画像形成装置
【課題】シアン(C),マゼンタ(M)およびブラック(K)の3色のトナーだけを用いてカラー画像を形成する画像形成装置において識別情報の付加が可能な画像形成装置を提供すること。
【解決手段】カラー画像形成の際に、ブラック(K)色系の作像ユニットは、縦40画素×横20画素のブロック領域70のうち、識別情報としての装置製造番号「14402」を表す部分領域71〜75の左上角の画素81〜85をブラック色で再現する。
【解決手段】カラー画像形成の際に、ブラック(K)色系の作像ユニットは、縦40画素×横20画素のブロック領域70のうち、識別情報としての装置製造番号「14402」を表す部分領域71〜75の左上角の画素81〜85をブラック色で再現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーの画像形成装置の分野では、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)およびK(ブラック)の少なくとも4色のトナーを用いてカラー画像を形成する複写機やプリンタ等の開発が盛んに行われている。
このような複写機等には、例えばC,M,Y,Kの各色用の作像ユニットを、転写ベルトに沿って配列し、それぞれの作像ユニットで形成した各色トナー像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて転写し、その転写された各色トナー像を一括して記録シート上に転写する、いわゆるタンデム方式のものがある。タンデム方式は、一回の通紙でカラーの画像形成が行えるのでコピー処理の高速化が可能になる。
【0003】
ところで、カラー画像を形成する複写機等には、例えば紙幣等の偽造に対応するため、カラー画像がどの装置で形成されたのかを追跡するための装置固有ナンバーなどの識別情報を画像形成の際にY色用のトナーを用いて記録シート上に付加する機能を搭載するものがある。Y色用のトナーを用いるのは、Y色が他の色に比べて人の目に識別され難く、識別情報の付加による画質劣化を感じ難くさせるためである。
【特許文献1】特許第2614369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に複写機等は、会社のオフィス内など限られたスペースに設置されることが多く、できるだけ小型化することが望まれている。ところが、上記のタンデム方式のように4色の作像ユニットを配置する構成では、例えば隣接する作像ユニット間の隙間を詰めるといった程度の小型化を図れるに過ぎない。
そこで、本発明者は、大幅な小型化を実現するため、C,MおよびK色系トナーだけを用いてカラー画像を形成する画像形成装置を創作した。この画像形成装置には、Y色用の作像ユニットが装着されておらず、それだけ装置を小型化でき、かつ低コスト化をも実現できる。
【0005】
しかしながら、創作された画像形成装置では、Y色用の作像ユニットが装着されていないので、従来のようにY色の識別情報を示す画像を付加することができないという問題が生じる。
また、Y色の識別情報を付加できないという問題については、上記従来のC,M,Y,Kの各色用のトナーを用いてカラー画像を形成する画像形成装置において、Y色系トナーが消費されてしまい作像ユニットに残っていない場合にも同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、カラー画像を形成する画像形成装置において、Y色によらずとも識別情報を示す画像の付加が可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、マゼンタ、シアンおよびブラック色系の各トナー像をシート上に重ねて転写してカラー画像を形成すると共に、カラー画像の形成の際に、カラー画像とは別の、ブラック色系トナーによる特定のパターン画像をシート上に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、シアン,マゼンタおよびブラック色系のトナー像によりカラー画像を形成する際に、識別情報として一定のパターン画像を、ブラック色系トナーを用いて形成することが可能になる。また、ブラック色でパターン画像を形成すれば、例えばパターン画像がシアン色系のトナー像に重なったとしても、シアン色自体の色合いが略そのままで明暗が画素単位で変わるだけで済み、仮にパターン画像をマゼンタ色で形成するとしたときに色合いが変わってしまい画質劣化に至るといったことを防止できる。
【0009】
また、前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、前記ブラック色系トナーで再現される2つの画素の間隔が1画素相当以上であることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像がより人の目に映り難くなり、パターン画像の形成による画質劣化の防止を図れる。
【0010】
さらに、前記間隔が、3画素相当以上であり95画素相当以下の範囲にあることを特徴とする。
このようにすれば、再現された黒画素の各ドットが人の目に映り難くなると共に、形成されたパターン画像を光電センサ等の検出手段で検出する構成をとる場合に、黒画素の間隔が離れ過ぎることによりパターン画像の一部が検出領域からはみ出てしまい、検出できなくなるといったことを防止できる。
【0011】
また、前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、ブラック色系トナーで再現される画素の、単位面積当たりに占める割合を示す隠蔽率が、0.01〔%〕以上10〔%〕以下であることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像がより人の目に映り難くなり、パターン画像の形成による画質劣化の防止を図れる。
【0012】
また、形成されたパターン画像を検出し、前記隠蔽率を指標するための値を出力する検出手段を備え、前記検出手段からの出力データから、隠蔽率が所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内にないと判断した場合に、隠蔽率が所定の範囲内に入るようにパターン画像の形成条件を変えることを特徴とする。
このようにすれば、隠蔽率が所定の範囲内から外れた場合でも、所定の範囲内に入るように調整を行うことが可能になり、画質劣化のさらなる防止を図ることができる。
【0013】
さらに、前記パターン画像は、シート上におけるカラー画像の形成位置に関わりなくシート上の所定の位置に形成されることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像の形成位置を予め決めておくことができ、パターン画像の形成のための制御を簡素化できる。
また、ブラック色系のトナー像およびパターン画像が、他の色系のトナー像よりも先にシート上に形成される構成になっていることを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、より色再現性の向上を図れる。
さらに、マゼンタ色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用マゼンタのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであり、かつ/または、シアン色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用シアンのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであることを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、シート上に形成される画像のイエロー色の再現性をより向上できる。
また、イエロー色を除くマゼンタ、シアン、ブラック色用の現像部を有し、マゼンタ色系のトナー像は、マゼンタ色用の現像部により現像されたものであり、シアン色系のトナー像は、シアン色用の現像部により現像されたものであり、ブラック色系のトナー像および前記パターン画像は、ブラック色用の現像部により現像されたものであることを特徴とする。
【0016】
このようにすれば、現像部を3つ備えるだけで済み、イエロー色用を含む装置に比べて大幅な小型化を図れる。
また、前記カラー画像としてイエロー色系のトナー像をも含む画像を形成可能に構成されると共に、当該イエロー色系のトナー像の形成可否を判断する判断手段を備え、前記判断手段によりイエロー色系のトナー像の形成が不可と判断された場合にのみ、前記パターン画像の形成を実行することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、例えばイエロー色系トナーが消費されてなくなった場合でも、他の3色によるカラー画像形成が可能であると共に識別情報を付加することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合の例について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のそれぞれに対応する作像ユニット2M,2C,2Kと、矢印A方向に回転する中間転写ベルト11を備える中間転写部10と、給送部30と、定着部40と、制御部100とを備えており、ネットワーク、ここではLANに接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)指示を受け付けると、その指示に基づいて画像形成を実行するものである。以下、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をM、C、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのM、C、Kを添字として付加する。
【0019】
作像ユニット2M〜2Kは、中間転写ベルト11に対向して回転方向上流側(以降、単に「上流側」という)から回転方向下流側(以降、単に「下流側」という)に沿って所定間隔で直列に配置されており、像担持体としての感光体ドラム3M,3C,3Kと、その周囲に配設された帯電器4M,4C,4Kと、露光部5M,5C,5Kと、M色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6M,C色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6C,K色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6Kと、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム3M〜3Kと対向する一次転写ローラ7M,7C,7Kと、クリーナ8M,8C,8Kなどを備えている。
【0020】
中間転写部10は、駆動ローラ12と、従動ローラ13と、テンションローラ14と、これらローラに張架される中間転写ベルト11と、駆動ローラ12を回転駆動させる駆動モータ(不図示)と、中間転写ベルト11上の残留トナーを清掃するクリーナ15と、中間転写ベルト11上に形成された識別情報としてのK色系(黒色)トナーによるパターン画像(後述)の濃度を検出するための光電センサ16などを備えている。
【0021】
給送部30は、シートとしての用紙Sを収容する給紙カセット31と、給紙カセット31内の用紙Sを1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ32と、繰り出された用紙Sを搬送する搬送ローラ対33と、二次転写位置21に用紙Sを送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対34と、二次転写ローラ35などを備えている。
制御部100は、外部の端末装置からプリント指示を受けると、送信されて来る画像信号を受信して、これをM,C,K色系用のデジタル画像信号に変換し、露光部5M〜5Kを駆動させるための駆動信号を生成する。露光部5Mは、制御部100からの駆動信号を受けてM色系用の画像形成のためのレーザ光を発し、感光体ドラム3M上を主走査方向に露光走査させる。同様に、露光部5C,5Kは、シアン色系,ブラック色系用の画像形成のためのレーザ光を発し、感光体ドラム3C,3K上を露光走査させる。
【0022】
感光体ドラム3M〜3Kは、前記露光を受ける前にクリーナ8M〜8Kで表面の残存トナーが除去され、不図示のイレーサランプに照射されて除電された後、帯電器4M〜4Kにより一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で上記レーザ光による露光を受けると、感光体ドラム3M〜3Kの表面に静電潜像が形成される。
各静電潜像は、それぞれ各色の現像器6M〜6Kにより現像され、これにより感光体ドラム3M〜3K表面にM,C,K色系の現像剤像としてのトナー像が作像され、各一次転写位置9M,9C,9Kにおいて中間転写ベルト11の裏面側に配設された一次転写ローラ7M,7C,7Kに印加された電圧により生じる静電力により、回転する中間転写ベルト11上に順次転写されていく。
【0023】
この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
中間転写ベルト11上の重ね合わされた各色トナー像は、中間転写ベルト11の回転により二次転写位置21に移動する。
【0024】
一方、中間転写ベルト11の移動タイミングに合わせて、給送部30からは、タイミングローラ対34を介して用紙Sが給送されて来ており、その用紙Sは、回転する中間転写ベルト11と二次転写ローラ35の間に挟まれて搬送され、二次転写位置21において、二次転写ローラ35に印加された電圧により生じた静電力により中間転写ベルト11上のトナー像が用紙S上に二次転写される。
【0025】
