説明

画像形成装置

【課題】 背面露光方式の画像形成装置において、薄肉の背面露光用感光体の支持、駆動に簡易な構成を適用することによって画像形成装置の小型化を実現する。
【解決手段】 背面露光方式による画像形成装置Aにおいて、光透過性を有する基板上に感光体層が形成され、内包する露光源によって内面から露光される感光体フィルムと、感光体フィルムに内接し、感光体フィルムとの接点において接線方向に駆動する感光体駆動ローラと、感光体駆動ローラと平行な回転軸を有し、感光体フィルムの外側から感光体駆動ローラに向かって加圧される外部ローラ13と、を備え、感光体フィルムは、感光体駆動ローラの他には感光体フィルムの周方向応力を生じさせるローラを内包しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面露光方式を用いた画像形成装置に関し、特に背面露光方式における可撓性感光体の支持、駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
背面露光方式で用いられる感光体の形態は、ベルト、フィルム、スリーブ又はシリンダ等があるが、これらの形態を分類する明確な定義は無く、特に可撓性等の剛性面からの区分はできない。
【0003】
そこで、以下には、支持、駆動の構成の面から従来技術を分類して挙げる。
(1)4本のローラを平行六面体の平行な辺に置き、その間に感光体ベルトを張架し、内部に露光源を設けた構成(例えば、非特許文献1参照)。
(2)3本のローラを感光体シリンダの内径部に内接して支持し、この内1本を駆動して感光体を回転駆動する支持駆動構成(例えば、特許文献1参照)。
(3)感光体スリーブの両端部にベアリングを内接し、接点の近傍の回転方向上流下流の各1箇所に感光体スリーブに外接する加圧ローラを設けて支持する構成(例えば、特許文献2参照)。
(4)また、感光体に対して露光源を精度よく位置決めする手段として露光源の発光面上面に設けた透明フレキシブル基板を感光体内周に接触させて位置を決めるもの(例えば、特許文献3参照)。
(5)スペーサコロを介してレンズアレイと露光源からなる露光ユニットを感光体内径に対して位置決めをする構成(例えば、特許文献4参照)。
【非特許文献1】佐々木 幸雄「光背面記録法」、電子写真学会誌 第31巻 第4号 1992年、p.31
【特許文献1】特開平2−141773号公報(第7頁、図1)
【特許文献2】特開平5−265285号公報
【特許文献3】特開平5−241399号公報(第5頁、図1)
【特許文献4】特開平6−3904号公報(第5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背面露光用感光体の支持、駆動における従来の構成は、感光体を小型化することにおいて不適当であった。
【0005】
それというのも、感光体ベルトはベルトとして駆動軸と1つ以上の従動軸間に張架支持されるものとして扱われ、一方、シリンダは一般的な正面露光の剛性のあるシリンダと同様に軸受による両端支持が採用されていたことに起因する。
【0006】
より具体的に述べると、感光体ベルト構成ではベルト内に駆動、従動軸の他に露光源を内包するスペースが必要であり、さらにベルト張架のための機構、ベルト走行安定機構などが必要となる。一方、感光体シリンダは剛性維持の点から感光体基板の厚みを維持しつつ、内部に露光源のスペースを確保する必要から、感光体を小径化することが難しい。また、感光体基板の厚み増加は露光時の光学性能の低下を招く。
【0007】
本発明の目的は、背面露光方式の画像形成装置において、背面露光用感光体の支持、駆動に簡易な構成を適用することによって画像形成装置の小型化を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明にあっては、背面露光方式を用いる画像形成装置の小型化を目的として、以下の構成を採用する。
【0009】
(構成1)
背面露光方式による画像形成装置において、
光透過性を有する基板上に感光体層が形成され、内包する露光源によって内面から露光される感光体と、
前記感光体に内接し、前記感光体との接点において接線方向に駆動する駆動ローラと、
前記駆動ローラと平行な回転軸を有し、前記感光体の外側から前記駆動ローラに向かって加圧される対向ローラと、
