樹脂製の押圧部材が印字ヘッドに接触する。これにより、金属製の回動部材が印字ヘッドに接触することに起因して、印字ヘッドが損傷するのを抑制することができる。
【0017】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、シャーシをさらに備え、複数の支持棒の両端部が挿入され、シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備える。このように構成すれば、キャップ部により、容易に、複数の支持棒に取り付けられた回動部材はシャーシに対して回動することができる。
【0018】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材の連結部は、複数の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含む。このように構成すれば、規制部により、複数の支持棒が過度に撓まないようにすることができる。これにより、支持棒の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。
【0019】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、駆動機構は、カム溝を含み、回動部材の一方側面は、カム溝に係合するカムピンを含む。このように構成すれば、カム溝およびカムピンを用いて駆動機構の駆動力を回動部材に伝達することができるので、容易に、回動部材の他方側面の押圧部を回動させることができる。
【0020】
上記第2の局面による画像形成装置において、好ましくは、回動部材の他方側面の押圧部は、印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている。このように構成すれば、回動部材の他方側面の押圧部により、印字ヘッドの幅方向に対して左右均等に印字ヘッドを押圧することができる。これにより、印字ヘッドを、プラテンローラに対し
て左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一例である熱転写プリンタを図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの正面図である。図3は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの上面図である。図4〜図7は、図1に示した本発明の一実施形態による熱転写プリンタの支持棒、回動部材およびキャップ部の詳細構造を示した図である。図8および図9は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドがプラテンローラを押圧した状態を示した図である。図1〜図9を参照して、本発明の一実施形態による熱転写プリンタの構造について説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置の一例である熱転写プリンタに本発明を適用した場合について説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による熱転写プリンタは、図1〜図3に示すように、金属製のシャーシ1と、印字を行うためのサーマルヘッド2と、プラテンローラ3と、撓み変形可能な金属製の2本の支持棒4と、金属製の回動部材5と、樹脂製のキャップ部6と、樹脂製の押圧部材7と、回動部材5を回動させるための駆動ギア8と、ねじりコイルバネ9と、樹脂製の軸受けプレート10および11と、モータ軸ギア部12aを有するモータ12と、金属製のモータブラケット13と、モータ軸ギア部12aと係合する大径ギア部14aおよび駆動ギア8と係合する小径ギア部14bを有する中間ギア14とを備えている。なお、サーマルヘッド2は、本発明の「印字ヘッド」の一例である。また、駆動ギア8は、本発明の「駆動機構」の一例である。
【0024】
また、図1〜図3に示すように、シャーシ1の一方側面1aには、上記したモータブラケット13が取り付けられている。一方側面1aに対向する他方側面1bには、インクシートカートリッジ(図示せず)を取り付けるための挿入部1cが設けられている。また、サーマルヘッド2は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの内側に、支持軸2aを中心として回動可能に取り付けられている。また、サーマルヘッド2の下部に設けられたヘッド部2bは、プラテンローラ3に対向するように配置されている。
【0025】
ここで、図4〜図7を参照して、本実施形態による金属製の2本の支持棒4、回動部材5およびキャップ部6の詳細構造を説明する。図4に示すように、回動部材5には、撓み変形可能な2本の支持棒4が取り付けられている。この2本の支持棒4は、金属製のピアノ線からなる。本実施形態では、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4を設け、1本あたりの断面積を減少させている。たとえば、支持棒を直径3.2mmの1本の支持棒で構成した
場合、この支持棒の断面積は、約8.04mm2となる。これに対して、本実施形態のよ
うに、支持棒を2本の支持棒4で構成した場合、2本の支持棒4の断面積の合計が、1本の支持棒で構成した場合の断面積約8.04mm2と同じになるように構成すると、1本
あたりの断面積Aは約4.02mm2と小さくなる。このとき、支持棒4の半径rは、A
=πr2の式より、約1.13mmとなり、支持棒4の直径(2r)は、約2.26mmとなる。この支持棒4を2本にした場合の支持棒4の直径(約2.26mm)は、支持棒を
1本により構成した場合の、支持棒の直径(3.2mm)に比べ小さくなる。このように
、支持棒を2本により構成した場合では、支持棒を1本により構成した場合と比べて、支持棒の断面積および直径を小さくすることが可能になる。
【0026】
また、本実施形態では、図4に示すように、金属製の回動部材5は、一方側面5aと、他方側面5cと、一方側面5aおよび他方側面5cとを連結する連結部5eとからなるコ
の字形状を有する。また、回動部材5の一方側面5aには、後述する駆動ギア8のカム溝8aに係合するカムピン5bが設けられている。また、他方側面5cには、サーマルヘッド2を押圧する押圧部5dが設けられている。また、回動部材5の一方側面5aおよび他方側面5cには、2本の支持棒4を挿入するために長穴状に形成された挿入孔5fが設けられている。また、回動部材5の連結部5eは、2本の支持棒4を囲むコの字形状の断面を有する。この連結部5eのコの字形状の内面部分は、2本の支持棒4の撓み量を規制する規制部5g(図4、図6および図7参照)を構成する。また、樹脂製のキャップ部6は、約6mmの直径を有するとともに、約2.26mmの直径を有する2本の支持棒4の両
端部を挿入するための長穴部6aを有する。
【0027】