二次転写位置21を通過した用紙Sは、定着部40に搬送され、ここでトナー像が加熱、加圧されて用紙Sに定着された後、排出ローラ対36を介して排出トレイ41上に排出される。
これにより、M,C,K色の3色のトナー像によるカラー画像が形成されることになるが、モノクロ、例えばK色の画像形成の場合には、作像ユニット2Kだけが用いられ上記の転写等の工程を経てシート上にK色の画像が形成されることになる。
【0026】
本実施の形態では、イエロー(Y)色を用いない構成としており、そのためにM,C色系トナーについてその色度点が従来のY色を用いる構成のものに対し変更されている。
図2は、L*a*b*表色系におけるM,C色系トナーの色度点を示す色度図である。ここで、M,C色について、白丸印のプロットが従来の構成(Y,M,C色を用いてカラー画像を形成する構成)のトナーの色度点を示しており、四角印が本実施の形態の構成(Y色を用いないでカラー画像を形成する構成)のトナーの色度点を示している。
【0027】
同図に示すように、例えばM色系トナーについて見ると、本実施の形態のものは従来のものよりも赤(R)方向にシフトした位置に色度点を有しており、C色系トナーについて見ると、本実施の形態のものは従来のものよりも緑(G)方向にシフトした位置に色度点を有していることが解る。
ここで、赤方向とは、M色とY色の混色によるR(赤)色の色相方向をいい、赤方向にシフトした位置に色度点を有するとは、M色の色相をR色の色相に近づけることをいう。
【0028】
同様に、緑方向とは、C色とY色の混色によるG(緑)色の色相方向をいい、緑方向にシフトした位置に色度点を有するとは、C色の色相をG色の色相に近づけることをいう。
このようにM,C色系トナーとして、その色度点が従来の構成よりもR、G色の方向にシフトしたものを用いるので、Y色との減法混色で実現されるR色(R=M+Y)、G色(G=C+Y)の色再現性を、Y色系のトナーがなくてもある程度確保でき、R色やG色といった使用頻度の高い色の再現性を向上できる。
【0029】
M,C色系トナーの色度点のシフト量およびシフトの方向は、実験等から予め求めることができ、もちろん上記のものに限られることはない。従来の構成をとるときのトナーの色度点に対し、色度図上においてY色の色相に近づく方向成分を有する方向にシフトした色度点のM,C色系トナーを用いれば、色再現性を向上できるからである。
例えば、ジャパンカラー(JapanColor)を基準とする場合に、2度視野D50の観察条件において、M色系トナーの色度点を、R色(a*:68.5、b*:48.0)の周辺または極めて近い位置に、C色系トナーの色度点を、G色(a*:−73.5、b*:25.0)の周辺または極めて近い位置にとる構成としても良い。
【0030】
さらに、SWOP(Specifications for Web Offset Publications)やEuro Colorなどの別の色基準を用いる場合でも、M,C色系トナーの色度点をR,G色の色相またはY色の色相に近づける構成とすることで同様の効果を得られる。
なお、上記のトナーの製法としては、従来のトナーの製法において、上記色度点を有する色材をバインダ樹脂等に含有する方法等がとられる。
【0031】
図3は、制御部100の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部100は、主な構成要素として、CPU101と、通信インターフェース(I/F)部102と、画像処理部103と、識別情報付加部104と、画像メモリ105と、LD駆動部106と、ROM107と、RAM108、識別情報記憶部109と、露光量記憶部110とを備え、バス111を介してデータをやりとりできるようになっている。
【0032】
通信I/F部102は、LANカード、LANボードといったLAN等のネットワークに接続するためのインターフェースである。
画像処理部103は、通信I/F部102を介して受信した画像信号、例えば赤(R),緑(G),青(B)色のデータを、シェーディング等の公知の補正処理を施した後、1画素ごとに、M,C,Kの再現色用のデジタル画像信号(画像データ)に変換する。この変換は、MCK色変換部1031により、UCR(下色除去)やBP(墨生成)、γ補正等の画像処理方法を利用して行われる。
【0033】
具体的には、従来の構成において用いられる、R,G,B色の画像信号を、Y,M,C,K色用の画像データに変換するための変換式や変換テーブル等を、C,M、K色系トナーだけを用いる場合のものに変更することにより実現できる。
より具体的には、例えば変換式等においてY色のデータにかかる係数をゼロにすると共に、M,C色系トナーの色度点等を考慮した上で色再現性が最適なものになるようにM,C,K色系用のデータにかかる係数の値を実験等から求めるものである。
【0034】
なお、係数の値を変える方法に限られず、例えばM,C色系トナーだけを用いてカラー画像を形成する構成に合うように変換式を新たに求める方法等、種々の方法をとることができる。求められた変換式等のデータは、予めROM107に格納され、当該画像処理の際に読み出されて画像データへの変換処理に供される。
M,C,K色用の画像データは、1画素ごとに画像メモリ105に格納されるが、K色用の画像データについては、識別情報付加部104において識別情報が付加されてから画像メモリ105に格納される。この識別情報付加処理については後述する。
【0035】
LD駆動部106は、CPU101の制御を受けて画像メモリ105から走査ラインごとにM,C,K色の画像データを読み出し、露光部5M〜5Kを駆動する。
識別情報記憶部109は、不揮発性メモリからなり、識別情報の一つとしての製造番号を示すデータが格納されている。ここでは、製造番号として例えば「14402」という数値を示すデータが格納されているものとする。なお、製造番号は、装置を識別するためのものであるから、製造時に装置ごとに異なる番号が付与されて当該識別情報記憶部108に格納されることになる。
【0036】
露光量記憶部110は、不揮発性メモリからなり、露光部5Kによる露光時のレーザ光の強度を示す強度データが格納されている。LD駆動部106は、露光量記憶部110に格納されている強度データを読み出し、露光部5Kに対し、レーザ光が強度データの強度で出射されるように指示する。この強度データの値は、後述の露光量制御処理により更新される。
【0037】
ROM107は、作像ユニット2M〜2K、中間転写部10における作像動作および給送部30による用紙Sの給送動作に関するプログラム、識別情報付加処理、露光量制御処理に関するプログラムなどを格納している。
RAM108は、CPU101におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
CPU101は、ROM107から必要なプログラムを読み出して、作像、給送動作等をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なプリント動作を実行させる。また、露光量制御処理を実行する。
【0038】
さらに、識別情報付加部104に指示して、識別情報付加処理を実行し、K色の画像データに、識別情報としての製造番号、出力日時およびシークレット情報を付加させる。
ここで、出力日時とは、プリント出力された日時をいい、シークレット情報とは、任意の情報、例えば装置名等が考えられる。なお、日時は、制御部100内部のタイマー(不図示)により計時される。シークレット情報は、予めROM107に格納されていても良いし、ユーザ等が図示しない操作パネル等から設定入力する構成をとるとしても良い。
【0039】
図4は、プリント出力された用紙上のどの位置にどの情報が識別情報として付加されるのかを示した模式図である。なお、同図では、識別情報としてのパターン画像だけが示されており、本来の形成画像については省略されている。
同図に示すように、矩形領域51には、製造番号を示すパターン画像61が、領域52には、出力日時を示すパターン画像62が、領域53には、シークレット情報を示すパターン画像63が、それぞれ複数個ずつ主走査および副走査方向に所定の間隔をおいて形成されるようになっている。
【0040】
図5は、1つのパターン画像61を拡大して示した図である。
同図では、1つの矩形が1つの画素に相当し、横20画素×縦40画素(合計800個の画素)からなるブロック領域70を示しており、黒色で示した5つの画素81〜85と白色で示した795個の画素とでパターン画像61を構成している。以下、黒色の画素を黒画素という。
【0041】
横軸(X軸:主走査方向に相当)は製造番号の桁数(1〜5)を、縦軸(Y軸:副走査方向に相当)は数値(0〜9)を示すものとして用いられる。
桁数と数値とは、横4画素×縦4画素からなる16個の画素群を1つの部分領域(太線で区別された領域。全部で50個)とし、この部分領域単位で特定される。
具体的には、黒画素81は、横軸と縦軸で示される「1」桁目の数値「1」を示す部分領域71に属しているので、製造番号の1桁目は「1」になる。同様に、黒画素82,83は、「2」,「3」桁目の数値「4」を示す部分領域72,73に属しているので、2,3桁目は「4」になる。黒画素84,85は、「4」,「5」桁目の数値「0」,「2」を示す部分領域74,75に属しているので、4,5桁目は「0」,「2」になる。これよりパターン画像61は、製造番号「14402」を示していることが判る。
【0042】
桁数と数値を表す黒画素81〜85として、各部分領域の左上の角に位置する画素を用いるのは、黒画素の間隔を主走査方向に3画素相当分あけるためである。
すなわち、黒画素が隣接、またはその間隔が1画素程度のように狭いと、例えば感光体ドラムの感度ばらつき等により再現性が低下したときに2つの黒画素がくっついたように再現されてしまい製造番号として認識され難くなる場合があるからである。この画素間隔の最小値については副走査方向についても同様であるが、主走査方向に3画素分相当の間隔があれば、副走査方向の間隔については3画素よりも狭くするとしても良い。いずれかの方向に3画素分相当の間隔をあけることが望ましいが、再現性低下の程度が少ない場合には、例えば黒画素を隣接させる、または1画素分だけあける等の構成をとるとしても良い。
【0043】
なお、両端に当たる、黒画素81と黒画素85の間隔の最大値については、95画素分相当までとすることが望ましい。
これは、画素の解像度と光電センサ16の検出領域とに関係している。すなわち、露光量制御処理では、後述のように中間転写ベルト11上にパターン画像61を形成し、形成されたパターン画像61を光電センサ16により検出するといった処理を行っており、両端の黒画素の間隔を広げすぎると一方端の黒画素が検出領域からはみ出してしまい検出できなくなるおそれが生じるからである。
【0044】
具体的には、例えば光電センサ16による中間転写ベルト11上における検出領域の主走査方向の幅を4〔mm〕、画素の解像度〔dpi:dot per inch〕を600〔dpi〕とすると、4〔mm〕の範囲は、約95画素となる。この両端の黒画素の間隔は、光電センサ16の検出領域と装置の解像度とに応じて決められることになる。
また、単位面積当たりに占める黒画素の割合を示す隠蔽率Pを10〔%〕以下にすることが望ましい。ここで、隠蔽率Pは、次の(式1)で表すことができる。
【0045】
P=(黒画素の数)×100/(黒画素が属する部分領域を取り囲む矩形領域の画素数)・・・(式1)
図5の例の場合では、黒画素の数が「5」、黒画素が属する部分領域が「部分領域71〜75」、その部分領域71〜75を取り囲む矩形領域が「桁数5×数値5の範囲で表される25個の部分領域」、その矩形領域の画素数が「400個(=25×16)」になるので、P=(5×100)/(400)=1.26〔%〕になる。なお、処理の簡素化を図るため、例えば分母の数値を固定、具体的には「800」等とするとしても良い。
【0046】
隠蔽率Pとは、上記式(1)より、用紙(シート)上の白色部分の単位面積当たりにおける黒色の面積の割合を示すものといえるから、このPの値が大きくなるということは、黒色部分の面積が増えることを意味し、人の目にパターン61が感じられ易くなる。
ところで、画像形成装置の分野では、用紙の地肌(本来の非画像形成領域)にトナー粒子が付着することを「かぶる」といい、その濃度を「かぶり濃度」と表現することが行われている。
【0047】
かぶり濃度Dは、通常、光学式の反射濃度計を用いて、かぶりが生じている部分の反射率Rを計測することで求めることができる。反射率Rは、常用対数値のことであり、次の(式2)で表される。
D=log10(1/R)・・・(式2)
このかぶり濃度Dは、その値が大きくなるほど、付着したトナーにより濃度が濃くなり、人の目にはDの値が0.2を超えるあたりから画像が見え始める、すなわち感じ易くなることが経験的に判っている。
【0048】
図6は、かぶり濃度Dと隠蔽率Pの関係を示す図である。
同図のグラフに示すように、かぶり濃度Dが0.2に対応する隠蔽率Pの値が10〔%〕になっており、これよりPの値が10〔%〕以下になるようにパターン画像61を形成すれば、人の目に感じられ難くなることが判る。図5の例では、上記のように1.25〔%〕になっており、感じられ難い範囲に入っていることになる。
【0049】
なお、隠蔽率Pの最小値としては、0.01〔%〕以上であることが望ましい。これは、次の理由による。すなわち、図6のグラフによれば、隠蔽率Pが小さいほどかぶり濃度Dも小さくなって、より人の目に感じられ難くなることが判る。ところが、隠蔽率Pを小さくするとは、黒画素の間隔が広くなることを意味するから、隠蔽率Pを小さくすれば、それだけ一方端の黒画素81から他方端の黒画素85までの長さが長くなることになる。光電センサ16による検出領域は、通常、数ミリ程度であるので、画素間隔が長くなり過ぎるとその検出領域をはみ出してしまい、検出できない画素が出てくるおそれがあるからである。0.01〔%〕以上としておけば、このような画素検出の欠落が生じないことが実験等から確認されている。