を備え、
前記感光体は、前記駆動ローラの他には前記感光体の周方向応力を生じさせるローラを内包しないことを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
(作用1)
背面露光方式の画像形成装置における感光体の支持、駆動構成の概念図を図9に示す。図9(a)は本発明における感光体の支持、駆動構成の概念図である。ここで、感光体の一例である感光体スリーブ100は透明な樹脂フィルムの基板上に感光層が形成された可撓性の円筒形のスリーブであり、画像形成装置本体に対して空間的に固定されたスリーブガイド103の外周面に沿って、その内周面を沿わせる様に支持されている。また、スリーブガイド103はその長手方向(図における紙面の法線方向)の両端に感光体スリーブ100のこの長手方向への運動を規制するガイドフランジが設けられている。駆動ローラ104は芯金の周囲に弾性のウレタンゴムを被覆したローラであり、その外径を感光体スリーブ100の内周部に内接するように設けられている。対向ローラ105は駆動ローラ104と平行な回転軸を有し、図9(a)に示すように感光体スリーブ100を挟んでその外側より駆動ローラ104の軸芯方向に加圧される。この状態で、外部の駆動手段によって駆動ローラ104が回転駆動されると、対向ローラ105による加圧作用により駆動ローラ104と感光体スリーブ100内面での摩擦力が発生し、感光体スリーブ100が駆動ローラ104との接点において接線方向速度を持つ結果、感光体スリーブ100はスリーブガイド103と摺動しつつこれに沿って回転運動を行う。
【0011】
以上述べた構成の特徴をまとめると、本構成の最大の特徴は、感光体スリーブ100の周方向応力(張力)を発生させる手段が駆動ローラ104と感光体スリーブ100の接点1ヶ所のみである点にある。
【0012】
この特徴は、従来の感光体の支持、駆動の構成例と以下のように比較することで明確化される。
【0013】
例えば、従来の感光体ベルトの支持、駆動構成では、図9(b)に見られるように、感光体ベルト115のゆるみ側の張力維持のために、テンションローラ112を付設した構成や、図9(c)に見られるように、従動ローラ111の軸を可動構成として、感光体ベルト115を駆動し、従動ローラ111との軸間隔が広がる方向に付勢することによって感光体ベルト115に張力を与えるような張力維持機構116が必要であった。また、図9(d)に示す構成では、感光体スリーブ125を支持するために3本のローラ120,121a,121bを用いている。ここで、感光体スリーブ125の剛性が十分で、半径方向の変形が生じない条件下であれば、軸位置固定の3本のローラで支持可能であるが、本構成のように可撓性の感光体スリーブを用いる場合には、図9(d)のように内径部から半径方向に感光体スリーブ125を拡張して支持する必要があり、結果として3本のローラ120,121a,121bによって周方向応力を発生させている。
【0014】
このように、本発明の構成によれば、背面露光方式の画像形成装置における感光体の支持、駆動構成が図9(b)〜図9(d)に示すような従来技術に比して大幅に簡素化され、この結果、画像形成装置の小型化が実現できる。
【0015】
(構成2)
前記対向ローラは、転写ローラであり、画像形成装置の転写動作時には、転写ニップにおいて、前記駆動ローラと前記転写ローラ間に前記感光体と記録媒体がこの順で挟持されることにより、前記駆動ローラと前記感光体の接触圧が維持されることを特徴とする構成1に記載の画像形成装置である。
【0016】
(作用2)
構成1における対向ローラとして、画像形成装置に従来から用いられている転写ローラを利用する。転写ローラはその転写ニップにおいて画像形成時には記録媒体、感光体を介して駆動ローラに圧接駆動される。本構成では、対向ローラとして特別な構成を付加することなく従来から用いられている構成を流用することができる。
【0017】
(構成3)
前記対向ローラは、中間転写体を用いた画像形成装置における1次転写ローラであり、画像形成装置の転写動作時には、1次転写ニップにおいて、前記駆動ローラと前記1次転写ローラ間に前記感光体と前記中間転写体がこの順で挟持されることにより、前記駆動ローラと前記感光体の接触圧が維持されることを特徴とする構成1に記載の画像形成装置である。
