画像形成装置
【課題】従来の構成では、回復動作時に記録媒体搬送機構を記録媒体搬送方向すなわち水平方向に移動しなければならない。従って、記録媒体搬送方向に記録媒体搬送機構と同等以上のスペースが必要となり装置が大型化となり、高価な構成となってしまう。
【解決手段】本発明は、ノズルをライン状に配置したノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッド9〜12と、インクジェット記録ヘッドに平行に固定配置されインクを供給するインク供給経路13〜16と、インクジェット記録ヘッドに対向配置され記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部上方且つ各インク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、ノズルプレートと接触しメンテナンスを行うメンテナンス機構を有し、インク供給経路の下にメンテナンス機構を格納する小型で安価な画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ノズルをライン状に配置したノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッド9〜12と、インクジェット記録ヘッドに平行に固定配置されインクを供給するインク供給経路13〜16と、インクジェット記録ヘッドに対向配置され記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部上方且つ各インク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、ノズルプレートと接触しメンテナンスを行うメンテナンス機構を有し、インク供給経路の下にメンテナンス機構を格納する小型で安価な画像形成装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス機構を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット方式の画像形成装置として、記録媒体搬送手段により搬送された際に、記録ヘッドに設けられた複数のノズルから例えば記録紙やOHP用紙等の記録媒体に対してインクを吐出することで、高速且つ高画質の画像を形成することが公知である。
【0003】
このような画像形成装置において、記録媒体を搬送する際に記録媒体同士の接触により発生する紙粉等のゴミが記録ヘッドのインク吐出口に付着して目詰まりを起こしてしまう。また、インク吐出口に気泡が侵入し、インクの表面張力を崩したりすることがある。これらが原因でインクの吐出不良や、インク吐出方向が曲がったりすることがある。
【0004】
そこで従来から、インクジェット方式といった記録方式と共に上述した原因を速やかに解消するためのメンテナンス機構は不可欠とされてきた。
記録方式には、記録ヘッド及び記録媒体の双方を移動させながら記録する方式と、記録ヘッドは例えばラインヘッド上に固定され、記録媒体のみを搬送させ記録するラインヘッド方式がある。
【0005】
前者においては、記録ヘッドは小さく、メンテナンス機構も小さい。
しかしながら、後者のラインヘッド方式において、記録ヘッドは記録媒体幅の長さが必要であり、また複数色の記録ヘッドを備える場合はメンテナンス機構が大型となってしまう。更に記録ヘッドに対向する位置には、記録媒体を搬送させるプラテンを設けており、記録時にはメンテナンス機構を記録ヘッドの対向位置から退避させる必要がある。
【0006】
これらの退避構成として、メンテナンス機構を複数色の記録ヘッドを並べた記録ヘッド群に対して記録媒体搬送方向に直交する方向に退避させる構成や、記録時はプラテンの下方にメンテナンス機構を退避させておき、メンテナンス時にはプラテンを水平方向に移動させる構成等が知られている。
【0007】
例えば、インクジェットプリンタにおける記録ヘッドの退避構成の従来技術が、特許文献1に開示されている。図18に示すインクジェットプリンタは、記録媒体を搬送方向に搬送する記録媒体搬送機構120と、その記録媒体搬送機構120によって搬送された図示しない記録媒体上にインク吐出口からインクを吐出して所望の画像を形成するためのインクジェットヘッド112と、インクジェットヘッド112に対して回復動作を行うメンテナンスユニット140と、その回復動作時、記録媒体搬送機構120を鉛直方向上方へ向かってインク吐出口と対向する空間から退避させる退避機構と、回復動作を行うためにインクジェットヘッド112またはメンテナンスユニット140の少なくとも一方を回復動作位置へ移動させる移動機構と、を備えている。
【特許文献1】特開2005−022182公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した構成では、図18(a)乃至(d)に示すように回復動作時に記録媒体搬送機構120を記録媒体搬送方向すなわち水平方向に移動しなければならない。従って、記録媒体搬送方向に記録媒体搬送機構120と同等以上のスペースが必要となり装置が大型化し、高価な構成となってしまう。
【0009】
よって本発明では、上記事情に鑑みてなされたものであり、インクジェット記録ヘッドにインクを供給するインク供給経路の下にメンテナンス機構を格納する構成により小型化を実現する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、記録媒体に対してインクを吐出し画像を形成するために、複数のノズルをライン状に配置したノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドと、インクジェット記録ヘッドのノズルの配列方向に対して平行に固定配置され、インクをノズルに供給するインク供給経路と、インクジェット記録ヘッドのノズルのインク吐出口に対向配置され、記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部上方且つインク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、ノズルプレートと接触しメンテナンスを行うメンテナンス機構と、を具備することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドにインクを供給するインク供給経路の下方にメンテナンス機構を格納することで、メンテナンス機構を備えた小型の画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図15を参照して本発明に係る第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態における画像形成装置の概略側面図である。図2は、記録ヘッドのメンテナンス時におけるプラテン部の移動動作の概略を示す図である。