【0050】
上記では、パターン画像61について説明したが、パターン画像62,63についても同様に、複数個の黒画素の並びにより出力日時等を示すものとして決められたパターンが矩形領域52,53内に付加される。パターン画像61〜63それぞれの、用紙1ページ内における形成位置は、X−Y座標系の座標位置で決められており、そのデータは予めROM107に格納されている。
【0051】
図7は、識別情報の付加処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、識別情報付加部104により実行される。
同図に示すように、画像処理部103からK色用の画像データを受信すると(ステップS11)、その画像データを一時的にRAM108に格納する(ステップS12)。
画像データは、画素ごとにその階調値、例えば256階調とすると0〜255のうちのいずれかの値を示すデータになっている。ここで、階調値は、その値が小さくなるに連れて濃度が高く(より黒色に近く)なる。
【0052】
そして、識別情報を取得する(ステップS13)。具体的には、製造番号については、識別情報記憶部109に格納されているデータを読み出す。日時については、上記タイマーにより計時される値を取得する。シークレット情報については、当該情報としてROM107に格納されているデータを読み出す。
次に、識別情報を表すための画素を特定する(ステップS14)。この特定の方法を、識別情報を製造番号「14402」とした場合の例で説明する。
【0053】
(a)ROM107に格納されているパターン画像61の形成位置を示す座標位置のデータを読み出す。
(b)RAM108の格納領域に展開されているK色用の画像データの、全画素の中から、各パターン画像61について、読み出した座標位置に対応するブロック領域70(図5)を特定する。
【0054】
(c)特定されたブロック領域70内に含まれる50個の部分領域のうち、読み出された製造番号の1桁目から5桁目までの数値「14402」に対応する5つの部分領域がどれに当たるのかを特定する。図5の例では、部分領域71〜75になる。
(d)特定された5つの部分領域それぞれの左上角に位置する画素、図5の例では画素81〜85を、製造番号を表すための画素として特定するものである。他の出力日時等についても同様の方法で画素を特定することができる。
【0055】
続いて、特定された画素の階調値を、最高濃度値を示す値に変更する(ステップS15)。例えば、製造番号の場合には、ブロック領域70内の、特定された5つの画素(黒画素81〜85)の階調値を「0」にする。これにより、もともとK色の画像データの、ブロック領域70における全ての画素の階調値が「255」、すなわち白を表すものであった場合には、プリント出力時のK色の作像では、パターン画像61(図4)として、ブロック領域70内の5つの画素81〜85だけが黒色に変わり、残り795個の画素がそのまま白色の状態で再現されることになる。なお、もとの階調値が「0」である場合には、そのまま「0」とされる。
【0056】
他の出力日時等についても同様の方法で画素の階調値が変更される。これにより、識別情報を含むK色の画像データが生成されたことになる。
識別情報を含むK色の画像データを画像メモリ105の所定の格納領域に格納させて(ステップS16)、当該識別情報付加処理を終了する。
これにより、カラー画像のプリントの際に、入力画像とは別の識別情報を示すパターン画像61〜63がK色系トナーにより用紙上に形成されることになる(図4)。
【0057】
上記のようにパターン画像61〜63は、用紙上の所定位置に形成されるので、例えば黒画素がM色だけからなる画像に重なる場合があり得るが、その重なる部分は1画素分という微小な範囲で済むので、人の目にはほとんど感じられない(気付かれない)。また、重なる部分では、M色+K色となって、M色の明度が画素単位である程度低下するだけで済み、仮にC色系トナーでパターン画像を形成する構成としたときにM+C色となって、M色の色が、青みがかった色に変わってしまうといったことが起こらない。
【0058】
図8は、露光量制御処理の内容を示すフローチャートである。
この処理は、隠蔽率Pを略一定に維持するために行われる。すなわち、隠蔽率Pは、1.25〔%〕で一定であることが望ましいが、実際には、感光体ドラムの局所的な感度ばらつきやトナー帯電量が分布を持つことにより、現像特性等が局所的にばらついており、黒画素の1ドットの径が本来の1画素相当よりも大きくなったり小さくなったりしてばらつくことが多い。黒画素の大きさがばらつくと、隠蔽率Pにも影響を与え、例えば隠蔽率Pが大きくなるとパターン画像61が人の目に感じられ易くなり、逆に小さくなるとパターン画像61自体が識別情報として識別され難くなってしまうことが生じるからである。
【0059】
なお、この処理は、所定のタイミング、例えば装置に電源を投入するごと、所定時間経過するごと、プリント動作の累積回数が所定回数を超えるごと、発生したエラー(紙詰まり等)が解除されるごと、感光体ドラム等の画像形成に関与する部材が交換されるごと等に実行される。
同図に示すように、中間転写ベルト11を回転させると共に作像ユニット2Kを用いて所定数のパターン画像61をテストパターンとして中間転写ベルト11上に形成する(ステップS21)。その際、露光量としては、露光量記憶部110に現に格納されている強度データが読み出され、その強度にてK色のレーザ光による露光が実行される。なお、作像ユニット2M,2Cについては停止させたままとする。
【0060】
形成されたパターン画像61を光電センサ16により検出する(ステップS22)。具体的には、中間転写ベルト11上における一次転写位置9Kから光電センサ16の検出位置までの距離をL、中間転写ベルト11の搬送速度をVとして、値Lを値Vで除した時間t(=L/V)を予め求めておく。そして、パターン画像61が中間転写ベルト11上に一次転写された時から計時を開始し、その経過時間がtに達した時点で、光電センサ16からの信号を受信する。
【0061】
そして、受信した信号から隠蔽率Pを推定する(ステップS23)。
具体的には、まず図9に示す光電センサ16の出力電圧Vと隠蔽率Pとの対応関係を示すグラフのデータをROM107から読み出す。そして、当該グラフから、光電センサ16の出力電圧値Vに対応する隠蔽率Pの値を求め、求めたPの値を推定値とする。同図のグラフを見れば、光電センサ16の出力電圧がV1のときに、隠蔽率Pが狙いの5〔%〕に相当し、出力電圧がV2のときに、Pが上限の10〔%〕に相当することが判る。
【0062】
このように出力電圧Vと隠蔽率Pが反比例の関係になるのは次の理由による。
すなわち、光電センサ16は、例えばLEDなどの発光素子と、発光素子から発せられる光の、パターン画像61からの反射光を受光するフォトダイオードなどの受光素子とを備えた反射型のものが用いられる。
ここで、隠蔽率Pとは、白色部分の単位面積当たりに占める黒色部分の割合を示すものといえ、隠蔽率Pが大きくなると、黒色部分が増えて光電センサ16の受光素子で受光される反射光が少なくなって出力電圧Vが低下し、隠蔽率Pが小さくなると、黒色部分が減って反射光が多くなり出力電圧Vが上昇するという関係があるからである。
【0063】
なお、図9に示すグラフは、予め実験等から求めることができ、そのデータがROM107に格納される。この意味で、出力電圧Vの値とは、隠蔽率を指標するための値といえる。なお、当該値としては、出力電圧に限られず、隠蔽率との関係から隠蔽率を求めることができるものであれば、例えば出力電流の値であっても良いし、反射光そのものの量であっても良い。また、隠蔽率が直接計測される場合にはその計測値とすることができる。
【0064】
ステップS23で推定された隠蔽率Pの値が所定範囲内か否かを判断する(ステップS24)。ここで、所定範囲とは、0.01〔%〕以上、10〔%〕以下の範囲である。
隠蔽率Pが所定範囲内であることを判断すると(ステップS24で「YES」)、そのまま当該処理を終了する。
一方、隠蔽率Pが所定範囲内ではない、すなわちP<0.01または10<Pと判断すると(ステップS24で「NO」)、露光量を変更する処理を行う(ステップS25)。ここでは、露光量記憶部110に格納されている強度データの値を変更する。
【0065】
例えば、P<0.01の場合には、感光体ドラム3Kの感度ばらつき等により、黒画素として形成された1ドットの径が1画素相当よりも小さくなっていることが考えられるので、露光に用いるレーザ光の強度がより大きくなるように、現在の強度データの値に所定値を加算した値を上書き保存して、ステップS21に戻る。例えば、感光体ドラムおよびトナーの帯電特性が負(マイナス)、現像方式が反転現像方式をとる構成の場合には、レーザ光の強度がより大きくなるように強度データの値が書き換えられる(更新される)。
【0066】
これにより、2回目にパターン画像61が形成される際には、1回目よりもレーザ光の強度が上がる。レーザ光は、ガウシアン型をしているので、ビーム強度を上げると感光体ドラム上における本来の黒色の1画素分の領域だけでなく、その周辺部分の電位もある程度減衰することになる。電位が減衰すると、現像工程においてトナーが現像器から感光体ドラムに移動し易くなるから、1画素の周辺部分にも黒色のトナーが付着し易くなり、黒画素の径がより長くなる方向に作用し、もって隠蔽率Pを上昇させることができる。
【0067】
10<Pの場合には、P<0.01の場合の逆、すなわちレーザ光の強度が下がるように、現在の強度データの値に所定値を減算した値を上書き保存して、ステップS21に戻る。2回目にパターン画像61が形成される際には、1回目よりもレーザ光の強度が下がり、黒画素の径を小さくでき隠蔽率Pを下降させることができる。
隠蔽率Pが所定範囲内に入るまで、ステップS21〜S25の処理が繰り返し実行される。なお、黒画素の径を大または小にする方法については、パターン画像の形成条件として、レーザ光の強度を変えるだけに限られず、例えば感光体ドラムの帯電電位や現像器に印加される現像バイアス電圧等を可変する構成としても良い。
【0068】
また、繰り返し回数が所定回数、例えば10回を超えてもPの値が所定範囲内に入らない場合には、当該処理を中止し、その旨を不図示の操作パネル等の表示手段にメッセージ等により表示させるとしても良い。
このように制御することにより、感光体ドラムの感度ばらつき等が生じても、パターン画像を適正な状態で形成することが可能になる。
【0069】
(第2の実施の形態)
上記実施の形態では、Y色を除くM,C,Kの3色用の作像ユニット2M〜2Kを備えるプリンタの構成例を説明したが、本実施の形態では、Yを含む4色の構成になっており、この点が異なっている。以下、第1の実施の形態における構成と異なる部分を中心に説明し、同じ部分についてはその説明を省略すると共に、同じ符号を付すものとする。
【0070】
図10は、本実施の形態にかかるプリンタ201の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ201は、作像ユニット2M〜2Kに加えてY色用の作像ユニット2Yを備えている。
作像ユニット2Yは、像担持体としての感光体ドラム3Yと、その周囲に配設された帯電器4Yと、露光部5Yと、Y色系のトナーを含む現像剤が収容されている現像器6Yと、一次転写ローラ7Yと、クリーナ8Yなどを備えている。ここで使用されるY,M,C,K色系のトナーは、従来の4色を用いてカラーを再現する構成(4色構成)におけるトナーに相当(4色構成と同じ色度点を有するトナーに相当)するものである。
【0071】
カラー画像形成の際には、Y色の作像ユニット2Yが他の作像ユニット2M等と連動して、Y,M,C,K色系のトナー像が中間転写ベルト11上に一次転写され、その各トナー像が二次転写位置21において用紙S上に一括して転写(二次転写)される。この動作自体は、従来の4色構成のプリンタと同じである。
現像器6Yには、収容されているトナーの残量を検知するためのトナー残量検出センサ210Y(図11参照)が設けられている。同様に、現像器6M〜6Kには、トナー残量検出センサ210M〜210Kが設けられている。トナー残量検出センサ210Y〜210Kとしては、公知の液面センサや光電センサ等を用いることができる。ここでは、その具体的な説明を省略する。
【0072】
トナー残量検出センサ210Y〜210Kによる検出信号は、制御部202に送られる。制御部202は、トナー残量検出センサ210Y〜210Kからの検出信号により、現像器6Y〜6K内にトナーが残っているか否かを検出することができる。
図11は、制御部202の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部202は、画像処理部として203を、LD駆動部として204を備えており、さらに識別情報付加部205を備えている。
【0073】
画像処理部203は、YMCK変換部211と、MCK変換部212を備えている。
YMCK変換部211は、R,G,B色のデータを、Y,M,C,Kの再現色用の画像データに変換するものであり、この変換方法は、基本的に従来の4色構成の装置と同じ方法とすることができる。
一方、MCK変換部212は、第1の実施の形態におけるMCK変換部1031に相当するものであるが、ここではM,C色系のトナーとして従来の4色構成に相当するものが用いられるので、当該トナーを用いてカラー画像を形成する場合の適正なものになるように、その変換式、係数等が予め実験等から決められている。
【0074】
識別情報付加部205は、Y色の画像データに識別情報を付加するものであり、基本的には従来のものと同じ機能を有するものを用いることができる。これによりY色のトナー像によるパターン画像が形成されることになる。
