説明

画像形成装置

【課題】カラーモードの他にモノクロ専用モードを有し、モノクロ専用モードでの使用時におけるカラートナーカートリッジの消耗、劣化をなくした画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像部4と像担持体3を有するトナーカートリッジ181〜184が装着される複数のカートリッジ装着部50と、走行しながらカートリッジ装着部に装着されたトナーカートリッジの前記像担持体に圧接しトナー像を転写される転写体2と、転写体を各トナーカートリッジの像担持体に対して接離自在に支持する転写体支持手段231〜234と、カラーモードとモノクロ専用モードを設定可能な動作モード設定手段41を有する。動作モードとしてカラーモードが設定された場合には、前記転写体は全ての像担持体と圧接する圧接モードとなり、動作モードとしてモノクロ専用モードが設定された場合には、モノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接する離間モードとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作モードとしてカラーモードの他にモノクロ専用モードを設定可能な電子写真複写機、電子写真プリンタ等の画像形成装置、特にタンデム型の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カラー画像形成装置の一つとしてタンデム型と称される画像形成装置が知られている。
【0003】
この画像形成装置は、その一例を示すと、現像部とこの現像部により対応する色のトナー像が形成される像担持体とを有するトナーカートリッジが装着される4個のカートリッジ装着部を有し、各カートリッジ装着部には、シアン、マゼンタ、イエローの各カラートナーカートリッジと、モノクロトナーカートリッジが装着されている。
【0004】
また、前記トナーカートリッジに対向して走行可能に中間転写ベルトが設けられると共に、中間転写ベルトを走行させながら前記各カートリッジの像担持体に圧接させて、各像担持体のトナー像を中間転写ベルトに重ね合わせた状態に転写した後、この転写画像を用紙に二次転写するものとなされている。
【0005】
ところで、このような従来のタンデム型のカラー画像形成装置においては、4色のトナーカートリッジがすべて正しい位置に装着されていないとカラー印字ができず、モノクロトナーカートリッジが正しい位置に装着されていないとモノクロ印字ができなかった。
【0006】
そこで、上記不都合を解消するため、特許文献1には、カラー印字が不可能であってもモノクロ印字が可能であれば、モノクロ印字を受け付けるようにした画像形成装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−45905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載された画像形成装置では、モノクロ印字の際にはモノクロトナーカートリッジのみしか使用されないにもかかわらず、他のカラートナーカートリッジの像担持体にも中間転写ベルトが圧接するため、カラートナーカートリッジの現像器を回転させなければならず、その分トナーカートリッジの消耗、劣化を招く、というような欠点があった。
【0008】
この発明は、このような欠点を解消するためになされたものであって、カラーモードの他に、モノクロ画像を印字可能とするモノクロ専用モードを有する画像形成装置であって、前記モノクロ専用モードでの使用時におけるカラートナーカートリッジの消耗、劣化をなくした画像形成装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は以下の手段によって解決される。
(1)現像部とこの現像部により対応する色のトナー像が形成される像担持体とを有するトナーカートリッジが装着される複数のカートリッジ装着部と、走行可能に設けられると共に、走行しながら前記カートリッジ装着部に装着されたトナーカートリッジの前記像担持体に圧接して、前記トナー像を転写される転写体と、前記転写体を各トナーカートリッジの像担持体に対して接離自在に支持する転写体支持手段と、動作モードとしてカラーモードとモノクロ専用モードを設定可能な動作モード設定手段と、動作モードとしてカラーモードが設定された場合には、前記転写体が全てのカートリッジ装着部に装着された全てのトナーカートリッジの各像担持体と圧接する圧接モードとなり、動作モードとしてモノクロ専用モードが設定された場合には、転写体がトナー像を形成されるモノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接し、他のトナーカートリッジの像担持体とは離間する離間モードとなるように、前記転写体支持手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)前記転写体の離間モードにおいては、転写体は、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部に装着されたモノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接する前項1に記載の画像形成装置。