以下の各実施形態の説明において、図中、記録媒体60の搬送方向をX軸方向又は副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向をY軸方向又は主走査方向又は記録媒体2の幅方向としている。X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向又は上下方向とする。
【0013】
まず、図1、図2及び図3を参照して画像形成装置の構成について説明する。
本装置は、記録媒体60を下流へ供給する給紙部と、給紙部の下流に配置され、記録媒体60を吸着搬送するベルトプラテンユニット52である記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部に対向配置し吐出口から記録媒体60へインクを吐出して画像を形成する記録部と、記録媒体60を排出する排紙部と、から構成される。
【0014】
給紙部は、記録媒体60を収容する給紙台1と、給紙台1に収容された記録媒体60と接触し1枚ごとに取り出すピックアップローラ2と、ピックアップローラ2の搬送下流に配置され副走査方向に対して位置合わせを行うことで搬送方向を補正し、長手方向中心軸がY軸方向に延在するように配置されているレジストローラ3により構成される。
【0015】
記録媒体搬送部は、駆動ローラ18、従動ローラ70及びテンションローラ71に掛け渡されてベルトコンベアを形成し、図示しない複数の小径の孔を備えた無端ベルトである搬送ベルト50を有している。
駆動ローラ18及び従動ローラ70の間に設けられたプラテン19は、記録媒体搬送面に配置され図示しない多数の開口した小径の孔を介して搬送された記録媒体60を搬送ベルト50上に負圧吸引するための複数の吸着ファン20を設けている。吸着ファン20は、図示しない搬送ベルト50上に設けられた開口した多数の小径及びプラテン19の記録媒体搬送面に対して配置された多数の開口した小径の孔を通じて負圧吸引する。これにより給紙部から搬送された記録媒体60を搬送ベルト50上に吸着しつつ、駆動ローラ18の回転による搬送ベルト50の移動に伴い搬送される。
【0016】
記録媒体搬送部に対向配置する記録部は、複数色のインク、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等を充填するKインクボトル5、Cインクボトル6、Mインクボトル7、Yインクボトル8と、これらボトルに図示しないチューブを介して接続したKサブタンク23、Cサブタンク24、Mサブタンク25、Yサブタンク26と、これらタンクからインクを供給するインク供給経路13〜16と、インク供給経路13〜16から各色インクを吐出して画像形成を行う複数のヘッド9〜12を有している。(詳細は後述する。)
記録媒体搬送部下流に配置された排紙部は、記録された記録媒体を搬送する排紙ローラ51と、ストッカー28を有している。
【0017】
次に図3を参照して本実施形態のヘッド配置について説明する。
本実施形態は、搬送される記録媒体60に対して少なくとも画像記録時に配置位置を移動せず固定されたラインヘッド型を採用している。各色において6個のヘッドは、それぞれの端部がオーバーラップするように千鳥状に配列されている。ヘッド9〜12は、ヘッド保持部材46によりインク供給経路13〜16と固定されており、ヘッド9〜12の装着は、作業性を考慮してそれぞれインク供給経路13〜16の上方から脱着できるようになっている。
【0018】
また、インク供給経路13〜16がヘッドの上方に配置されると各ヘッド脱着時の作業性が悪くなるばかりでなく、ヘッド9〜12を外した際にインク供給経路13〜16からインクが垂れてきて各ヘッドに付着し各ヘッドを汚してしまう虞がある。そのため千鳥配列されたヘッド9〜12の記録媒体搬送方向に対して片方向である下流側のみにインク供給経路13〜16が配置されている。本実施形態ではインク供給経路を下流側としているが上流側に配置しても良い。
【0019】
インクは、インク供給経路13〜16からジョイント45を経由して各ヘッドに供給される。上述のようにインク供給経路13〜16は、ヘッド9〜12の上方ではなく、各ヘッドのY軸方向に沿って片側にのみ配置することで、高さ(Z軸)方向の長さを短くできる。
【0020】
次に図4及び5を参照して本実施形態のメンテナンス構成について詳細に説明する。図4は、吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33の配置構成例を示す図である。図5は、吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33周辺の拡大断面図及び上面図である。
【0021】
本実施形態は、千鳥配列された6つのヘッドにより構成されたラインヘッド構成をメンテナンスできるように吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33も千鳥配置になっている。吸引ノズル兼キャップ32は、空気取り入れ溝38と空気吸引溝39を経路65,66によって連通している。吸引ノズル兼キャップ32は、矢印E方向から空気を取り込む空気取り込み口41と、インクを矢印D方向へ吸引する空気吸引口42と、を配置している。
更に、空気取り入れ溝38を図示しない遮断機構にて経路を閉じ、空気吸引溝39から吸引することでもインクを吸い取ることができる構成となっている。
また、キャッピング時には空気取り入れ溝38と空気吸引溝39を図示しない遮断機構にて経路を閉じる。
【0022】
インクパン31は、合計24個の吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33を取り囲むような壁から構成されている。この壁の内部に溜まった廃インクは、廃液口37を通り廃棄される。インクパン31は、メンテナンスプレート17に一体成型されているため、リブの機能を兼ね備えメンテナンスプレート17の剛性を強めている。更にインクパン31の間には、メンテナンスプレート17の剛性アップのためにリブ68を配置している。
【0023】
また、吸引ノズル兼キャップ32はヘッドに密着できるようにバネ34によって支持されている。ワイプブレード33は、支持体40によって保持されている。また、ワイプブレード33の前後にはワイプブレード33で拭き取られたインクが支持体40の方向へ流れる溝67が配置されている。
上述した機構は、全て1枚のメンテナンスプレート17上に構成されている。またヘッドがメンテナンスプレート17に当接しないように各ヘッドに対応したスリット35を配置している。
メンテナンス時、吸引ノズル兼キャップ32において、空気吸引口42に吸い込まれたインクは、空気吸引溝39を通り廃棄される。
【0024】
