説明

画像形成装置

【課題】 安定した画像形成性能を有し、さらに小型で且つ低コストである画像形成装置を提供する。
【解決手段】 像保持体24と、この像保持体24を帯電させる帯電手段26と、像保持体24上に静電潜像を書き込む露光手段34と、像保持体24上に形成された静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成する現像手段38と、像保持体24に形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段50と、現像剤像を用紙に転写した後の像保持体24にイレース光を照射して除電する除電手段80と、を有し、像保持体24は、イレース光の光量に応じて帯電電位が変化する特性を有し、除電手段80のイレース光の光量が、像保持体24の特性変化に応じて可変とされている画像形成装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複写機またはファクシミリなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまで、感光体(像保持体)を繰り返して使用する画像形成装置において、感光体の膜厚減少などによる帯電特性の変化により発生する光メモリーやゴースト、カブリといった画像不良を防止する対策として、感光体の削れ耐性を向上させる方法や、感光体のサイクルカウントやトナー消費量の検知などからフィードバックを行い、感光体の帯電性を制御することが提案されてきた(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−334063
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、感光体の削れ耐性を向上させる方法では、感光体の電気的な特性の低下やクリーニング性、転写性の悪化など副次的な特性低下が見られた。また感光体の帯電性を制御する方法においては、一般的な帯電電位の制御方法として、電源に印加する高圧系の電圧を制御するため、精度の不良やコストがかかるなどの面から十分な対策とはいえなかった。また、とくにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の画像形成部を独立して1つの画像形成装置内に設けるいわゆるタンデム方式の画像形成装置の場合、帯電電位の制御のために帯電部材ごとに個別の電源が必要となり、機能部材の部品数や、電源などの増加により装置のコストアップおよび装置の大型化が伴い、コストや小型化の観点で非常に不利な方式となっていた。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決しようとしてなされたものであり、安定した画像形成性能を有し、さらに小型で且つ低コストである画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の特徴とするところは、像保持体と、この像保持体を帯電させる帯電手段と、前記像保持体上に静電潜像を書き込む露光手段と、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成する現像手段と、前記像保持体に形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、現像剤像を用紙に転写した後の前記像保持体にイレース光を照射して除電する除電手段と、を有し、前記像保持体は、イレース光の光量に応じて帯電電位が変化する特性を有し、前記除電手段のイレース光の光量が、前記像保持体の特性変化に応じて可変とされている画像形成装置にある。
【0007】
好ましくは、前記像保持体の繰り返しの使用状況を算出する使用状況算出手段と、前記像保持体の使用状況に対応する帯電電位の変動量を算出する帯電電位変動量算出手段と、前記像保持体の使用状況に対応する適正な帯電電位を算出する適正帯電電位算出手段と、適正な帯電電位にするために必要なイレース光の光量を算出するイレース光量算出手段と、前記算出した光量のイレース光を照射するイレース光照射手段と、をさらに有する画像形成装置とする。
【0008】
好ましくは、前記像保持体の環境状態を検知する環境状態検知手段をさらに有し、この環境状態検知手段により検知した環境状態に応じて、イレース光の光量を変化させる画像形成装置とする。
【0009】
好ましくは、前記帯電手段が直流電源による帯電方式である場合に、前記像保持体の使用量の増加に応じてイレース光の光量を上げる画像形成装置とする。
【0010】
好ましくは、前記帯電手段が接触帯電方式である場合に、前記像保持体の使用量の増加に応じてイレース光の光量を下げる画像形成装置とする。
【0011】