また、図5に示すように、2本の支持棒4の両端部に取り付けられたキャップ部6は、シャーシ1の一方側面1aおよび他方側面1bの挿入穴1dに挿入されるとともに、シャーシ1に対して回動可能に支持されている。また、図4および図6に示すように、金属製の回動部材5の他方側面5cの押圧部5dの先端部には、樹脂製の押圧部材7が装着されている。また、図2に示すように、回動部材5の押圧部5dは、回動することによって、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)の中心近傍を押圧するように配置されている。
【0028】
また、本実施形態では、図6および図9に示すように、押圧部5dに装着された押圧部材7の先端部7aから回動部材5の他方側面5cの挿入孔5fの中心までの高さh1は、サーマルヘッド2を押圧する際に撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4が上方向に撓むように、押圧時のサーマルヘッド2の上面部2cからシャーシ1の挿入穴1dの中心までの高さh2(図9参照)よりも高さが大きく形成されている。また、本実施形態では、図1および図8に示すように、駆動ギア8には、回動部材5の一方側面5aと係合するカム溝8aが設けられている。
【0029】
また、図1、図2および図3に示すように、ねじりコイルバネ9は、サーマルヘッド2の支持軸2aに取り付けられている。このねじりコイルバネ9は、サーマルヘッド2をプラテンローラ3から離間させる方向に付勢する機能を有する。また、図1〜図3に示すように、軸受けプレート10は、シャーシ1の一方側面1aの外側面に取り付けられ、軸受けプレート11は、シャーシ1の他方側面1bの外側面に取り付けられている。また、図2および図5に示すように、軸受けプレート10には、キャップ部6が抜けるのを防止するための抜け止め部10aが設けられている。また、図1および図2に示すように、軸受けプレート11には、キャップ部6が抜けるのを防止するための抜け止め部11aが設けられている。また、図1〜図3に示すように、軸受けプレート10には、プラテンローラ3を回転可能に支持するプラテンローラ軸受け部10bが一体的に形成されている。また、図2および図3に示すように、軸受けプレート11には、プラテンローラ3を回転可能に支持するプラテンローラ軸受け部11bが一体的に形成されている。また、図3に示すように、モータブラケット13に取り付けられたモータ12の駆動力は、モータ軸ギア部12aから中間ギア14の大径ギア部14aおよび小径ギア部14bを介して駆動ギア8に伝達される。
【0030】
図10〜図13は、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための図である。次に、図1〜図3および図8〜図13を参照して、本発明の一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明する。まず、初期状態としては、図1、図2および図10〜図11に示すように、ねじりコイルバネ9の付勢力により、サーマルヘッド2は、プラテンローラ3から離間する方向に回動されているとともに、回動部材5は、押圧部材7が装着された押圧部5dがサーマルヘッド2の上面部2cを押圧しない位置に回動されている。この状態から、図3に示すように、モータ12の駆動力が、モータ軸ギア部1
2aから、中間ギア14の大径ギア部14aおよび小径ギア部14bと、駆動ギア8のカム溝8aに係合する回動部材5の一方側面5aのカムピン5bとを介して、回動部材5の一方側面5aに伝達される。これにより、回動部材5の一方側面5aは、図10に示した状態から図12に示した状態へと図10の矢印E方向に回動されるので、回動部材5の他方側面5cが、図11の矢印F方向に回動されて、図11に示した状態から図13に示した状態になる。これにより、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dに装着された押圧部材7は、図8、図9および図13に示すように、サーマルヘッド2の上面部2cに当接する。このとき、図9に示すように、押圧時の回動部材5の他方側面5cの押圧部5dに装着された押圧部材7の先端部7aから挿入孔5fの中心までの高さh1は、押圧時のサーマルヘッド2の上面部2cからシャーシ1の挿入穴1dの中心までの高さh2よりも高さが大きく形成されているので、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4は上方へ撓む。これにより、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4に曲げ応力が発生するので、その曲げ応力により、押圧部5dに装着された押圧部材7が、図2の矢印B方向にサーマルヘッド2の上面部2cに対して押圧される。その結果、サーマルヘッド2のヘッド部2bがプラテンローラ3に対して押圧される。
【0031】
本実施形態では、上記のように、撓み変形可能なピアノ線からなる2本の支持棒4と、その支持棒4に取り付けられ、駆動ギア8のカム溝8aに係合する一方側面5aと、押圧部5dを有する他方側面5cと、一方側面5aと他方側面5bcを連結する連結部5eとを含むコの字状の回動部材5を設けるとともに、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み変形による押圧力を用いてサーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧するように構成することによって、印画時に、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み変形による曲げ応力を利用した十分大きな押圧力で、サーマルヘッド2をプラテンローラ3に対して押圧することができる。
【0032】
また、本実施形態では、回動部材5の支持棒4を2本設けることによって、1本の支持棒を用いる場合と同等の撓み量で同等の押圧力を得るために必要な、支持棒の1本あたりの断面積を減少させることができる。このように、断面積が減少された断面積の小さい支持棒4は、断面積が大きい支持棒に比べてより撓みやすくなるので、支持棒4の許容撓み量を大きくすることができる。その結果、許容撓み量の大きい2本の支持棒4によって、使用回数の増加による支持棒4の塑性変形を有効に抑制することができる。
【0033】
また、本実施形態では、金属製の回動部材5の押圧部5dの先端部に、樹脂製の押圧部材7を装着することによって、サーマルヘッド2を押圧する際に、樹脂製の押圧部材7をサーマルヘッド2の上面部2cに接触させることができる。その結果、金属製の回動部材5がサーマルヘッド2に接触することに起因して、サーマルヘッド2が損傷するのを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、2本の支持棒4の両端部に、シャーシ1に対して回動可能に支持されるキャップ部6を挿入することによって、2本の支持棒4に取り付けられた回動部材5を容易にシャーシ1に対して回動させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、回動部材5の連結部5eに、ピアノ線からなる2本の支持棒4の撓み量を規制する規制部5gを設けることによって、2本の支持棒4が過度に撓まないようにすることができる。その結果、支持棒4の撓み過ぎに起因する塑性変形を抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、駆動ギア8に、カム溝8aを設けるとともに、回動部材5の一方側面5aに、カム溝8aに係合するカムピン5aを設けることによって、カム溝8aおよびカムピン5aを用いて駆動ギア8の駆動力を回動部材5に伝達することができる。そ