次に記録媒体の搬送方法及び画像形成方法について説明する。ピックアップローラ2から給紙台1にある記録媒体60を送り出し、レジストローラ3で搬送姿勢を整えてから搬送ベルト50により吸着搬送される。搬送ベルト50には、図示しない無数の穴が開口され、プラテン19を経由して吸着ファン20により記録媒体60を吸引吸着する。更に記録媒体60を吸引吸着した状態で駆動ローラ18により搬送ベルト50を回転させることにより記録媒体60を搬送する。
【0025】
本実施形態ではK、C、M及びYの4色のヘッドをライン状に配置している。各ヘッドは、記録媒体搬送方向に対して直交して配置されて、1つの記録ヘッドである。Kヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12のインク吐出口の下方(前方)を記録媒体60が搬送されると、各ヘッドからインクを吐出して記録媒体上に着弾させることで画像形成する。その後、排紙ローラ51を通りストッカー28に収納される。
【0026】
次に画像形成の際の各ヘッドへのインク供給方法を説明する。インクは、Kインクボトル5、Cインクボトル6、Mインクボトル7、Yインクボトル8と接続した図示しないチューブからKサブタンク23、Cサブタンク24、Mサブタンク25、Yサブタンク26を経由する。次にインクは、図示しないチューブを経由してKインク供給経路13、Cインク供給経路14、Mインク供給経路15、Yインク供給経路16を通りKヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12へと供給される。本実施形態においては、各ヘッドの直近に位置し、各ヘッドにインクを供給するインクの流路である部分をインク供給経路と称する。
【0027】
次に図6乃至図9を参照してメンテナンス動作の説明をする。
図6は、記録媒体60に画像を形成している状態を示す。メンテナンスプレート17は、複数の支持体43によって支持され、記録媒体搬送部であるベルトプラテンユニット52の上方に配置される。この時、後述する吸引機能、ワイプ機能及びキャップ機能を有する吸引ノズル兼キャップ32、及びワイプブレード33から構成されるメンテナンス機構44は、ヘッド9〜12に近接しているインク供給経路13〜16の下方のスペースに配置される。
【0028】
次に、図7に示すようにベルトプラテンユニット52が矢印A方向へ下降するに伴い、支持体43で支持されたメンテナンスプレート17も同様に下降する。
更に、図8に示すようにベルトプラテンユニット52上方に配置されたメンテナンスプレート17に設けられたメンテナンス機構44が、駆動源61により矢印B方向に移動し、各ヘッドの直下まで移動する。
【0029】
最後に、図9に示すようにベルトプラテンユニット52が、矢印C方向へ上昇することによって、メンテナンス機構44はヘッド9〜12をメンテナンスできる配置となる。
【0030】
実際のメンテナンス動作は、加圧源21によって各ヘッドを加圧パージしノズル面62からインクを押し出した後、ワイプブレード33によりノズル面62に付着した異物及びインクを拭き取る。次に吸引ノズル兼キャップ32を各ヘッドのノズル面62またはノズル面62表面に固定されたマスクプレート47に当接させ、負圧源27により空気吸引口42からノズル面62及びマスクプレート47に残ったインクを吸い取る。その後、空気取り入れ溝38及び空気吸引溝39の経路を遮断することによりキャッピングする。
【0031】
次に図10及び11を参照してワイピング動作について詳細に説明する。図10及び図11は、ワイピング動作を示した斜視図及び側面図である。
メンテナンス機構44のワイプブレード33は、ベルトプラテンユニット52の上昇によりノズル面62に当接する。ワイプブレード33は、矢印F方向(Y軸方向)に移動しヘッド9と吸引ノズル兼キャップ32の間を通りヘッド9のノズル面62を拭き取る。また、拭き取られたインクは、ワイプブレード前後にある支持体40の方向へ流れる溝67を伝ってインクパン31に流れる。
【0032】
次に図12を参照して吸引ノズル兼キャップ32がヘッド9に当接した際を説明する。図12は、吸引ノズル兼キャップ32がヘッド9に当接した状態を示した断面図である。
ベルトプラテンユニット52の上昇によりメンテナンス機構44の吸引ノズル兼キャップ32は、矢印G方向に移動しヘッド9のノズル面62に配置してあるマスクプレート47に当接する。この時、ノズル面62は、吸引ノズル兼キャップ32と離間している。吸引動作時には、空気吸引用経路66からキャップ内の空気を吸引し、空気取り入れ経路65から空気を取り込む。キャッピング時には空気取り入れ溝38と空気吸引溝39の経路を遮断することでノズル近傍を密閉する。
【0033】
また、図13、図14及び図15は、メンテナンスプレート17周辺の側面図である。
図13は、記録時の記録ヘッド9とメンテナンスプレート17における配置の側面拡大図である。メンテナンスプレート17の底面は、ヘッド9の底面よりも下方の位置、すなわちベルトプラテンに近い位置に設定される。本実施形態ではヘッド9〜12のノズル面62から例えば0.5mm程度下方になるようにギャップ59を有している。
【0034】
メンテナンスプレート17は、底面全体が記録媒体ガイドになっている。記録媒体60が、矢印方向に搬送されつつ記録されている際、メンテナンスプレート17の底面は、ヘッド9〜12よりも記録媒体60に近接している。よって図14に示すようにベルトプラテンユニット52から記録媒体60が浮き上がって矢印方向に搬送されてもノズル面62に記録媒体60が接触することがない。
【0035】
このようにベルトプラテン52によって搬送された記録媒体60は、ヘッド9のノズル面62に当接することがないため、常にノズル面に記録媒体60の接触による傷が発生するのを未然に防ぐことができ吐出不良や吐出曲がりのない良好な状態に保つことができる。
【0036】
また、図15に示すようにスリット35周辺のメンテナンスプレート17の底面において、記録媒体60の矢印で示した搬送方向において上流側のギャップ63をノズル面62から0.7mm程度とし、下流側のギャップ64を0.5mm程度とすることでギャップ64に記録媒体60が引っ掛かりにくくなるため通紙性が向上する。なお、本実施形態はギャップ59を0.5mmとしているが、0.1mm以上のギャップがあれば効果がある。
【0037】
以上のように本実施形態は、吸引機能、ワイピング機能及びキャップ機能を有する吸引ノズル兼キャップ32と、ワイプブレード33から構成されるメンテナンス機構44を1枚のメンテナンスプレート17上に配置し、メンテナンス機構44をヘッド9〜12にインクを供給する近接したインク供給経路13〜16の下に格納するような構成とすることで、装置全体を小型化でき、安価な画像形成装置を提供することができる。
【0038】
また、1枚のメンテナンスプレート17上にインクパン31を一体成形とすることでインクパン31が、リブの機能を果たし高い剛性が得られる。更に吸引、ワイプ及びキャップ機能を装着することでメンテナンス機構52の厚みを減らすことができ、吐出不良や吐出曲がりのない良好な画質を得ることができる。
