説明

画像形成装置

【課題】
表面の凹凸の大きな粗面紙への転写や表面が比較的平坦なウェブであっても、第1面のトナー画像定着時の熱によるシワの発生したウェブの第2面に転写においても、画像欠陥のない良好な転写が可能な連続紙対応の画像形成装置を提供する。
【解決手段】
感光ドラムに対向して転写手段を設け、前記感光ドラム面上に形成されたトナー像を前記感光ドラムと前記転写手段との間の転写領域に搬送されたウェブに静電的に転写する画像形成装置において、転写領域の入り口にウェブと前記感光ドラムの密着性を上げる位置にガイド部材を設け、該ガイド部材に対しウェブ搬送の下流側に位置して前記転写手段との間にウェブを前記感光ドラムに押し付けるとともにウェブの走行に従動して回転する転写アシストローラを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光ドラムに対向してコロナ転写手段を有し、前記感光ドラム面上に形成されたトナー像を前記感光ドラムと前記コロナ転写手段との間の転写領域に搬送されたウェブに静電的に転写する画像形成装置に係わり、特に、表面の凹凸の大きな粗面紙への転写や、表面が比較的平坦なウェブであっても、第1面のトナー画像定着時の熱によるシワの発生した用紙の第2面への転写においても、画像欠陥のない良好な転写が可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、電子写真方式の一例である連続紙プリンタの構成を示す。感光ドラム1面に、帯電器11により電荷が付与され、露光光源12により印刷データに基づく露光パターンが照射され、感光ドラム1面に静電潜像が形成される。感光ドラム1面上の静電潜像は、現像機13の現像ロール上の現像剤により現像され、ドラム1上にトナー像が形成される。ウェブ7はウェブ搬送装置14、15、16により転写部10に搬送され、コロナ転写器によりウェブ7上に転写されたトナー像はプレヒータ17を通過時に、トナー樹脂の転移温度付近まで加熱された後、ヒータを内蔵した加熱ローラ18とバックアップローラ19からなる定着機によりトナー像はウェブ7に溶融固着される。
【0003】
連続紙プリンタは従来、帳票へのコンピュータ出力印刷に使用されることが多かったが、最近では高速可変情報印刷としての機能を活かし、ダイレクトメールや請求書、マニュアル、書物等の多用途印刷に使用されるようになった。また、使用ウェブも薄紙から厚紙まで、またウェブ種類も上質紙から粗面紙と多種ウェブに対応しなければならなくなった。さらに、省資源の観点からも連続紙プリンタを2台、タンデム運転することにより1台目で第1面を印刷し、その後、ウェブ面を反転させ2台目で第2面を印刷することにより両面印刷を行うニーズが増加してきている。このような多用途に対応する場合、画質を支配するのは転写性能である。一般に、ウェブ面には多くのパルプ繊維が存在するが、上質紙ではパルプ繊維の間隔が約50μmであるのに対し、粗面紙では約100μmとパルプ繊維の間隔が広い。また凹部の深さも約20μmと大きい。このため、粗面紙の場合、転写部において、粗面紙と感光ドラム面との密着性が悪く、粗面紙表面の凹部領域では転写不良による画像欠陥が生じる。カット紙対応のプリンタにおいて、ウェブが通過するタイミングに応じて、ウェブを感光体に押しつける転写アシストブレードを設ける方式が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これには、光伝導体層面に直接、転写アシストブレードが接触して傷をつけないように、ウェブ間部では、ソレノイド機構により転写アシストブレードがリトラクト可能な構成としている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−171308号公報
【0005】
【特許文献2】特開平11−65328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
連続紙プリンタでは、ミシン目のあるボックス紙やミシン目の無いロール紙を高速(0.5〜2m/秒)で搬送して印刷を行う。ウェブはカット紙と異なり、ウェブに切れ目は無く連続したウェブを形成している。
【0007】
転写アシストブレードを連続紙プリンタに適用した場合の問題点を図3を用いて説明する。図3は、転写部に転写アシストブレード21を採用した構成を示す。ウェブ搬送方向から見て、コロナ転写器3の上流側に、プラスチック製の板やフィルムあるいは金属プレート等の転写アシストブレード21を設けたものである。転写アシストブレード21により感光ドラム1の表面に押しつけ、密着された状態でコロナ転写器3に対向した位置に到り、コロナ転写器3からの電荷付与によりトナー像9bはウェブ7に転写された後、ウェブ搬送装置により定着装置(図示せず)に送られる。
【0008】
転写アシストブレード21の押しつけ効果として、粗面紙の表面と感光ドラム間の空隙を低減し良好な転写が得られることがわかっている。
【0009】
一方、第1面にトナー像9aが形成されたウェブ7の第2面にトナー像9bを印刷することにより両面印刷を行う場合を示す。この場合、第1面には、既にトナー画像9aが形成されているため、転写部ハウジング2に搬送されるウェブ7の転写アシストブレード21と接触する面にはトナー画像9aが形成された第1面が来る。このため、転写アシストブレード21により定着されたトナー像9aの表面を擦り、トナー画像欠落等の画像劣化が生じる。一般に、第2面を印刷時は、第1面印刷時の定着プロセスで熱履歴を受けて、ウェブ7の変形が生じているため密着性を向上させるために転写アシストブレード21の押しつけ圧力をより大きくする必要があり、ますます画質劣化を助長することになる。