図12は、画像処理部203における変換処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、カラー画像形成を行う前に、Y色のトナー像の形成可否、ここではY色系のトナーの有無を判断する(ステップS31)。この判断は、トナー残量検出センサ210Yからの検出信号を参照することにより行われる。なお、他の色系のトナーは各現像器に収容されているものとする。
【0075】
Y色のトナー像を形成できない、すなわち現像器6Y内にY色系トナーが残っていないことを判断すると(ステップS31で「NO」)、使用すべき変換処理部としてMCK変換部212を選択する(ステップS32)。
そして、選択した変換部、ここではMCK変換部212に、入力データとしてのR,G,B色のデータを送る(ステップS33)。MCK変換部212において、R,G,B色のデータをM,C,K色の画像データに変換し(ステップS34)、変換後のデータを出力して(ステップS35)、当該処理を終了する。
【0076】
これにより、M,C,K色の画像データは、画像メモリ105に送られるが、K色については、識別情報付加部104を介して画像メモリ105に送られる構成がとられ(図11の実線参照)、K色のパターン画像が識別情報として形成されることになる。この点は、第1の実施の形態と同じである。
画像メモリ105に格納されたM,C,K色の画像データは、LD駆動部204により読み出される。LD駆動部204は、読み出した画像データに基づいて露光部5M,5C,5Kの駆動信号を生成し、露光部5M,5C,5Kを駆動する。これにより、当該3色によるカラー画像が形成される。
【0077】
一方、Y色のトナーが残っていることを判断すると(ステップS31で「YES」)、使用すべき変換処理部としてYMCK変換部211を選択して(ステップS36)、ステップS33に移る。
これにより、R,G,B色のデータがYMCK変換部211に送られ(ステップS33)、YMCK変換部211において、R,G,B色のデータがY,M,C,K色の画像データに変換された後(ステップS34)、出力される(ステップS35)。
【0078】
この場合、Y色の画像データについては、識別情報付加部205を介して画像メモリ105に送られ、K色の画像データについては、識別情報付加部104を介さないで画像メモリ105に送られる構成がとられる(図11の一点鎖線参照)。これにより、Y色のパターン画像が識別情報として形成されることになる。
LD駆動部204は、画像メモリ105に格納されているY,M,C,K色の画像データを読み出し、読み出した画像データに基づいて露光部5Y,5M,5C,5Kの駆動信号を生成し、露光部5Y〜5Kを駆動する。これにより、4色によるカラー画像が形成される。
【0079】
このように本実施の形態では、Y色を含む4色のカラー画像の形成が可能な構成であり、Y色系のトナーがない場合には、M,C,K色系のトナーを用いてカラー画像を形成すると共に、識別情報としての画像パターンをK色で形成するので、従来のようにY色のトナーがないために識別情報を付加できないといったことがなくなる。
このことは、Y色系のトナーがなくてもカラー画像の形成が可能なことを意味しており、例えば会社のオフィスなどにおいてグラフなどの図表を、厳密に色再現できなくてもカラー表現できれば良いと考えるユーザなどにとって大変使い勝手が良くなる。
【0080】
なお、上記ではY色トナー像の形成可否の判断として、Y色系のトナーの有無を判断するとしたが、これに限られない。例えば、作像ユニット2Yが故障等により動作できない場合や交換時期に達した場合などを判断するとしても良い。
また、例えばY色を除くトナーが用いられる旨をユーザに通知する構成をとるとしても良い。具体的には、画像形成の前にその旨をメッセージ表示させたり、音声出力等させたりする方法をとることができる。この場合、ユーザからの画像形成の許可を受け付けたときに当該画像形成を開始させるとすれば、ユーザにとってより便利である。
【0081】
なお、本発明は、画像形成装置に限られず、上記パターン画像の形成方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0082】
また、本発明に係るプログラムは、上記に説明した処理をコンピュータに実行させるための全てのモジュールを含んでいる必要はなく、例えば通信プログラムやオペレーティングシステム(OS)に含まれるプログラムなど、別途情報処理装置にインストールすることができる各種汎用的なプログラムを利用して、本発明の各処理をコンピュータに実行させるようにしても良い。従って、上記した本発明の記録媒体に必ずしも上記全てのモジュールを記録している必要はないし、また必ずしも全てのモジュールを伝送する必要もない。さらに所定の処理を専用ハードウェアを利用して実行させるようにすることができる場合もある。
【0083】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、製造番号を5つの黒画素の形成位置で表すとしたが、黒色のトナーにより特定のパターン画像を形成する構成であれば、画素の数、その形成位置等はもちろんその表現の仕方は、これに限定されない。例えば、文字や数値そのものを黒画素により表現したり、シート上の任意の位置に形成したりする方法をとるとしても良い。
【0084】
(2)上記第1の実施の形態では、MとC色系のトナーとして、従来のM,C,Y,Kの4色を用いる構成のものに対し色度図上でY色の方向にシフトさせたものを用いるとしたが、これに限定されない。例えば、MとC色系のトナーとして、従来と同等の色度点をもつものを用いるとしても良い。この場合、Y色の再現性がある程度低下することは否めないが、例えば上記のように会社のオフィスなどにおいてグラフなどの図表をカラーで表現できれば良いと考えるユーザなどにとっては利便性がある。
【0085】
さらに、トナーの色度点の調整次第では、M或いはC色のいずれか一方のみを、シフトしていない従来相当の色度点を有するトナーを用いるとすることも考えられる。具体的には、シフトさせたM色のトナーと、シフトさせていないC色のトナーとの組み合わせて用いることによりカラー画像を形成するものである。
(3)上記実施の形態では、光電センサ16を中間転写ベルト11に対向する位置に配置し、中間転写ベルト11上に形成されたパターン画像を検出するとしたが、パターン画像を検出できれば、光電センサ16の位置は、その位置に限定されない。例えば、感光体ドラム3K表面に近接した位置に光電センサ16を配置し、感光体ドラム3K上に形成されたパターン画像を検出するとしても良い。
【0086】
(4)上記第1の実施の形態における画像形成装置としては、M,C,K色用の3つの作像ユニットのみを用いてカラー画像を形成する装置であれば、プリンタに限られず、複写機、MFP(Multiple Function Peripheral)、ファクシミリ装置等に適用できる。
また、タンデム方式としては、上記のものに限られず、例えば記録のためのシートを、転写ベルト上を搬送させ、搬送されるシート上に、感光体ドラム3M〜3K上に作像されたM,C,K色のトナー像を順次転写して行く構成のものにも適用できる。
【0087】
さらに、タンデム方式に限られず、例えばM,C,K色用の3つの現像器を切り換えて、像担持体上に各色のトナー像を順次作像する作像手段を備え、前記作像手段により前記像担持体上に作像されたトナー像を、転写ドラム等の転写材搬送体により搬送されるシート上に多重転写することによりカラー画像を形成する、いわゆる転写ドラム方式や、前記像担持体上に作像されたトナー像を、中間転写ベルト等の転写体上に多重転写し、その多重転写されたトナー像をさらにシート上に一括転写することによりカラー画像を形成する、いわゆる中間転写体方式等の画像形成装置にも適用できる。タンデム方式等に限らないことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0088】
(5)また、上記第1の実施の形態では、作像ユニット2K(感光体ドラム3K)を搬送ベルト11の搬送方向の最下流側に位置させ、用紙S上でM,C,K色のトナー像が重ね合わされるときに、K色が最下層、その上にM,C色のトナー像が位置する状態になるようにした。これは、K色を最下層に位置させると、その上に位置するM,C色のトナーを定着部40においてより溶融させることができ、もって発色が良くなって、色再現性をより向上させることができるからである。
【0089】
このことは、タンデム方式に限られず、転写ドラム方式等に適用でき、K色が最下層に位置するように、各色用の感光体ドラムの位置、現像器の切り換え順序等を決めれば良い。なお、現像特性、定着特性等によって作像ユニット2Kを、どの位置に配しても再現性に差がほとんど変わらない場合等もあり、その意味で作像ユニット2Kを最下流側に位置させることには限定されない。作像ユニット2M〜2Kを実験等から最適な位置に配置するとすることができる。これらのことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0090】
また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、カラー画像に特定のパターン画像を付加する機能を有する画像形成装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態におけるプリンタ1の全体の構成を示す図である。
【図2】L*a*b*表色系におけるM,C色のトナーの色度点を示す色度図である。
【図3】プリンタ1の制御部100の構成を示す図である。
【図4】プリント出力された用紙上のどの位置にどの情報が識別情報として付加されるのかを示した模式図である。
【図5】識別情報としての1つのパターン画像61を拡大して示した図である。
【図6】かぶり濃度Dと隠蔽率Pの関係を示す図である。
【図7】識別情報の付加処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】露光量制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】光電センサ16の出力電圧Vと隠蔽率Pとの対応関係を示す図である。
【図10】第2の実施の形態にかかるプリンタ201の構成を示す図である。
【図11】プリンタ201の制御部202の構成を示すブロック図である。
【図12】制御部202の画像処理部203における変換処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1、201 プリンタ
2Y,2M,2C,2K 作像ユニット
6Y,6M,6C,6K 現像器
61〜63 画像パターン
81〜85 黒色の画素
100、202 制御部
104 識別情報付加部
1031 MCK変換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーの画像形成装置の分野では、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)およびK(ブラック)の少なくとも4色のトナーを用いてカラー画像を形成する複写機やプリンタ等の開発が盛んに行われている。
このような複写機等には、例えばC,M,Y,Kの各色用の作像ユニットを、転写ベルトに沿って配列し、それぞれの作像ユニットで形成した各色トナー像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて転写し、その転写された各色トナー像を一括して記録シート上に転写する、いわゆるタンデム方式のものがある。タンデム方式は、一回の通紙でカラーの画像形成が行えるのでコピー処理の高速化が可能になる。
【0003】
ところで、カラー画像を形成する複写機等には、例えば紙幣等の偽造に対応するため、カラー画像がどの装置で形成されたのかを追跡するための装置固有ナンバーなどの識別情報を画像形成の際にY色用のトナーを用いて記録シート上に付加する機能を搭載するものがある。Y色用のトナーを用いるのは、Y色が他の色に比べて人の目に識別され難く、識別情報の付加による画質劣化を感じ難くさせるためである。
【特許文献1】特許第2614369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に複写機等は、会社のオフィス内など限られたスペースに設置されることが多く、できるだけ小型化することが望まれている。ところが、上記のタンデム方式のように4色の作像ユニットを配置する構成では、例えば隣接する作像ユニット間の隙間を詰めるといった程度の小型化を図れるに過ぎない。
そこで、本発明者は、大幅な小型化を実現するため、C,MおよびK色系トナーだけを用いてカラー画像を形成する画像形成装置を創作した。この画像形成装置には、Y色用の作像ユニットが装着されておらず、それだけ装置を小型化でき、かつ低コスト化をも実現できる。
【0005】
しかしながら、創作された画像形成装置では、Y色用の作像ユニットが装着されていないので、従来のようにY色の識別情報を示す画像を付加することができないという問題が生じる。
また、Y色の識別情報を付加できないという問題については、上記従来のC,M,Y,Kの各色用のトナーを用いてカラー画像を形成する画像形成装置において、Y色系トナーが消費されてしまい作像ユニットに残っていない場合にも同様に生じ得る。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、カラー画像を形成する画像形成装置において、Y色によらずとも識別情報を示す画像の付加が可能な画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、マゼンタ、シアンおよびブラック色系の各トナー像をシート上に重ねて転写してカラー画像を形成すると共に、カラー画像の形成の際に、カラー画像とは別の、ブラック色系トナーによる特定のパターン画像をシート上に形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、シアン,マゼンタおよびブラック色系のトナー像によりカラー画像を形成する際に、識別情報として一定のパターン画像を、ブラック色系トナーを用いて形成することが可能になる。また、ブラック色でパターン画像を形成すれば、例えばパターン画像がシアン色系のトナー像に重なったとしても、シアン色自体の色合いが略そのままで明暗が画素単位で変わるだけで済み、仮にパターン画像をマゼンタ色で形成するとしたときに色合いが変わってしまい画質劣化に至るといったことを防止できる。
