説明

画像形成装置

【課題】マガジンに収納される長尺の印画紙を、プリントデータに対応した長さだけ引出して裁断し、その引出した印画紙上に露光を行ってゆく写真処理装置において、印画紙や作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮する。
【解決手段】マガジンから引出した印画紙の残量をカウントしておき、プリントデータを受信すると(S1)、カウント値が予め定める切換え閾値Lthに達しているか否かで(S2)、マガジンからの印画紙の引出しを、処理能力優先モードとするか(S3)、節約優先モードとするか(S4)を判定して、カッターおよび搬送系などを制御する。前記処理能力優先モードでは、マガジンから印画紙を引出しつつ露光を行い、前記節約優先モードでは、前記プリントデータに対応した長さだけ、一旦印画紙を引出した後に露光を行う。したがって、印画紙や作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印画紙に画像形成してゆく写真処理装置として好適に実施される画像形成装置に関し、特に長尺の記録材を画像形成の度に必要な長さだけ収納部材から引出し、裁断して使用するものに関する。
【背景技術】
【0002】
前記のように収納部材に収納される長尺の記録材を、画像形成の度に、引出し手段がその時の画像形成に必要な長さだけ引出して裁断し、画像形成手段がその引出された記録材上に画像形成を行う画像形成装置において、典型的な従来技術では、前記引出し手段が記録材を引出しつつ、それに連動して画像形成手段が画像形成を行うように構成されている。しかしながら、このような従来技術では、記録材の引出しと画像形成とが連動した処理となるので、処理能力は高いものの、記録材の無駄が多いという問題がある。
【0003】
具体的には、前記収納部材内の記録材の残量が、たとえば90インチしか残っていないのに、100インチの画像形成を行ってしまうと、前記90インチ分の画像形成に要した時間が無駄になり、かつ記録材は廃棄になるとともに、その廃棄作業に要する時間が必要になり、無駄が多い。一方、前記90インチの記録材でも、10インチの画像形成であれば9枚行うことができ、このような記録材の無駄を無くすことが望まれる。
【0004】
そこで、上述のような問題を解決することができる他の従来技術が、特許文献1に示されている。その従来技術では、画像形成の度に、一旦前記引出し手段に記録材を画像形成に必要な長さだけ引出させ、必要な長さが残されている場合だけ画像形成を行うことで、記録材の無駄を無くしている。
【特許文献1】特公平7−58394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術では、記録材および作業時間の無駄を無くすことはできるものの、画像形成の度に、一旦必要な長さだけ記録材を引出した後に画像形成を行わなければならず、処理に時間がかかり、処理能力が低くなるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、記録材や作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、収納部材に収納される長尺の記録材を引出す引出し手段と、引出された記録材上に画像形成を行う画像形成手段とを有する画像形成装置において、予め設定された記録材の全長から、前記引出し手段による引出し量を減算して記録材の残量を求める残量検出手段と、前記残量検出手段の検出結果が、予め定めた長さに達するまでは、前記引出し手段に記録材を引出させつつ、画像形成手段に画像形成を行わせ、前記予め定める長さに達すると、前記引出し手段に記録材を画像形成に必要な長さだけ一旦引出させた後に、画像形成手段に画像形成を行わせる制御手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、写真処理装置などのように、収納部材に収納される長尺の記録材を、画像形成の度に、引出し手段がその時の画像形成に必要な長さだけ引出し、画像形成手段がその引出された記録材上に画像形成を行う画像形成装置において、残量検出手段を設け、使用者の設定によって、或いは前記収納部材に記録されている種別を読取り手段で読取るなどして、前記残量検出手段に記録材の全長を予め設定しておき、該残量検出手段は、その全長から、前記引出し手段による引出し量を減算して記録材の残量を求め、その残量に応じて、該画像形成装置の動作を制御する制御手段が、画像形成のモード(手順)を変更する。
【0009】
具体的には、前記モードには、前記引出し手段に記録材を引出させつつ、それに連動して画像形成手段に画像形成を行わせる処理能力優先モードと、一旦前記引出し手段に記録材を画像形成に必要な長さだけ引出させた後に、画像形成手段に画像形成を行わせることで、残量が画像形成に必要な長さだけ残されていないにも拘わらず、画像形成を行ってしまうことを防止し、記録材や作業時間の無駄を無くす節約優先モードとであり、前記制御手段は、前記残量検出手段の検出結果が、予め定める長さに達するまでは、前記処理能力優先モードで画像形成を行わせ、前記予め定める長さに達すると、前記節約優先モードで画像形成を行わせる。
【0010】
したがって、記録材や作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮することができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、識別手段を備え、前記収納部材には、収納される記録材を個別に認識可能な識別部材が設けられており、前記識別手段は、この識別部材を認識するものであり、前記残量検出手段は、前記識別手段で認識された記録材毎に前記残量を求めることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によれば、画像形成装置に複数の記録材が装填されたり、使用途中で記録材が交換されたりする場合に、それぞれの残量を個別に求めることができ、利便性を向上することができる。