(3)前記動作モード設定手段は、カートリッジ装着部に装着されたトナーカートリッジにより、カラー画像の作像が可能か否か及びモノクロ画像の作像が可能か否かを判断し、カラー画像の作像が可能であるときは動作モードをカラーモードに設定し、カラー画像の作像が不可能でかつモノクロ画像の作像が可能であるときは、動作モードをモノクロ専用モードに設定する前項1に記載の画像形成装置。
(4)前記動作モード設定手段は、ユーザの選択に基づいてモノクロ専用モードを設定する前項1に記載の画像形成装置。
(5)前記転写体が離間モードのときは圧接モードのときよりも高速で印字する前項1または2に記載の画像形成装置。
(6)前記転写体が離間モードのときは、像担持体と圧接したトナーカートリッジが装着されているカートリッジ装着部以外のカートリッジ装着部には、在庫トナーカートリッジを保管可能である前項1または2に記載の画像形成装置。
(7)モノクロ専用モードにおいて、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部にモノクロトナーカートリッジが装着されていない場合には、他のカートリッジ装着部に装着されているモノクロトナーカートリッジの前記最下流の装着部への移し替えを促すメッセージを、自装置または外部装置の表示手段に表示する前項2に記載の画像形成装置。
(8)前記動作モード設定手段は、カラー画像の作像を不可能にしている原因が解消された場合には、動作モードをカラーモードに設定する前項3に記載のカラー画像形成装置。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、カラーモードの他に、モノクロ画像を印字可能なモノクロ専用モードを設定できるうえ、このモノクロ専用モードにおいては、転写体は、モノクロトナー像を形成されるモノクロトナーカートリッジの像担持体のみに圧接し他のトナーカートリッジの像担持体とは離間する離間モードとなされる。このため、カラートナーカートリッジの現像器を回転させる必要はなくなり、カラーカートナートリッジの消耗、劣化を防止することができる。
【0011】
前項(2)に記載の発明によれば、転写体の離間モードにおいては、転写体は、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部に装着されたモノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接するから、モノクロトナーカートリッジにより形成されたモノクロトナー画像の転写体への一次転写位置から、転写体の画像をさらに用紙に転写する二次転写ローラまでの距離が短くなり、効率よく作像を行うことができる。
【0012】
前項(3)に記載の発明によれば、カラー画像の作像が可能であるときは動作モードをカラーモードに設定でき、カラー画像の作像が不可能でかつモノクロ画像の作像が可能であるときは、動作モードをモノクロ専用モードに設定することができる。
【0013】
前項(4)に記載の発明によれば、ユーザの選択に基づいてモノクロ専用モードを設定することができる。
【0014】
前項(5)に記載の発明によれば、高速でのモノクロ印字が可能となる。
【0015】
前項(6)に記載の発明によれば、像担持体と圧接したトナーカートリッジ以外のトナーカートリッジは使用されないから、前記トナーカートリッジが装着されたカートリッジ装着部以外のカートリッジ装着部を、新品のトナーカートリッジ等の保管庫として有効利用することができる。
【0016】
前項(7)に記載の発明によれば、モノクロ専用モードにおいて、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部にモノクロトナーカートリッジが装着されていない場合には、他のカートリッジ装着部に装着されているモノクロトナーカートリッジの前記最下流の装着部への移し替えを促すメッセージを、自装置または外部装置の表示手段に表示するから、ユーザはその表示を見て、現在装着されているモノクロトナーカートリッジを最下流のカートリッジ装着部に移し替えることができ、これにより離間モードによるモノクロ印字が可能となる。
【0017】