【0009】
また、前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、前記ブラック色系トナーで再現される2つの画素の間隔が1画素相当以上であることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像がより人の目に映り難くなり、パターン画像の形成による画質劣化の防止を図れる。
【0010】
さらに、前記間隔が、3画素相当以上であり95画素相当以下の範囲にあることを特徴とする。
このようにすれば、再現された黒画素の各ドットが人の目に映り難くなると共に、形成されたパターン画像を光電センサ等の検出手段で検出する構成をとる場合に、黒画素の間隔が離れ過ぎることによりパターン画像の一部が検出領域からはみ出てしまい、検出できなくなるといったことを防止できる。
【0011】
また、前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、ブラック色系トナーで再現される画素の、単位面積当たりに占める割合を示す隠蔽率が、0.01〔%〕以上10〔%〕以下であることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像がより人の目に映り難くなり、パターン画像の形成による画質劣化の防止を図れる。
【0012】
また、形成されたパターン画像を検出し、前記隠蔽率を指標するための値を出力する検出手段を備え、前記検出手段からの出力データから、隠蔽率が所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内にないと判断した場合に、隠蔽率が所定の範囲内に入るようにパターン画像の形成条件を変えることを特徴とする。
このようにすれば、隠蔽率が所定の範囲内から外れた場合でも、所定の範囲内に入るように調整を行うことが可能になり、画質劣化のさらなる防止を図ることができる。
【0013】
さらに、前記パターン画像は、シート上におけるカラー画像の形成位置に関わりなくシート上の所定の位置に形成されることを特徴とする。
このようにすれば、パターン画像の形成位置を予め決めておくことができ、パターン画像の形成のための制御を簡素化できる。
また、ブラック色系のトナー像およびパターン画像が、他の色系のトナー像よりも先にシート上に形成される構成になっていることを特徴とする。
【0014】
このようにすれば、より色再現性の向上を図れる。
さらに、マゼンタ色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用マゼンタのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであり、かつ/または、シアン色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用シアンのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであることを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、シート上に形成される画像のイエロー色の再現性をより向上できる。
また、イエロー色を除くマゼンタ、シアン、ブラック色用の現像部を有し、マゼンタ色系のトナー像は、マゼンタ色用の現像部により現像されたものであり、シアン色系のトナー像は、シアン色用の現像部により現像されたものであり、ブラック色系のトナー像および前記パターン画像は、ブラック色用の現像部により現像されたものであることを特徴とする。
【0016】
このようにすれば、現像部を3つ備えるだけで済み、イエロー色用を含む装置に比べて大幅な小型化を図れる。
また、前記カラー画像としてイエロー色系のトナー像をも含む画像を形成可能に構成されると共に、当該イエロー色系のトナー像の形成可否を判断する判断手段を備え、前記判断手段によりイエロー色系のトナー像の形成が不可と判断された場合にのみ、前記パターン画像の形成を実行することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、例えばイエロー色系トナーが消費されてなくなった場合でも、他の3色によるカラー画像形成が可能であると共に識別情報を付加することも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合の例について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、プリンタ1の全体の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ1は、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のそれぞれに対応する作像ユニット2M,2C,2Kと、矢印A方向に回転する中間転写ベルト11を備える中間転写部10と、給送部30と、定着部40と、制御部100とを備えており、ネットワーク、ここではLANに接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)指示を受け付けると、その指示に基づいて画像形成を実行するものである。以下、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をM、C、Kと表し、各再現色に関連する構成部分の番号にこのM、C、Kを添字として付加する。
【0019】
作像ユニット2M〜2Kは、中間転写ベルト11に対向して回転方向上流側(以降、単に「上流側」という)から回転方向下流側(以降、単に「下流側」という)に沿って所定間隔で直列に配置されており、像担持体としての感光体ドラム3M,3C,3Kと、その周囲に配設された帯電器4M,4C,4Kと、露光部5M,5C,5Kと、M色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6M,C色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6C,K色系トナーを含む現像剤が収容されている現像器6Kと、中間転写ベルト11を挟んで感光体ドラム3M〜3Kと対向する一次転写ローラ7M,7C,7Kと、クリーナ8M,8C,8Kなどを備えている。
【0020】
中間転写部10は、駆動ローラ12と、従動ローラ13と、テンションローラ14と、これらローラに張架される中間転写ベルト11と、駆動ローラ12を回転駆動させる駆動モータ(不図示)と、中間転写ベルト11上の残留トナーを清掃するクリーナ15と、中間転写ベルト11上に形成された識別情報としてのK色系(黒色)トナーによるパターン画像(後述)の濃度を検出するための光電センサ16などを備えている。
【0021】
給送部30は、シートとしての用紙Sを収容する給紙カセット31と、給紙カセット31内の用紙Sを1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ32と、繰り出された用紙Sを搬送する搬送ローラ対33と、二次転写位置21に用紙Sを送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対34と、二次転写ローラ35などを備えている。
制御部100は、外部の端末装置からプリント指示を受けると、送信されて来る画像信号を受信して、これをM,C,K色系用のデジタル画像信号に変換し、露光部5M〜5Kを駆動させるための駆動信号を生成する。露光部5Mは、制御部100からの駆動信号を受けてM色系用の画像形成のためのレーザ光を発し、感光体ドラム3M上を主走査方向に露光走査させる。同様に、露光部5C,5Kは、シアン色系,ブラック色系用の画像形成のためのレーザ光を発し、感光体ドラム3C,3K上を露光走査させる。
【0022】
感光体ドラム3M〜3Kは、前記露光を受ける前にクリーナ8M〜8Kで表面の残存トナーが除去され、不図示のイレーサランプに照射されて除電された後、帯電器4M〜4Kにより一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で上記レーザ光による露光を受けると、感光体ドラム3M〜3Kの表面に静電潜像が形成される。
各静電潜像は、それぞれ各色の現像器6M〜6Kにより現像され、これにより感光体ドラム3M〜3K表面にM,C,K色系の現像剤像としてのトナー像が作像され、各一次転写位置9M,9C,9Kにおいて中間転写ベルト11の裏面側に配設された一次転写ローラ7M,7C,7Kに印加された電圧により生じる静電力により、回転する中間転写ベルト11上に順次転写されていく。
【0023】
この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるように、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
中間転写ベルト11上の重ね合わされた各色トナー像は、中間転写ベルト11の回転により二次転写位置21に移動する。
【0024】
一方、中間転写ベルト11の移動タイミングに合わせて、給送部30からは、タイミングローラ対34を介して用紙Sが給送されて来ており、その用紙Sは、回転する中間転写ベルト11と二次転写ローラ35の間に挟まれて搬送され、二次転写位置21において、二次転写ローラ35に印加された電圧により生じた静電力により中間転写ベルト11上のトナー像が用紙S上に二次転写される。
【0025】
二次転写位置21を通過した用紙Sは、定着部40に搬送され、ここでトナー像が加熱、加圧されて用紙Sに定着された後、排出ローラ対36を介して排出トレイ41上に排出される。
これにより、M,C,K色の3色のトナー像によるカラー画像が形成されることになるが、モノクロ、例えばK色の画像形成の場合には、作像ユニット2Kだけが用いられ上記の転写等の工程を経てシート上にK色の画像が形成されることになる。
【0026】
本実施の形態では、イエロー(Y)色を用いない構成としており、そのためにM,C色系トナーについてその色度点が従来のY色を用いる構成のものに対し変更されている。
図2は、L*a*b*表色系におけるM,C色系トナーの色度点を示す色度図である。ここで、M,C色について、白丸印のプロットが従来の構成(Y,M,C色を用いてカラー画像を形成する構成)のトナーの色度点を示しており、四角印が本実施の形態の構成(Y色を用いないでカラー画像を形成する構成)のトナーの色度点を示している。
【0027】
同図に示すように、例えばM色系トナーについて見ると、本実施の形態のものは従来のものよりも赤(R)方向にシフトした位置に色度点を有しており、C色系トナーについて見ると、本実施の形態のものは従来のものよりも緑(G)方向にシフトした位置に色度点を有していることが解る。
ここで、赤方向とは、M色とY色の混色によるR(赤)色の色相方向をいい、赤方向にシフトした位置に色度点を有するとは、M色の色相をR色の色相に近づけることをいう。
【0028】
同様に、緑方向とは、C色とY色の混色によるG(緑)色の色相方向をいい、緑方向にシフトした位置に色度点を有するとは、C色の色相をG色の色相に近づけることをいう。
このようにM,C色系トナーとして、その色度点が従来の構成よりもR、G色の方向にシフトしたものを用いるので、Y色との減法混色で実現されるR色(R=M+Y)、G色(G=C+Y)の色再現性を、Y色系のトナーがなくてもある程度確保でき、R色やG色といった使用頻度の高い色の再現性を向上できる。
【0029】
M,C色系トナーの色度点のシフト量およびシフトの方向は、実験等から予め求めることができ、もちろん上記のものに限られることはない。従来の構成をとるときのトナーの色度点に対し、色度図上においてY色の色相に近づく方向成分を有する方向にシフトした色度点のM,C色系トナーを用いれば、色再現性を向上できるからである。
例えば、ジャパンカラー(JapanColor)を基準とする場合に、2度視野D50の観察条件において、M色系トナーの色度点を、R色(a*:68.5、b*:48.0)の周辺または極めて近い位置に、C色系トナーの色度点を、G色(a*:−73.5、b*:25.0)の周辺または極めて近い位置にとる構成としても良い。
【0030】
さらに、SWOP(Specifications for Web Offset Publications)やEuro Colorなどの別の色基準を用いる場合でも、M,C色系トナーの色度点をR,G色の色相またはY色の色相に近づける構成とすることで同様の効果を得られる。
なお、上記のトナーの製法としては、従来のトナーの製法において、上記色度点を有する色材をバインダ樹脂等に含有する方法等がとられる。
【0031】
図3は、制御部100の構成を示す図である。
同図に示すように、制御部100は、主な構成要素として、CPU101と、通信インターフェース(I/F)部102と、画像処理部103と、識別情報付加部104と、画像メモリ105と、LD駆動部106と、ROM107と、RAM108、識別情報記憶部109と、露光量記憶部110とを備え、バス111を介してデータをやりとりできるようになっている。
【0032】
通信I/F部102は、LANカード、LANボードといったLAN等のネットワークに接続するためのインターフェースである。
