説明

画像形成装置

【課題】微小径で略球形のトナーを用いた場合にも、優れたクリーニング性が実現でき、かつ長期に亘って優れた耐久性を維持できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置のトナーを除去するクリーニング手段のゴムブレードに関して、少なくとも前記像担持体と接する部分において、無機微粒子101を含有したゴム層102により構成されており、無機微粒子101を含有したゴム層102は、ヤング率が70〜95kgf/cm2で、かつゴム硬度が67〜75度であり、またトナーは、円形度が0.97以上であり、かつ体積平均粒径が5.5μm以下であることとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体に対するクリーニングをブレード方式によって行う画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、転写型の画像形成装置においては、帯電器で一様に帯電した潜像担持体、例えば感光体上に、原稿画像の露光を行って潜像を形成した後、この潜像に現像装置でトナーを付着させてトナー像として可視像化させていた。このトナー像を、転写装置で転写紙あるいは中間的な転写媒体に転写する。そして、転写後の感光体上に残留したトナーを、クリーニング装置によって感光体上から除去し、感光体を継続して繰り返し使用していた。
【0003】
このクリーニング装置としては、クリーニングブレードを用いたクリーニング装置、導電性あるいは絶縁性の繊維からなるファーブラシローラを用いたクリーニング装置、研磨能力を有するクリーニングローラを用いたクリーニング装置、潤滑剤物質を自らに内包したクリーニングローラを用いたクリーニング装置、磁性体粉末をローラ表面に配した磁気ブラシローラを用いたクリーニング装置、吸引器を用いたクリーニング装置等、各種方式のものが知られており、実用化されている。
最も広く使用されている方式は、クリーニングブレードを用いる方式である。
これは、構造が簡易であり、トナー除去性も高いという利点を有している。
【0004】
近年、高画質化を目的として、トナーは小径化及び球形化する傾向にある。
トナー粒径を小さくする方法としては、製造コスト面を鑑みて、従来の粉砕法ではなく重合法が有利である。
重合法で製造された小粒径トナーは、形状が真球に近く、粒度分布がシャープであることから、細線の再現性やディジタル画像のドット再現性等に優れた良好な画質が得られるという特徴を持っている。
【0005】
小粒径の重合トナーを使用した場合、従来の粉砕法で製造されたトナーに比べ、形状が真球に近いこと、及び粒径が小さくなっていることから、充分なクリーニングを行うことが困難となり、例えばクリーニング機器からのすり抜け等による不良が発生するという課題を有していた。
【0006】
例えば、きわめて良好な画像が得られる、体積平均粒径5.5μm以下で、かつ円形度が0.97以上もの真球に近いトナーを用いた画像形成装置においては実用的に充分なクリーニング効果を長期に亘って維持することが困難であるとされていた。
【0007】
トナーのクリーニングを行う技術に関しては、従来各種の提案がなされている。
例えば、フッ素原子を含有し表面粗さを規定した感光体と、ヤング率が50〜70kgf/cm2、反発弾性20〜35%の物性を有するゴムブレードの組み合わせで耐久性が高く、環境安定性の高いクリーニングシステムが提供されることが知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
しかしながら微小径かつ略真球トナーを用いた場合に、充分なクリーニング性を得ることについては検討されていない。
【0008】
また、無機または有機微粒子を含有する感光体を使用し、硬度50°〜90°、ヤング率が40〜90kgf/cm2で、その他のゴム物性についても規定したブレードを用いたクリーニングシステムが提案された(例えば、下記特許文献2参照。)。
しかしながら、この技術においても、微小径かつ真球に近い形状のトナーを使用した際に充分なクリーニング性を長期に亘って維持することはできなかった。
【0009】
ところで、クリーニングブレードの中には、微粒子を含有する構成のものが知られている。
例えば、無機微粒子を含有したウレタンブレードを使用し、当接条件を規定したクリーニングシステムについての提案もなされている(例えば、下記特許文献3参照。)。
これは、クリーニングブレードのビビリやメクレが防止できるという効果が得られるが、ゴムブレードの物性や、添加する無機粒子の粒径、添加量等についてまでは検討されておらず、略真球で、かつ微小径トナーに対する良好なクリーニング性を得ることや、高いブレード耐久性を得ることについては実用上充分であるとは言えなかった。
【0010】
また、無機微粒子を含有したブレードを使用し、感光体に滑剤を供給する構成のクリーニングシステムについての提案もなされている(例えば、下記特許文献4参照。)。