【0010】
連続紙プリンタでは、多種ウェブへの印刷のニーズが高いことを前述したが、使用されるウェブの幅も用途によって使いわけられる。このため、最近では、長尺(21〜22インチ)の感光ドラムが使用され、使用されるウェブの幅も12インチ、16インチ、22インチと多岐にわたる。帳票では12から16インチ、マニュアル、書物等の印刷では、印刷後、裁断するため、A4サイズの2面取り可能な17ンチ幅、B5サイズの3面取りの22インチのウェブとなる。そのため幅が狭いウェブを印刷する際には、少なくともウェブ幅の長さ以下の転写アシストブレード21を用いないと感光ドラム1に接触し傷を付けてしまい、印刷品質が劣化してしまう。そのため、任意のウェブ幅に対応するには、複数の転写アシストブレードを設け、ウェブ幅に応じて組み合わせる方式が考えられるが、構成が複雑で、転写アシスト機構のサイズも大きくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
感光ドラムに対向して転写手段を設け、前記感光ドラム面上に形成されたトナー像を前記感光ドラムと前記転写手段との間の転写領域に搬送されたウェブに静電的に転写する画像形成装置において、転写領域の入り口にウェブと前記感光ドラムの密着性を上げる位置にガイド部材を設け、該ガイド部材に対しウェブ搬送の下流側に位置して前記転写手段との間にウェブを前記感光ドラムに押し付けるとともにウェブの走行に従動して回転する転写アシストローラを設けたことを特徴とする
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、転写アシストローラはウェブを所定の圧力で感光ドラム面に押した状態でウェブに従動して回転する。このため、ウェブと帯電された光導電体面との間の密着性が向上し空隙が低減し、転写性能が向上する効果が得られる。と同時に、前記ローラは従動するため、ウェブにシワ等の変形も生じない。
【0013】
また、転写アシストローラを設けることで第1面転写時であっても、第1面のトナー画像を傷つけることが無い。
【0014】
また、転写アシストローラのウェブ搬送方向上流側にガイド部材を設けることでウェブと感光ドラムとの密着性が上がり上記の効果が確実に実現可能である。
【0015】
さらに、転写アシストローラとガイド部材を同一の転写器ハウジングに設けることにより感光ドラムから退避可能となり、非印刷時はウェブと感光ドラムを引き離すという従来の効果を損なうことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下本発明の実施例を図1、図2により説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例である転写部の構造を示したものであり、本実施例では、感光ドラム1としてセレン感光体やプラスOPC、a−Si等のプラス帯電感光体を用いた場合を示す。感光ドラム1の現像方式は反転現像方式であり、トナーの帯電極性はプラス極性である。転写部は転写器ハウジング2の内部に転写アシストローラ4、負帯電のコロナ転写器3が格納されている。本実施例の転写アシストローラ4は直径15mmのステンレス製の丸棒に熱収縮チューブをかぶせ、120〜160℃で加熱処理したものである。絶縁性タイプなら、ウェブ7との帯電により帯電極性はトナーの帯電極性と同じプラス帯電するポリエチレンテレフタレート(PET)チューブを使用することが出来る。導電性タイプなら、金属芯金に電圧を印加できるため、フッ素樹脂、ポリイミド、エチレンプロピレンゴムのいずれも使用することができる。本実施例では、エチレンプロピレンゴムチューブを用いている。エチレンプロピレンゴムチューブの収縮後の厚みは、約0.6mmである。転写アシストローラ4の位置における感光ドラム1の未露光領域の表面電位は、+400〜+600Vであるため、金属芯金は、500Vのプラス極性の直流電圧が印加した。コロナ転写器3が格納された転写器ハウジング2は感光ドラム1面に対して、前進と後進が可能であり、図2は転写器ハウジング2が後進している状態を示す。転写アシストローラ4も、同様に感光ドラム1面に対して接触と退避が可能な構成である。印刷動作が中断あるいは停止した時、感光ドラム1面あるいはウェブ7と接触している転写アシストローラ4の退避を早急に行う必要がある。これは、転写されたトナーを有するウェブ7が転写アシストローラ4に接触すると、トナーが脱落し、画像欠陥が生じるためである。
【0018】
次に、転写アシストローラ4を用いた転写動作を説明する。
【0019】
ウェブ7がウェブ搬送装置より転写部に送られ印刷動作の準備が完了すると、転写器ハウジング2が感光ドラム1面に対して所定距離まで移動し、次に、転写アシストローラ4がウェブ7を感光ドラム1に押しつける。ウェブ7と感光ドラム1との密着性を確保し、かつ、従動するためには押しつけ圧力の適正化が必要であり、実験の結果、ローラ部材によるウェブ7の押しつけ圧力を13g/cm2〜40g/cm2の範囲に設定した。
【0020】
図1では、第1面にトナー画像9aが印刷されたウェブ7への第2面目の印刷を示す。転写アシストローラ4の表面はエチレンプロピレン(EPDEM)のゴム層であり、かつウェブ7に対して従動であるため、第1面のトナー画像9aにダメージを与えることは無い。また、ウェブ7が粗面紙等の表面に凹凸のあるウェブであっても空隙が低減され、感光体ドラム1面への密着性が向上するため良好な転写が行うことができた。しかしながら、