【0013】
前記識別部材は、穿孔部材、バーコード、ICチップなどの前述のように記録材を個別に認識可能な任意の部材が用いられればよく、前記識別手段としては、前記穿孔部材の場合にはフォトインタラプタ、バーコードの場合にはリーダー、ICチップの場合にはその読取り手段などで実現することができる。
【0014】
また、前記識別部材に前記ICチップなどの記録部材を使用し、識別手段側から、新品装着時に乱数などを書込むようにしてもよい。この場合、識別コードをメーカ側で管理するのではなく、ユーザ側で管理するので、ユーザ側で識別可能な少ないビット数に抑えることができる。すなわち、メーカ側で管理する場合には、所定期間に出荷した総ての記録材で重複しないように識別コードを付与する必要があるのに対して、ユーザ側で管理する場合には、残量が0となった記録材に付与していた識別コードを再利用することができ、たとえば2種類の記録材を使用する場合に、たとえば最小で2ビット程度でも識別が可能となる。
【0015】
さらにまた、本発明の画像形成装置では、前記引出し手段は、前記収納部材に収納された複数種類の記録材のうちから選択的に引出し可能であり、前記残量検出手段は、前記記録材の種類毎に前記残量を検出可能であり、その検出結果を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、画像形成装置に複数の記録材が装填される場合に、それぞれの残量を個別に求めることができ、利便性を向上することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置では、前記予め定める長さは、任意に設定可能とする。
【0018】
上記の構成によれば、前記予め定める長さを所望の値に設定することができる。ここで、収納部材に収納される長尺の記録材には、裁断面が斜めになっていたり、巻き取りカウンタの誤差などを考慮して、メーカ側では、少なくとも収納部材に表記の長さを確保するために、実際には若干の余裕がある。したがって、前記予め定める長さとしては、表記の長さ丁度に設定したり、それを超えて(表記の長さを超えて使用するように)設定したり、表記の長さから、事業所において高い頻度で使用する記録材のサイズだけ手前に設定することができる。
【0019】
さらにまた、本発明の画像形成装置は、写真処理装置であることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、写真処理装置には、広告などで、等身大写真、垂れ幕、横断幕等、長尺の画像形成が要望されるので、本発明が特に好適である。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、前記記録材としての印画紙へ露光を行う露光装置であり、印画紙の露光済みの部分を、全長に亘る露光が終了するまで順次取込んでゆき、露光が終了すると現像装置へと順次排出する収容手段をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、前述のように写真処理装置において、長尺の画像形成を行う際に、露光を行いつつ現像装置へ印画紙を順次送り込んでゆくと、処理速度は向上するけれども、何れかの工程で印画紙の搬送に障害が生じ、露光から現像への工程に亘って印画紙が滞留してしまうと、印画紙を取り除き難くなる。そこで、印画紙の露光済みの部分を、全長に亘る露光が終了するまで順次取込んでゆき、露光が終了すると現像装置へと順次排出する収容手段を設けることで、2つの工程を切り離し、一方の工程での障害を他方の工程に与えないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像形成装置は、以上のように、収納部材に収納される記録材の全長を予め設定しておき、その全長から、記録材の引出し量を減算して残量を求め、その残量に応じて画像形成のモード(手順)を変更するので、記録材や作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮することができる。
【0024】
さらにまた、本発明の画像形成装置は、以上のように、前記引出し手段は、複数種類の記録材を選択して引出し可能であり、前記残量検出手段は、前記記録材の種類毎に前記残量を検出可能であり、その検出結果を記憶手段に記憶する。
【0025】
それゆえ、画像形成装置に複数の記録材が装填される場合に、それぞれの残量を個別に求めることができ、利便性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置である写真処理装置1の全体構成の概要を説明するための図である。この写真処理装置1は、大略的に、印画紙ロールR1,R2から長尺の記録材としての印画紙を画像形成に必要な長さだけ引出して裁断し、焼付けを行う焼付け(露光)装置として構成され、焼付けが行われた印画紙は、後段の図示しない現像装置に搬送されて、現像・漂白および定着・洗浄、ならびに乾燥の各処理が行われる。
【0027】
焼付け対象の画像データは、現像済みの写真フィルムを図示しないフィルムスキャナーによってスキャニングすることで取得され、或いは不図示の読取り装置によって、デジタルカメラ用の記憶メディアや、その他の記録媒体から取得され、さらに不図示のパーソナルコンピュータなどからネットワークを経由して取得されたりする。
【0028】
この写真処理装置1は、通常のサービスサイズの印画紙への焼付けから、カメラ撮影画像に限らず、前記記録媒体やネットワーク経由で取得可能なコンピュータ合成画像などから、長尺の等身大写真、垂れ幕、横断幕等の作成が可能である。このため、たとえば焼付け可能な印画紙の最大サイズは、100インチであり、印画紙ロールR1,R2の幅は、最大で24.5インチであり、図1では、印画紙ロールR1(Aマガジン)を前記24.5インチ、印画紙ロールR2(Bマガジン)を12インチとしている。