このクリーニングシステムによれば、感光体の磨耗及びフィルミング等の抑制が図られるが、無機微粒子の種類、粒径、添加量、ゴム物性等については検討がなされていないため、上記のような微小径かつ略真球のトナーを用いた場合に充分なクリーニング性が得られるものであるとは言えない。
【0011】
また、ブレードを2層構造とし、一方の層のゴムに充填材を凝集させた構造のゴムブレードについての提案がなされている(例えば、下記特許文献5参照。)。
これによれば、充填材を凝集したゴム層によりブレード全体としてはヤング率が高くなり、硬度を上げないでヤング率を高くしたブレードが提供されるという利点を有している。
しかしながら、この技術においても上記のような略球形で微小径のトナーを用いた場合に充分なクリーニング性を得て、優れたブレード耐久性を長期に亘って維持することについては検討が不充分であった。
【0012】
上述したように、粒径が5.5μm以下もの微小径で、円形度が0.97以上もの略球形のトナーを用いた場合に良好なクリーニング性が得、かつ高耐久性を長時間に亘って維持可能なクリーニングシステムを有する画像形成装置への要望が高まってきた。
【0013】
【特許文献1】特開2002−82468号公報
【特許文献2】特開平9−26734号公報
【特許文献3】特開2003−208070号公報
【特許文献4】特開2003−98929号公報
【特許文献5】特開2001−302906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、粒径が5.5μm以下もの小径で、円形度が0.97以上もの略球形のトナーに対する良好なクリーニング性を実現可能で、かつクリーニングブレードの耐久性が高く、長期にわたり高画質な画像が得られる画像形成装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明においては、像担持体と、当該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記クリーニング手段は、ゴムブレードを前記像担持体に押し当てるブレードクリーニング方式により稼動するようになされているものとし、前記ゴムブレードは、少なくとも前記像担持体と接する部分において、無機微粒子を含有したゴム層により構成されており、前記無機微粒子を含有したゴム層は、ヤング率が70〜95kgf/cm2で、かつゴム硬度が67〜75度であり、また前記トナーは、円形度が0.97以上であり、かつ体積平均粒径が5.5μm以下であることとした画像形成装置を提供する。
【0016】
請求項2の発明においては、前記無機微粒子の平均粒径が、0.01〜5μmであることとした請求項1の画像形成装置を提供する。
【0017】
請求項3の発明においては、前記無機微粒子を含有した前記ゴム層の無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子を含有したゴム層の構成成分に対し、1〜20wt%であることとした請求項1又は2の画像形成装置を提供する。
【0018】
請求項4の発明においては、前記クリーニングブレードの前記像担持体に対する当接圧が、0.20N/cm以下であり、前記像担持体と前記リーニグブレードとが形成するクリーニング角が80°以上であることとした請求項1乃至3のいずれか一項の画像形成装置を提供する。
【0019】
請求項5の発明においては、前記無機微粒子がシリカであることとした請求項1乃至4のいずれか一項の画像形成装置を提供する。
【0020】
請求項6の発明においては、前記無機微粒子が酸化チタンであることとした請求項1乃至4のいずれか一項の画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、粒径が5.5μm以下もの微小径で円形度が0.97以上の略球形のトナーを用いた場合に、優れたクリーニング性が実現でき、かつクリーニングブレードに関しての耐久性に優れており長期に亘って高質な画像形成が可能な画像形成装置を提供できた。
【0022】
また、無機微粒子を含有するゴム層のヤング率を70〜95kgf/cm2とし、かつゴム硬度が67〜75度であるものとしたことにより、感光体駆動時のブレードエッジ部の感光体駆動方向への変形の抑制が図られ、かつブレードと感光体との良好な密着性が得られ、円形度が0.97以上であり、かつ体積平均粒径が5.5μm以下の球形かつ小径トナーを適用したときも良好なクリーニング性が実現できた。更にクリーニングブレードに含有されている無機微粒子が補強材として機能し、耐磨耗性の向上が図られ、良好なクリーニング特性が長期に亘って維持できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
先ず、球形トナーを用いた場合のクリーニング不良に対する詳細な解析を行うために、可視化による検査を行った。