【0039】
また、メンテナンスプレート17の移動をベルトプラテンユニット52に連動させて移動させるため上下移動に専用の駆動源が不必要となり小型で安価な画像形成装置を提供することができる。
【0040】
更にメンテナンスプレート17の底面全体が記録媒体ガイドを兼ねることによって、装置の大型化せずに各ヘッドに傷をつけず良好な状態に保つことができる。
【0041】
次に、図16及び図17を参照して本発明に係る第2の実施形態について詳細に説明する。前述した第1の実施形態と同等の部位には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。図16は、ラインヘッド群の上面図である。図17はメンテナンス機構の断面図及び上面図である。
【0042】
本実施形態における構成は、ヘッド固定部材兼放熱材46に4色のラインヘッド群を配置している。また、各ヘッドは、記録媒体幅方向に長いため流路の圧力損失を考慮してヘッドの横にインクを供給するインク供給経路13〜16を配置し、更にヘッドの吐出特性を均一にするため、各ヘッドへのインク供給のために6つのジョイント45を設けている。
【0043】
また、図17に示すように各ラインヘッドが1つのヘッドで構成されているのに対応して吸引ノズル兼キャップ57も一つで構成されている。またメンテナンスプレート17にヘッドが当接しないようにスリット58が設けられている。
【0044】
各ラインヘッドは、記録媒体幅に渡り各々1つのヘッドで構成されており、Kヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12の下を記録媒体60が搬送されて通過する際に、各ヘッドからインクを吐出して記録媒体上に着弾させることで記録する。
【0045】
本実施形態のように1つのラインヘッドで1色を記録するタイプの画像形成装置においてもインク供給経路13〜16の下にメンテナンス機構を格納することによって、装置全体を小型化でき、安価な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における画像形成装置の概略側面図である。
【図2】記録ヘッドのメンテナンス時におけるプラテン部の移動動作について説明するための図である。
【図3】ヘッドの配置構成を示す図である。
【図4】吸引ノズル兼キャップ及びワイプブレードの配置構成を示す図である。
【図5】吸引ノズル兼キャップ及びワイプブレード周辺の拡大断面図及び上面図である。
【図6】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図7】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図8】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図9】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図10】ワイピング動作について説明するための斜視図である。
【図11】ワイピング動作について説明するための側面図である。
【図12】吸引ノズル兼キャップがヘッドに当接した状態を示した断面図である。
【図13】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図14】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図15】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図16】本発明に係る第2の実施形態における画像形成装置のラインヘッド群の上面図である。
【図17】本実施形態におけるメンテナンス機構の断面図及び上面図である。
【図18】従来における画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1:給紙台、2:ピックアップローラ、3:レジストローラ、5,6,7,8:インクボトル、9,10,11,12:ヘッド、13,14,15,16:インク供給経路、17:メンテナンスプレート、18:駆動ローラ、19:プラテン、20:吸着ファン、21:加圧源、23,24,25,26:サブタンク、27:負圧源、28:ストッカー、31:インクパン、32,57:吸引ノズル兼キャップ、33:ワイプブレード、34:バネ、35,58:スリット、37:廃液口、38:空気取り入れ溝、39:空気吸引溝、40:支持体、41:空気取り込み口、42:空気吸引口、43:支持体、44:メンテナンス機構、45,58:スリット、46:廃液口、47:マスクプレート、50:搬送ベルト、51:排紙ローラ、52:ベルトプラテンユニット、59,63,64:ギャップ、60:記録媒体、61:駆動源、62:ノズル面、65,66:経路、67:溝、68:リブ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンス機構を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット方式の画像形成装置として、記録媒体搬送手段により搬送された際に、記録ヘッドに設けられた複数のノズルから例えば記録紙やOHP用紙等の記録媒体に対してインクを吐出することで、高速且つ高画質の画像を形成することが公知である。
【0003】
このような画像形成装置において、記録媒体を搬送する際に記録媒体同士の接触により発生する紙粉等のゴミが記録ヘッドのインク吐出口に付着して目詰まりを起こしてしまう。また、インク吐出口に気泡が侵入し、インクの表面張力を崩したりすることがある。これらが原因でインクの吐出不良や、インク吐出方向が曲がったりすることがある。
【0004】
そこで従来から、インクジェット方式といった記録方式と共に上述した原因を速やかに解消するためのメンテナンス機構は不可欠とされてきた。
記録方式には、記録ヘッド及び記録媒体の双方を移動させながら記録する方式と、記録ヘッドは例えばラインヘッド上に固定され、記録媒体のみを搬送させ記録するラインヘッド方式がある。
【0005】
前者においては、記録ヘッドは小さく、メンテナンス機構も小さい。
しかしながら、後者のラインヘッド方式において、記録ヘッドは記録媒体幅の長さが必要であり、また複数色の記録ヘッドを備える場合はメンテナンス機構が大型となってしまう。更に記録ヘッドに対向する位置には、記録媒体を搬送させるプラテンを設けており、記録時にはメンテナンス機構を記録ヘッドの対向位置から退避させる必要がある。
【0006】
これらの退避構成として、メンテナンス機構を複数色の記録ヘッドを並べた記録ヘッド群に対して記録媒体搬送方向に直交する方向に退避させる構成や、記録時はプラテンの下方にメンテナンス機構を退避させておき、メンテナンス時にはプラテンを水平方向に移動させる構成等が知られている。
【0007】