【0018】
(作用3)
構成1における対向ローラとして、中間転写体を有する画像形成装置に従来から用いられている1次転写ローラを利用する。1次転写ローラはその転写ニップにおいて画像形成時には中間転写体、感光体を介して駆動ローラに圧接駆動される。本構成では、対向ローラとして特別な構成を付加することなく従来から用いられている構成を流用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、背面露光方式の画像形成装置における感光体の支持、駆動構成が大幅に簡素化される結果、画像形成装置の小型化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明の最良な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0021】
図1〜図6を用いて実施例1に係る画像形成装置について説明する。実施例1の画像形成装置Aは、図1に示すもので、背面露光方式による画像形成を行う作像ユニット2を内部に有するものである。
【0022】
まず、図2〜図6を用いて作像ユニット2について説明する。本発明の構成を具体化した画像形成装置Aにおける作像ユニット2の断面を図2に示し、外観を図5に示す。
【0023】
作像ユニット2は、帯電・クリーニングユニット40、感光体ユニット20及び現像ユニット30から構成されている。
【0024】
ここで、帯電・クリーニングユニット40は、感光体としての感光体フィルム21表面の残留トナーの除去と、帯電によって感光体フィルム21上に一様な表面電荷密度分布を形成するものである。感光体フィルム21のクリーニングにはクリーニングブレード42の先端に設けられたウレタンゴムブレードチップを感光体フィルム21の運動方向に対してカウンタ方向に加圧接触させて感光体フィルム21上のトナーを機械的に掻き取る。また、帯電は芯金の周囲に導電性ゴムを被覆した帯電ローラ43を感光体フィルム21に加圧接触させて感光体フィルム21に従動回転させ、感光体フィルム21の導電層に対して芯金部分を所定の電圧差にすることで、ゴム部表面と感光層表面間の微小空隙に放電を発生させて感光体フィルム21表面を帯電する。
【0025】
感光体ユニット20は、円筒形状のフィルムガイド22の外周に薄肉スリーブ形状の感光体フィルム21を迎合させて支持している。感光体フィルム21の内径とフィルムガイド22の外径には所定のクリアランスがあり、感光体フィルム21はフィルムガイド22の外周面に沿って周回運動を行うことができる。
【0026】
駆動ローラとしての感光体駆動ローラ25は、芯金25aの周囲にウレタンゴムを被覆したローラであり、芯金25aが回転駆動されると、感光体フィルム21の内面との摩擦力により感光体フィルム21に接線方向の駆動力を伝達する。
【0027】
露光源としてのLEDアレイ23は、ガラスエポキシ基板上に、潜像1画素について1つのLED素子をマトリクス状に配置したものであり、LED素子の駆動回路、画像データ転送用のシフトレジスタ、I/O制御回路も同一基板上に形成している。マイクロレンズアレイ24は、LEDアレイ23の出力光を感光体フィルム21背面から感光層に結像するためのレンズである。
【0028】
図2には、本実施例において、φ30mmの感光体フィルム21内に、これら支持体、駆動構成、露光構成を内包するための構成を示した。ここでは、支持体であるフィルムガイド22を、22aと22bの2分割構成とすることによって、駆動構成(感光体駆動ローラ25等)、露光構成(LEDアレイ23やマイクロレンズアレイ24等)の内蔵を可能とした。
【0029】
図3には、本実施例における作像ユニット2の露光部の詳細と、感光体フィルム21の構成を示す。感光体フィルム21は、透明樹脂製シームレススリーブ70を基層として、この表層に透明導電層71を設けた上に、下引層(UCL)72、電荷キャリア発生層(CGL)73、キャリア移動層(CTL)74の3層構成の感光体を形成したものである。本実施例においては、基層として厚さ100μm、外径30mmの透明ポリイミドの成型シームレススリーブを使用し、導電膜としてITOを蒸着し、感光層は円筒形の特殊コータによりコーティングして形成した。なお、本実施例における作像ユニット2においては感光体フィルム21の透明導電層71は、非図示の接点により、電位0(基準電位)に維持されている。以後の説明では、電位の値を感光体フィルム21の透明導電層71を基準電位であるとして示す。