クリーニング時のブレードエッジの挙動を可視化するために可視化装置を作製した。
この可視化装置は、φ90の透明ガラス製の円筒にITOを蒸着し、さらにドナーを分散させたポリカーボネートをディッピングにより成膜した擬似透明感光体、現像ユニット、及びブレードクリーニングユニットを具備する装置であるものとする。
【0024】
現像ユニットに電圧を印加し、擬似透明感光体を駆動させて、擬似透明感光体に現像されたトナーをブレードクリーニングユニットでクリーニングする。
クリーニング時のブレードエッジ部を観察するために、擬似透明感光体内部には感光体軸方向から高倍率レンズを装着した高速カメラを挿入させて、感光体内部に設置した反射ミラーを介してクリーニング時のブレードエッジの挙動を観察する。
種々のブレードについて観察を行った結果、球形、小径トナーに関してクリーニング性が良いブレードは、感光体駆動時の感光体駆動方向へのブレードエッジの引き込まれが少なく(感光体静止時とクリーニング時のブレードエッジの位置の移動が少なく)、クリーニング性が悪いものは感光体駆動時の感光体駆動方向へのブレードエッジの引き込まれが多く、ブレードエッジからトナーが断続的に回転しながらすり抜けているのが確認された。
【0025】
この可視化の結果より、球形かつ小径のトナーのクリーニング不良は以下のことが考えられる。
感光体駆動時のブレードエッジ部は、ブレードと感光体の摩擦力により、感光体の進行方向にブレードエッジが引きこまれた状態で変形している。
トナーを小径化した場合には、引きこまれて変形しているブレードエッジ部分にトナーが入りこみやすくなり、さらにトナーが球形の場合は、入りこんだトナーが回転する力を受け、ブレードエッジ部を回転しながらすりぬけが発生し、このすりぬけが連続的におこることでクリーニング不良が発生する。
【0026】
上述したことから、微小径かつ真球に近い形状のトナーのクリーニング不良を防止するには、ブレードエッジ部の引きこまれによる変形を抑制することが重要であると考え、ヤング率の高い材料を適用することが考えられた。
通常のウレタンゴムブレードの場合は原材料の選択によりヤング率を上昇させることが可能である。
しかしながら、一般的に、ヤング率が上昇するとゴム硬度も一緒に上昇してしまう。
硬度の高いブレードでクリーニングを行うと、ブレード長手方向でクリーニングできる部分とできない部分が生じてしまう。クリーニングできない部分はブレード長手方向に対して中央部で発生することが多い。
これはゴム硬度の上昇に伴いブレードと感光体の密着性が低下してしまい、感光体とブレードの密着性が悪い部分はクリーニング不良が発生するためである。
また耐久性の観点からも、硬度が高いとブレード欠けが発生しやすく、また耐磨耗性に関しても劣化するおそれがある。
【0027】
一方、従来技術である上記特許文献5に記載されている技術のようにブレードを2層構造にして、一方のゴム層に充填材を凝集させれば、硬度を上げることなくヤング率を高くできる。
しかし、上記引用文献5の技術は、充填材を凝集させた高硬度かつ高ヤング率の層により、ブレード全体のヤング率を引き上げを行っており、このため、感光体と当接するゴム自体が硬度を上げずにヤング率を高くしたゴムにはなっておらず、充分に良好なクリーニング特性は実現できていなかった。
【0028】
本発明においては、クリーニングブレードに関して特にトナー除去する際に感光体と摺接する箇所の硬度を上げることなくヤング率を高めることとした。
検討の結果、粒径を選定し、無機微粒子の含有量を適切に選定してウレタンゴム中に分散させれば、ゴム硬度を上げることなくヤング率を上昇させることが可能であることを見出した。すなわち所定のゴム硬度とヤング率の物性に規定することで、感光体駆動時のブレードエッジの引きこまれによる変形が抑制され、小径かつ球形トナーに対して、良好なクリーニング性が得られることを確かめた。
また、適切な粒径、かつ量を選定した無機微粒子をゴム材料中に含有させることにより、無機微粒子がゴムブレードの補強材としても機能し、これによってブレードの耐磨耗性が向上し、長期に亘り良好なクリーニング性が持続することを確認した。
【0029】
以下、クリーニングブレードについて図を参照して詳細について説明する。
本発明の画像形成装置を構成するクリーニングブレードは、少なくとも感光体と当接するブレードエッジが、無機微粒子が分散されたゴム層により構成されている。
【0030】
図1に示すように、クリーニングブレード100は、図1に示すように、支持具110に支持されたブレード111により構成されている。
ブレード111は、全体に無機微粒子101を含有したゴム層102により構成されていてもよく、また図2のように無機微粒子を含有しない通常のゴム層103に無機微粒子101が含有されたゴム層102を貼り合わせた2層構造としてもよく、あるいは図3のように、無機微粒子を含有しない通常のゴム層103のブレードエッジ部の先端のみを無機微粒子101を含有させたゴム層102とした構成でもよい。