【0029】
前記印画紙ロールR1,R2は、収納部材であるマガジンH1,H2内に収容されており、マガジンH1,H2は該写真処理装置1の本体2に対して着脱自在である。この図1の例では、前記マガジンH1,H2は、2台を本体2に収容可能となっているがさらに多くのマガジンが収容され、多種類の印画紙が使用可能となっていてもよく、或いは1台だけが収容可能で、コンパクト化が図られていてもよい。
【0030】
前記印画紙ロールR1,R2は、その一方が選択されてマガジンH1,H2から印画紙が引出され、所定の搬送経路に沿って搬送される。前記搬送経路において、前記印画紙は、アドバンスローラユニットU1,U2によって引出され、かつ方向変換されて搬送経路が合流され、画像形成に必要な長さだけ引出された時点で、カッター5によって裁断される。引出された印画紙は、下流側に配置される露光エンジン7へと搬送される。前記アドバンスローラユニットU1,U2およびカッター5ならびにその経路に介在される各種のローラおよびその駆動手段によって引出し手段が構成され、前記露光エンジン7は画像形成手段を構成する。
【0031】
前記露光エンジン7は、公知の構成を備えており、レーザ光源(レーザーダイオード等)8から出力されるレーザ光を画像データに基づいて変調し、この変調されたレーザ光を印画紙に照射することで画像露光を行う。この露光エンジン7では、駆動ローラが閉ループに形成される上流側露光搬送ローラ9と下流側露光搬送ローラ10との間に、前記レーザ光の露光位置が設定されている。露光にあたって、印画紙は、前記露光搬送ローラ9,10に挟持された状態で、予め定める一定の速度で搬送されてゆく。前記レーザ光は、印画紙が搬送される方向(副走査方向)と直交する主走査方向に繰返し走査されることで、1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
【0032】
こうして画像露光が行われながら、印画紙は、下流側の露光搬送ローラ10によって、後段の収容装置3へ送り出されてゆく。前記収容装置3内には、大略的に、第1搬送ユニット11、第2搬送ユニット12、巻き取りドラム20および移動機構13が配置されている。
【0033】
詳しくは後述するが、第1搬送ユニット11は、所定の水平軸芯回りに回転可能に設けられており、前記下流側の露光搬送ローラ10から受け渡された印画紙を、該収容装置3内に一旦貯留するか、第2搬送ユニット12を介して前述のように後段の現像装置に受け渡すかを切換える機能を実現する。この収容装置3は、後述するように、搬送方向における長さが所定長さ以上の印画紙を、その全長に亘って露光工程が終了するまで、巻き取りドラム20に巻き取って一時的に収容し、終了すると、前後を反転して前記第2搬送ユニット12から現像装置へ排出する。
【0034】
したがって、前記巻き取りドラム20の外周面には圧着ローラ21が配置されており、巻き取りドラム20が、該圧着ローラ21とによって印画紙の先端を挟み込み、該圧着ローラ21を伴って軸20a回りに回転することで、印画紙を巻き取ってゆく。巻き取りドラム20の前記軸20aは、支持部材15によって支持されており、その支持部材15は、移動機構13によって昇降変位が可能となっており、該収容装置3へ送り込まれてくる印画紙が長くなる程、下方に移動され、印画紙後端側の取込みを可能にする。移動機構13は、前記支持部材15を摺動自在に支持する案内部材13aと、支持部材15を前記案内部材13aに沿って昇降変位させるタイミングベルト13bとを備えて構成される。
【0035】
収容装置3内の下部には、たるみ検出センサS19が設けられている。このたるみ検出センサS19は、一対の発光素子22aと受光素子22bとを備えて構成され、発光素子22aから照射された光が印画紙によって遮断されると、たるみ量が所定量よりも大きな状態と判断され、前記巻き取りドラム20が回転され、印画紙が収容装置3内の底面と接触して傷が付かないように構成されている。前記発光素子22aと受光素子22bとを結ぶ光路は、水平線に対し傾斜した状態に設定されている。
【0036】
図2は、上述のように構成される写真処理装置1における印画紙の搬送経路を模式的に示す図である。この図2において、参照符号Sはセンサを表し、Mはモータを表す。印画紙ロールR1,R2からの印画紙は、アドバンスローラユニットU1,U2を駆動するモータM1およびマガジンH1,H2内のリールを駆動するモータM2,M3によって選択的に繰出され、印画紙のマガジンH1,H2からの取出しは、センサS1,S2によって検出される。
【0037】
前記センサS1,S2は、印画紙に感光しない赤外線を用いる一対の受発光素子などから成り、印画紙の未通過、先端通過、通過中、後端通過等の各態様を検出することができ、これらのセンサS1,S2は、前記受発光素子間の光路のON→OFFによる後端通過を検出するペーパーエンドセンサとして機能する。
【0038】
また、マガジンH1,H2には、印画紙ロールR1,R2の種別およびシリアルナンバーを表す識別部材が付されており、その識別部材は、識別手段であるセンサS3,S4によって読取られる。前記識別部材は、穿孔部材、バーコード、ICチップなどのように前記印画紙ロールR1,R2の種別およびシリアルナンバーを個別に認識可能な任意の部材が用いられればよく、前記センサS3,S4としては、前記穿孔部材の場合にはフォトインタラプタ、バーコードの場合にはリーダー、ICチップの場合にはその読取り手段などで実現することができる。
【0039】