【0030】
図2における現像ユニット30は、基本的に従来の2成分現像方式を踏襲している。スクリュA35、スクリュB36は、現像剤の循環スクリュであり、この攪拌、循環作用により、トナーの帯電、現像剤中のトナー/キャリア比の一様化、現像スリーブ33への現像剤搬送および現像スリーブ33からの現像剤回収を行う。現像スリーブ33は、マグネットローラを内包した金属性スリーブであり、その表層に帯電制御、現像剤搬送性制御のための機能性コーティングがほどこされている。スクリュA35より現像スリーブ33へ移送された現像剤は、マグネットローラの磁場の作用で現像スリーブ33の外周上に付着
し、規制部材34と現像スリーブ33間のクリアランス部でその搬送付着量が規制された後、感光体フィルム21との最近接部位である現像ニップに送られる。ここで、感光体フィルム21上の潜像に対して選択的なトナーの移動、即ち現像が行われた後、未現像剤およびキャリアは、現像スリーブ33の回転と共に現像容器へ戻り、マグネットローラの反発極近傍の磁場作用によって現像スリーブ33表面より剥離してトナー循環側へ戻される。本実施例における現像ユニット30構成の特徴の1つは、2体構成の現像器である。従来、感光体と現像スリーブ間の現像間隙を維持する手段として、現像器そのものをスペーサコロ等の間隙規定部材を介して感光体に加圧接触する構成が採られたが、本実施例では、背面露光の採用により、露光用の光路によるクリーニング部と現像部の分割が不要になる特徴を活かし、現像ユニット30を感光体ユニット20及び帯電・クリーニングユニット40と同様に空間的に固定とし、現像スリーブ33、規制部材34を含む現像ヘッド部31のみをスクリュA35の軸回りに揺動可動として、スペーサコロ(非図示)を介して感光体フィルム21に接触する構成を採っている。ここで、コイルスプリング47は、この加圧接触のための付勢部材であり、シール37は、現像固定部32と現像ヘッド部31の隙間からの現像剤の漏れを防ぐためのシール部材である。
【0031】
以下、上記作像ユニット2を用いたトナー像の作像過程を順に説明する。図2において、感光体フィルム21は、これに内接した感光体駆動ローラ25からの摩擦駆動により、フィルムガイド22の外周に沿って150mm/secの接線速度で、図中時計回りに周回駆動される。
【0032】
帯電・クリーニングユニット40のクリーニング部では、クリーニングブレード42の先端のウレタンゴムチップにより、感光体フィルム21上の残留トナーが機械的に掻き落とされる。ここで、回収されたトナーは、クリーニング容器の下部に設けられた開口部から現像固定部32の容器内に落下して現像剤循環経路に入り、再利用される。
【0033】
帯電・クリーニングユニット40の1次帯電部では、感光体フィルム21に加圧接触してこれと従動する帯電ローラ43の芯金に帯電電位として−1.2kVの直流電圧を印加することにより感光体フィルム21上の表面と帯電ローラ43の被覆導電性ゴム間の微小空隙での連続的な放電が発生する結果、感光体フィルム21の表層に約−600Vの表面電位を有する一様な電荷密度分布を形成する。
【0034】
露光部では、画像形成装置内の画像データ処理部で展開された点灯ドット、階調情報を含む画像データを作像ユニット2の非駆動側に設けられたデータバスからLEDアレイ23に転送し、このデータに基づいたドット位置、輝度で各画素の一対一対応したLED素子を感光体フィルム21の接線速度に同期して点灯させる。本実施例では、300dpi、即ち約84.7μm間隔で主走査方向1列に配置したLED素子を副走査方向に84.7μm間隔で2列設け、2つの列のLED位置を主走査方向に半ピッチずらした配置を採ることで、600dpiの解像度を実現している。また、点灯方式は、点灯電流の平滑化の目的で、この2列を1組とした画像形成周期をさらに4分割したストローブ周期で時分割点灯する方式を採っている。図3に示す様に、LEDアレイ23より出力された光は、マイクロレンズアレイ24により感光体フィルム21内側より透明樹脂製シームレススリーブ70、透明導電層71、下引層(UCL)72を透過して電荷キャリア発生層(CGL)73に結像する。この際、電子−キャリア対が発生し、一様に負に帯電している感光体フィルム21の表面のつくる電場の作用によって、キャリアはキャリア移動層(CTL)74を移動して表面電荷と打ち消し合う。この結果、感光体フィルム21の表面には、画像データに対応した表面電荷密度分布、即ち潜像が形成される。