好ましくは、前記像保持体は、導電性基材上に、酸化金属を含む下引き層と、フタロシアニン顔料を含む電荷発生層と、正孔輸送性材料を含む電荷輸送層と、を順次塗布することにより形成される負帯電性の積層型感光体である画像形成装置とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、膜減りによる帯電特性変動の生じる感光体などの像保持体に対し、像保持体の削れ量を減少させるなどの手段を講じることなく、また高圧系を制御することなく、帯電電位を制御することができる。したがって、例えば表面保護層を設けるなどによる像保持体の削れ量を減少させる手段を講じることによる電気的な特性の低下やクリーニング性、転写性の悪化など副次的な特性低下を防止することができる。また生産性が高く安価であるが、電子写真特性の安定性において潜在的なポテンシャルのやや低い感光体をも適用することができる。さらには、複数の画像形成プロセスを有するタンデム方式の画像形成装置においても帯電用の電源は1つでも帯電電位の制御が可能となり小型で安価な画像形成装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の概要が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に画像形成部14、用紙供給装置60、電源ユニット96、及びコントローラ98が配設されており、画像形成装置本体12には、上部に画像形成がなされた用紙が排出される用紙排出部13が設けられている。
【0014】
画像形成部14はカラー画像を形成する電子写真方式のもので画像形成装置本体12に着脱可能に装着され像保持体として用いられる感光体(像保持体)24Y、24M、24C、24Bをそれぞれ有する4個のプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20Bが搬送ベルト44に沿って左下方から右上方に斜めに順次配列されている。すなわち画像形成装置10はいわゆるタンデム方式の画像形成装置である。また画像形成部14は、各感光体24Y、24M、24C、24Bに光により静電潜像を書き込む潜像形成手段として用いられる光書き込み装置(露光手段)34Y、34M、34C、34Bと、感光体24Y、24M、24C、24Bに形成された現像剤像を被転写体として用いられる用紙に転写する転写手段として用いられる転写ユニット40と、この転写ユニット40により用紙に転写された現像剤像を用紙へと定着させる定着装置36とを有する。
【0015】
プロセスカートリッジ20Yは、イエロー現像剤像の形成用であり、プロセスカートリッジ20Mはマゼンタ現像剤像の形成用であり、プロセスカートリッジ20Cはシアン現像剤像の形成用であり、プロセスカートリッジ20Bはブラック現像剤像の形成用である。
【0016】
プロセスカートリッジ20Yは、光書き込み装置34Yにより感光体24Yに書き込まれた潜像を現像し、感光体24Yの表面にイエロー現像剤像を形成する。そしてプロセスカートリッジ20Yと同様に、プロセスカートリッジ20Mは感光体24Mの表面にマゼンタ現像剤像を、プロセスカートリッジ20Cは感光体24Cの表面にシアン現像剤像を、プロセスカートリッジ20Bは感光体24Bの表面にブラック現像剤像を形成する。
【0017】
光書き込み装置34Y、34M、34C、34Bはそれぞれレーザー露光装置からなり、光書き込み装置34Yは感光体24Yにイエロー画像に対応するレーザー光を、光書き込み装置34Mは感光体24Mにマゼンタ画像に対応するレーザー光を、光書き込み装置34Cは感光体24Cにシアン画像に対応するレーザー光を、光書き込み装置34Bは感光体24Bにブラック画像に対応するレーザー光をそれぞれ発し、感光体24Y、24M、24C、24Bにそれぞれ静電潜像を書き込む。
【0018】
転写ユニット40は、ユニットとして一体化されていて、レジストロール72から供給される用紙を、定着装置36へと搬送する搬送ベルト44を支持する支持手段として用いられる転写装置フレーム42を有し、この転写装置フレーム42に2つの支持ロール48a、48bと、用紙又は像を搬送するベルトとして用いられる搬送ベルト44と、この搬送ベルト44に用紙を吸着させる吸着手段として用いられる吸着ロール46と、搬送ベルト44により搬送中に用紙に各感光体24Y、24M、24C、24Bに形成された現像剤像をそれぞれ転写する転写ロール50Y、50M、50C、50Bと、が装着されている。
【0019】
各転写ロール50Y、50M、50C、50Bには、それぞれ転写バイアスが印加されていて、感光体24Y、24M、24C、24Bに形成された現像剤像を、搬送ベルト44により搬送中の用紙へと順に転写し、用紙にイエロー、マゼンタ、ブラック、シアンの4色の現像剤像が重ねられたカラー現像剤像を形成する。
【0020】
定着装置36は、加熱ロール36aと加圧ロール36bとからなり、加熱ロール36aと加圧ロール36bとの間を通過する用紙を加熱し加圧することで、用紙に現像剤像を定着させる。
【0021】
用紙供給装置60は、手差し供給される用紙が載置される手差し用紙載置部として用いられる手差しトレー62と、この手差しトレー62から用紙を送り出す手差し用紙送り出し手段として用いられる手差し用ピックアップロール64と、用紙が収納される用紙収納部として用いられる用紙供給カセット66と、この用紙供給カセット66から用紙を送り出す収納用紙送り出し手段として用いられるカセット用ピックアップロール68と、手差しトレー62又は用紙供給カセット66から供給された用紙が搬送される搬送路である主搬送路70と、一方の面に画像形成がなされた用紙を搬送しつつ反転させる反転搬送路76と、を有する。