の結果、容易に、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを回動させることができる。
【0037】
また、本実施形態では、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dを、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)の中心部近傍を押圧するように配置することによって、回動部材5の他方側面5cの押圧部5dにより、サーマルヘッド2の幅方向(図2のA方向)に対して左右均等にサーマルヘッド2を押圧することができる。これにより、サーマルヘッド2を、プラテンローラ3に対して左右均等に押圧させることができるので、印画ムラを低減することができる。
【0038】
また、本実施形態では、一方側面5aと、押圧部5dを有する他方側面5cと、一方側面5aおよび他方側面5cを連結する連結部5eとを含むコの字形状の回動部材5の一方側面5aを駆動ギア8のカム溝8aにより回動させるように構成することによって、回動部材5の一方側面5aと他方側面5cとの間では空回りすることがないので、空回り防止のためのDカットや小判形状の加工を施す必要がない。これにより、加工に時間を要する切削加工を行うことなく、短時間で加工可能なプレス加工により、金属製の回動部材5を形成することができるので、回動部材5を用いてサーマルヘッド2を押圧する機構を有する場合に、サーマルヘッド2を押圧するための部材である回動部材5の加工時間を低減することができる。
【0039】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0040】
たとえば、上記実施形態では、画像形成装置の一例として熱転写プリンタを示したが、本発明はこれに限らず、印字ヘッドを有する画像形成装置であれば、熱転写プリンタ以外の他の画像形成装置にも適用可能である。
【0041】
また、上記実施形態では、2本の支持棒の撓み変形による曲げ応力を用いて、サーマルヘッドを押圧部により押圧する例を示したが、本発明はこれに限らず、3本以上の支持棒の撓み変形による曲げ応力を用いて、サーマルヘッドを押圧部により押圧するように構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、押圧部が、サーマルヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧する例を示したが、本発明はこれに限らず、押圧部が、サーマルヘッドの幅方向の中心部以外の部分を押圧するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの正面図である。
【図3】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの平面図である。
【図4】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの支持棒、回動部材およびキャップ部の詳細構造を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタのシャーシ、軸受けプレートおよびキャップ部の断面図である。
【図6】図4に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材の他方側面を矢印C方向から見た正面図である。
【図7】図4に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材の一方側面を矢印D方向から見た正面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の全体構成を示した斜視図である。
【図9】図8に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の全体構成を示した正面図である。
【図10】図1に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材と駆動ギアとの位置関係を示した断面図である。
【図11】図10に示した一実施形態による熱転写プリンタのサーマルヘッドと回動部材との位置関係を示した断面図である。
【図12】図8に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合の回動部材と駆動ギアとの位置関係を示した断面図である。
【図13】図12に示した一実施形態による熱転写プリンタの回動部材がサーマルヘッドを押圧した場合のサーマルヘッドと回動部材との位置関係を示した断面図である。
【図14】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図15】従来の一例による熱転写プリンタの全体構成を示した斜視図である。
【図16】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタの押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。
【図17】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタの押さえ部材と支持棒との取付構造を説明するための斜視図である。
【図18】図14および図15に示した従来の熱転写プリンタにおけるサーマルヘッドのプラテンローラに対する押さえ動作を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シャーシ
2 サーマルヘッド(印字ヘッド)
3 プラテンローラ
4 支持棒
5 回動部材
5a 一方側面
5b カムピン
5c 他方側面
5d 押圧部
5e 連結部
5g 規制部
6 キャップ部
7 押圧部材
8 駆動ギア(駆動機構)
8a カム溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと、印字を行うための印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、前記印字ヘッドを前記プラテンローラに押圧する押圧機構と、前記押圧機構を駆動させるための駆動機構とを備えた画像形成装置において、
前記押圧機構は、
撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、