前項(8)に記載の発明によれば、カラー画像の作像を不可能にしている原因が解消された場合には、動作モードをカラーモードに設定するから、以後はカラー印字が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1はこの発明の一実施形態に係るカラー画像形成装置の中央断面図、図2はさらにその要部の構成図である。
【0020】
カラー画像形成装置1の内部には、作像部100、記録用紙搬送部200、定着器300等が備えられている。また、カラー画像形成装置1の前面には、開閉可能な本体カバーが設けられるとともに、カラー画像形成装置1の上面部には、図示しない操作パネルが設けられている。
【0021】
前記作像部100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各カラートナーカートリッジ(以下、トナーカートリッジを単にカートリッジともいう)181〜183と、モノクロ(K)のカートリッジ184と、無端状の中間転写ベルト2と、二次転写ローラ13と、中間転写ベルトクリーナ8等を備えている。
【0022】
前記各カートリッジ181〜184には、それぞれ、像担持体としての感光体3、感光体3を帯電する帯電部5、画像パターンを露光する露光部6、トナーを現像する現像部4、転写残トナーを感光体3から分離する感光体クリーナ7が内蔵されている。
【0023】
前記中間転写ベルト2は、各カートリッジの上方に対向配置されるとともに、図1の矢印aで示すように、駆動ローラ22により紙面において半時計方向に走行可能となされている。
【0024】
また、中間転写ベルト2を挟んで各カートリッジ181〜184の上方には、感光体3との対向位置において、感光体3のトナー像を中間転写ベルト2上に一次転写するための一次転写対向ローラ231〜234が配置されている。これらの一次転写対向ローラ231〜234のうち、中間転写ベルト2の走行方向の最下流位置(二次転写ローラ13に最も近い位置)にある一次転写対向ローラ234を除く3個の一次転写対向ローラ231〜233は、図示しない中間転写ベルト離間用クラッチのオン、オフ制御により、感光体3に対して離間または接近方向(図1、図2の上下方向)に移動可能となされている。
【0025】
そして、中間転写ベルト離間用クラッチがオフの状態では、一次転写対向ローラ231〜233が各感光体3に対して接近方向(下方)に移動しており、図1に示すように、中間転写ベルト2は全ての一次転写対向ローラ231〜234によって各カートリッジ181〜184の感光体3に圧接された状態、即ち圧接モードとなっている。
【0026】
一方、中間転写ベルト離間用クラッチがオンになると、3個の一次転写対向ローラ231〜233は、対応する感光体3に対して図2に示すように上方に離間移動し、これに伴い、最下流の感光体3を除く3個の感光体3への中間転写ベルト2の圧接状態が解除されるものとなされている。この状態では、最下流の一次転写対向ローラ234のみによって、中間転写ベルト2は最下流のカートリッジ184の感光体3にのみ圧接し、他の感光体とは離間した状態、即ち離間モードとなる。
【0027】
前記中間転写ベルト2は、画像形成装置1の動作モードがカラーモードの場合には、前記圧接モードとなり、各カートリッジ181〜184の感光体3上に形成された4色のトナー像が、感光体3と圧接状態で走行する中間転写ベルト2上に順番に重ね合わせ状態に一次転写される。一方、画像形成装置1の動作モードがモノクロ専用モードの場合には、図2に示す離間モードとなり、最下流のカートリッジ184の感光体3のみと圧接した状態で走行する中間転写ベルト2上に、モノクロトナー像が一次転写される。中間転写ベルト2上に転写されたトナー像は、二次転写ローラ13により記録用紙91上に転写される。また、中間転写ベルトクリーナ8は、転写残トナーを中間転写ベルト2から分離するものである。
【0028】
前記記録用紙搬送部200は、記録用紙収納部9から記録用紙91を給紙する給紙ローラ10と、給紙された記録用紙91を一旦停止させるタイミングローラ11と、中間転写ベルト2に画像形成されたトナー像を記録用紙91上に転写する前記二次転写ローラ13と、記録用紙91上に転写されたトナー像を定着する定着器300と、定着後の記録用紙91を排出しもしくは両面搬送経路16へ搬送する排紙ローラ15と、両面印字の場合に記録用紙91を両面搬送経路16を経由してタイミングローラ11まで搬送する両面経路搬送ローラ17a、17b等から構成されている。
【0029】
前記定着器300は、ハロゲンヒータ21を取り付けた加熱ローラ14aと加圧ローラ14b、加熱ローラ14aの温度を検出するサーミスタ20から構成される。ハロゲンヒータ21を駆動することにより加熱ローラ14aの表面温度を上昇させる。また、加熱ローラ14a及び加圧ローラ14bを回転することにより、加熱ローラ14aの表面の熱を加圧ローラ14bに伝達して加圧ローラ14bを加熱する。