プリンタ装置内部には、ウェブ7の走行機構でのウェブ7のエッジや表面での摺擦により生じた紙粉が多く浮遊しており、長時間印刷を続けると転写アシストローラ4の表面には紙粉やほこり等が付着するため、転写アシストローラ4によるウェブ7への押しつけ効果の低下や、転写アシストローラ4が接触する第1面印刷画像の汚れを誘発することになる。そのため、ガイド部材5を設けることによりウェブ7と感光ドラム1の密着性を上げることにより転写アシストローラ4の機能低下を補っている。本発明の実施例では、ガイド部材5は固定のローラ形状としたが、ガイド部材5は板状のものでも良い。
【0021】
次に、本発明のメカ機構を説明する。図1において、前述のように転写部は転写器ハウジング2には転写アシストローラ4、ガイド部材5、負帯電のコロナ転写器3と転写アシストローラ4、ガイド部材5、ストッパ6が一体となった転写アシストローラホルダ8が設けられている。転写アシストローラ4はガイド部材5の軸中心を回転中心として転写ハウジング2と転写アシストローラホルダ8にかけられたバネ20により、前述の最適な押し付け圧力により感光ドラム1に当接している。ガイド部材5はウェブ7を第1面印刷画像9a側からガイドしており感光ドラム1とウェブ7の密着性を上げる位置関係に保持されている。22、23はウェブ7を転写部に案内するためのガイド板であり、ガイド板22はリンク24に固定され、リンク24は転写器ハウジング2が後進する時、ガイド板22を後進させるための機能を有する。
【0022】
図2は、転写部が後進して停止している状態、つまり、印刷動作が中断あるいは停止した状態を示している。転写アシストローラホルダ8は転写ハウジング6が後進するのと同時に転写アシストローラ4が感光ドラム1から離れ、転写アシストローラ4の感光ドラム1に対する押しつけ圧力が無くなる。そうするとバネ20の収縮とともにストッパ6は転写ハウジング2の底面部に突き当たり、転写アシストローラホルダ8が停止するとともに、転写アシストローラ4、ガイド部材5は感光ドラム1から退避した状態で保持され、ウェブ7を感光ドラム1から引き離す機能を有している。
【0023】
なお、電子写真方式のプリンタは高速で可変情報を用紙等のウェブに印刷できるという特徴を活かし、業務用印刷の分野から個人用途まで幅広い分野でも用いられる。特に、連続紙プリンタではカット紙のようなウェブ搬送時のジャムが発生しないため、多種ウェブを高速で搬送して印刷できる。最近ではダイレクトメールや料金表等の個人宛印刷ニーズが高まり、より速く、大量に、かつ、低価格で印刷することが求められ、加えて、地球環境の保護の面から両面印刷による紙使用量の削減、再生パルプを用いた再生紙や粗面紙の使用等が望まれている。本発明は、両面印刷時の転写不良を解決するとともに、再生紙や粗面紙等の低価格なウェブへの転写性を向上できるため、高画質な高速プリンタの実現に加え、省資源にも貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明における転写部を示す図。
【図2】本発明における転写部を示す図。
【図3】転写アシストブレードを用いた従来の転写部を示す図。
【図4】連続紙印刷対応プリンタの構成を示す全体図。
【符号の説明】
【0025】
1は感光ドラム、2は転写器ハウジング、3はコロナ転写器、4は転写アシストローラ、5はガイド部材、6はストッパ、7はウェブ、8は転写アシストローラホルダ、9aは第1面印刷画像、9bは第2面印刷画像、10は転写部、11は帯電器、12は露光光源、13は現像器、14、15、16は用紙搬送装置、17は プレヒータ、18は加熱ローラ、19はバックアップローラ、20はバネ、21は転写アシストブレード、22、23はガイド板、24はリンクである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光ドラムに対向して転写手段を設け、前記感光ドラム面上に形成されたトナー像を前記感光ドラムと前記転写手段との間の転写領域に搬送されたウェブに静電的に転写する画像形成装置において、転写領域の入り口にウェブと前記感光ドラムの密着性を上げる位置にガイド部材を設け、該ガイド部材に対しウェブ搬送の下流側に位置して前記転写手段との間にウェブを前記感光ドラムに押し付けるとともにウェブの走行に従動して回転する転写アシストローラを設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
転写手段はコロナ転写器であり、該コロナ転写器、前記転写アシストローラ、及び前記ガイド部材は同一のハウジングに格納され、前記ハウジングは感光ドラムに対して退避可能で、かつ、前記ハウジングが退避時は、前記転写アシストローラ及び前記ガイド部材も全き感光ドラムから退避可能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−47195(P2007−47195A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228312(P2005−228312)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(302057199)リコープリンティングシステムズ株式会社 (1,130)
【Fターム(参考)】