例えば、インクジェットプリンタにおける記録ヘッドの退避構成の従来技術が、特許文献1に開示されている。図18に示すインクジェットプリンタは、記録媒体を搬送方向に搬送する記録媒体搬送機構120と、その記録媒体搬送機構120によって搬送された図示しない記録媒体上にインク吐出口からインクを吐出して所望の画像を形成するためのインクジェットヘッド112と、インクジェットヘッド112に対して回復動作を行うメンテナンスユニット140と、その回復動作時、記録媒体搬送機構120を鉛直方向上方へ向かってインク吐出口と対向する空間から退避させる退避機構と、回復動作を行うためにインクジェットヘッド112またはメンテナンスユニット140の少なくとも一方を回復動作位置へ移動させる移動機構と、を備えている。
【特許文献1】特開2005−022182公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した構成では、図18(a)乃至(d)に示すように回復動作時に記録媒体搬送機構120を記録媒体搬送方向すなわち水平方向に移動しなければならない。従って、記録媒体搬送方向に記録媒体搬送機構120と同等以上のスペースが必要となり装置が大型化し、高価な構成となってしまう。
【0009】
よって本発明では、上記事情に鑑みてなされたものであり、インクジェット記録ヘッドにインクを供給するインク供給経路の下にメンテナンス機構を格納する構成により小型化を実現する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、記録媒体に対してインクを吐出し画像を形成するために、複数のノズルをライン状に配置したノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドと、インクジェット記録ヘッドのノズルの配列方向に対して平行に固定配置され、インクをノズルに供給するインク供給経路と、インクジェット記録ヘッドのノズルのインク吐出口に対向配置され、記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部上方且つインク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、ノズルプレートと接触しメンテナンスを行うメンテナンス機構と、を具備することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インクジェット記録ヘッドにインクを供給するインク供給経路の下方にメンテナンス機構を格納することで、メンテナンス機構を備えた小型の画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1乃至図15を参照して本発明に係る第1の実施形態について説明する。図1は本実施形態における画像形成装置の概略側面図である。図2は、記録ヘッドのメンテナンス時におけるプラテン部の移動動作の概略を示す図である。
以下の各実施形態の説明において、図中、記録媒体60の搬送方向をX軸方向又は副走査方向とし、この搬送方向と直交する方向をY軸方向又は主走査方向又は記録媒体2の幅方向としている。X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向又は上下方向とする。
【0013】
まず、図1、図2及び図3を参照して画像形成装置の構成について説明する。
本装置は、記録媒体60を下流へ供給する給紙部と、給紙部の下流に配置され、記録媒体60を吸着搬送するベルトプラテンユニット52である記録媒体搬送部と、記録媒体搬送部に対向配置し吐出口から記録媒体60へインクを吐出して画像を形成する記録部と、記録媒体60を排出する排紙部と、から構成される。
【0014】
給紙部は、記録媒体60を収容する給紙台1と、給紙台1に収容された記録媒体60と接触し1枚ごとに取り出すピックアップローラ2と、ピックアップローラ2の搬送下流に配置され副走査方向に対して位置合わせを行うことで搬送方向を補正し、長手方向中心軸がY軸方向に延在するように配置されているレジストローラ3により構成される。
【0015】
記録媒体搬送部は、駆動ローラ18、従動ローラ70及びテンションローラ71に掛け渡されてベルトコンベアを形成し、図示しない複数の小径の孔を備えた無端ベルトである搬送ベルト50を有している。
駆動ローラ18及び従動ローラ70の間に設けられたプラテン19は、記録媒体搬送面に配置され図示しない多数の開口した小径の孔を介して搬送された記録媒体60を搬送ベルト50上に負圧吸引するための複数の吸着ファン20を設けている。吸着ファン20は、図示しない搬送ベルト50上に設けられた開口した多数の小径及びプラテン19の記録媒体搬送面に対して配置された多数の開口した小径の孔を通じて負圧吸引する。これにより給紙部から搬送された記録媒体60を搬送ベルト50上に吸着しつつ、駆動ローラ18の回転による搬送ベルト50の移動に伴い搬送される。
【0016】
記録媒体搬送部に対向配置する記録部は、複数色のインク、例えばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等を充填するKインクボトル5、Cインクボトル6、Mインクボトル7、Yインクボトル8と、これらボトルに図示しないチューブを介して接続したKサブタンク23、Cサブタンク24、Mサブタンク25、Yサブタンク26と、これらタンクからインクを供給するインク供給経路13〜16と、インク供給経路13〜16から各色インクを吐出して画像形成を行う複数のヘッド9〜12を有している。(詳細は後述する。)
記録媒体搬送部下流に配置された排紙部は、記録された記録媒体を搬送する排紙ローラ51と、ストッカー28を有している。
【0017】
次に図3を参照して本実施形態のヘッド配置について説明する。
本実施形態は、搬送される記録媒体60に対して少なくとも画像記録時に配置位置を移動せず固定されたラインヘッド型を採用している。各色において6個のヘッドは、それぞれの端部がオーバーラップするように千鳥状に配列されている。ヘッド9〜12は、ヘッド保持部材46によりインク供給経路13〜16と固定されており、ヘッド9〜12の装着は、作業性を考慮してそれぞれインク供給経路13〜16の上方から脱着できるようになっている。
【0018】
また、インク供給経路13〜16がヘッドの上方に配置されると各ヘッド脱着時の作業性が悪くなるばかりでなく、ヘッド9〜12を外した際にインク供給経路13〜16からインクが垂れてきて各ヘッドに付着し各ヘッドを汚してしまう虞がある。そのため千鳥配列されたヘッド9〜12の記録媒体搬送方向に対して片方向である下流側のみにインク供給経路13〜16が配置されている。本実施形態ではインク供給経路を下流側としているが上流側に配置しても良い。
【0019】
インクは、インク供給経路13〜16からジョイント45を経由して各ヘッドに供給される。上述のようにインク供給経路13〜16は、ヘッド9〜12の上方ではなく、各ヘッドのY軸方向に沿って片側にのみ配置することで、高さ(Z軸)方向の長さを短くできる。