前記2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、前記一方側面および前記他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の金属製の回動部材とを含み、
前記金属製の回動部材の他方側面の押圧部は、前記2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて前記印字ヘッドを前記プラテンローラに対して押圧し、
前記回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されており、
前記回動部材の連結部は、前記2本の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含み、
前記2本の支持棒の両端部が挿入され、前記シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備え、
前記駆動機構は、カム溝を含み、
前記回動部材の一方側面は、前記カム溝に係合するカムピンを含み、
前記回動部材は、前記印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている、画像形成装置。
【請求項2】
印字を行うための印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、
撓み変形可能な複数の支持棒と、
前記複数の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、前記一方側面および前記他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材と、
前記回動部材の一方側面を回動させるための駆動機構とを備え、
前記回動部材の他方側面の押圧部は、前記複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて前記印字ヘッドを前記プラテンローラに対して押圧する、画像形成装置。
【請求項3】
前記回動部材は、金属製であり、
前記回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シャーシをさらに備え、
前記複数の支持棒の両端部が挿入され、前記シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備える、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回動部材の連結部は、前記複数の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、カム溝を含み、
前記回動部材の一方側面は、前記カム溝に係合するカムピンを含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回動部材の他方側面の押圧部は、前記印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている、請求項2〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
シャーシと、印字を行うための印字ヘッドと、前記印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、前記印字ヘッドを前記プラテンローラに押圧する押圧機構と、前記押圧機構を駆動させるための駆動機構とを備えた画像形成装置において、
前記押圧機構は、
撓み変形可能な金属製の2本の支持棒と、
前記2本の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、前記一方側面および前記他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の金属製の回動部材とを含み、
前記金属製の回動部材の他方側面の押圧部は、前記2本の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて前記印字ヘッドを前記プラテンローラに対して押圧し、
前記回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されており、
前記回動部材の連結部は、前記2本の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含み、
前記2本の支持棒の両端部が挿入され、前記シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備え、
前記駆動機構は、カム溝を含み、
前記回動部材の一方側面は、前記カム溝に係合するカムピンを含み、
前記回動部材は、前記印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている、画像形成装置。
【請求項2】
印字を行うための印字ヘッドと、
前記印字ヘッドに対向するように配置されたプラテンローラと、
撓み変形可能な複数の支持棒と、
前記複数の支持棒に取り付けられ、一方側面と、押圧部が設けられた他方側面と、前記一方側面および前記他方側面を連結する連結部とを含むコの字形状の回動部材と、
前記回動部材の一方側面を回動させるための駆動機構とを備え、
前記回動部材の他方側面の押圧部は、前記複数の支持棒の撓み変形による押圧力を用いて前記印字ヘッドを前記プラテンローラに対して押圧する、画像形成装置。
【請求項3】
前記回動部材は、金属製であり、
前記回動部材の押圧部の先端部には、樹脂製の押圧部材が装着されている、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
シャーシをさらに備え、
前記複数の支持棒の両端部が挿入され、前記シャーシに対して回動可能に支持されるキャップ部をさらに備える、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記回動部材の連結部は、前記複数の支持棒の撓み量を規制するための規制部を含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記駆動機構は、カム溝を含み、
前記回動部材の一方側面は、前記カム溝に係合するカムピンを含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記回動部材の他方側面の押圧部は、前記印字ヘッドの幅方向の中心部近傍を押圧するように配置されている、請求項2〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−15686(P2006−15686A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197855(P2004−197855)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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