【0022】
主搬送路70は、用紙供給カセット66から供給された用紙又は手差しトレー62から供給された用紙を用紙排出部13まで搬送する搬送路であり、この主搬送路70に沿って用紙搬送方向上流から順に、画像形成のタイミングに併せて用紙を転写ユニット40へと供給するレジストロール72、転写ユニット40、定着装置36、用紙排出部13へと用紙を排出する排出ロール74が配置されている。反転搬送路76は、両面画像形成用ユニットとして用いられ、画像形成部14で表面に画像形成がなされた用紙を反転させつつ再び画像形成部14へと搬送する搬送路であり、用紙を排出ロール74からレジストロール72まで搬送する。
【0023】
次に本発明の一実施形態に係るプロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20Bについて図面に基づいて説明する。
プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20B、感光体24Y、24M、24C、24B、転写ロール50Y、50M、50C、50B及び光書き込み装置34Y、34M、34C、34Bは用いる現像剤像の色は異なるものの構成は同じであるので、以下プロセスカートリッジ20、感光体24、転写ロール50、光書き込み装置34と総称して説明する。
【0024】
図2にはプロセスカートリッジ20の一実施形態が示されている。
プロセスカートリッジ20は、プロセスカートリッジ本体22を有し、このプロセスカートリッジ本体22内に感光体(像保持体)24と、この感光体24を一様に帯電する帯電ロールを備えた帯電装置(帯電手段)26と、この帯電装置26により帯電され光書き込み装置(露光手段)34(図1参照)により感光体24に書き込まれた静電潜像を現像剤(トナー)で現像する現像装置(現像手段)28と、転写ロール50による現像剤像の転写がなされた後に、静電潜像が書き込まれた感光体24にイレース光を照射して除電する除電装置(除電手段)80の一部と、感光体24に残留する現像剤をクリーニングブレード58により掻き取り、掻き取った現像剤をハウジング59に回収するクリーニング装置56と、が設けられている。
【0025】
なおこの実施形態においては、感光体24として、導電性基材上に、酸化金属を含む下引き層と、フタロシアニン顔料を含む電荷発生層と、正孔輸送性材料を含む電荷輸送層を順次塗布することにより形成される負帯電性の積層型感光体を用いている。
本発明の一実施形態のプロセスカートリッジ20における感光体24は、イレース光の光量に応じて帯電電位が変化する特性を有することが必要であるが、そのためには、イレース光の照射により発生した電荷キャリアをある程度感光層内に保持するが、その保持した電荷キャリアをその後の帯電、露光、現像プロセス中に放出し、累積していかない特性があることが好ましい。上記の構成の感光体24では、このような特性を得ることができ、本発明による効果をより顕著に得ることができる。
【0026】
プロセスカートリッジ本体22には、水平方向における一端部から他端部近傍まで至るレーザー光路22aが形成されていて、光書き込み装置34からのレーザー光がレーザー光路22aを通過して感光体24へと到達する。
【0027】
現像装置28は、感光体24に形成された静電潜像を現像剤で現像する現像ロール30が配置された現像室31と、この現像室31に現像剤を供給する第1の現像剤供給室38と、この第1の現像剤供給室38に現像剤を供給する第2の現像剤供給室39とからなる。現像室31と第1の現像剤供給室38とはプロセスカートリッジ本体22に設けられた現像剤通路37で連通され、第1の現像剤供給室38と第2の現像剤供給室39とは現像剤搬送路54で連通されている。
【0028】
現像室31は感光体24の下方に位置しており、先述の現像ロール30と合わせて2個のオーガ32、32が設けられ、このオーガ32、32が現像室31内の現像剤を現像ロール30へと搬送し、オーガ32、32により搬送された現像剤を現像ロール30が感光体24へと供給する。
【0029】
第1の現像剤供給室38は現像室31の側方に位置しており、この第1現像剤供給室38内に貯蔵された現像剤が、現像室31との間の位置に設けられた現像剤搬送ロール35により先述の現像剤通路37を介して現像室31へと供給される。また、第1の現像剤供給室38には、2つのスクレーパ41、41が設けられていて、スクレーパ41、41が第1の現像剤供給室38内の現像剤を撹拌するとともに、現像剤搬送ロール35の方向へ現像剤を搬送する。
【0030】
第2の現像剤供給室39は、第1の現像剤供給室38の上方に位置しており、第2の現像剤供給室39内に貯蔵された現像剤が現像剤搬送路54を通過して第1の現像剤供給室38へ供給される。
【0031】
クリーニング装置56は、クリーニングブレード58がハウジング59の感光体24側に取り付けられており、このクリーニングブレード58は、先端が回転する感光体24の表面に接触しており、このクリーニングブレード58が掻き取った感光体24表面上の残留現像剤はハウジング59内に回収される。
【0032】
次に本発明にかかる一実施形態の画像形成装置10に用いられる除電装置(除電手段)80について詳しく説明する。