【0030】
図3は、画像形成装置1の要部の電気的構成を示すものである。
【0031】
図3において、この画像形成装置1は、CPU41が装着された制御基板40と、前記各カートリッジ181〜184(図3ではカートリッジ181を代表して示す)が取り外し可能に装着されるカートリッジ装着部50(図3ではカートリッジ181が装着されたカートリッジ装着部を代表して示す)とを備えている。
【0032】
前記カートリッジ装着部50に装着される各カートリッジ181〜184には、不揮発性のメモリ媒体60が設けられている。このメモリ媒体60には、カートリッジ181〜184のトナー色を示す色コードや、カートリッジ181〜184が新品であることを示す新品情報等が記憶されている。
【0033】
前記CPU41は、一次転写対向ローラ231〜234の移動制御をはじめ、画像形成装置1の各部を統括的に制御すると共に、各カートリッジ181〜184の前記メモリ媒体60との間の通信状況や、メモリ媒体60から読み取った情報に基づいて各種の判断や動作を行う。
【0034】
また、画像形成装置内部の制御基板40には、CPU41の他に不揮発性メモリ42が装着されており、前記カートリッジ181〜184のメモリ媒体60から読み出された各種の情報やその他の情報が記憶されている。
【0035】
カートリッジ181〜184が各カートリッジ装着部50に装着されると、各カートリッジ181〜184の前記メモリ媒体60はCPU41のシリアル通信ラインと接続される。CPU41と各トナーカートリッジ181〜184のシリアル通信が成立すればカートリッジ181〜184が装着されていると判断する。シリアル通信が成立しなければカートリッジ181〜184が未装着と判断する。
【0036】
各カートリッジ181〜184のメモリ媒体60に記憶された、前記カートリッジのトナー色を示す色コードとカートリッジが新品であることを示す新品情報に基づいて、CPU41は、各カートリッジ装着部50に何色のカートリッジが装着されているかを判断することができるようになっている。また、新品情報が新品であった場合には、画像形成装置1内の不揮発性メモリ42に記憶される各カートリッジ181〜184の寿命情報をリセットする。新品でない場合には画像形成装置1内の不揮発性メモリ42に記憶される各カートリッジ181〜184の寿命情報に基づいて、トナー残量を検出する。
【0037】
前記CPU41は、各カートリッジ181〜184のメモリ媒体60との間の通信状況や、メモリ媒体60から読み取った情報に基づいて、画像形成装置1の動作モードとして、カラー機として動作するカラーモードかモノクロ専用機として動作するモノクロ専用モードを設定する機能を有する。
【0038】
動作モードの設定手法の一例として、この実施形態では、装着されているカートリッジによりカラー画像の作像が可能か否か、及びモノクロ画像の作像が可能か否かを判断し、カラー画像の作像が不可能でかつモノクロ画像の作像が可能であるときは、モノクロ専用モードを設定する。
【0039】
この実施形態では、カラーカートリッジのうちの少なくとも一つが、カートリッジ装着部50への未装着か寿命切れ(トナーエンプティも含む)の少なくともいずれかに該当する場合には、カラー画像の作像が不可能と判断し、モノクロカートリッジが、カートリッジ装着部50への未装着か寿命切れ(トナーエンプティも含む)の少なくともいずれかに該当する場合には、モノクロ画像の作像が不可能と判断する。
【0040】
また、作像可能なモノクロカートリッジが複数のカートリッジ装着部50のうちの少なくとも1つに装着されている場合には、モノクロ画像の作像が可能であると判断する。
【0041】
従って、例えばユーザが、画像形成装置1の図示しない本体カバーを開けて、カラーカートリッジの少なくとも1つを取り出したり、カラーカートリッジの少なくとも1つをモノクロカートリッジと交換して、複数のモノクロカートリッジを装着したような場合には、装着されているモノクロカートリッジが寿命切れ等でない限り、モノクロ専用モードが設定され、モノクロ専用機としての動作が可能となっている。
【0042】
また、カラー画像の作像を不可能にしている上記原因が解消された場合には、カラー画像の作像が可能と判断して、動作モードとしてカラーモードを設定するものとなされている。
【0043】
また、この実施形態では、ユーザがモノクロ専用モードを選択することができるようになっており、前記CPU41は、ユーザによりモノクロ専用モードの選択がなされるとこれを受け付けて、モノクロ専用モードを設定する機能を有している。この場合は、カラー画像の作像が可能であっても、モノクロ専用機として動作させるものとなされている。
【0044】