画像処理部103は、通信I/F部102を介して受信した画像信号、例えば赤(R),緑(G),青(B)色のデータを、シェーディング等の公知の補正処理を施した後、1画素ごとに、M,C,Kの再現色用のデジタル画像信号(画像データ)に変換する。この変換は、MCK色変換部1031により、UCR(下色除去)やBP(墨生成)、γ補正等の画像処理方法を利用して行われる。
【0033】
具体的には、従来の構成において用いられる、R,G,B色の画像信号を、Y,M,C,K色用の画像データに変換するための変換式や変換テーブル等を、C,M、K色系トナーだけを用いる場合のものに変更することにより実現できる。
より具体的には、例えば変換式等においてY色のデータにかかる係数をゼロにすると共に、M,C色系トナーの色度点等を考慮した上で色再現性が最適なものになるようにM,C,K色系用のデータにかかる係数の値を実験等から求めるものである。
【0034】
なお、係数の値を変える方法に限られず、例えばM,C色系トナーだけを用いてカラー画像を形成する構成に合うように変換式を新たに求める方法等、種々の方法をとることができる。求められた変換式等のデータは、予めROM107に格納され、当該画像処理の際に読み出されて画像データへの変換処理に供される。
M,C,K色用の画像データは、1画素ごとに画像メモリ105に格納されるが、K色用の画像データについては、識別情報付加部104において識別情報が付加されてから画像メモリ105に格納される。この識別情報付加処理については後述する。
【0035】
LD駆動部106は、CPU101の制御を受けて画像メモリ105から走査ラインごとにM,C,K色の画像データを読み出し、露光部5M〜5Kを駆動する。
識別情報記憶部109は、不揮発性メモリからなり、識別情報の一つとしての製造番号を示すデータが格納されている。ここでは、製造番号として例えば「14402」という数値を示すデータが格納されているものとする。なお、製造番号は、装置を識別するためのものであるから、製造時に装置ごとに異なる番号が付与されて当該識別情報記憶部108に格納されることになる。
【0036】
露光量記憶部110は、不揮発性メモリからなり、露光部5Kによる露光時のレーザ光の強度を示す強度データが格納されている。LD駆動部106は、露光量記憶部110に格納されている強度データを読み出し、露光部5Kに対し、レーザ光が強度データの強度で出射されるように指示する。この強度データの値は、後述の露光量制御処理により更新される。
【0037】
ROM107は、作像ユニット2M〜2K、中間転写部10における作像動作および給送部30による用紙Sの給送動作に関するプログラム、識別情報付加処理、露光量制御処理に関するプログラムなどを格納している。
RAM108は、CPU101におけるプログラム実行時のワークエリアとなる。
CPU101は、ROM107から必要なプログラムを読み出して、作像、給送動作等をタイミングを取りながら統一的に制御して円滑なプリント動作を実行させる。また、露光量制御処理を実行する。
【0038】
さらに、識別情報付加部104に指示して、識別情報付加処理を実行し、K色の画像データに、識別情報としての製造番号、出力日時およびシークレット情報を付加させる。
ここで、出力日時とは、プリント出力された日時をいい、シークレット情報とは、任意の情報、例えば装置名等が考えられる。なお、日時は、制御部100内部のタイマー(不図示)により計時される。シークレット情報は、予めROM107に格納されていても良いし、ユーザ等が図示しない操作パネル等から設定入力する構成をとるとしても良い。
【0039】
図4は、プリント出力された用紙上のどの位置にどの情報が識別情報として付加されるのかを示した模式図である。なお、同図では、識別情報としてのパターン画像だけが示されており、本来の形成画像については省略されている。
同図に示すように、矩形領域51には、製造番号を示すパターン画像61が、領域52には、出力日時を示すパターン画像62が、領域53には、シークレット情報を示すパターン画像63が、それぞれ複数個ずつ主走査および副走査方向に所定の間隔をおいて形成されるようになっている。
【0040】
図5は、1つのパターン画像61を拡大して示した図である。
同図では、1つの矩形が1つの画素に相当し、横20画素×縦40画素(合計800個の画素)からなるブロック領域70を示しており、黒色で示した5つの画素81〜85と白色で示した795個の画素とでパターン画像61を構成している。以下、黒色の画素を黒画素という。
【0041】
横軸(X軸:主走査方向に相当)は製造番号の桁数(1〜5)を、縦軸(Y軸:副走査方向に相当)は数値(0〜9)を示すものとして用いられる。
桁数と数値とは、横4画素×縦4画素からなる16個の画素群を1つの部分領域(太線で区別された領域。全部で50個)とし、この部分領域単位で特定される。
具体的には、黒画素81は、横軸と縦軸で示される「1」桁目の数値「1」を示す部分領域71に属しているので、製造番号の1桁目は「1」になる。同様に、黒画素82,83は、「2」,「3」桁目の数値「4」を示す部分領域72,73に属しているので、2,3桁目は「4」になる。黒画素84,85は、「4」,「5」桁目の数値「0」,「2」を示す部分領域74,75に属しているので、4,5桁目は「0」,「2」になる。これよりパターン画像61は、製造番号「14402」を示していることが判る。
【0042】
桁数と数値を表す黒画素81〜85として、各部分領域の左上の角に位置する画素を用いるのは、黒画素の間隔を主走査方向に3画素相当分あけるためである。
すなわち、黒画素が隣接、またはその間隔が1画素程度のように狭いと、例えば感光体ドラムの感度ばらつき等により再現性が低下したときに2つの黒画素がくっついたように再現されてしまい製造番号として認識され難くなる場合があるからである。この画素間隔の最小値については副走査方向についても同様であるが、主走査方向に3画素分相当の間隔があれば、副走査方向の間隔については3画素よりも狭くするとしても良い。いずれかの方向に3画素分相当の間隔をあけることが望ましいが、再現性低下の程度が少ない場合には、例えば黒画素を隣接させる、または1画素分だけあける等の構成をとるとしても良い。
【0043】
なお、両端に当たる、黒画素81と黒画素85の間隔の最大値については、95画素分相当までとすることが望ましい。
これは、画素の解像度と光電センサ16の検出領域とに関係している。すなわち、露光量制御処理では、後述のように中間転写ベルト11上にパターン画像61を形成し、形成されたパターン画像61を光電センサ16により検出するといった処理を行っており、両端の黒画素の間隔を広げすぎると一方端の黒画素が検出領域からはみ出してしまい検出できなくなるおそれが生じるからである。
【0044】
具体的には、例えば光電センサ16による中間転写ベルト11上における検出領域の主走査方向の幅を4〔mm〕、画素の解像度〔dpi:dot per inch〕を600〔dpi〕とすると、4〔mm〕の範囲は、約95画素となる。この両端の黒画素の間隔は、光電センサ16の検出領域と装置の解像度とに応じて決められることになる。
また、単位面積当たりに占める黒画素の割合を示す隠蔽率Pを10〔%〕以下にすることが望ましい。ここで、隠蔽率Pは、次の(式1)で表すことができる。
【0045】
P=(黒画素の数)×100/(黒画素が属する部分領域を取り囲む矩形領域の画素数)・・・(式1)
図5の例の場合では、黒画素の数が「5」、黒画素が属する部分領域が「部分領域71〜75」、その部分領域71〜75を取り囲む矩形領域が「桁数5×数値5の範囲で表される25個の部分領域」、その矩形領域の画素数が「400個(=25×16)」になるので、P=(5×100)/(400)=1.26〔%〕になる。なお、処理の簡素化を図るため、例えば分母の数値を固定、具体的には「800」等とするとしても良い。
【0046】
隠蔽率Pとは、上記式(1)より、用紙(シート)上の白色部分の単位面積当たりにおける黒色の面積の割合を示すものといえるから、このPの値が大きくなるということは、黒色部分の面積が増えることを意味し、人の目にパターン61が感じられ易くなる。
ところで、画像形成装置の分野では、用紙の地肌(本来の非画像形成領域)にトナー粒子が付着することを「かぶる」といい、その濃度を「かぶり濃度」と表現することが行われている。
【0047】
かぶり濃度Dは、通常、光学式の反射濃度計を用いて、かぶりが生じている部分の反射率Rを計測することで求めることができる。反射率Rは、常用対数値のことであり、次の(式2)で表される。
D=log10(1/R)・・・(式2)
このかぶり濃度Dは、その値が大きくなるほど、付着したトナーにより濃度が濃くなり、人の目にはDの値が0.2を超えるあたりから画像が見え始める、すなわち感じ易くなることが経験的に判っている。
【0048】
図6は、かぶり濃度Dと隠蔽率Pの関係を示す図である。
同図のグラフに示すように、かぶり濃度Dが0.2に対応する隠蔽率Pの値が10〔%〕になっており、これよりPの値が10〔%〕以下になるようにパターン画像61を形成すれば、人の目に感じられ難くなることが判る。図5の例では、上記のように1.25〔%〕になっており、感じられ難い範囲に入っていることになる。
【0049】
なお、隠蔽率Pの最小値としては、0.01〔%〕以上であることが望ましい。これは、次の理由による。すなわち、図6のグラフによれば、隠蔽率Pが小さいほどかぶり濃度Dも小さくなって、より人の目に感じられ難くなることが判る。ところが、隠蔽率Pを小さくするとは、黒画素の間隔が広くなることを意味するから、隠蔽率Pを小さくすれば、それだけ一方端の黒画素81から他方端の黒画素85までの長さが長くなることになる。光電センサ16による検出領域は、通常、数ミリ程度であるので、画素間隔が長くなり過ぎるとその検出領域をはみ出してしまい、検出できない画素が出てくるおそれがあるからである。0.01〔%〕以上としておけば、このような画素検出の欠落が生じないことが実験等から確認されている。
【0050】
上記では、パターン画像61について説明したが、パターン画像62,63についても同様に、複数個の黒画素の並びにより出力日時等を示すものとして決められたパターンが矩形領域52,53内に付加される。パターン画像61〜63それぞれの、用紙1ページ内における形成位置は、X−Y座標系の座標位置で決められており、そのデータは予めROM107に格納されている。
【0051】
図7は、識別情報の付加処理の内容を示すフローチャートである。この処理は、識別情報付加部104により実行される。
同図に示すように、画像処理部103からK色用の画像データを受信すると(ステップS11)、その画像データを一時的にRAM108に格納する(ステップS12)。
画像データは、画素ごとにその階調値、例えば256階調とすると0〜255のうちのいずれかの値を示すデータになっている。ここで、階調値は、その値が小さくなるに連れて濃度が高く(より黒色に近く)なる。
【0052】
そして、識別情報を取得する(ステップS13)。具体的には、製造番号については、識別情報記憶部109に格納されているデータを読み出す。日時については、上記タイマーにより計時される値を取得する。シークレット情報については、当該情報としてROM107に格納されているデータを読み出す。
次に、識別情報を表すための画素を特定する(ステップS14)。この特定の方法を、識別情報を製造番号「14402」とした場合の例で説明する。
【0053】
(a)ROM107に格納されているパターン画像61の形成位置を示す座標位置のデータを読み出す。
(b)RAM108の格納領域に展開されているK色用の画像データの、全画素の中から、各パターン画像61について、読み出した座標位置に対応するブロック領域70(図5)を特定する。
【0054】
(c)特定されたブロック領域70内に含まれる50個の部分領域のうち、読み出された製造番号の1桁目から5桁目までの数値「14402」に対応する5つの部分領域がどれに当たるのかを特定する。図5の例では、部分領域71〜75になる。
(d)特定された5つの部分領域それぞれの左上角に位置する画素、図5の例では画素81〜85を、製造番号を表すための画素として特定するものである。他の出力日時等についても同様の方法で画素を特定することができる。
【0055】
続いて、特定された画素の階調値を、最高濃度値を示す値に変更する(ステップS15)。例えば、製造番号の場合には、ブロック領域70内の、特定された5つの画素(黒画素81〜85)の階調値を「0」にする。これにより、もともとK色の画像データの、ブロック領域70における全ての画素の階調値が「255」、すなわち白を表すものであった場合には、プリント出力時のK色の作像では、パターン画像61(図4)として、ブロック領域70内の5つの画素81〜85だけが黒色に変わり、残り795個の画素がそのまま白色の状態で再現されることになる。なお、もとの階調値が「0」である場合には、そのまま「0」とされる。
【0056】
他の出力日時等についても同様の方法で画素の階調値が変更される。これにより、識別情報を含むK色の画像データが生成されたことになる。
識別情報を含むK色の画像データを画像メモリ105の所定の格納領域に格納させて(ステップS16)、当該識別情報付加処理を終了する。
これにより、カラー画像のプリントの際に、入力画像とは別の識別情報を示すパターン画像61〜63がK色系トナーにより用紙上に形成されることになる(図4)。
【0057】
上記のようにパターン画像61〜63は、用紙上の所定位置に形成されるので、例えば黒画素がM色だけからなる画像に重なる場合があり得るが、その重なる部分は1画素分という微小な範囲で済むので、人の目にはほとんど感じられない(気付かれない)。また、重なる部分では、M色+K色となって、M色の明度が画素単位である程度低下するだけで済み、仮にC色系トナーでパターン画像を形成する構成としたときにM+C色となって、M色の色が、青みがかった色に変わってしまうといったことが起こらない。
【0058】
図8は、露光量制御処理の内容を示すフローチャートである。