本発明の画像形成装置を構成するクリーニングブレードは、少なくともブレードエッジ部に無機微粒子101が含有されていればよく、図1〜図3に示した構成に限定されるものではない。
【0031】
図1〜図3に示すように無機微粒子101が分散されているゴム層102、103の物性は、ヤング率が70kgf/cm2以上95kgf/cm2以下であり、かつゴム硬度が67度以上75度以下であるものとする。
上記のようにヤング率を特定したことにより、摺接時のブレードエッジ部の引きこまれによる変形が抑制できる。
また、ゴム層中に無機微粒子101を添加したことにより、ヤング率を上げても高硬度にならないように制御することが可能となり、クリーニング時に摺接する感光体との優れた密着性が維持できるようになる。
ヤング率を70kgf/cm2より小さくすると、ブレードエッジ部の変形が大きくなり、充分なクリーニング性が得られないことが確かめられた。またヤング率を95kgf/cm2より大きくすると、感光体との密着性が充分に得られず、クリーニング性が不充分となることが確かめられた。
また更に、ゴム硬度が67度より小さい場合は、ブレードエッジ部の引き込まれが大きくなり、充分なクリーニング性が得られず、また75度より大きいと、感光体との密着性が不充分になりクリーニング不良が発生し、ブレード欠けも発生しやすいことが確かめられた。
上述したことより、本発明においては、無機微粒子を分散させたゴム層の物性に関して、ヤング率が70kgf/cm2以上95kgf/cm2以下であり、かつゴム硬度が67度以上75度以下であるものと特定した。
なお、硬度の測定ではJIS ―K6301のA型硬度計による測定値を用い、ヤング率はJIS−K6394により測定した。
【0032】
ゴム層102はウレタンゴムを適用でき、これに分散する無機微粒子としては、従来公知の材料が使用できる。
例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム、チタン酸カリウム等の無機材料からなる微粉末が挙げられる。
特に、シリカ及び酸化チタンが好ましく、これらを使用した場合は特にクリーニング性と耐磨耗性が良好であることが確かめられた。
【0033】
無機微粒子101の粒径は、平均粒径が0.01〜5μmであることが好ましい。
0.01μm未満とすると補強材として充分に機能せず、良好なブレード耐磨耗性が得られないことが確かめられた。一方、5μm以上とすると、ゴムブレードに無機微粒子を分散させても、ゴムから無機微粒子が脱離してしまい、充分な耐久性が得られないことが確かめられた。無機微粒子の形状は特に制限されるものではなく、例えば球状、針状、繊維状等が適用できる。
【0034】
ゴム層102中の無機微粒子101の添加量は、無機微粒子添加のゴム層の構成成分に対し、1〜20wt%とすることが好ましい。
20wt%より多いと、無機微粒子がゴムの架橋を阻害してしまい、クリーニングブレードにおいて耐久性が充分に確保できなくなる。またヤング率が上昇する一方において硬度も上昇してしまい、ヤング率と硬度を特定範囲に制御することが困難になるおそれもある。
一方、添加量が1wt%未満であると、クリーニングブレードの補強効果が充分に得られなくなり、ヤング率が充分に上昇しなくなるおそれがある。
上述したことにより、ゴム層102の構成成分に対し、無機微粒子は1〜29wt%の添加量であることが望ましい。
【0035】
クリーニング工程時におけるブレードの当接条件は、ブレードの感光体に対する圧力が0.20N/cm以下であり、かつクリーニング角が80度以上することが好ましい。
ブレード圧を低く、クリーニング角を寝かせたことで、感光体駆動時にブレードエッジが感光体により引きこまれが小さくなり、小径かつ球形トナーのクリーニング性がさらに向上する。
なお、当接圧の下限については特に規定しないが、充分なクリーニング性を確保するためには、0.1N/cm以上とすることが必要であることを確認した。
なお、上記当接圧は、感光体へ加わった荷重を、クリーニングブレードの感光体長手方向の長さで割った値、すなわち線圧であるものとする。感光体に加わった荷重は圧力分布測定システム I-SCAN (ニッタ株式会社製)により荷重を測定した。
また、上記クリーニング角とは、感光体とクリーニングブレードの接点におけると接線とクリーニングブレードのカット面とのなす角であるものとする。クリーニング角の測定方法についてはブレード当接部を撮影し、クリーニング角を測定した。
【0036】
クリーニングブレード110のブレード111を構成するゴム層材料としては、従来公知のものを使用できるが、好ましくはポリウレタンゴムである。
ポリウレタンゴムは、通常、ポリオール成分としてポリエチレンアジペートエステルやポリカプロラクトンエステルを用い、ポリイソシアネート成分として4,4'−ジフエニルメタンジイソシアネートを用いてプレポリマーを調製し、これに硬化剤及び必要に応じて触媒を加えて、所定の型内にて架橋し、炉内にて後架橋させた後、常温で放置熟成することによって製造される。