なお、ユーザによるモノクロ専用モードの選択は、図示しない操作パネルを介して行われても良いし、パーソナルコンピュータ等の端末装置から通信回線を介して行われても良い。
【0045】
この実施形態では、動作モードとしてカラーモードが設定されている場合には、中間転写ベルト2を図1に示す圧接モードにしてカラー印字を行い、モノクロ専用モードが設定されている場合には、図2に示すように、中間転写ベルト2の走行方向の最下流に位置するカートリッジ184の感光体3とのみ中間転写ベルト2を圧接させた離間モードにしてモノクロ印字を行う。離間モードでは、中間転写ベルト2が1つのカートリッジ184の感光体3とのみ圧接していることから、圧接モードの場合と較べて中間転写ベルト2の高速走行が可能となり、高速印字を行うことができる。
【0046】
ただし、中間転写ベルト2の走行方向の最下流に位置するカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジが装着されていない場合には、離間モードでのモノクロ印字を行うことができないため、モノクロ専用モードが設定されていても、中間転写ベルト2を図1に示す圧接モードにしてモノクロ印字を行う。
【0047】
このように、モノクロ専用モードにおいて、中間転写ベルト2を離間モードとしてモノクロ印字を行うことにより、中間転写ベルト2はモノクロカートリッジ184の感光体3とのみ圧接し、他のカラーカートリッジの像担持体とは離間するから、カラーカートリッジの現像器を回転させる必要はなくなり、カラーカートリッジの消耗、劣化を防止することができる。
【0048】
また、離間モードにおいて、中間転写ベルト2を最下流のカートリッジ184の感光体3とのみ圧接させるのは、このカートリッジによる一次転写位置から二次転写ローラ13までの距離が短く、効率よく作像を行うことができるためである。
【0049】
ただし、離間モードにおいて中間転写ベルト2と圧接するカートリッジの位置は、最下流に限定されることはなく、最上流のカートリッジ181でも良いし、最上流のカートリッジ181と最下流のカートリッジ184の間の中間カートリッジ182、183でも良い。
【0050】
図4は、画像形成装置1が行う動作モード判定処理を示すフローチャートである。この処理は、CPU41が図示しないROM等の記録媒体に書き込まれたプログラムに従って動作することにより実行される。
【0051】
ステップS001で、画像形成装置1の本体カバーが閉じられると(ステップS001でYES)、ステップS002で、カートリッジ181〜184の装着の有無、及び何色のカートリッジが装着されているかを検出する。具体的には、各カートリッジ181〜184の不揮発性メモリ媒体60とシリアル通信を行い、CPU41からの通信データに対して、メモリ媒体60からの応答があれば、各カートリッジ181〜184が装着されていると判断するとともに、メモリ媒体60から何色のカートリッジであるかを示す色コードを読み込むことにより、装着されているカートリッジ181〜184の色を判断する。
【0052】
続いてステップS003で、各カートリッジ181〜184の不揮発性メモリ媒体60から、新品情報を読み込む。新品情報が新品であるカートリッジについては、画像形成装置1の不揮発性メモリ42に保存されているカートリッジ寿命情報を初期化することにより、新品リセット動作を行う。この新品リセット動作後、装着されているカートリッジ15の寿命情報を確認し、寿命を越えているカートリッジは印字不可能と判断する。
【0053】
次に、ステップS004で、カートリッジ装着検出ステップ(ステップS002)とカートリッジ寿命検出ステップ(S003)の実行結果に基づいて、カラー印字が可能かどうかを判断する。Y、C、Mのカラーカートリッジのうち、未装着または寿命に達して印字不可能と判断されたカートリッジが1つでも存在している場合は、カラー印字不可能と判断する。
【0054】
カラー印字可能と判断した場合は(ステップS004でYES)、ステップS005で、ユーザの操作に基づいてモノクロ専用モードが選択されているかを判断する。
【0055】
モノクロ専用モードの選択がなされている場合は(ステップS005でYES)、ステップS006で、最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されているか否かを判断する。
【0056】
最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されていれば(ステップS006でYES)、ステップS007で、カラー印字可能であっても動作モードとしてモノクロ専用モードを設定し、さらに中間転写ベルト2を離間モードにして、画像形成装置1をモノクロ専用機として高速動作させる。
【0057】