【0035】
現像部位では、感光体フィルム21と現像スリーブ33表面の間隔が、クリアランス維持手段によって0.5±0.10に維持されており、この現像スリーブ33の図中反時計
の回転に伴って規制部材34の作用で層厚規制された現像剤が現像部位に移送される。ここで、たとえば非露光部の感光体表面電位(VD)=−600V,露光部の感光体表面電位(VL)=−200Vのとき、現像スリーブ33に現像バイアスとしてV=−400Vを印加すると、現像コントラスト(VC)=200V、戻り電位(VBC)=200Vのトナーによる選択的な可視像、つまり現像が行われる。なお、本実施例では外乱に対する安定した現像を行うために、上記現像バイアスに振幅1.8kVpp、周波数4kHz、Duty50%の矩形波を乗せている。
【0036】
転写部92においては、記録媒体としての記録紙90が感光体フィルム21と転写ローラ10間で挟持搬送される。この際、転写ローラ軸に約1.5kVの転写電圧を印加して転写電場を形成すると、電場から受けるトナーの静電的作用によって感光体フィルム21上のトナー像は記録紙90に転写される。
【0037】
次に、本実施例における作像ユニット2の駆動方法について説明する。図5に示すように作像ユニット2は、ユニットの片側端部に設けられたステッピングモータ51により駆動される。ステッピングモータ51への電力供給及び制御は、画像形成装置Aのモータドライバ(不図示)によって行われている。ステッピングモータ51から入力された駆動力は、ギアユニット50により感光体フィルム21の駆動、現像スリーブ33の駆動、現像剤搬送の駆動へと伝達される。
【0038】
図6はギアユニット50の断面図であり、一連のギア列による駆動力の伝達構成を示している。ここで、ステッピングモータ51に結合しているピニオン53からの駆動力は、アイドラ52、OPC駆動ギア56を介して感光体駆動ローラ25の芯金25aに伝達される。一方、ピニオン53は、同時に現像スリーブ33に設けられたスリーブギア54に噛合っており、さらにスリーブギア54、スクリュAギア55、スクリュBギア36aがこの順に噛合っており、現像スリーブ33、スクリュA35、スクリュB36の全てに駆動伝達される。
【0039】
次に、図1を用いて画像形成装置Aでの画像形成される記録紙90の流れを説明する。図1は、作像ユニット2を用いた単色の画像形成装置Aの断面を示したものである。
【0040】
画像形成装置Aの下部カセット内に積載された記録紙90は、画像形成動作の開始と共に給紙機構3の作用により表層の1枚のみ分離され、レジスト/搬送機構4で搬送とトナー像形成の同期を取った後、作像ユニット2と転写ローラ10で形成された転写部92へ搬送される。
【0041】
転写部92には、作像ユニット2の感光体フィルム21に加圧接触する転写ローラ10が配設されている。転写ローラ10は、外径部に導電性ゴムを有する大径ローラであり、転写電場を形成するための電圧を印加されると、記録紙90を静電分極の作用により吸着搬送する。
【0042】
そして、転写部92では、転写ローラ10と作像ユニット2の感光体フィルム21とが加圧するニップに挟み込んで、転写ローラ10に吸着した記録紙90を搬送する。このニップ近傍では、感光体フィルム21の基準電位に対して感光体フィルム21上のトナー像のトナーの帯電電荷と逆極性の転写電場が生じているため、感光体フィルム21上のトナー像のトナーは、記録紙90へ転移する。
【0043】
その後、トナーの転移によりテナー像が転写された記録紙90は、定着ユニット6に搬送される。定着ユニット6では、トナー像が記録紙90に加熱定着される。
【0044】
トナー像の定着後の記録紙90は、排紙機構7によって画像形成装置Aの機外へ排出される。
【0045】