高分子量ポリオールとしては、例えば、アルキレングリコールと脂肪族二塩基酸との縮合体であるポリエステルポリオール、例えば、エチレンアジペートエステルポリオール、ブチレンアジペートエステルポリオール、ヘキシレンアジペートエステルポリオール、エチレンプロピレンアジペートエステルポリオール、エチレンブチレンアジペートエステルポリオール、エチレンネオペンチレンアジペートエステルポリオールのようなアルキレングリコールとアジピン酸とのポリエステルポリオール等のポリエステル系ポリオール、カプロラクトンを開環重合して得られるポリカプロラクトンエステルポリオール等のポリカプロラクトン系ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等のポリエーテル系ポリオール等が用いられる。
他に低分子量ポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキノン−ビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフエニルメタン、4,4'−ジアミノジフエニルメタン等の二価アルコールや、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,1,1−トリス(ヒドロキシエトキシメチル)プロパン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の三価及びそれ以上の多価アルコールを挙げることができる。
硬化触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾールや、1,2−ジメチルイミダゾールが挙げられ、特に、1,2−ジメチルイミダゾールが好ましい。
このような触媒は、通常、主剤100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で適用する。
【0037】
ブレード111の作製方法については、従来公知の方法を適用できる。少なくとも成型前工程として、所定の材料のプレポリマー中に無機微粒子101を分散させる。
具体的な例として、クリーニングブレード110は以下のように作製できる。
ウレタンエラストマーは、プレポリマー、硬化剤を主成分とし、これに消泡剤の微量成分を加えて、均一に混合し型に入れて加熱硬化させることで作製できるが、ブレード111は、前記無機微粒子101を加熱溶融させたプレポリマーに分散させたり、あるいは比較的低分子で常温で液体の硬化剤に分散させることにより、所定の無機微粒子を含有するクリーニングブレードが作製できる。
なお、無機微粒子101は、分散性の向上とクリーニングブレード用ゴム状弾性体材料との密着性を上げるために、必要に応じて予めシランカップリング剤等で表面処理を施しておいてもよい。
【0038】
次に、本発明の画像形成装置に適用するものであり、上述したクリーニングブレードによってクリーニングする対象となるトナーについて説明する。
トナーは、体積平均粒径が5.5μm以下であり、円形度が0.97以上であるものとする。
5.5μm以下もの微細なトナーを使用すると潜像に対して忠実な現像が可能となり、極めて高精細な画像が形成できる。また円形度を0.97以上にすることにより、現像性、転写性が向上し、ハーフトーンのむら等が無い極めて高画質な画像が得られる。
なお、体積平均粒径、及び円形度はSysmex製FPIA-2100を用いて測定した。
【0039】
上述したように、本発明の画像形成装置に適用する球形状のトナーは、例えば、少なくともバインダー用の樹脂材料又は/及びそのプレポリマー、着色剤、離型剤を有機溶媒中に含むトナー材料の有機溶媒液を水系媒体中に微細液滴状に分散させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより得られたのもの、又は/及び該分散している間若しくはその後に該液滴中のプレポリマーを架橋及び/又は伸長反応させた後、該有機溶媒及び水系媒体を除去することにより製造されるものとする。
また、有機溶媒中に、活性水素を有する化合物及びこれと反応可能な部位を有する重合体、又は分子内に活性水素及びこれと反応可能な部位を有すると同時に有する自己重合性材料、着色剤、離型剤を、好ましくはこれらを含有した組成物の形で、溶解又は分散させ、該活性水素と反応可能な部位を反応させた後、もしくは反応させながら、該有機溶媒及び水系媒体を除去し、洗浄、乾燥することが好ましい。
前記反応時に攪拌強さを調整したり、乾燥後に強攪拌したりすることによってトナーの円形度を調整しても良い。
バインダー用の樹脂材料又は/及びそのプレポリマーとしては、各種の材料を用いることができ、特にポリエステル樹脂又は/及びポリエステルプレポリマーが好適である。