最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されていなければ(ステップS006でNO)、ステップS008で、中間転写ベルト2を圧接モードにして、画像形成装置1をモノクロ専用機として動作させる。そして、ステップS015で、画像形成装置1の操作パネルまたは画像形成装置1に接続されるパーソナルコンピューター等の外部装置のディスプレイに、装着されているモノクロカートリッジを最下流の装着部50へ移し替えることを促すメッセージを表示する。
【0058】
ユーザはその表示を見て、現在装着されているモノクロトナーカートリッジを最下流のカートリッジ装着部50に移し替えることができ、これにより中間転写ベルト2の離間モードによるモノクロ高速印字が可能となる。
【0059】
また、ステップS005において、モノクロ専用モードが選択されていない場合には(ステップS005でNO)、ステップS009で、動作モードとしてカラーモードを設定し、画像形成装置1をカラー機として動作させる。この場合、中間転写ベルト2は圧接モードとなる。
【0060】
一方、ステップS004の判断において、カラー印字が不可能であれば(ステップS004でNO)、ステップS010に進み、モノクロ印字可能であるかどうかを判断する。この判断も、カートリッジ装着検出ステップ(ステップS002)とカートリッジ寿命検出ステップ(S003)の実行結果に基づいて行われる。
【0061】
4つのカートリッジ装着部50のうち、寿命が切れていないモノクロカートリッジが少なくとも1つ装着されていれば、モノクロ印字可能と判断し(ステップS010でYES)、ステップS011で、最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されているか否かを判断する。
【0062】
最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されていれば(ステップS011でYES)、ステップS012で、動作モードとしてモノクロ専用モードを設定し、さらに中間転写ベルト2を離間モードにして、画像形成装置1をモノクロ専用機として高速動作させる。
【0063】
最下流のカートリッジ装着部50にモノクロカートリッジ184が装着されていなければ(ステップS011でNO)、ステップS013で、中間転写ベルト2を圧接モードにして、画像形成装置1をモノクロ専用機として動作させる。そして、ステップS016で、画像形成装置1の操作パネルまたは画像形成装置1に接続される外部装置のディスプレイに、装着されているモノクロカートリッジを最下流の装着部50へ移し替えることを促すメッセージを表示する。
【0064】
ユーザはその表示を見て、現在装着されているモノクロトナーカートリッジを最下流のカートリッジ装着部50に移し替えることができ、これにより離間モードによるモノクロ高速印字が可能となる。
【0065】
モノクロ印字可能判断(ステップS010)において、モノクロ印字も不可能と判断したときには(ステップS010でNO)、カラー、モノクロ共に印字不可能であるため、ステップS014で、画像形成装置1の操作パネルまたは画像形成装置1に接続された外部装置のディスプレイに、カートリッジの装着または交換を促すエラーメッセージを表示する。
【0066】
このように、画像形成装置の動作モードとしてカラーモードまたはモノクロ専用モードを設定し、中間転写ベルト2を圧接モードまたは離間モードとし、画像形成装置1をそれらのモードに応じて動作させる。
【0067】
また、画像形成装置1の電源が再投入されたとき、あるいは本体カバーが再度閉じられたときにはカートリッジ181〜184の装着状態が変更された可能性があるため、図4に示す処理を再度行う。この場合、カラー印字を不可能としている原因が解消され、かつユーザによりモノクロ専用モードが設定されていない場合には、カラーモードが設定される。
【0068】
以上の説明から理解されるように、中間転写ベルト2を離間モードにして画像形成装置1を動作させた場合、中間転写ベルト2と接触しているモノクロトナーカートリッジ184が装着されたカートリッジ装着部50以外の装着部50に、カートリッジ181〜183が装着されていても、これらのカートリッジは使用されないことになる。
【0069】
このため、使用されるモノクロトナーカートリッジ184が装着されたカートリッジ装着部50以外のカートリッジ装着部50を、予備カートリッジの在庫スペース(カートリッジ置き場)として利用できる。この場合、使用しないカートリッジ181〜183については、感光体3、現像部4の駆動、帯電部5、露光部6の制御を行わないのは勿論のこと、カートリッジの不揮発性メモリ60にも書き込みを行わず、在庫カートリッジを新品のまま保管することが可能となり、予備カートリッジの在庫スペースを画像形成装置外に確保する必要をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の一実施形態に係るカラー画像形成装置の中央断面図である。