こうして、本体2に複数の印画紙ロールR1,R2が装填されたり、使用途中で印画紙ロールR1,R2が交換されたりしても、どの印画紙ロールR1,R2が装填されており、後述するように、その概算の残量がどれだけあるのかを識別することができるようになっている。また、前記識別部材に前記ICチップなどの記録部材を使用し、識別手段側から、新品装着時に乱数などを書込むようにしてもよい。この場合、前記印画紙ロールR1,R2の種別およびシリアルナンバーなどの識別コードをメーカ側で管理するのではなく、ユーザ側で管理するので、ユーザ側で識別可能な少ないビット数に抑えることができる。すなわち、メーカ側で管理する場合には、所定期間に出荷した総ての印画紙ロールで重複しないように識別コードを付与する必要があるのに対して、ユーザ側で管理する場合には、残量が0となった印画紙ロールに付与していた識別コードを再利用することができ、たとえば2種類の印画紙ロールR1,R2を使用する場合に、たとえば最小で2ビット程度でも識別が可能となる。
【0040】
アドバンスローラユニットU1,U2からの印画紙は、モータM4によって駆動される一対の搬送ローラ31によって前記カッター5に送り込まれ、そのことは前記センサS1,S2と同様に構成されるローディングセンサS5によって検出される。ローディングセンサS5は、前記光路のOFF→ONによる先端通過を検出するペーパー先端センサとして機能する。前記カッター5はモータM21によって駆動され、そのカッター5での通過はセンサS6で検出され、カッター5の開閉はセンサS7で検出される。
【0041】
前記カッター5を通過した印画紙は、モータM5によって駆動される一対の搬送ローラ32によってチャッカー33に送り込まれる。チャッカー33は、搬送ローラ34aと、その搬送ローラ34aを駆動するモータM6と、前記搬送ローラ34aに従動回転する加圧ローラ34bと、前記加圧ローラ34bを搬送ローラ34aに対して近接・離反変位することで印画紙の先端を挟持して搬送することができるようにするモータM22と、該チャッカー33を露光位置側へ変位駆動する左右一対のモータM7,M8と、このチャッカー33での印画紙のチャッキング状態を検出するセンサS8と、このチャッカー33の左右端付近において、チャックした印画紙の先端および通過を検出するセンサS22,S23と、チャッカー33の左右端の位置をそれぞれ検出するセンサS9,S10とを備えて構成される。このチャッカー33は、後述するように印画紙の斜行調整を行い、またカッター5の裁断による影響をレーザ光源8による画像露光に与えないように設けられている。
【0042】
前記チャッカー33によって印画紙が送り込まれる露光位置では、それぞれ対を成す露光搬送ローラ9,10の内、一方の露光搬送ローラ9a,10aが閉ループに形成されてモータM9によって駆動され、他方の露光搬送ローラ9b,10bは従動回転する。露光位置への印画紙の到達は、センサS11によって検出される。露光された印画紙は、前記下流側露光搬送ローラ10に挟持された状態で、予め定める一定の速度で搬送されてゆく。前記レーザ光は、印画紙が搬送される方向(副走査方向)と直交する主走査方向に繰返し走査されることで、1ラインごとに画像(潜像)が焼付露光される。
【0043】
こうして画像露光が行われた印画紙は、モータM12によって駆動される一対のローラ35によって収容装置3に取り込まれ、長尺紙の場合は、モータM14によって変位駆動される圧着ローラ21によって巻き取りドラム20の外周面に圧着され、モータM15によって駆動される巻き取りドラム20によって巻き取られてゆく。圧着ローラ21の圧着はセンサS16によって検知され、巻き取りドラム20の回転はセンサS17によって検知される。巻き取りドラム20の昇降変位は、前記移動機構13のモータM16によって行われ、その昇降位置はセンサS18によって検知される。巻き取りドラム20に巻付けられた印画紙のたるみは、前記たるみ検出センサS19によって検知される。
【0044】
一方、前記第1搬送ユニット11の角度切換えはモータM13によって行われ、第2搬送ユニット12と巻き取りドラム20とのどちらに切換わっているかは、センサS15によって検知される。
【0045】
前記第2搬送ユニット12は、搬送経路に沿って配置された複数対の搬送ローラ36〜40と、搬送経路を形成するためのガイド板41とを備えており、前記搬送ローラ36〜40はモータM17によって駆動され、該第2搬送ユニット12への印画紙の取込みはセンサS21によって検知され、写真処理装置1からの印画紙の排出はセンサS20によって検知される。
【0046】
以下に、前述のように構成されるチャッカー33の動作を詳述する。画像形成に使用される印画紙の長さが予め定める第1の長さ(183mm)以下であるときには、印画紙は、カッター5の位置を基準として、前記第1の長さだけ搬送ローラ31,32によって引出され、カッター5で裁断された後、加圧ローラ34bが搬送ローラ34aから離反した状態で受取り位置で待機しているチャッカー33に、搬送ローラ32によって送り込まれ、モータM22によって加圧ローラ34bが搬送ローラ34aに圧着されることでチャッカー33に挟持される。このとき、センサS22,S23によって、チャックした印画紙の先端の通過が検出され、検出時間差から、左右の先端が揃っているか、すなわち斜行していないか、また斜行している場合はそのずれ量が検出される。この後、チャッカー33は、印画紙の先端を挟持したまま、モータM7,M8によって上流側露光搬送ローラ9への受渡し位置へ変位される。このチャッカー33の変位に伴い、モータM5によって前記搬送ローラ32が駆動され、印画紙後端が該搬送ローラ32を通過すると、モータM5は停止する。
【0047】
チャッカー33が受取り位置へ到達すると、センサS9,S10によって検出されるチャッカー33の左右端の位置が、前記センサS22,S23によって検出された印画紙先端のずれ量に対応した位置となるようにモータM7,M8が駆動され、印画紙の左右の先端を揃える斜行調整が行われる。斜行調整が終了すると、モータM6によって搬送ローラ34aが回転されるとともに、モータM9によって前記露光搬送ローラ9aも回転され、前記印画紙の先端は上流側露光搬送ローラ9に挟み込まれる。露光位置へ印画紙が到達したことがセンサS11によって検出されると、モータM22によって加圧ローラ34bが搬送ローラ34aから離反され、露光エンジン7による露光が行われる。