なお、上述した例に限定されることなく、球形状トナーは、その他の方法によって製造してもよい。
【0040】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。本発明の画像形成装置は、クリーニングブレードとして上述した図1〜図3に示したような構成のものを具備している。
図4は、画像形成装置20の概略構成図である。
感光体1は、ドラム状の形状であるが、本発明はこれに限定されずシート状、エンドレスベルト状であってもよい。
感光体1の周辺機器として帯電部材2が配置されている。図4の構成においては帯電ローラを示しているが、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等の従来公知のものをいずれも適用できる。
帯電部材2の帯電ローラは、感光体1と当接していてもよいが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けた近接配置とすることにより、両者の摩耗量が低減できると共に帯電部材へのトナーフィルミングを抑制でき、好適である。
帯電部材2に印加する電圧は、帯電の安定化と帯電ムラの抑制のために、直流成分に交流成分を重畳したものとすることが効果的である。しかしながら、帯電が安定化される反面、直流成分のみ印加した場合に比べ、プロセス中に使用した感光体の表面層が摩耗しやすいという欠点もある。但し、本発明においては、感光体として耐摩耗性に優れたものを選定するので、上記構成としても実用上の問題はない。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できる。図4においては、転写ローラ5を適用している。
また、画像露光部3、除電ランプ9等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般が適用できる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いる。これらの光源は、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程又は前露光等の工程にも用いることもできる。
現像ユニット4により感光体1上に現像されたトナーは、給紙トレイ10より搬送された転写紙に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーもあり、このようなトナーは、クリーニングユニット6のクリーニングブレード100により感光体1から除去される。
クリーニングは、クリーニングブレード100のみで行なわれることもあるが、ファーブラシ等のクリーニングブラシを組み合わせて用いてもよい。
転写装置により転写紙に転写されたトナー像は、定着装置8に搬送され、トナー像を紙に定着し、排紙される。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施例、及び比較例を挙げて説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0042】
〔実施例1〜8〕、〔比較例1〜4〕
下記表1〜表3に示した組成比のクリーニングブレード用ゴム状板材を次の手順で作製した。
90℃に加熱溶融した所定量のプレポリマーに所定量の無機微粒子を加え、AR−500(Thinky社製商品名)で1000rpmで3分間処理し、プレポリマーと無機微粒子とからなる加熱溶融液を作製し、真空乾燥機で加熱したまま真空脱泡を行った。
得られた無機微粒子を分散したプレポリマー加熱溶融液に所定量の硬化剤を加え、手早くアジターにて均一になるまで撹拌し、その後に減圧脱泡し、離型剤を塗布し、150℃に予備加熱した型に流し込み、150℃に加熱した恒温槽に60分間放置し硬化させ、厚さ2mmのウレタンゴムを作製した。
【0043】
金型から取り出し、120℃の恒温槽に24時間放置し、さらに23℃、55±10%RHの恒温恒湿槽に1週間放置して、図1に示すような構造の、ゴム層102全体に無機微粒子101が分散されたクリーニングブレード用ゴム板部材を得た。
次に、得られたゴム板を所定の大きさに切り出し、所定の金属製ホルダーに接着し、クリーニングブレード111を作製した。
なお、比較例1、及び比較例2については、無機微粒子101を添加させずにクリーニングブレードを作製した。その他の条件は、実施例1〜8と同様の手順でるものとする。
【0044】
作製した実施例1〜8、及び比較例1〜4のクリーニングブレードを、ImagioNEO-C385(リコー製商品名)に装着した。
各クリーニングブレードの当接条件は、下記表1〜3に示す。
トナーは体積平均粒径が4.8μm、円形度が0.97のものを使用した。
上記条件で、印字率6%のチャートを150×1000枚、通紙試験を行った。
初期、50×1000時、及び150×1000時にクリーニング試験を行うこととした。