除電装置80の一部はプロセスカートリッジ本体22の感光体24の上側に配置されており、除電光を導く照光手段としてのライドガイド82と、このライトガイド82を収容する収容ケース84とを備えており、転写後の感光体24にクリーニング装置56の上流側でイレース光を照射して除電を行う。このとき、ライトガイド82は、所定の直径で感光体24に対応した長さの円柱形状に、ガラス又は透光性が優れる樹脂(アクリル、ポリカーボネイト等)によって形成されている。収容ケース84はライトガイド82の直径と対応する幅の開口部を有する略コ字状の断面形状を有している。
【0033】
ライトガイド82は、長手方向の一端の端面から入射される光を感光体24側に向けて反射させるような構造を有しており、プロセスカートリッジ20が画像形成装置本体12に装着された状態において、画像形成装置本体12のライトガイド82の端面と対向する位置にLEDランプ(イレース光照射手段)88(図3参照)が設けられており、これによりLEDランプ88から出射した光が、画像形成装置本体12に装着されたプロセスカートリッジ20のライトガイド82の端面からライトガイド82に入射するようになっている。そしてこの入射光をライトガイド82が感光体24に向けて反射させてイレース光(除電光)を照射する。
【0034】
このとき、除電装置80のイレース光の光量は、感光体24の特性変化に応じて可変とされている。
具体的には、たとえば、LEDランプ88の光源に光量制御装置が設けられており、その光量制御装置が、感光体24の繰り返しの使用状況を算出する使用状況算出手段と、感光体24の使用状況に対応する帯電電位の変動量を算出する帯電電位変動量算出手段と、感光体24の使用状況に対応する適正な帯電電位を算出する適正帯電電位算出手段と、適正な帯電電位にするために必要なイレース光の光量を算出するイレース光量算出手段と、算出した光量のイレース光を照射するイレース光照射手段と、を有し、感光体24の特性変化に応じてイレース光の光量が制御される。
【0035】
すなわち、画像形成装置10の設計時に、光量制御装置において、使用状況算出手段で感光体24の繰り返しの使用状況を算出し、帯電電位変動量算出手段で感光体24の使用状況に対応する帯電電位の変動量を算出し、適正帯電電位算出手段で感光体24の使用状況に対応した適正な帯電電位を算出し、イレース光量算出手段で適正な帯電電位にするために必要なイレース光の光量を算出し、その算出結果(データ)をメモリ86(図3参照)に格納し、画像形成装置10の使用時にメモリ86からデータを読み出し、そのデータに基づいてLEDランプ(イレース光照射手段)88で必要な光量のイレース光を照射する。
【0036】
この実施形態の画像形成装置10においては、さらに、感光体24の環境状態を検知する環境状態検知手段として、温度センサ(温度検知手段)90及び湿度センサ(湿度検知センサ)92を備えている。したがって、図3に示すように、画像形成装置10の使用時に、感光体24の温度及び湿度を温度センサ90及び湿度センサ92で検知し、その検知した値とメモリ86に格納したデータとに基づいて、制御回路94で適切なイレース光の光量の値を設定し、その値をLEDランプ88に出力し、LEDランプ88で照射するイレース光の光量を制御する。
【0037】
図4において、制御回路94で実行される制御フローが示されている。
制御回路94は、まずステップS10において、温度センサ90と湿度センサ92から温度と湿度を検出する。次のステップS20において、メモリ86に格納されているデータを読み出す。次にステップS30において、メモリ86から読み出したデータと検出した温度及び湿度に基づいて実際に照射するイレース光の適切な光量の値を設定する。次のステップS40において、イレース光の適切な光量の設定値をLEDランプ88に出力して処理を終了する。
そして、LEDランプ88により制御回路94から出力された設定値の光量のイレース光が照射される。
【0038】
このように、温度や湿度など使用する環境により電子写真特性が大きく変化する電子写真特性の安定性の低い感光体を用いた場合においても、温度及び湿度により変化する感光体24の特性に応じてイレース光の光量を変化させることで感光体24の帯電電位の詳細な制御が可能となる。
【0039】
上記のように、感光体24に照射するイレース光の光量を、感光体24の特性変化に応じて可変とすることで、感光体24を適正な帯電電位にすることができ、画像形成装置10を、安定した画像形成性能を有し、かつ小型で低コストのものとすることができる。
【0040】
なお、帯電装置(帯電手段)26が直流電源による帯電方式である場合には、感光体24の使用量の増加に応じてイレース光の光量を上げ、帯電装置26が接触帯電方式である場合には、感光体24の使用量の増加に応じてイレース光の光量を下げるようにする。直流電源による帯電方式では、理論的には像保持体である感光体24が摩耗して膜厚が減少した場合、感光体24の静電容量の変化に伴い放電開始電圧が下がり帯電電位が増加するが、感光体24の使用量の増加に応じてイレース光の光量を上げることにより、感光体24の帯電電位の増加を低減することができる。また、接触帯電方式で一般に用いられる絶縁性または半導電性の帯電部材は、帯電を繰り返すことによりその体積抵抗増加や汚れなどによる表面抵抗の変化を伴うが、感光体24の使用量の増加に応じてイレース光の光量を下げることにより、感光体24の帯電電位の低下を低減することができる。