【0048】
また、画像形成に使用される印画紙の長さが前記第1の長さより長く、予め定める第2の長さ(409mm)以下であるときには、印画紙の先端は、搬送ローラ31,32によって、受取り位置で待機しているチャッカー33に送り込まれ、加圧ローラ34bが搬送ローラ34aに圧着され、チャッカー33に挟持されると、チャッカー33が変位を開始するとともに、搬送ローラ32が駆動される。こうして、印画紙が画像形成に必要な長さだけ引出されると、チャッカー33の変位が停止されるとともに、搬送ローラ32も停止され、カッター5で裁断される。このとき、チャッカー33は前記受渡し位置に到達していない。裁断後は、チャッカー33が変位を再開するとともに、搬送ローラ32が駆動され、印画紙後端が該搬送ローラ32を通過すると、該搬送ローラ32は停止する。これによって、上述の場合と同様に、印画紙は後端が開放されたままチャッカー33によって搬送され、受渡し位置へ到達すると、前記斜行調整が行われた後、搬送ローラ34a,9aが回転し、該印画紙の先端は上流側露光搬送ローラ9に挟み込まれる。露光位置へ印画紙が到達すると、チャッカー33のチャッキングは解除される。
【0049】
さらにまた、画像形成に使用される印画紙の長さが前記第2の長さより長く、予め定める第3の長さ(594mm)以下であるときには、印画紙の先端は、搬送ローラ31,32によって、受取り位置で待機しているチャッカー33に送り込まれ、加圧ローラ34bが搬送ローラ34aに圧着され、チャッカー33に挟持されると、チャッカー33が変位を開始するとともに、搬送ローラ32が駆動される。チャッカー33が前記受取り位置から適当な距離だけ離間すると、該チャッカー33の変位は停止されるが、搬送ローラ32は駆動され続け、印画紙は下方に弛んでゆく。
【0050】
こうして印画紙が画像形成に必要な長さだけ引出されると、搬送ローラ32は停止されて、カッター5で裁断される。裁断後は、搬送ローラ32が駆動され、印画紙後端が該搬送ローラ32を通過すると、該搬送ローラ32は停止する。これによって、上述の場合と同様に、印画紙は後端が開放されたままチャッカー33によって挟持される。印画紙後端が搬送ローラ32を通過すると、チャッカー33は変位を再開し、受渡し位置へ到達すると、前記斜行調整が行われた後、搬送ローラ34a,9aが回転し、該印画紙の先端は上流側露光搬送ローラ9に挟み込まれる。露光位置へ印画紙が到達すると、チャッカー33のチャッキングは解除される。
【0051】
これに対して、画像形成に使用される印画紙の長さが前記第3の長さより長い場合には、処理能力優先モードと、節約優先モードとの何れかで処理が行われる。前記処理能力優先モードは、印画紙を引出しつつ、同時に露光を行うものであり、節約優先モードは、上述のように、一旦画像形成に必要な長さだけ印画紙を引出した後に露光を行うものである。
【0052】
先ず、処理能力優先モードについて説明する。印画紙の先端は、搬送ローラ31,32によって、受取り位置で待機しているチャッカー33に送り込まれ、加圧ローラ34bが搬送ローラ34aに圧着され、チャッカー33に挟持されると、チャッカー33が変位を開始するとともに、搬送ローラ32が駆動される。チャッカー33が前記受渡し位置の上流側の適当な位置まで到達すると、チャッカー33の変位は停止されるが、搬送ローラ32は駆動され、印画紙はチャッカー33と搬送ローラ32との間で下方に弛んでゆく。
【0053】
こうして、所定量の弛みが形成されると、チャッカー33が変位を開始し、受渡し位置へ到達すると、前記斜行調整が行われた後、搬送ローラ34a,9aが回転し、該印画紙の先端は上流側露光搬送ローラ9に挟み込まれる。露光位置へ印画紙が到達すると、搬送ローラ32,34a,9aは停止し、チャッカー33のチャッキングは一旦解除される。
【0054】
そして、チャッカー33は受取り位置まで復帰され、復帰すると、搬送ローラ32の駆動が再開され、再び印画紙の弛みが形成されてゆく。所定量の弛みが形成されると、前記搬送ローラ32の駆動は継続したまま、露光搬送ローラ9,10が駆動され、露光が行われ、露光と印画紙の引出しとが連動して行われる。印画紙が画像形成に必要な長さまで引出されると、搬送ローラ32は停止され、チャッカー33でチャッキングが行われた後、カッター5で裁断される。裁断されると、搬送ローラ32が駆動されるとともに、チャッカー33の変位が開始され、印画紙後端をチャッカー33がチャッキングしたまま、前記受渡し位置の上流側の適当な位置まで変位してゆく。印画紙後端が搬送ローラ32を通過すると、該搬送ローラ32は停止する。チャッカー33が前記受渡し位置の上流側の適当な位置まで到達すると、該チャッカー33は停止するとともに、チャッキングを解除し、前記印画紙後端は露光搬送ローラ9によって抜取られてゆく。このようにして、任意の長さの長尺の印画紙の引出しを行いつつ、連続して露光を行うことができ、処理時間を短縮することができる。
【0055】
これに対して、前記節約優先モードでは、チャッカー33が受取り位置へ復帰するまでは同様の動作であるが、復帰すると、搬送ローラ32の駆動が再開され、再び印画紙の弛みが形成されてゆく。印画紙が画像形成に必要な長さまで引出されると、搬送ローラ32は停止され、チャッカー33でチャッキングが行われた後、カッター5で裁断される。裁断されると、露光搬送ローラ9,10が駆動され、露光が行われてゆく。これによって、弛みが略解消すると、搬送ローラ32の駆動が再開されるとともに、チャッカー33の変位が開始され、印画紙後端をチャッカー33がチャッキングしたまま、前記受渡し位置の上流側の適当な位置まで変位してゆく。印画紙後端が搬送ローラ32を通過すると、該搬送ローラ32は停止する。チャッカー33が前記受渡し位置の上流側の適当な位置まで到達すると、該チャッカー33は停止するとともに、チャッキングを解除し、前記印画紙後端は露光搬送ローラ9によって抜取られてゆく。このようにして、任意の長さの長尺の印画紙を、一旦引出した後露光を行うことができ、画像形成に必要な残量の有無を確認することができる。