クリーニング試験はランク評価を行うこととし、ランク5が最良であり、ランク1が劣悪であるものとして評価した。
実用上で良好な品質としてはランク3以上が必要であるものとした。
【0045】
クリーニングブレードのエッジ磨耗を測定した。
エッジ摩耗に関しては、ランニング後のクリーニングブレードのブレードエッジをレーザー顕微鏡(キーエンス製、VK9500)で観察し、プロファイルより磨耗幅を算出することとした。
なお比較例1〜4は、50×1000時で、クリーニング不良がひどく、劣悪な画像であったためランを中止した。よって比較例1〜4は50×1000時のブレード磨耗量を測定した。
【0046】
下記表1〜表3に評価条件、表4に評価結果を記す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
実施例1〜8の評価結果から、本発明構成のクリーニングブレードを用いれば、平均粒径が5.5μm以下の微小径で、かつ円形度が0.97以上もの略真球のトナーを用いた場合においても、初期から長時間駆動した後に亘って良好なクリーニング性が維持でき、クリーニングブレードの摩耗についても実用上良好な範囲に抑制できた。
比較例1、2の評価結果から、ゴム層中に無機微粒子を含有しないクリーニングブレードを用いたときには、初期から実用上充分なクリーニング性が得られず、ブレードの摩耗量も大きくなり耐久性についても著しく悪化した。
比較例3の評価結果から、無機微粒子が多く、ヤング率及び硬度が所定の値を超えると、初期においては比較的良好なクリーニング性は得られるが、長時間稼動させると維持できず、ブレードの摩耗量も大きくなり耐久性に劣ることが解った。
比較例4の評価結果から、無機微粒子の添加量が少なく、ヤング率及び硬度が所定の値を超えると、初期から実用上充分なクリーニング性が得られず、ブレードの摩耗量も大きくなり耐久性についても著しく悪化した。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の画像形成装置を構成するクリーニングブレードの概略断面図を示す。
【図2】本発明の画像形成装置を構成するクリーニングブレードの他の一例の概略断面図を示す。
【図3】本発明の画像形成装置を構成するクリーニングブレードの他の一例の概略断面図を示す。
【図4】本発明の画像形成装置の概略構成図を示す。
【符号の説明】
【0053】
1 感光体
2 帯電部材
3 画像露光部
4 現像ユニット
6 クリーニングユニット
9 除電ランプ
10 給紙トレイ
20 画像形成装置
100 クリーニングブレード
101 無機微粒子
102 ゴム層
103 ゴム層
110 支持具
111 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
当該像担持体上にトナー像を形成する現像手段と、前記像担持体の表面に残留したトナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記クリーニング手段は、ゴムブレードを前記像担持体に押し当てるブレードクリーニング方式により稼動するようになされ、
前記ゴムブレードは、少なくとも前記像担持体と接する部分において、無機微粒子を含有したゴム層により構成されており、
前記無機微粒子を含有したゴム層は、ヤング率が70〜95kgf/cm2で、かつゴム硬度が67〜75度であり、
また前記トナーは、円形度が0.97以上であり、かつ体積平均粒径が5.5μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記無機微粒子の平均粒径が、0.01〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記無機微粒子を含有した前記ゴム層の無機微粒子の含有量は、前記無機微粒子を含有したゴム層の構成成分に対し、1〜20wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記クリーニングブレードの前記像担持体に対する当接圧が、0.20N/cm以下であり、前記像担持体と前記リーニグブレードとが形成するクリーニング角が80°以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記無機微粒子がシリカであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記無機微粒子が酸化チタンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−206602(P2007−206602A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28209(P2006−28209)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】