ここで、本実施例では、作像ユニット2の感光体駆動ローラ25の対向ローラとして外部ローラ13を配設している。外部ローラ13は、アルミニウム製の中空ローラであり、その軸回りに回転可能なように、両端を軸受支持されている。この軸受は、感光体駆動ローラ25の軸心方向へ向かって可動であり、外部ローラ13は、不図示の付勢手段によって感光体フィルム21を挟んで感光体駆動ローラ25へ合力約4.9Nで加圧されている。
【0046】
以上の実施例1では、外部ローラ13が感光体フィルム21を挟んでその感光体フィルム21の外側より感光体駆動ローラ25の軸芯方向に加圧される。この状態で、ステッピングモータ51によって感光体駆動ローラ25が回転駆動されると、外部ローラ13による加圧作用により感光体駆動ローラ25と感光体フィルム21内面での摩擦力が発生し、感光体フィルム21が感光体駆動ローラ25との接点において接線方向速度を持つ結果、感光体フィルム21はフィルムガイド22と摺動しつつこれに沿って回転運動を行う。
【0047】
このように、本構成では、感光体フィルム21の周方向応力(張力)を発生させる手段が感光体駆動ローラ25と感光体フィルム21の接点1ヶ所のみである。これは、本構成において、感光体フィルム21は、感光体駆動ローラ25の他には感光体フィルム21の周方向応力を生じさせるローラを内包しない構成であるからである。
【0048】
したがって、感光体フィルム21の支持、駆動構成が、従来技術に比して大幅に簡素化され、この結果、画像形成装置Aの小型化が実現できる。
【実施例2】
【0049】
以下に、図7を用いて実施例2に係る画像形成装置Bについて説明する。図7は、実施例2に係る作像ユニット2を用いた単色の画像形成装置Bの断面を示したものである。なお、本実施例では上記実施例にて説明した事項については同符号を付して説明を割愛する。
【0050】
画像形成装置B上部に積載された記録紙90は、画像形成動作の開始と共に給紙機構3の作用により表層の1枚のみ分離されて画像形成装置B内へ搬送され、レジスト/搬送機構4で搬送とトナー像形成の同期を取った後、作像ユニット2と転写ローラ10で形成された転写部でその図中下面にトナー像を転写される。
【0051】
その後、定着ユニット6でトナー像を記録紙90に加熱定着し、排紙機構7によって画像形成装置Bの機外へ排出される。
【0052】
ここで、本実施例では、作像ユニット2の感光体駆動ローラ25の対向ローラとして、転写ローラ10を用いている。転写ローラ10は、従来の画像形成装置で感光体に加圧接触する構成で用いられており、本実施例では、転写ローラ10を感光体駆動ローラ25の対向ローラとして流用し、画像形成装置Bの転写動作時には、転写ニップにおいて、感光体駆動ローラ25と転写ローラ10間に感光体フィルム21と記録紙90がこの順で挟持されることにより、感光体駆動ローラ25と感光体フィルム21の接触圧が維持されている。このため、従来の画像形成装置に新しい構成を付加することなく、小型な作像ユニット2を適用して、画像形成装置Bを構成することができる。
【実施例3】
【0053】
以下に、図8を用いて実施例3に係る画像形成装置Cについて説明する。図8は、実施
例3に係る作像ユニット2を用いたフルカラーの画像形成装置Cの断面を示したものである。なお、本実施例では上記実施例にて説明した事項については同符号を付して説明を割愛する。
【0054】
画像形成装置C下部のカセット内に積載された記録紙90は、画像形成動作の開始と共に給紙機構3の作用により表層の1枚のみ分離されて画像形成装置C内へ搬送され、レジスト/搬送機構4で搬送とトナー像形成の同期を取った後、中間転写ベルト5aと2次転写ローラ8で形成された2次転写部で、その図中左面にトナー像を転写される。
【0055】
その後、定着ユニット6でトナー像を記録紙90に加熱定着し、排紙機構7によって画像形成装置Cの機外へ排出される。
【0056】
ここで、作像ユニット2a,2b,2c,2d(総称して作像ユニット2ともいう)は、順に黒、シアン、マゼンダ、黄の各色トナー像の形成を行う上記実施例1,2に用いられるものと同様な作像ユニット2であり、各作像ユニット2の上部に配置された1次転写ローラ11a,11b,11c,11d(総称して1次転写ローラ11ともいう)は、各作像ユニット2の感光体駆動ローラ25と中間転写ベルト5aを介して対向位置にあり、感光体駆動ローラ25を加圧している。
【0057】