【0056】
図3〜図9は、前記収容装置3の動作を説明するための図である。第1搬送ユニット11は、前記下流側露光搬送ローラ10のさらに下流側に配置されており、前記一対の搬送ローラ35と、ガイド板42とを備えて構成される。ガイド板42の上流側端部は、相互に離反してゆくことで開口部43が形成され、印画紙を受け入れ易くなっている。この第1搬送ユニット11は、本体2の前後方向で、かつ水平方向に延びる回転軸芯周りに90゜回転可能であり、図3〜図8で示す状態から前記モータM13によって90゜回転されると、図9で示す状態となり、第2搬送ユニット12へと印画紙を受け渡すことができる。
【0057】
初期状態では、巻き取りドラム20の軸20aの真上に圧着ローラ21の軸21aが位置しており、かつ前記モータM14によって圧着ローラ21は巻き取りドラム20の外周面から離反している。この状態で、それらの間隙に前記下流側露光搬送ローラ10から搬送ローラ35によって搬送されてきた印画紙Pの先端が到達すると、前記モータM14によって圧着ローラ21は巻き取りドラム20の外周面に圧接され、これによって印画紙Pがそれらの巻き取りドラム20および圧着ローラ21間に挟持される。圧着ローラ21が巻き取りドラム20に圧着したことは、センサS16によって検知される。
【0058】
その後、印画紙Pの搬入によって、巻き取りドラム20がモータM15によって回転駆動され、図3から図4で示すように、巻き取られてゆく。巻き取りドラム20の回転はセンサS17によって検知される。センサS17によって所定量だけ巻き取りドラム20が回転したことが検知されると、一旦モータM15の回転は停止され、モータM16が回転される。これによって、移動機構13のタイミングベルト13bが回転し、それに固定されている支持部材15は、図4から図5および図6で示すように、移動機構13の案内部材13aに案内されて下降してゆく。前記支持部材15は、前記モータM14,M15およびセンサS16,S17を搭載するとともに、巻き取りドラム20および圧着ローラ21を回転自在に支持する。この支持部材15の昇降位置は、センサS18によって検知される。
【0059】
移動機構13は、前記支持部材15を、下方側へ変位する程、現像装置側の壁面14aから遠去けるように、斜め下方に案内する。これによって、収容装置3の内部空間をむやみに大きくすることなく、長尺の印画紙においても、前記壁面14aとのこすれを生じないようにしている。
【0060】
図6で示すように、支持部材15が最下方位置に降下した状態で、引続き印画紙Pが搬入され、図7で示すように、前記たるみ検出センサS19によって検知されると、再び巻き取りドラム20が駆動され、搬入された印画紙Pが、図8で示すように巻き取られる。これによって、巻き取りドラム20の巻き取りによる印画紙P同士のこすれが生じないような最小限の巻き取りで、印画紙Pが収容装置3の壁面14aや底面14bとのこすれが生じないようになっている。
【0061】
こうして、印画紙Pの後端まで第1搬送ユニット11に取込まれると、モータM13によって、図9で示すように該第1搬送ユニット11は90゜回転され、その後端から印画紙Pを第2搬送ユニット12へと受け渡すことができるようになる。第2搬送ユニット12への印画紙Pの送り込みには、巻き取りドラム20および搬送ローラ35が逆転するとともに、支持部材15が初期位置まで上昇され、最終的に圧着ローラ21も巻き取りドラム20から離反する。この収容装置3における印画紙Pの先端および後端の検出は、前記露光位置での印画紙の通過を検知するセンサ11の検出タイミングからタイマを起動し、搬送経路の距離およびローラ10,35の回転速度に対応した時間が経過した時点で検出することができる。
【0062】
この収容装置3は、次のような理由により設けられる。すなわち、露光位置では露光搬送ローラ9,10によって印画紙Pを予め定める搬送速度で搬送しているが、長尺紙の場合、後端側がこの露光位置を通過している状態で、処理の終了した先端側が現像装置に搬入されることになる。その搬入の際に印画紙Pに加わるテンションによって、搬送ローラ35〜40で吸収できない振動が生じると、この露光画像に副走査方向に揺らぎが生じ、解像度が低下するためである。また、上述のように露光を行いつつ現像装置へ印画紙Pを順次送り込んでゆくと、処理速度は向上するけれども、何れかの工程で印画紙Pの搬送に障害が生じ、露光から現像への工程に亘って印画紙Pが滞留してしまうと、印画紙Pを取り除き難くなるためである。
【0063】
したがって、上述のように長尺の印画紙Pの露光済みの部分を、全長に亘る露光が終了するまで順次取込んでゆき、露光が終了すると現像装置へと順次排出する収容装置3を設けることで、2つの工程を切り離し、一方の工程での障害を他方の工程に与えないようにすることができる。また、巻き取りドラム20によって印画紙Pを巻き取って収容することで、該収容装置3の大型化を抑制することができるとともに、印画紙Pにたるみが生じた状態で巻き取りドラム20に巻き取ることで、この巻き取りによって上述のような露光への影響が生じないようにしている。印画紙Pの長さが前記搬送ローラ35から搬送ローラ40までの長さ以下であれば、巻き取りドラム20に一旦巻き取ることなく、直接現像装置へ排出しても、上述のような問題は生じることはない。
【0064】