【0020】
次に図4及び5を参照して本実施形態のメンテナンス構成について詳細に説明する。図4は、吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33の配置構成例を示す図である。図5は、吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33周辺の拡大断面図及び上面図である。
【0021】
本実施形態は、千鳥配列された6つのヘッドにより構成されたラインヘッド構成をメンテナンスできるように吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33も千鳥配置になっている。吸引ノズル兼キャップ32は、空気取り入れ溝38と空気吸引溝39を経路65,66によって連通している。吸引ノズル兼キャップ32は、矢印E方向から空気を取り込む空気取り込み口41と、インクを矢印D方向へ吸引する空気吸引口42と、を配置している。
更に、空気取り入れ溝38を図示しない遮断機構にて経路を閉じ、空気吸引溝39から吸引することでもインクを吸い取ることができる構成となっている。
また、キャッピング時には空気取り入れ溝38と空気吸引溝39を図示しない遮断機構にて経路を閉じる。
【0022】
インクパン31は、合計24個の吸引ノズル兼キャップ32及びワイプブレード33を取り囲むような壁から構成されている。この壁の内部に溜まった廃インクは、廃液口37を通り廃棄される。インクパン31は、メンテナンスプレート17に一体成型されているため、リブの機能を兼ね備えメンテナンスプレート17の剛性を強めている。更にインクパン31の間には、メンテナンスプレート17の剛性アップのためにリブ68を配置している。
【0023】
また、吸引ノズル兼キャップ32はヘッドに密着できるようにバネ34によって支持されている。ワイプブレード33は、支持体40によって保持されている。また、ワイプブレード33の前後にはワイプブレード33で拭き取られたインクが支持体40の方向へ流れる溝67が配置されている。
上述した機構は、全て1枚のメンテナンスプレート17上に構成されている。またヘッドがメンテナンスプレート17に当接しないように各ヘッドに対応したスリット35を配置している。
メンテナンス時、吸引ノズル兼キャップ32において、空気吸引口42に吸い込まれたインクは、空気吸引溝39を通り廃棄される。
【0024】
次に記録媒体の搬送方法及び画像形成方法について説明する。ピックアップローラ2から給紙台1にある記録媒体60を送り出し、レジストローラ3で搬送姿勢を整えてから搬送ベルト50により吸着搬送される。搬送ベルト50には、図示しない無数の穴が開口され、プラテン19を経由して吸着ファン20により記録媒体60を吸引吸着する。更に記録媒体60を吸引吸着した状態で駆動ローラ18により搬送ベルト50を回転させることにより記録媒体60を搬送する。
【0025】
本実施形態ではK、C、M及びYの4色のヘッドをライン状に配置している。各ヘッドは、記録媒体搬送方向に対して直交して配置されて、1つの記録ヘッドである。Kヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12のインク吐出口の下方(前方)を記録媒体60が搬送されると、各ヘッドからインクを吐出して記録媒体上に着弾させることで画像形成する。その後、排紙ローラ51を通りストッカー28に収納される。
【0026】
次に画像形成の際の各ヘッドへのインク供給方法を説明する。インクは、Kインクボトル5、Cインクボトル6、Mインクボトル7、Yインクボトル8と接続した図示しないチューブからKサブタンク23、Cサブタンク24、Mサブタンク25、Yサブタンク26を経由する。次にインクは、図示しないチューブを経由してKインク供給経路13、Cインク供給経路14、Mインク供給経路15、Yインク供給経路16を通りKヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12へと供給される。本実施形態においては、各ヘッドの直近に位置し、各ヘッドにインクを供給するインクの流路である部分をインク供給経路と称する。
【0027】
次に図6乃至図9を参照してメンテナンス動作の説明をする。
図6は、記録媒体60に画像を形成している状態を示す。メンテナンスプレート17は、複数の支持体43によって支持され、記録媒体搬送部であるベルトプラテンユニット52の上方に配置される。この時、後述する吸引機能、ワイプ機能及びキャップ機能を有する吸引ノズル兼キャップ32、及びワイプブレード33から構成されるメンテナンス機構44は、ヘッド9〜12に近接しているインク供給経路13〜16の下方のスペースに配置される。
【0028】
次に、図7に示すようにベルトプラテンユニット52が矢印A方向へ下降するに伴い、支持体43で支持されたメンテナンスプレート17も同様に下降する。
更に、図8に示すようにベルトプラテンユニット52上方に配置されたメンテナンスプレート17に設けられたメンテナンス機構44が、駆動源61により矢印B方向に移動し、各ヘッドの直下まで移動する。
【0029】
最後に、図9に示すようにベルトプラテンユニット52が、矢印C方向へ上昇することによって、メンテナンス機構44はヘッド9〜12をメンテナンスできる配置となる。
【0030】
実際のメンテナンス動作は、加圧源21によって各ヘッドを加圧パージしノズル面62からインクを押し出した後、ワイプブレード33によりノズル面62に付着した異物及びインクを拭き取る。次に吸引ノズル兼キャップ32を各ヘッドのノズル面62またはノズル面62表面に固定されたマスクプレート47に当接させ、負圧源27により空気吸引口42からノズル面62及びマスクプレート47に残ったインクを吸い取る。その後、空気取り入れ溝38及び空気吸引溝39の経路を遮断することによりキャッピングする。
【0031】
次に図10及び11を参照してワイピング動作について詳細に説明する。図10及び図11は、ワイピング動作を示した斜視図及び側面図である。
メンテナンス機構44のワイプブレード33は、ベルトプラテンユニット52の上昇によりノズル面62に当接する。ワイプブレード33は、矢印F方向(Y軸方向)に移動しヘッド9と吸引ノズル兼キャップ32の間を通りヘッド9のノズル面62を拭き取る。また、拭き取られたインクは、ワイプブレード前後にある支持体40の方向へ流れる溝67を伝ってインクパン31に流れる。
【0032】
次に図12を参照して吸引ノズル兼キャップ32がヘッド9に当接した際を説明する。図12は、吸引ノズル兼キャップ32がヘッド9に当接した状態を示した断面図である。