1次転写動作は、この各作像ユニット2の感光体駆動ローラ25と1次転写ローラ11で形成される転写ニップで行われ、1次転写ローラ11に印加される転写電圧による電場の作用の結果、感光体フィルム21上のトナー像は、中間転写ベルト5a上に転写される。
【0058】
各色の作像ユニット2によって形成されたトナー像は、中間転写ベルト5a上で重ね合わされて、フルカラーのトナー像が形成され、2次転写部で中間転写ベルト5aから記録紙90へ転写される。
【0059】
本実施例は、作像ユニット2a〜2dの感光体駆動ローラ25の対向ローラとして、1次転写ローラ11a〜11dを用いている。1次転写ローラ11は、従来のフルカラー画像形成装置で感光体に加圧接触する構成で用いられており、本実施例では、1次転写ローラ11を感光体駆動ローラ25の対向ローラとして流用し、画像形成装置Cの転写動作時には、1次転写ニップにおいて、感光体駆動ローラ25と1次転写ローラ11間に感光体フィルム21と中間転写ベルト5aがこの順で挟持されることにより、感光体駆動ローラ25と感光体フィルム21の接触圧が維持されている。このため、従来のフルカラー画像形成装置に新しい構成を付加することなく、小型な作像ユニット2を適用して、画像形成装置Cを構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成装置の構成を説明する断面図。
【図2】本発明の実施例1に係る作像ユニットの構成を説明する断面図。
【図3】本発明の実施例1に係る感光体ユニットの構成を説明する構成図。
【図4】本発明の実施例1に係る露光方法と感光体フィルムの構成を説明する詳細図。
【図5】本発明の実施例1に係る作像ユニットの構成を説明する外観図。
【図6】本発明の実施例1に係る作像ユニットの駆動構成を説明する断面図。
【図7】本発明の実施例2に係る画像形成装置の構成を説明する断面図。
【図8】本発明の実施例3に係る画像形成装置の構成を説明する断面図。
【図9】感光体の支持駆動方法を説明する図。
【符号の説明】
【0061】
2,2a,2b,2c,2d 作像ユニット
3 給紙機構
4 レジスト/搬送機構
5a 中間転写ベルト
6 定着ユニット
7 排紙機構
8 2次転写ローラ
10 転写ローラ
11a,11b,11c,11d 1次転写ローラ
13 外部ローラ
21 感光体フィルム
23 LEDアレイ
24 マイクロレンズアレイ
25 感光体駆動ローラ
90 記録紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面露光方式による画像形成装置において、
光透過性を有する基板上に感光体層が形成され、内包する露光源によって内面から露光される感光体と、
前記感光体に内接し、前記感光体との接点において接線方向に駆動する駆動ローラと、
前記駆動ローラと平行な回転軸を有し、前記感光体の外側から前記駆動ローラに向かって加圧される対向ローラと、
を備え、
前記感光体は、前記駆動ローラの他には前記感光体の周方向応力を生じさせるローラを内包しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記対向ローラは、転写ローラであり、画像形成装置の転写動作時には、転写ニップにおいて、前記駆動ローラと前記転写ローラ間に前記感光体と記録媒体がこの順で挟持されることにより、前記駆動ローラと前記感光体の接触圧が維持されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記対向ローラは、中間転写体を用いた画像形成装置における1次転写ローラであり、画像形成装置の転写動作時には、1次転写ニップにおいて、前記駆動ローラと前記1次転写ローラ間に前記感光体と前記中間転写体がこの順で挟持されることにより、前記駆動ローラと前記感光体の接触圧が維持されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−171266(P2006−171266A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362454(P2004−362454)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】