この処理は、隠蔽率Pを略一定に維持するために行われる。すなわち、隠蔽率Pは、1.25〔%〕で一定であることが望ましいが、実際には、感光体ドラムの局所的な感度ばらつきやトナー帯電量が分布を持つことにより、現像特性等が局所的にばらついており、黒画素の1ドットの径が本来の1画素相当よりも大きくなったり小さくなったりしてばらつくことが多い。黒画素の大きさがばらつくと、隠蔽率Pにも影響を与え、例えば隠蔽率Pが大きくなるとパターン画像61が人の目に感じられ易くなり、逆に小さくなるとパターン画像61自体が識別情報として識別され難くなってしまうことが生じるからである。
【0059】
なお、この処理は、所定のタイミング、例えば装置に電源を投入するごと、所定時間経過するごと、プリント動作の累積回数が所定回数を超えるごと、発生したエラー(紙詰まり等)が解除されるごと、感光体ドラム等の画像形成に関与する部材が交換されるごと等に実行される。
同図に示すように、中間転写ベルト11を回転させると共に作像ユニット2Kを用いて所定数のパターン画像61をテストパターンとして中間転写ベルト11上に形成する(ステップS21)。その際、露光量としては、露光量記憶部110に現に格納されている強度データが読み出され、その強度にてK色のレーザ光による露光が実行される。なお、作像ユニット2M,2Cについては停止させたままとする。
【0060】
形成されたパターン画像61を光電センサ16により検出する(ステップS22)。具体的には、中間転写ベルト11上における一次転写位置9Kから光電センサ16の検出位置までの距離をL、中間転写ベルト11の搬送速度をVとして、値Lを値Vで除した時間t(=L/V)を予め求めておく。そして、パターン画像61が中間転写ベルト11上に一次転写された時から計時を開始し、その経過時間がtに達した時点で、光電センサ16からの信号を受信する。
【0061】
そして、受信した信号から隠蔽率Pを推定する(ステップS23)。
具体的には、まず図9に示す光電センサ16の出力電圧Vと隠蔽率Pとの対応関係を示すグラフのデータをROM107から読み出す。そして、当該グラフから、光電センサ16の出力電圧値Vに対応する隠蔽率Pの値を求め、求めたPの値を推定値とする。同図のグラフを見れば、光電センサ16の出力電圧がV1のときに、隠蔽率Pが狙いの5〔%〕に相当し、出力電圧がV2のときに、Pが上限の10〔%〕に相当することが判る。
【0062】
このように出力電圧Vと隠蔽率Pが反比例の関係になるのは次の理由による。
すなわち、光電センサ16は、例えばLEDなどの発光素子と、発光素子から発せられる光の、パターン画像61からの反射光を受光するフォトダイオードなどの受光素子とを備えた反射型のものが用いられる。
ここで、隠蔽率Pとは、白色部分の単位面積当たりに占める黒色部分の割合を示すものといえ、隠蔽率Pが大きくなると、黒色部分が増えて光電センサ16の受光素子で受光される反射光が少なくなって出力電圧Vが低下し、隠蔽率Pが小さくなると、黒色部分が減って反射光が多くなり出力電圧Vが上昇するという関係があるからである。
【0063】
なお、図9に示すグラフは、予め実験等から求めることができ、そのデータがROM107に格納される。この意味で、出力電圧Vの値とは、隠蔽率を指標するための値といえる。なお、当該値としては、出力電圧に限られず、隠蔽率との関係から隠蔽率を求めることができるものであれば、例えば出力電流の値であっても良いし、反射光そのものの量であっても良い。また、隠蔽率が直接計測される場合にはその計測値とすることができる。
【0064】
ステップS23で推定された隠蔽率Pの値が所定範囲内か否かを判断する(ステップS24)。ここで、所定範囲とは、0.01〔%〕以上、10〔%〕以下の範囲である。
隠蔽率Pが所定範囲内であることを判断すると(ステップS24で「YES」)、そのまま当該処理を終了する。
一方、隠蔽率Pが所定範囲内ではない、すなわちP<0.01または10<Pと判断すると(ステップS24で「NO」)、露光量を変更する処理を行う(ステップS25)。ここでは、露光量記憶部110に格納されている強度データの値を変更する。
【0065】
例えば、P<0.01の場合には、感光体ドラム3Kの感度ばらつき等により、黒画素として形成された1ドットの径が1画素相当よりも小さくなっていることが考えられるので、露光に用いるレーザ光の強度がより大きくなるように、現在の強度データの値に所定値を加算した値を上書き保存して、ステップS21に戻る。例えば、感光体ドラムおよびトナーの帯電特性が負(マイナス)、現像方式が反転現像方式をとる構成の場合には、レーザ光の強度がより大きくなるように強度データの値が書き換えられる(更新される)。
【0066】
これにより、2回目にパターン画像61が形成される際には、1回目よりもレーザ光の強度が上がる。レーザ光は、ガウシアン型をしているので、ビーム強度を上げると感光体ドラム上における本来の黒色の1画素分の領域だけでなく、その周辺部分の電位もある程度減衰することになる。電位が減衰すると、現像工程においてトナーが現像器から感光体ドラムに移動し易くなるから、1画素の周辺部分にも黒色のトナーが付着し易くなり、黒画素の径がより長くなる方向に作用し、もって隠蔽率Pを上昇させることができる。
【0067】
10<Pの場合には、P<0.01の場合の逆、すなわちレーザ光の強度が下がるように、現在の強度データの値に所定値を減算した値を上書き保存して、ステップS21に戻る。2回目にパターン画像61が形成される際には、1回目よりもレーザ光の強度が下がり、黒画素の径を小さくでき隠蔽率Pを下降させることができる。
隠蔽率Pが所定範囲内に入るまで、ステップS21〜S25の処理が繰り返し実行される。なお、黒画素の径を大または小にする方法については、パターン画像の形成条件として、レーザ光の強度を変えるだけに限られず、例えば感光体ドラムの帯電電位や現像器に印加される現像バイアス電圧等を可変する構成としても良い。
【0068】
また、繰り返し回数が所定回数、例えば10回を超えてもPの値が所定範囲内に入らない場合には、当該処理を中止し、その旨を不図示の操作パネル等の表示手段にメッセージ等により表示させるとしても良い。
このように制御することにより、感光体ドラムの感度ばらつき等が生じても、パターン画像を適正な状態で形成することが可能になる。
【0069】
(第2の実施の形態)
上記実施の形態では、Y色を除くM,C,Kの3色用の作像ユニット2M〜2Kを備えるプリンタの構成例を説明したが、本実施の形態では、Yを含む4色の構成になっており、この点が異なっている。以下、第1の実施の形態における構成と異なる部分を中心に説明し、同じ部分についてはその説明を省略すると共に、同じ符号を付すものとする。
【0070】
図10は、本実施の形態にかかるプリンタ201の構成を示す図である。
同図に示すように、プリンタ201は、作像ユニット2M〜2Kに加えてY色用の作像ユニット2Yを備えている。
作像ユニット2Yは、像担持体としての感光体ドラム3Yと、その周囲に配設された帯電器4Yと、露光部5Yと、Y色系のトナーを含む現像剤が収容されている現像器6Yと、一次転写ローラ7Yと、クリーナ8Yなどを備えている。ここで使用されるY,M,C,K色系のトナーは、従来の4色を用いてカラーを再現する構成(4色構成)におけるトナーに相当(4色構成と同じ色度点を有するトナーに相当)するものである。
【0071】
カラー画像形成の際には、Y色の作像ユニット2Yが他の作像ユニット2M等と連動して、Y,M,C,K色系のトナー像が中間転写ベルト11上に一次転写され、その各トナー像が二次転写位置21において用紙S上に一括して転写(二次転写)される。この動作自体は、従来の4色構成のプリンタと同じである。
現像器6Yには、収容されているトナーの残量を検知するためのトナー残量検出センサ210Y(図11参照)が設けられている。同様に、現像器6M〜6Kには、トナー残量検出センサ210M〜210Kが設けられている。トナー残量検出センサ210Y〜210Kとしては、公知の液面センサや光電センサ等を用いることができる。ここでは、その具体的な説明を省略する。
【0072】
トナー残量検出センサ210Y〜210Kによる検出信号は、制御部202に送られる。制御部202は、トナー残量検出センサ210Y〜210Kからの検出信号により、現像器6Y〜6K内にトナーが残っているか否かを検出することができる。
図11は、制御部202の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部202は、画像処理部として203を、LD駆動部として204を備えており、さらに識別情報付加部205を備えている。
【0073】
画像処理部203は、YMCK変換部211と、MCK変換部212を備えている。
YMCK変換部211は、R,G,B色のデータを、Y,M,C,Kの再現色用の画像データに変換するものであり、この変換方法は、基本的に従来の4色構成の装置と同じ方法とすることができる。
一方、MCK変換部212は、第1の実施の形態におけるMCK変換部1031に相当するものであるが、ここではM,C色系のトナーとして従来の4色構成に相当するものが用いられるので、当該トナーを用いてカラー画像を形成する場合の適正なものになるように、その変換式、係数等が予め実験等から決められている。
【0074】
識別情報付加部205は、Y色の画像データに識別情報を付加するものであり、基本的には従来のものと同じ機能を有するものを用いることができる。これによりY色のトナー像によるパターン画像が形成されることになる。
図12は、画像処理部203における変換処理の内容を示すフローチャートである。
同図に示すように、カラー画像形成を行う前に、Y色のトナー像の形成可否、ここではY色系のトナーの有無を判断する(ステップS31)。この判断は、トナー残量検出センサ210Yからの検出信号を参照することにより行われる。なお、他の色系のトナーは各現像器に収容されているものとする。
【0075】
Y色のトナー像を形成できない、すなわち現像器6Y内にY色系トナーが残っていないことを判断すると(ステップS31で「NO」)、使用すべき変換処理部としてMCK変換部212を選択する(ステップS32)。
そして、選択した変換部、ここではMCK変換部212に、入力データとしてのR,G,B色のデータを送る(ステップS33)。MCK変換部212において、R,G,B色のデータをM,C,K色の画像データに変換し(ステップS34)、変換後のデータを出力して(ステップS35)、当該処理を終了する。
【0076】
これにより、M,C,K色の画像データは、画像メモリ105に送られるが、K色については、識別情報付加部104を介して画像メモリ105に送られる構成がとられ(図11の実線参照)、K色のパターン画像が識別情報として形成されることになる。この点は、第1の実施の形態と同じである。
画像メモリ105に格納されたM,C,K色の画像データは、LD駆動部204により読み出される。LD駆動部204は、読み出した画像データに基づいて露光部5M,5C,5Kの駆動信号を生成し、露光部5M,5C,5Kを駆動する。これにより、当該3色によるカラー画像が形成される。
【0077】
一方、Y色のトナーが残っていることを判断すると(ステップS31で「YES」)、使用すべき変換処理部としてYMCK変換部211を選択して(ステップS36)、ステップS33に移る。
これにより、R,G,B色のデータがYMCK変換部211に送られ(ステップS33)、YMCK変換部211において、R,G,B色のデータがY,M,C,K色の画像データに変換された後(ステップS34)、出力される(ステップS35)。
【0078】
この場合、Y色の画像データについては、識別情報付加部205を介して画像メモリ105に送られ、K色の画像データについては、識別情報付加部104を介さないで画像メモリ105に送られる構成がとられる(図11の一点鎖線参照)。これにより、Y色のパターン画像が識別情報として形成されることになる。
LD駆動部204は、画像メモリ105に格納されているY,M,C,K色の画像データを読み出し、読み出した画像データに基づいて露光部5Y,5M,5C,5Kの駆動信号を生成し、露光部5Y〜5Kを駆動する。これにより、4色によるカラー画像が形成される。
【0079】
このように本実施の形態では、Y色を含む4色のカラー画像の形成が可能な構成であり、Y色系のトナーがない場合には、M,C,K色系のトナーを用いてカラー画像を形成すると共に、識別情報としての画像パターンをK色で形成するので、従来のようにY色のトナーがないために識別情報を付加できないといったことがなくなる。
このことは、Y色系のトナーがなくてもカラー画像の形成が可能なことを意味しており、例えば会社のオフィスなどにおいてグラフなどの図表を、厳密に色再現できなくてもカラー表現できれば良いと考えるユーザなどにとって大変使い勝手が良くなる。
【0080】
なお、上記ではY色トナー像の形成可否の判断として、Y色系のトナーの有無を判断するとしたが、これに限られない。例えば、作像ユニット2Yが故障等により動作できない場合や交換時期に達した場合などを判断するとしても良い。
また、例えばY色を除くトナーが用いられる旨をユーザに通知する構成をとるとしても良い。具体的には、画像形成の前にその旨をメッセージ表示させたり、音声出力等させたりする方法をとることができる。この場合、ユーザからの画像形成の許可を受け付けたときに当該画像形成を開始させるとすれば、ユーザにとってより便利である。
【0081】
なお、本発明は、画像形成装置に限られず、上記パターン画像の形成方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
【0082】