ベルトプラテンユニット52の上昇によりメンテナンス機構44の吸引ノズル兼キャップ32は、矢印G方向に移動しヘッド9のノズル面62に配置してあるマスクプレート47に当接する。この時、ノズル面62は、吸引ノズル兼キャップ32と離間している。吸引動作時には、空気吸引用経路66からキャップ内の空気を吸引し、空気取り入れ経路65から空気を取り込む。キャッピング時には空気取り入れ溝38と空気吸引溝39の経路を遮断することでノズル近傍を密閉する。
【0033】
また、図13、図14及び図15は、メンテナンスプレート17周辺の側面図である。
図13は、記録時の記録ヘッド9とメンテナンスプレート17における配置の側面拡大図である。メンテナンスプレート17の底面は、ヘッド9の底面よりも下方の位置、すなわちベルトプラテンに近い位置に設定される。本実施形態ではヘッド9〜12のノズル面62から例えば0.5mm程度下方になるようにギャップ59を有している。
【0034】
メンテナンスプレート17は、底面全体が記録媒体ガイドになっている。記録媒体60が、矢印方向に搬送されつつ記録されている際、メンテナンスプレート17の底面は、ヘッド9〜12よりも記録媒体60に近接している。よって図14に示すようにベルトプラテンユニット52から記録媒体60が浮き上がって矢印方向に搬送されてもノズル面62に記録媒体60が接触することがない。
【0035】
このようにベルトプラテン52によって搬送された記録媒体60は、ヘッド9のノズル面62に当接することがないため、常にノズル面に記録媒体60の接触による傷が発生するのを未然に防ぐことができ吐出不良や吐出曲がりのない良好な状態に保つことができる。
【0036】
また、図15に示すようにスリット35周辺のメンテナンスプレート17の底面において、記録媒体60の矢印で示した搬送方向において上流側のギャップ63をノズル面62から0.7mm程度とし、下流側のギャップ64を0.5mm程度とすることでギャップ64に記録媒体60が引っ掛かりにくくなるため通紙性が向上する。なお、本実施形態はギャップ59を0.5mmとしているが、0.1mm以上のギャップがあれば効果がある。
【0037】
以上のように本実施形態は、吸引機能、ワイピング機能及びキャップ機能を有する吸引ノズル兼キャップ32と、ワイプブレード33から構成されるメンテナンス機構44を1枚のメンテナンスプレート17上に配置し、メンテナンス機構44をヘッド9〜12にインクを供給する近接したインク供給経路13〜16の下に格納するような構成とすることで、装置全体を小型化でき、安価な画像形成装置を提供することができる。
【0038】
また、1枚のメンテナンスプレート17上にインクパン31を一体成形とすることでインクパン31が、リブの機能を果たし高い剛性が得られる。更に吸引、ワイプ及びキャップ機能を装着することでメンテナンス機構52の厚みを減らすことができ、吐出不良や吐出曲がりのない良好な画質を得ることができる。
【0039】
また、メンテナンスプレート17の移動をベルトプラテンユニット52に連動させて移動させるため上下移動に専用の駆動源が不必要となり小型で安価な画像形成装置を提供することができる。
【0040】
更にメンテナンスプレート17の底面全体が記録媒体ガイドを兼ねることによって、装置の大型化せずに各ヘッドに傷をつけず良好な状態に保つことができる。
【0041】
次に、図16及び図17を参照して本発明に係る第2の実施形態について詳細に説明する。前述した第1の実施形態と同等の部位には同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。図16は、ラインヘッド群の上面図である。図17はメンテナンス機構の断面図及び上面図である。
【0042】
本実施形態における構成は、ヘッド固定部材兼放熱材46に4色のラインヘッド群を配置している。また、各ヘッドは、記録媒体幅方向に長いため流路の圧力損失を考慮してヘッドの横にインクを供給するインク供給経路13〜16を配置し、更にヘッドの吐出特性を均一にするため、各ヘッドへのインク供給のために6つのジョイント45を設けている。
【0043】
また、図17に示すように各ラインヘッドが1つのヘッドで構成されているのに対応して吸引ノズル兼キャップ57も一つで構成されている。またメンテナンスプレート17にヘッドが当接しないようにスリット58が設けられている。
【0044】
各ラインヘッドは、記録媒体幅に渡り各々1つのヘッドで構成されており、Kヘッド9、Cヘッド10、Mヘッド11、Yヘッド12の下を記録媒体60が搬送されて通過する際に、各ヘッドからインクを吐出して記録媒体上に着弾させることで記録する。
【0045】
本実施形態のように1つのラインヘッドで1色を記録するタイプの画像形成装置においてもインク供給経路13〜16の下にメンテナンス機構を格納することによって、装置全体を小型化でき、安価な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る第1の実施形態における画像形成装置の概略側面図である。
【図2】記録ヘッドのメンテナンス時におけるプラテン部の移動動作について説明するための図である。
【図3】ヘッドの配置構成を示す図である。
【図4】吸引ノズル兼キャップ及びワイプブレードの配置構成を示す図である。
【図5】吸引ノズル兼キャップ及びワイプブレード周辺の拡大断面図及び上面図である。
【図6】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図7】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図8】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図9】メンテナンス動作について説明するための図である。
【図10】ワイピング動作について説明するための斜視図である。
【図11】ワイピング動作について説明するための側面図である。
【図12】吸引ノズル兼キャップがヘッドに当接した状態を示した断面図である。
【図13】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図14】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図15】メンテナンスプレート周辺の側面図である。
【図16】本発明に係る第2の実施形態における画像形成装置のラインヘッド群の上面図である。
【図17】本実施形態におけるメンテナンス機構の断面図及び上面図である。