【図2】図1の画像形成装置において、中間転写ベルトを離間モードとした状態の説明図である。
【図3】図1の画像形成装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】図1の画像形成装置が行う動作モード判定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
2 中間転写ベルト
3 感光体
4 現像部
13 二次転写ローラ
41 CPU
50 カートリッジ装着部
91 記録用紙
100 作像部
181〜184 カートリッジ
200 記録用紙搬送部
231〜234 一次転写対向ローラ(転写体支持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像部とこの現像部により対応する色のトナー像が形成される像担持体とを有するトナーカートリッジが装着される複数のカートリッジ装着部と、
走行可能に設けられると共に、走行しながら前記カートリッジ装着部に装着されたトナーカートリッジの前記像担持体に圧接して、前記トナー像を転写される転写体と、
前記転写体を各トナーカートリッジの像担持体に対して接離自在に支持する転写体支持手段と、
動作モードとしてカラーモードとモノクロ専用モードを設定可能な動作モード設定手段と、
動作モードとしてカラーモードが設定された場合には、前記転写体が全てのカートリッジ装着部に装着された全てのトナーカートリッジの各像担持体と圧接する圧接モードとなり、動作モードとしてモノクロ専用モードが設定された場合には、転写体がトナー像を形成されるモノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接し、他のトナーカートリッジの像担持体とは離間する離間モードとなるように、前記転写体支持手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記転写体の離間モードにおいては、転写体は、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部に装着されたモノクロトナーカートリッジの像担持体とのみ圧接する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記動作モード設定手段は、カートリッジ装着部に装着されたトナーカートリッジにより、カラー画像の作像が可能か否か及びモノクロ画像の作像が可能か否かを判断し、カラー画像の作像が可能であるときは動作モードをカラーモードに設定し、カラー画像の作像が不可能でかつモノクロ画像の作像が可能であるときは、動作モードをモノクロ専用モードに設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記動作モード設定手段は、ユーザの選択に基づいてモノクロ専用モードを設定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記転写体が離間モードのときは圧接モードのときよりも高速で印字する請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記転写体が離間モードのときは、像担持体と圧接したトナーカートリッジが装着されているカートリッジ装着部以外のカートリッジ装着部には、在庫トナーカートリッジを保管可能である請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
モノクロ専用モードにおいて、転写体の走行方向の最下流のカートリッジ装着部にモノクロトナーカートリッジが装着されていない場合には、他のカートリッジ装着部に装着されているモノクロトナーカートリッジの前記最下流の装着部への移し替えを促すメッセージを、自装置または外部装置の表示手段に表示する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記動作モード設定手段は、カラー画像の作像を不可能にしている原因が解消された場合には、動作モードをカラーモードに設定する請求項3に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−286287(P2007−286287A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−112772(P2006−112772)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】