また、本発明に係るプログラムは、上記に説明した処理をコンピュータに実行させるための全てのモジュールを含んでいる必要はなく、例えば通信プログラムやオペレーティングシステム(OS)に含まれるプログラムなど、別途情報処理装置にインストールすることができる各種汎用的なプログラムを利用して、本発明の各処理をコンピュータに実行させるようにしても良い。従って、上記した本発明の記録媒体に必ずしも上記全てのモジュールを記録している必要はないし、また必ずしも全てのモジュールを伝送する必要もない。さらに所定の処理を専用ハードウェアを利用して実行させるようにすることができる場合もある。
【0083】
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態では、製造番号を5つの黒画素の形成位置で表すとしたが、黒色のトナーにより特定のパターン画像を形成する構成であれば、画素の数、その形成位置等はもちろんその表現の仕方は、これに限定されない。例えば、文字や数値そのものを黒画素により表現したり、シート上の任意の位置に形成したりする方法をとるとしても良い。
【0084】
(2)上記第1の実施の形態では、MとC色系のトナーとして、従来のM,C,Y,Kの4色を用いる構成のものに対し色度図上でY色の方向にシフトさせたものを用いるとしたが、これに限定されない。例えば、MとC色系のトナーとして、従来と同等の色度点をもつものを用いるとしても良い。この場合、Y色の再現性がある程度低下することは否めないが、例えば上記のように会社のオフィスなどにおいてグラフなどの図表をカラーで表現できれば良いと考えるユーザなどにとっては利便性がある。
【0085】
さらに、トナーの色度点の調整次第では、M或いはC色のいずれか一方のみを、シフトしていない従来相当の色度点を有するトナーを用いるとすることも考えられる。具体的には、シフトさせたM色のトナーと、シフトさせていないC色のトナーとの組み合わせて用いることによりカラー画像を形成するものである。
(3)上記実施の形態では、光電センサ16を中間転写ベルト11に対向する位置に配置し、中間転写ベルト11上に形成されたパターン画像を検出するとしたが、パターン画像を検出できれば、光電センサ16の位置は、その位置に限定されない。例えば、感光体ドラム3K表面に近接した位置に光電センサ16を配置し、感光体ドラム3K上に形成されたパターン画像を検出するとしても良い。
【0086】
(4)上記第1の実施の形態における画像形成装置としては、M,C,K色用の3つの作像ユニットのみを用いてカラー画像を形成する装置であれば、プリンタに限られず、複写機、MFP(Multiple Function Peripheral)、ファクシミリ装置等に適用できる。
また、タンデム方式としては、上記のものに限られず、例えば記録のためのシートを、転写ベルト上を搬送させ、搬送されるシート上に、感光体ドラム3M〜3K上に作像されたM,C,K色のトナー像を順次転写して行く構成のものにも適用できる。
【0087】
さらに、タンデム方式に限られず、例えばM,C,K色用の3つの現像器を切り換えて、像担持体上に各色のトナー像を順次作像する作像手段を備え、前記作像手段により前記像担持体上に作像されたトナー像を、転写ドラム等の転写材搬送体により搬送されるシート上に多重転写することによりカラー画像を形成する、いわゆる転写ドラム方式や、前記像担持体上に作像されたトナー像を、中間転写ベルト等の転写体上に多重転写し、その多重転写されたトナー像をさらにシート上に一括転写することによりカラー画像を形成する、いわゆる中間転写体方式等の画像形成装置にも適用できる。タンデム方式等に限らないことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0088】
(5)また、上記第1の実施の形態では、作像ユニット2K(感光体ドラム3K)を搬送ベルト11の搬送方向の最下流側に位置させ、用紙S上でM,C,K色のトナー像が重ね合わされるときに、K色が最下層、その上にM,C色のトナー像が位置する状態になるようにした。これは、K色を最下層に位置させると、その上に位置するM,C色のトナーを定着部40においてより溶融させることができ、もって発色が良くなって、色再現性をより向上させることができるからである。
【0089】
このことは、タンデム方式に限られず、転写ドラム方式等に適用でき、K色が最下層に位置するように、各色用の感光体ドラムの位置、現像器の切り換え順序等を決めれば良い。なお、現像特性、定着特性等によって作像ユニット2Kを、どの位置に配しても再現性に差がほとんど変わらない場合等もあり、その意味で作像ユニット2Kを最下流側に位置させることには限定されない。作像ユニット2M〜2Kを実験等から最適な位置に配置するとすることができる。これらのことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0090】
また、上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、カラー画像に特定のパターン画像を付加する機能を有する画像形成装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】第1の実施の形態におけるプリンタ1の全体の構成を示す図である。
【図2】L*a*b*表色系におけるM,C色のトナーの色度点を示す色度図である。
【図3】プリンタ1の制御部100の構成を示す図である。
【図4】プリント出力された用紙上のどの位置にどの情報が識別情報として付加されるのかを示した模式図である。
【図5】識別情報としての1つのパターン画像61を拡大して示した図である。
【図6】かぶり濃度Dと隠蔽率Pの関係を示す図である。
【図7】識別情報の付加処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】露光量制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】光電センサ16の出力電圧Vと隠蔽率Pとの対応関係を示す図である。
【図10】第2の実施の形態にかかるプリンタ201の構成を示す図である。
【図11】プリンタ201の制御部202の構成を示すブロック図である。
【図12】制御部202の画像処理部203における変換処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1、201 プリンタ
2Y,2M,2C,2K 作像ユニット
6Y,6M,6C,6K 現像器
61〜63 画像パターン
81〜85 黒色の画素
100、202 制御部
104 識別情報付加部
1031 MCK変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マゼンタ、シアンおよびブラック色系の各トナー像をシート上に重ねて転写してカラー画像を形成すると共に、カラー画像の形成の際に、カラー画像とは別の、ブラック色系トナーによる特定のパターン画像をシート上に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、
前記ブラック色系トナーで再現される2つの画素の間隔が1画素相当以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記間隔が、3画素相当以上であり95画素相当以下の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、
ブラック色系トナーで再現される画素の、単位面積当たりに占める割合を示す隠蔽率が、0.01〔%〕以上10〔%〕以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
形成されたパターン画像を検出し、前記隠蔽率を指標するための値を出力する検出手段を備え、
前記検出手段からの出力データから、隠蔽率が所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内にないと判断した場合に、隠蔽率が所定の範囲内に入るようにパターン画像の形成条件を変えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パターン画像は、シート上におけるカラー画像の形成位置に関わりなくシート上の所定の位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ブラック色系のトナー像およびパターン画像が、他の色系のトナー像よりも先にシート上に形成される構成になっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
マゼンタ色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用マゼンタのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであり、かつ/または、
シアン色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用シアンのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
イエロー色を除くマゼンタ、シアン、ブラック色用の現像部を有し、
マゼンタ色系のトナー像は、マゼンタ色用の現像部により現像されたものであり、
シアン色系のトナー像は、シアン色用の現像部により現像されたものであり、
ブラック色系のトナー像および前記パターン画像は、ブラック色用の現像部により現像されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カラー画像としてイエロー色系のトナー像をも含む画像を形成可能に構成されると共に、当該イエロー色系のトナー像の形成可否を判断する判断手段を備え、
前記判断手段によりイエロー色系のトナー像の形成が不可と判断された場合にのみ、前記パターン画像の形成を実行することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
マゼンタ、シアンおよびブラック色系の各トナー像をシート上に重ねて転写してカラー画像を形成すると共に、カラー画像の形成の際に、カラー画像とは別の、ブラック色系トナーによる特定のパターン画像をシート上に形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、
前記ブラック色系トナーで再現される2つの画素の間隔が1画素相当以上であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記間隔が、3画素相当以上であり95画素相当以下の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記パターン画像は、ブラック色系トナーで再現される画素と白色で再現される画素からなり、
ブラック色系トナーで再現される画素の、単位面積当たりに占める割合を示す隠蔽率が、0.01〔%〕以上10〔%〕以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
形成されたパターン画像を検出し、前記隠蔽率を指標するための値を出力する検出手段を備え、
前記検出手段からの出力データから、隠蔽率が所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の範囲内にないと判断した場合に、隠蔽率が所定の範囲内に入るようにパターン画像の形成条件を変えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記パターン画像は、シート上におけるカラー画像の形成位置に関わりなくシート上の所定の位置に形成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ブラック色系のトナー像およびパターン画像が、他の色系のトナー像よりも先にシート上に形成される構成になっていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
マゼンタ色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用マゼンタのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであり、かつ/または、
シアン色系トナーは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック色系の4色でカラー画像を形成する場合に用いられるフルカラー用シアンのトナーよりも、色度図上の色度点がイエローの色相に近づく方向にシフトしたトナーであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
イエロー色を除くマゼンタ、シアン、ブラック色用の現像部を有し、
マゼンタ色系のトナー像は、マゼンタ色用の現像部により現像されたものであり、
シアン色系のトナー像は、シアン色用の現像部により現像されたものであり、
ブラック色系のトナー像および前記パターン画像は、ブラック色用の現像部により現像されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記カラー画像としてイエロー色系のトナー像をも含む画像を形成可能に構成されると共に、当該イエロー色系のトナー像の形成可否を判断する判断手段を備え、
前記判断手段によりイエロー色系のトナー像の形成が不可と判断された場合にのみ、前記パターン画像の形成を実行することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−158454(P2007−158454A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347064(P2005−347064)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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