【図18】従来における画像形成装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1:給紙台、2:ピックアップローラ、3:レジストローラ、5,6,7,8:インクボトル、9,10,11,12:ヘッド、13,14,15,16:インク供給経路、17:メンテナンスプレート、18:駆動ローラ、19:プラテン、20:吸着ファン、21:加圧源、23,24,25,26:サブタンク、27:負圧源、28:ストッカー、31:インクパン、32,57:吸引ノズル兼キャップ、33:ワイプブレード、34:バネ、35,58:スリット、37:廃液口、38:空気取り入れ溝、39:空気吸引溝、40:支持体、41:空気取り込み口、42:空気吸引口、43:支持体、44:メンテナンス機構、45,58:スリット、46:廃液口、47:マスクプレート、50:搬送ベルト、51:排紙ローラ、52:ベルトプラテンユニット、59,63,64:ギャップ、60:記録媒体、61:駆動源、62:ノズル面、65,66:経路、67:溝、68:リブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対してインクを吐出し画像を形成するために、複数のノズルをライン状に配置し、画像形成位置に固定されたノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドと、
前記インクジェット記録ヘッドの前記ノズルの配列方向に対して平行に固定配置され、前記インクを前記ノズルに供給するインク供給経路と、
前記インクジェット記録ヘッドの前記ノズルのインク吐出口に対向配置され、前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、
前記記録媒体搬送部上方且つ前記インク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、前記ノズルプレートと接触または近接しメンテナンスを行うメンテナンス機構部と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メンテナンス機構は、前記記録媒体搬送部上方に配置されたメンテナンスプレート上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メンテナンスプレートは、インクパン用のリブを具備することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記メンテナンスプレートは、画像形成時に記録媒体ガイドを兼用することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体と前記メンテナンスプレートとの間隔は、前記インクジェット記録ヘッドに対し記録媒体搬送方向上流側よりも下流側を狭くしたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記メンテナンスプレートは、前記ノズルプレートよりも前記記録媒体に近接していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記メンテナンス機構のメンテナンス移動は、前記記録媒体搬送部と共に連動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記インクジェット記録ヘッドは、複数であり、前記記録媒体の搬送方向に対して直行方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記インクジェット記録ヘッドは、前記記録媒体の搬送方向の直行方向に対して1つのインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記インク供給経路は、前記インクジェット記録ヘッドの片側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記インクジェット記録ヘッドは、前記インク供給経路の上方から脱着できることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項1】
記録媒体に対してインクを吐出し画像を形成するために、複数のノズルをライン状に配置し、画像形成位置に固定されたノズルプレートを有するインクジェット記録ヘッドと、
前記インクジェット記録ヘッドの前記ノズルの配列方向に対して平行に固定配置され、前記インクを前記ノズルに供給するインク供給経路と、
前記インクジェット記録ヘッドの前記ノズルのインク吐出口に対向配置され、前記記録媒体を搬送する記録媒体搬送部と、
前記記録媒体搬送部上方且つ前記インク供給経路の下方に配置され、非画像形成時に、前記ノズルプレートと接触または近接しメンテナンスを行うメンテナンス機構部と、
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記メンテナンス機構は、前記記録媒体搬送部上方に配置されたメンテナンスプレート上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記メンテナンスプレートは、インクパン用のリブを具備することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記メンテナンスプレートは、画像形成時に記録媒体ガイドを兼用することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記録媒体と前記メンテナンスプレートとの間隔は、前記インクジェット記録ヘッドに対し記録媒体搬送方向上流側よりも下流側を狭くしたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記メンテナンスプレートは、前記ノズルプレートよりも前記記録媒体に近接していることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記メンテナンス機構のメンテナンス移動は、前記記録媒体搬送部と共に連動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記インクジェット記録ヘッドは、複数であり、前記記録媒体の搬送方向に対して直行方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記インクジェット記録ヘッドは、前記記録媒体の搬送方向の直行方向に対して1つのインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記インク供給経路は、前記インクジェット記録ヘッドの片側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記インクジェット記録ヘッドは、前記インク供給経路の上方から脱着できることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−289648(P2006−289648A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109902(P2005−109902)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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