図10は、上述のように構成される写真処理装置1の電気的構成を示すブロック図である。ROMなどの不揮発性のメモリ51には、該写真処理装置1の動作プログラムが記憶されており、印画紙PのマガジンH1,H2からの引出し方法である後述する処理能力優先モードと節約優先モードとの記憶部51a,51bが設けられるとともに、搬送処理動作の記憶部51cおよび露光処理動作の記憶部51dが設けられる。
【0065】
マイクロコンピュータなどで実現され、制御手段である制御部52は、前記記憶部51の動作プログラムに従って、前述の搬送系のモータM1〜M5,M9を、センサS1,S2,S5,S6,S11の検知結果に対応して制御するとともに、モータM21およびセンサS6,S7を備えるカッター5、モータM7,M8,M22,M6およびセンサS8,S22,S23,S9,S10を備えるチャッカー33、露光エンジン7、ならびにモータM12〜M17およびセンサS15〜S21を備える収容装置3を制御する。
【0066】
注目すべきは、本実施の形態では、画像形成に使用される印画紙Pの長さが前記第3の長さ以下である場合には、上述のように印画紙PをマガジンH1,H2から引出して、裁断した後露光を行い、前記第3の長さより長い場合において、カウンタ53によってカウントされる印画紙Pの残量が予め定める切換え閾値Lthに達するまでは、印画紙PのマガジンH1,H2からの引出しは前記処理能力優先モードで行い、前記切換え閾値Lthに達してからは前記節約優先モードで行うことである。
【0067】
このため、マガジンH1,H2の図示しない引出し口付近のローラの回転、或いはモータM1によって駆動される前記アドバンスローラユニットU1,U2のローラr1,r2の回転、またはモータM2,M3によって駆動される前記印画紙ロールR1,R2のハブB1,B2(図1参照)の回転などがエンコーダE1,E2によってそれぞれ検出され、前記カウンタ53によってマガジンH1,H2から引出された長さがカウントされる。また、前記アドバンスローラユニットU1,U2のローラr1,r2の回転がエンコーダE1,E2によってそれぞれ検出され、前記カウンタ53によって、印画紙Pの引出された長さがカウントされ、そのカウント値から、制御部52は、印画紙Pが前記画像形成に必要な長さまで引出されたか否かを判定することができる。
【0068】
前記ハブB1,B2の回転量から引出した印画紙Pの長さを算出するには、印画紙ロールR1,R2の径の減少に伴う補正が必要になるが、その場合、既に引出した長さに対応して、単位長さとカウントすべきエンコーダのパルス数を、逐次ROMなどから読出して修正すればよい。また、印画紙ロールR1,R2において、前回使用時とは異なる方を使用する際には、前回使用時に引出されている印画紙Pの先端を、カッター5の位置からアドバンスローラユニットU1,U2付近まで後退させる必要があるが、その場合、前記カウンタ53のカウント値は逆算(残量が加算)される。
【0069】
一方、記憶手段であるRAMなどの任意書込み可能なメモリ54には、前記センサS3,S4によって検出されたマガジンH1,H2の識別コードから、設定部55によって、新品時の印画紙ロールR1,R2の長さが、マガジンH1,H2にそれぞれ対応した記憶部54a,54bに設定されている。前記カウンタ53は、カウント動作を開始すると、対応する記憶部54a,54bに記憶されている印画紙Pの残量を読出して、その値からカウント分を減算してゆき、カウント動作を終了すると、減算値を対応する記憶部54a,54bに書込む。こうして、印画紙ロールR1,R2からの印画紙Pの引出しが行われると、カウンタ53は、記憶部54a,54bに記憶されている該印画紙ロールR1,R2の残量を更新する。前記記憶部54a,54b、設定部55、カウンタ53およびエンコーダE1,E2は、残量検出手段を構成する。この残量検出手段としては、前記の構成によるのではなく、各印画紙Pのサイズに、露光した枚数をそれぞれ積算する手段などでも実現することができる。
【0070】
カウント動作によって更新された前記カウンタ53のカウント値は、前記制御部52に入力され、この制御部52は、画像形成に使用される印画紙Pの長さが前記第3の長さより長い場合には、図11で示す処理を行う。すなわち、ステップS1でプリントデータを受信すると、ステップS2において、前記カウント値が前記メモリ54の記憶部54cに記憶されている前記切換え閾値Lthに達するか否かで、マガジンH1,H2からの印画紙Pの引出しを、ステップS3のように前記処理能力優先モードとするか、ステップS4のように節約優先モードとするかを判定して、チャッカー33、カッター5および搬送系などを制御する。
【0071】
なお、前記プリントデータに対応した長さだけ印画紙Pを引出している最中に、センサS1,S2で印画紙Pの後端が検出される、すなわち印画紙切れが検出されると、制御部52は、対応プリントデータによる画像形成を休止する。その休止の後、表示手段などに画像形成の可能な印画紙のサイズを表示してもよく、或いは自動的に後続のジョブで残量に対応したプリントデータに振り替えて画像形成を行ってもよい。
【0072】
このように制御部52は、カウンタ53でカウントされる印画紙Pの残量が、切換え閾値Lthに達するまでは印画紙Pを引出しつつ、それに連動して画像形成を行う処理能力優先モードとすることで作業時間を短縮することができ、切換え閾値Lthに達すると、印画紙Pを必要な長さだけ引出した後に、画像形成を行う節約優先モードに自動的に切換わることで、残量が画像形成に必要な長さだけ残されていないにも拘わらず、画像形成を行ってしまうことを防止し、印画紙Pや作業時間の無駄を無くすことができる。これによって、印画紙Pや作業時間の無駄を抑えつつ、処理時間を短縮することができる。
【0073】