【0041】
また、とくに、この実施形態における複数の画像形成プロセスを有するタンデム方式の画像形成装置においても、帯電用の電源は1つでも、感光体24の帯電電位の制御が可能となり小型で安価な画像形成装置とすることができる。
【0042】
なおこの実施形態においては、除電光の光源としてLEDランプを用いているが、感光体を除電できる光をライトガイド82に照射できれば光源はどのようなものであってもよく、たとえば光源としてレーザー装置を用いてもよい。その場合、レーザー装置のレーザーの光量を制御する光量制御装置に、上記のような、使用状況算出手段と、帯電電位変動量算出手段と、適正帯電電位算出手段と、イレース光量算出手段と、イレース光照射手段と、を設ける。これにより感光体24の特性変化に応じてイレース光の光量を変化させ、感光体24の帯電電位を制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上述べたように、本発明は、安定した画像形成性能を有し、さらに小型で且つ低コストである画像形成装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るプロセスカートリッジの概要を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置における光量制御装置の一部を示す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置における制御回路の制御フローである。
【符号の説明】
【0045】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
20 プロセスカートリッジ
24 感光体(像保持体)
26 帯電装置(帯電手段)
28 現像装置(現像手段)
30 現像ロール
31 現像室
32 オーガ
34 光書き込み装置(露光手段)
35 現像剤搬送ロール
37 現像剤通路
38 第1の現像剤供給室
39 第2の現像剤供給室
40 転写ユニット(転写手段)
41 スクレーパ
80 除電装置(除電手段)
82 ライトガイド
84 収容ケース
86 メモリ
88 LEDランプ(イレース光照射手段)
90 温度センサ(温度検知手段)
92 湿度センサ(湿度検知手段)
94 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像保持体と、この像保持体を帯電させる帯電手段と、前記像保持体上に静電潜像を書き込む露光手段と、前記像保持体上に形成された静電潜像を現像剤により現像して現像剤像を形成する現像手段と、前記像保持体に形成された現像剤像を用紙に転写する転写手段と、現像剤像を用紙に転写した後の前記像保持体にイレース光を照射して除電する除電手段と、を有し、
前記像保持体は、イレース光の光量に応じて帯電電位が変化する特性を有し、前記除電手段のイレース光の光量が、前記像保持体の特性変化に応じて可変とされていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像保持体の繰り返しの使用状況を算出する使用状況算出手段と、前記像保持体の使用状況に対応する帯電電位の変動量を算出する帯電電位変動量算出手段と、前記像保持体の使用状況に対応する適正な帯電電位を算出する適正帯電電位算出手段と、適正な帯電電位にするために必要なイレース光の光量を算出するイレース光量算出手段と、前記算出した光量のイレース光を照射するイレース光照射手段と、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体の環境状態を検知する環境状態検知手段をさらに有し、この環境状態検知手段により検知した環境状態に応じて、イレース光の光量を変化させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記帯電手段が直流電源による帯電方式である場合に、前記像保持体の使用量の増加に応じてイレース光の光量を上げることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記帯電手段が接触帯電方式である場合に、前記像保持体の使用量の増加に応じてイレース光の光量を下げることを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像保持体は、導電性基材上に、酸化金属を含む下引き層と、フタロシアニン顔料を含む電荷発生層と、正孔輸送性材料を含む電荷輸送層と、を順次塗布することにより形成される負帯電性の積層型感光体であることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−158024(P2008−158024A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343871(P2006−343871)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】