また、マガジンH1,H2の識別コードを、センサS3,S4で読取り、設定部55は、そのマガジンH1,H2毎に記憶部54に記憶部54a,54bを確保し、新品状態であれば、識別コードから読取った長さを残量の初期値として設定し、一旦装着され、取外された後に装着された場合は、前記初期値設定を行わず、したがって前回装着時の残量から減算が行われる。残量が0となったマガジンの記憶部は、新規の識別コードのマガジンが取付けられた際に、再使用されればよい。このように識別コードを使用して、マガジンH1,H2毎に残量を求めることで、本体2に複数の印画紙ロールR1,R2が装填されたり、使用途中で印画紙ロールR1,R2が交換されたりする場合に、それぞれの残量を個別に求めることができ、利便性を向上することができる。
【0074】
ここで、予め定める長さである前記切換え閾値Lthとしては、画像形成手段での画像形成が可能な印画紙Pの最大サイズをAとするとき、A未満や負であってもよい。これは、マガジンH1,H2に収納される長尺の印画紙ロールR1,R2には、裁断面が斜めになっていたり、巻き取りカウンタの誤差などを考慮して、メーカ側では、少なくともマガジンH1,H2に表記の長さを確保するために、実際には若干の余裕があるためである。したがって、前記切換え閾値Lthとしては、表記の長さ丁度に設定したり、それを超えて(表記の長さを超えて使用するように)設定したり、表記の長さから、事業所において高い頻度で使用する印画紙Pのサイズだけ手前に設定したりしてもよい。
【0075】
しかしながら、そのような設定では、印画紙ロールR1,R2のロットや注文のあったサイズによっては、前記処理能力優先モードによって印画紙Pの残量が足らないにも拘わらず画像形成を行ってしまう可能性がある。そこで、前記切換え閾値Lthを、k×A(kは1以上の任意の係数)とすることが好ましい。このk×Aにカウントした残量が達した時点で前記節約優先モードに切換えておくと、印画紙Pの無駄を確実に防止することができる。
【0076】
本発明の画像形成装置としては、上述のような印画紙Pに露光を行う写真処理装置1に限らず、長尺の記録材を適宜裁断して使用するものであれば、インクジェットのプリンタなどにも適用することができる。しかしながら、印画紙Pに露光を行うものと、インクジェットとのいずれであっても、写真を処理する装置には、広告用途などで、等身大写真、垂れ幕、横断幕等、長尺の画像形成が要望されるので、本発明が特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置である写真処理装置の全体構成の概要を説明するための図である。
【図2】図1で示す写真処理装置における印画紙の搬送経路を模式的に示す図である。
【図3】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図4】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図5】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図6】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図7】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図8】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図9】図1で示す写真処理装置における収容装置の動作を説明するための図である。
【図10】前記写真処理装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】前記写真処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 写真処理装置
2 本体
3 収容装置
5 カッター
7 露光エンジン
9 上流側露光搬送ローラ
10 下流側露光搬送ローラ
11 第1搬送ユニット
12 第2搬送ユニット
13 移動機構
15 支持部材
20 巻き取りドラム
21 圧着ローラ
31,32,34,35〜40 搬送ローラ
33 チャッカー
41,42 ガイド板
51,54 メモリ
52 制御部
53 カウンタ
55 設定部
B1,B2 ハブ
E1,E2 エンコーダ
H1,H2 マガジン
M1〜M9,M12〜M17,M21,M22 モータ
P 印画紙
R1,R2 印画紙ロール
r1,r2 ローラ
S1〜S4,S6〜S11,S16〜S18,S22,S23 センサ
S5 ローディングセンサ
S19 たるみ検出センサ
U1,U2 アドバンスローラユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部材に収納される長尺の記録材を引出す引出し手段と、引出された記録材上に画像形成を行う画像形成手段とを有する画像形成装置において、
予め設定された記録材の全長から、前記引出し手段による引出し量を減算して記録材の残量を求める残量検出手段と、
前記残量検出手段の検出結果が、予め定めた長さに達するまでは、前記引出し手段に記録材を引出させつつ、画像形成手段に画像形成を行わせ、前記予め定める長さに達すると、前記引出し手段に記録材を画像形成に必要な長さだけ一旦引出させた後に、画像形成手段に画像形成を行わせる制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記引出し手段は、前記収納部材に収納された複数種類の記録材のうちから選択的に引出し可能であり、前記残量検出手段は、前記記録材の種類毎に前記残量を検出可能であり、その検出結果を記憶する記憶手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−163715(P2007−163715A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−358442(P2005−358442)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】